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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1801-1900
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真野恵里菜 - FRIENDS - マノピアノ (album version) ★★ (2011-07-22 21:47:06)

タイトル的に弾き語りかと思いきや、意外とリズムトラックはポップですね。しかしこのタイトルは秀逸だと思う。ピアノが弾けるアイドル/シンガーっていうキャラが一発で分かりますもん。歌詞の女性の行動は普通なら情念が感じられそうですが、この声で歌われるとむしろいじらしさを感じるから不思議。


真野恵里菜 - FRIENDS - おやすみなさい ★★★ (2011-07-22 21:46:22)

ボサノバ調の穏やかな曲ですが、サビでは自然な盛り上がりをみせる展開が良い感じの曲。個人的には寝る前より、休日の午後にまどろんでる時とかに聴きたいですね。窓際に置いたサボテンのように、聴き手の心を穏やかに癒してくれる1曲だと思います。


真野恵里菜 - FRIENDS - まつげの先に君がいる ★★★ (2011-07-22 21:45:48)

アルバム曲でも、作品中随一のキャッチーさがあると思いますが…どう聴いても80年代ですよね、これ(笑)。最近のアーティストで「パヤパヤ」なんてコーラス入れる人、ネタやレトロ感を演出するのでなければほとんどいないのでは。心がほっこりするような、温かみのある明るさがある曲なので、最近のポップスは盛り上がれてもどうも刹那的な感覚が強くてちょっと…という方にもお勧め。


真野恵里菜 - FRIENDS - この胸のときめきを (2011-07-22 21:45:10)

サビメロが…なんというか、凄い乙女チックな感じですよね。
両手を腕の前で組んで、星空とか見上げてそうなイメージのあるメロディ(笑)。めっちゃ甘々です。個人的な好みはまあ別としても、メロディのキャラが立ってるのは良い事だと思う。


真野恵里菜 - FRIENDS - サンタのサキソフォン ★★★ (2011-07-22 21:44:35)

クリスマスソング、かつアルバム随一のアッパーな曲と「キャラ立ち」した曲であるにも関わらず、しっかりアルバムの山場として溶け込んでいるのが素晴らしい。はっちゃけの度合いが、アルバムのノスタルジックな雰囲気を壊さない、丁度良い感じなんですよね。しかしブラスのはっちゃけ方がなんかレトロ(笑)。「ぺぽー、ぺぽー、ぺぽー」って聴こえるフレーズがやったら印象深いです。


真野恵里菜 - FRIENDS - ラッキーオーラ ★★★ (2011-07-22 21:43:59)

凄く不思議な存在感のある曲。
アルバムを通じてのノスタルジックで清楚な雰囲気や、アイドルらしい溌溂とした感じはあるんですが、プログレ的な摩訶不思議なムードも同居しているという妙な曲。しかしメロディや歌詞はあくまでキャッチー。プログレよりもむしろニューウェーブっぽい?どっちにしろ聴いてて面白い、魅力的な曲である事は確かです。何故か一番最初に連想したのは(全然似てないのに)TANGERINE DREAMだったり。


真野恵里菜 - FRIENDS - はじめての経験 (2011-07-22 21:42:17)

メジャー2枚目のシングルで、Mステにも出演した曲らしいですが…キャッチーさとビートの強さが、アルバムの中では少し浮いてる気も。まあアルバムの流れを変える一曲にもなってる感じはしますが。でも単品で聴くとピアノメロが絶品とはいえ、ちょっと地味な感じかも。


真野恵里菜 - FRIENDS - ラララ-ソソソ ★★★ (2011-07-22 21:41:36)

全体的に時代錯誤的なノスタルジックさが漂ってるこのアルバムの中でも、随一のノスタルジックさを誇る曲だと思う。メロディは最早唱歌に片足突っ込みかけてるような域で、この歌詞のような幼い恋愛をしてる学生が授業で習って、帰り道とかにふとした拍子に口ずさんでいるような、自然な切なさがあると思う。学生時代の帰り道、土手で見た綺麗な夕焼けとかが浮かぶ曲。最近はクサメロ全開の慟哭系より、こういう胸キュン系(死語?)の曲の方が泣けるんですよね…。


真野恵里菜 - FRIENDS - いつもいつでも ★★ (2011-07-22 21:40:59)

イントロやサビの副旋律で使われてる笛の音からして、レトロでノスタルジーを感じさせる曲ですよね。歌声もメロディも素朴なんですが、だからこそ胸に沁みてくるものがある。個人的には夕焼け、それも絶対煙突がある昭和の町並みの夕焼けが浮かびます(笑)。「世界は サマー・パーティ」「ラララ-ソソソ」というアルバムの2大名曲をつなぐ曲としても完璧。


真野恵里菜 - FRIENDS - 世界は サマー・パーティ ★★★ (2011-07-22 21:40:28)

モータウンビートと、それに絡むベースラインとブラスが軽快で、聴いていて楽しくなってくる曲。ピアノや彼女の声が爽やかなせいか、それほどにぎやかになりすぎず、まるで滝の傍にいるような清浄感がありますね。空がスキッと快晴で、マイナスイオンが出てて…みたいな(笑)。なんか童心に返って川遊びとかしたくなります(笑)。


真野恵里菜 - FRIENDS - OSOZAKI 娘 ★★★ (2011-07-22 21:39:42)

割とギターが前面に出た、ロック要素も強い曲ですが、歌が入るとピアノが伴奏に入る、清浄感があるアレンジがいいですね。こういう穏やかで軽やかで、情景が浮かぶポップさって最近凄く好き。Bメロのパーカッションやサビのハンドクラップの時代錯誤感も素敵(笑)。

しかし、この曲もメロディがTUBE風ですね(笑)。
My Days for Youが「ゆずれない夏」なら、こっちは「Only You君と夏の日を」っぽい。これもサビで「♪君と夏の日を 一緒に飲み干したいね」って歌えます(笑)。


真野恵里菜 - FRIENDS - 乙女の祈り ★★★ (2011-07-22 21:39:01)

KANさんの書いた穏やかでノスタルジックなメロディと、まだたどたどしい儚げなヴォーカルが絶妙にマッチし、清楚で切ないムードを演出するメジャーデビュー曲。ジャケをセピア色にしたら、昔の卒業写真っぽくて曲に合いそう…そんなレトロな感じの曲。真野さん自身、「今っぽくなくて新鮮」と曲を貰ったときに思ったそうですが、この「今っぽくなさ」はこの曲だけでなく、アルバム全体に共通してありますよね。


SHEMHAMPHORASH - Sulphur ★★ (2011-07-16 00:33:42)

2009年発表の2nd。

暴虐性のしっかり伝わる、良質のプロダクションで、ブラストを中心にブルータルに聴かせるタイプのブラックで、MARDUK辺りにかなり近い路線の音ですね。リフのメロディが寒々しい系ではなく、少しペイガン系の畏怖を起こさせるような雰囲気が入ったものだったり、バンド名を冠した、儀式のような曲が入っていたり、ペイガンの要素も僅かに感じられるのが違いでしょうか。

ただ、お世辞にも有名とは言えないバンドですが、意外なクオリティの高さがありますよね…上記の音質もそうだし、押し引きを心得た曲展開で聴いていて単純に気持ちが良いです。それだけに、心地よいバンドの音が途切れる儀式パートが余計に感じられますが…出来れば、代わりにMARDUKの「Summers End」「Bleached Bones」系のスロー曲があると更に良かった。

MARDUK「Plague Angel」でのMortuusのパフォーマンスを思わせるような、ヴォーカルの鋭いがなり声(特に「Shining」での「Tearing the Tree of Life down!」の絶叫が一瞬寒気を覚えるほどかっこいい)もかなり良いですし、ブルータル系統が好きなら買ってまず損はないかと。マイナーですが、カルト志向に理解がないと楽しめないという訳ではなく、ごく入りやすい音出してると思います。


SHEMHAMPHORASH ★★ (2011-07-16 00:32:53)

FOSCORのメンバーが絡む、スペインのブラック。
バンド名はヘブライ語で「神の真名」という意味だとか。


SILEXATER - SILEXATER ★★ (2011-07-16 00:31:48)

2009年発表のコンピレーションアルバム。
97年の「Bleeding Depths」、96年の「Mad Sorcer」の音源を収録。

ドイツのカルトバンドの発掘音源という事で、リリース時にはかなりCDショップでもプッシュされたりしていましたが、確かにこれ、「ブラックメタルらしいブラックメタル」なんですよね。基本オールドスクールな音と言えますが、やや様式が固まっている感のあるプリブラでもなく、スラッシュに近すぎるほどオールドスクールでもなく、ブラック以外の何物でもない音。

例えて言うなら、MAYHEMの「Deathcrush」と「De Mysteriis~」の間にある、ミッシングリンクのような作品といえるかもしれません。フレーズを根本から損なうほどではないにしろ、耐性のない人が聞いたら一瞬で興味を失いそうな粗くて薄いプロダクション、無理矢理ひねり出したようながなり声など、プリブラの様式に染まり切っていない作風ながら、衝動性の高さはプリミティブ勢にも負けない音作りになっていると思う。

個人的にはそこまで思い入れがある訳ではない(やっぱりMAYHEMやBURZUMと比べると曲が弱く感じてしまう)ですが、ブラックの音自体が好きな人ならチェックする価値はあるかもしれません。地下臭さでは初期DARKTHRONEにも匹敵する音源かと。


RIDING - FIRST RIDING ★★★ (2011-07-16 00:29:59)

94年発表の6曲入りミニ。

TUBEのファミリーバンドで、しかも角野さんが在籍してるということもあって、出音としては完全にTUBEそのものですよね(笑)。ただし、春畑さんに作曲の主導権が移り、ぎらついた夏感を演出していたTUBEに対し、こっちはデビュー当時~渚のオールスターズ結成期くらいまでのTUBEを思わせる、落ち着いた、ムードのあるポップスで、本隊とは差別化が成されていたと言えるかと。春畑さんが1曲提供してますが、その曲だけは当時のTUBEそのもの。

これだけなら、超良質のものを提供しているとはいえ、単にTUBE風のポップス/ロックという感じになってしまいそうですが…それを許さず、作品を1段も2段も魅力的なものにしているのがヴォーカリスト伊藤”リンダ”一義さんの歌声。
織田哲郎さんの声質にも近い、非常に艶のある上品な声質で、聴いてるだけでうっとりしてしまいます。間違いなく「ギフト」とか「タレント」という言葉で表されるような、天性の素質を持った人。…最近の高音さえ出ればいいみたいな風潮で、オカマみたいな声出して喜んでる人には彼の声を聴かせてやりたいですね。これが「歌」だ。

伊藤さんはLOUDNESSのコーラスにも参加していたようですし、メタラーにもそこそこ受けが良かった春畑さんのソロ「J’S THEME」のヴォーカル版もあるし、意外とメタラーも聴けるアルバムかもしれません。TWINZERの生沢さんもゲストで歌ってますしね。


RIDING ★★ (2011-07-16 00:27:48)

TUBEのファミリーバンドとして94-99年まで活動していたバンド。
伊藤”リンダ”一義さんは本当に天性の声質を持った人だと思う。
再結成とかないですかね…。


真野恵里菜 - More Friends Over - My Days for You ★★★ (2011-07-16 00:26:29)

この人は名前しか知らなかったんですが、CMで聴いて、ピンと来たので購入。
割と素朴なアレンジですが、ピアノもアコギもリズミックで、サビに向かって穏やかに高揚していく感じが良いですね。そしてサビ…これ、なんてTUBEですか(笑)?「♪止まらないこの気持ち受け止めて~」のところなんか、「♪誰にもゆずれない夏~」って歌いたくなる(笑)。そういう清涼感溢れるメロディですが、それを歌うのが清楚な感じの女性Voなので、向日葵とか青空とかもっと青春っぽい雰囲気に感じます。キャッチネスと、自然な情景描写がマッチした名曲。


