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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 3501-3600
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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 3501-3600

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HELLVETO - Neoheresy ★★★ (2009-02-27 21:49:00)

2008年発表の11th。
某雑誌で、SAMAEL、MELECHESH、SATYRICONなど私的に鼻血もののラインナップが引き合いに出され、かなり好意的にレビューされていたので興味を持ち、購入に至ったんですが…すっごいですよ、これ…。

他のペイガン系のバンドを引き合いに出すなら、パーカッシブなリズムを上手く用いて異教的な情景を描く近年のGRAVELANDのスタイルに、幽遠なシンセや雄々しいクワイアを用いて風景を描くLORD WINDの手法を足した感じ、でしょうか。

これらのバンドが風景の描写や異境思想の伝達など、一般的なメタルの価値観とは別の所に独自の価値観を成立させている(そもそもLORD WINDはシンセ音楽だし)ように思えるのに対し、このバンドはリフは重いし、ブラストもするし、よりメタリックな感じ。
パーカッシブなリズムを刻みリフの重さが更に引き立てていたり、ブラストが野蛮な雰囲気をより強いものにしていたり、ペイガン的な価値観をメタリックな音によってより強固なものにすることに成功しているという印象。

メロディ、シンセの音色、アコギの鳴らし方などフレーズの一つ一つにいちいち異教の文化のロマンや力強さが息づいていて、聴いていて取り込まれそうになってしまいますね…。個人的には、アンチキリスト的な過激さだとか、異教的な禍々しさだとかよりも、美しい景色を見た時のような胸を打つ感覚、そうしたものを聴いていて感じられるアルバム。
何か根源に訴えかけるものがある作品だと思います。ヴォーカルが野蛮な唸り声で少し好みから外れているのを差し引いても、衝撃作であり名盤。ペイガンに少しでも興味があれば必聴。

しかし、このアルバム、明らかに凄く作りこまれてると思うんですが…こんな作品を独りで、何作も作り続けているL.O.N.氏はちょっと異常だと思う(良い意味で)。


THRONE OF KATARSIS - Helvete - Det Iskalde Mørket ★★ (2009-02-26 21:06:00)

2009年発表の2nd。

これまた「いかにも」なトゥルー・ブラックですね。
「(Euronymous時代の)MAYHEMの陰湿なドラマ性と(初期)DARKTHRONEのRAWさを融合させた感じ」だとか、「プリミティブな感性に目覚めたGORGOROTH」とか、90年代前半~半ば辺りのブラックメタルバンドを引き合いに出したくなるような作風。あの辺りのブラックに影響され、その音を今に蘇らせようとしているかのような雰囲気。

ただオールドスクールなだけでなく、ディプレッシブなメロディや悲痛ヴォーカルなどの鬱要素、NED関連のバンドを思わせる、神秘性が邪悪さとして出力されているようなムード作りなど今風のブラックの感覚も隠し味程度に取り入れ、大作主義の中で上手く展開させている感じがします。ヴォーカルも邪悪さ満点のがなりからAttila風の詠唱・呪詛、悲痛絶叫までこなしてかなりの実力者だと思う。ただ、悲痛絶叫は一部少しわざとらしくて微妙なところがなきにしもあらずですが…。

これで音質も良ければ…というか、好みならほぼパーフェクトなんんですが…。
ギターの厚みのあるノイジーさを前に出した黒い音作りは、悪くはないけどCRAFT程RAWさとフレーズを聴かせる事とのバランスが良くない感じで、正直ノイジーさに作為性を感じてしまい、今一つハマれないんですよね。…音質に関しては思ったより好みじゃないから、色々理由付けて批判してるのかもしれません(苦笑)。

でも、この作風で音作りがCRAFTやWATAIN並に上手かったら、3倍くらいの文章量で絶賛していたと思うだけに、少しもやっとしたものが残ってしまいました…。


ABSU - Absu - Ye Uttuku Spells ★★ (2009-02-24 18:45:11)

AVERSE SEFIRAにも通じる、カオティックで不穏な雰囲気の曲。
…アルバムラストがこんな不吉な曲→インスト、でいいんでしょうか(笑)。AVERSE SEFIRAよりは多少愛想が良い感じはしますが、かなり邪悪です。


ABSU - Absu - Sceptre Command ★★★ (2009-02-24 18:42:06)

このキレのいいヴォーカルラインは、やっぱりスラッシュがベースにあるバンドだからこそでしょうか。今作ではそこにブラックの凶悪さもたっぷり注がれていて本当にかっこいい。めっちゃ細かいけど、「projects」の吐き捨て方が好き(笑)。トレモロをふんだんに使用した、テクニカルなリフ捌きも素晴らしい。


ABSU - Absu - Magic(k) Square Cipher ★★★ (2009-02-24 18:38:29)

頭の寒々しい疾走は北欧のバンドみたいですね…それにオカルトで言う携挙のシーンを思わせる神秘性を加えた感じ。北欧パートが終わると、異国メロをフィーチャーしたテクニカルな展開に。リードギターとドラムの絡みは、なにか鬼気迫るものがあります。


ABSU - Absu - Amy ★★★ (2009-02-24 18:33:19)

勇壮なメロディ、ダミ声のヴォーカル、キーボードやブラスによる雰囲気の演出など、ヴァイキングメタルのテイストが感じられる曲。ABSUのコンセプトからしたらこういう曲を演っても不思議じゃないのかもしれませんが…1曲目、2曲目に続いて新しく得たカードを惜しみなく出してくるようで実にスリリング。
ちなみにこのアルバムでは、ハイトーンは封印してるのでアレが苦手だった人も安心して手を出せます。


ABSU - Absu - Night Fire Canonization ★★★ (2009-02-24 18:29:03)

中近東の香りのするメロディとデス/スラッシュ寄りブラックを組み合わせた作風は、ちょっとMELECHESHみたいですね。リフと連動する、パーカッシブなヴォーカルラインもそれっぽい。ちなみに、ギターソロはBlasphemer(ex-MAYHEM)が弾いてます。


ABSU - Absu ★★★ (2009-02-23 18:37:00)

2009年発表の5th。約8年ぶりとなるフルアルバム。

2001年に「TARA」をリリースして以降、Proscriptor氏がドラマー生命に関わるような怪我をしたり、結成当初からのメンバーがバンドを脱退したり、レーベルを移籍したりかなり紆余曲折を経て完成したアルバムらしいですね。Proscriptor自身も、一時的にバンドを辞めてSLAYERのオーディションに行ったこともあったとか。セルフタイトルアルバムを作る構想自体は、随分前からあったそうです。去年からリリースされると言われてて、かなり楽しみにしてました。

路線自体はスラッシュを更に凶悪化、テクニカル化したようなブラックなんですが、まず一聴して随分洗練されたような印象を受けました。「Tara」は、アンサンブルや曲自体はかなり良かったものの、微妙なハイトーンやポコポコドラムなど、B級っぽい箇所もありましたが、今作は見事に改善されてます。ヴォーカルは早口でのリズミカルな吐き捨てにねちっこく邪悪な伸びも加わって、今までとは比較にならないくらい切れ味鋭くなってるし、音質はクリアさもブルータリティも申し分なく、ブラック的な繊細さも感じさせて間違いなく一級品だと思う。

…前作「Tara」は聴きながら、「こんな音だったらいいのになぁ…」と脳内補完してたんですが、その妄想が余りにも忠実に具現化されたような音に、思わず笑ってしまいました(笑)。ただ、これだけエクストリームメタル然とした、洗練された音になってしまうと、前作までのB級っぽさや、ダーティな雰囲気を懐かしく思ってしまう人もいるかもしれません。

また、今作はリフとリズムが弾幕を張るようなテクニカルなアンサンブルの魅力はそのままに、更に曲のヴァラエティが広がってる感じがしますね。北欧のブラックのような寒々しい疾走、MELECHESHにも通じる中近東メロ、AVERSE SEFIRAを思わせる混沌としたリフなど、様々な要素を取り込んでるお陰で、通して聴いても最後まで飽きずに聴けます。Proscriptor氏は、以前のメンバーの曲と現メンバーの曲が混在してるおかげで、アルバム全体が良い感じに多様性に富んだものになったと思う…と言ってますね。

デス/ブラックに理解があれば、およそ買って損をすることはないんじゃないか…と言うくらい質が高い作品だと思いますが、MELECHESH、AVERSE SEFIRAなどのデス要素のあるブラック、KEEP OF KALESSIN、IN BATTLEなどの「かっこいい」ブラックが好きな方には特にお勧め。今年は頭からこんな素晴らしい作品を聴けて幸先がいいです。

今年の流行語は「ABSU-LUTELY!!」でキマリだ!!


ABSU - Absu - Between the Absu of Eridu & Erech ★★★ (2009-02-23 18:31:47)

短いイントロのあとで繰り出される、明らかにメジャークラスの垢抜けた音に驚く人も多いはず。マーチ風パートの威圧感といい、凄く風格があると思う。ヴォーカルも凶悪に、凄絶になっただけでなく、パーカッシブな感覚はある程度残っているのが良いですね。


ABSU - Absu - ...Of the Dead Who Never Rest in Their Tombs Are the Attendance of Familiar Spirits... Including: a) Diversified Signs Inscribed - b) Our Earth of Black - c) Voor ★★★ (2009-02-23 18:27:30)

曲名長っ。BAL-SAGOTH超えたかも(笑)。
タイトルもインパクトありますが、曲の方もどこまでも上り詰めるようなギターメロに始まり、クワイアやハープシコードを導入した神秘性の演出、プログレッシブなキーボードソロと来てラストはアンビエントで締めと大盤振る舞いで、この一曲で一つのエピックになっている感じ。特に最初のコーラス前のギターがかっこよすぎです。


VARGR - Storm of Northern Evil - Behold the Most Unclean ★★★ (2009-02-22 22:14:09)

…よくもまあ、こんな不穏なメロディ書けるなぁ…と嘆息したくなる曲。
神経を一本一本引き摺り出されて、棒とかで適当にクルクル巻き上げられたらこんな感じかも。


VARGR - Storm of Northern Evil - Storm of Northern Evil ★★ (2009-02-22 22:13:21)

この後半のギターの音色が超凶悪。RAWってレベルじゃないです。
…(ノイズ/アヴァンギャルドの)PITAの作品にも脳をガリガリやられるようなノイズがあったんですが、こっちはより攻撃性の高い、直接的な音。脳髄を電ノコで切り刻まれてる気分になってきます。


VARGR - Storm of Northern Evil ★★ (2009-02-22 22:11:00)

