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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 501-600
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海腹川背・旬 (2014-05-27 10:07:22)

97年にPSで発売されたアクションゲーム。
私はVITAでアーカイブズ版をプレイ。

ゴムロープを壁などに引っ掛け、反動を利用して行うアクションが売りのゲームで、独特の操作感からゲーマー間での支持はかなり厚いようですが…これは余りにも難しすぎる…。数時間プレイして、ダッシュすら出来ないとか…。「ゲームを楽しむことが出来るようになるために、かなりの習熟が必要になる」というタイプの高難易度ゲーム。個人的には同じ高難易度でも、「すぐにゲームを楽しめる程度の腕にはなれるけど、クリアするのが難しい」というタイプの方が断然好きなので、これはちょっと合わなかったです。評価は高いゲームなんですけどね…。


Dies Irae ~Amantes Amentes~ ★★★ (2014-05-27 10:06:29)

元はPCでのゲームだったものが、2012年にPSPに移植されたので私はそちらをプレイ。PSP版リリースにあたって追加された要素を含むバージョンもPCにも逆移植されてるみたいです。このジャンル、ぶっちゃけ「Fate」「ひぐらし」くらいしか知らないニワカですけど、友人が余りにも強硬に勧めるので購入。…このジャンル(テキスト系ADV)に造詣の浅い私でも、これは物凄い傑作ではないかと思います。

まず、数時間ぶっ続けでプレイしても苦にならない、時間の許す限り読み進めたくなるような、先が気になる、かつ常にプレイヤーの興味を引いてくれる展開が素晴らしい。上記のゲームでは、(日常パートをしっかり描く事で非日常パートが引き立つとは言え)日常パートが余りにも長く続く事で若干ダレてたんですが、本作はそれが完全に払拭されてる。戦闘パートはやや長めに感じなくもないですが、常に緊張感があって引き込まれます。

個人的に一番素晴らしいと思ったのは、世界観の根幹の設定ですね。詳しく語り過ぎるとネタバレになるので多くは語れませんが、「キャラクターの造詣」と「キャラクターの持つ能力」、そして「世界観の設定」それ自体が密接に結びついているのが、興味深く面白い。世界観が明らかになっていくさまや、その世界観があるが故の登場人物の心情の動きなどを盛り込んだ展開は、ホント正しく素晴らしくエンターテイメントしてると思う。

そしてキャラクター、特に敵キャラも、これまた素晴らしいです。「こんな奴に勝てるのか…」と、絶望的な気分にすらなってしまう存在感のラインハルト、変人やひねくれものもここまで来れば強烈な魅力なカール・クラフト、小物っぽさが良い味を出してるロート・シュピーネ辺りも魅力的ですが、個人的にはベイ中尉推しです(笑)。この人の獲物をいたぶるような、嗜虐的な喋りがゾクゾク来る(笑)。かっこいいという言葉すら生温い魅力のあるキャラだと思います。

音楽もクサメタラーを悶絶せしめるメロディアスさと、戦闘シーンの楽曲らしい緊張感を湛え、前述のベイ中尉のカリスマ演出にも一役も二役も買ってる「Rozen Vamp」を始め良曲揃いですし、若干動作が重い事を除いては面白さに隙のないゲームだと思います。出来ればこれからプレイされる方は、特に世界観のネタバレは読まずにプレイして欲しい所ですね。


SLIDHR - Deluge ★★★ (2014-05-20 23:45:06)

2013年発表の1st。

End All LifeからリリースされているREBIRTH OF NEFASTとのスプリットが、ショップやレビューサイトなどでも割と大きく取り上げられていた事もあって、バンドの知名度はそれなりなのではないでしょうか。単体での初のフルアルバムとなる今作は、これまたブラックの有名レーベルDebemur Morti Productionsからのリリース。

流石に名門レーベルからのリリースを続けているだけあって、プリミティブ系のバンドに近い邪悪な感性を持ちながらも、テンプレ的な作風よりも一段上の表現力のある音を出してると思います。この手のバンドってトレモロのメロディを魅力的に聴かせる事が出来る者は少なくないですが、このバンドはそれ以外のパートも同等か、それ以上に魅力的に聴かせられる音作りのセンスがあるのが、まずは特筆したいところですね。

プロダクションはプリブラにありがちな高音域を殊更に強調したノイジーさではなく、Rawさをしっかり残しつつ低音も効かせたものですが、これがブラックの塗り潰すようなリフのフレーズとの相性が素晴らしく良い。ドス黒い何かが大挙して押し寄せてくるような、不安を掻き立てる抑鬱的な音。ヴォーカルが音の奥から聴こえる様なミックスなのも、音の「黒さ」の奥行きを感じさせ、プラスになってるように思います。ドスの効いた中で、感情を込めて聴かせる、メリハリのあるヴォーカルのパフォーマンスそれ自体もなかなかに素晴らしい。

極端にRawだったり、ミニマルだったりという作風でカルト性を演出するバンドは多くいますが、このバンドは展開もしっかりしているし、プロダクションのクオリティもこの手としては良い方ですが、そういった手法を採用するバンド以上にカルトな雰囲気が漂ってます。邪悪な音を求めている方は是非。


IN SILENTIO NOCTIS - Disenchant the Hypocrite ★★★ (2014-05-20 23:37:51)

2013年発表のEP。

ショップにて「ブラックメタルの演奏+女性ヴォーカル」と聞いて興味を持った一枚ですが…作風的にはむしろ、ブラック・(メロ)デス・ゴシックの良い所取りをしたエクストリーム・メタルという感じですね。ツーバスを敷き詰めたり、豪速ブラストで攻め立てるデス由来の攻撃性、刻みを多用しつつ、メロディアスなフレーズを聴かせるメロデス由来のリフ捌き、シンフォゴシックらしい可憐な声楽的女性ヴォーカルと大仰なオーケストレーション、そして要所で挿入されるブラック的トレモロ…と、様々な要素を取り入れたハイブリッドな作風。

…と、ぶっちゃけブラックメタル要素はかなり薄く、これをブラックと言い切るには相当の無理がある路線…ではあるんですが、ジャンル関係なくクサくて派手で大仰で華美なメタル音楽を求める場合、これ程適したものは無いのではないでしょうか。特にトレモロリフの「メロディのクサさを引き立てる力」の強さを、まざまざと再認識させられた次第(笑)。ブラックメタルというよりは「超攻撃型シンフォニック・ゴシック」とでも呼んだ方がしっくり来る路線ではあるんですが、これはこれで素晴らしいです。むしろクサメタラーに対して大推薦。


怒首領蜂 ★★★ (2014-05-20 23:25:12)

97年にCAVEが出したSTGで、弾幕STGの元祖とされる存在だとか。
私はVitaでゲームアーカイブ版(PS版)をプレイしましたが、難しいですね、これ(笑)。そして面白い。東方シリーズは弾幕の描く幾何的な模様を楽しむ側面も強いのに対し、こっちは敵機が殺す意図を持って襲ってくるような弾幕という感じで、つまり敵の殲滅がより重要なゲーム性になっている、という印象。

何より辛いと思ったのは、コンフィグで難易度を下げても殆ど簡単にならない点ですね(笑)。一応、一周目ノーコンティニューは達成しましたが、正直攻略サイトで条件見る限り二周目とか行ける気がしません。ただ、難しいゲームではありますが、操作やゲーム性自体はシンプルで、「動かしてて楽しい」というレベルにはすぐに慣れられるのが良いですね。難しいけど、プレイする事自体の敷居は高くないというか。

あと、元はアーケードなのをPSに移植、更にそれを携帯機でプレイという環境なので仕方ないといえば仕方ないんですが、一部凄まじく弾が見えづらい場面があるのがちょっと…。特に青い小さい弾、あれがある程度以上の速度で飛んでくると弾がある事にすら気付かない事が…。幸い、画面の動きをスローに出来るボタンがあるので何とかなりますが、あれが無いとこの画質では楽しむのが難しかったかも…。

ちなみにこのゲームも曲がかなり素晴らしい。曲数自体は多くないですが、ゲーム中のSE(特に敵を殲滅したときの爆発音)と相俟って滅茶苦茶テンション高まります。ボス戦BGMの緊張感もヤバい。そういえば、昔かのIRON ATTACK!もCAVEサウンドのメタルアレンジをリリースしてましたが、あれはもう手に入らないでしょうか…。


東方輝針城 ~ Double Dealing Character. ★★★ (2014-05-20 23:24:05)

Windows版のナンバリングタイトルでは14作目だそうです。2013年作品。

前作の神霊+トランスシステム、前々作のベントラーシステムとこの所複雑というか、弾幕を掻い潜る気持ち良さとは別のパターン作りを要求されるシステムの作品が続いていましたが、今作は前に出て(もしくはボムを撃って)アイテムを回収する事で残機やボムが増えていくという、かなりシンプルで遊びやすい内容。弾とアイテムの両方が多い場面で、上手く弾を掻い潜りアイテムを回収できるとなかなかに快感。まあ事故りますけど(笑)。

時折ノーマルでも相当難しい弾幕もありますが、ボムでアイテム回収→残機やボムを増やす→難しい場面をボムで飛ばす、のサイクルが上手く行けば、前2作よりは難度は低めだと思います。また、今作は自機の種類で難易度が大きく変わるのも特徴。弾をアイテムに変換するボムや、敵の行動を遅くするショットなど、強力な性能の機体もあれば、ボムもショットも弱い機体もあり。個人的には魔理沙Bや咲夜Aでハードをクリアする以上に、咲夜Bでノーマルをクリアする方が難しい印象がありますね…。

また、ここ数作の作品でもそうですが、今作でも例えば歴代の「UNオーエン」「幽雅に咲かせ~」「ネイティブフェイス」のような、あからさまなクサメロは減退している印象。ただ、聴き込むと味が出てくる曲が増えた感じがします。どの曲も聴き応えがあるというか。個人的には東方はド級のクサメロが特徴のゲームという印象があるので、この変化は少し寂しくもあったり。でも、やっぱり良い曲が多いのは事実ですけど。


弾幕アマノジャク ~ Impossible Spell Card. ★★ (2014-05-20 23:20:55)

「東方輝針城」の5面ボス、鬼人正邪が自機を務めるスピンオフ作品。

おととい(5/18)ショップへの委託が始まったので、早速購入し、先程全シーンクリアを達成しました。一見回避不可能な弾幕を、アイテムを駆使して掻い潜っていくという、ちょっと変わったゲーム性を持つ作品。一通りプレイした感じ、アイテムを縛らずにクリアするのであれば各作品のExステージくらいの難易度だと思います。ステージと相性の良いアイテムを見つければクリアは目前ですし、気合系も一定回数までの被弾が許されるアイテムを使えばゴリ押しでクリア可能。最終日のラストステージとか初見で行けた人も結構いそうな気がします。

今回は文化帖やダブルスポイラーの時のように、挑戦回数が3桁4桁行くようなのも無かったですし、そこまで難度は高くない印象。ただ、アイテムを使わないでクリアしようと思うと、途端に難易度が跳ね上がりますね(笑)。一日目(レベル1)からワインダー潜りや高密度な楔弾の回避を要求されるし、二日目はもう避け方すら思いつかないのがちらほら。最終日に至ってはCAVEリスペクトな弾幕で完全に殺しにかかってきます。アイテム縛りでクリアできる人とか本当にいるんでしょうか…。トロフィーが用意されてる事を考えれば、クリアできるように作ってはあるんでしょうけど。

ただ、ゲーム自体は楽しいし、色々なパターンの弾幕が見れて「次はどんなのが来るんだろう」という楽しみもあって、1000円では安すぎるくらいですが…今回は楽曲が少ないのがちょっと物足りないかも。一つのステージに何回も挑んで攻略法を見つけていくゲーム性に合わせてか、クサメロも少なめですし。なのでクサメロに惹かれてプレイしようと思った方にはナンバリングや妖精大戦争の方がお勧め。まあ、そんな人がこの特殊な位置づけの作品から入るとか、リアル天邪鬼にも程がありますけど(笑)。むしろ作品との相性は良いの…かも。


SARKRISTA - The Acheronian Worship ★★★ (2014-05-17 10:16:26)

2013年発表の1st。

ドイツのバンドですが、出している音はまるっきり北欧、それもフィンランド辺りのプリミティブ・ブラックですね。初期SATANIC WARMASTERやプリミティブだった頃のSARGEISTなどと同路線の、Rawな音作りによる衝動性と、北欧バンドならではのメロウさを合わせたプリブラという感じですが、特筆すべきはプリブラとしての質の高さが前述のバンドと比べても全く見劣りしない…という事でしょう。

特に粗くカルトな雰囲気の中でもリフのメロウさや、楽曲の起伏の付け方をしっかり意識した作風なんかはモロにSATANIC WARMASTERを思わせますし、イントロのSE~メロウなリフを伴うプリブラとしての王道曲、続けて若干オールドスクールな曲…という構成はこの手としては思いっきりベタながら、そのベタさを凄まじく高いクオリティで演っているのが素晴らしい。「メロウなプリブラ」カテゴリの音源を買い漁ってるリスナーならば、イントロ明け2曲目のメインリフを聴いた時点で良い買い物をしたと思うことでしょう。

比較的新しい作品なのに、中古で投げ売られていた&レーベルがそれなりに有名だった事もあってサルベージしましたが、予想を遥かに超える良質な音源で非常に満足。ほんとメロウなプリブラ好きなら必聴ですよ。


BITTER PEACE - Opus Ⅱ ★★★ (2014-05-17 10:12:51)

2013年発表の2nd。
マスタリングはあのNecromorbus Studioだとか。

楽曲的には、プリミティブな質感の強い作風ながら、メロディや緩急のメリハリのしっかり付いた良質なブラックで、SEやアンビエントインストを挿入し邪悪な雰囲気を煽る展開も。Necromorbus Studioでのマスタリングの効果なのか、プロダクションはRawながら味があって良いですね。ショップでは初期デスに通じると言われていた通り、低音が効いていて陰湿さが醸し出されてますが、トレモロやアルペジオなどメロディ要素のあるギターワークの音色は鋭め。

加えて、ツーバス連打やブラスト、ファストな2ビートでの疾走のどれも心地良く聴かせるドラムの音も相俟って、音作りはアンダーグラウンドなブラック特有の粗さは残しつつ、締まりのあるものになっているように思います。また、ヴォーカルも結構特徴的で、基本的に呻き気味のがなりですが、「De Mysteriis~」期のMAYHEMを思わせる呪詛声になったり、イカレた絶叫や儀式的なクリーンなども使い、表現力はまずまず。

