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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2001-2100
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2001-2100

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TAARMA - Remnants of a Tormenting Black Shadow ★★★ (2011-05-03 21:24:34)

2007年発表の1st。

トリビュート盤をリリースしたり、このアルバムにもXASTHURのカバーを収録したり、XASTHURから多大な影響を受けているだろうことは予想してましたが…素晴らしい事に、「葬式ドゥーム並のスローテンポ+陰鬱なトレモロ」「アンビエント要素の導入」という、スタイルの面だけでなく、XASTHURの持つ実験精神まで受け継いでいるんですよね、このバンド。

例えば、キーボードとノイジーなギターリフを融和させたような音質で、質量感や奥行きのある、普通のバンドが成しえないような暗黒を表現したり、ノイジーなリフの中で加工されたトレモロリフ(キーボード?)が密教の儀式の中に響く民族楽器を思わせる音で鳴っていたり、音質・音像を意図的に、実験的に操って陰鬱さを表現する手法は、中期以降のXASTHURに通じると思う。

更に、魔界の森に取り込まれ、人面樹と化した人間達の嘆きを思わせる、エフェクトの掛かった絶叫もXASTHUR的。トレモロを聴かせるパートでも、そのメロディは非常に陰鬱。フォロワーといえども、暗黒性の濃さでは決して見劣りしない音だと思います。その音に触れただけで取り込まれるような、鬱ブラックでも生え抜きの暗さ。BGMにしようとすると部屋が魔界化します。

ただ、XASTHURと決定的に異なるのは、リズムに打ち込み然とした音を敢えて用いている事でしょうか。これが奥行きのあるリフ/キーボードで形成される空間の中に鳴り響くと、更に密教っぽいムードが増すんですよね…。ごく一部の疾走パートでも、この音だからこそ、焦燥感のみが増していく感覚が出せているのではと思う。

実験精神を持ち、尚且つそれを鬱ブラックの暗黒性を表現する事だけに向けたかのような、徹底した作風のアルバム。本家に肉薄する…どころか、部分的には超えてるとすら思える出来なので、フォロワーっぽいイメージで敬遠すると損しますよ。


TAARMA ★★ (2011-05-03 21:18:41)

アフガニスタンの独りブラック。
トリビュート盤をリリースするほどのXASTHURフリーク。


モーニング娘。 - 4th 「いきまっしょい!」 - そうだ! We're ALIVE ★★★ (2011-05-03 20:26:51)

完璧、とは、こういう事をいうのではないでしょうか。
ギミック満載ながら作りこみがガチなダンス☆マン氏の編曲、1つ間違えばネタ曲になりそうなほどフックを持ちながら、サビではしっかり泣きメロがくるつんく氏の作曲、そして普通に歌うだけでも常人では息が続かないパートも踊りながらしっかりこなすメンバー…全てが調和して、上手く行ってる感じです。正にパーフェクトハーモニー(言いたいだけ)。特に間奏にトラッドっぽいメロを加えたり、サビでもベースが動きまくるアレンジが最高に素晴らしい!レベル高過ぎ!!メタラーならベースライン聴いてるだけで幸せ。


モーニング娘。 - モーニング娘。'14 カップリングコレクション2 - 愛して 愛して 後一分 ★★★ (2011-05-03 20:12:51)

中近東テイストが入ったメロディをトランシーなシンセで弾いてたりはしてますが、基本的にギミックの無いアレンジ。ですが純粋に曲がいいです。サビメロはJanne Da Arcのメロスピ曲とかPierrotのミディアム曲にありそう。つんく氏はV系に通じる、J-ROCKの感性を持った人なんじゃないでしょうか。


ANTARES PREDATOR - Twilight of the Apocalypse ★★★ (2011-05-03 19:52:28)

2010年発表の1st。
メロブラ好きの皆さん、また有望なバンドの登場ですよ!

KEEP OF KALESSINの元メンバー、BELPHEGORのライブメンバーが在籍と、優れたメロディック・ブラックを演っているバンドと人脈的繋がりがあることからも予想されるとおり、非常に高品質なメロブラを演ってます。テクニカルに刻み込むリフワークを中心とした曲作り、スラッシュの延長線上にありそうなスタイルのがなりデス声、非常にクリアな音質など、デスラッシュ・メロデスに近い、メジャー志向の音だと思う。

…ショップの紹介では、「入門にも向く」「玄人には物足りない?」のように書かれてたため、クオリティが高いだけで面白くない音だったら嫌だな…と多少躊躇いつつ購入したんですが、とんでもないですね。むしろその逆で、1曲1曲の個性を大切にした、丁寧かつアイデアに満ちたスタイルだと思う。

例えば、和風ホラーを思わせる陰湿なメロが登場したり、デスラッシュ的な刻みリフと近年のSATYRICONを思わせる陰鬱なフレーズを交互に弾いてみせたり、一瞬クラシック音楽の引用かと思わせるような、やたら荘厳なメロディをキーボードで弾いたり、ハードロックから毒気のみを抽出したようなパートがあったり…自分の曲を、絶対に「中庸」に堕しないという執念すら感じる曲作り。

特に4曲目や6曲目で聴けるクラシカルなメロディは、一瞬余りの大仰さに開いた口が塞がらなくなるほどで、生オーケストラでもないのにDIMMU、CRADLEクラスに大袈裟な世界観を演出できてると思う。このように、何気にメロディセンスが優れてることも、テクニカルなリフ捌きやアイデア豊富な曲作りと並ぶ大きな武器だと思う。

まだ1枚目だからか、然程話題にはなっていませんが素晴らしい作品。
メロブラ好きはもちろん、エクストリームメタル好き全般にお勧めです。


ANTARES PREDATOR ★★ (2011-05-03 19:36:11)

ノルウェー産メロディック・ブラック/デスラッシュ。
KEEP OF KALESSINやBELPHEGORの元メンバー、ライブメンバーが絡んでます。


SAMAEL - Lux Mundi ★★★ (2011-05-03 17:36:09)

2011年発表の10th。
タイトルの意味はラテン語で「世界の光」。

「Reign of Light」「Solar Soul」ではダンサブルなメタルというか、メタリックなダンス音楽になり、「Above」ではブラックメタルを回復したSAMAELでしたが…今回はその中間くらいの路線ですね。ダンス路線の、何千もの悪魔がマスゲームしてるような、邪悪ポジティブなエナジーを、ミディアムテンポで重厚なブラックに注ぎ込んだ感じで、雰囲気としては「Passage」「Eternal」に近いかも。

前作は少し音がごちゃごちゃしていた印象なんですが、今回はヴォーカルラインのキャッチーさも際立つ、かなりクリアな音。この作品の音って、多くのパートでバンドサウンドがグルーヴ、キーボードがメロディ/ムード作りを担うようなアンサンブルが多いんですが、この二つが完全に調和しているのが素晴らしい。妖しいキーボードが、バンドサウンドから放出されるどす黒いエナジーの流出に思えますもん。

ただ、トレモロリフを多用していた前作と比較すると、今作はリフはヘヴィネスを演出するような刻みが多め。キーボードとの調和は確かに素晴らしいんですが、個人的には少し物足りない。ヴォーカルラインとリズムのキャッチネスで躍らせる、前々作の路線なら問題ないんですが、ブラックを回復しリフ重視の作風となった今作においては、多少物足りなさがあるかも。

そういう訳で、個人的には未だにダンサブル路線の「Solar Soul」が最高傑作だったりするんですが、今作も悪くないです。多少不満はあったものの、他に代替が効かない音を出していると思うし、星は3つ。


GRAUPEL - Am Pranger... ★★★ (2011-05-03 17:34:08)

2010年発表の2nd。

まずキメを使ったバンドサウンドと、それを無視するかのように恨みを込めて叫ぶヴォーカルの導入部からして最高にかっこいいですね。ENDSTILLEのメンバーが絡んでますが、同じファストブラックでも、こちらの方が音作りが荒々しくて、良い意味でアンダーグラウンドな雰囲気が強いですね。

このバンドもブラック特有の平坦気味なリフを多用してますが、それがまるで黒い緞帳を下ろしたかのように聴き手の視界を黒く染めて、そこに病気じみたメロディのトレモロが迸ると、もう完全に暗黒な世界観の完成。憎しみを肺胞に溜めて吐き出すようなヴォーカルも含め、ファスト系では屈指の邪悪さ。

ファスト系好きで、メジャーな音より邪悪さ重視な音が好きならば必聴です。


MONARQUE - Ad Nauseam ★★ (2011-05-03 09:32:52)

2008年発表の2nd。
実質的には05年デモの新録に新曲を加えたもの。

イントロがクラシカルなインストだし、独りブラックだしで「きっとディプレッシブ系か、プリミティブだろう」と思っていたので、バンドの音が入ってきたときはかなりびっくりしました。確かにプリミティブ系の延長の、粗いプロダクションではありますが、土石流に押し流されるような、かなり迫力のある音。シャーシャーというよりズドシャァァァ、みたいな感じ。

しかし、その土石流のようなバンドサウンドから仄かに聴こえてくるメロディは、プリミティブらしい悲哀に満ちたものでかなり良いです。どことなくトラッド臭さも感じさせる、哀愁だけではない土着的な怖さのあるメロ。プロダクションと合わさると、まるでテレビの砂嵐(土石流な音像)の中に、人の顔(メロ)が浮かび上がっているかのよう…。

プリミティブのスタイルで、こういう轟音のスタイルって結構珍しい気がします。これはこれで気持ちよく聴けるし、普通のプリブラとはまた違った陶酔感のある作品です。


TIDFALL - Nucleus ★★ (2011-05-02 23:42:44)

2003年発表の3rd。

スペイシーなキーボードが宇宙的な空間を演出し、そこに電子的なサンプリングやループを取り入れ無機的な怖さを演出する、シンフォニックとインダストリアルを上手く融和させたようなブラックメタル。インダストリアル系にしては珍しく、ドラムも生だし、意外にもリフにはスラッシュやメロデスにも通じるテクニカルさがあるのも特徴。
また、ヴォーカルは普通のブラックメタルの絶叫よりも、かなりドスの効いた威圧感のある声で、「Future Doom」みたいな上から目線の極みみたいな世界観にはかなり合ってますね。

ただ…キーボードがアトモスフェリックに曲を彩っていたり、リフがテクニカルで耳を惹いたり、暴虐性を剥き出しファストに攻めたりしている時はいいんですが、時々ヘヴィネスを重視したようなパートがあって、そこが微妙にダレるのが気になりますね…ドラムの音がインダストリアルを意識してか、固めの音なんですが、そういうパートでは悪い方に作用して聴き辛くなってる感も。

と言っても、SamothのNocturnal Artや大手のNuclear Blastを渡り歩いてきただけあって、基本的な質のほうは問題なく高いと思います。音質も演奏もメジャークラスなのに、どこかアンダーグラウンドの雰囲気を残した、ブラックメタルらしい世界観を持ったアルバムです。このメジャーになりすぎない感じがツボな方も多いはず。


L'ARC-EN-CIEL - The Best of L’Arc~en~Ciel c/w - I’m so happy ★★★ (2011-05-02 22:06:25)

発言少ないですね…
ポップなんだけどどこか表現がシュールで怖くて、なのに感情は伝わってくるという、中期までのラルクらしい曲だと思います。I love youのがなり声がかっこいい。


FATAL DESOLATION - COLD, STARLESS, MOONLESS ★★★ (2011-05-02 22:02:41)

2011年発表の1st。
DAEKTHRONEの「Skold av Satans Sol」のカヴァーも収録。

ZERO DIMENSION発のDARKTHRONEタイプ国産プリミティブブラックとして、ブラック好きの間で結構話題になっている作品ですが、確かに2ビートのミニマルな疾走と邪悪さが滲み出すようなトレモロを軸に展開する曲構成といい、音割れのノイズが全体を覆っているようなガビガビした意図的な劣悪音質といい、喉が千切れんばかりに叫ぶヴォーカルといい、確実にDARKTHRONEから影響を受けている音ですが、単なるフォロワーでない、プラスαな魅力がありますね。

諸外国から見て、日本人は割りと真面目なイメージらしいですが、この作品はそういう意味で「日本人らしいプリブラ」。DARKTHRONEの三部作を始め多くのプリブラって、「フレーズが聞き取れなくてもいいや」くらいのラフさがあったりしますが、これはノイズ塗れの中にあっても、ツインギターを利用したフレーズがあったり、ベースに見せ場があったり、しっかりフレーズを聴かせきってる作品だと思う。作風は違いますが、CRAFTにも通じる丁寧な作り。

…個人的にLes Legions Noiresの音源の約半数とか、余りにもラフ過ぎるプリブラって聴いてて辛いんですよね…なのでこの作品の、ラフ過ぎないミニマル過ぎない、バランスの良い作風はかなり好きだったりします。ところどころ登場する、土着的な薄気味悪さを感じさせるメロディ、タイトル曲で聴ける怨霊の悲鳴のようなギター音、何故か感じられるハードコア的な炸裂感など、このバンドならではというものがあるのも素晴らしい。

国産ブラック好きなら必聴。買って損する事はまずないです。


モーニング娘。 - ハワイアンで聴くモーニング娘。シングルコレクション ★★★ (2011-05-02 21:55:12)

2002年発表の企画盤。
あの高木ブーさんがウクレレとヴォーカルで参加してます。

モーニング娘が一番売れていた時期の曲のシングルを集めた選曲で、どの曲もサビを口ずさめる程度には知っていたし、なんだか面白そうだな…と思って購入。だってあのファストフードみたいな超即効性がある(しかもよく聴くと練り込まれてる)曲が、ハワイアンになったらどうなるか、興味掻き立てられるじゃないですか(笑)。

…で、これは本当に「当たり」でしたね。
例えば「恋のダンスサイト」という曲。中近東風のメロディを、ハワイアンな音色のスライドギターが弾いて、それで仕上がりは原曲のアイドルポップに近い雰囲気という…一体どんなコラボなんでしょうか(笑)。変態にも程がある!素晴らしいにも程がある!!他にもオリエンタルなメロの「ハッピサマーウェディング」、ビッグバンド風の「Mr. Moonlight」辺りも、「これがハワイアンになるのか…」と、新鮮な驚きがある名アレンジ。

