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BAND OF JOY - Band of Joy ★★★ (2019-08-13 22:34:32)

かつてロバート・プラントとジョン・ボーナムが同時期に在籍していた事でも知られるバンドの1st。オリジナルは1978、両者がいたバンドとして売り出したと言う事ですが、そんなネームバリューに頼らなくとも勝負出来る充実じた楽曲群に耳は持っていかれます。いかにも英国的な香りのするアーシーなサウンドは、ブリティッシュロックマニアの耳にビンビンと響くでしょうね。自己主張を怠らないが整合感のあるバンドサウンド、練り上げられた楽曲群をレコーディングされた賜物なのだろうが、優れた才能がぶつかりあるインタープレイの数々はバラエティ豊かなものとして鳴り響き、聴き手の好奇心を刺激し続けるでしょう。洗練されて滑らかなのに、どこか挑戦的な要素があるのは1stとしてシーンに対する野心の表れなのだろう。

どういう繋がりがあるのか分かりませんが、ロバート・プラントが2010年くらいに同じタイトルのソロを出した事でも有名ですね。真の英国ロックマニアなら知らない人はいないと言われるだけのクオリティはありますので、やんちゃすぎない大人のロックが好きな人にもススメたいですね。


BURNING RAIN - Epic Obsession ★★★ (2019-08-13 21:59:16)

DIOからWHITESNAKEへと羽ばたいたダグ・アルドリッチ。特にカヴァーディルからパートナーと迎えられたのは、彼にとっては安定と躍進の二つを手に入れた気分だったろう。Frontiers Recordsが絡んでの再始動。以前よりも分厚くなったダグのギターはワイルだかつセクシーだ。インプロ風味もましスリル感も倍増とカヴァーディルの横で弾いているよりも生き生きとしており、同タイプのブルースベースのHM/HRサウンドなのだが、こちらの方が自然体に鳴らされている分、素直に身体に入ってくる。古臭いタイプの楽曲なのだが親しみやすさの裏で隠し味程度のモダンさがあるのもポイント。渋系なのに、華やかだと思わせるのが狙いなら大正解だ。そんな中でへヴィでソリッドな③なども用意しており、今作の充実度も伝わる。‎小手先ではないベテランの凄み、その堅牢なるロックスピリットに共鳴しますね。


ACE FREHLEY - Spaceman - Without You I’m Nothing ★★★ (2019-08-13 21:41:54)

ジーン・シモンズがベースで参加
まんまKISSに聴こえますね
ポールの声が聴こえてきそうですねぇ
そしてエースとポールのハモリやハーモニーソロなんかも飛び出しそうな雰囲気が大です


ACE FREHLEY - Spaceman ★★★ (2019-08-13 21:39:31)

本家のKISSも終焉へのカウントダウンとも言うべき活動を行っていますが、スペースマンことエース・フレーリーはソロ活動40周年を祝うアルバムになるんだとか、その門出の祝に華を添えるのがジーン・シモンズの参加。久しぶりの共作もありと、話題性に一役も二役もかっています。古き良き王道アメリカンロック。大陸的なグルーブといなたいエースの歌声、そしてKISS風味満点のプレイと楽曲の数々、往年のエースフリークなら思わず身を乗り出す会心の出来栄えでしょう。お得意のペンタ系のソロもらしいしね。無駄を省いたアメリカンロックの旨味、リフ一つとってもらしさ全開の爽快感すら漂う。いい意味でのルーズさとコマーシャルリズム、その両面が互いを高め合い共鳴しているのも今作の優れた点であろう。

個人的に、この手のサウンドは熱心に聴くジャンルではないのだが、BGMには最適な手頃感がありハードなモノの合間に入れたくなる一品です。

KISSサウンドが好きな人は、ここまでエースがKISSを感じさせるのは初めてなので驚くでしょうね。意図して省いてきた過去の幻影。40周年を迎え、彼が辿りついた境地に興味があります。オリジナルの強み。彼の活躍に期待したいですね。


OUTRAGE - Raging Out - Doomsday Machine ★★★ (2019-08-12 20:57:24)

しっかりとした歌メロが耳を惹きます
獰猛な歌い回しもメロディを追いかけるからカッコいい
ベテランならではの落ち着きもあるが
大人げない若さも溢れている
アルバムのオープニングに相応しい勇猛果敢なアウトレイジサウンド
ワビサビもあるから手がつけられん
何度聴いても引き付けるねぇ


OUTRAGE - Raging Out - Wolf and Raven ★★★ (2019-08-12 20:54:25)

サイケな香りもする暴走ロックナンバー
これも彼らのルーツ
漢だねぇ


OUTRAGE - Raging Out - Heroes Falling ★★★ (2019-08-12 20:51:12)

挑発的な橋本の咆哮
雄々しいアウトレイジサウンド
泣かせのギターソロも含め大和魂を焦がす至高の国産メタルナンバーだ


OUTRAGE - Raging Out - Machete… ★★★ (2019-08-12 20:47:32)

パンキッシュでキャッチーなスラッシュナンバー
ノリが良いのでライブ映えしますね


RIOT CITY - Burn the Night ★★★ (2019-08-12 19:05:55)

輸入盤市場では早くも話題になりつつあるカナディアンスピードメタルバンドの1st。アルバムジャケ&バンド名からもニュアンスが伝わるがRIOT+JPといったスタイルを研磨したスピードメタルの数々はキレ、勢いともに申し分ない加速力を誇っており、その筋のマニアならニヤニヤとしつつも、ノリノリで楽しむ事が出来るでしょう。
こういうスタイルは皆がシェアするアイデアであり、その類型的なものをどれだけ似て非なるものに仕上げるかが重要なのだ。お約束の展開も外せばダサいだけ。それだけにツボを突いてくる展開にグッとくるものがあるでしょう。あまりにも80年代的なスタイルである為に、いささか下火になりつつあるNWOTHM群の一つに括られそうだが、このバンドはもっと自然な形で、このスタイルに落ち着いており、いい意味でのタイムスリップ感が最大の聴きどころ。8曲入りの40分を切るランニングタイムにしたのも大正解、そのおかげでにダレる事無く一気に聴かせているのも好印象。小気味の良い楽曲が威勢よく連射される度に、メタルってこういうのが美味しいんだよなぁと呟きたくなるでしょうね。
リリース元はNo Remorse Recordsですから、気合いに入り方が違いますよ。リアル古典HM/HRの上手さを巧みに取り込んだ一枚。勢いだけではないメタル特有のドラマ性を残しているのも、これまた魅力ですよ。


MAGIC DANCE - Vanishings ★★★ (2019-08-10 20:40:50)

Vo.G.Keyと何でもこなすマルチプレイヤーのジョン・シーカによるAOR調のロックアルバム第2弾アルバム。自主製作盤ですからね、全般的に緩めのサウンドワークですが、ジョンの唄と甘く切ない曲調は相性も良く、個性が薄い分、万人に親しまれる要素も大と、メロディ派のマニアなら大喜び出来そうなクオリティを保持と、プロ仕様のCD-Rで売りさばくんじゃないよと言いたくなるような煌びやかな一枚だ。
このクオリティならば名門Frontiersあたりと組めば、全てが向上した素晴らしい作品が出来上がるぞと思っていたら2018年に見事、両者がタックを組む形となった。そういう意味でも、今作の果たした役割は大きい。今では大手のサイトから音源も入手可能だ。打ち込みなんて気にしない、甘く切ないメロディと高揚感、ソフトな口当たりに胸キュンしたいと思う歌モノマニアなら手を出しても損はしないでしょう。一人でやっているんで大目に見てね。


MEPHISTOPHELES - Hide and Seek ★★ (2019-08-10 20:25:10)

再始動後も紆余曲折はあったが精力的な活動を続けるベテランバンドが2018年にリリースしたアルバム。プロデューサーに岡垣正志を迎えERASERHEAD繋がりも見せているが、80年代のマテリアルからの脱却を果敢に取り込んだ意欲作として好意的に受け止める事が出来るでしょうね。若いメンバーを従え、新しいエッセンスを恐れる事無く取り込んだ梅原の気概。
モダンに成り過ぎないが古臭いままで終わらないと言うのは、バランス的に難しい。へヴィメタルでありながらもヴィジュアル系アーティストを奇をてらう事無くゲスト参加させたのも、新規開拓としては大正解だ。
どの時代が心に刺さるかは趣味趣向の問題。現役感を振りまき活動を続ける事が大切ですからね。


NAZARETH - Tattooed on My Brain ★★★ (2019-08-10 20:07:45)

看板シンガーを失ったのはバンドとしてかなり苦しい事態となった。ダン・マッカファーティーの声はそれだけ個性的だったのだが、その後任に器用な男であるが、名前を売りきれなかったカール・センタンスの加入により難を逃れたのだが、正直、オリジナルアルバムをリリースする前にバンドを去る運命にあると思っていた。良くも悪くも器用すぎるが為に印象に残らないと言われ続けたカール。正直②など聴けば、いつも通りのイメージを受けるのだが、何度も聴くうちにカールの上手さが、バンドの新しい顔としての柔軟さを加味させたように感じられ、③のような活きの良いストレートなナンバーを聴かされると、コチラもノリノリのご機嫌様に早変わりさせられるから不思議なものだ。
息の長いバンドの中で同じシンガーが務めるケースはレアだ。それだけに、ダンの病気による離脱は如何ともしがたいピンチだったが、カールのおかげで見事に乗り切った。今も精力的に活動するバンド。急場凌ぎではないカールの安定感はバンドに新たなるエナジーを注入。変わり映えのない泥臭いハードブギーに、今の洗練度を加味させる事が出来た運営にも注目だ。
英国産のハードブギーって何?とか思っている若い人にも手に取りやすい一枚であろう。個人的にも、これもナザレスだと大いに思わせる会心の力作だ。


人間椅子 - 新青年 - 無情のスキャット ★★★ (2019-08-10 19:54:19)

彼らの出で立ちと音楽性は海外でも着目されそうな要素はある
この曲は近年の彼らの姿を凝縮した一曲だ
そしてこれをリーダートラックにしたのが彼らの気概
昨今の人気に溺れ売れ線志向など微塵も感じさせない個の強さを猛烈に感じる
シャバダバディアダダッダァってのもカッコいい
鬱積さいなむ心の咎
へヴィでミステリアスな人間椅子サウンドに仕上がっている
巧みな場面展開を行い飽きさせる事無く8分超えの曲を聴かせている
クールジャパンな一曲であろう


SACRED RITE - Sacred Rite - R.I.P. ★★★ (2019-08-10 19:34:54)

ドラマティックなパワーバラード
有名になりきれなかった男達だが
質の高さは折り紙つきだ
今なお伝説と語られる初期US産正調HM/HRバンドの真骨頂を味わえる


SABRINA - サブリナ - スレイヴ・イン・スター ★★★ (2019-08-10 19:20:11)

ギリロックフィールドに踏みとどまっている哀愁の歌謡ポップロック
調子の悪い時は全然聴けません
ギターのヴォリュームを下げれば80年代のアイドルが歌っていてもおかしくない?
その緩さを受け止めれるマニアならキュンとなれるでしょう

回れ回れ星・スレイヴ・イン・スター ってサビは耳に残る
アイドルの疎い自分には
そういうイメージが強い


SABRINA - サブリナ - イマージュ ★★★ (2019-08-10 19:14:49)

中島のキーボードをバックに歌い上げるバラード
スケールの大きいイメージも抱かせる曲調は
色んな意味でアニメソング的なニュアンスが強い
プレアニソン系女子とも言える一曲
中島の進んだ道を考えると余計にそう感じる
田中志摩子さんにとっても大切にしたい曲であろう


SABRINA - サブリナ - デンジャー・ナイト ★★★ (2019-08-10 19:06:04)

アルバムの中では出色のハードエッジな疾走チューン
高橋彰こと小柳彰史(元アンセム)の面目躍如
田中志摩子さんもピッタリハマっている


CRASHDIET - The Unattractive Revolution ★★★ (2019-08-06 21:06:08)

シンガーでもあり中心人物でもあったデイヴ・レパードが自殺と言う最悪の道を選びバンドは一旦消滅。その後や遺族や関係者の後押しも手伝い、後任にRECKLESS LOVEのオリ・ヘルマンを迎え再始動。
類似性の高いバンドからの加入だけに違和感もなくバンドに溶け込んでいる。前作同様、何を聴かせたいかを明確に示せるバンドの強みを前面に押し出しラフでワイルドだがメロディアスでキャッチーと言う離れ業を披露。いい意味でのごった煮感がエグイぞ。その闇鍋サウンドは、何が飛び出すか分からないスリルは無く、皆が無難な食材を選んでくれたおかげで美味しいものになりました。
新しい刺激は無いが、毒気とケバさの中にある健康さもバンドの魅力となり響いている。個人的には国産バンドのプレゼンス+リアクション+北欧風味120%のように聴こえて面白かった。