フレンチブラックにも通じる毒々しいメロディセンスもかなり良いですし、楽曲自体も非常に良質で、Moribund Recordsリリースらしいアングラな音源としてしっかり筋を通している、良盤だと思います。地下臭いけど、それだけではない質のあるブラック。


TIIL SUM - In Articulo Mortis ★★ (2014-05-17 10:08:01)

2013年発表の1st。

ジリジリした質感のリフ、割れ気味のノイジーなプロダクションなど、ややプリミティブ志向に寄ったブラックメタルを聴かせる作風ですが、特にスローパートにおいて顕著ですが、寒々しさや鬱な感覚だけでなく、どこか「侘しさ」みたいなものを感じさせるメロディセンスが特徴的な音ですね。

ヴォーカルが地声の混じったがなり声で、狂気よりもやりきれなさを感じるような、ダウナーなパフォーマンスを聴かせていること、楽曲の展開がミッドテンポも重視したものであることも相俟って、Rawでプリミティブな質感を感じさせつつも、鬱っ気もかなり強い音に仕上がっているように思います。音は粗めですが、メロディや展開のメリハリは十分で、楽曲自体のクオリティは低くないかと。

粗くノイジーなリフと共に、メロディに込められた寂寥感がじわじわと沁みてくる一枚。鬱系とプリミティブ系どっちも行ける方にお勧め。


PARIA - Vermin Race ★★★ (2014-05-14 18:43:03)

2009年発表の1st。
…これはまた良いバンドを見つけてしまいました。

分類としてはアヴァンギャルド・ブラックになるのでしょうか。地下ブラック特有の、密教的な湿り気を感じさせる邪悪なムード、疾走パートにおける前のめりな暴虐性を身上としながらも、変化に富んだリズムで聴き手を常に幻惑するような、禍々しくも前衛的なブラックで、特にこのドラミングがたまらなくかっこいいんですよね。

聴き手に意識を反らさないことを強制するようなリズム構成は、身の置き場の無さを感じさせ、良い意味で気持ち悪くもかっこいいんですが、疾走パートの素晴らしさには更に舌を巻くばかり。一見オールドスクールな疾走をしていても、意識の外を突いて繰り出されるボディブローのようにバスドラのフレーズを仕込んできたり、ドラムセットをしばき倒すような、速さだけでなく勢いを感じさせるブラストなども実に爽快。

ギターパートもドラミングに対応してか、しっかり「毒」の効いたフレーズを聴かせてくれてますね。アルバム導入部のギター・ベースの絡みなんかは実に淫靡。ノイジーさを伴うリフ捌きも、抽象的で正体を掴めない様なミステリアスさを感じさせてグッド。ヴォーカルは時々感情が入りすぎていて素っ頓狂な裏返り声になったりしてますが(笑)、基本的にドスの効いたがなりでそういう部分も含めて味と言えるでしょう。負のエネルギーは十分すぎるほど伝わってくるパフォーマンス。

WATAIN辺りの暴虐でドス黒いブラックと、VED BUENS ENDEの持つ前衛性、抽象性を掛け合わせたような印象の作風で、メンバー的に繋がりのあるKATHAARIAなどが路線としては近いでしょうか。ただブラストパートのキレ具合などもあり、与えるインパクトはこちらの方が上だと思う。サウンドクオリティを下げずにカルト性を演出する、その見本のような音で、ジャーマンブラック勢の中でもかなりお勧めです。


ACEDI - 2008 Demos ★★ (2014-05-14 18:37:29)

2008年発表のデモ2作(「Glemt」「Lonely Soul」)を、2012年にPest Productionsが纏め、CD化して再発したもの。500枚限定。30枚限定でテープ版も出ているとか。

タイプとしては、典型的な鬱ブラックのスタイルといっていいと思います。憎悪をたっぷりと込めて絶叫するヴォーカル、基本的に覇気も生気もないミディアム~スローで進行していく曲展開、陰りのある…というか、陰鬱さしか感じられないようなメロディセンス…と、ほぼこのジャンルのテンプレートに沿った音作りが成されていると言えるでしょう。

テンプレ通りの音でありながら、楽曲によって聴かせ方が違うのが良いですね。メロディは控えめで、ノイジーなリフが精神を削っていくような音だったり、アルペジオの残響が無情さを強調していたり、鬱々しいトレモロをゆるゆると垂れ流したり、伝え方のバリエーションは違えどどの曲もひたすら絶望感を振りまく事に終始してます。

何気に胸を掻き毟るような、歪み切ったヴォーカルなんかはかなり良い線行ってると思うし、鬱ブラックとしてはごく良質な作品といえるでしょう。ただ、個人的にはもう一声なにかこれというものが欲しい所。


HERETOIR - .Existenz. ★★★ (2014-05-13 22:10:57)

2009年発表の5曲入りEP。
隠しトラックでやたら音量の大きいピアノ曲が入ってます。

ALCESTやAMESOEURSなど、シューゲイザー的な感性を持ったバンドが台頭し始めてきた頃にかなり話題になったバンドで、今更ながら聴きましたが…確かにこれは素晴らしい!最近余りにもポスト方向に行き過ぎてて、「これ別にブラックじゃなくて良いよね」ってバンドも少なくないですが、これはシューゲイザー/ポストブラック的な儚さも醸し出しつつ、ブラックメタルのスタイルを取る事に必然性のある作風なのが良いですね。

まずメロディなんですが、ALCESTやAMESOEURSに影響を受けたという「儚さ」「エモーショナルさ」はしっかり感じさせつつも、パートによってはブラック特有のささくれ立った、厭人的で近寄りがたい感覚もあるのが素晴らしいんですよね。2曲目なんかは、ポスト/シューゲイザーブラック特有の感情に満ちたメロディを聴かせつつも、一部のパートではWLA期のMAYHEMに通じるような冷徹さすら感じるような気がします。

また、プロダクション、楽曲の両面でRawブラックの感性が強いのも特徴。生々しさを残した、乾いたドラムの音が実に耳に心地良い。オールドスクールに疾走するパートや、ツーバスで弾幕を張るようなパートとかホント気持ちいい。繊細なメロディを聴かせるパートとの対比もあって、上手くメリハリの付いた展開になっているように思います。

そしてヴォーカルの素晴らしき絶叫っぷりも特筆したいところ。この手で裏声ベースだと、どうしてもふなっしー的な滑稽さが漂ってしまいがちですが、このヴォーカルはホイッスルをベースに、思いっきり歪ませたような悲痛絶叫。マジで頭を抱えながら、血の涙を流して叫んでいそうな絶叫ですよ…。ALCESTのNeige並みの悲痛さと言っても過言ではないと思う。

流石に聴く時期としては遅きに失した感じですけど(笑)、やはりこれは話題になるだけあって良い作品ですね。ポストブラックの儚さだけでなく、本来的なブラックメタルとしての旨みも感じられる点が特に素晴らしい。


GESTALTE - Gestalte ★★ (2014-05-13 22:05:05)

2011年発表の5曲入りデモ。
Self Mutilation Servicesが1000枚限定でCD化しリリース。

ネガティビティに満ちたトレモロが楽曲の根幹を成すブラックで、Self Mutilation Servicesらしい絶望感に満ちた作風ですが…鬱ブラックとしては、かなり攻撃的でドスの効いた音になっている印象。まずその印象の大本になっているのがプロダクション。この手にありがちな高域強調ノイジーではなく、刷毛で黒の色を塗りたくったような、光を遮るような密度を感じるリフの音色が特徴的。

またヴォーカルも、鬱ブラックらしい苦悶に満ちた感情を湛えていながらも、他者を威圧するような攻撃性も備えたがなり声で、やはり鬱系にありがちな裏返り絶叫とは少し毛色が違う感じ。疾走パートも重視した楽曲展開と、プロダクションやヴォーカルの性質が相俟って、レーベルで言うとDaemon Worship ProductionsやWorld Terror Committee辺りの所属バンドに通じるような、どす黒い雰囲気を感じるんですよね。

鬱ブラックって聴いてると楽曲の持つ陰鬱な感情に徐々に引き込まれていくようなものが多いですが、これは最初からそういう「共感」めいたものを拒否してるような、殺気の篭もった作品だと思います。「同情するなら死んでみせろ」って感じの音(笑)。


SICK'S AGONY - Paranoia's Empire / Depressive Instinct ★★ (2014-05-13 21:59:43)

2013年にSelf Mutilation Servicesから500枚限定で発売されたコンピレーション盤。
2013年EP「Paranoia’s Empire」と2006年デモ「Depressive Instinct」を収録。

Self Mutilation Servicesと言うとブラック好きの間では鬱ブラックには定評があるレーベルとして有名ですが、この作品はテンポこそ極端な激遅という訳ではないものの、むしろ葬式系のドゥームに近い感触のある作風ですね。全編とぼとぼと力弱く歩くようなミッドテンポで進行し、ドラムの打音と生気の無いノイジーさを醸し出すリフがシンクロする、ドゥーミーな音作りに、枯れたメロディを奏で続けるギターメロが乗る、狂気よりも諦念の強い音。

ヴォーカルも楽曲同様、諦念に満ちた低音で、歪んだ声で力なくメロディを追ってみたり、呟くように語ったりなど、聴いていて気が滅入ってくる(褒め言葉)ようなパフォーマンス。何気に語りは美声ですし、味のあるヴォーカルで私的にはかなり好みですね。鬱ブラックとしては珍しく、歌詞が割とはっきり聞き取れますが、この歌詞も分かりやすい絶望に満ちてます。EPとデモで大きな変化はありませんが、デモの方がヴォーカルが攻撃的だったり、テンポを大胆に変えた展開があったりと、まだ「外向き」な音。個人的には徹底して「諦念」の漂うEPの楽曲の方が好みですけど。

鬱系としては展開こそミニマルですが、極端にノイジーだったり近寄りがたかったりはせず、メロディもしっかり聴かせるので割と聴きやすい方かと思います。何よりテンプレがっちりな音ではなくて、どこか味のある作風が良いです。鬱ブラック好きには地味にお勧め。


DE ARMA - Lost, Alien & Forlorn ★★★ (2014-05-11 14:48:29)

2013年発表の1st。

BERGRAVENやFEN、WHIRLINGなどポスト要素の強いブラックを演っているメンバーによって構成されたバンドですが、これらのバンドと比べてもブラック要素は薄い作風ですね。ブラックの刺々しさではなく、陰りと浮遊感を演出するギターワーク、ミッドテンポ中心のロック寄りのリズム、殆どのパートをマイルドなクリーンで歌うヴォーカルなど、ブラックと言うよりむしろディプレッシブなロックという感じの音。

クリーンヴォーカルの声質(これが鬱々としながらも色気のある声で、かなり素晴らしい)がOPETHのMikael似である事や、全体を通じて頽廃的で現生に倦んだようなな雰囲気が漂っている事などから、OPETHの「Damnation」アルバムに通じるものを感じるんですが、こちらはもっとドープで、精神的に追い詰められたものを感じますね。LIFELOVERの持っていたアーバンで病的なムードを加えた感じ、というと近いかもしれません。

意外にキャッチーな歌メロがある2曲目や3曲目など、病んだ雰囲気を醸し出しながらもある程度「取っ掛かりやすさ」のようなものがある作品。この鬱々とした空気感、聴いているとどんどん駄目になっていきそうで実に心地良い(笑)。ブラックを離れ、語弊を恐れずに言えばお洒落な音になっても、全力でマイナスの方向を向いている感性がほんと素晴らしい。


WARTHA - Paŭstań ★★ (2014-05-11 14:43:31)

2013年発表の1st。
IMMORTALのカヴァーを含む11曲入り。

ベラルーシ産のペイガンブラックという物珍しさと、ショップの紹介でもこの手のバンドの注目株と目されているという紹介に惹かれ購入。確かに、これは期待を裏切らないだけのものがありますね。オーケストラ以外にも笛の音色なども含む、シンフォニックなキーボードと、ソロにもパートを割いた、楽曲のメロディアスさを強調するメロデス風のギターワークが絡み、非常にドラマティックに展開していく、エピック極まりないペイガンブラック。

流石にショップで「脅威の新人」と言われるだけの事はあり、この手で最も重要になってくるメロディセンスはかなりのもの。ペイガン的なエスニックな神秘性と、クラシカルな華やかさを備えたメロディはクサメロ好きにはかなりグッと来る。これがドラマ性を重視したギターワークや展開と上手く噛み合ってるんですよね。ただ、声楽的な割に妙に線が細い女性ヴォーカルは、個人的にはちょっと微妙だと思ったり。確かに親しみやすくはあるけど、ここは神秘性を重視して欲しかった。

ペイガンってエスノセントリズムを追求する余り、危険思想に行き着くバンドも少なくないですが、そういうリアルなヤバさではなく、むしろ愛嬌があると言っても過言ではないくらい取っ付きやすい音だと思う。アングラさよりもむしろクサメロ求めてペイガン聴いてる人にお勧め。


SETGE - Cecs De Ràbia, Cecs De Dolor (2014-05-11 14:39:02)

2009年発表の1st。

基本的にデスメタルを取り扱うレーベルで、所属するブラックメタルバンドもデス要素の強いものが集まるXtreem musicからリリースされてますが、このバンドも例によってデスとブラックの境目くらいに位置する作風ですね。地を這うような低音のグロウル、モダンな重さも感じられる、重心の低いギターの音色、硬質なプロダクションなど、ブラックのRawさよりも、デスの暴虐性が重視された感じの音。

メロディアスなパートにおける、どこか儀式的なものも感じさせるギターのメロディ、北欧産バンドに通じる土着的な邪悪さの篭もったトレモロリフなど、ブラックの要素もある程度備えていて、メロブラ好きにもアピールできるようなポイントはあるんですが、音作りの重心の低さからやはり元になっているのはデスメタルであるように思います。暴虐度及びそれを支えるサウンドクオリティは全く問題ないですが、もう一つこのバンドならでは…というものが足りない気も。悪くはないですけど。


NOKTURNAL HELLSTORM - Nokturnal Hellstorm ★★★ (2014-05-10 11:46:30)

2012年発表の1st。

ぶっちゃけDan Lilker氏のバンドと言う事は全く知らずに購入したんですが、これが古今東西のアンダーグラウンドなブラックメタルの良い所を集めたような作風でかなり素晴らしいです。1曲目の「Naan Kadavul」からRawブラックを基本に、北欧産バンド以上に北欧っぽい、邪悪さと土着性、叙情性を高いレベルで備えた美メロを聴かせるキラーチューンの時点で掴みはオッケー。

