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URIAH HEEP - Into the Wild ★★★ (2018-10-15 14:31:13)

枯れたお爺ちゃんには SONIC ORIGAMIが良く似合うと完全に舐めきっていたら随分と逞しいサウンドで復活を遂げたレジェンド達。今作と前作の合間に、現メンバーによる新曲+名曲のリメイクと精力的な活動を展開。その快進撃は留まる事を知らず、今作では新たなる扉を開いてきた。
古典的なサウンドではあるが、自分たちが築き上げたスタイルを再構築するのではなく、よりソリッドでハードなスタイルへと変更。まるで同時期にしのぎを削っていたDEEP PURPLEのようなサウンドへと昇華しているのに驚いた。
歪んだハモンドもクラシカルなコード進行を持ちいったりとDPのようだ。ミックのギターも円熟味を増した味わいもあるが、攻めの姿勢を崩す事のない若々しいプレイで華を添えている。
2000年に入り、更なる音楽性の変革と尽きる事のない探究心。おなじ古典でも、これだけ味が変われば十分インパクトを残せるでしょう。
かつてのような神秘さやエキセントリックな輝きはないが、渋さではなく荒々しい古典サウンドで手荒い歓迎をしてくれたバンドの気概に感銘を受けました。これだけの創作力があるのならユーロ圏のみならず欧州全土を駆け巡る活動が出来のも納得ですね。
日本ではイマイチ知名度に低い大御所ですが、リハビリ施設の余興のような大御所組よりは比べ物にならないほど、現役感に満ち溢れている。彼らにはニンニク卵黄も皇潤もマカDXも必要ないだろう(マカDXのCMに出てくる眼鏡女子のリアクションが大好物だ、ハズキルーペのCMと同じくらいイジリ倒せる)
今なお全盛期と変わらないんだな。こっちが勝手に裏切ったんだよ。加齢の為 SONIC ORIGAMI路線になるのが順当だと完全に思っていましたからね。切腹ですよ。

大げさでもなく神々しい光を放つベテランバンドのフルアルバム。汚れ無き古の大地へと誘うロマン溢れる⑥なんて全盛期に負けずとも劣らない新たなる名曲の誕生、こんなの聴かされたら興奮するよねぇ、ハモンドだけじゃない鍵盤楽器をフル活動、お腹いっぱいです。③なんてDPを彷彿とさせるハードな一曲、ありそうでなかったタイプの曲に興奮度も一気にアップ。他にも硬軟交えた楽曲を巧みに配置し飽きることなく最後まで聴かせてくれます。

これなら往年のファンも納得してくれそうですね。テクノロジーの発達は恐ろしい、簡単に音を作ってしまう。もはや生音をちょっと誰からもらえばサンプリングでどうにでも作れる。
努力のない音に深みはないが、楽しければそれでいい。音楽とは音を楽しむだ。そう言われたは返す言葉はな何一つない。いや、何をいってもスタンスが違うので、混じり合わない感性である。
今作のような、生身の人間が作り出す本気の音を聴かされると改めて、この手の音楽が好きになって良かったとしみじみ思わせてくれる。現代の音なのに、身にまとっているのは往年の空気。それは、どんなに努力しても作れない音である。だれでも模倣をして似た音は簡単に作れる。それこそサンプリングのお出ましだ。そんなインスタントが氾濫する世の中で、
誰にも出せない空気感を身にまといロックシーンのど真ん中に鎮座するベテランバンド。URIAH HEEPだけが出せる旨味。今作は、そんな魅力に溢れかえっている。②みたいな楽しいノリノリのポップソングでも、重みが全然違うもんね。


VIOLET JANINE - Between Red and Blue ★★★ (2018-10-15 13:41:41)

