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失恋船長さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1001-1100

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BRETT WALKER - Nevertheless ★★★ (2021-04-27 19:06:57)

国内盤は我らがZEROコーポレーションからもリリースされている、ソングライターとして活躍していたブレット・ウォーカーのソロアルバム。
元々ミュージシャン志望の彼、満を持してのソロデビューを言いたいのですが、時代は1994年です。そんな時代に、爽快なメロディが映える普遍的アメリカンロックで勝負とは驚きですね。
そしてこれほどの質の高さを有しながら、スウェーデンのEmpire Recordsと日本だけの地域限定リリースと言うのが残念です。スタン・ブッシュ、ジョナサン・ケイン、ジム・ピートリックらも協力に駆け付ける、彼の顔の広さ。①②⑨⑪では、ドラムとプロデュースにデヴィッド・プラーターまでもが参加となるのだから、その質の高さは折り紙付きです。勿論、ブレットが単独で書いた曲も魅力満載。
上手い唄とギター、何を聴かせたいかを明確に定めた音楽性は、ベタ中のベタですが、歌モノロックを愛する方ならマストな一枚と言えるでしょう。
正にベタ最強説を裏付けるような味わい深い一枚です。少々、商業寄りの為、気になるマニアもいるでしょう。でも、この哀愁のメロディにそっと寄り添う彼の歌声にキュンとさせられる瞬間は多々あり、ソフトなサウンドが続き、ハードなものにチェンジしようかなぁと毎回なるのですが、⑥の哀メロナンバー登場で気持ちも盛り返し、最後まで完走させられます。その余韻を引きずり⑦の頭の唄い方もエエのよ。
完全に掴まれるオープニングの①、そして②の流れに、歌メロマニアなら間違いないと確信するでしょう。バラエティ豊かな楽曲を用意して最後まで抜かりなく完走します。歌も上手い、ギターも弾ける、曲も書ける、アレンジの手腕ありと力のあるミュージシャンですよ。

2012年にようやく、Divebomb Recordsからリマスター盤が再発。しかも日本と同じでボートラ入りの13曲です。歌モノマニアなら手にとっても損はしないですよ。


余談ですが同じ名前のラップグループ?があるのでお間違いのないように。


KIM KYUNG HO - Kim Kyung Ho Live ★★★ (2021-04-25 14:25:19)

韓国の至宝と呼んでも大げさではない、アジア圏を代表するロックシンガーだった、キム・ギョンホが1988年にリリースしたライブアルバム。インギーにMR.BIG、QUEENメドレーに、FIREHOUSEにJOURNEY、そしてDREAM THEATERのカヴァーにも挑戦、彼のセットリストの合間に取り込まれています。
韓流ドラマの主題歌のようなバラード系のヒットソング?も披露。幅広い音楽性の楽曲をチョイスしたせいもあるのか、ホンマかいな?と疑いたくなるような黄色い声援も聴こえてくる実況版に、なんだか恥ずかしくなります。まるで昭和アイドルのリサイタルじゃん(あえてリサイタルと呼びたい)。これが、本当なら相当な大スターである。インギーのライジングフォースですら黄色い声援が飛び交う始末なのだから驚きで。、現在配信されているものと、CDとしてリリースされているものでは曲順が違うのですが、CDではオープニングがイングーのRISING FORCEでしたからね。

とにかく、何を唄っても上手いです。ロックシンガーとしてのパッションが凄いです。勿論、バラード系もバッチリです。その確かな実力に裏打ちされたステージングに唸ります。なかなか、彼の凄みが日本で語られる機会は少ないのですが、SABER TIGERとのプロジェクトが軌道に乗れば、もっとメタルシーンに名を残せたのかなぁと思いますね。

何と言っても本人が、メタルを歌い続け、マイナーなロックスターでは終わりたくないと、韓国の芸能雑誌で答えたと言うのだから、彼自身の問題なのだろうけど、アジア圏のみならず、世界と互角に渡れる実力者だっただけに残念です。

98年として考えても、古臭い匂いが漂う昭和リサイタル、どこかチグハグに感じるのだが、それでも彼の歌声に嘘はない。驚異的なボーカルテクニック、全身全霊を乗せて歌う彼のパフォーマンス力の高さに舌を巻きますね。

バックの演者も素晴らしいプレイを披露。こんな熱いステージなら一度は見て見たいと思いますね。でもインギーのカヴァーは誰がやっても本人より上手くできない。あのタッチはライブで表現できないのよ。
あんなに力強いピッキングなのに、流麗に聴かせれるのは本人だけです。改めて言うつもりはないが、こういう場面でも偉大さを認識させられた。


BANG TANGO - Ready to Go ★★★ (2021-04-25 13:53:43)

所謂バットボーイズロックブームみたいなモノにノリ80年代末期にメジャーデビュー果たした彼等が、あのシュラプネルからリリースしてきた4枚目。しかも一度バンドは解散していたらしく、前作から10年振りの新作だと言う。
個人的に、飽和状態だった88年代末期のシーンとは遠ざかっていたので、このバンドの事は名前も知っているし、1stは聴いたが幾度記憶に留めていなかった。猫も杓子も、流行りものを生み出すL.A出身に辟易していたんですね。

復権しつつある2004年という時代背景、そして、あのシュラプネルというレーベルからのリリース、このワードを信じて手にしたのですが、これが思いのほか、骨太でラフな男気溢れるハードサウンドを披露。男臭いハスキーヴォイスと無頼な二本のギター、時には哀愁を震わせながら、心にグッと訴えてくる。技巧面よりもエモーション、ハートで勝負のサウンドは、その奥にある基本的なスキルの高さから安定感もあり安心して聴いていられます。

2004年に勝負を賭けたスタイルは、オーセンティックでストレートなロックサウンドを披露。勿論、バラード系も上手く挟み往年の煌びやかな時代を走馬燈のように思い出させる曲も用意、ビシッと筋の通った音楽性を武器に懐かしさも手伝いグッと胸に迫ってきます。
無駄な装飾をそぎ落とした、古典ロックの揺ぎ無き精神性。一発で何物と分かるシンプルな曲を用意したのは正解だろう。時代に逆行する形で、この手のサウンドで攻めてきた気概は大いに買う。そして、毛嫌いしていた、バットボーイズブームと一度真剣に向き合おうというキッカケを与えてくれた一枚でもありました。


BLASPHEME - Désir de vampyr ★★★ (2021-04-24 13:17:40)

お隣の国で勃興したムーブメントは当然のように飛び火、このバンドは正にフランスでも巻き起こるNWOBHMを盛り立てたバンドであることは間違いないだろう。メイデンよろしくなドラマ性の高い展開を用意、KILLESなどのメイデンの2枚目が好きならば、今作も間違いなく耳を刺激するだろう。
デビュー作はではファルセットを交えた歌声を聴かせていたマーク・フェリーもストレートな歌唱スタイルに重きを置き、良くも悪くも煩わしいと感じさせた歌い方を変えたのは、逞しくビルドアップされた今作の方向性を推し進めている。
硬質なメタルサウンドではあるが、どこか軽やかなオシャレ感が漂うのがフランス産のなせる技なのだろうか、メロディの質などに、特有の魅力を感じます。
英語圏以外は皆、格下と言う当時のシーンを反映しているかのように、フランス語で唄う彼等はワールドワイドな成功は収められなかったが、当時のマグマがグラグラを今にも吹き出しそうなメタルシーンに、名を残すには十分なクオリティを保持、語感的にも気にさせない詩の乗せ方も、個人的にはお気に入り度も増させてくれます。

新たなるトレンドとなるNWOBHM以降のスタイルを継承する伝統芸能サウンド、音質はあれだけど、パワー、スピード、メロディセンスと一線級のバンドに肉薄するアイデアを展開、しっかりとした土台の上に成り立つ構築美に、大いなる可能性と、もっと認知されてもおかしくない魅力を感じます。あいつコーチのいう事聞かないから上にいけない万年二軍の三冠王のような存在である。


Jim Dandy - Ready As Hell ★★★ (2021-04-23 12:35:01)

Black Oak Arkansasのシンガーとして知られるジム・ダンディが1984年にリリースしたソロ。サザンロックで知られるバンドのソロなので、どういう方向性に向かっているのかと思ったら、南部臭のそこそこに、84年的なアプローチにも果敢に挑んでおり、そのオッサン臭い歌声は如何ともしがたいが、曲によってはキーボードを上手く絡ませ音楽的なアプローチの幅を広げている印象が強い、勿論、無頼なロックもあるし、ピアノをバックに雄大な大地を優しく見つめるバラード系もあるのだが、時にはVAN HEALENのアルバムJUNP的な作風にも挑み、フレッシュ感を演出。勿論、泥だらけではあるのだが、今の時代に改めて聴けば、面白い発見が出来る。
基本は、豪快で無頼なロックサウンドが基調である。サザンロックにも軸足を置いてはいる、しかし、そのイメージだけに留まらない豊は音楽性、キャリアの成せる技なのでしょう。スケールの大きなロックサウンドの持つ無限の可能性。その乾坤一擲な野望に魅入られます。
味わい深い曲が多いんだよなぁ。オジサンになるとグッと沁みてきます。乾いた大地に根を下ろし自然と向き合い生活をする人々の強さ、その大いなる恵みと畏怖が、このアルバムから感じる瞬間がありますね。
ちなみにリードギターとしてクレジットされるスティーブ・ヌネンマッハーは、後にスティービー・ブレイズと呼び名を変え、Lillian Axeで活躍する、あの人です。


ELEKTRADRIVE - Over the Space ★★★ (2021-04-20 12:37:51)

1986年にリリースされた1st。シンガーのエリオ・マウゲリはイタリアのロニージェイムス・ディオと呼ばれた人材であり、その堂に入った唄いっぷりに驚かされる。サウンドの方も垢抜けた80年代中期を意識しつつもパワフルな王道スタイルにも軸足を置いており、絶妙なバランス感覚で勝負している。

その反面、分離の悪いミックスなど、バンドの魅力を削ぐような面もあったりとマイナス要素は拭えないのだが、熱を帯びたパッショネイト溢れるプレイと硬軟交えた楽曲の数々は、正統性の強いメタルファンの期待に十分応えるものとなっています。
DIO流のパワーメタルにDOKKEN風味のソフト路線を持ち込み、そこにヨーロピアンフレーバーを掛けた完成させた音楽性。その質の高さに舌を巻きますが、2016年にEscape Musicから再発されるまで全く知らないバンドでした。まだまだ知らんバンド多いなぁと、思い知らされますね。メロディに拘りのあるマニアにもトライして欲しい一品です。


NAZARETH - No Jive ★★★ (2021-04-18 14:10:34)

時代の流れの中でもがき苦しんでいたベテランバンド。今作には、その紆余曲折を経て辿り着いた境地を感じる。変わることのない屈強な精神性、自分達が何者なのかを再度見直しアピールしてきたような印象を強く受ける。

ロックと言えば、これでしょうな音楽性、流行り廃りとは無縁のスタイル。その安定感と裏切らない音は、行きつけの大衆食堂のような居心地の良さがある。瓶ビール片手に上手い飯を腹いっぱい喰らいたい、町中華で飲ろうぜ、ノリで楽しみたいロックファンならば是非とも押さえて欲しい一枚である。

味わい深いマッカファーティの唄、堅実なプレイから弾き出されるいぶし銀のサウンドは、今では逆に新鮮に映るのではないだろうか、変わることを拒絶したバンドの強み。単なる70年代の焼き回しではない、鮮度も込め彼等は戻ってきたと感じるファンも多かったでしょう。
キャリアが生んだ新しい切り口、バラエティ豊かな楽曲をまとめ上げる説得力。地に足がついたベテランの持つ聴き手を安堵させる存在感、キャッチーさも忘れずに見事、イメージに沿ったスタイルを具現化しましたね。


BARREN CROSS - Rattle Your Cage ★★★ (2021-04-18 13:55:18)

クリスチャンパワーメタルバンドのスタジオ4枚目となるフルアルバム。オープニングナンバーのエアロスミス風には驚きますが、94年と言う時代性を考えれば頷けますね。その後もヘヴィなミドルナンバーを中心に展開、その中にも胸が熱くなるようなガッツ溢れる王道メタル風味を展開させ、時代の中で折り合いをつけている。
ブルース・デッキンソンに似た声質のシンガーとして知られるマイク・リーのパフォーマンスは健在、①の方向性を②で揺り戻していますからね。
前作から5年のインターバルはバンドとしての苦悩の歴史でしょう。音楽性の変遷に時代の流れに飲み込まれたと感じますが、その中でもバンドらしさを感じさせる瞬間は多くあり、テクニカルなギターソロなど、その片鱗でしょうね。④とか好きだなぁ。ヒリリとした男の哀愁とメジャーロック感、このバンドの真骨頂とも言える場面でしょうね。
昔はもっとダイハードなメタルをやっていましたけどね。


COCOBAT - Struggle of Aphrodite ★★★ (2021-04-18 13:40:06)

永井豪とパスヘッドのコラボジャケも話題になった国産ミクスチャー系ラウドロックバンドの先駆者となるココバットの2nd。海外からの高い評価を受けた1stの次と言うのもあり話題性も高まった中でのリリースだけにプレッシャーも有ったろうが、その辺りの課題は見事にクリアー、何でもありの質の高い音楽性をまとめ上げ自分たちの流儀に合わせて昇華、唯一無二のサウンドを築き上げようと先鞭を振るっている。
個人的に、ドストライクの音楽性ではないし、むしろ門外漢も甚だしい素人ですが、世界に向けて日本からも新たなる勢力が生み出されたことを確実に感じさせる作風であることは間違いなく、リフ一つとっても、マイケル・シャンカーだリッチーだ、ランディだとは違うスタイルの登場に新風を感じます。

あえて王道を外し奇をてらうだけではない確かな技術とバックボーンの豊かさ、多様なジャンルに精通したプロ集団が作り上げた一流の音楽性は、ジャンル不問の魅力があり、ハードな音楽を好む者たちに大いなる刺激と提示しています。

ファンキーなベースとノイジーな図太いギターの絡み、ヘヴィなうねりは実験的な要素も孕んだ音楽性の中で強烈なグルーブを生み出し独自性を発揮。何物にも囚われない自由な発想と感性により、楽曲に大きなふり幅を設けている。それでありながらも一点突破とも言うべき、アイデアが集約された時の破壊力は半端ない攻撃力を持っており、その一撃のクリティカルヒット度の高さは、このバンドの真骨頂とも言えるだろう。

現代的なメタルの源流たる音楽性、こういう音は今こそ見直されるべきであろう。このバンドは日本人と言うだけで随分と割を喰った印象が強い。そういう偏見を持たない若い人ならば、現代メタルのルーツとして楽しめるはずだ。
むしろ、日本にもこれだけ個性を剥き出しにしたグループがいた事に驚くだろう。


RUTHLESS - Metal Without Mercy ★★★ (2021-04-15 11:50:24)

アメリカンロックの裏街道を走る硬派なパワーメタルサウンドが売りのバンドである、RUTHLESSが1985年にリリースしたEP。今では6曲のポートらが追加され世に出ている。
ダークで鈍色の光り輝くUS産パワーメタルサウンドは、先人達からの影響も飲み込み見事に自分流儀に昇華。ブルージーな色もアクセントに、古典的手法と80年代的メタリックな新時代サウンドを抱き合わせ見事に築き上げている。
US産らしい不愛想な顔、その音は煌びやかなシーンとは裏腹に、実に真摯にメタリックなスタイルを向き合っている。少々単調なリズムもあるが、緩めのミックスをうらやみつつも、豪快なプレイで攻撃性を担保、そこに歯切れの良いギターがガツーンと迫ってくる。重心低く迫るヘヴィネスサウンド、ミドルナンバーが中心ではあるが、ドカーンと派手目にキメているので、視聴感は悪くない。いかにもエネルギッシュなパワーメタルは、逆にメタルな脳を刺激していくでしょう。ボートラ6曲も本編に見劣りしない内容。むしろ作品の力点となり、購買意欲を擽ります。
スローなパートもアクセントとなり息苦しいだけではない柔軟さを持ち込んだ点も良かった。