続く2曲目「Vile Entropy」もアトモスフェリックブラック的な空間キーと、澱んだメロディのトレモロがアングラな叙情性を醸し出す佳曲ですし、寂寥感の強いムードでヴォーカルの狂性も浮き彫りになる「Eternal Wastland」は鬱系に近い耳触り。シャーシャーしたノイズと空間的キー、叙情トレモロで塗り潰すような「Ancient Spirits Call」は2曲目とは若干異なるアトモスフェリックさ、オールドスクールな中に邪悪トレモロを織り込んだ「The Trial」もなかなかの良曲…と、収録された楽曲はかなりバラエティ豊か。

但し、プロダクションはギター・ドラム共にシャリシャリした質感のあるもので、Rawブラックとしての旨みはあるものの一般的なエクストリームメタルの価値観とはやや異なるものですし、ヴォーカルは歌詞が全く聞き取れないほどぶっ壊れている訳ではないものの、裏返り気味に感情過多に叫び散らすスタイルで鬱テイストの強い声ですし、デス好きに受けるかどうかはやや疑問かも。ブラックメタルのRawさや邪悪さに少しでも共感を覚えてるなら余裕でオススメできますが。

実はこれ、新品で格安で投げ売られてたのを例によってサルベージしてきたんですが、これはフルプライスで買っても割に合うアルバムだと思います。アングラなブラックとして筋を通してる作品。


NOKTURNAL HELLSTORM ★★ (2014-05-10 11:45:10)

アメリカ産ブラックメタルバンド。
BRUTAL TRUTHなどで活動するDan Lilker氏らが2010年に結成したバンド。


FUNERAL GOAT - Mass ov Perversion ★★ (2014-05-10 11:39:40)

2009年発表の1st。

発売元のDAEMON WORSHIPって、ブラックのアングラな湿気は残しつつも、ある程度高いクオリティのプロダクションの作品をリリースするバンドが多いイメージがあるんですが、このレーベルの所属バンドとしてはかなりノイジーな部類に入る音ですね。ヒリヒリした…とか、痛みを表すような擬音で表現したくなるような、苛烈極まりない音作りで結構聴き手を選びそうな感じ。

音作りがノイジーで過激なだけでなく、ノイズ質の中からうっすらと聴こえてくるトレモロにはブラック特有の邪悪な叙情性が込められているし、生々しく活力のある疾走を聴かせるドラム、楽曲のどす黒いムードを更に強めるような、厳かに吐き出すような低音グロウルメインのヴォーカルなども、プロダクションのノイジーさと相俟ってよりカルトな雰囲気を強調してますね。

苛烈なプロダクションが、トレモロの毒気と合わさってどこか陰湿で、閉塞感があって、儀式的な雰囲気を醸し出している作品。個人的にはノイジーさが少しキツめな気はしますが、アングラなブラックとしては申し分のない邪悪さですよ。


TROU NOIR - Trou Noir Vortex (2014-05-08 09:58:35)

2012年発表の1st。

ロシアとフランスの混成アンビエント・ブラックという、ちょっと変わった経歴を持つバンドで、ブラックホールを意味するバンド名といい、如何にもDARKSPACE辺りに通じるような宇宙ブラックを演ってそうな感じですが…実際の音は宇宙的なシンセ・アンビエント、浮遊感のあるアコギなどでイメージを演出してはいるものの、バンドサウンド部分はもっとストレートでシンプル、かつRawなブラックという感じ。

高音強調型の荒々しいプロダクションで、寒々しいトレモロや必死の形相が垣間見えそうな絶叫ヴォーカルを伴いつつ疾走する作風で、アンビエント部分が吹雪系SEでアコギが土着メロだったら普通に雪山の情景が浮かんできてしまいそう(笑)。プロダクションは若干癖があり、Rawでシャーシャーした歪め方それ自体は悪くないんですが、音が小さめなのが痛いですね…ワームホール航行のためのエネルギーが足りない、みたいな印象が(苦笑)。

時々リフに込められたメロディに神秘的なものがあったり、光るものはあると思うんですが正直アンビエントブラックとしては、現時点ではB級な感じがします。DARKSPACEやVINTERRIKETと比較すると大分マニア向けな感じ。


TROU NOIR ★★ (2014-05-08 09:56:28)

ロシア・フランスの混成アンビエント・ブラック。
DRAKONHAILやSALE FREUXでも活動するDunkel氏が在籍。
バンド名はフランス語で「ブラックホール」の意。


LUX DIVINA - Possessed by Telluric Feelings ★★★ (2014-05-08 09:49:19)

2013年発表の2nd。

スペイン産のペイガンブラック…との事ですが、これはかなり良いですね。作品のクオリティが高いのは大前提としてある上で、メタリックさ、アトモスフェリックさ、土着性などペイガンブラックを構成する要素が、非常に均整の取れた状態で詰め込まれた良質な作品だと思います。
作風としては、民族楽器の使用は一部で、主にリフに土着的なメロディを練り込み、叙情的に聴かせるスタイルですが、このメロディがかなり秀逸。ペイガンブラック特有の、身を切るような哀感のたっぷり篭もったスタイルで、個人的には特に疾走パートにおいてはDRUDKHやAGALLOCH辺りの、アトモスフェリックに寄った作風のペイガンブラックに通じる叙情性も感じたり。

ただ、アトモスフェリックな質感もありますが、楽曲の展開自体はドラマ性を重視している感じで、メタルとしてのダイナミックさも強め。また、ヴォーカルは絶叫とクリーンを使い分けるタイプですが、特にクリーンの方がVintersorg氏似の陶酔しながらマイルドに歌い上げる歌唱でかなり素晴らしい。この手でクリーンが喉締め系のナヨ声とかだと一気に現実に引き戻されて萎えますが、このヴォーカルはバンドの演出するシャーマニックな世界観の語り部として十二分と言えるでしょう。絶叫パートの迫力も及第点は軽く超えてるかと。

マイナー臭さも薄く、ペイガン系の叙情メロが好きでエクストリームメタルの凶暴さに耐性・嗜好があるメタル好きであればお勧めできる一枚。変に癖のある音ではありませんが、ペイガン系の美味しいところはしっかり感じさせてくれる好盤だと思います。


ODEM - The Valley of Cut Tongues ★★ (2014-05-08 09:43:36)

2013年発表の4曲入りEP。

ドス黒くサタニック、かつクオリティの高いブラックメタルを提供する事にかけては定評のあるDAEMON WORSHIPからのリリースとしては珍しく、かなりデスメタル寄りのブラックメタル。ブラック的なダーティさと、デス由来のヘヴィさで武装したプロダクションを纏いつつ、BEHEMOTHばりの突進で根こそぎ蹂躙し尽くすような音で、ヴォーカルのスタイルもデス的な低音グロウル。

ただ、この手のデスメタルに寄ったブラックメタルとしては、「アンダーグラウンドなブラック」の匂いも強烈に漂っているのが特徴でしょうか。悪意に満ちたメロディを奏でるトレモロを、ウォーブラック並のハイテンションで撒き散らすような部分なんかはたまらないものがありますね。この辺りはやはりDAEMON WORSHIP所属のバンドらしいと言えるのかも。

レーベル買いしたら予想と大分異なる音だったんですが、これはこれで良いですね。凶暴かつ邪悪な音で叩き潰されたい人にお勧め。


FLAMEN - Supremo Die ★★ (2014-05-04 12:56:14)

2013年発表の4曲入りEP。

4曲中2曲がアコースティックやシンセによるインストながら、残りの2曲が割と大作なのでEPとしてのボリュームはまずます。イタリア産のペイガンブラックとの事ですが、うっすらとノイズの掛かったリフ、暴虐まで行かない、ミディアム中心のテンポ設定、楽曲の神秘性を高める、あくまで装飾的なキーボードの使用など、思想性・攻撃性よりも叙情性や情景を大事にしているような作風。

漣のようなトレモロが聴け、全体的にメロウさ強めの音作りではあるんですが…中でも2曲目「Supremo Die」の4分20秒辺りから、約2分間に渡って続くパートは常軌を逸したようなメロウさ。正にスーパーメロウタイムって感じです(笑)。3曲目の後半の高音トレモロなんかもかなりメロウ。メロメロ好きであれば脳が溶かされます(笑)。ちなみにヴォーカルはがなり声で、厳かに語りかけるような威風が作風にピッタリ合ってると思う。

メロウなメロディを聴かせるバンドの多いペイガン系のブラックにおいても、かなりメロウ度は高い作品だと思います。叙情性に、若干の勇壮さを加えたような民族メロ、それがツボなメロブラファンは是非。


STERBENZEIT - Werdet leiden ★★ (2014-05-04 12:51:42)

2010年発表の1st。

この作品、かのSelf Mutilation Servicesからリリースされてるんですが、如何にもって音ですよね(笑)。悲痛に裏返った絶叫、人生を諦めたくなる気持ちを促進するような鬱トレモロ、基本スローに粛々と展開していくテンポなど、ほぼ鬱ブラックのテンプレート通りの作風ながら、ヴォーカルの悲壮感、メロディの陰鬱さなど、鬱ブラックを構成する基本要素のレベルはなかなかに高いと思う。

ただ、トレモロのメロディは聴き取り易いものの、何故かドラムの音色がかなりRaw。金物の音が若干耳に痛いのが微妙ですが、バスドラの響くような音が妙に音質に陰り・湿り気を与えていて、雰囲気はかなり出ていると思う。後半面白いリズム展開もあるものの、特に前半はミニマル志向が強めで、鬱系としてはややマニア向け…というかジャンルを踏み込んで聴いてる人向けでしょうか。まあこのドゥーミーでグルーミーな雰囲気を纏いつつ、ゆっくり展開していく構成は鬱ブラ好きなら、むしろ好ましいところでしょうけど。


MALCUIDANT - Et les cieux s'assombrirent... ★★★ (2014-05-03 08:54:25)

2011年発表の2nd。

アルバム序盤からフレンチブラック特有の屈折した耽美さというか、病んだ叙情性を醸し出すトレモロリフが炸裂していたので、鬱系に近い音かと思いきや、意外にもオールドスクールな側面もあるブラックメタルで、フレンチブラックとノルウェー産ブラックのスタイルの良いとこ取りをしたような作風。

弾幕のようなツーバス連打、ノリの良いスラッシーな展開などを交えたリズム構成は、心地良い緊張感があって、何気に毒と叙情の篭もったメロディとは好相性。メロディの良さをより引き締めている感じ。そしてメロディの聴かせ方も巧いですよね。耽美系トレモロがハーモニーになって迸っている箇所なんて、メロディック・ブラックが好きであれば悶絶ものでしょう。

物凄く独特な事をやっている訳ではないんですが、やはりメロディが良いというのは大きな武器ですよね。全編で大盤振る舞いされる鬱屈した哀愁メロディはかなり中毒性があると思う。オールドスクール要素を交えた楽曲構成、メジャー臭はしないものの、低くは無いサウンドプロダクションの質もあり、変なマニアックさは感じられないですし、この手のメロブラが好きであれば大推薦の作品。


CHADENN - Pour redevenir poussière ★★★ (2014-05-03 08:50:53)

2012年発表の2nd。

関連バンドのMOONREICHがなかなか良かったことと、セールで割引だった事もあって購入したんですが、これがRawブラックとしてかなり素晴らしい出来で驚きました。例えていうなら、ULVERの3rdを若干マイルドにしたようなRawさと、SATANIC WARMASTERの3rdの持つドラマティックさを組み合わせた感じ…というと褒め過ぎでしょうか。個人的にそんな印象を受ける作品なんですよね。

この作品の魅力は、何と言ってもギターワークだと思います。単にリフを繰り返していくだけでなく、2本のギターを左右チャンネルに振り分けてフレーズを組み立てる事で楽曲を牽引しつつ、刻みとトレモロを動的に組み合わせた生き生きとしたギターワークが本当に素晴らしい。ドラマティックなフレーズで攻める構成ながら、ジギジギとしたRawでノイジーな音の響きや、サタニックでマジェスティックなトレモロのメロディなど、ブラックとしての本懐である邪悪さもしっかり演出されているのがまた良いんですよね。

そういう訳で、Rawさとドラマティックさを高い次元で両立している好盤だと思います。このギターワークはかなり好み。Rawな音質といってもこの手では聴きやすい方だと思いますし、ブラック愛好家には自信を持ってオススメです。


ASTARIUM - Wyrm of Melancholy (2014-05-01 18:22:51)

2012年発表の3rd。

前作「Dethroned of Impostor」がチープな音色も味に感じるような、センスの良いアトモスフェリック/シンフォニック・ブラックだった事もあって、相当な期待を持って聴いたのですが…最初聴いた時は頭を抱えてしまいました。なんか望まぬ方向に音楽性が変化してて、リアルで苦悶の呻きを発してしまいましたよ…(苦笑)。

ノイズ質を引き摺ることで情景にある種の彩りを与えたり、繊細なメロディをノイジーに紡ぎ上げたりするギターワークは、前作のトレモロ中心のそれとは最早別物。ミディアムテンポ中心の展開、SEも取り入れたアンビエントな楽曲の挿入などもあって、最早ポストブラック寄りのドゥームみたいな感じになってるんですが…。同名異バンドの作品を買ったのかと思ったほど。

まあ、邪悪さが殆ど無くなり、叙情方向に大きく舵を切ったとは言え、繊細なドラマ性を湛えたメロディはそれはそれで良いと思うし、全く駄目な作品だとは全然思わないんですが…正直前作を気に入っていた人間からすると、ちょっとこの変化は頂けないですね…。


GOL - Appaller ★★★ (2014-05-01 18:22:09)

2011年発表の1st。

オーストラリア産のプリミティブ・ブラックとの事ですが…最近聴いたプリブラの中では妙にツボに入ってしまった1枚。楽曲的には、おぞましさの感情を喚び起こすようなスロー、アングラな熱気の篭もったオールドスクールなパートも挟みつつ、基本はトレモロを伴いシンプルに疾走するプリブラですが、メロディがあからさまなまでの暗黒臭を放っているのが大きな特徴。

プレイボタンを押した途端に流れる、まるでコンピューターゲームの魔界のシーンでも演出してるような、分かりやすいダークさを湛えたメロディがまず素晴らしいんですが、薄っぺらいノイジーさに、意外にも効いている低音を組み合わせた、Rawながら妙な奥行きを感じるプロダクションがメロディの暗黒属性を更に強調してるんですよね。この音作りが、メロディの黒さの深度を上げているというか。