個人的に、本格的なハワイアンだとレイドバックし過ぎてて、聴いていて「もういいや…」って思っちゃうんですよね。その点このアルバムは、原曲が世界中どこ探しても他にないレベルのキャッチーなメロを持っているので、私みたいな飽き性ミーハーでも凄く聴きやすい。「恋愛レボリューション21」のサビメロとか、キャッチーなだけじゃなくて胸を締め付けられるような哀愁があると思うし。

あと、この作品聴いてると高木ブーさんがめっちゃかっこよく見えます(笑)。
「LOVEマシーン」のあのフレーズを掻き鳴らしてるときとか心底かっこいいですもん。時々リードヴォーカルも取ってますが、良い意味で緊張感がなくて、味があって良い感じ。メンバーのヴォーカルも、アッパーな感じではなく、曲のアレンジにあった優しい声色で歌い上げていて、しっかり浸らせてくれます。

ぶっちゃけ中古で500円でしたが、素晴らしい作品に出会えて感謝。
特にJ-POP好きだけど変態好きな方にお勧め。あなたの知らない世界がそこにある…っていうか、こんなゴールデンの番組に出ているような人気グループが、こんな面白くて実験的な音楽をやっていたのに、それに全く気付くことなくのうのうと自称音楽ファン(恥)やってた私って…これ聴いて、自分の見識の無さ、感度の悪さにマジ凹みしました…。


モーニング娘。 - カバー・モーニング娘。!~various Artists Covers “morning Musume。"~(v.a.) (2011-05-02 21:53:29)

2001年発表の企画盤。

海外アーティストによるモーニング娘。の曲のカヴァー集。
これもハワイアンと同じく、原曲は「知ってる」程度なのに、面白そうだと思って一緒に買ってきちゃったんですが…取り敢えず原曲の方もちゃんと聴いたので、レビュー書きます。

聴き比べて思ったのは、「日本のアレンジャー凄ぇ!」でした。特にダンス☆マン氏。
…なんかこのアルバム、つんく♂氏はライナーで「どの作品も個性的」と述べてますが…私にはどの曲も、レベルは高いのかもしれないけど「ふつーの洋楽ポップス」になってるように聞こえるんですよね…。

歌も、「ゴスペルやポップスの、上手い人の歌」という感じで、歌い上げもフェイクも類型的というか、どこかで聴いた雰囲気で思わず聞き流してしまう…。その歌手がどうこうと言うのが、いまひとつ見えてこない感じ。オケとも相俟って、普通にBGMとして聴けちゃうって感じです。

例えば、「LOVEマシーン」のイントロ1つ取っても、カヴァーの方ではあの印象的なフレーズが音に溶け込むようにミックスされていたり、基本的に「音を自然に聞かせる」ことが念頭にありそうなんですよね。対して原曲は、フックを設けまくって、何が何でも聴き手の注意を惹きたい感じ。どっちが好みかといったら、私は圧倒的に原曲。
まあ、男性Voでムードのある「赤い日記帳」、朝の爽やかな雰囲気に合いそうな「モーニングコーヒー」など、一部私の中で原曲を越えたと思うものもありましたが…。

上手いヴォーカルを揃えて、同じメロディを使ってもここまで差が出てしまうものなんですね…モーニング娘が一時期大ブレイクしていたのも、つんく♂氏のアイデアやメロディセンスが素晴らしかったり、メンバーに華があったり、時代と合ったというだけじゃなく、ダンス☆マン氏を初めとしたアレンジャーが素晴らしい仕事をしていたから、というのも、かなり大きいのかもしれませんね。


PSYCLON NINE - We the Fallen ★★★ (2011-05-01 20:48:28)

2009年発表の4th。

このバンドは初見なので、今までどういう音楽的変遷を重ねてきたかは分かりませんが、この作品を聴く限りはインダストリアル・ブラックと言うよりも、ブラックンド・インダストリアルとでも呼びたくなるような音を出してますね。ハイピッチの絶叫、終末的ムードなど明らかにブラック風味ではありますが、インダストリアル/EBMの方がベースになっている音だと思う。

ヴォーカルは絶叫スタイルながら人間的な感情が失われるレベルまで歪んだ声の上、エフェクトが掛けられてるし、ギターリフのノイズよりもインダストリアルノイズとマシンビートが音の空間を埋めているしで、人間性を排する事で厭世感や終末感を表現する事においては、一流のインダストリアル・ブラックよりもたぶん上だと思う。この人間味のない音が、ダークで美しいキーと重なると世界の終わりが近づいているのが体で実感できそう。

…インダストリアルブラックって、音響的な部分をリフのノイズで表現する事が多くて、それが時に聴いててしんどい時もあったりするんですが、このバンドの音はギターリフのノイズを使うにしても、機械音のサンプリングを使うにしても、使い方が非常に丁寧で、ある意味聴きやすい。音楽を聴いている事を忘れて、その暗黒な世界観に取り込まれる感覚を覚えさせる辺り、ほんと一流の音って感じです。

インダストリアル/EBMがベースの音ですが、ブラック好きにも非常にお勧めな一枚。特にインダストリアル系以外にも、アトモスフェリック系やアンビエント系など、情景描写重視タイプのブラックが好きな方なら確実に何か感じるものがあるはず。


RAGNAROK - Collectors of the King ★★★ (2011-05-01 20:46:47)

2010年発表の6th。

ドラマー以外が交代したということですが、何の予備知識もなく聴く分には全く分かりませんね…確かにヴォーカルは代わってるの分かりますが、ブラスト全開なのにドラマ性のある曲作りといい、メロデスの泣きではなく、ブラックの邪悪さを内包したメロウさの光るメロディといい、路線もクオリティも変わりのない素晴らしさ。

ただし、音質は前作ほどノイジーではなく、メロディと暴虐性のコントラストは、前作の方が濃かったかも。メロディアスさ自体も少し減退してますし。…と言っても、依然として極上のメロディセンスがある事に変わりありませんが。むしろブラック特有のノイジーな音が好きな人以外には、より受け入れられやすくなったと思う。
ヴォーカルはHoestのブチキレ声とは違い、ブラックらしいがなり声ですが、ライブ時の(エフェクト無しの)Mortuusを思わせる太さ、邪悪さで彼のヴォーカルもかなりかっこいい。

ファストブラックと言っても、MARDUKやDARK FUNERALなど、このサブジャンルの代表格のバンドよりも、更にドラマ性に富んだ音を出していると思う。ファスト系なのにメロブラ並みにメロディが素晴らしいですし、エクストリームメタル好きなら是非。


HYPOTHERMIA - Rakbladsvalsen ★★ (2011-04-30 20:48:50)

2007年発表の3rd。
34分を超える大作を含む4曲からなる作品。

LIFELOVERでは鬱ブラックを主体としながらも、ロックなリズムやアーバンな雰囲気、不条理な空気感などを演出する、ポスト鬱系みたいな音を創っていた( )ことKim氏ですが、こちらのバンドでは混じりっ気なしの、いわば「ピュア・ディプレッシブ・ブラック」みたいな音を出してますね…正直、鬱ブラックは決して嫌いじゃない私ですら、日によっては聴いていてマジで辛くなるレベルです。

2曲目以降は、悲痛なメロディであったり、哀愁・寂寞な空気感だったりといった、分かりやすく浸れる、ある意味「逃げ道」があるので(比較的)聴きやすくはありますが、問題は目玉である1曲目の34分半の大作。曲の殆どを地味かつ、精神を暗い部屋に閉じ込めるような鬱屈したリフと、気だるいミッドテンポのコンボが占めていて、聴いていてリアルに落ちそうになります。

ただ、Kim氏の、ヴォーカリストやシンガーを超え、パフォーマーやアクターの域に入ったかのようなヴォーカルは、エクストリームメタル好きなら感じ入るものがあるかも。ただ感情を込めて泣き叫んでいるだけでなく、ホイッスル音を綺麗に出せていたり、何気に「巧さ」をも感じさせるんですよね。

そういう訳で、鬱ブラック初心者にはお勧めできないアルバム。陰鬱なメロディが好きだから鬱系を好むという、メロブラ的な聴き方で鬱ブラックを聴いている方には辛い作品となるでしょう。逆に、これを聴いて「大好き!」と心から思ったら、マジに鬱ブラックが好きなブラッカーだと思います。


HYPOTHERMIA ★★ (2011-04-30 20:47:52)

LIFELOVER、LIFE IS PAINのKim氏とTHROUGH THE PAINのRichard氏によるブラック。当然ながら鬱系です。何気にARKHA SVAともスプリットを出している模様。


AJATTARA - Kalmanto ★★ (2011-04-29 12:09:17)

2007年発表の5th。

これ、最初聴いたときは「合わない…」と思って、売ろうとすら思いました。まず曲の根幹であるリフはトレモロではなく、ハードロックベースのドゥームのようなヘヴィなものが中心だし、リズムもブラストではなくミディアムでノリのいいものが中心だし、キーが入るものの、シンフォとまでは言えない程度だし…で、個人的にブラックに求めるものが全然入っていない印象。

ただ、時間を置いて聴き返してみたら一気にイメージ変わりましたね。
重いリフで黒く塗り潰された視界に、敢えて音色を多彩にしないキーボードが妖しく仄めく音像はそれだけで奇妙な空間を作り出してるし、ヴォーカルの力強さを感じられないクリーンですら、暗黒世界に棲むシャーマンの祈祷のようで、これはこれで良いと思えるように。SEの使い方の面白さもあって、独特な側面から邪悪さを表現しているんだと納得。

ファスト系やプリミティブ、ディプレッシブを求める方ならスルーして正解かもしれませんが、どこか土着的な呪術性が感じられる、ダークなメタルを求める方であれば聴いて損はないかと。ドゥーム要素、ゴシック要素強めです。


AJATTARA ★★ (2011-04-29 12:06:39)

AMORPHISやWALRATI等とも人脈的繋がりのあるブラック。
お茶の名前みたいなバンド名ですが、なかなかの個性派。


NECRONOMICON - The Return of the Witch ★★ (2011-04-29 00:05:41)

2010年発表の3rd。

店のコメントでは、BEHEMOTHやBELPHEGORなど、デスメタル要素の強いブラックメタル好きにお勧めされていて、私も一口乗ってみたんですが…確かに、パッと聴いた感じは明らかにデス寄りのブラック。ただし、多くのデス系ブラックがブルデスのフレーバーが強いのに対し、このバンドはどこかオールドスクールなデスメタルの感触があるのが特徴ですね。特にギターの泥臭い音質がそんな感じ。

また、1曲目を聴いた時からは想像できなかったんですが、4曲目や5曲目など、荘厳で邪悪な耽美さを感じさせるキーボードやピアノを使い、ゴシックデス、もしくはゴシックドゥームの香りを漂わせたり、タイトル曲でNECROPHOBIC辺りにも肉薄するかと思わせるようなメロディック・ブラックのスタイルを演っていたり、意外にも曲のバリエーションが豊富。2曲目の、中近東的妖しさに刑事ドラマの犯人追跡場面のスリリングさを足したような、妙なメロディとか面白いです。

ただ、根幹となるスタイル自体がちょっと地味なんですよね…上記の要素が突き詰められているか、もしくはBEHEMOTH並みに畳み掛けが気持ち良かったりすれば尚良かったんですが。ポテンシャルは凄く高いバンドなのかもしれませんが、このアルバム自体は「最高!」という訳にはいかないですね…。


ANNTHENNATH - States of Liberating Departure ★★★ (2011-04-27 18:16:43)

2010年発表の1st。

Mikko Aspa以前にDEATHSPELL OMEGAのヴォーカルを務めていた、Shaxul氏の在籍するバンドが遂に一枚目のフルアルバムを発表…という事で話題になってましたが、個人的にDSOは3rd以降のほうが断然好きだったので、最初はスルーしてしまってましたが…これ、プリブラの名盤ですよ。DSOの3rdにも匹敵するくらい素晴らしいアルバム。

路線としては、禍々しいトレモロを纏って、地下臭さを振りまきつつも耳に心地よいノイジーさで疾走するプリミティブブラックで、メロディアスなトレモロの頻度が高い、トレモロを前に押し出した音質である、メロウなギターソロやリードフレーズを多用するなど、全体的によりメロディ重視ではありますが、DSOの2ndとそれ程離れた音楽性ではないと思う。

ただ、プリブラとしても個性的なのが、ベースがかなり前に出ている事。もともとギターもメロディアスなんですが、これによって更にメロくなってます。と言って温くなるわけではなく、むしろ洗脳度を跳ね上げる役割を果たしているのが素晴らしい。聴いてると、近年のアヴァンギャルド路線のDSOと同じくらい、「魔や邪悪との邂逅」を感じられる作品なんですよね。

取り合えずブラック好きなら聴いておいて損はない作品。
メロい上にブラック特有の邪悪な抽象的ムードも特農なので、プリブラ入門にも勧められるかもしれません。


FINNENTUM - REVERIES (2011-04-27 18:15:44)

2009年発表の1st。

レビューサイトやショップのコメントなどでは「フォーク要素のあるブラック」として紹介されていましたが…それらの要素は、当然笛などを取り入れたりはせず、アコギパートやリードのメロディが(言われてみれば)それっぽいという程度に留まり、基本はグルーヴ重視のリフとロックなリズムによる、ハードコア要素の強いブラックメタル。

ヴォーカルはAttilaの声を少し高め、歪み弱めにしたようなダミ声ですが…言われてみれば、アジアの「喉歌」の発声に近いものがあるのかも。クリーンも使いますが、こちらも呻き声のようなくぐもった声のため、それが前述のAttila風ダミ声と重なると、なかなかにカオスな音像に。ノリノリだけど地下臭い雰囲気です。