真野恵里菜 - シングル/カップリング/その他 - 10カラットの煌めき。 ★★★ (2011-07-16 00:25:51)

後からアルバムを聴いても、「これ、いつの時代の曲ですか?」って感じの曲が多かった彼女ですが、この曲は時代錯誤すぎて吹きそうになりました(笑)。キャンディーズの「春一番」などの歌謡曲や、「アタックNo.1」とかのスポ根を混ぜ合わせてハイテンションにしたような、やたら灰汁の強いレトロメロディ。歌いだしの「♪ライライライライ、ライララーイ」を始めて聴いたときはリアルに「ふっ(笑)」って声出ましたもん。
ちょっとサビがたどたどしい感はありますが、サビ終わりの見得の切り方とかはなかなか決まってます。


真野恵里菜 - シングル/カップリング/その他 - 水色想い ★★★ (2011-07-16 00:24:22)

物凄く既聴感のあるメロディだと思ったんですが…東方のRomantic Childrenのサビですね、これ。一部が凄く似てて、向こうに負けないくらいドリーミーでロマンティックなメロディだと思う。ヴォーカルもアレンジも、この夢見がちな感じのメロディを活かした、穏やかなものなのが良いですよね。さりげなくメロ時点でサビのメロディを提示するキーボードも素敵。


EZURATE - Eve of Desecration ★★★ (2011-07-15 00:16:37)

2010年発表の3rd。

ヴォーカルの太っちょなルックスになんか愛らしさを覚えたりしてたんですが、音は愛らしさの欠片もない、殺伐極まりないファストブラックですね。荒涼感のある爆走にインパクトのある叙情メロを絡めて行く手法は、Legion在籍時のMARDUKにかなり近いスタイル。「Slay the Nazarene」を連呼する曲があったり、「Into the Fathomless Depths」というインストがあったり、スウェディッシュブラックへのリスペクトは並々ならぬものがありそう。

スローパートでは不気味さも醸しだすMARDUKに対し、この作品はミドルパートでは叙情メロが中心(と言っても8割強は爆走ですが…)なのもMARDUKと異なるポイントですね。音質はMARDUKの諸作よりもやや乾いた、多少RAWな音ながらメロウなベースがしっかり聴こえたり、聴きづらさは特にない感じ。ヴォーカルはLegionよりも喉を絞めた、感情表現豊かな感じですが、最も声が乗ってるときはかなりLegion似だと思う。

個人的に、このアルバムで特筆すべきはそのテンションの高さだと思う。
爆走パートでの破壊神っぷりも然る事ながら、アルペジオやメロウなリードフレーズ、ギターソロで聴かせるパートであっても、絶対に聴き手を休ませないという意志が伝わるくらい常に全力投球でそれを聴かせようとしている感じ。一応、OP、ED以外に2曲インストを挟んでますが、リスナーに箸休めの機会を与えた事を反省するかのように、すぐさま殺気3割増くらいでカチ込んできます(笑)。

しかも、そのテンションが約65分、15曲続きますからね…こういう音が好きでない人なら確実に飽きる、私でさえちょっと疲労感があるくらいなんですが…このバンドは出し惜しみなんてシャバいことはしないのでしょう(笑)。これだけの尺があって実験に走らない、アホの一念な作風が実に素晴らしい。これはファストブラック好きは聴かざるをえないかと。


EZURATE ★★ (2011-07-15 00:15:34)

BLOODTHRONEのメンバーが関わるアメリカ産ファストブラック。
NACHTMYSTIUMのBlake Juddも関わっていた時期があったらしいです。


NATTSOL - Stemning ★★ (2011-07-14 21:09:45)

2009年発表の1st。

よくレビューではULVERの1stが引き合いに出されていたり、発売元がNEGURA BUNGETやA FOREST OF STARSの作品をリリースしている事でも知られるLupus Loungeだったこともあって興味を持った一枚。フォーク要素の強いブラックですが、女性ヴォーカルや笛などはラストの1曲のみで、基本的にリフやアコギのフレーズに民族っぽさを出すタイプですが…

確かに1曲目の、靄が掛かったような音の、フォーキーなメロディを含蓄したリフによる、暗く茂る森へと誘われるような感覚は、ULVERの1stを想起させたりしますね。ただし、かなりエクストリームメタルの枠を逸脱していたULVERに対し、こっちは良くも悪くも音作り、曲調共にエクストリームメタル然としている感じ。メタル耳にはより馴染みやすい音ではあっても、ULVER1stのようなエポックになる作品ではないと思う。

ただ、フォークメタルとしては個人的にはかなり良い線行ってると思います。最初こそULVERっぽい聴き心地を感じたものの、途中から悪霊が出てきそうな邪悪なメロディが顔を出すわ、それらに追い回されるようなフルブラストのパートもあるわ、対照的に穏やかで美しいアコギのフレーズはあるわで作りがドラマティック。特に中~後半に掛けて頻出するメロブラ的なメロいトレモロが素敵。

ULVERの1stを始めとして、NEGURA BUNGETやAGALLOCH、NATANなど、メロディックで幽玄なフォーク要素のあるブラックが好きな方にお勧め。


NATTSOL ★★ (2011-07-14 21:06:22)

ノルウェー産フォーク/メロディックブラック。
SHININGのメンバーも関与してるみたいです。


THESYRE - Resistance ★★★ (2011-07-14 20:59:39)

2009年発表の4th。

端的に言ってしまえば、最近のDARKTHRONE等に代表される、スラッシュと未分化だった頃のダーティさをもう一度揺り戻そうとするような、オールドスクールなブラックメタルなんですが…これはかなり良いですね。この系統では最も好きな部類の音かもしれません。

リズムこそロック要素の強い、ノリの良いものが中心なんですが、ベースがゴリゴリ言う黒い音像、オールドスクールかつ平坦ないぶし銀的な渋いリフ捌きもあってか、どこか淡々とした冷徹な雰囲気があるのが特徴ですね。時折メロディアスなフレーズは出てくるものの、それも近年のSATYRICONのような毒の効いた陰鬱なもので、やはり渋い雰囲気がある。ヴォーカルが暑苦しくなく、邪悪さ重視なのも個人的には好印象。

DARKTHRONEなどが酒場で酒を呑んでクダ巻いているような、どこか大らかさや度量の大きさを感じさせる音だったのに対して、こっちはそんな楽しいダーティさなんて全く感じさせませんね。酔って騒ぐどころか真面目にテロの計画とか立ててそうな暗さがある。個人的にはこのムードがかなり好きです。


THESYRE ★★ (2011-07-14 20:58:51)

カナダ・ケベック州出身のブラックメタルバンド。
メンバーのEric Syreはデザイン会社も経営し、DARKTHRONEのアートワークも手掛けた経験があるとか。


CONTRA IGNEM FATUUM - Detritus ★★ (2011-07-14 20:55:31)

2005年発表の3曲入りEP。ぶっちゃけジャケ買い。
中古で安かったし何となくレジに持っていってしまいました。

1曲目と3曲目はキーボードインストで、実質はブラックメタルの曲は1曲約15分弱のみですが…この曲がなかなか良い感じ。アンビエント・ノイズ系ブラック風の肌理の細かいギターノイズを伴う、動きの少ない平坦なリフが、聴き手の視界を灰色に平たく塗り潰すようなアトモスフェリック・ブラック。ヴォーカルが音に埋もれたミックスなのも、逆にムードが出てていいですね。

この色のない音像に、更にキーボードが被さるわけですが…そのキーボードの音色がかなり素晴らしい。ゲーム「かまいたちの夜」で、死体を見つけたときや強い危機感を感じたときに流れる、背筋を凍らせるように震えるストリングス、あの系統の音色。悪寒を感じさせるムードを保ったまま、メロディを奏で、灰色の音像に黒い墨を垂れ流すかのような使われ方をするのが素晴らしい。恐怖の感情をそのまま音にした感じの音。

ただ、音は素晴らしいんですが、やっぱりブラック曲が1曲というのは少なすぎる…調べたらこの1枚しかリリースがなく、活動も休止中というのが残念。これを聴く限り、フルアルバム出せばアトモスフェリック・ブラック好きの心を掴めるものを作れるだけの才能は確実にありそうなんですが…。


CONTRA IGNEM FATUUM ★★ (2011-07-14 20:54:07)

イギリス産ブラックメタル。
このバンド名は何て訳せばいいんでしょう?
狐火に背いて?鬼火に対して?
英語だとAgainst the Foolish Fireっぽいですが。


DRAGGED INTO SUNLIGHT - Hatred for Mankind ★★★ (2011-07-12 21:21:47)

2009年発表の1st。

これはかなり面白くてカオスなアルバムですね。
ノイジーな音質に時折トレモロリフを絡める音の聴き心地は、ほぼプリミティブ・ブラックに近いものがありますが、最近お約束のノイズ・ダークアンビエント要素を始めとして、デスメタル的なブルータリティ、スラッジ・ドゥーム的なリフの引き摺り感など、様々な要素を取り込んで、質量感すら感じられるどす黒い混沌が辺りを包むような、カオティックでアヴァンギャルドなスタイルに仕上がってます。

しかも、それらの要素の取り込み方が、半端なくセンスが良いんですよね…例えばハードコアの炸裂感と、スラッジの引き摺り感を掛け合わせたようなパートでは、健全さの全く感じられない、黒い爆発力が生まれてますし、ヴォーカルのデスメタル的なグロウルは、聴き手の耳に暴力的にカオスな世界観を叩き込んでくれます。こうした高い曲作りのセンスが如何にろくでもない方向に向けられているかは、チャールズ・マンソンの演説を曲中にサンプリングしている事からも類推出来るでしょう。

昔ハマったゲームの「ファイナルファンタジーV」では、ラスボスが大技を繰り出す前に「宇宙の法則が乱れる」とメッセージが出ましたが…この音を聴いてて、不意にそれを思い出してしまいました(笑)。ブルータルかつ、どす黒くて混沌とした音、そういうものが好みな方にはモロにツボでしょう。あまり似たバンドも思い浮かばない独特の作風ですし、興味ある方は是非。


IMAGINARY FLYING MACHINES (2011-07-11 00:01:18)

アルバムレビューの方で、私のアルバムの感想について意見があったようなのでレスします。アルバムの評価をすべき箇所に書き込むのは本意でないので、こちらに書き込みますね(何か問題があれば消します)。以下引用(このサイトでは後に修正が可能ですが、取り合えず書き込まれた時点のものを引用します)。

>なんだかNileでのコメントに類似しますが、フォークロアとかゴシックとか
>の導入というのは(近年のサブジャンルの色々としては重要でも)'80s由来の
>メタルの硬質感とかダイナミズムを大きく殺ぐものでもあるので、あんまり
>何にでも要求するのもどうかと……。

なんか、私が何にでもフォークロアやゴシックの導入を求めてるみたいに言われてますが…(苦笑)。
私はジブリのカヴァーならもっと情景を感じさせて欲しいと言っただけで、フォーク要素・ゴシック要素のある作風を演れとは言ってないんですけどね。このバンドはメタルのダイナミックな質感に重きを置いていると思ったからこそ、それらの要素を取り入れずに情景を描写しているバンドとして、DISSECTIONを例示した訳なんですが。

人のレビューや感想に意見するな、批判するなとは言いませんが…
批判するならするでせめて的を射た事を言って欲しいですね。その上で、私に改善できる所があれば善処しますので。的が外れた事を、言い含めるように言われるのは正直あまり快いものではありませんね。


HÆRESIARCHS OF DIS - Denuntiatus Cinis ★★★ (2011-07-09 11:29:42)

