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JOE STUMP - Guitar Dominance ★★★ (2020-07-02 17:28:44)

ガスGの師匠と知られ、最近ではグラハムボネットバンド改め新生アルカトラスとして動き出したグラハムの右腕に抜擢された苦労人ギタリスト、ジョー・スタンプのソロアルバム。リリースは1993年、レーベルはチャステイン総帥率いるリバイアサンときていますからね、もう聴かずともネオクラ臭が漂いますが、ジョーの奏でるクラシカルサウンドは、攻撃性も高くパワー漲る勢いも感じられ、本家とは違うニュアンスで勝負。シュラプネルタイプではあるが、あちらのレーベルとも違ったアプローチをとっているなぁと感じさせるのがポイント。
少々、粗いサウンドメイクだが、それが逆に生っぽさを演出。ジョーの野心に溢れたギタープレイはギラギラと輝き、全てを飲み込んでいきます。
今聴いても古さを感じさせないのは、ラフな感触にしたおかげだと思うのだが、やはり頭ではなく体で感じさせる圧倒的な技術と簡潔なスタイルに基づいて攻めてきたからだと思います。
甘さを排除したパワープレイとクラシカルフレーバーは、往年のロードウォーリアーズのように巧みなコンビネーションプレイで、聴き手を魅了するでしょう。やはり音楽は楽しませてくれないとね。
自己陶酔ではないパンチの効いたネオクラインストアルバム。ありそうでなかったスタイルに着手した演者側の勝ちでしょう。


BORISLAV MITIC - Borislav Mitic ★★★ (2020-06-30 13:33:42)

2000年を目前に突如現れた東欧圏出身のネオクラ系ギタリストのオールインストアルバム。我らがシュラプネルからのリリースだが、時代が悪く幾度話題に上ることなどなかった。
ここで聴けるのは、いかにもヨーロピアン調のマイナーメロディ、そこに優美に舞い踊るクラシカルテイストも盛り込み、これぞフーガロックと言いたくなるサウンドを披露。
これといった最新のギタープレイなどないのだが、お国柄とも言えるもの悲しい音色から醸し出される味わい、そして滑らかな運指から弾き出される、繊細かつ情熱的なプレイ、その独特の間合いから繰り出されるメロディアスなフーガサウンドは、ダイナミックに展開することで、メタルらしいソリッド感も併せ持ち、普遍的な魅力を発散している。

インストアルバムしかリリースしていないために、今一つ認知度を上げられないのだが、知的なエッセンス溢れるクラシカルサウンドが好きな方なら、耳を存分に楽しませてくれるでしょう。
この手のギタリストにありがちな、まるでアイツじゃないかじゃない技巧を見せてくれますので。


STRANA OFFICINA - Rock & Roll Prisoners ★★★ (2020-06-27 18:03:47)

70年代から活動するイタリアの古参バンド。当国のメタルシーンを語る上では外せないバンドとマニアから言われているが1stリリースまで10年以上の時間を要している苦労人バンドでもある。
ファビオとアンドレアのカッパネラ兄弟を中心にバンドは動いているが、10年の活動期間を総括するような内容に感じる。良くも悪くもバラエティ豊かという印象、本格派の①の次にキーボードも目立つキャッチーな②、そしてスピードナンバーの③ときて、メロウな④、いずれもギターが弾きすぎだと感じるくらいソロを弾き倒す印象、どっちつかずな楽曲の狭間をメチャクチャに切りまくるが如き大暴れだ。
⑤はゆったりとしたリズムの古典ブギーロックと、とにかくバラエティに富んでいる。そしてシンガーの歌い方も、定まっておらず、噛み合った瞬間と、そうでない場面が交互に訪れたりと、のらりくらりな印象を強く受けてしまう。
メジャー流通の、安定した作品に慣れ親しんでいるユーザーには、進めることなど憚られるのだが、これが愛すべきB級マニアにとっては無問題です。
長いキャリアから選抜されたと思わせる、多種多様な楽曲。重さよりも軽快さ、そして欧州由来の叙情味たっぷりのメロディ、楽曲によってはゲストキーボードも存分に生かし、その多彩な空間演出を施し工夫を凝らしている。
とにかくごった煮感が上手く昇華されており、そのやりたいことが多すぎで渋滞気味のたどたどしい展開すらも味方につけ、突貫工事ドラマを見せてくれる。力業なはずなのに華麗に駆け出すのだからた予想外です。
マニア筋からは熱列な評価を受ける、華やかな80年代を迎え撃つ、イタリアンメタルの隠れた名盤。オジサンの耳に丁度良いハードサウンドでおもてなししてくれました。

棚の整理をして久しぶりに出会った一枚。完全に記憶から抜けていたな。こういう出会いは定額性サービスじゃおきないもんなぁ。


MARTYR - For the Universe - Speed of Samurai ★★★ (2020-06-23 13:58:36)

For the Universe直訳するなら宇宙の為に
そのイントロから続くのはスピードサムライ
良く意味が分からないのだが曲は無茶苦茶カッコいい
キレのあるスピード
場面展開も巧みに盛り込み
一筋縄ではいかないぞとサムライストーリーを盛り上げます
ジャケットに映る男が宇宙サムライならジェダイマスターってところか?


MARTYR - For the Universe - The Awakening ★★★ (2020-06-23 13:55:06)

ドラマティックな展開を盛り込んだアルバムの楔となる濃厚な一曲
メイデン+キングダイアモンドといった趣がオランダ的とも言えるのだろう


MARTYR - For the Universe ★★★ (2020-06-23 13:53:22)

オランダ産パワー/スピードHM/HR系バンドの1st。冒頭のSEから切り込んでくるのは名曲②、そこでテンションアップも、次はインストナンバーって展開は、少々肩透かし感が滲み出るのだが、曲そのものはシャープな切れ味を伴いスリリングに進んでいくのだが、やはり、どこか水を差されたなぁと感じてしまいます。

スピーディーなプレイからはNWOBHMの影響も大、そこにメイデン大好きと言わんばかりにアタッキーなベースも飛び出し、曲構成からもメイデン印を感じさせる。今となっては貴重なスタイルのバンドだけに、こういうピュアな感性に彩られた欧州型の情緒あふれるスピードメタルの旨味を、若い人にこそ味わってもらいたい。

暗く湿ったダークテイストの切れ味、そのマイナー調のメロディは、どこか切迫感があり、じんわりと肌に汗がにじんでくる。ヘヴィネスさや重々しいグルーブよりも、スピード感に比重を置いたのも正解だろう。そのおかげで何を聴かせたいのかが明確に伝わってきた。NWOBHM直系、メイデンスタイルのマイナーサウンドは、古き良き80年代テイスト満載です。


VETO - Veto ★★★ (2020-06-23 13:32:45)

ツインギター編成5人組のジャーマンメタルバンドが1986年にリリースした1st。
欧州由来の叙情的なフレーズがシャープに切れ込んでくるパワフルなサウンドが魅力のバンド。軽めの音質&たどたどしい演奏、とくにリズムのドタバタ感に拒否権発動したくなるのだが、攻撃性のみならず、クラシカルテイストもぶっこんできたりとアイデアも豊富、先人たちからの影響も素直に表現する術を持っており、そのアイデアがガチンとハマったときの威力は相当な破壊力があり、色んな欠点に目を瞑り楽しみたくなるから不思議だ。
日頃、メジャー流通のキチンとした商品と向き合っている方には、少々敷居が高いかもしれないが、メタル愛溢れるマニア諸氏ならば、血沸き肉躍る高揚感とメタル特有のコンパクトなドラマ性を大いに楽しんでもらるでしょう。
最高に下手くそだなぁと罵りたくなるパートと、カッコいいーと唸りたくなるパートを同時に楽しめるのも、こういうバンドあるある。この苦しそうなハイトーンヴォーカルも込みで楽しんでもらいたい。


ANVIL - Legal at Last ★★★ (2020-06-21 16:36:22)

近年はコンスタントにアルバムをリリースするカナダの重鎮。レーベルもドイツのAFMに移籍となり、若干、危惧するものもあったが(元気いっぱいのアニソンメタルみたなものをリリースする傾向にあるのがAFM)徹頭徹尾貫かれるのは、ANVIL流のヘヴィメタルサウンドを真っすぐに披露。少々枯れ気味ではあるが、もはや代わり映えのない究極の金太郎飴スタイルを踏襲、自分たちの信じる道を驀進中です。
武骨なれど、メタル特有とも言える拘りの展開を設け、ただ走るだけではないのが彼らの魅力。老いと向き合いならがらも、“老いては益々壮んなるべし”と言いたくなる大人げないプレイで聴き手を魅了していきます。

真新しさのなど皆無。愚直なるアンヴィルサウンドを引っ提げ、ひたすらメタル愛を貫いている。一般的には名作と呼ばれないだろうが、これこそ若い人に聴いて欲しい、古典ロックの生き字引である。その存在価値に重みを感じますね。


BLACK FLAG - Slip It In ★★★ (2020-06-19 15:16:48)

後のグランジ・オルタナブームの源流たるバンドと目されるカルフォルニアのパンク・ハードコアバンド。
グレッグ・ガンとヘンリー・ロリンズの出会いがバンドを花開かせたのだろうが、バンド名から醸し出されるアティチュードがえげつない音となって表れている。
ハードでうねり上げるリズム、そしてエッジの立ったギターに、ロリンズのタフな歌声、パンクの定義は良く分からないのだが、個人的には生々しいハードサウンドとしてビンビンに響き渡り、このバンドにはパンク特有のフットワークの軽さや、能天気さは皆無。病的な倒錯傾向のある70年代型のハードサウンドをしっかりと受け継いだ古典ロックの旗手と呼ぶべき存在だろう。
こんな音を煌びやかに移り変わるシーンに対抗するようにかき鳴らしていたのだから、恐ろしいほどの高潔なる精神性を持ち合わせたロックバンドと言えよう。
この時代に女性ベーシストを迎え入れているのも気合の表れだろうなぁ。
メジャーレーベルに等、目もくれず自らレーベルを立ち上げ活動、その時代に抗うスタイルこそ、パンクという事か、ジャンル不問、刺激的かつ荒々しい攻撃性を纏ったハードサウンドが好きな聴くべき価値のある一枚ですね。


BLACK SABBATH - Black Sabbath ★★★ (2020-06-19 15:00:44)

僅か2日間でレコーディングされたという、まさにジャムセッション&ライブレコーディングを施してリリースされた渾身の一枚。その異様なテンションはオープニングナンバーから炸裂。音が出るまで時間かかるし、スローな展開でじらされるのだが、後半に向けて徐々にテンポアップ、そしてオジーの狂気の入り混じったシャウト一発から、怒涛の展開へと流れ込み昇天。地中深くまで潜り込むような鈍重な展開と激しさを増すリフワークに、一撃必殺の破壊力が備わっていました。
そのインパクトをタイプの違う②で繋ぐのですが、音楽性は多彩であり(単純に用意していなかっただけかもしれない)、⑤のようなカヴァーソングまであるのだから面白い。
80年代、サバスはマニアに愛されるバンドだった。もっと言うとリアルにロックが好きな人が聴くバンドというイメージ。日本では遥かにZEPやDPの方が人気があり、また女性にはクイーンやチープトリックなどの方がウケていた。
恐らくサバスが、急に取り出されたのはグランジ・オルタナバンドに多大なる影響を及ぼした源流扱いされてからな気がする。

ギーザーが描き出す魔術崇拝思想を掻き立てる歌詞とモチーフに、邪悪なイメージを増幅させる曲と、そうではない曲との対比が何とも愉快。そういうごった煮感が、初期ならではの味わいとしてあるのが印象的だ。そして④のような曲を聴けば、このバンドが、とれだけのフォロワーを生んでいるかが理解できる。大人になってから、ドゥーム、スラッジ系の聴く機会が増えたのだが、今作は、彼らにとって教科書でありバイブルであろう。


BLACK SABBATH - Sabbath Bloody Sabbath ★★★ (2020-06-19 14:42:02)

個人的にはサバスのカタログの中で最も聴き返す頻度の高いアルバム。それまでのブルースロックから派生したハードロックサウンドの源流たるサバスティカルサウンドに、鍵盤楽器を巧みに盛り込み音楽性に広がりと可能性をもたらしている。
また、初期の頃の悪魔的と表現されるようなギミック気味の曲も抑え、色の付きすぎたキャラクターからの脱曲も目指しているようで面白いのだが、アルバムタイトルが悪魔的なのが、いろんな意味で面白い。
④ではリック・ウェイクマンがゲスト参加、派手目のソロまでぶち込み、オジーと手を切った時代にも通ずるスタイルを示しており、プログレ的なアプローチが実験的な要素で終わっていないのが凄い。
⑤みたいな曲を聴くと、前作がアメリカンマーケットで想像とは違う形になったことに対する、新たなる表現方法として、より突っ込んでいる印象を受けたりと、売れる事での意識もヒシヒシと感じるも聴きどころ。

やはり①のような曲にこそアイオミ節を感じるのだが、朗らかで軽い声のオジーには⑤のような曲が似合う。
後年、ロニーと組んで造り上げた音楽性との類似点も、この時点で発見出来たりと聴き返すたびに新しい発見があったりすのだが、同時にオジーの声では、拡散する音楽性を受け止められないという、限界をチラつかせたのも印象的。

若い人から、サバスは悪魔的みたいなことを言われたことがあるのだが、それは1stの一発目みたいな曲もあるということ、ギーザーが魔術的な歌詞を書いたとか、初期頃はロウソク一本たててうしろの百太郎呼び出したとか、逸話が先行しているだけで、音楽性は全般的に、ジャムセッションを中心に曲作りを行うガチのバンドだったというのを教えてあげたい。ジャズ・ブルースロックからの派生形、そこにバーミンガムロック等と形容される後ろ暗さが交わったのが、悪魔的な背景にあると言いたい。
ワタクシもメタルに触れた当初、良くサバスは悪魔だ魔術だ等と、言われたが、全然理解できなかった。むしろ、情報を頭に入れ、こういう音を悪魔とか魔術と言うんだと言い聞かせて聴いたくらいだ。そんな偏見を持たずにフラットな感性で聴ける若い人には、妙な壁を作って欲しくない。
普通にカッコいい70年代のロックバンドであるという事が理解できる。このアルバムは、複雑な構成にも果敢に取り組み、自分たちの可能性を広げた意欲に溢れる名盤。


BIG GUNS - ON DAGEROUS GROUND ★★★ (2020-06-16 16:51:35)

ZEROコーポレーションからリリースされたデビュー作。リリース時が90年代の中ごろというのもあり、日本のみの契約というのが泣かせる。音楽性はメインストリームよりの大衆性を帯びたサウンド、そこに哀愁のあるメロディを織り込み、絶妙なバランス感覚を敷いている。
ロックの持つ大胆不敵な豪胆さ、親しみやすさと対等に自己主張されるハードテイスト、硬軟交えた聴かせ方の上手さにZERO印を感じるが、やや真面目過ぎるきらいがあるのが気になるところ。贅沢な不満なので、これは嗜好の問題。堅実なプレイに裏打ちされた無難な曲作りも功を奏し、この時代に多くの人が渇望していた、古き良き時代のメインストリーム風メロディアスロックサウンドを披露している。スリルと引き換えに手にした安定感、その統率された普遍的スタイルに惹き寄せられますね。


FOR ABSENT FRIENDS - Running in Circles ★★★ (2020-06-16 16:07:50)

国内盤は我らがZEROコーポレーションからリリースされた。プログレポップロックバンドの2枚目。
バンド名からも分かるようにGENESISからの影響も大ですが、あそこまで本格派のプログレスタイルをとっておらず、よりソフトでメロディ重視の姿勢をとっている。
勿論、プログレ系なので拘りの展開は用意してあるのだが、それ以上に聴かせたいのは憂いのある優美なメロディ。素直な気持ちで向き合える優しい音楽性のおかげで、なんの疑いもなくスッと心に入ってくる。