所謂、北欧版アメリカンアイドル出身のスウェーデン人女性シンガー、ジャニー・ナイマンを中心としたメロディックHM/HRバンドの1st。
バンドメンバーも短髪で今っぽい容姿のメンバーが脇を固めていますので、イメージは悪くないでしょうね。出している音も堅実な作りのハードサウンド。北欧らしい瑞々しい叙情性と甘美なメロディ、そこにチョイハスキーだがクリアーさもある声が乗るのだから嫌みな要素もなくストレートに響いてくる。冒険はしていないが安心して聴いてられる伝統的なスタイル、楽曲も4分前後のコンパクトな楽曲が大半を占め、聴きやすく纏めている。その反面、BGM化してしまいサラリと流れてしまいようになるのが残念な要素ではある。せっかくなんだからヴァイオレットさを前に出した方が良かったのに、グルーヴィーな⑤の色気や、ゲストシンガーを迎えデュエットしている⑨なんて、彼女のロックシンガー的な魅力が出ていると思うのだが、⑥で歌うのはトニー・マーティン、彼が見事に歌い上げています。流石のヴァイオレット・ジャニーンもかたなしですかね。
歌を前に出したミックスを考えれば主役はヴァイオレット・ジャニーンですからね。彼女の歌を主軸に置いた聞かせれるアレンジを曲も申し分なく、この手の北欧サウンドが好みの方なら安心して聴けるでしょう。
女性シンガーのグロウルは飽きた、パヤパヤ歌うシンフォ、ゴシック系も誰が歌っているのか違いが分からん、そんな状態に辟易しているマニアには、ドロ・ペッシュ系の歌い込めるロックシンガーに興味のある方はトライしても損はしないでしょう。


UNITED - N.O.I.Q (2018-10-12 14:39:00)

国産スラッシャーが遂にメジャーレーベルと契約。しかも何故か海外アーティスト契約的な裏技を使いメジャーリリースさせた一枚。だから値段が安かった。担当の人は、そこまでして彼らと契約したかったんだろう。詳細は分からないがエエ話だ。

そんな裏話の真偽は分からないが、後年、オフィシャルサイトなどでメンバー自身がイマイチ、気に入っていないと公言するメジャー第一弾にて問題作と言える3rd。

メジャー資本の介入はバンドサウンドの変革を希望したのか、コンパクトで勢いの増した楽曲はどれもがキャッチーで分かりやすいハードさを身につけている。彼らの魅力たるブリティッシュテイストは影を潜め、深みも情緒もないハードコアサウンド。これが1995年仕様と言う事なら仕方ないが、メジャーに進んだ彼らに大いに期待したファンにとっては戸惑いの隠せない方向性に進んでしまった。その辺りがメンバーにとっても不満なのか、内情をぶちまける事になったのだろう。
大人の事情アルバム。カヴァーを強いられ、それを無視。さらには売れっ子ではあるがスラッシュに合うのか疑問のパット・リーガンのミックス、おまけにメンバーの知らないところで曲に細工をされたと激怒して2曲分収録を拒否。
それでフルアルバムなのに8曲入りになったのね(当時は単に純然たるスラッシュをやらないから、急場の為にマテリアルがなかっただけだと思っていました)

何から何まで、きな臭い問題だらけのアルバムなのだが、時代に埋もれる事のない新機軸を打ち出している。特に①などはライブでも定番の一曲へと昇格している。
個人的には、このアルバムをリリース後、どんどん方向性が拡散していき、その都度、旬のアメリカよりに変貌を遂げていったため、長らくUNITEDの作品に手を出さなくなったキッカケを作るアルバム。シンガーの古井脱退も、そういう音楽性の違いがあったのかも知れない。いずれにしろ、新旧のファンを振り分けるような作風ではあるが、コアなメタルバンドがメジャーに進む事の難しさを端的に物語る一枚だろう。


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - War Child ★★★ (2018-10-12 14:16:49)

神々しいと言えば大げさだが
気合いの入りまくった現役バリバリのベテランバンドによる
渾身に復活アルバムを〆くるるクロージングソング
ガンガンと迫るへヴィなオルガン
皆が一体となり生み出されるグルーブ
名曲『Gypsy』あたりに通ずる魅力だろう


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Shadow ★★★ (2018-10-12 14:08:16)

バーニーの歌声も円熟味を増しているね
王者の威厳を取り戻した貫禄に満ちた渋めのブルースロック
裏でなっているオルガンがいい味出している


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Angels Walk With You ★★★ (2018-10-12 14:05:02)

ベースのへヴィな刻みが耳を惹きますね
渋めのハードナンバー
中盤のオルガンソロもカッコいい
円熟味を重ねた大人の余裕とガンガンに迫るハードさ
その絶妙な合間を縫っているね


