元アイアン・メイデンの肩書きを持つポール・ディアノが2006年にリリースしたソロアルバム。いきなりスローナンバーで幕が開ける展開に肩透かしを喰らった気分になるのですが、このタイトルトラックのもの悲しい雰囲気がいい、これから始まる序曲としては逆にどっしりと構えたシリアスな作風で打って出たことにより期待度も上昇、その後もポール・ディアノのパンチ力のある歌声を生かした重量感のあるヘヴィメタルサウンドを轟かせ、しっかりとメロディも押さえて唄い込み肩書きの名を汚すことの無いパフォーマンスを披露、唄メロの質はともかく往年の勢いを感じさせてくれます。メリハリの効かした重量感のあるへヴィなミドルナンバーを中心に自らの持ち味を生かした懐古主義では終わらない気概を感じさせてくれる姿も立派ですね。重量感のあるギターリフと強烈なリズムプレイが一体となりパワフルな歌声が叩きつけるダイナミックなサウンドは真新しさは無いものの素直にカッコいいと思いました。またメロディアスなソロプレイでは王道を行くHM/HRのスタイルを踏襲しているのも今作の魅力の一つですね。ちなみにボーナストラックとして?、いい加減聞き飽きたわでお馴染みのメイデンカヴァーライブ“Wrathchild” ゛Phantom Of The Opera”二曲と何故かメガデスのカヴァー“Symphony Of Destruction”に挑戦しています、iTunesでもいけるので興味のある方はそちらもオススメしますね。個人的にはもう元メイデンの肩書きに頼らなくても十分に魅力のある歌声を今作で聞かせていると思うので、メイデンカヴァーは辞めたほうがいいように感じています。それにメイデンコレクター泣かせになるしね
Blonde On Blondeから改名、そしてアルバムタイトルが『Blonde On Blonde』ってややこしい事をするなよ。収録曲も被ってんじゃないのか、ツインヴォーカルからベンテ・スマーヴィク一人になったが、音楽性に大きな変化は無く、むしろ、トニー・プラッタがミキシングを担当、プロデューサーにバーニー・マースデン、そういう縁もあるのかキーボードはドン・エイリーときている。こうなって外すわけが無い、日本人好みのメロディアスハードスタイルは、大映ドラマの主題歌になりそうな曲もあったりと、癖が薄まった分、親しみやすさも増量され、サウンドプロダクションの強化も功を奏している。 ただ、一撃必殺というのか、このバンドの名刺代わりとなるような強力なナンバーがあるのかと言われると若干弱さを感じる。そのあたりに不満も出そうだが、個人的には、ハードサウンドで疲弊した耳を休ませるのに丁度良く、ハートの北欧版的なニュアンスで楽しめると思いますので、イマイチ、日本で知られていない分、こんなんありますよと、唄モノロックマニアにそっと教えておきたいですね。
昨年の11月にCherry Redからリリースされた幻の一枚。HHEP脱退後に作り上げるも契約に結びつける事が出来ずにお蔵入りしていた一枚。30年以上も埃が被っていたレアモノが遂にリリースされました。当然、古さは否めませんが、ピーターの押しの強い歌声を前に出した唄モノサウンドはキラキラとしたキーボードも生かしソフトなAOR調のロックサウンドを展開、哀愁のメロディを散りばめメリハリを効かせています。 リズムは打ち込みだしロック色は薄い、HEEPファンやTRAPEZEのファンにとってもおもてたんと違うと感じる場面は多いでしょう。しかしロビン・ジョージとの共作もありますが、大半はピーターが一人で作り上げた楽曲ばかり、彼のソロとしては美味しい作りになっているのは確かです。ピートの歌声に涼やかなAORサウンドが合う合わないは好みもあるでしょうが、唄モノロックが好きな人は大いに楽しめるでしょう。個人的には完成品とは思えないデモ並の軽く平坦な音質、また似たような曲調が出てくるので、通して聴くには飽きてくるのが難点。個性不足と言えばそれまでだが(このあたりもレコード会社に敬遠されたのかも知れない)完成度はけして低くないです。既に現役引退したピート。ブートがあるぞと噂は聴いたが、見たことも聴いたこともなかっただけに幻の一枚に巡り会えて良かったです。 なんと言っても嬉しい誤算はVoice On My TVの元ネタというのか、オリジナルはピーターなので『Voice On My TV』のオリジナルに当たる⑤にファンならニヤリとさせられますよね。
1.Smash It Up (Lee Small on Vocals, Mat Sinner Bass, Magnus Karlsson Lead Guitars)
2.Reality (Toby Hitchcock on vocals and Mike Slamer on Lead Guitars)
3.Homeland (Rob Moratti on vocals and Martin Kronlund on all Guitars)
4.Going Away (James Christian vocals and Tommy Denander Martin Kronlund on Guitars)
5.Gotta Move (Ralf Scheepers on vocals and Christian Wolff &Tommy Denander on Guitars)
6.How Long (Lee Small on vocals and Martin Kronlund on Guitars)
7.Shake (Mike DiMeo on Vocal and Martin Kronlund on Guitars)
8.Fighter (Terry Brock on vocals and Steve Newman on Guitars and backing vocals)
9.Dancing Days (Niklas Swedentorp on Lead Vocals with all Coldspell members)
10.Stand Up For Love (Chris Antblad with JAVA Gospel Choir)
上記豪華ゲストが参加しためるトム・ギャレー主催のフェノメナプロジェクト第6弾。ド頭からリー・スモールのグレン・ヒューズを彷彿とさせるエモーショナルが歌声が炸裂、楽曲も今まで以上にAOR風味満点のHM/HRサウンドを披露と、随分と垢抜けた印象が強い。適材適所とも言える名シンガーが揃い、自慢の喉を披露と、ちょっとしたカラオケ大会の模様だ。そんな豪華な顔触れの恥じないゴージャズな雰囲気の歌モノロックは、派手になった分、このプロジェクト独特のコクのようなものが薄まり、レーベルの意向に沿った企画モノへと変貌したように感じる。 ロブ・モラッティが歌う③はグレン・ヒューズのソロ『From Now On』からだったりと、既発音源もあるから尚更だったりするのだが、そんな細かい事を気にせずに、名シンガーと腕利きギタリストとの共演を楽しむのが一番でしょう。 こういうお祭り感の強まった企画モノは楽しんだモノ勝ちですからねぇ。