2008年発表の3rd。

「VARGR」という言葉には、本来の意味の「狼」以外に、「無法者」というニュアンスもあると「Lords of Chaos(邦題:ブラックメタルの血塗られた歴史)」には書かれていましたが、名は体を表すというか、なんというか…。まあレーベルからしてSORTSINDとか出してるところですからね…。

ノイズの洪水が、聴覚だけでなく痛覚をも通じて、脳髄に流れ込んでくるかのような超暴力的ノイズ・ブラック。ダークアンビエント/ドローン的なパートや打ち込みのリズムを導入するなど、実験色も少しありますが、ILDJARNやSORTSIND以上に耳に厳しい音。2曲目の後半なんて「どれだけ電ノコに近い音をギターで出せるか」という実験にも思えるくらいだし、こういうのを聴いて喜んでる自分が段々ドMに思えてきます(笑)。

しかし、エフェクトが逆により生々しさを際立たせる凶悪なヴォーカル、不安を煽る不協的なリフ、ILDJARN以上に大胆な音質操作など、全ての要素が「負」のツボを的確に突いてくる感じで、カルト音源としてしっかり筋は通していると思う。ちょっと聴きには極めてRAWに聴こえるんですが、実はかなり作りこまれている感じ。まあ、その作りこみが(耐性のない人には)全部キッツイ方向に向けられてるんですが…(笑)

初心者厳禁…というより、カルト志向の人とドMな人にお勧め(笑)。
カルト音源としてのクオリティは相当高いんじゃないかと思います。


NORDVARGR - The Betrayal of Light (nordvargr / Drakh) ★★ (2009-02-22 22:07:00)

Drakhとのコラボアルバム。2008年作品。
…と言っても、NordvargrもDrakhもMZ.412のメンバーですけどね。

面子から想像出来る通り、MZ.412と同路線のダークアンビエント。MZ.412の「Infernal Affairs」がメタル的な手法はほぼ無かったのに対し、こっちはアコギが使用されていたり、辛うじてドローン的な、歪んだリフらしきものがあったりしますね。それらを持続音やSEなどを絡め、丁寧に層を重ねて、音像を作り上げていく作風。音作りの上手さは言うまでもなく、周りの景色を呑み込む闇がそこにあるように、リアルに感じられます。

MZ.412がブラックメタルに通じる暗黒な雰囲気をひたすらに描いていたのに対し、こっちは浮遊感も感じられ、よりアートっぽい感じ。個人的にはどこか宇宙っぽい情景も浮かぶんですよね…。不毛の惑星に取り残された宇宙飛行士がいたとして、彼の精神が静かに閉じていく様子を音で描いたらこんな感じかもしれません。そんな狂気が、心地良く心に沁み込んでくる音。

同年に出たVARGR名義での新作が狂気が噴出しまくってた作品だったのに対し、こっちは静かに蝕むような狂気が感じられますね。根深さではVARGR以上かもしれません。暗黒音楽好きに安らぎを与える音としては極上だと思います。


鬼嫁 - 占有愛 ★★ (2009-02-21 21:31:00)

2005年発表の1st。
…やっぱり、「HR/HM」「女性Vo」「和」と三拍子揃ってると、陰陽座や犬神サーカス団を
引き合いに出したくなりますよね。ハードロックにあるブルージーな感触が、欧米のバンドの
ようなカラっとした哀愁ではなく、いかがわしさ、おどろおどろしさに還元されている作風は
どっちかと言えば犬神に近いんじゃないかと思います。
演劇要素が低く、アンサンブル志向の高い犬神という雰囲気の音。
ヴォーカルもちょっとお嬌な感じの声質で、ファルセットを多用しよく出る高音を振り翳し、
時々奇矯さを感じさせる崩し方をするヴォーカルで、結構個性的な感じがします。
そのヴォーカルの歌うメロディも、どこか一昔前のV系にも通じるロマンティシズムを
感じさせるもので、彼らの音楽性の特徴の一つになってますね。
ただ、ヴォーカルの奇矯さが表現力不足で素頓狂に聞こえたり、せっかくのかっこいい
アンサンブルの割に音が少し弱く感じられる所があったり、陰陽座の「陰陽師」や犬神の
「地獄の子守唄」のような決定的なキラーチューンに欠けたり、不安要素もまだ多いと思う。
まあ、その分伸びしろが多いという事も出来るんですが。
安いし割と独特だし、上記バンドのような和風メタルファンなら聴いてみると良いと思います。


MZ.412 ★★ (2009-02-20 18:07:00)

ノイズとブラックの混交は最近頓に行われてますが、その中でも古参のバンド。
暗黒メタラーからの注目も厚いCold Meat Industryに所属。
このレーベルのバンドでもメタラーの知名度は高いほうだと思います。
ちなみに、ノイズ界隈でも評価が高く、MERZBOWともコラボの経験があるとか。


MZ.412 - Infernal Affairs ★★ (2009-02-20 18:04:00)

2006年発表の5th。

このバンド(?)、以前はトレモロリフや絶叫などのブラック要素も僅かにあったようですが、今作はそうした要素はほとんどなく、ノイズ/ドローン/インダストリアル/ダークアンビエント辺りにカテゴライズされるであろう音になってますね。

ノイズも音響的な過激さよりも、精神的な不安を煽るような音色だと思うし、頽廃的なメロディや機械音、ちょっとしたSEやリズムなど、全ての音がいちいち恐怖のツボを突いていて、CDに込められた音を総動員してリスナーを底知れぬ闇に叩き落すような作品。しかし、鬱ブラックとか聴いて安らぎを覚える人間が聴いたなら、きっと心地良い波動に聴こえることでしょう(笑)。

SUNN O)))が体で聴く音なら、こっちは精神で聴く音という感じ。
もしノイズやアンビエントに興味があるメタラーがいるなら、ガイドブックとか見てジャンルの代表のアーティスト探すよりも、このアルバム聴いた方が良いと思う。
不安や恐怖でリスナーの精神を蝕む事を第一に考えているような音は、ノイズ/アンビエントの価値観よりも、ブラックメタルの価値観に近いと思うんですよね。そういうところが、メタラーにも入りやすいかと。

ノイズが聴覚を通じて痛覚に届くほどうるさい訳ではない(むしろ静かに心地良く浸食していく感じ)し、誰がどう聴いても「暗黒」が感じられる間口の広さ(?)もあるし、メタラー限定でこういうジャンルへの入口としても最適だと思います。タイトルトラックなんかはメロディアスと言える音だと思うし、暗黒音楽を求めている人には結構取っ付きやすい作品だと思います。


TJOLGTJAR - The Tjolgtjarian Mass - Acts of Communion ★★ (2009-02-18 20:50:01)

雰囲気がスパニッシュというか、西部の荒野が浮かぶというか…どっちにしろ「今ブラックメタルバンドのアルバム聴いているんだよね?」と確認したくなるような曲調。曲の雰囲気と、タイトルのズレっぷりも凄い。


TJOLGTJAR - The Tjolgtjarian Mass - The Black Arts of Vruguun ★★★ (2009-02-18 20:48:16)

前半は思わず「夜露死苦!!」とか口走りたくなるような、ノリノリなブラックンロール…でもヴォーカルはマジに邪悪。後半は鬼ブラストに邪悪リフで普通にかっこいい。一体何がしたいんだか…素晴らしいですね(笑)。


TJOLGTJAR - The Tjolgtjarian Mass - The Ceremony of Tjolgtjar (2009-02-18 20:45:35)

これだけでは、えらく微妙なRAWブラックという感じなんですが…アルバム全体を聴いた後で聴くと、後の拡散した音楽性への衝撃を高めるための布石にも聴こえますね…。


TJOLGTJAR - The Tjolgtjarian Mass ★★ (2009-02-18 20:42:00)

2006年発表の2nd。

色々な所で、「NUIT NOIREに匹敵する脱力アヴァンギャルド・ブラック」的な感じで話題になっていたり、某大手レビューサイトでも50点以下のレビューが多く投稿されていたりなどから、興味を持って購入。確かに、インスト明けの2曲目を聴く限りでは、ミョーにRAWなドラムの音、紙というよりも「線」と表現したくなるようなギターノイズ、擬音で表すと「み゛ゅー、み゛ゅー」という感じの、搾り出しきれない微妙なブラック声…と、確かにこれは脱力ブラックだ、と納得し、そのまま暫く置いておいてしまったんですが…。

改めて聴いてみると、とんでもない作品ですよ、これ…。
2曲目は確かにそんな感じなんですが、聴き進めるうちにジャズ調のムーディーなパート、スパニッシュな雰囲気で音質もクリアなインスト、普通声で歌い上げるフュージョン風の曲、ILDJARN風RAWブラック、ノリノリなブラックンロールなど様々な音が出てきて、「一体なんだこれは…」と呆然となってしまう。しかも平均1曲3分という短いスパンで、次々にそれらを繰り出してくるので、最初聴いた時はまず間違いなく置き去りにされます。

曲によっては最初のヘタレ振りが嘘のような邪悪声やブラストまで聴けるし…実は凄いバンドなのでは。NUIT NOIREの脱力感やファニーな雰囲気と、SIGHやUNEXPECTばりの拡散した音楽性を組み合わせたら、物凄く異質な物が出来てしまったという感じ。もしかしたら、ブラックの歴史に残る、とんでもないバンドなのかもしれません。或いはトンデモさん過ぎて、誰も付いていけないバンドなのかもしれません(笑)。取り敢えず、ブラックファン以外にも「カルト」なものを求めている人ならば、聴いておくことをお勧めします。


水鏡 - 夕掛け - 月の草 露の草 ★★★ (2009-02-17 20:45:37)

三分に満たない短い曲ですが、マンドリンの音が本当に草が揺れているような情景を想起させ、かなりお気に入りの曲。…単に私がブラック好きで、トレモロフェチだから下駄履かせた評価付けてるとも言う(笑)。


水鏡 - 夕掛け - 花見酒 ★★★ (2009-02-17 20:43:17)

描いている風景は、ただの桜の下での饗宴じゃなくて…やっぱり超自然的ななにかを感じさせるものだと思う。そもそもサブタイトルが「Spirit of Flower Intoxicate You(花の精があなたを酔わす)」ですし。桜の花びらに埋もれ、いつの間にか自分もその一部になってそうな恍惚感。


水鏡 - 夕掛け ★★ (2009-02-17 20:37:00)

