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失恋船長さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 101-200

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WIRED - Catch ! - Love Comes Through Your Mind ★★★ (2023-07-13 20:56:25)

跳ね上がるリズムで一般大衆のハートを掴みます
ジャンル不問のメロディックサウンド
こういう曲を作り上げるセンスは希有だった
もっと評価されても良いのだがジャケが損している
ライブでも皆がノリノリで盛り上がれる一曲だ
メロディがいいんだよなぁ


DARE - Calm Before the Storm - Calm Before the Storm ★★ (2023-07-13 20:50:35)

流石ですねぇ
ドラマティックですねぇ
こういう曲で8分持たせるのが素晴らしい
ベタですが
それで良いのです


ARCADE - Arcade - Cry No More ★★ (2023-07-13 20:48:33)

アコースティカルな旋律に導かれ始まる
このドラマ性に期待値もあがりますよね
この歌声あってのバンドですからねぇ
上手い下手で評価しても仕方がありませんが
この味を楽しみましょう


Jagged Edge UK - Fuel for Your Soul - Smooth Operator ★★★ (2023-07-13 20:46:25)

どこかで聴いたことがあるような曲ですが
90年代を思い出させるオシャレでファンキーなハードナンバー
みんなやり出したんだよなぁ


BLACK 'N BLUE - Black 'n Blue - Chains Around Heaven ★★★ (2023-07-13 20:44:23)

キレのあるリフ
聞き心地のよい歌メロ
硬軟のバランスが取れたクロージングソング
1stアルバムならではの味わいだ


ICON - Icon - Rock 'n' Roll Maniac ★★★ (2023-07-13 20:42:07)

このバンドらしい折衷サウンドです
少々ワイルドな歌い回しだが
サビのコーラスワークがそのあたりを緩和
上手くまとめている
またハードに迫っている時代のスタイルだ


LONDON - The Metal Years - Miss You ★★★ (2023-07-13 20:39:06)

美しいバラードですねぇ
売れそうなアイデアは持っていたがヒットに繋がらなかった
画に描いたようなメインストリーム寄りのアメリカンハードサウンド
こういうバラードだって様になるバンドでした


DANGEROUS TOYS - Hellacious Acres - Best of Friends ★★★ (2023-07-12 21:52:24)

王道のアメリカンバラード
ガンズに続けと言わんばかりに売って出るも売れなかった
個人的にはガンズタイプなら一番だし
本家よりもお気に入りだった


DOMAIN - Lost in the City - Lost in the City ★★★ (2023-07-12 21:48:36)

アルバムのオープニングナンバー
序章となるキーボードの旋律が高らかに鳴らされる
あのパターンだよなぁなんてツッコむのは野暮です

ところでワシはこのバンドの投稿けっこうした記憶があるがバッサリない?
勝手に書き込みしたと思い込んだだけなのか?
老いは怖いわ
まさにLost in the city


ULI JON ROTH - Firewind - Chaplin and I ★★★ (2023-07-12 21:44:50)

イイ曲ですねぇ
歌はイマイチですがイントロの美しい旋律にウットリ
二井原実先輩の弾き語りで聴きたいなぁ
なんて思いました
隠れた名曲の一つですよねぇ


PROPHET - Recycled - Brightest Star ★★★ (2023-07-12 21:42:28)

いいですねぇ
イケイケのメロディックメタル
このバンドらしい小技も聴いている
ダイナミックなサウンドとテクニカルさ
絶妙なバランス感覚が魅了していますね


LE MANS - Le Mans - Love is a Waste of Time ★★★ (2023-07-12 21:40:29)

洗練されたサウンドとハードテイストにさじ加減
大衆性を無視しないがビックサウンド過ぎないのが絶妙だ
売れそうなポテンシャルのあったバンドだった
日本人好みのサウンドだろう
ギターソロでは牙を剥きますよ


BAD HABIT - After Hours - I Never Knew What Love Could Do ★★★ (2023-07-12 21:36:50)

北欧の風を吹かすメジャーサウンド
この糖度の高いメロディと涼やかさ
清涼感を味わいたい季節にピッタリの一曲でしょう
ベタに敵うモノなしです


RAZORMAID - First Cutt - Too Late ★★★ (2023-07-12 21:33:18)

ハードなリフと哀愁のメロディ
実によい味わいの一曲
硬派なハードさと大衆的親しみやすさ
計算されていますよね
日本人はこういう曲が好きなのに
日本のバンドはこういう曲を書けない
やっぱりロックは外国のもんなんだなぁ


JAG PANZER - Chain of Command ★★★ (2023-07-10 13:33:07)

遂にオフィシャルな形でリリースされた幻の2nd。ギターのジョーイ・タフォーラとシンガーのハリー・コンクリンが抜け、変わりに参加したのが、クリスチャン・ラセグとボブ・パルドゥバの二人。とくにシンガーのボブはタイラント・コンクリンに負けないハイトーンを駆使するシンガーで違和感は全くない、むしろ中音域に甘さがありタイラントよりも柔軟さを感じる。彼の実力はKeep It True X festival in 2008でも確認が出来るので、何故このクオリティでお蔵入にされたのか疑問を払拭できないほど、欧州風味のあるアメリカンパワーメタルをやり切っている。
良く伸びるハイトーン、ジョーイ・タフォーラをフィーチャーしすぎていた面があった前作から比べると楽曲に比重を置いたパフォーマンスに変わり、その充実ぶりはソングライティング力に反映、これぞヘヴィメタルな楽曲に彩られている。Iron Butterfly の名曲
In a Gadda da Vidaのカヴァーもクレジットの段階では蛇足感を感じたが、流れで聴けば違和感はなく、むしろアクセントになっている。すでにハリー・タイラント・コンクリンの歌声でリメイクもされている楽曲が多いのですが、個人的にはオリジナル盤の方が好みですね。つくづくもっていないバンドだ。これほどの良作が80年代中期に出来上がっていたのに世に出ないなんて、これが知られていれば正統派メタルマニアから高い支持を受けていただろう。今日の日本での過小評価も起こらなかったはずである。

今作は彼らなりに時代に寄せている。聴きやすさを優先しているがメタリックな質感は失われていない。そういう目は間違いではなかったはずだけにお蔵入は残念だ。


JAG PANZER - Mechanized Warfare ★★★ (2023-07-07 14:12:25)

機械化戦と訳せるアルバムタイトル通り、実にメカニカルかつヘヴィなサウンドを展開している。このバンドらしい漲るパワー。メイデンヨロシクなギタープレイもそこそこに、ハリー・タイラント・コンクリンのハイトーンが空間を切り裂きます。名手クリス・ブロデリックがいるのでギターソロとかキレてますよね。
アメリカのバンドですがドイツのレーベルと契約しているように、ガチムチのパワーメタルに情緒のあるメロディを導入、湿ってはいないが濡れている、お得意のサウンドを確立している。
2000年をいう時代背景もそこそこに、ブレることのないメロディックなパワーメタルサウンド、定番であることの難しさ、ヒロイズム溢れるサウンドはエピカルという言葉も当てはまるし、各方面にアピール出来る、真面目なメタルを愛する猛者どもを一手に受け止めるだけの器量がある。
日本では人気のないバンドだが、必ず需要はあるはずである、今は簡単に試聴できる時代になったのでお手すきの時にでも是非トライして欲しいバンドだ。


ORIGINAL SIN - Sin Will Find You Out ★★★ (2023-07-04 11:04:39)

ジャケットに女性が4人写りこんでいるので全員女性によるスピード/パワーメタル系のバンドなのかと思いきや、ヴォーカル以外は全員男性、しかもジャック・スター関連のメンバーでVirgin SteeleでありExorcistのメンツが大集合、しかも女性シンガーのダナエ・デフェイス
はデビッド・デフェイスの妹だと言うのだから、随分と仲間内で作り上げたバンドでありサウンドだと思います。
Virgin Steeleのゴタゴタのあと、課外活動に精を出していたんだなぁと知るのですが、わざわざ別名義でださんでもなスピードサウンドで魅了。ちなみに後にVirgin Steeleがリメイクしている楽曲もありますからね。Exorcist風もあったりするんですが、でも、まだまだメタル界において女性が歌うなど偏見もあった時代、こういうサウンドでフロントを張る姿は様になっており、彼女の為のバンドと言えなくもないので問題はない、惜しむらくはアッサリとしたフェードアウトや終わり方もあるのだが、10曲で30分少々というランニングタイムは、実に清々しいものであり気がつけばアルバムのラストまで一気に進んでいるでしょう。
この清さ、小細工無用のスピード勝負はアメリカンスピードメタルならではの感覚が支配しており、そこにどこかウエットな声質の歌声が乗ることで独自性を打ち出している。

最初は別名義でださんでもなどと悪態をついたワタクシも視聴後は、彼女がいるから個性が強まったと頭を丸めて謝罪したい気分にさせられました。スピード狂には是非とも勧めたい一枚ですね。


HAMMER - Sherman ★★★ (2023-07-04 10:32:21)

ポーランド産のスピード/スラッシュメタルバンドのフルアルバム。今作は1989年にリリースされたHammerの英詩ヴァージョンらしいですが、Hammerを聴いたことがないので真偽の程は分かりません。曲順も変わり1曲少なくなっているようですね。

ポーランド産のバンドと言うことで癖の強そうなサウンドを想像したのですが、これが思いのほかオーソドックスなスタイルを築いており欧米諸国の先輩達からの薫陶を受けたサウンドを構築、90年代を目前に実にオーセンティックなサウンドで魅了してくれました。
その反面、個性不足という面は否めないかも知れませんが、スピード/スラッシュメタル系に、そんな批評は野暮なので、ここは東欧風味もそこそこにエネルギッシュな演奏と楽曲に身を任せるのが一番ですねぇ。
コンピ作などにも顔を出し実績を積んだバンド、ポッと出の新人ではないので積み上げたものを解放したという事でしょう。音質的に今ひとつな面も含め楽しんで欲しい一枚でもあります。こういうの聴くとOVER KILLとかNUCLEAR ASSAULT凄かったなぁと思いますね。


VIRGIN STEELE - Life Among the Ruins ★★ (2023-07-01 16:49:14)

元々ZEPからの影響はあったのでしょうが、今作は前作からガラリと音楽性を変えてきました。時代は1993年、このバンドにも変革の波は否応なしに訪れ、こういう方向性に向かうしかなかったのだろう、国内盤はゼロ・コーポレーションからリリースと、マニアからは懐かし名前の登場と、ゼロ・コーポレーションの大袈裟な商品説明に乗った人は、ちょっと騙された気分だったでしょうね。
ピアノの美しい旋律に導かれる小曲④から⑤の流れは、新機軸と言える魅力を発散、②のような曲もこなせるバンドだけに、もはや何が出てきても驚かない一枚となった。

彼らのカタログの中では異質な一枚であるが、ブルージーなヘヴィロック系が好きな人ならば大いに楽しめるだろう。


VIRGIN STEELE - Age of Consent ★★★ (2023-07-01 16:32:26)

前作の手応えを受け手なのか今作は音楽性をより大衆的なものに寄せてきた。とは言え、このバンドらしい情緒のあるパワフルなメロディは健在。前半と後半でイメージの変更を図るなど工夫を凝らしている。④はユーライアヒープも取り上げた曲があるのが、その証拠だろう。デヴィッド・デファイスがシンガーとして一本立ちしたと言える安定したパフォーマンスも功を奏し、非常にバランスの良いサウンドへと変換している。
自動登録にはないが私が知っているヴァージョンは6曲目にThe Burning of Rome (Cry for Pompeii)という楽曲があり、これが実にメロディックかつパワフルなナンバーであり、このバンドの代名詞のようなワクワクドキドキとさせる勇壮さのあるドラマティックな一曲であり、これがあるとないとで大違いだ。
今作は実にややこやしい一枚として知られる。それは90年代に再発されたものは、大幅に楽曲を追加収録、曲順も大胆に変えオリジナル盤とはガラリと試聴感が変る。どれを知っているかで評価も大きく変るだろうが、欧州風味も取り入れたアメリカンパワーメタラーの実力の程に驚かされる。
誰かの批評を永遠に上書きできない偏屈野郎の意見など、もはやイチミリも介入できないクオリティ。一瞬にして溶岩の餌食となったポンペイの悲劇を歌い上げるThe Burning of Rome (Cry for Pompeii)、パワフルな疾走ナンバー Let It Roarという流れに、今作の真の姿を垣間見るだろう。
楽曲のバラエティが広がっているので守備範囲は広い。1988年という時代をタップリと楽しめる一枚になっているだろう。
ワタクシは欠点よりも長所を愛でるタイプなので、今作は今でも年一は通して聴く一枚ですね。


VIRGIN STEELE - Noble Savage ★★★ (2023-07-01 16:06:23)

バンドの創始者であるジャック・スターが裁判に負けバンド名を引き継げなかったとい逸話もあるが、バンドにとっては方向性が確立した記念碑的なアルバムでもある。でもJack Starr's Burning StarrのNo Turning Back!ではキーボードとしてデビッド・デフェイスが参加したり、喧嘩別れしたわけじゃないのかな?なんて疑問もあったりと気になるところですよね。1986年にExorcistもあったしねぇ。などと深読みしたくなる時期にリリースされた一枚なのですが、迷いのない方向性、イニシアチブをデビットが完全に掌握した事でバンドサウンドが確立。
シンガーとして成長著しいデビットの指揮下にあるメロディックかつパワフルなサウンドは、胸焼けを起こしそうな濃いサウンドとは一線を画すモノであり、その濃密なドラマ性を無駄なく聴かせてくれる。
このバンドの歴史は今作から始まったと言っても過言ではないでしょうね。勝負となった3枚目のフルアルバム。見事に彼らは打ち勝ちました。デビュー時の評価、日本ではへなちょこシンガーの汚名を着せられ、有名な批評家が言うから、誰かの批評に乗っかるだけの永遠のニワカリスナーによって、今もって日本では人気薄ですが、そういう当時の批評を知らない若い人には、クラシカルなアメリカンパワーメタルサウンドとして、是非ともトライして欲しい一枚ですよね。

欧州系とは違うメロセンスとドラマ。濃いめの味付けを中和するバッキングのキーボード、こういう粋なサウンドは我が国でも確実に需要のある音楽性だけに、くだらない万年ニワカリスナーに引っ張られない健全な耳で音楽に向き合って欲しい。


VIRGIN STEELE - Guardians of the Flame ★★★ (2023-06-30 11:01:58)

