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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 3601-3700

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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 3601-3700

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DEMETORI - 闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati - 妖怪の山 ~ Mysterious Mountain ★★★ (2009-01-20 19:20:36)

メロディは全然妖怪とか出てきそうにないですね(笑)。むしろサビなんかは、ヒーローが怪人をバッタバッタと薙ぎ倒しているような勇壮さがある。リフもリズムも高揚感を煽る感じで、聴いていると闘志が沸いてくるかのような曲調。


DEMETORI - 闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati - オリエンタルダークフライト ★★★ (2009-01-20 19:19:47)

メタリックさをメカニカルさに向けたような曲調で、メロディ志向のアーティストの多いこの手のバンドでは珍しいと思う曲調。生演奏を売りにしているバンドですが、アルバム中ではこの曲が一番アンサンブルがかっこいいと思います。


DEMETORI - 闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati - 亡き王女の為のセプテット ~ Ascending Into Naught ★★★ (2009-01-20 19:18:57)

ギターでのメロディのなぞり方やキーボードの音色の選び方など、凄くメロディの持つ情感を大切にしているのが伝わってくるアレンジ。メロの繊細さとメタルのかっこよさを上手く両立させてると思う。演奏時間は7分を超え、この手では長めですが、ドラマティックなアレンジで聴かせてくれます。特にラストの盛り上がりは素晴らしい。


HORNA - Sanojesi Aarelle ★★ (2009-01-19 18:16:00)

2008年発表の7th。
ゲーマーには懐かしく思える(笑)黒ディスク仕様での二枚組みとなるアルバム。

「Disk1」

この作品も思いっきり「プリミティブブラックメタル」直球な音ではあるんですが、ファストパートでは豪速ブラストを炸裂させ、ミディアムパートではノリのいいリズムも聴かせる緩急の付いた展開、トレモロ一辺倒ではない、割と変化のあるリフ捌きなど「プリブラ=演奏が微妙」というイメージを覆すようなかっこよさのあるプリブラ。

メロディは他のフィンランド産プリブラと比較すると、哀愁より不穏さが強いように思います。何故か粗くも硬質だった「Evaatanags~」と比べると、音質は薄くてノイジーになり、より「プリブラらしい音」に近付いてはいるんですが…個人的にはこういうかっこいい作風ならもっと良い音で聴きたかったですね…。演奏のかっこよさとプリミティブ特有の陶酔感の二兎を追って微妙になってる気がするので…「Evaatanags~」くらいならベストなんですが…。

ただ、更に狂気を増した感のあるヴォーカルの凄まじさは本気でヤバいです。生まれたての悪魔が世界を呪う産声を上げている様な、ねちっこさある高音絶叫で叫びまくり。これ、MUTIILATIONの1st以上かもしれません。ただ狂気的なだけじゃなく、危なさ、凄み、そしてかっこよさまでどれを取っても申し分の無い、素晴らしいパフォーマンスです。

「Disk2」

一枚目はいつもの彼らという感じでしたが、こっちは4曲40分弱の大作主義。何故か音質も一枚目と異なり、やや硬質で重さがある音で、音量も少し大きめ。作風はやっぱり地下臭漂うプリブラなんですが…こっちはメロディにJANVSやLANTLOS、KRALLICE辺りのシューゲイズ寄りブラックの持つ美しさが、ほんの一滴だけ混じっている様な感じがします。
それが音質の粗さ、大作主義な作風と相まって、一枚目より陶酔感の強い音に。敢えて比べるなら、狙いの絞れていると思えるこっちの方が好みですね。

二枚とも作風が違い、HORNAの異なる表情が楽しめるアルバム。…まあ、似たような作風でプリブラ二枚組みだとそれはそれで拷問な気もしますが(笑)。


JOYLESS - Wisdom & Arrogance - Stand (2009-01-18 07:26:59)

この曲のシャウト、聴くたびに笑っちゃうんですが…。
これ、外人の子供が親に何かねだってる時の声ですよ(笑)。


JOYLESS - Wisdom & Arrogance - Room of Velvet Splendour (2009-01-18 07:25:59)

シューゲイザー寄りブラックにも通じる淡いノイジーさや、トレモロ奏法によるメロディなどブラック的な要素が隠し味として盛り込まれている曲。でも基本的な路線そのものが苦手なので、面白いけど個人的には微妙ですね…。


JOYLESS - Wisdom & Arrogance (2009-01-18 07:24:00)

2000年発表の2nd。

FORGOTTEN WOODSのベストに入ってた音源を聴く限りでは、1stではFxWxとそう大差ないブラックメタルを演っていた彼等ですが…これまた凄い方向に舵を切ってきましたね(笑)。

ブラック要素は隠し味的に感じられるか感じられないかくらいでほぼないと言ってもいい、ゴシックに近い女性ヴォーカルをフィーチャーした物憂げなロックで、ポストブラック勢の中では最もポップな音になってると思います。
しかもこの女性ヴォーカル、別に媚びた歌い方をしている訳ではないですが、声質がちょっと子供っぽい(笑)。はすっぱに歌ったり、シャウトしたり割と色々な歌い方をしてますが、声が可愛らしいのでNUIT NOIREとはまた違った脱力感があると思う。

聴いてて笑いが込み上げてくる所が結構あります(笑)。特に前半は、この女性ヴォーカルと根底に流れるFORGOTTEN WOODS譲りと思われるサイケ感覚が行き違う違和感がなかなか癖になります。ただ後半は、うちらの親世代の洋楽ファンが好みそうなレトロな音になってしまい、個人的にはちょっと…こういう70年代の洋楽ロックみたいな音って生理的に苦手で…。

…という訳で個人的な好みでは微妙な評価になってしまいますが、変り種ブラックとしてもかなり独自路線を行ってると思います。何よりもこういう音楽性のアルバムが、No Coloursからリリースされているというのが一番の驚き。


AVERSE SEFIRA - Tetragrammatical Astygmata - Transitive Annihilation ★★★ (2009-01-17 18:36:59)

悪意が渦巻いているようなメロディの醸し出す無慈悲な雰囲気も然る事ながら、メロディの盛り上がりに合わせて鬼ブラストかましたり、ブラスト基調をしつつリフの動きに合わせて変化付けたり、ドラムの巧者振りが光る曲。このバンドのドラマーはもっと評価されても良いのでは…。


AVERSE SEFIRA - Tetragrammatical Astygmata - Cremation of Ideologies ★★★ (2009-01-17 18:35:30)

リフがややメロディアスになると同時にグラインドレベルの鬼ブラスト、少し溜めてからまた同様に鬼ブラストの繰り返しが強烈な曲。余りの凄まじい音に意味もなく謝りたくなります(笑)。ヴォーカルもどうかしてる。


AVERSE SEFIRA - Tetragrammatical Astygmata ★★★ (2009-01-17 18:33:00)

2005年発表の3rd。

個人的に、このバンドの真の凄みはこのアルバムから発揮されてるんじゃないかと思います。次作「Advent Parallax」で見せた、一つのリフで引っ張る事をよしとせず、幾つものリフを折りあわせ、リズムもそれに合わせて複雑に変えていくことで展開を付けていくスタイルはこの作品で確立されてますね。こうした作風のせいなのか、普通のファストブラックよりも神秘性や禍々しさなど、スピリチュアルな部分により迫っている音だと思います。北欧勢と比べるとややリフが無愛想で、しかも展開が複雑なため多少取っ付きにくいのも次作と同様(笑)。

しかし、アーティスティックな狂気がより高まった感のある次作よりも、この作品の方がより直接的な暴力性は上。特にドラム、時折入れてくるブラストの速さが常軌を逸してます。このバンド、デスメタルの影響も受けてるらしいですが、このアルバムが最もそれが分かりますね。ヴォーカルも狂気を「表現している」感じのする次作よりも形振り構わぬブチキレ振りで、今までの4枚の中ではベストだと思う。精神に訴えてくるのは次作なんですが、肉体的なブルータリティを求めるならこちらがお勧め。

彼らの音源を初めて聴くにも良いアルバムなんじゃないかと思います。入り組んだ展開の取っ付き辛さをブルータリティがある程度解消しているため、割と入りやすいんじゃないかと。特にファストブラック好きなら必聴です。新作も素晴らしいんだけど、ドラムの音質とヴォーカルの歌い方はこんな感じだったらもっと良かったのになぁ…。


UI-70 - If - 神々が恋した幻想郷 ★★★ (2009-01-17 18:31:49)

オープニング明け2曲目から待ってましたのクサ疾走!
実力あるメタルアーティストが、このメロディ使って疾走曲作ったら悪いものができるはずありません…が、キーボードの音色の選び方などのセンスが良くて、期待を上回る出来なのが素晴らしい。これ、激しい音楽が嫌いじゃなければ誰もがかっこよさを認めざるを得ないレベルでは…。


UI-70 - If - フォールオブフォール ~ 秋めく滝 ★★★ (2009-01-17 18:30:39)

ああ、修学旅行で友達とトランプしながら新幹線に乗ってたときの、妙に高揚した気分が蘇ってくる…(笑)。2曲目がメロディの持つ「旅情」をメタルサウンドと融合させた音なら、こっちはそれを最大限に活かすようなアレンジ。このメロディ、色んなバンドがアレンジしてますが、SYNC.ART'Sかこれのどっちかが個人的にはベストですね。


UI-70 - If - 春色小径 ~ Colorful Path ★★★ (2009-01-17 18:29:47)

ほんとに遠足とかで春の公園を散歩している気分になるような穏やかな雰囲気のアレンジ。…音はメタリックではないですが、ここまで雰囲気で聴かせられる実力があるならアトモスフェリック・メタルにも手を出せば良いのに。今の所あんまり競争相手いなさそうだし(笑)。


UI-70 - If - 星の器 ~ Casket of Star ★★★ (2009-01-17 18:28:51)

テクノアレンジですが、これはかなり好き。
どこかチャイルディッシュで夢見がちな雰囲気があって、子供の頃両親に連れられてサンリオ関連のお店とか見に行った頃の気持ちを思い出すような、聴いていて童心に返れる音。一瞬だけフルートによるクッサいメロが切り込んでくるのもたまりません。3曲目のサビ前のメロとそっくりで使いまわし感はありますが、まあ気にならない程度。


UI-70 - If ★★ (2009-01-17 18:27:00)

08年末発表の上海アリス幻樂団(=東方)のインスト・メタル中心カヴァーアルバム。
上の一行はIRON ATTACK!の自分のレビューのコピペの一部改変です(笑)。
今期の上海アリスのメタルカヴァーは、客観的に見てもこの手でも指折りのクオリティを
誇ると思えるIRON ATTACK!を初め、DEMETORI、CROW'SCLAW、鼓太蝋、PIZUYA'S CELL×
MYONMYONなど強力な作品が多かったんですが、その中でも一枚選ぶとしたらこれですね。
相変わらずフレーズに妥協はなく、繊細で聴き心地の良い歪ませ方のリフの音色や、キーを
フィーチャーしつつリードギターによるクサメロと共に疾走するストレートな曲の多い作風など、
この作品が一番「ゲーム音楽としてのエンターテイメント性」を強く感じられて、そこが
個人的な好みにハマった感じです。
また、今作はメタル以外にもテクノやフュージョン寄りのロックアレンジなども聴けますが、
それらも聴いていて情景が浮かぶような音でメタル曲以上に素晴らしい。
流石にテクノやフュージョンのアルバムもリリースしているだけの事はあります。
それらがあるお陰で、アルバムの流れもスムースになっているように思います。
しかし、今回はこのジャンルは本当に豊作ですね…。
確かにIRON ATTACK!やCROW'SCLAW辺りのガチガチなメタルと比べるとインパクトは
少ないかもしれませんが、これも素晴らしいですよ。