2010年発表の2nd。

意外なEMPERORへの憧憬を見せた3rdとは異なり、この作品は基本的にはプリミティブ・ブラックの系統に属する音ですね。フレンチブラック風の黒いだけでなく、毒も含んだ強烈なメロディを、最もメロディアスな時のANAAL NATHRAKHくらい派手に炸裂させる作風はカルトなのに入りやすいし、白目剥きながら叫んでるような高音絶叫といいRAWなドラムをブチ鳴らして突っ走る疾走パートといい、プリブラでもかっこいい音だと思う。スピーカーで聴いていると、何か邪悪なものが生まれる前触れを感じるような、低音部にうねりのある音質も独特。

また、この作品はプリミティブ・ブラックとしては様々な音楽的要素を取り込み、消化しているのも特徴ですね。LEVIATHANを思わせる、有機的なグロテスクさを感じさせるリフが出てきたり、不吉な音色のキーボードを入れたり、前述の音質とも相俟って「実験的」と呼んでも差し支えないような音だと思う。Ihsahn風の朗唱が出てくるのもプリブラには珍しいかも。ただ、アンビエント風のパートやフォーク風のパートはどうも必要かどうか疑問に感じてしまいますが…それ自体悪くはないけど、プリブラパートの方が圧倒的に魅力的なので、ついつい飛ばしちゃいます。

個人的には、3rdも面白いけど好みなのはこっちですね。有機的な気持ち悪さを表現したアメリカン・ブラックとしては、LEVIATHANに続ける可能性がある有望株なのではないでしょうか。


HÆRESIARCHS OF DIS - In Obsecration of Seven Darks ★★ (2011-07-09 11:28:59)

2011年発表の3rd。
EMPERORの「Ensorcelled by Khaos」のカヴァー入り。

前作を聴いた限り、このバンドがここまでEMPERORを意識した作風のアルバムを出すって何か意外な感じ。基本RAWで邪悪なブラックなんですが、まずドラムをそれ程前に出さず、ギターの歪みに音を覆わせ、そこから禍々しいトレモロが零れ落ちるようなプロダクションが「In the Nightside Eclipse」期のEMPERORを彷彿とさせますし、呪術的なミドルパートやスラッシーな疾走パートなんかは意識してないと言ったら白々しいほど似てる。ヴォーカルのロングトーンを多用した大絶叫もそっくり。

ただし本家と違い、キーボードよりもRAWなギターを重視して音像を作っていたり、SE的な曲を挟んだりしたりしていて、より地下臭い雰囲気。また前作同様、低音部にグロテスクな雰囲気の「うねり」のようなものが感じられ、それがEMPERORにはない生理的嫌悪感を刺激してきます。EMPERORの皮を被ったLEVIATHANという感じ。ただ、SE的な曲やパートを入れるのはいいけど、2曲目でやるのは少し流れが悪くなってる気がするので、そこだけ少し不満。

という訳で、端的に言えば「EMPERORをカルトに捻じ曲げて解釈した作品」だと思います。カヴァーも独りブラックとしてはかなり様になってる(意外にクリーンが本家並みにかっこいい)し、気になる方は是非チェックしてみては。


HÆRESIARCHS OF DIS ★★ (2011-07-09 11:26:59)

アメリカ産独りブラック。
有機的なグロさはMoriband Cultのレーベルカラーでしょうか。


SVARTFELL - DAY OF THE UNHOLY MASSACRE ★★ (2011-07-08 21:03:47)

2009年発表の2nd。

作風としては、ダーティなリフと共にスラッシーな疾走、メロディックなトレモロリフを従えた2ビート疾走などを展開の主軸にした、09年の音としてはややオールドスクールな感じながら、プリミティブ・ブラックとして衒いのない音ですね。狂気的な高音絶叫ではなく、ドスの効いたがなりで、力強く邪悪な呪詛を撒き散らすようなヴォーカルはなかなか特徴的でかっこいいです。

しかし、この音源で最も特徴的なのは「荒々しさ」でしょう。
特にモタっても気にせず破壊的なテンションで突っ走るドラム。音作りもやたらとドタバタしてて喧しいですし。特に1曲目の後半なんか、(そういう展開なんだろうけど)荒っぽくやりすぎて演奏が止まる一歩手前みたいなパートがあるのが素晴らしい。音質も良いとは決して言えないものの、この荒々しさをしっかり伝える立体性はあって悪くないです(というか曲に合ってる)。

他のブルータルな音楽…例えばブルデスやブルブラ、スラッシュやハードコアのどれでも味わえないような、ヤケクソな荒々しさと邪悪さが混じり合った特有の雰囲気が楽しめる作品。この殺伐感がいいですよね。


SVARTFELL ★★ (2011-07-08 21:02:56)

フランス産プリミティブブラック。
VERMETHのValhgarm氏による独りバンド。


THRANENKIND - Eine Momentaufnahme - Der Rest Ist Nur Einsamkeit ★★ (2011-07-08 20:56:14)

2010年発表の5曲入りEP。
新曲(1)、08年のデモの収録曲(2,3,5)、再録曲(4)からなる構成。

路線としては、塩の結晶を摺り込むようなザラザラしたリフに儚げなメロディを乗せ、ミディアムテンポを中心に侵食するような展開で聴かせる、シューゲイザー寄りの感性を持ったブラック。ただ、このバンドはプリミティブ/鬱ブラックの要素も割と強めで、特に2曲目や3曲目における疾走パートは、ほぼ「メロウなプリブラ」としても聴けてしまうような音。ドラムは打ち込みと思われますが、3曲目や5曲目の一部なんて「エレクトロニカのリズムの気持ちよさ」に近い快さがある気がします。

また、SEやピアノの使い方も上手いですよね。
1曲目からまるでドラマの主人公が幼少の大切な思い出に浸っている時のBGMのような、ごく分かりやすいノスタルジーを感じさせてくれるピアノが入ってますし、4曲目は誰かを悼んでいるような哀愁があると思う。また、男女の語りや鳥の囀りをSEとして使ってますが…特に後者の使い方は、日常がじわりと侵食されるようなムードを上手く出せてると思う。

ただ、ジャケからするとおそらく、ポストブラックのアーバンな情景を描きたいと思ってると思われるんですが…正直、この段階ではまだ聴き手を没入させるほど情景描写に凄みは感じないんですよね…。淡い音を表現したいのは分かるんですが、もう少し広がりとか奥行き、深さなどが音像に欲しい所。というか、バンドの音からジャケのような景色がいまひとつ浮かばないのが残念。逆に言えば、情景描写に特化してない分、ブラックの要素が色濃く残ってる訳でもありますが。ヴォーカルは基本(遠めの)絶叫ですし。

…どうでもいいんですけど、この作品、歌詞カードがめっちゃ良い匂いです(笑)。ULVERの「Blood Inside」も同じような匂いがしましたが、この匂い凄い好き。…この感覚、絶対ダウンロードやデータのやりとりでは味わえませんよね(笑)。


THRANENKIND ★★ (2011-07-08 20:54:30)

ドイツのシューゲイザー/ポスト/鬱ブラック。
HERETOIRのNathanael氏が在籍。


VIRUS(NORWAY) - THE AGENT THAT SHAPES THE DESERT ★★★ (2011-07-06 23:23:32)

2011年発表の3rd。
ラストの曲ではGarmがゲスト参加。

前作でアンサンブル志向をより強めた彼らですが、今作も前作同様の路線ですね。ムラサキ色の煙が物理法則に反して妙な対流を起こすようなバンドの絡みに脳みそを捏ね繰り回されながら、普通の人とは見てる世界がズレてる狂気の哲学者の独白めいたヴォーカルの演説に説き伏せられる、悪趣味が一周回って高尚に聴こえたり聴こえなかったりする(笑)、代替の効かない世界観を持ったアヴァンギャルドメタル。もう初っ端から「よくここまで気持ち悪くギターを掻き鳴らせるなぁ…」と変に感心(笑)。

ただ、随所で聴かれる、前述の気持ち悪い掻き鳴らしといい、調子っぱずれなアンサンブルが狂気の潮の満ち引きを表現するような展開だったり、幽霊に背中を撫でられる様なギターのフレーズを、背筋を這い上がる悪寒のようなベースが引き継いだり、耳に引っかかるポイントがより増えた印象。目印となるポイントが多い分、前作よりオリエンテーリングしやすいアルバム…ではあるんですが、掴み所が増えたのに決して本質は掴ませないような底意地の悪さは相変わらず。むしろミスディレクション的な意味で前作より性質が悪くなってる気も(笑)。聴いてると間違った方向に啓発されそう。

そういう訳で、期待通りの作風に満足できるアルバムでした。単純に、気持ち悪さがフックとなって耳に残るアンサンブルは、私にとっては聴いてるだけで楽しいんですよね。漫画「HUNTER×HUNTER」で、ポックルがネフェルピトーに脳みそを弄られてる場面がありましたが、あれを見て「気持ち良さそう…」と嫉妬したほどのド変態は、是非この作品を聴きましょう(笑)。


SARAH JEZEBEL DEVA - A Sign of Sublime ★★★ (2011-07-06 23:19:02)

2010年発表の1st。

これ、何気にかなり良い作品だと思います。
実力派の女性シンガーがいるゴシックって、歌唱力は際立っていても曲が平板だったりすることが少なくないんですが、この人の持つ音の世界観は凄く分かりやすくて、取っ付きやすいですよね。もうCOFでのパフォーマンスで惚れた人の期待をそのまま音にしたような、彼女の美声をシンフォニックなゴシックメタルサウンドが引き立てる路線。

何と言っても雰囲気が最高です。
もうパッと聴いただけで、吸血鬼の棲む城の蝋燭に照らされた廊下だったり、ダークな悲劇が繰り広げられる舞台の観客席だったりに、精神が飛んでしまいそうな、それ自体に求心力と即効性のある、シアトリカルな音。COFの耽美部分を強調して抜き出した感じ。ラストのカヴァー曲がめっちゃ浮いてたり、メタル部分のプロダクションが少し弱いとは思いますが、ムードは最高クラス。妙に正統派っぽいCOFより、むしろ吸血鬼っぽい世界観は強いかも(笑)。

ゴシックメタルの看板女性シンガーのソロ作って、コンテンポラリーだったりポップだったり、その人のバンドでは見られなかった側面や、歌自体に焦点を当てた作風が多い印象なんですが、この人の作品はCOFなどでのパフォーマンスからのイメージの通り…というか、そのイメージをより強調した路線だと思う。個人的にはゴシックメタルとしてもWITHIN TEMPTATIONやNIGHTWISHなどのメジャー系より断然好きです。しっかり耽美で暗くて華やかですもん。


SARAH JEZEBEL DEVA ★★ (2011-07-06 23:17:36)

COFやTHERIONを始め様々なメタルバンドに関わる女性シンガーのソロプロジェクト。来月には新譜が出るようですね。


ATMAN - L'ASSASSI DE VENUS ★★ (2011-07-06 00:37:01)

2009年発表の4th。

スペイン産らしい…かどうかは分かりませんが(笑)、トレモロリフによるなかなか上質なメロディを絡めた疾走や、アコースティックギターによる叙情パート等を配した、メロディックブラックとしては特に衒いなくドラマティックな作風…ではありますが、この作品は音作りがかなり独特ですよね。

妙に響きのいいドラムにヂリヂリのギターが絡む音像はRAWブラックのそれですが、ただ単にRAWなだけでなく、左右のチャンネルでギターとヴォーカルに奥行きを付けてるのが特徴。特にヴォーカルは裏返る寸前のハイテンションかつガラガラに歪みまくった声での絶叫をひたすら続けるスタイルで、この音作りによって狂気が更に増幅されていて素晴らしくかっこいい。

ただし、トレモロリフの上品なメロディであったり、RAWさが心地よい疾走であったり、部分的には素晴らしいものの、まだ全体的な求心力ではメジャーなメロブラには適わないと思う…というか、作風からしてメジャー性よりもカルト性を重視してる印象。なので「RAWなメロブラ」と聴いて、食指が働く人にのみ推薦です。


ATMAN ★★ (2011-07-06 00:35:32)

