1stはトーマス・ヴィクストロームをシンガーに、そして2013年の今作はMr,北欧ヴォイスと思っておりますクリスタルな煌めきと深みのある歌声が魅力のヨラン・エドマンを迎え入れリリースされております。懐かしい北欧風のメロディックなAOR系のHM/HRサウンドを響かせており。マニアなら頭からケツまで感動の嵐が巻き起こるでしょう。どの曲もシングルカットされてもおかしくないクオリティを兼ね備えておりキャッチーなメロディが優美で軽やかに躍動する様は変わり映えのないジャンルならではの王道を押さえております。MR,BIGのカヴァーもやった事あるくらいなんで泣きすぎず、やや乾き目なのも狭い狭義で語られることのない大衆性をまとい、万人受けする寛容なスタイルを築いていると思います。涙腺を刺激する「Hold On」「Think About All Times」とか個人的には大好きなスタイルですね。メロディ愛好家には強くおススメをする一枚、けして軟弱にならないアレンジと邪魔をしないツボを押さえたギタープレイとリズム隊の職人技は見事な塩梅ですよ。
DEAD END、MAZERAN、AION、Z-SECTなどを世に送り出した事で知られるナイトギャラリーからデビューした大阪の4人組によるミニEP。当時の日本人らしい、所謂、既成の楽曲を分解し組み合わせ作り直したような、アイデア勝負な楽曲が収録されており、良くも悪くも何処かで聴いたようなフレーズの多さが気になるともう駄目です(ラフな日本人的歌唱スタイルもね)ところが聴きなれるとこれが癖になりまして、実にツボを押さえた演奏が耳を惹く4曲となります。センス溢れるギターワークは勿論、軽めの音質ながらもタイトなリズムプレイも悪くない、トリッキーな技も無い、フレーズに新鮮味もない、でも組み合わせの旨味からくるスリルのある展開は、色んな意味で衝撃的だ。ある意味伝統的なスタイルだし正攻法で勝負する姿勢は中々興味のそそられるものでした。④曲入りのミニなので全貌は見えてきませんが、愛すべきバンドでしたね。
シルヴィ・ラクロア嬢がフロントマンを務めるシアトル出身の正統派HM/HRバンドが1986年にリリースした1st。ラストに収録されているタイトルトラックのCrack of Doomのリフなんてリッチーマニアならニアニアさせられるだろうし、アメリカのバンドなので明るめのライトな楽曲もあるが、ダークな色合いが強くバンドの目指している方向性と、お国柄がバッチンバッチンとぶつかっているようで聴いていてチョット面白い。スケールの大きなロックサウンドを母体にいかような方向性に進むかを試行錯誤する姿に可能性を大いに感じるし、とにかく空間を引き裂くようにヨーロピアンテイスト溢れるリードギターが顔を出す瞬間に、この時代ならではのUSアングラメタルシーンの在りし日の姿を垣間見ますね。初期Twisted Sisterあたりが持つアングラな雰囲気が好きな人なら愛着を覚える一枚でしょう。
このバンド80年代を代表するAOR系サウンドの旗手と言っても大袈裟ではありません。デビュー作である、今作もセルフタイトルをつけるに相応しいモノであり、ジェリー・フルジックとビル・ケリーを中心に結成された、このバンドは最初から素晴らしい作品をリリースしています。 西海岸風と言える爽快さと、大地に根を張るアーシーさ、そこにクラシックなAORをブレンドした、TOTOやSTYXなどに通ずるスタイルを築き上げています。まずはオープニングの「If It Takes All Night」、爽やかですねぇ、弾けていますよ、でもしっかりとした枠組みを作っています、土台がしっかりとしていますよね。素晴らしいメロディーとヴォーカルハーモニー、その組み合わせの美しさに、ダコタの魅力を感じます、ちょいビンテージ集を漂わせる鍵盤プレイもアクセントになっていますねぇ。サビメロなんて一発で頭に残るでしょう。渋いねぇ「クレイジー・フォー・ユア・ラヴ」は、ゆったりと穏やかに流れるAORサウンド、スッと滑らかなに溶け込んできます。必殺のバラード「You Can't Live Without It」。「One Step」のサビメロに胸キュン、ギターサウンドも歪ませていますねぇ。スローなイントロから一転、メロディックなロックサウンドへと展開する「Restless」強力なフックのあるメロディが全体を支配、実に印象的な一曲です。再発盤にはボートラが2曲収録されていますが、これは実に美味しいオマケになっています。本編と比較しても一切遜色のない名曲、むしろ、これがあるからより作品の質を向上していると言えます。次のアルバムにも通ずる、哀愁のある歌が胸を締め付ける「The Higher You Rise」はこれぞダコタと言いたくなります。THE AORロックですよ。80年代という時代を見据えたロマンティックなAOR系ロックナンバー「Give Love Another Try」ベタですがベタには叶いませんよ。