この時代からリバイバルブームも巻き起こり、グラム系も息を吹き返したのだが、正直、我が国にも優れたバットボーイズ、グラム系のバンドは沢山いたので、興味のある方は、そちらも攻めて欲しいですね。若い人はオジサン達ほど、舶来至高でもないだろうし、そもそも外国のバンドの方が上だと言う先入観もないでしょう。だからこそ、こういうバンドが入り口なら違和感なくイケると思いますよ。何故かと言うと、実に安全運転なロックだからです。このキメの細やかさも相通ずるものがあるのでね。


CRASHDIET - Rest in Sleaze ★★★ (2019-08-06 20:55:04)

ラフでワイルドだが色気のあるポップセンスをねじ込む事で発生するケバケバしい毒気、その猥雑さにロックのもつ中毒性も高まるのだが、先人達をお手本とした音楽性に、驚くような展開は無いが、正攻法で迫ってきた清い姿勢は大いに支持できる。
明確なメロディラインを持つ歌メロ、派手なサウンドを司るギターワークも鮮烈な印象を与える。そしてツボを押さえたアレンジが効果的に機能と無理と無駄を省いた展開はデビュー作としては申し分ない。北欧版のプリティ・ボーイ・フロイドってとことなのかな?このバンドの方が芸が細かいので聴き応えは十分にあるぞ。
ヘアメタル、グラムロック、そういう言葉に引っ掛かるマニアなら聴く価値は十分にあるでしょう。死んだから神格化されてしまった感があるのだが、粗さの目立つ唄も、こういう胡散臭いロックにとっては、逆に魅力を倍増させるんだから不思議なものだ。


NORDIC UNION - Second Coming - Walk Me Through the Fire ★★★ (2019-08-06 20:37:34)

大人が聴いても恥ずかしくない骨太なハードサウンドと哀愁美
大げさにならずとも感動を運んできます
速いだの音がデカイだのが重要な方には無用なサウンドでしょうが
こういう普遍的な魅力に富んだ一曲を聴き
熱い夏に身体をクールダウンしつつロックな感性を燃やしたいですね


CREYE - Creye ★★★ (2019-08-06 20:31:53)

バンドの中心人物たるギタリストでありメインソングライターでもあるアンドレアス・グルストランドのプロジェクトバンドと言っても差し支えない彼らが2018年にリリースした1st。
今作からシンガーの座に、ALIENでお馴染みのジム・ジットヘッドの息子、ロビンが歌入れを行うなど、デビュー作としては申し分ない話題性もある。そのおかげで聴く前からの期待値も高まりますが、キーボードのジョエル・ローニングのプレイを前に出しつつも、ギターと互いを高め合うような絡みを魅せアンサンブルを強化。ともすれば薄っぺらになりがちなAOR風味満点の歌モノロックの中に、楔となるドラマ性を大導入、ツボを押さえた展開と壮麗なメロディに涙腺が緩みますよ。

また外部ライターも招聘、その成果はてき面に表れ、北欧ならではの爽快感と甘美な陶酔感を味わえるメロディアス路線を極めています。その充実度はデビュー作として申し分ない出来栄えでしょう。とはいえ懐古主義のノスタルジックサウンドじゃないかと言われると、返す言葉も見つかりませんが、北欧ブランドを支えた叙情派ハードポップサウンドを現代的な感性を加えアップデートしたサウンドは、古さに埋没する事無く今の時代の鮮度を保っています。若い人にも訴求する魅力を携えているが最大のポイントでしょう。このバンドが契約しているのがFrontiersだもん。間違いは起きませんよね。


CREYE - Straight to the Top ★★★ (2019-08-06 20:14:10)

2017年に無料配布されたプロモ用の3曲入りEP。輸入盤屋などで手に入れたラッキーなマニアも多いでしょう。ここで聴けるサウンドは、スウェーデン出身のバンドらしいAOR風味満点のメロディアスHM/HRサウンドを披露。しかもロバート・
テッパーの名曲『No Easy Way Out』を収録とマニアにとっては期待を裏切らない選曲と展開に、思わず笑みもこぼれるでしょう。バンドと呼べるほどメンバーも固定されていませんが、ギタリストのアンドレアス・グルストランドを中心に動いているようです。ここで美声を披露するのはArt Nationのアレクサンダー・ストランデル、彼のエモーショナルかつホットな歌声は、清涼感たっぷりの叙情派サウンドに、疾風の如くギラリと駆け抜けていきます。
キーボードをフィーチャーした、お約束の北欧スタイル。歌モノロックが好きな方なら満足する事間違いなしの安定感がありますよ。
ちなみに現在の彼らは今作を経て、晴れてFrontiersとの契約を勝ち取る事に成功。2018年にフルアルバムをリリースしています。そこで歌うのがマニア心を擽る人物です。唄うはALIENのシンガーだったジム・ジットヘッドの息子、ロビン・ジットヘッドですよ。そんなもん買うにきまってんじゃん。と心で叫んだマニアは多いでしょうねぇ。ズルイ人選ですよね。


URIAH HEEP - Look at Yourself - Tears in My Eyes ★★★ (2019-08-06 01:46:44)

ナナナナナナーに飽きてきたところで
ミックのワウギターとケンのスライドが濃厚の絡み出してからテンションもグイグイ上がります
この曲は途中で投げ出さす最後まで聴いて欲しいねぇ


WHITESNAKE - Lovehunter ★★★ (2019-08-06 01:38:10)

スライドギターがエエねぇ
ファンキーなブルースロック
若々しいがカヴァーディルの声は成熟していると思わせるのが素晴らしい


NUCLEAR SIMPHONY - Lost in Wonderland ★★★ (2019-07-31 12:29:35)

イタリア産のテクニカルスラッシャーによる1st。トリオ編成ならでは最小限に演出された展開は、緻密な要素が強く構成力の高さに唸らされます。オープニングから、少々アイデアの拝借もあったりするのだが、スラッシュ由来のドラマ性と攻撃性、無駄流れを感じさせないクールさ、それらを飲みこんだ威圧感はスラッシュマニアにとっては頼もしく映るでしょうね。

時代的に雨後の筍のごとく氾濫したスラッシュ勢、国内盤もテイチクから出ているが大きな話題になる事無く消えてしまった。次の一手がなかったと言うのも消えたスピードの拍車を掛けているのが残念。無名だから云々言われそうだが、リズムの乱れもないし、プレイ全体から漲る迫力はデビュー作をは思えない充実感を誇っている。古典を踏襲した旬な音だから、説得力と厚みがあったのも好印象だった。


VIOLENT FORCE - Malevolent Assault of Tomorrow ★★★ (2019-07-31 12:08:42)

オープニングからMOTORHEADやVENOMばりの暴走R&Rで幕が開けるジャーマンスラッシャーの1st。その手の埃っぽい暴走スタイルで勝負を掛けるかと思いきや、②以降はキレキレのスラッシュナンバーが速射砲の如く打ち鳴らされる。合間に正統性の強いインストを放り込んだりと、NWOBHMを何倍も過激に演奏される楽曲は聴き応え十分。いい意味で粗削りな感触が残っているのも個人的には好印象。欧州的なクールさと加熱するアグレッション、全体的に漂う暴力的な野性味が聴き手を鼓舞するでしょう。草食系男子?肉を喰らえ肉を!そんな音がテンコ盛りでしょうね。

こうして改めて聴くと、毛色の違う①はアルバムのイントロ的な立ち位置だと思えるし、初期スラッシュバンドならではの多様なスタイルが詰まっている。スラッシュバンドからの影響以外も色濃く溢れているのが印象的だ。

刻みまくるリフはスラッシュならでは、その中に叙情的とも言えるスピーディーなソロパートを持ち込むギターワークの旨味、じりじりとした焦燥感を煽りまくるリズムプレイの盤石さ、スラッシュメタルの攻撃性を見事に補完している。アルバム一枚を残し解散した為に、今や忘れ去られた存在だが、2007年にポーランドのMetal Mindからリマスター再発。そして2018年には
High Rollerからも再発されていますので、ベイエリアとは違う欧州ならではの真骨頂を味わって欲しい。


TOKYO YANKEES - Pre-Emptive Strike ★★★ (2019-07-31 11:29:46)

X-JAPANの子分的な立ち位置でデビューを果たした暴走HM/HRバンド。そのド派手なメイク姿は、ヴィジュアル系そのものだったのだが、音楽性が本格的なものであったが為に、ヴィジュアル系ファンからはウケが良くなかった。それでなくとも狭く洋楽至上主義が多いメタルシーンでは、このバンドなど見向きもされなかったのが実情だ。本当に難しい問題である。

ヴィジュアル系と括られる事でメジャーデビューも果たしが、バンド内の運営は順風満帆とはいかなかった。そんな苦悩の中で辿りついたのが、今まで以上にマッシブでタイトなサウンドを手に入れる事となる。ここには、色眼鏡で見られるような変な色気は微塵もない。ダイハードな男達がガチンコの暴走HM/HRサウンドで勝負を掛けてきたのだ。
今まで以上にタフな声を手に入れたUMEMURAの成長には驚かされる。兄弟分のユースクエイクにも負けないドスの効いた咆哮がキマっている。

デビュー当時から貫かれる突破力の高いスピード感、荒くれ暴走スタイルだが、キッチリと固まった音に聴こえるのが、日本人ならではのきめの細やかさ、実に真っ当なサウンドを披露している。
ファストビートが駆け抜けるダーティロックの真骨頂。秘めた怒りと野望が砂煙をあげて突進してくる。シンガロングしたくなる怒号コーラスもあったりと、親しみやすさもあり、こういう曲を聴きたいと思う初心者にも優しいのが印象的だ。ロックの持つ反逆性が品行方正だがストレートに反映されている。


GROUNDBREAKER - Groundbreaker ★★★ (2019-07-28 18:06:34)

バンド名だけみれば、ドイツあたりのパワーメタルバンドかと思いますが、レーベルはFrontiersでしょう。唄うはFMのスティーヴ・オーヴァーランド、ギターはW.E.Tのロバート・サール、そしてアレサンドロ・デルペッキオの名前もあるとくれば、出てくる音はメロディアスな叙情派サウンドに決まっていますよね。

先行されたPVをみてオーヴァーランドも歳喰ったなぁと感じますが、相変わらずの美声を維持、マルチプレイヤーのロバートの奏でる美旋律との相性も抜群とFrontiersかくあるべきなサウンドを披露しています。
AOR風のロックサウンドからメロディアスハードまで見事にフォロー、大衆性を加味したメインストリームロックの魅力が詰まった今作に隙などなく、叙情味溢れるメロディラインを歌い上げるオーヴァーランドのパフォーマンスに魅了されまくるでしょう。曲によっては○○感を感じなくもないが、個人的いは逆に、そこに興奮を覚えます。

懐かしくもあるサウンドではあるが、現代的な洗練度とエッセンスを塗す事で鮮度を保っているのも印象的でした。
毎回そうなのだが、メンバーをみれば想像つく音楽性なのに、いつも期待値を上回るクオリティを保持してくるレーベルの強さに改めて敬意を表しますね。ありがとうFrontiers!!