JOHN SLOMAN - 13 Storeys (2021-04-15 11:07:44)

2003年にソロをリリースしたジョン・スローマン、前作から3年のインターバルを経て作り上げたサウンドが、アコギを片手に弾き語るフォーク/アートロック路線に変更。前作のような不自然な歌い回しはなくなり、彼らしい高音を駆使したエモーショナルヴォイスが復活。全13曲、ジョン・スローマンの歌声をタップリと味わえる仕様となった。

個人的には、眠くなるようなスタイル故に、惹き寄せられるものはないのだが、クラシックなサウンドが好きな人には一定の需要もあるでしょう。唄以外にもマルチな活躍をする、文字通りのソロアルバム、紆余曲折を経て辿り着いたのが今作だったんですねぇ。


JOHN SLOMAN - Dark Matter ★★ (2021-04-15 10:57:04)

70年代から80年代まで活躍した元HEEPであり、脱退後はジョン・サイクスやニール・マーレイとBADLANDSを結成したりと活躍していた、ポール・ロジャースタイプのシンガーとして知られるジョン・スローマン久しぶりの音源となるソロ2枚目。時代は2003年、モダンなヘヴィネスサウンドが席巻しているわけですが、今作もグランジ以降のサウンドメイクを基調とした古典ロックを披露。古臭い手法にざらついたファットなギターが似合うかは嗜好によるだろうが、いかにも2000年的ではある。

色んなアーティストが時代の中で試行錯誤していたことを思い出しますが、今となっては、この音も懐かしい音となるわけですから、時代の移り変わりを感じます。トレンド志向ではなかったのでハタから見ていた側としては余計に、そう感じてしまいますね。

若い頃はファルセットを交えエモーションに歌い上げていたジョン。今作には若い頃のような勢いと言うか色気はないのだが、懐かしい顔が見えてきたのはマニアにとっては嬉しい限りです。歌を中心として2000年仕様の古典ロック、最大のポイントが懐かしい顔と言うのが、個人的には少々寂しいのだが、マニアならチャレンジする価値はあるでしょう。


URIAH HEEP - Live January 1973 ★★★ (2021-04-14 17:34:43)

まさに全盛期と言える時代のライブを体感できる貴重な一枚。生々しい演奏は正にライブ盤に相応しい勢いがあり、当時の彼等の充実した姿を見ることが出来るでしょう。
ケン・ヘンズレーの鍵盤プレイの凄みと、重厚なコーラスワークこそ、ヒープと思うファンも多いだけに、これを聴けば好き嫌いは抜きに納得できるでしょうね。選曲的にも当時としては、ほぼベスト。そういう美味しさもあり満遍なく楽しめる仕上がりでしょう。
破壊力抜群の鍵盤プレイの暴れっぷり、それに負けじとミックはワイルドに迫り攻撃力も倍増。このバンドの何たるかを端的に味わえる。とりわけ、今作が素晴らしいのはデヴィッド・バイロンが誰にも邪魔されることなく唄に専念出来ていること、特に名曲Look at Yourselfもバイロンが歌いこなし、これだよこれと言いたくなる仕様。バイロンの変化自在の確かなパフォーマンスのおかげで実に芯の太い充実したものとなりました。
2ndからやっていないので、そうなったのかもしれませんね。何はともあれ、全盛期と呼ばれる誉れ高き70年代のヒープ。その勢いに満ちたハイパフォーマンスを楽しんで欲しい。そして、ケン・ヘンズレーの凄さを知って欲しいなぁ。


URIAH HEEP - Gypsy ★★★ (2021-04-14 17:13:02)

ピーター・ゴルビー時代のライブ映像。場所はLondon Camden Palace。TVの収録用のものが原本らしいが確証はない。
ある意味、貴重なゴルビー時代のライブなのだが、ミック・ボックスのワイルドかつハードなギターを前面に出した勢いのあるステージになっているのに驚く。かつてのようなプログレタッチの幻想的なスタイルではなく80年代的なモダンさも加味された新生ヒープそのものをパッケージ、そのホットで活きのいいステージを楽しめるが、少々物足りなさはある。
それは、思いれや選曲などにもよるのだろうが、個人的には、バイロン時代の曲では、やや軽く仕上がってしまった。また、喉に問題を抱えていたデリケートな男として知られるゴルビーのパフォーマンスも粗めだったりと気になる点も多い、それでもミックは、バンドをグイグイと引っ張り、ヒープの金看板を支えている。
それだけでも十分、この作品には価値があると思います。
思いのほか、The Wizardがハマっていたりと新しい発見もあり、個人的には大いに楽しみました。
ピーター・ゴルビーが引退した状態なので、今となっては忘れ去られている感があるのだが、80年代中期と言うシーン全体の過渡期に、ヒープがどのようなスタイルで勝負していたかを知ることが出来る資料的な価値も高い一品。半分以上がゴルビー時代と言う選曲も含め、マニアの心も擽るだろうし、ヒープマニア以外にも訴える場面は多いと思います。
やはりライブならではの勢い、その魅力を体感してください。
また、ヒープ最大の危機を迎える直前の時代だというのを理解してみると、また違う感情も湧き出ると思いますよ。


REFUGE - Solitary Men ★★★ (2021-04-12 17:50:02)

新旧RAGEのメンバーが揃った夢のプロジェクトチームによる記念すべき1st。癖のあるギターワークはスリル満点、緊張感漲る独特のトーンを操り不穏な陰影を際立たせている。この辺りに、このメンバーが揃う意味合いを感じるのだが、古典的なジャーマンスタイルのHM/HRも強めに反映させることで差別化を図っているように感じる。
その効果はオープニングから色濃く反映されていると思う、より普遍的でオーセンティックな方向性に軸足を置き、新旧のRAGEファンを取り込める魅力を感じる。エモいRAGEなんて嫌だと思うマニアにとっては、尚更支持できるだろうし、独特の癖を押さえることで苦手と感じていたファンを取り込みだけの魅力も同時に存在している。その反面、地味に感じる面は否めないが、堅実なジャーマンスタイルと思って聴いて欲しい。
こういうプロジェクトには可能性を感じますね。第2弾も期待したいところです。


JOHN LAWTON BAND - Sting In The Tale ★★★ (2021-04-10 13:47:29)

HEEP30周年を祝うイベントでケン・ヘンズレーと共演を果たし接近するも、両者の思惑通りに事は運ばず、ある意味予定通りとも言える形で袖を分かつこととなる。それでもジョン・ロートンの活動は途切れることなく継続されロートンバンドの始動に繋がったのはありがたい。
なかなか、精力的な活動を行っていると感じない稀代の名シンガー、ジョン・ロートン。そのパワフルかつクリアーな歌声は唯一無二の個性を放っており、一聴して彼と分かる自分のトーンを持っている人です。確かな表現力と歌声、その天賦の才を存分に生かして欲しいと思うのですが、中々ワールドワイドとはいかず、どうもローカルスター的な立ち位置で活動している印象が強い。
今作もマイナーレーベルからのリリースである。そしてレコーディングにも金をかけていないジャムセッション的なニュアンスから生まれたようなサウンドである。盟友とも呼べるギターのスティーブ・ダニングを筆頭に、気の合う仲間と仕上げたようだ。
多彩な楽曲が収録された今作、まさに主役であるジョン・ロートンの独壇場ともいえる喉を披露。なんでも歌いこなせるのは周知の事実だが、こうして改めて聴かされると、素晴らしいなぁと思う。地味目の曲もジョンが唄えば七色に光り出す、正に彼の唄が、バンドを一段上のステージへと引き上げているのだから、どのような形であれ継続した活動に声援を送りたいものです。その後、このアルバムを主軸にライブ盤を出して以降、作品のリリースはなく、今でも実態があるのかないのか分かりませんが、やや、ラフな歌声のジョン・ロートンを楽しめる今作も、彼のキャリアの一つとして燦然と輝いています。
そしてある意味、一番、真っ向勝負の古典ハードロックサウンドに挑んでいると思います。憂いのある楽曲で俄然と光るジョン・ロートンのパワーヴォイス、あの人は今的な立ち位置にいるだけに、マニア以外にも聴いて欲しい一枚です。


NECROPHAGIA - Ready for Death ★★★ (2021-04-09 13:11:49)

つい最近、Bandcampで見つけた幻の一枚。元々はこちらが1stよりも先にレコーディングが済まされていたが(詳しい事情はわかりません)1990年にポコッと出来てきて消えた一枚。ややこしい権利の関係などあったのか知る由もないが、単体での再発はなく、コンピ作に丸々収録されたり、リメイクされた形で数曲、他のアルバムで確認できたものがある程度。マニアとしては、一度は聴いてみたい一品でしたが、これがコチラの想像を裏切るような展開になっていて驚いた。

デビュー作こそ、スラッシュメタル的アプローチだったが、こちらは完全にホラーテイスト全開のブラッケンドなデスメタルスタイルを披露。シンガーもギターの音色も汚らしい糞尿まみれの血みどろサウンドを轟かしているのに驚く、1stリリース以降、デスメタル的なアプローチに移行したと思っていたら、デビュー作が異質で、彼等の本分はこっちの方だったんだと言う事実にひたすら驚きました。
とにかく、恐ろしいです。腐敗臭がプンプンと漂う残虐描写連発のホラーサウンドの凄み、ローファイな音色も手伝い、そのカルト的な恐ろしさに拍車をかけ、なんとも血生臭いB級スプラッタームービーを見せられている気分である。

おぞましきダーティーな残酷メタルは、グラインドコアからの影響も容赦なく撒き散らし、苛烈なるのノイズは自由度の高い音楽性の上で、気色悪さを発揮。彼等が示した激情渦巻く邪悪なるサウンド、その情け容赦のにない激烈さに、聴き手の理性は見事に蹂躙され支配下に置かれるでしょう。

ワシは、このバンドのことを何にも知らんかったんだぁ。

初期型デスメタルマニアならグッとくるでしょうね。


JURASSIC JADE - Id ★★★ (2021-04-08 08:45:00)

常にアンダーグラウンドシーンの先端を走ってきた国産スラッシュ系バンドの最新作。HIZUMI嬢が紡ぐ言霊。その刺激的かつ風刺の効いた世界観は、含みを持たせつつもストレートに吐き出すことで、聴き手の感性に鋭い刃を突き立てます。有名になる為なら手段を選ばず平気で嘘をつき、皆が自分を立場ばかりを優先するがあまり、善悪の判断すら曖昧になる世の中、見たくないものに背を向け、小さいウソをつきながら自分の立ち位置を決める。
世の中からこぼれるよう真偽不明の情報に寄りかかり、今日もスマホの画面に噛り付き、全てを知ってるかのような顔をする。本当の恐ろしい世の中がやってまいりました。

HIZUMI嬢の存在そのものが音楽性の頂点に鎮座するスタイル。その唯一無二の個性は、決して奇をてらった存在ではない。悪目立ちが横行する世の中とは一線を画す、本物のカリスマ性。そういうものを纏った存在だ。

ブレることのない軸足。多様な音楽性を吸収しつつも見失う事のなかった自分たちの音、それは全世界共通の認識として成立させれるような強靭なエクストリームサウンドだったと思う。
今作は、初期の匂いもだいぶ感じる。個人的には何とも懐かしい空気感です。それでも、それらが進化の過程でしかなく現代に擦り寄ったなどの妥協点を見つけるような安直なものではない。
メンバーチェンジも含め、時代の中で巧みにモデルチェンジしてきたJJサウンド。熟成された衝動は、オールタイムベストとも言える出来栄え、オールドファンから新規さんまで、全てを飲み込むだけの説得力がある。自由度の高いヘヴィサウンドの旨味、緩急をつけた楽曲が放つダイナミズム、真摯に向き合う音楽性はより崇高な理念が宿ったようだ。
メタルシーンが衰退した時代でも、常に強靭なオーラを放ち続けていたバンドの強み。カオティックなラウドサウンドは研磨され続け今なお先鋭的である。積み上げたキャリアの違いとも言えるのだろうが、文才のないワタクシでは、とてもじゃないが、この音を表現することは出来ません。とにかく妙な先入観やしがらみのない若い人にこそ聴いて欲しい国産メタルの最高峰に位置するバンドですよ。


HUGO - Time on Earth ★★★ (2021-04-06 22:03:18)

スティーブ・ペリーに声が似すぎているで話題になったヒューゴのソロアルバム第2弾。ギターはヴィニー・バーンズが参加とお膳立ては揃っています。粒だった楽曲と上手い唄、リードギターもそこそこに技を見せ、教科書通りとも言えるようなお約束のロックをやりまくっています。
それだけにスリルはありませんがクオリティに対する保証は間違いなし、どこか深夜の通販番組みたいな嘘くささもあったりするのだが、素直な耳で聴けば、心もハレバレになる爽快感たっぷりの、チョイ切ない叙情派サウンドがテンコ盛り。遠くの空を見つめ、心も穏やかな気分に浸れます。
唄が上手いってのは素晴らしいね。⑩では、カナダのTriumphの曲をカヴァー。これも流れ的に問題なく溶け込み、ヒューゴが作り出すメロディアスロックに華を添えています。
参加メンバーも複数クレジットがあり、どういう経緯で制作されたのか?気になる面もありますが、メインはヒューゴ、その者です。彼の芸達者ぶりを味わうのが一番でしょう。ギターにキーボードにドラムまで担当していますのでね。


RON KEELS FAIR GAME - Beauty and the Beast ★★★ (2021-04-06 21:46:19)

あのイングヴェイ・J・マルムスティーンを世に送り出し(踏み台にされた?)、その後はBLACK SABBATHに一瞬参加、そしてKISSのジーン・シモンズの助力を得て世に出たロックンローラー、我らがロン・キール。
80年代にそこそこの成功を収めるもメタルバブルに乗っかれるほど、器用でもなくシーンから消える事となる。
その後1997年に突如、北の狂獣SABER TIGERのアルバムに参加した時は驚きました。叙情派バンドに何故?キールなんだ?
その予測不能な化学反応はパルプンテの如き破壊力で、マニアを楽しませてくれましたね。
そんな不器用な歌声が愛されるロン・キール。一時期はカントリーで食いつないでいた苦労人、迷走するキャラを極めていたのが、この時代だと思います。
ロン以外は全員女性のツインギター編成、セクシー系の女性を4人も従えハーレム状態を楽しむことに、どう考えてもロンがニヤついている姿しか想像できないのだが、サウンドの方が、そんな邪な感情を与えない真面目なモノ。
マーク・フェラーリやトミー・セイヤーの曲もあったりと、ロンの声が似あう豪快なロックもあるが、しっかりとした枠組みのメロディアスロックもあり、華やかなメンバーの組み合わせも手伝い、音楽性は煌びやかなイメージを与えてくれる。結成は1991年だが、当然の如くバンドは短命に終わる。結局、この作品は2000年に突如リリース。
いつのマテリアルで、いつ頃レコーディングされたものなのかは知る由もないが、相変わらずロンは綱渡りなロックンロールライフを生きていると想像を掻き立てられますね。
今では簡単に聴ける、ある意味、レア音源。KEEL時代を支持するマニアなら聴いて損はしないでしょう。そしてロンのカントリー路線も、あながち間違っていないと確認できるような楽曲も収録されています。意外と器用にメロディアスなロックを歌っているので驚きます。
こっちが勝手に出来ないと思っていただけなんですけどね。


FATES WARNING - Theories of Flight - Rain ★★★ (2021-04-04 21:36:54)

ここではピアノではなくアコギをバックに切々を歌い上げています
エモーショナルで太い声も逞しい優しさを感じます
オリジナルのドリーミーさはありませんが
オマケのクロージングとしては成功でしょう


OCTOBER 31 - Gone to the Devil - Too Scared to Run ★★★ (2021-04-04 21:30:13)