とはいえ自己主張弱めの為、引っ掛かりが少ないのだが、そんな不満を補って余りある豊潤なメロディの数々に、ここは身を委ね、彼らが奏でる慈愛に満ちたポップなプログレロックに酔いしれるのが一番でしょうね。

鍵盤楽器の使い方も上手、哀切のある展開を巧みにコントロール、こちらの体感温度を優しく下げてくれます。
そして邪魔をしない歌声も、あの人みたいで良かったなぁ。全体のバランスが秀逸なんですよね。だからエッジ不足な音楽性でも素直に受け止められますよ。


AXEL RUDI PELL - Sign of the Times - Gunfire ★★★ (2020-06-16 01:50:52)

KILL THE KINGアクセルヴァージョンといった様相がたまらん
今後もやりまくってください
これでいいのです
これがアクセルなのです


ALDIOUS - Evoke 2010-2020 - I Wish for You ★★★ (2020-06-16 01:43:57)

このヴォーカルの持ち味はこっちなんでしょうね
たおやかなメロディ
優し気に歌い上げる歌声
J-pop臭すらも味方につけれるのも強い
アルバムのクロージングにこういう曲があっても悪くない
普段なら聴くようなジャンルではないのだが
流れ的に不自然じゃないのもニューヴォーカル加入の戦利品ということだろう
ちょっと泣けるんだよなぁ


ALDIOUS - Evoke 2010-2020 - Ground Angel ★★★ (2020-06-16 01:40:35)

ヴォーカルが変わり完全に生まれ変わった曲の代表格
日本人ならではの親しみやすいメロディ
刺激的な歌詞もズバッと切れ込み耳を捉えていきます
やはり唄は大切ですよ
いい曲になったなぁ


KAMELOT - Karma - Don't You Cry ★★★ (2020-06-16 01:35:46)

ロマンティックやで
泣かせるわ~
どうでもよいけど
キャメロットのコメントがごっそり無くなっている気がする
初見じゃない気がするんだよなぁ
マイルドなロイの歌声が素晴らしい


KAMELOT - Karma - The Spell ★★★ (2020-06-16 01:33:35)

妖艶ですねぇ
こういうミドルナンバーをさらりとねじ込めるアイデアにぞっこん
ドラマ性豊かなアルバムの中で一際異彩を放つ一曲
キーボードを巧みに使い妖艶なる抒情詩を描き切っている
カーンの歌い回しも素晴らしい
色艶がハンパないぞ


KAMELOT - Karma - Forever ★★★ (2020-06-16 01:28:51)

あれ~?コメントした記憶があるど!

正統派HM/HR極寒の時代にリリースされた名盤を代表する名曲
ある意味キャメロットと言えばこの曲だと断言できるほど比類なき完成度を誇る
少々型にハマり過ぎな面はあるのだが
ロイ・カーンの持ち込んだ世界観が素晴らしい
このメロディラインを歌い上げたカーンに脱帽
かれがMVPで間違いない


VIRUS - Pray for War ★★ (2020-06-14 18:14:19)

80年代に立て続けに3枚のアルバムをリリースして消えた英国のスラッシュメタルバンド。とにかく火薬の匂いが充満する危険極まりないサウンドが売り、VENOM直径とも言えるダーティーさに、ヒリつくハードコアテイストを大導入、喚き散らす歌声も独特の感性を纏い、このバンドの独創性に拍車を掛けている。
ひねくれたインテリジェンス、そこに英国特有のシニカルさを感じるが、同時に破天荒極まりないグシャグシャのリズムが絡むことで、やはり独特の音楽性を披露している。
初見で聴いた時は、腹ただしい感覚に襲われ最後まで完走できなかったのだが、このリズム感の悪さも耐性が出来れば、逆に、このバンド独自のグルーブと生まれ変わり、このアルバムは、これでないとダメなんだと思わせる魔力があるのが、今作最大の聴きどころ。上手い下手では語れない魅力をアピールしている。
意識してやったのか、実力不足だったのかは分からないが、影響を受けたアーティストに対するリスペクト精神に満ち溢れたデビュー作であることに変わりはない。

9曲入りで30分を切る内容、それなのに、イントロとなる⑥で3分半も使うのも破天荒遊戯と言えるだろう。おもろいバンドだ。愛想を振りまかないハードコアスラッシュの源流たる音楽性、その影響下にあるスタイルも英国ならでは、人々を突き放すが如き喧嘩腰の姿勢も眩しい限り。こんな売れるわけないわぁと思いつつも、手に取りたくなるのがマニアの性でしょう。


PLASMATICS - New Hope for the Wretched ★★ (2020-06-13 20:31:59)

破天荒なキャラクターと素顔のギャップに苦しんだのか、自ら拳銃で命をたったウェンディOウィリアムスがフロントを飾るバンドのデビュー作。激しく咆哮したかと思えば、④では喘ぎ声シャウトまでかます仕様、楽曲もパンキッシュな勢い重視の曲が多く、ストレートな感情表現を尊重している。
勿論、親しみやすいファニーさや、実験的意欲旺盛な面も同時に見られるのも面白い。
イギリスから流れ込んできたパンクムーブメントに呼応するように、アメリカでも地殻変動を起こしたパンクムーブメント、このバンドも、そんな先駆けの一つとして語られるのだが、完成度や技術云々ではないパッションを感じさせるのが聴きどころ。
アメリカよりもイギリスで受けたというのも興味深い話なのだが、スタイルに拘らない雑食性、一口に語ることだができない節操のなさもパンクな精神性の継承という事なのでしょう。


GRAVE DIGGER - Fields Of Blood ★★★ (2020-06-10 20:53:54)

アイリッシュフレーバーたっぷり、ドイツのベテランメタルバンドが選んだのは、お得意のアイルランド物語。剛毅に打ち鳴らされるパワフルサウンドに注がれる叙情的なメロディと、灼熱のメタルスピリットの融合は沸点も高く、勇猛果敢なメタルウォーリアーぶりを発揮。このバンドの持つ強い精神性、紆余曲折はあれど、己が信じるメタル道を突き進む姿勢、時代の流れに抗い続けた男たちに迷いなし、どこかで聴いたことがあるフレーズすらも味方につけ、確信犯的な発想で、ファンが望むものを見事に描いている。リフ一発に込められた思い、キーボードやバグパイプが奏でるアイリッシュメロディ、全てが有機的に絡むことで説得力も倍増、こういうコンセプトが目先を変えるだけではない、地に足がついたものだからこそ聴き手を圧倒するでしょう。
好戦的なエピカルさもあるが、それ以上に賑やかで痛快な剣劇メタル的にカラーを持ち合わせていたのも、今作の視聴感に良さに繋がっているのだろう。壮大なイメージを抱かせるバラード⑥では、メタル界の北斗昌をなりつつあるローラ・ロウヒモが客演、素晴らしいアクセントとなっている。

定額制サービスのおかげで、難なく新譜を聴ける、通常この手のバンドにお金を出すのは微妙だったりするのだが、こんなん出たよと、親切に教えてくれるのでありがたい。グラハム・ボネットのアルカトラスの新曲も既に公開と助かる、そして本気で欲しいものだけを、パッケージ商品に変えればよいのだから、しかし、一つだけ難点がある。それは、記憶に残らない。
家の棚から発見される『あれ?こんなんあったっけ』、『あ、買ったのに聴くの忘れていた』、『やっぱ、これ聴こう』などなどの、出合い頭の出来事、ある種の棚からぼた餅的な、思いがけない出来事が起きないのが残念。でも、これも時代の流れ、抗うのはマヌケな気がするので、思いっきり受け入れています。


BON JOVI - Live at Super Rock '84 in Japan ★★★ (2020-06-10 16:48:46)

福岡・名古屋・大阪・埼玉の4都市6公演行われた、国内初とも言える大掛かりなロックフェスティバル、それがスーパーロック84でしたね。レンタル屋にいって、ダイジェスト版から、ANVILを除く参加バンドをフィーチャーしたものまで世に出ていますが、(後年、閉店セールに伴い全部ゲットするも、レンタル型落ちの為、褒められたものではなかった)今作を見て衝撃を受けましたね。1stアルバムを聴いた後とはいえ、この若さ溢れるエネルギッシュなステージといい、華やかな見た目と言い、こりゃ売れるわなぁと、関係者のみならず多くの人々がそう感じたでしょうね。今見ても率直に、そう思います。

1.She Don't Know Me
2.Breakout
3.Get Ready
4.Runaway
収録は全4曲。合い間にインタビューなど交えた25分、アレックス・ジョン・サッチのコーラスとか懐かしいわ。この時点では、期待の有望株程度の認知度だったBON JOVI、会場のノリも微妙なものだったりするのだが、全力のステージに魅入られました。徐々に会場を掴んでいくのも印象的です。MCも字幕付きなので親切です。演奏シーンにおけるカメラワークなど不満もあれど、こういうの含め、日本初のロックフェスティバルとして受け入れると、大ありなのです。そりゃ、事前の個別の動きなど把握できないもんね。それがライブってもんですよ。
権利の関係など、様々な障害があり正規の形で復刻することのないライブ映像ですが、死ぬ前に、クリアーな映像でみたい一品です


THE REIGN OF TERROR - Light in the Sky ★★★ (2020-06-08 12:51:37)

今ではガスGの師匠として認知されているアメリカ人ギタリスト、ジョー・スタンプ率いるメロディックパワーメタルバンドの1st。時代は1996年、商品としてのリリースは日本のみという事ですが、現在は配信盤があり、そこではDPのカヴァーソングである③がカット。正規品は今となっては貴重な一品でしょうね。

バンド結成前にはデイヴィットTチャステイン総帥率いるLeviathan Recordsからソロも出しているので、それなりに名前の知られているギタリストだけに、彼のネオクラ風味を漂わせたパワープレイに歌が入るというのは楽しみでした。
クラシカルなフレーズをバシバシと決めたソロとはテイストは違うのだが、一端スピードに乗ったなら、怒涛の速弾きプレイで魅了。荒々しい音像も、アイデアとして悪くないと思わせ、彼の持ち味であるスリルを伴うスピードプレイが生きている。
個人的にはシンガーのブライアン・サルベラが、力むとマイク・ヴェセーラに似ているなぁと感じ、音は違うのだがイメージがインギー風と感じてしまうために、どこか損しているなぁと思わせるのが残念。

その為に、当時はロクすっぽ聴かずにいたのだが、2000以降のシーンの潮流にはついていけずに再度聴き込む事で評価も一転、ジョー・スタンプのギターをフィーチャーしつつも、バランス感覚に気を配したバンド形態にこだわったサウンドは、力技では押し切らない本格派のメロディ志向もある音楽性で勝負、荒々しい音像にも好き嫌いが分かれそうだが、個人的には、そのおかげで生っぽさが出ており、個性に結びついているのが面白い。
拝借フレーズや雰囲気が○○みたいなのも、当時の背景を考えると逆にありと思えるのも強みでしょう。


FLOTSAM AND JETSAM - No Place for Disgrace ★★★ (2020-06-07 21:23:59)

前作とは一転、日本一権威ある雑誌の日本一影響を与える酒井康氏が90点の評価を付けたことにより、話題性も嘘みたいに上がったことを記憶している。本当にワタクシはこの手の輩が大の苦手である。お前たちは耳が付いているのか、音を聴け音を、音楽は読むモノじゃないぞと心の底から思いました。当時雑誌は一切読まないタイプだったワタクシにとっては、本当に嫌な思い出がよ蘇る一枚です。そのせいで、当時この音と向き合えなかったからね。

くだらない先入観を捨てて聴けば、前作におけるソングライティング力をさらに研磨、アイデアを取りまとめ高いドラマ性を有しつつも、無駄を排除し聴きやすく纏め上げている。前作にあったむせ返るようなアングラダーク臭がなくなったのは、個人的には残念だが、エルトン・ジョンのカヴァーすらも、大ありと思わせる手腕に聴かせ方にバンドの成長を感じます。
彼らの代表作は今作で間違いないが、お気に入り度は1stです(信者どものせいで今でも苦々しい思い出が蘇り聴きたくないが上回る)。

ソングライターが変わってもバンドは死ななかった。勿論、ジェイソンの置き土産もある。良好な関係なのも頼もしい。新加入のベースである、トロイ・グレゴリーもジェイソンの口添えだとか、実はメタリカのオーディションを受けたとか、ゴシップネタもあったりする今作だが、個人的に、あらゆる先入観を捨てて聴きたいアメリカンメタルの傑作であろう。ちなみに⑦は、マサ伊藤が酷評していたって、もうウンザリだよ。


FLOTSAM AND JETSAM - Doomsday for the Deceiver ★★★ (2020-06-07 20:58:48)

メタリカのベースが以前いたとことにより再脚光を浴びたアルバム。リリース時は権威ある商業誌から78点を献上。微妙な評価と音楽性に詳しく触れられていない為に、話題に上ることはなかったと言われる。残念極まりない話である。

アメリカン特有の光沢のある艶めかしいパワフルサウンド。そこに塗されるバイオレントな空気とダークな質感が鉄壁のリフとリズムを従え猛進、良く練り上げられた楽曲構成は勢いで押し切ることなくグイグイと次の展開に引き込んでいく。
デビュー作でこれだけ歌えたら十分だろうなエリックAKの柔軟さも兼ね備えたパワフルヴォイス、彼の歌声を軸にしたと思えるような構成もズバリとハマり、このバンドの特異性をアピール出来ている。
阿吽の呼吸と言っても良い、リフワークやリードプレイにも聞かせる要素が大きくあり、エドワード・カールソンとマイケル・ギルバートによる、歯切れのよいツインリードはテクニカルな面も存分にサポート、スピードピッキングを交えながらのソロなど、スリリング極まりないプレイで魅了。拘りのアレンジと構築、その高い演奏力に支えられた楽曲群に不安定な要素など皆無。ケリー・デヴィッド・スミスのソリッドかつパワフルなドラムと、うねりを上げるテクニカルなラインをキメまくるベースの存在感、メンバー感のパワーバランスも俺が主役だと言わんばかりに互いを意識し合いながら拮抗、このメンバーでしかだせないグルーブが存在している。

個人的には、彼らのカタログの中で一番良く聴くアルバムです。とにかくバランスが良い。楽曲もアメリカの裏街道メタルにありがちな、無頼漢だけではない聴かせる部分も多分にあり、それが複雑な構成だけに留まらない、メロディラインや、やはり歌い手の器用さによるところも大きいだろう。過小評価されているシンガーだし、ツインギターコンビだが、媚びを売らない本気のアメリカンメタルに興味のある方は是非とも手に取って欲しい一品。そしてこの音こそ、Metal Blade的とも言えるだろう。


MC5 - Kick Out the Jams ★★★ (2020-06-06 20:10:06)

