フレンチメタルを語る上では外す事の出来ない彼らが1983年にリリースしたEP。僕は2ndの『Larmes De Heros』から入ったのでNWOBHM色の強いアグレッシブな1stにも驚いたが、今作も1st同様のダークでメタリックなスタイルが築かれており、その光沢のある艶やかな音色は当時のメジャー級のバンドにも負けない仕上がり、線は細いが伸びのあるハイトーンは心地よいし、劇的な展開を誘発するキレのあるツインリードの印象的なフレージングの数々、力いっぱい歌いプレイしている姿は好感が持てますね。1997年のCD化の際に今作からの英語ヴァージョンも含むボートラ6曲入りでAxe Killer Recordsから再発もされていますので、マニアは勿論ですが正攻法で挑む正統派サウンドが好みの方にはおススメしますね。
1stの翌年にリリースされた2nd。間髪いれずの創作活動でしたが、音楽性をより明確に定めラフなパワーを内包したアメリカンスタイルとも言えるロックサウンドへ移行。1stの頃にあったようなぎこちなさも幾分解消され、メジャー感もUP、演奏もタイトにシェイプ、5曲目のShot Of Loveではサックスも登場させたりと、アレンジ面も含め成長の跡も伺えますね。勿論、ロック然とした粗さも残っており、売れ線になびいた訳でもないので安心して身を任せる事が出来るでしょう。 古き良き北欧スタイルが息づいているのですが、耳馴染みの良いメジャー級の音楽に慣れている人には、少々ラフ過ぎるのかも知れませんが、ロックの初期衝動を擽るようなワイルドでハードなロックスタイルを貫いており、その生真面目な品行方正さと相まって独特のカラー打ち出しているでしょう。全てにおいて1stを超えたと言える力作。北欧メタルの成り立ちに興味のあるマニアなら、手にとって欲しい一品ですね。
ハンガリー産のメロディアスHM/HRバンドの1st。FRONTIERSレーベルのバックアップを受けてワールドワイドな展開しているのですが、ハンガリーな癖を押さえた謹製FRONTIERSサウンドに驚きます。軽快でメロディアスな①などラウドネスのFACES IN THE FIREを想起させるような曲調で魅了、カヴァーソング②も自分たちの持ち歌のような仕上がりで、これまた魅了と今風のサウンドメイクもハマり、この軽やかな哀愁のメロディアスHM/HRサウンドにロックな血を滾らせています。FRONTIERSなメンツが縁の下を支えているのだから当然と言えるのかも知れないが、その期待に応えたハンガリーな男達に賞賛を送るべきだろう。音楽性に反比例するように汗臭そうなメンバーショットもワタクシは大好物です。チョイハスキーな声に哀愁のメロディが似合うのよ。ハードさが絶妙なのよ。新しい事なんてしなくても良いのよ。デジャブ感も満載なのよ、でもベタには叶いません。しかし、日本人はこの手の哀愁系は弱いのに、どうして日本からは、同様のバンドが現れないのだろう?日本の若者がFrontiers Recordsの目に止まる日が来ることを願いますねぇ。