シングルに収録されたカヴァー
押しの強い無頼なバンドのイメージがあったがけに予想外のカヴァー
本家よりもラフな仕様になってるが
バンドのイメージに即している
こういう隠れた名曲に再びスポットライトを当てる機会を作ってくれたことが嬉しい


SPIRITUAL BEGGARS - Return to Zero - Time to Live ★★★ (2021-04-04 21:24:22)

このバンドのイメージにピッタリのカヴァー
オリジナルに対するリスペクトがハンパない
ワウをかましたギターもたまらん
唸るハモンド
粘り腰のグルーブ
官能的なギターがやはり素晴らしい
唄も雰囲気バッチし
本家ではもう再現できない空気を生み出している
オリジナルに負けない素晴らしいカヴァーです


VIRGIN STEELE - Age of Consent - Stay on Top ★★★ (2021-04-04 21:19:26)

ピーター・ゴルビー時代をチョイスするとは渋いね
オリジナルの方がベースがブンブンきてました
でも持ち味を殺さない好カヴァーですが
このバンドの必要だったかは微妙な気がする
でもマニアには嬉しい誤算ですよ


GAMMA RAY - Somewhere Out in Space - Return to Fantasy ★★★ (2021-04-04 21:10:19)

以外と本気でやっています
アルバムの締めがカヴァーとは驚きですが
カイ・ハンセンの唄がミスマッチですが
それでも雰囲気は十分に伝わります
HEEPメタル仕様といったところでしょう
こういう忘れ去られたバンドの隠れた名曲を取り上げたセンスが素晴らしい


W.A.S.P. - Inside the Electric Circus - Easy Living ★★★ (2021-04-04 21:06:20)

どっしりとしたヘヴィネスさが増強
割とカヴァーソングでアルバムの水増し傾向のあるブラッキーですが
流れ的に違和感はない
またバンドのルーツに触れるのもファンにとっては嬉しい限りです


W.A.S.P. - Inside the Electric Circus - I Don't Need No Doctor ★★★ (2021-04-04 21:03:46)

ロッカーならHumble Pieヴァージョンが馴染みでしょう
元はR&Bでレイ・チャールズが唄っていたとか
こちらのヴァージョンはロック仕様です
軽快なロックショーの合間に挟まれても違和感なし
このバンドのイメージにピッタリですね


MOUNTAIN - Nantucket Sleighride ★★★ (2021-04-03 18:35:07)

ある一定の世代の人ならば、ギターをマスターする過程で、必ずポール・コゾフやアラン・ホールズワース、そしてレズリー・ウエスト等は避けては通れないマスターピースだったろう。
マイケル・シェンカーに通ずる泣きのギター、そりゃレズリーがお師匠さんなんだから、類似性があって当然となるわけです。若い人で、なかなかマウンテンというバンドに繋がりづらいでしょうが、ギターを志す気持ちがあれば、一度はトライして欲しいバンドでありアーティストです。
そして何よりも、古典ロックの凄みを体感したい人にはマストなアルバムだと断言したいですよね。
アメリカンロックの良心とも言えるエモーションと泣かせのフレーズ。このバンドがR&Bやソウルだけのエッセンスで終わらないのはプロデューサーであり、ベースとして参加するフェリックス・パパラルディの影響にもよるのだろうが、そういう理論的なものなど関係なく魂に訴えかけるフレーズとエモーションなプレイを心行くまで堪能できる。
しかもハードな調べを基調としているのだから、ロックファンにとっては避けては通れないアルバムだと思いますよ。粘りっこいギターは哀愁を纏いながらも熱量を放出、そのスリルとエキサイトメントをフォローしつつも、泣かせ具合があるのだから恐れ入る。
バンドサウンドの根幹たるギターに負けないベースの存在感、そして丁々発止なギターとベースの合間を縫うように美味しいフレーズを叩き出すドラム、鍵盤プレイは空間を広げ、このロック一代抒情詩の世界観をより深いものに演出。演者が無駄なく一体感を出すことで、バンド特有のスリルと味わいを膨らませている。
レズリーのギターは素晴らしい、これだけ弾ければゴリ押しのプレイの一つも挟めたくなるが、彼は、バンドの一員となり主役を務めあげている。
70年代のバンドという事でブルース臭も強めと考えている若い人にとっては、思いのほかザラついていない清々しいさがあって驚くでしょうね。でも骨太なロックサウンドの魅力は損なわれていません。その妙味が今作にはあります。
島国感情を持つ日本人には、この哀愁が忘れられないんですよね。無頼なロックに注入された泣かせのメロディ。そこに感情が大きく揺さぶられます。


SMITH/KOTZEN - Smith/Kotzen ★★★ (2021-04-03 18:03:23)

20年以上雑誌を読んでいないので、最近の流行りものを全く理解していない。それで苦労することはないのだが、どういった経緯で、エイドリアン・スミスとリッチー・コッツェンがタッグを組んだんだろうか?
全然、接点のない二人だと思われるのだが、浦島太郎オジサンにとっては、皆目見当もつきません。それでも、先行公開された楽曲の出来の素晴らしさに感嘆させられましたね。
エモーショナル歌声と、テクニック込められた情熱とソウルフルな味わいのギター、トーン一発で酔わせてくれるプレイの数々に、思わず酒も進みますね。リッチー・コッツェンのエモーショナルなギターと唄、上手いのは知っているが、ここでは今まで以上に有機的に機能、シンプルながら多彩なフレージングを用いり、二人のギターは個性を光らせています。
腕利きの二人が派手なプレイになど頼らなくとも十分に満足させている。ハードだが哀愁美に溢れたフレーズはフックも満載。何とも言えないセクシーな音色、その肉感的なギタープレイの数々に悶絶です。

個人的には、第3期パープルの現代版とも言える味わいがある。あそこまでリズムセクションは多彩ではないし、キーボードも出てこないのだが、エモーショナルかつソウルフルな歌声とハードエッジなギターが楽しめるという一点において、勝手にそう想像して楽しんでいます。まぁ英国的な要素も漂っているのも拍車をかけていますかね。

妥協なきギターと唄、その充実ぶりを受け止める優れた楽曲。このプロジェクトは単発で終わらせてはいけませんね。
くどいようですが、唄もギターも沁みるよ。染みわたりますよ。エエで、溜息が出るわ。

余談ですが、この前後にケン・ヘンズレーのソロを聴いていたので、余計にそう感じます。比較する事でもないのですが、やはり唄えるだけじゃダメなんですよね、訴えかけるものがないとね。


George Murasaki and Mariner - Mariner One ★★★ (2021-04-03 17:34:54)

日本のDEEP PURPLEと呼ばれた沖縄のロックバンド、紫を率いていたジョージ紫が新たに結成したバンドの1st。ジョージの鍵盤プレイを主軸に楽曲はドラマティックに展開荒々しさの中に繊細さを加味させた古典ロックの旨味に唸ります。

随所に存在感を発揮するリズムプレイ、ハーモニーやフィーリングを大切にするエモーショナルなギター、そしてJJのソウルフルな歌声、演者が一体となり生み出される音は、既存のアイデアを踏襲しつつも、アレンジセンスの妙味も光り輝き、新たなる息吹を与えている。
あらゆる音楽に精通したプロ集団が生み出す無限のエネルギー、多様性に富みながらもエネルギーの放出を一つにまとめることでインパクトを強めているのも印象的です。
ロックあり、バラードあり、プログレテイストありと、なんでも歌いこなせるJJは、本当に逸材だった。
時代が1979年のリリースである、それだけに古さは否めないが、偽りのない音楽性だけに、今聴いても十分なほど鮮烈なインパクトを放っている。抜群のリズム感に富んだアンサンブル、半分が外国人だからだけが理由ではないはず。沖縄の血は日本とはチョイと違うんだな。
紫直系でありパープル同様、小気味いリズムは跳ね上がり、ギターとハモンドが暴れるロックが好きな人ならマストでしょう。
全ての曲がいちいちカッコイイ。アレンジも様になっている。無駄もない。完成度の高さに舌を巻きますね。何故、再発されないのだろうか?権利の関係なら乗り越えて欲しいなぁ。


STORMWIND - Straight From Your Heart - Gimme, Gimme, Gimme ★★★ (2021-04-02 20:29:35)

インギーよりも先にカヴァーしているのかな?
女性シンガーも上手く機能しているでしょう
中低音域を駆使して堅苦しい印象を受けていただけに雰囲気はあるぞ
ギターソロもスリリングでイイですね


George Murasaki and Mariner - Mariner Two ★★★ (2021-04-02 20:20:09)

沖縄のロックシーンを代表する紫の創始者、ジョージ紫が新たに動き出したバンドの2枚目。シンガーはJJが務め、バックはアメリカ人と言う事らしいのだが、元々、返還前の沖縄の血で育まれた本物のロックを体感してきた彼等、JJもある意味、外国人だし、このバンドから日本的なバタ臭さは全く感じない。
むしろ、英国でも米国でもない無国籍なサウンドを奏でており、ジョージのキーボードを生かしたドラマティックなサウンドを展開。JJのソウルを感じさせる歌声は、正にロックシンガーとしての魅力を搭載、そこにプログレタッチの本格的なロックサウンドが絡んでいくのだからたまりません。プログレ系と言ってもコマーシャル性は完備。ASIAほどのスケールの大きさはありませんが、完成度の高さでは、このバンドも負けていません。むしろ、どこかアジアを感じさせる個性的なメロディを有しており、一度聴いたら忘れないようなフレーズもあったりと、質の高さは折り紙付きです。技巧と親しみやすさを調和させた絶妙なさじ加減が、何とも言えない空気を生み出しています。

これだけ、本格的な音を出していたのにバンドは2枚のアルバムを残し解散。おまけに、いまだにCD化も見送られている幻の一品。デジタル配信でいいので、確実に復活して欲しいバンド。久しぶりに聴きましたが、かっこエエわ。


FIGHTER - Bang the Drum ★★★ (2021-04-01 19:33:59)

エイミー・ウォルターとショーン・マーフィーの男女がシンガーを務めるクリスチャンロックバンドの2nd。ハードエッジよりはAOR調のサウンドを基調としており、HEARTのBRIGADEみたいな路線を思い出しました。
嫌味のない爽快感とロックな躍動感、弾けるポップセンスを巧みの盛り込み万人に受け入れられるスタイルを取っている。コンパクトながらギターも巧者、この手のバンドは、実力者が脇を固めるパターンが多いのだが、このバンドも安心して聴ける技を持っている。
個人的には、折角フロントマンが二人いるんだから、もっとデュエットを増やせばよいのにと思います。①男性②女性③男性④女性⑤男性と、譲らないんですよね主役の座を、何故なのか不可思議な気持ちのまま、進みますが総じてクオリティは高くメロディ派の心に寄り添うようなヒットソングも多い。
まぁ、こればかりはバンドの在り方ですから、如何ともしがたいのですが、タイプの違う二人が絡めば魅力も倍増するのにと思わずにはいられません。


VENGEANCE RISING - Human Sacrifice ★★★ (2021-04-01 19:13:38)

クリスチャンメタル界からついにスラッシュが登場するとは夢にも思いませんよね。恐るべしスラッシュムーブメントなのかクリスチャンの節操のなさなのかは分かりませんが、このバンドが出している音の暴力的なエッセンスには驚きます。
DARK ANGEL的な背徳感やSLAYERのようなアンチクライスト的な匂いまで嗅ぎ取れるのに、これが、キリスト万歳を唄っているのかと驚きますが、英語は分かりませんので不思議な気持ちです。
ギャングコーラスも飛ぶ出す①のようなお約束もあるが、ブルースメタルな③もあったりと、以外と懐が深い。そして④ではスローな出だしで驚かせ、その後、吐き捨てタイプの歌声が映える絨毯爆撃スラッシュが展開。ゴン太なヘヴィグルーブが怒涛の進撃を繰り広げるバイオレント極まりないスラッシュサウンドの凄み、それでいながらも、スラッシュ以外からの影響が出ているパートも攻守交代のように効果的に出てくる演出のおかげで、スラッシュ特有のスリルを生み出し、凡百のスラッシュバンドからの脱却を目指している。
こんなもん○○だよと、お叱りを受けそうな面もあるのだろうが、殺傷力の高いリフとリズムが混然一体となり迫りくる厳つさに、恐れ慄きますね。
こういう無慈悲さと有機的な絡みを見せながらも、濁声の吐き捨てヴォーカルが絡むことで、独自のクールさとバイオレントな空気を生み出していることも見逃せません。
仕掛けも多いし、アメリカのバンドと言うよりもドイツのスラッシュ系に近い音を出しているのも印象的だし、このバンドの立ち位置を示していますね。それにしても、クリスチャンスラッシュて何を唄っているの?
音だけ聴けば乱暴ですよぉ。


Emerald - Armed for Battle ★★★ (2021-04-01 18:49:51)

70年代の終わりに産声を上げたクリスチャンメタルバンドが、解散前にリリースした6曲入りのEP。なぜこのような形でバンドは終焉を迎え、リリースに至ったのかは知りませんが、歯ごたえのある無頼なメタルを披露。オープニングではやさぐれたDOKKENのような曲で幕開け、次もアコギのパートを盛り込みドラマ性を喚起させる無頼さもある曲へと繋がり、このバンドから浮ついた印象を受けない。
メタルバブルど真ん中の1987年に、この手のスタイルがメインに躍り出ることはないが、EDMもリズムも取り込み多様化する昨今のサウンドを見聞きするたびに、個人的には、この無頼なメロディアススタイルに愛着を覚えずにはいられません。
やたらベースが自己主張するバランスなど、もう少し配慮した方が良いような気がする、全体的にもっさりとした印象が拭えない。やりたいことを表現方法が違うと感じてしますが、それも、マイナーバンドの味として楽しんで貰いたいです。
パワー漲る正統派スタイルは、堅実過ぎると思われるでしょう。ベテランレスラーの前座試合のような展開かもしれませんが、ヘヴィメタルの美徳を感じさせる、パワフルさとメロディに対する拘りの姿勢は何物にも代えがたい魅力があると思いますよ。


LIONHEART (2021-04-01 02:20:03)

このバンドが再び脚光を浴びたのはデニス・ストラットンがプレイングマンティスに加わった事が大きい。実際、1992年に世界に先駆け、日本のみでCD化再発された時は、その前後でBURNN!誌において、再考され名盤発掘的なお墨付きをおもらった記憶がある、そのおかげでワタクシも1stを聴いたのだが、後期NOWBHMバンドとの認識として照らし合わさすと、かなりアメリカンナイズドされたシャレオツなサウンドだったことに驚いたものです。

質は高いがメジャー感がバリバリのメロディアスサウンドだった。後年、コンピ作に収録された曲を聴いた時に、このバンドも少なからずメジャー資本の横槍を入れられ方向性が変わったんだと思ったのですが、1999年に、今なお日本のみでしかリリースされていない、2枚組のデモ集を聴き長年の鬱積も晴れました。

そして30年以上たってから、デニスは、昔やり残したことは見事にやり切り、このバンドを本分となるサウンドをリー・スモールの力を借りて体感させてくれました。

LIONHEART=1stと思われると、このバンドの姿がぼやけてしまいます。特に1stは持ち上がられ話題になりましたが、デモ集はゴット伊藤氏から厳しい言葉を頂いています。BURRN!書いてあることこそすべて、ましてやゴットが言うのならばと言うBURNN!原理主義者には、馬の耳に念仏ですが、もっと広い視野で音楽を聴ける人には、復活後のアルバムは勿論ですが、世界中のコレクターが血眼になって探している。日本盤しか存在しないデモ集も、素晴らしい価値があると理解できるでしょう。いや、むしろデモ集こそ、LIONHERATと思うでしょうね。音楽は耳で判断するものです、活字で判断されるものではありません。ましてや権威に追従するなど…愚の骨頂です。


LIONHEART - Unearthed - Raiders of the Lost Archives - Don't Hide The Feeling ★★★ (2021-04-01 01:58:06)