近年はレッチリやレイジアゲインストマシーンらのおかげで若い人たちにも知られ神格化された元祖ガレージロックであり、パンクスやメタルを志す者にも影響を与えたデトロイトのロックバンド。だからMC5なんだね。
デビュー作がライブ盤というのもぶっ飛んだ話なのだが、このバンドの魅力はライブにあるという事のなのだろう。確かに攻撃的で生々しいサウンドがスピーカーを食い破らんとしている、それ以上に耳を惹くのがバンドの骨格となるロックに対する忠誠心の高さ、基本がしっかりしているから、挑発する喧嘩腰のハードビートも様になっており、ビシッと決まっている。歌い手も、想像以上にファンキーなノリを持っており、ライブならではのアジる場面もあったりするが、それ以上にしっかりと演奏に向き合っているのが印象的だった。
なにやらきな臭い空気、暴発寸前の火薬臭が充満しているようなヒリつくライブ盤ではあるのだが、聴きようによっては、高い演奏力に支えられたソリッドなハードビートが炸裂する、手に汗握るライブ盤の側面も強く、リスナーオンリーではなくプレイヤーも十分に楽しませる技術が存在する。
なんでも当時、社会的なメッセージ性を持ちバンド活動を行い。いろいろな都市伝説があるらしい、FBIにマークされているとかマネージャーが、えげつない差別主義団体に属しているとか、そういう中で活動していたせいもあるのか、メンバーが逮捕されたり、ラジバンダリでバンドは1972年に解散。ルックスも良くないので、当然外国人アイドル雑誌に紹介されることもなく、筋金入りのロックファンにしか愛されていないのは残念ですが、正直、英語はチンプンカンプンのワタクシには、どうでも良いことなので、ロック黎明期と言える時代ならではのイマジネーション豊かな、ジャンル不問のハードサウンドのもつ凄みに酔いしれますね。
ロックの持つ普遍性。この音楽はどこで生まれ源流は何なのかを垣間見る事が出来る傑作。資料的な価値も含め名盤と呼ばれるのに疑問の余地はありませんよ。


Outo - 正直者は馬鹿を見る ★★ (2020-06-03 13:48:41)

日本のハードコア/パンクシーンを語る上では外せないバンドと言われる。OUTOの1987年リリースのEP。
収録時間はわずか17分少々なのに12曲も収録。曲によっては1分にも満たないものもあったりと、勢い重視の楽曲が収録。
日本人らしいメロディとノイジーなサウンド、どこかファニーな親しみやすさもありつつ、近づきがたいバイオレントな空気もあったりと、雑食性の強いジャンル故の面白さが音に溢れている。
門外漢故に人に語れるほど、詳しい訳ではないのだが、元気いっぱい繰り出される爆音の数々、手数の多いスピードプレイ、直情的に突っ込んでくる楽曲群は容赦無用のアグレッションを有している。このバンドとの出会いは思春期真っ只中のワタクシに、スピードメタル系を聴いているのなら、こういうのもあるぞと勧めてくれたパンクスの友人のおかげ。ただ、当時はピンとこなかった。もう少し様式がある方が好みという事で、良いリアクションをしてやれなかったのだが、面白いもので、今の方が全然耳に馴染める。ノイジーさや攻撃性よりも、キャッチーなメロディラインが顔覗かせるからだろうが、ハードコア/パンクス特有の清い姿勢、その音楽に対する純粋な思いが耳を刺激してくれるのだろう。
ジャンル不問でスピード系が好きな人ならトライして欲しい一品です。パンクスだけのお楽しみでは勿体ないですよ。


COOL FEET - Burning Desire ★★★ (2020-05-29 20:50:07)

60年代の後半から活動するドイツはルクセンブルクのバンドによるデビュー作。昔から初期型のSCORPIONSのような音楽が聴きたいのにどうして、そういう音が中々ないのだろうかと思っていたら、米英からするとドイツのロックは格下でクラウトロックなどと呼ばれ馬鹿にされていたというのが背景にあるらしい。ドイツ国内限定のバンドならいるのではないのかと思うが、中々お目にかかれないのが現状だが、そんな個人的に不満を解消してくれたのがこのバンド。
完全に暗く湿った叙情派ハードサウンドを披露。ジミヘンをやりたがるウリ・ロートのいない初期型SCORPIONSスタイルである。しかもレコーディングはダークススタジオでしょ、完全に狙っているじゃん。
アナログ盤の枚数も少ないために、世界中のマニアが探しているレアな一品。自主制作盤だから、尚更でしょうが、だれか正式な音源として再リリースに一肌脱いて欲しいですね。
パワフルな歌声と、情緒のある泣かせのダークメロディが乱舞する初期型SCORPIONSの旨味、大好物ですね。


NASTY SAVAGE - Nasty Savage ★★★ (2020-05-29 20:29:57)

Metal Bladeのブライアン・スライゲルが陣頭指揮に立ち制作されたフロリダのバンドによるデビュー作。ミステリアスでダークな色合いはキング・ダイアモンドからの影響も大、シンガーのナスティ・ロニーの歌い回しも、キング・ダイアモンドを意識したものだろう、そこにエピカルなムードも持ち込み濃密な世界観を演出、スラッシーなリフワークも飛び出すが、スピーディーなナンバーはなく、スピード命のマニアには喰いつきも悪いだろうが、ハードでエッジの効いたギターリフや、重心を落とし迫ってくるヘヴィグルーブを中心とした楽曲構成は、少々キャッチーさに欠けるのだが、US産の裏街道スタイルを愛するマニアにはたまらんものがあるでしょう。軽快に走るだけがメタルではない、こういう重苦しいスタイルにも需要はありますのでね。
濡れているのに湿らない光沢のある艶めかしいメタリックサウンド、もう少しスピードを上げれば初期型スラッシュバンドとして、太鼓判を押せるが、そこまでの勢いはない。でも破壊力は抜群だ。
なんだか上手く言えないが、スラッシュメタルの国で、キング・ダイアモンドとマニラロードの体が入れ替わり、口噛み酒飲んで(千鳥の相席食堂おもろかったなぁ)、なんだかんだで最後に君の名はって言ったら、こんな音楽になるのでしょう。
訳の分からないことを言って逃げましたが、折り目正しいスラッシュサウンドとエピックメタルの融合を果たした今作は、フロリダのメタルシーンに影響を及ぼしているというのは、けして大げさではないだろう。


Brave Bomber - First Bomb ★★★ (2020-05-29 15:06:15)

90年代に関東を中心に活動していたパワーメタルバンドのデモ。勇壮なメロディと歌詞、その男臭さマックスのサウンドは、ACCEPTを軍歌仕様にしたような気骨なスタイルであり、力強さとメタルな様式を守った音楽性に、グッと惹き寄せられました。とくにオープニングを飾るGaming Animalのギターソロに、ロシアの戦中歌としても知られるカチューシャをねじ込んだセンスに脱帽。こういうアイデアもACCEPT的であり、日本人的な情緒と、迸る熱情を何の疑いもなく叩きつけることで独自の音楽性を築き上げている。デモ音源なので音質は期待できないが磨けば光る素材であることに変わりはなく、どこか海外にインディペンデント系のレーベルに持ち込み、正式な音源として世に出して欲しいと思わずにはいられない。国産メタルを代表する一品。
バンドは一度空中分解するも2000年以降、凱旋マーチと名を変え再出発。男泣きの任侠メタルサウンドを引っ提げ、兵隊ヤクザぶりを発揮。多くのマニアを歓喜させた。結局、凱旋マーチも姿を消したが、彼らの功績は色あせる事はありません。大衆性や売れる事とは別のベクトルを放つ普遍性。その魂を焦がすパフォーマンスの数々に胸が熱くなります。LIVEを見に行った日々を忘れんよ。個人的にはFLATBACKERと凱旋マーチは、もう一度復活して欲しいと願わずにはいられないバンドである。


BADD BOYZ - Badd Boyz ★★★ (2020-05-25 13:03:13)

Voポール・ショティーノ、Gミッチー・ペリー、マイケル・ガイ、Bにショーン・マクナブらの名前がクレジットされているバンドのデビュー作。ポールのしゃがれたソウルフルヴォイスを生かしたハードサウンドは、彼が歌う事で魂が吹き込まれる、その有機的な響きに心が揺さぶられますね。作曲クレジットや複数のプロデューサー名義など、どうも寄せ集め感が漂うが(詳しいバイオはわからないので言及出来ません)楽曲のクオリティも高く、作風も統一されており視聴感にばらつきは生じない。彼の歌声と、メロディを大切にしたアーバンなセンスが光る歌モノロック。皆が同じ方向に向かい何を聴かせたいかを明確にしていることが、今作をよりよいものに仕立てている。
何を歌っても上手い男に、任せておけば大丈夫である。ロックありバラードありブルースありと、無敵のロックシンガーの美声と、職人技のサウンドを楽しめる好盤ですね。


VANDENBERG - 2020 ★★★ (2020-05-25 12:36:40)

ついにヴァンデンバーグ名義で復活を果たした稀代の名ギタリスト、エイドリアン・ヴァンデンヴァーグ。WHITESNAKEでの活動のイメージが強く、のっぽのブルースオジサンにされてしまっているが、彼本来は、そんな地味なギタリストではない。
もう味がしなくなっているのにWHITESNAKE時代に噛り付き、地味な作風を連発したMOONKINGS時代の失敗を払拭するが如く、今作では果敢にエネルギッシュなハードサウンドに挑んでいる。
今やB’zのメンバーとしても知られるブライアン・テッシーと、ルディ・サーゾの元WHITESNAKE組に、今や引っ張りだこのロニー・ロメロの布陣。正直、押しの強いロニーが歌うのであれば、繊細なサウンドが期待できないと踏んでいたが、その反面、彼の胸板の熱そうな、胸毛ボーボーの熱いエモーション迸る歌声を中心としたハードサウンドを披露、少々盛り過ぎな面はあるのだが、今の若い人にとっては、これくらいゴージャスに着飾ってもらわないと困るだろう。
往年の泣かせは少ないが、それでも古典ロックに根差した快活なサウンドは等身大の魅力。その中に欧州風味の強いメロディも持ち込み、ヴァンデンヴァーグというバンド特有のムードを醸し出している。泣かせとキャッチーなメロディも盛り込んだLET IT INなど、かつてのスタイルを求めていたマニアの留飲を下げさせろう。叙情的なナンバーも求めるファンにとっては、おもてたんと違うとなるのかもしれないが、ロニーがいることで、様式美タッチのフレーズも放り込んだりと次の作風を期待したくなる一品に仕上がってはいるが、伝家の宝刀を抜く可能性は高い。

ハードバッキングとの対比のように、抒情的なフレーズを紡ぐソロが出てきたときの色艶の煌めきに、ヴァンデンヴァーグの魅力を感じます。ほぼ4分前後のシンプルな楽曲の中に注ぎ込まれたスリリングなプレイ、リラックスしたムードもあるが、一瞬の輝きに往年の姿を垣間見ました。彼は昔からブルースギタリストではない。
次はもうちょい泣き&ホワイトスネイク少なめでお願いします。復帰第一弾なので大目にしてますけどね、モロにカヴァーディルである。だからロニーを選んだのかも知れないなぁ。


VANDENBERG - Vandenberg - Nothing to Lose ★★★ (2020-05-24 17:26:07)

RAINBOW風味のメロウなハードナンバー
ジョー・リン・ターナーの声が聞こえてきそうだ
上手いことやっているねぇ


VANDENBERG - Vandenberg - Too Late ★★★ (2020-05-24 17:24:57)

明るいポップな曲だが
欧州的なメロウさが加味されている
こういう陰と陽を組み合わせるのがヴァンデンヴァーグは上手かった
メジャー感も十分にある


VANDENBERG - Vandenberg - Wait ★★★ (2020-05-24 17:15:14)

若い頃はこれからアルバムが幕開けだぁなんて言ってましたね
アコギのイントロが煌めいていますよ
メロウなムードとハードなロックテイストが絶妙です
走るだけがメタルじゃない
こういう曲も存分にその魅力を照らしている


VANDENBERG - Vandenberg - Back on My Feet ★★★ (2020-05-24 17:11:54)

グルーヴィーな曲ですねぇ
アルバムの2曲目ってのが絶妙です
この欧州風味満点のメロも素晴らしい
エエバンドだったなぁ


VANDENBERG - Vandenberg - Lost in a City ★★★ (2020-05-24 17:09:45)

洗練された都会的な曲です
ギターソロもホットでクールにキメまくる
これぞヴァンデンヴァーグな魅力に溢れている
こういう売れ線モノをサラリとねじ込めるセンスがいい
十分ハードで攻撃的だね


TORMENT - Tormentation ★★★ (2020-05-23 14:10:24)

国内盤はあのSpiritual Beastからリリースもされているドイツ産暴走ロックスラッシャーの通算4枚目。活動は1984年、4枚目だが20年を超えるベテラン戦士、おまけに自らRemedy Recordsも立ち上げていますからね。その気合の入りようも伺えるでしょう。
けたたましいチェーンソーの音から暴走ロックショーが幕開け、シーンの細分化が進み成熟された中で、彼らが取った手法は古典的なスタイルの踏襲。それはVENOM的な騒々しいロックスタイルとMOTORHEADに通ずる、いぶし銀の荒くれスタイル。時には陽性な面も見せたりと(AV男優になりたい③とかね)、いい意味で肩の力が抜けており、整合感がある。この生真面目さがドイツ印なのかもしれないが、20年というキャリアに裏打ちされた、アグレッションと疾走感は、良く練り上げられている。その辺りが鼻につくとのめり込めないなぁと興ざめするのかもしれないが、ドライな感性を研ぎ澄ましたシャープな演奏は、中々の切れ味を持っており、スピード過多にならぬよう、適度な間合いを持って攻め込んでいるのが印象的です。

正直18曲は多いぞと思うのだが、MOTORHEADとGIRLSCHOOLがかつて共演したJohnny Kidd and the Piratesの⑮を、サービナ・クラッセンをゲストに迎えカヴァーをやっていたりと、お楽しみもあるのでマニアならついつい手を出したくなりますよね。

余談ですが、Spiritual Beastのオンラインショップで70%オフの711円で売っているのを見ました。世知辛いっス。経験に裏打ちされたピュアジャーマンスラッシュサウンドの旨味。なぜかお手頃な感覚があり親しみやすい音だと思うんですけどね。


CROW - Bloody Tear ★★★ (2020-05-23 13:32:30)

日本が誇るハードコアパンクスによる18年振りの2枚目。リリースは2005年、自主制作と思われる作品は血涙というタイトルで流通しているらしいが、現物は見たことがない。ワタシが知っているのはPrankとい米国の会社か『BLOODY TEAR』の名で2006年にリリースされたものです。

パンク特有のお気楽感など皆無。徹底的に貫かれるハードコアパンクス流儀の暴虐性、ど派手なドラミングと過激度を高めるベース、両者が加速度を増すように蹴り上げまくる。ギターも激しいだけではない情緒がたっぷりとあり、この嵐の如く過激な音の渦の中に、猛烈な泣きを持ち込んだりと、芸達者な面もありメタル系の耳を存分に刺激し楽しませてくれる。無頼な過激さに情緒を絡ませたことにより、より一層の説得力と深みをサウンドにもたらしている。

そこに単に、おどろおどろしいことや過激な思想を乗せて奇をてらうのではなく、社会にある矛盾や切り捨てられる弱者の目線を、魂を込めて歌いこめるCROWのパフォーマンスが世界観を広げ、その唯一無二の個性を知らしめんとする、魂の雄叫びは鋭い歌詞と共に、聴き手にグサリと突き刺さってくる、

ハードコアパンクスなので過激な面が強いのは確かだ、毒気と荒々しさ、その血生臭い激音の中に組み込まれた情念が、巧みな楽曲構成と合わさり独特のドラマ性を生み出している。ワンパターンになりがちなスタイルの中で、一癖も二癖もある引っ掛かりが、壮絶なる緊張感の上で転がり踊ることで、このバンドにしか成し得ないサウンドをかき鳴らしているのが印象的。
必然的に交差するメタルとハードコアパンクススタイル、破滅的な衝動性を持っているのに、メタル特有の構築させた展開があると思わせたのが、このバンドの凄さなんだろう。門外漢のジャンル故、上手く説明できないのだが、スピード狂のマニアは勿論だが、ノイジーな鋼鉄リフの嵐に飲み込まれ、絶え間なく振りかざされる分厚い刃の如き殺傷力をもったリズムに切り刻まれ、情念を吐き出す野太い咆哮から発せられる、黒いエキスに汚染されたい、甘い言葉や偽物の正義に寄りかかりたくなり、真のロックファンに是非とも、聴いて欲しい一品ですね。もの凄いんだから。