CRY OF DAWN - Cry of Dawn ★★★ (2019-07-27 17:55:35)

インギー歴代No.1シンガーはヨラン・エドマンだと思っているワタクシにとって、ヨランは常に気になる存在である。クリアーなクリスタルヴォイスを持つヨランの声質は北欧のイメージそのもの、そして彼は中低音域を駆使してポール・ロジャース顔負けのエモーショナルさも併せ持つ非常に人間臭い唄を聴かせる稀有な存在です。

そのヨランの歌声をサポートするのは安心安定のブランド、我らがFrontiersと来ていますから音楽性も想像がつくでしょう。オープニングから炸裂する哀愁のメロディと叙情味溢れるウエッティなサウンド、そこに絡むミスター北欧ヴォイスの期待を裏切らないパフォーマンス、早くも涙腺が緩みます。
それもそのはず、脇を固めるのがプロデュースも務めるダニエル・フローレス、マイケル・パレス、FIND MEのゾーレン・クロンクヴィスト等が前面バックアップ。期待を一ミリも裏切らないメロディアスHM/HRサウンドを披露しています。

フック満載だよなぁ。本当に心が洗われます。甘く切ないクリアーサウンド、ややエッジ不足とも言えなくないが、それはAOR寄りもロックプロジェクトならではの不満であり、その筋のサウンドを求めるマニアなら大満足の名盤でしょうね。
ギターとベースを担当するマイケル・パレスも邪魔しないが、爪跡を残すソロプレイなど、聴き込む程に味わいが深まるのも印象的だった。90年代中頃から2000年過ぎまで、お世話になりまくった音楽性、ワタクシの心に永遠に寄り添ってくれるアルバムが2016年に出ましたね。それにしてもFrontiersは本当に凄い。歴史に残るレーベルとなりましたね。


浜田麻里 - Gracia ★★★ (2019-07-26 12:59:00)

麻里ちゃんはへヴィメタルのキャッチコピーでデビューを果たした元祖メタルクィーン。その後、音楽的な変遷がありJ-POPの世界で成功を収める存在となった。その為に幅広い客層から支持を受ける結果となったのだが、近年の作品は、その両面を上手くフォローする形での作品をリリース。一本筋の通った作風は、彼女の客層を考えると上手く硬軟を交える形となっている。特に毎度お馴染みの豪華ゲスト陣によるレコーディングも、所謂国内組と海外組で音楽性を変えているので、ファンなら安心して聴く事が出来るでしょう。
特筆すべきは衰え知らずの唄の上手さ、迷いのない音楽性がもたらす事で、メロディの質も高く、ある意味J-POP的な臭さを無くしことで成し得た普遍性に、浜田麻里と言う目線で表情を付ける事により、独自性を高める事に成功している。その幅広い表現力は、いかなるタイプの楽曲にも無理なくフィット。ハードなギターと対峙するように、貫禄の歌声で主役たる存在感を誇示しています。

ある意味、お馴染み感の豪華ゲストの中で今回は、ビクターからのリリースも影響しているのか⑩に高速のシュレッド貴公子クリス・インペリテリが参加しているのがマニアには興味の惹かれる一因にあるでしょうね。
また、中だるみ感のある中盤を上手く乗り切ったのも今作の聴きやすさに繋がっているのも特筆すべき点でしょう。


Kairos - Queen of the Hill ★★★ (2019-07-26 12:28:31)

スウェーデンの若手5人組による2nd。シャリシャリとしたシャープな音像には現代的な要素を感じるが、出している音は王道ど真ん中のHM/HRサウンドを披露。ヨラン・エドマンのいたMADISONなどにも通ずる甘さと透明感もあるがイーブルなダークさが手触りとしてあり、より攻撃的でソリッドなサウンドは勢いがある。その流れで一気に聴かせるかと思いきや、しっかりとスローナンバーを放り込み、硬軟のバランスを加える事でアルバムにメリハリを生み出しているのはありがたい。
どこかありがちなスタイル故に、こういう作品を聴く側の趣味趣向が大きく評価に反映されるのだが、北欧らしいメロディを臭さを排してねじ込んできた音楽性は、時代の流れに左右される事のない絶大的な普遍性が根っこにある為に、安心して聴く事が出来るのが嬉しい。反面スリルは皆無故に飽きのサイクルが早まるのも事実。そんな中で親しみやすいメロディと現代的王道メタルを楽しめるマニアなら手にとって損はしないでしょう。

⑤曲目に収録される『Japanese Steel』ってどんな内容の歌詞なのか気になりますよ。イントロでチョイとですが和と取り込んでいますがね。


DESMOND CHILD & ROUGE - Runners in the Night ★★ (2019-07-25 13:41:22)

1stアルバムリリース後に早々とリリースされた2枚目のアルバム。オープニングからハードさと言うかロック色がグッと強まっている事に驚く。1stで聴けたズンチャズンチャズンチャチャのリズムも影を潜めミート・ローフとか思い出させる、ドラマ性の高い歌モノサウンドへと変貌。三人の女性シンガーとデスモンドが美しいハーモニーを聴かせるヴォーカルロックグループと言った出で立ちだろう。個人的には3人の女性をはべらせてデスモンドもエロいやっちゃなぁ等と下世話な発想を抱いてしまったのだが、彼は同性愛者なので、とんでもない言いがかりだった事を恥じるし、誠心誠意謝罪したいですね。

1stの延長線上にあるスタイルではあるのだが、甘く切ないメロディはデスモンド節とも言えるし、コーラスの重ね方などもゴージャスだ。ギターの入り方も売れ線志向そのものの出で立ち、ある意味、ロックからデスモンドを知った身としては、これぞデスモンドの歴史のスタートと思え、熱い夏の日に耳を傾け、爽快感を身体で感じたいと思います。

今作に始めて触れたのは2008年にRock Candyから再発されたものですが、2009年には元の版権を持つCapitolから国内盤も出ているので手に入りやすい一品かと思いますよ。
分厚いコーラスハーモニー、繊細な女性シンガー、耳馴染みの良いアーバンなポップサウンド、ポップロックもイケる歌モノ好きのマニアなら大いに楽しめるだろう。ここには沢山のアイデアが詰まっていましたよ。
個人的には、この手の曲を聴いた後は、ゴリゴリのスラッシュを聴き、体中の毛穴を開きたいと思います。


DESMOND CHILD & ROUGE - Desmond Child and Rouge (2019-07-25 13:28:52)

数々のヒット曲を手掛けた事で有名な作曲家、デスモンド・チャイルド。彼のキャリアを知る上では外せないのがこのグループ。ミリアム・ヴァイル、マリア・ヴィダル、ダイアナ・グラッセリの女性3人と自身がヴォーカルを務めるグループなのですが、80年代のロックサウンドの寄稿を想像して聴くと肩透かしを喰らうでしょうね。リリース時期も踏まえ、ここで聴けるのはダンサンブルなポップロックやディスコサウンド、よほど守備範囲の広いマニアでないと手が出ない代物でしょう。

曲によっては女性達がリードヴォーカルを務めるヴォーカルグループだから当然と言えば当然なのだが、このアルバム実は国内盤も出ており、当時、日本でも巻き起こった空前のディスコブームに便乗してのリリースだと思うのだが、どうやら一曲、売れた曲があるらしい。どれが売れたのかは詳細を全く知らないので割愛するが、当時のディスコシーンを知る人なら懐かしいと思う曲らしい。

まぁデスモンドと言えば、郷ひろみもアチチ アチィと歌っていたリッキー・マーティンの曲も手掛けていたもんなぁ・


DREAM CHILD - Until Death Do We Meet Again ★★★ (2019-07-21 19:43:05)

死ぬまで私たちは再び会えるのか?と訳せる意味深なタイトルにグッとくるものがあります。グレイグ・ゴールディを筆頭に、サイモン・ライト、ルディ・サーゾとDIO組も参加。ある意味、またDIO組の集金活動かと冷ややかな気持ちになるのだが、ここで聴けるサウンドは真正DIOサウンドと呼ぶに相応しい細部に拘った出来栄えを披露。
安易な着想による焼き回しではなく、DIOが存命なら、こういう曲を作り歌ってもらえるといった趣向だ。シンガーであるディエゴ・バルデスもDIO風の節回しで歌い上げる姿もマッチ、皆が足並みを揃えリスペクト以上の何かを色濃く残している。その何かは聴き手の趣味嗜好によるだろうが、様式美系の王道サウンドを愛するマニアなら激しく共感出来る魅力が散見できるでしょう。一歩間違えばパロディになるスタイルを、彼らは罠にハマる事無くやってのけた。その気力と充実度だけでも、聴く価値があると思いますよ。しかし、これもFrontiersが手掛けているのだから恐れ入る。今後も目の離せないレーベルですね。


CHAINSAW - Smell the Saw ★★★ (2019-07-20 23:11:29)

オールドスクール丸出しのサウンドで勝負するカナダの4人組による1st。とにかく懐かしい音色の剛直HM/HRサウンドを披露しています。スラッシュ風味もあれば、粗暴なR&Rにガチャガチャとしたホルモニックメタルに、スピードメタルもありと、メタル馬鹿一代を地で行く姿に笑みもこぼれますが、昨今の洗練されたへヴィサウンドに慣れ親しんだ耳には、相当クソダサく聴こえるでしょうね。メタル禅問答的な、お前が好きなのは流行りもんか?時代に左右されないガチンコなヤツかと問いかけられますね。
洗練度なのクソ喰らえ、ひたすらにブチまかれるむさ苦しいメタル愛。こんなもん聴いているのと馬鹿にされそうだが、ワタクシの貧相な耳にはビンビンに響き渡る愛すべきクサレメタルです。

そんなワタクシでも時折、臭すぎて居心地が悪いなぁと感じる面があるのも事実ですが…
裸の女を跪かせ、チェーンソーを突きつけるメタルマッドマンが映り込む趣味悪いジャケに、これもメタルと寛容な姿勢で愛でる方なら大いに楽しめるでしょうよ。趣味の悪さも音に表れていますからね。


Diamond - Diamond ★★★ (2019-07-19 14:27:55)

ギタリストのミッチ・ダイアモンドひき入る叙情派US産メロディックバンドが1986年にリリースした1st?なのかEPなのか?7曲入りの30分チョイのボリュームの作品ですが、とにかくオープニングから泣かせのメロディアスメタルが炸裂。その叙情的なフレージングを紡ぎギタープレイを中心とした曲作りのソツの無さに感動。丁寧に作り込んだ音はド派手とはいかないが、実に地に足を付けたパフォーマンスを披露。シンガーも個性は薄いが儚さを倍増させる繊細な歌い回しもバッチリとハマり、このバンドの顔役を見事に果たしています。
ヨーロッパのバンドがDOKKENを意識したような作り込は、その筋のマニアにはたまらないでしょう。③曲目に収録された『Mirror, Mirror』など、様式美系と呼んでも差し支えない音楽性を見せる、特にキーボードの使い方などUS産的ではないのだが、全般的にどこかマイルドでライトな音色になっているのがUS産といえるのだろう。インディーズ故の音質の緩さが、今一つ緊張感に欠けた面もあるのだが、これがより大きな資本を導入されたなら、大化けするだろうなと感じさせる可能性の豊かさが勝り、今でも愛聴する一枚です。

丁寧に作り込んでくれたおかげで耳馴染みよく素直に入ってくるんですよね。様式美系を愛するマニアなら手にとって欲しいマニアックな一品ですね。主役たるギターのミッチさんもギター巧者ぶりを随所に発揮していますから


HERMAN RAREBELL - Herman's Scorpions Songs ★★ (2019-07-19 14:04:52)

スコーピオンズにいられなくなった男と言われるハーマン・ラレベルの企画モノ集。作詩や作曲でハーマン自身が関わった曲からの抜粋の為にマイナーな曲も多いのだが、豪華ヴォーカル人のゲスト参加のおかげで食指も伸びやすい内容になっている、とは言いつつもドラムはハーマンだが、相棒のベースもギターも知名度的にイマイチでプレイも無難とハーマンの集金活動のように感じると手が出ない、微妙な空気感が否めないのが今作の問題点だろう。

オリジナルソングの良さや参加シンガーの豪華さに助けられた感は強めだが、久しぶりに聴いた曲もあったりと、やはりスコーピオンズがエエ曲が多いなぁと再確認、個人的には箸休め的な立ち位置として多いに楽しみました。
この手の企画モノは熱心に聴くと粗が目立ったり、どこかプロのカラオケ臭が匂ったりと真剣に聴けない部分があるので、個人的にはリラックスして楽しむ程度のものです。その為にウタウマ選手権を受け入れるのですが、コアなファンにとっては向き合えないハーマンの無節操さもあるでしょうね。

参加メンバーはコチラです
1. Rock Of You Like A Hurricane (Bobby Kimball)
2. Passion Rules The Game (John Parr)
3. Loving You Sunday Morning (Michael Voss)
4. Is There Anybody There? (Alex Ligertwood)
5. You Give Me All I Need (Don Dokken)
6. Make It Real (Doogie White)
7. Dynamite (Johnny Gioeli)
8. Arizona (Thomas Perry)
9. Love Is Blind (Paul Shortino)
10. Don't Make No Promises (Jack Russell)
11. Falling In Love (Gary Barden)
12. Another Piece Of Meat (Tony Martin)
13. Animal Magnetism (Michael Nagy)
14. Let It Shine (Al Crespo)

これだけのメンツが揃えば聴きたくなるのがマニアの性でしょうよ。


The Man - Ultimate Formation ★★★ (2019-07-17 21:03:55)

ANTHEMのつづりをもじった柴田直人を中心とする究極のカヴァーバンドがTHE MANである。参加メンバーはANTHEM組に島紀史、小野正利、YUHKIという柴田直人のメガネに叶う実力者を迎え入れライブを敢行。今作はそのライブをパッケージした一枚だ。

