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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 201-300

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 201-300

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RAGE NUCLEAIRE - Black Storm of Violence ★★ (2015-09-11 22:51:26)

2014年発表の2nd。

あの元CRYPTOPSYのLord Worm氏がヴォーカルを務め、ドラムは現MARDUKの人という豪華っぷりに惹かれ、物は試しと購入してみましたが…これ、エクストリームメタルとして第一級の音ですね。豪速ブラストと切れ味のいいリフを交え、常に攻撃的に攻めていく作風は、個人的には発足した当時のZYKLONに通じるものを感じたり。ブラックの荘厳さとデスの暴虐性が両立され、どちらの特性も持っている辺り結構近いものがあるのではないかと。

ただ、音は一級品なんですが、肝心のヴォーカルについては少し不満…というか、勿体ないものを感じたり。常に何を言っているか全く聞き取れない、人間やめた系の高音絶叫をひたすら繰り返す壮絶なスタイルではあるんですが…リバーブが掛かりすぎてしまっていて、ちょっと生々しさに欠けるのが惜しいんですよね…。これがほぼ生声みたいなミックスだったら完璧だったんですが。

…それにしても、ブックレットのメンバーの特殊メイクも音以上に凄い事になってますね(笑)。これを見るのにも買う価値ありかもしれません。結構な費用が掛かっていそうな気がします。


AND HARMONY DIES - Flames Everywhere ★★ (2015-09-11 22:50:46)

2007年発表の2nd。

一言で言うならば、オペラティックであることを最重視した、個性派シンフォニックブラック…という感じでしょうか。ただ美しく煌びやかなだけではない、奇術的なメロディ、シンフォニックであるのみならず、インダストリアル要素も取り入れた作風で、まるでダークな戯曲を見せるように劇的に展開する、変り種かつ丁寧に練りこまれた展開で聴かせる音。十把一絡げに出来ないような個性を持った音で、楽曲のレベルもかなり高いのではないでしょうか。

ただ、メジャーなバンドと比較すると若干プロダクションの面で弱さを感じてしまうのと、ヴォーカルの独特な奇矯さが個人的には辛いものがありますね…。ただがなるだけではなく、ホーミーの真似事のような声を出したり、オペラの登場人物になり切ったように演技したりしながら歌いますが…なんか調子外れというか滑稽というか、どうも肯定的な感情を向けられないような声なんですよね…。挑戦的なのは良い事ですが、正直自己満足感を感じてしまいます。

という訳で、面白さはあるものの大っぴらにはお勧めできない作品。もう少しヴォーカルの表現力がやりたい事に追いついていれば…。


TOTAL NEGATION - Zur Späten Stunde / Zeiträume ★★★ (2015-09-02 23:39:25)

2013年発表の2nd。

一言で言えば、実験性とドラマ性が同居した、優良な鬱ブラックという感じでしょうか。ドゥーミーに引き摺るノイジーなリフと、独特の音響が精神世界的な非日常性を演出するフレーズを組み合わせ、精神が崩壊していく過程を描くかのような、異様な雰囲気の漂う音。多分にエクスペリメンタルな音ですが、展開のドラマ性もかなり重視されていて、楽曲のレベルはかなり高いと思います。

この作品、前半の4曲が「Zur Späten Stunde」、後半が「Zeiträum」というタイトルの二部構成になってますが、二部で連続性がありつつも楽曲の色が変わるのが面白いですね。前半が精神崩壊に至る様子だとしたら、多彩かつ前衛的なキーボードやノイズの音色を取り入れ、更に実験性を増した後半部は壊れた心が暗闇を彷徨っているような印象でしょうか。

ユニークな音使いが聴いていて面白く、楽曲展開も練られておりハイクオリティですが、ヴォーカルが鬱ブラック特有の苦悶声な辺りが若干聴き手を選びそうな感じはします。鬱ブラック好きのみならず、実験性がダークさや異常さに向かう音が好きな方にも推薦。


東方紺珠伝 ~ Legacy of Lunatic Kingdom. ★★★ (2015-09-02 23:35:40)

同人で絶大な人気を誇る東方シリーズの、Win版では15番目となる作品。
2015年発表。

ナンバリングでは前作に当たる輝針城がシンプルだった反動からか、今回はかなり冒険したシステムに。今までの残機制は「レガシーモード」として別モード扱いで残しつつ、残機の概念を排し、1ステージを幾つかのチャプターに分け、ミスするとそのチャプターの頭からやり直し…というシステムの「完全無欠モード」がメイン。ボムはチャプターで200グレイズ(敵弾にカスる)と欠片が貰え、それを5つ集めると1つ補充されるシステム。全ステージで使える数が限られているので、前半に使いすぎるとエライ事に…。

そのシステムに合わせたせいか、今回弾幕は今まででもっとも難しい…というか、初見殺し・パターン必須・事故りやすい…という性質のものが多い感じですね。自機周辺から画面端で反射するレーザー(画面端や最下部にいると即死)なんて、初見でどう躱せと(笑)。5、6ボスよりも鬼畜な通常弾幕の3ボス、パターン必須かつ覚えてなお難しい5ボスは最初プレイしたときは投げたくなるかも。全体的に「弾幕アマノジャク」「東方文花帖」辺りに近いプレイ感覚。

ただ、今回完全無欠モードのシステムに弾幕の難易度を合わせているせいか、Exが過去最高に難しい気がします。特に通常弾幕の難易度の高さと事故率の高さがヤバい。それで精神力が尽き果てそうになったところに、高難度パターン弾幕、詐欺判定弾幕、耐久弾幕…とやっかいなスペルが連続で来る構成が本気で嫌らしいです。正直、今回全機体でクリアするのは無理かもしれません…。レガシーの通常ステージでは欠片3つでエクステンドなので、ボムを抱えなければそれほど難しくないんですが、Exは欠片5つが必要なのでキツいです。

あと、今回音楽が凄まじく良いですよね。特に3面は道中曲、ボス曲ともに初見で虜にするキャッチネスと、延々と聴いていても飽きの来ない中毒性を兼ね備えた名曲だと思います。某実況を見た身としては「♪いちばんこ~わ~い~のは、つうじょ~う~だんま~く~」って歌いたくなります(笑)。間違いなく長時間聴き続けることになる5ボス曲やExボス曲がテンションあがる曲なのもいいですね。挑戦し続けて嫌にならないのも曲がいいのもあると思います。

正直、これはこれで面白いんですけど、初めて東方をプレイする人には余りにもキツい作品だと思います。風神録や紅魔郷辺りの過去作の方が入門には向いてそう。既に東方をプレイしていて、面白いと思うようなら今作も当然買いです。


KOMMANDANT - The Architects of Extermination ★★★ (2015-08-30 12:20:17)

2015年発表の3rd。

ショップでDSOが引き合いに出されていて、レーベルも優良なブラックを多数輩出しているところだったので、興味を持って購入。…確かに、不協的で不穏なリフ捌きと、ハードコア的なやけっぱちな攻撃性を同化させた作風は、「Drought」期のDSOや、PLEBEIAN GRANDSTAND辺りのバンドに通じるものがあるかもしれませんね。ただしこちらの方が、不穏さの表現がもっとダイレクトという気がします。

デスメタルにも通じる、猟奇的でドロッとした質感のあるリフの音色と、赤黒く禍々しいメロディを紡ぐトレモロが混ざり合い、死体が堆く積みあがった地獄絵図の戦場の光景が、まざまざと聴き手の眼前に提示されるかのような音。ヴォーカルもただがなるのではなく、歪みの少なめな声で繰り言のような呪詛や、洞穴から聴こえてくるようなやたらディープで湿り気のあるグロウルを聴かせたり、かなりの表現力で禍々しさを助長。リズム的には前述のバンドよりもストレートで、疾走パートの攻撃性、スロー~ミドルパートの粘着性のどちらも相当の説得力を持って聴かせてくれます。

個人的には、最近のDSO好きな人はもちろん、ÆVANGELISTやLEVIATHANなど、ドロ付いた音で暗黒趣味な世界観を聴かせるデス/ブラック好きにも強く推薦。禍々しくハイクオリティな良質な作品です。


BÄRGLAR - Blank Sky... (2015-08-27 22:18:09)

2015年発表のEP。
ショップで国産鬱ブラックとあったのと、値段が安かったので購入。
…これはなかなかに実験的な音ですね。

神経に障るようなアルペジオを展開したり、ヴォーカルの喚き声のボリュームを過剰に大きくする、ベース音を強調しぶよぶよした音質を作る、アルペジオに極悪なノイズ質を組み合わせる…など、短い演奏時間の中で様々なアイデアを詰め込んだ、非常に意欲的な作品。特に後半部はブラックメタルというよりノイズ音楽に半歩踏み込んでるかのような音。

ただ、どうもアイデア集の域を出ない作品という気がしてしまうんですよね…。この手の鬱ブラックの有名なバンドの作品と比べると、いまいち楽曲やフレーズ等の魅力に欠けるというか…。特にヴォーカルは駄々を捏ねてるみたいな感じが微妙で、聴いていてなんとも言えない気分に…。

正直、個人的にはもう一歩な感じです。


ACHERON - Kult des Hasses ★★ (2015-08-24 14:21:01)

2014年発表の8th。

実は結成されたのが80年代末の大ベテランであったり、中心人物のVincent Crowley氏がかつてアントン・ラヴェイの悪魔教会に所属していたガチな人だったり、色々とハクの付いたバンドですが…それを物語るかのように、確信に満ちたエネルギーのある作品。リフとリズムの応酬や、サタニックな雰囲気の演出で押すのではなく、あくまで起承転結のある展開で聴かせる感じで、デス/ブラックの攻撃性でビルドアップされたヘヴィメタルという印象。

サタニズムの表現方法が、ブラックメタルよりも伝統的なヘヴィメタルのそれに基づいているという感じで、そこがブラックメタル黎明期以前より活動するベテランらしさを感じますね。ただしドスの利いたがなり声のヴォーカル、どす黒いエネルギーを内に秘めたような歪みのあるプロダクション、それだけでサタニックさを感じさせる邪悪なメロディ使いなど、直接的な攻撃性でも若いバンドに劣らない力があるように思います。

ただ、キャリアを感じさせるクオリティの高さがある作品ですが、個人的に好みかどうかはちょっと微妙かも。ブラックとしてはヘヴィメタル然としすぎているような気もするんですよね。聴き手によってはだからこそ良い作品なんだと思いますが。


WAXEN - Agios Holokauston ★★ (2015-08-24 14:20:28)

2014年発表の2nd。

ONWARDという割と名の知れた正統派/パワーメタルバンドの元メンバーで、DARKANEのライブメンバーでもあるToby Knapp氏による独りブラックということですが、その出自を物語るかのように、猛烈な勢いで刻み込んだり、メロウなフレーズを練り込んだりするテクニカルでメタリックな魅力に満ちたギターリフが、他のプリミティブブラックとの大きな違いでしょうか。リードギターのメロディが強調されるパートはメロデス以上にメロディアス。

ただし、音作りは3部作期のDARKTHRONEが可愛く思えるレベルでキッツいです(笑)。普通の音量で聴くと確実に耳が痛くなること請け合いなノイジーなプロダクションで、ヴォーカルも人の声なのかノイズなのか分からないくらいのリバーブ掛かってるし、Raw過ぎるにも程がある音作り。ぶっちゃけ、耳が疲れます(笑)。それがギターリフのテクニカルさとアンバランスで、独特の作風になっているんですよね。

キレの良いギターリフとRawなプロダクションという事で、個人的にはKEEP OF KALESSINの「Agnen」アルバムを思い出しました。ただしこちらの方が(特に音作りの面に於いて)よりマニアックなので、購入時は覚悟しておいた方がいいかも。


MADMANS ESPRIT - Nacht ★★ (2015-08-22 16:40:26)

2014年発表の1st。

韓国産独りアヴァンギャルド・シンフォニックブラック/ゴシックとのことですが、確かに凄く独特な作風ですね。通常のシンフォブラックのようなトレモロ+ブラストで押すようなパートは少なく、ロック調だったり4つ打ちなどを取り入れた変則的な展開と、若干Rawさを残したバンドサウンドとアトモスフェリックなキーにより非日常感を演出する、少し変則的な音。

但しこのバンドにおいて最も特徴的なのは、クリーンヴォーカルの多さ+そのスタイルの特異さだと思います。同郷のSAD LEGENDもかなりヴォーカル重視でしたが、こちらは更にヴォーカルオリエンテッドな感じ。高音もほぼ女声に近いものからエッジとビブラートを過剰に掛けた、ヘビメタ然とした鋭い頭声を使い分けてますし、低音で嘆くような声でゴシック的な悲哀を醸し出したり、やたらイキんだがなり声を使ってみせたり、とにかく芸達者。中音域の歌唱における力強いビブラートのせいもあって、浮かんできたジャンル名は「演歌調アトモスフェリック・ブラック」でした(笑)。

なんとなくですが、雪の降り頻る岬での男女の別れ的な、演歌風の情緒のある光景が時々浮かんでしまう作品なんですよね。独特であることは間違いないと思いますので、変り種ブラックが好きであれば聴いてみるのもいいかも。


VOID PARADIGM - Earth's Disease ★★★ (2015-08-18 21:40:09)

2015年発表の2nd。

これは物凄く好みのアヴァンブラックです!
神経に障るどころか掻き毟るような、パラノイアックかつ不穏で不協的なギターワークと、聴く者に不安を与えるような構成のリズム、そこに絡みつくメロディアスながら粘着質なベース…このジャズを気持ち悪く解釈して取り入れたような不気味なアンサンブル、間違いなくVED BUENS ENDEの系譜ですね。ブラストで畳み掛けていても衝動性より精神世界的なグロテスクさの方が強い気がします。

ただしこちらはVBEやVIRUSなどと比較すると、もっとフィジカルの強い音という印象。パキッとした抜けの良い音で、奇妙なアンサンブルもきびきびと聴こえさせるようなドラムや、地声要素強めながら殺気と怒気に満ちた、Appolyon氏のスタイルを思わせるエグいヴォーカルなど、禍々しく不条理な雰囲気を醸し出しつつも、攻撃性も高めたような感じ。VBEなどと共通する、奇妙なムードを壊さずに攻撃性も取り入れてるバランスの良さがほんと素晴らしい。

こういう非日常の光景をひたすら描くようなブラックって、気分でないと聴けないことが多いですが、これはそういう時に聴いても引き込まれるパワーがありますね。


OSCULUM INFAME - Axis of Blood ★★★ (2015-08-18 21:35:01)

2015年発表の2nd。

以前購入した90年代半ばの音源集が素晴らしい内容だったので、新作であるこちらも購入したんですが…はっきり言って感動的な素晴らしさですよ、これ…。特にプリミティブブラックのバンドが持っている、衝動性やカルト性…それらを全く希釈することなく、クオリティの高さも追及したらどうなるのか…その答えがここにあるといっても過言ではないかもしれません。