メロディックなオープニングナンバーに驚きましたね。驚くのもつかの間、パワフルな②が始まり、このバンドの成長度の高さを感じます。パフォーマンス力は勿論だが、バンドの一体感、その成果は音楽性にも反映されソングライティング力もアップと実に逞しいバンドになりました。
リズム隊も強化されましたね。ギターの音もファットになりました。ヴィブラートの掛け方は好きになれないが前作とは比較にならないタフな歌声を手に入れたデビッド・デフェイスのパフォーマンス、当時、メディアではケチョンケチョンにやられましたんで、まぁ何十年経っても攻撃する人もいますが、令和5年に当時の論調をわざわざ広げて流布する人もいないので、大きな問題ではありません。
むしろ褒める長所の多い作風となり裏街道を練り歩くアメリカンパワーメタルと大衆性を巧みに織り込み、王道スタイルへと昇華させています。
キーボードの使い方がドラマ性を確実にアップさせているのもポイント。ワイルドさとメリハリも付けていますよね。

ある意味、バンドの歴史は今作から始まったと言えるほど前作の未消化な部分を仕上げてきた意欲作。短期間でよくぞここまで仕上げてきましたね。素晴らしいです。10曲入の42分というランニングタイムなんでサクっと聴けるのも好印象、最近こういうコンパクトなアルバムがないから、この時代の作品は重宝しますよね。
でもNo Remorse Records盤は貴重なEPがプラスされているんで、ボリューム感はあります。


VIRGIN STEELE - Virgin Steele ★★★ (2023-06-30 10:38:07)

ジャック・スターのプロキャリア最初の作品と言われるバンドの1st。のちに音楽性の違いでバンドを離れバンド名義も引き継げなかった男なのですが、今作ではイニシアチブを握りジャックのギタープレイをフィーチャー、RAINBOW系の楽曲からアメリカンハードありと、わりと典型的なアメリカンメタルをやっています。そこにねじ込まれるジャックが持ち込んだヨーロピアンな感性、のちにマイク・ヴァーニー主催のUSメタルなるコンピ作に提供するChildren of the Stormも収録と将来の有望株として、マイナーリーグでしのぎを削る活動をしていました。なんと言っても今作はデモ音源を叩き台に短気でレコーディングした代物、それ故に、そこまでのクオリティは期待できないが、Still in Love with Youのような大泣かせのバラードあり、男らしいメロディックメタルDanger Zone、バラードの後を引き継ぎ流れ出すドラマ性の高いChildren of the Stormなど質の高い楽曲も収録されている。
古き良きアメリカンメタル、今の主流とはかけ離れたスタイルだが、こういう音を待ち望んでいるマニアにはたまらんでしょう。まだ海のものとも山のものともつかぬ、そんなサウンドってどこか引き寄せるものがありますよね。ワタクシはこういうサウンドに焦がれます。欠点をあげつらうよりも長所を愛でるタイプなので、問題なしなのですが、メジャー流通に慣れている方には厳しいでしょうね。


SAVAGE STEEL - Begins With a Nightmare ★★★ (2023-06-29 18:57:01)

オリジナルは1987年、あのNew Renaissance Recordsからリリースした1st。あのレーベルですからね、覚悟は必要ですが、このバンドは随分マシな部類に入るバンド。むしろ、もっと作り込む時間があれば相当、気合いの入った一枚になったのですが、未消化な部分をそのままリリースしたような雰囲気があり、ある意味生っぽさはあるが本人達はこれで納得したのかと想像させる一枚。

回転するリフワーク、先の展開を読ませないスリルはあるのだがNew Renaissance Recordsが全てをぶち壊していると思わずにはいられない場面が多々あり、そのあたりが評価を分けるだろう。

カナダのミュージシャンは勤勉である。その真摯な姿勢は作品に反映されておりプロダクションさえ良ければ相当な迫力と緊張感で聴き手を魅了したでしょう。歌声だってもっと鍛錬されたものなハズである。何から何まで残念な空気が漂うがヘヴィメタルを愛する猛者ならば必ずや心に響くものがあるでしょう。


CHURCH OF MISERY - Born Under a Mad Sign - Butcher Baker (Robert Hansen) ★★★ (2023-06-27 11:22:25)

ロバート・ハンセン
数多くの女性を誘拐、強姦、拷問、そして殺人を犯したシリアルキター。アラスカで17人殺したことになっているが本当の数字はわからない。
ほかにも強盗や窃盗を繰り返す悪人に一ミリも憐憫の情などわかないが
キャラやストーリー的に物語性があるので映画の題材にもなっている
問答無用で死刑を言い渡したいがアメリカなので仮釈放なしの終身刑、禁固何百年ってなんかおかしい。
売春婦をさらい強姦、そして野に放ちライフルで狙撃。やすもんのB級ホラーさながらの人間狩りとは獣にも劣る所業だろう
拉致された売春婦が逃げ出し警察の保護を求めなければ犠牲者がどれだけ増えたか
見た目はひ弱なパン屋の男。そんな奴が殺人なんてやらないよという先入観。一番怖いのはここだよねぇ。


情け容赦のない地獄のスナイパー
狙われる女性たちの絶望的な心情も描かれているのだろうか?
いずれにしろトリップ感満載の暴力的なサウンドが支配している
荒涼とした大地
その先に見据えるは罪なき獲物
絶望的な情景を描いているように感じるが歌詞がわからないので想像でしかない


CHURCH OF MISERY - Born Under a Mad Sign - Come and Get Me Sucker (David Koresh) ★★★ (2023-06-27 11:18:34)

デビッド・コレシュ
キリスト教の終末論を信奉するブランチ・ダビディアンの教祖デビッド・コレシュ
若いころロックスターに憧れハリウッドに出るも相手にされなかったという逸話がある
海外のドラマなどの題材にもなるエピソード
武装した信者たちはFBIや地元警察と交戦
最終的に乳飲み子や子供を含む数十人が自殺を図った愚か者である
なぜこんなペテン師に騙されるのだろうか?と考えるのだが
確かに雑誌の情報を丸呑みして誤った解釈を流布する馬鹿者をみるとあり得るなと思える

説法のようなナレーションが入る一曲
狂気のカルト集団が見つめる破滅的な運命をテンションの高いサウンドで演出しているかのようだ
なぜこの男は破滅へと向かうのだろう
朝枝の焼け付くような歌声がクールさを倍増
日本人云々で語られる必要のないヘヴィグルーブの凄みに息をのむ
先の読めないスリリングな展開
中盤から一気に様相を変える瞬間などテンションマックスだ


CHURCH OF MISERY - Born Under a Mad Sign - Murder Castle Blues (H.H. Holmes) ★★★ (2023-06-27 11:13:31)

ドクター・ヘンリー・ハワード・ホームズ
殺した人間は200人以上と語られる伝説の殺人鬼。
尾ひれはひれついた逸話や伝記物が多いので真相は明らかにならないが
とにかく半端ない殺人鬼だ
自ら買い取った薬局の隣にホテルを建設
そこは彼が自由に徘徊できるようにトリックを用いり建設
宿泊者はそんな仕掛けがあるとも知らずに彼の毒牙にかかる
地下室に作られた拷問部屋、彼らは生きながらあらゆる苦痛を与えられたろう
殺人事件で逮捕されることはなかったが
別の詐欺で捕まったあとに事件が明るみになったというのだから恐ろしい話である。
ホテルの宿泊者が忽然と消えるなんて下手な都市伝説でしかないのだが実際に起こった出来事と考えると恐怖があふれ出してくる。


黒く濁る泥水のような悪意
その泥水ブルーズの濃度の高さに視界不良
強烈なアタック感と揺らめくヘヴィグルーブ
演者が一体となり奏でる焦燥感が地ベタを這いまわっている


CHURCH OF MISERY - Born Under a Mad Sign - Freeway Madness Boogie (Randy Kraft) ★★★ (2023-06-27 11:07:55)

ランドルフ・スティーブン・クラフト
フリーウェイキラーの異名を持つ連続殺人鬼
とにかく許される要素を持たない最低のくず野郎。
起訴された殺人人数は16人だが、彼が手を染めた期間を考えたら何倍もやっているだろう
アルコールと薬で酩酊状態にしてから残虐の限りを尽くして殺すシリアルキラー
死体を高速道路に遺棄するからフリーウェイキラーなのだが
殺された若い男たちはみな性器が切断されていたという


フリーウェイキラーを題材にしているからかテンポが速めの曲だ
狂気の世界観をうねりまくる強靭なリズムがサウンドを牽引
ドラムもベースも大好きである
6分もあるのにあっという間に終わる印象がある
このバンドの力量はこういうところにある
歌詞の意味が分かればもっとこの世界に陶酔できるのだろうが
ワシは英語がさっぱりなんでねぇ
でも日本語にしたらかっこ悪くなるんだよなぁ
ギターソロもクール


CHURCH OF MISERY - Born Under a Mad Sign - Most Evil (Fritz Harmann) ★★★ (2023-06-27 11:02:21)

フリッツ・ハールマン
ドイツのシリアルキラー。狙うは浮浪者や男娼などの若い男。
行為中に喉を掻き切り殺害。その毒牙にかかったものは24人にも上るというが実際はもっと多いらしい。
この男が恐ろしいのは、その殺害したものたちの人肉を食らったという逸話があること。
そしてその肉を売りさばいていたという都市伝説がある。
1920年代の話とはいえ想像するだけで気分が悪くなる。
食肉店で手に入れたスキルを使い死体の解体。なぜ彼が数多くの凶行に及ぶも逮捕されなかったのか?
警察の情報屋の顔を持っていたというのも恐怖であろう

地を這いまわりながらうねりを上げるヘヴィグルーブ
このバンドらしいカオティックな空気感がにじみ出ている
断続的に刻まれる狂気のグルーブ
日本人によるラインナップは正解だ
朝枝カムバックである


CHURCH OF MISERY - Born Under a Mad Sign - Beltway Sniper (John Allen Muhammad) ★★★ (2023-06-27 10:56:45)

ジョン・アレン・ムハンマド

狂気の殺人スナイパー。証言では17人もの面識のない罪なき人々を殺害した男
元軍人で射撃の腕は一流だったといわれる。
子煩悩だったといわれる反面、離婚歴も多く、軍隊では上官への暴力が原因で除籍されている。
最後まで語られなかった殺害の動機。銃社会が抱える本質を提示している。
数か月わたり行われた犯行。いつどこで誰かが狙っているという環境で生きるなど日本生まれのワシでは耐えられんぞ。


ユラユラと蠢くヘヴィグルーブ
この陶酔感こそこのバンドの肝だろう
8分超えも苦にならないのは独自の世界観を極めているから
岡崎さんギターもかっこいい
朝枝さん復活も嬉しいニュースだ


ZED YAGO - The Invisible Guide ★★ (2023-06-23 12:34:31)

生きる伝説と呼べる女性メタルシンガーの草分けとなるユッタ・ヴァインホールドがシンガーと務めたバンドとして知られる正統派メタルバンドが復活。残念ながらユッタ嬢は参加していないが、ギターのジミー・デュランの嫁さんイボンヌを新たなフロントマンに添えて再始動をなりました。
2000年代のフィルターを通してはいるが、往年のスタイルに肉薄するようなサウンドを基本としているため混乱は生じない。④みたいな曲は少々面を喰らうが、イボンヌ嬢は巧みな声色を使い分けフロントマンとしての重責を全う。少々やり過ぎな面もあることはあるが、これくらいでケチを付けたら聴くべきバンドはズッと狭まるぞと言いたい。
スピード命、キャッチーで分かりやすいヤツがないとダメという人には勧められませんが、ミドルナンバー中心のサウンドは、このバンドが一貫したものでありDIO風な曲もあるので、その筋のマニアには大いに食指も動くところでしょう。
もっと肩の力を抜いた方が彼女には似合うよねぇ。


KUBLAI KHAN - Annihilation ★★★ (2023-06-23 12:01:00)

ウンコたれレーベルNew Renaissance Recordsからリリースされた唯一のフルアルバム。レーベルから想像させるような脆弱なサウンドプロダクションに脱糞しそうになるが、出している音かけして酷いモノではない。NWOBHMからの流れを汲む初期型スラッシュサウンドは、スピードとスラッシーなリフに特化したスタイルを軸にバイオレントな空気感を繰り出す事に成功、時折正統派メタル的なエッセンスも散りばめ、しっかりと軸足を置いて初期型スラッシュをやり切っている。
ギタリストでありヴォーカルを担当するグレッグ・ハンデヴィッドが、Megadethにいたという情報もあってか、確実にそこからの枝分かれ的なサウンドである事は言わずもがな、なスタイルで攻撃してくる。
とにかくバランスが悪い、ごちゃっとしているし、危なかっしい。もう少し丁寧なレコーディングとミキシングがあったハズだと思わせるのがレーベルの所業だが、そんなことなどお構いなしに、力技で楽しませるだけのパワーはある。全て名曲とは言わないが、雑誌丸呑みのインチキスラッシャーでも無い限りグッとくる場面は多いでしょう。


Bigg Mouth - Bigg Mouth ★★★ (2023-06-20 12:35:05)

1995年に日本国内のみでリリースされた一枚。アメリカのバンドらしいのですが、当時の時代背景を飲み込みつつもダイナミックなアメリカンロックはメロディもしっかりとあるので、日本人の耳に馴染みやすいだろう。ある意味、個性不足というのか先人達の影響下にある、ストレートなサウンドは当時としてもやり過ぎ感が強く、もう少し個性を出して来いよと言いたくなります。イケメンシンガーによるワイルドでセクシーな歌い回しも懐かしいので、80年代後半から90年代に掛けてのメインストリームを意識したヘヴィネスサウンドが好きな人ならば大いに楽しめるでしょう。
今の若い人にも懐メロ的なニュアンスで、90年代のロックとして知ってもらいのにちょうど良いでしょう。○○風過ぎるのだが、だからつまらない分けではない。しかし、オリジナルティの薄さは否定できない微妙な一枚だ。アルファレコードのBrunetteってこういうマニアックなのイキますよね。


SAMSON - Refugee ★★★ (2023-06-20 12:09:02)