SARGEISTやHORNAと比べると少しマニア向けな音楽性。
しかし、Shatraugはスキンヘッドだし、こういうNSっぽい路線もなんか合ってる感じがしますよね。


FINNENTUM ★★ (2011-04-27 18:12:40)

HORNAやSARGEISTでお馴染みShatraug氏によるプロジェクト。
ハードコア寄りブラック+微妙にトラッド風味?のメロディ。


THE 冠 - 傷だらけのヘビーメタル - 俺なりのペインキラー ★★★ (2011-04-26 19:46:34)

これは笑っちゃいました(笑)。
特に「いきなりヘビーメタル」っていうフレーズに爆笑。
でも、ヘッドボイスでがなりまくる前半と、クサい歌謡メロディを歌い上げるサビ以降と、何気に歌的な面から見てもかなりドラマティックな展開でかっこいい曲。

でもキャバ嬢も仕事なんだから会話盛り上げよう。曲を知らなくても「高い声出ますねー、ボイトレとかされてるんですか?」とか幾らでも広げられるのに…と思ったけど、そんな接客スキル高いキャバ嬢だとネタにならないですね(笑)。接客したのがALDIOUSだったら、違う意味で面白いことになってたかも(笑)。


ZENITHRASH - RESTORATION OF THE SAMURAI WORLD ★★★ (2011-04-26 19:26:32)

2011年発表の1st。

銭スラッシュって必殺技っぽくてかっこいいですよね!
…え、ZENITH+THRASH?知ってます(笑)。
一言で言えば和楽器メロブラなんですが、めっちゃ個性的で面白いですよ。

まず、イントロの尺八と三味線、亡霊クワイアに語りが乗る、サムスピのオープニングみたいな音からして期待通りで、思わず笑みが漏れてしまいますが…続いて曲に入ると、いきなりトレモロを妙な響かせ方で聴かせる凝りっぷり。どことなく、音の響きは尺八や能管などの、深みのある響きを模している感じもします。この導入で、「ああ、アルバム買って良かったな…」と早くも感銘(笑)。

続いて出てきたメロデスっぽい刻みリフも、どこか殺陣を思わせるスリルが伴っていると思うし、亡霊クワイアもフィーチャーしたアンビエント風のパートは、襖で仕切られた真っ黒な和室に、悪霊が充満しているような不気味さを感じさせたり、聴いてて嫌でも「和」に関連した光景が瞼に浮かんでしまう。多少バタバタしたドラムも、討ち入りを思わせて却って味になってると思う。

しかしこれ、和旋律や和楽器、侍的な世界観が強烈な個性を放ってますが、例えそれを取り去ったとしても尚、個性の強さとクオリティの高さが残るであろう完成度があるのが、心底凄いと思う。頭のトレモロの聴かせ方1つからもう凝ってるし、展開は非常にドラマティック。グロウルとスクリームに、Garm風のオペラティックで、少しトリッキーなクリーンを使い分けるヴォーカルもかなりの実力。

年の頭に出た作品ですが、早くも年間ベスト候補の出現です。
…どうでもいいですが、このレビュー買いてたら、「クワイア」が「慈姑亜」と変換されて笑いました(笑)。でも「慈姑亜」の方が字面的にはフィットしてる感じがします(笑)。


BLOODLINE - HATE PROCESSION ★★ (2011-04-26 01:32:14)

2009年発表の2nd。
ENSLAVEDのDirge Rep氏が歌詞でゲスト参加。

路線としては、無機的なマシンビートにブラックの摺り込むようなリフが乗る、インダストリアル要素の強いブラックですが、インダストリアルブラックの王道からは少し外れた感じの音ですね。冷徹なリズムに乗って、ノイジーなリフが垂れ流すように弾かれる様は、どこか黙示録的・終末的で、厳かなムードが漂っていると思います。

また、キーボードやピアノによる、鬱屈したメロディを入れたり、SEを効果的に挿入するなど、シアトリカルな面も持ち合わせていて、それが更に世界観をダークなものに。感性的に鬱ブラックと共通した部分もあり、特に3曲目の後半のアトモスフェリックなメロディは、BURZUMに肉薄する凄みが…というより、「もろBURZUMじゃん!」という感じに聴こえたり。

インダストリアル・ブラックを追っている方だけでなく、鬱ブラック好きにも勧めたい作品。聴いていると、機械的な世界観というよりは、終末的なヴィジョンが見えそうな音なんですよね。


BLOODLINE ★★ (2011-04-26 01:29:13)

スウェーデン産インダストリアル・ブラック。
SETHERIALやNAGLFAR、ONDSKAPT、SHINING等のメンバー・元メンバーが絡んでます。Nattefrost氏や(ABORYM、DISSECTION、WATAIN等の)Seth氏も在籍していたとか。


BLACKLODGE ★★ (2011-04-25 21:46:27)

フランス産インダストリアル・ブラック。
MERRIMACKのメンバーが在籍してます。


BLACKLODGE - >SolarKult< ★★★ (2011-04-25 21:45:24)

2006年発表の2nd。

これ聴いて思ったんですが、実はBLACKLODGEは「インダストリアルブラックの顔」足りえるバンドなのではないでしょうか…作風的にも、クオリティ的にも。無機質なマシンビートに機械音のサンプリングを取り入れた音楽性はインダストリアル・ブラックの王道ともいえる作風ですが、それらの要素がバンドサウンドと不可分一体になっていて、「取り入れただけ」「逆にバンドサウンドが飲み込まれてる」とはならないセンスの良さが素晴らしい。

特にマシンビートと、ブラック特有のノイジーなリフを組み合わせての、無機質な世界観の演出する力は、今まで聴いたインダストリアル・ブラックでも最も優れているように思います。ところどころバンドサウンド自体をコラージュしたり、リフをノイズミュージックすれすれまで歪めたりしてはいますが、実験的であっても抽象的になりすぎず、機械的な世界観を描くことにブレがないのが凄いと思う。

有機的な気味悪さの強かったMERRIMACKとは打って変わって、無機質で無慈悲な音を聴かせる作品。私の中では「最もインダストリアルブラックらしいインダストリアルブラック」という印象なんですよね。本当に「これぞ」という音を出しているので、気になる方は是非。


ASGAROTH - Red Shift ★★ (2011-04-24 20:54:07)

2002年発表の3rd。
現在は解散していて、これが最終作らしいです。

スペイン産のバンドながら、ARCTURUSやTHE KOVENANTなど、宇宙的な世界観を持つシンフォニック・ブラックにあからさまな影響を受けた音。しかし単なる模倣ではなく、02年にしてARCTURUSの「Sideshow Symphony」を先取りしたような、ゴシックめいた耽美さとシアトリカルさのある内容。ただしSideshow~と比べ、メンバーがスペースシップの乗員になりきってはしゃいだりするようなコミカルさは皆無で、ひたすらに厳かで美しい雰囲気。

ただ、基本的に空間系のキーボードにピアノなどメロディ系のキーボードが乗るという作風で、ギターリフは余りメロディックでない辺りは好みが分かれる可能性も。重い刻みにはゴシック的な重厚さが宿っていると思うし、その音によって宇宙が物理法則に基づいて粛々とその営みを続けているような、厳粛なムードが保たれているような感じはありますが。


LAKE OF BLOOD - As Time and Tide Erodes Stone ★★★ (2011-04-23 22:56:51)

2011年発表の1st。
17分、15分の大作2曲入りという構成。
…タイトル、文法おかしくない?アメリカのバンドなのに…

KRALLICEが引き合いに出されていたので購入しましたが、言うほど似ているわけではないですね。確かに普通のブラックにはない、芸術家志向な雰囲気はあるんですが、向こうほどトレモロに執着していない感じ。その代わり、1つの音を大きく引き伸ばしたり、グジュグジュした音質で鳴らして邪悪なムードを出したり、トレモロリフの使い方が結構凝ってます。個人的に前者はフレーズが終わるまで息を止めそうになる(笑)。

また、明らかにグルーヴを演出するという以上のテンションで、掻き毟るように刻みリフを入れて衝動性を演出したり、パーカッシブなリズムに警告音のようなギタメロを乗せたり、音響ドゥームのようにリフを引きずってみせたり、32分の中に様々なアイデアが詰まっている感じで、エクスペリメンタル好きも楽しめそう。
ミニマルな音楽性なのに、ドラムの音色がジャズっぽくて(フレーズはそうでもない)、つま先立ちで走っているような感覚を覚える疾走パートも凄く個性的で、聴いていて面白いです。

ただ、惜しいのが時々勿体付け過ぎに感じる部分があることですね…特に導入部、SEとドゥーミーなパートで聴き手に世界観を提示しようという試みは分かるんですが、正直ここは手短に行って欲しかったなぁ…と思ってしまいました。まあそれでも、少し変わったブラックが好きな方なら問題なく楽しめる作品化と思います。


TWILIGHT OPHERA - Descension ★★★ (2011-04-23 17:43:23)

2006年発表の4th。
いまひとつ話題に上らない彼らですが、素晴らしいですよ、これ。

路線としては、キーボードを巧みに使い、丁寧に情景を描いていくタイプのエピック要素の強いシンフォニック・ブラックという感じですが…キーの音色の選び方が、DIMMU BORGIRの「Abrahadabra」のオーケストレーションの凝り具合を引き合いに出して語りたくなるほどに上手い。ピアノやブラス、ホラー的な空間的な音など、曲の展開によって最も合った音を選んでいるのが、聴いていて伝わる感じ。

他のシンフォブラック勢と比べると、メロディはクラシカルな煌びやかさだけでなく、ゴシックメタルの焼け付くような哀感や、ホラー的な耽美な怖さも感じられるのが特徴で、曲構成の巧みさとも相俟って、まるで幽霊船に乗っているかのような臨場感を覚えます。ブラックの絶叫だけでなく、OPETH的なまろやかなクリーンや、幽霊船長の呟きのような声、スラッシュ風のアジり声まで使いこなすヴォーカルもかなりレベル高いです。どのパフォーマンスを聴いても一級品で、しかもその全てが上滑りせず曲にしっかりフィットしているのが素晴らしい。

そういう訳で、シンフォニック・ブラックの中でも音像の煌びやかさだけでなく、丁寧に曲を構成し、エピックに展開していくタイプが好きならば必聴のアルバム。このバンドはもう少し評価が高くてもいいんじゃないかな…と思ったり。


DARZAMAT ★★ (2011-04-23 10:02:27)

ポーランド産シンフォニック・ブラック/ゴシック。
最新作「Solfernus’ Path」は日本盤も発売されています。


DARZAMAT - Solfernus' Path ★★★ (2011-04-23 10:01:40)

2009年発表の5th。

以前はゴシック色が強かったということで、線の細めで耽美な音を予想していましたが…音、めっちゃマッシブですね(笑)。ぶっといと言っても良いくらい。特に、雷の落ちたようなギターの音色には厚みがあって、エクストリームメタルとしての迫力はDIMMU BORGIRの「Puritanical~」「Death~」辺りと比較しても遜色ないくらい。ヴォーカルが声量あるグロウル中心なのも、その迫力を更に引きたてます。

しかし、デス的な迫力だけでなく、ゴシックとしての耽美さも忘れていないのが良いですよね。派手ながら、どこか仄めくような、後ろ暗い感じのメロディを弾くキーボード、ソプラノではなく、敢えて力強く中音域で歌い上げる女性Voなどによりゴシックな美しさが演出され、まるで力強い彫刻のような美があると思う。特に中近東っぽさも感じる女性Voはなかなか個性的。

あと、やはり曲自体が良いですね。
結構この手のバンドって、1曲目が最高の出来で、それを聴けばアルバム全体も把握出来ちゃう…みたいな作品も多いですが、このバンドはアルバムが進むにつれて曲も良くなってる気がします。1曲目を聴いた段階で「もう少しギターに動きが欲しい」と思ってたんですが、聴き終わる頃にはその不満は解消されてました。

DIMMUやCRADLEなど、メジャーでドラマティックなシンフォブラック好きな人なら一聴の価値ありです。


ECLECTIKA - The Last Blue Bird (2011-04-22 22:00:10)

2007年発表の1st。

ぶっちゃけインダストリアルだと思ってました(笑)。
バンド名も「ELECTRIKA」だと思ってた(笑)。
家に帰って聴いてみたら、バンド名を間違って覚えていた上に予想していた音楽性と全然違くてびっくり。アトモスフェリックでゴシックな世界観を持つ、シンフォニックブラックでした。

このバンドの音楽性を一言で言うなら、「凄く惜しい」シンフォブラック。
空間系の音やパイプオルガンの音色などを使い、宇宙的なムードを醸し出すキーボードと、泣きのフレーズを弾くリードギター、神秘的な女性ヴォーカルが絡んで醸造される世界観は、この手が好きなら酔いしれたくなるだろうし、時折入るテクニカルなソロも悪くないです。

ただ、肝心のバンドサウンドがメジャー志向でもない、アングラ(プリミティブ)志向でもないどっちつかずな音で、いまいちエクストリームメタルとしての迫力に欠ける上、喉を絞めたような地声で高音絶叫するヴォーカル(グロウルも使うけど、まあ普通)が雰囲気を壊しているのが惜しいです。リフ自体は悪くないんですが…。

瞑想的で美しいインストの3、6、10曲目、女性ヴォーカルが歌い上げる、ほぼ完全にゴシックの世界観の7曲目(タイトルが「Shibuya」)なんかはかなり良い線行っていると思うし、出来ればバンドサウンドの音質とヴォーカルスタイルを見直して、よりゴシック性を強める方向に進化してほしいですね。現時点ではまあまあという感じです。


ECLECTIKA ★★ (2011-04-22 21:58:17)

フランス産シンフォニック・ブラック/ゴシック。
「Eclectic」=折衷的・選択的。インダストリアルではありません(笑)。


BLACK FUNERAL - Empire of Blood (2011-04-22 20:51:10)