スタイル自体はもうホント純粋に、何の衒いもないブラックメタルという感じですが…全てに於いてカルト音源としてのハイレベルさがありますね。ややノイジーさを残し、爛れた邪悪さを演出するプロダクションといい、メロウなトレモロを上手く配置しつつオールドスクールな刺々しさも感じさせる、起伏のある楽曲構成といい、悪意しか感じられないヴォーカルといい…。「これが聴きたくてブラック聴いてる」というくらい、ど真ん中の音なんですよね。

特にメロディとヴォーカルは心底素晴らしいと思う。メロディは以前から北欧ブラックの呪わしさを感じさせてハイレベルでしたが、今作は更にフレンチブラック特有の病んだ雰囲気も加味されている感じ。そしてヴォーカル…これ、マジでFUNERAL MISTのArioch並の表現力かもしれません。エフェクトを使ったりはしないものの、音の渦の中から苦しげに、悪意と呪いを込めて叫んでいるような禍々しさがあると思う。最早全世界が敵に見えてるのでは…というくらいの憎しみっぷり。物凄く好みの声です。

音源集の素晴らしさから期待はしていましたが…正直ここまで素晴らしいとは…。ペーパースリーブでCDに傷が付きやすい仕様が凄く残念ですが、このCDのために別にケースを買い求めてでも購入しましょう。


FESTERGUTS - Heritage of Putrescent ★★★ (2015-08-09 06:46:49)

2013年発表の1st。
このバンド、何気に90年代半ばから存在しているみたいですが、フルアルバムとしてはこれが初の作品となるようです。

タイプとしては、攻撃性剥き出しのブルータルなデス/ブラックをベースに、キーボードや女性ヴォーカルを導入したシンフォ要素で味付けした感じ…と言えそうですが、バンドサウンドの野蛮さがやたらと生々しいのが特徴ですね。リフのゴリゴリ感といいヴォーカルのグロウルのおぞましさといい…シンフォ要素が無かったとしても魅力的に聴こえるであろう、筋の通ったブルータルさ。

…例えばCRADLE OF FILTHなんかは、シンフォ要素が混じりやすいようにバンドサウンドの方も整えている感じなんですが、このバンドの作風はもっと繋げ方がダイレクトというか、無理やりというか…。美と醜の融合というよりは、基本的におぞましい醜の要素がベースで、そこに美が点在している感じでしょうか。このバランス感覚が結構面白いんですよね。音としてのクオリティも高いですし。

FLESHGOD APOCALYPSEやSEPTICFLESHなど、シンフォとデスを組み合わせたバンドのメジャーどころと比べると、もっと原初な感じのする音だと思います。


SICKRITES - Irrelevant Death Monoliths ★★ (2015-08-09 06:42:44)

2013年発表の1st。
アナログでの発表でしたが、翌年にOsmoseよりCD化されています。

一言で表すなら、ウォーブラックの衝動性や背徳性、凶暴性を残しつつ、エクストリームメタルとしてのクオリティを整えた感じの、デスメタル寄りのブラックという感じでしょうか。紙を破くようなノイズ質に包み込まれるような音作りに、地の底から響くような低音デス声のヴォーカルが乗り、非常に冒涜的で爛れたような雰囲気を演出してますね。

ただし、楽曲の方には単なる衝動性に留まらない、演出力の高さが光っているのも特徴ですね。バンドの音はまるで廃墟を思わせる、ドロドロした感触ですが、そこにキーボードが破滅をもたらす光のように挿入されたり、狂気的な速弾きやメロウなリードフレーズを奏でるギターソロが挿入されたり、モノトーンにならない展開も魅力。

デスメタル的な猟奇性を強く感じさせつつ、エクストリームメタルとしてハイクオリティな音は如何にもOsmose産らしい音と言えるでしょうか。おぞましい音が好きであればかなりツボに嵌まるのでは。


AKROTHEISM - Behold the Son of Plagues ★★★ (2015-08-03 19:19:23)

2014年発表の1st。

カヴァー曲を演るにしても、敢えてVED BUENS ENDEを選んでしまう辺り、何となく只者でなさが垣間見えますが…その期待を裏切らない、真性な雰囲気を醸し出すブラック。路線としては、初期~中期WATAINをもう少しRawにしたような、オーソドックスなブラックメタルで、切れ味の鋭いオールドスクールなフレーズやオカルト性を感じさせるメロディをリフの中に練りこんで聴かせる、カルト性たっぷりな作風。

この手のメタルはリフでどれだけ惹き付けられるかだと思いますが、このバンドは同系統のバンドと比べてもその部分のセンスがなかなか優れているように思います。アングラな熱気だったり、焼け付くような絶望感だったり、「カルト」な雰囲気を保ちつつ色々な情景を見せてくれる感じ。人間性を失ったような歪み切ったヴォーカル、やや歪みの強いプロダクションなど、ブラックとしてもやや過激な方に位置する音ですが、まあこのバンドもチェックしてるような人には何の問題もない、むしろプラスでしょう。

ギリシャには真性でオカルトな雰囲気を持つブラックが増えてきている印象ですが、このバンドもその流れを汲んでいるように思います。ACRIMONOUSやSEPTUAGINT辺りまでチェックしているようなブラックファンならばおそらく気に入るでしょう。


GOTHOLOCAUST - Lucifer_h ★★★ (2015-08-03 19:16:46)

2015年発表の2nd。
日本のレーベルhidden Marlyからの発売。

フランス産のプリミティブブラックとの事ですが、個人的にはMUTIILATIONなどのフランスのLLN勢のような病んだムードよりも、SATANIC WARMASTER(特に初期)などNorthern Heritage系のフィンランドのバンドに近い、Rawで寒々しい雰囲気を持った作風という印象ですね。ガラガラした声質で一心不乱に叫び続けるヴォーカルも衝動性に満ちていて非常に良い具合。

…ぶっちゃけこの手のブラックって、演ってることはあまり変わらないので、後はどれだけリフやリズムでの聴かせ方が上手いか…みたいなところはありますが、このバンドはかなり上質ですね。基本はスリ込むようなリフで聴かせつつ、要所でメロディを強調して聴かせるスタイルですが、前者のパートでのさりげない良質なメロディの練り込み、メロディ強調時のサタニックさとメロウさを両立させるセンスの良さなど、好き者を唸らせるだけのものがあると思います。

プリミティブ好きであれば「これだよこれ!」となりそうな一枚。特に目新しさは感じませんが、聴いていて「ああ、やっぱりこういう音好きだなぁ」としみじみ思ってしまう作品でした(笑)。


グリーンファロウェラ ★★★ (2015-08-02 23:34:11)

まるで水棲のバッタのような見た目の魚で、実はファロウェラよりオトシンクルスに近い魚なんだとか。周りの環境に合わせて体色を僅かに変える性質がありますが、うちは黒い床のベアタンクで飼育、沈み餌をあげてるので…緑が綺麗に発色せず、余計に地味な印象に(笑)。ただ、餌を撒くといそいそと底に降りてきて、バックしながら餌を吸い込む素振りがとても愛らしいです。

ちなみに人工餌は苦手らしく、苔がない環境だと短命になるケースも多いらしいですが…うちではタナゴの餌をあげるとがっつきます。金魚も、ザリガニも、同じく人工餌苦手らしいチャイナバタフライも喜んで食べます。恐るべしタナゴの餌…。


NINKHARSAG - Blood of Celestial Kings ★★★ (2015-08-02 12:32:53)

2015年発表の1st。

1stにしてEMPERORやANAAL NATHRAKHのリリースで知られるCandlelightからリリースしているだけあって、超高品質なメロブラ。ブラスト一辺倒ではなく、スラッシーさやグルーヴィさも感じさせる、タイトな響きのドラムをベースに、楽曲の神話的な背景が見えてきそうな、優美さを感じさせるトレモロを交えつつ、緊張感たっぷりに展開するリフワーク、メロウさを更に際立てるベースと、丁寧な楽曲構成で聴かせるタイプの作風。

特に攻撃的な中にも、メロいフレーズを上手く差し込んでくるギターワークが聴いていて非常にかっこいい。キーボードでシンフォニックな味付けをしているわけではないんですけど、個人的にはEMPERORの2ndと通じるようなインテンスさを感じました。サタニックな邪悪さや暴虐性の中にも、アーティスティックな感性が息づいている感じがします。ヴォーカルはほぼ呼気全てをノイズに変換したような鋭い絶叫で、人間味が少ないのが楽曲の非日常性と合ってて良い感じ。若干当時のIhsahnのスタイルとも近いかも。

楽曲の作りはとても丁寧だし、間違いなくハイクオリティな作品ですが、暴虐さに飽かせて突っ走るタイプではないのに演奏時間が30分ちょっとと短いのが、少し惜しいところでしょうか。それを除けばかなり素晴らしい作品なので、KEEP OF KALESSINやEMPEROR辺りのクオリティの高いブラックが好きであればお勧め。


NINKHARSAG ★★ (2015-08-02 12:31:41)

先日Candlelightから1stフルをリリースしたイギリス産ブラック。
バンド名はシュメール神話における地母神だとか。
そらで書くのが難しいバンド名ですよね(笑)。フォント的に最後Cに見えるし。


MALIGNANT ETERNAL - Alarm ★★ (2015-08-02 12:28:22)

1999年発表の3rd。

この後バンドはM-ETERNALと改名したようですが、その後特にリリースは無く活動停止してしまった模様。…このバンド、以前はシンフォニック/メロディックなブラックを演っていて、結構評価も高かったらしいですが…それがとても信じられないような、見事なまでにサイボーグ化したインダストリアルブラック。

サンプリングやトランシーなシンセ、無機質なリズムワークを駆使し、眼前に廃墟となった未来の都市を浮かび上がらせるような作風。THE KOVENANT辺りと比べても、よりインダストリアル要素にバンドサウンドが侵食されている感じ。楽曲を通じて漂う、濃厚な終末感は好きなのですが、個人的にはもうちょっと分かりやすい聴かせどころが欲しいな…と思ってしまいます。


XERATH - III ★★ (2015-07-31 21:23:44)

2014年発表の3rd。

シンフォニックなエクストリームメタルとしては、かなり独特の路線を行く作品ですね。壮麗で悠遠なメロディを奏でるキーボードと、ゴリゴリのバンドサウンドの組み合わせ自体は他バンドとそう変わりないものですが、バンドサウンドがかなりプログレ寄りなのが大きな特徴。デス・ブラック的な禍々しさではなく、癖のあるリズムをベースにリフを絡ませる、アンサンブルを楽しませるような感じ。これが楽曲の世界観により深遠さを加えているように思います。

また、ギターのフレーズには所々メロデスに通じるような、メロディでフックを付けている箇所などもあり、さして難解さを感じさせない構成なのもいいですね。デス声をメインで使うヴォーカルの獰猛さ、ヘヴィさをしっかりと伝える高品質なプロダクションなど、音の凶悪さがしっかり伝わる出音や、華美なだけでなく、時折サイバー感も垣間見せるキーボードの音色の多様性なども魅力。

某所では「シンフォニック・グルーヴ・メタル」とも表記されていましたが、どっちかと言うとデス・ブラックのエクストリーム性とプログレッシブなアンサンブルを掛け合わせた音という印象ですね。独特の世界観を持つ、知的で暴虐なユニークなメタルです。


TARTHARIA - Bleeding for the Devil ★★ (2015-07-27 22:53:11)

2014年発表の4th。

ゴシック性を感じさせるメロブラは沢山ありますが、このバンドはその取り入れ方というか、配分が独特で面白いですよね。神秘性を感じさせるキーボード、メロウさを感じさせるリフ、一部で導入されたシアトリカルな雰囲気を醸し出す女性ヴォーカル…などは確かにゴシックに通じる感性を感じ取れるのですが、全体的にマッシブでやたらオラオラな攻撃性が感じられるのが特徴です。

特に鉈で叩き斬るようなヘヴィネスや、スラッシュメタルに通じる生々しい攻撃性を封じ込めたリフワーク、ハードコア的な獰猛さや野蛮さを感じさせるヴォーカルなどが、作風をやたらイカツイものにしているんですよね。音量は作風の割に小さい気がしなくもないですが、上げるとやたらマッチョな音になりますし。この配分の仕方ってなかなか無いものだと思います。

キーや女性ヴォーカルを取り入れた作風から、ゴシック的な陰鬱で繊細な耽美さとかを期待すると叩きのめされそうな一枚。どちらかと言うとメロブラ好きでもデスメタルの重さも好きな人にお勧め。


KROMLEK - Finis Terræ ★★ (2015-07-27 22:49:55)

2011年発表の3rd。
キャッチコピーの「アーバン・ペイガン・メタル」に惹かれて購入してしまった一枚。聴いてみると、なるほど確かに「アーバン(都会的)」と「ペイガン(民族的)」を上手く両立させている音楽性ですね。

路線としては、キーボードがピコピコ音や意図的に打ち込みっぽさを出したオーケストレーションなど、ペイガンとしてはイレギュラーな音も使いつつ、カッチリしたバンドサウンドと合わさることでモダンな雰囲気を演出したペイガンメタル…という感じでしょうか。リフの感触はメタリックかつメロディアスで、メロブラやメロデス好きにも受けそうな音だと思います。ヴォーカルのがなりも十二分に獰猛でかっこいいですね。

メタリックな熱気とフォーキーな土着性を感じさせるメロディで熱く、シリアスに聴かせるような作風ですが、時折出てくるヴァイキングメタルのようなシネマティックでエピックなメロディ、ペイガン由来の甲冑を着た戦士達が浮かぶような展開などが、凄く良いアクセントとして作用しているんですよね。上手く音や展開が一本調子にならず、劇的さを保っている感じがします。

ただ、面白い作風ではあるんですが、残念ながら2011年に活動を停止してしまったようですね。ゲストにはHEIDEVOLKやEQUILIBRIUMなど、ペイガン/ヴァイキングの有名どころのバンドのメンバーが参加してますが、これらのバンドとは一線を画したユニークな作風だっただけに、惜しいものがありますね。


SIEBENBÜRGEN - Darker Designs & Images ★★ (2015-07-22 04:19:32)

2005年発表の5th。
2000年代末に解散してるようですが、メロブラではよく名前を聞くバンドですね。実はこのバンド、ブラックメタル初心者の頃に一度聴いて駄目だったんですが、今聴き返してみると非常にかっこいい。

路線としては、もう殆どメロデスと言ってしまって差し支えないくらい、メタルとして正統なメロブラですね。刻みリフを多用したり、剰えクラシカルなギターのハモりがあったり、一般的なメロブラよりも更にメタルのお約束的なものに忠実な印象。コンセプトが吸血鬼であるせいか、女性クリーンヴォーカルによる耽美的メロディを始め所々にゴシックメタル的感性も感じられ、それが楽曲をよりドラマ性豊かにしています。