若干マイナーっぽいバンドですけど、これはかなり良いですよ。流石にプリブラを普段から聴いてない人にはお勧めはしませんが、しっかりツボを押さえた良質な作品だと思います。


FÄULNIS - Snuff || Hiroshima ★★ (2014-04-30 12:21:01)

2014年発表の3rd。
タイトルが気になるけど、歌詞自体はドイツ語で内容が分からないのが残念…。

かのCold Dimensionsが新たに契約したバンドという事で、チェックしてみたんですが、これはなかなかユニークなバンドですね。自身の音楽性を「ブラック・ドゥーム・パンク・ロック」と自称しているようですが、パンク・ハードコア的な明るさ・キャッチネスはほぼ皆無で、実際には物悲しいトレモロを主軸とした、このレーベルらしいアトモスフェリックでメロディックなブラックメタルという感じ。

ただ、時折出てくる躍動感のあるリズム、やけっぱちに地声交じりで絶叫するヴォーカルなど、パンキッシュな部分も確かにあって、それが多くのアトモスフェリック・ブラックが演出するような、「情景的」な音とは一線を画す作風に繋がってるんですよね。もっと人間的でエモーショナルな絶望感が醸し出されており、Cold Dimensions所属バンドらしい、鬱々としたトレモロが別の形で生かされているような仕上がり。

確かにアトモスフェリック・ブラック的な側面もかなり強いバンドなんですが、感性的にはCOLDWORLDとかVINTERRIKET辺りの寒々しい情景を描くバンドよりは、むしろLIFELOVER辺りの人生に疲れて倦み切ったような感覚に近いものを感じるんですよね。最近ハードコアとブラックの要素を持つバンドのKVELERTAKがかなり話題になってますが、あのバンドのファンに聴かせてみたいです(笑)。


FÄULNIS ★★ (2014-04-30 12:17:06)

「ブラック・ドゥーム・パンク・ロック」を自称するドイツのバンド。
現在はCold Dimensionsに所属。


SUBLIRITUM - Downfall ★★★ (2014-04-26 23:37:47)

2014年発表の3rd。

Vyl氏参加、KEEP OF KALESSINを思わせるハイクオリティな作風…と、ショップでもかなり大きく扱われていて、試聴してみたら一発で気に入ってしまいました。まず素晴らしいのは、ショップでの売り文句「KEEP OF KALESSINを思わせる」が全くハッタリに聞こえない、ギターワークで聴かせるメロディック・ブラックとしての超クオリティっぷりですね。

スラッシュメタルをベースとした豪速の刻みリフを随所に混ぜつつも、ブラックらしい繊細なメロディのトレモロを織り込んだ、下手にヘヴィさに頼ることなく、フレーズの細やかさ、華やかさで聴かせるギターワークは、正にKEEP OF KALESSINが提示した様式を踏襲したスタイル。そのテクニカルなギターワークにピタリと連動し、緊張感を跳ね上げるVyl氏のドラミングも合わせて、バンドのアンサンブルを聴いてるだけで恍惚となれます。

但し、DISSECTIONのブリザードリフを思わせる寒々しいパートもありますが、左右のギターをクラシカルなメロディでハモらせたり、メロブラとしてもメロディアスさが破格な上に、メロディの方向が土着性や邪悪さよりも、叙情性や華美さの方に向かっているため、本国ではTV出演すら果たしたKOKと比較しても、ブラックとしての邪悪さは希薄。KOKよりも、更にメロデスに近い音を出している印象。

邪悪でカルトなブラックも好きですが、個人的にはこういう甘美なギターワークでうっとり出来る高品質なブラックもまた素晴らしいと思います。エクストリームメタルとしての緊張感は随一ですし。非マニアなブラック好きや、メロデス愛好家にもお勧め。かなり素晴らしいです。


SUBLIRITUM ★★ (2014-04-26 23:36:43)

ノルウェー産ブラック。
最新作や前作ではKEEP OF KALESSINのVyl氏がドラムで参加してますね。
以前の作品ではThebon氏も参加など、KOKと関りの深いバンド。


ETERNA PENUMBRA - Odio Antihumano ★★ (2014-04-26 23:25:46)

2009年に300枚限定でテープでリリースされたEPを、Self Mutilation Servicesが500枚限定でCD化し、再発したもの。こちらのCD盤では未発表曲やデモ音源、スプリットなどの楽曲のリハーサル版も収録されており、EPながら40分とフルアルバム並のボリューム。

路線としては、RAWに響くブラストビートも多めに取り入れた、鬱ブラックとしてはかなり攻撃性も高い音ですが…リフに込められたメロディは、情熱の国スペインのイメージを真っ向から否定するような、陰鬱で陰惨な雰囲気。僅かに金属質な響きを帯びつつ、トレモロを伴いノイジーに包み込む音色とも相俟って、大気が徐々に腐食していくかのような鬱なムードを醸し出してます。

ヴォーカルは地声の混じった喚き声ですが…鬱系の多くが高音で泣き叫ぶような絶叫を多用するのに対し、このヴォーカルは中音域が中心。これが歪みの強い歌声の所では精神が異常をきたしたかのような凄絶さが、歪みの少ない、地声強めの部分では苦悩し、嘆いているかのような感情が感じられ、かなり印象深く聞こえるんですよね。鬱系にありがちな悲痛絶叫以上に聴き手をやるせなくしてくれます。

ちなみに、アルバム後半のリハーサル音源では楽曲の路線自体は変わらないながら、更にRAWさを増したドラミングと、金属質さが薄れ、より生々しい形で腐食系トレモロを聴かせてくれ、本編と違った魅力を感じられるのでちょっと得した気分。…しかしこの痛ましいヴォーカル聴いてると、自分より不幸な人を見て安心するような、妙な気分になってきますね(笑)。そんな鬱音源を聴きたい方は是非。


ETERNA PENUMBRA ★★ (2014-04-26 23:23:57)

スペイン産ブラック。
AVERSIO HUMANITATISのメンバーが関与するバンド。
結成は2007年なのでこっちの方が先ですね。


VALLENDUSK - Black Clouds Gathering ★★★ (2014-04-25 21:41:39)

2013年発表の1st。
これは試聴して「よし、今度買いに行こう」と即決でした(笑)。
…今更試聴するというのも遅過ぎですけど(笑)。

路線としては、ブラックメタル特有の深く歪んだギターと、儚げなメロディによるトレモロにより、身を切るようなエモーショナルさを演出する、所謂ポスト/シューゲイザーブラックですが…このバンド、トレモロリフの使い方が犯罪級に上手いと思う。この手の中でも、メロディの良さやトレモロの聴かせ方の上手さではトップクラスなのではないでしょうか。こんなバンドを見つけるなんて、流石Pest Productionと感心するしかありません。

まずトレモロリフですが…結構この手のバンドって、音像に拘るあまりトレモロそれ自体の音色が弱めというケースがあるんですが、このバンドはトレモロの「音程が細かく上下する音色」を、かなり前面に押し出した音作りになっているのが素晴らしいです。正直このトレモロ愛溢れる音作りだけでも個人的には「買い」確定なのですが…輪をかけてメロディそれ自体も素晴らしいのだからたまりません。

ポスト/シューゲイザー系特有の温かみのある、儚くエモーショナルな雰囲気も最高レベルで備えていながら、そこに分かりやすいまでの「泣き」「哀愁」が感じられるメロディ。例えばALCESTのようなバンドよりも、もっと露骨に泣かせに来てるような感じ。これがトレモロを前面に押し出した音像と合わさると最早あざとさすら感じるほど(笑)。ヴォーカルはブラックらしいがなりですが、楽曲の持つ自然崇拝的ムードにはかなりマッチしてますね。本能と感情に身を委ねてる感じで。

音源には最早何の不満も無いですね。この手のブラックとしては個人的には満点をあげたいです(笑)。唯一の不満は装丁でしょうか…デジパックだと思ったら、デジスリーブ形式(紙のジャケに直接CDを入れる。当然CD出し入れの度に摺れるリスクあり)だったのが腹が立つ。ほんとこの形式やめて欲しいわ…。


VALLENDUSK ★★ (2014-04-25 21:40:42)

去年Pest Productionから初のフルアルバムをリリースした、ポスト/シューゲイザーブラック期待のバンド。なんとインドネシア出身のバンドだとか。


MOONREICH - Terribilis Est Locus Iste ★★★ (2014-04-25 21:38:21)

2013年発表の2nd。

流石、ATMFやDe Tenebrarum Principioなどブラックの名門レーベルから作品をリリースしているだけあって、暴虐性・邪悪さ・かっこよさ共に高いレベルで安定した音を聴かせてくれますね。基本はしっかりと低音も効きつつ、ブラック特有のRAWさもある程度残したリフの音色が、瘴気の靄が立ちこめるような重々しさを感じさせつつも、薙ぎ倒すようなファストパートを挟みつつ展開する暴虐なブラック。ただ叫ぶだけではなく、音源からでも十二分に怒気が伝わってくるようなキレたヴォーカルも素晴らしいです。

カルト性も感じられる作風ですが、何気にストップ&ゴーを駆使した展開があったり、楽曲のドラマ性もかなり重視している印象。基本はBlasphemer期のMAYHEMを思わせる冷徹で無慈悲なムードのメロディ多めですが、フレンチブラックらしい毒々しいメロディを聴かせたり、時に過剰なまでにメロディアスになったり、禍々しさをキープしつつも様々な表情を見せてくれる展開が良いですね。そのどれもが非常にかっこいい。特に5曲目、「The Serpent Presaging Sinister」の、メイルシュトロームに巻き込むかの如きトレモロ暴虐疾走振りは好き者ならずとも悶絶確定。この曲かっこよすぎです(笑)。

全体のクオリティも高く、キラーチューンも完備したかなり良質な作品。初心者にお勧めできるほどの取っ付き易さは流石に感じられませんが、エクストリームメタルの取り扱いがある店をハシゴして休日が終わってしまうような愛好家にはお勧めです(笑)。


MOONREICH ★★ (2014-04-25 21:37:13)

フランス産ブラック。
CHADENNのライブメンバーでもあるWeddir氏らによるバンド。


VATTNET VISKAR - Vattnet Viskar ★★★ (2014-04-23 20:58:25)

2012年の3曲入りEP。

このバンド、「ブラックメタルが好きな人が聴くポストブラックメタル」として、かなり良い線行っているのではないでしょうか。ポスト/シューゲイザー系はアコースティックやノイジーな音像に拘って、肝心のトレモロがそれ程重視されない事も珍しくはないですが、この作品はポスト系特有の儚さや繊細さを演出しつつも、がっつりと「ブラックとしてのトレモロ」を聴かせてくれるのが素晴らしい。

また、楽曲や音の構成もポスト方向に行き過ぎて、「ブラックメタル」「ヘヴィメタル」を逸脱したりしないのが良いですね。偏執的なまでに繰り出されるトレモロリフに込められたメロディは、エモーショナルさとダークさを両立させているし、ポスト系にありがちなナヨナヨした喉締めクリーンを用いず、全編ドスの効いたがなりで押し通すヴォーカルワークも素晴らしい。また、トレモロ偏重なスタイルながら、情景描写だけでなく、ヘヴィメタルとしてのダイナミズムも重視した展開もグッド。3曲目の溜めてから邪悪なエネルギーの奔流を叩き込むような展開には痺れました。

率直に言って、かなりの良作だと思います。現時点でもメロディセンスは優れているように思いますが、あと少しだけメロディそのものの印象度も上げてくれれば、もう完璧かと。個人的に「ブラックメタル」である事と「ポストロック」である事のバランスが理想に近い作風なので、今後このバランスが変に崩れない事を願います。


CELEPHAÏS - Tir N'a N'og ★★ (2014-04-23 20:49:10)

2012年発表の2曲入りEP。
自主制作にてリリースされた後、ポストブラック好きにはお馴染みのPest Productionが出時スリーブ仕様、500枚限定で再発。再発にあたり、アートワークも新調されてる模様です。…デジスリーブ仕様、大嫌いだわ…。取り出しにくいし保存性も悪いし正に誰得ってやつですよ…。

音楽性的には、一曲目の「Wisdom」が一部を除いてほとんどアコースティックな音で構成されている事からも分かる通り、ギターのノイジーな轟音だけでなく、アコースティックやクリーントーンの音色にも重きを置いた、叙情的で幻想的な作風。ヴォーカルも入れず、フォーキーな叙情メロディでファンタジックな光景を描き出すことに専念しているかのような音作り。作風が作風だけに、2曲でも30分以上の演奏時間がありボリュームも少なくは無いです。

特筆したいのは、作品の構成の上手さですね。まず1曲目「Wisdom」で聴き手と「ティル・ナ・ノグ」の情景を共有するかのように、丁寧にメロディを紡いでおいて、2曲目「Tir N’a N’Og」で風景的な世界観から、ポスト/シューゲイザーブラック特有の轟音と共にスピリチュアルな世界に離陸していく展開が秀逸。トレモロリフも伴うクライマックス部分は、聴き手の魂魄をバンドの描く情景に連れ去るかのよう。この部分はホント、聴いててゾクゾク来ましたね…。

ただ、トレモロフェチとしてはアコースティック・クリーントーン重視の音は若干物足りなく感じるのと、正直怒涛のクライマックスを迎えた後にちょっとダレを感じる部分があるので、個人的な好みのドツボとまでは行きませんでした。ただファンタジーな光景を聴き手と共有できる描写力の高さはかなりのものなので、その系等が好きな方にはお勧めできる作品。


CRYPTIK HOWLING - Synthetic Ascension Design ★★★ (2014-04-15 22:28:35)

2013年発表の3rd。
ショップでの紹介と、アルバムタイトルのかっこよさに惹かれ購入。

ショップでもCRADLE OF FILTHやDIMMU BORGIR辺りのバンドが引き合いに出されていた通り、一言で言えば楽曲展開や音質など、トータルでのクオリティも高いシンフォニック・ブラック…という感じですが、その辺りのメジャーバンドと比較すると、こちらはアングラなブラックにも通じる不穏さが強めな作風ですね。個人的には2曲目の中間部なんかはMAYHEMにも通じる陰湿さを感じたり。