97年発表の2nd。

このバンドはアンビエントも演っているらしいですが、この作品は女性の語りを交えたオープニングや、パイプオルガンを使った、教会の墓場にいるようなインストを挟み、「ヴァンピリック」な世界観を表現しようとしている以外は、ほぼオーソドックスなプリミティブ・ブラックのスタイルですね。

音質は当然ながら劣悪で、特にカラオケの個室でエコーマックスで叫んだかのようなヴォーカルが酷い(笑)。最早病的なのか何なのか分からないです。しかし中世の後ろ暗い部分のみを抜き出したような、メロウだけどグロテスクなトレモロ、テンションだけならMARDUK並な爆走など、根幹自体はかなりしっかりしていて、プリミティブ好きから支持を受けるのも頷けます。

吸血鬼を題材にしたコンセプトからして、全くアメリカ的な音は期待してませんでしたが、期待通り(?)な北欧アングラ・プリミティブブラックの音。その手が好きな方限定でお勧めです。


BLACK FUNERAL ★★ (2011-04-22 20:50:33)

グリム・メディエヴァル・ヴァンピリック・ブラックを標榜するアメリカのバンド。一時期はアンビエントに傾倒していたらしいです。


THRALL - Away From the Haunts of Men ★★★ (2011-04-22 17:45:57)

2010年発表の1st。

このバンドはよくブラック/ドゥームとして紹介されていますが、確かに7曲目のようなスラッジに両足突っ込んだ音を出している曲やパートもありますが、基本的にはがっつりブラックメタルを演ってますね。しかも、他に似たバンドがパッと思い浮かばないような、かなり個性的な音を出していると思う。

まずメロブラの代表としてDISSECTIONやWATAINがいるとして、それらのバンドがメタルとしての整合性よりブラックの血腥い陰湿さを優先するとSJODOGGになり、その傾向を更に推し進めていくとこのバンドの音楽性になりそうな感じ。安易にメロい刻みを使わず、どす黒く塗り潰すようなリフで荘厳さ、病的さを演出する、ブラックとしての異形性が遺憾なく発揮された作風。

部分的には、病気じみたメロディを奏でるリフや、気が触れた様な絶叫はフレンチブラックに、8曲目などのメロウなパートはTAAKE辺りのノルウェー産メロブラに似ているところがあるし、時折BURZUMやDARKTHRONEが頭をよぎったりもするんですが、どのバンドの真似にもならない、個性のある音といえると思う。

メタリックなメロブラでもミニマルなプリブラでもなく、アヴァンギャルド過ぎる事もなく、しっかりブラックの世界を描ききっている良作といえると思います。


THRALL ★★ (2011-04-22 17:45:21)

一時期は大阪で活動していた、オーストラリアのブラックメタルバンド。
STRIBORGやRUINSとも交流があるとか。


BARREN EARTH - Curse of the Red River ★★★ (2011-04-21 17:43:14)

2010年発表の1st。

北欧のエクストリームメタルバンドの有名ミュージシャン達が一堂に会したプロジェクトということと、よく参考にしているレビュアーの方たちがこぞって褒めていたので、私も遅ればせながら購入したという次第ですが…思った以上に良いアルバムですね、これ。メタル聴いてるなら聴いておいて損はないアルバムですよ。

路線は、フルートやハモンド、メロトロンなどを使い、暗い叙情性を演出する曲調に、クリーンとグロウルを使い分けるヴォーカルが乗る、プログレッシブなメロデスという感じで、OPETH辺りを引き合いに出したくなる音、キーボードがプログレッシブな妙味を引き出している分、BEFORE THE DAWNよりもOPETHに近いかな…と思います。どちらもOPETHより1曲1曲は短めですが。

この作品、腕利きのミュージシャンが集まっているからなのか、メタルの各サブジャンルの良いとこ取りに聴こえるんですよね。メロデスのかっこよさは当然として、ブラックメタルに通じる陰鬱さ、プログレメタルの幽玄さ、ゴシックメタルの美しさに加えて、ハードロックの灼け付くような哀愁まで備えている感じ。

それでいて、作品の雰囲気は頭からラストまで徹底されているのが素晴らしい。フレーズ一つ一つのセンスもかなり良いと思うし、朗々と歌い上げるクリーンと、地の底から這い上がってくるようなグロウルを使い分けるヴォーカルも、OPETHに匹敵するくらいかっこいい。本当に、これだけのものを聴かされて、全く心を動かされないメタラーがいるのか…っていう完成度。日本盤が出ないのが不思議でなりません。


BEFORE THE DAWN - Deathstar Rising ★★★ (2011-04-21 17:41:50)

2011年発表の6th。

実はジャケ買いしてしまいました(笑)。
この銅に煌くスリーブケースが、なんだか豪華に見えてしまって…まあ、推薦コメントに「フィンランドのダークメタル・AMORPHISやKATATONIAが好きな人向け」と書かれてる時点で、絶対に大ハズレする事はないだろうと踏んでいましたが…。

しかし、実際聴いてみると思った以上に好みの音。
1曲1曲はコンパクトな作りながら、OPETHを思わせる構築性の高い楽曲を聴かせる、クリーンヴォーカルも含む叙情的なメロデス。グロウルの咆哮に真に迫った迫力があることや、クリーンヴォイスに官能的で優しげな響きがあるのもOPETHを思わせますね。

ただ、こちらはOPETHのようなレトロなプログレ趣味はなく、代わりに正統派メタルとしてのドラマ性や、演奏の重厚さの強い音。疾走系・弾きまくりなメロデスと比べるとこちらはどっしりと構え、北欧産らしい陰りのあるメロディを聴かせる、落ち着いた音と言えるかもしれません。曲構成の上手さとも相俟って凄く聴き応えがある作品。

ただ、刻んだりメロを弾くパートは素晴らしいんですが、ギターが音の壁を作るようなパートは、少し音が重すぎるようにも感じたり。楽曲が繊細な作りなので、出来れば音量はそのままに、KATATONIAの最新アルバムのような、音響重視のドゥームくらい繊細な音色なら更に私好みでした。


BELKETRE ★★ (2011-04-20 21:09:11)

MUTIILATIONやVLAD TEPES、TORGEISTなどと共に、フランスのブラックメタルサークル「Les Legions Noires」を結成していたバンドの1つ。音楽性は当然プリミティブブラックですが…プリミティブにも程があるって感じです(笑)。


BELKETRE - Ambre Zuetki Vuordrevartre (2011-04-20 21:07:41)

93-96年の音源を纏めた音源集。おそらくブート盤。
これ聴くと、如何にVLAD TEPESやMUTIILATIONがまともな音楽を演っていたかが分かりますね(笑)。

1-9は「demo 1993」「demo1994」「demo Dark Promise」の音源。
まず曲名を見ると、「The Dark Promise」が4パターン、「Despair」が3パターンで4種類しか曲がないことに吹き出しそうになります(笑)。「The Dark Promise」は、プリブラには珍しい「ズンチ、ズンズンチ」なダンサブルなリズムに、妙にアングラでクリアなベース、邪悪なトレモロ、郷愁を誘う(かもしれない)メロディが絡む曲で、悪くないです。喉を潰しそうな無理矢理絶叫、疾走する展開もグッド。「Despair」は不気味なメロのギターインスト。「Twilight~」はジワリ歪んだギターに疾走もするプリブラらしい曲で、「Hatred」は不吉なアルペジオに絶叫が絡む閉塞感の強い曲。

10曲目以降は「demo Ambre Zuetki Vuordrevartre 1996」の音源。
録音時期が後なのに、音質が更に酷くなっているのはプリミティブ・ブラックではよくあることですね(笑)。もうノイズすらも消えてなくなりそうなしょぼい音質で、(まともな音質なら)寒々しい(と思われる)リフを奏で、稀にサイケな感覚のメロディを乗せていく作風はかなりカルト。ちなみにこっちは曲のタイトルすら付けられてません(笑)。
前半はともかく、後半はMUTIILATIONが大丈夫な人でも相当きついと思われます。敢えてお勧めはしませんが、LLN関連を追いかけてTORGEIST辺りのバンドの音源まで所有している方なら手を出す価値はありそうです。


UNLEASHED - As Yggdrasil Trembles ★★★ (2011-04-20 19:20:28)

2010年発表の10th。

歌詞にもあるとおり、「ヴァイキング・デスメタル」を標榜している彼らですが…確かに歌詞やアートワークなどの面では、ルーン文字を使用したり北欧神話のアイコンが登場したり、ヴァイキングっぽい世界観ですが、実際の音はヴァイキングというより、メロブラとデスの中間くらいの音ですね。

ブラック特有の畏怖を感じさせるようなメロディのセンスと、デスメタルのマッシブな演奏が非常に上手く交じり合った、エクストリームメタルとして物凄く上質な音。リードギターに大きな見せ場を作る、リフにグルーヴィな(しかもメロい)刻みを入れるなど、メロデス好きにもアピール出来る作風でありながら、メロディは一般的なメロデスよりも数段ダークで、本当に素晴らしい。

ただ、1つ文句をつけるなら、曲順にはちょっと不満。
1曲目の「Courage Today~」は、このバンドの曲にしてはメロデス的で、健全なかっこよさがある。この曲も聴き込めば悪くないんですが、やはりリスナーに最初に届く音としては、邪悪かつ耳に残るメロディがトレモロリフと共に、波動のように繰り出される「So It Begins」「As Yggdrasil Trembles」辺りのほうがインパクトがあったかな、という気も。

ヴァイキングメタルのリスナーよりも、DISSECTIONやNECROPHOBICなどのメロブラ、GOD DETHRONEDやIMMOLATION辺りのデス好きにお勧めしたいところ。ブルータルさ、邪悪さを損なわずにメロデス要素を上手く取り入れているところなどは、最近のKATAKLYSMに通じるセンスの良さを感じられます。


IMAGINARY FLYING MACHINES - Princess Ghibli - Nausicaa Requiem ★★★ (2011-04-13 20:24:13)

NECROARGENTOというバンドのアレンジですが、これは素晴らしいですね。原曲のちょっと怖い雰囲気のメロディを生かして、幻想的な風景が浮かぶようなアレンジにしてます。


IMAGINARY FLYING MACHINES - Princess Ghibli ★★ (2011-04-13 20:20:46)

2011年発表のジブリカヴァーアルバム。

なんか、凄い事が起こってますね…
DISHARMONIA MUNDIを始め、BLOOD STAINED CHILDやDESTRAGEなど、メタルフィールド全体でも高い評価を得ているバンドのメンバーが集結し、女性ヴォーカルをフィーチャーしたジブリのテーマ曲のメロデスカヴァーを演る…これだけで私的には「事件」ってレベルなんですけど(笑)。

実際に聴いてみても、取り合えずこれだけの面子が揃っているのだから、演奏面では文句のつけようのあるはずもありません。リフもリードもテクニカルで非常にかっこいいし、爆音で疾走する音は単純に聴いていて気分がいいです。そして日本語の歌詞をグロウルやスクリームで絶叫するのがなんか新鮮(笑)。そこに清楚な感じの女性Voが乗るのも面白いですね。バックの狂いっぷりとの対比で、夢中夢を聴いているような非日常感すらあると思う。

ただ、ちょっと惜しいのが、「別にジブリじゃなくても…」と思ってしまう所があること。例えばDISSECTIONは、リフで極寒の吹雪を表現してましたが、このプロジェクトも「もののけ姫」なら自然界への畏れ、「となりのトトロ」なら未知の潜む森など、同じようにメタルサウンドから情景を感じ取れるサウンドになっていれば尚良かったのに…と思います。「ポニョ」に至っては、普通にメタルでも出来そうな歌メロに改悪されてしまってるし…。

とは言っても、高品質なメロデスとジブリの極上のメロディの夢のコラボであることは間違いありません。「メタルは激しくてテクニカルな音楽」くらいの認識で、かつこれからメタルを聴こうという人には、ジブリの親しみやすさも加わって、正統派やメロパワの大御所の名盤群よりも取っ付きやすい作品かもしれません。


MALEVOLENT CREATION - Invidious Dominion ★★★ (2011-04-12 21:02:11)

2010年発表の11th。

これは素晴らしいです。
以前「In Cold Blood」を聴いた時は、味があってそこが魅力的な音だと思いましたが、本作はデスメタルとして、エクストリームメタルとして普遍的な魅力があると思います。

路線自体は当然変わらず、リフとリズムのマシンガンのような波状攻撃で聴き手を攻め立てるブルータルデスですが、全てに於いて昔より洗練されている感じがします。リフにはオールドスクールなデス好きが好むような禍々しいうねりと、程よいメロディが同居しているし、緩急付けつつ攻撃の手を緩めないドラミングも実に心地よいです。

ヴォーカルは「In Cold Blood」の時とは違う、オリジナルメンバーのBret氏が担当してますが、彼の声は思いっきり歪んでいるのに、歯切れの良さも合って凄くかっこいいし、彼のヴォーカルがあってこそ、このグルーヴやキャッチネスも生まれてると思う。また、音質も「In Cold Blood」と比べると大幅に洗練されていて、攻撃性を気持ちよく伝えてくれる、エクストリームメタルとしてこうあるべきという感じの音に。

しかし、日本ではそんなに話題になっていないらしいのが残念ですね…。確かに、思いっきりストレートなブルデスなので、音楽性を一言で表すような特徴に欠けるのかもしれませんが…デスメタルというジャンルを象徴するような作風と質の高さだと思いますよ。DEICIDEやIMMOLATION同様、メロデスではない「ブルータルなデスメタル」の素晴らしさを伝えてくれる作品です。


THE ROYAL ARCH BLASPHEME - The Royal Arch Blaspheme ★★★ (2011-04-09 16:33:20)

2010年発表の1st。

ヴォーカルをKRIEGのImperial氏、作曲その他演奏関連をPROFANATICAのJohn Gelsoが担当するプロジェクトということで、PROFANATICAの曲にImperialのヴォーカルが乗ったような、ウルトラカルトなブラックを期待してましたが、そのまんま期待通りの音ですね(笑)。