FLESHPRESS ★★ (2009-01-17 01:06:00)

フィンランドのスラッジ/ドゥームメタルバンド。
DEATHSPELL OMEGA等で活躍するMikko社長がドラムを叩いてます。
…彼、アングラなジャンルは一通り網羅しないと気が済まない性質のようですね(笑)。


FLESHPRESS - Pillars ★★★ (2009-01-17 01:05:00)

2007年発表の4th。
彼らの音源は大体そうみたいですが、保存を考えていないような仕様ですね…(笑)。この収納ケース、普通にCDに傷が付きそう…。

音楽性はブラック要素も含むスラッジ/ドゥームで、このバンドではドラム担当のMikkoはGRUNTなどでノイズ界隈でも成功してるし、音響的な要素の大きいこの路線でも期待できるんじゃないかと思って買いましたが、予想通りこれは良いですね。かなり重低音効いてます。葬式ドゥームから鬱や悲しみといった感情を抜きさり、代わりに狂気や苦痛をたっぷりと注入した、生贄の儀式でも行われてるような音。

途中意外なほどノリの良いリズムも導入してますが、儀式による熱狂が増してきたような雰囲気で、殺伐としたシリアスさは全編通じて変わらず。特に4曲目、儀式によってもたらされる宗教的恍惚感すら覚えるような、後半の展開が実に素晴らしい。ヴォーカルはMikkoではなく、Teemuという人物が演ってますが、彼の泣き叫んだり笑い出したりする狂気的なパフォーマンスも、ヤバい雰囲気を醸し出すのに一役買ってますね。

また、このバンドのメインのソングライターがMikkoかどうかは分かりませんが、2曲目や6曲目ではGRUNTに通じるノイズ/ダークアンビエント、5曲目ではCLANDESTINE BLAZEを思わせるトレモロ疾走など、Mikkoの別バンドを思わせる展開も結構ありますね。ただ、2曲目や6曲目は殺意を感じる轟音というわけではないし、5曲目の疾走パートもドゥームの引きずり感が伴ってるし、しっかりこのバンドの音にチューンアップされてる感じです。

…スラッジって余り詳しくないんですが、これはMikko社長の関わったプロジェクトの中でも特に素晴らしいものだと思います。アンダーグラウンドなものを、アングラ性を損なうことなく、かつそのジャンルの魅力を凝縮して伝えることにおいては、彼の右に出る者はいないかもしれません。


AZAGHAL - Helvetin Yhdeksan Puria - Kuningas Ruton Hossiva ★★ (2009-01-15 19:52:23)

ホラー系RPGの地下迷宮のBGMに使われそうな、暗めのメロディが美しい曲。やけにそっけなく終わりますが、それもまた味でしょうか。


AZAGHAL - Helvetin Yhdeksan Puria - Kohti Unden Aikakauden Alkua ★★★ (2009-01-15 19:51:36)

どうしてもDISSECTIONの影がちらつく曲。
パートによってはかなりそっくり(笑)。しかし、この頃からメロディセンスは素晴らしいものがあります。


AZAGHAL - Helvetin Yhdeksan Puria ★★ (2009-01-15 19:50:00)

99年発表の1st。

最新作「Omega」ではかなり年季の入った、筋金入りの邪悪なブラックを聴かせ、最早フィンランド産アングラブラックの中でも有数のバンドとなった感のある彼らですがこの時点ではDISSECTIONをチープにしたような、垢抜けなさの残るブラックメタルを演ってますね。

きちんと展開は練りながら、2~3分の曲が多く、もうひと展開欲しい所で終わったり、音質がクリアながらかなり薄かったり、確かに安っぽさはあるんですが、メロウなトレモロリフを高音で掻き鳴らしたり、やけくそに疾走したりヴォーカルパートに魔王のようなグロウルを重ねたり、DISSECTIONよりも形振り構わない雰囲気があって、それが独特の味に繋がっているように思います。特に、トレモロリフの高音を強調した音にはどこか繊細さもあり、メロデイセンスの高さと相まって作品をより魅力的なものにしていると思います。

DISSECTIONをプリミティブよりにした音は、意外とブラック好きには敷居の高くない音じゃないかと思います。洗練されていない感じはありますが、この頃からミニマリズムに頼らない、ドラマ性と邪悪さを両立させる方向性が感じられます。


AZAGHAL - Omega - Quetzalcoatl ★★★ (2009-01-15 19:47:51)

キーボードのメロディはまるで「密教のBGM」ですが、バンドの音自体は結構メタリックでかっこいい。でもそれが雰囲気を損なうことなく、却って邪悪さを増している結果になっているのが凄い。後半、涅槃に達したような雰囲気の後の疾走も極悪。


AZAGHAL - Omega - Taman Maailman Prinssi ★★★ (2009-01-15 19:47:05)

捻れたメロディの毒々しさ、ノイジーな音質による陶酔感、アンサンブル自体の持つ暴力性が見事に合わさった名曲。1曲目にして評判通り・期待通りの音に大満足です。


AZAGHAL - Omega ★★★ (2009-01-15 19:45:00)

2008年発表の7th。
このバンドももうかなり作品数を重ねてきているし、バンドの中心人物であるNarqathは数多くのブラックメタルバンドを掛け持ちしている事で知られているらしいですが、確かにこれは風格すら漂う音ですね…。

アトモスフェアやミニマリズムではなく、メタルの強固なアンサンブルでブラックの邪悪さを描いていく、WATAIN辺りと似たスタイルですが、AZAGHALの方がノイジーで勢いのある音で、よりアングラ感の強い音。ブラックの邪悪さを求めた結果としてメタルとしてのかっこよさが付いてきている雰囲気は、メジャーなバンドとは一線を画すものがあると思います。

出音的には紛れもなく「真性ブラック」そのものという感じなんですが、ギターソロやノーマル声、キーボードなどその手のバンドが割と避けがちな手法も積極的に取り入れつつ、ドス黒い雰囲気作りは一貫している所がこの作品の特徴でしょうか。そのせいか、どの曲も結構フックがあって、聴いてて飽きませんね。音の黒さのインパクトの割にはメロウなリフ捌きも聴け、トゥルーブラック好きにもメロブラ好きにも高く評価されそう。

WATAIN、ONDSKAPT、OFERMODなど最近この手の邪悪なブラックが豊作で嬉しい限り。WATAINの3rdを聴いた時、結構衝撃を受けた(だから事色々なレビューで引き合いに出してしまう・笑)んですが、こっちを先に聴いてたら同じくらい衝撃を受けてたかもしれません。音は厚くクリアなものの、ノイジーなため外で聴くには不向きな感じがするので、少し取っ付き辛さを感じるかもしれませんが、前述のバンドが好きならばこの作品もお勧めです。


CROW'SCLAW - Brutal Games For Reminding Of Death ★★ (2009-01-15 19:38:00)

上海アリス幻樂団のインストメタルカヴァー第三弾。08年末に発表。
…三部作のラストらしいですが、三部作なんて言ってましたっけ(笑)?
内容としては先にScarlet Destinyさんの述べている通り、前作よりもテンポを落とし
よりヘヴィに、劇的にした感じなんですが…これはやりすぎなんじゃないでしょうか(笑)。
特に音質、ギターの音が極悪さを増し、音圧は普通にエクストリームメタル並みなんですが…
まるで最初からコアなメタラーをターゲットにしたような音。ジャケは相変わらず原作の
キャラクターと思しき人物が少年漫画っぽいタッチで描かれたものですが、こんな音なら
不動明王とか風神・雷神、阿吽像辺りの方がぴったりという気がします(笑)。
アレンジの方も更にメタラー向けになった感がありますね。
…ゲーム音楽って、元々ゲームというエンターテイメントの為に作られているからか、
聞きやすさやキャッチーさなど、エンターテイメント性の高い物が多いように思いますが…
そんなのガン無視で、リフもオブリも当り前の様に不穏なフレーズを入れてきてます。
テーマは「内なる狂気」との事ですが、確かにここまで狂気的なアレンジはこのジャンルでは
あまり見かけないですね。前作と比べると、メロのクサさを生かした疾走が減り、
キャッチーさが減退した感がありますが、音そのものにインパクトがあって求心力は
下がっていないように思います。
しかしこれ、普段メタルを聴かない人が聴いたらどう思うか心配になるくらい、コアな方向に
行ってると思いますが…ネット上のレビュー等を読む限り、かなり評価は高いみたいですね。
一般層に向けて聴きやすくしたりせず、敢えてコアな部分を叩きつけることでメタルの
かっこよさを伝えようとする姿勢といい、実際に結果も出してる事といい素晴らしいと思います。


IRON ATTACK! - THUNDER CONCERT - UNKNOWN DIE UNKNOWN ★★★ (2009-01-14 20:51:55)

ありそうでなかった、この絶品メロディを泣きのギターでなぞるアレンジ。一番の聴かせ所となるメロディが出てくるパートで盛り上がり、その他は敢えて控え目にしたアレンジも起伏があってかっこいい。ただ、この曲だけ音が少し小さいのはかなりのマイナス。次の曲に行った時、音がでかすぎてイラっと来るんですよね…。


IRON ATTACK! - THUNDER CONCERT ★★ (2009-01-14 20:46:00)

08年末発表の上海アリス幻樂団(=東方)のインスト・メタルカヴァーアルバム。
前作(「Dead Heat Refrain」)は未聴なんですが、レベルアップしまくってて
「Evil Mountain」の頃とは根本から違うバンドの音みたいになってるんですが…(笑)
KISSING THE MIRRORとのスプの頃からその傾向はありましたが、今作では主旋律に泣きの
ギターを用いる手法を全面的に解禁。それに伴ってか、リフもオブリも以前よりも
弾きまくり。もうめくるめくようなギタープレイを堪能出来るアルバムに仕上がってます。
更に、チェンバロ風の音でメロディの扇情度を上げたり、イントロや間奏にソロパートを
設けて曲の展開を劇的にしたり、単にメロディをなぞるだけではないセンスの光る、
キーボードの使い方もレベルが底上げされているように思います。音質面でも煮え切らなさを
感じてしまった「Evil Mountain」とは異なり、今回は非常にダイナミックで音量も適正。
少々荒っぽさも感じますが、メタルのかっこよさを伝えるにはこれ位が丁度いいかと。
3曲目ではベースが重低音で暗黒世界を演出し、そこに慟哭ギターをフィーチャーした
面白いアレンジなども聴け、様式美一枚岩ではないアレンジセンスも素晴らしいです。
…ネットでIRON ATTACK!の評判を見ていたら、「彼らは売名でこのジャンルを演ってる」
みたいな意見があって意外に思ってた…っていうか「けっ」って思ってたんですが(笑)、
これ聴いてちょっと納得してしまいました。ウリの泣きのギターを前面に押し出したら
こんなに素晴らしい作品が作れるというのに、わざわざシンセでそれを代用してたら
手を抜いたと思われてもしかたないのかも。私的にはあれはあれでまあ良かったですけど。
でも、ドイツの雑誌に載るならこの音を作り上げてからの方が良かったのでは…。
「このジャンルを聴くならまずはこのアルバムを聴け」みたいな特集を、ゲーム音楽のメタル
アレンジというジャンルでやるなら、まずはこのアルバムを入れたい…それ程クオリティの
高い作品。まあ、経緯を伏せて聴かせたらゲーム音楽のアレンジとは気が付かないくらい
ガチガチのメタルになってしまってますが(笑)。ちなみに、このアルバムは有名なメタル
バンドへのオマージュがかなり入ってるらしいですが…ごめんなさい、一つも分からない(笑)。
メタラー失格?(笑)