GRIEF OF WAR - A Mounting Crisis... As Their Fury Got Released ★★★ (2020-05-22 13:20:37)

2002年頃から現在まで活動を続けるサムライクランチと呼ばせるスラッシャーの記念すべき1st。ザクザクと刻まれるギターリフに80年代型スラッシュを聴いていたマニアなら涙がこぼれそうになるでしょうね。LAAZ ROCKIT謹製ともいうべきメロディを蔑ろにしないスピード命の音楽性、過激なスタイルだが、それらに起伏を持たせる技巧も持ち合わせており、猪突猛進型にも関わらず情感のある描写を盛り込めるのが凄くカッコいい。
先人たちからの恩恵をたっぷり受けた音楽性の強み、日本人云々で語られるレベルではない仕上がりぶりに目を細めてしまいます。
このノリとエッジの効いたスタイルはベイエリア風味だが、もっとストレートでオーセンティックなスタイルに軸足を置いており、色んな意味で類型的ではある。その痒いところに手が届く、気配りが上手いと感じるのか、ありきたりな手法と捉えるかで評価も分かれるのだろが、オリジナルのリリースは2005年だったので、そのインパクトは大きい。世界的なリバイバルブームに先駆け日本から、世界に向けて先制攻撃を仕掛けたサムライクランチ、スラッシャーなら一度を聴いて欲しいバンドです。尖っていますよ、味も濃い目ですよ。


CITY INDIAN - Howling on Fire ★★★ (2020-05-22 12:54:41)

かつてWar Painted City Indianと名乗り関西を拠点に活動していたパンクスが名前を変え1991年にリリースした1st。ジャパニーズロックの系譜に連なる音楽性、ストレートな歌詞同様、音楽性も真っ向勝負といったところだろう。
パンクスという事で、どれくらい過激で刺激的なサウンドが飛び出すのかと思ったらMSGパンクロックヴァージョンなインストで幕開に驚いていたら②で走り出します。頭脳警察をよりメタリックにした音楽性とも言える曲の登場、こういうバンドなのと思っていたら、ロックンロールなノリもあったり、良く聴けばベースの自己主張が強めだったり、アンサンブルも単純なビートを刻むだけではないグルーブがあり、単なるパンク出身にあらず、毒気と過激な色合いで染め上げるだけではない、オーセンティックロックスタイルを踏襲している。MOTORHEADを引き合いに出される音楽性だろうが、もっと日本的で懐かしい空気を持ち合わせているのが印象的ですね。
古典ロックに根差したワイルドなサウンド、キャッチーなコーラスワークにサビメロと、一聴して馴染む親しみやすさも魅力。パンクの世界は語れるほど造詣も深くないので、このバンドがどのような位置づけだったのから分からないが、HM/HRを嗜好しているマニアでも、十分に楽しませてくれるハードサウンドを奏でているのが、今作最大の魅力でしょう。歌い手がしっかりと吠え、ありがちなパンクロックシンガーでないのが良かった。ヒリリと焼け付く酒焼けヴォイスは、キャッチーな楽曲との相性も良く、意外なほどバラエティに富んでいると感じさせるのが、このバンドの更なる魅力だろう。これだから多方面から支持されたんですね。


THE HU - The Gereg - Wolf Totem ★★★ (2020-05-21 13:55:59)

画力のある映像に魅入る
大地の集合したモンゴリアンバイカー
それを従え勇壮なモンゴリアンロックが始まる
徹底的に無駄を排除した音楽
我々の体内に眠る太古の血を呼び覚ます音楽
なんか始まりそうで始まらないのに最後まで見てしまう
欧米圏とは明らかに違う伝統と斬新さを盛り込んだサウンドでしょうね
パパローチの参加ヴァージョンもありますよ


THE HU - The Gereg - Yuve Yuve Yu ★★★ (2020-05-21 13:47:04)

映像がカッコいい
それだけで何度も見てまう
原始的なリズムも癖になる
フォルムのカッコいい楽器も気になる
この歌いかたも気になる
何唄っているかわからん
気になることが多く何度も見たくなる


KRAKEN - Kraken II ★★★ (2020-05-21 13:05:57)

南米はコロンビアを代表するレジェンダリーな男たちが世に放った2枚目のアルバム。今作はキーボードプレイヤーをゲスト参加させ、前作にあった気骨溢れるメタリックスタイルにいい意味での柔軟さ、所謂大衆性を加味させたことにより、マイナー調のメロディもグッと際立ち叙情性もアップ。自分たちにやりたいことがしっかりと具現化、前作の反省を踏まえしっかりと成長の跡を見せてくれます。

音楽性の幅が広がったと言っても軟弱になった要素は皆無、メジャー感のみならず、プログレッシブな展開も増し辺境地メタルのレッテルを自ら剥がしています。英詩ではないのでね、語感のなど気になる人もいるでしょうが、線は細いがハイトーンを駆使しエモーショナルに歌い上げる姿も前作以上に様になっています。

完全に前作とは別物と捉えた方が無難に解釈できる渾身の2枚目。コロンビアのメタルシーンがどのような形で形成されていたのか分からないために、軽はずみなことは言えないが、勢いだけではない知的なエッセンスや、南米特有の熱情、それらをクールな感性でまとめ上げたバンドのセンスが光ります。
当然レコーディング環境は褒められたものではない。音質も深みも厚みもない、それでもメタルに対する愛情がビンビンに伝わる仕様になっていますよ。その秘められた思いを解き放っている、バンドの将来性に思いを馳せ耳を傾けるのが、一番の楽しみ方でしょうね。


DINKUMOIL - Metal Weld ★★★ (2020-05-21 12:49:27)

自らをUnderground NWOBHM bandと呼ぶ中国のHM/HRバンドが2010年にリリースした1st。その思いはオープニングナンバーから炸裂、ガリガリとしたスラッシーなリフも飛び出しテンションも上がるが、唄が始まった途端にガクンと下がるのが…なんともアジアな結末であろう。この手の音楽を愛する者にとっては、そんなことは想定内。むしろここで貫かれる初期型スラッシーサウンドの胡散臭さに、多くのバンドが通ったであろうデビュー作、同様の作り込みを行っている。狙ったのか、パクっただけなのか分からないが、やり切ることで、まんまNWOBHM直系の暴走スタイルを模倣している。
急降下する鋭角的なリズムとリフ、埃っぽさのあるスピードロックはパンクロックな解釈で加速、汗臭さが滲み出るアングラ臭も、驚くほど板についている。個性は薄味なれど、こういう音の持つ懐かしさと初期衝動を擽る実直な姿勢に共感を覚えずにはいられません。
なぜ、こんなにボーカル処理にしたのか理解に苦しむが、バンド名も英語、歌詞も英語とワールドワイドを視野に入れているようで、応援したくなりますね。


Хурд(HURD) - Black Box - Best Collection I ★★★ (2020-05-19 17:57:35)

下記内容が収録曲です。
1. Чоно
2. Алив Бос
3. Нар Сар
4. Чимээгүй Ирэх Дурлал
5. Сэрүүн Бухимдал
6. Залуу Нас
7. Эх Орны Төлөө
8. Сайхан Бүсгүй
9. Өөрийгөө Би
10. Ээждээ
11. Бахархал
12. Шартаж Үхлээ

チンプンカンプンな言語に対応不可ですが、1993年から98年までの活動初期の音源集。出している音はアジア共通とも言える情緒のあるロックサウンドを披露。楽曲によっては、露骨に元ネタがバレるものもあったりしますが、クラシカルなフレーズも持ち込んだスピードナンバーもあったりと、先人たちからの影響を飲み込み、モンゴル流に解釈したアレンジは、日本人的には演歌チックなメロディもあったりと懐かしい空気が充満しているも、けして欧米諸国に劣るものではない。

きっと欧米の人も日本からLOUDNESSを紹介されたときに、同じような感覚をあじわったんかいなぁと、おもったりと個人的には、諸国漫遊記気分で大いに楽しみました。正直、ストレートに走るハードな曲よりもエモーショナルなサウンドの方が多めなので、チョイと肩透かし気分ではあるものの、ベストなのでと好意的に解釈しましたよ。
やはり、その地でしか出せないカラー、そういう音を楽しむのが一番でしょうね。


Хурд(HURD) - Black Box ★★★ (2020-05-19 17:26:54)

モンゴルを代表するHM/HRバンドの12枚組のBOXセット。自主制作&モンゴルだけに、こういう形で世に出してくれたのはありがたいですね。彼らの音楽性の変遷も含め、モンゴルロックの一端を垣間見るのに丁度良いのかもしれませんね。


THE HU - The Gereg ★★★ (2020-05-19 15:42:21)

YouTube動画が話題となり世界的な成功を収めつつあるモンゴルのフォーク/トラッドロックバンドの1st。民族楽器とホーミーという歌唱を駆使したロックサウンドは、話題になったPVのイメージと合わさり唯一無二の個性を放っている。
雄大な大地を想起させる力強さと、ほんのりとした泣かせのメロディもあり、心に木枯らしのように吹き込んでくる。じめっとはしていないのだが、荒涼とした雄大な大地の向こうから聴こえる太古のうねり、清々しいほどの爽快もあれば、絹の如く優雅なイメージを抱かせたりとアジアンなムードを存分に引き立たせている。ロックと括られるジャンルならではの、大地を力強く踏み鳴らすトライバルなリズムも顔を出し、時に好戦的とも言えるサウンドは独特の高揚感を与え、知らず知らずのうちにタイムワープしたかのように、過去の時代に引き連れてくれる。まるで世の理を体感したかのような錯覚を覚える。この歴史ロマン溢れる音楽性、物語のように進んでいく必然的流れに魅了されまくりです。土着的でありながらもドメスティックな感性で終わらない質の高さが、ワールドワイドに打って出ても、物珍しさ先行で終わらなかった理由だろう。レーベルメイトと共演も果たしたり、スターウォーズ関連の仕事をこなしたりと大躍進中。音楽性どうよう無限の可能性を秘めているのが成功を収めた理由だろう。

日本の音楽シーンは世界から相当遅れている。中途半端な経済力があるから、自国の売り上げで飯が食える。今のご時世、無価値とも言えるCDを打っているのも日本くらいだ。付録満載のCDも一部流通しているが、値段がバカたかい。それならば、場所はとるが、明らかにジャケットを眺めるにも付録のポスター等など、おまけを堪能できるアナログ盤の方が圧倒的に価値がある。
そろそろ方向転換を考えないといけない時期にきている。個人的に、CDを買うときは、損した気分が大きい。アーティストの拘りやマイナーなバンドのリイシュー盤など、やむにやまれる事情のみの購入だ。
知識さえあれば、こんなバンドも定額制で楽しめるぞと、驚愕する事もしばしば、このグループのように、動画サイトから爆発的な火が付くこともある。是非とも戦略を見直して欲しいですね。日本にも個性豊かなグループがジャンル問わず沢山存在していますから。

感情の抑制をはかる、独特なホーミーの音色、あの歌唱スタイルも聴き進めることに耳になじみ、必然性も大。ロマンを駆り立てる民族楽器の美しい音色。欧米からは現れることのない個性豊かな音楽性、安物のドラマティックとは無縁の壮大な世界観。ロック東方見聞録を楽しみましたね。


CAPTAIN BLACK BEARD - Struck by Lightning ★★★ (2020-05-18 12:48:18)

北欧のメロディアスHM/HRバンドが2018年にリリースした4枚目。今作からシンガーの座が紅一点のリヴ・ハンソンに変更。在庫過剰気味のパヤパヤとしたフェメールヴォイスなら、どないしようかと思っていましたが、彼女はピリッとスパイスを効かせたパワフルヴォイスを披露。少々、力が入り過ぎとも言えるが、ほぼファルセットで歌うよりは個人的にはありがたいので好感が持てます。ただ、この手のメロディアスサウンドには、少々声に色気が足りないとも思え、痛し痒しな面はあれど、そこは嗜好の問題。性別云々で、ロックを聴くような偏見まみれの時代錯誤者でもなければ大いに楽しんでもらえるでしょう。
期待を裏切らない展開と構成、2020年の最新作は、少々薄っぺらい音になっているので、これくらいロックな歯ごたえがある方が良いでね。プロデュースを担当するのはH.E.A.Tのヨナ・ティー、その辺りも完全に音に影響が出ているでしょう。両者の思惑が合致して出来上がった至高のメロディアスHM/HRサウンド、フックと哀愁に満ちたポジティブソングが満載です。


CAPTAIN BLACK BEARD - Sonic Forces ★★★ (2020-05-18 12:31:58)

北欧産メロディアスHM/HRバンドが2020年にリリースした5枚目。リリース元はAOR HEAVENですからね、寸分の狂いもなく繰り広げられるは、夜空にオーロラが輝く北欧サウンドを披露。その煌めくスウィートメロディに安堵を覚えるでしょうね。
スリルや先鋭的な刺激はなくても、安定感のある粒のそろった楽曲はどれもが一定の水準をクリア、全編シングル向けとも言えるコンパクトな構成とキャッチーさに、この道を極めんとする職人気質を感じ目を細めてしまいます。
新シンガーも硬軟絶妙に交ぜた歌い回しで重責を全う。丁度いいスパイスを効かせてくれます。疲弊した身も心も、癒してくれるハードポップサウンド。いい意味でのお手軽さ、そのインスタント感を無駄なく仕込む事で、極上の癒し系ハードサウンドに昇華した手腕は見事でしょう。H.E.A.Tの助力も大きいのだろう。


TRAVELER - Termination Shock ★★★ (2020-05-17 14:21:03)

オールドスクールを愛するカナダ産の若手バンドによる2枚目。前作同様のタコ怪人ジャケ&NWOBHM直系のトラディショナルスタイルに涙と、寸分の狂いなく往年のスタイルを踏襲。テクノロジーに頼り過ぎない録音環境もロックバンドかくあるべきな姿勢を感じさせ、かつて群雄割拠ひしめき合い隆盛を極めんとしたメタルサウンドを披露。
メロディ成分多めだが徹頭徹尾、貫かれる鋼鉄魂満載の音楽性に嘘偽りは一切なし、時代や売れる事への忖度なしサウンドにグッときます。勿論、今の感性を通り抜けたスタイルですので、ヴィンテージ臭でお茶を濁すようなバンドではありません。
大衆性もそこそこに、伝統を受け継ぐ哀愁のスピードサウンド、日本人好みの展開も多く、正統派スタイルを求めるマニアの救世主となるバンドでしょうね。
この手のスタイルは、模倣的なものであり、視聴感は高いのにどうしても飽きのサイクルが早い。人によっては、尚更でしょうが、今の若い人には、古典として知ってもらいたい音ですね。こういう既存のスタイルが時代を切り開くとは思えないが、ヘヴィメタルの根幹とも言える音楽性が廃れるのも、おかしな話なので、今の時代をブリブリと活躍するのは至極当然な事と思える。侮るなかれ現代のトラディショナルサウンド、その旨味を多くのマニアに味わってほしい。


CIRITH UNGOL - Paradise Lost ★★ (2020-05-17 13:59:47)

US産エピックメタルの始祖と目され、いまだに多くのマニアから愛されるバンドの4枚目。今作にはMETAL BLADEのブライアン・スライゲルの名前もなく、前作から5年のインターバルと苦しい台所事情も見え隠れしているが、バンドサウンドは今まで以上に洗練されたものに舵を切っており、その流れはアーサー・ブラウンの③やプロフェシーの⑥など、毛色違いのカヴァーを放り込んだが、成功とは言えず聴き手に混乱を及ぼしそうな選曲が全体像をぼやかしていると思う。
そういう間口を広げたことがマイナスに働いているのかで評価も分かれるが、MANOWARとは違うスタンスでエピカルメタルを表現したからこそ、カルトメタルの勇者と祀り崇められてた面があるだけに、個人的には残念極まりない音楽性に落ち着いたと、かなり面を食らいましたね。
ギターの音も質感の違うものとなり、全てが刷新したという印象を与えたかったのだろう。通常、バンドとしての成長というか、音楽性を進化させたのは非難に値しないはずなのに、コアなスタイルを走ったバンドであるが故の苦悩、マニア筋を裏切る形になったのが悔しかろう。しかし、前作から5年もアルバムリリースに繋がらなかったのは、あのスタイルでは売れないというのが当然の結果。今となっては、それを踏まえ奇妙な個性を抑え大衆性を纏ったことがファン離れに繋がり、一般層からも受け入れられないとは、なんとも因果なものである。