2007年発表の2nd。
ASHADAやKBB、ASTURIASとレーベルメイト、女性Vo入りの幻想的な作風で評判も
良いみたいなので買ってみましたが、風評通り良いですね。確かに「女性Vo入り幻想音楽」と
いう意味ではASHADAやKIRCHE、ジギタリス辺りと通じる物があるんですが、それらのバンドが
ヴォーカルや歌メロを展開の中心に据えているのに対し、このバンドはフュージョン的な
アンサンブルが展開の中心になっていたり、使用しているキーボードもメロトロン、ハモンド、
ムーグなどヴィンテージ系の音色のものが多かったり、より「プログレッシブロック」的な音。
前述のバンドがロック/ポップス的な側面もあるのに対し、こっちは完全にプログレと
いっていい音だと思います。
こう書くとヴォーカルの魅力はいまいちに聴こえるかもしれませんが、癖のない声質ながら
迫力を出すべき場面ではしっかり出してくれるし、なかなかに魅力的。
メロディや雰囲気は基本的には「和」なんですが、プログレ的な音像からはそればかりではない
ものも感じられたり…桜吹雪の中を歩いていたら、いつの間にかお伽噺のような超自然的な
世界、それも人を連れ去り、取り込んでしまうような恐さのある世界に連れ去られていくような感じ。
女性Voものの幻想音楽ファン以外にも、五人一首やANSUR辺りのプログレメタルファンにも
お勧め。アンサンブル志向の強い音なので、音像の中心がエレキギターでなくても受け入れ
られるメタラーなら聴いておいて損はありません。…個人的にはプログレもメタルも、
昔の物よりも今の物の方が断然良いと思ってます。


MELENCOLIA ESTATICA - Letum - Letvm Ⅱ ★★★ (2009-02-15 23:57:29)

途中のKRALLICEにも比肩しようかという、トレモロハーモニーの美しさが素晴らしい曲。販促シールの「常ならぬメロディセンス(an extraordinary sense of melody)」が、全く誇張に聴こえません。


MELENCOLIA ESTATICA - Letum ★★ (2009-02-15 23:54:00)

2008年発表の2nd。

ABSENTIA LUNAEのメンバーが在籍、販促シールには「常ならぬメロディセンスを持ったブラックメタル」とのタタキがあることからも分かる通り、淡く儚く美しく、聴いていてカタルシスを覚えるようなメロディが特徴のメロディック・ブラック。
このメロディセンスは、KRALLICEやLANTLOS辺りの、シューゲイザー的な感性を持ったブラックメタルバンドと共通するものがありますね。分離の良い音質の割にギターがノイジーな音色なのも、攻撃性よりはメロディに篭められた感情を重視しているのかもしれません。

ただしそのメロディが乗るのは、前述のバンドのようなポストブラック的なものではなく、DISSECTIONやWATAIN辺りのスウェディッシュ勢に近い、疾走パートも多くメロブラとしてのドラマ性の強い音。それらのバンドと比べるとリフに余り刻みを入れない分メタリックさは薄く、メロブラの展開のドラマ性を取り入れた上で、やはりトレモロリフによるメロディを最大限に活かすことを重視している感じ。

儚いメロディによるカタルシスを演出する、シューゲイザー的感性を持つバンドがそのメロディを生かすために一般的なエクストリームメタルからやや離れた展開を選ぶ傾向があるのに対して、このバンドがメロブラのドラマ性でそのカタルシスを強める作風を選んだのは、コペルニクス的転回と言えるかもしれません。結果、「淡い」メロディが「派手に」炸裂しててかなりユニークな音に。

…しかし、これ聴いて実感したんですが、ブラックって色々なバンドが色々な情景を色々な手法で描いてるジャンルですよね。ブラック大好きな私が言っても説得力無いかもしれませんが、今、こんなに追ってて面白いジャンルもないのでは…。


CODENAME : WINGLESS ★★ (2009-02-15 10:18:00)

国産二人組みゴシックメタルバンド。
…メンバーがSNKのサウンドチームの音楽が好きというのに、勝手にシンパシーを
感じてます(笑)。結構そういう事が購入動機になったりしますよね。


CODENAME : WINGLESS - Scar/red - 清明 ★★ (2009-02-15 10:16:17)

日本情緒のあるメロディでも、このヴォーカルが「うねり」を加えるとどこかオリエンタルな雰囲気も感じられますね…掴みとして十分なインパクトを持った曲だと思います。


CODENAME : WINGLESS - Scar/red ★★ (2009-02-15 10:14:00)

2008年発表の1st。
女性Voをフロントに据えたシンフォ/ゴシックメタルをベースに、日本のバンドらしい、
キャッチーに花開く耽美さ、時折出てくる和風メロディ、打ち込みのリズムなどを取り入れた作風。
日本人だし、ゴスとインダストリアルって元々親和性が高いし、一つ一つの要素は独特とは
言い難いものの、それらが合わさって出来る世界観は結構個性的ですね。
しかしこのバンドの音楽性を一番個性的たらしめているのはヴォーカルでしょう。
声自体はフィメールゴシックらしい綺麗さなんですが、特定の拍を強調して「うねり」を
加えるかのような、パーカッシブな歌いまわしが強烈に印象に残ります。
ただ、歌い方のインパクトに、歌メロそれ自体は及んでいないという印象も。
せっかく魅力あるヴォーカルを前面に出してるのに、曲の中で一番良いメロディが歌パートに
振られていない感じで、歌メロは新興の国産シンフォ/ゴス系ではMISTIELEGYやASRIELに
及んでいない気がするんですよね…。
とは言え、この前に出たシングルと比べるとギターの弱さが改善されてるし、打ち込みが
雰囲気出してるところもあるし、ヴォーカルは明らかに個性的になってるしでかなり成長していると
思います。かなり良い世界観を持ってるバンドだと思うのでこれからも頑張って欲しいです。


ABSENTIA LUNAE ★★ (2009-02-15 10:09:00)

イタリアン・ブラック期待の新星。…と言っても結成自体は02年らしいですが。
今年新しいアルバムを出すみたいですよ。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria - Memneso On ★★★ (2009-02-15 10:08:42)

男性の語りとアルペジオ、鐘の音のSEなどに例の細かいドラミングが絡むエンディング曲で、これ単品では普通なんですが、アルバムの締めとしては完璧だと思う。通して聴いた後にこれを聴くと、アルバムが終わると同時に、一つの世界観が終焉を迎えるような感覚を覚えます。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria - Modern Cathedral ★★★ (2009-02-15 10:07:50)

リフの音色に変化があっていいですね。個人的に「音色」ってメタルでは演奏力やフレーズ以上に大切だと思うし、そこに拘ってくれているのは嬉しい。その音色自体も幽玄な雰囲気で好きです。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria - Died Story Manifesto ★★★ (2009-02-15 10:07:01)

ブラックの中でも深遠なダークさを描いている音だと思うんですが、どこか洒落っ気や優美さみたいなものも感じられたりするんですよね…それが底が知れないようなムードに繋がっている感じ。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria - Mid Svmmer Spiritval Holocavst ★★★ (2009-02-15 10:06:06)

音の小さいオープニングから轟音に繋げる展開は、FUNERAL MISTの1stを思わせますが…この作品は1曲目にイントロを設けたり手が込んでて、騙されて音を上げてしまったので…以下略(笑)。この深い音塊だけでもかなりのインパクトですが、メロディセンスもまた素晴らしい。


ABSENTIA LUNAE - In umbrarum imperii gloria ★★ (2009-02-15 10:04:00)

2006年発表の1st。

…ブラック特有の「催眠的な感覚」を演出するのに、無機質なインダストリアルビートを導入したり、ミニマルなリズムを取り入れたり、敢えてリズムをロック乗りにしたりなど、リズム面で色々な工夫をするバンドがいますが、このバンドはそれを「細かくテクニカルなドラミング」で演っているのが特徴ですね。

ブラック的な重々しい頽廃が垂れ込める音像にテクニカルなドラミングが絡む作風はSJODOGGとも通じる物がありますが、こっちの方がプログレッシブな感じだと思う。このドラミングによって、催眠的な感覚が醸し出されているだけでなく、身の置き場の無いような不安感も演出できているように思います。

この独特のリズムが、光を吸収する暗黒を思わせる深い黒さのある音像、荒廃した風景の(ある意味での)美しさを描くような頽廃的なメロディと上手く調和し、個性ある、底の知れないダークさになっている感じ。セピアやモノクロを利用したアートワーク、曲タイトルのラテン語の使用やラテン語風の表記など、音以外の面でもそうした雰囲気の追求がなされてますね。ヴォーカルが少し演説入った感じのがなりで、個人的にはこういう音楽性ならもっと不気味で狂気的な方が良かった…とは思いますが、1stにして明確なヴィジョンが見えていて、かつそれを表現する手段が確立されてるような完成度だと思う。

ブラックの新興勢力の中でもかなりお勧めのバンドです。


MELECHESH - Emissaries ★★ (2009-02-13 18:16:00)

2006年発表の4th。

前々作の「Djinn」はめっちゃ個性的で、めっちゃ質の高いB級という印象だったんですが…今作は音質はメタルの中でも上の方、ヴォーカルもダーティな喚き声が更に必死さを増し、殺気や決死な雰囲気まで感じさせるレベルになり、演奏力も素人耳にも明らかに優れていると分かるようなテクニカルさがあるなど、全体的に垢抜けて、日本盤がリリースされないのが不思議な程の特A級のエクストリーム・メタルになった感じですね。
これなら、個性だけでなく純粋なメタルとしての魅力でもNILEやBEHEMOTHに劣らないと思います。

もちろん作風は前々作から変化はなく、どこをどう切り取っても中近東なブルデス/ブラック…と言いたい所ですが、今回は普通のメタル要素が5%くらい混入してしまっている印象。
特に3曲目の第2部なんて、中近東メロディのリフが垢抜けすぎて、ロックンロールのリフと聴き紛う感じになってる気さえするほどで、聴いててちょっと萎えてしまう…。とは言っても、萎え所はごく一部だし、強烈な個性は健在だし、エクストリームメタルとして一流の音になっているので、「中近東メタル」というコピーに惹かれる人なら損はしないかと。
でも辺境メタルとしては「Djinn」の方が良かったかなぁ…。

ちなみに、デスともブラックとも分類されてるみたいですが、敢えてどっちかと言うなら私はデス寄りだと思います。リフがブラックのような寒々しさや鬱屈、催眠性に向かわず、デス由来のうねりに向かっている感じ。中近東のメロディを取り入れているから、それがデス的な「うねり」に聞こえるのかもしれませんね。


MELECHESH - Emissaries - The Scribes of Kur ★★★ (2009-02-13 17:59:00)

メタルのアンサンブルではなく、パーカッションやアコギ、民族楽器などによってメソポタミアンな世界観を本格的に描いた曲。こういう路線で一枚作ってもいいんじゃないかと思います。


MELECHESH - Emissaries - Emissaries and the Mysterium Magnum ★★★ (2009-02-13 17:56:43)

テクニカルな演奏によって「音の壁」が築かれているような音ですが…このバンドがそれを演ると、その「壁」にスフィンクスでも描かれてそうな雰囲気がありますね(笑)。


MELECHESH - Emissaries - Rebirth of the Nemesis (Enuma Elish Rewritten) ★★★ (2009-02-13 17:54:11)

確かな演奏力とクリアで整った音、ドラマティックな曲構成とひときわ眩い威光を放つ強烈な個性!!…掴みとしてこれ以上の何が必要なんだ…ってくらい完成度高すぎな名曲。ちなみに、サブタイトルにも出てくる「エヌマ・エリシュ」はバビロニア神話の創世の神話だとか。


飛玲仙 ★★ (2009-02-12 19:04:00)

陰陽座フォロワーだと思ってましたが…
歌詞やコスチュームからすると、和ではなく中華がコンセプトのバンドなのかな…?