STAR OF ASH - The Thread ★★ (2009-01-12 20:49:00)

2008年発表の2nd。
Ihriel(今作からはStarofashを名乗ってる模様)がサングラス掛けてる、どこか垢抜けた
雰囲気のジャケを見て、「洗練されすぎてゴシックな雰囲気や作りこまれた世界観が
減退してしまったりして…」と危惧してましたが、全くそんなことはありませんね。
Ihrielのミステリアスなヴォーカル、深い叙情を紡ぎあげるピアノやキーボード、
実験的な音響処理など深遠な音使いによって丁寧に描写される世界観の作りこみは、
前作よりも深み、濃厚さ共に上がっているのではないでしょうか。
メタル色の薄い、ポストロック/ポストメタル的な音像は、PECCATUM「Lost in Reverie」や
ULVER「Blood Inside」辺りに通じる雰囲気がありますが、私がこの作品がそれらの作品と
決定的に異なると思うのは、奇怪ではあっても、パラノイアックな展開であったり、
悪意に満ちた雰囲気であったり、「攻撃性」に繋がるような空気感が余り感じられない事。
前作よりも雰囲気が濃厚なこともあって、聴いているとゴシック的な怪奇世界の住人の
日常生活を覗き、体験しているような気分になってきます。
Ihrielという綺麗な声、自分のヴォーカルスタイルの両方を持っているヴォーカリストの
プロジェクトにしてはインスト部分が多い作風ですが、これも世界観の描写を重視しての
ことでしょうね。こういうの聴きながら育ったら、すっごい空想好きで感受性の豊かな子供に育ちそう(笑)。
…やっぱりIhrielってIhsahnに負けないくらいの才能の持ち主だと思うし、このアルバムも
素晴らしいと思うんですが、これを聴いてPECCATUM再結成して欲しいなぁ…とか思いました。
Ihrielの幻想世界の描写能力と、Ihsahnの崇高な暗黒世界の構築力が見事に合わさって出来た
「Lost in Reverie」は個人的に神格化レベルで好きですもん。


FUNERAL MOTH - Funeral Moth ★★ (2009-01-12 08:45:00)

2008年発表の2曲入りEP。1000枚限定。
EPですが30分近くあって浸るのに十分なボリュームです。
WORSHIPやMOURNFUL CONGREGATIONを思わせる葬式ドゥームで、ヴォーカルのグロウルや
重低音の効いたギターの引き摺る音色など、このジャンルとして完璧な音。前述のバンドの
1st(「Dooom」「The Monad of Creation」)は、作風は好みなものの音質が妙に繊細なのが
少し引っかかっていたんですが、このバンドの音はかなりダイナミック。
特にギターの音、空気が震える感触まで伝わってくるかのような迫力があって、このジャンルの
中でも破壊力の高い音になっているように思います。冥府からの鈴の音を思わせる音色の
ギターメロや亡者の群れの呼び声のようなコーラス、怯えたように声を震わせる
パフォーマンスも聴かせるヴォーカルなど、暗黒世界の表現もツボを突いてます。
しかし、こういう音ってバンドの息がピッタリじゃないとこんなに迫力出ないと思うんですが…
意外とこのジャンルって、演奏する側にとっては楽しいのかも?
ピッタリ合って狙った轟音が出たら絶対気持ちよさそうだし。


TRIST (GERMANY) - INITIATION ★★ (2009-01-12 08:40:00)

2000-2003年発表のデモの2008年再発盤。500枚限定。
…なんかデジパックの紙質、かなり汚れが付きやすそうなんですけど(笑)。

バンドサウンドは用いず、SEや音響効果を駆使して抽象的な風景を描いていくアンビエントスタイルで、目を強く瞑った時に瞼の裏に見える光の明滅をそのまま音にしたかのような神秘的な音。宇宙的な感覚もありますが、DARKSPACEが大気圏外に出ることで外宇宙にアプローチした音なら、こっちは瞑想で内宇宙に降りていっている感じ。LUNAR AURORAの近作同様、どこか人間の根源的な畏怖の感情を刺激するような情景が浮かぶんですが…Aranはグラフィックデザインの会社も立ち上げているらしいし、だからこそこういう抽象的な情景を巧みに描けるのかもしれませんね。

最初、風のような音がひたすら続いた時は「これ、とんでもなくつまらないアルバムなのでは…」と危惧しましたが、聴き進めるうちに自然音がスピリチュアルな光景に移り変わっていくのを聴いて、「ああ、やっぱり流石Aranだなぁ…」と感心。前述の風の音ももう一回イヤフォンで聴いたら音響処理が面白くて良かったですし。ただ、バンドサウンドもなく、メロディもほぼ排されている作風が約80分続く音はややカルトなので、このジャンル(ブラック寄りのアンビエント)をある程度聴いていて、尚且つ好きな人にのみお勧め。音楽を聴きたいときよりも、瞑想したいときに適した音だと思いますし。

…これ、手書きナンバーが入ってますが、これってもしかしてAranの直筆なんでしょうか…。だったらかなり嬉しいんですが(笑)


ABRUPTUM ★★ (2009-01-09 18:27:00)

確かLords of Choasにも載っていたし、結構有名なバンドみたいですけど、
今まで登録されていなかった所をみるとやっぱり音楽性のせいでしょうね(笑)。
「Evil Genius」は暗黒音楽としては結構まともだったけど、後期はかなり
マニアックらしいですね…私も流石にまだ手を付けてないです。
確か今はITが抜けて、MARDUKのMorganのソロプロジェクトになってるはずですが…
マニアックな志向性の持ち主はMorganの方でしょうか。


DISMAL EUPHONY - Python Zero - Plasma Pool ★★★ (2009-01-09 18:18:53)

彼らの曲の中ではかつてないほどの攻撃性を誇る曲。
長めの曲ですが、ミディアムパートも死者が踊るような、やはり頽廃に満ちたメロディを聴かせてくれ、メリハリの付いた展開で楽しませてくれます。これでヴォーカルスタイルが前作と同じだったら、尚良かったんですけどね。


DISMAL EUPHONY - Python Zero - Critical Mass ★★★ (2009-01-09 18:17:56)

割と聴きやすい中に、メロブラ的なトレモロ疾走を取り入れた曲展開は純粋にかっこいい。もう初期と比べると、中世の絵画とSFアクション映画ほどの違いがあるような気がする…。


DISMAL EUPHONY - All Little Devils - Lunatic ★★ (2009-01-09 18:16:55)

イントロだけ聴くと、メジャー化しすぎたのかと思って身構えてしまいましたが、本編ではちゃんと彼ら流儀の頽廃を振りまいていて一安心。特にコーラスパートのメロブラを病ませたようなメロディからの展開は聴き応えあり。i'm not a boyscout, i'm a lunatic.


DISMAL EUPHONY - All Little Devils - Shine for Me, Misery ★★ (2009-01-09 18:16:08)

最初こそ地味めな曲かな…と思いましたが、ギターソロが出てきた辺りからのエピックな展開が良いですね。元々メロディのセンスの良いバンドだけに、ギターソロもなかなかに素晴らしい。そこに行くまでがちょっと長いですけど…。


DISMAL EUPHONY - All Little Devils - Victory ★★★ (2009-01-09 18:15:09)

歌メロ、キーボード、リズム共にフックのある曲。
特に歌メロはモロに好み。もし彼らの描く世界観が現実の物となったならば、子供達はみんなこんな歌を歌わされそう…。そんなキャッチーさと頽廃性を両立させた良質のメロディが聴けます。何気にドラムも良い感じ。


DISMAL EUPHONY - All Little Devils ★★ (2009-01-09 18:13:00)

99年発表の3rd。
先日、4thと二枚組み、ゴールドディスク仕様で再発されました(2000枚限定)。

甘美なメロディのキーボードと女性ヴォーカルを前面に据えたゴシック寄りのブラックという根幹こそ変わってませんが、音質や曲の展開が整ったせいか、かなり垢抜けてしまった感じがしますね。

ブラック的疾走がなくなり、取っ付きやすくノリの良いリズムやキャッチーなコーラスパートを配した曲もあり、ブラック的な絶叫以外はほとんどゴシックメタルになったと言っても過言ではないサウンドに。新ヴォーカルのNatashaの歌い方も、儚く浮遊感を演出していた前任者と比べると、挑発的な歌いまわしが目立ち、今作の作風に良くフィットしてると思います。

作風は変わったものの、ノリの良いパートでも決して明るくならず、一貫してダークなムードが保たれているのは好感が持てるし、ヴォーカルも裏返る一歩手前の壮絶さがあってかっこいいし、似通った曲が多くなりがちなジャンルの中でちゃんと差別化出来てるし相変わらずメロディセンスは抜群だしでクオリティは非常に高いです。ブラックからは離れてますが、ゴシックとしては一級品だと思うし、個人的には前作よりもこっちの方が聴きやすくて好きだったり。

ちなみにこの次の作品「Python Zero」ではスタイルはある程度維持しつつ、メロブラ的なギターリフや疾走が戻ったり、実験的な要素を盛り込んだりで更に進化し、洗練されたDISMAL EUPHONYサウンドを聴かせてくれますが…何故か男ヴォーカルが普通声やハードコア的がなりなど、余計な方向に表現を広げていて今一つに感じてしまった…。

とはいえ質は相変わらずの高さなので、今買うならば二枚組みがお勧め。


DISMAL EUPHONY - Autumn Leaves: The Rebellion of Tides - Splendid Horror (2009-01-09 18:11:51)

…こういう曲もいいんですけど、この路線で一枚聴きたいと思わせるくらいのものを出して欲しいです。これは少し物足りない。


DISMAL EUPHONY - Autumn Leaves: The Rebellion of Tides - In Rememberance of a Shroud ★★★ (2009-01-09 18:10:55)

実質最後だからか、かなり大風呂敷を広げている感じ。
ゴシックホラーの耽美さや恐怖感に、ヴァイキングメタルのスケールの大きさや勇壮さを足して、ブラックのアトモスフェリックな空気感で纏め上げたような曲。これも、もっと良い音で録ったらかなり高い評価を、広く得られそうなんですけどね…。


DISMAL EUPHONY - Autumn Leaves: The Rebellion of Tides - Carven ★★★ (2009-01-09 18:09:36)

シンフォニック・ブラック的な派手めな疾走がありつつ、アトモスフェリックな雰囲気もしっかり残したセンスの良さが光る曲。でもこういう曲は、個人的には以降の垢抜けた音質で演って欲しかったな…。


DISMAL EUPHONY - Autumn Leaves: The Rebellion of Tides - An Autumn Leaf in the Circles of Time ★★★ (2009-01-09 18:08:48)