どちらかというとシンセよりもトレモロリフのメロディを強調するパートに主眼が置かれている印象ですが、メロディの傾向としてはメロブラ特有の邪悪な優美さを感じさせつつも、湿り気のある、仄暗い雰囲気が強い感じ。シンセはこの手のバンドとしてはやや派手さは抑え目ではありますが、上手くメロディの陰湿なムードを際立てていて良い感じです。

音作りや楽曲の良さなど、基本的なクオリティの高さを押さえつつも、ブラック特有の陰湿さを感じさせてくれる良作だと思います。近年のシンフォブラックでは、例えばWINTERBURSTやSATURNIAN辺りの近作が派手でメジャーな音を出していたのとは好対照。


SVARTIDAUƉI - Flesh Cathedral ★★★ (2014-04-15 22:23:12)

2012年発表の1st。

まずバンド名があのSATYRICONもリスペクトしたカルトアーティスト、WHENの怪作「SVARTIDAUDI」を思わせる事と、ブラック好きにはお馴染みのレーベル、信頼と実績のDaemon Worshipから出てる時点でリーチ掛かってますが、そんな期待を裏切らない素晴らしい作品ですよ、これは…。

まず、WATAINやONDSKAPT、ACRIMONIOUS辺りに通じるドスの効いた、真性ムードの色濃いメロディック・ブラックが軸にあって、それを薬物と硫酸でドロけさせたような作風で、特にWATAINなんかと比較するとメタリックさは大分抑え目ではあるんですが、その分粘っこい、纏わりついてくるような粘液質な邪悪さに特化されたような音。より「現実から超越してしまった音」とも言えるかもしれません。

そんな雰囲気満点のどす黒い音なんですが、展開の方はブラストビートで畳み掛けるようなパートや、メロディアスなトレモロで攻めるパートもかなり多く、かなりドラマティック。ドラマ性のある展開なのに、常に底なし沼から聴き手を引き込もうとする黒い腕が無数に伸びているかのような、禍々しいムードに覆われているのが素晴らしいです。ブラストパートなんて解脱するような恍惚感を感じますもん(笑)。ヴォーカルもオーソドックスな中域がなりですが、ドスが聴いててグッド。

邪悪さ、陰湿なムード、骨太さどれも兼ね備えた暗黒なブラックで、如何にもDaemon Worshipらしい音源。レーベルの音源を追ってる方は勿論、邪悪で閉塞感のあるブラックが好きであれば買いです。


倉木麻衣 - OVER THE RAINBOW - ラララ*ラ ★★★ (2014-04-15 22:20:20)

個人的に、このアルバムは前作と比べると少し小粒な印象があるんですが(それでも十分良作だとは思う)、最後に凄いのが来ましたね…。もうAメロからこれはクッサいサビが来る…と思ってましたが、予想以上のものが聴けて大悶絶。歌謡的な哀愁に、ほんの少しだけスパニッシュを混ぜたようなイメージのクサメロ。クサメタル並の臭気ブチ撒けながら、しっかりポップに纏めている辺り本当に良い曲だと思います。


倉木麻衣 - FUTURE KISS - I can do it now ★★★ (2014-04-15 22:19:32)

これ、何気に倉木さんのキャリアの中でも、実は相当な名曲なのではないでしょうか。全体的にはどこか洗練されている印象なんですが、歌メロはJ-POPでいう「桜ソング」的な哀愁に満ちているし、クールに見せかけて間奏のピアノがめっちゃクサい、ドラマティックなアレンジも素晴らしい。シングル曲以上にキャッチーな歌メロを持つ楽曲の多いこのアルバムの中でも、目玉といえる曲だと個人的には思ってます。


倉木麻衣 - FUTURE KISS - I scream! ★★★ (2014-04-15 22:18:45)

これ、歌詞見たときはちょっと笑いました(笑)。いくらなんでもダイレクト過ぎで、ヤケクソさすら漂ってるんですけど(笑)。但し曲自体はシングルカットも余裕で出来そうなキャッチーなサビメロと、スクラッチやシンセリフがかっこいいアレンジが耳を惹く、なかなかの名曲。曲が良いだけに、歌詞の何とも言えない感じが余計際立って聴こえます(笑)。


倉木麻衣 - FUTURE KISS - SUMMER TIME GONE ★★★ (2014-04-15 22:18:10)

これは初めて聴いたときから「おおおお!!」となりました(笑)。サビだけでなく、Aメロ~Bメロに至るまで、歌メロが凄まじくベッタベタな哀愁に包まれていて、正直たまらないものがあります。ちょっとエキゾチックなAメロ、泣かせにかかるBメロ、歌謡的キャッチネスが爆裂するサビと、各メロの属性が若干違うのに、「クサさ」で結ばれているのがまた良いんですよね。やはりJ-POPのメロディはこれくらいベタな方が良いですね。


倉木麻衣 - FUSE OF LOVE - ダンシング ★★★ (2014-04-15 22:17:31)

「ダンシン、ダンシン、ダンシン、ダンシン」の連呼や「1,2,3,4,5,6,7,8」のカウントをメロディに乗せた歌詞が嫌でも耳に残る楽曲で、倉木さんの曲の中でもぶっちぎりの洗脳力を備えた、ある意味名曲。ベースリフとリズムが強調され、スリリングな雰囲気のオケが無駄にかっこいいのも非常にポイント高いです(笑)。正直迷曲扱いされるのも分からないではないんですが、個人的にはポップスなら手堅く纏まってるより、これくらいインパクトある方が好きですね。


OPVS LEVIATHAN - I : O : I ★★★ (2014-04-12 14:10:06)

2012年発表の1st。
CDショップのブラックコーナーで見かけて、横ジャケのバンド名・アルバム名から何か神秘的なものを感じ、ずっと気になっていたんですが…遂に思い切って購入(笑)。…そんな経緯で買ったんですが、何気に素晴らしいアルバムで驚きました。

路線としては、ペイガン風味をベースに、時折中近東風味だったり北欧ブラックの土着の邪悪さを醸し出したりする叙情的メロディを、ブラックらしいトレモロリフやギターのハモリなどを駆使して聴かせつつ、妖しげなクリーンや儀式的なアコースティックパート、要所で楽曲に彩りを与えるキーなども取り入れ、ドラマ性たっぷりに展開するメロディアスなブラックメタル。このバンドは「エピック・ブラック」として認識されているようですが、正にエピックの名に恥じない、ドラマ性・構築性の高い作風。

…なんですけど、構築性が高い作風で、高品質にもかかわらず衝動性もまた高いのが素晴らしい。メロディアスで練られた展開ながら、楽曲の中心はトレモロリフによる叙情メロとブラストパートに置かれている感じで、食いちぎるような絶叫ヴォーカルも相俟って攻撃性の高さも感じさせてくれます。また、キーボードなど装飾的な部分でのセンスも非常に良く、2曲目の導入部なんて一気に幻想的で暗黒な世界観に没入させられてしまうし、随所で聴ける空間的なキーとトレモロリフを伴いつつブラストで疾走するパートなどは、アトモスフェリックブラック顔負けのカタルシスをもたらしてくれます。

という訳で、ドラマ性、楽曲構築能力、攻撃性、メロディの良さなどあらゆる面でレベルの高い音を聴かせてくれる作品。音質も悪くないですし、ドラマティックで激烈、かつメロディアスなブラックを求めている方であれば必聴の一枚。


OPVS LEVIATHAN ★★ (2014-04-12 14:08:43)

コロンビア産ブラック。
以前はLEVIATHANの名で活動していたらしいです。


FYRNASK - Eldir Nótt ★★★ (2014-04-04 11:45:52)

2013年発表の2nd。

今でこそブラックメタルとノイズ・アンビエントをくっつけて、更にドス黒さを増すような音楽性というのは珍しくないですが…このバンドはDARKSPACE辺りと並んで、その中でも頭一つ抜けた表現力を持っているのではないでしょうか。この作品で初めてこのバンドの楽曲に触れたんですが、そう思う程に圧倒されました。

楽曲はアンビエントに寄ったパートとブラックパートに分かれるタイプの構成ですが、アンビエントパートでも過度に静かにならず、ドス黒く塗り潰すような音圧と、宗教的恍惚を誘発するような妖しげなクワイア、自然音やノイズなどのSEを駆使して、聴き手を本気で殺しにかかっているような、殺気と邪気に塗れた音を聴かせてくれるのがまた素晴らしいんですよね。アンビエント要素は取り入れ方が半チクだと退屈なものになってしまいますが、この作品は退屈さなど全く感じさせません。

そしてブラックメタルパートもまた素晴らしい。アンビエントブラック特有の、黒く塗り潰す系の音像を保ったまま、ブラストビートやトレモロを入れてくるんですが、これが凄まじくマッチしてる。トレモロリフに込められたメロディは邪悪ながら神秘性も感じさせるもので、それがドローンめいた黒い音塊に映え、何か禁忌に触れてしまったかのような背徳的で魔性なムードを醸し出してます。この辺りのセンスは、同郷のLUNAR AURORAの近作にも通じるものがあると思う。

その二つが合わさって出来る世界観は、ダークでダイナミックで、映像的な感じがするんですよね。アルバムの序盤から、何か不吉な予兆…闇に閉ざされて荒廃した世界…神の手ではなく、悪魔の手による掲挙…崩壊する秩序、みたいな、やたらスペクタクルなストーリーが脳内に浮かんできてしまいましたもん(笑)。聴いてる間中、ずっとそんな感じの破滅的でスケールの大きい映像が浮かんでくる。

ブラックメタルバンドってそれぞれに独自の世界観を持っている事が多いですが、このバンドはそこが圧倒的で素晴らしいです。破滅的なヴィジョンを見てみたい方は是非。DARKSPACEやLUNAR AURORAなどが好みの方にもお勧め。


DESOLATE - Dragonia ★★ (2014-04-04 11:39:09)

2012年発表の5曲入りEP。

様々なスタイルのメロディックブラックを手掛けるDesolate氏ですが、このプロジェクトは今までで最もメロデスに近い音かもしれません。低音を強調した、無骨なリフにメロディアスなリードギター、いつもの彼と同様の低音咆哮ヴォーカルが乗るというスタイル。リフの感触のせいか、いつもよりメタル色の強い音。タイトル曲はシンセアンビエントと今作特有のメロいギターワークを組み合わせた異色の楽曲で、雰囲気たっぷりで良い感じ。

そして彼の関連音源を聴くときはいつも思っていることですが、やはりメロディセンスが良いです。今作は邪悪さよりもメロウさ、泣きが重視されている感じで、ところどころあからさまではない程度に日本人らしいメロディが出てくるのがまた素晴らしいです。ただ、今作はメロディをリードギターに任せ、トレモロは使わないスタイルなので他のプロジェクトの方が好みといえば好み。まあ、この辺りは好きずきですが。


DESOLATE ★★ (2014-04-04 11:38:32)

GRAND EXTREME BLACKのDesolate氏によるプロジェクト。
同氏によるABYSS INFERNOやEARTH GODLESSとも異なる路線のメロブラ。


CLAIR CASSIS - Clair Cassis Ⅱ ★★ (2014-04-04 11:36:32)

2010年発表の9曲入りEP。
ジャケにはバンド名以外の記載は無いですが、同年にダウンロードで発表した「Clair Cassis Ⅱ」のCD盤らしいです。9曲入りと言っても1曲が短めなので、トータルで20分弱の構成。

活動を停止したVELVET CACOONを引き継ぐような構成のバンドですが、VCの最終作「Atropine」が個人的には受け入れがたいマニアックさだったので、大分不安がありましたが…これは良いですね。プリミティブ系に近い、シンプルな2ビートを中心に、抽象的・音像重視なギターワークを乗せたアンビエント寄りのブラックで、「Atropine」と比べると格段に分かりやすい音。

やはりVELVET CACOONを継ぐバンドだけあって、音作りの上手さは特筆もの。ドローンめいたギターワークで、音の空間を歪ませたり撓ませたり、自在に操っている感じ。トレモロによるメロディが派手でなく、薄暗い感じのするものなのも、音像の陰湿な感触にマッチしていて良いですね。「ゲッ、ゲッ」と瀕死の毒トカゲが息も絶え絶えに毒液を吐くようなヴォーカルも味があって良いです(笑)。ただ、この手にしては楽曲が妙に短く、「アイデア集」に聞こえてしまわなくもないかも。陰湿な空間の演出が巧みで、もっと付き合っていたい感じ。

解説付きの日本盤が出るなど、界隈での評価・知名度ともにかなり高かったVELVET CACOONですが、そのメンバーがやってるだけあって興味深い音に仕上がってると思います。催眠力の高いアンビエントブラックで悪夢を見たい方は是非。


CLAIR CASSIS ★★ (2014-04-04 11:35:43)

アメリカ産アンビエントブラック。
VELVET CACOONのメンバーによるプロジェクト。


VUOHIVASARA - Perdition Reigns Supreme ★★★ (2014-03-05 20:08:03)

2012年発表の2nd。

プレイボタンを押して早速流れる音が、ヘヴィさではなく生々しさを強調したような、ややノイジーなプロダクション、悲壮感を伴うトレモロリフ、プリミティブな衝動性をぶち撒ける絶叫ヴォーカルと、アンダーグラウンドな雰囲気を色濃く残す、如何にもなブラックだと思いきや…聴き進めて行くと意外にもメロディアスな作りになっていて、ちょっと驚きました。

殆どの曲で聴けるトレモロリフのメロディは、語弊を恐れずに言えば「クサい」と表現しても憚らないくらいのドラマティックさだと思う。クサさだけでなく、悲壮感や土着性から来る邪悪さも両立させていて、ホント素晴らしいメロディセンス。音作りやムードはカルトな雰囲気を漂わせてますが、このドラマ性に富んだトレモロと刻みリフを駆使した起伏のある曲作りは、メタルとしての正統なかっこよさもかなり強いように思います。

個人的には、土着性や衝動性を感じさせる、アンダーグラウンドな音楽として本気な音ながら、正統派的なかっこよさもあるブラックと言うことで、初期GORGOROTHに通じる雰囲気も感じる作品。ああいうRAWでメロウな音が好きであればお勧め。分かりやすい魅力のある素晴らしいアルバムだと思います。


YGG - Ygg ★★ (2014-03-05 20:06:16)

2011年発表の1st。

おそらくペイガンブラックとしては代表格といえるNOKTURNAL MORTUMと人脈的に繋がりのあるバンドとの事ですが、あちらとはやや異なる路線の音ですね。こちらはいわゆる「お祭り系」なクサメロは無く、土着的な悲壮感に満ちた、身を切るようなメロディをトレモロに込めて疾走するタイプで、アトモスフェリックにリフを聴かせる音作りや長尺の楽曲展開など、同郷のバンドではDRUDKH辺りに近い感じでしょうか。