THE MAN自体が究極のトリビュートバンドという立ち位置の為に、全曲カヴァーとなっているが、これが興味深い。ある意味、ベタ過ぎて避ける曲などが中心の為に、いささかフレッシュ感は少なめとなっているかも知れないが、個人的には逆に、ここまで素直な曲が多いと興味も倍増。ANTHEM組がJPの曲をどう料理するのか楽しみで仕方がありません。柴田直人の趣味嗜好を考えれば以外ではないのだが、やはりHEEPのJULY MORNINGなど、キーボードのYUHKIなしには成り立たない予想外のカヴァーもあり興味は尽きない。

ベタだが、それらをバカテク集団が真摯に取り組めば、そのクオリティの高さとライブならではの臨場感が激しいエネルギーとなり放出、聴いているコチラもライブを体感しているような生々しいミックスにおかげで大いに楽しめました。

CD1枚目のラストに収録されたA LIGHT IN BLACKの壮絶なるカヴァー大会に悶絶。取り上げたらキリがないほどハイライトが多い。聴く人に趣味趣向が大いに反映される選曲&プレイの数々に熱いものがこみ上げてきますね。これほどのキャリアのあるベテランが、ここまでド本気のカヴァーを叩きつけてくるとは、ワタクシは感動を覚えています。2枚目のオープニングはTHIN LIZZYですよ、どちらも大好物な2曲。とくにCOLD SWEATは死ぬほど好きですね。それに華を添えるのが清水と島のツインギターだもんねぇ。贅沢な話です。

怒涛の展開はラストまで緊張感が殺がれる事無く驀進。これぞライブアルバムだし究極のトリビュートバンドと言えるだろう。もっとゲストを増やし、お祭り感も演出出来たはずだが、それをやらなかったのも、柴田直人のエチケットと言ったところだろう。恐れ入りました。

清水明男がマイケル・シェンカーをガチカヴァーってのもマニアにはたまらんでしょうね。森川と小野が唄うDPのBURNも贅沢だ。

かつて柴田直人プロジェクトの名前で活動した事がありました。そこにはシンガーの座にSABER TIGERの下山がいましたね。次はスタジオなりライブでも良いので、多彩なシンガーを迎え一発かまして欲しいです。日本には、まだまだ過小評価されっぱなしのアーティストが多いですから、ギターチームもドラムもベースもTHE MANの名のもとに光を照らして欲しいです。


CROWLEY ★★★ (2019-07-14 18:17:50)

ケリーこと古久根吉紀さんがお亡くなりになったようです。今年になって脱退したのは、そういう事情があったのですね。志半ばでしょう残念ですね。ご冥福をお祈りします。ライブ見たかったなぁ。


RattleSnake - Samurai Crash ★★★ (2019-07-14 18:02:45)

大阪発ハード&ワイルドなへヴィブルースR&Rバンドの6曲入りEP。リリースは1991年だが、骨太なロックは時代を超越する魅力を発散。タイトなバックの演奏に対峙するシンガーの足立次郎のシャウトは噛みつく程に激しく威嚇を交えながらも、ざっくりだが歌い込んでくるのが印象的だ。
この手のR&Rサウンドは雰囲気モノが多い、その雰囲気で酔わせる事が出来るかが重要なのだが、6曲入りでは少々尺が足らず、物足りなさを覚えさせてしますのが難点。逆を言えばそれだけ充実しているとも言えるのだが、上手いバックの演奏と、シンガーのかみ合わせに違和感を覚えると完走するのは難しいでしょうね。
ちなみにベースの関勝美はウルフだし、ドラムの出原卓はハリースキュアリーで鳴らした猛者ですよ。

ワイルドかつへヴィなサウンドを信条とする硬派なバンドスタイル。垢抜けないかもしれないが、粗野なボーカルと生かした音楽性は、歯切れも良く明快な方向性を示しているので好感が持てますね。ロックの持つ衝動と熱き激情が迸っていますよ。


ELIZA - Lovin' Hittin' Scratchin' ★★ (2019-07-14 17:42:59)

ド派手なルックスに負けない、親しみやすいアメリカンサウンドと泣かせの欧州テイストを織り交ぜた本格派のサウンドがうりのバンドだった北海道の勇者。今作は1990年にリリースされたフルアルバム。
音楽性としてはマイルドでライトな要素が増え、シャープで小気味の良い疾走感や攻撃性を抑え、親しみやすさを増量してきた。その為に、今まで以上にJ-ROCK度が強まり、チョイとしたハズさも倍増と微妙な空気を生み出している。その空気感を膨らますのが、唄を前に出したペラペラのミックス、これじゃあドラムの小寺さんもベースの小鴨さんも浮かばれないよと思いつつも、コンパクトな楽曲と持ち前のノリを良さを生かして最後まで聴かせる手腕は持っているだけに、バランス的にも不可解なミックスに難を示してしまいます。
折角のCD音源なのだからお金も時間もかけて欲しかったなぁと、愛着のあるバンドだけについつい厳しい言葉も飛び出しますが、メロディもハッキリしている、ハマった時のスケールの大きさなど可能性を確実に感じさせるバンドだけに、これでは印象に残りづらいですよと、やっぱり悔しい気持ちが先に来てしまいます。良く聴けば、このバンドらしい叙情性もあり、軽くなったが持ち味を生かしているだけに残念です。また、本来であれば取り直したいようなパートもあったりするので尚更である。

北海道を代表するバンドとしてのチャレンジ精神というか挑戦者としての戦い方を捨て、妙に守りに入ったように映るのが最大のポイントだろう。インディーズの体臭が染みつきすぎたと言えばそれまでだが、バラエティに富んだ楽曲を揃えているのに一本調子に聴こえてしますのがマイナスです。と散々、悪態をつきましたが、それもこれも愛するが故と言う事でお許しください。アメリカンなのに、どこか濡れている。そのワビサビのあるサウンドに今でも引き寄せられるマニアの一人ですのでね。今作も機会があれば是非とも再発してください。


HERMAN RAREBELL - Nip In The Bud ★★★ (2019-07-12 14:17:15)

スコーピオンズのドラマーとして知られる、ハーマン・ラレベルのソロアルバム第一弾がコチラです。ドラマーそのソロなんで、けたたましいドラミングを前に出したミキシングはしていますが、音楽性はあくまでもバンドサウンドで勝負。ドイツの音楽と言うよりは英国的なニュアンスが強くアタック感の強いリズムを軸に、ハード&ブルージーな古典芸能で勝負。ギターもワイルドだし良く唸っています。
ヴォーカルの持って生き方も含め一番近い音楽性はZEPあたりを思い出すのですがいかがでしょうか?

ブルージーと言っても泥臭さを払拭したエッジの効いたサウンドなので臭さは少ない、またウリ・ロート時代の音楽性にも通ずる曲もあり、期待を裏切っていないのが憎い演出だ。そして主役たるハーマンのドラムをフィーチャーしているで、彼のファンなら大いに満足出来る仕様だろう。
ちなみに邦題『奇襲攻撃』ってのも、スコーピオンズ関連だから寄せたんだろうなぁと思え、笑えてくるのがプチお楽しみでしょう。


DELIVERANCE - Deliverance ★★★ (2019-07-12 13:58:06)

カルフォルニアのクリスチャンスピード/スラッシュHM/HRバンドによる記念すべき1st。日本でクリスチャンのHM/HRと言えばSTRYPERが有名だろうが、アメリカではかなり多くのバンドが存在しており、もし日本がもう少しキリスト系の信者が多ければ、熱心なロビー活動の元に、多くのバンドが紹介されたでしょうね。ちなみにメタル系に限らず旬の音楽性に寄り添い、数多くのクリスチャン○○を世に送り出しています。

このバンド、実にオーセンティックな音楽性を下敷きにしています。その為に新しい発見は幾度なが、代わりに堅実な作り込みを実施、型にハマり過ぎかもしれないが、理論整然とした音楽性は、パワフルかつメタリックなサウンドを求めるマニアには大いに訴えかけるものがあるでしょう。無駄のないドラマ性と言うのも頼もしい限りだ。

多くの先人達からの影響を包み隠さず継承、それは所謂BIG4と呼ばれるバンドからもバトンを渡されている音楽性だ。全体的に程良い緩みと、激烈な刻み、押しの強いスピード感よりも構成で聴かせるサウンド、その一体感溢れる音楽性に隙は見られない。個性の薄さが聴きやすさに繋がっているのも個人的には好印象。そしてアメリカのバンドのありがちな陽性な部分よりも、光沢のある濡れた質感が強いのも興味の惹かれる要因だ。その魅力はNWOBHMからの影響も強い⑧などに顕著に表れている。多様化された今だからこそ見直されるべき古典サウンドですよ。


LITTERER - Romancing the Night - Rock This City ★★★ (2019-07-10 20:42:57)

派手目に駆け抜けるイントロ
でも泣かせのパートが登場
熱く濡れる哀愁美とキャッチネスさが絶妙だ
1stアルバムのタイトルトラックなだけはある
キーボードとのカウンターで登場するギターもカッコいい
単体で再発してくんないかなぁ
曲順はオリジナルのアナログの方がいいんだよ


LITTERER - Romancing the Night - Ghost Town Park ★★★ (2019-07-10 20:39:26)

胸を締め付ける哀愁のメロディ
アメリカのバンドなのでべた付かない泣かせ具合も上々
ハード&エッジに欠けるぺらい音質だが
フックに富んだ哀メロに泣かされます


DRAMA - Take It Away (2019-07-10 20:30:30)

ノルウェーのアイドルバンドと思われる6人組が1987年にリリースした3枚目のアルバム。1983年に2枚目のアルバムを出した後に、仲違をしてバンドは二つに分かれるも、関係者の力添えもあり関係を修復、再びフルアルバムリリースに漕ぎ着けた。成長を遂げたメンバーの集合体は年齢も重ねた事により音楽性に厚みも出てきた。デビュー作しか知らないのだが、随分と垢抜けて溌剌としたものに変貌と、思春期に少年から大人に変わる~♪壊れかけのRADIOを歌いたくなる瞬間が訪れる。

あまりにもソフト過ぎて全然聴く気に成れないし眠たくなる。職人技が炸裂する大人の歌モノロックとはターゲットが違う為に、耐性がない。アイドル的なソフトロックがイケる口のマニアなら需要もあるだろう。

個人的にはどうでも良い事なのだが、ジャニーさんの訃報を聞き、一日中、同じニュースを見せられたので、人生で一番アイドルに接近した事を思い出す投稿する事にしました。


DRAMA - Breaking Away (2019-07-10 20:20:57)

90年代の中盤から後半にかけて、ハマったのがAOR系の歌モノサウンドだった。このジャンルは以外と受け皿が少なく地道に活動するアーティストも多く、日本でも大きく紹介される事はなかった。それでもお気に入りのアーティスト関連を調べ、手の出していたのですが、そんな時代に友人から教えてもらったのがコチラになります。
そんなソフトなの聴いているなら、こういうのはどうなの?渡されたのが中学生くらいの男の子が映り込むジャケット。どうやらこれがメンバーショットらしい?…いくらなんでもやり過ぎだろう。

舐められているなぁとは思ったが、出している音はアイドルポップス丸出しの可愛いソフトロック。恐らくシンガーも一人ではなく複数リードを担当しているようで、やはりアイドル臭がエグイ。
そんなにのめり込むような音ではないが、そこはかとなく漂うロマンティックなムードはアイドル路線にピッタリだし、北欧の男の子なので甘美でスウィートな路線である。

人生で最もアイドルに接近したのがこのバンドだ。こんなレアものですら定額制のサイトで無料で楽しめるんだから驚きですよ。世界を相手にしているからなぁ、知識さえあれば、恐ろしいレアものに出くわすんだから、もはやCDを買う行為など愚かしい事なんだろう。時代の移り変わりに寂しい気持ちを味わいますね。

思春期真っ只中の男の子を集め、どのような経緯でリリースされたのかはサッパリだが、1982年にデビューした記念すべき1stは、けして色モノではない北欧ポップスが楽しめますよ。


EISLEY / GOLDY - Blood, Guts and Games ★★★ (2019-07-09 18:05:38)

バンド名と言うかプロジェクト名なんだろうけど、元布施明の嫁であるハリウッド女優のオリビア・ハッセーの旦那として知られる、便利屋デイヴィッド・グレン・アイズレーとクレイグ・ゴールディが中心となり結成。同じ釜の飯を喰ったジェフリア組のチャック・ライトも参加、ミキシングとキーボードでアレサンドロ・デル・ペッキオも顔を揃え、そしてレーベルはFrontiers Recordsという期待値を煽る万全の体制でリリースされたのが今作。アメリカンなミュージシャンが揃えど、出てくる音は、湿り気はあるがアーバンな空気感を纏った、洗練度の高い大人のハードサウンドを披露。キーボードも前面に送り出し、狙うはジェフリア路線とも言える音楽性は、参加メンバーに対する期待通りの答えとなっています。
じっくりと聴かせる仕様の為に派手さに欠ける面はあるので、ストレートな疾走感やハードさを好む方には少々退屈に聴こえるかもしれないが、爪の先まで神経を尖らせ作り込まれたサウンドは一朝一夕で作り上げる事は不可能でり、経験に裏打ちされたメンツが揃っているからこそ出来上がったスタイルである事に疑いの余地はない。