なんだかんだ言ってもコンスタントに作品を残すポール・サムソン率いるSAMSON。今回も大幅にメンバーを交代して作品をリリース。一曲目にゲイリー・オーエン(英国のTNTのシンガー)が歌う以外は大柄のシンガー、ピーター・スカランが担当。引き続きキーボードプレイヤーを迎え入れメロディックメタル路線を強化。NWOBHM路線を感じさせる場面はあるが、AOR調のメロディックサウンドへと舵を切り、今まで以上に守備範囲を広げてきた。前作のEPが余りにもやり過ぎだったので、この揺れ戻し現象は大正解。バンドの本文であるサムソンのギターもそれなりに牙を剥いている。
柔和ではあるが攻めている作風、メロディを際立たせても主役はポールだと言わんばかりにバランス感覚が今作最大のポイントだろう。
これがあのNWOBHMファイターのSAMSONかと言われると微妙だが、無理なく進化したスタイルは非難されるべきではない。とは言え90年代に入る時代を考えると、この手のスタイルがウケるとは言い難い、どこか時代にマッチはしていないが、SAMSONのカタログとしては一番聴きやすい部類に入る一枚。アルバムタイトルの和訳が難民、ポール・サムソンはメインストリームにも素直に寄れず、時代に取り残された印象を深めた、正にヘヴィメタル難民を化したのだろう。名義に拘らず作品単位で評価するならば英国気質の強いメロディックメタルなので、その筋のマニアは聴くべき価値のある一枚。普遍的な魅力は今でも古さを感じさせません。


SURRENDER - Better Later Than Never ★★ (2023-06-19 10:20:20)

輸入盤市場で話題になった一枚。レアなモノを好むコレクターが血眼になって探したという幻の一品も今ではデジタル配信盤があり、苦労することなく聴くことが可能。アメリカンプログレハード勢からの影響も汲み取ったAOR調のハードサウンドは、需要も高いだろうが、前評判が高すぎる点は否めない。教科書通りに展開されるサウンド、裏切りがないので好きモノにはたまらんが、その反面、スリルは皆無。
あまりにも予定調和、また軽めのミックスも気になるところと、ハードサウンドを好むマニアには少々小綺麗過ぎると感じるだろうが、その煌びやかなサウンドメイクが好きのもにはたまらんものであり、一生モノの愛聴盤へと変換されるでしょう。
ターゲットと定めたスタイル故に冒険はいりません。その安定感のあるドラマこそ、もっとも愛すべき美点でしょう。


SAMSON - 1988 ★★★ (2023-06-17 12:24:41)

メンバーを大幅に入れ変え1988年にリリースした5曲入のEP『And There It Is』、それに6曲プラスしてリリースされたのが今作。専任キーボード、トビー・サドラーが参加と音楽性の変化を予感させますが、シンガーもミック・ホワイトに変りメロディックかつキャッチーな路線へと変貌、メインストリームと言いたいがそこまで器用にやり切れていないのがポール・サムソンの矜恃だろうか?
芯にあるブリティッシュハードサウンド、そこに装飾した華やかさが1988年という時代背景を飲み込むのだが、パンチの効いた⑤みたいな楽曲で聴ける折衷案に苦悩と苦心の跡が窺えます。完全に陽性ロックに舵を切れなかったバンドサウンド、これはこれでありだろう。SAMSON名義に恥じないラジオフレンドリーな一枚だが、もっとアメリカンナイズドしないと売れないだろう。そういう不器用さが最大のポイントだ。


SAMSON - Joint Forces ★★★ (2023-06-17 11:58:20)

解散したSAMSON。同年にはブルース・ディッキンソン時代のベストをリリースされたりしていたが、その際にゴット伊藤氏から、ブルース以外は凡人みたいな批評を受け完全に死んでしまいました。
それだけに今作のリリースは当時、あまり語られることもなかったと言われています。本来はポール・サムソンのソロ名義だったが紆余曲折を経てバンドになったと言われる。
ハッキリ言ってドラム以外はSAMSONに在籍したもの、ベースのジョンもシングル盤で演奏していますね。あとニッキー・ムーアとはMammothで一緒だったはずなので、このラインナップに違和感はない。
再びニッキー・ムーアのブルージーな歌唱スタイルをフィチャーしたサウンドはSAMSONの歴史を総括したような内容であり、ポール・サムソンというソングライターの存在を知らしめるに相応しい内容です。NWOBHM時代から滋味深さで勝負していただけに、今作の方向性に違和感はない。しかしブルージー路線はWHITESNAKEもどきと感じると厳しいでしょうね。
オリジナル盤は9曲、CD化の際に⑦が増え10曲入になりました。
今作単体で仕入れるよりもJoint Forces: 1986-1993タイトルで2枚組が出ていますので、興味のある方はそちらがお得でしょう。


SAMSON - Thank You and Goodnight ★★★ (2023-06-17 11:35:26)

ニッキー・ムーア時代のライブ音源、オフィシャル初のライブ音源だったはずである。アルバムのツアーなので初期のナンバーは少なめ、ディッキンソン時代を愛する人には物足りない選曲でしょうが、ムーアのブルージーな歌い回しが映える楽曲を中心に構成、ライブならではの臨場感と熱気、そして熟成されるバンドサウンド、その美味しいところを見事に浮き出しています。
⑥のようなポール・サムソンが歌っていたナンバーはムーアの方が上であり、やはり彼の歌唱スタイルは、メロディックなブルージー路線と見事にマッチ、見た目同様ダイナミックですね。

演奏がしっかりしているバンド、主役たるポールのギターはスタジオ盤よりもワイルドに吠え,これがサムソンなんだと言わんばかりにバンドサウンドを牽引。荒々しい面を際立たせている。もはや主要メンバーが帰らぬ人となり再結成もないバンド。NWOBHM期に活躍していた程度の認識も持たれるか微妙な立ち位置だが、個人的にはブリティッシュハードシーンを語る上で外してはいけいないバンドだと思いますね。まぁ解散前のライブですからねぇ。そこは割引でお楽しみください。


SAMSON - Don't Get Mad - Get Even ★★★ (2023-06-16 06:33:26)

単体でのCD化はないのだが2017年にThe Polydor Yearsという3枚組が世に出ているが、そこで今作を確認出来る。オリジナルは1984年、10曲入で、ちゃんと国内盤もある一枚。当時の評価は知る由もないが今日まで話題になっていないのだから評価も高くないのだろう。

前作よりもメロディの強度を強めた印象が強い巨漢を震わせ歌い上げるニッキー・ムーアのブルージーな歌声、前作以上に艶のある滋味深いギターで魅了するポール・サムソン。強弱を生かせる奥行きのあるリズムプレイは屋台骨を支え更なる深みをもたらしている。

とにかく今までの中で一番バランスが良い。メリハリを効かせた楽曲構成、唄を前に出しつつもギターも派手に見せ場を作り、リズム隊に暇を持て余す時間は無い無駄を省いたアレンジ。厳ついだけじゃない間口の広さは多くのファンを迎え撃つだけの魅力がある。
当時のブリティッシュハードシーンにおいてデフレパートの成功は一つの雛形だった。そういう時勢を鑑みると、この路線は大いに支持できる。なんと言っても中途半端なポップ化を計り大失敗したバンドは数多、多くの同胞達が討ち死にを果たす中で、SAMSONは看板を守り新しい事に果敢に挑んでいる。
今どき、このバンドを聴く若い人も少ないだろうが、ブリティッシュハードに興味のあるマニアには是非ともトライして欲しい一枚ですね。


SAMSON - Before the Storm ★★★ (2023-06-16 06:11:12)

当時、ブルース・ディッキンソンがブルース・ブルースと名乗り参加していた時代がピークと思われるバンドですが、ドラマーとヴォーカルが変わり、よりオーセンティックなハードサウンドへと舵を切っている。巨漢で知られるニッキー・ムーアの味のある歌声とポール・サムソンが奏でる滋味深いギターサウンドとの絡み、この相性は路線的にもバッチシとハマり当時としても古くさい音色であったろうが、時流に流されないスタイルは大いに評価が出来る。
これぞブリティッシュハードな魅力が満載、バンド的にもこちらの方が自然に感じるのがポイント。元々サムソンはNWOBHMの中でも滋味だったからね。ニッキー・ムーアがシャウトしないカヴァデールみたいでカッコイイんですよね、チョイ、デイブ・ヒルっぽさもある。

オーセンティックなメロディックサウンドを引っ提げシーンに貢献した今作、⑤なんてANTHEMのRUNNING BLOODぽいので、マニアなら柴田さんアイデアを拝借しましたね、なんて言いたくなるような楽曲もあります。ドラムもベースもクール、堅実なリズムプレイはロックンロールな乗りを誘発、そのグルーブ感は前任者と明らかに異なるモノであり、今作の方向性を支持している。また楽曲に合わせ適切なリズムプレイを披露と、バンドとしての一体感を強めた。NWOBHMに乗りアルバムをコンスタントにリリース、シングル盤やEPも多いので、全作コンプするのは至難のバンドなのだが、NWOBHMは勿論だが、ブリティッシュロックが好きな人にも強く勧めたい一枚。

正直、前3作よりもニッキー・ムーア時代の方が好きである。メンバーチェンジを成功させ、さらに意欲的に活動を開始したと思わせる力作。SAMSONの歴史において今作の持つ意味合いは大きい。


METALLICA - 72 Seasons - Lux Æterna ★★★ (2023-06-11 16:59:55)

流れ込む強烈なリズム
キャッチーで親しみやすいヤツです
NWOBHMテイスト満載なのもいい
ロードとリロードってなんだったんだ?
モンスターバンドの風格が漂うシンプルな一曲
なんでもかんでもメタリカ最高と言われるのも可哀想だなぁ
そんなメインストリームにいるバンドではなかったのにね


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - N.w.o.b.h.m Rarities(HMR Singles) ★★★ (2023-06-10 22:23:55)

TWISTED ACE 、SOLDIER 、JAGUARの3バンドがHeavy Metal Recordsからリリースしたシングル盤をひとまとめにしたコンピ作。こんなレアものが配信されていたとは驚きですが、正直NWOBHMマニアでもなければ食指は動かない地味なラインナップ。唯一スピード狂にとってJAGUARが知られている程度なのだが、この貴重なシングル盤をひとまとめにしたアイデアはマニアにとってはたまらんものがあり、特にJAGUARの曲はロブ・レイスが歌っていたラインナップのモノだ。

各バンド2曲の6曲入のコンピ盤。30分にも満たないランニングタイムだが、これが実に心地よい時間ですよね。最近のCDは詰め込むだけ詰め込むから、頭から最後まで聴くのが難しい、その出来不出来の差が作品のクオリティを下げていると言える。
そういう時代と逆行する仕様、4バンドにする事だって出来たはずだが、タイプの異なる3バンドを揃えることで作品に個性を見いだしている。その聴かせ方が最大のポイントだ。NWOBHMマニアは勿論だが、本当の意味でNWOBHMを知りたい若い人にこそ知って欲しい一枚。

そもそもNWOBHM自体が日本では正しく伝わっていない。NWOBHM四天王なる妄言、ワイルド・ホーシズをNWOBHMに組み込んだのか世界広しと言えば日本だけだろう。ムーブメントにのり売り込もうとしたレコード会社と、その手先のメディアの悪行だ。
キャリアのある二人をNWOBHMに組み込むなど失礼にも程がある。アイアンメイデンが火をつけたのは間違いない。パンクの台頭により停滞するハードシーン、上手い演奏を競うハードロックバンド、一曲もながいからなぁ。
それとは真逆だったのがパンクだが、スティーブ・ハリスが否定しようともパンクからの影響も取り込み、新鮮な音を届けたメイデン、彼らのスタイルは一つの雛形となり多くのフォロワーを産む。既にデビューをしていたSAXONも2枚目のアルバムではバイカーズロックの称号を得る、Tygers of Pan Tangなど早い段階でアメリカのレコード会社と契約、こういうグループがシーンの中では比較的知名度が高いのだが、いずれもムーブメント勃発前から活動&デビューを果たす、純粋にNWOBHMの影響を受けてデビューしたのが、今作に参加しているバンドだ。

短命に終わったNWOBHMだが、その影響を受けデビューしたバンドは玉石混交、膨大な数存在する、英国以外に目を向ければ更に数は増えるだろう。今なお続くNWOBHMムーブメント生み出す落とし子たち、その精神性は永久に続くだろう。そういう音楽性に寄り添うインディペンデンスなレーベルも存在していますしね。


Medusa - Clash of the Titans ★★★ (2023-06-09 19:03:13)

1970年の後半から活動を開始、82年頃には活動を終えた正式音源をリリースしていない幻のNWOBHMバンドによるデモ音源+蔵出しリハーサル音源をまとめたコンピ作。このバンドの幻感を強めているのがシンガーが、あのスティーブ・グリメットであること。
正直、音質は厳しいです。完全に板起こしの手つかずの音源、それだけに貴重なデモをそのままという感じにはなるが、ブート感はハンパ無い。NWOBHMというムーブメントが産み落としたバンド群の数々、その質の高さに驚かされましたが、このバンドだって継続していたらどうなっていたのかと思わせるクオリティを保持、英国ロックの伝統と革新を両面から支持する作風は、まさに新たなる芽吹きとなるシーンの勃興を予感させるモノ、こういう反則スレスレの蔵出し音源ではありますが、当時の活況を知る上では外せない一枚となるでしょう。このリバーブの掛かりすぎたミックスも懐かしいです。

単体でのリリースもあるが、2014年にNWOBHM Majestic Metal, Vol. 2というレーベルのスプリットCDがリリース。そこにBlind Fury 、 Quartzとこのバンドの楽曲が収録、これぞNWOBHMなタイプの異なるバンドを一堂に揃えたことで、より深い魔境を覗かせています。
デジタル音源で簡単に無料試聴できますんで、お時間のある時にでも是非ともトライしてください。

NWOBHMは事象だから音楽性ではないとか、雑誌偏重のベテランライトリスナーにはとても勧められませんが、シーンの一翼をになう音楽性とも言えるムーブメントを知りたい猛者には猛プッシュしたいレア盤です。


Hallowed Ground - Warlord ★★★ (2023-06-07 18:35:00)

復刻盤に余念の無い、マニア筋から愛されるレーベルHigh Roller Recordsからリリースされた幻の一枚。彼らが世に残したデモ音源やコンピ作に提供した楽曲などを元に作り上げた一枚なのですが、これがNWOBHM謹製のドストライクな作風。湿り気を帯びたメロディと疾走感、絶妙なバランス感覚でヒリついていきます。
掘り起こしNWOBHMはマニア限定みたいなノリがあり、部外者厳禁な面も強いが今作はワリと広い層に訴えかける柔軟さがあり音質も、思っていた程酷くない。むしろ当時の空気感をパッケージしており、タイムトラベラー感覚で勃興するNWOBHMの空気を追体験出来る仕様だ。