スペイン産メロディックブラック。
92年から活動するバンドで、元ARGARのメンバーも在籍してます。
しかし詳細を知ろうと検索したらバットマンばかり引っかかる…(笑)。


MIND ASYLUM - L'ASILE DE L'ESPRIT ★★★ (2011-07-03 22:01:45)

2009年発表の1st。

何気に凄くいいアルバムですね、これ。
基本的にスローで沈み込むようなリフで展開する鬱ブラックですが、DARK SANCTUARYのメンバーによる、暗く耽美なメロディのヴァイオリンが入ったり、鬱系にしてはかなりキャッチー(?)なトレモロリフが出てきたり、ブラストで疾走してみたり、ゴシックやメロブラの要素もかなり強い、サブジャンルを横断する路線ですね。特に3曲目の一部のリフ、DISSECTIONの「Thorns of Crimson Death」を思わせる、お約束過ぎるメロディでなんか嬉しくなってしまいました(笑)。

曲展開も非常に丁寧で、上記の要素をどの曲にも組み込んでくれているため、構成が鬱ブラとしてはかなりダイナミック。ヴォーカルも誰が聴いても素っ頓狂には聴こえない程度に感情を込めて叫んでるし、自殺・自傷衝動に任せたようなカルト性はほぼ皆無ですが、丁寧さは音作りにも及んでいるため、鬱ブラとして物足りないという事はありません。リフの音色が「鈍い」ヘヴィさで、それが鬱ブラ特有の沼に沈むような感触を強めているように思います。

確かに、ダイナミックで丁寧な曲作り、サブジャンルを横断する作風等は、カルト志向の方には却って敬遠されるかもしれません。しかし、鬱ブラ初心者にも聴いてもらいたいような、美しい絶望感に満ちた作品でもあると思います。


MIND ASYLUM ★★ (2011-07-03 22:00:40)

フランス産鬱ブラック。
1stにはDARK SANCTUARYのメンバーがヴァイオリンでゲスト参加。


EREB ALTOR - The End ★★★ (2011-07-02 19:03:13)

2010年発表の2nd。

幽玄さを重視したペイガンメタル・ヴァイキングメタルというと、NEGURA BUNGET等を始め、プログレメタルに近い感性のバンドは結構多い印象があるんですが、このバンドのようにゴシック・ドゥームに近い出音のバンドって意外とレアなのではないでしょうか。重く引き摺るギターの音と、異教的な響きが神秘性を感じさせるペイガンメロの対比が美しく、DRACONIANやAVA INFERIなどに通じるような、スローテンポならではの、濃厚で重厚なドラマ性の感じられる音。

ヴォーカルはノーマル声を多用していますが、ヴァイキングメタルにあるような勇壮な歌声ではなく、ゴシックドゥームの男性ヴォーカルに多いタイプのマイルドに歌い上げるスタイルで、しっかりヴォーカルハーモニーも重ねてくれてるのが良いですね。アルバム後半を占める三部作「The End」のクライマックスなんて、ギターの重々しい響きとヴォーカルハーモニーが合わさり…天使の梯子っていうんでしょうか?雲間から陽光が梯子状に差し込む現象、あれを海辺で眺めてるような、非常に厳粛なムードがあって魂持ってかれそうになります。

まだまだマイナー物件かもしれませんが、曲の練りこみは甘くないですよ。ペイガン・ヴァイキングのお祭り的・もしくは勇壮な面ではなく、異教的なメロディが醸しだす独特の幽玄なムードに焦点を当てたエピックな作品で、ゴシック好きにも是非聴いて欲しいアルバムです。


EREB ALTOR ★★ (2011-07-02 19:02:12)

スウェーデン産ペイガン/ドゥーム。
なんと結成は90年だとか。1stデモのリリースは2003年みたいですが…。


THE HOWLING WIND - Into the Cryosphere ★★ (2011-07-02 18:51:44)

2010年発表の2nd。

店では「Profound Lore産のメロブラ」みたいに紹介されてて、あのレーベルから「普通」のメロブラが出るのか…と思ってましたが、やっぱり普通じゃないですね(笑)。特にスローパートでは、黒い靄に包み込まれるような、アトモスフェリックな重さを持つギターリフと、ハードコアの感触を少し残したヴォーカルが、オールドスクールなブラックにスラッジの感触を少し足したような、独特の音作りを聴かせてくれます。

しかし、魔王が降臨するような仰々しいメロディのトレモロリフといい、ファストブラック並の畳み掛けといい、ギターソロのメロウさといい、「メロディックブラック的な」部分が、スローパートの沈み込むような感触とは打って変わってキャッチーなんですよね。全体としてはリフの音響で閉塞感の強い邪悪さを強調するパート多めではありますが、こういう要素が上手くフックになってると思う。

イントロを始めノイズ・ドローンへの傾倒も見せているし、やはり一筋縄ではいかない、レーベルカラーに合った作風だと思います。演奏時間は約33分と短めですが、このレーベルを追ってる人ならチェックしてもいいかもしれません。


THE HOWLING WIND ★★ (2011-07-02 18:50:40)

UNEARTHLY TRANCEのメンバーが在籍するアメリカ産ブラック。
前衛ブラックを多数抱えるProfound Loreから2枚のアルバムを出してます。


NADER SADEK - In the Flesh ★★★ (2011-07-01 20:00:24)

2011年発表の1st。
Attila Csihar (MAYHEM)、Nicholas McMaster (KRALLICE)、Travis Ryan (CATTLE DECAPITATION)がゲスト参加。…もうこれ年間ベストでいいかもしれない。

Steve Tuckerがヴォーカル、Blasphemerがギター、Flo Mounierがドラムというエクストリームメタル界の超重要人物が一同に会した…という触れ込みの、まさしく期待通りのテクニカルなデスメタル。Steveのズ太い咆哮に威圧されながらBlasphemerとFlo Mounierの達人同士の立ち合いを、特等席で見られる(聴ける)ような素晴らしい作品です。

私はCRYPTOPSYはまだ試聴くらいしかしてないんですが、やはりFlo氏のドラミングは凄まじいですね。ジャズを通過しているのか、ただ速いだけでなくて、柔軟で、かつグルーヴ感がある感じ。もちろんツーバスもブラストもトップスピードはエクストリームメタル界でも随一ですが、それ以上に聴いてて単純に「かっこいい」とか「気持ち良い」とか言いたくなるドラミングなんですよね。

そしてそれに連動するBlasphemer氏のギターワークも素晴らしい。
狂ったソロやリードフレーズを挿入したり、デス寄りのアプローチでMAYHEMの時とはやや異なる芸風ながら、MAYHEMの近作で聴けたような、スラッシュの禍々しさをテクニカルさで増幅し、刻みから血煙が上がってそうなリフ捌きは近作でも健在。MAYHEMを抜けて、もうこういうエクストリームな彼のスタイルは聴けないと思ってただけに本当に嬉しい。

そしてSteve Tuckerの咆哮は…彼ほど太くデス声を出せる人って、なかなかいないと思います。なんかスライムでも吐き出しながら歌ってるんじゃないかと思わせるような粘液的な感じもあって、マジで人間辞めてそうな感じの声。彼のヴォーカルが入ったことで、禍々しくテクニカルなアンサンブルが醸しだす暗黒性にも、より説得力が生まれてるような感じがしますね。

個々のスキルの高さは既に各バンドで証明済みですが、それをしっかりかっこよく聴かせる事に成功しているNader Sadek氏の手腕もまた素晴らしいと思う。音質も変にヘヴィにならず聴きやすく、アンサンブルを楽しみ易いですし。取り合えずエクストリームメタルのスキルを暴虐方向に注ぎ込むようなアンサンブルが好きな方なら、楽器隊の絡みを聴いているだけで幸せになれます。ああ、30分が短い…。


NADER SADEK ★★ (2011-07-01 19:59:04)

ライブでの視覚効果のディレクターとしてMAYHEMに関わっていた事もあるらしい、NADER SADEK氏の指揮するプロジェクト。先日Season of Mistよりリリースされた1stの参加メンバーが恐ろしく豪華で驚きました。

Steve Tucker (ex-MORBID ANGEL) – Vocals
Blasphemer (ex-MAYHEM) – Guitars
Flo Mounier (CRYPTOPSY) – Drums

…買うに決まってんじゃん(笑)。
特にBlasphemerが参加してると聞いて、もう速攻でレジに行きましたね。


AISLING - Stone of Light ★★ (2011-07-01 19:44:02)

2009年発表の2nd。

民族色の強いメロディをトレモロリフやキーボードで奏でつつ展開する、ペイガン/フォーク寄りのシンフォニック・ブラック。トラッドのお祭り的な、陽気な側面ではなく、飽くまで「叙情性」の部分を非常に強調した仕上がりで、ど派手とまではいかなくても、聴いててグッと来るような、胸に沁みるメロディが多い感じですね。トラッドメロで盛り上がる箇所も大仰さ・ドラマティックさはあってもはっちゃけた感じではなく、常にシリアスなムードが漂ってる感じ。

また、ノーマル声で歌い上げるパートでは、朗々と歌い上げたりダミ声でがなったりではなく、女性ヴォーカルを取り入れているのも特徴で、かなり神秘的な雰囲気。メロディの素晴らしさも然る事ながら、しっかりそれを行かした展開をしてくれるのもいいですね。メロディの押し引きと演奏の押し引きがしっかりリンクしてる。2曲目のトレモロ・刻みを交えつつリフ押しで疾走→女性Vo+ギターソロ+アルペジオで「聴かせる」展開に…の流れなんてメロディックなメタルが好きならメロメロになれます(笑)。

メロディも曲も質が高く、曲自体はEQUILIBRIUMやELUVEITIEと一緒に日本盤出したら売れそうな感じなんですが、音質が少し弱いのが残念ですね…音量はもう二目盛り分ほど上でもいいと思うし、特に刻みリフはもっと鋭い音にした方がかっこいい気がする。と言っても、十分良いアルバムなのでペイガン・シンフォ系好きなら納得出来るかとは思いますが。


GEHENNA - First Spell ★★★ (2011-07-01 05:44:16)

94年発表の5曲入りミニ。
2008年に93年のデモ「Black Seared Heart」の音源を追加・リマスターし再発。

私はオリジナル盤は聴いていないんですが、これはいいリマスター盤なのではないでしょうか。キーボードによるトラッド色もある、魔的なムードの濃厚なシンフォニック・ブラックという点では1stと似た路線ですが、こちらの方がバンドサウンドがかなり抑え目な音で、キーボードのメロディが更に前に出ている、アトモスフェリックな音像なのが特徴。

リマスターにより変にメタリックな音になったりはせず、靄が掛かったようなバンドの音に多少大きすぎるくらいの音量のキーボードを被せた、アンビエント感の強い音質は、93年の時点でVINERRIKET辺りの音楽性を先取りしているかのよう。また、キーがクラシカルだったり呪術的だったりするメロディを弾いているパートでは、メロのインパクトでそれほどでもないですが、案外音のテクスチャーは暗い(陰鬱)ですよね。この辺り、脱シンフォして異常に暗くなった「WW」への萌芽が見られる…のかも。こじつけかもしれませんが(笑)。

また、デモ音源の方は本編がキーボード重視タイプだったのに比べると、よりRAWさを重視したような、もっと尖った生々しい音。意外なことにキーボードが入ってない、オールドスクールな曲も演ってますが、他の黎明期のブラックと比べるとやっぱりどこか陰鬱さが強調されてるように思えますね。

1stよりもアンビエンス・アトモスフェア重視の傾向が強いので、シンフォ派は名盤と名高い1stよりも気に入る可能性も高い作品だと思います。しかし3曲目、キーボードの音が目覚まし時計に聴こえるんですが…(笑)。幻想的な世界から現実に引き戻されそうになってしまいます(笑)。


HORDE OF HEL - BLODSKAM Ⅱ ★★ (2011-06-29 21:25:03)