ともすれば安易な焼き回しに終わりガチになるプロジェクトの中で、アイズレーとゴールディの二人は、多彩な技巧を持つメンバーを束ね、実に心地が良い正統なサウンドでおもてなしをしてくれました。ドラム以外のパートのほとんどを二人が心血を注いで作り上げているのも成果の表れ、アイズレーは相変わらず胸板の熱そうな歌声だし、グレイグは地味だが、テクニカルなスピードピッキングを披露したりと、細部に対して拘り、手抜きなしの職人気質でやりきりましたね。
過去の人になりつつある二人、ここいらで一発、復活の狼煙を上げてもらいたいですね。挨拶代わりには、もう少し元気のある楽曲の方が喜ばれたかも知れませんが、メロディ派なら大いに楽しんでもらえる一枚でしょう。


OSTROGOTH - Full Moon's Eyes ★★★ (2019-07-08 21:11:22)

スピードメタルマニアなら押さえて欲しいベルギー産のスピード/パワーHM/HR系バンドのデビューEP。リリースが1984年と言うのも有り、まだまだNWOBHMの影響は引きずっているが、欧州産ならではの湿り気のあるメロディと東欧的な癖の強さが絶妙にマッチ、小細工無用の突破力だけでは終わらない芸があるのも見逃せません。
こうして聴き比べれば我が国のレジェンドLOUDNESSの初期の姿にも重なるものがあり、国は違えど同じベクトルを放つバンドとして、個人的には愛聴する所存でこざいます。愛すべきMausoleumレーベルからリリースされているも、マニアとしては購買欲に火を付けたりするのですが、このバンドはMausoleumの中でもトップクラスのクオリティを保持していますから、マニアならずとも手にとって欲しい一品です。
B級バンドにありがちな無頼な疾走感だけのインパクト勝負じゃない、クールな切れ味があるのが魅力です。


PRETTY MAIDS - Future World ★★★ (2019-07-08 20:47:13)

大物プロデューサー、エディ・クレイマーを招聘してリリースされた意欲作。欧州大陸の高貴な香りと叙情性、そして大衆性を完備するポップフィーリングを高次元で融合。ハード&ファストなのにポップで聴きやすいと言うオープニングの①など顕著に表れているだろう、またギターリフのキレも特筆すべきだ。
全般的に未完成な部分もあるのだが(②⑥などEUROPEみたいに聞こえる)。ロニー・アトキンスも、どんなキャラで歌うのか決めかねていると言えるだろう。それが欠点にならず将来性の豊かさに繋がっているのが、このバンドの魅力の一つだろう。

新加入のKEYを前面に絡ませつつも、音楽的な路線を押し広げる事に留まっているのも好印象。大衆性とハードサウンドの融合、欧州的な翳りと叙情性、その湿った感触がべたつかずに絡むのもワールドワイド仕様とも言え、おしなべてクオリティの高い楽曲が揃っているだけに視聴感も上々と、バンドの出世作である事は間違いない。

最終的にアルバムを仕上げたのはエンジニアのフレミング・ラスムッセンだったりと、内部ではゴタゴタもあったようだが、バラエティに富んだ内容は順当に成長した姿として、今なお色褪せる事無く燦然と輝いていますね。パワフルなサウンドだけに拘らない柔軟な姿勢がバンドの魅力を倍増させているのも見逃せません。そして、マニアとして見逃せないのがグラハム・ボネットが②⑤でバックキングボーカルで参加したのもプチ話題だった。


PRETTY MAIDS - Motherland (2019-07-07 21:54:42)

まずは一部のマニアを覗いて評判の悪いJUNP THE GUN時代を彷彿とさせるナンバーの登場に驚いた。そこに最新のテクノロジーを導入しているのだからパワーメタル路線を期待するファンにとっては肩すかしを喰らうだろう。次の②も同様の路線となっているのも同じく驚きである。ケンとロニーの二人のアイデアなのか?それともレーベルの意向なのかは想像でしかないのだが、今や盟友と呼んでも差し支えのない、自身もミュージシャンでありギターも唄もやる、プロデューサーのジェイコブ・ハンセンの助力によるところは間違いないだろう。
古さに埋没しない現代的なサウンドプロダクション。その為に全体的に軽めに仕上がっている。ギターもシャリシャリとしたものとなり、ファットなへヴィサウンドとは一線を画すものである。全てにおいてワールドワイド仕様の為に、このバンドの個性と言うのが薄まっているのも残念だが、今の時代にアジャストしつつ、自らが求められるブランドへの過渡期と考えれば大いに納得出来るだろう。
JUNP THE GUNはロジャー・グローバーを迎え威厳溢れる正統派スタイルへの接近だった。それまでの彼らにあるポップフィーリングと欧州的な香り、そこにハード&へヴィを持ちん込んだ初期の時代を上手く消化したものだった。今作も同じようなメロディアス路線だが、より現代的なへヴィサウンドとポップフィーリングを前面に出した作風であり、初期の頃とは完全に決別したものだろう。

これらのアルバムを手放してワタクシにタダ同然で譲った友人の気持ちも分かる。まるで流行りの○○バンドみたいに聴こえるからだ。しかし初期のパワーメタル路線を今の時代に再現することもナンセンスに感じる。そういうのはやらない方が賢明だろう。バラエティに富んだ意欲作、新鮮な空気に無理を感じたら完走するのは厳しいだろうが、フレッシュかつエネルギッシュと聴けたなら大いに楽しめる一枚だ。若い人には親しみやすいのも新規開拓としては正解であろう。


PRETTY MAIDS - Louder Than Ever ★★★ (2019-07-06 22:24:33)

現体制によるセルフリメイクと言われていたが蓋を開ければ①④⑨⑫が新曲という構成。そして再生させたのも90年代以降のらしくないと言われガチな時代のものに着手する構成となった。
これも人から貰ったものなのだが、有名な曲をあえて排除したのが拘りなのだろう、個人的には知らない曲が多く、また余り聴いていないアルバムからの選曲だったりと、以外性が高く大いに楽しんだ。思わず棚から埃の被ったCDを探し出し聴き比べたモノのです。古くて新しい現代的なスタイルへアップデート。やや加工臭はキツ目だが、これをテクノロジーの導入として受け止めれるかで評価も大きく分かれるでしょうね。
現役感を知らしめるフレッシュなへヴィサウンドは今の時代を無理なく押し込める事に成功。ワタクシのようにお久しぶりネ、だからそう聴こえるのかも知れないが、90年代の楽曲も違和感なくハマりフレッシュ感を増幅しているのが肝だ。メロディアスやポップフィーリングよりもへヴィでダークな欧州テイストを膨らませているのも若い人には馴染みやすい要素でしょう。速さや分かりやすさで誤魔化さない手法も正解でしょう。だからバラードも活きてくるんです。


PRETTY MAIDS - Kingmaker ★★★ (2019-07-06 22:11:12)

ベテランバンドも時代の流れには逆らえず音楽性の方向転換があった。それと同時に老いていくメインキャストに痛々しさを感じイマイチ手が出なくなってしまったバンド。今作も人からただ同然で貰ったものなのだが、ここで聴けるサウンドは現代的な要素と自らが培った欧州パワーメタルサウンドを巧みに融合。見事に古くて新しいサウンドを引っ提げ復活している。長い付き合いになりつつあるFrontiers Recordsのアドバイスは間違いなくあるのだろうが、テクノロジーの導入によるドーピングに目をつむれば(こんなに歌えません)往年の姿を重ね合わせても違和感のない仕様になっているのが最大のポイント。そしてメイズ節と言えるハードでへヴィなのにキャッチー、という親しみやすさを現代的に盛り込んだ手腕は見事だ。

この歳になっても③のようなポジティブハードポップをやっても様になるのも頼もしい限りですね。これもFrontiers印って事でしょう、シングル向けにピッタリです。そして勢いや軽やかさで誤魔化さない、濃密なへヴィサウンドも収録されているのも好印象、今の彼らはダークさも加味された瑞々しい北欧スタイルで勝負を掛けているんだなぁと再認識しました。
ファーストインパクトは地味に感じるかも知れませんが、ケン・ハマーのギターも技巧に長けているわけではないが、味のあるプレイで魅了。細部に拘りぬいた楽曲を生かすアレンジが決っています。これもバンドの一員といっても過言ではない、プロデューサーの存在も有るのだろう。

でもどこかドーピング感は拭えないのがねぇ。それでも上手く自分達のキャラを殺さずに新しい事に手を出す気概に胸打たれましたね。保守は保守でも攻めの姿勢なのが現役感をアピールしているのだろう。


SHINING LINE - Shining Line - Unbreakable Wire (Brunorock) ★★★ (2019-07-05 22:02:45)

複数のシンガーが名を連ねる
メロディアスかつハードなナンバー
派手なギターソロも決まりカッコ良い

シンガーとしてクレジットされているのは
Tygers Of Pan Tangのジャック・メイル
HungryHeartのグラツィアーノ・デムルタス
Brunorock等のブルノロック
アレサンドロ・デル・ペッキオです


SHINING LINE - Shining Line - Follow the Stars (Phil Vincent) [European] ★★★ (2019-07-05 21:54:02)

客演したソロギターもバッキングもツボを突いていますねぇ
エエ感じで盛り立てています
唄も含め皆が主役ですという作り込みが素晴らしい


SHINING LINE - Shining Line - Under Silent Walls - Part II; Alone (Michael Bormann) ★★★ (2019-07-05 21:49:58)

インストナンバーに挟まれマイケル・ボーマンが色気のある唄を聴かせてくれます
濃密なロッカバラードです
タップリとムーディーに酔わせてくれます


SHINING LINE - Shining Line - The Infinity in Us (Michael Voss) ★★★ (2019-07-05 21:45:29)

甘ったるいのが続いたんでソロソロ飽きたなぁなんて思うんですが
マイケル・ヴォスが登場する哀メロナンバーの完成度に引き込まれます
ソロではヴィニー・バーンズも登場
キーボードも丁寧な仕事を行い楽曲に奥行きを与えています
それにしてもここでマイケルを登場させた慧眼ぶりに唸らされましたね
曲作りと曲順の妙を味わっています


SHINING LINE - Shining Line - The Meaning of My Lonely Words (Michael Shotton) ★★★ (2019-07-05 21:39:53)

メロディアスHM/HRマニアならVon Grooveのマイケル・ショットンが7曲目に登場
もうお腹一杯でしょうね
期待に応えてロック色の強めなロッカバラードを歌い上げています


SHINING LINE - Shining Line - Can't Stop the Rock (Mikael Erlandsson) ★★★ (2019-07-05 21:35:57)

ミカエル・アラードンソンの枯れセン具合もたまりません
LAST AUTMN'S DREAMにも通ずる魅力のあるハードさもポイントでしょう
マイケル・ヴォスがギターで客演
イタリアとドイツ連合ですね


SHINING LINE - Shining Line - Heat of the Light (Robin Beck) ★★★ (2019-07-05 21:32:45)

情感豊かなピアノの音色
それに負けない主役たるロビン・ベックの熱唱
彼女の魅力をタップリをフィーチャーしています
流れ的にも絶妙なタイミングで切ないハードポップを放り込んできた


SHINING LINE - Shining Line - Strong Enough (Robbie Lablanc) ★★★ (2019-07-05 21:26:33)

元FURYのロビー・ラブランカが参加(ブライアンもバックコーラスにクレジット)
衰え知らずに熱い喉を披露してくれます
キャッチーでメロディアスな楽曲にラブランカの声が良く似合う
この曲に限らずゲスト参加するギタリスト達も華を添えていますねぇ


SHINING LINE - Shining Line - Amy (Harry Hess) ★★★ (2019-07-05 21:17:02)

チョイハスキーな声が爽快な風を送っています
甘くチョイ切ないハードポップ
デルベッキオ繋がりですかねマイケル・ロスが客演していますよ


SHINING LINE - Shining Line - Highway of Love (Erik Martensson) ★★★ (2019-07-05 21:13:22)

マルチプレイヤーとして知られるエリック・マーテンソンがシンガー務めます
彼の歌を聴くのはエクリプス以来ですね
どっしりと構えたアルバムのオープニングナンバー
アルバムの幕開けにピッタリです


SHINING LINE - Shining Line - Homeless' Lullaby (Ulrich Carlsson) ★★★ (2019-07-05 21:03:31)