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Ghost of the Ocean ★★ (2018-10-12 14:00:50)

懐かしいハモンドの響き
ワウを噛ましたギター
ポップさも加味されたバーニー向けの一曲
今回のアルバムはどの曲も一筋縄ではいかない凝ったアレンジが耳を惹きますね


HOLY TERROR - Terror and Submission ★★★ (2018-10-12 13:52:55)

スラッシュマニアの間では幻の名盤として誉れ高い栄誉を得ている幻のバンド。活動期間も短かったためレア感も増量されているのだが、そんな幻の作品が2017年にDVD付きの5枚組で復活していますので、往年のスラッシュムーブメントに興味のある方は是非ともチェックして欲しいですね。

メインソングライターを務めるカート・キルフェルトはアメリカ国籍なのに、思いのほかブリティッシュテイスト満載のへヴィメタルサウンドを信条としており、ハードコア顔負けの破壊力のある楽曲にスピーディーでスリリングなリードはメロディアスな響きで潤っている。アメリカ人なんで湿っては無いが濡れている独特の感性はあるが、このバンドはそういったUS勢の中でもかなり特殊な音を奏でている。
溢れるエネルギーがド派手さを誘発、終始ハイテンションなのに、叙情的とも言える芳醇なフレーズが随所にねじ込まれスラッシュメタルと呼ぶには幅は広い。そんな豊かな音楽性を支えるのはギターのみならず、地を這うへヴィグルーブのウネリ、良く動くベースとタイトに刻みあげるドラムは屋台骨をしっかりと支えている。そしてヤケクソ気味に歌い上げる破天荒ヴォイスが個性を際立たせている。下手なハズなのに何故かイケるのが不思議。そしてこのバンドをメジャーに押し上げられなかったのは歌の弱さだろう。
まるで終始押さえに悩まされ優勝戦線に絡み切れなかった今年の日ハムのようだ。

それにしてもギターはアイデア豊富なテクニシャンなんだよなぁ。フレーズの構築美も目を見張るものがある。怪しげな中近東風のメロディもあったりするし、走り出す曲の中に凝ったリフを重ね、劇的なツインリードは破壊力満点だが刹那な美しさが顔をのぞかせる瞬間がある。それに厳つさの中にしっかりとキャッチーさを感じさせるのも魅力の一つだろう。
ド派手な戦闘シーンのように、好戦的で感情を煽るメタルが聴きたい人にはもってこいのサウンドだろう。ただメジャー資本のカッチリとした音が好みの人には、チョイとキツイ。


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - What Kind of God ★★★ (2018-10-11 13:55:41)

徐々に盛り上がりを魅せるドラマティックかつダイナミックなナンバー
今の彼らがいかに充実しているから鮮烈に知らしめた一曲でしょう
重いリフを刻むベースのカッコよさ
ワウを噛ませたミックのギター
魔性の鍵盤プレイで全体のムードを司るフィル
タイトに刻むドラムも
緊張感溢れる名演にやられましたね


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Book of Lies ★★ (2018-10-11 13:46:01)

短めだがミックのギターソロもカッコいい
仄かな哀愁漂うメロディアスハードポップ路線
それを軽く聴かせないのが今作の特徴か
なにをやっても威厳に満ち溢れている


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Heaven's Rain ★★★ (2018-10-11 13:43:13)

哀愁漂う渋めの一曲
それでいながらもパワフルさを感じさせる楽曲がもつ熱量が凄い
バーニーの熱を帯びた歌声もガッツリハマっている
ドラムもベースも存在感が高い


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Light of a Thousand Stars ★★ (2018-10-11 13:39:26)

裏で鳴り響くランゾンのキーボード
ポップな曲だがバーニーの力強い歌声も映える
絶妙なバランス感覚でハードさとポップさが互いを高め合っていますね


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Tears of the World ★★★ (2018-10-11 13:35:27)

ハードなシャッフルナンバーをやらせたら右に出る者なしですね
美麗なコーワスワークもきまっている
熱量の高い演奏を大人の装いで聴かせているのも凄い
ミックとランゾンの絡みが生み出すダイナミズム溢れるソロパートはエグ過ぎる


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Overload ★★★ (2018-10-11 13:30:40)

爆発的なオープニングの次にこれだもんな
ズルイわ
哀愁が熱く心を濡らしていきます
本当に初見で聴いたときは感動したね
コンパクトだが劇的な展開
これぞURIAH HEEPでしょ
ダイナミックな絡みを魅せる演者の若々しいパフォーマンスに脱帽です
SONIC ORIGAMIってなんだったの?