2009年発表の1st。

このアルバム、紹介されてるサイトによってタイトルが「BLODSKAM」だったり「BLODSKAM Ⅱ」だったりするんですが、どっちが正しいんでしょう?取り合えず私が持ってるCDの背面には「BLODSKAM Ⅱ」と書かれていますが…。

それはともかく、関連メンバーがIN BATTLEやVALKYRIAと割とまともにエクストリームメタルしてるバンドの構成員で、かつDevoがマスタリング、Mortuusがアートワークを担当…と、MARDUKのメンバーによるバックアップも受けてるので、おそらくカルト性よりメタルとしての完成度が高いタイプだろうと踏んでましたが…なんじゃこりゃ!グロテスクな異形を聴き手に見せ付けるような音楽性のブラックですね…。

まずSE明けの、エクストリームメタルとしては弱々しいと形容しても間違いではない、しかし赤黒い靄のかかったような音質のバンドサウンドからカルト臭が漂ってきますが…そこにキーやギターによるクラシカルなフレーズ、ヴァイキングじみた朗唱、インダストリアル的なサンプリング等を脈絡無く叩き込んできて、凄まじくカオスな事になってるんですが…クラシカル部分が妙に上品なメロディなのも気持ち悪い(笑)。

しかも、クラシカルなキーだとかインダストリアルなサンプリングとか、SE的に使うのでもなく、普通に曲の展開の一部として、そこにRAWで弱々しいバンドサウンドを絡めて来てますからね…。まるで様々な動物が未消化の状態で融合したキメラが、ゲル化した体を引き摺り、血の跡を残しながらのた打ち回ってるようなグロテスクな仕上がり。ほんとキモいなぁ、この音楽性(笑)。

ただ、バンドサウンドが弱々しい(というか音が小さい)のは個人的にはやっぱりマイナスですね…確かに雰囲気は出てるし、音楽性そのものは十分面白いと思うんですが。その辺りもう少しバランスが良ければ、☆は3つだったかもしれません。


HORDE OF HEL ★★ (2011-06-29 21:23:13)

スウェーデン産ブラックメタルバンド。
IN BATTLEやVALKYRIAのメンバーが絡んでます。


TENEBRAE IN PERPETUUM - Onori funebri rituali ★★ (2011-06-29 21:11:14)

2003年発表の1st。

もう販促コメントの「For Fans of BURZUM and Old DARKTHRONE」の一言だけで、中身の想像がつきますよね。ご想像の通り、その手の黎明期ブラックの影響大なプリブラです…以上レビュー終了。…と行きたいところですが、それじゃ余りに味気ないのでもうちょっと書きます(笑)。

黎明期ブラックの「リアルに音質が劣悪」なバンドと比べると、このバンドの音質は「プロデュースされたRAWさ」という感じで、どこか乾いた印象を受ける、金属質なリフの音色と、RAWというかラフなドラムの響きが特徴。メロディは邪悪さ、寒々しさよりも病的な印象が強く、特に10曲目の聴いているだけで脳が溶け出しそうなメロディなんかは耳に残りますね。

ただ、その病気じみたメロディセンスや、一部でDEATHSPELL OMEGAの3rdのPrayer系の宗教的クワイアを先んじて取り入れていたり、ラフなドラムがボロボロと崩れゆく腐肉を思わせたり、パートによってはかなり良い線行ってるし、やけくそとしか思えないヴォーカルの絶叫も素晴らしいですが、まだ同路線の古参バンドや代表バンドと比べると個性は薄いかも。この手をある程度聴きこんでいる方にはお勧めです。


TENEBRAE IN PERPETUUM ★★ (2011-06-29 21:09:44)

HORNAやKROHMともスプリットを出してるイタリアのブラック。
AISLINGのメンバーが関わっているのが意外といえば意外かも。


ESGHARIOTH - Asylum Of The Wretched ★★★ (2011-06-28 21:39:00)

2009年発表の1st。
またもシンフォブラック界に素晴らしいバンドが現れましたね。
間違いなく掘り出し物だと思います。

まず、キー中心のメロディセンスが素晴らしいです。
初期EMPERORの魔性な雰囲気から、サタニックで宗教じみた部分を除いて、代わりにゴシック的耽美さとトラッドの幽玄さを注入したような、凄まじく濃いムードのあるメロディ。基本的に厳粛なムードが保たれており、浮ついた感は一切無いにも関わらず、時々「クサメロ」カテゴリに入れたくなるほど求心力の強いメロディが出てくるのがほんと素晴らしい。3曲目なんか吸血鬼が城のオルガンで弾いてそうですもん。

そしてバンドの音もキーに負けてない…というか、物凄く上手く噛み合ってますよね。ギターリフは刻みを多用するタイプで、メロデスっぽくもありますが…ミディアムも多用するドラミングとの絡みもあって、メタリックさよりも粛々とした重々しいムードを醸しだす結果になってると思う。これがキーのダークなメロディと、凄く相性がいいんですよね。雨のSEを多用してますが、確かに鬱蒼と茂った森と聳え立つ古城、低く垂れ込める雲と降り頻る雨…みたいな絵が浮かんできますもん。

ギターパートもかなり練りこまれている印象で、上記の刻みリフとリズム、キーの絡みの上手さ以外にも、例えばトレモロリフを1つ取っても、曲のムードを誇張するような使い方をされていたり、幽玄なリードギターが曲の神秘的な雰囲気を更に引き立てていたり、本当に曲に合わせてフレーズの一つ一つが構築されている感じ。この構築性こそが、シンフォニックブラックの醍醐味かもしれませんね。

これくらいメロディアスなシンフォブラックだと、例えばキーが前に出過ぎて刻みリフがリズムにしか貢献できてなかったり、正統派やメロデスに近づき過ぎたりしてしまいがちですが、このバンドは構築性の高さ、メタルとしてのかっこよさをしっかり出しつつ、アトモスフェリックでダークなムードを醸しだしてるのが素晴らしい。音質も悪くないですし、シンフォブラックをある程度齧ってる方は是非。


ESGHARIOTH ★★ (2011-06-28 21:38:21)

ロシア産シンフォニック・ブラック。
まだアルバムを一作出しただけですが、かなり将来有望そうですよ。


DISHARMONIC ORCHESTRA - Ahead ★★★ (2011-06-23 21:27:49)

2002年発表の4th。
94年の3rd「PleasureDome」を以ち一旦解散、これは再結成アルバムだそうです。

まず一言言わせてください。
「3曲しかないショートカットチューンがかっこよすぎて困る!!!」
ほんの一瞬だけ超豪速のブラストとトレモロリフで攻め立てる、一般的なエクストリームメタルの様式を踏襲した曲が入るんですが、この一瞬の曲が本当にかっこいいんです。これだけ変態的なバンドとなると、一瞬だけ演るからこそ意義があるのかもしれませんが、出来ればこの路線で一枚作って欲しかった…。

で、本編の方ですが…まあ変態ですね(笑)。
普通、有機的とかオーガニックとかいう言葉はバンドのアンサンブルを表す言葉としては褒め言葉のはずですが、それも行き過ぎると気色悪くなるという(笑)。しかもCYNICあたりと比べると妙に調子っ外れで元気だし。パーカッションを媒介に儀式的なムードを醸しだしたり、ノイズや打ち込みを導入してみせたりやりたい放題。手と足と頭と胴体が全部別の意志を持ってる怪物のような作風。

そして極めつけはラストのヨーデルでしょう(笑)。ドラマーの父親が歌っているらしいですが、なんか聴いていて妙に心地よくなってしまいました…新しい扉が開いてしまったかも(笑)。ただ、アンサンブルは個人的には凄く楽しく聴けるんですが、この手の常かヴォーカルが弱いのがネックですね…。声が弱いし、なにより迫真な感じがないのが残念。正直Voでクオリティ落としてると思う…。

90年代前半の時点ではやっていることがアヴァンギャルドすぎて正当な評価が得られなかったバンドらしいですが、CYNICやATHEISTの新譜がこれだけ話題になる今なら再評価される土壌はあるのかもしれませんね。ヘンな音楽好きは是非。


DISEMBOWELMENT - Transcendence Into the Peripheral ★★ (2011-06-23 21:12:55)

93年発表の1st。

これは凄いですよね。
93年といえば、まだTHERGOTHONの1stすらリリースされてない時期なのに、現在フューネラルドゥームのバンドが演ってるスタイルをこの時点でほとんど完成させちゃってます。引き摺るようなスローテンポに、耳を聾するRAWなノイズリフが纏わり付いて出来た真っ黒い情景の中で、洞窟に木霊する獣の方向が如きヴォーカルが響く音は、ほぼNORTTが演ってるようなスタイルに近いと思う。

ただ、このバンドはデスメタル的な要素もまだ強いのが特徴で、デスメタル特有のドロドロしたリフをブラストに乗せて爆走したりもしてますが、そういう時でさえメロディはあくまで葬式的な陰鬱さを保っているのが素晴らしい。音質のRAWさも相俟って疾走パートもかなりかっこいい。また、4曲目では女性ヴォーカルを導入し、更に聴き手を非日常の世界へ埋没させる試みも見られますが、これも後のゴシックドゥームに繋がるような雰囲気があって興味深く聴けました。

THERGOTHONと比べると何故か語られる機会が少ない(疾走するから?)ですが、フューネラルドゥームのルーツのバンドとしてチェックする価値ありな作品です。リリース時期は昔ですが、現代のバンドと比べても劣らない陰鬱さのあるアルバム。


ASRA (日本) - Ahura Master-marga- ★★ (2011-06-23 21:01:15)

2011年…というか今日発売された1st。
まだ数回通しで聴いただけですが、かなり良いのでレビュー書きます。

帯のコピーを引用すると、このバンドは「民族的アプローチ」「キャッチーな楽曲」が売りのようですが…取り合えず前者に関してはほんと素晴らしいと思う。オープニング明けの2曲目のイントロでド派手に中近東メロディをかまされた時は、ベッドで聴いてたんですけど、もうほとんど飛び起きそうになりましたもん。それくらいインパクトがありましたね…。

RUDRAやMELECHESHを思わせるメロディを仕込んだギターワークといい、瞑想的な感覚を助長するパーカッションやサンプリングといい、何気にアレンジのセンスが良いと思う。ドリーミーなベースにパーカッションが絡み、メロディの夢見心地な美しさを引き立てるバラード「最果ての夢」なんて、若手とは思えないですもん。メロデスやパンク風のリフ捌きや、変拍子も取り入れたリズム等、常に全力な感じの演奏も若手らしくて実にかっこいい!ベテランミュージシャンの妙に落ち着いた演奏よりこういう音の方が私は断然好き。

ただ、「キャッチーな楽曲」、これに関しては手放しで褒められないかも。
キャッチネスの出所が、「中近東メロディの醸しだす異世界感」からくるフックではなくて、普通にロックバンドとしてのメロディの良さ、という感じなんですよね。確かにどの曲も(普通なら)グッと来る、耳に残る歌メロがあるんだけど…普通にインディーズのバンドや、V系、ジャパメタ辺りから出てきそうなメロで、歌メロに限っていえばいまいち中近東っぽさが足りない感じ。

特に中近東っぽさを売りにしているわけでもないJ-POP、例えばモーニング娘(最近お気に入り・笑)でも「踊れ!モーニングカレー」や「恋のダンスサイト」みたいな中近東風の歌メロを書いてるというのに、民族的アプローチを売りにしてるバンドがこれはどうなの?って感じです。まあ、その分普通のロックファンにも取っ付きやすくはなってますが。ヴォーカルも上手さもあって聴きやすいけど、ちょっとここだけは期待外れかも。

という訳で、「なんで1曲でも強烈に中近東風の歌メロを書かないの?」という疑問は残りつつも、それ以外はかなり満足できた一枚。なんだかんだいって歌メロも悪くないですし、中近東フレーバーの入ったアレンジは素直にかっこいいと思えます。しかし、やっぱり中近東歌メロでシリアスな世界観が難しいから演らないんでしょうか…上で挙げた曲もコミカルな曲ですし。