M.Ill.Ion のウルリッヒ・カールソンとDOMAINなどで知られるカルステン・シュルツが共演
熱くハードなメロディアスサウンドが躍動しています
男臭さもあってエエですよ


SHINING LINE - Shining Line - Still in Your Heart (Bob Harris) ★★★ (2019-07-05 20:55:56)

スー・ウィレッツとボブ・ハリスが唄い分けるロッカバラード
この二人が唄うんだから曲が弱いじゃ許されませんよ
二人の為に素晴らしい曲を用意してくれました
リズム隊でもある中心人物の二人のモンティは素晴らしい才能だね
ギターソロはDANTE FOXのティム・マンフォードが客演


SHINING LINE - Shining Line ★★★ (2019-07-05 20:42:02)

ピアパオロ・モンティとアモス・モンティの二人が中心となり立ちあがったAOR系のHM/HRプロジャクトによるフルアルバム。曲登録に記載されている通り、実力派シンガーが多数ゲスト参加。ベタな曲だが、各自が彩りと潤いを与え見事に華を添えてくれます。また合間にギターソロでヴィニー・バーンズを筆頭に、マニア筋を喜ばすメロディアス系バンドからも客演もあったりと(DANTE FOXとか懐かしいぞ)楽しみ方も色々とありますが、正直、楽曲はありがちなタイプ故に、大きな発見や興奮は薄めだ。
しかし、その代わり質の高さは折り紙つきで、日頃のハードなモノを中心に音楽を楽しんでいる同士なら、ここで繰り広げられる安定感抜群のAORサウンドに、身も心もスッキリリフレッシュと癒し効果を味わって頂けるでしょう。
耳休めにピッタリなんですよね。そして、甘口なモノを聴いた後には、反動により親の仇のような鬼へヴィサウンドを聴き、また耳を休める為に、爽快感たっぷりのAOR系に手を出すと言うのもお楽しみの一つです。

アレサンドロ・デル・ペッキオの前面バックアップにより導かれた、甘く切ないメロディが紡ぐ極上のひと時。ありがちなものを丁寧に仕上げたからこそ、生まれた至高のサウンド。ベタに敵う者なしを見事に実践してくれましたね。アレサンドロ・デル・ペッキオが鍵盤プレイヤーとして大活躍ですよ。歌も上手いし曲も良い。アレンジもツボを突きまくり、ドラマが詰まっていますねぇ。


DYNAZTY - Sultans of Sin ★★★ (2019-07-03 20:28:51)

パワフルなのにメロディアスでキャッチーというロックの美点を詰め込んだNWOTHMバンドによる4Th。先人達の影響下にあるスタイルなれど、その質は高く、若さに溢れたエネルギッシュなサウンドの視聴感は実に爽快だ。
外部からの血を導入した事による楽曲もバラエティに富んでおり、質の高さも補完。新時代のヒーローと呼ぶに相応しい普遍性とファンベースの広さを感じさせる音楽性。キャッチーなメロディを搭載した強度の高いメロディアスロックの親しみやすは、多くのファンに訴求するだけの魅力があると思う。

ともすればありがちと切り捨てられる音楽性なれど、極めて都会的に洗練されたサウンドは、古くて新しい現代的なエッセンスを残しているので、古さに埋没することなどなくフレッシュ感は満載だ。
スピードと言うか勢いを殺さないアルバムだが、バランスよくバラード系を放り込み緩急をつけているも芸が細かい。アルバムを通して楽しめるバランス感覚も聴かせ方の上手さだ。いい意味での大衆性を纏っているのに硬派なイメージを保っているのも人気の秘訣なんだろう。


MOTORHEAD - The Wörld Is Yours ★★★ (2019-07-03 20:11:14)

もはやジャンルを超越した存在になった無頼なる荒くれ暴走R&Rバンド。綿々と受け継がれるロックの系譜、ソリッドかつ攻撃的なうねりは唯一無二の世界観を作り出してきた。ここで聴ける音も彼ら流儀に則った衝動が、なんの疑いもなくパッケージされている。多少なりとも音楽性を時代に寄せながらも、変わる事のなかったレミー・キルスターの精神性。今作は頭から勢いよく疾走、小細工無用の走りっぷりには貫禄すら漂い、同じような曲調でも印象が異なるのは、彼らが芸の細かい技を持っている証拠である。濃密に進化させる音楽性、らしさを損なわない荒涼な圧殺ロックのダイナミズム、そのオーガニックな響きは、彼らが孤高のロックバンドである事を雄弁に物語っている。老いては益々壮んなるべし、レミー、フィル・キャンベル、ミッキー・ディーのトリオによる編成も黄金期と呼んで差し支えないだろう。ホントにカッコいいわ。


Crescent Lament(恆月三途) - Elegy for the Blossoms ★★ (2019-07-03 19:55:25)

原題は『花殤』と書く台湾のゴシック系シンフォブラックメタルバンドによる2nd。個人的には、この手のソプラノヴォイス&グロウルという構図が好きになれず、普段は手にしないのだが、このバンドはブラックメタルと言うほど、苛烈なる暴虐性は薄めで、むしろ女性シンガーのソプラノヴォイスを中心としたゴシックメタル的な要素の方が強く、へヴィなブラックパートは物語の起伏と付ける程度の味付けだと思う。琵琶や二胡という伝統楽器をフィーチャーした独自性の高いサウンドは、台湾フォークメタルと言う印象の方が強く、そのモノ悲しい風合いのメロディは伝統的な要素を織り込みつつも、メタルな展開と様式を持ち込み、即効性の高いサウンドへと昇華している。
コンセプトになぞらえた物語は、明確に起承転結を設け、日本と台湾、戦前戦後の悲劇をベースとした世界観を、苦みを効かせた悲哀が、狂おしい程の泣きを抱え分かりやすく突っ込んできます。

個人的には、悲しい話なのに絶望感的な重苦しさも少なく、メリハリに欠けるサウンドプロダクションにイマイチのめり込めないのだが(日本にも”おしん”という世界的に有名なドラマがあるのだから、だれか取り上げれば良いのにね。)シンフォニックな浮遊感や台湾トラディショナルサウンドが醸し出す抒情性、その筋のサウンドが好みの方なら大いに楽しめるのではないでしょうか?この手のスタイル門外漢故に、物凄いパクリをやられても分かりませんのでお許しください。


WHITESNAKE - Forevermore ★★★ (2019-07-01 16:32:37)

ここ数年におけるカヴァーデイルの精力的な活動には驚かされる。本当に、この世代の人たちの体力的なポテンシャルの高さに驚愕ですよ。のっけからスライドギターが登場と、ミッキー・ムーディー的な匂いは発散。昔の空気を出しつつも若々しいサウンドを引っ提げているのが今作の最大の聴きどころだろう。
ZEP風味もあるし、自分達のイメージを忠実に現代的にアップデート。多種多様なファンがいる中で最大公約数の答えを見つけるのは難しいが、彼らはその難題に対して優等生は答えを出してきた。
その中でも分厚過ぎる音像は一番の賛否を生みそうだし、オーガニックと言う言葉とは程遠い、高須クリニックな若返りが全編に漲り脂っこさと嘘くささを感じさせているのが評価を分ける最大のポイントだろう。
そこが旬と転べば、今作は実にすばらしいものになるが、TVを見る度に顔が変わる深田恭子や栗山千明に違和感を感じ話が入ってこない私には、いささかやり過ぎ感は否めない。

それでもクオリティの高さを有しているのが、このバンドの強み。叶姉妹並のゴージャス感もバンドの売りなんだろう。曲単位で聴けば違和感が少なめなのも聴かせ方の上手さの証拠だ。老いとの向き合い方ってのは難しいなぁと感じる。ロックスターの末路。多くのレジェンド達がどう終焉を迎えるのか、今作を聴くと深く考えさせられる。


MINOTAURUS - Fly Away ★★★ (2019-07-01 16:12:27)

ミノタウロスと言えば頭が牛になっているギリシャ神話に登場するキャラクターだ。そのキャラを前面に出したアートワーク。淡い情景が幽玄的なイメージを増幅。思わず手に取ってしまったのが最初の出会い。オリジナルは1978年に自主製作でリリースされたドイツのプログレバンドによる唯一の作品。
自主製作と言う背景をものともしない完成度の高さに舌を巻きますが、ムーグ・メロトロン・ハモンドとあらゆる鍵盤楽器を駆使するキーボードプレイヤーの妙味、時には電子音的な要素も強まるのだが、これが実はドイツのプログレバンドの定石だったというのだから驚く。英米に対抗する形で発展したジャーマンロック。彼らの事はKrautrockと差別的な意味も込めてジャンル分けされるのだが、後に余りも完成度の高い音をクリエイトするバンドが多く表れる事で、逆に敬意を込めて分類分けされる総称となったと言うのだから二度驚きである。そんな草分け的な立ち位置にいるバンドのデビュー作。
浮遊感のあるオーガニックなメロディは時に、甘く切ないフレーズを讃え、難解なプログレ臭よりも素直に耳に届く鮮烈なメロディを奏でている。その為にジャズやフュージョンにも通ずるアンサンブルの合間を煌びやかに飾り、より一層の洗練度とドラマ性を増幅、そこに多彩なギターワークが儚くも美しいサウンドに磨きを掛けるのだから、普段聴かないジャンルでも、のめり込ませるだけの魅力が存在する。
ミノタウロスと言うキャラの神話性を軸に、プログレの持つ宇宙的な神秘とロックな衝動が巧みに折り重なり高次元で昇華。音楽的な教養と各メンバーが併せ持つ技術をぶつけ合う事で生まれた形が見事に表現されている。だからこそ、想像的な世界観を有するロックへと上り詰める事が出来たのであろう。
変化自在の彩りを与える演者のプレイ、儚くも美しい世界観を壊さないソフトな歌声も情景描写豊かに聴こえる。ハードな耳を持つマニアにとっては、大人しいサウンドに映るだろうが、プログレ的なアプローチは微妙な音程変化やコード進行などでもたっぷり味わえるし、定型のロックでは味わえない醍醐味がここにはある。プログレは語れるほど詳しくないので、誰かのパクリをやっていても全く気がつかないのだが、神秘的なスケール感とキャッチーなフレージングは親しみやすさをもっている。


DESTRUCTION - Cracked Brain ★★★ (2019-06-30 20:56:07)

バンド内のゴタゴタ劇。そして時代の流れというのも意識したのか、このバンド独特のクセの強さが薄まりスリルも減退したと言われるのだが、神出鬼没に飛び跳ねるギタープレイも妙技、複雑な進行や転調もバンド全員で難なく対応出来ており、巷で言われるほど酷い内容にはなっていない。へヴィなグルーブもあるが、メンバーチェンジがもたらした功罪と言えるのか、いままで以上に自由度が増し、シュミーア時代との違いを楽しめるかが最大のポイントだろう。トリッキーなギタープレイは遊び心も満載に映り、こじんまりとまとまった音質のせいで伝わりずらいが、垢抜けた印象さえ受けるんだから面白い。へヴィロックな如きのウネリ、スラッシーなキレ、損なわれなかった攻撃性にバンドの新しい可能性を発見する事が出来ました。トリッキーなフレーズも勿論だが、狂気の感じさせるリフワークなど、マイク・シフリンガーを中心にしっかりと、このバンドらしく仕上げてきました。
The Knackの大ヒットナンバー⑤のカヴァーなんて、今作ならではの遊びじゃないですかね。


LUCIFER'S FRIEND - Mean Machine ★★★ (2019-06-28 13:27:40)

再びシンガーの座に出戻ったジョン・ロートンをフィーチャーした意欲作。コマーシャル路線を尽き詰めた中で成功に結び付かなかったバンドとしては会心の出来栄えと言えるバランス感覚に優れた名盤となった。
シーンの勢力図を塗り替えるように隆盛を極めたNWOBHMの影響も確実にあるのだが、キャリアに裏打ちされた曲作りの旨味、各メンバーの妙技がバランスよく散りばめ、何を聴かせたいかを明確に示しているのがポイントだ。
メロディアスだがハード&エッジーなサウンドは、ジョン・ロートンの澄んでいるがパワフルな歌声に導かれ勢いよく躍動している。どの曲にも親しみやすさを持ち込んだソングライティング力もギラリと光り、このバンドが歴戦の兵だった事を再確認させてくれているのもポイントだ。派手さや勢いでは、けして誤魔化さないアンサンブル力の旨味も凄い。
このアルバム、今聴いても古さを個人的には感じない。実に先鋭的な要素があるスタイリッシュなHM/HRサウンドだと思っている。上手い歌とフックに富んだメロディ、スリルと伴った演奏、テクニックに埋没しない構成力、キャッチーさを損なわない聴かせたかの上手さに舌を巻きますね。日本での知名度はメチャクチャ低いのだが、もっと認知されるべき名盤であろう。