ヴォーカルが鬱系にも通じる裏声絶叫で、この手のタイプとしては若干珍しい気もしますが、それが悲壮感の強い楽曲にはかなりマッチしてるように思います。また、イントロ部分を始め、楽曲の端々で「びよ~ん」系のSEが聴かれるのも印象に残りますが…これは初期SATYRICONやTAAKEなどの土着性の強いブラックメタル、ひいてはその元ネタであるWHENへのリスペクトを示した部分でしょうか。

NOKTURNAL MORTUMやKHORSよりも、DRUDKHやWODENSTHRONE、WINTERFYLLETH、AGALLOCH辺りの土着的でアトモスフェリックな作風が好きな方にお勧めですね。


YGG ★★ (2014-03-05 20:04:24)

ウクライナ産ペイガンブラック。
NOKTURNAL MORTUMや、MUNRUTHEL、KHORSなどと人脈的繋がりのあるバンド。


Streams of Blood - Ultimate Destination ★★★ (2014-02-23 11:51:56)

2013年発表の2nd。

某所の売り文句で、DARK FUNERALやMARDUKなどのファストブラックが引き合いに出され、それらを速さに特化したような…的な紹介がされている時点で強烈な音なのは察せられますが…確かに聴いてみてそのコメントも納得できるような、ウルトラファストな暴虐ブラック。とにかく硬質な打音をビキビキ叩き込みまくる、豪速のブラストを中心としたドラミングが強烈な作品。

速さに拘ったリズムは追い立てられるような焦燥感をもたらしますが、ブルータルさの陰に隠れて何気にメロディが良い仕事してるのが、その焦燥を更に掻き立てるんですよね。陰鬱なメロディを湛えたトレモロやキーボードは、黒い影が立ち上ってくるかの如きムードを強調し、亡者の群れが蠢くような邪悪さを醸し出してますね。こうしたメロディ使いであったり、実は緩急の付いた展開、速いだけでなく耳を引くフレーズのあるドラムなど、暴虐なだけではない音作りではありますが…まあ持てるリソースの全てを攻撃性にぶっ込んだ突貫型のブラックである事は間違いないでしょう(笑)。

ファストブラックとしてもかなり質の高い一枚だと思います。国内盤出てるバンドだけでなく、ENDSTILLEやDARKENED NOCTURN SLAUGHTERCULT辺りの有力バンドもチェックしている方であれば、このバンドも是非聴いておいて欲しい所です。


CANIS DIRUS - A Somber Wind From A Distant Shore (2014-02-21 00:50:11)

2009年発表の1st。

最早普段からブラックを聴いている人には「鬱ブラックです。」の一言だけで、大方の音楽性が頭に思い描けてしまいそうな、典型的な鬱ブラック。悲鳴ヴォーカル、陰鬱なメロディ、スローに進行する展開と鬱系のテンプレは一通り満たしている音ですが、NARGAROTHの3rd辺りを思わせる、ノイズ質を強調した、怨念が降りかかってくるようですらある強烈な音作りが印象的。

ただしNARGAROTHの3rdとは異なり、こちらはトレモロよりもアルペジオによりメロディを奏でる傾向が強いのと、時折リードメロに悲壮なだけでなく、ちょっと渋めなメロディ使いがあるのが大きな違いでしょうか。また、ヴォーカルは「ヒィアアアア!」系の悲痛絶叫ですが、一声一声に全力で感情を乗せてる感じがして、この手としては好きな方ですね。

Moribund Records発らしい、ジャンルの真ん中の音を的確に、確かなクオリティで攻めてくる作品ではありますが…正直似た路線としてはトレモロ全開+メロディがより分かりやすい、NARGAROTHの「Regens~」アルバムを聴いてしまうな…というのが正直な感想。鬱ブラック自体元々突き抜けたサブジャンルだけに、その中で頭角を現すような何かが欲しい所。


SECT PIG - Slave Destroyed (2014-02-19 18:53:20)

2013年発表の6曲入りEP。
大手から出てるのと、正体不明ブラックとの売り文句で興味を持った方も多いのでは。

路線としては、初期BEHERITやVON辺りを多少マシにした様な…というか、意図的にやっているような低音の効いた、篭もった音質が強烈な悪意を感じさせるアーリーブラック/ウォーブラックで、楽曲自体もそれらバンドの衝動性を継承せんとするような、オールドスクールな作風。血腥い音作りに、オカルティックな神秘性漂うトレモロが不気味に映える展開、ナレーションSEを用いた構成など、カルトな雰囲気の演出に余念が無い感じ。

もっとも特徴的なのはヴォーカルで、吐瀉物どころかハラワタまで撒き散らしてそうな「ヴゥオ、ヴゥオ」と吼える低音、痰を吐く前の「カーッ」という音にそっくりなノイジーな高音を、左右のチャンネル操作やエフェクト等を組み合わせ、まるで畦道で蛙の大合唱を聴いているかのようにカオスにミックスして聴かせてくれます(笑)。もちろん歌詞など全く聞き取れません…というか無いと思う(笑)。

ただ、はっきり言ってしまいますが、ちょっとカルト性の演出がわざとらし過ぎるようにも思うんですよね…。特に思いっきりオンマイクにして「カーッ」とやったデスボイス(もどき)は気色悪さこそ感じても、ヤバさや攻撃性が余り感じ取れないというか、作為的過ぎて若干萎えるというか…。血腥い生贄の儀式でもやっていそうな気持ち悪さならいいんですが、これはただ単に唾が飛んできそうで気持ち悪いって感じで微妙。楽曲それ自体は、アーリーブラックの衝動性とオカルトな雰囲気が上手く合わさってて、決して嫌いではないですけど…。

売り文句に釣られて買ってはみたものの、正直これは高い評価は出来ないかもしれません…。どうも世間にはARKHA SVAやABSOLUTE OF MALIGNITY、SILENCERですら作為性が鼻につくという人もいるみたいですけど、そんな人が聴いたら憤死するかもしれません(苦笑)。


SECT PIG ★★ (2014-02-19 18:52:02)

現時点では国籍すら明かしていない謎のブラックメタルバンド。
去年Nuclear War Now!より6曲入りのEPを発表。


MORIBUND OBLIVION - Manevi ★★ (2014-02-18 22:33:55)

2013年発表の5th。

アーティスト写真のメンバーの出で立ちからして、如何にもメタルやってる兄ちゃんって感じですが…そのイメージ通り(?)、メタルとして衒いのないかっこよさの強い、メロディアスなブラックメタルを展開してますね。緩急の付いたメリハリのある楽曲構成、刻みとトレモロをバランス良く取り入れたリフ使い、全体的にかなりメロディアスな作風と、根っこに正統なメタルがある感じで、邪悪さは薄めですがメロデス好きにもアピール出来そうなかっこいい音。

ただ、ブラックらしさが無いかというとそうでもなく、例えばトレモロリフが紡ぎ上げる、物悲しいメロディであったり、時にアトモスフェリックな音色で楽曲を陰鬱に彩るキーボードだったり、ブラックらしい陰影がしっかり息づいている音だと思う。ヴォーカルが太めかつガラガラした声質の、威圧感のあるデス声なのも良いですね。変にキレ良く歌われるよりエクストリームメタルはこれくらい威圧感あった方がいいと思うし。

病気じみたブラックやマニアックなブラックが好きな方にはお勧めできませんが、そういう人はアーティスト写真の段階で避けそうな気がします(笑)。ブラック一本で聴いてる人より、メロブラ・メロデスを始めとしたエクストリームメタル全般が好きな方にお勧め。


MAVETH - Coils of the Black Earth ★★ (2014-02-18 22:29:43)

2012年発表の1st。

ヘブライ語で「死」を意味するバンド名や、おぞましく邪悪な世界観が期待できそうなアートワークから興味を惹かれますが、中身もブラック好きにもアピール出来そうな邪悪さ重視のデスでかなり良いですね。タイプとしてはIMMOLATION辺りに近い、うねりのある禍々しいリフと、疾走というより蹂躙という感じの暴虐なリズムで攻めるブルータルなデスで、IMMOLATIONやULCERATE、INCANTATIONなどと同様に、このバンドにもブラックに通じる宗教じみた邪悪さが漂ってます。

IMMOLATIONなどと比べると、こちらは暴虐性で一歩譲るものの、よりブラック的な禍々しさに重きを置いたような作風になってるように思います。この手の優れたバンドって、リフに正統派やメロデスの刻み、ブラックの寒々しいトレモロとはまた違った、塗り潰すようなダイナミズムを感じるどす黒さがあるように思うんですが、このバンドもその点申し分なしです。低音効きつつノイジーさもある音質とも相俟って、地獄の炎に焼かれるかのような凄まじさ。

上記バンド以外にも、BEHEMOTHやSVART CROWN、ARKHON INFAUSTUS辺りのデス由来のヘヴィネスを取り入れ、それが暗黒性に直結しているバンドが好きな方にお勧め。おぞましくかっこいい作品。


SUNN 0))) - Terrestrials (Sunn O))) & Ulver) ★★★ (2014-02-17 22:22:39)

2014年発表のコラボレーションアルバム。

まさかULVERとのコラボとは…そんな物、買わない訳にはいかないじゃないですか…。ULVERも最新のアルバム「Messe Ⅰ.Ⅹ – Ⅵ.Ⅹ」ではオーケストレーションと電子音楽を組み合わせて、抽象的で深遠な音像を描き出すという、SUNN O)))の実験的な音ともそう遠くない音を出していた事もあってか、凄く自然に両者の個性が息づいたコラボレーション作品になっているのではないでしょうか。

1曲目「Let There Be Light」は、瞼の裏で明滅する光の如き電子音が、静かながら聴き手を既に陶酔させるような説得力をもって立ち上がり、くすんだ風景の浮かぶブラスや即興演奏っぽいドラミングを取り入れつつ進行する楽曲で、どこか頽廃的なムードが漂ってますね。2曲目「Western Horn」は今作では最もドローン・アンビエント然とした抽象的な曲。脳内のパルスと同期しつつ、更に刺激を与えるような音使いが心地良くて安息すら感じてしまいます。

3曲目「Eternal Return」は電気的な処理が施されたオーケストレーションや、電子音などを重層的に、かつ丁寧に重ねた楽曲で、GarmことKristoffer Rygg様の官能的…を通り越してエロ過ぎな(笑)クリーンヴォーカルもフィーチャー。「重層的な音楽」とは、こういう事を言うんだな…と妙に納得してしまうような音作りと、彼のヴォーカルが相俟って精神が融けてしまいそうになります…。ああもう、ホント買って良かったわ…(笑)。

ブラック界隈にも、ノイジーなリフが転じて暗黒ドローンと化したような作風のバンドは多く表われ始めていますが、正直その中でもこれは「別格」な作品だと思う。この手の音楽って音に心地良さを感じられないと全く共感出来ないですけど、そこを当然楽々クリアしつつ、音を追ってるだけで引き込まれるような、「展開」を設けているのが素晴らしい。実はこういうドローン/アンビエント的な音としては凄く聴きやすい作品なのではないかと。

ちなみに日本盤はボーナスディスク付きで、「Eternal Return」のラフ版とAttilaの参加した「Fidelio」を収録。「Eternal Return」は比べて聴くと楽曲の作りこみ具合が透けて面白いし、ラフ版も音が少ない分ピアノやヴォーカルが存在感あって、こっちはこっちで良い音源。Attilaのボイスドローンが宗教的な恍惚をもたらす「Fidelio」もブラック聴く方なら共感する事請け合いですし、多少高くても日本盤を買っても全く損は無いと思う。


BERKOWITZ - Sent to Dominate ★★ (2014-02-17 22:18:54)

2012年発表の2nd。

…やはりドイツのファストブラックって、独特の素晴らしさがありますよね。某所で新品が安かったので例の如くサルベージしてきましたが、これがかなりの逸品。路線的には、豪速ブラストを主軸に据えたファストな展開、鬼気迫るような絶叫を聴かせるヴォーカル、劫火に焼かれるようなノイジーなリフ、バンドの攻撃性を損なわないRAWさを保ちつつクリアさも申し分ない音質など、同郷のENDSTIILE辺りに近い作風だと思う。

但し刻みリフやスラッシュビートを用い、ノリの良いパートも時折顔を出すメリハリのある展開や、冷たいメロディを前面に出したトレモロ多めの曲構成など、ENDSTILLEよりもかなり聴きやすく仕上がってるのが特徴。ENDSTILLEをメロデスに少しだけ近付けた感じと言うと近いかもしれません。ノルウェー産の土着的な感じとはまた違う、ドイツ産らしい氷の礫をぶつけるような、直接的に寒々しさを感じさせるメロディが多く、これはこれでかなり好きですね。

個性的な事をやってる訳ではありませんが、暴虐性やメロディの良さ、楽曲の展開などなかなかレベルの高い一枚だと思います。ENDSTILLEやNEGATOR、GRAUPEL辺り好きな方にお勧めですが、おそらく知名度で勝るこれらのバンドより聴きやすいです。


ASOFY - Percezione ★★★ (2014-02-12 21:36:00)

2013年発表の2nd。
アルバムタイトルの意味はイタリア語で「知覚(perception)」。

ショップでの売り文句がアトモスフェリックな空間の中に絶望的なトレモロが響く…みたいな感じだったのと、アートワークやフォントの雰囲気が先日出たMANESの新作に似てた(発売レーベルも一緒)だったので、その流れを汲む鬱ブラックと思っていましたが…鬱ブラックをメインに据えつつも、スラッジやポストブラックの要素も多分に含む、意外にも実験的なサウンドを聴かせてくれます。

実際には鬱ブラック的なトレモロリフは一部のパートで印象的に使われるくらいで、どちらかというと、空間が撓む様な重々しい空間を演出しつつ黒いメロディを奏でるアルペジオや、聴き手の知覚に直接に絶望感を擦り付けるかのようなスラッジーに引き摺るリフをメインに展開していく作風。まるで光の差さない深海に意識だけ置き去りにされたかのような、陰鬱にも程がある音を聴かせてくれます。

何気に構成が(良い意味で)酷く、アルバム冒頭ではシューゲイザー系のブラックのような、カタルシスを感じるような清浄なトレモロや浮遊感のある音像を聴かせたりしてくれますが、一曲目の中盤を過ぎた辺りから鬱ムードに沈んで行き、黒い絶望感を引き摺りながら進行。カタルシスがあってアルバムを閉じるのではなく、絶望の中に沈んで終わりなのが徹底している感じで素晴らしいです(笑)。