野蛮さすら感じさせる、ブラックでも随一のブルータルな声を持つImperialと、オーガニックな気味悪さを放出するPROFANATICAの曲が合わないわけがないです。ただ、先日リリースされたPROFANATICAの新譜と比べると、血の饐えた匂いが漂うような気味悪さはほんの少しだけ薄め。代わりに、爆発を伴い、目の前を薙ぎ払うような力強さが追加されているような感じがします。

そういう訳で、元となる2バンドのネームバリューで買ってしまっても損はないであろう良質の作品だと思います。予想を遥かに超えるという訳ではありませんが(そもそも、この2バンドの共演と言う事でどうしてもハードルが上がってしまう)、期待を裏切らないカルト性や質の高さがあるアルバムですよ。


THE ROYAL ARCH BLASPHEME ★★ (2011-04-09 16:32:27)

KRIEGとPROFANATICAのメンバーによる夢の共演。


ABSCESS - Dawn of Inhumanity ★★★ (2011-04-09 16:25:34)

2010年発表の6th。

ブラストによる爆走だけでなく、オールドスクールでスラッシー(というよりパンキッシュ)な疾走と、ドロドロと引きずる、ドゥーミーなパートも大事にしたスタイルのデスメタル。流石にスローパートの使い方は非常に上手いですよね。
粘液のように纏わり付く邪悪さが、そのパートだけでなく、速いパートにまで波及して更なるグロテスクな情景になっている感じ。スローパートにリードギターが入った時なんか、暗闇に蝋燭の明かりが灯って幽かに物の怪の姿が見えるかのようで、更に不気味。

ヴォーカルは、やや地声交じりのスタイルで、普通だったら「もっと歪んでいる方が好み」と言いたい所ですが、このバンドの音楽性には合ってると思う。普通のグロウルやスクリームよりも数段ヒステリックで、それが血腥い世界観にピッタリ。
また、近年のDARKTHRONEを思わせる、ハードコアっぽい雰囲気も微妙に感じられますが…これも飲んだくれているダーティさではなく、墓場で演奏しているような怖さに繋がっているのが面白いです。

スローパート多めというと身構える人も多そうですが、このバンドは無駄にスローパートを入れず、確固とした魅力を分かりやすく出せているので、そんなに取っ付きづらくはないかと。まあ、欲を言えば音量はもう一目盛り上だと良かったですね。ソリッドになりすぎず、しっかり気味悪さを残した音作り自体はかなり良いんですが。


INFLABITAN - WANDERER OF GRIEF 1993-1995 ★★ (2011-04-08 20:25:55)

タイトル通りの年の音源を集めたコンピレーション盤。2010発売。

作風は、アヴァンギャルドかつメロディックな、キーボード入りのプリミティブ・ブラックという感じですが…プリブラらしい繰り返しは多いものの、キーボードの音色を使い分け、神秘性やファンタジー性を演出してみたり、メロウなベースラインをリフに絡めてきたり、リフのノイズ質を操作したりなど、ローファイで低予算な音質の中でもドラマ性を描こうとしている所が素晴らしい。

北欧らしい凍てついた幻想的なメロディや、リフの音色をコントロールし、空間が捻じ曲がるような気味悪さを演出するパートなどを聴いていると、初期ノルウェー産ブラックの想像力を象徴するようなリリースを続ける、Kyrck Productionというレーベルが、この音源に目をつけたのも頷けるような気がします。特にキーボードの入った前半4曲は、メジャーバンド以上にその「想像力」を教えてくれること請け合い。

ただし、キーボードがない上に、ジャリジャリした高音のノイズが耳を劈く後半6曲は、今までのKyrckのリリースを追ってきたような、ブラックが好きな人限定という感じはしますね。まあ、それでもかなり印象に残るメロディは多いし、特に妙にメタリックな8曲目はロックスターの登場BGMを「プリミティブブラックで」表現したような、ヘンな味があって面白いと思う。


INFLABITAN ★★ (2011-04-08 20:25:20)

STRID、DHGのメンバーによるプロジェクト。
音源によってはVED BUENS ENDE等でお馴染みAggressorも参加。
早くに活動を停止してますが、去年Kyrckから音源が再発されたので、聴かれた方も多いかと。


INCRIMINATED ★★ (2011-04-07 22:20:02)

フィンランドのブラックメタルバンド。
SATANIC WARMASTERのWerewolf氏がドラムを担当。
現在は解散してしまったそうです。


INCRIMINATED - King of Misery ★★ (2011-04-07 22:19:28)

2004年発表の3rd。

「これがオールドスクールなプリミティブ・ブラックだ!」っていうくらい、分かりやすい魅力のある音ですよね。ブラックにつきもののトレモロ&ブラストではなく、スラッシュ寄りの刻みリフとノリのいいリズムで進行しつつ、スラッシュの熱さではなく、プリブラのミニマリズムや酩酊感、ダーティさを演出していく作風。

音質もノイジー過ぎずオーバープロダクションに陥らず、アングラさ・アナクロさのある味わい深いもので、曲調とも合ってますね。ヴォーカルは喉をゴロゴロ鳴らすような、ダウナーなパフォーマンスで悪くないです。ラストはちょっと毛色の異なる、ドゥーム色の強い大作ですが、この路線の曲も音質・ヴォーカル共に合っていて、違和感なく浸れると思う。

個人的にはオールドスクールよりブラックのジャンル確立後の方が好きなので、もう一つなにか欲しいな…と思ってしまいますが、この手が好きなら推薦です。


80☆PAN! - 8 CARAT PRINCESS - キラキラ ★★★ (2011-04-07 22:16:36)

♪飛~び~だしゃ~いい~

…って、歌いたくなりますよね(笑)
ガムラン風キーボードによる裏メロといい、ヘヴィなギターの切り込み方といい、フェイドアウトの仕方といい、B'zの「さまよえる蒼い弾丸」を意識していないわけが無いかと。聴けば聴くほど笑えてきてしまいます(笑)。


INQUISITION ★★ (2011-04-06 22:05:04)

コロンビアのブラックメタルバンド。
元はスラッシュを演っていたらしいですが、そうは思えないくらい独特のブラック。


INQUISITION - Magnificent Glorification of Lucifer ★★ (2011-04-06 22:04:34)

2004年発表の3rd。

これまた独特の路線を行くバンドですね…。
曲自体は、ミディアム~(爆走までいかない)疾走が中心の、ミニマルでダーティなプリミティブブラックで、オールドスクールなタイプと言えそうですが…ヴォーカルのスタイルが超独特、かつ好みが分かれるのが特徴。殺気も覇気もやる気も元気も何もない、それこそお経のような声で歌っている…というか、歌詞を唱えているだけです。

蛙を潰したような声で、一般的にこの手の音楽に期待されるような攻撃性もほとんどありませんが、なにか幻覚を見ている人のうわ言の様な気味悪さがある。これがミニマルな展開や、メロディの薄い音像と合わさると、妙にトリップ感のある音になるんですよね…。

一般的なエクストリームメタルファンよりも、トリップメタルが好きで、かつそのトリップ性をプリミティブ・ブラックに見出している人ならかなり気に入るのではないでしょうか。メロディこそ薄いものの、「Drawing down the Moon」期のBEHERITに、クスリの幻覚の中で神や魔と対峙するようなヤバさを覚える方にお勧めです。


PROFANATICA ★★★ (2011-04-06 17:51:05)

INCANTATIONのメンバーにより結成されたブラック。
一度解散したものの、01年にPaulが新メンバーを招き再結成されたらしいです。


PROFANATICA - Disgusting Blasphemies Against God ★★★ (2011-04-06 17:50:33)

2010年発表の2nd。

音楽性はもちろん、カルト臭漂うプリミティブブラック!!!
…で間違いないんですが、内臓が圧迫されて爆縮起こすような、ベースの低音が効きまくった音作りは、ILDJARNのようなノイズ系、DARKTHRONEのようなロウファイ系のどちらのタイプのプリブラとも、ましてやブルータル系のバンドとは一線を画するような圧迫感がありますね。どす黒いはどす黒いでも、暗闇というよりも酸化して真っ黒く変色した血反吐のような、オーガニックな気持ち悪さを伴うどす黒さ。

甘くならない程度にトレモロリフによって味付けがされてますが、このメロディがまた毒々しくて気持ち悪いんですよね…。最初からメロディで押し過ぎず、世界観に聴き手が染まってくるであろう中盤辺りから(グロい意味で)大仰さを増したメロディが多くなってくる辺り、余計性質が悪いです(笑)。太い血ミドロベースとユニゾンする箇所なんて、確実に聴き手を蝕む毒電波出てますもん。膿の海底を這いずり回る蛇のような、薄気味悪さと狡猾さ、冷淡さを備えたヴォーカルパフォーマンスも実に世界観にピッタリ。

出音の質が高くても、オリジナリティがなかったり中庸だったりすると厳しい評価を下す事も多いMetal Maniacs誌でも、「2010年のブラックメタルアルバムの中ではベストのうちのひとつ」というコメントと共に、9点という高評価が出たようですが、それも頷けるカルト性とクオリティを両立させた良質の作品。アメリカのアングラブラック好きなら外せない一枚だと思います。


CARACH ANGREN - Death Came Through a Phantom Ship ★★★ (2011-04-05 20:42:17)

2010年発表の2nd。

丁度シンフォ系が聴きたくなったときにショップで推されてたので、つい買ってしまったんですが、これは高品質なリリースが続くシンフォブラックの中でも、特に作曲面や演出面において、頭一つ抜けたクオリティを持ってる作品ではないでしょうか。

ゴシック的な仄暗い邪悪さと美しさを備えたメロディと、緩急織り交ぜた展開でシアトリカル・コンセプチュアルな世界観を、まるで劇場にいるかのような臨場感をもって聴かせる作風は近年のCRADLE OF FILTHに近いものがありますが、このバンドは更に初期DIMMU BORGIRのムード作りの上手さまで兼ね備えているのが凄い。時々後期EMPERORのような、知性的な邪悪さの宿ったメロディも聴けるし、個人的にはシンフォブラックとしては非の打ち所がないです。

(特に近年の)COFが正統派メタルのマッシブさに拘り、時々演出面やメロディ面で弱さを感じさせる場面があったり、初期DIMMU BORGIRはアトモスフェリックな音楽としては最高でも、正統派メタルの観点から見ると微妙だったりといった弱点がありますが、このバンドは正統派にも雰囲気系にもおもねりすぎない、絶妙なバランス感覚があると思う。金太郎飴になりがちなこのジャンルでも、「曲のよさ」で聴かせるセンスはCOFやDIMMUなどのメジャーバンド同様、素晴らしいものがあると思う。

悪いところといえば、やや音質が迫力に欠けるくらいですが、これもアトモスフェリックな空気感を出すためには寧ろプラスになっていると思うし、別にそこまでの欠点ではないかと。まあ、音量はもう少し上げた方がいいとは思いますが。
…という訳で、シンフォブラック好きな方ならチェック推奨な良作。メタル自体が好きな人にも、ブラックの雰囲気が好きな人にも、是非聴いて欲しい作品です。


DAWN OF ASHES - Genocide Chapters ★★ (2011-04-03 22:26:09)

2010年発表の3rd。

今でこそ完全にシンフォニック・ブラックのスタイルですが、このバンド、以前はインダストリアル/EBMを演っていたらしいですね。その感性のせいなのか、最近のバンドに多い、ド派手なキーボードと共に爆走するシンフォブラックとはやや異なる路線で、妖しげなキーボードを巧みに使って重々しく破滅的な情景を描いていくような音ですね。

メロディのセンスはかなり良く、特に中近東っぽいメロディが印象に残る「Transformation within Fictional Mutation」などは出色の出来。ジワリと破滅が忍び寄るようなムードは、煌びやか、とは言い難いですが、「Midian」「Bitter~」期のCRADLEのようなホラーっぽい雰囲気があると思います。

ただし、雰囲気重視のせいか、バンドサウンドとキーボードの関係に、ちょっと物足りなさを覚える感じもしますね。バンドの上にキーが乗ってる感じで、今ひとつ「絡み」の濃厚さが足りない感じ。バンドの音自体(特に刻みリフ)も少し作り物っぽさがあるのが気になる。まあ、印象的なフレーズが多いので帳消しにはなってますが。

あと、1曲目がラスト近くまでキーが脇役なので、少し取っ付きづらく感じるかも。アルバムの構成上は、この1曲目がなにか悪魔的なものを呼び出す儀式のようでもあり、悪くはないんですが。シンフォ系期待した聴き手に真っ先に届く音としてはインパクトが少ないかも。

雰囲気物であることと、メタルであることのバランスが良く、ホラー的な情景をシンフォブラックで味わいたい人にはお勧めの作品。ただ、個人的にはそのバランスが良すぎて、却って小粒に聴こえてしまうかも。もう少し壊れた部分があっても良かったとも思います。


DAWN OF ASHES ★★ (2011-04-03 22:24:33)

以前はインダストリアルだったというアメリカ産シンフォニック・ブラック。
シンフォブラックに舵を切った3rdは、日本盤も発売されています。


NON OPUS DEI - Eternal Circle ★★★ (2011-04-01 22:23:24)

2010年発表の6th。

ブルータルデス並の暴虐性とテンションで突っ走るブラックという事で、デス方向に家事を切ってからのBEHEMOTHを思わせる音ですね。アコギや中近東メロディの演出を絡めるBEHEMOTHと比較すると、こっちはより暴虐パートに的を絞ったような内容。良質のプロダクションで、太い音ながらジリジリした音色のリフ、ハイピッチ・ハイテンションで喚きまくるヴォーカルなど、よりブラックらしい音で、ウォーブラックやファストブラック好きにもお勧めできそう。

ただ、一般的なウォーブラックやファストブラックよりも、メロディに毒が効いているのが特徴ですね。この哲学的思索に耽り過ぎて自家中毒起こしたような混沌としたメロディは、僅かにDEATHSPELL OMEGAの影がよぎった様にも感じられたり。ただでさえ混沌が渦巻いているような音塊なのに、それが不吉なメロディで撹拌され、更にカオスと化してしまってます。