URIAH HEEP - Wake the Sleeper - Wake the Sleeper ★★★ (2018-10-11 13:25:10)

ミック・ボックスのワウを噛ませたお得意のギターが暴れ倒しています
コーラスのみのハーフインストにしたのが勝ち
キーボードの絡みとコーラスワークの荘厳さ
そしてハードに躍動するリズムプレイ
若々しくエネルギッシュ!
前作を聴き枯れたお爺ちゃん路線に進むと思っていた我が身を恥じますよ


URIAH HEEP - Wake the Sleeper ★★★ (2018-10-11 13:21:59)

前作から10年ぶりにリリースされたアルバム。Sonic Origamiを聴いたときは、もう結構な歳だし無難に落ち着いたロックになっても当然と勝手に決め付け、彼らの進む道は穏やかなものになるんだろうと思っていたら、見事に裏切られました。
オープニングから畳み掛ける疾走感に悶絶。歌を無くしコーラスのみのハーフインストのような形にしたのが大正解。ミックの暴れまくるワウギターも凄いが、そこにかぶさるランゾン&リズム隊が更なる疾走感を煽っている。その勢いを継承するような形で②に流れる展開も見事です。
おじいちゃんなんで枯れて当然なんて申し訳ないッス。切腹ものの非礼だったなぁ。

とにかく前半から流れ良く進む展開、そしてとどめを刺すようなコクのある⑦で昇天。聴き応えたっぷりの充実度を誇る楽曲群に隙など見当たらず、Sonic Origamiなんだったんだと言いたくなるようなドラマティックなハード路線に回帰しました。
2008年に、ここまで気合いの入った古典ロックを聴けるとは目からウロコですよ。確かにこの時代から欧州では、トラディショナルなメタルサウンドの復権運動は目覚ましいものがありました。しかし、だからと言って簡単に出来るものではない。URIAH HEEPは時流を読み完全に息を吹き返しましたね。

爆発的なインパクトを刻んだオープニング、叙情的なフレーズをバックアップするだけではない鍵盤プレイ。バンドを牽引するミックの破壊的な威力を魅せたギター、両者の絡みが王者の威厳たる風格を見事に取り戻している。
バーニーの軽めの声もエモーショナルな節回しで口うるさいファンの不平不満を押さえこんでいるでしょう。

この充実度なら新しいファン獲得は勿論だが、去っていったファンを取り戻すのに十分すぎるほどのインパクトの与えた。


SABER TIGER - Obscure Diversity ★★★ (2018-10-11 12:38:01)

自らが築き上げ研磨してきた伝統的HM/HRの世界。そこに,よりダイナミックでアグレッシブなテクニカルサウンドを実践してきた彼ら、その成果は今年、念願の本格的な海外進出へと繋がるのですが、今作は、その欧州基盤のレーベルの意向も踏まえ、ヘヴィな音像を生かしたタフなサウンドではあるが、メロディアスな側面も損なわないアレンジを持ち込んでおり、劇的なツインリードを武器とするサーベルサウンドを存分に披露。
個人的にはTIMYSTERYが一番好きな作風なので、もっとキメキメの方が好みなのだが、これも欧州基準と言う事で納得しています。
そういった流麗なツインリードは少なめでも、高度な演奏力が支える卓越したメロディセンスが爆発。木下&田中の国内最高峰のギターコンビを中心とした、バンドサウンドは皆の叡智が集まった証拠だろう。
獰猛に歌うだけじゃない、魂を揺さぶる下山の絶唱も、今まで以上にフックに富んだメロディを歌い上げており、バラードにおけるパフォーマンスには、思わずため息が漏れてしまいます。今回の下山は肩の力を抜き、エモーショナルな表現力を存分に生かしている。これは大歓迎です。