WARLOGHE - Womb of Pestilence - Dark Spires Swirl in the Abyss ★★★ (2009-02-12 18:58:17)

やっぱりリフ捌きは前作よりも邪悪になってると思う。
魔が音に引き寄せられて集まってくるような感覚が出てきた感じ。でもこの曲のアルペジオのメロディ、なんかめっちゃ既聴感があるんですが…。


WARLOGHE - Womb of Pestilence - Illuminating Void ★★★ (2009-02-12 18:57:19)

今作中最もメロディが立ってると思う曲。
録音状態はかなりチープだし、メロディも結構シンプルなんですが、出ている音以上に深遠な感覚を覚えるんですよね…。こういう感覚が欲しくてプリブラみたいな魔境音楽を聴くのかも。


WARLOGHE - Womb of Pestilence - A Monolith Clad in Fog ★★ (2009-02-12 18:56:32)

呪いの儀式を楽器で演ったような曲。
ヴォーカルも憎たらしい相手を具体的に思い浮かべてそうな、恨みがましさ全開のパフォーマンスで実に素晴らしいです。


WARLOGHE - The First Possession - Once More Against the Light (for Satan) ★★★ (2009-02-12 18:55:29)

音質こそチープなものの、スケールの大きい破滅を描くようなメロディが絶品な曲。もう少しメロディが聞き取りやすければなぁ…と思わなくもないですが、想像力で補完できる余地があるからこそ、更に良く聞こえるのかも。


WARLOGHE - The First Possession - Black Metal Hell ★★ (2009-02-12 18:54:39)

なんかB級めいたタイトルですが、中身はA級のプリブラです。
刻みリフでこちらの高揚感を煽るだけ煽っておきながら、トレモロリフで視界を広げていく展開が実にかっこいい。頭の2曲で、リスナーを引き込む力があると思う。


WARLOGHE - Womb of Pestilence ★★★ (2009-02-12 18:53:00)

2003年発表の2nd。

リフ捌きが邪悪さ>メロウさの傾向がいくらか強くなった(気がする)とか、ダウナーなヴォーカルがよくもまあこんな搾り出すような、潰れた声で歌えるなぁ…と感心してしまうレベルになってきたとか、細かく異なったり成長してると思う部分はあるんですが、まあこの手のバンドが容易に音楽性を変える筈もなく…今作も前作同様の、真っ黒なプリミティブブラックど真ん中な音を聴かせてくれます。

ただ、音質は前作とは結構違ってますね。
前作ではジリジリした音色のギターノイズが音の真ん中に居座ってる感じでしたが、今回はノイズが全体に広がり、くぐもった音になった感じがします。耳に痛い音ではなくなった分、聴きやすくなったともいえるんですが…私的にはこの音質によって、前作よりも地下臭さが顕著になったように思います。

1st、2ndどちらも良質なプリブラなので、あとはどっちの音が好みか…ですね。
ちなみに、1stと一緒に2008年にNorthern Heritageから再発されました。
一般的なメタルの価値観から言ったらチープであっても、アングラの価値観から見てクオリティの高いものをリリースしているというのは、いかにもこのレーベルらしいですよね。


WARLOGHE - The First Possession ★★ (2009-02-12 18:51:00)

99年発表の1st。

ブックレットを開くと、歌詞ではなく「今のブラックメタルは弱っちいジョークや金儲けの手段以外の何物でもねぇ」と息巻いてるステイトメントが目に入りますが…まあそこから想像出来るようないかにもなプリミティブブラックです(笑)。

音質が音像の中心にギターノイズが居座っている、結構独特なもので少し聴きづらいですが、そこから漏れてくるメロディは美しいし、ヴォーカルも恐ろしく潰れた、ねちっこいがなり声で邪悪さ満点だし、「プリブラとしての質の高さ」の要件は十分に備えていると思います。刻みリフで溜めてからトレモロリフに雪崩れ込んだり、切り返して疾走したりプリブラのアングラ感を壊さない程度のメタリックなかっこよさもあって、ミニマリズムよりもドラマ性を重視するタイプの作風と言えそう。

少し初心者には音質的に厳しいかもしれませんが、プリブラの良盤だと思います。フィンランドがプリブラのメッカになりつつあることを示す好例だと思う。


DARKTHRONE - F.O.A.D. - Pervertor of the 7 Gates ★★★ (2009-02-11 20:55:23)

パーカッシブでどこか楽しげなリズムが印象的な曲。
ISENGARDが酒の力を借りて12年ぶりに復活したら、こんな感じになるのかも…?っていうかこのアルバム、何気に曲のヴァリエーションに富んでると思う。単にハードコアと交わっただけではない感じ。


DARKTHRONE - F.O.A.D. - Raised on Rock ★★ (2009-02-11 20:51:38)

「ヴーッ!!アイワズ、レイズドオン、ロック!!」
実にふてぶてしい歌(?)声ですね(笑)。
付いて来れる奴だけ付いてこいや、って感じ。


DARKTHRONE - F.O.A.D. - Canadian Metal ★★ (2009-02-11 20:49:06)

このアルバムを象徴するような作風の、ノリノリな曲。
…個人的にはDARKTHRONEは折角だからこの路線を極めて欲しいと思う。3部作路線はフィンランド勢とかCRAFTとかCLANDESTINE BLAZEとか良質なフォロワーが沢山いるし、3部作でプリブラの形を作った時点でDARKTHRONEは十分偉大だと思うし。尚且つこういう新しい視点を模索・提示してるのは本当に凄いと思う。…でもハイトーンは正直勘弁して欲しいなぁ…(苦笑)


DARKTHRONE - F.O.A.D. - Wisdom of the Dead ★★★ (2009-02-11 20:43:49)

Nocturno Culto氏の野太いがなり声と、トレモロリフの使い方が印象に残る曲。音楽性は変わってしまっても、こういうブラック好きにとって取っ付きやすいパーツを鏤めることで、今まで彼らの作品を追ってきた人にも敷居をそれほど上げずに新しいヴィジョンを提示しているのが良いですね。


SEPTICFLESH (SEPTIC FLESH) - Forgotten Paths (The Early Days) ★★ (2009-02-11 08:56:00)

91年発表のデモの2000年再発盤。5000枚限定。

今でこそエクストリーム・メタルの中でも指折りの素晴らしいバンドだと確信しているSEPTIC FLESHですが…この頃はまだハードロックから暗黒メタルに脱皮し切れてないようなどこか垢抜けなさの残るデスメタルという感じですね。ただ、5曲目冒頭の幽玄なギターの音、後半で顕著なブラック的な邪悪なリフ捌き、この頃からなかなかに威厳のある低音咆哮ヴォーカルなど、後の作品への「片鱗」は結構見られます。

でも、それは後の作品を知ってから聴いてるからで、この作品だけ聴いて後にどんなに素晴らしいバンドに羽化していくのか推測するのは難しいと思う。古代の異境をブルータルに悠然と描き出した「SUMERIAN DAEMONS」、絢爛な音で神秘の領域に到達した「Communion」等と比べると、この作品はなんとかそういう情景を表現しようと頑張っている感じ。

ちなみに、リマスターされているのか、音自体は2ndや3rdよりも良いと思います。
2ndや3rdも限定盤とかじゃなくリマスター再発して欲しいです。


ANTHELION - 沐・血・再・臨 Bloodshed Rebefallen - 神敵 ★★★ (2009-02-10 21:28:11)

頭からフルブラストにトレモロリフのど派手な音で聴かせてくれる、アルバムラストを飾る曲。ちょっとアジアっぽい女性ヴォーカルをブラストに乗せるアレンジも良いですね。ラストがこういう派手な曲だと気分いいです(笑)。


ANTHELION ★★ (2009-02-10 21:28:00)

台湾産シンフォニックブラック。
バンド名は漢字で書くと「幻日」だそうです。


ANTHELION - 沐・血・再・臨 Bloodshed Rebefallen - 血嫁 ★★★ (2009-02-10 21:25:16)

様式美メタラーも悶絶しそうな、クラシカルな泣きメロが堪能出来る曲。…やっぱりこのバンド、アジアの民族音楽よりはクラシック辺りの方をメロディの基礎として持ってそうな気がします。


ANTHELION - 沐・血・再・臨 Bloodshed Rebefallen - Snake Corpse ★★ (2009-02-10 21:22:09)

アルバムのオープニングは、シンフォブラックバンドとしての実力をまざまざと見せ付けるかのような大作。テンションもクオリティも鬼高いですが、大作の割にはパーツ一つ一つは普通の曲と一緒なので、もう一捻りあっても良かった気も。


ANTHELION - 沐・血・再・臨 Bloodshed Rebefallen ★★ (2009-02-10 21:19:00)

2007年発表の1st。

台湾産のシンフォニックブラックという事で、失礼ながらCHTHONICの弟分のような音楽性をイメージしてたんですが、結構違いますね。大仰なシンフォサウンドをバックに、ここぞという所でトレモロリフやリードギター、ピアノ等による泣きメロを炸裂させるスタイルで、CHTHONICよりもDIMMU BORGIRやABIGAIL WILLIAMS、SOTHIS辺りに近い作風。

所々オリエンタルなメロディがあるものの、それが際立った特徴といえるようなほどでもなく、正統なシンフォニックブラックの様式を踏襲している感じ。ヴォーカルもがなり声はShagrat似だし、時折入る金切り声はDani Filth似でいかにもシンフォブラックの先人の影響下にありそう。全体的にレベルが高くて垢抜けてる感じですが、特にFredrick Nordstromのプロデュースによる硬質かつクリアで、迫力のある音質には、CHTHONICの「Seediq Bale」よりもメタルとしての説得力があると思う。