ASRA (日本) ★★ (2011-06-23 20:59:28)

仙台発エスニックHRバンド。
以前から雑誌のレビューに載ったりコンピレーションに曲を提供したりしていましたが、今日ついに1枚目のアルバムを発表しました。ちなみにアメリカに同名のデスメタルバンドがいます。


NECROBLASPHEME - Destination : Nulle Part ★★ (2011-06-23 07:39:11)

2008年発表の2nd。

年季の入ったブラック好きにも衝撃を与えるほど暴力的だった、ANTAEUSの「Blood Libels」でもドラムを叩いていたZvnが中心という事で、やはりブルータル極まりない仕上がりになってますね。

ファストパート中心にド迫力で畳み掛ける展開、DEICIDEやIMMOLATIONに通じるゴリゴリを通り越してゴツゴツしたリフに血腥いメロディを絡めるギターワーク等、出音はほとんどブルデス。数曲でANTAEUSのMkM氏がヴォーカルで参加していますが、彼の怒りを込めて吐き捨てるスタイルは、この作風にもよくマッチしてます。

メンバーがアンダーグラウンド出身の割には、音が良くプロデュースされているのも特徴で、日本盤が出ているバンドと比較してもなんら遜色のないほど重さ・分離の良さに優れた音だと思う。メロディの良さ(血腥さ・気味悪さの演出的な意味で)や演奏の切れもあって、あとなにか個性があればDEICIDEやIMMOLATIONとも勝負できる音になりそう。

ちなみに、何故かジャケは青空(に黒い影)。おそらく、日常っぽい風景を歪める事で不条理な気味悪さを表現したかったのかと思いますが…普通にミスマッチですよね(笑)。そういう気持ち悪さよりも、もっと肉体的ブルータリティの強い音ですし。ブルデス・サタニックデス好きにお勧め。


NECROBLASPHEME ★★ (2011-06-23 07:38:22)

フランス産デスメタルバンド。
ANTAEUSの名盤「Blood Libels」でドラムを叩いたZvn氏もメンバー。


VAMPIRE PLEDGE - Vampire Library ★★ (2011-06-22 23:51:13)

2010年発表の1st。

歌メロこそアニメソング的なキャッチーなものながら、それを支えるのが高揚感のあるメロディを刻みに練り込んだメロデス的なリフ、ハードロックのワイルドさを感じさせる骨の太いリフであったり、ギターワークを主軸にした演奏であるという、いかにも最近の感性を持った女性ヴォーカル入りメタルという感じですね。

この手の、正統派な演奏+女性Voによるキャッチーなメロ、という作風はやはり陰陽座を思わせますが、曲を盛り上げるオブリやリードギターの切り込み、ツインリードによる泣きメロやピロピロ速弾きなど、クサメタルとしてのギターワークの魅力を「あからさまに」「分かりやすく」取り入れているのが特徴。歌メロの親しみやすさもありかなりキャッチーな作風。

また、フロントマンのさゆ嬢(なんとなく、トークスキルの高そうなバンドネームだ…)はショップでは「萌えボイス」と紹介されてましたが、実際にはちょっと低血圧気味?なダウナーさも感じさせつつも、可憐な感じで媚びた風は全くなく、聴きやすい歌声。何故かライブ動画の方が声に張りがありましたが…。

ただ、残念なのはメロディセンスにムラがあること。
「Vampire」「Mobius」の2曲は、そのままアニメタイアップのオファーが来てもおかしくないくらいにフック・ムード共に素晴らしいサビメロがあると思うんですが、その2曲以外は正直まだトータルで見て陰陽座の影すら踏めていないような状態だと思う…。「Mobius」にしても、サビのリフが面白くないのがマイナスだし。

…残念ながらオフィシャルの言葉のように「VAMPIRE PLEDGE無しでは生きて行けない躯(カラダ)となる…」とまでは行きませんでしたが、やろうとしている音楽自体には物凄くシンパシーを感じた次第。次は是非、メロディセンスや音質、曲展開などのクオリティを更に磨いて、VxPx無しでは生きて行けない躯にして欲しいですね(笑)。


BENIGHTED IN SODOM - Hybrid Parasite Evangelistica ★★★ (2011-06-22 22:16:38)

2010年発表の7th。

陰鬱なメロディを奏でるトレモロリフ/それを助長するようなアコギ/陰鬱さを強調するようなスロー~ミドル中心のテンポ設定と、ある程度は鬱ブラックのテンプレートどおりの音で、中期までのXASTHURを髣髴とさせる音ですが…XASTHURが鬱な心象風景を投影した作風だとするなら、こっちは肉体が腐り落ちて崩れていく幻覚に苛まれるような、よりグロテスクなイメージが強い音ですね。

特にトレモロリフの不協的なメロディにそれが顕著で、聴いているとまず筋肉が麻痺・弛緩し、次いで筋までドロけて腐っていくかのような感覚を覚えます。アコギも少なくない頻度で入りますが…叙情的というより、やはり印象としては不気味。アコギとキーの絡む4曲目は美しい感じがしますが、アパシー状態に陥った精神病患者が日の出など美しい情景を見ているような、どこか病的な印象を受けます。

また、この手にしてはヴォーカルがハードコアでも通用しそうな、太く強靭な怒声ガナリなのも特徴で、それが肉体が蝕まれる幻覚の中で壊れた精神だけが憎しみを吐き出そうとしているかのような、より病的な感覚を強めているように思えるんですよね…。

鬱ブラック好きなら買って決して損はしないであろう、ジャケどおりの赤黒い病的な陰鬱さに包まれた作品。しかし、このバンドは凄まじい勢いで音源を出してますが…一体どれだけの人が、フルアルバムに限ったとしても追いきれてるんでしょうね。正直、私は全部追おうとまでは思えないかもです。


BENIGHTED IN SODOM ★★ (2011-06-22 22:15:34)

アメリカ・フロリダ産鬱ブラック。
2010年だけで5枚ものアルバムを出すほどの多作振り。
ほぼ隔月刊BENIGHTED IN SODOMって感じですね(笑)。


DIR EN GREY - Different Sense - 罪と規制 (2011-06-21 21:57:35)

蜜と唾のリアレンジらしいです…ほぼ形を留めてませんが。
個人的にこれは今ひとつでした。下世話なグロテスクが強烈な個性になっていた原曲に対して、こっちのアレンジはふつうにスラッジを演ってるだけって感じ。確かに音の重さは海外のバンドに比肩できるけど、もうそういうレベルはこのバンドにとって「当たり前」なので。これなら絶対海外のメタルバンドじゃできない世界観の原曲の方が断然良かったと思う。


DEKADENT AESTHETIX - Dekadent Aesthetix ★★ (2011-06-17 22:51:31)

2010年発表の1st。

あのJOYLESSともスプリットを出してる事からも推察される通り、ポストブラックの「ポスト」の部分をこじらせたようなアヴァンギャルド・ブラック。シューゲイザーブラック風轟音リフとメロブラ風トレモロリフを交互に繰り出してみせたり、ハードコア的なグルーヴィな疾走を設けてみせたり、ブルース寄りのサイケなハードロックに回帰してみせたり、作風が多岐に渡り過ぎて固有のスタイルを持たないのでは?と思わせるほど。

ただ、雑多なスタイルを詰め込んではいるものの、睡眠薬によって意識がトロケるかのようなドリーミーなピアノ、神経が捩れて戻らなくなるような痙攣リフなどが随所に盛り込まれているため、全体を通して世界が歪んで見えるような、神経症的な質感は共通してますね。効果音やサンプリングを使う点はLIFELOVERとも共通してますが、女性の含み笑いや吹き出し笑いが盛り込まれた5曲目は生理的にマジで気持ち悪くなりそうな不条理さ。

ただこのバンド、何気に(正統な)ブラックメタル部分にこそ、類稀なセンスを感じたりするんですよね。例えば、8曲目や10曲目ではメロディックブラックのようなトレモロリフが聴けますが、これが物凄くかっこよくて耳に残ります。本末転倒かもしれませんが、アルバム全体が「ポスト」に偏り過ぎてて、こうしたブラックとしてスタンダードな部分が少ないのが惜しく思えるほど素晴らしい。

ポストメタルにありがちな、ミニマリズムの過剰の導入や、リスナーの想像力に依存し過ぎてつまらなくなってしまうような事はほとんど無く、全体的にキャッチーと言っていいほどの音作りが成されているため、ポストブラック入門にもいいかもしれません。個人的には、BEATLESのサイケな部分が好きな人に無理矢理聞かせて、感想を聴いてみたい作品です(笑)。


OLD (GERMANY) - DOWN WITH THE NAILS (2011-06-17 22:33:23)

2006年発表の1st。

DARKTHRONEのN.Culto氏が推薦コメントを寄せてますね。
「OLDはアンダーグラウンドが尚生きていて、これまで以上に重要となっていることを証明した」みたいな感じでしょうか。そのコメント通りの、まだスラッシュと未分化だったころの音を現代に蘇らせるようなダーティ極まりないブラックメタル。

ブラックメタルの宗教性やスラッシュのテクい部分を極力排除し、ダーティでロックンロールの衝動を追求したような作風で、邪悪さよりも聴いていて体が動きそうな「熱さ」に傾いている感じですね。最近のDARKTHRONEも彷彿とさせますが、こっちはヴォーカルに地声成分をそれほど混ぜない絶叫スタイルのため、より攻撃的に聞こえます。ただ、DARKTHRONEと比べると少し貫禄と曲ごとの個性が足りない気も。

そういう訳で、個人的な好みからすれば微妙だったんですが、確かにNocturno Culto氏が推薦コメント寄せるくらいツボだったんだろうな…というのが、聴いていて良く分かる作品。ブラック黎明期以前の、ルーツ系のバンドが好きな人向けかも。


OLD (GERMANY) ★★ (2011-06-17 22:32:40)

ドイツ産ブラック/スラッシュ。
DESTROYER 666のメンバーが絡んでます。


QUINTESSENCE - Le Fléau de ton existence ★★★ (2011-06-16 23:03:49)

2009年発表の1st。

…どうしてフランス産のプリミティブブラックって、こうもメロディセンスに優れたバンドが多いんでしょうね…。MOURNING FORESTも大概でしたけど、このバンドもメロウ好きはスルー不可なメロディセンスの高さがありますね。ジャケは魔女裁判の拷問でダークな感じですけど、メロディの方はエモーショナルと表現してもおかしくないほどにメロウで、特に2曲目や4曲目ではキーが入っていないのに、トレモロリフが「シンフォニックに」聴こえるくらいメロディアス。聴いてて「幻想美」という単語が浮かんできました。耳に痛くない、篭もり気味の音質もメロディを味わうのに絶好。

また、このバンドの作風ってプリミティブ・ブラックとしては破格のドラマ性があるように思うんですよね。例えば1曲目、全体に緩急の付いた展開だし、ブラストビートで飛ばしてからツーバス乱射モードに突入したり、刻みリフとドラムのメタリックな絡みが合ったり、メロディセンスの高さもあって、正統派好きでも(音質やヴォーカルで引かなければ)グッと来ると思う。ブラストで引っ張るパートも多いですが、メロディの劇的さとも相俟って、ミニマリズムよりドラマティックさを感じるんですよね。音質こそプリミティブブラック準拠ですが、曲はほぼメロブラと言ってもいいかもしれません。

そこまで有名なバンドではありませんが、ドラマ性やメロディの良さは随一なので、プリミティブブラックの中でも入りやすい作品と言えるかもしれません。プリブラの名盤聴いてダメだった人にも試して欲しいくらいだし、逆にDARKTHRONEの「Transylvanian Hunger」のあのリフを聴いてピンと来るくらいプリブラの良さを分かっている人であれば、確実に気に入るのではないかと思います。