前作の流れを押しすすめた最新作。紆余曲折を経てたどり着いた境地。洗練に洗練を重ねた現在の姿は、ヨーロッパのバンドのような優美さがある。小手先のテクニックで仕上げたのではない、堅牢なメタルスピリット。
久保田陽子時代から流れるメロディックHM/HRバンドの系譜。それを見事に現代風へアップデートしていますよ。
ここにきて決定打になる様な方向性を固めてきたね。それにしても⑥みたいな曲をやるとは思わなかった。シングル向けのエエ曲ですよ。


KROKUS - Big Rocks ★★★ (2018-10-08 15:10:16)


1. N.I.B. (Black Sabbath cover)
2. Tie Your Mother Down (Queen cover)
3. My Generation (The Who cover)
4. Wild Thing (The Troggs cover)
5. The House of the Rising Sun (The Animals cover)
6. Rockin' in the Free World (Neil Young cover)
7. Gimme Some Lovin' (Spencer Davis Group cover)
8. Whole Lotta Love (Led Zeppelin cover)
9. Summertime Blues (Eddie Cochran cover)
10. Born to Be Wild (Steppenwolf cover)
11. Quinn the Eskimo (Bob Dylan cover)
12. Jumpin' Jack Flash (The Rolling Stones cover)
13. Back Seat Rock'n Roll

上記アーティストの曲をカヴァーした企画モノアルバム。最後の曲はセルフリメイクですが、それ以外の選曲がベタ中のベタで、誰もが一度くらい聴いたことあるようなロック史におけるポピュラーソングをカヴァーしています。
変にこねくり回していないので、どの曲もそれなりに楽しめるし若い人にとっては、これが入り口となりユーチューブでもなんでも良いのでオリジナルを聴くきっかけになれば、音楽の幅も広がる良いチャンスかと思いますよ。
まずは百聞は一見にしかずですからね。個人的にはNeil Youngのカヴァーも上手い事やってるよ。でも内田裕也でお馴染みのThe Animalsが良かったかなぁ。マークの声にもピッタリだしね。あの曲はコシの太いハードに歪んだギターで聴いてみたかった。
それにしても選曲ベタ過ぎじゃないかね?


OVERDRIVE - Swords and Axes ★★★ (2018-10-08 14:50:40)

北欧メタルと言えばALIEN、EUROPE、MADISON、BISCAYA、SILVER MOUNTAINといったバンドを真っ先に思いつくのですが、このバンドも古くは80年から活動、世界を席巻するNWOBHMブームに乗り1983年に1stをリリース。先述したバンドに共通する、甘美なメロディと冷ややかな叙情性、そしてクラシカルフレーバー、DP風味やRAINBOW風味といったリッチーテイストも取り込んだサウンドとなるのですが、このバンドは確かに北欧風のメロディもあるが、よりソリッドで豪快なメタルサウンドと毛色の違いスタイルで勝負。
1stにあった荒々しいヴァイキング感も損なわずに、よりタイトな演奏を披露。相変わらずの下手な歌がB級感を猛烈に発散しているが、これぞへヴィメタルと呼びたくなる様式に則った剛毅なサウンドを轟かせている。

粗挽きだが攻撃的なギターサウンドもメタルマインドを鼓舞させる勇壮さもある。そこに畳み掛けるワイルドなリズムプレイ。でも欧州のバンドらしい繊細さってのがイイ感じでブレンドされており、正統派と呼ぶに相応しい魅力が詰まった一枚となりました。
今のご時世の方が逆にウケそうですね。北欧=甘美なものとEUROPEの世界的成功のあと、そのフォロワーも増えたし紹介もされたせいでイマイチ誤解をされているのだが、確実に日本よりもNWOBHMの洗礼をうけている地域ですからね。この手の荒々しいバンドは沢山いるのです、ただ兵役などの関係でバンド活動が継続されず、短命に終わるケースもあったから、若気の至りで終わり、シーン時代の大きなマーケットを持ち合わせていないだけに、遠く離れた日本ではレコード会社の意向もあり正しく伝わっていないのが現状でしょう。

このバンド、もし上手い奴が歌っていたら高く評価を受け認知されたでしょうね。野暮な北欧メタルで終わらせるのが惜しいバンドです。


KILLERS - Murder One ★★★ (2018-10-08 14:39:04)