ただ、上で挙げたABIGAIL WILLIAMSやSOTHISの1stって、質は非常に高いものの特にオリジナルの音楽性を提示している訳ではないという理由で、一部のプレスから芳しくない評価を下されてたりもしてたんですが、同じことはこの作品にも言えると思う。まして上記のバンドよりもメロデス的な泣き・メタルのかっこよさ>シンフォブラックの大仰さ・ブラックの邪悪さという傾向はより強い作風なので、ブラック者はよりそれを感じてしまうかもしれません。純粋に質の高いシンフォブラックが聴きたくて興味を持ったのであれば、期待を裏切られることは決してないんじゃないかと思います。

あと、英訳詞付けてくれるのはありがたいけど、それをケースに入れられない仕様はどうかと(笑)。英訳詩の方にSnake Corpseの詞とアー写付ければ事足りる気がするんですが…。


ABSU ★★ (2009-02-08 22:36:00)

もうすぐ新譜出るみたいですね。
プレスにも露出してますが、Metal Maniac誌ではなんと表紙を飾ってます!!
おめでとう…彼らが表紙になるような雑誌が普通に読める英語圏の人が羨ましい…。


飛玲仙 - 黎 - 黒麒麟 ★★★ (2009-02-08 22:11:19)

これ、タイトル見て笑っちゃったんですが…しかもご丁寧に掛け声やツーバスドコドコまであるし。ダークで強いイメージの「黒」を陰陽座の「麒麟」に付ける事で、いつか陰陽座を超えてやるぜ、という気概を示したというエピソードが…というのは、ただの妄想です(笑)。でも曲自体は陰陽座の方にはないクラシカルなメロもあり、アルバム中最もかっこいい曲かもしれません。


飛玲仙 - 黎 - 蝕 ★★ (2009-02-08 22:10:27)

陰陽座で言うと「悪路王」辺りを思わせる、スラッシュ的なスピード感と歌謡的なメロを融合させた、ストレートにかっこいい曲。八百屋のおじさんの呼び込み以下なしょぼいデスヴォイスは勘弁して欲しいですが、和とクラシカルが融合したようなギタメロとか歌謡メロに疾走とか、悶え所の多い名曲だと思います。


飛玲仙 - 黎 - 祈華 (2009-02-08 22:09:30)

生贄を求めるのが大地、捧げられるのが幼い少女という違いはありますが、陰陽座の「牛鬼祀り」を思い起こさずにはいられない曲。物語を叙情的に伝えてはくれるんですが、「牛鬼祀り」と比べると捻りやパンチが足りない感があるかも…。


飛玲仙 - 黎 - 瑞雲 ★★ (2009-02-08 22:08:42)

ハードロック調の、聴いているとテンションが高まってくるような熱い曲で、陰陽座でいうと「叢原火」辺りの曲を引き合いに出せそう。雰囲気がガラリと変わり、幽玄な雰囲気を醸し出す間奏パートも聴き所ですね。


飛玲仙 - 黎 ★★ (2009-02-08 22:07:00)

2008年発表の1st。
一聴しての印象は「陰陽座に弟が出来た!!?」でした(笑)。
和楽器や太鼓などを使わず、女性ヴォーカルをフロントに据えたオーセンティックな
HR/HMのスタイルで和の世界観を表現する路線は、明らかに陰陽座の影響下にありそう。
歌謡的メロを入れたことによって演奏に妥協することはなく、なかなかにかっこいいリフ捌きも
聴け歌謡メタルとしてソツの無い出来。でも歌メロのキャッチネスや扇情度、Voの歌唱力、
サウンドプロダクションや曲展開の巧みさなどはやっぱり本家の方が上で、正直この時点では
まだフォロワーという感じだと思う。
とはいえ、時折出てくるクラシカルなリード、ビブラートの良く掛かる可憐な声質の
ヴォーカルなど、光る部分もかなりあって、大化けする可能性も十二分にありそう。個人的には
クラシカルなギターメロを多くするとか歌メロをもっとクサくするとか、よりインパクトの
ある方向に進んで欲しい所。なんか1stにしては無難な感じがするんですよね…
陰陽座「妖花忍法帖」「睡」、大鴉「さくら」「あかつき」を超える衝撃を与える曲を作ってくれる事を期待。
でも、これ陰陽座ファンなら手を出しても損は無いかも…曲やアートワークから滲み出てくる
陰陽座ラブっぷりが半端ないです(笑)。歌詞やトラックリスト、クレジットのレイアウトまで
陰陽座風ってどんだけ、っちゅう話ですよ(笑)。
ディープな陰陽座ファンなら微笑ましい気持ちで楽しめるのではないでしょうか。


(V.E.G.A.) - Alienforest - A Sick Mind's Hologram ★★ (2009-02-07 08:46:00)

2008年発表のおそらく2nd。
前作「Cocaine」では、ラストにテクノビートを取り入れた曲を挿入していましたが、まさかあれが次のアルバムへの大きな布石になっていたとは…。

前作では主にラストで見られたテクノ要素が今作ではアルバム全体を通して端々で聴かれ、特にアルバムの掴み部分、プレイボタンを押してから10分近くバンドサウンドが入らないという、ある意味かなり極端な作風に。

テクノ要素がアルバム全体に波及した事に加えて、ドラムが前作より前に出ず、しかもよりマシンめいた音色になったことで「中毒性・サイケデリア>攻撃性・ブルータリティ」の図式は更に鮮明になった印象。このバンドのインダストリアル志向を思えば、順当と言える変化なのかもしれませんが…前作をインダストリアル/ノイズブラックではなく、個性的なRAWブラックとして聴いていた人からしたら受け入れがたい変化かもしれません。

個人的には十分良い作品だけど、正直前作のほうが衝撃的だったしお勧め…かも。ちなみに、今作はDVDケースにぺラ紙一枚でした…凝ってるんだか凝ってないんだか…。


(V.E.G.A.) - Cocaine ★★★ (2009-02-06 21:29:00)

2002年発表の…おそらく1st…かな…?

ハーシュノイズやインダストリアルとブラックメタルの異種交配はよく行われていますが、自分が今までに聴いた中では、これは最高級にレベルの高い逸品といえると思います。

↑でたまねぎさんが「麻薬リフ」と表現されてますが、正にそんな感じでまずリフが独特で、かつ中毒性が非常に高い事が特徴ですね。そのリフが、ハーシュノイズと混交した音質の助けを借りてサイケデリックに花開き、スパークしながら散っていく様はなにか神々しいものすら感じます。

音の抜けの良い高速のマシンドラムのリズムも、ブルータリティよりもサイケデリアや酩酊感を加速することに貢献している感じ。クスリによって精神が壊れ、壊れたが故に神秘を体感できる人間の精神の中を旅したら、こんな感じなのかもしれませんね。

また、1曲目の掴み部分に悲鳴や合唱のSEを挿入して想像力を刺激したり、ヴォーカルに正体を隠すようなエフェクトが掛けられていたり、ブックレットにはメンバーのはっきりした写真を決して載せなかったり、アートワークも含めたミステリアスな雰囲気の演出も巧みで、それが作品から受ける神秘的な感覚を更に底知れないものにしてるんですよね…。プリブラ的酩酊感を、知性的(かつ狂的)なアレンジ・演出により麻薬性にまで高めた感じ、でしょうか。

↑のレビュー見て買ってしまいましたが、確かにこれは素晴らしいです。まだ知名度はそれほどでもない(Metal Maniacs誌にインタビュー載ったけど…)みたいですがスピリチュアルな次元に到達した、数少ないバンドのうちの一つなのではないかと思います。


MISTIELEGY ★★ (2009-02-05 18:01:00)

また素晴らしいバンドが現れましたね…
クサメタラーは是非↓で試聴して欲しいです。
ttp://www.myspace.com/mistielegy


MISTIELEGY - DYED WHITE - DYED WHITE ★★★ (2009-02-05 17:59:05)

いきなりクッサいリードギターが入るオープニングといい、ギターが引っ込んでピアノとヴォーカルを前に出した「引き」の展開を入れたりといい、衝撃のデビューミニのラストを飾るに相応しいドラマティックな曲。「The tide of time」「at my wit's end」はX JAPANリスペクトでしょうか。2曲目にも「青い涙」とかあったし。


MISTIELEGY - DYED WHITE - RAIN EMBRACE (2009-02-05 17:58:08)

バラードで、曲自体は悪くないんですが…他の曲の音が小さいのに、これだけまともな音量なのはちょっと…。リマスターされたセカンドエディションとか出して欲しいです。


MISTIELEGY - DYED WHITE - AUGUSTA ★★★ (2009-02-05 17:57:14)

これも2曲目同様シンフォゴシックメロスピですが、こっちの方がもっとバンドサウンドの魅力が前面に出た感じですね。ちょっとしたリフ捌きなどもかっこよく、この時点で「とんでもないバンドを知ってしまったなぁ…」との感慨が込み上げてきました。WITHIN TEMPTATIONの崇高さとDRAGON GUARDIANのクサさを組み合わせたようなおっそろしい曲。


MISTIELEGY - DYED WHITE - FALLEN STAR ★★★ (2009-02-05 17:56:30)

歌入りの曲では初めてリスナーに届くであろう曲という事で、バンドとしても重要な曲だと思いますが…そうした役割をしっかりと果たすであろうキャッチーさのある超名曲。イントロのリフからして名曲の予感がぷんぷんしますが、サビでもう確定。サビだけ日本語なのもメリハリがあって良いですね。


MISTIELEGY - DYED WHITE ★★ (2009-02-02 23:19:00)