しかし、この作品はケースが凝ってますね…ペーパースリーブはCDに傷が付きやすいので正直好きじゃないんですが、歌詞カードが紐で綴じられてたりケースに干し草が挟まってたり、なんか凄くお金が掛かっていそう(笑)。


NECROPHOBIC - Death to All ★★★ (2011-04-01 00:45:15)

2009年発表の6th。
まだ誰もレビューしてないですが、相当良いアルバムですよ、これ。

メロブラって、特にトレモロリフにメロディを練り込んでメロディアスに仕上げるパターンが多いですが、このバンドはかなりリードギターも重視した、正統派やメロデス好きも気に入ってくれそうな路線ですね。リードギターの見せ場としてのソロだけでなく、曲を特徴付けるような構築性の高いフレーズも多く弾いていて、それがメロいリフで押すパートと上手く組み合わさる事で、非常にドラマティックな展開になってます。

劇的でメロウ、かつ聴きやすい作風ですが、邪悪さもしっかり内包されているのがこのバンドの素晴らしい所。特に、トレモロリフはDISSECTIONやDARK FUNERALと比較しても、暗度・寒度ともに劣らないレベル。ヴォーカルの中音域のガナリもストレートな邪悪さを放出。メロデス好きにもアピール出来る、しかしそちらにおもねり過ぎずしっかり邪悪という、まるでメロブラのお手本といっても良いくらいの音。

個人的には、DISSECTIONやNAGLFAR、OLD MAN’S CHILD辺りと並んで「メロブラの代表格」扱いしても差し支えないバンドだと思います。最近KEEP OF KALESSINやISTAPPなど、良質なメロブラの日本盤がリリースされてますが、このバンドも日本盤を出して、日本のメタル好きにもその実力を知らしめて欲しいです。


マリア - 神曲「刺薬歌」 - 神曲「S・E・X」 ★★★ (2011-03-30 18:37:29)

これは本当に神曲です!
中学生でさえどん引きしそうなストレートな下ネタを、シャズナの「Melty Love」を思わせるキャッチーなメロに乗せただけでも十分強烈ですが、更にメロスピ系ピロピロソロに猿に憑依されたかのようなホイッスルを乗せたり、ファンタジー系のメタルバンドがやりそうなクッサいキーボードメロを挿入したり、何か神懸かったバランスで凄まじい物が完成してしまった感じ。「♪君を犯したい 犯したい 赤玉が出るまで」これを真面目にV系的なナル声で歌い上げてるのだから凄い。ネタで終わらせるには余りにも惜しい1曲。クサければ何でも良い方は是非!


マリア - 神曲「刺薬歌」 - 神曲「刺薬歌」 ★★★ (2011-03-30 18:31:08)

「ガラスのメモリーズ」「さよならイエスタデイ」期のTUBEのキャッチネスに、中島みゆきの哀愁と多くの耽美系ヴィジュアル系バンドに共通する美意識を加えたかのような美メロが、メロスピ的な疾走に乗る曲は普通に超名曲なレベルなんですが…ヴォーカルは何をそんなに頑張ってるんでしょう(笑)。でも、このヴォーカルで「ネタに見えて、実は曲が良い」というフックが付いてる気もする。


DEFILED - In Crisis ★★★ (2011-03-30 18:14:17)

2011年発表の4th。

最近デスに嵌っていて、彼らの音も初めて聴きましたが、素晴らしいですね。
つい先日発売されたSEEDの新作同様、このバンドも全く日本っぽさ、アジアっぽさを感じさせない、アメリカの老舗バンドのような非常にブルータルでオールドスクールな音ですね。暴虐極まりないリズムの上に、キレもウネリも申し分なしのリフと怒れる神のようなグロウルが乗る音作りは、どこをどう聴いてもかっこよすぎです。

また、ベースが非常に目立っているのも特徴で、ドカドカと蹴散らすようなドラミングの上にバギバギのベースが絡み合うと、もう好き者なら、いや好き者ならずとも身を委ねたくなること請け合いな凄まじいカオスに!SEEDの最新作同様、個人的にドラム大きすぎに感じる音作りなんですが、このアンサンブルならこれでいいのかもしれません。

ゴツくテクニカルな音を気持ちよく感じる人であれば必聴。


マリア - FOR YOU - 神曲「星の砂」 ★★★ (2011-03-29 22:38:30)

この無理やりヘッドボイスを捩じ込んでくる感じが良いなぁ(笑)
だって一オクターブ下で歌ってるパートは普通に良い声なんだもん。まあ、高音出すのに必死で微妙にメロディや発声が適当になってる気もしなくもないけど、その辺りのヘナチョコ具合も含めて好きだったりします。


マリア - FOR YOU - 神曲「性欲願望」 ★★★ (2011-03-29 22:37:43)

歌詞見たときは「ああ、奇声ホイッスルで暴れまわる曲なんだろうな」と思ってたんですが…意外にも正統派メタルからの影響が感じられるツインリードや、しっかりとした歌メロがあるクサ曲。正直、メロディのセンスはメジャーのバンド並にあると思う。C級臭さもクサメタラーにはご褒美だし、これはタイトル通り「神曲」認定してもいいかも。


マリア - FOR YOU - 神曲「FOR YOU」 ★★★ (2011-03-29 22:37:06)

まず第一声からして凄まじいインパクト(笑)
しかし、冷静にメロディを聴いてみると物凄いまでのクサメロだし、地声で歌ってる箇所は(V系の癖が強く、お世辞にも上手いとまでは言えないとはいえ)美声といっても過言ではないほど、良い声。地声からホップステップ玉砕でホイッスルへと繋げるパートも聴いててある意味気持ち良い。


マリア - FOR YOU ★★★ (2011-03-29 22:36:24)

2008年発表の3曲入りシングル。
値段は1000円。V系にしては安い(笑)。

まず誰もが彼の音楽を聴いて驚くと思われるのが、その歌唱スタイル。
「なんでそんなに…」と思うほど、ホイッスルボイスやヘッドボイスなど、高音域の発声を多用する歌い方は凄まじいインパクト。明らかにいっぱいいっぱいな感じなんですが(笑)、全力を込めて歌ってる感じで個人的には物凄く好感。特に1曲目の「Love!」「Truth!」の掠れホイッスルなんて、DIRやマライアキャリーどころか初期FLEURETY並みの強烈さ。あの出切らない感じが素晴らしい。

また、意外にもメロディのセンスは恐ろしく高く、前述のヘナチョコ全力超高音歌唱とも相俟って、物好きなクサメタラーならば応援したくなる事請け合い(笑)。ただ、アレンジは…ディレクターが付いた事で、某動画サイトで公開してたMIDI音源よりは全然マシで、2曲目ではクサいツインリードまで見せてくれますが、やはりもう一ひねり欲しい所。

余りにもインパクトがあるため、出オチっぽく思われそうな作風ですが、私としては無難な作風のベテランバンドよりも全然ロックを感じます。是非再評価を。


マリア ★★★ (2011-03-29 22:35:28)

某動画サイト漁ってたら凄いの発見してしまいました。
試聴して即「買おう!」って思いましたもん(笑)。
そのインパクトからネタ扱いされがちな彼ですが、自分の実力を超えた表現方法にまで果敢に挑んでいく姿勢こそ、ロックなのではないでしょうか。ただ演奏や歌が上手いだけのアーティストよりも100倍かっこいいと思うし。


SEED - ORIGIN OF SEED ★★★ (2011-03-29 22:02:57)

2010年発表の2nd。

12年振りのフルアルバムらしいですね。
ぶっちゃけこのバンドの事は知らなくて、新品500円で投げ売りされてたから買っただけなんですが(笑)…これ、デスメタルとして超一流の完成度なんですけど。ヤバイ、今年の運を使い果たしてしまったかも…。

路線としては、無慈悲極まりないブラストビートに、デスメタル特有のうねるギターリフとドスの効いたグロウルを乗せた、ごくオールドスクールなブルデスという感じで、日本のDEFILEDともかなり近しい音。うねりにうねりを重ねるようなフレーズや、狂気を更に増幅させるようなソロも入れてくるギターワークが実にかっこいいです。

DEFILED同様、アジアっぽさはほぼ無く、アメリカの頑固な老舗バンドの新作といったら信じてしまいそうなほど、クオリティが高くそしてストレートに「デスメタルしてる」音。ただ、DEFILEDの新作でも同じことを思ったんですが、ドラムの音が少し大きすぎかも。単に大きいというか、耳に痛い音になってて、時々聞いてて辛い。近年のBEHEMOTHやIMMOLATIONくらいのバランスならマジで名盤だと思ったんですが。


SEED ★★ (2011-03-29 22:01:50)

韓国産デスメタルバンド。
ほとんどアメリカ産のバンドのようなゴツくオールドスクールな音出してます。
DEFILED辺りがツボな方は是非。


SVARTSYN - Wrath Upon The Earth ★★ (2011-03-29 20:20:56)

2011年発表の6th。

現在は脱退したドラマーが元DARK FUNERAL、かつバンド自体もそこそこ名の知れていると言う事で、試聴もせずに買ってしまったんですが、これは期待通りの音ですね。最初のゲームオーバー音楽をオーケストラアレンジしたようなイントロには驚きましたが、続いて出てきた音は、芯の非常にしっかりしたファストブラック。
寒々しいとか邪悪とか言うよりは、神経に障る気味悪さのあるトレモロ、時折入るパーカッシブなリズム、典型的なガナリスタイルながらどこかダウナーな邪悪さを感じさせるヴォーカルなど、なかなか聴き応えのある音。

ただ、地下臭いメロディにしろパーカッシブなリズムの導入にしろ、まだ「このバンドならでは」という感じまでには至っていないのと、メジャー志向の暴虐を手にしたいのかアングラ志向の邪悪さに行きたいのか、いまひとつハッキリしない控えめな音質は少し不満が残るかも。特に後者、時々曲の繋ぎで情けないノイズが入るのがなんだか嫌な感じ。

不満点はあれど、邪悪系ファストブラック好きにはお勧めできる作品。出来れば、ブラック以外のメタル好きにもアピールできる何かが欲しい所。もう少しでそれが出来そうな音なのが、なんか惜しいんですよね。


SECRETS OF THE MOON - Privilegivm ★★★ (2011-03-29 20:02:59)

2009年発表の4th。

良質なプロダクションと刻みを多用する曲展開で、メタリックなマッシブさはキープしつつも、近年のSATYRICON的な魔王が降臨するような堂々としたキャッチーなサビパート、単に暗黒なだけではない、深遠な神秘性・魔性を感じさせるトレモロリフやアルペジオによりブラックならではの邪悪な世界観を演出する作風は、前作の路線を踏襲してますね。特にアルペジオの使い方はブラックメタルバンドの中でも屈指の巧みさで、これを利用した不穏なムードの濃さは近年のDEATHSPELL OMEGAに匹敵すると思う。

但し、、以前までと比べると疾走パートはかなり減少し、ほぼミドルテンポになっているのは、少し聴き手を選ぶかもしれません。個人的には暗黒の世界に君臨するような、威風堂々とした雰囲気が更に強まっているので歓迎ですが。ただ、ちょっと「引き」のパートが長い傾向があるのが気になりますね。特に導入部の、1曲目と2曲目のイントロは、それぞれ「アルバムの導入」「楽曲のイントロ」としては素晴らしいものの、二つ繋がるとちょっとクドいかも。まあ、それを差し引いても、09年のベストの一枚に選んでしまったほどお気に入りの作品なんですが。

アバンギャルドだったり邪悪だったりするバンドは沢山いますが、このバンドのように丁寧で、かつメタルとして質の高い、ある意味聴きやすい曲作りと深遠な邪悪さを両立できているバンドは本当に貴重だと思う。今ひとつマイナーなバンドですが、もっと日本でも売れてほしいですね。


WE BUTTER THE BREAD WITH BUTTER - Der Tag an dem die Welt unterging ★★★ (2011-03-28 22:17:18)

2010年発表の2nd。
特価だったので買いましたが、凄過ぎますね、これ。

音楽的には、ミッドテンポ、グルーヴ重視のキーボード入りデスコアという感じですが、まずキーのセンスが素晴らしい。サイバー系の音色でアーバンな雰囲気を醸し出したり、ストリングス系でクラシカルなメロディを奏でたりしてますが、その合わせ方が絶妙で、まるで破滅する街の中を彷徨っている悪夢を見ているような、シリアスだけどどこかキッチュな、凄く独特のムードを醸し出しています。

根幹となるリフも、時にメロブラ的な不穏さを醸したり、時にメロデス的な高揚感を生んだりしつつも、全体を通してヘヴィな音色で実に心地よいです。悪夢のような世界観も、このヘヴィネスがあるからこそ表現できているのかと。ただ、唯一惜しいのはドラムの音作りですね。モダンにしたいのは分かるけど、打ち込みのようなガチャガチャした音になってるように聴こえる。まあ、全体からすれば些細な事ですが。

そして何よりも感銘を受けたのが、あまりにも凄絶なヴォーカルワーク。
「Wolf’s Lair Abyss」期のMAYHEM風の粘着質な絶叫と、OCEANO並みにイカツイガテラルを両方使いこなしてます。それも他のバンドのお手本となるくらい高いレベルで。特にガテラルの方は聴いててこっちまで胃がせり上がってきそうなグロさ。まだ新人と言えるキャリアですが、ベテランのデスメタルバンドのヴォーカルを蹴落とさんばかりの凄まじさがある。

このバンドは2007年結成らしいですが、出音の方はクオリティ、ムード共に明らかに一流レベルです。モダンなエクストリームメタルが好きであれば、是も非も無く一聴すべきバンドであると思います。


KENJI SIRATORI - Dark Nature ★★ (2011-03-28 19:34:41)