英国らしい高貴なムードが漂う哀メロハードポップナンバー
線は細いが透明感のある歌声もマッチ
こういう曲を盛り込める三頭政治体制は間違いではなかった


LIONHEART - Unearthed - Raiders of the Lost Archives - Prisoner ★★★ (2021-04-01 01:18:48)

我らが山本恭司のソロでも唄い
バーニー・マースデンのアラスカでも唄った
ロバート・ホーソーンがボブ名義で参加しています
彼の透明感のある歌声と
分厚いコーラスワークは似合いいますね
このラインナップには可能性を感じます
マンティスから流れてきたファンもグッと掴むでしょう
ドラマティックな展開もあったりと繊細さもたまらん


LIONHEART - Unearthed - Raiders of the Lost Archives - Shooting All The Lights Out ★★★ (2021-04-01 01:16:07)

英国のMR.BIGのシンガーだったジェフ・ペインが立ち上げたバンドのカヴァー曲
この煮え切らない感じも英国していますねぇ
ご機嫌なブギースタイルという事ですかね


LIONHEART - Unearthed - Raiders of the Lost Archives - Don't You Know What Love Is ★★★ (2021-04-01 01:13:07)

TOUCHの名曲をカヴァー
このバンドこういう曲が好きなんですねぇ
デニスとロッキーが唄い分けています


LIONHEART - Unearthed - Raiders of the Lost Archives - Ace In The Hole ★★★ (2021-04-01 01:10:46)

Vinnie Vincent InvasionやJourneyのシンガーとして知られる
ロバート・フライシュマンの曲をカヴァー
4トラック録音だそうで音質はショボいですが
このバンドには似合っていますね
いいフィーリングがありますよ


OZONE - Self Defence ★★★ (2021-03-30 18:27:43)

スティーブ・オーバーランドとクリス・ウーズィーの実力者シンガーのツインボーカルが堪能できるAOR調のハードサウンド。ソングライティングチームにはマイク・スラマーも加わりお膳立ては揃っているのですが、そこにトミー・デナンダーも招聘とメロディ派にとっては盤石の体制となっていますね。
英国的な叙情派サウンドに盛り込まれる北欧のエッセンス、それらが織りなす化学反応に導かれ極上の歌モノロックが展開。真新しいものなど無いのだが、安定感抜群のサウンドに身も心も委ね楽しむのが一番ですね。
上手いなぁ、ツボを押さえていますね。味のあるギターも印象に残る。でも邪魔しないのよ。だれも無駄な動きをしていない。こういう音は永遠に聴いていられますね。
玄人も唸らせるアレンジセンス、そこに上手い唄が絡むのだから、マニアならずとも手を出して損をさせない一枚でしょう。


HOBBS' ANGEL OF DEATH - Heaven Bled ★★ (2021-03-30 18:02:42)

どこかファニーなイメージがあったバンドの首謀者であるピーター・ホブスさん、雑誌の低評価もそこに加わり、一般的には割を食った印象が強い。しかし、生粋のスラッシュマニアからは、そのキャラも含め愛されるべきバンドして一目を置かれたのは事実。久しぶりの復活作となる今作に対する期待値は決して低くない状況の中で、見事にこちらの期待を裏切ってきました。
単なる80年代スタイルの焼き回しに終わらないブルータリティの増量、それはオープニングから炸裂。切り刻まれるブラストビートとブラッケンドなアグレッションを有するナンバーの登場に衝撃を受けました。その路線はアルバム全体で感じさせるものであり、新しい時代を巧みに飲み込み、この時代に復帰する意味合いを強く感じさせてくれました。

個人的には、行き過ぎた印象は否めないものの、若い人たちにも存分に訴求する魅力を携えており、現役のアーティストとしての矜持を感じます。
以前よりもテクニカルな要素に偏った新生サウンド、手数足数の多いドラムはバンドの推進力となりイーブルなスラッシュサウンドを牽引、ギターも思いのほか、メロディアスなフレーズを奏でガラリと印象を変えてきた。


A.S.A.P. - Silver and Gold ★★★ (2021-03-29 17:44:33)

今作をリリースする辺りから、エイドリアン・スミスはメイデンを抜けるのではと噂になっていました。元々、メイデン加入前のバンドURCHINでは、唄も担当、そして音楽性もポップな叙情派ロックをやっていたので、今作の方向性に違和感はない。しかし、そういう情報は必ずしもポピュラーではない為に、多くのファンにとっては、おもてたんと違うという事で、あまり良いリアクションを得られなかったと言われていますが、英国スタイルを基調としつつもワールドワイドな展開を視野に入れた楽曲を収録、アメリカン仕様が少々鼻にはつくが作品のクオリティは総じて高く、マニアならずとも手が出るライトな音楽性に傾ている。
バーニー・マースデンもアラスカやったからなぁ、なんて妙に納得できたりするのですが、格式高いメイデンスタイルを期待すると正直ガックリとくるでしょう。
個人的にはEARTHSHAKERに提供したような曲調も期待したので、ハードエッジの少なさに戸惑いました。キーボードも出過ぎですが、エイドリアン・スミスのバックボーンを考察すると見えてくる景色も違うので、これは守備範囲でしょう。

最近、エイドリアン・スミスとリッチー・コッツェンのプロジェクトが話題となり、そちらの音楽性も素晴らしく、今作を思い出しました。エイドリアン・スミスの別の顔に興味のある方は是非ともトライしてください。
煌びやかなロックサウンドに面を喰らいそうですが、ギターリスト、エイドリアンとしては多彩なアプローチで楽しませてくれます。こういうフュージョン系のプレイでも腕利きのギターテクニックを披露できるエイドリアンの才能の豊かさ、改めて素晴らしいミュージシャンであることを確認できるでしょう。
メイデンだけに押し込めておくのは待ったいないですね。


早川めぐみ - Hot Lady (2021-03-29 17:24:15)

今回の帯タタキもキュンとなりますねぇ「君も、セクシーでキュートなメグのライヴ感覚あふれる"POWER POP"かじってみない?!!」前作に当たるEPにもあったPOWER POPかじってみない好きやなぁ。

元祖嬢メタルと言えば、ワタクシにとっては早川めぐみ嬢を真っ先に思い出します。セクシー系のジャケ、そして裏ジャケは松本伊代に叱られそうな線路でグラサン姿を披露。中身のポスター的な要素の強いライナーノーツではアイドル的な笑顔を披露と、一枚で何度も楽しめる仕様になっています。
これぞ昭和アイドル的な売り方なのでしょうが、アイドルに熱を上げなかった少年時代のワタクシは、チョイと疎いのですが、そんな雰囲気を今作から感じています。

作風も、作品毎に歌謡テイスト化に拍車がかかり、B面に当たる2曲以外はリズム隊が打ち込みに変更と、本格的に路線変更を果たしています。

A面の5曲、B面の頭で参加するのは、今やロック界の大御所である松本孝弘、制約のある中でも、自身の持ち味を出そうと苦労していますが、②では作曲も担当と躍進していますねぇ。

総じて歌謡曲です。免疫がないワタクシには総じて恥ずかしくなる曲調ばかりです。ACTIONのメンバーが提供した楽曲も、彼等がやりそうなパワーポップナンバーだ。しかしめぐみ嬢の歌唱力不足は如何ともしがたく、可愛らしさでは押し切れないフィールドまで進んでしまった。

しかし、無理やり感の漂うハード路線よりは肩の力が抜けて、彼女にとってはプラスに働いている。完全に水泳大会のワイプで唄っている姿がチラつく曲ばかりだが、昭和アイドル好きには需要もあるだろう。
また、歌謡曲よりのロックが好きは人もイケるでしょうね。忘れ去られたアイドルロッカー、昨今のブームを横目に見ているワタクシですが、こんなんもありましたよぉとお節介を焼きたくなりました。


BLACK KIRIN - 金陵祭 ★★★ (2021-03-28 17:21:41)

漢字では黑麒と書きます。中華圏のフォーク系ブラックメタル。その悲哀に満ちたメロディと暴虐性極まりないサウンド迫力満点。殺傷力の高いリフ、悲しみを抱いて血を吐き咆哮する唄、ブルータリティに満ちた豪快なリズムは強度が高く、エキサイティングなサウンドメイクに一役買っている。
殺伐として狂気、中華風のメロディも大胆に取り込み、静と動のコントラストを際立たせた演出が独自性の花を開いている。7曲入りで唄があるのは3曲、インスト唄インストという具合で物語が進み、戦争と言う不条理なる出来事を彼等流に演出。歴史解釈はどうであれ、我々日本人にとっては、無視できない南京大虐殺を取り扱うコンセプトアルバムとなっています。

個人的には7曲で37分超え、少々長いなぁと感じる曲がある。例えばインストの⑤はスローナンバーで5分半、しかも強弱のある展開がないので、いつまで続くんだろうと心配になる。歌詞が分からないから、余計に見失うのだが、こういう聴かせ方の工夫をするだけでも、随分と聴き易くなるのになぁと思う。

また、この手のフォークメタルには詳しくない為、えげつないパクリがあっても気が付ないのだが、民族楽器を巧みに使い、悲劇の物語をメタル仕立てに作り上げた今作は、エクストリームな暴走サウンドと相まって、中華風○○としては大成功だろう。暴れるところはしっかりと暴れ、泣かせのメロディに繋げている。そこにアイデアの渋滞は起こっていないようだ。


梦灵 - General Triumphant ★★★ (2021-03-28 16:59:34)

梦灵と書いてDream Spiritと読む、中華圏のフォークメタルバンドが2017年にリリースした2nd。既に海外のフェスに参加するなどワールドワイドな活ども行っているようで、中国のロック市場がどのような動きをしているのか?検閲のある中国において興味が尽きない、そろそろロックやって大丈夫のか?政治批判なんて絶対できないだろうしなぁ?
そういう意味では、今作にある昔の話をテーマにしたコンセプト色の強い作風は波風を立てない、また、フォークロックとの親和性の高いテーマでもある、それだけに違和感なく中華風味を盛り込んだメタルをやっても遜色はない。むしろ個性の確立に一役も二役も買っている。
欧米志向の強いロックが中国から出ているとは驚きだが、今となっては、こういう資本の使い方もありだろう。
中国で売れるだけでも、物凄い成功につながる、映画だって、マッド・デイモンが主役の歴史ファンタジーを作れる環境にあるのだから。

そこはかと流れるアジア的な情念のあるメロディ、そこに民族楽器的な音色も絡めアジア色を猛烈に演出。フォークメタルに疎いので、もろパクリを行われても気が付きませんが、自らのアイデンティティの確立と西洋文化の融合を、見事に果たしており、一定のクオリティを保持している。これならば海外のフェスに出ても違和感なく迎え入れられたろう。

もっと中国色があった方が個性は高まると思うが、そうなると台湾の人気バンドに類似するために、これくらいが丁度良いのかもしれません。益々ボーダレス化が進むミュージックシーン。アメリカで売れることを前提とした音作りは、必ずしも成功に結び付かない。特にSNSによって火が付く可能性も高めた今、わざとらしさはかえって命とりである。

動画がバズれば、大成功に結び付く昨今。何が起こるか分かりませんからね。


DESTRUCTION - Bestial Invasion of Hell ★★★ (2021-03-24 17:50:54)

ドイツが生んだ極悪スラッシャー、ディストラクションのデモ音源。2018年に正式な形で商品化された一品ですが、現在は配信盤も世に出ており、簡単に耳に出来る貴重な一品です。
このデモを叩き台に正式な形でアルバムに収録されたりしているのですが、その違いを楽しむのが一番でしょう。個人的には資料的な価値の高い作品だと思っている。
アメリカのバンドの触発されドイツからも現れたスラッシュ三羽烏の一翼を担ったグループですが、1984年の時点でかなり自分たちのスタイルを構築しており、その奇抜なアイデアからくる、ひねくれたリフワークや禍々しい暗黒度、理性を逆撫でするハイテンションな突貫スタイルは健在、少々、唄の迫力は、まだまだキレ不足だったりするが、このバンドが、単なるスレイヤーのフォロワー以上の魅力を持ち合わせていたことを理解できますね。
後年の、欧州スラッシュシーンに対する影響力の強さを考えても、今作は大きな意味を持つでしょう。なかなかお金を出すのは躊躇するのだが、定額制となれば話は別です。スラッシュ黎明期を音源を聴きたいと思うマニアなら必聴と言える一枚でしょう。


Urchin - Get up and Get out ★★★ (2021-03-21 17:51:52)

2012年に突如High Roller Recordsから世に送り出された幻のバンドの音源。知る人ぞ知るエイドリアン・スミスがメイデン加入前にメインで活動していたバンドのがURCHIN。結局、フルアルバム世に出す前に消えたのですが、メイデン効果もあってか、チョイチョイ未発表音源がリリースされています。権利の関係はどうなっているのか?など気になることはありますが、発掘良品を送り出すHigh Roller Recordsだけに期待値は高いものでした。
今作はリハーサル音源です、一発録音音源です。正式なレコーディング商品ではありません。それでも、このバンドの魅力を知るには十分なプレイと楽曲が目白押し、どちらかと言えばNWOBHM勢でもポップな叙情派スタイルで知られたバンドでしたが、その魅力を残しつつもライブらしいラフさも加味されており、持ち味は十分に発揮されてるでしょう。
後年、メイデン脱退後、ASAPを結成して割とポップなサウンドで勝負してきたことに驚いたメイデンファンも多いでしょうが、URCHIN時代を知っている人なら驚きは少なかったと思います。
ここで聴ける英国的ロックの様式を感じさせる王道サウンドの旨味、唄にギターとエイドリアンの非凡な才能に触れることも出来ますので、メイデンマニアにも十分、訴求するだけに魅力はあります。
そしてNWOBHMに興味があるマニアも押さえて欲しい一品ですね。


ANGEL - Risen ★★★ (2021-03-21 17:29:19)

あのANGELが白い衣装をまといシーンにカムバックしてきました。パンキー・メドウズのソロやフランク・ディミノのソロの延長線上にあるようなハードテイストを増強、合い間に懐かしいエッセンスを散りばめながら、軟弱な印象などを一切与えないパワフルな古典ロックを披露。
昔の名前で出ていますな、ノリを排除しつつも往年のファンを無視しない仕様に一日の長を感じずにはいられません。フックのあるメロディとクサすぎない哀愁美、重量感のあるリズムを心地よく鳴り響かせ、ギターの深い味わいで聴かせる手法により、硬軟のハンドリングを行い、このバンドの持ち味である華やかさを、新しい切り口で魅せている。

やや収録曲が多いなぁと感じるのだが、伝統と革新をもって改革された新生ANGELサウンドに死角は見当たりません。こういう古典的なロックは聴いていて気持ちがイイですねぇ。
スカッと抜けていますよ。歌心の満載のメロディと、それに応える力強い歌声、そして厚みはあるのに無駄を排除したアンサンブルの旨味に唸ります。ベテランによる会心の一撃、深みの増した楽曲の持つ完成度の高さ、ハードなのにコマーシャル性も忘れていない職人技、何もかもが素晴らしい豪華絢爛の盛り合わせですよ。これは売れなきゃダメでしょうよ。


THUNDERMOTHER - Heat Wave ★★★ (2021-03-21 16:57:53)

常に鮮度の高い古典ロックを披露する北欧のガチンコHM/HRバンドの4枚目。ブルースベースのロックサウンドも見事に手名付け、自分達が何者であるかを誇示するように、スケールの大きなロックサウンドを眼前に見せつけてきます。しなやかで強度のあるヘヴィグルーブは心地よくなり響き、ノリの良いリフ一発に破壊力も倍増、豪放磊落なロックンロールの嵐に飲み込まれますね。その頂点に立つ唄も頼もしい限り、AC/DCにも匹敵するような定番感を持ち合わせています。
こういう音楽は時流に左右されることはありません、彼女達に邪な感情さえ生まれなければ、このバンドに外れはないでしょう。似て非なるものを作る作業は簡単ではありませんが、ライブで叩き上げた実力者にとっては無問題ですね。

