名曲『LET IT LOOSE』のインパクトが強く、それ以外の曲は凡庸を言われてしまったNWOBHMバンドの2枚目。今作は彼らが英国のバンドらしい叙情性と、暗雲立ち込めるドンヨリ系の煮え切らないメロディを軸とした独特のサウンドを披露。飛び抜けた曲がないと言われるが泣かせのリードプレイが耳を惹くオープニングなどインパクトは十分ある。むしろ全般的な整合が増した事により、雰囲気重視のスタイルがバレてしまった的なニュアンスの方が気になるところだ。
Metal Blade Records主催のコンピ作Metal Massacre VIIに登場した事がチョイとした話題になったパワー/スピードメタルバンドの1st。そのサウンドは一口で言い表す事の出来ない多様性がありスラッシュメタルと呼んでも差し支えがないほど疾走感も強めだが、それよりは正統性やメタルな様式を感じさせるためにパワー/スピードメタル系と括りたいが、どうでも良い事でしょうね。
BLUE BLUDでデビューするも、実は今作リリース時にバンド名をBLUE BLOODへと改名。前作よりもメインストリーム寄りのサウンドを志向。英国的な匂いが減った分、前作を支持するマニアには不満もあるでしょうが、端正なルックスを引っ提げたメンバーショットを見せつけられると、この音に違和感は何もない。
ちなみに今作は、オフィシャルな形で世に出たのですが、リーダーのグレッグ・フルカーソン周辺では、そこそこのヒットを記録。それに気を良くしたのか、同年にもう一枚『Dancin 'On the Back Streets』というタイトルで未発表集をリリースしている。そちらは未聴だが、同年に未発表集を乱発したせいで、今作のインパクトが薄まってしまった。また個人的にも何となく引いてしまい。このバンドの事を記憶から消し去ってしまった。
王者インギーの最新作はブルースロック&ブルージーなカヴァー集という企画モノ的なニュアンスの強い一枚。ジミヘンのカヴァーやDPの影に隠れZZ TOPやローリング・ストーンズにビートルズまで多義に渡ってフォローする予想外の選曲もあり、どのようなアプローチをとるのかと思ったら、いつもと同じ俺様印満載のネオクラ大会。 元曲の持ち味などクソ喰らえ、どうだ!俺のギターはと言わんばかりに弾き倒しています。なぜ、またDemon's Eyeやるんだとか、Smoke On The Waterをここまであっさりやる遂げるヤツはいないと思わずにはいられないのだが、とにかく一聴して彼と分かるギタープレイの数々に、彼のギタリストとして才に惚れたマニアはお腹一杯の一品でしょう。 かつてのカヴァーアルバム『Inspiration』なんて可愛いもんですよ。とにかく終始、怒涛のインギーギター。その鬼気迫るド迫力と繊細を併せ持つ唯一無二のテクニックを惜しげもなく披露しています(⑥のパープルヘイズの出だしから元曲を無視しています)
前作の流れを組み古さと新しさを果敢に取り込んだ意欲作。その配合や比率に評価も分かれそうだが、この時代にメジャーレーベルからガチンコのメタルなど作れるはずもなく、そういう意味ではバランスの取れた一枚。プロデュースにドロ姐さんの名前もあり、時代の流れを敏感に察知した作風に収まった。③ではType O Negativeのシンガーがゲストで参加したりと話題性もありますが、保守的なメタルファンにとっては、メタルの様式やマナーに順守した曲の少なさも気になるでしょうね。 こうして順序立てて、彼女の作品と向き合えば、メタル界を取り巻く環境や変化が色濃く反映されており、実に興味深い仕上がりになっています。 そんな中で一際異彩を放つのはウエンディ・ウィリアムスが唄っていた⑥をカヴァーしていることでしょう。こういった忘れ去られたPlasmaticsのバラードを取り上げたセンスが渋いね。どういう経緯があったのか等、個人的な興味も尽きないのですが、DORO姐さん、復活へのカウントダウンを期待させる曲でありました。
作り込んではいるが、スタジオライブ的なニュアンスが強めなのも、この手のバンドの魅力。蹂躙された感性に恥じらいを覚え、丸裸にされた自分に後ろめたさを感じつつ、退廃的なスラッジドゥームの魅力に浸ります。耐性のない方にとっては、この上なくつまらない音楽に聴こえますが、初期サバスを聴き興味を持った若い人には、是非ともトライして欲しいバンドではあります。ちなみに初期サバスが好きだというオジサンに出会う事があっても、その人たちは、名前で音楽を聴いているだけなので、今だかつて一人も日本が誇るキングオブドゥームのChurch Of Miseryや、血まみれ農夫でお馴染みのBlood Farmersなどの名前を口にした人に出会った事がありません。だからこそ、若い人たちに託したいですね(ビックネーム賛歌をしない)。 ワタクシのドゥーム系には精通してませんし、そんなに大好きなジャンルでもありません。初期サバスがクールだと思ったのは20代の中頃を過ぎてからでした。今もって自身のアイデンティティの形成とは無縁のジャンルです。だからこそ、客観的に聴く事が出来るので、この世界観の凄さや、エゲツナイやりきりぶりに身を落としていきます。こんなもん○○だよも、ご愛敬なんです。それも込みで楽しんで欲しいですね。