この曲のイントロ、素晴らしいですね。
それ自体も素晴らしいんですが、沈痛な雰囲気がアルバム全体の作風の暗示になってると思う。もちろん本編の方のメロディも良いです。


DISMAL EUPHONY - Autumn Leaves: The Rebellion of Tides ★★ (2009-01-09 18:07:00)

97年発表の2nd。

このバンド、ゴシックとブラック、両方のファンから評価が高いらしく、特にブラックメタルを愛好するリスナーからはデビューEPを「ブラックメタルの基本的名盤」と讃える声が上がるほどで、私も気になっていたんですが…何故かこの2ndが中古で投げ売りされていたので購入。

スタイルとしては、美しく明確なメロディラインを描きつつ、バンドサウンドを包み込むキーボードと、儚く漂うような女性ヴォーカルをフィーチャーした、ゴシックにかなり近いタイプのメロディック/シンフォニックブラック。バンドの音はブラック的な薄めで、アンサンブルのかっこよさよりもアンビエンスを重視した、ブラックのアトモスフェリックメタルとしての側面が強調された作風は、確かに初期DIMMU BORGIRや初期SATYRICON等が残した黎明期のブラックの名盤群にも通じる物があると思います。

しかし、それらのバンドと決定的に異なるのは、森の妖精のすすり泣きのような儚い女性ヴォーカルを全編に取り入れていることでしょう。このお陰で、音のイメージが初期DIMMU BORGIR+初期THE 3RD AND THE MORTALみたいな、雰囲気のあるメタルが好きな人にはたまらないものに。ただ、ラストがテクノビートやハーシュノイズ入りのインダストリアル寄りの曲で雰囲気を壊している上に、エンディング曲(シークレットトラック)まで数分の空白があるのとで何だか竜頭・竜体・蛇尾な印象に…。まあ、そこ以外は特に文句はないんですけど。

CDラックに、ブラックに混じってTHE 3RD AND THE MORTALやTHEATER OF TRAGEDY(共に1st)辺りが並んでる人なら買って損はないかと思います。何故か中古で安い事が多いですし。


SERPENT - X God X - Slave ★★★ (2009-01-09 17:59:45)

個人的には2曲目と同じくらい好き。
とにかく間奏がクサい!!DRAGON GUARDIANとタメを張れるドラマティックさ。激しいドラムロールもあり、甘すぎない曲展開も良いですね。


SERPENT - X God X - Cannibalistic Dream ★★★ (2009-01-09 17:58:07)

これ、私がそうだったように、初めてこのバンドに触れる人にとっては衝撃以外のなにものでもないですよ…間違いなく、バンドのクラシックとなるであろうキラーチューン。サビメロはARCH ENEMYの「Bury me an Angel」を思わせますが、全体の泣き度はそれ以上。メロデス好きなら必聴!!


OPHTHALAMIA - Dominion - Great Are the Deeds of Death ★★★ (2009-01-06 19:14:16)

この曲は本当にDISSECTIONが演ってもおかしくないようなメロディですね…DISSECTIONが2ndの曲作りで、ミディアム中心の方向に行こうとして方向修正しお蔵入りになった曲といったら騙されそう。ヴォーカルもJonのスタイルに似ていながら、迫力の面でも肉薄する物があると思う。


OPHTHALAMIA ★★ (2009-01-06 19:14:00)

ノルウェー・ブラックの重要人物ITらによるバンド。
DISSECTIONのJon Nodtveidtが参加していた時期もあったとか。


OPHTHALAMIA - Dominion - Final Hour of Joy (2009-01-06 19:13:30)

ロックンロールっぽいノリノリなリズムに、ブルージーな渋い泣きメロ…うぅ、こういう雰囲気って苦手…(苦笑)。でもこういう音の中で、ブラック由来のトレモロが出てくる展開は結構インパクトあります。


OPHTHALAMIA - Dominion ★★ (2009-01-06 19:10:00)

98年発表の4th。

このバンドはDISSECTIONのメンバーが在籍していた事でも知られていますが、ミディアムテンポを中心としたゴシック寄りのメロデスに近いブラックながら、泣きメロのセンスなんかはかなりDISSECTIONを思わせるものがあると思います。

DISSECTIONはトレモロリフや疾走を巧みに用い寒々しさや血腥い邪悪さを表現してましたが、このバンドの音から伝わるのはどこかロマンティックな感覚。このバンドはITの創作した幻想文学を中心のコンセプトに据えているらしいですが、バンマスがサタニストとしての死を選ぶ程サタニズムに傾倒していたDISSECTIONとは、根本的に向いている方向が違うのかもしれません。

このバンドも後期DISSECTIONや最近のSATYRICON同様、ロック/メタル寄りのブラックっぽくないリズムをかなり取り入れてますが、前述のバンドが黒いエナジーを喚びだすためにそういった要素を取り入れていたと思われるのに対し、このバンドは純粋に音楽やコンセプトをかっこよく聴かせるために取り入れている感じ。
ブラックよりもメロデスに感性が近い音という気がします。

ABRUPTUMのような偏屈なバンドを立ち上げた人物がバンマスとはおもえないくらい、外向きなブラックメタル。やや地味めですが、DISSECTION等メロデス寄りのブラックが好きな方にお勧め。


ABRUPTUM - Evil Genius ★★ (2009-01-06 19:02:00)

95年発表の音源集。90年のデモ2本と91年のEPを収録したもの。2007年にボーナストラックを1曲追加し、Southern Lordより再発。

このバンドは数あるエクストリームメタルの中でも、最もマニアック(=普通のリスナーは付いていけない)な音楽性を持っていると専らの評判で、SILENCERやSTALLAGGH同様にネット上のレビューを検索して読んでるだけでも結構楽しめてしまったりする位なんですが…この時点ではまだまともに邪悪さや暗黒を表現している感じですね。

ドゥーム/ドローンに通じる引き摺り系ギターリフによってどす黒い音像を演出しつつ洞窟の中から響く獣の声ようなデスヴォイスによってそれを引き立てていく作風で、確かにSouthern Lordが着目したのも大いに頷ける音楽性。展開も一応付けてますが、その付け方がオルガンをギャーっと鳴り響かせたり、突然偏執的にドラムを乱打したりなどいちいち精神に来るようなものが多く、やっぱりカルトな音楽性であることには間違いありません。

葬式ドゥームのような物悲しいメロディもなく、ひたすらに病み切り、どす黒く澱んだ空気感で勝負している感じ。ただ、邪悪さや病的な雰囲気を求めるリスナーまで拒絶するようなマニアックさではなく、しっかり黒さの伝わりやすい音になってはいるので、そういうものを求める人なら聴いておいて損はないかも。

このバンドの創始者のIT氏は、人間の名前をもてないほど邪悪な存在だから「IT」を名乗ってるらしいですが…いかにもそういう感性の持ち主が作った感じの音。でも90年の時点でこういう作風って、IT氏もかなりの才能の持ち主では…彼はDISSECTIONのJonに脅迫されて音楽シーンを去ったという噂もあるみたいですが、今だったらWORSHIPやSUNN O)))辺りのドゥーム/ドローンのブームに乗って高く評価されてもおかしくないんじゃないかと思います。


VESANIA - Distractive Killusions - Hell is for Children ★★★ (2009-01-05 20:41:32)

バンドサウンドとキーボードによる音壁が、どう足掻いても超えられない城壁が眼前にそそり立っているかのような絶望感を味あわせる曲。他の曲より音圧が高い気がしたんですが、曲の持つ凄みのせいかもしれません。ブラック的な粘着性を伴うヴォーカルのパフォーマンスもアルバム中ベストだと思います。


VESANIA - Distractive Killusions - Rage of Reason ★★★ (2009-01-05 20:40:43)

この曲はシングルでしょうか。
確かに他の曲よりわずかに愛想が良い感じがします。中盤の、殺人ピエロでも出てきそうなプログレッシブなキーボードなんてデスメタルとはなかなか混ざり合わなそうな感じがしますが、この人たちは力ずくで混ぜ合わせてしまっている感じですね(笑)。流石です。


VESANIA - Distractive Killusions - The Dawnfall (Hamartia and Hybris) ★★★ (2009-01-05 20:39:09)

コーラスパートの、デス由来の轟音を背景にクラシックのオルガン曲にありそうな荘厳で知的なメロが響く箇所が印象的。難解で哲学的な思想を、諄々と説くのではなく、無理矢理力で叩き込むような雰囲気の曲。


VESANIA - Distractive Killusions - Narrenschyff ★★★ (2009-01-05 20:38:12)

いきなりリフとオーケストレーションの作り出すうねりに飲み込まれ、地獄から這い上がってきたようなヴォーカルに食い殺されるみたいな音によってお出迎え。ジャケからはちょっとゴシックがかったものを想像していたので驚きました。邪悪を称えるファンファーレのような派出なキーやヴォーカルの哄笑もかっこいいし、1曲目からかなりの衝撃。


VESANIA - Distractive Killusions ★★★ (2009-01-05 20:36:00)

2007年発表の3rd。

デジパックに貼ってあったシールによると、「BEHEMOTHのOrionとVADERのDareyをフィーチャーしたシンフォニック・ブラック」。劇場の幕をあしらったジャケなどのアートワークなどから受ける知的な印象は、所々に挿入される、知性が狂気に至ったようなシアトリカルな展開を交えた音にも反映されている感じがします。

でもこのバンド、関連メンバーの在籍してるバンドがデス系だからか、デス志向の強い音ですよね。前述したようなシアトリカルで知的な雰囲気を醸し出すだけでなく、デスの凶暴性と交じり合い更に派出さを増すオーケストレーション、刻みを多用したヘヴィなリフワークなど、王道のシンフォニックブラック好きよりもSEPTIC FLESHの最新作やHOLLENTHONなどのシンフォデスが好きな人のほうが好みそうな作風。重厚なミディアムパートの素晴らしさも然る事ながら、BEHEMOTHやVADERに通じるファストパートでの肉体勝負な爆発力も凄まじいです。

BEHEMOTH並みの突進で幕を開け、美しいピアノソロで幕を閉じる劇的な曲があったり展開の振り幅も広く、曲自体の質も非常に高いんですが、Orionの咆哮デスヴォイスもまた素晴らしいですね。「ZOS KIA CULTUS」の頃のNergal似のドスの効いた咆哮で、この手の歌い方でもかなり迫力がある方だと思う。BEHEMOTHのライブ盤ではNergal以外のメンバーの咆哮もド迫力でビビったんですが、これ聴いて納得。聴こえやすいミックスのため、最近のBEHEMOTHのスタジオ盤よりも迫力はあるかもしれません。

知性的な面と肉体勝負な面を同居させた、かなりの力作。
私はBEHEMOTHのネームヴァリューで買いましたが、これは大当たりだと思います。BEHEMMOTHブランドに偽りなし。しかし、この作品でOrionの音楽的センスの片鱗に触れましたが…BEHEMOTHってつくづく恐ろしいメンバーの集まりだな…と、これ聴いて実感しました(笑)。


MYONMYON - Chaoscillation Game - Steel Of Scarlet ★★★ (2008-12-30 22:51:13)