腰の据わりの悪い男ポール・ディアノ、一つのバンドで長く活動する事がなく、チョイチョイ名義を変え、色んな事に挑戦するも上手くいかないと、直ぐに違う仕事に手を出す、そんな悪癖の繰り返しだった。今作は92年にゴリゴリのへヴィメタルサウンドを叩きつけてきたのだが、さしたる話題にもならずに2年後の2ndでモダン化に挑むも失敗。そのままバンドは開店休業状態へ。直ぐにデニス・ストラットンとコンビを組みIRON MANなる名義でアルバムを作るという鬼の所業に、それまでもメイデンをこすってきたが、遂に解禁したんだなぁと思いましたね。
Di'Anno~Battlezone~Killers~Paul Di'Annoとこの四つを使い分けシーンを生き抜いてきた男ポール・ディアノ。その中でも今アルバムはもっとも正攻法で迫るメタルサウンドだっただけに、この腰の据わりの悪さは致命傷とも言える。まっとうな評価をされることなく終わっていた。
JP寄りのブリティッシュサウンドもあるが、ハードコア・パンクスも裸足で逃げ出すアグレッションさも加味された楽曲は、ポール・ディアノの荒々しい歌声を際立たせるのに十分な効果を出していた。そういう意味でのポールの活動の中で最もメタル度の濃いアルバムだったと言えよう。


ROCKHEAD - Rockhead ★★ (2018-10-06 15:59:44)

エンジニアからプロデューサーとして活躍し一時代の音を築き上げた男として知られるボブ・ロックが中心となり1992年にリリースしたバンドの1st。このアルバムには彼が手がけてきたモトリー、ボン・ジョヴィ、メタリカ的な音が溢れている。一流のプロが集まり作り上げただけに、洗練された中に土着的なアメリカンロックのニュアンスねじ込む流石の音作りと楽曲が目白押しで、飛び抜けたリーダートラックはないが、ソツなく纏めあげた楽曲群の数々の質は高いです。

アメリカンなポップセンスとロックな力強さが同一の力で押しあいへしあう感覚は実に面白い、そしてシンガーのスティーブ・ジャックが情感豊かな歌声で楽曲の魅力を倍増させていますね。エモーショナルなメロディ、サビを彩る色彩豊かなコーラスワーク、パッと広げる解放感のある展開などなど、ボブ・ロックやないかーいとなるわけですね。

メインストリームへと押しあがったアメリカンハードサウンド。その旨味を抽出したサウンドは、どこかファーストフード的なお手軽感とリーズナブルさが備わり、底の浅い音に聴こえてしまうのだが、逆にこの時代ならではのサウンドであるのは間違いない。昨今のリバイバルブームに感化された若いファンには、80年代後期の音の代表格みたいなアルバムだと進めたいですね。


KRUBERABLINKA - Kaizu ★★★ (2018-10-06 15:49:23)

クルベラブリンカと読みづらいバンド名でよかったんかといつも思うが、音楽性は非常に分かりやすいメロディックな古典的スタイル。それもTERRA ROSAの看板シンガーだった、赤尾和重が中心となり立ち上げたバンドだからだろう。ギターには盟友鈴木広美も加わり動き出したのだからファンならだれもが、あの幻想を追い求めてしまう。

老獪なテクニックを駆使して歌い上げる赤尾のストリーテラーとしての存在感も最大限に発揮。その魅力は躍動感にあふれたオープニングの『宇宙は滾れ』を聴けば分かってもらえるでしょう。テクニカルなギターもスリリングなだけではない、叙情性とエモーショナルな響き、その音を選ぶセンスもまたベテランの旨味。音楽性自体は様式美を感じさせる王道路線だが、音作りもアレンジも過去にしがみ付くだけではない新鮮さもあり、聴き応は十分だ。緩急をつけたダイナミックな演奏に支えられる楽曲には、TERRA ROSAファンにとってはガッツボーズ連発の名作であることに疑いはない。
またなまじ手を加えない録音体制が生み出すライブ感も心地よく、その生っぽい音作りには一日の長を感じずにはいられませんね。