このバンドを有名にしたのはラーズ・ウルリッヒが監修したコンピ作に選出されたのがきっかけと聴かされているが、日本にいるとこの手のバンドの情報は入ってきませんねぇ。我が国でも確実に需要のあるNWOBHMサウンド。評論家の目に留まりブレイクしたのがプレイング・マンティスですが、それ以外にも魅力的な、むしろど真ん中のNWOBHMは沢山います、こういうのに手を差し伸べるレーベルが現れるかが重要ですよね。

適度な疾走感と憂いを帯びたメロディ、攻撃的なサウンドが過度に怒りをため込んでいないので実に聴きやすくまとまっています。全体的に癖がなくクオリティにばらつきがない、アルバム単位で勝負できる一枚ですね。当時、アルバムリリースにこぎ着けられなかったのが悔やまれるようなクオリティです。


NARITA - NARITA ★★ (2023-06-06 13:30:58)

騒乱のナリタといかにも邦題っぽいタイトルが付いたデビュー作。そりゃバンド名がナリタでアルバムタイトルも同じだからインパクトは弱いですよね。それだけにこの邦題は正解である。
90年代に入りモダンヘヴィネス時代が到来、日本人的にワビサビのある情緒のあるサウンドを求めるマニアは路頭に迷いだした時代、ガンズシンドロームも更に拍車を掛けたという背景もあり、こういうタイプのサウンドに脚光が集まった。
今は亡きSHARK RECORDSからヒッソリとデビュー、それをPony Canyonが見つけて国内盤をリリースするのだから、無名であろうが一定のクオリティを保持している事に間違いはありません。
デンマークのディッキンソンと言われたブライアン・リッチの確かな歌声、テクニカルなギター、メロディックなパワーメタル路線とお膳立ては揃っているのだが、イマイチ楽曲が練り込まれていない、そのチグハグ感が評価を大きく分けるだろう。
一つのパートはしっかりと確立しているのだが、どういう分けかバランスが悪いと感じるのが最大のポイント。そこを乗り越えられたらネオクラ風味のパワーメタルとして楽しめる要素も大。シンガーがブルース・ディッキンソンタイプというのも興味を押すポイントとなるでしょう。
ちなみにギタリストのマック・ガウナーは、アンドレ・アンダーセンのソロアルバム第一弾でゲスト参加、リードギターとして活躍していますので、そっち方面から辿り着くマニアもいるでしょう。中古盤も格安セールで見かけましたので、手に入りやすい一品です。


LORD TRACY - Deaf Gods of Babylon ★★★ (2023-06-06 13:05:27)

アメリカは南部の香りを燻し出すアメリカンハードロックバンドのデビュー作。個人的にもストライクとは言い難い音楽性なのだが、シンガーがあのPANTERAで初期3枚の作品で歌っていたテレンス・リーこと、テリー・グレイズである。PANTERAと言えば日本盤が出たヤツが有名なのだが、あそこにこぎ着けるまで4枚アルバムをリリース、初期がデフレパートを意識したようなグラム系だったのだが、もっとヘヴィなヤツをやりたいとメンバーチェンジ、そこでバンドを離れたのがテリー・グレイズである。
このバンドの音楽性は南部の血を受け継いだメジャー路線、それだけに洗練度が加味されているが、泥臭さもまぶされており、その味わいは土壌で熟成された地場ロックである。
リリース後、どれくらい手応えはあったのか知る由もないが、次のアルバムがすぐに出なかったのでバンドとしては、順調な活動とは行かなかったのかなぁ?なんて推察出来ますが、音楽的質はけして低いモノではないので、埃っぽさのあるアメリカンロックが好きな人には大いにウケそうですが、喉の渇きを誘発するようなブルージー路線に傾倒している分けではないので、南部のノリを警戒しているマニアでも全然気にせずに楽しめる要素も強い。
主要メンバー二人を欠きながらも最近再結成で話題のPANTERA。彼らにも苦しい時代があり、けして順風満帆なデビューではなかった、そんな低迷期を支えたメンバーの一人、テリー・グレイズも2代目のシンガーである。
歴史のあるバンドって掘り返したくなりますよね。やっぱ既存のメディアが世に伝えていない情報が欲しいです。
世に出たモノを再構築して伝聞するヤツがどうも苦手でして、そんなもん、カンニングと同じだからね。
個人的に南部は得意ではないので46分の尺なのに、なんだかいささか長尺に感じるのですが、一曲の完成度は高い。唄も上手い。そしてキーボードでクレジットされているのはアル・クーパー。南部マニアには気になる人選でしょうねぇ。


VENEMOUS - Rise in Glory ★★★ (2023-06-04 21:30:07)

メキシコ産のヤングスラッシャー、かの地のメタルシーンとは、どんな音楽性が主流なのか全く分かりませんが、情熱の国から飛び出してきたサウンドは活きのいい古典スラッシュ、オーセンティックなスタイルを先人達からの影響をタップリと染みこませ大放出、あふれ出すエネルギッシュなヴァイオレントサウンドの持つカオスティックな音色は十分、聴きての理性を逆撫でするモノ、どこか冷めた空気感もアクセントとなり殺伐とした空気感は独自性を打ち出している。またこの野蛮で卑下た歌声もバッチリとハマり、このバンドの顔をして君臨しています。テクノロジーに頼り切らない生身の人間が繰り出す強靱なグルーブと、クールなギターサウンド、その対比が押し合いへし合いぶつかり合う事で、やはりバンドの持ち味となる核になる音を形成している。
なかなかメキシコ産の音源で流通されませんが、今は感嘆に聴ける環境が整っていますので、ガチンコスラッシャーならば、何か引っかかるものがあるかと思いますよ。


METALUCIFER - Heavy Metal Ninja ★★★ (2023-06-04 21:13:31)

日本よりも世界で人気のある国産メタル戦士、商業ベースとは無縁の為に、雑誌に掲載されるアーティストしか追いかけないメジャーロック好きには相手にしてもらえませんが、世界中のカルトメタラーを虜にする質の高い音楽性、ヘヴィメタルに対する揺るぎなき忠誠心、その心血を注ぎ己の全てを捧げた音楽性に嘘偽りはなし、ジャパニーズNWOBHMというジャンルを欲しいままにする彼ら、今回の日本的なエッセンスを隠し味に、これぞクラシックメタルという音色をド頭から披露、2曲目で聴ける泣きのギターフレーズが登場するなり、多くのマニアをノックアウト寸前に追い込むでしょうね。
上手い下手で語る事の無い音楽性、ヘヴィメタルという名の下に集いし猛者どもを歓喜に渦に巻き込むNWOBHMサウンドの極み、4曲入のEPを日本語ヴァージョンと抱き合わせているのも嬉しい、これにより8曲入へと厚みがます、個人的には英詩バージョンの方が好きですが、それも好みでしょうね。③なんてメイデン風味を強めたりとタイトルに偽りなしじゃないですかぁ。憎い演出でしたね。


RUSS BALLARD - Barnet Dogs - Riding With the Angels ★★★ (2023-06-03 01:01:02)

SAMSONが取り上げた事でも知られる一曲
向こうはブルース・ブルースと名乗っていたブルース・ディッキンソンが歌っていますが
個人的にはニヒリズムを感じさせるオリジナルの方が好きです


STAN MEISSNER - Dangerous Games ★★★ (2023-06-03 00:55:58)

数多くのお仕事をこなしてきたスタン・マイスナー、満を持してのソロアルバム第一弾が今作になる。過去に再発盤はあるのだがプレス枚数が少なく瞬く間に完売となった実績があることでも知られる一品。2010年に再発盤が出たときはAOR系のマニアが歓喜の涙を流したと逸話があるくらいの逸品。

都会派の洗練されたシャレこきサウンドです、爽やかなソフトロックが満載と、それだけにハードなものが主食のマニアにはとてもじゃないが勧められませんが、メロディ命という涙腺の緩めの唄モノヘビーユーザーならば是非とも押さえて欲しいアルバム。
洗練されたサウンドにねじ込まれた哀愁とフックのあるメロディ、その嫌味の無いサウンドは最短距離でストレートに感動を運んできます、軽やかな音色は空間を華麗にステップ、ポジティブな空気に満ちあふれたソフトロックは、ちょぴり憂いのあるナンバーを合間に挟み、胸キュン度を確実にアップしていきます。
AORって言ってもバラード主体も甘ったるいヤツではないので、洗練された大人のサウンドに癒やされて欲しいですねぇ。

久しぶりに聴いたけど、帯状なんとかで塞ぎこむ気分を一掃する哀メロ、美メロの数々に一時の癒やしをお楽しみください。


HIRAX - Immortal Legacy ★★★ (2023-05-31 13:40:26)

いい意味でクラシックなスタイルに戻ってきたスラッシュサウンド、適度な隙間のある音とメロディを追いかけシャウトする唄い回しと、このバンドらしい個性をむき出しにしてきた。とはいえ、ギターが抜けてしまい寂しさはあるのだが、過度なスピード勝負ではなく強靭なんメタリックグルーブを引っ提げ、大胆不敵にかき鳴らされるサウンドは、昔から貫かれるスタイル、その年季の入った音にブレはなく信じたものを突き詰めた姿勢に頭が下がりますね。スピードメタルとスラッシュの合間を縫うようなエネルギッシュな演奏、そのパワー漲るパフォーマンスはもっと広く認知されるべき魅力を携えているでしょう。いい意味でスキのある音、それが欠点にならず長所に感じさせるキャラクター性がこのバンドにはある。
それも十分立派な個性だろう。いつ何時も全力80点というのが最大の褒めポイント。個人的には歌い手が好きである。


ATTOMICA - Disturbing the Noise ★★★ (2023-05-31 13:28:18)

アルバム毎に音楽性も変わるということで賛否もあるでしょうが、ブラジルを代表するスラッシャーであることに変わりはなく、日本ではイマイチ伝わっていない南米産の代表格と言えるスタイルを構築している。
ブラストビートほど峻烈ではないが、このグルーブ感と暴虐性の高いリズムは実に有機的なリズムをたたき出しており、血沸き肉躍る高揚感を誘発、ドスを効かせ咆哮するシンガー、狂った雄たけびを上げるセンセーショナルなギターと、すべてが一体となりスラッシュメタルの一つの型を力いっぱい聴かせてくれる。
一寸先の展開を読ませない急降下する爆撃機、その機体から放たれる速射砲の殺傷力は、聞き手の感性をズタボロに、カチッとまとまらずいい意味でのラフさというのも、このサウンドの中にねじ込まれており、よく動く展開の中で効果的に機能と、異様なまでの緊張感が全体を覆いつくします。
ビックネームを入り口に入ってきた若い人にこそ聞いてほしい時代を問わない残虐クラシックスラッシュメタル。もっと過激でブルータルなものもたくさんあるが、スラッシュメタルの枠組みでガッツリと語れるスタンスであることが何より嬉しい奴である。ブラックまでいかないんだよねぇ。


RAVEN - Destroy All Monsters - Live in Japan ★★★ (2023-05-30 11:43:53)

これもFaster than Speed of Lightという3枚組のBOXセットに収録されています。ある意味、聖地と言っても大げさじゃないクラブチッタ川崎でのライブ音源、彼らの熱いステージがそのままパッケージ、ライブならではの臨場感あふれるプレイは、このバンドの専売特許と言えるパワフルなステージを伝えるもの、選曲的に微妙な空気も流れるが、逆に今となっては貴重な時代の音源となるので、別の角度から見るとレア感は相当アップ、何よりスタジオ作よりも魅力的に感じさせたのがポイント。
ライブとスタジオテイクは別なんだぜと高らかに宣言、作り込み過ぎた名ばかりのライブ盤とは一線を画す出来栄えにニンマリします。


RAVEN - Party Killers ★★★ (2023-05-30 11:34:47)

Faster than Speed of Lightという3枚組のBOXセットをリリース、その内の一枚がこれ。完全に原曲をRAVEN流に仕上げている。妙な色気を出さずに、オリジナルティを尊重するも、けたたましいリズムプレイとド派手はギターでガンガンと迫る彼ららしさを表に出しきりかヴぁー大会に華を添えている。名のあるバンドの曲を真っ向勝負でカヴァーとは驚きますが、楽しそうです。ライブさながらに間髪入れず続くメドレー式の構成も賑やかさを誘発、アイデア勝負で見事に勝ち切りました。
オリジナル盤は自主製作品ですので、貴重な音源だというのも驚き、そしてリリースされた情報が入ってこなかったのも頷けますね。意外としっかり演奏していたなぁ。


ACTION - Guilty Rose ★★★ (2023-05-28 14:02:55)

2005年に見事復活作をリリースした高橋ヨシロウ率いるACTIONのフルアルバム。ドラマーの西田竜一とギターの広川大輔はいないが、新しいメンバーを迎え入れ実にアクションらしい作風になっている。過去の全時代を意識したような作風はファンにとってありがたい仕様となっていますね。とくに初期の匂いをさせてくれたのは嬉しいですねぇ。

日本のKISSと呼ばれ人気を博したバンド、その万人に訴えかけるような甘いメロディとハードサウンドの融合、良い意味でも悪い意味でも甘いヨシロウの歌声が似合う曲調というのが敷居を下げハード系サウンドの入り口に立ち、若い人を招き入れる役割は十分に果たしている。またハードサウンドに軸足を置き多種多様なロックスタイルで楽曲を構成してる点を高く評価したい。
歌謡ロックと言えばそれまでだ。甘いしソフトケイスされたロックであるが形骸化されつつあるハードシーンがあるからこそ、こういうスタンスのバンドを知って欲しいですねぇ。カワイイ感じの女の子を集めて金儲けしようとする悪徳業者がハードシーンに散見される今、ホンモノを知って欲しい。こんなに親しみやすいロックがあるんだよと言いたいですねぇ。
まっチョイと風呂敷広げすぎましたけどね。


BRICKYARD - Brickyard ★★★ (2023-05-26 15:00:48)

詳しいバイオはサッパリの謎のグループ。オリジナルは1991年に録音との事だが見たことも聞いたこともない。2010年にぽこっとCD-R盤が世に出回るという謎の一品なのだが、そのクオリティの高さに息を飲む。
まず唄が上手い、THUNDERのダニー・ボウズのようでもありルー・グラムのようでもある。その確かな歌声とメロディを大切にした落ち着き払ったメロディックサウンドは堅実で渋さが耳を惹く一品。なぜ、これほどのクオリティが埋もれていたんだと驚かされる。