元のバージョンでも十二分にかっこよかったのに、更にメロディの最も美味しい部分をヴォーカルに振るアレンジを足して悪くなるわけがないです。もちろん超名曲…なんですが、メタクソ英語を早口でそれっぽくまくし立てていったり、「いや、そこはハイトーンっしょ」ってところでオク下になったりヴォーカルがちょっとB級っぽい(笑)。でもこのB級感、なぜか癖になるんですよね…(笑)


MYONMYON - Chaoscillation Game (pizuya's Cell × Myonmyon) ★★ (2008-12-30 22:44:00)

メタルアーティスト「ぴずや」と「MYONMYON」のコラボアルバム第二弾。2008年末発表。
今回はお互いのデビューアルバムから曲を持ち寄り、男性Voを入れて再録した作品。
この2アーティストが良質なメタルを演っているのは、彼らの作品を聴いた人ならば
周知の事実かと思いますが、肝心のヴォーカルの方はというと…V系に影響を受けた人が
メタルコアのクリーンVoパートを意識して歌ったかのような歌いまわしで、ビブラートが
震え声に聴こえたり少し安定感に欠ける感じがあったり、アラはあるものの、声に艶や味が
あって悪くないと思います。ただ、英詩が八割を占めるにも関わらず、中高生の添削用の
教材にピッタリなメタクソさだったり、数曲で聴けるシャウトが泥酔○チガイオヤジの
怒鳴り声以下の迫力しかない半端さだったりは、流石にどうにかして欲しかったですが…。
…と書くと結構不満たらたらの様に思えてしまいそうですが(笑)、個人的には大体の曲は
元のバージョンよりも良くなってると思います。2アーティストとも、1stアルバムの
欠点としてシンセの音色がつまらないというものがあったんですが、今回はヴォーカルに
主旋律を振った事で、取っ付きやすさや聴きやすさが増しただけでなく、シンセのだるい
音色によって曇らされていた部分が晴れて、フィジカルな魅力もより増したような印象。
あのシンセも何かポリシーがあって演ってるみたいですが、個人的には差し替えて大正解かと。
ヴォーカルも入りキャッチーになってますし、V系寄りで、多少大味な歌唱にも反感を
抱かないのであればかなりお勧め。でも折角ヴォーカル入れるなら、もっと歌が映える
曲をカヴァーして欲しかったかも。流石にラストの曲なんかは鉄壁ですけどね。


EWIGKEIT - Battle Furies - Ea, Lord of the Deeps ★★★ (2008-12-25 07:09:44)

BURZUMの「Ea, Lord of the Depths」のカヴァー。改題に意味はあるんでしょうか。ヴォーカルも本編よりもぶち切れてるし、メディテーション音楽みたいなシンセも入ってるしで結構センスの良いカヴァーなんじゃないかと思います。


EWIGKEIT - Battle Furies - Dragons Burning ★★ (2008-12-25 07:08:47)

「暗黒のFF」みたいなメロディがいいですね。ゲーム全盛の世代にはたまらない雰囲気がある。


EWIGKEIT - Battle Furies - "O Elbereth'" (2008-12-25 07:08:01)

これはなんか惜しいなぁ…
オーケストラヒットを使った音は(いかがわしいけど)ドラマティックだし、疾走ぶりもかっこいいし…なんで音が小さくなるのか。


EWIGKEIT - Battle Furies - Time Reborn ★★★ (2008-12-25 07:06:59)

不鮮明で薄いノイズ質からトレモロが浮き上がってくるギターワークといい、戦慄が加速していくような疾走といい、雰囲気の演出の巧みさが光る曲。こういうのを聴くと、彼が「独りブラック第3のカリスマ」になるのでは?と謳われたのも分かる気がする。


EWIGKEIT - Battle Furies ★★ (2008-12-25 07:05:00)

97年発表の1st。邦題は「暗黒の戦士」。

ブラックを基調としながらインダストリアル、メタルコア、民族音楽など様々な音楽性を噛み砕いて取り入れた「Radio Ixtlan」とは異なり、この時点ではまだ打ち込みドラムの薄っぺらなバンドサウンドをアトモスフェリックなキーボードが包み込む、典型的なシンフォニック・ブラックといえる音楽性で、剰えBURZUMのカヴァーまで演ってます(日本盤ボーナス)。

ティンパニやオーケストラヒットの音色、女性ヴォーカルも盛り込んだドラマ性のある展開、フレーズが不鮮明なノイジーさで情景描写に貢献したり、正統派っぽいリフを弾いて勇壮さを演出したりを上手く使い分けるギターなど、曲のレベルはなかなかに高いのではないでしょうか。

「Radio Ixtlan」とは殆ど別のバンドみたいですが、曲の世界観がどこかSFじみているのは共通していると思います。この創作っぽさは、EMPERORにもLIMBONIC ARTにも無い個性ですね。ただ、個人的にはもう少しカリスマを感じさせるような要素が欲しかったです。音がチープなのは仕方ないですが、曲によって微妙に録音レベルが異なったりしてるのも萎えるし、今一つ夢中になりきれないアルバム。

ちなみに日本盤解説は「独りブラック」に付いての考察も書かれていて、読んでて結構楽しめました。でもこのライターの人、FogartyをBATHORYやBURZUMに続く「独りブラックの第3のカリスマになれる逸材」みたいに書いてますが…この後の音楽性の変化を目の当たりにして、一体どう思ったんでしょうね(笑)。


CRADLE OF FILTH - Godspeed on the Devil’s Thunder: The Life and Crimes of Gilles de Rais - A Thousand Hands on the Maid of Ruin ★★★ (2008-12-23 21:51:49)

8分に及ぶインスト曲で、デラックスエディションの二枚目に収録されているのがもったいないクオリティながら、そこにしか入れ場所のないような曲だと思います。多くの非メタラーが苦手とするデスヴォイス無しに彼らの耽美性やメタリックな演奏のかっこよさを味わえるので、友人洗脳用メタルCD-R/MDなどを編集する際にこっそり入れておくと意外な効果がある…かも(笑)。


CRADLE OF FILTH - Godspeed on the Devil’s Thunder: The Life and Crimes of Gilles de Rais - The Death of Love ★★★ (2008-12-23 21:47:16)

ブラックらしからぬ、一回聴いたら口ずさめそうなキャッチーな女性コーラスを配したゴシック寄りの曲で、以前の名曲「Her Ghost in the Fog」の再来を思わせる曲。エグい濁声で微妙にメロディを追いながら歌うDaniの声も非常にかっこいい。そんなにエクストリームメタルに触れてない人にもお勧め出来る間口の広さがあると思います。


CRADLE OF FILTH - Godspeed on the Devil’s Thunder: The Life and Crimes of Gilles de Rais - Shat Out of Hell ★★★ (2008-12-23 21:43:47)

この曲を聴いてまず驚いたのは、かつてない程のドラムの軽快さ。
ドラマー交代は賛否あるようですが、今作みたいな疾走パート中心の作風には彼の音が合っているように思います。メジャーブラックにしては少し軽めな音作りですが、例えばBEHEMOTHくらいへヴィにしてしまったらこの感じは出せないと思う。


CRADLE OF FILTH - Godspeed on the Devil’s Thunder: The Life and Crimes of Gilles de Rais - Darkness Incarnate ★★★ (2008-12-23 21:40:33)

この曲の子供の語り、Dani Filthの娘が演ってるって本当なんでしょうか。なんかDaniって娘にめっちゃ甘そうですよね。レコーディングスタジオとかでちやほやしてそう(他のメンバーに自慢したりとか・笑)。
曲的にはどこか迷いを振り切った感じがあります。正統派ぶったりとか実験要素入れたりとか余計な事をしないで、バンドの持ち味を全面に出して勝負した音は本当にかっこいい。


CRADLE OF FILTH - Godspeed on the Devil’s Thunder: The Life and Crimes of Gilles de Rais - Honey and Sulphur ★★★ (2008-12-23 21:35:49)

このアルバムのリードトラックを決めるなら、おそらくこの曲になるんじゃないでしょうか。このアルバムと同時期に1stを出したSOTHISやABIGAIL WILLIAMSなど、CRADLEよりも派手な音像を提示するバンドが結構出てきてますが、ここまでフレーズや音像が派出(で分かりやすい)な曲はなかなか無いと思います。こういう曲をもっと入れて欲しい。


ANSUR - Axiom - Desert Messiah ★★★ (2008-12-22 23:36:13)

この曲のトレモロ疾走パートは、ストレート過ぎずプログレッシブ過ぎずで本当にかっこいいなぁ…こういうパートも書けるんだから、普通のブラックやってもいいものが出来そう。こんな感じのパートが2ndにも少しでもあったら良かったんだけど…。


ANSUR - Warring Factions - An Exercise in Depth of Field ★★★ (2008-12-22 23:35:22)

パーカッシブなイントロに始まり、カントリー的なパートまで登場する衝撃的な曲。
一応エクストリームメタル聴いてるのに、バーで盛り上がってる男達や草競馬に興じる人々といったなんだか微笑ましい光景が思い浮かびます(笑)。ここまでやってくれるなら、ブラックの価値観から離れすぎてる事はなんら問題じゃないです。


ANSUR - Warring Factions ★★ (2008-12-22 23:34:00)

2008年発表の2nd。
ZYKLON、ex-EMPERORのSamothのレーベルよりのリリース。

1stを聴いた限りでは、大味な部分もあるとはいえENSLAVEDを思わせるプログレッシブなブラックメタルを演っていて、このままスピリチュアルかつエクストリームな方向に行くのかな…と思ってたら、何だか凄い方向に舵を切ってきましたね…。

ブラストやトレモロといったブラックに典型的な要素はほぼ廃し、ハモンドの音色や複雑な展開を多用した、プログレメタル的な音像に変化。更にブルージーな泣きギターソロやカントリーっぽいパートまで飛び出し、リスナーの意表を付くという意味ではエクストリームメタル屈指といえる音に。ただ、音自体は十分面白く聴けますが、それに伴ってヴォーカルから殺気が消え、汚いおっさん声になってしまっているのは個人的には超マイナス。正直、聴いててイラっと来る声かも…。

変態メタルとしては一級品だと思いますが、これは賛否両論あるんじゃないかと思います。例えばAKERCOCKEが前衛要素を取り入れて禍々しさを、SATYRICONがロック要素を取り入れてスピリチュアルな暗黒性を、それぞれ普通のデス/ブラックより強めているのに対し、このバンドは変態的要素を(おそらく意図的に)ブラックの価値観に全く貢献させていない印象。ブルージーなソロが入るパートでは普通に渋い泣きの雰囲気に、カントリーっぽいパートでも普通に長閑な雰囲気になっている感じ。私はパートによっては置いてきぼり喰らった感を覚える所も…プログレ性が前に出すぎて小洒落てるような箇所まであるし。

ブラックメタルに何を求めるかによって、評価の大きく変わるアルバムだと思います。それが「奇抜さ」「新奇性」「変態性」であるなら買って損はないかと。


THORNGOTH - Rauhnacht ★★ (2008-12-21 23:41:00)

2008年発表の2nd。

前作同様、LUNAR AURORAの「元キーボーディスト」が中心になっているとは思えない、メロディ担当楽器がギター>>>キーボードな北欧メロブラ風ジャーマン・ブラックですが…前作と比べると、音像といいメロディといい、淡い情景を描く傾向が強まっているように思います。