マニア度にメリハリを持たせ前作以上に聴きやすさが上がった一品。入門編としては、今作の方が正しいが、ガッツリのエピックメタルから訪問された方なら1stから行くべきでしょう。③と⑥飛ばすだけでもだいぶ印象は変わりますけどね。


CIRITH UNGOL - One Foot in Hell ★★ (2020-05-16 14:51:54)

前作同様ブランアン・スライゲルの助力を受けリリースした3枚目。ENIGMAとの契約もあったのか、METAL BLADEと両方から同時期に出ているのがややこしいが、3枚目という事もあり勝負を賭けた一枚。それだけに前作よりも更に洗練度もアップ、楽曲にメタリックな要素や勢いも増し聴きやすさが倍増と、これでも相当メジャー感が上がっているのが恐ろしい。
70年代初期から活動していた筋金入りのバンド。最初はエピカルなスタイルではなかったと言われているが、NWOBHMの台頭に対する米国の答えとも言われる、サウンドを披露してきたが、初期の頃に感じさせた魔術的な響き、あの胡散臭さを引き換えに手に入れたのは、より広い意味で語られるメタルサウンド。それでもエッジのないフニャチンスタイルは健在、四畳半一間で繰り広げられた一代メタルファンタジーからの脱却とはいかず、このバンド特有の薄っぺらいサウンドメイクを引っ提げているのが面白い。
ギターの質感とってもメタリックにビルドアップされているし、順当な成長は多くのマニアにとっては称賛に値するのに、一部のマニアから不満の声が上がった言うのだから、恐るべしカルトバンドである。新しい個性とサウンドを手に入れた元祖US産エピックHM/HRバンドの出世作。どんなに現代的な要素を盛り込まれようとも、それらを無意識のうちに拒む姿勢に、このバンドの美学を感じます。こうして時系列で改めて聴くと、折衷したんだよなぁである。


CIRITH UNGOL - King of the Dead ★★★ (2020-05-16 13:42:57)

US産エピックメタルバンドの2nd。まずソングライティングに影響を及ぼしていた主要メンバーのグレッグ・リンドストロームが脱退。置き土産は残しているが、彼が抜けたのは間違いなく今作の方向性に影響を及ぼしており、色んな意味でバンドの個性が薄まっている。その反面、バンド自体はスケールアップに成功、前作にあったシッケシケのカルトサウンドを幾分、メジャーなフィールドに放り込み、MANILLA ROADなどに見られる裏街道を歩くマイナースタイルなので、大衆性とは無縁だが聴きやすさが上がっているのはポイントだ。

ギターもジェフ・フォーグル一人になったがジリジリとした古臭い音色は、まさにNWOBHMを通した70年代的音像、そこにメタリックなリフを絡ませたのが、今作のシケシケ感を薄ませている要因、その辺りに懐かしさというのか、バンドの個性というのが薄まり、独特の感性に惚れ込んだマニアにとって寂しさもあったりするも、今は亡きENIGMAからのリリースというのが、その辺りの改善に少なからず影響しているだろう。
媚びを売らないオリジナルティを追求する姿勢、その何物にも属さないサウンドは、大胆不敵に回り挑発、恐れ知らずのカルトスタンスは、仰々しいほどのドラマティックな展開を用いり、自分たち流のエンターテインメント性を披露。整理整頓された音は、古典を踏襲しているからこそ、説得力も増している。濃密な⑥からバッハのカヴァーも、このバンドのドラマ性を物語るもの、そしてバンドのテーマソングに流れる展開に、様式美を感じますね。

風呂無し共同トイレのボロアパートから引っ越しをした半地下カルトメタル大将、今回も走り出しませんが、前作よりは勢い増し、1984年という時代に裸一貫で飛び込んだ心意気は大いに買いだ。個性は薄まったが確実にスケールアップした今作、順当な成長と評価するのが一番だろう。


THE RODS - The Rods ★★★ (2020-05-15 13:57:44)

『西のY&T、東のTHE RODS』と評されたのも有名なエピソードですね。ニューヨーカーらしい冷めた感性と、焼け付くほどにホットなエナジーが漲る正統派サウンドを披露。クールな①で掴みはOK、その次に登場するのがキャッチーなリフレインが耳を惹く②と続き、出オチで終わらないように名曲を連発したのが強い。クールダウンと言わんばかりに渋めのミドルナンバー③を挟み、これぞロックな黒っぽさもある④と続く展開も試聴感の良さに繋がり、このバンドの本意気度がグリングリンに伝わってきます。ポッとでの新人バンドではないキャリアに裏打ちされたプロ志向の賜物なんだろうが、今聴いてもグッと熱いものを込みあがらせる。

力強さのみならず渋めのトーンで酔わせたディヴィッド・ファインスタインのプレイも秀逸。低迷期とも言われるアメリカンハードシーンを支えたバンドの底力を堪能できますね。


Y & T - Yesterday and Today ★★★ (2020-05-15 13:34:17)

デビュー時はYESTERDAY AND TODAYと名乗っていた西海岸を代表する魂を込めたサウンドが人気の本格派グループ。Y&Tと名乗ってからの方が洗練度は増しているが、ここで聴けるスタイルも同系統に連なるもの、英国譲りの叙情的なフレーズなどUFOにも似た印象を与えるが、スローナンバーなどで聴けるメニケッティ節に感動、歯ごたえのある曲のみならず、この手のエモーショナルな曲に情感を込めまくり、泣かせるのが上手いバンドだった。
凄腕ドラマーも、楽曲によっては大人しめのプレイもあるが、レイナード・ヘイズここにありな手数王ぶりを発揮、美味しいオカズを連発、ドカンとパワフルに叩きバンドサウンドを底上げ、いい意味でのワイルドかつラフな空気を生み出している。
今の感性では驚くほど、シンプルな音作り。過度なオーバーダブなどない実力をがそのまま反映されるプレイ。その勢いと一体感は、実力がないとプロにはなれないと証明。昨今のライブでの再現不可能な情報過多に陥ったテクノロジー満載のサウンドとは一線を画す本格的なハードサウンドを繰り広げています。超絶テクニック志向のバンドでなくとも、これくらはい出来ないと話にならないのがプロの世界なんですね。今の若い人にこそ、聴いてもらいたい音楽ですよ。
録音をせーので音入れしているようなライブ感、そしてインプロ中心のギターソロ、これがロックだよなぁという仕様は、今だからこそ新鮮に耳に届くでしょうね。


CIRITH UNGOL - Forever Black ★★★ (2020-05-12 19:04:22)

昨年、ライブアルバムをリリースしてマニアを歓喜させたUS産カルトメタルバンドの復活作。通算5枚目にあたるアルバムであろう。のっけから特濃エピカルサウンドが展開、絶対に走り出すことのないヘヴィネススタイルに、耐性のないマニアは恐れおののくでしょうね。
この復活は単なるノスタルジーの再興ではない、現役としての威厳がある。このスタイルを極めんとする男たちによる、紛うことなき世界観を演出。70年代のJPからの影響も滲ませる米国産ブリティッシュロックの濃密さに、改めて唸らされました。もはや伝統芸のとも言える、唯一無二の音楽性、独特の静かに跳ねながら、うねるアンサンブルの不穏なる奇妙な響き、地下で蠢く魑魅魍魎の如く這いずり回る音色に、こちらの神経が逆なでされ不快感もMAXだ。
この背徳的な美意識、何物にも属することなく、己が信じた道を突き進むからこそ、成し得た境地だろう。マニア度が高いし、大衆性もゼロ。あまりに媚びを売らないため、どこに需要があるのかと心配になる音だが、これを待ち望んでいるマニアがエピカルメタルの世界にはごまんといる。
今やパッケージ商品を売る時代ではない、デジタル配信なら実数も分かるし、余計な経費も掛からない。レコード会社のプレッシャーを受けることなく、やりたいことをやれる環境は素晴らしいことだ。
Metal Bladeの助力も当然あるが、今のテクノロジーを取り込み演出しただけに、過去の作品よりも厚みが増している。あのシケシケ感が好きな人には、少々寂しいかもしれないが、MANILLA ROADなどのUS産カルトエピックメタルを愛するものならマストな一枚でしょう。
主要メンバーたる、ティム・ベイカー、ロバート・ガーヴェン、グレッグ・リンドストロームの三人が揃った意味は大きい。それだけで歓喜するマニアも多いでしょうね。それにしてもアッパレな奴でしたよ。恐れ入りました。過去をなぞるだけではない、現役感を盛り込めたのが良かったですね。


FALCON - Falcon ★★ (2020-05-12 18:28:01)

Cirith Ungolの初期メンバーとして知られるグレッグ・リンドストローム、Destiny's Endのペリー・グレイソン、ドラムにダリン・マクロスキーの三人が集まり結成されたバンドの1st。亡くなったCirith Ungolのジェリー・フォーグルに捧げられた一枚というのがマニアにはグッとくる情報。
正直、レコーディングというのかデモ音源のライブレコーディング的な構成の為、全般的な緩さと甘さが漂い、思い出作りの一枚的なノリを醸し出しているのだが、⑥ではアメリカのサイケ/ドゥームロックの元祖的な立ち位置のBangの曲をカヴァー、おまけに⑦⑧はCirith Ungolの1stデモの音源を再録とマニア泣かせの選曲に、ついつい食指も伸びますが、シケシケエピカルサウンドではないCirith Ungol初期の音楽性故にコレクター商品という所でしょうね。

サウンドもソングライティングと担当する二人の思惑があり、⑥を境に音楽性の違いを感じさせるのも面白い。基本はペリー・グレイソンがギターにヴォーカルも担当と、彼のバンドと捉える方が正しいのだろう。詳しいバイオはサッパリなので割愛しますが、サイケ、ガレージ臭が漂う60年代後期から70年代へと向かう、あの時代のヴィンテージサウンドを目指しているのだろう。その本意気のなりきりぶりを楽しめるかが評価をわける最大のポイントでしょうね。

③では、Pentagramのボビー・リーブリングが客演してます。Cirith Ungolがバンドとしての個性を確立したのはNWOBHMからの影響だったのかぁとカヴァーを聴いて思いましたね。貴重な経験でした。個人的には、それだけでも価値ある一品でしたね。


9.0 - Too Far Gone ★★★ (2020-05-11 14:18:59)

シュラプネルとは何かと縁のあるピーター・マリノと若手ギタリスト、クレイグ・スモールらが中心となり結成されたバンドの1st。快活でアメリカンなノリから、チョイ叙情系のメロディアスなナンバーまで取り揃えた今作は、バランスに配慮されている好盤。やや音質的に深みに欠けた印象もあるが、ヴァン・ヘイレンタイプの陽気に駆け抜けるだけではない、歯ごたえのあるサウンドもあったりと、多方面から楽しむことが可能な一枚。このメジャー感と、ヴァン・ヘイレンもどきが、好き嫌いのどちらに転ぶかで評価も分かれるでしょうね。
いずれにしろギターは巧者、リフ一つとっても工夫があり、リズムの刻み方も、時代性に合わせ引っ掛かりのあるグルーブのスムーズに聴かせてくれる。ピーター・マリノの暑苦しい歌もうっとしいなぁという場面が多々出るのに苦笑いもあるが、そこに愛着を覚えますね。このあとバンドはどうなったのかは知りませんが、ベースのマイケル・アンドリュースはスティーブ・パーシーのArcadeに流れ、ドラムのレイ・ルジアーは、あのKORNで名を上げます。


AXEL RUDI PELL - Sign of the Times ★★★ (2020-05-11 13:41:32)

究極のマンネリズムを体感させてくれる時空を超えた様式美メタルの勇者。我らがアクセル・ルディ・ペルの最新作。昨年は30周年を祝うアニヴァーサリーツアーを行うなど大盛況でした。

SEからお得意の疾走ナンバーの流れらの、もはや伝統芸能。出してる音もモロにあれである。正直言って、ここ10年くらいのアルバムをシャッフルされて新作出たよと、言われても気が付かないような類似性満載の、アイデア流用アルバムである。灼熱のヴォーカリスト、ジョニー・ジョエリも押しの強い歌を披露と尚更であろう。
しかしじっくりと耳を傾ければ、今作は疾走ナンバーの配置もうまく機能、合い間にバラードやキャッチーな曲を散りばめ聴きやすく纏めている。濃厚な大作志向のミドルナンバーにいきガチなアクセルの悪い癖を押さえることに成功している。
しかし、あの世界観もアクセルなので、コクが薄まったと感じる重症なマニアもいるだろう。

もはやリッチーの路線を現代に引き継ぐ希少なアーティスト。これからも、この路線を追求してもらいたいですね。


BLOOD OF THE SUN - Blood of the Sun (2020-05-11 01:42:03)


ご指摘ありがとうございます。
私がコメントしたかったのは3枚目のアルバムで、こっちじゃないです。誤って記入したようですね。
こちらは未聴。私が知っているのはデレク・セント・ホルムズの歌っている奴。これじゃないっす(苦笑)
こうやって誤記入他にもあるのかなぁ。


AGGRESSOR - By Any Means Necessary ★★ (2020-05-10 16:36:49)

かつてマイク・ヴァー二ー主催のコンピ作『U.S METAL-UNSUNG GUITAR HERO VOL.4』に参加した実績のある、テキサス産のスピード/パワーメタルバンドが1992年に自主製作で世に出した1st。
自主制作故の音質の緩さ、その甘い輪郭と稚拙な面もそのままパッケージはされているのだが、時代に抗うが如きダークテイスト満載の不愛想極まりないUS産メタルサウンドを披露。遊びの少ないガチンココンクリートサウンド故に、耐性のない方には少々堅苦しく聴こえるだろう。また、高低を行き来するシアトリカルな歌い回しも苦手なマニアもいるだろうが、密度の濃いメタリックなサウンドは、真摯にこのスタイルと向き合い、ギミックなしの真っ向勝負を仕掛けることで独特の緊張感を生み出す事に成功。曲によってはエピカルなムードも漂わせ、説得力のあるパフォーマンスを披露している。

こういう作品に出合うたびにプロデューサーの存在感を思い知る。彼らも、もう少し大衆性を取り込み聴かせ方に工夫が出来れば感触も良くなるのに、力任せに踏んじ張るパワースタイル故の不器用さが評価を分けるでしょうね。歌い手も迷いを感じるし、力感のある楽曲はハマれば相当な緊迫感があるのに、おどろおどろしい雰囲気モノになったりと、アイデアの渋滞も感じたりと、損しているなぁと感じる。これは嗜好問題ですからねぇ、難しいところですが、自主制作とはいえ、フルアルバムまで漕ぎつけた自信を誇りが漲っているのは間違いない力作です。


Poison Arts - Hot Rod ★★ (2020-05-09 15:42:06)

前作にあったメロディアス志向を、よりパンキッシュな激情を被せストレートな面が増量された。情緒よりも乾いた感性ということなのだが、パンクなアグレッションとメロディアスさ加減が絶妙であり整合性も増した、それに曲調にバリエーションも出たため、聴きやすく纏めている。しかしハードコアパンクスならではの硬派さを醸し出しタフな色合いが増えたのがポイントだろう。
技術云々、レコーディング環境の良し悪しをものともしない、生き様そのものが音楽性となるジャンルの強み、明るくあっけらかんとならない、殺気立った部分が強いのもメタル系の耳を満足させるに十分な要素でしょう。