唄の上手さと聴き手を想定して明確に焦点を絞り込んだ音楽性、全てが一級品である。このバンドで歌ミケルミケル・ジャップ。2000年に自主制作な形でソロを出しているのだが、この人は80年代にソングライターとして活動するミケル・ジャップだと思う。
そうならばKISSのCreatures Of The Nightやポール・スタンレーのソロなどの楽曲を提供していた人物、そう思うと、ここで聴けるハイクオリティな楽曲に合点がいくのだが、なんたって詳細は分からない。これは似いているが確証がないので断言はしないが、いずれにしろ、唄モノAOR系のハードサウンドが好きな人ならば聴いて満足する一枚であろう。

どなたか教えて欲しいモノである。これが無名とはほっとけないヤツであろう。


Dc Drive - Dc Drive ★★★ (2023-05-26 14:28:03)

かつてADRENALINというバンド名で活動、アルバム『Road of the Gypsy』をリリースするもバンドは契約を切られる。ちなみのアルバムの表題曲は映画『アイアン・イーグル』のサントラとして採用、全く無名の存在という分けではないがバンドは一旦区切りを付ける。
詳しいバイオはサッパリなのだが、音楽性の質は高く次の一手を期待させるモノでした。
それから紆余曲折を経てバンド名を改め1992年に再デビュー、それがこちらのアルバムになります。
92年という時代にそぐわない方向性かも知れないが、往年の雰囲気を感じさせる洗練されたメインストリーム寄りの作風を展開、○○風ではありが、逆に懐かしいなぁと感じさせるスタイルではあるが、やや時代遅れ感はあるのかも知れない。6人のメンバー中、兄弟が2組いるという変わり種バンドで、ちょっと印象に残っていました。

今となっては懐かしいサウンドです。個性という点において強烈なモノは出せていないも全てをやりこなす器用さ、そして様になる熟練の技、ポッと出の新人では出せないクオリティの高さに目を見張ります。80年代後半から90年代にかけて流行った一つのスタイル、そういうモノに興味がある方ならば是非ともトライして欲しい作風です。


RIO - Sex Crimes ★★ (2023-05-23 18:03:35)

前作ではデュオスタイルだったんだが、今作ではバンド感を強化、そして1986年という時代を背景にハードロック色と強め前作の唄モノ路線とは区別をしている。懐かしいドンシャリとしたサウンドメイクは今聴くとダサいのだが、これがバブリーメタルの一つのスタイルなんだよと教えたい。

唄を中心としているが前作よりも大味な印象を受けるコーラスワークも効いているしメロディックなリードプレイもあるのだが、どうにもこうにも派手過ぎる。そのやり過ぎなシャレオツ80年代メインストリームサウンド寄りに、好悪の評価も分かれそうだが、ラストナンバーのハードさなど、このバンドがNWOBHM出身だった事を思い出させてくれた程だ。


ALCATRAZZ - Take No Prisoners ★★★ (2023-05-23 17:48:37)

囚人を連れてかないで、と訳せるタイトルが実にイイですね。グラハム・ボネットの脱退&グラハムのアルカトラスがあるんだとか?なんだかややこしいのですが、前作Vで見事にV字回復となった我らがアルカトラス、シンガーの座にドゥギー・ホワイトがつき、ギターはジョー・スタンプが継続と、このバンドにとっては適切な人選での続編となりました。
ある意味、野暮ったく淡泊さのあるドゥギーだが、RAINBOWを初めにインギーとの共演もあり、クラシックスタイルのメタルとの相性は抜群、ジョーも俺様ではなくバンドの一員としてシュレッダーぶりを発揮、そのバランス感覚のおかげでバンド感はより強固なものとなった印象を受ける。
今作の素晴らしさはネオクラからの呪縛を解き放ったこと、強靱なリズムは雷鳴の如く閃光を放ち、キーボードは古めかしい音色でサウンドの空間を演出、パワフルで力強いサウンドに深みをもたらしている。どこか英国的な思慮深さとアメリカンパワーメタルな押しの強さが良い意味で混同、ロニー・ジェイムス・ディオは生前、ネオクラ系のギタリストと組まなかったが、もしジョー・スタンプがDIOにいたら、こんな感じなのかな?なんて想像させるスタイルになり、多くのマニアを取り込むだけの求心力を秘めている。

まぁグラハム・ボネットがいないとダメという人は無理に聞かなくて良い、派手さに欠けるし、ドゥギー・ホワイトの声は地味さに拍車を掛けているが、この堅実なメタルサウンドを前に、グラハム云々は野暮であろう。
アルバムタイトルに込められた意味、自分たちらしい音楽を掴んだバンドに隙は無い。メタルが好きじゃないグラハムは、パートナーと公私混同した活動に陥り、相変わらず中途半端なアルバムを作っているのだが、看板を守り先代とは違う味で勝負できる今作もまた、アルカトラスと呼ぶに相応しい作風となりました。
これでイイでしょう。


FLIGHT - Flight ★★★ (2023-05-22 18:44:12)

良品発掘に余念の無いHigh Roller Recordsからリリースされた新譜。これはリイシュー盤ではない正真正銘の新作と言うのだから驚かされる。レーベル謹製とも言える古のメタル、70年代型の正攻法で迫ってくるハードサウンドは、泣かせのメロディを巧みに設えオーセンティックな音色を奏でるも、けして懐メロ大会に陥らぬよう工夫を凝らし良い意味でヴィンテージ臭を撒き散らしている。北欧産らしい潤いのあるメロディ、ドンヨリ系のNWOBHMテイストではあるがブルージーさを排除することでメロディ派のマニアにグッと刺さってくるでしょう。哀愁系のメロディをストレートに展開させることで無駄を廃している、透明感のあるメロディを嫌味無く押し出すことで聴かせたいものを明確にしている点を大いに評価したいですね。


LAMARCA - LaMarca ★★★ (2023-05-21 10:41:29)

知る人ぞ知るAORの名盤とマニア筋から愛されるシンガーのラ・マルカのソロアルバム。オリジナルは1985年、2022年にボートラ入で再発されました。こちらには詳しくないので詳細はサッパリですが、お騒がせ男に成り下がった若い頃のチャーリー・シーンが主演したB級映画『処刑ライダー』に採用されたHold on Blue Eyesを歌った人という情報が頭にあったので辿りつく事が出来ました。
マイナー系だと思うのですが、今月のリスナーが300人を超えているので、マニアは世界中にいるんだな(あれは国内のみの集計か?)と嬉しくなりますね。実際に一桁のアーティストもいますからねぇ。

伸びやかで爽快な歌声と曲調、落ち着き払った大人のポップセンスと瑞々しいメロディ、オープニングナンバーから洗練された雰囲気に酔わされます。詳しいバイオはサッパリなのですが、プロデューサーのラリー・リーの名前をあることろをみると、期待の新人だったことは間違いないでしょうね。
当時国内盤が出ている点を考えてもクオリティの高さは保証済み、ハードなものが主食のマニアには、とてもじゃないが勧められないが、素直に心に響く哀メロの数々、美しい旋律とクリアーな歌声は真っ直ぐ心に届きます。なんと言えば良いのでしょうか?視聴後に訪れる清々しいまでの清涼感、例えがないなぁ、この手のジャンルは主食じゃないので上手いこと言えないが(言えた例しがない)バラエティ豊かな楽曲が絶妙なさじ加減で並び、頭3曲を聞くだけでメロメロになります。
アップテンポなのを挟むのが憎い演出なんですよね。
日本人が好きじゃない、カントリー調の乾いたナンバーは顔を出さず、憂いを讃えたメロディの数々にグッときますよ。80年代産業ロックと比喩された麗しいサウンド、今の感性ではノスタルジックに感じるだろうが、この手のジャンルは普遍的とも言えるので障害は一切無いでしょう。非凡な才能を感じさせる曲調と歌声、唄モノマニアならば愛して止まない魅力が満載と強力な楽曲が揃っていますね。

配信されてからはチョイチョイ聴いていますねぇ。


TRESPASS - The Works ★★★ (2023-05-20 13:58:02)

叙情派NWOBHMマニアからは絶大な支持を集めるバンドのコンピ作。叙情派NWOBHMと言えばPRAYING MANTISを真っ先に思い出すマニアも多いでしょうが、1stに関しては以外とポップな味付けが多く、おもてたんと違うと感じるマニアも多かったでしょう。
NWOBHM特有の暗く湿った質感、地下室の暗がりがよく似合う鼻腔をくすぐるかび臭さ、今作にはそういう梅雨空マックスの濡れ煎餅サウンドが満載、歴代シンガー3人の唄を一枚で楽しめるのもマニア泣かせだが、叙情派NWOBHMとしては、これぞは雰囲気に包まれ、ミストサウナで溺れかかる程の泣かせと情緒のある湿り気、英国産ならではの泣かせと切れ味の鈍いハードサウンドに悶絶してください。
日頃メジャー流通な商品に慣れている方にはとてもじゃないがすすめられないが、カル・スワンのいたタイタンとか好きな人ならば、たまらんよ。曲の多さがある意味、仇となる面はあるのだが、通して聴かなくとも合間、合間に楽しんで欲しい。シンガーが変る度に休憩でも構わない。
ある意味、NWOBHMの真髄とも言えるサウンドなので、NWOBHMを知りたい猛者ならば避けては通れません。このモッサリ感がNWOBHMなのよ。デフ・レパート、ガール、メイデン、ワイルド・ホーシズはNWOBHM四天王じゃないのよ。特にワイルド・ホーシズをNWOBHMと括るのは日本だけなのよ。


ROADWOLF - Midnight Lightning ★★★ (2023-05-20 13:38:04)

一歩間違えればパロディと言われそうな80年代がメタルを完全にやり切るバンド。まるでMTV全盛のメタルシーンを思い出すのだが、今の若い人には逆に新鮮に聞こえる可能性もありますね。
懐メロ大会です、色々と気になると一切楽しめないでしょう。ここは、この実直にコピーした80年代型メタル大会を楽しんだものガチです。青空の下、大音量で鳴らし小粋なドライブといそしみたいところですね。
やってる本人達の楽しそうな雰囲気が伝わるのもポイント、ワンフレーズとかじゃなくて構造が80年代型なんですよね、もうやり過ぎなんてレベルじゃない。そのものである。妙な色気やテクノロジーに頼り切らない姿勢も買いでしょう。でも潔癖な人は止めた方がいいですけどね。


WIRED - Catch ! ★★★ (2023-05-18 11:51:55)

2枚目のアルバムレビューしたんだけど項目すらないな?なんでだろう?サーバーのメンテとかで吹っ飛んだかな?
一作目はワリと欧州風味のメロディアスなメタルサウンドを披露、2作目はロック色を強めたオーセンティックな味わいを増強、その分、地味に写ったのだが時代の流れもあったろう。
そして勝負の3枚目なんですが、これが絶妙なバランス感覚で勝負を掛けてきた。ある意味、1枚目と2枚目の合間を縫うようなスタイルだが、それ以上に洗練度を上げ粒立った楽曲はどれもが焦点が絞れ何を聴かせたいか明確な意図を感じる。それはオープニングナンバーから炸裂、メロディアスに拘りを起きつつも多様性のあるハードサウンドを演出することでアルバムにメリハリが出来ている。
本格的なメタルソングも素晴らしいが、跳ねるリズムとキャッチーな歌メロが耳を惹く『Love comes through your mind』などをやり切れる器用さがバンド最大の売りだろう。大真面目にやりこんでいるから様になるのである。

とはいえ今作のジャケは問題だろう、ヴォーカル名取りの渦巻きウンコジャケットじゃ、誰も手に取ってはくれないよ(ハクション大魔王か)。2枚目のチンパンジーシンバルもダサかったけど、今作は群を抜いて酷いもんだぞ。どこぞかのレーベルからジャケ差し替えで再発されんかね。
曲は良いんだよなぁ。
このあと、ギターの大上龍さんはアイドル崩れの女の子と、彩 with SUPER VIBRATIONで活動、その後、DIABLO GRANDEと流れるんですけど、曲も書ける腕利きのギタリストだっただけに今は何をやっているんでしょうか?

日本にもフロンティアレーベルみたいなのあれば、こういう人に曲を書いて貰えば良いのにね。狭いシーンで乳繰り合わずに、外部の力を借りるべきだろう。日ハムのユニフォーム問題みたいに古い感覚で議論しても始まらんぞ。


BRONX - ILLUSION OF MR. MORPHINE - PLEASE ★★★ (2023-05-18 11:37:34)

マイナー調のメロディと英詩が印象的です
こういう曲を増やして欲しかった
ガナリ過ぎた唄も丁寧なこっちの方が良いだろう
ベースだって良く歌っているし
ドラムもタイトな演奏をしている
アルバム全体に言えるのだが横関ばっかり目立つ構成と歌謡テイスト満載は失敗だと苦言を呈する
それでもワタクシは年に一回は通して聴いています
コレを苦行メタル行脚と呼び年々軟弱になるメタルスピリッツにカツを入れますね


BRONX - ILLUSION OF MR. MORPHINE - CRASH FIGHTER (2023-05-18 11:34:08)

チョイとシャッフルなビートをツッコんでいますが
中途半端な印象は拭えない
チェッカーズがメタルやったらこんな感じなんじゃないか?
なんて思いましたね


BRONX - ILLUSION OF MR. MORPHINE - LOST LOVE ★★ (2023-05-18 11:32:48)

少しマイナー調の曲が出てきましたね
ようやくですが日本のロックにメタル系のギターが参加したという体はイマイチだ
本条美沙子とか早川めぐみ路線の男版だぞ
横関を初めバックのメンバーが可哀想だ


BRONX - ILLUSION OF MR. MORPHINE - FROZEN WOMAN ★★★ (2023-05-18 11:30:32)

横関のギターはスリルがありますね
歌謡テイストを強くしすぎな何ですよね
このフローズンウーマンって通用しないだろう?
わしゃ英語の訛りは分からんけど
コレは無理だろう
なんだかあっという間に終わります


BRONX - ILLUSION OF MR. MORPHINE - THE WAY YOU DANCE (2023-05-18 11:24:41)

ようやく勢いのあるヤツ出たな
ここまで脱落せずに聴くことが出来るのかだが
やっぱりポップな味付けが強すぎる
歌詞もしょうも無い
歌なしのパートにはグッとくるものがある
このグループの良くも悪くもな面が抽出されている印象が強い


BRONX - ILLUSION OF MR. MORPHINE - LET ME JUMP (2023-05-18 11:22:36)