また、冒頭の呻き声のサンプリングからのフェイドインによる奇妙なオープニングや、荒い歪みの中から聞こえる幽かなメロディと軽めのブラストの醸し出す浮遊感や非現実感など、どこかLUNAR AURORAにも通じる感性が感じられるパートもちらほら見られるようになってますね。

ただ、淡い情景を描いている事は、少し地味になっているようにも思えてしまうかもしれない訳で…取っ付きやすさは少し下がっているかもしれません。メロディック・ブラックが好きで、NAGLFARやDISSECTIONよりも淡い情景の機微を堪能したいという方にお勧めです。


THORNGOTH - Rauhnacht - Nihilistic Visions ★★★ (2008-12-21 23:39:20)

NAGLFARやDARK FUNERALなどスウェディッシュ勢のメロブラと比べると薄暗くて淡い感触の強い音なんですが、そういう雰囲気をキープしつつドラマティックな展開で聴かせてくれるのが良いですね。音像と曲の展開が良く合ってると思います。


THORNGOTH - Rauhnacht - Abgrund ★★ (2008-12-21 23:36:45)

曲自体淡い音像の中に挿入されるメロディが味わい深い、なかなか良質なメロブラという感じですが、ヴォーカルのエフェクトが(一部分だけど)面白いですね…。何も声が乱れた所を強調しなくても(笑)。


SATYRICON - The Age of Nero - Last Man Standing ★★★ (2008-12-20 22:39:23)

やっぱりSATYRICONって、メロディ要素が以前ほど前に出て来なくなっただけで、メロディのセンスそのものは類稀なものがあると思います。麻薬中毒者が見る幻覚で、血管の中を蛆や蛇が這い回るというものがあるらしいですが、それを音で表現したかのような、気持ち悪い流れのメロディ。


SATYRICON - The Age of Nero - The Wolfpack ★★★ (2008-12-20 22:35:41)

前作並みか、それ以上にキャッチーなヴォーカルラインが特徴な曲。
デスヴォイスの曲なのに口ずさめるし、やろうとおもえば輪唱だって出来そうだし(笑)。取っ付きやすさ、聴きやすさを備えていながら、内に秘めたスピリチュアルかつダークなエナジーはどんなブルータルなメタルにも負けていないと思います。


SATYRICON - The Age of Nero - Commando ★★ (2008-12-20 22:31:24)

この曲、アートワークと音が凄くマッチしてますよね。
アートワークの軍用ヘリの編隊が空襲に来たかのような冷徹で殺気を孕んだ「戦闘開始!」なオープニングにテンション上がります。ただ、「Push hard」の普通声の歌い方が微妙にダサめなのが少し残念。


SATYRICON - The Age of Nero - Den siste ★★★ (2008-12-20 22:28:35)

母国語で歌ってることも大きいのかもしれませんが、この不吉で湿り気のあるムードは表現方法こそ全く違うものの、1stや2ndにも通じる物があると思います。鬱や絶望など、極端な感情の表現に優れたバンドは数あれど、「不吉さ」みたいな淡い雰囲気をここまで堂々と、威風を持って表現できるのは彼等くらいではないでしょうか。


GRUNT - Seer of Decay - Electrified Steel ★★★ (2008-12-20 22:22:01)

これは…実際に戦地に赴いて、空襲の様子をフィールドレコーディングしてきた…と噂が立ってもおかしくないような豪音ですね。社長ならやりかねないし(笑)。ノイズが一部歯医者のドリルみたいですが…案外歯医者嫌いの小学生が治療受けてる時の心象風景を無駄にリアルかつやたらシリアスに表現したらこんな感じかも?「痛い痛い痛い痛い手挙げてるのに!!!」みたいな(笑)。


GRUNT ★★ (2008-12-20 22:22:00)

DEATHSPELL OMEGAやCLANDESTINE BLAZE等で名を馳せる、Mikko Aspaのノイズ・プロジェクト。
この名義の作品をリリースしてるFreak Animalも彼が設立したレーベルだとか。
ポルノも自前で撮影してるらしいし、ほんとアングラの寵児みたいな人ですね…。
何十年か後、カルトな物を好む人たちの間で伝説になってそうな気がします。


GRUNT - Seer of Decay - Recycled Ironworks ★★★ (2008-12-20 22:21:10)

これ普通の音量で聴いたら耳潰れますって(笑)
冷静に聴くと始まりと終わりでそこまで音圧が違うわけではないんですが、段々音のボルテージが上がってる感じもするし。私は流石に音量下げて聴いてますけど、こんなんじゃ社長に「お前が俺の音楽に触れるのは百年早いぜ」とか言われそうです(笑)。


GRUNT - Seer of Decay ★★ (2008-12-20 22:19:00)

何枚目かは分かりませんが、2006年発表の二枚組アルバム。
一枚目は小品を11曲で約50分、二枚目は4曲入りで一時間を超える大作主義な作風という内容。
DEATHSPELL OMEGAのヴォーカルも努め、今やブラック好きでその名を知らぬ者は
いないのでは…という程の大物である、社長ことMikko Aspaですが、彼はノイズ界隈でも
かなりの有名人で、既にこのGRUNTとNICOLE 12名義では来日も果たしているとか。
内容はカルトなメタル好きにも受けそうな轟音インダストリアル/ノイズで、耳の周りに
小さい戦闘機が絨毯爆撃してるような音、大量の金属の塊が転がり落ちながら粉々になって
ノイズが生まれるような音、三半規管がイカれそうな奇妙な波形のノイズ音など、
音作りの上手さには人気・知名度の高さを裏付けるだけの物があると思います。
…が、社長の魅力といえばやはりそのカルト性でしょう。特にディスク2の後半、ただでさえ
ガラスや金属引っ掻く系の音も含んだ爆音なのに、こんなに音上げなくても…と思うくらい
音がデカイです(笑)。これに比べたらBEHERITのベスト盤もSTALAGGHのノイズ地獄も
可愛いものだと思いますもん。1曲目は割と普通な音量なだけに、漫然と聴きつづけてたら
えらい目に遭います。でもこれ、どんなに音量を下げたとしても聴き手を思考停止させる
くらいの迫力は残ってしまうんですが…。さすが社長。
アートワークのこだわり振りといい、必要以上の爆音といい、社長のカルト志向が嫌というほど
伝わってくる作品。でもカルトな作品を複数のジャンルに跨って出して、レーベルも設立して、
ハードコア・ポルノも撮って…しかもそのジャンル内で高い評価まで受けてるし、社長って
数いるミュージシャンの中でも最もその活動を楽しんでる人の一人なんじゃないかと思います(笑)。


TAAKE - Taake ★★★ (2008-12-10 23:27:00)

2008年発表の4th。

ブラック特有の寒々しさや幽玄さ、オールドスクールでダーティな雰囲気、メロデスに通じるメロウな泣きなど、ブラックのリフ捌きによって表現できる感情や情景をいずれも高いレベルで表現しているブラックメタルを演っているのは相変わらずですね。ブラックのリフ捌きの理想系の一つと言っても良いくらいの音楽性で、3rd同様、ブラック好き以外にもメロデスなどリフのかっこよさを最重視するタイプのメタルを愛好するリスナーにも大いにアピール出来る作風ではないかと思います。

ただ、今回は画面の真ん中にザラザラしたノイズが入っているような少し辛口な音質のため、ブラックをある程度聴いている人でないと受け入れがたい部分もあるかもしれません。でもこの音質が、寒々しいパートでは吹雪のようなイメージ、幽玄なパートでは霧が掛かったようなイメージを加味したり、オールドスクールなパートではダーティさを更に際立てていたりしていて、個人的にはプラスになっているように思います。

しかし、何と言っても壮絶なのはHoestのヴォーカルでしょう…。
以前から素晴らしいヴォーカルを披露してましたが、今回の絶叫はちょっと異常。声帯が焼き切れるんじゃないかと思うくらいのテンションで高音絶叫してるんですが…レコーディング中に摩擦熱で火を吐いたとか言っても嘘に聴こえない位壮絶だと思います(笑)。今まで聴いたデス/ブラックの中でもトップクラスに鬼気迫る、そして喉が心配になる声。

3部作後のセルフタイトルアルバムという事でかなり期待してましたが、その期待を裏切らない彼ららしい高品質なアルバムだと思います。3rdが温く感じた方も試してみて欲しいですね。


DIR EN GREY - UROBOROS - VINUSHKA ★★★ (2008-12-09 18:30:33)

蝋燭の明かりのみを頼りに冥府の川を小舟で渡るかのような暗黒かつ深遠なムードのあるオープニングにも驚きましたが、その後のヘヴィパート聴いて更に驚きました。Dirってこんな説得力に満ちたリフ書けたっけ…間違い無くこのアルバムを象徴する曲だと思います。
ムードの濃さでは海外の一流の暗黒系のバンドを凌ぐ物があると思う。いわゆる「ジャパメタ」として認知されてるシーンからは出てこなそうな音だし、Dirが海外に行ったりせずV系ファンのみを相手に内輪受けな音楽を演ってても、こういう曲は出来なかったんじゃないかと思います。


DIR EN GREY - UROBOROS - 蜷局 ★★★ (2008-12-09 18:21:56)

歌詞のイメージよりも、メロディの感覚が「蜷局」という感じがしますね。タイトル的にウロボロスを象徴している気もするし、「VINUSHKA」が「Uroboros」の縮図的な曲だとしたら、こっちは「Uroboros」を紐解くための楔となる一曲だと思います。


NADJA - Thaumogenesis + Thaumoradiance ★★ (2008-12-09 18:08:00)

NADJA初となる日本盤。
2006年発表の「Thaumogenesis」と2008年発表の「Thaumoradiance」をカップリング、
更にKHANATEのメンバーによるリミックス作品を付けた二枚組。NADJAはその手のマニアの
間ではかなり評判になっているようですが、ディスコグラフィー見てみても作品数が
膨大過ぎてどのアルバムが取っ掛かりとして最適なのか分からなかったので、
こういう日本盤がリリースされるのは嬉しいです。
「Thaumogenesis」
こちらは一時間を越える大作を1曲収録。SUNN O)))やKTL等と同様、ドローン/パワー
アンビエントなどと形容される音ですが、NADJAの描く世界観は情景描写志向がより強く、
もっと壮大で、どこか美しさを感じさせるものがあると思います。原初、無から混沌が生まれ、
混沌から世界が生まれる…そういう情景を一時間かけて丁寧に描いていったらこんな音に
なるんじゃないでしょうか。
中盤のノイズや低音のドローンが少し収まってキーが前に出てくるパートは構築された世界に
初めての夜明けが訪れたようなイメージが、終盤のクライマックス近くの幽かに蠢くノイズは
遺伝子が絡まりあって今まさに生命が誕生しようとしているようなイメージが思い浮かぶ。
ドラムは打ち込みだろうし、ノイズにしろ持続音にしろアンプを通したりコンピューターで
作ったりしてるはずなのに、それを忘れてしまうくらいに有機的で、根源的な音。
MINSKを聴いた時も思ったんですが、何か根源に触れる物があるからこそ、神秘性や美しさを
感じたり、畏れに近い感情を抱いたりするんでしょうね。それが彼らの音楽がカルト的な
支持を得る所以ではないかと思います。音の作り方も当然ながら上手く、鼓膜から脊髄を
通して手まで震えそうな低音が効いていながら、変な聴きづらさはなく心地良く聴けます。
音の気持ち良さにかまけてボリューム上げすぎたらいつの間にか耳痛くなってそうですが(笑)。
「Thaumoradiance」
こちらはライブをリミックスした作品らしい「Radiance of Shadows」「Thaumogenesis」に、
日本盤独自にKHANATEによるThaumogenesisのリミックス「Thaumoremix」を加えたディスク。
ヴォーカル入りで、静と動ならぬ静と轟の対比が面白い1曲目や、原曲の半分以下の長さと
なった2曲目も聴き応えは十分すぎるほど十分ですが、個人的には3曲目のリミックスが
目玉ですね。「Thaumogenesis」が創世に立ち会っているような感じだとしたら、こっちは
その様子をもっとマクロ的な視点で見ているような風景が思い浮かぶ。
…まあこういう音って聴き手によって受けるイメージは全然違うんでしょうけど、
リミックス元の情景を別の視点で見たような情景が見えたのが面白かったです。
余談ですが、この盤の解説を書いてる山崎さんの文章は、洋楽アルバムに付いてる解説としては
最高級じゃないかと思います。アンドレ・ブルトンの「ナジャ」を引用して音源のイメージを
更に豊かな物にしてくれてるし、「極彩色のノイズ」「轟音の胎内へ回帰」といった表現も
彼らの音楽を表すのにこれ以上ないくらい適切だと思う。
何より氏の文章からは、このジャンルへの愛情が伝わってきて読んでて楽しいんですよね。
彼みたいな人材がBURRN!にもいればいいのになぁ…。