NWOBHMからの影響も色濃い攻撃的なサウンドはトラディショナルなHM/HRを愛する方なら間違いなく楽しめるでしょうね。ジャリジャリとしたリフワークも耳を惹く『Hell and Back』など、この時代ならではの音色。またシケシケ具合やダークテイストも加味された正攻法で迫る展開も懐かしさを擽るものであり、その筋のマニアにはたまらんものがるでしょう。 88年制作のデモは、多少なりとも80年代的なメインストリームを意識したような匂いはするが、それ以上に派手に駆け抜ける展開や硬派なストロングメタル臭の方が強く、このバンドのやりたい方向性と言うのが見えてくる。 より直線的なのは1984年制作のデモ音源ですが、バンドの変遷と言うか時代背景も楽しめるという意味では貴重な掘り起こし作なのかもしれません。正式な音源を残す事無く消えている為、無名中の無名バンドと言う事でしょう、しかし世の中には、まだ見ぬ良質なバンドが世界中にあることを、こういう作品に触れる度に思い知らせれます。愛すべきマイナーメタル。その門戸は狭いが、一たび踏み入れたなら、二度と抜けだす事の出来ない魔境がまっていますよ。
活動拠点をアメリカに移したドイツのメタルディーヴァ。今作のプロデューサーにはジーン・シモンズが陣頭指揮で参戦。愛弟子とも呼べるトミー・セイヤーとパット・リーガンも加わり彼女を前面バックアップ。 その影響は②はThe Electric Prunes、③はBlack 'n Blue、④はKiss、⑤は映画『Black Rain』で聴けるGregg Allmanのカヴァーとアメリカ向けの楽曲を並べる事で、今作のカラーを色づけている。このアメリカ式のサウンドメイクに、ドロもバックボーンたる欧州スタイルとの融合を、どのような感覚で楽しめるかがポイントでしょう。
ハワイ時代はマーティー・フリードマンと活動していたシンガー兼ギタリストのマイケル・ファーロングのソロアルバム。 この作品は少々ややこしく1984年に『Head On Rock N' Roll』というタイトルでRoadrunner Recordsからリリースされている、そして同タイトルで国内盤もあるのだが、アメリカのAtlanticからは『Use It Or Lose It』でリリースされている、ややこしい商品。ともに同じ内容だと思うのだが、Atlanticヴァージョンしか聴いた事がないので、なんともいえません。 少々軽めの電子音的なリズムセクションに、イマイチのめり込めなかったりするのだが、熱量も高めの唄と、確かな技術に彩られたギターは、ロック好きの少年少女のハートに嫌みなく飛び込む陽性な魅力があり、ポップでメロディアスだがハードに迫る健康優良児サウンドの持つ輝きは、時代を超越する魅力がある。
叙情的な泣きや、胸キュンメロディを愛するが故に、バーニーの示した音楽性にハマる事が無かったのだが、先日、訃報を知り改めて今作と向き合う事としました。今もって印象は変わらないが、彼がランディの後任に選ばれたのは刺激的なルックス&ステージ映えするギタリストしての位置づけもあったんだろうと思う。そしてステージングも腕も悪くなかったからAtomic Roosterに声を掛けられたと思われる。シーンからは遠ざかっていたアイリッシュの悪童。REST IN PEACEです。
伝説のNWOBHMバンドが往年のメンバーが結集して2014年に復活作をリリース。ビックになり損ねた名手ジェフ・サマーズはどんな曲を披露するのかと思ったら鋭利なリフワークが切れ込んでくるスピードメタルは封印。よりオーセンティックで古めかしいスタイルのバンドサウンドを披露。予想とは違う、地味目の曲の多さに肩透かしを喰らいますが、聴き込む程の味の出る、英国トラディショナルHM/HRサウンドに舵を切り、メロディアスさも大幅に増量した展開を試みています。 このバンドと言えば多くのマニアがNWOBHM史に名を残した『Set the stage alight』当たりの路線を期待する人も多いだけに、その辺りの期待値の大きさで評価も分けそうですが、落ち着いた印象を与えるもクオリティが下がる事は無いので、その手のマニアなら安心して聴けるでしょう。でもこのバンドには、昔の顔が揃っただけに、もう少し荒々しい激しさを期待しますけどねぇ。