正直ショップでの売り文句にあったような「絶望的トレモロ」は含有率は余り高くなく、そのコピーに惹かれた方に勧めるのは微妙な所ですが、実験性のある、しかもそれが絶望感として実を結んでいるような鬱ブラックが好きな方なら、かなりハマれるのではないでしょうか。


Way to End - Various Shades of Black ★★★ (2014-02-07 12:01:20)

2013年発表の2nd。

フランス産のブラックって、例えばMUTIILATIONを始めとして、MORTIFERAやPESTE NOIREなど、メロディに独特の耽美さや病的さが感じられるのが特色として挙げられる事が多いですが、この作品はフレンチブラック特有のそんなメロディを特濃でお届けする、非常にメロディアスながら背徳的なおぞましさに満ちた、甘美な邪悪さが支配するアルバムですね。

特徴は何と言っても全編に渡って横行する、不条理で悪意に満ちた、背筋を悪寒が駆け上るようなメロディですが、メロディそのもののみならず聴かせ方も非常に巧み。ストップ&ゴーに乗せて間欠泉のように邪悪なものが吹き出す様を演出してみせたり、ジャジーなドラミングが這い寄るような悪寒を更に強めていたり、類型的なブラックに留まらない、若干アヴァンギャルドさも感じさせる展開。

ただ、前衛性や悪の美学漂うようなメロディアスさの強い作風ですが、芯はブラックメタルの邪悪さそのものであって、妙にお洒落だったり高尚だったりしないところが素晴らしい。上記したようなジャジーなドラムのフレーズなんかも、暴虐なブラストパートがあるからこそ生きてくる感じですし。ドスの効いたがなりだけでなく、不気味なクリーンも操るヴォーカルも、呪術的なムードを高めていてかなり良い感じ。

取り合えず、フレンチブラック特有の「悪」が漏れ出してくるような、毒々しくも甘美なメロディが好きであれば、是非押さえておきたい作品。楽曲そのものやプロダクションなど、基本的なレベルも高くお勧めできる逸品。


TANGORODRIM - Justus Ex Fide Vivit ★★ (2014-02-07 11:59:52)

2007年発表の4th。
経歴的に面白そうなのでなんとなく購入してしまいましたが、これがなかなかにかっこいいオールドスクールブラック。

RAWで響きのいいドラミングに、ジャリジャリした質感のブラックメタルらしい生々しさを残した音作りなんですが、この音作りがオールドスクールなノリの良さと見事に合ってるんですよね。疾走パートは邪悪さを撒き散らしつつのドライブ感がなんとも気持ちいいし、テンポを落とすようなパートではどす黒さが際立っていて威圧感がある。ヴォーカルは地声成分がかなり混じった野太いがなり声。こういうスタイルを下手なシンガーがやると目も当てられない事になりますが、このヴォーカルはしっかりドスを効かせられているのが素晴らしいですね。邪悪さ、存在感も申し分なし。

単純に聴いていて気持ちのいいアルバムでありながら、邪悪さ、どす黒さもしっかり感じさせてくれる良い作品だと思います。「Sardonic Wrath」期のDARKTHRONEが好きな方にお勧め。


TANGORODRIM ★★ (2014-02-07 11:59:09)

イスラエル産ブラックメタルバンド。
中東産でSouthern Lord所属というちょっと変わった経歴。


六弦アリス - 原宿ロリヰタキネマ - キネマロリヰタ ★★★ (2014-01-29 21:31:51)

これ、以前は六弦アリスに「ルナティック・ラヴ」「Alice~」辺りの、やや鬱屈した感じの泣きメロばかりを求めていたせいか、リアルタイムで聴いた時は然程ピンと来なかったんですが…今改めて聴いてみるととんでもない名曲ですね。開放感や力強さを感じさせつつも、「泣き」をしっかり湛えた絶品歌メロと、ヘヴィなリフを伴う疾走の融合はストレートにかっこいい。前向きだけどダークさ・ヘヴィさも残してくれているのが凄く良いです。間違いなくキラーチューン。


六弦アリス - 独裁者ノススメ - 独裁的な舌 ★★★ (2014-01-29 21:30:03)

六弦アリスって、「ルナティック・ラヴ」の頃からJanne Da Arcからの影響をちょくちょく感じさせる曲を作ってきましたが、ここまであからさまなパロディ曲は初めてじゃないでしょうか。リズムの変化のさせ方とか、ギターフレーズの感触とかが明らかに「ROMANCE」へのオマージュ。そして安易な引用ではない、オリジナルかつネタ元に勝るとも劣らない歌メロの良さはやはり六弦アリスらしく、見事。


六弦アリス - 独裁者ノススメ - 痛ロリヰタ哲学 ★★★ (2014-01-29 21:29:01)

これ、最初タイトルだけ見た時はいわゆる「イタい」人が主人公の歌詞なのかと思いましたが(笑)、実際に歌詞を読んでみるとそんな事はなく、むしろ真っ当で気高さすら感じられる世界観なのでちょっと驚きました。そしてその気高さを完璧に表現しきったメロディを伴いつつ疾走する楽曲それ自体も素晴らしく、正に孤高とでも言うべき存在感を感じさせてくれます。主義主張が世間と迎合しない故に鬱屈するような弱さはここにはなく、胸を張って我が道を貫くような力強さを感じさせてくれる曲です。


六弦アリス - 夢想演舞 妖之理 - 災禍の瞳 ★★★ (2014-01-29 21:28:00)

イントロからどんなおどろおどろしい曲が始まるのかと思いましたが、意外にもサビはどキャッチー。…東方アレンジって、原曲のメロディを弄るのは良いんですけど、原曲よりキャッチネスが減退する事が多くて、なら弄るなよ…と思うことが多々あるんですが、この曲のメロディの弄り方は本当に上手いと思う。完全に六弦アリスのものにしているというか、特に原曲を知らない人でも一発で掴む力があるというか。


六弦アリス - 夢想演舞 妖之理 - 未来永劫仏恥斬 ★★ (2014-01-29 21:27:03)

「…は?」って思いました(笑)。東方の妖怪の跋扈する幻想的世界観も、六弦アリスが本来持っているゴシックでダークな世界観もどっかに吹っ飛んでしまってるんですが(笑)。まあ面白いし、アルバム随一のヘヴィな音作りは単純にかっこいい。ただ、最初聴いた時は訳分からなくなりましたけど。


六弦アリス - 夢想演舞 妖之理 - 反魂蝶 ★★★ (2014-01-29 21:26:23)

まあ、原曲が原曲だけに、六弦アリスのアレンジ能力で疾走するメタルにしたら、悪い曲が出来るわけがないですね(笑)。サビでの今までにないような、自棄っぱちさすら感じさせる歌唱が非常に印象的。ただ、個人的にはパンキッシュな勢いを出す歌唱なら、コブシ的にメロディを捏ねるよりも、もっとエッジ系の声の作り方で歌って欲しかったかも。Middleislandの紫さんとか、豚乙女のランコさんがロック系の曲でやってるような感じで。


六弦アリス - 夢想演舞 妖之理 - 花夢月 (2014-01-29 21:25:36)

これは「災禍の瞳」とは逆に、メロディの弄り方がいまひとつに感じた曲ですが…聞き込むうちに原曲とは違う味が出てきて、これはこれで悪くないと思うように。ただ、味が出るほど聴いても原曲のメロディを超えたとは全く思わないですけど…。


SEIDE - Here Is No Truth ★★★ (2014-01-29 21:21:33)

2011年発表の1st。

路線としては、ヴォーカルがドスの効いたガナリと低音のグロウルを併用するスタイルだったり、低音の効いたプロダクションがダイレクトな攻撃性を放っていたりと、デスメタルからの影響も感じさせつつ、フレンチブラックらしい毒々しいメロディも多分に含んだ作風で、同郷のSVART CROWNやメンバー的に繋がりのあるTEMPLE OF BAAL辺りとも通じる音を出してますね。

但し、こちらの方がトレモロを含むパートでのメロディの強調具合がよりはっきりしている印象。特にブラストと共にフレンチブラック流儀の頽廃性に富んだ美メロが炸裂するパートでは、廃墟に屍を積み上げて尚、砲弾の行き交う苛烈な戦場が浮かんでくるような壮絶さがあるように思います。ブラスト一辺倒にならずミディアムパートも重視したり、メロウなパート、オールドスクールなパートを挟み展開にもメリハリがあり、暴虐ブラックとして上記バンドにも劣らないクオリティの音を出しているのではないでしょうか。

メロウさと暴虐性のバランスを重視するブラックファンにはかなりお勧めの一枚。取り合えずDARK FUNERAL辺りが大丈夫であればマニアック過ぎて敬遠されるという事はないでしょう。


SEIDE ★★ (2014-01-29 21:19:54)

フランス産ブラック。
以前はTEMPLE OF BAALやNYDVINDのRikk氏が在籍してたバンド。


KAUSALGIA - Farewell ★★ (2014-01-29 21:14:55)

2012年発表の4曲入りEP。
今流通してるPest Production発のものは更に1曲が追加されてます。

ジャケットの雰囲気からしてなにか悲劇的なストーリーを連想させるものですが、中身もそこから想起されるような、トラジックでノスタルジックなシューゲイザー・ブラック。儚いメロディに音を埋めるリフの歪みとアトモスフェリックなキーが絡む…という、典型的なこのジャンルの音像だけでなく、勢い込んで刻むメタリックなリフで攻めるパート、リードギターがあからさまなまでに悲劇的なメロディを奏でるパート、感情の波が押し寄せるようなトレモロを聴かせるパートなど、展開にはメリハリが付いており、かなりドラマティックな作り。ヴォーカルはクリーンは使用せず、剰えデスメタルに通じる低音咆哮も交えてくるスタイルで、展開の明確さとも相俟ってシューゲイザーブラックとしては攻撃的な印象。個人的には、1曲目で使ってる刻みパートがインパクトあったので、もう少しこんな感じの展開があるといいな…と思ったり。

正直、今となっては珍しくないスタイルの音楽性ですし、この手が好きな方以外には敢えてお勧めはしませんが、邪悪さではなく儚さや悲劇的ムードに的を絞った、新世代の感性を持ったブラックが好きであれば聴いて損はないかと思います。


六弦アリス - 不思議の国の音哲樂 まやかし篇 - 試着室 ★★★ (2014-01-28 00:20:15)

クサメロに於いてはシーンでも…いや他のシーンを合わせてもトップクラスの六弦アリスですが、この曲の頭サビを持って「クサさ瞬間最大風速」を更新してしまったのではないでしょうか(笑)。歌のメロディそれだけで、聴き手を黙らせてしまう程の説得力。変に排他的だったり後ろ向きだったりではなく、主義主張・ポリシーをしっかり反映させつつも、前向きな歌詞も凄く素敵。聴いた瞬間名曲確定、聴き終わって超名曲かそれ以上だと思い知らされるような楽曲。


六弦アリス - 不思議の国の音哲樂 まやかし篇 - 夢のつづき ★★★ (2014-01-28 00:18:41)

このアルバム、例えばシアトリカルで凝った演出の「イデア座の仮面舞踏会」とか、有無を言わさぬキラーチューン「試着室」とか、リードトラックと呼べそうな楽曲は他にありそうなんですが、個人的に一番好きなのはこの曲かもしれません。優しい、包容感のある泣きメロが、イントロでも提示されてたストリングスメロと絡み合いつつ軽快に疾走するサビは、涙腺崩壊という言葉でも生温いです。もはや全身を涙腺にして聴くレベル(笑)。心が洗われる、とはこういう事を言うのでしょう。


六弦アリス - 不思議の国の音哲樂 まやかし篇 - 怪奇探偵社 【偶数】 ★★★ (2014-01-28 00:16:54)

クサメタルの文脈から六弦アリスを追ってきた人ならば、もう「はみ出し者は許さない」の台詞と共に繰り出される、派手なストリングスメロを伴った疾走パートでガッツポーズでしょう(笑)。皮肉の効いた歌詞の世界観を反映した、いつもより平坦気味ながら流麗さも残したヴォーカルも流石の表現力。「怪奇探偵社【偶数】」の台詞の言い方も凄く好き。というか良い声過ぎる(笑)。展開はキャッチーだけど世界観がシアトリカルな名曲。


六弦アリス - 不思議の国の音哲樂 夢語り篇 -先見- - 被検体一号 エドワード ★★★ (2014-01-28 00:13:56)

ジャジーで軽快なリズムに、華やかなブラスやストリングスが乗り絢爛キャッチーに進行していく楽曲ですが、この曲は歌詞の世界観にゾクッと来ましたね…。サビの歌い方なんかは、聴きようによっては多幸感に満ちてるとも自棄になってるとも取れるように聴こえるんですが、この表現力の高さも歌詞の皮肉さに説得力を持たせているように思います。


六弦アリス - 不思議の国の音哲樂 夢語り篇 -先見- - クロノ・イリュージョン ★★ (2014-01-28 00:13:16)

ごめんなさい、これヴォーカルが入ってきた瞬間吹きました(笑)。SOUND HORIZONが大好きというのは音からも伝わってくるんですけど、Revo氏のヴォーカルのヘボい部分まで完全にコピーしたスタイルなのが面白過ぎる(笑)。ただ男性ヴォーカルが聴けるのは冒頭のみで、以降はいつもの六弦アリスのハイクオリティでシンフォでシアトリカルな幻想音楽ですのでご安心を。個人的には中盤からのちょっと落ち着いたメロディの部分が凄く好きですね。


六弦アリス - 迷イノ森、夢十夜。-人トシテ- - 背徳日和 ★★★ (2014-01-28 00:11:17)

この曲、六弦アリスの中でも最も「痛い」歌詞なんじゃないかと思います(変な意味じゃなく)。特にラストの、「新しい命が私の代わりに泣いてくれるでしょう」という一節が凄く好き。詞的に綺麗に纏まってるけど、結局何も解決してなくて、主人公の人生が続いてくんだと思うとなんか目頭が熱くなる…。楽曲自体は六弦アリスの王道とも言える、シンフォでクッサクサで耽美な疾走曲ですが、初期Bestでは正直クドさを感じた息漏れの多いファルセットやタメを効かせた歌唱が、ここでは艶かしく楽曲を彩っているのが素晴らしい。ヴォーカルの表現力の成長に合わせた楽曲を作っているということなのかもしれませんね。