DARKTHRONE - F.O.A.D. ★★ (2008-12-04 22:14:00)

2007年発表の12th。
巷でも言われている通り、トレモロやRAWなギターの音色などにブラックの要素を残しつつ
ハードコアに近付いたスタイルで、アングラ感溢れる「あやしい」音ではあっても、
妖気や面妖さの「妖しい」ではなく、いかがわしさや野蛮さのある「怪しい」音。
最早以前の地下に悪魔崇拝の祭壇を作ってそうな作風からはかなりの開きがある音で、
船からバイクに乗り換えたヴァイキングの末裔のバイカー達が、バーに集まって
一旗挙げると息巻きながら聴いてそうな感じの雰囲気。
ただ、こういう音楽性自体は嫌いじゃないんですが、ヴォーカルが直接的な攻撃性や
冷酷さに向かわず、酒に酔ったようながなりを多用していかがわしさを出す方向に
行ってる曲が多いのはちょっと好みに合わないかも…。ブラック的ながなり声の方は
ふてぶてしいまでの声の太さもあって相変わらずかっこいいんですけどね…。
しかしこのアルバム、本人達はめっちゃ楽しんで作ってるんじゃないでしょうか。
曲解説といいお勧めアルバム紹介といい、かなり面白がって書いてそう。REC後も
曲の出来栄えを自分達で聴いて爆笑してそうな感じ(笑)。現に次のアルバムもほとんど
間を置かずにリリースしてますし、人間嫌いっぽいイメージの強い彼らですが、実は
ノルヴェジアンブラックの大御所の中では一番楽しみながら音楽演ってそうな気がします。


BEHEMOTH - At the Arena ov Aion - Live Apostasy ★★★ (2008-12-02 17:30:00)

2008年発表のライブ盤。

…今までにライブ音源はEP「Conjuration」「Slave Shall Serve」やDVD「Crush. Fukk. Create.」などでリリースしている彼らですが…それらを持ってるからという理由でこのアルバムをスルーしようとしている人がいるなら、「それは大きな間違いである」と断言しておきます。今までとは迫力が段違い。これ以上メタルの「肉体的な魅力」を体現している作品があるなら教えて欲しいくらいです。

まずは音質が素晴らしく良いですね。
今回はスタジオ盤と比較しても遜色無い、クリアな音が実現されてるのではないでしょうか。この手のライブ盤としては破格の綺麗さで、迫力ではスタジオ盤を凌ぐと思います。特にInfernoのドラミングはライブでも素晴らしく、破壊の神が世界を滅ぼす為の踊りがあるとしたら、こんな感じのステップだろうな…と思わせるような音…と、やたら大袈裟な表現で褒め称えたくなる(笑)ほどの迫力。ギターも満員電車で聴いても何の問題もないくらい、クリアかつヘヴィな音で本当に上質。

Nergalのフロントマンとしてのパフォーマンスも凄すぎです。スタジオ盤以上のドスの効いた低音ヴォーカルはデス声のお手本になりそうな壮絶さだし、喉が千切れそうな高音絶叫のキレ具合も凄まじい。その合間にも野蛮な絶叫でアジりまくり。以前のライブ音源だと声が乱れたり少し枯れたりしてましたが、最後まで全く勢いが落ちません。…何か超常的なものが降りてきてるとしか思えないテンションなんですが。「ステージ上が地獄と化す」…それなら彼は閻魔大王と言った所でしょうか。何の躊躇もなく神罰を下しそうです(笑)。

BEHEMOTHはライブでは三倍くらい凄いです(笑)。
彼らの作品の入門編としてだけでなく、メタルの過激な部分に触れたい人がまず最初に聴く音源としても最適だと思う。こんなにフィジカルなパワーに満ちたメタルって他に無いですし。1stではブラック的な寒々しい情景を描いてた彼らが、こんなに肉体勝負の路線になるとは…でも、その中で最高のものを提供しているのだから、何の文句も付けられません。これからも自分の道を邁進していって頂きたいです。


SATYRICON - The Shadowthrone ★★★ (2008-12-02 17:23:00)

94年発表の2nd。

メロディックブラック/トラッド寄りブラックとしての支持の厚いこのアルバムですが、私はBURZUMとは違う方法論で、ブラックをアンビエントに接近させた作品なんじゃないかと思ってます。特にギターの、時にノイズ質で音像に靄をかけ、催眠的な雰囲気を強めたり、時に中世的メロディで直接情景を描いたりなど、バンド音楽としてのグルーヴは二の次で情景を描く事に専念している音色にそれが顕著。

早い話、Satyrのソロで中世的な世界観を描き出すシンセアンビエントのWONGRAVENを、描く情景はそのままにブラックの音像で表現した感じ。最近VELVET CACOONやALCESTなど、ブラックのノイズ質を利用してアンビエントやシューゲイザーに接近するバンドが認知されはじめてますが…私はBURZUMがこのムーブメントの源流にいると思ってたんですが、初期SATYRICONもこのシーンに強い影響を与えてるのかもしれませんね。

しかし、このアルバムが真に魅力的なのは音楽性が独創的なだけでなく、きちんとメロディックブラックとしての質の高さも両立させていることでしょう。WONGRAVENでも大いに聴かれた中世的なメロディはやはり素晴らしいし、要所でのFrostのブラストも迫力がある。

以前DIMMU BORGIRが初期のアルバムをメタリックな音で再録してましたが…私的にはSATYRICONにこのアルバムでそういう試みを演って欲しかったです。「Dominions of Satyricon」辺りは最近のライブでも演るみたいですが、せめてライブ盤を出して欲しいなぁ…シングルのカップリングじゃ物足りないです。

ブラック関連のアーティストのインタビューなどを読むと、ブラックは最近のものよりも昔のものを好んで聴く人が多いみたいですが…今のブラックのシーンも好きだけど、確かにこの頃のブラックメタルの作品って不思議な魔力みたいなものが宿ってるものが多いと思う。感性なのか計算なのか分からないのは前作同様なんですが、Satyrが天才である事を裏付ける作品だと思います。


VIRUS(NORWAY) - THE BLACK FLUX ★★★ (2008-12-02 17:20:00)

2008年発表の2nd。
四階から転落し、数ヶ月にわたる昏睡状態が続いたというニュースで多くのブラック好きを心配させたCzralですが…これを聴く限りでは完全に復活したみたいですね。AURA NOIRでも新作を出したみたいだし、本当に良かったです…。

1stのスタイルを踏襲しつつ、ジャズ的アンサンブル志向を高めた音楽性は、VIRUSの新作でありながらVED BUENS ENDEの続編的と言えるかもしれません。VBEの抽象的かつ泥沼な雰囲気と、(VIRUSの)1stでの悪意に満ちたキッチュさを両立させた作風になっていると思います。淡いノイズを纏ったギターメロは立ち上る瘴気が、物理法則に反して昇るごとに濃くなるような気持ち悪さがあるし、ベースも妖しく蠢くだけでなく、時に場違いに明るめのメロを入れてきたりして素敵に気持ち悪いです(笑)。

このアルバムって、ヴォーカルは抑揚のないノーマル声が主体だし、ギターはトレモロリフはおろか刻みリフもごく僅かだし、ドラムがブラストするなんてもってのほかで、殆ど典型的なブラックのパーツが使われてないんですよね。音質もプリミティブとは言えないですし。それでもブラック的な薄気味悪いムードを醸し出しているのが、このアルバムの肝ではないでしょうか。
Czralのひねくれた感性が詰まった作品だと思います。

アンサンブル志向が強まったため、前作よりもフックは抑え目で取っ付きづらく感じる向きもあるかもしれませんが、その分瘴気・妖気の類は濃くなっているかと。不吉なムード作りではBLUT AUS NORDの傑作「MoRT」に肉薄する物があると思います。


MINSK - Out of a Center Which Is Neither Dead nor Alive ★★ (2008-11-28 06:49:00)

2005年発表の1st。
タワレコの200円セールにて発見、「確かMINSKってフォークメタルバンドだったような…。
フォークメタルは結構好きだし、200円ならまあ外しても痛くないし…」と軽い気持ちで購入。
…全然フォークじゃないじゃないですか(笑)。むしろフォークメタルより好みの路線、かつ一級品の
メタルだったので驚きました。(ちなみに、LUMSKと勘違いしてフォークメタルと思ってた模様)
ジャンル的には…これはスラッジ・ドゥームというんでしょうか。
ノイズ/ドローンにも通じる爆音のギターに、パーカッシブでプリミティブな雰囲気のリズム、
ハードコアっぽい野蛮な絶叫、土着的なメロディなどを絡めたスタイルで、原始時代の音楽が
持っていたであろう根源的なパワーをメタルのアンサンブルで表現したような作風。
ミニマルでありながら、ダイナミズムも同居した音作りがなされてる辺り、凄みが漂ってますね…。
アートワークなどから受ける神秘性は音にも篭められてると思いますが、なにか根源に触れる
物があるからこそ、神秘的に感じるのかもしれません。聴いているとその力に中てられて、
意識がどこかにトリップしてしまいそうになります。ユーロロックプレスのトリップメタルの
コーナー辺りで紹介されそうなアルバムですが…独自性、曲の良さ、音作りの上手さ、カルト性なども
文句の付け所がないし、トリップメタルとしてもかなりレベルが高いんじゃないでしょうか。
これなら普通にセール価格じゃない値段で買っても後悔しなかったと思う素晴らしい出来。
それにしても、勘違いでこんな名盤が、しかも超安価で手に入ってしまうとは…。
ここ数週間分の運は使い果たしたんじゃないか心配になります(笑)。


EMANCER - Twilight and Randomness - Comfort Fix ★★★ (2008-11-25 06:08:50)

これは…UFOが蛇行運転している様や、UFOから光線が出て、家畜などを連れ去っていく光景が浮かぶようなSEを連発しているパートが嫌でも印象に残りますね…初めて聴いた時は「なんて変なバンドだ!!」と驚きました(笑)。