QUINTESSENCE ★★ (2011-06-16 23:01:52)

フランス産プリミティブブラック。
この系統の中でも非常にメロウでドラマティックな作風のバンドです。


SATURNUS - Martyre ★★ (2011-06-15 18:00:42)

2000年発表の2nd。

タイプとしてはゴシック・ドゥームでしょうか。
陰鬱…というよりは、ブルーズの泣きにも通じる、焼け付くようなメランコリックなメロディを奏でつつ、厳粛に進行するアトモスフェリックな作品ですが、ハモンドとギターリフのかっこいいユニゾンをロックなリズムに乗せるパートが一部にあったり、基本的には暗いながらも意外にハードロックのかっこよさが残っているのが特徴ですね。グロウル中心のヴォーカルも、それだけではなく、悲嘆に暮れるような呟きと、苦悶に満ちたがなりなどで曲の感傷的な雰囲気を更に濃密にしてます。

ただ、音質が繊細さ重視なためか、少しダイナミズムに欠ける感じがあるのが残念ですね…BARREN EARTHやSWALLOW THE SUN辺りのメロデスの哀愁とドゥームの重厚さを兼ね備えたバンドが好きならばほぼ確実に気に入るであろう、深遠な世界観を描いてますが、出来れば音質もこれらのバンドと同じくらいメタリックで、ダイナミックだと、個人的には更に良かったんですが。


モーニング娘。 - 12,スマート - Only you ★★★ (2011-06-14 22:31:19)

さっき買って帰ってからもう20回以上は聴いてます、この曲。
シングル曲では「リゾナントブルー」辺りを髣髴とさせる、ダンサブルな曲調で、最初は3連のリズムからサビで視界が開ける展開が印象的な曲…という感じでしたが、良く聴くと作り込みがヤバいですよね、この曲。サビ等で歌メロの合いの手的に挿入されるシンフォなストリングス、ノイジーで場面を引き締めるシンセなど、各フレーズの一つ一つに凄くパワーがある感じで、オケだけ聴くと色んな音が入りまくりで若干カオスに感じるほど。なのに歌入りテイクを聴くと、全体として洗練されたポップスに聴こえるのはマジで凄いと思う。
飛び道具的な要素は全くなく、むしろサビメロなんかはスタンダード性すら感じるほどですが、それなのにサービス精神旺盛なのが素晴らしい。真面目に、海外のポップスでここまでスタンダードな曲調かつサービス精神に溢れたアレンジ演ってるアーティストっていないのでは。取り合えず早くカラオケに行きたい(笑)。


モーニング娘。 - モーニング娘。'14 カップリングコレクション2 - やめてよ!シンドバッド ★★★ (2011-06-14 22:30:09)

こっちは「Only you」とは対称的に、飛び道具精神全開な感じ。
シンセとギターのユニゾンのリフなんて、ドリフの音楽みたいで歌詞とも相俟って聴いてて笑ってしまいそうになりますもん。漫才のSEのような効果音や、笛、太鼓等の楽器が歌メロの合いの手に入るアレンジも楽しい。しかし、はっちゃけた曲調ながら、歌メロをおちゃらけずしっかり歌ってくれてる(Aメロなんかクールに聴こえる)ので、面白いだけで終わらない、良い曲になっているのが素晴らしい。「合いの手の美学」は効果音だけでなく、リズム面でも発揮されていて、特にサビ部分は聴いていて気持ちよくなれます。


AL-KAMAR - Abstract Spread ★★★ (2011-06-14 00:07:02)

2011年発表の1st。

クリエイターやミュージシャンが、レーベル等の制約に縛られず、自身の創造性を発揮出来る場所として徐々に注目を浴び始めている同人音楽シーンですが…まさかそのシーンから、こんなアーティストが生まれるとは。なんとALCESTやAMESOEURS、LANTLOS辺りに影響を受けたと思しき、アーバニズムの危うく儚く、ダークな側面を描くシューゲイザー・ブラック。

このアーティスト、リフやメロディによって「儚さ」「鬱感情」などの微妙なニュアンスを表現出来てはいるんですが…思いっきりその感情に沿ったメロディを弾いてくれるので、ある意味キャッチーにすら聴こえるのが素晴らしいと思う。表現している、しようとしているものが、繊細さを要求されるものなのにも関わらず。

この手のバンドって、時々情景描写に重きを置きすぎるきらいがあって、リスナーが付いてこれるかどうかが二の次になってる(その分本格的とも言う)ことも少なくないんですが、AL-KAMARは1つ1つのフレーズに、「聴き手と絶対にこの情景を共有したいんだ」くらいの意志を感じるほどに、展開やメロディが分かりやすく鮮烈。特にKRALLICE並のトレモロ地獄パートや、儚いピアノと感情が磨耗するようなノイズリフを乗せて疾走するパートを含む「Hypocrisy Luna」が素晴らしい。

また、この手としては珍しく(というか唯一?)初音ミクを起用していますが、これも試みとしては大成功しているように思います。BorisのAtsuo氏はヴォーカロイドについて「人々の妄想は人間には最早担えない状態になっている」として、ヘヴィなものとしていましたが、この作品ではヴォーカロイドの声が逆説的に、妄想的で抽象的な情景にリアリティを与えるものとして機能しているように思えるんですよね。音像的には、少し前に出過ぎなので、もう少しミックス面でも抽象化してくれると聴きやすいですけど。

ただ、エフェクトに頼ったヴォーカルと、拙い英詩はちょっとマイナスですね…特に英詩。特定の人物へのディスにインスピレーションを受けたものも多いという世界観自体はいいとしても、「I doesn’t know」とか「You’re Die」とかふざけてるのかと思う。この手の音楽はどれだけ聴き手を没入させるかで価値が決まると言っても過言ではないと思うし、この世界観にこういうお馬鹿な感じは明らかに不要。こんな推敲の手間すら惜しんだような歌詞に、誰が心象を投影したがるのか…と単純に疑問。

と、最後は少し辛口でしたが、同人音楽リスナーがシューゲイザーブラックの入り口とするには、Neige関連よりも適切ではないかと思わせるほど、この手のジャンルの美味しい部分を強調したかのような作品。同人音楽シーンのギタリストって、ギターヒーローになろうとする人が多すぎなので、ギターをこういう風に聴かせられる人って貴重だし素晴らしいと思う。是非これからもコンスタントに活動していって欲しいですね。


SADIST - Season in Silence ★★ (2011-06-12 19:21:46)

2010年発表の6th。

SADISTは初聴きな俄かメタラーですが(笑)、これは面白い作風ですね。
変拍子やジャジーなベースラインも交え、カオティックでテクニカルな演奏と、その上を華麗さ、寒々しさ、薄気味悪さなど様々な情景をメロディで描くような、シンフォなキーボードが乗る音楽性は他では聴けない音だと思う。特にキー、時々クラシックのような上品なメロディも奏でてて、それが混沌としたリズム、野卑なヴォーカルと相俟ってなんか不条理極まりない事になってます(笑)。

ただ、面白いっちゃ面白いんですが、個人的には楽しめない部分も。
確かにテクニカルなアンサンブルはかっこいいんですが、リフがリズムに従属しすぎて、単体のフレーズとしてみた時に少し弱い箇所があるのと、ヴォーカルも突き抜けた野蛮さが無いのとで、いまいちスキッとしない感も受けるんですよね…。リフはかっこいい部分も多いですが、リズムに寄りすぎてしまってる部分は、個人的にはちょっと退屈。アンサンブルとメロディの(ミス)マッチは面白いんですが。

ただ、一聴で優れたミュージシャンが作ってるということは分かるような作品ですし、他で代替出来ない作風でもあるので、興味がある方は取り合えず試聴をお勧めします。波長が合えばとんでもない名盤に感じるかも。


DEMONAZ - March of the Norse ★★ (2011-06-11 17:36:57)

2011年発表の1st。

作詞・作曲は全てDemonazが行っているようですが、作風的にはIMMORTALよりもIの方に近いですね。基本的にミディアムテンポで、刻みリフに勇壮なメロディを乗せ、堂々と展開していく、エピックな感触の音。派手に疾走したりこそしないものの、リフやリードギターに練りこまれたセンスのいい、丁寧なメロディに聴き入ってしまう作風です。

ヴォーカルを務めるDemonazの声も結構独特。落ち着いた声色で語りかけるようにがなる感じですが、攻撃性は高くないものの、妙に枯れた色気が感じられて悪くないです。潰れたダミ声でメロディを歌ったり、勇壮なクワイアを従えたりすると、時々ヴァイキングメタルっぽい雰囲気もありますね。

確かにエポックメイキングな要素はないですし、わざとらしく耳を惹こうとする箇所はありませんが、しっかりとリフやメロディの練られた、渋いブラックメタルで安心して聴けますね。入門にはフックが足りないかもしれませんが、ブラックメタルを「好き」と断言できる人なら、聴いていて気持ちのいい音のはずです。


DEMONAZ ★★ (2011-06-11 17:36:10)

OLD FUNERALやIMMORTALのメンバーで、IMMORTALを抜けてからも作詞などで関わってきた人物。先日ENSLAVEDのIce Daleをギター/ベースに、IのArmageddaをドラムに迎え、1stアルバム「March of the Norse」をリリースしました。


TOTALSELFHATRED - Apocalypse in Your Heart ★★★ (2011-06-11 10:11:12)

2011年発表の2nd。

一口に鬱ブラックと言っても、ひたすらにスローでネガティビティを巻き散らしていくもの、不条理な展開で日常の風景を捻じ曲げるものなどさまざまなスタイルがありますが、このバンドは丁寧かつドラマティックに鬱感情を描いていくスタイルですね。リズム面でもスローパートだけではなく、1曲目からファストブラック並のスピードで疾走してますし。

こんなバンド名だと、メロディも如何にも呪い殺してやりたそうなドロドロしたものを想像しますが、意外にもメロディは儚くて幻想的で、シューゲイザーブラック好きにもアピールできそうなほど。それが頻繁に現れる、眠りを誘うような優しいギターの残響と合わさると、ほんと脳波が操られそうになります。ただ、ヴォーカルはバンド名通りの、肺に溜まった空気を全て憎悪に換えて吐き出すような絶叫ですが。

トレモロでハモりつつ疾走してみせたり、アルペジオで溜めた後暴発するようにトレモロで切り込んだり、時にダイナミックと言えるくらい、曲の展開はドラマティックで、バラエティにも富んでると思う。ただ、一部でLIFELOVER的なロック風リズム+刻みリフ+メランコリックなピアノ…という展開があったのは少し驚きました。この表現、鬱ブラックのスタンダードとなりつつあるんでしょうか。

鬱ブラック、特に一人ブラックの中には、敢えて共感を拒みつつ自意識をひたすら垂れ流すような、カルト極まりないものも多いですが、このバンドはバンドスタイルで演ってるせいもあるのか、エクストリームメタルとして非常に丁寧な仕上がり。如何にもOSMOSE産って感じ。鬱ブラックに興味があるけど聴いた事のない人、SHININGやFORGOTTEN TOMB辺りの基本バンドしか知らない人でも楽しめる一枚かと。


TOTALSELFHATRED ★★ (2011-06-11 10:09:50)

フィンランド産ディプレッシブ・ブラック。
HORNAのメンバーが絡んでます。


WOE - Quietly, Undramatically ★★★ (2011-06-10 21:53:39)

2010年発表の2nd。
この作品、アルバムタイトルとは真逆の音ですよね(笑)。

ハードコアのやぶれかぶれさも伴ったファストブラックで、とにかくテンションの高さが半端ないです。ヴォーカルは親の仇が川の向こう岸にいるかのように全力で喚きまくり、ドラムもファストパートの飛ばしぶりが凄まじい。スラッシュビートも多用しますが、ギターの音色・リフの質感がグルーヴ系でなく、最近のバンドに多いバンドサウンドを歪みで包み込むようなタイプなので、意外とオールドスクールな感触は薄め。