ただ、初心者の頃に一度敬遠した理由としては、パッと聴き地味に聞こえることなんですよね。刻みを多用したメタリックな音にも関わらず、ヘヴィネスを余り重視しないような音作りなので、どうもパンチに欠ける音に聴こえてしまう部分も。ちゃんと聴けば、女性ヴォーカルが華のあるメロディを歌っていたり、メロブラらしい叙情性激高のトレモロもあるしで、地味とは言えない作風なんですが。歪んだ声で語りかけるようなヴォーカルも、当時は分かりやすい狂気がなくてイマイチだと思いましたが、今聴くとこれはこれで渋くてとてもかっこいいし、何よりゴシックな音楽性にぴったり。

今聴いても若干プロダクションには不満が残りますが、メロブラとしての質は高く、ゴシックな世界観が美味しい上質な一枚。


VINTERBRIS - Solace ★★ (2015-07-22 04:14:52)

2014年発表の2nd。

アルペジオなどを用いたフォーキーなパートを配したり、トレモロリフに土着的な叙情を込めて聴かせたりなど、一言で言えばネイチャー/アトモスフェリックな感覚の強いメロブラ。…なんですが、ヘヴィさも残る音作りの中で刻みリフを聴かせるマッシブさ、疾走だけでなく力強いミディアムにも重きを置いた曲作りなどから、この手としては意外なほどにメタリックな音になっているように思います。

個人的には、このアトモスフェリックさとメタリックさの配分が、メロディの叙情性と相俟って良い感じに情景を描写出来ているように感じるんですよね。例えば、DISSECTIONが吹雪だとするなら、こちらは樹氷の並び立つ森を駆け抜けていく感じでしょうか。他のメロブラとは若干見える景色が異なる印象。また、時折断末魔のような叫び声を上げるヴォーカルも、真に迫ったものがあって良いですね。

現時点でもメロディの良さ、緩急の付け方などなかなかにレベルの高いメロブラ。もう少し垢抜ければ話題になりそうな気はしますが、逆にこの手のバンドは垢抜けきらない方がいいのかもしれませんね。


WRATHAGE - Discipline ★★ (2015-07-20 17:42:28)

2015年発表の1st。

90年代後半から活動しての初のフルアルバム、KALMAHのメンバーやCATAMENIAの元メンバー在籍、日本盤が発売され帯ではかのEMPERORが引き合いに出される…と、もう十分過ぎるくらいハクのついた作品ですね(笑)。ただ実際聴いてみると、前衛的でプログレッシブなシンフォブラックという点では後期EMPERORに通じるものの、楽曲の雰囲気は全く異なるように感じますね。

バンドサウンドの重さとシンフォ要素のスケールの大きさが交差する感覚は、むしろHOLLENTHONやVESANIA辺りの、シンフォデス要素の強いバンドとの共通性を感じます。ただし、楽曲の捻くれ度合いというか悪意性が高い音という点で、これらバンドとは確実に一線を画している気がします。神経症的なギターワーク、前衛的というか時折不可解さも感じさせる展開は、異常を来した人間の精神を覗き込んでいるかのよう。もしくは精神異常者達の演じる戯曲を眺めている感じというか、かなり異様な雰囲気が漂ってます。

楽曲の展開は凝っているし、音作りはしっかりしているしでクオリティは非常に高い…んですが、まあ確実に表現しようとしている世界観自体がEMPERORよりも人を選ぶでしょう(笑)。知性的だけどイカれている音楽好きにお勧め。


ANGELSCOURGE - Seraph Impaler ★★★ (2015-07-19 11:55:05)

2015年発表の1st。

ネット上で触りだけ聴いて、良かったので購入しましたが、これはかなり良質なメロブラですね。裸の女性が串刺しにされるという、何とも背徳的で暴力的なジャケットが示すように、衝動的で荒々しい雰囲気を持ちながらも、ヘヴィメタルとしてごく真っ当なドラマティックさも持ち合わせた作風。リフに込められたメロディにはメリハリがありますし、展開も疾走一辺倒ではなく、かなり劇的に聴こえます。ブラックとしてはソロにも力を入れてるのも特徴ですね。

個人的に購入への決定打になったのは、メロディのセンスですね。メタル者らしい哀愁と熱さが混在するようなメロディ使いをする場面もありますが、時折かなり暗く湿った、鬱気味のメロディが出てくるのがたまらないです。和風ホラーにも通じる湿り気というか、聴いてると「仏滅」とか「大凶」のような言葉が浮かんできます(笑)。これと劫火の如き疾走、獰猛で衝動を吐き出すようなヴォーカルが合わさると、凄まじく凄惨な光景が浮かんできます。

同じフィンランド産ということで、SATANIC WARMASTERが引き合いに出されることが多いバンドですが、こちらの方がより疾走が多く、分かりやすい攻撃性のある音だと思います。真っ当すぎるくらい真っ当なメロブラで、衒った部分はほぼ無いに等しいですけど、その分心地良く聴けますね。


OMNIA MALIS EST - Víteliú ★★★ (2015-06-14 11:58:31)

2015年発表の1st。

…これ、メロブラの中でも少なく見積もっても良盤、もしかしたら名盤と言っても良いくらいの作品かもしれません。本当に、この作品の日本盤リリースに踏み切ったHidden Marlyには感謝しかありません。是非、今後ともご贔屓にさせていただきたいものです(笑)。

路線としては、クリアながらややブラックメタルらしいRawさを残したプロダクションの中で、中世的なメロディがトレモロリフ中心に非常にドラマティックに奏でられる、極上にメロディアスなブラック。音質といい、獰猛ながなり声を聴かせるヴォーカルやブラストを中心に攻め立てる苛烈極まりないリズムなど、ドラマ性の中にブラックメタルの衝動性も色濃く息づいているのが本当に素晴らしい。

非常にメロディアスな作風なんですが、メタリックになることで結果的にメロデスにも接近していたNAGLFARやDISSECTION、NECROPHONIC辺りとはまた異なるメロブラ観を見せてくれる作品。最近聴いたバンドだと、メロさ的にSUHNOPFER辺りを思い起こさせますが、耽美メロをひたすら浴びせかけるあちらに対し、こちらはヴァイキングにも通じる土着性・叙事性と、メロディの起伏によるドラマティックさを強く感じさせてくれます。

ドラマティックでエピックな、メロディに満ちた作品であるのに、聴き心地にブラックメタル特有の衝動性もしっかり感じさせてくれる、稀有な作品。個人的にはめちゃくちゃ癒されます(笑)。


ADKAN - Compendivm XI ★★★ (2015-06-09 22:28:43)

2014年発表のコンピレーションアルバム。
2003年の「Black Dominions」、2006年の「Infernal」、2010年の「Insanity from your Nails」の3本のデモを纏め、ボーナストラックを付けた編集盤。

この中の、「Infernal」パートに収録の「Vincent」という楽曲を試聴したんですが、もう一聴き惚れでしたね…。様式自体はプリミティブブラックそのものなんですが、Satanicなだけでなく、「Majesty」をも感じさせる邪悪極まりない、それでいてメロウなトレモロ、メリハリ付けつつもブラストパートではヤケクソな炸裂感を感じさせるリズム、喉が張り裂けるような感情の篭もった絶叫の中に、ドスの聴いた怒声を混じらせるヴォーカル…と、どの要素を取り上げても、このジャンルの音として滅茶苦茶ハイレベル。CRAFTやARCKANUMの音源同様、作り手がブラックメタルに取り憑かれているのが音から伝わるかのよう。

「Infernal」の音源からはそんな印象を受け、個人的に物凄くドツボに嵌まったんですが、残り二つのパートも悪くない…というか、「Infernal」が素晴らし過ぎたせいで若干霞んでますが、こちらも凄まじく良質なプリブラ。「Black Dominions」デモは、高音域のノイズを強調した音質と、バスドラの低音が噛み合った音が気持ち良く、プリミティブで邪悪さ満点な中にも正統派に通じるようなメロディのドラマ性があるのも素晴らしい。「Insanity~」デモは、メロディから感じるカタルシスが上がったのと、リフの歪め方がより破壊的になり、スラッシーなフレーズの攻撃性が更にアップしていて、もっとドラマティックな作風に仕上がっている感じ。個人的には、どす黒くもコシのある音質で、最もストレートに邪悪さが伝わる「Infernal」デモの音源が、やはり一番好きです。

某脚本家とかハンターハンターの雑魚敵を思い起こさせるようなバンド名ですが、音楽性は本当に素晴らしい!日本盤が出たことで注目しましたが、ほんと良いバンド見つけてきたな…という感じです。


SATANIC WARMASTER - Fimbulwinter ★★★ (2015-06-06 18:49:09)

2014年発表の5th。
発表の翌年、Zero Dimensionalから日本盤も出てますね。

巷でも言われている通り、前作と比べると音質が大分良くなり、この手の初心者でもしっかり魅力を感じられるレベルにまで聴きやすくなりました…が、あくまでもRawブラックの中においての「聴きやすい」なので注意です(笑)。当然、衝動性を損なうような整え方はしていませんし、ザリザリと削るようなトレモロの音色はやはりSATANIC WARMASTERだなぁ…と、聴いていて再認識してしまいます。

音が(それなりに)聴きやすくなったのに合わせて、楽曲の方も若干メジャーっぽさが出てきた…ような…?一曲目から密かにオーケストラヒット使ってますし、二曲目ではかつてのDISSECTIONを思わせるような、あからさまにメロウでメロいフレーズも登場。ただ、SATANIC WARMASTERの楽曲って、もともとブラックメタルのサタニックな雰囲気や衝動性と、メタル本来の熱さやドラマ性が上手く同居しているので、音質の向上で元から持っていたドラマ性が浮き彫りになった…と言った方がいいのかもしれません。

今作は「Strength & Honor」の如何にもプリミティブ然とした荒っぽさとか、「Carelian Satanist Madness」の耳を害するようなノイジーさが駄目だった人にも受け入れられる作品だと思います。それでいてSATANIC WARMASTERらしさも損なわれておらず、期待通りの良質な作品と言えると思います。


MACTÄTUS - Blot ★★ (2015-06-06 18:41:17)

97年発表の1st。
2000年、2013年にそれぞれ再発されてます。

出だしの絶叫を重ねた部分が、どうもわざとらしく聴こえてしまい…微妙なアルバムかと思いかけましたが中身はごくごくまともなノルウェー産ブラックという感じで、再発されるのも頷ける作品ですね。97年というと、ブラックメタルとしては黎明期が終わったくらいの頃でしょうか。初期ブラックの空気感を色濃く残した、如何にもといった感じのブラックです。

黎明期のノルウェー産のブラックと言えば、衝動性の中にサタニズムや土着性など、ダークな感性が感じられるのが特徴だったと思いますが、このバンドも正にそんな感じ。サタニックなトレモロを重視し、オールドスクールな展開を見せる作風は王道のブラックといえますし、神秘的なキーボードの導入、リバーブの掛かったヴォーカルなどによる雰囲気の演出も上手い。

ただ、名の知れたバンドと比較すると、どうしても地味に感じてしまうのがネックでしょうか…。よく言えば燻し銀とかストイックとか言えそうな気もしますが…。取りあえず良作ではあると思います。


FJORSVARTNIR - Legions of the North ★★★ (2015-06-05 10:49:26)

2012年発表の1st。
2014年にHidden Marlyから日本盤がリリースされてます。

…もう、この作品を日本の音楽市場に流通させてくれたHidden Marlyにはグッドジョブの一言ですね!帯のコメントに「ブラックメタルと呼ばれたサウンドを忠実に守った一枚」とありますが、そのコメントが全てを物語っています。デンマークのバンドですが、例えばGORGOROTHや初期EMPERORなど、黎明期のノルウェー産ブラックの音を現在に蘇らせたような作風なんですよね。

時々オールドスクールさも覗かせるバンドサウンドに、サタニックで禍々しいだけでなく、土着文化への敬意や自然への畏敬を感じさせるような雰囲気など、衝動性と感性の混じり具合があの頃のブラックメタル作品に近いものを感じさせますね。作風自体も神秘的なキーボードの導入、叙情性の高いリードギターなどはあるものの、ブラックの様式をかっちり守っている感じですが、それ以上に聴き心地というか雰囲気が黎明期ブラックに近くて素晴らしいです。

ブラックメタル好きのツボを適格に突いてくる一枚だと思います。最近のブラックで、何を買おうか迷っている方は是非。お勧めです。


IFING - Against This Weald ★★ (2015-06-05 10:46:02)

2014年発表の1st。

フォーク・民族音楽の要素を取り入れ、叙情的なメロディを聴かせるメロディック・ブラック。パートによっては笛なども導入されているものの、お祭り的な雰囲気は一切感じさせず、薄暗い森の中を疾走するような、ひたすらにシリアスでアトモスフェリックな路線。うっすらと掛かった神秘的なキーボード、大作主義な楽曲構成が北欧の光の差さない森を描写するかのようです…アメリカのバンドですが(笑)。

音楽性の根っこが「フォーキーなメロブラ」であるせいか、アトモスフェリックで情景的な要素の強いブラックとしては、音が抽象的すぎず聴きやすい按配なのが特徴。特にリフがメロディを主導するパートも多く、明瞭である意味クサめのメロディをリフが担う部分もあるので、ポストブラックに苦手意識のある人でも割りと受け入れやすい音なんじゃないかと思います。

薄暗い森の中を駆けるような、情景的で叙情的なフォーク/メロディックブラック。暗めの叙情性を好む方にお勧めです。


RAUHNÅCHT - Urzeitgeist ★★★ (2015-06-04 18:35:35)

2014年発表の2nd。
2012年発表の4曲入りEP(33枚限定…)と同タイトルですが、追加曲がボーナストラックも収録され、フルアルバムのサイズの作品として仕上がってます。

冷たく叙情的なメロディをリフに込め展開する、メロディックなブラックメタルですが、北欧勢の凍てつく吹雪のようなムードとはまた違った雰囲気のあるメロディ傾向の作品ですね。冷徹というか、どこか無慈悲な感触のある冷たさ。そこにキーボード等も配した、フォーキーな叙情がスパイスとして加えられ、味わい深いブラックになっている感じがします。

最近のSatyrを思わせる鋭いがなり声もかっこいいですし、ドラマティックでハイクオリティなブラックですが…時折ブラック特有のノイジーなリフで音の壁を作り出しつつ、一つの展開を長めのスパンで聴かせる事で、スケールの大きさを演出するようなアトモスフェリック・ブラック的なアプローチも垣間見える辺り、若干癖がある感じでしょうか。そういう要素と、オールドスクールな部分が共存してる辺り、個人的には興味深く聴けました。

何よりこのアルバム、雰囲気が凄く良いんですよね。この北欧勢とはちょっと趣を異にする冷たさが凄く心地良い。質も高いですし、かなりお勧めの作品です。


ALRAUNE - The Process of Self-Immolation ★★ (2015-06-04 18:32:48)

2014年発表の1st。
「アルラウネ」って、RPGとかではよく見かける、ゲーマーにはお馴染みの単語ですよね(笑)。しかも発売元がProfound Loreとあっては、何となく買ってしまう心情も理解していただける事かと思います(笑)。