雑念を振り落とした穢れなき古典ロックの美徳。それでありながらも華やかさを感じさせるのはルックスだけではなく、このダイナミックで埃っぽいのに小奇麗さを感じさせる、ゴージャズなサウンドメイクによるものでしょう。
可愛い女子大生のキャンプを眺めている気分です。
作品毎に飛躍するバンドサウンド、デジャブ感も味方につけ、高らかに鳴らされる雷ロックの閃光を見ましたね。


MAGNUM - The Serpent Rings ★★★ (2021-03-17 04:12:46)

英国を代表する伝説のロックグループによる20年リリースのフルアルバム。近年の精力的な活動には目を見張るものもありますが、今回はベースプレイヤーがデニス・ワードにチェンジ、どのような交代劇があろうとも、主役を張るボブ・カトレイとトニー・クラーキンの二人がいれば陰りなどあり得ないでしょう。
オープニングから炸裂するマグナム印満載のオーケストレーションも決まっているドラマティックなナンバーの登場で掴みはOK、その後も、彼等のイメージに沿うような重厚な世界観を演出、マグナムかくもありきな音楽性をで酔わせてくれます。
あくまで主役は唄なのだが、その中にもマグナム流儀のプログレスタイルも盛り込み、楽曲毎にドラマとなる見せ場を設け聴き手を飽きさせません。しかし、ある意味、マンネリズムではある。
新しい事はやっていないかもしれないが、その反面、長きに渡り培ったバンドとしての顔がある。熟成させ磨き上げた音楽性の豊かさ、だからこそ古典的な手法だから威厳があるんですよ、みたいな懐古主義と一線を画す滋味深き音色で、マグナムな世界観を作り上げています。
古き良き英国ロックの旨味を今の感性で、もてなす事に余念のないベテランのフレッシュな感性。益々、衰えを感じさせる歌声ではあったが、老獪なテクニックを駆使して最後まで楽しませてくれました。
このバンドの音は、本当に落ち着きますね。ロックなのに、何故か心が温まるハートフルメロディの数々、しっとりとしつつもメリハリが効いているのでジメッとベタつきません。だから、踊るような軽快さとフックのある展開に身も心も魅了されるのでしょう。
世代を超えて支持される普遍的なマグナムロックの醍醐味を味わえる一枚。明確な意思疎通があればこそですよ。


FRANK DIMINO - Old Habits Die Hard ★★★ (2021-03-16 01:24:35)

日本でも外タレ好きの女子から大人気を博したANGELのシンガーであり、脱退後はソングライターとして活躍する、フランク・ディミノがリリースしたソロアルバム。
国内盤もAVALONから出ていますので比較的聴き易い環境にあると思いますが、これが素晴らしい出来栄え。硬軟交えた楽曲はどれもがヒットの要素を秘めた玄人も唸らせる職人肌の楽曲が目白押し、熟練された力強い歌声と表現力の高さ、そこに熱量の高いハードサウンドが絡めば、もはや外すことのない定番定食の出来上がり、キーボードが活躍する疾走ナンバーまで用意する憎い演出もバチーンと決まり、今作をサブスクで見つけてからはヘヴィローテーションと化しています。

ギタリストには懐かしいパンキー・メドウズの名前もありANGELファンなら嬉しい共演でしょう、エディ・オジェーダ、オズ・フォックス、ジェフ・ダンカンと、HM/HRマニアには嬉しい名前もありますので、グッと期待値も高まるでしょう。

上手い唄とツボを押さえた楽曲、バラードあり、ノリノリのロックあり、AOR調の歌モノあり、パンチの効いた疾走ナンバーありと多様性に富みながらも方向性を絞り込みアレンジした楽曲は、売れ線志向になびいてはいないと感じさせる熱さとハードさが存在しており、骨太でカラッとしたサウンドメイクのおかげでダイナミックに躍動しています。
シンプルながらギターリフも前に出しつつ、主役たる歌声は、誰にも負けることなく鎮座する貫禄に唸ります。王道アメリカンハードな香りをプンプンと漂わせつつも、潤いを感じさせるメロセンス、バランス感覚に秀でた名盤でしょう。

大人が聴いても恥ずかしい思いをさせない本格派のハードロック。ANGELのシンガーだった男のソロなんてと侮るなかれです。


ANDY MCCOY - 21st Century Rocks ★★★ (2021-03-14 19:53:30)

ハノイロックスの主要メンバーとして解散後も活躍したアンディ・マッコイの久しぶりのソロアルバム。なんの思い入れもないアーティストですが、何故か、貴方におススメのアーティストとして紹介されたので視聴(今作を聴いたことで、一時期ロックンロール系を中心に聴くこととなる)
これが思いのほか、バラエティに富んだ楽曲が目白押し、次から次へとフックのあるメロウな雰囲気重視のロックナンバーが登場。フラメンコな曲まであるのだから驚きです。歌もギターも雰囲気バッチリ、やるせないアンディの声とメロディラインが合致、これが彼の持ち味なんだろうなぁと初心者であるワタクシにもビビットくる音楽性を披露していると思います。
サックスやトランペットにスパニッシュギター、そういう楽器が出てきても変化球を投じていると思わせない、彼の核心を突くようなロックサウンドを丁寧に作り上げ、メロディアスかつラフなロックンロールサウンドを構築している。
大きな影響を受けたジャンルではないために、途中でチェンジしたくなるのだが、ラストナンバーの軽快さが耳に残り、気が付けばリピート再生したくなる中毒性がある。

こういう音楽をなんと表現すればよいのが術を持っていないワタクシには、如何ともしがたい、もどかしさがありますが、あらゆるジャンルに精通しているプロだからこそ作り上げられるのだろう。ハノイファンは当然チェックしているのでしょうが、日本人の琴線に触れるロックっていうのは美味しいですねぇ。


HANOI ROCKS - Oriental Beat ★★★ (2021-03-12 16:24:21)

日本でもバットボーイズブームが巻き起こった時代がありましたね。あまり詳しくないのですが、友人の影響もありGDフリッカーズとかDEVILS辺りを真っ先に思いだします。一番成功したのはZIGGYだろう。グロリアのヒットは凄まじい影響力を持ち、同学年の友人、知人がこぞって聴いていた。
そんな中で、ZIGGYのメンバーが、ハノイやニューヨーク・ドールズから影響を受けたみたいなコメントを残した為に、急増したのがハノイファン。モトリークルーのDR FEELGOODも売れたが、あれはうるさ過ぎると敬遠されたがハノイはウケていた。

このバンドはポップでキャッチーなサウンドを引っ提げ、非常に耳辺りの良いロックをやっていた。フックのあるメロディと適度の毒気。退廃的なムードもそこそこに親しみやすい魅力も持ち合わせZIGGYのメンバーも押していた為に、それが口火となり皆が聴いていて驚きましたね。

ここで聴けるサウンドは極めてポップです、洗練されたロックサウンドは実に多彩なジャンルを網羅しており、その枠に囚われない発想はバンドの個性を光らせている。
ハノイファンにとっては、今作の位置づけがどのようなものなのかは理解していないが、初めてこのバンドの音源に触れたのが今作の為に、思い入れが強い。


DR. FEELGOOD - Down by the Jetty ★★ (2021-03-12 16:14:29)

イギリスを代表するロックバンドの一つでありパブロックの中核を担った伝説のグループ。よもやワタクシのような門外漢も甚だしいものが初登録となり投稿するとは夢にも思わなんだ。
本当にないのか検索ミスじゃないのかと疑いは拭えませんが、一応登録しました。

ワタクシの人生において大きな影響を受けたジャンルではありませんが、サブスク生活のおかげで、昔、チラッと聴いた音楽をタダで聴ける人生なのでトライ。ボートラも大増量の41曲入りでリマスター盤が聴けるとは有り難いです。

ジャカジャカとかき鳴らされるギターはシンプルだが、鋭さがあり強力なテクニックは無くとも切れ味で勝負している。リズムプレイもシンプルだがタイトで無駄がなく気持ちのいいビートを叩き出しパブロックバンドの持つビート感を誘発、ジャンルに縛られない奔放さが爽快感を伴い軽快に踊ります。

リードシンガーである、リー・ブリローのファンキーなノリも上手く曲調にノリ、様々なスタイルを取り入れた楽曲の中で存分に機能していますね。

70年代の英国にとって、ロックは庶民のモノ、もっと言えばそれよりも苦しい労働者階級の代弁者だった。このバンドもまた、そういうロクに読み書きもできない、階級に寄り添うカンフル剤のような活力を与える存在だったのかも知れない。パンクシーンの呼び水になったとか、色々な影響を語られるが、詳しくないので割愛するが、今作で聴ける音は、ポポップスあり、オールディーズ風味もありだが、紛れもなくロックンロールである。


SLADE - Slayed? ★★★ (2021-03-11 02:06:47)

SLADEと言えば、グラムロックの大御所であり、カヴァーされた「Cum On Feel the Noize」の原曲バンドくらいのイメージしかなかった。大人になり少し金回りも良くなった90年代の中頃、音楽シーンの変遷についていけず自分探しの旅に出てた。自らのルーツたる音楽を見直す、これは本当に大きな出来事であり、今の自分を形成するのに凄く役に立った。
ある意味、グランジムーブメントのおかげで、速い段階で覚醒への兆しを見つけれたので今となっては感謝している。
このバンドも、そんな時期に触れたベテラン集団の一つでしたが、これが底抜けに明るく楽しいだけじゃない、英国的な陰りとパンチの効いたパワーポップサウンドを聴かせており、何とも頼もしいと思わせる趣向を取っている。
バカっぽいビジュアルにだまされそうになるが、頭のいい人たちであり、腕のあるバンドだという事に気が付かされた。

気だるいポップロックはチョイと苦手だしデビットボウイのような中世的で雰囲気重視のロックは苦手な故に、生涯聴くことのないジャンルと決めつけていた自分が恥ずかしいと思えるほど、多様性と多くのロックバンドへの源流となるサウンドがテンコ盛り、方々で語られるKISSのジーン・シモンズが影響を受けたという言葉を鵜呑みにさせる魅力がある。

ジャニス・ジョプリンのカヴァーも全然違和感がない。そういう懐の深さがこのバンドの魅力なのだろう。能ある鷹は爪を隠すを実践しているという事でしょうね。

今の若い人が聴けば古めかしい音でしょう。でもこれもロックのルーツだと言いたい。煌びやかな70年代エッセンスとサイケにジャズも飲み込んだ世代の隠し技、激しいだけではないキャンディポップスが弾け飛ぶ豪快なロックサウンドに、胸がザワつきますね。人に語れるほど詳しいバンドでもないし、主食になることもないので、思い入れも少ないのだが素直にカッコいいと思います。

スペルのおかしな曲目も多いのですが(アルバムタイトルも?)これは彼等流のメッセージ性なんだとか、ロックしてますね。


WISHBONE ASH - Coat of Arms ★★★ (2021-03-09 19:49:16)

英国ロックを代表するベテラン中のベテラン。来日コンサートも話題になりましたが、最新作をリリースしてきました。メンバーはアンディ・パウエルしかいませんが、このラインナップでも活動も板についている状態だけに問題は起きないでしょう。パルエル一家も支えアルバムを作り上げているのも安心材料の一つ。
今後の事も考えると、そんなに新作をリリースできるとも思えないので、総力戦で挑んでいるという事でしょうね。

湿り気のある哀愁のメロディは健在、古めかしい曲を今の感性で作り上げ大衆性も完備。順風満帆とは言い難い時代も含め、今作には、それまでの流れを無視していない一貫性のあるアルバムに仕上がっている。
ベテランらしい地に足の着いたパフォーマンスは、若い人にとっては、やや刺激も薄めでしょうが、枯れた味わいだけではない、洗練されたポップセンスとコマーシャル過ぎないロック然とした力感、無駄を排した拘りのアレンジは、このバンドならではの風合に満ち溢れている。

とはいいつつも70年代の味とは別のものと捉えて楽しむべきでしょう。ワタクシはこの路線も支持できますよ。


TWINTAIL - Ghost Pain ★★★ (2021-03-09 19:33:47)

キャリア的には10年以上も活動している国産HM/HRバンドがようやくリリースに漕ぎつけたフルアルバム第一弾。日本人好みの歌謡テイストも香る情熱系メタルサウンドを披露。どこか懐かしい昭和スタイルや先人達から受け継いだアイデアも巧みに取り込み、見事にやり切っている。少々、やってんなぁはあるのだが、熱の籠った正統性の強いストロングスタイルと情緒のあるメロディ、そこに切り込むハイトーンとツインギターは王道中の王道。
ハイトーンもX-JAPANのTOSHI風でもあり、その筋のマニアならグッとくるでしょうね。ちょっと唄が弱いといえるのだが、それも日本人あるあるなので無問題です。
真摯に向き合ったヘヴィメタルのマナー、その純粋無垢な作り込みに深い愛を感じますが、少々小奇麗にまとまったのが残念。ダイナミックな音質が欲しかった。若いので剥き出しのギラついた野心を音に乗せてたら、より一層カッコよく仕上がったであろう。
ライブが見たいと思わせる一枚でしたね。


CRYSTAL VIPER - The Cult ★★★ (2021-03-08 16:47:03)

ポーランドが世界に誇れるガチンコ正統派HM/HRの勇者、マルタ・ガブリエル率いるバンドの最新作。衰え知らずにパワーヴォイスを主軸に、ドラマ性豊かなパワフルサウンドを披露。
純度100%のガチンコメタルのカッコよさに唸らされます。なにか特別な隠し味や必殺技はなくとも重厚なスタイルと、華やかさのある音楽性に陰りはなく、往年の大スター、フリッツ・フォン・エリックのような鉄のツメサウンドで魅了する。
地味系なんだけど一撃のインパクト、このバンドには堅実さの裏にある、メタル道を極めんとするバンドが持つ、煌びやかなスター性がある。それは女性シンガーの存在だけではない。バンドが一体となり醸し出す味わいにある。

正統派=他に例えようがない地味系バンド、そんな粗悪品も増えてきた中で、このバンドはしやかなかパワーグループ、硬質なリフワーク、そして華麗に舞い踊るストロングな声、重厚なバッキングを引き立たせるかのように流れる流麗なるソロ、どれもが無駄なく機能・これぞヘヴィメタルと呼びたくなる魅力が満載です。

長きに渡り活動してきた中で熟成された音楽性、キャッチーさや良質なメロディさえも精錬されタフネスに磨き上げたサウンドの説得力の高さ、古いアイデアを大切にしながらも古典主義では終わらせない、したたかなさに舌を巻くツボを押さえた展開の妙味。その完成度にオープニングナンバーから勝負ありと言えるでしょう。

このバンドのこと2年くらい忘れていた。前回の新譜、手元にあるのに開封してなかったぞ。ワシはアホである。


DREAM THEATER - Train of Thought (2021-03-08 16:17:52)

フェバリットではないバンド故、なぜこのバンドがヘヴィネス路線を追求したのか情報通に聴いてみた。当時、彼等はメタリカのアルバムを丸ごとカヴァーするライブなどをおこなっていて、そこで体感したヘヴィなスタイルの統一感、みたいなものに触発され、徹底的にヘヴィでダークなスタイルに軸足を置いて制作したと教わる。

なるほどなと納得したのですが、腕のあるグループだけに、何をやっても様になるのだが、今作に一番足りないものは、なんてことはない、バンドが長年培ってきた美意識である。
複雑な演奏の中に盛り込まれるポップセンス、なによりも素晴らしいのはメロディの練り上げ具合、その激しくぶつかいあう技巧の果てに流麗なメロディが嫌味なく流れてくる展開に、多くのフォロワーを生み出すインテリジェンスが垣間見えた。
今作はあえて、その手法を取らず徹底的に強度のあるモダンヘヴィネスサウンドを踏襲。メタリカのカヴァーの経験が生かされるようなスタイルになった。
あえてやらなくともよい音楽性なんだろうが2003年と言われるとしっくりくる。
ペトルーシが奏でる泣きのソロや豊かな表現曲、そういうものが薄めに仕上がったのは残念です。とくに後半3曲は、とってつけたような印象を受ける。
長い歴史の中で、あえて必要な方向性だったんだろうが、彼等のカタログの中では異質は印象が強い。