Poison Arts - Mystery Temptation ★★ (2020-05-09 15:13:11)

関東を拠点に活動していた国産ハードコア/パンクバンドが、あのエクシタシーレコードからリリースした4曲入りのシングル。門外漢も甚だしいジャンルなのですが、このバンドは、ギター、歌メロもかなりメロディアスな部分があり、特にギターのリードプレイなど口ずさめるほど、しっかりとしたラインを弾いており、いかにも日本人らしい情緒を感じさせる。
歌い手もパンク特有の威嚇するような食い破る噛みつきスタイルだが、キャッチーなメロディラインを歌い上げ、投げやりなパンクとは一味違う印象を受ける。
全般的に直情的なビートを刻むと思われる、リズムプレイもグルーブがあり下手なメタルバンドよりも、よっぽどノレる。後年、こういうメロディのあるスタイルを、ジャパニーズハードコアと呼ばれ海外でも人気があると教えてもらい、主食となるほど、のめり込む事はなかったのだが、日本人らしい情緒と刺激的なサウンドは、メタル系のマニアにも十分受け入れられる要素もあり、スラッシュ系との親和性もあり両面から音楽を追いかけてきたマニアなどの耳をたのしませてくれるのに十分だ。個人的には少々深みに欠けるため、今もって思い出の一枚で終わっている感はあるのだが、4曲、12分少々のランニングタイムは丁度良い尺であり、年一位で今でも聴きますね。


OZZY OSBOURNE - Ordinary Man - Holy for Tonight (2020-05-08 17:58:51)

オジー流ゴスペルナンバー
そこにチョイ足しブルージーなのが聴かせどころなのでしょう
歌モノに取り組むオジー
オジー特有のメロセンスも聴けます
聴けば聴くほど洒落たアルバムだなぁ


OZZY OSBOURNE - Ordinary Man - Today Is the End ★★ (2020-05-08 17:44:52)

メタルでもロックでもないオシャレな歌モノサウンド
それっぽい空気もあるけど
オジーの斬新な節回しが新鮮です
これか彼のソロなのだから
こういう歌モノがあっても良い
普段こういうオシャレロックを聴かないのでサビもむちゃくちゃ新鮮に聴こえる


OZZY OSBOURNE - Ordinary Man - Scary Little Green Men ★★ (2020-05-08 17:33:20)

出だしのトーンからオジー節炸裂
この明るい声が聴けるのは懐かしい
歌モノの合間に挟まれているので地味に感じるが残念
それにしてもこれが2020年のオジーなのか…
古臭いなぁ


ACID DRINKERS - Are You a Rebel? ★★★ (2020-05-08 17:09:56)

ポーランドを代表するクロスオーバースタイルのメタルバンドによる1st。レーベルは今は亡き英国のUnder One Flagからリリース。という事で出している音も完全なるスラッシュスタイル。完全に陽性なるファニーな面を前面に出しており、ポーランドのマイナー臭を消し去ることに成功。音だけ聞けばニューヨークのハードコアスタイルスラッシュ群からの影響も伺えるほど、練り上げられており、お国柄から滲み出る2線級のハンディキャップなど微塵も感じさせない完成度を誇っています。
ささくれ立ったリフワークからメロディアスなフレージングまで多彩にキメまくるツインギターコンビも切れ味抜群。良く動き回るベースも技巧的だし、タイトにソリッドなリズムプレイから繰り出される緊張感、その迫りくる切迫感を、面白おかしい歌詞を生かした親しみやすいファニーさを前に出すことで、音だけ聴けば無国籍のダイハードサウンドになのに、そこに丸みを帯びさせている。
賑やかで騒々しいお気楽メタルな空気を出しているが、突破力の高いリズムとリフのもつ殺傷力の高さに舌を巻きますね。手加減無用とばかりに、おちょくりながら聴き手の感性を抉りまくりますよ。
馬鹿っぽさも話題になったろう、特に⑧における歌いだしなど、アクセル・ルーズをもじったものだ。そういう感性もバンドの強みなんだろう。初期の頃だから味わえる癖の強いスラッシュサウンド、今なお歩みを止めずに、コンスタントに作品をリリースする、その実力の片鱗を味わってほしいですね。


APOCRYPHA - Area 54 ★★★ (2020-05-08 15:16:25)

シュラプネル系出身の凄腕ギタリスト、トニー・フレディアネリ率いるバンドの3枚目。順当に音楽性を進化させ深みがましたバンドサウンド。90年代を意識したヘヴィな作り込みを行っているが、前作同様重厚な作風は構築美溢れるテクニカルな展開も難なくハマり、初期の頃のスラッシーさも盛り込み前2作から良いところを抽出、少々複座な構成が増えたし、アメリカのバンドらしい不愛想さも顔を覗かせているが、成長著しいシンガーのスティーブ・プロシカの安定感のあるパフォーマンスを筆頭にバンドとしての一体感が生まれている。
スピード以上に、バンドとして追及するは革新的な音楽。オリジナルティを研磨するように完成度を高めているが、はやり、キャッチーさに欠ける音楽性故に、少々堅苦しいと感じさせるのが評価を分けるだろうが、逆にこれぞアメリカのヘヴィサウンドと言いたい。剛毅に打ち鳴らされるパワーリズム、そしてソロでは俄然色めき立つ、スピーディーなギタープレイと、押さえるところは押さえているので、シュラプネルサウンドを楽しみたいマニアなら、そのテクニックに酔いしれ没頭できるでしょうね。


SKYCLAD - The Wayward Sons of Mother Earth ★★★ (2020-05-07 16:35:36)

今やフォークメタルの元祖として崇められるバンドのデビュー作。元SABBATのマーティン・ウォーキーやSATANのスティーブ・ラムゼイらが集結。もはや風前の灯火とも言える、消えかかった英国のハードシーン最後と砦として結集。
中世ヨーロッパに倒錯した歌詞と、スラッシーな攻撃性を携えた音楽性、そして英国トラッド、フォークも取り込み大英帝国の威厳たる存在感を誇示。当時としては斬新なアイデアを盛り込みシーンに切り込んできた。
妖艶なトーンを駆使するラムゼイのギターはあくまでも刺激的、NWOBHMファイターとしての矜持をビンビンに感じさせバンドサウンドを牽引、そこにマーティンの感情をぶつける吐き捨てヴォイスが乗っかり、このバンドの独自性をアピールしてくる。

アホでは出来ない望みの高い音楽性、このあと、ドンドンと民族的なスタイルへと倒錯していくのだが、初期の彼らはよりソリッドで攻撃的なスタイルをとっており、彼の歴史的には、随分と違った感触を残すだろうが、このブリブリとしたベースやタイトに刻まれるドラムのソリッドな質感にメタルバンドたる魅力を感じます。

そして後の片鱗を見せた④にこそ、フォーク・トラッド路線を支持するマニアのハートを掴むのでしょうね。


WALLOP - Metallic Alps ★★★ (2020-05-07 15:24:54)

1985年にアルバムを一枚残し消えたジャーマンメタルバンドが2008年にCult Metal Classics Recordsからデモ音源を追加して復刻された一品。古き良きメタルサウンドを真っ当に引き継いだ音楽性は、先人たちの影響の影響も大。パープル、レインボーといったリッチーフリークも欧州的な発想そのもの、途中にクラシックからの引用やヨーデルも飛び出し、手を変え品を変え工夫を凝らしている。
全体的に輪郭の甘い音質とミックスの為に、その凄みは伝わらないがライブでは強烈な音を聞かせてくれそうだ。レコーディング直前にヴォーカルのステファン・ニーブリングが脱退、その穴埋めにミック・ウェガを連れてきて急場をしのいだと言われる今作。確かに歌い切れていない感はあるが、それ以前に実力が伴っていないという話もあるが、このバンドが短命に終わったのは、そういった事情もあるのかぁ、なんて思いを馳せながら楽しんでいます。

直情的に突っ込んでくるメタルビート、そのストレートな感情表現は王道を闊歩するスタイルそのもの、それだけに遊びはすくないが、欧州的な情緒のあるメロディ、いい意味でキャッチーな親しみやすさもあったりと、過剰にのめり込むことのない音楽性にノスタルジーを擽られます。ここで手数の多い派手なドラムをかましているのは、Grinder~Capricorn~Grave Diggerと渡り歩いた実力派のステファン・アーノルドです。

そしてマニアにとってはデモではオリジナルシンガーの歌も味わえる貴重な一枚ですね。


APOCRYPHA - The Eyes of Time ★★★ (2020-05-05 14:57:24)

新たにチップ・クロヴィアンが加わりツインギター体制へと変貌。音質もクッキリと輪郭を浮きだたせたことにより、各メンバーのプレイも浮き彫りとなりサウンドプロダクションにメリハリが生まれた。それにシンガーも、高音域を使うようになり前作よりも明らかに歌いこめており、そのロブ・ハルフォードを想起させるメタリックな歌い回しはパワーメタルサウンドに良く似合います。全てにおいてスケールアップしたバンドサウンドは、二本のギターが織りなすアクロバティックな高速ツインリードに彩られ色艶も倍増、そのいい意味での隙間が出来たことで聴きやすさも誘発、それでもって攻撃力は落ちるどころが、こちらも倍増と素晴らしい出来栄えを誇っています。
冴えわたる劇的なるツインリードが駆け抜けるナンバーなど聴けば、ギタリストならずともグッと惹き寄せられるでしょう。2作目にしてストレートなパワーメタル色とテクニカルな構成がバランスよくハマっている有望株のバンドに成長しましたね。


APOCRYPHA - The Forgotten Scroll ★★ (2020-05-05 14:29:07)

あのマーティー・フリードマンがプロデュースを務めた事で知られるベガス産のパワーメタルバンドのデビュー作。リリース元がシュラプネルですからね、勿論、ギターはテクニカルとお膳立ては揃っています。
重厚かつ陰りのあるサウンドは欧州的な匂いを発散、レーベルメイトだったCHASTAINあたりを想起させるスタイルだが、こちらの方がよりパワフルかつプログレッシブなスタイルに軸足を置いておりカチッとハマった時の一体感は、相当な迫力を有する。
その反面、分離の悪いサウンドプロダクションのせいもあり、音符に埋め尽くされた音圧の壁による閉塞感が生まれ、聴いていると肩がこるような堅苦しさが評価を分けるポイント。一曲、一曲のアイデアは悪くないし、ギターも巧者。随所にスリリングなプレイをねじ込み聴き手を煽ってくる。それに、一辺倒にならぬように少なからず、多彩なアイデアも用いろうと工夫しているだけに、その魅力を伝えきれていないのが残念。またシンガーも、中低音域を駆使して迫力をだそうと、少々おどろおどろしい歌い方に終始しており、画一性に拍車を掛けているのも気にかかる点です。

しかし、これがUS産の裏番長スタイルのパワーメタルサウンドだし、シュラプネル謹製のソロになると俄然光りだす、あの方程式は健在と、マニアなら必ずや満足していただけるお約束が満載です。


MOGG/WAY - Chocolate Box ★★★ (2020-05-04 14:58:59)

前作から2年のインターバルを空けてリリースされたプロジェクト名義第二弾。時代の流れもありセールス的に振るわなかったと言われる前作。今回はそれなりにヘヴィな音像も取り込みファットな印象も受けるが、それ以上に英国伝統の音楽性を真っ当に引き継いだ部分の方が強く、ラフさを巧みに取り込み情緒のある音楽性を披露。衰えを感じさせないフィルの歌声も艶を増し、ジェフ・コールマンもエモーショナルかつスリリングなギタープレイで魅了。前任者のジョージ・べラスとは違うアプローチなれどギター巧者ぶりを存分にアピール。
彼の味のある多彩なギタープレイにより、UFOの往年の作風と比較しても遜色のないクオリティを誇示。今が全盛期と思わせる充実ぶりを知らしめる結果となった。
これが1999年リリースでなければ、もっと話題になっているかと思うが、マイケル・シャンカーの呪縛は不治の病の如く浸潤、良質な作品をリリースしても話題にすら上がらないというのは残念な話である。結局、元サヤへと収まりUFO再始動となるため、今作はさらに記憶の彼方に葬りさられるだろうが、厚みのあるブルージーなトーンも操るジェフのギターは、このサウンドにバッチリとハマっている。
地味なフィル・モグの歌声が苦手な人も多いと思われる英国ロック。この語感やメロの乗せ方は欧米特有の感性、されだけに日本人の口に合わないのかもしれないが、英国ロック好きにはたまらない要素が満載。熟成されたベテランが醸し出す生身の人間によるロックなヴァイヴ、その人間力にグッと惹き寄せられますね。


MOGG/WAY - Edge of the World ★★★ (2020-05-04 14:02:03)

予定とおりと言えばよいのかミスター情緒不安定のマイケルがツアー中に脱退。もろくも黄金期のラインナップは瓦解することとなった。おまけに権利の関係でUFOと名乗れずにMOGG/WAYと名を変え新作をリリースすることになったがラインナップも含め、だれが見てもUFOの新作と捉える方が無難だろう。
花形であるギタリストの座にジョージ・べラスを抜擢。そのおかげで前作に漂っていた乾いた音像を一掃。英国特有の憂いのあるメロディラインが瑞々しいさに溢れ富んでおり、往年の姿を醸し出しています。フィル・モグも情緒のある歌声で潤いのある歌メロを歌い上げ、完全復活を印象付けました。それだけに、プロジェクト名義になってしまったのが悔やまれますが、ブルージー路線に不満のあったファンの留飲を見事に下げていますね。
それも後任の座を務めたジョージのギタープレイに尽きる。ネオクラ風味満載のソロとUFOサウンドの相性がこれほどとは思いもしなかった。かつてインギーに白羽の矢を放ったフィルでした。個人的に渋めのUFOにインギーなんて場違いじゃないのと思っていたが、こういう風に組み込まれるのは大正解でした。
速いだけではないエモーションを込めたジョージのギターに魅了されるでしょうね。


VICIOUS RUMORS - Digital Dictator ★★★ (2020-05-03 17:04:58)

ジェフ・ソープの相棒にマーク・マギーを迎え、不世出のヴォーカリスト、カール・アルバートが揃ろいバンド体制が強化された2枚目。その効果がオープニングナンバーから劇的に変化、ドラマティックかつパワフルなバンドサウンドを確立、ジェフ・ソープが本領を発揮したというところだろう。ドラマ性を高めるツインギターコンビの濃厚な絡み、メロディアスかつ攻撃的なギタープレイが研ぎ澄まさることにより破壊力も倍増と、力技だけではない技巧派ぶりも披露している。

もはやロブ・ハルフォードにも負けていないぞとタメを張れるカールのパワフルヴォイスが各段に音楽性へリアルティを導入、この欧州的な陰りのあるダークメタルサウンドとの相性は抜群の相乗効果を生み出している。2枚目にして威風堂々たる佇まいを醸し出したバンドの出世作。これぞヘヴィメタルの醍醐味が詰まっている。


LONDON - Non Stop Rock ★★★ (2020-05-03 16:43:17)

上での指摘通りL.Aの生き字引のようなバンド。ここから巣立っていたミュージシャンは数多くいれど、このバンド自体はビックになれなかった。では音楽性に魅力がなかったかと言えばそうではない。グラム系特有の毒気もあるが、リジー・グレイのギターは刺激的かつ荒々しいプレーで魅了、そのおかげで対比となるキャッチーなリフが俄然生きている。いい意味での荒さを伴った音楽性はパンキッシュな感性に彩られ、即効性も高く耳なじみ良く飛び込んでくるのだが、どこか聴いたことがある曲に思える個性不足が評価を分ける最大のポイント。リジー・グレイはいいギターを弾いるぞ。花を添えていますよ