路線的には、深く歪んだ音像、スパンの長い展開、トレモロによる叙情メロなど、いわゆるカスカディアン的な特徴を多く備えたブラック。ただしこの手のバンドが共通して持つ、自然崇拝的な感触は薄く、トレモロによって紡がれるメロディには魔術的というか、オカルトっぽさが強いように思えます。ショップではASH BORERとの類似が指摘されてましたが、私も近いバンドを挙げるならASH BORERですね。

この作品、何気に疾走パートがダイナミックでかっこいいんですよね。適宜疾走感を増すようなオカズを伴いつつ、ハードコア的な炸裂感を感じさせながらの爆走が耳に気持ち良い。元々ポストハードコア等とは親和性の高いジャンルですし、こういうサウンドも頷けます。この手の一つの展開を長めに取るバンドって、如何にダレを感じさせず聴き手を世界観に引き込むか…というのがありますが、このバンドはその辺りかなり上手くやっていると思います。

アトモスフェリックで、かつブラックとしての邪悪さやオカルト性も強いバンドが好きであれば、買って損はない作品かと。


ORAKLE - Eclats ★★★ (2015-06-03 22:04:32)

2015年発表の3rd。

…これは最早ブラックメタルというより、エクストリームメタルの要素も若干あるプレグレメタルと言った方が良いくらい、プログレ要素の濃いブラックですね。ディープなグロウルや疾走パートなどもあるものの、基本的にはジャズに影響されたような引っ掛かりのあるリズムと、それを中心に展開される知性的アンサンブルで聴かせる音で、ヴォーカルもマイルドなクリーンパートの比率がかなり高め。

個人的に特筆すべきなのは、楽曲の雰囲気にEMPERORの「Prometheus」アルバムであるとか、IHSAHNの「After」以降のプログレ・前衛路線を強めた作品群であるとか、あれらの作品と共通するような、ダークな神話的・神秘的な世界観が感じられることですね。特にギターの、熱に浮かされながら悪夢を見ているかのような、生理的な部分にまで訴えかけてくる神秘性を感じるフレーズがもうたまりません。

これは凄く良いアルバムだと思います。攻撃性とかストレートな邪悪さとかは望むべくもありませんが、全編を通じてどこか深遠で神秘的な雰囲気の裏に悪意が隠されているような雰囲気が漂っていて、フレーズや展開のひとつひとつにわくわく出来る作品です。ポスト/アヴァンギャルド/プログレッシブブラックに抵抗が無いようでしたらお勧め。後期EMPERORやARCTURUS、IN VAINなど北欧のエリート達にも通じる空気感を演出できる稀有なバンドです。


AS LIGHT DIES - TLA vol.1 ★★★ (2015-06-02 22:22:14)

2014年発表の3rd。

日本盤が出てたので、何となく購入しましたが、これが非常に面白いブラック。
一言で言うならば、キーボードによるシンフォニックなアレンジや、引っかかりのあるリズムやマイルドでナルシスティックなクリーンヴォーカルを導入した知的で前衛的な構成から、シンフォニック/プログレッシブ・ブラック…という感じになるんでしょうが、楽曲に様々な要素・アイデアが取り入れられており、最初聴いた時は「ブラックメタルを聴いた」という気がしなかったほど(Encyclodaedia Metallumの分類でもデス/ブラック/ゴシック/ドゥームとなっていますね)。

時折聴ける、儚さを軌跡として残していくようなトレモロは明らかにメロディック・ブラック的なんですが、パンキッシュで刺々しいリフが出てきたり、一筋縄ではいかないプログレ的リズム構成を取り入れたり、一つのジャンルに拘泥するのを拒絶するかのような展開を見せます。シューゲイザーブラック勢にも通じる儚さを演出したり、重くのしかかるようなヘヴィさを醸し出してみせたり、リフを聴かせるための音響の弄り方も面白いです。

…ただ、これだけ様々なアイデアを取り入れながら、アルバム全体がなにか一つの美学のようなものに貫かれているように感じられるのが面白いところ。台詞なども入った、SE的なパートを挟みつつ進行していくアルバムの流れもあって、どこか頽廃的な演劇を見ているような雰囲気がありますね。ただ、音量大きめなのに若干軽い音色のリズムパートなど、少しだけですがチープさを感じられてしまう部分も…。

とは言っても、ユニークで面白いブラックである事は間違いないかと。出来ればじっくりと付き合って楽しみたい作品。これで初聴でもがっつり聴き手を取り込むようなフックも備えたら、更に素晴らしく化けそうです。


MALHKEBRE - Revelation ★★★ (2015-05-31 12:33:22)

2014年発表の1st。
何気にMARE COGNITUMと同レーベルに所属なんですね。

…どこか不健康な作風の多いフレンチブラックの中でも、一歩抜きん出たグロテスクさを持つ作品。作風というか使われているパーツ自体は、ややノイジーなギターの音色、フレンチブラックらしい独特の美学が伝わるような、病的耽美トレモロ、ブラストを多用した攻撃的なリズム…など、ブラックメタルの枠を大幅にはみ出すようなものではないんですが…それなのに、独特の気持ち悪さや陰湿さが漂っているのが、ある意味で凄いです。

まず展開が気持ち悪い。普通に攻める事をまるで良しとしないような、奇妙なストップ&ゴーもしくはスロウダウン&スピードアップの連続が、妙に耳に引っかかるんですよね…。そして輪を掛けて異様なのがヴォーカル。「呪文を唱える」というには余りにも覇気の無いおっさんヴォイスのクリーンでだらだら歌ってみせたり、変にいきんだがなりを聴かせたり…展開との相乗効果もあって、凄まじく病的な雰囲気を醸し出してます。

ただ、フレンチブラックらしい暗黒耽美メロをたっぷり乗せたトレモロリフには、この手の音楽好きを惹き付けるに十分な魅力がありますし、決してグロテスクなだけの音楽でない事は確かです。まるで自身の顔に薬品を掛けて、爛れた姿に美を見出している心を病んだナルシストのような、いかれた作品。気に入る人は心底気に入ると思います。


MARE COGNITUM - Phobos Monolith ★★★ (2015-05-31 11:46:59)

2014年発表の3rd。
バンド名はおそらくラテン語で「意識の海」でしょうか?

ギターリフの轟音の壁が、意識を現実と断絶させるような、どこか夢見るような雰囲気を醸し出しつつ、神秘的なトレモロリフのメロディと絶叫ヴォーカルを伴い、疾走していく、ポスト/シューゲイザーブラック勢やカスカディアン勢に通じるブラックメタル。ただしカスカディアン勢の自然崇拝的な雰囲気は希薄で、こちらは意識に作用しコズミックな情景を演出するような、どこか思索的というか哲学的な印象の音。

…と言っても、その演出すべきムードを全て音に変換できている感じで、小難しくなく音に身を委ねられるのが良いですね。例えば一曲目の6分を少し越えた辺りのパートなど、聴かせどころではトレモロのメロディをはっきり、音程の上下をくっきり聴かせてくれる辺り、この手としてもメリハリの付いた音に仕上がっていると思います。個人的には、この手はやはりこれくらいメロディにフックがある…というかメロディの主張が強い方が好きですね。

私はこの手のアトモスフェリック・ブラックでは余程空間演出が上手くない限り、メロディが地味だと飽きて音の世界に集中できなくなってしまうんですが、この作品は良い感じにフックがあるのでどんどん引き込まれていきます。気分ではないときにかけていても、いつの間にか引き込まれてる魅力を持った良盤です。


PROJEKT K-OZ - The One Eyed God ★★ (2015-05-30 22:10:54)

2014年発表の1st。

MUTIILATIONのMeyhna’chの新プロジェクトという事で注目されている作品ですが、MUTIILATIONで演っていたような病みプリミティブブラックの面影は無く、なんとインダストリアル・ドゥーム。無機質に刻まれるインダストリアル・ビートの上を機械音的なサンプリングやMeyhna’chのダウナーで生きる気力を奪うようながなり声が乗り、終末感の強いサイバーな空間を構築。

今までと全く違う路線にも拘らず、どこか頽廃的なムードが漂っているのは流石Meyhna’chと言ったところでしょうか。ただし、今作はMUTIILATIONで聴けたような、あの独特な病的さを醸し出すメロディはおそらく意図的にオミットされており、乾いた無常感を演出するような作風なので、その辺りを求めてしまうと多少物足りなさを感じるかもしれません。ヴォーカルも決して主役な感じではないですし。

個人的には、作風が変わっても人を寄せ付けないような、頽廃的な雰囲気を出してるのが良いと思いますね。ただ、MUTIILATIONのネームヴァリューで買うにはちょっと微妙…といったところでしょうか。


MAN'S GIN - Smiling Dogs (2015-05-30 21:12:31)

2010年発表の1st。

ブラックメタルにトライバルなリズムを導入し、ブラックが本来持つ暴力性や野蛮さに、サイケデリックな陶酔性を融合させた音楽性でカルトな支持を集めたCOBALTのメンバー、Erik Wunder氏によるフォークプロジェクトという事で購入。COBALTでもフォークを目一杯暗黒方向に解釈し、儀式的な雰囲気を醸し出すようなパートがあったので、そのムードをブーストしたような作品を期待し購入したのですが…。

ぶっちゃけ微妙ですね、この作品…。COBALTで見せたようなダークさは「あるっちゃある」程度で、アコギメインの牧歌的な演奏に、おっさんのダミ声によるまろやかなメロディを乗せた作風で、COBALTと比較しての「ダークじゃなさ」にびっくりです…。セッションを楽しんでいるような雰囲気のパートもありますし、COBALTの作風から暗黒系を期待すると大分肩透かしかも。

ただ、それは期待してた路線と違うというだけで、ちょっとダークなフォーク作品を求めるならもしかしたらかなり良い作品なのかもしれません。とは言っても個人的な好みとしては☆一個ですかね…。改めてCOBALTの作品を聴くと、やはりそっちは素晴らしいと思うんですが。


WILL OF THE ANCIENTS - To Our Glorious Dead ★★★ (2015-05-27 22:22:41)

2013年発表の2nd。
自主制作でしたが、翌年にPRC Musicより再発されました。

…オリジナル盤が出たのは2年前とはいえ、去年発売されたCDとしては信じられないくらいの値段で中古で投げ売られてたのでサルベージ。と、軽い気持ちで購入しましたが、これがフルプライス払ったとしても全く惜しくないくらいの、メロディックブラックの良盤。ブラックメタル本来のエクストリームさと、正統派メタルのメロディアスさやドラマティックな楽曲構成、そしてそこはかとなく漂うペイガン臭を組み合わせ、劇的でメリハリのある展開のメロディックブラックを聴かせます。

このバンド、楽曲が良いですよね。アルバム全体で聴ける、時に勇壮に、時に哀愁たっぷりに聴かせるギターメロディが非常に豊潤で素晴らしいんですが、ブラスト時の畳み掛けやヴォーカルのがなりの獰猛さなど、聴きやすい音ながらエクストリームメタルとして温くないのがまた良いんですよね。時折入るヴォーカルのクリーンなど、若干ヴァイキング的な雰囲気も感じられます。ラストのアルバムタイトルを冠した、18分の大作曲のクライマックス部分等は、ENSLAVEDの「Isa」アルバムを想起させるような壮大さ。正直、ここまで良いアルバムとは予想してませんでした…。

真性・プリミティブ系のような、一般的なメタル愛好家が眉を顰めるような邪悪さはありませんが、正統派メタルに通じるドラマ性と、ペイガン的な神秘性や哀愁が見事に合わさった良質なメロブラを展開。比較するとこちらはかなり分かりやすい音楽性ですが、ORPHAND LANDやIN VAINなどのドラマ性高い作風好きな人も気に入るかも。…どうでもいいですが、このバンドってバンドの頭文字を取ると「wota」なんですね(笑)。ヲタ…。


WILLOOS - Als Loze Willen Dwalen ★★ (2015-05-26 06:00:15)

2012年発表の2nd。
Self Mutilation Servicesより500枚限定でリリース。

もうイントロの、ノイジーなギターがアトモスフェリックなムードを醸し出し、そのままミッドテンポで悲壮感溢れる本編に雪崩れ込む展開からして、BURZUMへのリスペクトが感じられますよね。ただし、鬱ブラックであることは疑いないですが、BURZUMの深遠でダークな雰囲気というよりは、メロディにはポスト/シューゲイザー系のエモーショナルで儚げな、泣き要素が強い印象があります。

構成は割と大作主義ですが、ミニマルなだけでなく、リードギターによる琴線を掻き毟る事必至なメロディが大フィーチャーされていたり、なかなかにドラマティック。ただ、若干ミニマルな作りのせいか、パートによってはちょっと派手になりすぎないように意識してる感があるような…。個人的には、トレモロの海に溺れさせるような劇的なパートが凄く好きなので、全編そんな感じでも良かったのですが(笑)。

流石にSelf Mutilationから出てるだけあって、表現したいものがはっきりしている作品だと思います。こういう感情の篭もった作品が好きであれば共感できるかと。


FALLS OF RAUROS - Believe in No Coming Shore ★★ (2015-05-24 12:38:06)

2014年発表の3rd。

2011年の2ndが結構多くのレビューサイトで評価されたり、割と話題になっていたようですが、今更になって聴いてみました。タイプとしては、フォーキーな色の強い叙情メロを、悲痛に叫ぶヴォーカルとディストーションの強い音像が強調し、より悲壮感を持って聴かせるネイチャー/アトモスフェリック・ブラック路線。この、涙を流しながら前に進んでいくような、悲壮な決意でも感じられそうな雰囲気は新世代のブラック特有ですよね。

このバンドは、その中でもメタルとしてかなり取っ付き易い音なんじゃないかと思います。展開も過剰にミニマルになることなく、ドラマ性たっぷりに緩急付けて聴かせるものですし、叙情的なリードギターのソロを結構長めに聴かせたり、渋い泣きの感じられるアルペジオをフィーチャーしたり、構成するパーツが比較的メタリックな感じなんですよね。ポスト方向に行き過ぎていない聴きやすさがあると思います。

他の似た系統のバンド…例えばVALLENDUSKなんかと比べると、若干ダークさは弱めで個人的にはそこがちょっと物足りなかったりするんですが、泣きメロや悲壮でエモーショナルな雰囲気を求めるならば、かなり良いアルバムではないかと思います。


HARAKIRI FOR THE SKY - Harakiri for the Sky ★★★ (2015-05-23 20:58:43)

2012年発表の1st。

日本人なら、どうしても気になってしまうバンド名ですよね(笑)。私もそれに釣られて購入しましたが、これがかなりの「当り」盤で驚きました。基本的にはエモーショナルなメロディを、ブラックメタルらしいトレモロを多用しつつ、ディストーションの強い音像で聴かせる、シューゲイザー/ポストハードコア要素の強いブラック…という感じですが、音に迫力があり、それが楽曲と実にマッチしているのが素晴らしいんですよね。

ダイナミックなドラムのミックス、「音の壁」を作るようなディストーション、その中でもはっきり聴こえる繊細なトレモロ、そしてハードコアのヤケクソさが感じられるような、何かを必死に訴えかけるような、歪み切った怒号ヴォーカル…それらが一体となって迫り来る音像は、聴き手の心をも揺さぶること必至です。そして楽曲そのものも、この手としてもかなり良いと思う。ただ悲痛な迫力で押すだけじゃなく、泣かせにかかるようなミディアムからツーバス連打に繋げ、ドラマ性たっぷりに展開していくなど、構成もホント上手い。

独特なバンド名に釣られた人も多ければ、逆に敬遠してしまっている人も多いかもしれません。しかしこれ、かなり素晴らしいので敬遠するには余りにももったいないです。そういえば2ndのタイトルが「Aokigahara」ですが、メンバーは日本フリークなのでしょうか…?