2008年発表の5曲入りデビューミニ。
…NIGHTWISHやWITHIN TEMPTATION、RHAPSHODY、X JAPANなどが引き合いに出された
販促カードに惹きつけられ、「まあ1000円だし…」と軽い気持ちで手を伸ばしたその先には、
とんでもない代物が待ち構えてました(笑)。これ、クサメタルとしてはDRAGON GUARDIAN
(そのクサい曲展開で某メタルショップの売り上げ一位を独占し続けた国産RPGメロスピバンド)
と同じくらいの衝撃を受けたんですが…。
路線は、引き合いに出されているバンドの良い所を集めた感じですね。
基本はNIGHTWISHやWITHIN TEMPTATIONに通じる、シンフォな音にソプラノを乗せた
ゴシック寄りのメロスピですが、全体的なクサさやスケールの大きさはRHAPSODYに、
起伏のあるメロディの展開の仕方はX JAPANに通じる物があると思います。
一般的なフィメールゴシックよりもメロディにメリハリがあって、凄く取っ付きやすい音。
音像が大仰過ぎて、メロ自体の扇情度が疎かになってないのが良いですね。
何気に女性ヴォーカルも素晴らしいです。歌唱力の高いいわゆる「歌姫」を擁するバンドって、
その歌唱力で歌い上げるあまりメロディの繊細さが失われてると感じる事が少なくないんですが、
この人は少し細めの声質で、メロディの展開にあわせて上手く起伏を付けてて繊細さを更に
高めてると思う。個人的に、この繊細な歌い上げからは(THE 3RD AND THE MORTALの)Kali
Rueslattenを思い出しました。男性ヴォーカルやメタル、ポップス風の歌唱を入れず、
ソプラノで全編通しているのも好印象。
疾走を軸にした展開もドラマティックだし、メロデスっぽいメロウなリフも聴ける演奏も
かっこいいんですが、最大の不満は音質。普通にメタル聴く音量だと、ほんと蚊の鳴くような
音しか出力されないんですが…しかも4曲目(バラード)だけやけに音がでかい。
なのでこのアルバムを楽しむには、まず音量のメモリを10ほど上げて、4曲目になったら
5下げて、その曲が終わったらまた5上げて…という操作が必要…なんて面倒くさいんだ!!
漫画の台詞を借りるなら、「上等な料理にハチミツをブチ撒けるが如き音質」ですよ(笑)。
ちなみに音自体は別に悪くはないです。
…でもこれ、音質がまともで、もう少し早く知れてたら多分2008年度ベストアルバムに
推薦してたと思います。それくらいインパクトのあった作品。音質(というか音量)を見直して、
フルレンス発表したら話題になること間違いなしだと思うんですが…その時が楽しみです。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Blackberry Jam ★★★ (2009-01-31 05:59:36)

黒魔術に傾倒した舞台女優のような声で歌う「Black beetle~」が強烈な印象を残す曲。悪意を篭めた笑い声も恐い。笑い声がよりよく聞こえ、後半のパフォーマンスが赤ちゃんのむずがる声のSEを取り入れたのかと一瞬錯覚するような熱演のプロモ版の方が個人的には好き。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Come Eclipse ★★★ (2009-01-31 05:58:46)

姉妹のハモリが、調和ではなく「分裂」を感じさせるのが面白い曲。
しかも「精神異常者」と「魔女」に分裂してしまった感じ。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Through Your Eyes (2009-01-31 05:57:43)

やっぱりRune氏は姉妹のヴォーカルを活かす事に心血を注いでいると思う。
こういう路線なのにリズムがギロのみというのが意外。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Whiz ★★★ (2009-01-31 05:57:00)

ほとんど歯医者のドリルとしか思えないような高音に驚きました。
低音のグルーヴが、魔術による陶酔感に変わっていくような心地良さも好み。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma - Chimeras ★★ (2009-01-31 05:56:05)

この、メタルとはまた違う重低音の効いた音像を妖気や不吉さに変換できている、曲作りのセンスもまた素晴らしい。姉妹のヴォーカルに耳が行きがちですが、実は曲自体もかなり良いと思う。


TACTILE GEMMA - Tactile Gemma ★★ (2009-01-31 05:54:00)

THE 3RD AND THE MORTALのAnne-MaryとATROXのMonikaが共演したプロジェクトの1st。
…と言っても、この一枚で解散してしまったようですが…。
THE 3RD~で魔性の表現力でリスナーを幻想の世界へ誘ったAnne-Mary、ATROXで他に
例のない圧倒的な変態ヴォーカルでカルトな支持を得たMonikaの姉妹の共演という事で、
リスナーとしてはやっぱり二人のヴォーカルによるめくるめく怪奇ゴシックな世界観を
期待してしまう所ですが…全くその期待の通りの作風ですね(笑)。
今作では声楽的な歌い方が多用され、ATROXのようにずっと壊れているわけではないですが…
それだけに、「そういう歌い方」が来た時の恐さは格別。Anne-Maryの魔女のような威風すら
感じる歌唱と、メルヘン童話の無垢なヒロインから精神異常者、祟り神まで何でも憑依させる
巫女のようなMonikaの歌唱の織り成す、妖術的な幻想世界。…本当、とんでもない姉妹ですよ(笑)。
路線自体はTHE 3RD~の「Memoirs」のそれを踏襲したダブ・トリップホップ的なリズムを
取り入れたディープな音像で聴き手を引き込んでいく作風ですね。
作曲はATROXのRune氏という腕の確かな人物の手によるもので、姉妹のヴォーカルが
なかったとしても十分聴き手を幻想世界に引き込めるクオリティがあると思う。
「Memoirs」の方が脳に与える快楽や、中毒性に重きを置いていると思えるのに対し、
こっちは姉妹のヴォーカルを引き立てて怪奇な世界を描く事に重きを置いている感じ。
姉妹のヴォーカルが好きならば買いだと思います。
後期THE 3RD~の取った路線自体には共鳴するものの、カリスマ性のあるヴォーカルが抜けて、
剰え男性ヴォーカルまで取り入れてしまったことに不満を覚えている方にもお勧めです。


SORT VOKTER - Folkloric Necro Metal - Hatefulle Tanker ut i Natten ★★ (2009-01-29 23:17:48)

線香花火のようだったギターノイズがこの曲では噴出、ヴォーカルも噛み付かんばかりの迫力で迫ってきます。このアルバム随一の憎しみに満ちた音像。それにしても、このギターの音…ほとんどテレビの砂嵐ですね。バンドメンバーにギタリストの代わりに、テレビ担当を入れた…という伝説が残ってもおかしくない音(笑)。


SORT VOKTER - Folkloric Necro Metal ★★ (2009-01-29 23:16:00)

ノルウェーブラックの重要人物Ildjarnらによるバンドが残した唯一のアルバム。
オリジナルは96年発表ですが、最近になって再発された模様。

ILDJARNはミニマルでノイジーなプリミティブブラックからシンセ・アンビエントに音楽性を移行させて行きましたが、このバンドではその二つを合わせたようなブラックを演ってますね。プリブラのミニマリズムによる陶酔感と、シンセサイザーによる情景描写を掛け合わせたような路線。音質はILDJARNにも増して劣悪で、特にギターが線香花火を思わせるチープさ。

ILDJARNのようにCDの収録時間ギリギリまでノイジーなプリブラを詰め込んだりというような極端なミニマリズムはなく、曲によってプリブラにシンセを被せたり、逆にシンセ音楽にギターノイズを被せたり、プリブラからシンセ音楽に移行したりなど、手持ちのカードで色々なパターンを試している感じですね。プリブラのみ、シンセのみの曲もあり、ラストは低音の持続音に同じメロディの繰り返しを乗せた、ミニマルなシンセインストで締め。

しかしこれ、一般的に見たら劣悪極まりない音なんでしょうけど、ある意味では良い音かもしれません。ギター・ベースは音像をハーシュノイズに近付けてるし、ヴォーカルは憎しみをそのまま叩きつけるような凄絶さだし、ドラムは陶酔感、シンセは情景を演出したりそれぞれのパートは(ギターがフレーズが分からないレベルまで歪んでるだけで)ちゃんと聴こえ、しっかり役割を果たしてます。

…でもこのプロジェクト、独りブラックとかじゃなくて、バンド編成なんですよね…。ILDJARNの時よりも更にバンドサウンドっぽくない気がするんですが…。


MELECHESH - Djinn - Kurnugi's Reign ★★★ (2009-01-29 23:12:29)

異教の儀式の熱狂を、ライブで盛り上がれるような現代のメタルサウンドで表したらこんな感じだと思う。ヴォーカルラインもデスヴォイスながらキャッチーで、一緒に「Ha!!」とか叫びたくなります。この儀式的陶酔感は、リフと同じくらいドラムの貢献が大きいと思う。
…もう既に1~2曲目で十分衝撃を受けているのに、この曲でもまた衝撃を受けましたね…衝撃を一過性のものにせず、これだけ持続させられるのは、やっぱりほんとにセンスあるバンドだからだと思います。


MELECHESH - Djinn - A Summoning of Ifrit and Genii ★★ (2009-01-29 23:06:36)

口笛で吹いたらマジで蛇が出てきそうな妖しく濃厚な雰囲気のメロディのリフを、これでもかと執拗に繰り返しながら展開していく曲。最後そのリフがヘヴィに変形するパートは、儀式が成功して異形の何かを呼び出してしまったような感じ。今度からFFとかでイフリートが出てきたら脳内でこのリフが再生されそうです(笑)。


MELECHESH - Djinn - Genies, Sorcerers and Mesopotamian Nights ★★★ (2009-01-29 23:02:41)

これは本当に衝撃的でしたね…普通中近東メロを取り入れるって言っても、大体のバンドは普通のデス/ブラックっぽいパートが出てきてしまうものですが…ずーーっとエキゾチックなメロディで1曲通してしまいますからね…1曲目のインストと合わせて、一撃でリスナーを虜にしてしまう求心力に満ちた曲。


MELECHESH - Djinn ★★★ (2009-01-28 23:39:00)

2001年発表の2nd。

…デス/ブラックには中近東をモチーフにするバンドが少なくないですが、これは「エキゾチックな雰囲気を演出する」ことや「中近東的なメロディをデス/ブラックに取り入れる」ことに関しては、最も徹底した作品なんじゃないかと思います。

殆どのパートで、リフなりリードなりに中近東っぽさを感じられます。
それだけメロで雰囲気出してるパートが多いという事でもあるので、メロデス・メロブラ好きにも受けそう。ただ、アコギやパーカッションを取り入れても素晴らしい物を作れる事をイントロで証明しておきながら、本編ではそれらの出番がそれほど多くないのは少しもったいない気も。
まあ、リードギターやリフなど、メタルの音を主に使ってエキゾチズムを体現するのがこのバンドの個性といえるのかもしれませんが。

ちなみに、今は脱退してしまったようですが、この作品でドラムを叩くのはABSUでスラッシュ寄りのテクニカルなブラック、ソロ名義で多方向に拡散したサイケアンビエントも演ってるProscriptor氏。彼もほんと色々演りますね…。
ABSUみたいにポコポコした独特の音ではないですが、やっぱり彼のドラムは良いですね。特にパーカッシブなパートでのドラミングがツボ。中心人物AshmediのダーティながなりVoも、そういえばABSUっぽいかも。ハイトーンは勘弁してほしいですが…。