NEW YORK DOLLS - New York Dolls ★★★ (2021-03-05 19:32:32)

非常に中性的なメイク姿が目を惹くジャケット。そこに拍車を掛けるグラマラスな雰囲気が漂うポップでキャッチーなロックサウンド。音楽性だけでいけば、英国のパンク勢に多大なる影響を与えたという点には些か違う気もするが、ロックの持つ退廃的なムード、その危うさが色濃く打ち出されている今作は、このジャンルと形容しがたい魅力がありハードロックというよりはグラムロックと呼ぶに相応しい音楽性を披露している。

このバンド、2枚のフルアルバムを残し瓦解するのだが、短い間に駆け抜けた破天荒はロックンロールライフは正にパンクの先鞭をつけるという意味では大きな影響力をもっていたのだろう。

久しぶりに聴いたが若い頃よりも許容範囲がガバガバになったオジサンになってから聴くと評価が全然変わってくる。技巧的な面や完成度の高いアーティスティックなバンドが多く出てきた70年代、その反目にある胡散臭いロックサウンドの持つ妖艶なる体臭にクラクラしますね。
ギターもワイルド、唄も粗削りだがワイルド。リズムセクションも色んな意味でワイルド。めちゃくちゃポップなこともやるのに、その姿が狐の皮をかぶったなんちゃらな悪ガキテイストもあり、何とも言えないオリジナリティ溢れる魅力がある。演奏技術なんて糞喰らえな雰囲気も、こういうロックには必要なんだろう。
総じてルーズに聴かせる辺りも計算づくと思える。面白いバンドサウンドですね。このメンバーだから出せる音。そういう姿にパンクを感じますね。ヘタウマバンドの化学反応。それは恐ろしくスパークしています。

個人的には、WASPのブラッキーがバンド末期にいたという情報が一番印象に残っていたりします。


MAZERAN - Can't Stop My Dream ★★★ (2021-03-05 16:45:49)

エアロスミスの名曲Dream Onのカヴァーにも挑戦したシングル。
今作は今はなきMandrake Rootからリリースされていますね。大阪のバンドがと少々意外でしたが、オリジナルソングを聴けばレーベル的な方向性にもあう、日本人らしいメロディセンスを生かしたハードサウンドで勝負しているバンドと捉えることが出来ます。
いい意味でラフなパワーを内包した音楽性、エアロファンにとっては違うなぁとなりますが、どこか退廃的なムードを醸し出しているのが印象的です。それに聴いたことのあるフレーズを上手く取り込み再構築するセンスも日本的と言え、その細やかな配慮とセンスに光るものを感じますね。
エアロのカヴァーを聴けば一目瞭然、あとは日本人的な歌い手に対する評価が全てでしょう。場違いと思うか、これも日本人アルアルと好意的に受け止めれるかがカギになりそうですね。
ワタクシは、こういう雰囲気モノのハードサウンドが大好きですので大いに楽しみます。


TILT - Tilt Trick ★★★ (2021-03-05 14:36:08)

ガチンコ、トラベリンバンドとして有名な名古屋のHM/HRバンドのフルアルバム。ますまずエアロスミス化に拍車もかかり歌い手もスティーブン・タイラー風味も増しているが、本家のようなファンクやソウル色が薄めの為、アメリカンロックのもつ大味なテイストよりも、日本人的なキメの細やかさが目立っている。

日本のロックバンドにありがちな洋楽かぶれの底の浅いサウンドとは違い、幾戦の修羅場を乗り越えたバンドが持つ核になるものが彼等にはあった。こうして日の目を浴びた今作においても、彼等は妥協せずに自らが示してきたバンドしての道しるべになるスタイルを貫き、荒々しい演奏と、ライブで鍛え抜かれた熟成具合も程よく絡み、問答無用のロックサウンドを奏で理屈抜きに楽しませてくれる。

とは言いつつもライブバンドならではの熱気と言うか勢いみたいなものが、今作には足らず、バンドの魅力が伝わり切っていないのが残念。スリージーなハードロック系が好きな人なら楽しめる要素も大きいだけに、惜しいなぁと思います。そして根幹にあるスタイルは英国よりのブルースロックがあるというのも強みでしょうね。


KEN HENSLEY - Cold Autumn Sunday (2021-03-03 15:40:53)

のっけからボサノバありタンゴありと、前作のブルージー路線を払拭。憂いのある英国的な情緒も戻ってきました。作風としてはAOR風味の歌モノサウンド。多少なりともHEEP的なアプローチを探せるが、彼のソロ作で統一されている革新的な方法論を持ち込まない、無難な作り込みは定番の空気が漂い、刺激はないが安定感はある。
ラジオ向けの大衆性、ソフトケイスされたバラード系が大半を占める構成(私が聴けるのは頭から⑧までです)、今回は今までと違いレコーディング環境も良くなり音に深みが増しているのが良かった。

そして連続してケンのソロを聴き、いかに1stソロが偉大だったかを思い知らされた。


KEN HENSLEY - The Last Dance ★★ (2021-03-03 15:29:27)

ロシアなど局地的な地域では神様のように扱われる英国を代表するオルガン奏者。それ以外に歌もギターもできるマルチプレイヤーとしても知られ、その豊かな才能は70年代において煌めいていた。
一頃、すっかり姿を消したケン・ヘンズレーだったが、それまでの低迷期を払拭するように精力的な活動を行っていた。ライブなどでは、HEEP時代の曲を擦り倒し沢山の会場を埋め尽くす盛況、その反面、ここ数作の作風はファンの思いに応えていたのかと言う疑問符もあったが、彼がやりたいことをやればよいので問題は起きない。
今作は彼がかつてサザンロックバンドにいたことを思い出した。乾いた南部よりもブルージーな作風は、雄大な大地を想起させるスケールを誇っており、その無駄を省き徹底して方向性を絞り込んだことにより近年の作風に感じた迷いを払拭、好き嫌いは別として、まるでBON JOVIがやりそうなカントリー風味のロックをケン・ヘンズレーがやっているという印象が強い。それだけにコマーシャル性も十分に感じられる。
とは言っても、そっち方面に理解のある方がイケる話なので、ハードなものを好む方には少々地味だろう。当然、ケンがリードシンガーなので地味さ加減は半端ない。田舎道の潰れかけのドライブインの如き味わいだ。そこに共感できるかが重要。まさに絶飯グルメ旅行である。
リラックスした楽しそうな雰囲気が詰まった一枚。これもケン・ヘンズレーなのです。


KEN HENSLEY - Running Blind (2021-03-03 14:44:30)

2000年に入り動きも活発となったケン・ヘンズレー。ジョン・ロートンとのコラボも発表、手作り感満載とは言え両者が並ぶライブは見ごたえたっぷりの内容だった。しかしというか予定通り、プロジェクトは永続できず、次に手を組んだのはジョン・ウエットンだったが、これも早急に瓦解する。
何事も続かないのが問題だが、精力的な動きの中でリリースされたのが今作。まずオープニング2曲が嘘のようなイントロダクション的なインストナンバーが2曲続きます。このアイデアにちょっと笑ってしまいますが、③からエンジンも始動。それまでの路線とは明らかに違う歌をメインにしたメロディアスロックスタイルで勝負。
ジョン・ロートンのソロに近い風味も漂い、ロートンとのコラボ時代を想起させるような楽曲が続きます。A Glimpse of Gloryが厳しい内容だっただけに、焦点を絞り込んだ作風はありがたい話である。
とは言え、リードシンガーはケン・ヘンズレーである。昔ほどクリアーな声でもない、地味さとオッサン臭さに拍車のかかった力のない唄は、AOR風味の強い歌モノロックに適しているとは言えず、③④⑤と続くほど、その違和感は半端なく漂ってくる。ジョン・ロートンの声が聴こえてきそうな曲もあるし、彼が唄えば適なイメージがちらつくのが口惜しい。

アイドルの追っかけの気持ちを理解できない身としては、○○がいれば何をやっても素晴らしいという発想は一ミリもありません。⑥のようなお気楽なロックナンバーにオジサン声は全く似合いません。
それら全てを受け止められさえすればメロディ派にとっては素晴らしい作風になるでしょう。草野球の審判並みのゆるいジャッジも必要になるでしょう。

クラシカルなインストからカントリーまで、バラエティ豊かな楽曲は円熟味を増したエレガントな男の生き様が色濃く投影された今作。⑦では朴訥とした声もハマる、⑧も上手くいっている。でも専任シンガーならもっと凄いことになっている。勿体ないと思わせる場面が大きすぎる、ストリングスアレンジがハマっている⑧はもっと伸びやかな歌声で聴きたい。ケン・ヘンズレーは素晴らしい才能があり、アレンジ方法も心得ている。
しかし、ここで聴ける唄が、千鳥の漫才のネタ同様、手の込んだ料理にタルタルソースをニチャチャチャチャと同じである。漫才なら笑えるが、こちらはガチなのでツライ。


KEN HENSLEY - Blood on the highway - Blood on the Highway ★★★ (2021-03-01 19:31:08)

エモーショナルヴォイスが持ち味のヨルン・ランデ
彼の持ち味を生かしたゴスペル調のブルージーな一曲
ケンの人生を振り返るという意味のあるアルバム
そういう意味で聴けば非常に意味のあるタイトルトラック
ヨルンのディープヴォイスがグッと迫ってきますね


KEN HENSLEY - Blood on the highway - The Last Dance ★★★ (2021-03-01 19:27:05)

ヴォイスオブゴットの異名を持つグレン・ヒューズの降臨です
彼のソウルフルかつエモーションな歌声が楽曲の持ち味を遺憾なく発揮
ストリングスアレンジもがっちりとハマり
ソウル過ぎないグレンのおかげで数段素晴らしい仕上がりになりました
ケン・ヘンズレーではこういう味にはなりません
レベチですね
一番ガツーンと来て欲しいサビで突き抜けるのでオリジナルにあった糞詰まりも解消
スッキリさせてもらいました


WITCHFYNDE - Stagefright - Moon Magic ★★★ (2021-03-01 19:12:34)

ロマンですね
どこか神秘的にも聴こえます
このバンドの本質はコチラの路線なのかもと思えます
アルバムの中で一際異彩を放つ一曲


KEN HENSLEY - A Glimpse of Glory (2021-03-01 19:02:06)

久しぶりにシーンにカムバックしてきたケン・ヘンズレー、今回も沢山のゲストを迎え制作。相変わらず彼がメインでギターとヴォーカルも担当、やはり大人しくキーボードに専念することはありませんが、懐かしいMama's Prideのメンバーが楽曲を提供、&客演、④はパットが唄い⑤⑨はダニーが唄っている。④はMama's Prideの曲、⑤⑨はわかりません。
他の曲のクレジットはヘンズレーです。作風は静かな歌モノサウンドを貴重とした渋めのロックサウンド。
ケンのハモンドが暴れるなんてありません。ひたすらAORという仕様。合い間にサザン風味まで持ちこみ、とにかくハードなものを主食としてる方なら眠くなること間違いなし、HEEPファンにとっても辛いアルバムになりました。
ワタクシはアイドルの追っかけではないので、ケン・ヘンズレーなら何やっても凄いと思える耳は持っていませんので、地味な歌声と地味なギター、退屈極まりないアルバムです。
ゲストシンガーの本物の唄が素晴らしいと感じるだけ、往年のジーパン刑事殉職シーンみたいに、本気の『なんじゃこりぁ』が出ました。
と、往年の姿を期待するがあまりに文句しか出ませんでしたが、そんなことを気にしない、有名な曲のオルゴールヴァージョンとか聴いて楽しめる方や、ロックではなくスローなバラード系に癒されたい、カントリー風味も欲しい、寝る前の子守唄を探している、そんな方にはピッタリでしょう。
そしてケン・ヘンズレーと言う名義に拘らない、これが一番重要なのが虚しい。


KEN HENSLEY - Free Spirit (2021-02-28 19:29:44)

HEEPを去ったケン・ヘンズレー、何かに追われるようにリリースされたソロなのだが、これが困惑するような内容になってしまった。英国的なフォーキー路線だったゼ前2作とは路線をガラリと変えAOR調の歌モノスタイルへと舵を切っている。
特にオープニングナンバーなどディスコタッチのナンバーなので驚く、続く②も2分半と短い歌モノサウンドに驚く、ドリーミーなHEEP風味もあるが、戸惑いは隠せない。
何の予備知識もなく聴けば、これがケンのソロとは思えないような、オシャレAORロックになってしまった違和感は今もってなくならないが、イアン・ペイスが叩いている⑥はハードなスタイルをキープ、オシャレ感と枯れたギターもマッチしており、盛り返している。バラード系も機能しているが、ケンの歌声はパンチに欠け、一番出て欲しいところで苦しそうに唄ってしまう、ポップなロックナンバーの⑧などでは、彼の歌唱力不足は顕著に感じるだろう。
イングヴェイ同様、何でも自分でやりたい人なので、理解はしているのだが、勿体ないと思わせる瞬間が多く訪れる。
リズムセクション以外はケンが担当、ギターもサイドとしてはイイが、リードとなると弱い、教則本のようなフレーズも多く、アルバムの性質に大きく起因している。
ムーディーな⑨やポップロック等は、ジョン・ロートン辺りが唄えば凄い事になるのになぁと、本当に臍を嚙むアルバムですね。
全10曲、32分のランニングタイムが示すように、ラジオを始めとしたメディア展開も視野に入れた売れ線志向です、それだけに重厚なケン・ヘンズレースタイルは望めませんが、歌モノロックがイケる口ならば、楽しめる曲も多いでしょう。
そういうアルバムなのでお気楽な⑩でクローズするのですね。
これが売れたら、続編あったのかと、今となってはゾッとする思いですが、サブスクの方は気兼ねなく楽しんでください。


Inspire - Doctor - Leads to the Lights ★★★ (2021-02-26 17:21:42)

テラローザの曲を高橋喜一が唄うみたいな曲
日本人好みの様式とダークテイスト
シアトリカルな歌も機能しているといえよう
上手いバンドだったがアルバムリリースまでいけなかったのは残念


WITCHFYNDE - Stagefright ★★★ (2021-02-26 16:49:32)

92年に我が国のみでCD化されたレア盤も存在するNWOBHMバンドの2nd。活動キャリアは70年代の中頃にはありポッと出の新人ではない、それだけにマテリアルもあったのかデビュー作の同年に間髪入れずに世に出している。

オープニングナンバーこそ、オカルト神秘主義をど真ん中で受け止めているサウンドを披露しているが、その要素は徐々に薄れ、③のような軽快なロックナンバーが始めれば、事前に聴いていた話と違うぞという事で戸惑いを覚える。
その要素は、マイナスに働いておらず、サタニズムな歌詞もあるのだろうが(日本人なので英語はわかりません。勿論訛りも何十年聴いてもわかりません)全般的には英国流儀に根差したロックサウンドを踏襲、前作の流れを受け止め幅を広げてきた印象も強く、ヘヴィでダークなオカルト神秘主義に傾倒することなくバランス感覚を用いているのが面白い。

他人からの伝聞なので確証はないのだが、このバンドデビュー時、ミュージックライフ誌のレビューで、リズムもメロディもないヘヴィなバンド、みたいな評価をされたり、悪魔的な紹介をされたと聴かされた。
そういうイメージを抱く人は多く、同じような意見を他所でも聴かされたが、個人的に、そう思ったことは一度もなく、英国的な情緒をふんだんに含み、恐怖を演出するような曲もあるグループだと思っている。
重ねるが、英語の歌詞を理解できないので、音そのもので判断すると、全然怖くはない。ダークな曲調も英国流儀だろうし、70年代のJP的なエッセンスの方が強いと思っている。確かにサバス的なアプローチもあることはあるが、その影響を表に分かりやすく出しているわけでもない。
何故、当時、悪魔だ徹底的なヘヴィネスを極めたと呼ばれたのかは疑問だが、そういう見地からいけば、今作は方向性を変え大胆に攻め込んだアルバムに映るだろう。
現代的な解釈でいけば、古典英国ロックの純然たる系譜に連なる一枚以外の何物でもない。