Ihsahnの妻Ihrielとの共演でも知られる、日本人サイバーパンク作家の1st。
某ショップではブラックメタルとして紹介されていましたが…

バンドサウンドやメロディは一切無く、ノイズや持続音を使って世界観を練り上げる音は、ブラックというよりは「ブラックの世界観を持つノイズ/ダークアンビエント」と言った方が正しいかも。持続音で真っ黒で抑圧された空気を感じさせつつ、そこにノイズで情景を描いていく作風は、アンビエント系ブラックのみならず、CMI系列のダークアンビエントを愛聴する人にも薦められそう。

聴いていると、荒廃し切った廃墟だったり、数多の金属片がドス黒い重力場に引き寄せられ、押し潰される様子だったり、様々なイメージが浮かぶ、想像力を刺激する音は作家ならではといった所でしょうか。また、時折エフェクトじみた、如何にも機械がかったノイズを挟んでくるんですが…使いすぎると作り物めいた音像になりそうなこの音を、上手く使って有機的な音に仕上げているのが素晴らしい。

ただ、私はIhrielと共演経験のある、日本人作家のブラックという予備知識だけで買ったので、全く日本産の匂いがしない、かつバンドの音の全く入らない作風には「あれ?」という感じかも(笑)。その辺を踏まえているなら、買って損はないのではないでしょうか。


KENJI SIRATORI ★★ (2011-03-28 19:34:07)

先日ブラック/アンビエント/ノイズのアルバムを発表した日本人サイバーパンク作家。
「KENJI SHIRATORI」ではないので注意。


IMMOLATION - Majesty and Decay ★★★ (2011-02-15 21:25:53)

2010年発表の8th。
デスメタラーの間ではかなり有名なバンドですが、私はこの作品が初聴き。なんですが、ヤバイですね、このバンド。かっこよすぎるんですけど。

タイプ的には、重々しいミディアムも交えつつ突進する暴虐なリズムに、デスメタル、特にブルデスに多い、禍々しいうねりを伴うリフを乗せ、地の底から響くようなグロウルで吼える、正にデスの醍醐味をそのまま音にしたような作風。
ド迫力のドスの効いた、でも決して愛想の悪くない展開はブルデス化後のBEHEMOTHに近いかも。向こうよりもリフ/リズムに特化した感じで、ヴォーカルや演奏の迫力、プロダクションなども向こうに負けてません。

基本、時折リードを交えつつも、リフとリズムの絡みで展開を作っていく曲構成なんですが、たまに演奏が「バンドの音を超えた何か」に聴こえるときがあるんですよね…。
例えばビープ音のようなリフとハーモニクスが混じり、本能への警告のように聴こえたり、重厚なミディアムが巨大な青銅魔人の像の威容を思わせる迫力で迫ったり、リフとリズムの苛烈な絡みが宗教的熱狂の高まりを思わせたり…まあ私が勝手に想像してるんですが、なんか単なる「バンドの音」で割り切れない、有機性がある気がするんですよね。それを基本リフ/リズムで感じさせるのだから凄い。

この系統ではベテランらしいですが、BEHEMOTHやデスコアなどを追っている、若いメタラーも是非聴いて欲しい作品。轟音愛好家ならイントロダクション明けの1曲目から、身を委ねたくなるはず。


HOUSE VS HURRICANE ★★ (2011-02-15 01:13:38)

オーストラリア、メルボルンのエクストリームメタルバンド。
まずバンド名が面白いですよね。どういう音か聴いてみたくなる。
ちなみに、結成は2006年とかなり若いバンドのようです。


HOUSE VS HURRICANE - Perspectives ★★ (2011-02-15 01:13:06)

2010年発表の1st。

一概に、メロデスともメタルコアとも言えない、独特な音楽性ですね。
グルーヴ重視のリフにメロいリードを絡め、基本ブラック寄りの絶叫ながらコーラスパートではクリーンも使うヴォーカルを乗せたスタイルは、メロデスやメタルコアに近いものですが…このバンドは、そこにサイバーなトランス風のキーボードを大々的にフィーチャーしているのが最大の特徴。

その音色が、ただ現代的なだけではなくて、幽玄さ、非現実性、スペイシーな感覚なども生んでいるのが、素晴らしいと思う。その感覚は同じく抽象的ムードを醸し出すリードギターのメロディと交じり合う事で、更に強くなってます。決して取っ付きにくくはないのに、プログレッシブな、もしくはポストメタル的な感触のある音。

ただ、クリーンが普通のハードロック風で、ブラックのような畏怖を感じさせるものでない事と、全体的に小粒に纏まってる気がするのは不満かも。特に後者、何故か日本盤ボートラで、一番古い曲のはずの「Forfeiture」が一番出来がいいのは少々マズいのではと思う。この曲はカオティックなリフとトランスのリズム、美しいピアノを取り入れたインパクト抜群な名曲なのに、進化と洗練の結果本編の(この曲と比べて)小粒な作風になったとしたら、ちょっと進化の方向が良くない方に行ってる気も。

とは言っても、取っ付きやすさ、独自性、クオリティの観点からいっても文句の無いアルバムである事は確か。ぶっちゃけ某所で投げ売られてたのをサルベージしてきただけなんですが、かなり楽しめてしまいました。


MALEVOLENT CREATION - In Cold Blood ★★★ (2011-02-13 23:13:18)

97年発表の5th。
私はMetal Mindのリマスター盤(08年発表)を購入。

ほんと、飾り気の無いデスメタルですね。
ビキビキ言うバスドラで地を鳴らしつつ突進するリズムに、甘さとは無縁の無慈悲なリフをひたすら絡める、オールドスクールかつストロングスタイルな作風で、ほぼリフとリズムの絡みで展開を作っていくスタイルは、デスメタルの快楽原則にただただ忠実と言えると思う。ヴォーカルもグロウルを少し高めにした感じの、中音域の地声交じりの咆哮で、それほど歪みは強くないですが、蚯蚓や磯目を吐きながら歌ってそうな汚さで味があってグッド。

ただ、余りに飾りっ気が無いスタイルは、これからデスメタルを聴く人にはややケレン味が足りないように思える(一本調子と言われるのも分かる)し、リマスター済みの音質も少しリズムがリフを食ってる感じがあるので、入門には向かないかも。前者は裏を返せば、それだけストイックということでもありますけどね。
時々無性に聞きたくなる作品なのは、「リフとリズム」という、このジャンルの「本質」の詰まった作品だからなのかもしれません。既にある程度エクストリーム系聴いてる人にはお勧めです。


ABGOTT - Godfather in Black ★★ (2011-02-13 22:35:31)

2009年発表の4th。

このバンド、店の紹介ではファスト/メロディックで、クオリティの高い作風との事でしたが、実際に聴いてみると意外にも変態性強めのブラックですね。曲やアンサンブルから、英国産らしい気難しさやこだわりが現れてる感じ。

まず耳を引くのが、シアトリカルで奇矯なメロディを常に耳に注ぎ込むようなメロディアスなツインギターですが、それに合わせてリズムもファストに攻めたり、グルーヴィになったり、すっ転びそうな変拍子になったり、変化しつつキメを多用して展開するので、メロディの引っかかりが更に強くなってますね。焼けた鉄板の上で踊らされているような、足の置き場の無い落ち着けない感覚の強いアンサンブルでかなりのインパクト。

ヴォーカルも粘着質なのに滑舌は悪くない、地声交じりの奇妙な声でアンサンブルの性質とも良くフィットしてると思う。ただ、時々出てくる流麗なリードフレーズ、荒涼としたリフとブラストを合わせた展開、デスラッシュやメロデスよろしくメロく刻むパートなどには、ごく真っ当なメロブラとしての質の高さ、かっこよさがあるのが面白い。決してインパクトだけでは終わりません。

ちなみに、日本盤でもないのに何故かタイトルに日本語訳が付いてますが、これもバンドの不思議さ具合を更に加速させてますね(笑)。一体何者なのか…。


ABGOTT ★★ (2011-02-13 22:35:01)

イタリアにて結成、現在はイギリスに籍を置くブラックメタルバンド。
過去メンバーはCOFやANCIENT、BELPHEGOR等とつながりがある模様。


貴志祐介 - ダークゾーン ★★ (2011-02-12 11:32:14)

昨日発売の新刊です。

化生と化した主人公がいきなり戦場に立ち、訳も分からず将棋のようなバトルに巻き込まれる導入からしてエンターテイメント性たっぷり。この人の小説は、バトル系のライトノベル(もしくはバトルロワイヤル等の露悪エンタメなヒット小説)のエンタメ性/分かりやすさと、東野圭吾さんや宮部みゆきさんの持つリーダビリティを兼ね備えてるのが素晴らしいと思うんですが、今作はそんな特性が最も良く出ている作品ですね。

戦闘のルールなど、力量に欠ける作家がやったらグダグダになりそうなところを、自然に読ませてしまう筆力はさすが。貴志さんらしい、読むにつれて伏線が活き、世界観が徐々に姿を現してくる「あの感じ」も当然健在。
…ですが、ストーリーの方が気になりすぎて、バトルシーンをやきもきしながら読まなくてはならないのが、今回少し辛いところかも。貴志さんにしては、ストーリーは薄味だし。バトルシーンの、迫力が目に浮かぶような、簡素で読ませる文体は良いんですが。

あと、「悪の教典」に続いて、途中に挟まれるギャグが何気に楽しい。「王将(キング)って何様なの?」と毒づく歩兵に対して、「王将(キング)は王様だと思うが」と主人公が心の中で独白するシーンでは声出して笑いました(笑)。某アイドルのあの人やあの歌、某市役所職員など、貴志さんの既刊を読んでる人には嬉しい登場人物も…。

個人的にはストーリーがもう少し濃ければよかったんですが、十分楽しめました。


赤犬 - あか犬 ★★★ (2011-01-28 21:23:59)

2007年発表のフルレンス。

スカ/パンクのキャッチーさをベースに、アイリッシュやポルカなどの民族音楽、ビックバンド系のブラスなどを取り入れた、雑多かつ高度な音楽性がマニアの間で話題になったらしいですが、確かにこれは凄い。ビッグバンド風の所やフォークメタル風の所も、アンサンブルがそれらしくなるし、曲も演奏もかなりレベル高いと思う。

しかも、グラインドを参考にしたと思しきショートカットチューンや、ムード歌謡っぽい歌メロを取り入れた曲までありますからね…。諸要素の取り入れ方、聞かせ方もごく分かりやすくしてくれているので、間口はかなり広いかと。ダミ声の野太いヴォーカルは好みが分かれそうですが、民族風通り越してお笑い番組のテーマみたいに聴こえる、ハッピーな超絶クサメロはクサメタラーなら必聴。

ただ、個人的にこのバンドのユーモアは苦手。
別に下ネタもギャグも嫌いじゃないんですけど、このバンドのそれは頭のいい、優れたミュージシャンの集団が「敢えて」、つまり俯瞰視点でやってそうな所が嫌。これなら、C級のV系バンドや同人の稚拙なサンホラフォロワーでも、世界観を本気で表現しようとしてるアーティストの方がよっぽど好感が持てる。馬鹿なら馬鹿に徹して欲しい。

と言っても、どのバンドも自分の世界観に自分が陶酔できるレベルで嵌る必要は無いと思うし、こういう俯瞰的なユーモアも個人的に合わないだけで、まあ良いと思います。と言うわけで、好みに合わない部分もあるけど、☆は3つ。
ストロベリーソングオーケストラや、霞鳥幻樂団が行けるクサメタルファンは是非。


SARGEIST - Let the Devil In ★★★ (2011-01-27 22:48:16)

2010年発表の3rd。

このバンドは「Tyranny Returns」を聴いてましたが、その頃の地下プリブラ振りと比べると、進化しすぎてほぼ別物になってますね。疾走パートを重視し、北欧特有のメロウなトレモロリフで攻める作風は、プリブラよりもファスト/メロディック系に近い価値観の音だと思う。

へヴィネスを重視しない、シャーシャーした音質に、プリミティブ性を感じられますが、分離の良さ、メロディの聞こえさせ方、迫力共に十分だし、そもそも曲自体がミニマリズムよりドラマ性を重視しているような感じなので、「プリブラっぽくない」音ではあると思う。
なのにプリブラ特有の危険さ、陶酔感は残っているのが素晴らしい。

怒涛の疾走と、リフの振りまくノイズの粒子の中から聴こえてくるメロディは、うっとりするくらい美しいし、ヴォーカルの目一杯に叫んでいる絶叫もかっこいい。
ブラックに興味がある人が、プリミティブ系に入門するための作品としてもうってつけかも。


IKUINEN KAAMOS - Fall of Icons ★★★ (2011-01-27 22:47:03)

2010年発表の2nd。

OPETHやIhsahnのソロ作などが頻りに引き合いに出され、語られていた本作。私も気になっていたんですが…試聴して、最初の30秒を聴いて「これは買いだ!」と思ってしまいました(笑)。
私の知る限り、最もOPETHに近しい音を出しているバンドだと思います。

暗く陰鬱ながら美しいギターワークと、低音咆哮/高音絶叫/クリーンを使い分けるヴォーカルが、ジャズ的なリズムに乗る作風は、さながら本格的にプログレ化する前のOPETH、特に「Still Life」期の彼らを思わせますね。
常にギターが陰鬱な泣きメロを奏で、アコギもただ挿入されるだけでなく、印象的なフレーズで曲を彩る辺りかなり似てる。

ただ、こっちの方がアンサンブルが流動的な感じはありますね。特にドラム、聴いてて凄く心地よい音になってると思う。この音が繊細なギターワークと調和し、意識が闇に引っ張られていきそうな音に。その世界観の語り部たるヴォーカルも、OPETH以上の声の振り幅で聴かせる、かなりの実力者。

OPETHやIhsahnのソロも、作を重ねるごとにプログレ性が増してきていますが、逆に彼らのメロデス/メロブラ的な部分が薄れてきたことに物足りなくなっている人にもお勧め。
過度にプログレ化することなく、あくまでギターワークを中心に、丁寧にドラマを描いていく作風は、そういった人たちの溜飲をきっと下げる事と思います。