PANZERCHRIST - 7th Offensive ★★ (2015-05-23 20:53:58)

2013年発表の7th。

93年から活動しているようなので、20周年のアルバムですね。キャリアのあるバンドらしく、非常にハイクオリティなエクストリーム・メタルを展開しています。路線としてはデス要素の強い非常にブルータルなブラックという感じで、速弾きのリードフレーズを多用していたり、かなりメタリックな印象の強い音。

時折挿入されるブラック由来の禍々しいトレモロ、ドスの効いたグロウルに挟まれる切羽詰ったような絶叫が、良い感じに禍々しさを醸し出していますね。超スピードながら粒の揃った音のドラミングといい、整ったプロダクションといい、攻撃性の中にも安定したクオリティと、貫禄を感じるような音。ただ個人的には、楽曲に安定感ありすぎるのが逆に「もう一声」と思う要因に感じるかも。もうちょっとイカれて欲しいというか。

とは言え、キャリア通りの質の高さがあるエクストリームメタルですので、この手が好きならば買ってまず損はしないかと。音の整ったファストパートがとても気持ち良い。


THE UNCHAINING - Ruins at Dusk (2015-05-23 20:53:07)

2013年発表の1st。

一つの展開のスパンを長めに取り、スケールの大きさを演出しようという構成、ノイジーなリフによる靄の掛かったような神秘的な音像、フォークからの影響の強い叙情的なメロディや、笛の音色などの導入…と、一言で言えばネイチャー系、アトモスフェリック系のブラックメタルという感じですが…これは、この手でも結構ニッチな音という感じがします(笑)。

ミディアムで淡々とした展開、もっさりしたディストーション、妙にガラガラしたヴォーカルなどが、どうも個人的には緊張感を損なっているような印象があるんですよね…。ただし、その上で展開される、トレモロや笛(っぽいキーボード)による幽玄かつ叙情的なメロディは、単なるニッチで終わることを許さない魅力があると思います。この作品、自主制作でリリースした翌年に、Behemoth Productionsが再発してるんですが、確かに目を付ける理由があるな…と思いました。

ただまあ、相当にマニア向けな音であることは間違いないような気がします(笑)。この手にハマっている人ならば、この音像で逆にリラックスできるかも…。


AKHLYS - The Dreaming I ★★★ (2015-05-18 00:04:16)

2015年発表の2nd。
NIGHTBRINGERのNaas Alcameth氏のバンドの新作と言うことで、取り合えず試聴してみましたが…次の日即買いに走りました(笑)。最高じゃないですか、これ…。

NIGHTBRINGERや、その関連バンドであるBESTIA ARCANA、INCURSUSなどと同様、禍々しい瘴気を放つトレモロを中心に、邪悪でアトモスフェリックな雰囲気を演出するブラックメタルですが…「闇の濃さ」という点から見れば、これらのバンドの中でも随一かもしれません。

意図的に残響感を醸し出したような音像の中で、百人が聴いて百人が邪悪さを感じ取るであろう、ある意味分かりやすいトレモロや、悪寒と戦慄が走るようなアルペジオ、ブラストを中心とし、グルーヴよりも非人間的であることを重視したような苛烈なリズムなどが織り成す音階は、最早「楽曲」というよりも「邪悪の波動」をそのまま具現化したかのような感じ。この音と比べると、近年のNIGHTBRINGERはまだメタリックだなぁ…と思います。

好事家であれば、邪悪なトレモロが発する波動を浴びているだけで恍惚となれるアルバム。例えば、ポストブラックを聴いて、トレモロ含有率には満足しつつもメロディの邪悪さには満足できなかった人なんかは、もうどツボに嵌まるのではないでしょうか。ホント素晴らしいです!


REGARDE LES HOMMES TOMBER - Regarde les hommes tomber ★★★ (2015-05-11 11:03:37)

2013年発表の1st。

…まずはこのジャケを見て欲しいです。
思わずジャケ買いしてしまいそうな、美しく破滅的な光景が描かれてますね。このアートワークが余りにも素晴らしかったので、試聴してみたら音の方も見劣りしないクオリティだったので、即購入決定でした。
タイプとしては、ブラックメタルの禍々しい雰囲気をスラッジの重々しさがブーストする…という感じで、元々相性のいいジャンルを組み合わせた音楽性だとは思いますが…雰囲気の演出の上手さは、この手のバンドとしてもトップクラスなのではないでしょうか。

神秘性と禍々しさを兼ね備えた、破滅を感じさせるようなトレモロと、スラッジに由来する焼け付くような、質量感のある引き摺りリフの音色が合わさると、本当に何か人智の及ばないスケールでの滅亡が展開されているようなムードが演出されますね。ショップではこのバンドのサウンドを「アポカリプティック(黙示録的)」と評していましたが、それを表すのに最適な一語だと思います。空一面を覆い尽くすどす黒い雷雲、その隙間から差すヤコブの梯子、それを伝い襲来する、地上に破滅をもたらす異形の天使達…そんな感じの光景が浮かんでくる音ですね。

DEATHSPELL OMEGA辺りとはまた違う路線ですが、宗教色の強い、スピリチュアルな光景を見せてくれるバンドなので、その辺りのバンドを好んで聴いている人にもお勧めできると思います。世界の破滅を高みから眺めているようでとても気分がいいです(笑)。


REGARDE LES HOMMES TOMBER ★★ (2015-05-11 11:01:56)

フランス産ブラック/スラッジ。
バンド名を直訳すれば「倒れた男を見よ」のような感じだと思いますが(フランス語分からないので多分)、由来はジャック・オーディアールの映画作品から。ちなみにこの映画(Regarde les Hommes Tomber)、日本では「天使が隣で眠る夜」とのタイトルで出てますね。


チャイナバタフライプレコ ★★★ (2015-05-10 03:19:54)

小型のエイのようなフォルムを持つ魚で、実はプレコよりも鯉やドジョウに近い魚なんだとか。クーリーローチ(見た目ウミヘビ)と混泳させれば、なんとなく海の魚を飼っているような気分。壁に張り付いていると大人しそうに見えますが、結構動き回る魚ですね。この手の魚は苔取り用として売られていることが多いですが、大抵の場合大食漢なのでいずれ人工飼料が必要になります。


クーリーローチ ★★★ (2015-05-10 03:14:46)

黄色と黒の縞模様を持つドジョウの一種で、まるでちっちゃいウミヘビのようなフォルムの魚。髭をたくわえた口をモグモグさせる様はとても愛らしいです。ただ、ヒーターのカバーの中に入り込んだり、夜中にやむを得ず電気を付けるとパニックになったり、色々心配させる魚でもあります。特にパニック起こしたときの超スピードは信じられないほど。可愛くて丈夫で良い魚ですけどね。


アスピドラス ★★★ (2015-05-10 03:09:19)

小型のナマズの一種で、コリドラスとは近似種とのことですが…見た目がちょっと違うだけで、ほぼコリドラスですよね(笑)。髭を使って底を這い回ったり、息継ぎ(?)で急浮上したり、挙動は多少遊泳性高いくらいで、ほぼコリドラスそのもの。
ちなみにエウリケファルスという品種を購入しましたが、結構レアな品種らしくうちにいる熱帯魚の中では一番高価です(笑)。コリドラスにも似たような色合いの魚はいるんですが…体高が低めで、しゅっとしたフォルムが気に入ったので購入してしまいました。


Robotics;notes (2015-05-10 03:01:52)

2012年に5pbが発表したADV。
PS3、XBOX360で発表後、VITAにも移植されました。

最近どうも刺激が足りず、ゲームでもやろうかな…と思い、以前プレイして滅茶苦茶面白かった「シュタインズゲート」の関連作品という事で、手にとってみましたが…。すみません、このゲーム、微妙じゃないですか…?

何といっても、システムとストーリーに整合性が無いのが駄目です。
メニュー画面を開き、キャラクターのツイッターに返信する事でフラグを形成し、フラグの立ったキャラに応じて5章以降のチャプターが開放されるというシステムですが…フラグ形成が攻略サイト無しでは困難なほど難しい上に、一度のプレイで一つのチャプターしか開放されず(そのチャプターをプレイすると一旦エンディングになる)、もう一度やり直すか、フラグ成立前のデータをリロードしないと新しいチャプターが開放されないという、超めんどくさい仕様。

…百歩譲って、仕様自体はまあいいと思います。超めんどくさいけど。問題は、フラグを立てて得たチャプターが終わるごとに一度エンディングを迎えるのにも関わらず、それらが一本のストーリーで繋がっている…という事ですね。大筋の結末が一つで、バッドエンド以外のストーリー分岐はないのに、1~5章を周回プレイする必要がどこにあるんでしょう…。全部のストーリーを一気に見せたらただの紙芝居になるので、どこかにゲーム性を…と考えたのかもしれませんが、これなら紙芝居システムの方が100倍マシというものです。

ストーリーも伏線丸投げな部分が目立ったり、いとも簡単にラスボスへの対策が手に入ったり、シュタインズゲートと比べると粗が目立つ感じ。サイドストーリー集的な続編を見込んでのことなのかもしれませんが、その作品での伏線はその作品の中で回収して欲しいものです。日常に少しずつ影が忍び寄ってるような描写はスリリングではありましたが…それが姿を現してからの展開にもっとパンチが欲しかったです。

まあ一番の問題点は「周回プレイの必然性がないのに、周回プレイが必要なシステム」これに尽きます。プレイ後に色々レビューサイトなども見てみましたが、ここだけでも何とかできれば、ここまで酷評されることはなかったのではないでしょうか。


EMPTY - Etica Profana Negativa ★★ (2015-04-21 22:21:03)

2014年発表の4th。
タイトルは冒涜的で否定的な道徳律、の意味でしょうか。

何気に結成してから20年ほど存続しているバンドらしいですが、ベテランらしいクオリティの高さだけでなく、衝動性や狂気という部分も兼ね備えた、ストレートなブラックメタル。個人的には、まだプリミティブな質感を残していた頃のWATAINを思い起こしました。

フレーズを損なわない程度のRawさを湛えたプロダクションや、ざらついた音質によるトレモロリフの寒々しさの強調など、ブラックメタルのツボを理解して演出して聴かせるような、曲作りの巧みさがありますが、全体的にヒリヒリした緊張感が感じられたり、ヴォーカルが悲痛な叫び声を上げていたり、メジャーなバンドと比較すると人を寄せ付けないようなムードが濃いような印象があります。ミサンスロピックな雰囲気の音楽を愛好する人にとっては、当然プラスな要素でしょう。

クオリティの高さと、それだけではない狂気を孕んだ一枚。ドスの効いた邪悪さがありますが、個人的にはもう一押し何らかのセールスポイントが欲しかったところです。


DIOCLETIAN - Gesundrian ★★★ (2015-04-14 22:05:59)

2014年発表の3rd。

ブラックメタル関連としては大手のレーベルであるOsmoseからリリースしていたり、ウォーブラックの中でも高い知名度や評価を受けているバンドですが…これは凄まじいです。低音にドスを効かせた、猥雑で冒涜的なムードを醸し出すプロダクションは如何にもウォーブラック的ではありますが、よく聴くと音の分離自体は良くて、ウォー系のやけっぱちさと質の高さを両立させた、レベルの高い音作りである事が分かります。

その音で奏でられる、演奏の破壊衝動撒き散らし振りも凄まじい。ドス黒い澱のような音の中から、暴風雨のように荒れ狂うドラミングが聴こえてくる。あたかも大地を焦土に変えつつ進む兵器のような迫力があります。時折不吉なメロディをリフに練り込み、より暗黒度を高めている演出も上手い。ヴォーカルも歪みきっていながら、ハードコアに通じるヤケクソ感ある絶叫で、楽曲自体の壮絶さを更にパワーアップさせてますね。

もう、正に「こういうのが聴きたかった」という感じの音。野蛮さを感じさせつつ、エクストリームメタルとしてしっかりレベルの高い音を聴かせてくれます。


PROFEZIA - Oracolo Suicida ★★★ (2015-04-10 13:18:51)

2013年発表の3rd。

205枚限定の12インチ版での発表で、CD版は翌年にMoribundより発売。
ごく簡素に彼らの音楽性を表現するならば、「オールドスクールで呪術的なブラックメタル+ヴァイオリンによるシンフォ要素を」という感じなのですが…それぞれの要素の絡め方がユニークで、目に見えて単純な算術和以上の効果を上げているのが興味深いところです。

特に面白さを感じたのが、ギターの音色を始めとするバンドサウンドのプロダクションですね。「Rawな音」に分類されるタイプではあるんですが…どこかリフの歪みの中に「虚」を感じられるような音作りで、個人的には初期BURZUMの音をもう少し良くしたような印象を受けました。ヴァイオリンがその「虚」を埋めるような感じで挿入され、独特な呪術的な聴き心地を演出してますね。

また、ヴァイオリンのフレーズの使い方自体もかなり効果的。優雅でクレッシェンド・デクレッシェンドを使ったロングトーンは、邪悪な耽美さや戦慄するようなムードを演出しているし、細かく音程を刻むようなフレーズは何かの毒に中てられたかのような感触を覚えます。パートによっては、ギターの歪みと上手く合わさり、さながらダークアンビエントのようなアトモスフェリックさを演出していたりも。

中心人物のKvasir氏はABHORやMOURNING MISTなど、独特の感性を持つブラックを演っていることでも有名ですが…彼のセンスはこのバンドでも発揮されていると言えると思います。耽美で、陰湿で呪わしいブラックが聴きたい方は是非。


トランスルーセントグラスキャット ★★★ (2015-04-10 00:49:02)

透明な体に骨が透けて見える、変わった見た目の魚で、この魚もナマズの一種らしいです。見た目は如何にも儚げな感じがしますが、意外にも丈夫かつ貪欲な魚で、常に群れを作りながら水面の餌を伺っていてハンターのような雰囲気があります(笑)。当然、餌を落とすと凄まじい勢いで食いついてきます。結構見た目と行動にギャップがある魚ですが、他の魚に手出ししたりとかはしないので飼いやすいです。個人的には、やっぱりこういう見た目でインパクトのある魚が好きですね。


ファロウェラ ★★★ (2015-04-10 00:42:18)

