そして何気に素晴らしいのがRoman氏のヴォーカル。 HATE FORESTでは、低音デスヴォイスがプリブラには合わないというかどで批判される事が多かったですが、今作ではその批判を捩じ伏せる迫力が備わっていると思う。BEHEMOTHのNergalや、KRIEGのImperialを思わせる、聴いててこっちの腹筋が攣りそうになるレベルの轟音絶叫。アルバム録音時、怒れる神が降りてきたとしか思えない、凄まじいパフォーマンスです。
Leo Figaro氏を思わせる最初のコーラス部分からそのメロディセンスに感心しますが、東方ヴォーカルアレンジと比較しても何ら劣らないサビのメロディで更に感銘を受けました。サビのシリアスに盛り上げていく展開は「懐かしき東方の血」を思わせますね。東方アレンジを通過した事で、メロディ面でも影響を受けているのかも。それにしても良いメロディです。
徹底して真性エレクトロ・ゴシックファンに受けそうな頽廃的な世界観を描きつつも、要所ではこういうV系的な取っ付きやすさを備えながら、世界観を保った曲を入れてくる辺りバランス感覚が良いですよね。メンバーのコーラスが若干浮いてる感はありますが…。でも、「♪You must be don't BETRAY me!!!」ってどういう意味なんでしょう(笑)。個人的には「汝確かに在りし、私を裏切ること莫れ」的な訳を当てたいんですが…この世界観で文法ミスとかめっちゃ萎えるんで…。
「Ye Entrancemperium」や「I am the Black Wizards」辺りのEMPERORのクラシックな名曲に通じるものがある…ような気がしないでもない曲。でも個人的には、EMPEROR的な要素よりもプログレッシブで混沌としている部分の方が好きだったり。ほんと、奥深い邪悪さ・暗黒性を感じさせてくれるバンドですよね。
メンバーがDROWING THE LIGHT、AUSTERE、NOX INFERI、WOODS OF DESOLATIONなど、豪州産ディプレッシブ/アトモスフェリック・ブラックの名手として知られるバンドにも在籍、ISOLATIONともレーベルメイトという事で、そのアンビエンス(雰囲気・空気感)醸成能力をシンフォニックな方面に向けても、きっと良いものが出来るだろうな…と思い購入しましたが…予想/期待通り応えてくれる作品でした。