ブルータルなメタルとしてはNILEやBEHEMOTHの方が上だと思うんですが、エキゾチックさではこちらの方が上かと。デス・メロデス・メロブラ好き以外にも、好きな民謡メロの範疇の中に「中近東系」も入るフォークメタラー、中近東的メロのインパクトにクサさを感じるクサメタラーなど、広くお勧めしたいアルバム。Voの微妙な普通声やラストが無音→イマイチなエンディングという構成など、多少B級っぽさもありますがそれを差し引いても本当に素晴らしい作品。最初の一音から聴き手を引き込んでいくパワーに満ちた名盤だと思います。


WEAKLING - Dead as Dreams ★★★ (2009-01-27 16:38:00)

2000年に彼らが残した唯一のアルバム。5曲76分の大作主義な作品。
XASTHURやLEVIATHANの作品に匹敵するアメリカン・ブラックの名盤と(マニアの間では)名高いこの作品ですが、確かにこれは凄い!!久し振りに、一聴しただけで衝撃を受けました。

確かに泣き叫び系ヴォーカルや時折出てくるディプレッシブなメロディは鬱系に通じるものがありますが、リフに刻みを入れたり豪速のブラストが入ってたりメタリックな展開や、音響を上手く利用した情景描写を交えた劇的な曲構成、RAWさはしっかり保ったままメロディ・フレーズもちゃんと聴き取れ音圧もあるバランスのいい音質など、この手のカルトブラックとしては割と聴きやすい印象。

…なんですけど、底知れない混沌とした雰囲気や、血腥さも同時に漂ってるのが素晴らしいです。鬱ブラックには陽の光も差さない岩戸に閉じ込められたような雰囲気を演出するバンドもいますが、このバンドは更に刻みリフの圧力やブラストの暴虐で、土砂が崩れてくるような凄絶さも醸し出してると思います。…ヴォーカルが悲痛絶叫で咳き込みまで入れてくる発狂振りなんですが、それだけではここまでの混沌は出せないと思う。
やっぱり曲がそれだけ良いということでしょうね。

個人的な印象としては、アメリカ産鬱ブラックにKATHARSISの「VVorldVVithoutEnd」に通じる壊れっぷりを加えて、更に僅かにメタル寄りの音にした作品という感じ。もう解散してしまったみたいですが、これ一枚聞く限りではアメリカ産のバンドでもトップクラスだと思う。XASTHURやDRAUGARなど、TWILIGHTに参加したバンド辺りの音源を集めていてまだこれを持ってない人がいたら、絶対に聴いておいた方がいいです。素晴らしいです。


PORTAL - Outre' ★★ (2009-01-25 08:52:00)

2007年発表の2nd。

まずオープニング→本編開始の、SEのノイズだと思ったらそれがそのまま本編のギターワークだった…という展開からして衝撃的。この黒い霧が大量に吹き出して来る様なリフの音色がかなり独特かつ最大の特徴ですね。いつのまにか毒ガスが充満していてどうにもならなくなってしまったような雰囲気。…MORBID ANGELが「Heretic」で靄のような独特なリフの音色で邪悪さを演出していましたが、それを更に突き詰めた感じですね。

その中に響くヴォーカルも、中音域のがなり声ながら肉食獣が息を潜めて伺っているような非人間性があって不気味な雰囲気を更に助長。時折出てくるトレモロのメロも非常に不穏。ヴォーカルやドラムがリフのどす黒い霧に包まれているような音質で、一聴した限りでは尖った感じのしない音ですが、実はかなり音圧があり雰囲気は非常に重い。

手法はデスメタル、雰囲気はブラックメタルに近いんですが、この音圧はブルデスやファストブラックのブルータリティよりはノイズ/ドローンの轟音に近いんじゃないかと思う。かなりカルトな空気感を持った作品。おそらくバンド名の「PORTAL」も、死出の旅への「PORTAL」…みたいな意味なんじゃないでしょうか。


PROSCRIPTOR - 726 ★★ (2009-01-24 20:50:00)

アメリカンブラックの古参ABSUのProscriptorのソロアルバム第三弾。
2008年発表。

ブラック系のミュージシャンって、別名義でアンビエントをやる人が多いですが、この人もその中の一人ですね。ブラックからこっちの方向に行ったアーティストの作風って、メロディ重視派(SatyrのWONGRAVENやBURZUMの獄中作など)や音響派(ドイツのTRISTなど)、エレクトロニカ派(ULVERの5thやSAMAELの「Era One」など)色々ありますが、この作品は1曲目が打ち込みビートにピアノやギターを絡めた曲だったので、ULVERやSAMAELと同路線かな…と思いきや、聴き進めてみたらこの三つのパターンは全部網羅してしまってました(笑)。

しかも「Vision of the Arrow」では狂ったコンピューターが演算処理して更に狂っていくような音を出したり、「Mars' Avatar of June」ではパーカッシブなリズムにノイズや奇妙なメロディを乗せたり、曲によってはかなり独自な手法をも追求してたりします。正にめくるめくProscriptorの実験場という感じで、彼の音楽への造詣の深さをまざまざと見せ付けてくれますね。ただ、曲によって聴き手を没入させる手段がかなり異なるので、陶酔しきれないという向きはあるかもしれません。

…ABSUはブラックの中でもアングラな熱気やダーティさの強いバンドだと思ってたので、そのバンマスがこういう路線を本格的にやっていたというのは結構意外。ABSUでのテクニカルなドラミングも素晴らしいし、Proscriptorってほんと良いミュージシャンですよね…。アメリカのブラックの個人名だとMalefic(XASTHUR)やWrest(LEVIATHAN)辺りがまず挙げられそうですが、彼の名前も覚えていて損はないと思います。


NAER MATARON - Praetorians - Anti-Celestial Campaign ★★ (2009-01-24 11:24:30)

オープニングのインストですが…何気にリスナーをアルバムの世界観に没入させるには重要な役割を果たしていると思う。全体に漂うミリタリー的な空気感は、この曲によるものが大きいのでは。Nordvargr氏のセンスの光る曲。


NAER MATARON - Praetorians - Incarcerating Gallantry ★★★ (2009-01-24 11:22:04)

インスト以外ではアルバム中唯一のNordvargrのペンによる曲ですが…VARGRのノイズ×チガイ振りと比べるとごくまともにメタルしてます。しかしアルバム随一の不穏さがある辺りセンスもしっかり発揮しきってますね。ツインヴォーカルの凄みも、ヤバイ雰囲気を醸し出してます。特に「Treachery~」からは誰もがビビるはず。


NAER MATARON - Praetorians - Sun Wheel ★★★ (2009-01-24 11:21:07)

前半はテクニカルな演奏やグルーヴィなリフなども聴けエクストリームメタルとして質が高く、陶酔感をもたらすような後半はブラックメタルとして素晴らしい。これだけの曲を作れるんだから、もっと知名度があっても良いと思う。


NAER MATARON - Praetorians - Ostara ★★ (2009-01-24 11:20:17)

インスト明けの1曲目にして、ラストの展開を除けばアルバム中最もメロディ感が薄く、ミリタリーな雰囲気が強い曲。…このバンドの描く軍隊って、戦車じゃなくて銃兵なんですよね。銃を持った屍の兵士達が、大挙して押し寄せてくるような感じ。


NAER MATARON - Praetorians ★★★ (2009-01-24 11:18:00)

2008年発表の5th。

このバンド、関連・参加ミュージシャンが凄いですよね。
籍をギリシャに置くバンドで、一時SEPTIC FLESHやNOCTERNITYのメンバーが関わっていた上に、CODEやDHG、VED BUENS ENDE、MANESと個性的なバンドを渡り歩くノルウェーブラック界の個性派Victonikがヴォーカルを努め、更にMZ.412やVARGR、ソロ名義等でノイズ/ダークアンビエント/ハーシュブラックなど前衛的な音楽を制作するNordvargr氏もメンバー。
でも音楽性はこの面子からは想像出来ないくらいメタルとして真っ当で、クオリティも高いブラック。

路線は、邪悪さや寒々しさよりも、不穏さを感じさせるリフが特徴のウォーブラックで、ガンベルトで武装したメンバーの様相から想像できそうな音。オープニングに続く二曲目がGEHENNAの「WW」を思わせる、モノクロな戦場の暗さを感じさせるものだったのでこのバンドもその系統かと思いましたが…聴き進むうちに北欧メロブラ風のメロウなトレモロリフもかなりの頻度で登場し、普通のメロブラよりもよっぽどメロディックな作風に。
後半の一部では軍歌っぽいようなメロ使いも。音質は非常にクリアで、ドラムが少し軽めですが、この音が戦場を飛び交う銃弾のようで雰囲気出てると思います。

そしてその中でも存在感を放つのがVictonikのヴォーカル。AttilaともAriochとも違うタイプの呻き声で、今にも咳き込みそうな発声の仕方なのに安定しててかなり独特かつ奇妙。グロウルも妙な生々しさがあっていい感じに気持ち悪いです(笑)。
Kaiadasのバッキングヴォーカルも、Victonikの影となって咆えたり、一緒にアジったりで彼のパフォーマンスを好サポート。

しっかり聴かせる展開もあるし、テクニカルな面もあるしでエクストリームメタルとして十分な完成度なんですが、このバンドは疾走部分にプリミティブに通じるミニマルな陶酔感を狙っていると思われるパートもあるし、ヴォーカルは不気味な呻き声だしでブラック特有の価値観も同時に追求しているのが良いですね。ブラックを聴かない人からすると、KOKの近作やMAYHEMの3rdと比べて少しニッチさを感じるかもしれませんが、私はそこが好きです。

個人的にはかなりの掘り出し物。メンバー見て買ってしまったけど大正解でした。


SKEPTICISM - Alloy ★★ (2009-01-23 21:17:00)

2008年発表の4th。
極度にスローなリズムに引き摺るリフの、葬式ドゥームそのものという感じの音ですが、
最大の特徴は全編にフィーチャーされたオルガン。オルガンが音像全体に占める割合は
ギターと同じくらいあるのでは…というくらい前に出されていて、それが個性になってると思います。
激重ドゥームとオルガンの音色が共に持っている特徴として、「人に畏怖の感情をもたらす」
というのがあると思うんですが、正にそこに絞ったような使い方をしてますね。
もちろん「音を神々しくする」「メロディアスにする」部分もあるんですが、やっぱり
「畏怖」の感情に訴えてくる所が一番大きいと思う。こういう音像からは、例えば
暗闇の中死に向かって階段を一歩一歩上るであるとか、生命誕生以前の海であるとか
様々なシーンが思い浮かぶんですが、どれも根源的な畏怖を感じるような情景。
…ここまで音像がイマジネーションを刺激する、個性的なものだと曲自体は似たようなものに
なってしまいそうですが…刻みリフとドラム、オルガンの圧力で殺しにかかるような
「March October」、分かりやすいメロのオルガンリフが聴ける「Antimony」、キーの
音色を変え、ギターと相まってリスナーの眼前に音の絶壁を作り出す「Pendulum」など
曲ごとの個性も十分にある辺り流石ベテランという感じ。言うまでもなく、デスヴォイスの
深みや引き摺るリフの重さなど、基本的なクオリティも非常に高いです。
ネットでも紙媒体でもその筋の人が挙って絶賛してたので期待してましたが、期待通りの作品。
MOURNFL CONGREGATIONも新譜を出したし、WORSHIPも来日したらしいし、最近何気に
このジャンルって活気があるような…音自体は活気とは無縁な暗さですが(笑)。


