The, vir, tu, al...war!! for, a, con, crete...peace!! この部分の一音節ごとに区切って叫ぶパートが、兵士にシュプレヒコールを促す指揮官のようで非常にかっこいい。思わず付いていきたくなりますもん(笑)。Vorph氏、ミュージシャンじゃなくて教祖とか目指してても大成したんじゃないでしょうか。
とは言っても、「Reign of Light」「Solar Soul」で見せたようなどす黒いポジティビティ、ふてぶてしい程に確信に満ちた力強さなどはやはりSAMAEL。ヴォーカル、トレモロリフ、キーボードが引っ込み気味でドラム、グルーヴィなリフが前に出た音質は正直好みではないし、やはり個人的には「ROL」「Solar Soul」の作風の方が断然好きなんですが、それらの作品同様日本盤レベルのクオリティ、ポピュラリティはあると思うし、お勧めではあります。
ピアノやストリングス、クワイア風空間系など様々な音色のキーボードが、重層的に絡まりあい耽美さを演出するシンフォニックブラックで、個人的には「Dusk~」「Cruelty~」期のCRADLE OF FILTHにも通じる、ゴシックホラー的な景色の見える音だと思う。メロディが明らかに洋ものゴシック系で、一聴しただけでは日本人とは気付かないような出音なんですが、そのメロの耽美さがCOFよりもかなりあからさま(MIRRORTHRONEクラス?)で分かりやすいものになっている辺り、やはり異文化を咀嚼するのが上手い日本人らしいと思う。
ヴォーカルは、彼のトレードマークと言える呪詛ヴォーカルとは少し違う、ドスの効いた潰れ声でテンション高く喚き散らすスタイル(Buried by Time and Dustに近いと思う)ですが、この歌い方でも呪わしさみたいなものが滲み出ていて、Euronymousが「呪詛系ヴォーカルをやらせるなら彼しかいない」と白羽の矢を立てたのも凄く良く分かる。
2009年発表の二枚組みライブ盤。 2006年のノルウェー(Inferno Festival)とドイツ(Wacken Open Air)でのライブを収録。Wackenの方はDVDでもリリースされてます。
「Emperial Live Ceremony」と同様、音は少し小さめながら良好で、細部が分かりづらかった1stや2ndの曲もかなり聴きやすくなってますが…これを聴いて思うのは、シンフォニックブラックにおいて、ジャンルのクラシックとなるべきクオリティの名曲を生み出せているバンドは、EMPERORを除いて未だに殆ど出てきていないな…ということ。
EMPERORファンならマストな作品ですが、二枚とも選曲がほぼ一緒なのは少し不満ですね。特に4thからは一曲しかないし…「The Eruption」「The Tongue of Fire」とか聴きたかった。まあ再結成は一時的だし、仕方ないですけど。でも仕方ないじゃ済まされないのが、ヴォーカルがメロディ歌うパートでハモり入れてるEinarの歌唱が、ヴァイキング風朗唱でもブラック風呪詛でもなく、パワーメタル風熱唱なこと。しかもIhsahnより声でかいし、Ihsahn歌いづらそうだし…皇帝の曲をそんな風に歌わないで欲しい…。
ALI PROJECTがサイケ/プログレ方向にいかず、Xa方向に行ってたらこんな風だったのでは…という雰囲気の、ダークでロマンティックなメロディが聴けるゴシック寄りの曲。ALI PROJECTよりも近寄りがたさがなくて、ダークさが幾分エンターテイメント的な方向を向いている感じ。…でも、曲自体の魅力は本家にも負けてないと思う。ヴォーカルも向こうよりも親しみやすさがあると思うし。
Harmonieで魅力的なヴォーカルを聴かせてくれた梨本さんがヴォーカルという事で、めっちゃ期待値が高かったんですが…それでもこれは衝撃がありましたね。繊細な声質で、声を張って歌う彼女の歌声が実に素晴らしい。特に「♪今日も鮮麗 咎めのFaith of Night」の歌いまわしが熱すぎる。ああ、マジで彼女をリードヴォーカルに据えたクサ歌謡ゴシックメタルアルバムとか出ないかなぁ…こういう繊細さがあるけど、媚びない歌いまわしが出来るヴォーカルってメタルシーンでは稀有だと思うので…。