口の吸盤で流木や壁面に張り付き、木の枝に擬態する性質を持つ細長いナマズ。見た目が魚離れしているというか、爬虫類っぽいフォルムがとてもかっこいいです。壁面に張り付いているときや、餌を食べてるときなど、よく見ると物凄い勢いで口をはぐはぐさせているのが何とも可愛らしいですね(笑)。結構な量の餌を食べるので、掃除とか残飯処理とか目的で買うと痛い目を見るかもしれません。コリタブ、プレコタブなど何でも食べるようですが、何故かタナゴの餌が一番食いつきが良かったです。底面の魚にも餌が行き渡る環境であればお勧めの魚。丈夫だし、見た目かっこいいし。
ちなみに鰭がピンと立ち、フィラメントが長く伸び、より大型でロリカリアに近い「ロイヤルファロウェラ」や体色が緑色で、実はオトシンクルスの近似種の「グリーンファロウェラ」などの種類もいますが、これら品種は結構高めなのに対し、普通のファロウェラは店によっては1000円切ってたりして、意外に安価。存在感あって可愛いので是非。


ロリカリア ★★★ (2015-04-10 00:28:53)

プレコやオトシンクルスなどに近い種類の、壁面に吸い付いて苔や微生物などを捕食するタイプのナマズで、品種としては「リネロリカリア・レッド」(通称「赤ランケ」)が最もポピュラーのようです。プレコなどに比べると若干マイナーですが、吸い付きは強くなくアクリル水槽を傷つけない上に、かなり丈夫だし、なにより見た目が可愛いのでお気に入りです。バイトの女子高生とペット話になったときに絵を描いて説明したら「ゆるキャラ」とか言われてました(笑)。
ただ、個人的にはこの手の魚は「掃除屋」とはあまり思わないです。うちにいる個体は給餌時を除く日中はヒーターに張り付いていることが多いんですが、ヒーターの隙間に糞を落としていく(しかも結構な量)ので、むしろ掃除は手間が掛かるようになります。まあ、可愛いから良いですけど(笑)。


コリドラス ★★★ (2015-04-10 00:18:18)

口ひげを蓄え、水槽の底砂をつつきながら餌を探す性質のある小型のナマズで、熱帯魚の中でも種類の多い魚ですね。体高のあるロングノーズタイプは同種では別格の迫力があるし、鰭の伸びるロングフィンタイプは実に優雅。体色や模様によって様々な品種があるので、選ぶ楽しみも大きいですね。
この種類の魚は個体によって性格が全く違う気がします。ドスの効いた体色に魅せられ、ベネズエラブラックという種類をお迎えしましたが…餌を投入すると猛スピードで水面まで上がってくるし、体色とも相俟ってまるで鮫のようです(笑)。調べてみるとこの品種はコリドラスでも食が細いとありますが…。うちのには当てはまらなかったようです(笑)。


ミューズ ★★★ (2015-04-10 00:08:16)

全身ピンク色で、丸っこい体型の、比較的新しい品種の金魚。私は混じり抜きで手に入れたので、純粋な品種じゃないかもしれません。つぶらな瞳で体をふりふりしながら餌をねだる様は、可愛らしい体色とも相俟って凄まじい愛らしさがありますね(笑)。見た目虚弱そうにも見えますが、他の品種と同様にとても丈夫な印象。和金やコメットと比べると大人しい性質のように見えますが、うちでは掃除の時に一番「どいてくれない」魚です(笑)。プロホースで小突いたら和金でもどいてくれるのに…。まあ人懐っこくて可愛いですけどね。


青文魚 ★★★ (2015-04-10 00:01:58)

金魚の中でもポピュラーな種類である「オランダ獅子頭」の色を青み掛かった鉄色にしたようなルックスを持つ金魚。頭の肉瘤は出るものと出ないものがいて、前者は「高頭青文」と呼ばれるとか。うちにいるのは肉瘤が出ないタイプで、見た目は琉金っぽいです。個体によっては、体色が鉄色から白に変化し、真っ白になったものは「白鳳」という別名が付くみたいですが、私の飼ってる魚もそんな変化を見せました。鉄色があったことを感じさせないくらい真っ白で、絹繻子のような優雅な鰭とも相俟って、どこか神秘的な印象もする魚です。


コメット ★★★ (2015-04-09 23:55:21)

和金に似た形態の魚ですが、こちらは尾鰭が彗星(コメット)の尾の如く長く伸びるのが特徴。また、一般的にオレンジの多い和金と比べると、更級(紅白)が多く、全身赤やオレンジの個体は結構レア(黄色のゴールデンコメットはよく見かける)。和金同様の力強さ、丈夫さを持ちながらも、尾鰭が優雅で可愛らしい品種の魚です。給餌時に猛スピードで水槽を横断する様は見ていて気持ちの良いものです。


和金 ★★★ (2015-04-09 23:51:06)

言わずと知れた、金魚すくいの主役ともいえる魚ですね。
成長するに従って、小赤→姉金と呼称の変わる、ある意味出世魚でもあります。単価が安かったり、珍しくなかったりで軽視されがちですが、しっかり育てた時の魅力は金魚の中でも抜群なのではないでしょうか。魚らしい迫力が出てきてかっこよくなります。


KILLGASM - A Stab in the Heart of Christ ★★★ (2015-04-08 23:14:29)

2014年発表の2nd。
ブラックメタルにグラインドコアの要素を加えた…とその音楽性を紹介されていた彼らですが、実際に聴いてみるとこれが非常にかっこいい!

ファストパート中心に、ハイテンションかつ冒涜性の高い音を聴かせる作風ですが、ファストな部分がただ速いだけでなく、目の前の物全てを蹴散らしていくような、野蛮なパワーに満ちているのが特徴で、この辺りはグラインドコアの影響が良い形で出ているように思います。そこに乗るリフ捌きは意外にもメロディアスなものが多いですが、ブラックらしい湿り気、邪悪さ、狂気などを孕んだメロディで、激烈なリズムとも見事に合致している印象ですね。

あと、何気にヴォーカルも凄まじくかっこいいです。
ブラックらしい高音絶叫と、低音のグロウルを使い分け、時にグラインドコア由来のガテラルも交えてくるスタイルですが、そのどれもが壮絶。特に高音絶叫は、余りにも声を潰し過ぎて、半ば発音が崩れてしまってるほどなんですが、それが楽曲の狂的で冒涜的なムードとマッチしててかっこよすぎます。低音グロウルの地の底から響くようなおぞましさ、ガテラルの耳を侵すような響きも素晴らしいし、ほんとこのヴォーカルツボです。

ブラックの冒涜的メロディアスさと、グラインドコアの野蛮な炸裂感を上手く合わせつつ、クオリティの高い音を聴かせてくれる、かなりの良盤。かっこよさの点では頭抜けた作品だと思いますし、お勧めです。


VIETAH - Tajemstvy Noczy ★★ (2015-04-08 23:07:53)

2014年発表の3rd。

ベラルーシの独りブラックということですが…辺境ブラック的なアトモスフェリックな叙情性と、何気にメタルとしてクオリティの高い音を組み合わせた、なかなか面白い作風のアルバムですね。ミディアム中心でトレモロリフの奏でる叙情的・民族的なメロディで押していくスタイルで、ポストブラックにも通じる作風ですが、プロダクションはこの手にありがちな柔和なものではなく、メタリックな硬質さを感じさせるもの。

個人的には柔和系よりこういった音の方が、トレモロリフをよりくっきり聴こえさせるという点でも好ましく思えますね。デス声の芯の通った響き、メロウなギターソロを交える構成など、メタルとしての質もかなり高いだけに、こういうプロダクションが映えますね。個人的には、ミディアム中心でよりアトモスフェリックさを重視したDER WEG EINAR FREIHEITという印象も受けます。DER~は最新作をSeason of Mistからリリースするという出世振りでしたが、このバンドも何かきっかけがあればもっと知名度を上げられそう。

トレモロ重視のアトモス系は好きだけど、あまりメタルから離れるのは…という人にはかなりお勧めできる作品。なかなかのクオリティです。


WHITE EMPRESS - Rise of the Empress ★★ (2015-04-07 21:43:06)

2014年発表の1st。

CRADLE OF FILTHを長年支え続けたギタリスト、Paul Allender氏の新バンドという事で話題も厚く、日本盤もリリースされている注目の一枚。私も購入しましたが、期待に違わぬクオリティの高さのある作品ですね。

作風は、クラシカルなメロディとメタリックなギターワークで攻める、シンフォニックなエクストリームメタルで、COFともそう遠くない路線ですね。COFの特に「Damnation and a Day」「Thornography」アルバムで聴けた音に近い、熱量の高い感じのギターワークがやはりかっこいい。デスやブラックよりも、正統派、メロデス、スラッシュ辺りの影響が強いのも当時のCOF的ですが、こちらでは更にその傾向は強くなっている印象。

COFと最も趣を異にしているのが、現LUNAR MORTISのメンバーであるWhite EmpressことMary Zimmer氏のヴォーカルに、楽曲の重要な演出を委ねている所でしょうか。デス声も語り部的な淡々としたものから般若の形相が浮かぶ噛み千切る怒声と表現力があり、張りのある妖艶なクリーンと、劇中の台詞のようなトーキングなども使いこなし、バンド名を背負ってるのも伊達じゃないという感じ。彼女の存在が音楽性に「演劇性」を与えているようなイメージですね。

ただ、このアルバム、思ったよりシンフォ要素よりもギターワーク主導の場面が多かったりするんですが、その割にギターの音色が軽めで作り物っぽいのが気になるんですよね…。フレーズ自体はかっこいいのに、シンフォの後ろ盾が無い場面ではなんか痩せてて物足りない音に聴こえるというか…。Paul Allender氏は並々ならぬ決意でこのバンドを始めたらしく、それは楽曲からも伝わるんですが…それならプロダクションももう少し拘ってほしかったです。拘った結果この音に落ち着いたのかもしれませんが。


PATRIA - Individualism ★★ (2015-04-06 23:39:51)

2014年発表の5th。
ENSLAVEDやKEEP OF KALESSINなどのリリースで知られるIndie Recordingsからの発売という事もあって、期待値が高まりますね。

路線としては、メタル由来のドラマティックさを多分に感じさせながらも、ブラックメタルの本筋自体を外れることのない、良質なブラックという感じですね。緩急付けた展開の中で、若干民族っぽさも感じさせる邪悪なトレモロリフと、音だけでも必死の形相で叫んでいるのが伝わるようなヴォーカルが良いアクセントになってますね。衝動性よりも構築性の高そうな感じで、如何にも南米ブラック然としたANCIENTBLOODのメンバーが在籍するバンドということに驚きました。

マスタリング等にBORKNAGARのメンバーが関与しているらしく、一般的なブラックメタルとは多少趣の異なるプロダクションになっているのも特徴ですね。ドラムやヴォーカルなどの聴こえてくる位置が、上手いこと「調整」されているような印象を受ける音。少し作り物めいた感じを受けなくもないんですが、音楽性的に楽曲の展開や構築性を重視している感じなので、作風とチグハグになっていないところが良いですね。叙情性を見せるフレーズもくっきり聴き取れて良い感じです。

ブラジル産のブラックとの事ですが、かなり北欧臭強めな仕上がり。北欧風の土着的な叙情性や邪悪さが質の高さに上手く溶け込んでおり、北欧のバンドにも全く見劣りしない作品だと思います。


IRKALLIAN ORACLE - Grave Ekstasis ★★ (2015-04-05 12:04:45)

2013年発表の1st。

活動拠点をスウェーデンに置きながらも、NIGHTBRINGERのメンバーや現VASSAFOR、元ULCERATEのメンバーも関与しているバンドらしいですが…その前情報から想像した通りの、陰湿で禍々しさ満点のデス/ブラック。

フィジカルな攻撃性よりも、メンタルを抉るような邪悪な雰囲気を醸し出す「ズモモモ…」系の低音を効かせた音作りはVASSAFORに通じるものがありますし、そこに被さる叙情性ではなく、禍々しく蠢く異形な雰囲気と悪意を演出するようなトレモロリフはNIGHTBRINGER譲りとも言えるでしょう。一曲目のオープニングを引っ張り過ぎだったり、展開面で少し微妙な面はあるものの、邪悪なムードの濃さは一級品ですね。

若干こちらの方がマイナーっぽさはありますが、ÆVANGELISTやPORTALなど、ブラック好きにも好まれるタイプの暗黒デスメタルが好きならば気に入りそうな音源です。


MISERICORDIA - Throne of Existence ★★★ (2015-04-02 12:30:40)

2014年発表の2nd。

スウェーデン産のブラックメタルバンドで、初めて音源を聴きましたが…これはなかなかの良盤ですね。クリアな音質と緩急の付いたドラマ性ある展開で聴かせる、ハイクオリティかつオーソドックスなブラックメタルで、トレモロやブラストのみに頼り切らず、メタリックなギターソロや若干メロデスに近いリフも時折用いる辺り、メロブラ寄りの作風と言えるでしょうか。

音作り自体にアングラな面は少なく、聴きやすい音といえますが、ブラックらしい殺気はしっかりと感じられるのが素晴らしいですね。特に不穏なアルペジオやリフのメロディに見られる、Blasphemer期のMAYHEMにも通じる殺伐とした雰囲気や、つんのめるような疾走とそれを煽るリフ捌きの演出する暴虐性が、ブラック好きには何とも心地良い。ヴォーカルは低音グロウルと高めの絶叫を使い分けるスタイルですが、絶叫時に噛み千切るようなヤケクソさが感じられつつも、キレの良い声なのがまた良いですよね。

物凄く特徴のある作風というわけではないですが、この手が好きならば安心して聴けるクオリティを備えた良質な作品。同郷のバンドなら、最近のNECROPHOBIC辺りが好きであれば是非。


DODHEIMSGARD - A Umbra Omega ★★★ (2015-03-21 22:36:39)

2015年発表の5th。
もう前作から8年も経つんですね…時間の流れの速さが怖いです(苦笑)。

買おうかどうか迷っていたんですが、試聴したところブラックメタルパートの余りのかっこよさに即購入決定でした。作風自体は相変わらずセオリー無視のアヴァンギャルド・ブラックですが、ストレートにブラックメタルしている部分は過去の名曲「Traces of Reality」を髣髴とさせる、即効性も非常に強いかっこよさがあると思います。

そしてアヴァンギャルドなパートなんですが…今回も逸脱してるといえばしてるんですが、前2作が時に邪悪さや暗黒性などよりも、目新しい音を作り上げる事に意識が向いていた印象だったんですが、今回は全体を通じてダークなムードに統一されている感じがします。サックスを用いてお洒落かつ不条理なムードを演出したり、エレクトロニカ系の音色、クラシカルなピアノ等様々な手法を取り入れてはいるんですが、今作は全編を通じて心地良いダークさがある感じ。

ただ、余りにもインパクトが強く、使われ方も鮮烈なため深く印象に残るものの、実はストレートなブラックパート自体はあまり多くはなかったり、短いオープニングを除き、全て10分超えの大作主義であることから、アヴァンな音自体が苦手な人には向かないかも。リードヴォーカルにAldrahn氏が復帰してますが、相変わらず舐めきったヘンながなりですし。逆に前作までのダークさにすら拘らない壊れ方が好きだった人には少し物足りない可能性も。個人的にはこれくらいの按配がどツボなので、凄く楽しめたアルバムでした。ヴォーカルは前作の方が好きでしたが…。