MOURNFUL CONGREGATION - The June Frost ★★ (2009-01-22 22:02:00)

2009年発表の3rd。
前作とは対照的な、真っ白なジャケがなんか意外な感じ…。
「フューネラル/モーンフルドゥーム屈指の名盤」として讃えられている前作ですが、
個人的には曲自体は素晴らしいと思ったものの、引きずる重低音ギターの音の小ささや
それと比べてアコギが大きすぎな音のバランスなどがいまいち好きになれなかったんですが…
今作はその欠点を見事にクリアした、実に重厚な音像になってますね。
「The Slow March to the Burial」のズンズン刻むパートなどはこの音あってのものだと
思うし、全体的に世界観に引き込んでいくパワーも上がっていると思うしで嬉しい限り。
曲数こそ前作の倍なものの、「ドゥームは心臓の鼓動が遅い者達の為の物だ」という
ステイトメント通りのスローなリズムの中、悲哀に満ちたメロディを丁寧に紡いでドラマ性を
演出する基本的な路線は変わらず。
このバンドは他の葬式ドゥームと比べると、メロディの傾向が鬱、絶望よりも「哀しみ」の
度合いが強いように思います。帯には「フューネラル」ではなく、「モーンフル」ドゥームと
ありますが、確かに葬式のような儀式的な感じよりは、自然の情景が浮かぶ感じですね。
嘆きの集団(=Mournful Congregation)が、夕暮れの海にゆっくり帰っていくような…。
「Suicide Choir」のクワイアが入るパートなんて、自分の個が消えてなにか大きな存在へ
回帰していくような雰囲気だし。ああ、これで楽に…な…れ……る………。
曲展開は遅いもののドラマティックだし、全編にメロウなギターソロをフィーチャーした
「The June Frost」みたいな曲もあるし、葬式系の中ではドゥーム好き以外のメタラーにも
アピールできそうな音だと思います。値段も1500円と良心的ですし、まだこの手の音楽を
聴いた事のないメタラーも試してみてはどうでしょう。


SEPTICFLESH (SEPTIC FLESH) - ΕΣΟΠΤΡΟΝ (esoptron) ★★ (2009-01-21 21:11:00)

95年発表の2nd。
何気に日本盤もリリースされてます。

最新作「Communion」の大仰なシンフォデス路線が余りにも素晴らしくて、ここの年間ベストアルバムにも選んでしまった程だったので、この作品も遡って聴いてみたんですが…この頃は全然違う作風ですね。スロー~ミドルを中心とした、幽玄なムード漂うゴシック/ドゥーム/デスという感じの路線。ノーマル声もあるものの、ほぼ全編デスヴォイスです。

大仰なシンフォ要素こそないものの、最新作でも聴けた、焼け付くような神秘性を感じさせるギターの音色による、底知れない謎めいた雰囲気のメロディが全編通して聴かれ、強靭なエクストリームメタルとして素晴らしかった最新作とは対称的に、繊細なアトモスフェリックとしての名盤と言える出来。ライナーでは彼らの音楽性を表すのに「ドリーミー・デスメタル」という聴きなれない言葉が使われてますが、正にその通りの作風。

ライナーの枕にはプログレが引き合いに出されてますが、こういう繊細で緻密な音作りで幽玄な世界観を構築していく作風は、エクストリームメタルファンよりもプログレ好きに受けるかもしれません。…それにしても、過去も今もこんなに素晴らしい音楽を演っているし日本盤も出ているというのに、このサイトでは現時点で発言しているのが今の所私だけとは…ほんと、もっと知られるべきですよ…未聴の人はさっさと聴いちゃって下さい(笑)。

この作品のレビューで書くのもなんですが、入手しやすいし取っ付きやすい最新作がお勧め。


B'Z - B’z The Best “Treasure” - Pleasure’98 〜人生の快楽〜 ★★★ (2009-01-20 21:58:21)

人間の絆について歌った歌詞と、そんなテーマの歌詞が乗っても弱くならないメロディが素晴らしい曲。Brotherhoodと並んで、B'zの裏代表曲だと思っている人も多いのでは。
…私はこの曲を初めて聴いた時は小学生だったので、「♪血よりも濃いものを作る事があるね」という詩を聴いて、「血よりも濃いものってなんだろう…膿?なんか恐い歌だなぁ…」と思ってました(笑)。


DEATHSPELL OMEGA - Veritas Diaboli Manet in Aeternum: Chaining the Katechon ★★ (2009-01-20 21:45:00)

2008年発表のEP。22分の大作を一曲のみ収録。
元はS.V.E.S.T.とのスプリット(アナログ盤)でしたが、CD盤は別々にリリースした模様。
CDショップに行ったらこっちしか売ってなかったので、取りあえずこれだけ買ってきました。
DEATHSPELL OMEGAの最大の特徴といえば、禍々しさや邪悪さ、血腥さだけではなく
神秘性や知性までもを感じさせる、カオティックでプログレッシブなリフだと思うんですが、
今作はそのリフを中心に、長時間を緩急付けてドラマティックに聴かせる作風で、
「Kenose」リリース後「Fas~」が出るまでの間、「Crushing the Holy Trinty」や
「From the Entrail to the Dirt」等のV.A.に提供していたのと似た路線ですね。
個人的にDSOの今までのリリースではこの路線が一番好きだったので、かなり満足。
V.A.の時と比べるとドラムの音が少し大きめになり、ブルータリティをよりよく伝えつつも
「Fas~」の時ほど展開も音質も極端になっておらず、丁度いい按配に。
…特に「Kenose」以降の彼らの作品って、禍々しく不穏な中にどこか芸術性をも感じさせる
ものがあると思うんですが、彼らの場合「お芸術」みたいなスノッブさが全くなくて、
グロテスクさを追求した結果、神秘性や芸術性にまで到達したような雰囲気なのが凄いです。
例えば、敢えてロックのリズムを取り入れたSATYRICONやSAMAEL、リフとリズムを複雑に
組み合わせたAVERSE SEFIRAなど、様々な手法でブラックメタルをスピリチュアルな領域に
押し上げようとしているバンドがいますが、DSOはブラックの根幹である「リフ」を
突き詰める事でそれを成そうとしているのが頼もしいですよね。それらのバンドと比較しても
(個人的な好みは別としても)彼らは一段上のステージにいると思いますし。
一曲のみでEPと同じくらいの値段ですが、彼らの音源を聴くなら絶対に聴いて欲しい作品。
特にブラックの中でも生え抜きの不穏さを誇るリフは、全てのメタラーに聴いて欲しいとすら思う。


DROWNING THE LIGHT - Through the Noose of Existance - Echoes of My Demise ★★★ (2009-01-20 19:28:48)

メロディはヴォーカルを鎮めようとしているような部分もありますが、当のヴォーカル本人はそれさえも危害に感じているようなささくれ立った雰囲気。っていうかヴォーカル、「嫌だぁ…」って言ってません(笑)?


DROWNING THE LIGHT - Through the Noose of Existance - Through the Noose of Existance ★★★ (2009-01-20 19:27:46)

この曲聴いてたら、裏ジャケが三途の河に思えてきた…


DROWNING THE LIGHT - Through the Noose of Existance ★★ (2009-01-20 19:26:00)

2007年発表の3rd。
ジャケ、バンドロゴ、使用フォントからしてアングラブラック丸出しですね(笑)。ブックレットに歌詞を載せず、代わりにステイトメントを載せてるのもこの手にありがち(笑)。

路線的には、演奏時間の大半をスローパートに割くリズムに、トレモロリフやキーボードによる哀メロを乗せた演奏を、ギターノイズが淡く覆う、鬱ブラックそのものという作風ですが…発狂系のヴォーカルが多いこの手のバンドの中でも、頭一つ抜けて感情の篭もったヴォーカルが最大の特徴。この人、レコーディング時に水子の霊にでも憑依されてたんじゃないでしょうか(笑)。

絶叫自体も凄まじいんですが、叫ぶたびにいちいち語尾が泣き声になってて、聴いてて段々可哀想な気分になってくるんですが…よく心霊番組とかで、霊に取り憑かれて泣き叫ぶ人がいますが、ああいう声とブラックの絶叫を混ぜた感じ。膜が掛かったようなエフェクトもかかってるんですが、何故かそれが更に感情の生々しさを際立ててるんですよね…。

このバンド、意外とメロディに優しさがあって、特に2曲目なんかは、私はベートーベンの「第9」を思い出してしまったんですが…このヴォーカルと相まって、死後頭上に天国が見えているのに地獄に引きずり込まれていく人…みたいな情景を連想しました。人は希望がある方が絶望もより大きくなるといいますが、このバンドはそういう世界観を描いてると思います。

ただ、アルバム5曲中2曲インスト、1曲は音量が小さい上に短く、鬱ブラックとして素晴らしいのは2曲なので物足りなさを感じる人は感じるかも。もっとも、その2曲は両方とも10分を超える大曲だし、鬱度の高さもあって個人的にはお腹いっぱい。

I SHALT BECOME辺りに似た路線ながら、精神に与えるダメージはこちらの方が上。ヴォーカルに感情移入しすぎると本気で気分悪くなりそうです(笑)。流石、ARKHA SVAを初めSATANIC WARMASTER、MUTIILATION等カルトな連中とスプリット出してるだけの事はありますね。しかし、アルバムタイトルの「Existance」は誤植でしょうか…。


DEMETORI - Crowzfest - Adrenaline Shooting ★★★ (2009-01-20 19:21:39)

演奏時間は4分弱、最初の30秒はSEという割と短い曲ながら、へヴィネスとアンサンブルの巧みさで聴き手を引き込んでいく曲。圧倒的なもの、凄みを見せつけるという意味では文句無くこのコンピレーションでも一番かと。カヴァー曲のようなインパクトのある主題なしで、アンサンブルでここまで引き込んでいく実力があるのは凄い。