DESTRUCTOR - Maximum Destruction ★★★ (2019-06-28 13:07:17)

耳の早いマイナーメタルマニアからは早くも支持をされていたUS産パワーメタル系バンドの1st。小細工無用なパワフルサウンドは電車道一本勝負の清い姿だが、ボーっとしていると知らんうちに次の曲が始まってしまうようなメリハリに欠ける音質に難を示したくなるが、今聴けば良く構成された楽曲が用意されており、スリルと満ち溢れたエネルギーの高さを味わえる。パンク/ハードコア勢にも通ずる破天荒さ、メタルバンド特有のドラマ性と様式、その旨味を混ぜこぜにミキサーに掛けたが為に、耐性の無いマニアなら食あたりも起きそうだが、楽しく乗って大騒ぎとは違う真摯な姿勢はメタル馬鹿道を極めんとする猛者感がハンパなく漂い、我々マニアのハート熱く滾らせます。

こんなもん力技一辺倒のD級メタルだと酷評されれば、ワタクシはその通りと拳を突き上げ答えます。洗練度などクソ喰らえ、メインストリームよりとは真逆のベクトルを放つノイジーサウンド。バカジャケット裏表に、ひるむ方も多いだろうが、⑦曲目までノンストップで聴き進めた方なら、このバンドのメタルスピリットに激しく共感し拳を振り上げるだろう。覚えやすいリフレインの⑧では間違いなく口ずさみ、⑨ではヘッドバンキングの嵐となる。そういう求心力をもったバンドであると個人的には思えるのだ。

愛すべきへヴィメタル馬鹿バンド。このバンドはマニアに周知されなかったのは次の一手が不幸に見舞われ無かった事に尽きる。ベースのデイブ・ホロコーストが事件に巻き込まれ刺殺されてしまった。程なくしてバンドは解散。悲劇を乗り越えられなかったと推察出来る。


JOHN PETRUCCI - Suspended Animation ★★★ (2019-06-25 16:30:31)

天才の名を欲しいままに出来る才人、ジョン・ペトルーシのソロアルバム第一弾。彼が培った要素を土台に、高次元で披露してきたインスト作。そのセンスはテクニックに埋没する訳でもなく、一般的なリスナーの感性を置いてきぼりにするような実験的な要素もない。純然たるギターインストアルバム。
とにかくワールドワイドな感性はメロディのフレージングにも表れており、一言で表すのなら異国情緒あふれるという文言になる。
そのセンスは早くも②で爆発。耳を惹くリックの数々に負けないメロディアスなフレーズ、ケルト音階も導入したセンスなど、彼の多義に渡る活動の結晶の一つを垣間見る事が出来る。勿論、世界有数のトップギタリストである妙技も同時に味わえると言うのだから、マニアならずともタマランモノがあるでしょう。プログレ感たっぷりのインストもあるが、ジャジーな⑦など若くして到達した円熟味と言える領域。

叙情的でエモーショナル、さまざまなスタイルの中でもギラリと光る個性。その存在感と懐の深さを、このアルバム一枚で雄弁に語る事に成功したペトルーシ。ドリームシアターにストレートなメタルを求めるファンもいるだろうが(早い遅い分かりやすいはナンセンスと思えるほど技巧派集団なのだ)、多彩な楽曲を前に気持ち良く弾きまくっている今作を聴けば、野暮は事は言うのは止めようと思うでしょうね。メロディの美しさに負けないテクニカルなリックの数々、その凄まじさは余りにも鮮烈です。この比類なき表現力の高さに、ただただ圧倒されましたね。難しい事を簡単に聴かせるなんて凄いよ。


CRAIG GOLDY - Insufficient Therapy ★★ (2019-06-25 16:12:49)

DIO脱退後に動いたCraig Goldy's Ritualは活動が軌道に乗らず自然消滅。次に着手したのがソロ名義のアルバム、リリース元はShrapnel Recordと体制は整ったのですが、時代が悪かった。1993年に正攻法で迫る事など許されるわけもなく、ダークな路線を追求。重苦しいへヴィグルーブも顔を覗かせ、雰囲気重視のサウンドへと進んでいる。
グレイグ拘りのプレイも随所に登場。計算されたフレージングの構築美など、グッと引き寄せるものもあり、多彩なサウンドメイクに挑んでいる。DIO時代にも通ずるサウンドもあるが、それ以外にも引き出しの多さを魅せつけているが、何となく流れてしまうのがグレイグらしい。本当に引っ掛かりのある癖の強いフレーズを放り込んでいるんだが、何故か耳に残らないのがグレイグの残念感に対する耐性が評価を分ける最大のポイントだろう。
その拘りにハマるなら今作に対する評価は高いものになるでしょう。一たび頭でっかちとなれば全編が練り不足の退屈なものに転んでしまうのが難点でしょうね。
インスト5曲に挟まれ歌モノ4曲ですが、歌うはドッケンのジェフ・ピルソン。へヴィかつダークなサウンドに負けない歌声で大役を果たしています。この忘れ去られたグレイグのソロアルバム第一弾が2011年に、突如我らがKINGのNEXUSから再発されるという快挙に驚く(これもAKB効果ならドンドン握手会してね)。

正直、なんで今さらと思い久しぶりに引っ張り出したのだが、今の耳でいくと当時よりもずっと好意的に受け止められ、時代性はあれど以外とメロディアスだし、グレイグ渾身のプレイにグッと引き寄せられました。
久しぶりに聴き、ラストソングがサヨナラなんて粋な演出があった事にも気がつきました(タイトルほど感傷的な曲ではない)今作に流れるミステリアスさとトリッキー感を誘発する構築力、そのドラマ性を組みたてた拘りのグレイグ節に、上手い下手ではない努力の結晶を垣間見る事ができ好感を持ちましたね。


WHITESNAKE - Flesh & Blood - Sands of Time ★★ (2019-06-24 13:32:47)

往年のクラシックロックナンバーのアイデアを巧みに取り込んでいます
ここまでくればオリジナルですよ
こういうロック一代叙情詩も悪くはないが
やり過ぎ感は拭えていないのが評価を分けるポイントでしょう


WHITESNAKE - Flesh & Blood - After All ★★★ (2019-06-24 13:29:36)

いい意味での小休止ソング
絶妙な箸休めとなる
アルバムが長丁場なだけにタイミング的にはバッチリだ
ライブでもアコギを片手に弾き語ってもらいたい一曲
これがあるから次のクラシックソングが俄然活きてくる


WHITESNAKE - Flesh & Blood - Heart of Stone ★★ (2019-06-24 13:25:07)

完全に「Crying The Rain」を意識したへヴィバラード
雰囲気は出ているが二番煎じ感がハンパない
少々狙い過ぎたがダークなナンバーをこの曲順で放り込んだのが上手い
これもレーベルのオーダーかね?
この曲に限らず古典ロックからの流用が多いアルバムではある


WHITESNAKE - Flesh & Blood - Trouble Is Your Middle Name ★★★ (2019-06-24 13:18:50)

徐々に盛り上がっていきます
ハードなナンバーに放り込むビックコーラス
いろいろと工夫していますが
やり過ぎ感がなぁ
派手なギターソロバトルも少々やり過ぎ
これも新体制のお披露目なんだろう全体的に良くまとまっている


WHITESNAKE - Flesh & Blood - When I Think of You (Color Me Blue) ★★★ (2019-06-24 13:14:30)

暗がりのバーが似合う時代とは放つベクトルが違います
甘酸っぱさが漂う大人のロッカバラード
これもカヴァーディルの18番ってとこでしょうね
古典芸能を残しつつもフレッシュ感の強いアルバムには良く似合いますよ


WHITESNAKE - Flesh & Blood - Always & Forever ★★★ (2019-06-24 13:11:53)

アイリッシュフレーバーたっぷり
シンリジィ風のポップなロックナンバー
こういう曲をサラリとねじ込める普遍性
新体制への充実度が証明されていますね
人によっては露骨なパクリにしか聴こえないかもしれませんね


WHITESNAKE - Flesh & Blood - Hey You (You Make Me Rock) ★★★ (2019-06-24 13:07:45)

へヴィなグルーブがずっしりと響きます
ゴージャスさも忘れていないのがポイント
でも渋いのがこのバンドの持ち味
こういう歌い回しも悪くない


WHITESNAKE - Flesh & Blood - Shut Up & Kiss Me ★★★ (2019-06-24 13:03:21)

フレッシュ感が漂います
ここまで能動的に若さを振りまかれるとチョイとキツイが
現役感を損なわない鮮度の高さを感じさせたのは正解でしょう
ギターソロが少々弾きすぎなきらいがある
そこが評価を分けそうですかね
いずれにしろフラッシーなソロは新鮮だ


WHITESNAKE - Flesh & Blood - Gonna Be Alright ★★★ (2019-06-24 12:59:50)

ZEP風味のあるらしい一曲
カヴァーデイルの声もバッチリハマっている


WHITESNAKE - Flesh & Blood - Good to See You Again ★★★ (2019-06-24 12:58:13)

らしさ全開の古典ロックで幕開け
上手く考えて作り込んでいますね
この一曲で今作の方向性が見えてきますね
等身大の魅力ですよ


WHITESNAKE - Flesh & Blood ★★★ (2019-06-24 12:54:48)

全米のみならず世界的に成功したアルバムと、それ以前とは音楽性の違うバンドとして捉えなければいけない老舗バンドの最新作。ダグ・アルドリッチと主役たるカヴァーディルのソングライティングチームは、へヴィロック時代と現代的な要素を織り交ぜつつ、昔の匂いを振りかけたサウンドを作り込、独特の音色でシーンにカムバックしてきた。
そのフレッシュ感は単なる過去の焼き回しでは終わらないと高らかに宣言しているようだが、少々加工的なエッセンスが強かったのも事実。このバンドには、もう少し有機的なロックバイブを感じさせて欲しかった。

そういうスタンスで今作と向き合うと、前2作で感じた不自然さを払拭。枯れたカヴァーディルの歌声も、難なくレトロだが鮮度の高さを感じさせる楽曲と上手く溶け込み、無機質さと有機的な響きがハイブリットした形となった。
これ以上やれば嘘過ぎるし、やらないと今じゃない。その合間を縫ったのはレーベルの意向なのかなぁと推察しています。

新たに加わったジョエル・ホークストラや名手レブ・ビーチのよるソングライティングチームの相性も上々。ようやくカヴァーディルは栄光へのわだかまりを捨てたのだろう。古くて新しい古典ロックの復活。往年のアイデアを巧みに組み込み、らしさを随所に感じさせつつもフレッシュ感を残したアレンジには一日の長を感じます。ファン層の広いバンドだが、多くのリスナーを相手に唸らせる快作にしあがりましたね。

多くの人が指摘しているようですが、だからこそ、この安っぽいアイデアのジャケットは頂けなかったなぁ。パロディにしては弱いので、なんか過去にすがっているみたいに感じるのが唯一のマイナスですよ。


CRAIG GOLDY - Hidden in Plain Sight - Eye for An Eye ★★★ (2019-06-23 20:12:08)

オープニングからトリッキーなフレーズが飛び出します
へヴィでメロディアスでグルーヴィー
陽性なアメリカンサウンド的な匂いを押さえこむアーバンさが最大の聴きどころ
良く練り込まれた一曲です
派手に突っ込んでこなくとも期待値を抱かせるアルバムのオープニングでした
歌も熱いねぇ


CRAIG GOLDY - Hidden in Plain Sight - Anytime Anywhere ★★★ (2019-06-23 20:09:55)

アメリカンなグルーブと熱を帯びた歌声
超一流に成りきれなかった男達による熱演を楽しめます
そしてこれだから突き抜けられなかったんだよなぁというのも確認出来ますよ


CRAIG GOLDY - Hidden in Plain Sight ★★ (2019-06-23 20:06:37)