この作品、最初はそのやぶれかぶれなハイテンションに圧倒されますが、意外にも曲はドラマティックで緻密なんですよね。アルペジオやギターソロが展開の中心になることもあるし、タイトル曲ではまさかのマイルドなヴォーカルハーモニーまで。そのせいか、ショップではメタルコアとブラックの融合と言われてましたし。

ただ、展開がしっかりしてるのにやぶれかぶれな雰囲気が漂ってるのが、真に凄いのかもしれません。2曲目のリフとリズムの絡みなんて、明らかにしっかり考えられてそうなのに、テンションで合わせているように聴こえるし、所々で聴かれる儚いメロディ+ブラストで攻めるパートなんて、突っ走った挙句消滅しそうな勢いですもん。

個人的には、ショップの謳い文句に「メタルコア」が入ってたので、カルト性は期待できないかと思いつつ買ってしまったんですが、蓋を開けてみれば丁度いい具合にアングライズムを残してくれてる作品で大満足。にしても、ラスト3曲のタイトルがアルバムの作風を象徴し過ぎですよね。「論理無しの」「完全な円」「憎悪が俺たちの中心」…出来過ぎです(笑)。


WOE ★★ (2011-06-10 21:53:07)

アメリカ産ブラックメタルバンド。
KRIEGの現ドラマーのChris Griggが在籍。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - It's You ★★★ (2011-06-10 21:51:24)

アルバム曲の中では一番好き。シングル入れてもトップ3に入る。
ノイジーなシンセの音色、跳ねたベースライン、吐息交じりのアンニュイな歌唱が官能的なムードを醸しだす曲で、薄暗いフロアをピンク色の照明が妖しく照らして、上ではミラーボールが回ってる…みたいな情景が思い浮かぶ。間奏のオルガンソロがその情景を更に頽廃的に彩ってます。この吐息を混ぜる歌唱はつんく氏の指導でしょうか。本人も時々こういう歌い方しますよね。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - 悲しみトワイライト (2011-06-10 21:50:17)

確かに、リフやオブリガード、ソロなどギターパートはかっこいいと思うんですが…シングル曲、しかもアルバムのトリにしてはちょっと弱い印象が。厳しい事をいえば、つんくブランドじゃなかったらスルーしてると思うくらい…かも。つんく氏はノーマルなポップスやロックを作ろうとしない方が良い曲が作れてると思う。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - 片思いの終わりに ★★★ (2011-06-10 21:49:41)

ヴィジュアル系とかのショッキングな曲ももちろん未だに大好きですけど、年を取るとこういう日常の自然な情景・感情の動きを歌った曲が妙に沁みてくるんですよね…(笑)。メロディも歌声も、聴いててしみじみと「良い曲だなぁ…」と浸れてしまいます。自然に聴かせつつ、よく聴くとかなりメリハリの付いているアレンジも素晴らしい。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - 女に 幸あれ ★★ (2011-06-10 21:43:05)

これは…狙って歌詞やメロディの世界観と、アレンジの方向性にギャップを持たせてるんでしょうか。メロや歌詞は前時代的とも言えるくらいなのに、アレンジはやたら大げさなオーケストラヒットや硬質なリズムが取り入れられてて、結構違和感があるかも。まあ勢いは感じますが…なんかチープというか、既存の曲のリミックスめいた印象を受ける。メロディは相変わらず本当に素晴らしいんですが。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - 情熱のキスを一つ ★★ (2011-06-10 21:40:19)

ややダークな質感の、スパニッシュなテイストの入った落ち着いた曲で、個人的には倉木麻衣さんの「Just Like You Smile Baby」辺りを思い起こさせる曲調。倉木さんの曲でも、アッパーな曲よりこういうムードのある曲が好きだったし、この曲も一回聴いてピンと来ましたね。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - みかん (2011-06-10 21:39:16)

こういう文脈で「未完」という単語を使われると、男坂を思い浮かべてしまいますね(笑)。ポジティブだけどやぶれかぶれ的な。「ここにいるぜぇ!」もそうですが、この曲は、正直モーニング娘の声質に合わせて作られてないような気がする。つんく氏本人が歌った方が決まりそうな印象のある、また歌ってる姿が容易に想像できるような曲なんですよね。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - グルグルJUMP (2011-06-10 21:38:40)

タイトル通り、盛り上がる系のキャッチーな曲ですが…これとソロ曲を比べると、久住さんはピンの方が向いてる感じがする。「こんにちぱ」「ラムタラ」「バラライカ」と比べると、周りに合わせてる感じで、表現力を発揮し切れてない印象が。この手の曲は昔の方が良かったかも。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - 私の魅力に 気付かない鈍感な人 ★★ (2011-06-10 21:37:54)

クールなメロディが乗りそうなバックトラックに、明るくて起伏の大きいメロディを乗せる辺りつんく氏っぽい曲調ですよね。特にサビ後半の耳に残る感じが。キラキラした感じの、明るい声質のヴォーカルも曲に凄く合ってる。「It’s you」とこれは、両方ともピンの曲ながらアルバムを象徴する曲だと思う。向こうが陰でこっちが陽って感じで。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - 泣いちゃうかも ★★★ (2011-06-10 21:36:54)

つんく氏の詞ってネタっぽいものが多い印象がありますが、これは普通にグッと来てしまいました。特に「私からお別れ告げようと思ったけど」と「出来ない」が間断なく繋がるところとか、ああ、何度も言葉を飲み込んでるんだろうな…とか、主人公の心情が伝わりますもん。
でも、「マリコ」って…中島みゆきさんへのリスペクトでしょうか。メロディもダンサブルなアレンジじゃなかったら、中島みゆきさんの曲に聴こえそう(特にABメロ)な哀愁たっぷりな歌謡的なものですし。マリコはマリコで忙しいので、悪女の振りに付き合わせたら可哀想です(笑)。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - Take off is now! ★★ (2011-06-10 21:36:12)

なんか、もう映像を見なくてもキレのあるダンスを踊りながら歌ってるんだろうな…っていうのが、歌いっぷりから伝わってくるようなクールな曲。特に英詩パートとサビがかなりかっこいい。ただ、キーボードの如何にもシンセ然とした音は余り好きじゃないかも。このアルバムはそういう音使いが多いですが。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - 雨の降らない星では愛せないだろう? ★★★ (2011-06-10 21:35:26)

後の中国語版の方が好きですが、これはこれで。
タイトル通りのスケールの大きいバラードで、24時間テレビのエンディングにサライの代わりに合唱しても似合いそうなくらい、スタンダード性のあるメロディ。もうイントロのストリングスからして泣かす気満々って感じですね。こういう曲をラストではなく、3曲目に持ってくる辺り面白い構成のアルバムだと思う。


モーニング娘。 - プラチナ 9 DISC - SONGS (2011-06-10 21:34:36)

どこがピグマリオン的な世界観が、後の「Moonlight Night」「Fantasyが始まる」に繋がっていくであろう、アルバムのオープニング曲。譜割りの凝ったサビメロが、人形っぽい感触を演出してます。ただ、意図するところは分かるけど、個人的にはもっとベタなメロディの方が好きかも。


ARTHEMESIA ★★ (2011-06-09 21:01:32)

去年惜しくも解散してしまった、フィンランド産メロディックブラック。
ENSIFERUMやMOONSORROW、ALGHAZANTHなどのメンバーが絡んでます。


ARTHEMESIA - a.O.a. ★★★ (2011-06-09 21:00:58)

2009年発表の2nd。

ショップのコメントでは、「泣きメロというよりも更に深淵な世界観を聴かせる」メロディックブラック、として推薦されてましたが、まさしくその言葉通りの音ですね。メロディには神秘的な美しさがあるんですが、それだけではなく、キーボードやアルペジオなどを巧みに使い、重層的にメロディを練り込む事で深淵な世界観を作り上げてます。ハーモニーなど、物凄く時間を掛けて編み上げられている印象を受けます。

聴いていると、一角獣の棲む森の湖の畔だとか、日常とは全く離れた光景がリアルに体験できそうなくらい、情景描写に富んだ音で、タイトル曲等で聴ける勇壮なメロディと相俟ってアトモスフェリック路線のフォーク・ブラックとも共通する質感がありますね。世界観や情景としては、ペイガン(異教信仰)系よりもネイチャー(自然崇拝)系に近い感じでしょうか。

ただし、ハーモニーやリフとメロディの絡み等が細かい部分まで練られている分、細部まで音が聞き取れないような状況で聴くには不向きな音だと思います。個人的には、部屋で情景を想像しつつ、ゆったりと聴きたいアルバム。去年解散してしまいましたが、このバンドも他のバンドで代替出来ない作風を持っていただけに非常に惜しいですよね…。


RIMFROST - Veraldar Nagli ★★★ (2011-06-08 18:44:40)

2009年発表の2nd。
ベラルダー殴り。ほんとは何て読むんでしょうね(笑)。

ブラックメタルの中でも、レアケースと言えるくらい刻みリフに特化したタイプのブラックですね。スラッシュの激しさやダークさを伸ばした結果、ブラック化したかのようなスタイルですが、オールドスクールな感触だけでなく、プロデューサーのAndy La Rocqueの手腕なのか、モダンかつブラックらしいダークさを失わない質感のある音に仕上がってるのが特徴。

8曲で52分強とこの手にしては1曲が長く、曲構成でも勢いだけではないドラマ性を感じさせてくれますが、そのドラマ性を演出するのが、殆ど刻みリフ(とそれに乗るメロディ)とリズムの絡みであるのが凄いと思う。アルペジオやトレモロも時折入れるものの、8割がた刻みリフで展開を作ってます。所々、メロディ等にヴァイキングに通じる勇壮さ・エピック性が感じられるのもポイント。

ただ、キーボードやアルペジオ、ノーマルヴォイス(渋い美声!)を取り入れた4曲目など、壮大さやドラマ性を重視するあまり冗長になってる部分が少しだけあるのがネックかもしれません。まあ一部なのでそこまでマイナスではないですが。1曲目の45秒~辺りなどで散見される、スラッシュベースならではなフュリアスなリフとリズムの応酬、重々しさも軽快さも表現できる「刻みリフ」のポテンシャルを活かすような、Andy La Rocqueのプロダクションなどそれを帳消しにする美点も多いですしね。

そういう訳で、個人的には個性的なスタイルだと思うし、☆は3つ付けたいところ。冒頭のザクザク刻んでからの絶叫の時点でめっちゃ熱いアルバムです。


AETERNUS - A Darker Monument ★★ (2011-06-08 18:30:04)

2003年発表の5th。

Samothのレーベル、Nocturnal Art所属のバンドですが、個人的にこのレーベルってブラックのやぶれかぶれな精神よりも、デスメタル的なキッチリ作り込まれた、エクストリームメタル好き全般にアピール出来るバンドが多い印象なんですが、このバンドも例に漏れず、しっかりヘヴィな音出してますね。…というか、ほとんどデスメタルです。

リフに中近東フレーバーなメロディを練り込み、ファストパートではブルータルに畳み掛け、スロー~ミドルパートではドゥーミーに引き摺る、重々しいサウンド。ヴォーカルもデスメタル的な咆哮がメインで、重苦しい音作りに合ってると思う。時々ブラックに通じるメロいトレモロも出てきますが、寒々しさよりうねりや禍々しさが強かったり、メロを刻みに引き継いでみせたり、やはりデスメタルの感性が強い感じ。

個人的にこういう、デスメタル特有のうねるリフって好きなので、作風自体は割と好みなんですが…プロダクションが今ひとつなのが惜しいですね…。バスドラがビキビキいうリズム、ジリジリしたリフの音色などB級ブラックっぽい音。これくらいデスメタル的な作風なら、音作りの方もHATE ETERNALくらいブルータルな方が良かったと思う。