どうしてこんなに魅力的なバンドなのに絶望的なほど知名度が得られなかったのだ?と思わせるバンドは数あれど、このバンドほど作品のクオリティと知名度がかけ離れたバンドのいないでしょう。 Music for Nationsの今は亡きUNDER ONE FLAGからもリリースされたスイス産のスラッシュメタル。個人的にも彼らを知ったのは遅く、2000年に入ってからである。このクオリティなのに仲間内からもこぼれていた事に痛恨の極みを感じるのだが、クールなインストナンバーも知的エッセンスを漂わせ、剛毅なパワフルさやスピード勝負でないことを裏付けているのも見逃せません。良く動き回るリズムは変拍子もバシバシ決め、躍動感がある。歌い手も方向タイプではなくしっかりと歌い込めるタイプだけに、正統派ファンも難なく手にすることが出来るでしょう。NWOBHMからの流れを的確に継承したメタリカスタイルではあるが、随所で感じさせる叙情テイストと親しみやすいキャッチーさ、そこにいい意味でのマイナー臭をぶち込み、アングラメタルなスタイルを形成している。 聴きやすいのだが緊張感が漂い、自分たちの個性を確立しようと努力している点も見逃せません。 古き良き古典スラッシュの調べ、正統派メタルに近いスタイルなのも幅広い層に受け入れられる要素かと思います。なんと言っても北欧マインドを感じさせない無国籍なサウンドだと言うのもポイントでしょう。
アイアンメイデン初期の音楽性を語る上では外すことのできない我らがポール・ディアノ氏がドイツ人ミュージシャンを従えリリースしたのが今作。もう味せんやろと言われても噛みしだいたメイデンセルフカヴァー作品などで晩節を汚しつつあったポールだけに、今作のアナウンスは期待を持たせるものでした。だってメイデンカヴァーのボートラ無じゃん(笑)代わりにパープルの『Soldiers Of Fortune』をラストに朗々と歌っていますからね。気心の知れたドイツ人ミュージシャンと作り上げた今作は、古典的な手法に乗っ取りつつも、メタルコア的なニュアンスを巧みに取り込み、古臭いだけの音楽性に陥ることのないポールの歌唱を生かしたメロディックメタルを披露。『Architects Of Chaoz 』では中近東風のメロディをバックに歌いあげるなど新鮮味もあり、他の楽曲もメイデン風や出涸らしの出まくったNWOBHM風のそれとは違う楽曲を用意し新たなる魅力を提示してくれました。曲の出来云々は、リリースへ向けての経緯など、いぶかしげな面もあり胡散臭さが漂うのですが、ジャーマン風のメロディックメタルを歌うポールという組み合わせは過去にしがみつかずとも、独立してやっていける可能性を十分に示唆するバンドとなっていますね。次作がもしあるのなら、もうチョイ金を掛けて作ってくれると迫力もまして良くなるかと思いますね。
元々はSecond Chanceというバンド名で活動していましたがメジャーデビューを機に改名してリリースされたのがコチラ。アメリカのバンドなのでドライな感触と、時代性を加味したメジャー感はあるが騒々しいパワーメタル色も強く、何とも形容しがたい音楽性のバンドです。ラフで派手目の楽曲が多いのです⑤ではアコギをフューチャーしたバラードタイプの曲もあったり、おまけに歌詞のコンセプトはクリスチャンだというのだから情報量の多さに心の整理もつきませんよね。 とにかくパワフルさとメジャー感のかみ合わせによる質感が聴き手の嗜好を問う内容となるでしょうね。ハマっているときの大胆不敵さと外れた時の気持ち悪さが評価を分けますね。 豪快と言うかゴチャゴチャしていると言うか、軽めのミックスとけたたましさが何とも言えない感触を生みだしているのですが、そんなリズムプレイで客演しているのがRavenやDeath Row、伝説のPentagramでドラムを叩くジョー・ハッセルベンダーの名前があるのはマニアにとって見逃せませんよね。久しぶりに聴きましたが、JPのPoint of EntryとRam It Downを足してTurboで割ったような音楽性をなのかぁと思いましたね。