仕事はあんまり出来ないけど、あいつ大真面目だから注意出来ないんだよなぁと、世間ではある意味、一番タチの悪い奴と分類されるタイプと揶揄される苦労人ギタリスト、グレイグ・ゴールディ。ヴィヴィアン・キャンベルの後任としてDIOに参加するも、けして高い評価を得られず、さらにはDIO凋落の原因の一つにまで上げられた不遇を味わう男、したがって日本でも人気薄なのですが、そんな彼がソロアルバムリリース後に、バンド形式でリ・スタートさせたのがコチラになります。
参加メンバーもヨナス・ハンソンの1stでも歌っていたマイクストーンと、ミスター仮歌入れと呼ばれる、デヴィット・グレン・アイズリーが前半と後半に分かれ歌っています。何となく予想ですが、デモ音源はマイクでしたが、今作レコーディング中に、あいつじゃダメなんじゃない的な会議になり、急遽デヴィット・グレン・アイズリー呼んだんじゃないのみたいな空気が流れてしまい、別のアルバムを一つに纏めて仕上げたような印象が強く、正直、尻すぼみ感が漂うのだが、グレイグの研究熱心な姿勢は、どの楽曲にも自分のプレイをハイライトとするべく熱の入ったパフォーマンスを披露。
ハードなナンバーやインストの合間にバラードなんかも放り込み、最後までしっかりと聴かせる構成は見事。勿論、グレイグ関連ならではの地味さは消えていないが、逆にいえば堅実であり、大の大人が聴いても恥ずかしい思いをさせない洗練されたサウンドは時代を超えて支持できる魅力があります。 
今作リリースは1991年、シーンの潮流が変わりつつある時期に、グレイグは実に真っ当なスタイルで勝負を賭けていた思うと、なんだが急に応援したくなります。普通のメタル。これを楽しめるのが真の男だと試されている気分です。
ご新規さんの初心者にはとても薦められませんが、彼の真面目さは、多くのマニアにとって見直す価値のあるスタイルとサウンドが聴ける一枚かと思いますよ。


Strider - Strider ★★ (2019-06-23 19:25:42)

知る人ぞ知る凄腕ギタリスト、ジャック・スターが1991年にそれまでの活動拠点だったバンドBURNING STARRを一旦止め、動き出したのが、このバンドになります。シンガーもマイク・ティレリだったりと、音楽性の変換の為にバンド名を変えたと推察出来るのだが、やはり動き出した時代の匂いを嗅ぎ取ったジャックが手を打ったのがメロディアスなハードサウンド。ある意味、パワーメタル版のJOURNEYとも言えるようなスタイルへと舵を切った為に、こちらの戸惑いはハンパないのだが、時折ねじ込んでくる強引なプレイなどにジャック・スターの隠せない出自も顔を出したりと、成りきれていないのが面白い。そんな中で一際、このサウンドに貢献しているのはシンガーのマイク、余裕のあるトーンを駆使し魅了。柔軟な歌い回しでアメリカンなメロディアスロックサウンドと対峙しています。

やっぱ歌モンでもエレキがガツーンときて、リズムがガシガシ決まっていないと面白くないよと感じる方には、以外とハマる要素も強めですが、どちらかと言えば中途半端と言われがちなスタイル故に聴き手を選びそうです。
このバンド、結局は尻すぼみの短命に終わった為に、どの程度、活動していたのかは分かりませんが、この後、時代の波に飲み込まれジャックさんの姿を見なくなったのが一番記憶に残っています。今聴けば、多彩な楽曲にチャレンジする姿も悪くなく、その前にリリースしたソロでやったフュージョン風のインストよりは何倍も焦点が絞りこまれているので好感が持てますね。


DIAMOND HEAD - The Coffin Train ★★★ (2019-06-22 17:56:19)

古くは70年代から活動していた伝説の英国産バンドによる最新作。2000年以降の復活劇から19年、NWOBHM時代よりも今の音楽性の方がキャリアも長くなりましたが、オーソドックスな英国産サウンドを下地に、手堅いが古さに埋没しない古典芸能を披露。このフレッシュなサウンドメイクを抱き合わせた事により、今の若い人にも十分に訴求する聴きやすさをもっており、ハード&エッジの効いたパワフルサウンドのカッコよさに刺激を受けるのではないでしょうか、けして技巧的に優れたバンドではないが、そのオーセンテックさの中にある、バンドの独創的なアイデアは今の耳にも新鮮に届くでしょう。また古くからの彼らを知る者には、懐の深い今を生き抜く正統派スタイルと映りグイグイと引き寄せられるでしょうね。

直情的な初期のスタイルとは一線を画すために、METALLICAのカヴァーなどから知った人には物足りないかも知れませんが、等身大の魅力を内包した今のスタイルも捨てがたい魅力があり、どっしりと構えつつも幅の広がった音楽性には知的好奇心も擽られるでしょうね。ベテランだが現役感を損なっていないのが素晴らしい。過去をこするだけでは意味がありませんから。


Virgin Rocks - Shut Up! ★★ (2019-06-21 19:30:59)

日本のハードコア/パンクスを語る上では外す事の出来ないバンドTHE COMES。メンバーチェンジに伴いシンガーだったチトセ嬢を中心にバンド名を改名。音楽性もメタルよりのスタイルへと変換。オープニングの『I CAN BELIEVE ONLY MIND』などシンセに導かれスタートと、予想を裏切るようなドラマティックな楽曲を展開、ハードコア/パンクス時代の匂いを消す事に成功と、バンド名を変えてリスタートしたのは気の迷いではないと言う事を高らかに宣言していきます。
ドスを効かせシャウティングする唄もメロディを追いかけ日本的なスタンスでアプローチを掛けてきているのも印象的。メタルバンド的なアプローチとは、チョイと違う作り込も個性となり響いてきます。
80年代中期のGIRLSCHOOL的なサウンドとの類似性もあり、そっち方面が好きな方なら大いに楽しめるでしょう。弾けるジャパニーズパンクロックメタル。懐かしいなぁ。


D.A.M - Human Wreckage ★★★ (2019-06-21 19:11:52)

イギリスのバンドだがドイツのレーベルと契約を交わしデビューしたバンドの1st。スラッシュメタルの完全にジャンルとして定着してきた中で、このバンドが示した方向性はピュアスラッシュ一直線。その実直さは、余りにも王道路線の為に、聴き手によっては、やや物足りなく感じる面もあるだろうが、自らのルーツたる英国勢の影響下にある純度100%のスラッシュサウンドは、ジャンルの再分化が進む今だからこそ再考する価値のある音楽性だと思います。

一寸先の見えないスリルよりも楽曲重視の姿勢、勢いで誤魔化さない展開の妙、枠組みのしっかりとしたサウンドは、期待を裏切らない素直さが最大のポイントでしょう。アンサンブル重視、基礎を踏まえたオーソドックスなスラッシュに、今の耳では逆に新鮮に聴こえるかもですね。


PANTERA - I Am the Night ★★★ (2019-06-18 20:18:43)

3年連続でリリースされた3rd。その創作意欲とレコーディングに漕ぎ着けられる資金力に驚かされる。今回も自主製作盤なのだが、バンドの演奏もさらに磨きが掛かり1st時代のような稚拙な面がグッと減りまとまりが出てきている。
当時10代だったダイヤモンド・ダレルのギターも随所のトリッキーなフレーズも持ち込み斬新さをアピール。当時は無名だったが、耳を早いファンの間ではプチ話題になりつつあった。
メインストリーム寄りのスタイルとへヴィかつワイルドな攻撃的サウンドが巧みに散りばめられ、今まで以上にメリハリが生まれ、全てのクオリティを上げてきたバンドの向上心と鍛錬には目を見張るものがありますね。その成果は亜流からの脱却、個性の確立と言う作業のも直結し、パワーメタル色の強いナンバーも顔を出してきた。こうなると歌い手の表現力の限界を感じさせる場面も増え、壁がそびえ立ってきたのは皮肉なものだ。
ワタクシのように、グルーブメタルで世界を取ったバンドよりも、初期の方が好きだと言うマニアなら、今作を一番に支持する人も多いでしょう。意味不明なジャケットのせいで、大分損していますが、コマーシャル性のみならず、エッジの立ったハードサウンドは初期の集大成とも言える充実度を誇っています。


PANTERA - Metal Magic ★★★ (2019-06-18 01:37:09)

90年代に入り、PANTERAの1stは強力だという人たちに出くわした。何を言っているのかと不思議な気持ちになったのだが、直ぐに理由が判明。メジャーデビュー盤のCOWBOYS FROM HELLを1stとして売り出したんですね。
今となってはそんな感違いを起こらないでしょうが、全米を席巻したようなグルーブメタルはやっていませんので気を付けてくださいませ。

ヴォーカルの持って生き方などジョー・エリオットに似ていると言われたりと、音楽性も『On Through The Night』似ていると言われたりするのだが、あそこまでの完成度はなく、自主製作盤ならではの緩さのある若気の至りが詰まったデビュー作。他のアメリカンロック勢のような陽性な雰囲気よりも、根暗な部分もあったりと自分達の空気感を出そうと工夫しているのがポイント。
演奏も稚拙な面も目立つが、ギターヒーロー然とした技を披露するリードプレイなど面白みはある。また楽曲もバラエティに富んでおり、試行錯誤と言うよりもありったけのアイデアを全て披露したという感じなのも好感が持てますね。華やかなL.Aスタイルとは違うがメインストリームを無視していないのもテキサスならではのなのかな?
とりあえずギターが凄いってのは日本のインディ系みたいですね。


ダンプ松本 - 極悪 - Dump the Heel ★★★ (2019-06-17 19:58:43)

44マグナムのメンバーが前面バックアップ
JOE&PAULが作詩作曲を手掛け皆が演奏に参加している
壊滅的な歌声の破壊力にリアルダンプ感はハンパないが
バックの演奏はクールな80年代初期の空気がプンプンと漂っている
彼ららしい勇ましい疾走ナンバーだ


VULCAIN - Desperados ★★★ (2019-06-14 13:39:43)

フランスの荒くれ暴走R&Rバンドによる2nd。オープニングの1小節も聴けば、彼らの音楽性が丸分かりという親しみやすさも魅力の一つだが、男臭い哀愁美溢れるメロディと無頼感にロックの醍醐味を感じずにはいられないはず。その豪快さに拍車をかけるのが、楽曲に緩急をつけるツインギターコンビの旨味、太さとブルージーさ加減の絶妙で、時折切れ込んでくる哀愁が勢いを殺さずに泣かせに掛かるのがカッコいい。そして骨太な直球サウンド、タフでワイルドなR&Rの中で、一際男臭さを感じさせるがTANKのヴォーカル同様、喉をこするように震わせる濁声ヴォイスなのもポイント。個性は薄めなのかも知れないが、本作における力強いリズムを前面に押し出した荒々しいパフォーマンスは前作を踏襲しつつも、幅の広がりを感じさせる仕様になっているも見逃せませんね。


SPIDER - Rock ’n’ Roll Gypsies ★★★ (2019-06-14 13:08:47)

1970年代の中期には全盛を極めたSTATUS QUOに触発されバンドを結成。そしてNWOBHMの勢いに押され見事にデビューを飾った、英国の良心的なハードブギーサウンドを継承するバンドの1st。
日本では人気の無いジャンル故に無名だろうが、この手のロックが好きな人にはたまらない金太郎飴サウンドを披露。こんなもん若い事に聴かされたら、何を眠たいもん聴かせとんねんと暴言の一つも吐き倒し鼻にもかけないのですが、おっさんになるとグッと沁みてくるんですよね。似たような曲調、シンプルに刻まれるビート、同じような音階を行ったり来たりとホステスの年齢のようなもんなんですが、ブルースベースのへヴィグルーブのご機嫌感やスカッと切れ込んでくる軽快さに、こっちまで楽しい気持ちにさせられます。
ドライブ感溢れるハードサウンドの合間に、哀愁のあるフレーズやメロディを盛り込んだ楽曲も用意、しかも構成力も確かなものあがあり、無理無駄のない完成度の高さに、けして付け焼刃ではない事も物語クオリティを保持。ブギーサウンド一辺倒の中になって、この絶妙な違いを感じさせる技にグッと身体を傾けます。

個人的にはロックと言えば真っ先にイメージが浮かぶ英国産のハードブギー、普段はほぼ聴きませんが。暑い日のドライブなどでは、窓を開け大音量で聴きたくなるご機嫌なヤツです。


NAZARETH - Snakes 'n' Ladders ★★★ (2019-06-11 17:09:19)

我が国、日本ではぶっちぎりで知名度がない英国を代表するベテランロッカー。今だ現役なのだが、今作は時代性を加味しつつも保守的な英国サウンドを保持。それでありながらも米国ウケしたハードブギーサウンドはブルースロックからの旨味を存分に吸い込んだ古典的な響きと旬なモダンさを抱きわせる事に成功。
唯一無二の個性を持つダン・マッカファティの歌声を前面に押し出しつつも玄人ウケするバンドサウンドは、渋みとモダンさを嫌みなく演出している。

早くもないし、埃っぽく洗練度も薄めでリズムも大陸的なグルーブである為に、日本では今後も大きなリアクションを得られないのだろうが、無駄をそぎ落とした骨太なサウンドは、おおらかな大地のメロディが自然体に鳴らされる姿を捉えており、必ずや日本でも需要のある音楽性である事を雄弁に物語っている。スコットランド出身である為に、乾いた大地に潤いを与える情緒があるのも魅力なのです。