重厚なる古典ロックの血脈を守る国産メタル最後の砦。なくしてはならない伝統芸能に、かつてのメタルシーンへの憧憬をも抱かせます。


BLITZKRIEG - Judge Not! ★★★ (2018-10-05 15:50:51)

英国のベテランバンドによる2018年リリースの最新作。地道な活動ながら2001年に再結成後、5枚もオリジナルアルバムを作っているのだからマニアにはありがたい存在です。
完熟したブライアン・ロスの歌声、どんよりとしたダーク系のサウンドにピッタリと似合っています。ブリティシュロックのもつ翳りと憂いをダークテイストで味付けした音楽性、それをトロ火でじっくりと煮込んでいるんだからね。陰気臭さも倍増ですが、今回はメリハリをつけるように③のようなJPタイプの疾走ナンバーも放り込み、今まで以上に革新的な意欲と伝統美を守る気概を感じる。相反する要素だが、揺ぎ無きNWOBHM精神が全てを飲みこんでいるので問題はない。むしろ今の時代に嘘のような、オッサン臭い暗黒系のNWOBHMサウンドが聴けるのだからマニア泣かせですよ。
ここにきて全盛期の勢いに肉薄するような質の高い作品を世に送り出した。ベテランバンドの逆襲劇。世界中で巻き起こるオールドサウンドブームの成熟ぶりに驚きを隠せませんね。
この音楽性を今度は絶やさぬようにお願いしたいですね。そうじゃないとシーン全体が始まりの終わりになりますからね。


浜田麻里 - PROMISE IN THE HISTORY ★★★ (2018-10-05 15:29:35)

樋口宗孝プロジェクトの手を離れた事により作風に柔軟さが出てきた浜田麻里。今回は作詩は彼女自身が手掛け、作曲は片山圭司、増田隆宣らのビーイング組に山田信人と松澤浩明の参加もあり、硬軟のバランスが取れた楽曲が収録。ファン層も広がり多くのリスナーを満足させる意味でも当然と言える方向性に進んでいった
ソフトな楽曲が増えようが、彼女の歌声は益々磨きが掛かり、初期の頃のクソダサい歌詞も無くなり色んな意味で洗練された印象が強まった。これ以降の彼女はしばらくロックフィールドから遠ざかり、紅白に出演するほどのヒット曲を飛ばすシンガーになる。
やはり歌の上手さと言う最大の武器が、どの路線でも成功する秘訣だったんだろう。

昨今の嬢メタルブームは凄く、色んなタイプのシンガーがいるのだが、個人的にはどれも決め手の欠ける歌い手が多い。やはりルックスを重視している傾向があるのか、どうもメタルを聴いた事無いような、歌ウマ選手権的なニュアンスのシンガーが多く、ロック畑を愛する者には物足りない歌い手が多い。声優系の歌のお姉さんも困るのだが、やはり浜田麻里の表現力と言うのは、基礎体力の凄さもあるが、ステージで鍛えられた賜物だろう。
ポップな歌でも芯のある歌い手だった。今作を聴いて、どこかヨソ行きな印象の強い作風でもそう感じさせるのだから流石である。

ちなみに今作でギターを弾くのは松本孝弘と土方隆之。キーボードは増田隆宣。増田と片山圭司は、このあとBLUEWを結成。その増田と松本はよく、課外活動で顔を合わせた同士としても有名ですね。


END ALL - Hop Thrash Jump ★★★ (2018-10-05 14:58:37)

アルコール大好き、国産若手スラッシャーが2013年にリリースした6曲入りのEP。その飲めや歌えや大騒ぎな賑々しい面もあれど、アグレッシブなスラッシュナンバーから、キャッチーなれどハードコアスタイルのストレートなサウンドまで幅広く網羅、その中で英国的なスタンスの楽曲もあり、小技を聴かせつつも最後まで楽しいオールドスラッシュを堪能出来ます。
厳つさもあるが、やはり歌も含め親しみやすさを込めた、作り込みがバンドの根幹となる音楽性なんだろう。最後のビール大好きソングも、そんなファニーな一面が出ている。それでいて攻撃的なリズムとザックザクのリフが飛び出してくるんだから楽しいですよね。
アルバムタイトルに、ビール瓶のラベルをもじったジャケットと、ドイツにTANKARDがいるなら日本には俺たちがいると言わんばかりのアピールポイントもバンドのウリなんでしょうね。