玉石混交、百花繚乱を極めたNWOBHMムーブメント、付和雷同することなく多様性を孕んだシーンを楽しんで欲しい。百鬼夜行の如き群れを成す、多くのバンドたちの夢の跡を辿るのも面白いですよ。


SKID ROW - United World Rebellion: Chapter One - Fire Fire ★★★ (2021-02-25 13:44:01)

我らがEZOのカヴァー
そういえば同期デビューだもんなぁ
一緒にツアーも出たみたいなニュースもあった気がする
以外とハマっているのに驚いた
でも本家の方が迫力ありますよ
こうして取り上げてくれたことが嬉しい


GRAND SLAM - GOLDEN BAT - D.O.A ★★★ (2021-02-25 13:36:04)

イントロでガツーンといき
Aメロで引く展開
ヴィジュアル系から入った人にも優しい仕様です
本格派のハードサウンド
腕が確かなメンバーが色んな思いを飲み込み時代に合わせアレンジしている
その努力に☆3個献上しますよ


GRAND SLAM - GOLDEN BAT - DON'T YOU ★★ (2021-02-25 13:34:03)

派手なギターソロも決まっています
このバンドらしいアメリカンロック
バンドしての一体感がいいですね


GRAND SLAM - GOLDEN BAT - Rocklaw Living Arab (Joan Jett & the Blackhearts Cover) ★★ (2021-02-25 13:30:48)

何故タイトルが違うのだろうか?『I Love Rock N' Roll』なのは間違いないはずである
ん?この曲には他のタイトルヴァージョンがあるのか?
色んな疑問が頭をもたげますがシンガーの加藤純也が以外とハマっています


GRAND SLAM - GOLDEN BAT - ONCE MORE KISS ★★ (2021-02-25 13:25:27)

少々狙い過ぎな感はありますが
底抜けにキャッチーなメロディが耳を惹きます
歌詞もティーンエージャー向け
曲調も含めオープニングナンバー何でガツーンと来てほしかった
でも上手いことやって目先を変えている
この判断は正しい
キャッチーな掴みで徐々に始まる本格志向のロックを聴かせるという手腕は評価されるべきでしょうね


GRAND SLAM - GOLDEN BAT ★★★ (2021-02-25 13:20:57)

バンドブームの波に押し込まれたジャパニーズハードシーン、その勢いはヴィジュアル系の登場で息の根を止められたが、解散&方向性にメスが入っきた大御所たちも離散集合を繰り返す中で、結成されたのがコチラ、44マグナムにリアクション、プレゼンス、メイクアップの4バンドから集合。特にメインソングライターを担当した44マグナムの吉川は曲作りの上手さに定評があり、彼が主軸のバンドとして活動するのであれば、どういう方向に向かうのか興味もありました。
2曲目のジョーン・ジェットがやった『I Love Rock N' Roll』をカヴァーしたりと、4曲の中にメッセージを込め、端的に魅力を詰め込んできた。
メロディアスでキャッチーなジャパニーズアメリカンロックの①はファンの間では大切な曲らしい、③は明るくアメリカンと、このバンドの本流となる一曲。そして直線的に迫るハードサウンドの④、これもワビサビを大切にした展開を持ち込み、ブアッーと突っ込んでくるだけではない。このバンドらしさを盛り込んでいる。
バンドブームに刃を立てたベテラン組の逆襲、彼等はその先陣を切っていった。


ASTLLA - Brain? No', No'! Know!? ★★★ (2021-02-25 13:01:55)

京都を拠点に活動していたド派手なルックスが話題のバンドだった。今作のリリースは1989年、ヴィジュアル系ブームが勃発していた時期だけに、また新手が現れたぞである。
ジャケットを眺め、右二人のインパクトは絶大だ(左端だけ抵抗)カラフルに染め上げたロン毛を逆立て(スプレー何本使ってるの?)フロンガス満載の楽屋に環境団体も訴えてきそうだが、衣装がハッピなのか振袖なのかよくわからないが、ド派手なセンスの悪い着物を羽織り活動しているらしい(左端はどうなっている?)
このインパクト大なヴィジュアルとリリース時期、聴く前にOUTな状況でしたが、聴かせてもらうと評価が一変。あのハッタリを噛ませまくり収集が付かなくなった、和柄を取り入れたハイブリットヴィジュアルが、どう考えても無駄にしか感じない本格派のサウンドを披露。
アメリカンな軽快なメロディもあるが、根幹にあるのは芯の太い本格派のハードサウンド、あまりの本格派志向のスタイルに騙された感がハンパない。
X-JAPANに続けとデビューしたバンドの中では、1、2を争う本物のロックを引っ提げていた。
インディーズと割り引いてもワイルドかつソリッドなリズムプレイは本格派志向に拍車を掛け、ギターも日本人的なきめ細やかさがあり、フレーズを大切にしている。そして主役たるフロントマンの歌声が素晴らしい。
こういったロックを唄うなら、これくらいはやってもらわないと、と言いたくなる歌心を大切にした歌唱スタイルを披露。本格志向のハードサウンドに真っ向勝負しても負けない実力を誇っている。
手数も多くド派手なドラムに負けない存在感。なんであの服装なのだと首を傾げる。
ヴィジュアル系ファンにとっては本格的すぎる音だろうし、音楽に対して真摯に向き合っている人には、TOO MUCH過ぎるだろうと呆れるでしょうね。
魅力を感じない和装風味(京都出身だからか?)にげんなりさせられるが、哀愁系アメリカンロックは魅力十分。日本人の口に合うワビサビが随所にねじ込まれていますからね。テクニックもルックスに負けない華やかさがあり、誰がどのパートを演奏してるかジャケを見ても分かりませんが(多分着物羽織ってないやつがドラムかな?)、EARTSHAKERや44マグナムの哀愁系ハードポップ路線や、ELIZAのようなバットボーイズ風味も加味したメロディアスHM/HRが好きな人なら楽しめるでしょう。日本人向けの爽やかハードエッジアメリカンである。


MOX NIX - Mox Nix ★★★ (2021-02-24 17:26:01)

テキサスが生んだ幻のパワーメタルバンドのデビュー作。マニアの間では名盤中の名盤として愛されていた一品。それがボートラ大増量プラスで復刻するとは思いもよらなかった。
オリジナルはフランスのレーベルAxe Killer Recordsこらリリースと、アメリカのバンドが何故、フランスのレーベルに目をつけられたのか?それは出している音を聴けば一目瞭然。情熱的なエモーションを込めたパワーメタルサウンドは無駄な贅肉を切り落とし徹底的にシェイプ、敵軍を蹴散らす重戦車の如き豪快なサウンドはデビュー作とは思えない完成度を誇っています。
今作のみで消えた為に無名のまま終わってしまったバンド。これほどのクオリティを保持しながら、何故、次がなかったのか知る由もないが、Y&TがNWOBHM化したようなスタイルの音楽性は、実に力が漲っており、重心低くド迫力で迫るリズムプレイの豪胆さに舌を巻き、コンパクトながら派手なプレイで魅了する二本のギターは無駄なく機能、唄も熱いサウンドに応えるように、沸々と燃え盛る炎のような熱きパッションを内包している。突き抜けるタイプじゃないのもNWOBHM化に拍車を掛けているのがポイント。

昨今のシーンから登場することのないピュアなパワーメタルサウンド。手垢が付いてないのが素晴らしい。この時代ならではの貴重な一枚だろう。本当に惜しいバンドだった。これで2、3枚とリリースしていたら、もっと一体感も熟成され、さぞや素晴らしいアルバムをリリースしていたろう。初めて聴いた、あの時の感動は今なお色あせません。


WRATH - Fit of Anger ★★★ (2021-02-23 22:01:48)

いきなりメイデンよろしくなオープニングナンバーが登場、その手の正統派HM/HRサウンドを墓標とするバンドなのかと思ったら、いい意味で裏切ってきます。スラッシーな刻みが耳を惹くスピードナンバーに、力技でねじ伏せるミドルナンバーありと、楽曲は多様性に満ちており、もう少しバランスの良い音質なら、このバンドの魅力は更なる強度とダイナミズムをもって聴き手を圧倒していたでしょう。
唄い切れていないシンガーも問題だが、全ては分離の悪い音質が足を引っ張っている。実に残念です。
そういうマイナーメタルあるあるを受け入れれるマニアなら無問題、無頼なコンクリートメタルに、情熱的な情緒も盛り込み独自性をアピール、荒削りな面さえも味方につけ勢いのみならず、説得力のあるアイデアで魅了できるのが最大の聴きどころだろう。
猛るヘヴィメタルのうねり、眼光鋭く威嚇する本格派のサウンドは今なお引き付ける魅力がありますね。


PRIMAL FEAR - Black Sun ★★ (2021-02-23 21:52:12)

移り変わる時代の中で、彼等は変わることのない価値観を用いてゴクゴク当たり前のことを懸命にやり切っている。ある意味、時代錯誤感のある正統性の強いスタイルを武器に一点突破ともいうべき姿勢を披露。ファンにとっては実に頼もしい存在でしょう。
このグループには最大の問題がある、それはあからさまなアイデアの流用。流石に4枚目となると、もう少し創意工夫をと思うのだが、この時代に、このスタイルを築いたことを称賛するべきであろう。
ダイナミックなリズムプレイとアイデア豊富なキレのあるギター、ザクザクと刻まれるリフもゴン太、それでありながらも時代性を加味した音作りを行い、古さに埋没しないフレッシュ感がある。それだけにデジャブ感を減らせば、もっと高い評価を受けるでしょうね。
印象的なリフ、スリリングなソロ、メロディアスなフレージングと旨味はありますよ。


CHILDREN OF BODOM - Hate Crew Deathroll ★★ (2021-02-21 21:00:53)

ハルフォードの前座で見たくらいの超ライトリスナーですが、ただで聴けますのでなんでも手を出します。こうして先日までまともに聴かなかった今作ですが、驚くくらいに鮮度の高い音楽性を披露しています。
もっとマイナーでクサ目のメロディを放り込んでいた印象があったのですが、実に現代的で洗練された音楽性を披露。マイナー臭を幾度感じさせないが泣かせのメロディが満載。ギターテクニックも素晴らしいし、デスヴォイスも上手くメロディに乗せ機能させている。個人的には、こうなると普通に唄えばいいのにと思うのでハマらないのだが、そういう不満を押さえ込むだけの曲作りの上手さが全面に出ており、勢いのある演奏とテクニックに埋没しないがテクニカルと言う演奏技術で酔わせているも見逃せません。
この手のバンドにありがちな泣け泣け泣けのメロディ主導ではなく、リフワークが美味しいのも個人的には良かった。
2004年と言う時代背景を飲み込み、ワールドワイドなサウンドに変換した今作。泣かせを抑え手にしたのは、ソリッドなアグレッション、彼等が向かう知はアメリカと言う事のなのでしょうね。
だってメチャクチャおしゃれなヘヴィロックになっていますからね。リズムセクションの作り方など恥ずかしいくらい時代を意識しています。
新しいメタルの登場だなぁという事を思い出しましたね。個人を偲んでご冥福をお祈りいたします。


AUTOGRAPH - Get Off Your Ass! ★★★ (2021-02-21 20:38:44)

知らないうちに復活していたアメリカンロックの健康的な面をフォローしていた堅実派のロックバンドの復活作。
シンガーのスティーヴ・プランケットは不在だが、ギターのスティーヴ・リンチとベースのランディ・ランドは健在、ソングライティング面において重要なリンチがいれば問題は起きないでしょう。

今作は80年代に披露したキーボードを前面に出した煌びやかで爽快なアメリカンロックは封印、もともと派手さの奥にある堅実さ、その職人気質の曲作りの上手さに定評のあったバンドだけに、ここで聴ける落ち着き払ったブルージーなメロディアスロック路線に違和感はない。
勿論、往年の姿を期待すれば大外しとなるが、何を求めるかで評価を大いに変わるでしょうね。
この時代に復活する意味のあるスタイルでの帰還、新たにフロントを飾るサイモン・ダニエルズはブルージーだ。音楽性ありきだったのか?彼に合わせたのかは分からないが、今作の方向性にはピッタリと言えよう。

今作の充実したものにしたのがギターの上手さ、瑞々しいメロディを技巧的なスタイルを用いり構築、そして分厚目のコーラスを効果的に使い、バンドの本分とも言える聴かせるハードサウンドを確立したといえますね。
とにかく往年のファンは勿論だが、新規さんにも優しい下地のしっかりとした音楽性を披露している。ビジネスの元、振り回されていた80年代、ここに雑念はないと思っている。それだけで十分な気がする。
じっくりと耳を傾けたくなる、古くて新しい鮮度のある音楽を楽しめます。


BRAD GILLIS - Gilrock Ranch ★★ (2021-02-20 17:09:58)

NIGHT RANGERのギタリストとして有名なブラッド・ギルズが多くの仲間を迎えリリースされたソロアルバム。歌モノは2曲、いずれもグレッグ・オールマンが担当するという贅沢な仕様、キーボードにディレク・シュリニアンも参加、半数以上の曲でブラッドと共作と、興味を引く情報も多く、その期待にそうような勢いのある作風に仕上げている作品。

フュージョンありブルースありと多様性を網羅、飽きさせぬ工夫もあるし、曲も悪くない。ブラット印も満載。いい意味でも悪い意味でもブラットである。ある意味、目新しさのない、ありがちなギタリストのソロアルバムに落ち着いている。
③のようなスリルのある展開も今となっては、デレクのアイデアが強めなんだろうなと感じたりと、決定打になるような曲が見当たらないのも、なんともブラットらしいといえばらしいのだが、テクニックで酔わせるギタリストも多い中で、ブラットは何で喜ばせたいのかが伝わりづらいのが難点。もっとギター多めでも良い。我を剥き出しにいつものようにパンチインしまくりで良いのでガンガンやればよかった。

なんて不満がつい口をついて出るのも彼がギターヒーローとして注目された時代があったという事です。後半もう一発、リーダートラックなるようなインパクトのある曲が欲しかったなぁ。


VARDIS - Vigilante ★★★ (2021-02-19 18:07:04)

このアルバムがリリースされた時にバンドはどういう状況にあったのか?1986年に歩みを止めた為に、彼等にとっては前作から4年ぶりにリリースしたラストアルバムとなるわけで。そういう背景に一抹の不安を覚えるのですが、①②と聴き、その問題は杞憂となりました。
英国流儀のハードブギーを引っ提げ、彼等は真っ向勝負でシーンに切り込んでいます。そりゃ多少は音楽性を広げていますが、そんな面倒なことを挟む余地もないほど、勢いのあるビックロックを披露しており、ハードブギーサウンドに磨きをかけています。中々、日本では受けないスタイルの音楽性ではありますが、三丁の拳銃が心地よくぶっ放される、痛快活劇のような爽快感に身を委ね、お気楽に楽しんでもらいたいですね。

久びりに聴きましたが器用さを身に着け1986年と言う時代に挑んだんだなぁ。それが仇となって解散したのかな?なんて勝手の妄想して喜んでいます。


WITCHFYNDE - Give 'em Hell ★★ (2021-02-19 17:37:29)