クラブシーンで鍛えられたバンドだけに演奏は安定してるが、軽めのミックスも損している。躍動感のあるリズムとエネルギッシュな歌もあり、迫力はあるのだが伝えきれていないのが残念ですね。L.Aメタルの徒花。苦節云々ようやっとデビューに漕ぎつけたバンドが、一縷の望みを託した今作には、成功を掴み取ろうともがく若者の儚い夢のな刹那がある。


OZZY OSBOURNE - Ordinary Man - Under the Graveyard (2020-05-03 16:30:35)

やはりあの声が戻っていると思えるのが印象的
それがCG寅さんであっても
AI美空ひばりでも構わないと思えるかがポイントですね
ひねくれた我が身が憎い
いいPVなのにねぇ


OZZY OSBOURNE - Ordinary Man - Goodbye ★★★ (2020-05-03 16:27:45)

往年のオジー節が聴けます
それだけでファンは大喜びでしょう
タイトルだけ見ると感傷的ですね


OZZY OSBOURNE - Ordinary Man - All My Life (2020-05-03 16:22:43)

早くも2曲目は歌モノ
今のオジーらしいが
スタンダードな匂いを感じさせる歌メロがなんとも懐かしい


OZZY OSBOURNE - Ordinary Man - Straight to Hell ★★★ (2020-05-03 16:20:07)

骨太なギターを弾くのがスラッシュですね
無難ですが主役はオジーですので無問題
とにかくあの明るい声が戻ってきました
深みなど全くないペランペランの声ですが
この明るい声で歌い上げるから個性的なのです
技術的な部分ではなくキャラで生きてきた男
彼だと一発でわかる独特のトーンが聴けるオープニングナンバー
PV込みだと尚更たのしめるでしょう


OZZY OSBOURNE - Ordinary Man (2020-05-03 16:13:54)

前作から10年ぶりにリリースされた巷で話題の最新作。一応、オジーのラストアルバムとの触れ込みです。実は、最近まで92年以降のオジーの作品をほぼ、聴いたことがありませんでした。今作リリースを機に、毎日オジーのニュースがスマホに流れてくるので、そのしつこさに根負けして定額サービスを受けているSpotifyから視聴。予想以上に時流に乗ったサウンドと、もはやオジーじゃなくとも成立するスタイルに面喰いました。そして紆余曲折を経て辿りつたのが今作になります。

まず驚いたのがリズムセクションが、ファンキードラマーのチャド・スミスとパンク野郎のダフ・マッケンガイ、二度見ならぬ三度見でも驚きを隠せない人選、新しい血の導入としてアンドリュー・ワットがギター兼プロデュースという重要な役どころで登場と、もはや何が出ても驚かない下地の作品となっています。

昔の雰囲気も意識して出しているが、個人的には完全に加工製品である。例えるならAI美空ひばりだし、CGによる帰ってきた寅さんである。オジーの存在感を生かすようにバックの固める演者は控えめなプレイで堅実な仕事をこなしてる印象。AOR系やラッパーの後ろなら文句も言われないアンドリューのギターも、ここでは役者が違うよと言いたくなるが、それは過去のスタープレイヤーとの共演と比較しての話だし、方向性の違う人間に被せるのは可哀そうでしょう。この人選は、ギターソロなど必要ない時代の産物である。

ワタクシのように、時代遅れの野風増なオッサンには着いていけない面は多々あるのだが、往年のイメージを現代の感性によりハイブリットさせたのは、今のオジーのキャリアを考えれば大正解と言えるだろう。メタル云々ではない、多くのロックファンに向けての作風として道筋を立ててきたミュージックライフ。くどい様だが30年近くストレートなメタルをやっていないアーティストだ、ポスト・マローンがゲスト参加していても、全然驚きません。
むしろ、エルトン・ジョンとかスラッシュがいる方が不自然だったりするのだが、これもAI美空ひばり&帰ってきた寅さんオジーと思えば、全く驚かない。
個人的に、今のオジーなら生身の人間から醸し出されるヴァイブなど必要としない。全てが作りものの音楽性。打ち込みスタイルでも困らない。そもそもレコーディングそのものがテクノロジー任せだ。

機械仕掛けのオジーだが、近年にあった、がなりや唸りを止め、本来ある朗らかでライトな爽健美茶ヴォイスが戻ってきた。これもテクノロジーの賜物なら大歓迎である。個人的には何も入ってはこないのだが、近年のオジーに不満のあった往年のファンなら、お帰りオジーと歓喜の声を上げるでしょう。特に①③⑤の前半部分に、かつての姿を重ねることが出来ますね。

長きに渡り第一線で活動したオジーのラスト作は、スーパーギタリストを迎え入れた派手なものではなく、彼のキャリアを見つめ多くのファンをもてなす作風になりました。

個人的にはマックス・ノーマンとか呼んでさ、お祭りアルバムも聴きたいんですけどね。


OZZY OSBOURNE - Scream (2020-05-02 15:06:36)

新進気鋭のギタリスト、ガスGを招聘して作り上げた意欲作。オシャレロックサウンドに、不釣り合いなガスGのギターがねじ込まれると言う喰い合わせの悪さに、誰が得をして誰に聴かせたいのかと心配になるのですが、これが新時代のヘヴィサウンドというのなら少々中途半端な印象を受ける。またオジーの歌声も加工臭がきつすぎて、彼の魅力たる朗らかでファニーな声が生きていないと思うのだが、これは、前作もそうだっただけに、曲云々よりも問題である。多少は戻っている部分もあるのだが、がなったり唸ったりするのはオジーの本分とは違うだろう。

やはりオジーは、純然たるHM/HRとは違うフィールドに飛び込みロックンロールスターに上り詰めた。リアリティショーに出て、おもろいオッサンとなり若い人にも認知されオズフェスとなる一大興行を打てる大御所なのである。
時代に合わせ変貌を遂げる音楽性、それだけに今作は、狙いとしては正解だったのかと思わずにはいられない。禁断の果実に手を出したオジー。時代に合わせるという事は、新しい創造はおこなっていないという事である。80年にソロになり、1992年のアルバムを最後に、ヘヴィメタルとは縁を切ったオジー、あえて細かく分類するならば別のジャンルのスターである。どうせやるなら徹底的に振り切るべきであろう。名前で酔いしれるのは思春期までですよ。

しかしガスGは良いプレイを随所に見せている。


UFO - Covenant ★★★ (2020-05-02 14:47:33)

出たり入ったりを繰り返す、マイケル・シャンカーが復活してリリースされたアルバム。よほどポール・レイモンドが嫌いなんだろうなぁと女性誌並みの邪推を働かしOL張りに予想して楽しむのですが、音楽性はUFOらしい叙情性のある英国ハードサウンドが帰還。前作がわりとブルージーな路線だっただけに、オープニングから前のめりで楽しめたでしょう。

この時期のマイケルはとにかく精力的だった、アコギのそろなんか乱発していたもんね。マイケルらしい叙情的なトーンもあるし、全体的な楽曲もコンパクトに纏められ、マイケルのプレイは実に溌溂とした印象を受ける。やはりピート・ウェイとフィル・モグがいることで、ソロバンドの時のような責任の配分がバランス良く振り分けられているのが良いのだろう。楽曲も粒が揃い2000年リリースとは思えない古典的なスタイルに落ち着いているのが良かった。もともと地味目の英国ハードサウンド、ハーモニーを付けてフンフン歌わないロックンロールシンガー、フィルの歌唱スタイルは日本人にはうけないだろう。でもこれが英国ロックと言いたい。
そしてコンパクトな楽曲に変化を与えるのが豊潤なマイケル節だというのも堪能できる。ピートとエイズレン・ダンバーによるいぶし銀のリズムプレイも美味しいぞ。


HOWE II - High Gear ★★★ (2020-05-02 14:25:18)

シュラプネルから世に出た黒人ギタリストのグレッグ・ハウは兄のアル・ハウをシンガーに迎え結成されたバンド。以前、兄とバンドを組んでいたので、夢が叶ったというところだろう。タイプは違えど、ヴァン・ヘイレンタイプのノリのよいアメリカンロックを主軸に、グレッグのテクニカルなギターを楽しめる仕様。本来、グレッグはこういうギターを弾きたいんだというのが分かる。スリリングなプレイが多彩な色彩美を放ち滑らかに滑り出す、そのリフワークやソロにおける天才的なリックの数々も、既に片鱗を発揮と聴かせる部分が多い。
デビューソロが、少々退屈なネオクラサウンドだったけに、面目躍如というには十分過ぎるほどのプレイアビリティを披露する形となった。曲調に合わせ自然体で挑んだソロやバッキングプレイは当時としては確実に新鮮な空気を運んでいた。MR.BIGやエクストリームの成功前に、グレッグはグルーヴィーでファンキーなノリを存分に醸し出していた。ヘヴィでハードな正統的スタイルも残しつつ、彼の出時である黒っぽいフィーリングとの融合、そういう意味でも貴重な音源と言えるだろう。⑨では社長自らとジェイソン・ベッカーが客演と話題性もありますよ。


Ravage - Wrecking Ball ★★★ (2020-05-02 14:00:40)

RAVEGEというバンドは沢山ありますが(自動登録できんかった)、こちらはシカゴ出身の正統派HM/HRバンドがシュラプネルからリリースした1st。DDランドのスピーディーなギタープレイをフィーチャーした、欧州よりのパワーメタルサウンドは、US産の裏街道を走る硬派スタイルを披露。濡れているのに湿っていない光沢なまめかしい音像に懐かしさがこみ上げますね。リリースは1986年、日本でも受けそうなスタイルですが、雑誌の評価が箸にも棒にも掛からぬ50点を献上。
シュラプネル謹製のゴチャッとした分離の悪い音質も手伝い一部のマニアからも見放された感はあるのだが、パワーのある沸騰型ヴォイスの押しの強さと、躍動感のあるヘヴィグルーブの旨味は米国ならでは、そこにDDランドが、お得意の高速ピッキングをねじ込み、派手でワイルドなB級アクション映画のような親しみやすさがあり意外と聴かせてくれる。
どこか類型的なスタイル故に、その筋の音楽性に対する耐性がなければ直ぐに飽きてしまいがちな音楽性なのだが(スティーンブン・セガールの映画みたいな奴です)メロウなサウンドも盛り込んだりと山場を作っているのは好感が持てる。
こうして改めて聴いてもシュラプネル産のグループは、ギターソロが登場すると俄然、色艶が増す。その一点で最後まで持たせている感が強めなのが面白い。でもギターサウンドに興味がなければつまらないだろう。それが愛すべきシュラプネルたる所以だ。


RACER X - Street Lethal ★★★ (2020-04-30 20:51:55)

我らがシュラプネルから速弾きブームに終止符を打つようなニューギターヒーローが現れた。インタビューなどで公言していたLOUDNEEからの影響もあったりと、日本人のハートを掴んでいた印象が強かったポール・ギルバートが主役のバンド。イントロなどモロにLOUDNESSを想起させるものもあったりと、その強力なプレイの数々で当時のギターキッズをノックアウト。後年、MR.BIGを組んだ時の衝撃は計り知れないが、時代を読み取り成功したのは賢い。

当時、僅か10日程の日数でレコーディングをすましたと言われる今作。それでもポールのギターは十分なほど、勢いとスリルに満ちており、少々似たようなフレーズや先人たちの影響があったとて、そんな些細な問題を吹き飛ばすほどの目の覚めるような鮮烈なプレイで魅了してくれる。それに個人的には、確かにLOUDNESSに共通するような楽曲構成があり(高崎同様、テクニカルかつメロディアスなフレージングと、押せ押せのパワープレイが魅力的なリフの組み合わせは美味しすぎる)、スカッと行きたいときは、今でも手にしたくなる一枚です。とはいえ、ジェフ・マーティンの粗めの歌声は、楽曲を更に画一化することに拍車をかけていたりと、全体的なメリハリに欠けた面があり、ミックスや音質も含め改善点があるなぁと感じさせるのがマイナス。そういう不満はあれど、力技でねじ伏せるのがシュラプネルレーベルのお楽しみ。

どうしても、あのスリルに満ちたソロやスピーディーなフレージングの旨味に、全てを受け入れ許容させるのが魅力です。この音質も込みでシュラプネルなのだと言いたい。それにしてもポールは、このソロを何日間で録音したんだろう。スターってのは最初から、頭一つ抜きんでているんだな。


CULPRIT - Guilty As Charged ★★★ (2020-04-30 14:55:59)

シュラプネル主催のU.S. Metal Vol.IIにて、その存在を知らしめたシアトルの正統派HM/HRバンドの1st。良く動き回るベースと手数の多いドラム、濃厚に絡み合う2本のギターがメイデン風のある構築美の高い重厚なサウンドを披露と、味付けはかなり濃い目です。シュラプネルと言えばなスピード級ではない、プログレッシブな展開を導入したミドルナンバー中心の音楽性は、正にガチンコアメリカンメタルの真骨頂と言ったところだろう。
日本人好みのキャッチーさや情緒の欠けたスタイル故に、分かりやすさを求めるマニアには退屈極まりないサウンドとなるのだろうが、この愛想のないスタイルこそ、浮かれ気分でロックンロールなメタルバブル前夜のUSシーンだからこそ、成り得たスタイルと思え、必ずや我が国にも需要のあるシリアスなメタルサウンドである。一筋縄ではいかぬ濃厚さも、ハマれば魅力も倍増となかなかの聴きごたえがあります。
このバンド、今作を残しバンドは空中分解、TKOに流れたりとした為に、イマイチ認知度を上げられなかったのだが、ネオクラ量産工場と化す前のレーベルの多様性を知る上では貴重な音源かと思います。侮るなかれシュラプネル。どこかマイナー臭を放つレーベル成れど、スピード狂を満足させるだけではない懐の深さを味わってほしいですね。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - US Metal Vol II ★★★ (2020-04-28 21:08:54)

前作から間髪入れずにリリースされた若きギターヒーローにスポットライトを当てたコンピ作。
今回は参加メンバーが熱い。

DISC.A
①Wild Dogs - The Tonight Show
②Cinema - Rockin' the U.S.
③Exciter - World War III
④Culprit - Players
⑤LeMans - Waiting

DISC.B
①The Rods - Wings of Fire
②Mike Batio - The Haunted House
③Vixen - Angels From the Dust
④Virgin Steele - Children of the Storm
⑤Failsafe - Just Passin' Thru

オープニングはUS産スピードメタルの裏番長Wild Dogsの登場。②はマイク・ヴァーニーのバンドであり、ここでは彼がギターを担当と、彼が社長ではなくしっかりとしたミュージシャンだという事を知らしめている。③は、あのエキサイターがパワフルで派手な楽曲を披露と、やってくれています。B面の②はマイケル・アンジェロの登場です、当然の如く弾き倒していますよ。VIXENはマーティー・フリードマンが女性シンガーフロントに据えてのバンドです。彼の情緒のあるスリリングなプレイを堪能。ジョシュ・ラモスのLeMansもジャック・スターもいるぞと、前作から比べると勢いのあるバンドが多数登場と、資料的な価値も含め、作品のクオリティは格段にアップしています。やはり世に出るギタリストは、最初からそれ相応の技を持っているんだなと改めて確認させてもらいましたね。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - U.S.Metal Vol.I ★★★ (2020-04-28 20:38:51)

1. Chumbi - U S Metal
2. Exxe - Look into the Light
3. Gilles Melbin Assault - No Time
4. Whizkey Stik - Outta Line
5. Issak Newton - Damascus
6. The Rods - Gettin Higher
7. Greg Strong - The Snake
8. Reddi Killowatt - Liquid Lady
9. Lyle Workman - Code 3
10. Toyz - Rockin Disease