AUDREY HORNE - Audrey Horne ★★★ (2011-01-26 21:13:29)

2010年発表の3rd。

ENSLAVED本体を差し置いてまさかの日本盤発売。
1stを聴いた限りでは、少し消化不良気味(特にヴォーカルの使い方など)に思えてしまい、あまり思い入れは無かったんですが、日本盤の発売と評判の高さに今作を以ってこのバンドに再チャレンジ。

…完成されてる、って感じですね。
1stで感じた消化不良感はどこへやら、ハモンドやメロトロン、繊細なメロディの醸し出す格調高い、アンティークなメランコリックさの支配する、王道ハードロックに近い音に。中途半端に激しい歌い方でイマイチだったヴォーカルも、今作ではこのメロウな世界観の語り部としてしっかり歌い上げ、役割をこなしている感じで素晴らしい。

こういう(ブルースのルーツが見える)王道HRって、バンドがセッションを楽しんでるような、明るさがある(今作にも、ボーナスの「Nowhere to Run」はその傾向が見られる)のでどうも苦手だったんですが、この作品はそれがメロウさ、鬱なムードである程度打ち消されていて、結果HRのグルーヴやキャッチネスといった恩恵のみを享受しているのが、個人的な好みにもフィット。

あと、何気に歌メロも素晴らしいです。
グルーヴ感の強い曲にはそれに合わせたメロディを、ムードたっぷりな曲には歌い上げるメロディを配置していて、しっかりヴォーカルの良さを引き出すものになってると思う。また、時々リフなどのフレーズに近年のENSLAVEDに通じるセンスが、隠し味的に盛り込まれてる気がするのも好感。3曲目のイントロのダークさとか、そんな感じかも。

…色々述べてきましたが、この作品が日本盤出たり、BURRN!誌などのインタビューに載ったり、話題になっているのは、単純に「曲が良いから」だと思う。基本王道HR苦手な私でも食べれてしまう作品なのは、ブラック/プログレ/ゴシックのセンスが盛り込まれていると言う以上に、曲そのものの魅力だと思うし。

ちなみに、買うなら絶対日本盤かボーナスつき限定盤。
日本盤は限定盤のボーナスディスクのアコースティック・セッションの6曲がそのまま納められていますが、こちらも本編並みにアンティークで格調高いムードの曲が納められており、本編を気に入った方なら絶対こっちを選んで良かったと思う出来だと思う。


AGALLOCH - Marrow of the Spirit ★★★ (2011-01-26 18:02:02)

2010年発表の4th。

このバンドは、1stの「Pale Folklore」を持ってましたが…
その頃と比べると大分変化しましたね。一言で言うなら、ポストブラックの繊細さ、情景描写能力を残したまま、一般的なメロディックブラックの聴きやすさを手に入れた感じでしょうか。

オープニングやインストパートに長めの時間を割いたり、情景の描写のためにメジャーなバンドが演らなそうな事も演ってはいるんですが、今作は疾走パートも多く含む、メタルとしてのドラマ性にも富んだ作風で、例えポストメタルに全く理解がない人が聴いても魅了される事請け合い。

特筆すべきはメロディですね。「Pale Folklore」の頃もそうでしたが、このバンドは「フレーズそのものがドラマティック」でありながら、「それが自然に聴こえる」という、なかなか両立できない要素を兼ね備えた、優れたメロディを書くのが上手いと思う。今作は特に普遍的なメロブラに接近しているので、そのメロディセンスがより浮き彫りに。

最初はヴォーカルが掠れ過ぎてて弱いかな、とも思いましたが、これも音・曲展開を自然に聴かせるためと思うと、これはこれでと思うように。今作の疾走パートも、例えブラストを取り入れていたとしても、感じるのは暴虐性でなく、身を切るような風の冷たさですしね。

同じ自然崇拝系ブラックでも、音像志向の強めなWOLVES IN THE THRONEROOMに対し、こっちはメロブラ的フレーズ志向強め。個人的にはメロデス好きにも聴いてほしいですね。極メロディック/ドラマティックなのに情景描写的だし、こういう世界があるというのを是非体験して欲しい。


LIGHT BRINGER - Burned 07 ★★ (2011-01-25 23:54:50)

2010年発表の4曲入りシングル。
「Just Take My Heart」はMr.BIG、「motto」はJUDY AND MARY、「GOD BLESSED VEDEO」はALCATRAZZのカバー。「Just~」は、ギターのKazu氏がリードヴォーカルを担当。

まずタイトルトラックは、彼らの曲の中でもトップクラスのキラーですね。
彼らの曲の特徴として、へヴィメタルのパワー/テクニック/緊張感はそのままに、歌メロがポップス以上にキャッチーでクサいというのが挙げられますが、この曲の歌メロはヤバイ。アニソンのポップネスでもなく、メロスピの飛翔感でもなく、歌謡曲の「泣き」の強いメロディで、普遍性すらあると思う。

それを歌うFuki嬢のヴォーカルも、一回目のサビ前の「♪溺れていたい」などに顕著ですが、歌謡曲的な「泣かせ」の感じられるフレージングを要所要所で聴かせ、単に歌唱力が高く迫力があるというだけではない表現力を見せ付けてくれます。なんか、普通にブレイクしてもおかしくなさそう。

ただ、カバーの方はイマイチかも。
3曲とも、特にVoが自分の物に出来ていない感じがするというか、原曲大好きな人がカラオケで歌ってるのを聴いてるような微妙感があるというか…。「motto」の、ガールズロックっぽいノリにメタルのテクニカルさを持ち込んだ演奏は良いんですが。私がメジャーなハードロックやガールズロックにそれ程思い入れがないから、そう感じるのかも。

と言う訳で、カバーは正直期待してたほどでもなかったんですが、新曲となるタイトル曲にはそれを補って余りある魅力があります。歌謡曲のヒット作品以上の泣きを感じられる歌メロ、迫力ある演奏や歌唱には、今の彼らの勢いが感じられますね。


SATANIC WARMASTER - Nachzehrer ★★★ (2011-01-25 22:37:53)

2010年発表の4th。

基本的な路線は、前作同様オールドスクールなリフとメロウなトレモロリフをドラマティックに組み合わせて進行するプリブラなんですが…何故か前作よりも音質が落ちてるんですが(笑)。

前作は意図的にギターの音色を尖らせ、耳を劈く感じの音にしていましたが、今回は…何も知らない人が聴いたら、曲のセンスはあるけど録音予算のない新人バンドのデモテープと思いそうな感じの、純粋にRAWな音。個人的にはこっちの方が未加工かつ耳に馴染みやすい感じで好きだったり。

SxWxの特徴といえば、プリブラで最大限体現できる楽曲のドラマ性だと思いますが…その点は、3rdよりもよりパワーアップしている印象。イントロは正直蛇足感がありますが、続く2曲目がオールドスクールなリフのかっこいいコーラスパートのある前半、激メロウなメロディをチープなストリングス系キーが弾き、リフが更にメロウさを加速させ、キーのメロをリフが引き取る劇的な展開の後半と、ドラマティックな構成を持つ超名曲。

他にも、北欧産らしい凍てついたリフで始まり、ラストにはドラゴンガーディアン並の泣きメロ、それもミニマルな繰り返しと思わせておきながら、予想を裏切りもうひと展開あるドラマ性溢れるメロで聴かせる4曲目、全体でWerewolf氏らしい、繊細なメロディのリフが聴ける5曲目、トラッド風味のメロが印象的な7曲目と、今までのアルバムと比較しても、どの曲もキャラ立ちしてると思う。

はっきり言って、下手な正統派やメロデス、モダンへヴィネスよりもドラマティックな曲・アルバム構成で、音質が一般的なメタル同様だったら、最早プリミティブブラックではなくなってしまうレベルだと思う。まあ、ミニマリズムをプリブラの定義に勘定するなら、現時点でも相当妖しいですけど(笑)。しかし、この音質だからこそ、「多くを語り過ぎない」感じがして、更に劇的に聴こえるんだとも思います。

彼らの作品は名盤とされる1stと3rdを聴きましたが、個人的にはその2作を超えるくらいのアルバムだと思う。1st→3rd→4thと聴き比べると確実にドラマ性重視の傾向は高まっていると思うし、1stよりも3rdの方が好みな方には是非聴いてほしいところ。


ATHEIST - Jupiter ★★★ (2011-01-22 20:20:15)

2010年発表の4th。

オリジナルフルとしては17年ぶりの新作らしいです。私はデスメタルの歴史には不勉強で、このバンドもつい最近知ったくらいなんですが、雑誌のレビューを読んだりしてたら、なんかムラムラ来たので買っちゃいました(笑)。

レビューなどでは、「変態テクニカルデス」と言われてますが…これ聴くと、音楽の世界でも、大体において変態とは、「一般よりも欲望に忠実であること」というのが良く分かります。だって、「ブルータリティの追求」にしろ、ジャズ要素も含む「濃いアンサンブル」にしろ、メタルというジャンルの快楽原則に忠実過ぎるくらい忠実ですもん。ただ、メロスピのクサメロや、ギターヒーローの速弾きのように、追求の方法が受け入れられやすいものでないというだけで。

個人的には、インテリジェント&インテンスなのに、時折地獄めいたリフが飛び出す展開といい、聴く以上は気が抜けないアンサンブルといい、本当に心地よい音だったりします。まあ、一つ受け入れられなかった点は、おっさんが駄々をこねてるようなヴォーカル(怒られそうな表現かも…)ですかね…。これがBEHEMOTH並に太い声だったり、SATYRICON並のカリスマがあったりすれば、神盤だったんですが。


RIVENDELL - BLESSING ★★ (2011-01-21 23:51:03)

2004年発表の1stミニ。
吉良さんやレーベルの名前で買いましたが、これはいいですね。

トラッドはメタルだとお祭り騒ぎ系、ポップスでは幻想系が人気ですが、このユニットの音楽性はそのどちらでもなく、もっと生活感や現実の風景の感じられる、純正のアイリッシュという感じですね。お洒落なパブで楽団が演奏してくれたら、飲み会大嫌いな私でさえ美味いお酒が呑めそうな感じ(笑)。

プロダクションはかなり良く、各楽器の音がはっきり、適正な音量で録られてます。ブレス音が入ってるのも、臨場感があって個人的には○。あと何気に、木村林太郎さんのヴォーカルが素晴らしいんですよね。ZABADAKの吉良さんにも通じる、低~中音で色気のある歌声ですが、倍音の響きが美しくて聴いててうっとりします。そのヴォーカルが堪能できる1曲目と、トラッドの物悲しいメロディが濃い4曲目は特にお勧め。


RIVENDELL ★★ (2011-01-21 23:50:25)

日本人二人組みによるアイリッシュユニット。
1stはKIRCHE、ORITAなどのリリースで知られる桜詩舎から。
また、ZABADAKの吉良さんも参加してます。


INFERNUM - ...taur-nu-fuin... ★★★ (2011-01-16 10:14:37)

94年発表の1st。

民族調の、壮大なオープニングが終わると、当然の様にプリブラに変貌。
しかしこの作品、プリブラへのキーボードの入れ方は、他のバンドへの手本と
なって然るべきくらい、センスがいいと思います。輪郭のぼやけた、幽玄で
アトモスフェリックなキーがローファイなバンドサウンドを包み込んで得られる音像は、
さながら燐光を放つ鬼火のようで、禍々しい美しさがあると思う。

このキーのセンスは初期EMPERORやLIMBONIC ARTに比肩すると思うし、
ペイガンルーツならではのメロディセンス、ヴォーカルの粘着質な邪悪さの表現など、
「プリブラとして求められるもの」のレベルは、おしなべて高い作品だと思う。
GRAVELANDよりもブラックとして直球な作品なので、ある意味取っ付きやすいかもしれません。


大鴉 - Seeds of Rain ★★★ (2011-01-16 00:57:36)

2007年発表の2nd。
実際に聴くまでは、「中庸」「前作より地味」という評価から、「後回しでいいか」と思ってたんですが…予想の遥か上を行く、素晴らしい作品じゃないですか!

確かに、一聴した限りでは中庸に感じられるかもしれませんが、それは各曲が高いレベルにあって、アルバムの世界観の纏まりが良過ぎるから。星花さんの歌声は一声目から儚さと力強さ、感情と幽玄さを表現し、厳かなムードを醸し出しているし、ギターワークはソロに偏重することなく、歌メロの裏でもツインの絡みを見せ、なかなかに凝ってる。歌メロ自体もドラマティックで、凡庸とは程遠いと思うし、メロやアレンジのさりげない民族っぽさも曲を引き締めてる。アルバム全体に、程よい緊張感があって、全くダレがないです。上の方も仰っていますが、正に「大いなる中庸」だと思う。

と、前作抜きでは非の打ち所のない評価になるんですが…前作で見せた、「さくら」「あかつき」のような、巫女が神託を受けて忘我してるような、強烈なメロディと歌唱を持つ曲が不足しているのがネックですね。「Whiteout」は同路線と言えなくもないですが、やはり上記の曲と比べるとちょっと弱い。まあ、ロックとしてポピュラリティの高い作風の中から、滲み出てくるような叙情が表現したかったのであれば、この完成度が高く、聴きやすい作品においてその目論見は成功してると言えますが…。

と言う訳で、過去作と比較して「なんで強烈な個性を伸ばす方向に行かなかったんだ」という疑問が出る、そのただ一点を除けば、名盤と言っていいアルバムでしょう。大鴉聴くような人って、メタラーやへヴィロック好きなど、大抵強烈な音楽好きですし、濃い面を特盛にしてもまず引かないと思う(だからこそALDIOUSは1stアルバムをあれだけの疾走曲で固めたと思うし、結果話題にもなった)。ただ、去年「さくら」「あかつき」をリメイクしている事を考えると、個性的で強烈な作品を作る前に、普遍的で叙情性に富んだ作品を残しておきたかったのかもしれませんね。