92年に待望の国内盤がリリースされた時の帯び叩きが凄かった。徹底的なサタニズムを追求する、みたいな煽りが大げさだったなぁと思いだします。
そういうイメージが先行するがあまり、NWOBHMムーブメントに乗ってデビューをしたバンドは、ジャケットもドンピシャにハマる仕様であった為に、聴く前から音楽性が決めつけられていた印象が強い。
歌詞など悪魔的なエッセンスも強めなのかも知れないが、英語がサッパリなワタクシには、音そのものでイメージを掴む傾向があるために、このバンドから幾度サタニズムなる音楽性をイメージしない。確かに⑥みたいな曲はあるが、アルバムを通して聴けば⑥は異質に感じる。
このバンドはもっと純度の高い伝統的な英国ロックの系譜に連なるバンドである、ダークな70年代スタイルとハードロックテイストはJP仕込みとも言えるし、サバス的な匂いは少ない。激しいシャウトもダイナミックなヘヴィグルーブも登場しない実にオーセンティックなサウンドです。

この1stはNWOBHM史に残る名盤としばし名前を上げられる機会も多いのだが、個人的には、多様性のあるNWOBHM群の一つとの印象も強く(3枚目から入り一番最後に聴いたアルバムになるのも影響しているかも)、メイデンはおろか、エンジェル・ウィッチやTOPの方が影響力は強いだろうし、SAMSONと同じくらい玄人向けの地味系バンドだと思っている。

なぜ、あの仰々しいサタニズムの追求なる帯びたたきに至ったのかは、音だけでは判断できないが、そういうイメージを持ってバンドの個性を出そうとしたのは間違いない。
ある意味、先行しすぎたイメージで最も損をしたバンドだと思っている。


WYTCHFYNDE - The Awakening ★★★ (2021-02-18 20:29:48)

Witchfyndeの3枚目と4枚目で唄っていたルーサー・ベルツがシンガーを務めるバンド。名前がクリソツなんで参加メンバーもWitchfyndeから二人という事で、猛烈なバッタもん感が漂いますが音楽性は名に恥じぬ正調ブリティッシュメタルを披露。正にNWOBHM降臨と言った内容にマニアならグッと惹き寄せられるでしょう。
本家も同時期に再始動していただけに、ややこしい事は間違いないのですが、リフ、リズムと屈強なサウンドを構築、そこに流れる英国的な情緒と哀愁、その相反する魅力がスクラムを組み、一点突破で攻めてくるのだからマニアならずとも腰を上げたくなるでしょう。
ミステリアスな空気を上手く引き継ぎ、より80年代的メタルスタイルで昇華したサウンドは、当時よりも勢いがありNWOBHM出身としての真骨頂とも言うべき魅力を発散、Ghost Dancerなどは弾けるリフと親しみやすいメロディ、軽やかに走るがリズムはバキバキ系、もっと深みのあるミックスの方が好みだが、呪文みたいなコーラスも出てきたりと、このバンドらしいオカルトテイストも盛り込み、目新しい魅力がある。その合間に古典的メタルをガッツリとやり込む、JP仕込みの王道路線を支持する方なら大いに楽しんでもらえるでしょう。
結局、このバンドはこれ一枚で終わり、活動も短命。そしてシンガーのルーサーは、現在Witchfyndeに戻っているのですから、何とも言えないですよね。


Mein Kampf - Deathrash Metal Never Die!! ★★★ (2021-02-16 13:23:12)

一部のスピード狂の間では幻の国産バントと呼ばれるグループの復活作。このバンドが母体となりAIONが結成されていますので、そちらのマニアも無視できないバンドです。1986年にEPは出していますが、ブートレック感覚の録りぱなしライブ音源が聴けるとは驚きです。
参加メンバーはリズム隊とギターのKERRY氏の名前があり、主役と言えるIZUMI氏はいませんが、サポートに鋼刺狼なる人物が参加。シンガーにHisayoshiの名前が、IZUMIとは犬猿の仲だと思っているのでなんだか微妙な空気を感じます。

懐かしい名前をだし懐かしい曲を収録とマニアを歓喜させる作風ではありますが、ラフなライブ盤だし、これを商品にして良いのかと思ったりすのですが、AIONの母体&原曲的なものを楽しめる構成、多少ラインナップに引っ掛かりはあれど、半分以上のメンバーが関わっているので問題なしでいきましょう。

頭を空っぽに、この勢い重視の破壊的なパワーと内包した様式のあるスピードメタルを楽しんでいます。
でも、全9曲で、現ラインナップのライブは6曲目まで、7曲目からはIZUMIとREDがいた昔の音源が聴けるという仕様。ある意味、これが一番の目玉でしょう。勝手に権利の関係とか気になるのですが、できる事ならば正式な音源が聴きたいと思いました。
それにしても昔からスピードに特化したアグレッシブなメタルをやっていたんだんぁ。もっと多くの人に知ってもらいたいですね。スピード狂ならば是非ともチャレンジして欲しいバンドでした。


THE DEAD DAISIES - Holy Ground ★★★ (2021-02-14 16:18:33)

オーストラリアに住む金持ちのオッサンのボンボンが大人になってから結成されたグループみたいな、偏見を持っていたために活動していたが、どんなバンドかはあまり知らなかった。それでも、結構なミュージシャンが参加しているので簡単なチェックは済ませるも、これまた実体があるのかないのかな感覚をもってしまい無視していた。

それがだ、今作にあのグレン・ヒューズが参加ときている。骨太な古典ロックにジョン・コラビの唄が乗っていたバンドから一転、我らがヴォイスオブロックの参戦である。
この音にグレンが合わないわけがない。ソロのようにイニシアチブを握り中途半端なソウルを持ち込まなければ、彼の声は正に神の領域、豪華なメンバーも、今まではどこか割の良い仕事感が漂っていたが、今回はグレンの加入によりバンドに箔が付いた。これは間違いない。同じ寄せ集めでもオジーの最新作に、ネームバリューで選ばれたダフ・マッケンガイ&チャド・スミスのような違和感は全くなく。

ここにはバンドとしての濃密なケミストリーの発生、理にかなったグレンの選出によって強固なサウンドを手に入れたといえよう。
ダグはレスポールを揺らし骨太なギターサウンドを構築、その一音に込められたエモーションと荒々しいアグレッションは、感情を爆発させるかのように強烈なインパクトを放っている。
重厚感たっぷりのタメを効かせたドラムの凄み、ディーンのリズム感の良さはグレンの持つファンキーさと相性抜群、名前だけで選ばれたわけではないミュージシャンシップ、このリズムセクションに宿るマジックに興奮します。
相変わらず独特の音をならずグレンのゴン太ベースのグルーブ感に酔いながら、衰えたとは言え、ここまで歌い上げる、グレンの天賦の喉に驚嘆あるのみ、凄いフィーリングが宿った現代的古典ロックが再興されています。

単にテクノロジーに頼っただけのベテランによる古典ロックがトレンドになりつつある中で、彼等は生身の人間が鳴らすグルーブを前面に押し出し魂を乗せかき鳴らしている。

ここに手抜きはない、全力でロックをやっている、その姿に胸が焦がれますね。主役と言えるグレンの参加、それを実現させたデヴィッド・ローウィーには土下座しないといけません。本当にごめんね、金持ちの道楽とバカにしていてね。

グレン・ヒューズの歴史的にも重要なアルバムになりそうです。それくらいバンド感が出ている。皆がスポットライトを浴びている。そういう一体感もまた素晴らしい。


WITCHFYNDE - Stagefright - In the Stars ★★★ (2021-02-13 18:05:25)

1stが出る前にシングル盤としてリリースされている一曲
爽快感もあるが
どんよりとした英国風味も出ている
このバンドらしい味わいがある
ポップでキャッチーなのに
根暗なアングラ臭こそ英国だと思うマニアならグッとくるでしょうね


POSSESSED STEEL - Possessed Steel ★★ (2021-02-13 17:57:15)

カナダはトロント出身の4人組からなるエピカルなムード漂う正統派HM/HRバンドが2014年にリリースした4曲入りのEP。むせ返るような濃密な空気感を漂わせる重厚なサウンド、パワフルかつスピーディーに展開する様も魅せており4曲でも十分にやりたいことを伝えている。
ユニコーンジャケやバルハラというタイトル曲もあるように、北欧神話的なニュアンスも取り込み、勇壮なエピックサウンドとの親和性も高くコンセプトを機能させている。
ドゥーミーな暗黒成分もあるが、勇猛果敢なファンタジー色も強く滲み出ており、どこかホラーテイスト漂うスタイルには欧州とは違う切れ味をあったりと、アメリカのOMENに通ずるようなガチムチのパワーメタルに、MANILLA ROAD的展開を持ち込み、両方の個性を磨き上げることで、自分達流のスタイルへと築き上げたような印象を受ける。
ありそうで、あまりないスタイル。その古典ロックに根差したサウンドは強烈なエネルギーを発散、高い整合性と先人たちから受け継いだアイデアを無理なく取り込みやり切っている。どこかぶっきらぼうに聴こえる歌も好みを分けそうだが、こういうスタイルの中では機能していると言えよう。


WITCHFYNDE - Lords of Sin / Anthems ★★★ (2021-02-12 18:22:58)

4枚目のアルバムは我らがMausoleum Recordsからリリースとなりました。恐ろしいジャケットに三匹のオッサンもたじろぎますが、サウンドの方は前作の流れを組むポップな方向性を支持、このバンドらしいオカルトテイストもあることあるが、厳つめのスタイルではなくメロディアスな方向性に傾いている。
強度のあるリフやパワフルさも顔を覗かせるも、どこか中途半端と思わせるスタイルになっているのが残念。良く聴けばバランス感覚に気を使い聴かせる姿勢を取っているだけに、余計にそう思ってしまいます。
仕掛けはあるが妙な明るさがあるオープニングナンバーあたりも、サタニカルなサウンドを期待するとなんか違うになる、その釈然としない思いが全体を包み込み、②などメロディアスかつどんよりメロディが疾走する名曲が登場しても、中途半端さを覆せていないのが惜しいですね。
アルバムは総じて悪くない。メタル界でも語り継がれる最恐ジャケが逆に損していると思いますが、初期のスタイルを上手く変換させたメジャー流、サタニックサウンドの確立に着手した意欲作。スピーディーなナンバーも爽やかすぎるんだよなぁ。怖さ半減の中途半端なホラー映画を見せられた気分になったのは痛かった。
それでも嫌いになれない魅力が今作にはあります。耳が勝手に探しに行くんですよね。良い部分をね。
そういう年季の入ったサウンドを持つブランド力がNWOBHM勢にはありますよ。


THRUST - Fist Held High ★★★ (2021-02-12 18:04:15)

シカゴからやってきたツインギター編成5人組がMetal Blade Recordsからリリースした1st。いかにもアングラUSメタルな空気が充満したパワー/スピードHM/HRを披露。その無骨な電車道サウンドの濃厚さに耐性の無い方なら消化不良を起こしそうですが、マニアにとっては、その不愛想さが最大の魅力。ドッカンバッカンと打ち鳴らさられる力瘤メタルにノックダウン必死。意外と派手目の技も披露したりしますが、サウンドその物が巨漢外国人レスラーが、骨付き肉に齧り付く昼飯風景みたいなものなので、どうでも良くなってきます。
とにかく、このバカバカしまでに力強く打ち鳴らされるパワフルメタルに押しつぶされます。この愛想の無さに拍車を掛けるのがロン・キールタイプの一本調子のシンガー、良くも悪くも彼が音楽性を決めているような雰囲気もあったりと、アングラUSメタルの世界観を濃厚スープに仕立てている。
ダイナミズムと爆裂ドライヴィングメタルが放つ膨大なエネルギー量、帰りの燃料など積み込んでいない、片道切符サウンドの持つ眩いばかりの輝きに、懐かしい時代の風景が蘇ります。
売れる売れないとは関係ない純粋なロックに対する高潔なる姿勢。1984年には、まだ通用するスタイルであった。
久びりに聴きましたが疲れました。途中で一旦休憩です。それでも最後まで付き合わなければ、俺は裏切り者だと思わせる魅力がある。嫌いになれない、最強のバカメタルである。


BLUE CHEER - The Beast Is Back ★★★ (2021-02-10 16:29:43)

野獣が帰って来たぜ、みたいなタイトルもカッコいいね。USハードサウンドの始祖的な元祖○○バンドと崇められる伝説のロックバンドが復活したのですが、半分は昔のリメイクという仕様になっており復活作と呼ぶには微妙な空気も流れるのだが、彼等と言えばな②も再録されたりと、往年のファンも新規さんも迎え撃つ準備は出来ているといいそうな空気は充満している。
個人的には初期のガレージ臭溢れるハードサウンドが好きだった、それだけに少々80年代仕様にはなっている今作は物足りなさがある。それでも、テクノロジーに頼り切らない生々しいサウンドメイクは、彼等のヒリつく研ぎ澄まされた剥き出しの感性を伝えるには十分な魅力も感じたりと、楽しめる要素もある。
何を期待するかで評価も分かれそうだが、ブルースベースの唸りを上げるハードサウンドの凄み、野獣が帰って来たに相応しい轟音サウンドは復権したようだ。
個人的にはリリース時よりも、今の方がグッと楽しんでいますね。大人になって色んなもんを汲み取れるようになったんだなぁ。


RUNNING WILD - Crossing the Blades ★★ (2021-02-10 16:15:12)

19年にリリースされた4曲入りのEP。もはや定番と化しているサウンドだが、今作もお馴染みのロルフ節が満載。KISSのカヴァーもやっているが、強固に支えられる岩盤層とも呼ぶべき信者向けの作風である。
そこに疑いがなければ傑作となるであろうが、なんか聴いたことあるぞ等など、疑問を挟めばついていけなくなるのが最近のロルフ節でしたが、リズムセクションも新たに加わり最近のプログラミング主導と離れたため、強靭なロックサウンドが戻ってきたと思える。
そういう意味では新鮮味をあるが、このバンドに変革など求めるマニアは少ないと思いますので概ね大いに楽しめる仕様でしょう。カヴァーも含め毎度おなじみのサウンドが目詰まりを起こすことなく溢れんばかりに熱演されています。

2018年に行われたWackenのステージを駆け回る彼等を見ていれば活動は安泰でしょう。
本国とは言えドイツではあんなに人気あっただなぁ。コロナの影響もあるのか、フルアルバムをリリースする予定だったランニングワイルド。これなら期待できる作風になるかと思いますよ。


WITCHFYNDE - Cloak & Dagger - Cry Wolf ★★★ (2021-02-09 18:49:16)

リッチーブラックモアも取り上げた
エドワード・グリークの有名な曲を取り上げています
このバンドの音楽性とも合致しており
この試みは成功していると言えよう


WITCHFYNDE - Cloak & Dagger ★★★ (2021-02-09 18:40:11)

ワタクシのWITHCHFYNDE初体験はシンガーがルーサー・ベルツに交代した今作でした。
悪魔的な禍々しいジャケと勝負の3枚目、それが理由で友人から借りたのだが、その時は既に4枚目のリリースしており、彼等の代表作は1stだというアドバイスも頂いたのですが、ここは先入観無しでいきたいのでファーストインプレッションでいきましたよ。
どこかオカルトテイストの漂う神秘的なサウンド、その手のロックとは親和性の高い湿り気のある伝統的英国ロックの響きが心地よく共鳴。NWOBHMということで、もっと荒々しい厳ついサウンドを想像していたのですが、思いのほかポップフィーリングを生かしており音楽性の懐は深い。
シンガーもハルフォード+キングダイアモンドな高低を生かしたシアトリカルな歌声を披露し、このサタニカルなホラーサウンドを演出している。
バックのメンバーに陰りは見えない、自らが進むべき方法論を踏み外すことなく音楽性を広げているアイデアは非難されるようなものではないだろう。
しかし、暗黒成分が薄まったという意見を無視することは出来ませんので、その辺りが評価を大きく分けるでしょうね。

個人的には、初めてのWITCHFYNDEなんで思い入れが強く大好きな一枚なのだが、この煮え切らない湿度の高いメロディと、ダークテイストは初期型JPに通ずるものも多くあり、ミドルテンポ多めのじっくり聴かせるサウンドは即効性は低いが聴き込ませる味わいはあると思いますよ。
入門編とは行きませんが、伝統的な英国ハードサウンドの系譜に連なる一枚であることは間違いありません。