IN IT - None of That Matters ★★ (2015-02-26 22:39:27)

2011年発表の1st。
私はPest Productionsより再発されたものを購入。

ヴァイオリン入り、インストのシューゲイザー・ブラックという触れ込み、再発されたレーベルなどから儚く美しい世界観を期待してしまうわけですが…正にそんな期待通りの音ですね。シューゲイザーブラックに特有の、浮遊感のある雰囲気の中でヴァイオリンや笛による美しいメロディが、心の琴線に触れる作品。ヴォーカルが入ってないのも、情景に徹している感じがして個人的にはプラスですね。

ただ、メロディそれ自体やそれを奏でるヴァイオリン、笛などの音色、儚さや浮遊感を感じるフレーズのセンス、情景を描きつつ展開する楽曲構成力などは良いんですが、音響面でちょっと…と思うところも。例えば1曲目、音量が増減する持続音めいた音が効果音的に挿入されてますが、はっきり言って耳障りに聞こえてしまう。楽曲自体よりそっちの方が気になってしまうくらい。現時点では楽曲への没入の妨げになってるように感じますが、これが逆により深く没入させるような使い方になれば、曲の良さもあってジャンルの中でもかなり良いバンドになるのではないかと。

そういう訳で、若干惜しい部分もある作品でした。雰囲気はかなり好きなので、その部分(効果音による音響面)もう一押しあればって感じです。


PHANTOM (DENMARK) - Incendiary Serum ★★ (2015-02-26 22:31:56)

2013年発表の1st。

タイプとしては、ブラック・ゴシック・ドゥームの良いとこ取りをしたような、耽美でダークなメタル…と言った感じでしょうか。ゴシック的な、ピアノなどを多用した耽美なメロディを、ドゥーム的に引き摺るリフの音色が繊細に引き立てていく作風で、トレモロリフを用いた展開、疾走パートの暴虐性、ヴォーカルの獰猛さなどはブラックメタルに由来している感じでしょうか。

冒頭だけ聴くと、ドゥーム色が強くミッドテンポで耽美に聴かせていく作風なのかと思いますが、中盤辺りから疾走パートも増えてきますね。冒頭で見せたようなゴシック的な耽美メロウな雰囲気を帯びたまま疾走するのがたまらないです。正直、最初を聴いただけではメロディは良いけど若干地味かも…と思ってましたが、誤算でした。メタリックなギターソロを含む曲もありますが、そのソロにも耽美ムードが反映されていてかなり良いです。

聴き始めの印象よりも、バラエティに富んだ曲作りが成されている感じの作品。仄暗いメロディがかなり良く、その手が好きならば買って損はないと思います。


APOSTOLUM - Winds of Disillusion (2015-02-17 11:08:21)

2014年発表の1st。

モノクロの、髑髏を抱いた少女ジャケからしてなにか頽廃的な雰囲気が漂ってきていますが、音楽性もそのジャケの通りですね。ロック的なノリも取り入れたミディアムを中心に、陰鬱なメロディを聴かせる音で、カテゴリとしては鬱ブラックに入る音でしょうか。時に焼きつくような、時に引き摺るような音色で鬱を加速させるリフの音色、「頽廃美」という言葉が浮かぶようなピアノなど、ゴシックやドゥームの色も強い作風。

ただ、前述の焼け付くようなリードギターであったり、アルペジオなりピアノなりがメロディで押している間はかなり雰囲気がいいんですが、バンドサウンドメインのパートがやや淡白に感じるのが、ちょっと気になるところでしょうか。ヴォーカルも頑張ってがなってはいるけど、弱々しさを隠しきれてない感じがしますし…結構有名なレーベル(Moribund)から出てる割には、若干B級っぽさが残っている気が。

個人的には鬱ブラックとしてはもう一声な感じですね。メロディセンスはいいのでもう少し押し引きの上手さがあればいいな…と思いました。


OBSIDIAN KINGDOM - Mantiis ★★ (2015-02-17 10:38:51)

2012年発表の1st。
2014年にSeason of Mistから再発されています。

もうこれは、この音源に目を付け、再発してくれたSeason of Mistには惜しみなくGJを送りたいですね(笑)。ジャズやエレクトロニカ、アンビエントなどの要素を盛り込み、アヴァンギャルドな展開を見せるブラックメタルですが、洒落ていてメロウな雰囲気ばかりでなく、ブラックやゴシックを志向するバンドがこれら要素を取り入れたとき独特の、頽廃的・破滅的なムードが漂っているのが素晴らしいです。マイルドなクリーンヴォーカル、幽玄なキーボード等音色選びのセンスも抜群。

印象としては、「Memoirs」以降の、本格的にエレクトロニカ路線に移行していったTHE 3RD AND THE MORTALの世界観を、ブラックの様式で演っているような感じなんですよね。ほんとこの頽廃的で美しい世界観たまらないです。ただ、ジャズやエレクトロ要素の強い、比較的穏やかなパートに比べると、エクストリームメタルの攻撃性で攻めるようなパートに若干の物足りなさを覚えるのが、惜しいところでしょうか。個人的には攻撃的なパートにも他ジャンルの要素がバリバリ入っている方が好きなので。

販促コメントにはOPETHやPORCUPINE TREE、ULVERファンに推薦とありますが、それ以外にもTHE 3RD AND THE MORTALやIN VAINなど、頽廃的で美しい世界観を持っているバンドが好きな方にもお勧め。


NAZGHOR - Life Impaled (2015-02-17 10:33:58)

2013年発表の1st。

まず、楽曲自体はプリミティブ・ブラックとしてかなり秀逸です。シンプルながらブラック特有の寒々しさやメロウさを過不足なく表現するトレモロリフ、オールドスクールさを感じさせつつ起伏もある展開はこの手としては十二分に及第点ですし、ヴォーカルも太く迫力のあるがなりでなかなか。シャーシャーと荒々しいプロダクションも、この音楽性にとっては何のマイナスでもないですね。

ただ、如何ともしがたい欠点が、音の小ささ。私は音の小さいCD自体嫌いなんですが、楽曲中のSEや楽曲切り替わり時のノイズ音に比べて、バンドサウンドの音が極端に小さいという構成もまた癇に障るんですよね。気持ち良く聴ける音量で聴いていると、突然耳元で「ブヂッ」っと特大音量のノイズを鳴らされるのがひたすら不愉快。こういう過激さの表現は聴いていて気持ちの良いものではないです。

そういう訳で、楽曲だけなら星2,5くらいなんですが、そういう音構成が余りにも私の「逆ツボ」に入ったので、星は1つで。いくらプリブラでもこういうのは止めて欲しいです。


KEEP OF KALESSIN - Epistemology ★★ (2015-02-11 21:56:01)

2015年発表の6th。

…相変わらず、エクストリームメタルとして鬼クオリティの作品をリリースしてくれますね…。スラッシュメタルをベースとした、キレの良さと細やかさを兼ね備えた切れ味鋭いリフを縦横無尽に奔らせつつ、Vyl氏の鬼神の如きハイパー過ぎなドラミングと絡み合い展開する楽曲は、憧憬の眼差しを禁じえないほどにかっこいい。ヴォーカルはThebon氏が抜けてしまい、Obsidian C氏が兼任する事になったようですが、前任者のスタイルを踏襲したキレ良く歌詞を吐き捨てるダミ声デスで、痛手をあまり感じさせません。

前作から脱ブラックがかなり顕著ですが、今作では更にそれが押し進められてますね。大仰なメロディを歌い上げるクリーンヴォーカルの比率が非常に高くなったことと、ギターソロパートの大幅増量によって、更にブラック度は減少、メタル度が増加した感じ。特に10分近くある大作のタイトル曲なんて、ほとんどObsidian C氏のギターソロが主役のような楽曲と言っても過言ではないと思う。…ぶっちゃけ、これはやりすぎな気がするんですが…。

KOKはクオリティの高い音を聴かせつつ、ブラックらしい土着的なトレモロも鮮やかに聴かせてくれる曲作りが魅力だと思っていましたが…今作はヴォーカルラインとリードギターにメロディの役割が振られてるため、なくなっている訳ではないものの、使いどころの「鮮やかさ」は確実に減退してしまった印象があります…。正直、これでヴォーカルがマイルドな声じゃなくて、パワーメタル系の暑苦しい頭声だったら売り払ってたかもしれません。

まあ、なんだかんだ言って風呂で思わず「♪Essence of the Mind~」とか無意識で口ずさんでいたりするので、実はそれなりに気に入ってたりはするんですが…。「コレジャナイ感」が全く無いといえば嘘になりますね…。


NORTHERN PLAGUE - Manifesto ★★★ (2015-02-05 12:21:10)

2014年発表の1st。

端的に言ってしまえば、デスメタルの獰猛な攻撃性と、ブラックメタルの邪悪な雰囲気を掛け合わせたエクストリームメタルで、特にポーランドではBEHEMOTHやHATEなどを始め、似た音楽性のバンドは少なくないのですが…個人的には、その中でも一際目を引くような作品だと思います。

この手のバンドって、どうしても曲が一本調子になってしまいがちなんですが、このバンドはギターワークやリズムワークに結構変化を付けていて、それによってアルバムを通じてインテンスな雰囲気を保てているように思います。メロデスにも通じる、高揚感を煽るリフ、トレモロを交えて弾きまくるリードギター、ミディアムでダイナミックなグルーヴを感じさせるリズムパターンなど、この手のデスが根底にあるブラックが、余り取り入れない要素も積極的に取り入れているのが良いんですよね。それでいて好戦的な暴虐さは全く引けを取らないのが素晴らしい。色々消化しつつ獰猛そのものの音。

個人的な印象としては、BEHEMOTHとKEEP OF KALESSIN辺りの中間くらいの作風という感じなんですよね。それらバンドを引き合いに出したいくらい、メジャー感だったり、他に埋没しない楽曲の良さがある作品だと思う。デス要素強いブラックが好きでしたら是非。


SÜHNOPFER - Offertoire ★★★ (2015-02-05 12:14:49)

2014年発表の2nd。

かねてより、フレンチブラック屈指のクサメロ耽美ブラックとの評判を耳にしていたので、新譜が出たのを機会に購入してみましたが…噂に違わぬクサクサ振りで素晴らしいですね。作風自体は、トレモロ+ブラスト一辺倒ではなく、起伏を付けつつも苛烈に聴き手を追い詰めるような緊張感のある雰囲気、鬱ブラックにも通じる精神異常系高音絶叫がカルトな風味を感じさせつつ、音作りのクオリティはかなり高いブラックという感じですが…。

肝心のメロディですが、正直これ、たまらないですね(笑)。全編に渡って極限まで濃縮された、フレンチブラック特有のロマンティックかつ病みの入ったメロディが氾濫し、クサメロ好きの琴線を掻き毟り続ける、ある意味凄まじい作風。個人的には、このアルバムのメロディを聴いていると「雅やか」という言葉が浮かんでくるんですよね…楽曲は壮絶極まる展開を見せているのに。これを聴いていると、日本のブラックにフレンチ系からの影響が強いバンドが多いのも分かる気がします。何か根底の感性で共通するものがあると思う。

そういう訳で、大仰なメロディ大好きな日本人の耳には特に合いそうなブラックだと思います。前評判が非常に高かったんですが、それも頷ける素晴らしさです。


MARDUK - Frontschwein ★★★ (2015-01-17 11:21:23)

2015年発表の15th。

もう作風の確立しているバンドなので、安心して聴ける内容ですね。スローな部分も破滅的なムードで聴かせつつ、基本的にはスピードに飽かせた、重戦車の砲撃で弾幕を張るような攻撃性と、メロウさと苛烈さを兼ね備えた、ブラック特有のトレモロを含みつつ起伏のあるリフ捌き、Mortuusの特有のタメの効いた、ジャンル屈指の表現力のあるデス声…と、前作とほぼ変わりない作風。

ただ、楽曲のメリハリは前作よりも更に良くなっているのではないでしょうか。特にメロディの織り込み方はより劇的かつ効果的になっている印象。タイトル曲なんて、メロウで印象に深く残るようなフックがありつつも、「死」を直接的に想起させるような凶兆、擬人化された死が舞い踊るような凄惨な優美さがあってほんと素晴らしいと思う。攻撃的な印象の強い彼らですが、その中に映えるメロディのセンスでも一流です。

個人的なハイライトは本編ラストの「Thousand-Fold Death」ですね。これはMortuus氏のベストパフォーマンスの一つと言っても過言ではないでしょう。かつての名曲「Darkness it shall be」を思わせる、早口での捲くし立てのヴォーカルが凄まじい曲ですが…本職のラッパー以上のマシンガントーク、いやマシンガンシャウトっぷりに圧倒されます。ただ、一つ苦言を呈するなら、スローな曲がヴォーカルの表現力に頼り過ぎというか、なんか淡白になってきてる気がするんですよね…。「Bleached Bones」の陰惨さ、「Summers End」の不吉さのような、突出した雰囲気のあるスロー曲があれば更に良かったのですが。

…こうして改めて聴くと、MARDUKってやっぱり別格ですよね。音のクオリティがジャンル内でも高いのは勿論だけど、ジャンルに初めて触れる人にも魅力が伝わるような、求心力の高い楽曲を作れているのが素晴らしいと思う。


宮部みゆき - 悲嘆の門 ★★★ (2015-01-17 00:02:19)

昨日(2015/1/15)発売された新刊。
「英雄の書」と世界観を共有する、現代×ファンタジー作品ですが、ストーリー自体は独立しているため前作を読んでいなくても十分に楽しめます。

…これ、めっちゃ面白かったです。ハードカバー2冊分と相当なボリュームでしたが、休日一日潰して一気読みしちゃいましたよ…(笑)。まず素晴らしいのが、読み味が各章によってかなり異なる点。第1章や第2章では主人公達の日常に徐々に非日常が侵食していくような、サスペンス的な雰囲気が強いですが、章を跨ぐ毎に非日常と主人公の関係性がどんどん形を変えていくのが面白い。

そしてページを捲る手が止まらなくなるような、「引き」の上手さも素晴らしい。例えば第1章のラストとか、第3章のバイト仲間との食事中に届いたメールとか、もうあざといくらい期待を持たせるような展開なんですが、もうまんまと引き込まれてしまいました…。そして章を跨いで幾重にも張られた伏線…というよりは凶兆、それらが終章で実を結び、意外かつ劇的に転がっていく物語…もう、ほんとエンターテイメント小説として完璧ですよ!孝太郎の大学生活に対する煩悶とか、山科社長の犯罪に対する見解、主人公二人の非日常への関わり方の違いなど、随所に鏤められたエピソードもまた「読ませる」んですよね。心地良い読書体験です。

ハードカバー2冊分となると値段も馬鹿にならないし、読むのだって数時間は掛かる代物ですが…これは正しいお金と時間の使い方です。そう断言出来るくらい、本当に面白い小説でした。宮部さんは最近は現代物イマイチだと思ってましたが、それを詫びたくなるくらいの快作です。こういう本が読みたかった!