不協和音から始まる緊張感のある出だし
そこからポップなロックに流れずっこけます
コーラスも好きになれん
違う意味で裏切っているぞ
ギターソロばっかり目立つぞ


BRONX - ILLUSION OF MR. MORPHINE - COME ON BABY NOW ★★ (2023-05-18 11:20:55)

サウンドミックスが足を引っ張っている
結構ハードでダイナミックな演奏をしているのに伝わらん
中途半端な印象を強く与える
プレイヤー志向でもないと厳しいぞ
歌メロの歌謡テイストにニッポンのメタルを感じる


BRONX - ILLUSION OF MR. MORPHINE - FINAL NUCLEAR WINTER (2023-05-18 11:18:24)

ワリとヘヴィなナンバーで幕が開けたのですが
2曲目は陽気なロックソングという流れは掴み的にどうなのだろう?
英文的にも通用するのかね?このタイトルと
サビではタイトルを連呼する
色んな意味で懐かしい80年代的ジャパニーズメタル
まさにジャパメタといいたくなる
ギターソロになると色めき立つ


CRAAFT - Second Honeymoon ★★★ (2023-05-16 14:08:44)

懐かしい時代を想起させるダイナミックかつメロディアスなサウンド。英米のバンドのような退廃的なムードや薬物臭のしない健康的なロックは実に口当たりがよい。柔よく剛を制するといたくなる、そのしなやかなサウンドメイクは前作の反省を生かした面もあり、ある意味個性を上げてきたと言える。
今の日本でも十分にウケそうなスタイル、メロディックロックの総本山フロンティアからリリースされたバンドですよと紹介しても違和感なく受け入れられるような普遍的な魅力を携えているのが最大のポイント。
青空の下、大音量で聴きたくなる爽快感のあるバラード④を初めに、シングルカットされたらヒットしそうな楽曲も多数収録とメロディ派のマニアにとっては充実の一枚として耳を刺激するでしょうね。


KILLER DWARFS - Method to the Madness ★★★ (2023-05-15 12:01:19)

時代の流れに合わせ音楽性をプチモデルチェンジしながら進んできたバンド。1992年という時代背景も取り込み上手く立ち回っている。怪しげなSEから従来のイメージを損なわないメロディックロックへと持ち込む展開もOK。2曲目など生々しいロックスタイルを持ち込みSKID ROWとか思い出させたりと上手くやっていますね。

ラフなロック色を強め作り込み過ぎてない印象を与えることで90年代を乗りきろうとしているのだが、その真面目さが個性不足を誘発と痛し痒しな展開になっているのはマイナスだろう。
どこか聴いたことがあるが増えたのだが、あの時代のモトリークルーに付いていこうとしたのならば正解であろう。それにしても器用なバンドであり、その器用貧乏さが成功に繋がらなかったのだろうか?
いずれにしろ、どの作品にも顔があり一定のクオリティを保持しているので、メロディアスにサウンドが好きな人ならば、これ以前を順番に聴いて欲しいものである。


NIGHT DEMON - OUTSIDER (Bonus Track Edition) ★★★ (2023-05-13 19:13:15)

音だけ聴けばアメリカのバンドとは気がつかない人も多いでしょうね。古めかしいNWOBHMスタイルを軸に、今作ではより普遍的なスタイルへと移行、○○風味から自分たちの型を見つけメジャー感も増している印象を受ける。癖のないマイルドは歌声が良い意味で中和、マイナー臭に溺れることなく、良い感じでオーセンティックなメタルをガチンコでやり切っている。

もっと個性的な何かを求めるマニアも多いだろうが、そつなくまとめた演奏と楽曲構成、これぞヘヴィメタルなイメージを増幅させるサウンドと今っぽいエモさを加えたスタイルは新旧のファンを取り込むだけの魅力があるのだろう。
個人的には、そこまでドストライクなスタイルではないのだが、無駄に曲を詰め込むことのない収録曲のコンパクトさ、そういう姿勢に共感を覚えます。個人的にはもう少しメタリックな質感をサウンドメイクに施して欲しかったなぁである。


L.A. GUNS - Black Diamonds ★★ (2023-05-13 18:57:30)

個人的にはゴタゴタの絶えない印象が強いバンド。フィルとトレイシーによる本家と呼べるのはこちらだが、今作は再合流後の作風とはやや距離を置いた形になった。このバンドと言えば毒気のあるスリージーなロックサウンドをイメージするファンも多いでしょうが、今回はより彼らのルーツとなる70年代的なアプローチに比重を置き大人の味わいを深めている。

トレイシーの艶のあるギターは時にはメタリックでシャープな切れ味をみせつけながらトーン一発で酔わせてくれる。ガンズの分裂だったんだよなぁ、なんて思い出したりもしましたが、テクノロジーの発達によりフィル・ルイスは年齢を感じさせぬ歌声で、このムードのあるロックサウンドのフロントマンとして色気を発散、これもL.Aガンズの持ち味だと言わんばかりなサウンドを構築している。

停滞感を漂わせた前作よりはキレているが、このバンドのファンにとってはどうなのだろうか?特に日本では1stアルバムが好きな人が多いので、またこっち方向性に進んだと言われそうだが、これも持ち味だと思いますね。ファーストインパクトは弱いが味わい深いのは間違いない。


Riot Act - Closer to the Flame ★★★ (2023-05-10 14:58:11)

RIOT脱退後、何をやっていたのか不明だったリック・ヴェンチュラ、そのリックが復活を果たしていたことに驚きました。しかも相棒は同じく元RIOTのL.Aクヴァリスという、マーク・リールの相棒同士という夢の共演、そのプチ話題性を引っ提げ、活動を始めるもコロナ渦においてL.Aクヴァリスは帰らぬ人となります。失意の中、バンドは継続、こうして2022年にフルアルバムをリリースとなります。

元々、技巧的に優れたグループとは言い難いRIOT。マークとリックのアックスメンに注視することはなかったが、今作では主役となるリックのギターは実にオーセンティックなプレイであり、リッチー・ブラックモアからの影響も強いロマンティックなタッチも披露と、彼の魅力を余すことなく伝えています。何より音楽性が渋い、日本では人気のあるアルバムと言えばぶっちぎりでTHUNDERSTEELとなるのだが、個人的には随分とスタイルが変った作風だと思っている。アメリカンロックにねじ込まれた情熱と悲哀のあるメロディ、それがRIOTだと思っていたが、THUNDERSTEELでは、シャープにキレるメロディックパワーメタルへと変貌、ハイトーンシンガーを従え、台頭するスラッシュメタルを迎え撃つかの如く変貌を遂げたバンドだったが、そういう作風は本筋ではなかったので続くこともなかったのだが、日本からのオーダーは、メロディックメタル路線、その狭間で苦労した印象が強い。
それだけにNIGHT BRAKERあたりのバランス感覚でアルバムを作って欲しかったのだが、どこか帯に短したすきに長しという作風が続き、ガイ・スペランザとの再タッグなども噂されつつ叶わなかったマーク・リール。
彼もマネージメントに恵まれず、帰らぬ人となり、その意思を引き継ぐ者達が擦り倒すのはTHUNDERSTEEL、作品前に面白くなくなるロボ・コップやヘルレイザーくらいダメダメなRIOT V。

このバンドが2枚組で見せてくれた初期の3作に拘ったRIOTカヴァー大会の出来映えを聴かされると、彼らこそ、順当なRIOTの後継者であろう。本編となるオリジナルアルバムの出来映えも実に、初期のRIOT路線を踏襲するような作風であり、アメリカンなダイナミズムと、中南米の熱情的なスタイル、そこにヒリつく哀愁がホンノリと加わり、古典ロック的なサウンドをど真ん中でならしている。

フレットレスベースも操るテクニシャンなポール・ラニエリ、熟練の腕利きドラマー、クラウディオ・ガリンスキー、そして熱い歌声を披露するドン・チャフィン、彼の声に惹きつけられたのは、ソックリではないし、歌い回しも違うのだが、ガイ・スペランザと重なる場面があるところ、とにく2枚目においては、この声で初期作を聴けるのはありがたいと思えるほどの適任で、マーク存命の内に知り合っていれば、どうなっていたんだ?と想像させる逸材でした。

THUNDERSTEELこそRIOT派のマニアにはつまらん、アルバムでしょうが、初期のスタイルが好きな人や、クラシックなハードサウンドが好みの方には需要は高いでしょうね、渋くて熱い古典ロックにグイグイと引き寄せられるでしょう。


DISC2
1.Rock City
2.49er
3.Swords And Tequila
4.Overdrive
5.No Lies
6.Tokyo Rose
7.Warrior
8.Dont Hold Back
9.White Rock
10.Outlaw
11.Road Racing
12.Altar Of The King


上記内容がRIOTのカヴァー大会です
選曲も絶妙ですよ。WARRIORも押さえているのも興味をそそります。ちなみに49erではマイク・フリンツがソロでゲスト参加とRIOT夢の共演を果たしています。


SWORD - III ★★★ (2023-05-07 12:01:27)

知らんうちに再結成を果たしていたカナダの正統派メタルバンドの復活作。タイトルにある通り通算3枚目のアルバムです。しかも往年のメンバーが揃い踏み、聴く前からテンションも上がりますが、実はワタクシの勉強不足でアルバムリリース前にシングルを出していたりと、2011年あたりから再び動き出していたんですね。
作風的には2枚目のアルバムの次に出ても違和感のないパワフルなオールドスクールスタイルを展開、マニアにとってはたまらんでしょうね。また個人的には8曲入というのが嬉しい、CD時代の弊害はアルバムの収録曲の多さ、15曲も入れれば出来不出来は確実に生じるだろう、このストレスフリーな40分を切るランニングタイムのおかげで難なくリピート再生したくなるでしょう。

とは言え、シンガーでありバンドの顔と言える、リック・ヒューズの衰えが気になる。最初、ドゥギー・ホワイトが歌っているのかと勘違いするほど、ムード満点の成熟した歌声になっていた。昔から、そういうエモーショナルさはあるシンガーだが、そのエモーショナルを従えホルモニックなチャタレイ夫人も悩殺される官能的なセクシーパワフルヴォイスの持ち主だっただけに、高音域の苦しそうな点はマイナスと言えるでしょうね。
そういう点はあれど、このバンドの期待するファンであれば問題なしですかね。また、クラシックなメタルに興味のある若い人にも訴求する魅力は満載、なんと言っても媚びを売らないガチンコサウンドのカッコ良さに惹きつけられるでしょう。
ビルボートチャートを席巻したヘアメタルの持つ、売れたいんじゃ、これが売れるヤツです、が鼻につくので大嫌いだというピュアメタラーも満足させる一枚でしょうね。


DAVID SHANKLE GROUP - Ashes to Ashes ★★★ (2023-04-25 15:12:43)

デヴィッド・シャンクルって誰やねん?であろう。ワタクシも完全に失念していました。オープニングナンバーに30分弱の大作ナンバーを放り込んだMANOWARのアルバム『The Triumph of Steel』に参加したギタリストのデヴィット・シャンクルです。参加メンバーもそれなりにキャリアはあるのですが、知名度的にはイマイチという、なんともつかみ所の無いバンドな音楽性も一言で形容できないスタイルであり、オープニングナンバーなどはマイク・ヴェセーラ時代のアメリカンメタルインギー風味だったりと、どうにも正体が見えてこない。
エピカルな空気感はレーベルの意向だろうし、でも基本線はネオクラでしょうね。
とはいえギターサウンドは、少々粗めでありネオクラ系のストラトシングルコイルじゃないので、正直雑味を感じる。
シャンケルさんのテク不足という悪口もあるのだが、単にネオクラ風のフレーズに芸がないと言える。同じようなフレーズの使い回しがよろしくないのだろう。
しかし、その欠点で×として良いのかと言われると、愛でる部分も多く。アメリカ産としては、欧州風味も強めで勢いのあるパワーメタルサウンドは、日本にも愛好家は多いだろう。元MANOWARと言う肩書きに頼らなくとも成立させられる作風ではあります。

ギタリストでもなければ音質やプレイのクオリティに拘りも少ないと思うので、ネオクラパワーメタルを愛するマニアならばイケるでしょう。適度にキーボードも挟み間口を広げているし、キャッチーなナンバーもあるので試聴感は悪くないです。


CROSSROADS - The Wild One ★★★ (2023-04-25 14:54:49)

FACT解散後、ヴォーカルのリーント・フレーリッヒ、ペール・ミヒャエル・ヴュルフェルが再び立ち上げたバンドと呼ばれるクロスローズ、ギターのはクリスティアン・シュテーバー、シュテファン・エラーホルストの二人はLove.Might.Killで活躍するので、若い人でも馴染みを持てるかも知れません。
日本盤の帯たたきではトニー・プラット、プロデュースを前面に押し出すという攻勢に出ているのもポイントですが、そんなに売りになるかいな?なんてクスッと笑った記憶がありますが、それだけに音楽性はメジャー感のあるワールドワイドな感性を所持。
ドイツらしい豪快さと適度に乾いたメロディ、そこにまぶされた世界基準の普遍的な魅力、一発大技はないが、メロディックメタルが好きな人ならば大いに楽しめるアルバムでしょう。
まさにアルバム単位で勝負できる一枚、メンバー全員がポッと出の新人ではないので、叩き上げのミュージシャンの強み、この嫌味の無い爽快と言えるハードサウンドは、大音量で楽しみたいモノです。


Ella - Identiti ★★★ (2023-04-23 21:42:59)

昭和80年代初期のタノキン全力投球感すら漂ったイモっぽい1stから一転、メリハリの効いた唄モノハードサウンドへと展開、前作よりも予算の掛かった環境がもたらしたであろう好環境。
これをHM/HRと呼ぶのはチョイと緩めだが、ハードポップ系が好きな人ならば変わり種として、こんなんもあるよと教えたい。相変わらずアジアン歌謡なバラードも出てくる。欧米の人が日本のメタルを聴いて感じるような、アジアの風。日本ではないオリエンタルさに摩訶不思議な味わいを楽しめる。前作もそうなのだがバラード系が大目なのがね。
2枚目のアルバムとして成長の跡も見せた意欲作。演歌チックな2曲目のKASIHなんて、極道の妻たちの挿入歌でしょう?と言いたくなるアジアンロックバラード、演歌好きのマーティー・フリードマンに教えたい一曲ですよね。
4曲目のアコースティカルなバラードも泣き泣きなんだよねぇ。昭和歌謡に通ずるバラード、これがマレーシアなのかなぁ?そんな気持ちになりますが、マニアにはたまらんでしょう。もう演歌やんである。
でも合間の③なんてJ-POP強めのハードポップ系なんですよね。歌メロに馴染みがあるのよね。アジア人として共通するモノを感じます。余裕のない歌声だけど一生懸命さが、なんかいいんですよ。⑤だってハード目に迫りメリハリをつけている。

