70年代('75年~'78年) にルネッサンスがBBCに残したライヴ音源集2枚組。 収録曲は次の通り。 ①Prologue ②Vultures Fly High ③Midas Man ④Day Of The Dreamer ⑤Touching Once ⑥Song Of Scheherazade ⑦Can You Hear Me ⑧Ocean Gypsy ⑨Carpet Of The Sun ⑩Mother Russia ⑪Running Hard ⑫Ashes Are Burning 想像してたよりも音が良いです。ごく稀に体育祭で放送係がミスったようなハウリングがあるけど、70年代BBCの実況録音でここまでの質なら満足です。 そして更に良い意味で期待を裏切ってくれたのが演奏の上手さ!。えっ?こんなに上手かったっけ!?。カーネギー盤のライヴではなんとなくもたつき感があったのですが、ここではとても溌剌とした元気の良い演奏です。それはオケ無しのバンドだけによる演奏なのでまとまりが出たとも考えられますが、とにかく気持ちの良い演奏を展開しています。 アンサンブルも秀逸。決めるところはピシッと決める。走るところは走る。聞かせるところは聞かせます。緩まない、外れない、しっかりキープ!・・・まるで現代の進化したカツラか入れ歯安定剤のようです(笑)。 個人的なプレイも素晴らしいですね。アニーさんは言うまでもなく、ジョン・タウトのキーボードは音が多彩すぎて、ホントに一人でやってんの!?と思うほど。オケなしでもここまで出来るんやね~。大したおっさんやわ。 楽曲的には、「Vultures Fly High」は原曲でも疾走してるんですが、ここでは更に突っ走ってます(笑)。テレンス・サリヴァンのハイハットさばきが気持ち良いです。「Day Of The Dreamer」はとても爽快な演奏で、このバンドの技術の高さを知ることが出来ました。YES級のアンサンブルの妙を展開しています。「Running Hard」も素晴らしく、ここでもサリヴァンが光ってますね。でも「Scheherazade」はさすがに薄さを感じました。 最後の「Ashes Are Burning」は18分と結構短め(?)ですが、ちゃんと中間部のジャムパートがあり、まとまった演奏を聴かせてくれます。「アニー天使の舞パート(勝手に命名・笑)」ではいつも通り突き抜けるような美声が聞けます。ホント、綺麗な声だな~(陶酔)。 総合的には素晴らしいとしか言い様がありません。 全盛期の名演を収録した好ライヴ・アルバムです。
20分近くの大作が4曲。一般的に彼等の最高傑作と言われています。僕もそう思います。 メンバーはマイク・ラトリッジ(organ)、ヒュー・ホッパー(ba)、ロバート・ワイアット(dr)、エルトン・ディーン(sax)。最強の布陣である。 いかにも英国人解釈のジャズ・ロックであり、攻撃的でアバンギャルド。混沌とした雰囲気の向こうから、うっすらと主題的なテーマが聞こえて来、それに呼応するように全楽器が爆走し始めます。テンションの緩慢、それでいて一貫して保たれている緊張感。この絶妙のギリギリ具合がこのバンドの最大の魅力でしょう。 全曲素晴らしいのですが、特に「6月の月」はヴォーカル入りなので聴き易いです。ワイアットの作品ですが、まだここではそんなに音楽的確執が見られず、マシーンの音としてちゃんと機能していると思います。1曲目の「Facelift」は部分的に70年のフェアフィールドでのライヴ音源を使用しています(繋ぎ目も一目瞭然)が、こんなに凄い演奏を当時ライヴでやってたのかと思うと溜息が出ます。因みにこの元ネタのライヴ全編は後のライヴ盤『NOISETTE』で聴けます。2曲目の「Slightly All The Time」の後半でCARAVANの「狩りへ行こう」にも使用された「Backwards」が聴けます。4曲目「Out- Bloody--Rageous」も必聴。この曲こそ彼等の魅力が全て詰まった一曲ではないでしょうか。 カンタベリー独特のあのくぐもった感じと当時のイギリス音楽の革新的な勢いが見事に融合した奇跡的な作品。文句の付けようもない。
原曲はアルビノーニのアダージョですね。勿論原曲には歌詞はありません。サッチャーさんが付けたのでしょう。その昔には映画『審判』に用いられて有名になったそうです。 またこの曲はかのイングヴェイも「Icarus' Dream Suite Opus 4」なんかでやってますね。 ルネッサンスではオルガン一本でアニーが歌います。なにか近づきがたい雰囲気がありますね。そしてなんとなくアニーの歌い方がハードロック調のような気がします(ほんと微妙に、ですけど・・・)。
このバージョンも凄い。 このライヴ・バージョンは原曲よりも若干速めの演奏になっています(めちゃくちゃ速いところもアリ)。しかし速いくせに演奏時間が2倍になっとるのはどういうこっちゃー!?。そのわけは中間部に挿入されるジャム的なインプロのせい(笑)。ここではキーボード・ベース・ドラムの即興が聴かれます。ジョン・キャンプのベースがかなり前に出ていて、ゴリゴリ感が倍増しています。 そういえばこのジョン・キャンプという人、フェイバリット・アーティストはYESだとか。言われて見れば確かにクリス・スクワイアの影響を受けているとしか思えませんね、このベースは(笑)。 そして僕が仏を感じたのはインプロ明けの静かになるパートで、アニーが歌う場面。「Ashes are burning the way~!」の歌声の伸び・張り。神です!。女神様です!。天からのお声です!!!。そしてその直後の「ア~ァァァァア!」のアドリブ。僕は本当にあの世に召されてしまうかと思いました。魂が体から抜けていきそうになりました。何ですか!この声は!?。伝家の宝刀・クリスタルヴォイス炸裂!!!。ホント、世界で一番美しい声の持ち主じゃないでしょうか。アニー MY LOVE(笑)。 この演奏を聴いていると無性にルネッサンスの演奏している姿が見たくなってきます。おそらく公式な映像作品は今まで発表されていませんから。この時の映像なんて残っていないんだろうか。少しぐらい素材はあっても良いだろうに。出してくれないのかなぁ~(笑)。
↑の補足として、「Children Of The Damned」と「Total Eclipse」は1982年3月20日、ロンドンはハマースミスでの音源です。後の『EDDIE'S ARCHIVE』でこの時のライヴの完全版が収録されるわけです。 「Total Eclipse」のライヴはかなり貴重ではないでしょうか。元々は「Run To The Hills」のB面曲扱いだったわけで、そのライヴとなるとかなり貴重です。
↑の補足として、「22 Acacia Avenue」と「The Prisoner」は1982年8月28日のレディング・フェスティバル出演時の演奏です。後にこの時のライヴの完全版が『EDDIE'S ARCHIVE』に収録されます。 「Run To The Hills」のアニメーションは正直面白くないな~。