EMANCER - Twilight and Randomness - Moron ★★★ (2008-11-25 06:07:59)

宇宙空間を行くスペースシップを思わせる、SF的なかっこよさを感じさせる明るめのメロディから、敵との交戦に入ったように激しさを増すパートに雪崩れ込む展開で一気に惹きつけられます。インパクトもあるし、こういう曲を頭に持ってくれば良かったのに。


EMANCER - Twilight and Randomness - The Rewarding Schemes ★★★ (2008-11-25 06:07:04)

展開や使われているキーボードの音色などにはプログレッシブさが感じられますが、クリーンヴォーカルで歌い上げるサビメロが意外にもキャッチーで美味しいです。このパートの、マイルドに歌い上げる渋い普通声も個人的にツボに嵌まりました。


EMANCER - Twilight and Randomness - Dice Man ★★ (2008-11-25 06:06:01)

オープニングインスト明けの掴みの曲にしては、立ち上がりが微妙なので今一つなアルバムなのかと思ってしまいましたが、聴き進むうちにそれは杞憂だと分かりました。特にブラスト&トレモロという典型的ブラック要素で聴かせるパートは、彼ら独特の感性も混じっていてかなりかっこいい。こうしたパートがもっと多いと良かったかも。


EMANCER - Utopian Illusions ★★ (2008-11-25 06:04:00)

2001年発表の1st。

5thが良かったのでこっちも買ったんですが…この時点ではサイバー要素、プログレ要素は大分控え目で割とストレートに邪悪さを表現するスタイルで、2000年以降の作品とは思えないRAWな音ですね…(笑)。5thがSFXを駆使した映画ならこっちはスペースインベイダー、くらい音に差があると思う。5thのハイクオリティ振りからすると、どうも意図してチープにしているわけではないという気がしますが…。

フレーズよりノイズ分の方が大きい薄っぺらいギターといい、SEの爆発音の方がバンド全体の音より大きそうな音作りといい、音作りはチープ極まりないです。この音で変わった音色のキーやパーカッション、微妙なクリーンヴォーカルを取り入れてるのを聴くと、手持ちのカードで何とか世界観を演出しようとしてるようで何だか健気に思えるんですが(笑)。

しかし、この音質がトレモロの鋭さを増しているように聴こえたり、ヴォーカルの絶叫は最近の作品よりも殺気に満ちていたりで、こっちにしかない良さがあるのも事実ですね。プリブラなどを普段から聴いている人であれば、こっちの方が気に入るかもしれません。


EMANCER - Twilight and Randomness ★★★ (2008-11-25 06:01:00)

2008年発表の5th。

サイバーな音色も交えたキーボードと、変化に富む、プログレッシブな展開で聴かせるタイプのシンフォニック・ブラック。マイルドなクリーンヴォーカルによる歌い上げや、メロデス的なキャッチーかつメロディックなギターなどもフィーチャーされていますが、トレモロやブラストを交えた展開や、ヘヴィながら整理されすぎない、歪みのやや強めなプロダクションといい、根っこの感性はやっぱりブラックにあるという感じ。

このバンドの大きな特徴は、どこかユーモアに富んだ曲作りだと思います。2曲目のブラストから妙に軽快なパートへの展開や、5曲目の地球外生命体によるアブダクションを思わせるSEなど、聴いていて「なんじゃそりゃ!?」って突っ込みたくなる部分が結構あります(笑)。ヴォーカルの絶叫が明らかに初期より殺気が落ちていたり、打ち込みっぽいドラムの音が浮き気味だったり微妙な部分も確かにあるんですが、質の高さと普通じゃなさを上手く両立させた、なかなかの好盤ではないかと思います。


SEPTICFLESH (SEPTIC FLESH) - Communion - Babel's Gate ★★★ (2008-11-25 05:59:28)

オーケストラとドラムのみになる展開が、いつ食い殺されてもおかしくないような緊張感を醸し出していて印象に残りますね…。いざバンドの全部のパートが入ってくると、マジで食い殺すような迫力があって最高です。


SEPTICFLESH (SEPTIC FLESH) - Communion - Communion ★★★ (2008-11-25 05:58:30)

この曲の疾走+クワイアのパートが、今作中最もデスメタルとオーケストラの融合した音の魅力を分かりやすく伝えている箇所ではないでしょうか。大量の悪霊・怨霊の類が奔流となって襲い掛かってくる感じ。厳かに「Communion..!」と叫ぶヴォーカルも、その魔を統率する邪神のような凄みがあると思う。…っていうか、こんな濃厚な三分半なかなか無いです。


SEPTICFLESH (SEPTIC FLESH) - Communion - Anubis ★★★ (2008-11-25 05:57:39)

一瞬にして景色が塗り変わる導入からして、ある意味快感です(笑)。
この曲は終盤が特に好きですね。神殿に沢山の信者達が集まり、地に頭を打ちつけて祈りを捧げる様や、神が降臨し、それに応えて咆哮を上げる様などが浮かんでくる。神降ろしの儀式をメタル化した感じ。


SEPTICFLESH (SEPTIC FLESH) - Communion ★★★ (2008-11-25 05:55:00)

2008年発表の7th。
私はこれがセプティック初体験ですが、解散→再結成を経ての作品みたいです。

…デス志向のメタルバンドって、古代の文化だとか神話的な世界観だとかを歌詞のテーマに持っていたり、大仰な感性を持っているバンドが多いですが、そういうバンドが100人を超えるオーケストラやクワイアと共演した…というだけで、もう購入意欲が高まりまくってしまいますね(笑)。そんなミーハー根性丸出しで買ったんですが、これは良いですよ。

まず期待通りの大仰なオーケストラーションも凄いんですが、ただそれがデスメタルに乗るというだけでなく、お互いがお互いを活かしあうような、有機的な絡み合いが素晴らしいです。ほんと、何万人もの信者が邪神に祈りを捧げている巨大な神殿、その威容が眼前に浮かぶかのような壮大さ&幽遠さ。

怒れる古代の神のような、年季の入った威厳のあるデス声といい、斧でぶった切るようなヘヴィなバンドサウンドといい、これだけドスの効いた力強い音作りながら、どこか霊的なムードも感じられるのも大きな特徴ですね。ミーハーが祟ってこういう音楽聴いている私ですら、聴いてると人間に天罰を落とす神にでもなったような高揚感が得られるほど(笑)。
霊媒体質の人が聴いたら、本当に何らかの上位存在との「COMMUNION(交渉)」が出来てしまったりして…。

エクストリームメタルとしても、神秘的な情景を描く音楽としても素晴らしい一枚。今年はJUDAS PRIESTやMETALLICAなど、大物のリリースが相次いでますが、これだけリキの入ったアルバムが出来た事だし、各地のベストアルバム選出などでも食い込んでいって欲しいですね。


SATYRICON - The Age of Nero ★★★ (2008-11-20 18:52:00)

2008年発表の7th。

路線的には、厭世的な鬱メロのリフにロック乗りのダイナミックな、ダンサブルなリズムを組み合わせたスタイルのブラックメタルで、前作の作風を踏襲している感じですね。こういうリズムだと外向きの音楽に感じられるんですが、彼らの凄い所は、外に合わせてやりたいこと、表現したい物を抑える事を全くせず、むしろリフ一つで外の景色を黒く塗りつぶしてしまうような凄みがある事だと思います。ブラックにロックのリズムを持ち込んでスピリチュアルな領域に達したバンドの中では、SAMAELが陽なら彼らは陰というイメージ。

ただ、前作と比べると、キャッチーなコーラスパートを配した曲は多いものの、前作の1、2曲目ほどのキャッチーさを誇る曲はないかな、という印象。その代わり、先行シングルにもなった「My Skin Is Cold」の魔が外界に溢れ出してくるようなトレモロ、「Last Man Standing」の闇が忍び寄ってくるようなメロディなど、音から見える情景は更に濃くなっている感じ。SATYRICON史上最もダークなアルバムというのも強ち誇張ではないと思います。

唯一の不満はライナー以外なーんのうまみもない日本盤。
EP「My Skin Is Cold」丸ごとやリミックスを収録したコレクターズ・エディションを買えば良いんですけど、専門店じゃないと入荷しないと思うし、専門店でもいつ再入荷されるのか分からないしで待ちきれず日本盤買っちゃったんですが、ボーナストラック一曲も入ってないし…。せめて生ブラス入れた「Mother North」のライブバージョンくらい入れてくれてもなぁ…。


MYONMYON - The Grimoire of Alice (pizuya's Cell × Myonmyon) ★★ (2008-11-20 18:46:00)

同ジャンルのアーティスト「ぴずや」とのコラボ盤。2008年発表。
もちろん上海アリス幻樂団のインストメタルスタイルでのカヴァー作品です。
アレンジは両者が協力して行っているようですが、ミキシングやマスタリングはぴずやが
担当しているせいか、音の質感はぴずやの最新作「Symmetry Burzum」に近い感じですね。
一流のメタルバンドと比較して何の遜色もないへヴィネスといい、ブラストも飛び出す
スピードといい、この界隈では最もエクストリームメタルに近い作風と言えるでしょう。
ヘヴィさやスピード、原曲メロの美しさも然ることながら、それらに頼りきりにならず、リフで
高揚感を煽ったり妖しさを演出したりするアンサンブルの良さこそが、「なんちゃってメタル」
からは程遠い、しっかりとしたメタルとして魅力のある音楽になっている所以だと思います。
帯のジャンルにも「エモーショナル・メタルコア」とある通り、「Symmetry Burzum」と
比べてもリフに泣きメロを練り込むセンスが、心なしか上がってるような気もします。
ただ、主旋律にトランス系の音を初めとしたサイバーな音色のシンセを多用しているんですが、
4曲目の水の波紋を思わせる幽玄なメロや、5曲目の教会系荘厳メロまでいかにもシンセな音に
しているのは少し疑問かも。インスト明け2曲目から異次元っぽい風景を背にRPGの主人公が
怪物と戦ってるシーンが浮かぶような、ゲームのラスボス戦のような雰囲気があるし、
ゲーム音楽的なムードを出すために敢えてやってるのかもしれませんが。
まあ、シンセの音色が一本調子過ぎて飽きる程ではないし、ゲーム音楽好きなら買っておいて
損は無いのではないでしょうか。ただ、ここからは偏屈なメタラーの独り言として聞き流して
欲しいですが…メロデスやメタルコアって、エクストリームメタルと呼ばれるサブジャンルの
中でも正統派に近い価値観を持ってると思うんですよね…折角エクストリーム志向のメタラーが
がっぷり組んだんだから、もっとエクストリームメタルとしての矜持を見せて欲しかったです。
例えば、デスヴォイスやノイジーな音質、圧倒的なブルータリティなど濃いメタラー以外を
引かせてしまうような要素は取り入れずに、デスのリフの「うねり」やブラックのリフの
「荘厳さ」などは、聴き辛くならない程度にもっと取り入れてもいいんじゃないかと。
この界隈って正統派的な価値観を持ったバンドが多いし、エクストリームメタルの要素が
リズムとメロデス/メタルコア風のリフだけでは少し物足りないです。十分期待に応えては
いるんですが、この2者が組むからにはもう少し違うヴィジョンも見せて欲しかった。