彼女の存在は知ったのは我らが山本恭司先生が、アルバムをプロデュースしてギターで参加した作品があるからです。流石に大枚はたいて購入する勇気は出ませんでしたが、無料で幾らでも聴けるので試聴しますよ。
ワタクシのGWは、彼女の作品チェックが主流になりそうですが、アジアのメタルを少しだが開拓した時代があるので、また少し覗いて見たいですね。貧乏NWOBHMに明け暮れ、昨今のメジャーな作品はどうも小綺麗過ぎる、ワシは、この時代の嘘くささが大好きじゃ。
歌謡ロックをど真ん中で聴くのは生まれて初めてかも知れん。


Ella - Pengemis Cinta ★★★ (2023-04-23 21:17:08)

マレーシアのロックディーバとして有名なエラ嬢の記念すべき1st。リリースは1989年となります。言語も何語かも分かりませんが、哀愁のアジアンロックは情念タップリ、香港映画で聴けそうなアジアンバラードもあれば、歌謡テイスト満載のロックもあり、アメリカンなヤツもある、日本にも通ずるサウンドなんですよね。
なんだか水泳大会の合間でアイドルに紛れて歌う実力派で行きたい女性歌手の歌を聴いているような感覚です。
1989年というよりはザ・ベストテン司会は久米宏と黒柳徹子でございます。ルビーの指輪大ヒットみたいな時代を想起させる懐かしい音色。浜田麻里のデビュー作と言うよりは懐かしの早川めぐみちゃんを思い出しますね。
ロックディーバとして一本立ちとは言いがたい微妙な歌唱力。レコーディング環境もあるのだろうが、チョイハスキーな歌声を生かし、三原順子がJUNKO名義でやっていた時代の蓮っ葉なワル、みたいな空気感もあったりと上手いこと当てはまる言葉が見つからない歌謡アイドルロックサウンドである。
まぁ。このジャケ写みたいな音なんですよね。ジャケットから音が聞こえてくるんですよね。
Vシネ臭も漂う、この胡散臭さ。それが最大のオススメポイントなんですよね。マニアにはたまらん一品。お金を掛けなくとも聴けるので興味のある方は是非とも配信された音源をお楽しみください。
ハッキリ言って、そこそこの再生回数なので、アジア圏内では人気あるのでしょう。


THE ACCüSED - The Return of Martha Splatterhead ★★★ (2023-04-23 13:42:04)

アングラメタルシーンにおいて多大なる影響を与えたアメリカンハードコアスラッシャーのフルアルバム。ミニアルバムを叩き台にデモ音源などを積み上げフルアルバムに仕立て上げた傑作。
この刻みまくりのギターサウンドはメタリック、そして直情的に叩き出されるビートなパンクな凶暴性、そして叫き散らす歌声は、まさにクロスオーバーサウンドに頂きに相応しいキレっぷり、いや~首がうずきますなぁ。

お金持ちの完成されすぎたスラッシュメタルでは味わえない破天荒さ、戦慄する殺戮現場の如き野蛮で乱れまくった騒音サウンド、しかし、血なまぐさくなりすぎないのはアメリカンなドライさ、どこか親しみやすいというのかファニーさを感じさせるがポイント。

聴き手の理性をあざ笑い蹂躙する邪悪なモラリズム、こんな怖い音の集団と路地裏で出会ったら全財産置いてワタクシは逃げ出しますよ。恐るべしカツアゲパンクメタル。
スピード狂ならば是非とも聴いて欲しい。突っ走るだけではない小技があるのはメタルマニアにとっては重要なポイント、ともすれば画一的になる世界観を巧みにずらし、創意工夫を凝らしている。だから飽きないしリピートしたくなるんですよね。


WYTCH HAZEL - III: Pentecost ★★★ (2023-04-22 01:10:59)

フォーク・トラッドと言ったクラシックサウンドを基調とする英国産HM/HRバンドの3枚目。メイデン、JP、UFO、ジェスロ・タル等のバンドからの影響も顕著な古典サウンドは実に甘美な世界観を演出、ロマンティックなメロディと甘美なサウンドメイクはフルーティーは味わいと表現したくなるほど、糖度の強い香りがいつまでも余韻として残ります。
前作では割とスローナンバーが多めで、若干ダレるという欠点があったのだが、今回はこのバンドの持ち味と言える英国フォーク・トラッドサウンドを前面に押し出し、このバンドが醸し出す黄昏流星群な人生の薄暮を思わせる、アナログサウンドにグッと引き寄せられるでしょうね。
前作よりも統一感を強めた今作、ドラムの音は好きになれないが、メロトロンとか似合うよなぁ。
年中季節は秋、そんな枯れた味わいのサウンドなんです。歌詞の意味が分かれば印象も変るのでしょうが、ワタクシ全然英語はダメでして、何十年メタルを聴いてもリスニングもヒヤリングも成長しません。


METALLICA - 72 Seasons ★★ (2023-04-21 13:45:11)

すっかりモンスターバンドとなり崇め祭られる事になってしまったメタリカ。彼らのピークはとっくに過ぎ、今、アメリカで求心力の高いバンドではなくなっている。少なくとも10代の若者を振り向かせられるようなバンドではない。
そういう環境はかつての売れないとイケないという呪縛から解き放たれているだろう。
もはや世界中にいるメタリカフリークを相手にすれば十分だ。日本でもメタリカという威光は凄まじいだろう。

結論から言えば、一曲が長いである。これと言ったスリルがあるわけではないので、ほとんど曲は、あと1分くらい短くても良かった。しかし、彼らが選んだ音楽性はNWOBHMからの流れを感じさせるモノであり、古典的なスタンスでメタリカ流のアリーナロックをやっている。
リムジンに乗り回し、札束でビンタを食らわすようなゴージャスさ、大きなスタジアムで彼らが暴れている姿を想像するのは簡単でしょうね。今作は、そういうメタリカという大金持ちによる原点を見つめ直すような雰囲気はあるが、もはや、同じマインドには戻れないという音楽性でもある。

そんな穿った見方を一切止めて、好意的な面だけ見れば貫禄のある横綱感はエグい。メタリカは何をやってもメタリカであり、この声が聞こえてきたらメタリカである。現代的なフィルターを通した荒々しい古典メタル、あえて狙ったんであろうスタイルに、このバンドは賢いなぁと思いますね。もうロード、リロードみたいなことはやらんだろう。
時代にすり寄るという選択肢をとらなくても良くなったメタリカ。もう金儲けは十分だろう。

この音は純粋なメタルスピリッツを感じさせる。でも大金持ちの音だ。それはどうすることも出来ない。ソリッドでシェイプされた時代でもない、ヘヴィなリズムと攻撃的なギターは突破力があり、歌メロだって親しみやすい、実に完成された音である。

最小限に抑えられた装飾、その生っぽさは丹念に作られたものであり、ポッと出の新人では出せない味わいだ。間口も広く奥行きだってある、普遍的な魅力に溢れてた快作だ。

でもメタリカという看板を外したら、世間一般的に認知されないだろう。
もっと革新的で野心に満ちあふれたアルバムはたくさんありますのでね。

でも絶賛されまくるだろう。雑誌でも軒並み高評価、丸呑みしてメタリカ最高と言うのが賢い選択だ。そっちの水は甘いけど、それは乗れないなぁ。
今でもゴリゴリNWOBHM聴いている身としてはね。このアルバムをフレッシュな気持ちで聴ける人が羨ましい、でも世間知らずの幼い時代に戻りたいとは思わない。もっと色んな音楽に触れ掘り下げて行きたいねぇ。


ANTHEM - Crimson & Jet Black ★★ (2023-04-21 00:53:23)

本日解禁となったアンセムの最新作。先行公開された2曲から漂っていた定番感、昨今のメロディックアンセム路線を継承する2曲がオープニングを飾ることとなる。アルバム全体を支配するのは現代的なフィルターを通した古典メタル、良く言えば何をやってもアンセム、しかし見方を変えればマンネリ化から抜け出せていないという事になる。
どちらに聞こえるかで評価も分かれるだろうが、いずれにしろアンセムはアンセムであることに変わりは無かった。
何の予備知識が無いので驚いたのだが10曲目のMystic EchoesがWayfaring Manのセルフリメイクだったこと、6年ぶりのアルバムなのにセルフリメイクやるの?となったがアルバムの流れ的に違和感はないが、ボートラなのかな?なんて思ったりもするのだが?詳細は不明だ。そしてDanger FlightもOn and Onのセルフリメイクである。

私はアンセムが大好きである。彼らがいなければメタルを聴くのを止めたかも知れないと思うほど、私の人生の中心にいるバンドである。LOUDNESSを聴いた時の電撃ショック、EARTHSHAKERのMOREに痺れた青春時代、周りの連中からはジャパメタなんて止めておけと言われアンセムに出会うのは少し遅かった。既に坂本英三の脱退劇のあと位にBOUND TO BREAKを聴き、俺の求めていたメタルはこれだと思った。メイデンのカッコ良さにのめり込み、ジョージ・リンチのカミソリギターに首ったけ、スラッシュメタルはメタル人生の芽吹き、VOWWOWのドラマにビビりまくり、リッチー・ブラックモアは師匠である。
ジミー・ペイジやブライアン・メイからの影響は少なく、シェンカーよりはランディ派だった、アンセムの出会いは偏見との決別でもあった。人生観を変えられたと言えば大袈裟に聞こえるが、過言ではないバンドである。

それだけに、マンネリ感の強さを否定できない。ん~アンセムならば超えてくれると期待したい。

及第点はクリアーしている。多くのファンからは歓迎される内容だろう。これでケチをつけるのはあんまりだと、頭では分かっているのだが、心がついてこない。でも勢いのある作風である。老獪なテクニックを駆使し、フレッシュ感を誘発している面もある。
でも個人的には、お馴染みの定番であった。完全にアンセム幕の内弁当である。


SEVI - The Battle Never Ends ★★★ (2023-04-19 17:10:42)

ブルガリア出身の女性シンガー、スヴェトラーナ”セヴィ”ブリズナコワがメインと務めるHM/HRバンドのフルアルバム、2枚目らしいのだが本日のオススメで知ったばかりなので確証はない。

力強い歌声を軸としたサウンドは、ブルガリアというお国柄が滲み出るもの悲しいメロディ、その哀愁と現代的なフィルターを通したメタルサウンドは、良い意味でクラシカルな音色を奏でており、グランジ以降の正統派メタルに近いアプローチを取っている。
女性シンガーでキーボードもそこそこに活躍するがシンフォニックな風合いは幾度感じられず、メランコリックなサウンドを軸に、聴きすすめているうちに、古典的な匂いも発散させオーセンティックな味わいが強まるのも好印象、クラシックな作風は、アルバムの中でアクセントとなり好展開しますねぇ。
女性らしい歌声は容姿で男性を虜にするのではなく、その内に秘めたる情熱的なパフォーマンスに魅了されるのです。単に女性というアドバンテージでもあるのかと、言わんばかりに性的歓喜を促す嘘くさい女性を担ぎ出したレーベル&メディアの操作による偽物が増えてきた中で、正攻法で迫るピュアなハードサウンドは普遍的な魅力を放っていますね。

しかし、日々知らんバンドに出会う。チェックする暇が無い。


CAPTAIN BLACK BEARD - Neon Sunrise ★★★ (2023-04-19 16:43:18)

北欧産のメロディックメタルバンドのフルアルバム。瑞々しい鮮烈なメロディとポップセンスを駆使した楽曲はどれもがフック満載で耳に残りますねぇ。まるで大映ドラマの主題歌で日本人アーティストがカヴァーしそうなヒットポテンシャル満載の楽曲が並びます。
その優等生感にイマイチスリルは漂わないのだが、一曲のクオリティは高く表情豊かな楽曲を並べることで、飽きさせない工夫を凝らしている。アルバム単位でもイケるが、個人的には少々、甘めの為に、途中でガッツリハードなモノを挟みたくなる衝動に駆られる。

とにかく飛翔感がハンパ無い、ノリの良いリズミカルなテンポと展開、ベタだが期待を裏切らないので、その筋のマニアにとってはガッツポーズ連発の優等生アルバムとなるだろう。

躍動する叙情的なメロディ、キーボード、ギター、リズム隊と勤勉にバンドサウンドを支え、歌い手をもり立てている。ディスコAORと呼ばれていると今作で知りましたが、打ち込みベースじゃないしねぇ。でもAOR調の軽やかなサウンドは聴きやすいので、ハードサウンド初心者にススメるにはピッタリでしょう。


浜田麻里 - Soar ★★★ (2023-04-19 00:41:09)

リリース前にメディアで答えたインタビューを沢山読んでしまった。複数のメディアからのリリース記事だったために、完全にもう頭の中は浜田麻里の苦悩と現在までの道のりに支配され、今作のレビューはいかに、あの情報を抜くかに苦闘するのですが、ヤクザ映画を見た後、映画館から肩で風を切って歩いてくるかの如く、インタビューに寄せそうです。

先行公開された曲の良さ、今まで培ったスタイルにブレはなく、前作同様ビクターというのもあり密度の濃いメロディックな浜田麻里ロックを完璧にやり切ってる。その柔軟な音楽性をハード目のサウンドで統一、硬軟交えた百花繚乱のメロディックサウンドに魅了されます。老獪なテクニック駆使して麗しい歌声で魅了する、浜田麻里のパフォーマンス。
豪華ゲスト陣を迎え女王様と呼びたくなる圧倒的なパフォーマンスで従えていますね。技巧は揃いに敏腕ミュージシャンを向こうに回し、一歩も引かないところか、主役は浜田麻里であるという力強さ、聴きやすいミックスも手伝い、ハードサウンド初心者にうってつけの作風であろう。そして参加メンバーのバックボーンにも着目して、ロックに対する見聞を広めて欲しいと思うほど、豪華ゲストのハイパフォーマンスに、やはり魅了されます。

今作はこの数年の中でも最高を思える作風です、今まで以上に方向性を絞り何を聴かせたいのか明確に定めた印象が強い、その力感としなやかさは、浜田麻里ワールドと呼べる音楽性だ。
ロックナンバーに力負けしない彼女の歌声、スローナンバーでは情感たっぷり歌い上げ、リリカルな女性らしい清らかさを前面に押し出し涙を誘う、キム・ギョンホ系の所謂、ロマンティックな韓流バラードみたいな曲を歌う姿に胸が焦がれますね。