六弦アリス - 迷イノ森、夢十夜。-人トシテ- - 時効なき逃亡者 ★★★ (2014-01-28 00:10:06)

この曲、凄く良いですね。生音にも負けない迫力で疾走する、メタリックでシンフォニックな楽曲…まあ早い話彼等の王道であり、彼等のファンが彼等に期待しているであろう楽曲そのものなんですが(笑)、このサビの素晴らしさは…。どキャッチーでクッサクサなんですけど、ヒロイックさとは真逆の陰りのある泣きメロに心臓を捕まれました。余りにもメロディが良過ぎて一瞬息が出来なくなりましたもん(笑)。


六弦アリス - 迷イノ森、夢十夜。-凛トシテ- - ムーンライト症候群 ★★ (2014-01-28 00:06:33)

どこかメルヘンチックな印象のメロディですが、ストリングスメロなどからはぞくぞくするような耽美さも感じられる、シアトリカルな楽曲。ぶっちゃけ「約束」の新録版では「う~ん…」と思った、息漏れの多いファルセットで一曲通して歌うスタイルのヴォーカルも、この曲には凄く上手く嵌まっている感じがします。壊れてしまいそうな儚さが出ているというか。


μ's - シングル/カップリング/特典CD/その他 - 硝子の花園 ★★★ (2014-01-28 00:01:25)

快進撃を続けるμ’s及びラブライブ!ですが、このプロジェクトに於いて最大の失敗はこの名曲という言葉では生温い程の超名曲を、アニメBD初回盤の特典CD収録曲という、ファン以外には耳に付かない位置づけにしてしまった事でしょう…。ラブライブ!を教えてくれた友人に聴かせてもらったんですが、なんでこれがシングルじゃないのか疑問なレベル。アニメソング由来のキャッチネスに、ゴシックな背徳性と耽美性を振りかけた歌メロが絶品。昼ドラ並に下世話なのに、美に耽る感覚も持ち合わせた凄まじくクサいメロディ。サックスが官能なムードを引き立てつつも、アップテンポなアレンジもメロディのクサさを更にブーストしていて、とにかく素晴らしいの一言。…後から特典曲を詰め合わせたCDとか出るのかもしれませんが、現時点でこんなド名曲がこんな扱いを受けてるのは納得できない…ディープなファン以外にも、クサくて耽美なポップスを愛する全ての人に聴かれて然るべき曲ですよ。


NECROPLASMA - Sit Gloria Domini in Sæculum ★★★ (2014-01-07 21:30:46)

2006年発表の2nd。
タイトルの意味は「時代の中に主の栄光があらんことを」となるのでしょうか。
自信ないですけど…。

私がブラックメタルに嵌まった大きな理由の一つに、トレモロリフの魅力がありますが、この作品はそれを嫌というほど堪能させてくれる一枚ですね。6曲35分程度とフルアルバムとしては少々短めながら、演奏時間の殆どがひたすらに腐食系の禍々しいトレモロを垂れ流す事に割かれた、ある意味ではかなりフェティッシュな作風。曲タイトルが数字のみなのも頷けます、だってジクジクの垂れ流しサウンドですもん(笑)。

プロダクションも結構独特で、篭もった中にメロウなベースがぶよぶよと有機的に響く感触が、トレモロに込められた腐れ度を更にアップさせてます。音量が小さめなのが玉に瑕ですが、作風がツボなのでまあ許せます。暴虐というよりも、楽曲のオーガニックさを際立てるようなドラミングも何気に良い仕事をしていますね。地下臭いムードが更に助長されていると思う。

フェチ向けの作風ながら、個人的なツボにクリーンヒットしたんですが、どうやらバンド自体は2008年に主要メンバーの一人が亡くなり、現在は活動していないらしいのが残念ですね…。雰囲気は邪悪さに特化されていて、ポストブラック的な要素は皆無ですが、KRALLICEとか好きな人に勧めてみても面白そうかも。トレモロフェチは是非。


SCHMERZ - Chronika ★★ (2014-01-07 21:25:58)

2008年発表の1st。
SOUND HORIZONファンには「ん?」っていうアルバムタイトルですが、中身は普通に鬱ブラックです(笑)。そして鬱ブラックの中でも直球ド真ん中な音ではないでしょうか。

ジリジリと精神を追い詰める、うっすらノイジーなギターリフが気が滅入るようなメロディを奏でつつ、地の底からの呻きような、絶望的な絶叫ヴォーカル、全く覇気の無いゆったりしたリズム…全てが如何にもな鬱ブラックという感じ。個人的な印象としては「最早自国文化崇拝や音楽的実験をする気力もなく、人生を諦めたBURZUM」(笑)。

正直この手としても特徴に欠ける音ではあるんですけど、鬱系はどれだけ音と聴き手の精神状態がシンクロ出来るかなので、それはあまり問題にならないかと。鬱系好きであればすぐにでも入りこめる音。逆にちょっとでもこの手に食傷を感じてる人にはオススメ出来ません。


AUTARCIE - Horizons funestes ★★★ (2014-01-06 00:04:48)

2011年発表の2nd。

関連バンドのDYSTERもなかなか良質なブラックを演ってましたが、こちらも負けず劣らず良いですね。明度や暗度を下げつつも、「腐食」の属性を孕み聴き手の精神を冒していくような病的さと、フレンチブラックらしい捻くれた耽美さを同居させたトレモロリフは、良質の鬱ブラックといった趣ですが、単純にディプレッシブ系にカテゴライズ出来ないような奇妙な感覚もまた強い作風ですね。

リズム、及びドラミングが、間違いなくその「奇妙さ」を生む一因になっている感じがします。鬱系としては疾走パートやノリのいいパートが多めなんですが、テンポの速さそれ自体よりも叩き方、フレーズから伝わってくるヤケクソさが最大の特徴。暴虐というより「喧しい」感じで、苛立ちを込めてドラムをシバキ倒しているような、非常に味のあるリズム。これがメロディの持つ毒と変な化学反応を起こしていて、他のバンドでは見られない独特の雰囲気に。

イガラっぽさ全開ながらドスの効いた声でがなり続けるヴォーカルなんかも、そのヤケッぱちで毒々しい雰囲気を助長しているように思います。時に闇の帳が緩やかに降りてくるような、優雅で絶望的なムードを演出してみせたり、時にメロディの奇矯さを強調し、PESTE NOIREにも通じる前衛的な耽美芸術的雰囲気を醸し出したりする楽曲それ自体も、なかなかに魅力的。

メロディに込められたネガティビティから、鬱系好きにもお勧め出来そうですが、それ以上にPESTE NOIREやSALE FRUEX辺りの捻くれてビョーキな耽美系フレンチブラック好きにお勧め。個人的にはかなり好きなタイプの音です。


DRAKONHAIL - ...Des Ailes... ★★ (2014-01-04 11:01:57)

2011年発表の1st。

ポストPESTE NOIREの第一候補とでも言うべき、個性的で素晴らしいなブラックを演っていたSALE FRUEXのDunkel氏による独りブラックと言うことで、こちらも購入しましたが…SALE FRUEXとは全く違うアプローチの鬱ブラックですね。2枚組に渡る長尺かつミニマルな構成、ジト付いたネガティブなメロディに覆われた楽曲、ほぼノイズと化した絶叫など、多くのディプレッシブブラックの持つ特徴を殊更に強調したような路線。

鬱系の中でもミニマリズムの強い音で、時折アルペジオを挟んだりする以外は、基本的に弱々しく鳴り響くギターノイズと、うっすらと包むキーボードによる淡く灰色なヴェールに包まれた、鬱々しい音がひたすらに続く展開。雪原を当てもなく延々と彷徨っているような、寄る辺のない雰囲気は出てるし、初期~中期BURZUM風の絶叫も痛々しくて良いんですが、出来ればもう少し反復を抑えて一枚に纏めた方が良かったのでは…とも思います。CD代えるとどうしても現実に引き戻されますし。

鬱系としても良く言えば徹底している、悪く言えばかなり地味なサウンドで、鮮やかなメロディや奇矯な展開のあったSALE FRUEXとは全く別物。普通のメタラーには苦行のような音ですが、この薄暗い雪原を彷徨ってるような雰囲気は悪くはないです。


EMERALD NIGHT - Зеркало Троллей ★★ (2014-01-04 10:55:39)

2011年発表の5th。

関連バンドにATRA MUSTUMやARCANE GRAILなど、ロシア産ブラックでもクサメロに定評のあるバンドが名を連ねている事からも分かるとおり、高いメロディセンスで聴かせるシンフォニック・ブラック。ブラストビートで攻め立てるような展開は余りなく、ミディアム中心の展開でギター・キーボードにより丁寧にメロディを紡ぎ上げていくような作風。

この作品、ギターとキーのパワーバランスが良好なのが良いですよね。ギターはメタルらしい泣きの入った音を出しているし、キーも幻想的な世界観を演出ししっかり存在感をアピール。ファンタジー世界の語り部のような女性クリーンヴォーカルをフィーチャーした楽曲もあり、邪悪さだとか暗黒性だとかよりも幻想文学的なテイストが強い印象があります。

楽曲の根幹となるメロディが良いため、安心してバンドの描き出すファンタジックな世界観に身を委ねられる作品。派手ではないですが良質の一枚。


CULTES DES GHOULES - Henbane ★★★ (2014-01-01 23:15:10)

2013年発表の2nd。
これはかなりツボに来ました。

VONやBEHERIT、BAHIMIRON辺りのいわゆるアーリーブラック…プリブラの高域強調型とはまた違った音質の粗さで、冒涜的で衝動性の強い、オールドスクールな路線のブラックメタルをベースに、反復を上手く使った長尺で耽溺性のある構成、パーカッシブなドラミングや効果音等の醸し出す儀式的ムード等を取り入れ、より密教的な邪悪さを強調したような作風…という感じなんですが、これがバンド名通りの凄まじいカルト性を感じさせるんですよね。

ただ歪んでいるだけでなく、「澱み」のようなものも感じられるリフの音色、楽曲の持つ、ブラックの中でも生え抜きといえる暗黒趣味の強さに、更なる説得力を持たせる、低音の効いたプロダクション、殺気の篭もったがなりだけでなく、悲鳴や笑い声まで聴かせ、表現力を見せ付けつつもどこか箍が外れたようなヴォーカル…などから醸造される音は、凄まじくカオティック。個人的には、KATHARSISの名盤「VVORLDVVITHOUTEND」に通じる、酸化してどす黒くなった血のような赤黒い狂気を纏った作品…という印象ですね。

取り合えず、素晴らしいとしか言い様がないです。まず雰囲気が素晴らしいですが、リフなどフレーズ自体や楽曲そのものもそれ以上に素晴らしい。腐食した血の饐えた匂う漂う、地下臭いブラックが好きであれば問答無用にオススメです。


CULTES DES GHOULES ★★ (2014-01-01 23:12:45)

ポーランド産ブラック。
かつてはBESTIAL RAIDSのメンバーが在籍していた模様。


GLORIOR BELLI - Gators Rumble, Chaos Unfurls ★★ (2014-01-01 22:37:28)

2013年発表の5th。

前々作、「Meet us at the Southern Sign」を聴いた時は、DEATHSPELL OMEGAの「Si~」的なブラックメタル特有の宗教的な邪悪さを、サザンメタルの要素がより生々しく強調して感じさせるような作風で、個性と邪悪さを両立させている事にかなり感心したんですが…今作は、個性を強める余りブラック本来の邪悪さからは若干離れ気味な印象を受けます。

今までの作品と比べるとサザンメタル要素があからさまにフィーチャーされており、左右のチャンネルで有機的に絡む、ノイジーなギターリフを、単に攻撃的で暴虐なだけではない、グルーヴ感のあるドラミングに乗せたアンサンブルは、高いミュージシャンシップを感じさせつつも、ドラッギーでサイケな感触もかなり強め。プリブラなどに見られる催眠的感覚を、別の手段で上手く演出する事に成功しているように思います。

ただ、邪悪じゃないんですよね…。トレモロもブラストもあって、ヴォーカルも擦れ方が実にエグいがなりなんですが、今作はサイケさは感じても密教的な禍々しさは余り感じられない…。個性的な音だし、質も高いのは分かりますが正直昔の作風の方が好み。まあ、私はサザンメタルにありがちなブルースを通過したようなヴォーカルが嫌いなので、それに悩まされず土臭くドラッギーなアンサンブルを楽しめるのは、まあ良くはありますが。

個人的な評価は微妙ですが、気に入る人はかなり気に入る音だと思う。ヴォーカルも素晴らしいですし。まず試聴してみて、ビビッと来たら購入してみては。


MIST (ITALY) - Snowy Nocturnal Forest and Stellar Sky (2013-12-30 23:42:32)

2013年発表の1st。

某所にて、今年発表の新作だったにもかかわらず、かなりの安値で投げ売られていたので購入。このジャケにこのアルバムタイトル、そしてイタリアのシューゲイザー/ポストブラックという触れ込み…如何にもアトモスフェリックな空間を演出して、寒々しく神秘的で深遠な世界観を感じさせてくれそうじゃないですか…ところがどっこい(笑)、STALAGGHやBLUT AUS NORD以上に付いていけない、摩訶不思議なサウンドでした…。

神秘的なのか寒々しいのかダークなのか儚いのかハッキリしない曖昧模糊としたメロディを紡ぐアルペジオ、苦虫を噛み潰したような…という形容をしたくなる、潰れ切ったがなりヴォーカル、特にトリップ感がある訳でもない、淡々としたドラミング…と、パーツのひとつひとつがかなり微妙。それを寄せ集めて作った音像も、正直何を表したいのが掴みかねる様な感じ。

しかもそこに、トンデモ理論で業界から弾かれた自己完結系疑似科学サイエンティストが、妄想の果てに作り上げた「宇宙と交信する機械」(という名のただのラジオ)を弄ってるかのごとき、前衛的というにもおこがましいヘンテコなキーボードが絡むという衝撃的な展開。その妄想に延々と付きあわされているような、良く分からない時間が続きます(笑)。マニアック過ぎて付いていけない…。

例えばマニアックな音の代表格と言えるSTALAGGHにしても、「邪悪で病んだ音を作りたい」という意図は聴いてすぐに掴める分、後は聴き手がそれを受け入れるか否か…という問題なんですが、こちらは意図すら良く分からない分よりマニアックと言えるでしょう。この作品を最高と感じる人はマニア中のマニアを名乗っても良いんじゃ…そんな感じです。