ピエール・ルメートル - その女アレックス (2015-01-14 22:56:40)

2011年にフランスで発表されたクライムノベルの翻訳版。2014年発売。
どこもかしこも本屋では平積みになっていて、如何にも凄い小説であるかのような宣伝がなされていて、刺激を求めて購入しましたが…これ、そこまで面白いとは思えませんでした…。

ネタバレになるのでプロットや結末については書けませんが、とにかく読み味が冗長な印象があるんですよね。特に導入となる第一部、ここだけで200ページ近くあるんですが、これが監禁された女性が虐待を受ける描写と、なかなか進展しない捜査の描写が交互に延々と書かれててうんざり…。女性が誘拐されて檻の中で衰弱させられるようなショッキングな展開も、こうも長々と描かれると「いいから話進めろよ」ってなってきます(苦笑)。こちとら販促コメの「意外な展開」が読みたくて買ってるのだから…。

まあ、プロットはそれなりに刺激的で楽しめはしたし(でも驚くほどの意外性があるかどうかは極めて疑問)、ラストのカミーユ達の下した決断も、個人的な倫理観ではとても受け入れられないけど、小説の締めくくりだとはありだと思うし、漫画やアニメのキャラクター並にキャラ立ちした刑事たちのやりとりは読んでいてそれなりに楽しかったので、駄作だとは全然思わないんですが…。このプロットなら話をもうちょっとサッサカ進めていって欲しいですね。息も付かせず急展開を繰り返す意外なストーリーに目まぐるしく翻弄されたかったです。販促コメからはそういうものを期待したんですけどね。

う~ん…本屋で思いっきりプッシュされてるものって、実はイマイチなものが多い気がします。簡潔でリーダビリティの高い文章と、伏線張りまくりかつ二転三転するストーリーに翻弄され、電車の駅も乗り過ごしてしまうくらい熱中して読み耽るような小説、どこかにないんでしょうか…。文章力が高い人が書いたラノベとか、星新一さんのショートショートとかよりもメルヴィルの「白鯨」を面白く感じる人なら楽しめるのかも。


中山七里 - 月光のスティグマ (2014-12-25 11:24:41)

今週の頭に発表された新刊。

ここ最近、「アポロンの嘲笑」「テミスの剣」と立て続けにリリースが続いてますが…もしかして最近不調なんでしょうか。あらすじ自体は、主人公に特別な好意を抱くミステリアスな双子姉妹(ヒロイン)、災害による姉妹の片割れの死と別離、災害前日に殺害された主人公の兄、時を経て全く違う立場で再開する主人公とヒロイン…と、エンターテイメントとしてのお膳立てがバッチリ整ってる感じで、如何にも面白そうなのですが…。

読後の印象としては、災害の描写や、主人公が調査に苦慮する描写を読んでいるうちに、いつのまにか話が終わってしまった感じで、いまひとつ話に没頭出来なかったんですよね…。クライマックスのシーンも脇役キャラの殺害の描写が、緊張感を生んでいるというよりはただただ胸糞が悪くなる感じで、カタルシスが余り感じられないし…。「岬洋介シリーズ」「御子柴シリーズ」「静おばあちゃん」での、ページを捲る手が止まらなくなるような、飛翔感さえ感じるような読み味は、一体何処へ行ってしまったのでしょう。

「アポロンの嘲笑」での原発批判、「テミスの剣」での冤罪批判の余りにもくどい描写が、こういったエンタメ作品にまで侵食してしまったような印象があります。もしかしたら作者自身は、ただのエンタメでなく、批評精神を伴った「考えさせられる」「読み応えのある」作品を作りたいという意図で、わざと読み味を変えてるのかもしれませんが…。以前の作品の読み味が好きでそれを期待して買い続けてる人としては、この方向性はとても歓迎できるものではないですね…。


犬神サーカス団 - 不確定性原理の悪夢 - 機能不全家族 ★★★ (2014-12-19 11:59:41)

粘つくように、頭にこびりつく印象深いメロディが特徴な曲。そうですよ、このメロディが聴きたいがために犬神を聴いてるんです…!歌メロのネットネト具合を強調した次の瞬間、ハードロックのダイナミズムで聴かせるバンドサウンドのアレンジも非常にかっこいい。これこそが犬神サアカス團、という曲ではないでしょうか。一回聴いただけで、「興亡盛衰 浮き沈み」とか口ずさんでしまうから怖いです(笑)。


犬神サーカス団 - 不確定性原理の悪夢 - 泥 ★★★ (2014-12-19 11:56:31)

これは超名曲じゃないですか!
メロディや歌詞には、犬神印が深く刻印されたような、如何にもといったおどろおどろしさがありますが、演奏は聴いててスカッとするようなハードロック。特にBメロ、情念が溶け出すようなドロドロしたメロディで禍々しさを演出しつつ、その雰囲気を纏ったまま疾走するのがたまらなくかっこいい…!メジャー時の疾走曲よりもメロディが「らしく」なってるのが良いですね。


犬神サーカス団 - 恐山 - 恐山 ★★★ (2014-12-19 11:52:24)

これは…「犬神サアカス團」を代表する曲になるのでは…。
「地獄の子守唄」や「カナリア」などに通じる、情念に満ちておどろおどろしくも、美しいメロディで聴かせる、彼らが綿々と描き続けてきた世界観が吹き込まれた一曲。扱っているテーマ自体はカルトなんですけど、それを描く力、聴き手に伝える力が余りにも高いのでマニアックに聴こえないんですよね。というか、単純に楽曲自体が素晴らしく良いです。ホントお勧め。


犬神サーカス団 - 恐山 - 虫酸 ★★★ (2014-12-19 11:51:50)

大正ロマン風の哀愁溢れるメロディが、マーチ風のリズムに乗るとてもキャッチーな楽曲。男性コーラスのメロディなんて如何にも街宣車のスピーカーから流れてそうな愛国メロディでたまらないです。


犬神サーカス団 / 犬神サアカス團 - 恐山 - 絶望讃歌 ★★★ (2014-12-19 11:50:19)

聴いているだけで胸の隙間に通り風が吹いてくるような、無常感溢れるサビメロが印象深い曲。これ、多分「犬神サーカス団」名義だったら、サビの「あるじゃなし」の後に輪唱風のコーラスが入ってそうですよね(笑)。


犬神サーカス団 - 玉椿姫 - 逃げろ! ★★★ (2014-12-19 11:47:30)

凶子さんの啖呵を切るような口上から、勢いのあるバンドサウンドで聴かせる曲。もうこの時点で良いアルバムになるのは確定ですよね。「サーカス団」名義だったときよりもギターの歪みが強くなっている印象ですが、こういう曲ではそれがダイナミックさに直接繋がっていて、聴いていてスカッとするんですよね。


犬神サーカス団 - 玉椿姫 - 海を知る少女 ★★★ (2014-12-19 11:47:00)

情次2号さんの書くメロディって、ロマンティックなものが多い印象ですが、この曲のBメロはその最たるものだと思います。悲愴な気持ちで海の上の崖に立つ少女の絵が浮かぶというか…。Aメロやサビは対照的に譜割細かめで、歌メロに非常にメリハリが効いた楽曲。素晴らしい歌謡ハードロックです。


犬神サーカス団 - 玉椿姫 - アタシは国家 ★★ (2014-12-19 11:46:26)

これは…天国を擬人化した曲でしょうか。演説するように呼びかけるようだったり、救世主コンプレックスに陥った人間が手を差し伸べるような、確信と慈しみを持って歌ったり、ヴォーカルの表現力の高さもあって不謹慎な歌詞に妙な説得力が生まれてしまっています(笑)。サビ後のドラムのフレーズが妙に耳に残ります。


犬神サーカス団 - 玉椿姫 - 血の下僕 ★★ (2014-12-19 11:44:57)

ドゥーミーなリフに、粘っこい歌メロが乗る楽曲で、ぶっちゃけ最初は地味めの曲かな…とも思ったんですが、聴くうちにこのテンポ感が、変化の無い日々が延々と続いていくような、無常な感じを出しているように思えてきて、味のある曲と思うように。


犬神サーカス団 - 玉椿姫 - 虚像の誓い ★★★ (2014-12-19 11:44:10)

これ、実は犬神の全楽曲の中でも、不謹慎さでは群を抜いているんじゃないでしょうか。こういう人って実際にいますからね…これも、「サアカス團」名義に変えてからの路線ならではという感じでしょうか。楽曲が普通にロックというか、作為的なおどろおどろしさがないのも逆に不謹慎さに拍車を掛けてますね。


犬神サーカス団 - 玉椿姫 - 突発性行動障害 ★★★ (2014-12-19 11:43:29)

「人面疔」「幽霊奇譚」なんかもそうですが、犬神のこの手の楽曲はホントにハズレがないですね…このノリたまらないですよ。前述の曲と比べると、メロディやリズムにどこかあっけらかんとした感じがあるのが、また怖いんですよね。「ホルマリン」「親の介護」「会社勤めの背広」「宇宙の果て」など、歌詞の単語の選び方のセンスが凄く良いせいで、聴いてると頭の中で気味の悪い世界観がどんどん広がり続けてしまいます(笑)。一見脈絡の無いフレーズが有機的に結び付くさまが良い意味で気持ち悪いです。


犬神サーカス団 / 犬神サアカス團 - 玉椿姫 - 信じるな! ★★★ (2014-12-19 11:42:07)

これは初めて聴いたときから大興奮でした。子どもがイジメのときに使う囃し言葉なみに超絶キャッチーなサビメロが、勢いのあるバンドサウンドに乗って疾走!サビに至るまでも譜割の細かいメロディで、ハイテンションを維持したままどキャッチーなサビに入るのだからひとたまりもないです。名曲というのも生温いです。ほんと素晴らしい。


犬神サーカス団 - 玉椿姫 - 玉椿姫 ★★ (2014-12-19 11:41:30)

この曲は…世界観には強烈に惹かれるものがあるし、良い曲だと思いますが…正直犬神が持つポテンシャルを発揮しきれてない感じがあるんですよね…。特にヴァイオリンでせっかく黒色すみれのさちさんを呼んどいて、エピローグにしか起用してないのは勿体ない…。楽曲自体は、前半の美しいバラードも、後半のロック色強いパートも、メジャー進出時の楽曲以上に取っ付きやすく、大作ながらポピュラリティの高いもので悪くは無いんですが…。


DEADLY CARNAGE - Manthe ★★ (2014-12-17 21:56:23)

2014年発表の3rd。

このバンド名だけ見たら、とてもポストブラックとは思えませんよね(笑)。しかし実際の出音は、儚さや幻想的なムードを多分に含むメロディ、パーカッシブなフレーズも多用するドラミング、どこか土着性を感じさせる、泥臭い厚みのあるリフの音色などが合わさり、夢見るような雰囲気を醸し出す、ポスト/シューゲイザー路線のブラックメタル。

ただし、メロディには温かみだけでなく、時折メロディックブラック勢がやるような、マジェスティックな感触も含まれていたり、感情を込めながらも、線の細さを感じさせない野太いがなり声のヴォーカルは、鬱ブラック的なネガティビティを感じさせたり、ブラックメタル由来の過激な部分も色濃く残しているのも特色ですね。

…なんでこの音楽性でこのバンド名なのかという疑問は残りますが(笑)、独特の世界観を描いているポストブラックである事は間違いないです。繊細なだけではない、カルトなムードがあるのでブラックから離れ過ぎた音楽性はちょっと…という方にもお勧め出来そう。


PRETEEN DEATHFUK - Submit to Him ★★ (2014-12-16 18:55:01)

2013年発表のEP。
日本のレーベル、Hidden Marlyより発売。
ベーシストのKyuubey氏が明らかに日本人風だったので、調べてみたら実はDAEVA DURZEIRICHEの人だったんですね。関連バンドのHAPPY DAYSが鬱ブラックとしてかなり素晴らしい作風だったので、こちらのプロジェクトも聴いてみたんですが…こっちはハードコア寄りの路線で全く違う音ですが、こちらも十二分に魅力的な音で流石と思わされます。

基本的にはドラムの音デカめで炸裂感のある、パンキッシュでやけくそな疾走に、地声混じりのこれまたやけくそに怒り狂ったがなりを撒き散らす絶望ヴォーカルが乗るスタイルで、ストレートに攻撃性をぶつけてくるような音ですが…不穏さやネガティブな感情を演出するトレモロなど、ブラックメタル的な部分がかなり魅力的に作られていて、それがそのやけくそな攻撃性と上手く合わさってるのが良いですね。変にブラックから離れてないところが好き。

EPのためボリュームは少なめですが、ハードコア寄りブラックとしてはかなりツボに来た作品。HAPPY DAYSとは全く趣の異なる音なので、そちらを聴いてない人もこっちから入っても全然良いと思います。


KORIUM - Do Komnát Večnej Zimy ★★ (2014-12-15 22:50:40)

2013年発表の3rd。

これは一聴でかなりのインパクトを残すアトモスフェリック・ブラックですね。厚みのある、空間的な音色のキーボードが抽象的な雰囲気を演出し、その中でリバーブの強く掛かった、粗めの音のバンドサウンドを暴れさせることで、一寸先も見えない吹雪のような、荒れ狂う冷たさの情景を描き出す、カルトなムードたっぷりのブラックメタル。ヴォーカルがハイピッチの絶叫なのも、楽曲の悲壮感に拍車を掛けています。

基本的にはこの圧倒するような音像と、悲痛さを感じさせるメロディによりひたすら情景を描くことに特化したような、かなりストイックな作風なので、割と人を選ぶ音なのかもしれません。冷たいアンビエントをブラックメタル要素で苛烈にしつつ、そこに鬱テイストを加えたような感じでしょうか。アトモス系、鬱系好きであれば浸れること間違いなしな一品だと思います。


NEIGE ÉTERNELLE - Neige Éternelle ★★ (2014-12-14 11:41:45)

2013年発表の1st。

フランス語で「永遠の雪」を思わせるバンド名が何とも甘美ですが…確かに荒涼とした情景を描くような、ノイジーでザラついた感触のリフの音色、寒々しい情景を直接的に想起させる、メロウながらモノクロに塗り潰すような鬱性も伴うトレモロなどが描く、凍土めいた風景はバンド名そのままという感じですね。

ただし、バンド名以上に殺伐さもまた強いのが特徴。特にヴォーカルの一心不乱に憎しみだけを叫び続けるような絶叫は、リバーブの掛かった音とも相俟って聴いててこちらの気分も荒ませるようで素晴らしい。アトモスフェリックブラックとしては珍しく、スラッシーで攻撃的なパートもあり、起伏の付いた音を聴かせますが、「Fier Patriote (愛国の誇り)」という曲名があるくらいですし、思想面では右寄りな部分もあってそれが反映されているのかもしれませんね。

如何にもケベック産らしい、荒々しさとストイックさが伝わってくるようなブラックメタル。寒々しい情景を描きつつ反骨精神も全開な作風の音です。