ここに来て代表作と呼べるアルバムをリリースした彼女、テクノロジーの恩恵を受けつつも人間力を駆使した姿に文句などイチミリもございません。そしてインタビューに引っ張られないで完走したぞ。
ゲストが無駄になっていないことは特筆したいねぇ。クレジット見ながらなんて野暮、それくらい客演組のパフォーマンスも素晴らしい、このバランス感覚が最大の肝だろう。浜田麻里出ずっぱりじゃないのも高得点です。なにより、多くのファンを魅了するだけに親しみやすさがある、ハイブロー過ぎてパンチ喰らったのも気がつかない、なんてことはありませんのでハードなのはチョットと思う人にもススメられるでしょうね。
そしてハード系を愛するものが聴いても軟弱と感じさせないのもポイント。ドラマティックメロディックメタルを呼びたいねぇ、陰陽座もこれくらいやらんとダメなのよ。ポップなヤツもカッコいいのよ。久しぶりにCD買おうかいな、なんて思うほど説得力のある一枚でした。あぁ…チョイと大袈裟になったのは、やはりインタビュー見まくったせいだな。


JACK STARRS BURNING STARR - Defiance ★★★ (2023-04-17 21:27:47)

アルバム毎に音楽性が変るため、イマイチつかみ所の無いバンドだった。特にラスト作となったJack Starr's Burning Starrなど、1989年という時代を意識した幅の広い音楽性を踏襲、どちらかというとパワフルな裏街道アメリカンメタルをやっていただけに、衝撃的な変貌と言えたのだが、結局は決定打になる方向性を示さずにバンドは解散。そして知らないうちに再結成を果たし見事に帰還します。

シンガーはRIOTでの活躍も懐かしい、トッド・マイケル・ホール。ベースは流浪の旅人となるジャックの相棒のように活動を共にしていたネッド・メローニ、ドラムはゲストとしてライノが参加と、体裁は整えていますね。
音楽性は、過去に感じたヒロイズム溢れるエピックメタルを展開、正直、ここまでMANOWARスタイルになるとは驚きですね。走り出しそうで走らない勇壮なヘヴィメタルサウンド、キーボードの助力を借りヒロイズム溢れるガチンコメタルをやり切っている。
個人的にはジャックの速弾きをもっと楽しみたいのだが、これもMagic Circle Musicの意向ならば仕方のないことでしょうね。

⑨ではRAINBOWのカバーも披露、メロディを蔑ろにしないガチンコメタルな作風だけに違和感はない。速さやキャッチーさ、ノリの良さを求めるマニアには向かない作風だろうが、この手のスタイルは日本にも確実に需要はあるだけに、浮つかず地に足の付いた音楽性は、ファンタジックなバトルワールドに足を運び、甲冑を身に纏いたいマニアには存分にアピールするだろう。
まぁでも売れないだろうなぁ。そこが最大の褒めポイントでもある。


COBRA SPELL - Love Venom ★★ (2023-04-17 21:01:08)

Burning Witchesのギタリストだったソニア・アヌビス率いるバンドの2020年にリリースされたEP。シンガーにHITTENのアレックス・パンザ
を迎えザ正統派メタルをやっている。とにかく絵に描いたような古典的スタイルのサウンドを展開、NWOTHMよりもレイトバックした印象を受けるが若い娘の割に随分と80年代的スタイルだ、日本で言うならばlovebitesに近いだろうが、こっちはもっとオーセンティックなサウンドに軸足を置いている。男女混合のバンドとして女性がイニシアチブを握るタイプとしては希有であろうが、男女平等が進まない日本とは明らかな違いを感じますね。
才能あるモノに性別など関係なし、ドンドン前に出てシーンをかき回して欲しい。メロディを重視した鋼鉄サウンドは懐かしい空気が満載、個性不足は否めないノスタルジックスタイルなれど、若い人には新鮮に響く可能性も高いだろう。
4曲でお腹いっぱいに感じるのが個人的にはマイナスポイント。似て非なるものを作る難しさ、何かキレのある閃光を走らせないとノスタルジックスタイルをやり切るのは難しい。


HOLY MOSES - Invisible Queen ★★★ (2023-04-14 14:00:50)

今作が最後のアルバムをアナウンスされているらしい?正直驚いているのだが、詳細はサッパリ分かりませんので割愛します。
一度は解散するの2000年に復活、その後もコンスタントに作品をリリースしてきたが、今作はかなりインターバルがあり、どうしたもんかな?と思ったらラストアルバムとは残念である。
浮ついたイメージを抱かせなかったガチンコジャーマンスラッシャー、ピーター・ゲルタートのギターは前作同様、切れ味鋭いギターワークで魅了、ノイジーに叫び上げるサウンドメイクと相まって実に暴力的である。テクニカルな要素も前作同様押さえている、バンドを支える重責をまっとうしていますね。
個人的に、こういうサウンドメイクは得意ではなく少々ザラつきすぎなのだが、現代的なフィルターを通し、古さに埋没しない現在進行形のバンド、より広い層に訴えかけるような作風にしたかったのだろう。

二枚組でリリースもされているとのことだが、そのDISC2に当たる作品は、今作を豪華ゲストが歌い上げるという贅沢な仕様、サビーナVSな志向は実に面白いですね。

年齢的にも、このスタイルを貫く努力に驚きますが、サビーナ嬢、最後の咆哮。邪悪なる闇の咆哮を堪能しますね。


WHITE SPIRIT - 21 Grams ★★★ (2023-04-12 10:58:24)

昨日のワタクシのオススメはWhite Spiritが2022年にリリースした復活作だった。正直、そんなアルバムが出ていたかの記憶も定かではなく初見のように楽しんだのですが、それを聴きすぐに思い出したのが、今作ですよね。

2012年にHigh Roller Recordsからリリースされたのが今作、メンバーが大幅に刷新、シンガーに、後にポール・ロジャースの後任として有名になるブライアン・ハウ、ギターはTANKのミック・タッカー、ベースはトビー・サドラーという布陣、前作よりも音楽性に広がりを見せ、メロディ重視の姿勢とキーボードを生かしたサウンドメイクへと変貌、元々、厳つい疾走ナンバーがメインのバンドではないので、大きな問題はありません。

正式なレコーディングではなく一発録りリハーサルテイクといられている代物、詳細はサッパリ分かりませんのでネットで検索して知った風な口を叩くカンニングレビューはしない主義なので、どういう経緯で世に出て、どのような環境のテイクなのか理解できませんが、デモとしては十分なクオリティを保持、歌い手も変わり、いよいよベールを脱いだ印象のあるホワイトスピリッツ、マルコム・ピアソンというアーティストのカラーが投影されたのでしょうか?味わい深いメロディック路線へと進んでいますよ。


SACRIFICE - On the Altar of Rock ★★★ (2023-04-12 10:44:26)

サクリファイスというバンド名が多すぎる。名前ってノリでつけたら苦労するよな。こちらはスイスのサクリファイス。マイナーレーベル&アルバム一枚で消えた為にイマイチ認知度は低いが、NWOBHM仕込みの哀愁メタルはJPやシン・リジィからの影響も強く英国テイストを下地にスイスの風を吹かせています。
適度にパワフルでメロディックなスタイルは、日本人好みと言えるサウンドを奏でており、何よりメタルに対する真摯な姿勢、その愛情溢れるパワフルかつメタリックなサウンドは、音質のショボさどモノともしない勢いがあり、電車相撲で押し切る無作法は無し、しっかりと道筋を立てガタビシ列車に揺られるスリルを覗かせている。
芸の細かいアレンジ、そして歌メロがしっかりしている点も評価したいですね。個性不足かも知れないが、定番と呼べるスタイル、1985年というヘヴィメタル旋風が巻き起こった群雄割拠ひしめく時代、スイスという小国から有望なバンドが登場した事実に興奮しますね。

このバンド、ある時からJADEと名前を変えて活動、その後アルバムを一枚リリースしています。その変遷も追いかけたいですよね。


LEE KERSLAKE - Eleventeen - Take Nothing for Granted ★★★ (2023-04-07 11:19:54)

哀愁タップリですね
ジョン・ロートンあたりに熱唱してもらいたい雰囲気バッチリの英国メロディックロック
温かみのあるリーの歌声が哀愁度を増しています


LEE KERSLAKE - Eleventeen - Where Do We Go from Here ★★★ (2023-04-07 11:16:32)

枯れたギターが良いですねぇ
ドラムもエレガント
邪魔しないわ
こういう曲でも色を出せるリーのドラムが美しいのです


LEE KERSLAKE - Eleventeen ★★★ (2023-04-07 11:12:30)

オジー・オズボーンやユーライア・ヒープのドラマーとして有名なリー・カースレイクの遺作となったソロアルバム。ドラマーのソロとしては掟破りのバラードで始まる展開に驚いたが、目立たず騒がしくない、エレガントなドラミングで定評のあるMr.屋台骨と言える素晴らしいドラマー(リーの事をコージー・パウエルを同等と語る人物にあった時は心の底から驚いた、これほど方向性が違うのに、モノを知らんとは実に恐ろしいです)リー・カースレイクの魅力がギュッと詰まったと言えるのは間違いない。特にヒープ時代は、リーのコーラスは一つの武器であり、重要なピースだったことは間違いないでしょう。
なんと言っても我を強めて楽曲をぶち壊さない、彼の奥ゆかしさはリズムプレイの鏡ではないだろうか?

ここで聴ける温かみのある歌声、美しいメロディを生かした牧歌的なバラード、そんな中にもヒープ時代を想起させるような②のような楽曲がある、キャロル・キングのカヴァーもハマっている、ラストのインストナンバーも泣かせますねぇ。
これが遺作と思うと余計に泣けます。味わい深いギターの貢献度は計り知れません。それと高音をサポートしたコーラスも良かった。

ハードロックやメタルかと言われるとチョイと違うが、これぞクラシックロックな魅力に溢れている。8曲にまとめたのも大正解だ、もうちょい聴きたいで終わるぐらいが丁度良いですね。

彼の活動歴に引っ張られない純粋な人にすすめたいですね。英国ロックが好きな人にもグッとくるものがあるでしょう。


UNDERDOG - Out in the Night ★★★ (2023-04-04 14:57:14)

前作から4年のインターバルの末にリリースされた勝負の3枚目。リリース時期が1988年という事もあり、音楽性はかなり洗練されたものに変遷している。しかし根底にあるのは男のロック。その暑さを滲ませつつも、よりワールドワイドでメジャーな感覚を強め間口を広めてきた。これがあのアンダードックなのかという戸惑いは最後まで拭えないのだが、メロディを大切にした欧州メロディックメタルが好きな人ならば大いに引き寄せられるだろう。唄モノスタイルへの大胆なシフトチェンジ、5曲目のI Show You a Feeling (It's More than Your Love)ではサックスの音色まで聴かせるのだから、このバンドがいかにアーバンでダンディなシティロックへと変貌したか理解も及ぶでしょうね。
単純に音楽として楽しむならば唄モノAOR系を愛するマニア向けでしょう。とにかく過去2枚とは別のスタイルです。それでも質は低くないのが、このバンドの力量でしょうね。器用貧乏で終わったのかも知れないが、もっと認知されて良いバンドである。
ワタクシのようにMausoleum Recordsマニアから入った人も多いでしょうが、このサウンドは大衆性を完備したアリーナサウンドである。
それも悪くないと感じさせたポテンシャルに唸りますね。すべては時代だよ。レーベルも倒産して路頭に迷う彼ら、よく分からん自主レーベルみたいなもんからヒッソリとリリースされた3枚目。
唄モノマニアには今すぐサブスクを聴けと言いたい。


UNDERDOG - Underdog ★★★ (2023-04-04 14:21:42)

Mausoleum Recordsからリリースされた2枚目のアルバムしか知らなかったのだが、彼らのレアモノがサブスクで試聴できるのは本当にありがたい。海のものとも山のものともつかぬアーティストに大枚をはたくのは勇気がいりますからね。今も若い人は本当に羨ましいよ。
ワシはだいぶ散財しましたよ。でも悪いことばかりではなく桁が変るくらい高額で売れる物もあったので今となっては良い思い出です。

ドイツのバンドらしい生真面目さ、そしてハモンドオルガンも渋く鳴り響き彼らのルーツたるバンド達の影響も見えてくる。ガッツ溢れるハードテイスト、男臭さを醸し出すマイク”スパイダー”リンスターの歌声も熱を帯びており、オールドスクールサウンドにグッとくるマニアならば、大いに楽しんで貰えるでしょう。
NWOBHMの影響下にある古典スタイルの旨味、AC/DCでパープルでヒープなシン・リジィサウンドの旨味、ワタクシはこういうの大好物です。古くさい音色ではあるが、メタルの芯を喰っているクラシックサウンドは、いつだった興奮の坩堝へと誘ってくれますねぇ。
汗臭いステージが似合うバンドですよ。漢メタルですが洗練されていない分けじゃない、だが売れ線志向とは一線を画す男のロマンに引き寄せられます。


HADES - If at First You Don't Succeed '98 ★★★ (2023-04-02 10:02:27)

冥界の領主ハデスと名乗るアメリカのパワー/スラッシュメタルバンドの2枚目。前作から更にスラッシュ色を強めるスタイルへと変貌。マッシブさが増強されたサウンドは、前作以上に説得力が増しMetal Church、Nasty Savage、Heathenと言ったUS産コンクリートメタル勢に興味があるなら、それなりに満足できるクオリティは保持しています。
パワーメタル色が薄まった点についてが一番評価を分けるでしょうね、余りにもスラッシュ化しすぎである。でもリリース時期が1988年と考えると合点がいきますよね。メインストリームとかすメタルサウンド、そういう時流の中で試行錯誤の末の展開、ある意味、よりソリッドでメタリックな世界へと進んだと考えれば好意的に受け止められるでしょう。

オリジナルは12曲入、現在はボートラが増量されたものが主流でしょうが、配信版は23曲入のフルボリューム、こちらともCDとも収録曲が違うので興味は尽きません。現物知らないからなぁ。断言はしませんのであしからず。90年代仕様はだいぶ違う音楽性になってましたね。70年代から活躍するバンドのブレインであるダン・ロレンツォ、彼の苦悩が読み取れるボートラとも言えるのですが、マニアにとっては、CD盤もフォローしたくなりますよね。