上記アーティストが参加したシュラプネルレコードの記念すべき第一弾の作品はギタリストに特化したコンピ作。
THE RODS以外は無名のバンドorアーティストの参加の為、詳しいバイオはさっぱりだが、パッとしないヘナチョコサウンドもスピーディーかつスリリングなソロが登場すれが俄然色めき立ち、なんとなく聴かせてくれるのが、シュラプネルの旨味だろう。今作も音質は良くないし、楽曲も微妙だったりするのだが、20代前半にして、自らレーベルを立ち上げたマイク・ヴァーニーの熱意を感じさせるプレイが詰まっています。良い悪いではない、メタルに対する愛、その熱き思いに聴き手は同調して、鼓舞されるのでしょうね。
この作品を皮切りに、第二弾リリースへ漕ぎつけたマイクの本気度と気概に胸打たれる一ファンとしては、忘れられない一品です。内容よりもシーンに新しいバンドと価値観を提示したシュラプネルの功績は大きいですよ。

こうして時を経て聴けば、⑨のインストナンバーのスリル、アイデアも豊富なインストナンバーの⑤からTHE RODSの⑥への流れ、パワフルなアルバムタイトルにもなっている①と耳に残るナンバーも多数収録、ポンコツメタルに対する耐性が出来上がったおかげで、懐かしさも込みで年1回は通して聴きたくなりますね。


WRAITH - Danger Calling ★★ (2020-04-27 18:58:37)

英国の5人組によるグラム系のHM/HRバンドの1st。一応はメインストリームよりの音楽性だろうが、一頃、巷に溢れかえっていたガンズクローンとはチョイと違う匂いを発散している。ソリッドで毒気のあるサウンドは、アメリカのバンドほど、明るくなってはおらず、そのどんよりとした音楽性は、英国のロックバンドだなぁという空気が充満している。プロデューサーにピート・ウェイとローレンス・アーチャーの名前がクレジット、この二人が、どこまで関与しているかわ分からないが、ここで聴ける古典ロックに根差した退廃的でルーズなサウンドと、投げやりなスタイルが絶妙な空気感を生んでいる。

その姿勢はThe Troggsのカヴァー⑤にも表れており、原曲に流れるトゲのあるポップサウンドを自分たちのモノにしているもが印象的だった。狙ってこうなのか分からないが、生々しく荒々しいミックスはいい意味でラフさを強めており、重量感のあるリズムとブレンドされることで独自性を高めている。個性的なサウンドではない分、こういう作り込みは正解と言えるだろう。
でもスッキリとしたミックスで仕上げても悪くないように聴こえる。ようは好みの問題ですね。


AIR RAID - Across the Line ★★ (2020-04-24 21:00:00)

ヴォーカルとギターのメンバー交代が勃発。音楽性はどうなるのかと危惧していたら、前作同様の古典ロックの再構築サウンドを披露。そのなりきりぶりに懐かしさも一杯なのだが、シンガーがザラついたハスキー系の声にチェンジ、その為に今まで以上に地味さというか無難さが増してしまい、いい意味で楽しめるはずのデジャブ感が、どうも悪い方に転んでいると感じるかがポイント。要するに、今までの世界観を踏襲した安定感のあるサウンドと取れるか、イキすぎた模倣が地味さに拍車をかけ無難すぎると聴こえるかで評価が完全に分かれるだろう。
この手のバンドあるあると言える、殻を突き破れないエアーポケットに迷い込んだ感が強めだと個人的に感じるのだが、随所にお約束の展開も盛り込み、この手の古典サウンドに飢えている、ある意味は、知りたいと思うマニアには必ずや一定の需要があるであろう。普遍的とは難しいものだ。果敢に攻めなければいけないが、適材適所で当てはめていかないと、ズレが生じてしまう。それでも一つのスタイルを徹頭徹尾に貫く姿勢が魅力の彼ら、その期待には見事に答えています。


DAMIEN THORNE - Wrath of Darkness ★★★ (2020-04-21 13:19:49)

オカルト映画の金字塔オーメンに出てくる悪魔の子ダミアン・ソーンの名前をバンド名にしている、イリノイ州出身のHM/HRバンドの2枚目。80年代の録音していたものを2001年にようやく日の目を浴びることとなった。
古いマテリアルであるため、2000年感は皆無だが、その闇に蠢く不吉なる存在、触れるだけで毒気に侵されそうな瘴気漂う闇夜のヘヴィロックサウンドは、シンガーのシアトリカルさも更に拍車が掛かり芝居がかったメタルサウンドを強く推し進めている。

かつてアメリカの地下で蠢いていたシアトリカルなダークネスワールド全開のメタルサウンド。その裏番長スタイルを徹底的に推し進めることで成し得た境地。音質は非常に悪いのだが、細部まで作り込んだ緻密な演奏、おどろおどろしさだけでは終わらないクールなアイデアを詰め込んだ④などを聴けば、このバンドの知的な才に改めて感心したものです。

蠢くメタルリフ、その豊富なアイデアにも驚かされるが、聴き手の感情を逆なでするような気持ちの悪いリードプレイ、その情感を蹂躙するメロディは地下室から聴こえる絶望的怨嗟のようだ。そしてのたうち回る強烈なリズムプレイは、焼け付くような粘着性を持ち込みドロドロと張り付いている。時には緩急のブレイクを繰り返し劇的な構成の根幹をなしているのだから恐れ入る。

お蔵入りの作品故に、完成度という点では物足りない、時折、首を傾げたくなるような場面がないわけではない。それだけにしっかりとした形での再リリースを求めたいのだが、この時代でした成し得ないという、如何とも表現しがたいパワーが内包されているのも事実。この闇の怒りと直訳できるアルバムタイトルが示す通りの、不穏なる暴虐性が、理性を蹂躙する不吉なるメタルサウンドに身を委ね、恐れおののくのが一番でしょう。


ROSS THE BOSS - By Blood Sworn ★★★ (2020-04-21 12:45:35)

近年はMANOWARの曲を再現するライブなどに注力していた元MANOWARのロス・ザ・ボスが8年ぶりにリリースした3枚目がコチラ。後半3曲のMANOWARカヴァー大会がボートらに収録されていますが、本編も正にMANOWARスタイル一直線。そのやりすぎ感に苦笑いも出ますが、本家がイマイチやり切れていない昨今、その代替え品としては素晴らしいクオリティを保持、むしろ本家を超えてきているぞと言える力が漲っています。その肉汁滴るホルモニックな濃厚エピックメタルワールドのこってり感に、耐性のない方はオープニングナンバー終了後には、胸焼けを起こしているかと思いますが、充当に、あの路線を踏襲しているので、はっきり言って清々しいです。あのフレーズは○○だよなぁとか、デジャブ感が逆に、このエピカル満願全席の味付けにメリハリを付けているのだから、このバンドのやり方は正解なのでしょう。正直、シンガーの断末魔ハイトーンのイキすぎに、チョイチョイ箸が止まって食事も進まなくなりますが、これも、味付けなんだとして楽しむしかないのですが、苦手な人はとことんダメでしょうね。

かつてはNew Metal Leaderというアルバムをリリースしたロス・ザ・ボス。結局は戻ってきましたね。懐かしさを愛でるだけではない新しさに期待したい。そしてAFMレコードは、この手の濃厚な奴が好きやなぁ。


EXODUS - Shovel Headed Kill Machine ★★★ (2020-04-20 17:27:10)

主要メンバーの交代劇を経て完成された新たなる歴史を刻む入魂の一枚。初期の頃の彼らにあった、明るいファニーな空気感を一掃。ひたすらアグレッシブでシリアスなメタルサウンドが爆進あるのみ、2005年という時代性も取り込みガチムチのニュータイプスラッシャーへと変貌を遂げた。
極限まで高めようとした暴虐性、シンガー交代も功を奏して、この音楽性にフィットしていると言えよう。もう少し遊び心や、明るめのザクザクリフが聴ける方が好みではあるが、過去の財産にすがらなくとも十分にやっていることを証明して見せた。
現役感バリバリの音、これがEXODUSの新章の幕開けであろう。


ALDIOUS - Evoke 2010-2020 ★★ (2020-04-19 15:03:40)

ヴォーカルがR!Nちゃんに交代(これでリンって読むのかな?)、その実力はNAMMショーで行われたステージで証明済み。YouTubeに速攻アップされているんだから、数か月遅れの紙媒体情報の限界を感じましたね。
前任者よりも明らかにレンジも広く柔軟、パワーもあり表現者としての正確性も高く、可能性を秘めたステージでした。

2010~20年までの軌跡を刻んだリメイクベストとなった今作の意味は大きい。ハードなバッキングの上にJ-POPよろしくなメロディアスサウンドが華麗に踊る、実に聴きやすい楽曲が売りのバンド。それは海外のマニアにも、独創性を感じさせるものだろうし、国内外問わず需要のあるものだと思う。
それだけにNAMMショーにおける新ヴォーカルのパフォーマンスには、大きな収穫となったであろう。

彼女たちのライブには過去2回参加した程度。新しいドラムになってからは一度も足を運んだことのないライトリスナーだ。音源も1stをライブの帰りに買ったくらいである。そんなワタクシでも、こういうバンドには頑張ってもらいたい。彼女たちはアイドルではない。楽器を持ちステージに立つホンマモンである。殺人的なスケジュールをこなすトラヴェリンバンドでもある。それだけに、こういう見た目にも麗しいバンドの成功を願わずにはいられない。
彼女たちには、ヘヴィメタルという偏見をなくすような魅力が十分にある。インディーズ時代を入れれば12年戦士の彼女たち、今後は彼女たちに影響を受けたバンドも出てくる。嬢メタルという、ある種の色物的なイメージすらも全て背負いこみ肥やしとて来たバンドサウンドの柔軟さ。世界がそうであるように、日本にもヘヴィなものを好む方が、ジャンル関係なしに聴く健全な土壌が欲しいものである。
ワタクシのような、かび臭いNWOBHMをシコシコと聴き楽しむ、オッサンには無用だろうが、彼女たちには可能性がある。今作には、歌メロの親しみやすさから誘発されるJ-POP臭、名ばかりのロックフェスが横行する世の中でも、彼女たちは違和感なく参加して爪痕を残すだろう。

新シンガーの加入によりドラスティックな改革に進むのか、より一層のハードサウンドへの深化を突き進むのか、ある意味、勝負への布石となる一枚だろう。単なるベスト以上の価値を見出せたアルバムでしたね。


Hibiki - Hands of Providence ★★★ (2020-04-19 14:47:39)

SABER TIGERの若きベーシスト、HIBIKIによるソロアルバム。シンガーに元SABER TIGERの久保田陽子を迎え作り上げたのはメロディアスかつハードな広がりのあるテクニカルサウンドを披露。
オープニングナンバーなど、往年のSABER TIGERにも通ずるような仕掛けの多いメロディアスHM/HRサウンドをもってきたりと、期待に答えつつ、多様性のある楽曲を用意。その場面展開の多さと色彩美豊かな楽曲は、どれもがフックに富んであり、マニアックな路線に突き進むことなく、幅広いファンに喜んでもらえるような柔軟さとミュージシャンとしての懐の深さを見せつけている。特筆すべきは、ソングライティング力の高さなんだろうが、一目でわかる久保田陽子の豊潤なメロディセンスが爆発。ノッケからラストまで、彼女のメロセンスのおかげで、どの楽曲にも瑞々しい潤いを与え視聴感を高めている。

正直、若手の中におばはんがいるなぁ感は拭えないのだが、彼女の存在はキーパーソンとなり、自然体の振る舞いというのか、当然のようにあるべき姿、その居心地の良さに安堵を覚えます。

ある意味、手堅い楽曲構成なのだが、参加メンバー皆のキャリアの結集とも言える、カテゴリーを超越しようとしたオリジナルティの研磨、メロディアスな楽曲を軸に、多様なコンビネーションプレイも用いり圧倒的な存在感を皆が放っている。
主役はHIBIKIだが、各自が役割を徹底してやり込むことにより、普遍的ともいえるロックへと歩み寄っている。硬軟交えた聴きごたえのあるリズムプレイ、そして派手に駆け巡るリードギター、しなやかで起伏に富んだ楽曲は、どれもが聴きごたえ十分です。それにしても久保田陽子さんは唄が上手いなぁ。


OZZY OSBOURNE - Black Rain (2020-04-14 14:18:39)

オシャレロックを牽引するキャラの立ちまくった男とオジー。正直、最近までNO MORE TEARS以降の作品をまともに聴いたことがない、これも定額制サービスなど、新しい音楽の楽しみ方の賜物なのだが、彼の特異なキャラを存分に生かし時代と真っ向から対峙している。
オジーが格式高いメタルサウンドをやっていたのは昔の話、彼のキャリアからすれば、オシャレヘヴィロック時代の方が長いわけだから、どのような路線になろうとも驚きはない。ここには、新進気鋭のプロデューサーと新しい事に挑んでいる。過去の遺物を引きずるだけではない、現在進行形の創造主としてオジーは君臨しているのだろう。
個人的には、どこを聴けばよいのだと思うが、はっきり言って今のオジーに対してはキャラのたったオジサン、ある意味きゃりーぱみゅぱみゅと変わらない存在になっています。それくらい現在のオジーを知りません。音楽にも触れていません。もっと突っ込んでいえばSpotifyなどで知る新譜のメタルバンドの95%は知りません。20年は雑誌を読んでいないので、時代遅れも甚だしい、浦島太郎オジサンなので、こういう音は本当に別の世界の話なのです。そんなタイムトラベラーオジサンとしては、オジーのキャリアも隠し味に、当時の音で勝負しているのが分かります。

オシャレヘヴィロックが好きな人ならば、大いに楽しめるサウンドでしょう。単に新しいだけではない、オジーのキャラを生かしているのが面白い。何事も中途半端は良くない、やるならばやり切るべきだ。

にしてオシャレロックだな。がなりもあるなぁ。ワシにはわからんアホじゃけぇである。


David Ellefson - Sleeping Giants ★★★ (2020-04-14 14:01:16)

Megadethのベーシストとして知られるデイブ・エレフソンのソロアルバム。厳密には頭4曲がトム・ヘイザアートらと作り上げた新プロジェクト。あとはF5時代のデモに未発表音源集となる。
後半に出てくる未発表集が渋い。ジョン・ブッシュの参加にデイヴィッド・グレンアイズリーの歌が収録とマニアなら、いろんな角度から楽しめそうなラインナップとなります。ジョンならハードなスタイルだろうが、デイヴィッドとくれば、どう攻めるのかと興味を尽きませんね。

オープニングのVolturesは今っぽさを補完したサウンドで幕開け、現役感バリバリのヘヴィサウンドで掴みはOK、ちなみにマックス・ノーマンMIXヴァージョンと明記されていますね。DMCがゲスト参加の②も続き、③ではクリス・ポーランドの名前を発見、曲調もいかにもデイブというような展開にファンなら思わずガッツポーズも出るでしょうね。

あくまでもコンピ作です。寄せ集め感が、徐々に漂いF5に関してはデモ音源ときました。これはクリスファンのお楽しみタイムといった趣も強いのでしょうが、正規ヴァージョンの違いを楽しむのが一番でしょうね。

ジョン・ブッシュが歌うIf You Were Godもメロディックな正統派ナンバーであり、この曲は④でもライブとして登場するので聴き比べて楽しめます。そのあとはデイヴィッド・グレンアイズリーの登場と彼のエモーショナルな歌声を生かしたメロウなサウンドの登場に、ニンマリさせられました。
Megadethのような尖りまくったサウンドと期待すると、後半に進むにつれ眠たくなるのでしょうが、デイブのミュージシャンとしての多様性に触れたいマニアなら大いに好奇心を刺激されたでしょう。早い段階から5弦ベースを操るミュージシャンとして名を上げた男。その生き様が投影された一枚。単なる寄せ集めではないと思わせる魅力はあるが、個人的には大好きな路線でも、デイヴィッドとやった未発表曲は毛色が違い過ぎで戸惑いますよね。