RITUAL - Widow ★★★ (2018-10-01 12:33:11)

古くは70年代の初頭から活動していた英国のバンド。NWOBHMブームの煽りを受け1983年にデビュー作となる今作をリリースするのですが、ここで聴けるのは勢いのあるNWOBHMではなく、英国らしいドンヨリ系のビシャビシャに湿ったメロディとカビ臭い地下室サウンド、そのねっとりと絡みつく哀愁に気道が狭まる感覚を覚え咽びますが、マニアにこそ、これぞ英国メタルだという陰気臭さがたまらんでしょうね。
オープニングからその魅力が全開に発揮、HAVEN AND HELL風味のミドルナンバーからへヴィに跳ねるシャッフルナンバーへと流れる展開にも悶絶。全然垢ぬけない青空の見えない年中曇り空な陰気臭さに布団の裏にキノコも生えてくるのですが、このペシャンペシャンの音の向こうで聴こえる嵐の如く吹き荒れるリフの嵐、分厚い雲の中で渦巻く激しいリズムは落雷の如く怒り滾っている。

派手さを好むメタルファンにとっては退屈この上ない叙情派サウンド、しかしここにあるのはハードさにロック本来の持つパワーを感じずにはいられません。キッチリと作り込まないラフさが逆に魅力を倍増させているのもNWOBHMならではですね。
2018年にマニアご用達のHigh Roller Recordsからオリジナルジャケで復刻を果たしました。このジャケを見れば音も想像出来るってもんですよね。


ANTHRAX - Armed and Dangerous ★★★ (2018-10-01 12:12:32)

ヴォーカルがニール・タービンからジョーイ・ベラドナに変更。その挨拶代わりにリリースされた1985年リリースのミニアルバム。ちなみにベースもダン・リルカーからジョーイの親戚にあたるフランク・ベロに代わっています。

オープニングからドラマティックなナンバーで幕開け、期待を煽る静寂を打ち破ってから始まるのはスラッシュではなくNWOBHM印満載の剛直パワーメタル。その光沢のある艶めかしいコンクリートサウンドは正にUS産と呼ぶに相応しい一曲です。
どっしりと構えたミドルナンバーに続いてSex Pistolsカヴァーと続き、彼らのルーツたる音楽性がバランスよく飛び出していきます。④⑤は1st収録のスタジオライブ。ジョーイの腕試しヴァージョンを存分に楽しんで欲しいですね。

CD化の際に⑥⑦を追加でリリース。こちらはニール・タービンが歌う1stの別ヴァージョンです。
このアルバムを聴くといつも思い出すのが、RIOTを止めたばかりのガイ・スペランザにスコット・イアンが声を掛けたという逸話が頭をよぎりますね。Anthraxのスタートはどんな音楽性だったのか?興味は尽きません。
後年ラップメタルの先駆者になるとは夢にも思わなかったのでね。


DON AIREY - One of a Kind ★★★ (2018-09-30 13:54:33)

ジョン・ロードが死去。長きに渡りDPのキーボードを務めてきたのはジョンだけだった。その偉大なる花形ポジションの後釜に収まったのがドン・エイリーになったのですが、そのプレッシャーたるやね。想像を絶する重責でしょう。DPの中ではリッチーと同等のイニシアチブを握っていたオルガンプレイの数々、ドンならば適任とも思える無難な人選に安堵したファンも多いでしょうね。ドンはクラシカルなプレイのみならずジャジーなサウンドメイクもお手の物、引き出しの多いプレイヤーですから、見事にやってのけているでしょう。正直リッチー脱退後のDPをまともに聴いた事がなく、老いさらばえたギランの歌声に萎えるだけなのでズッとパスしているのですが、ドンが入ってからの数枚は何となく聴いた事があるし、ライブを映像で見た程度ですから、偉そうなことは言えないのですがね。

そんなドンですが近年の精力的な活動には目を見張るものがありますね。2017年にピアノをフューチャーした落ち着いたソロ作をリリース。その次に着手したのはDPにも通ずる魅力を携えた古典ロックのオンパレード。合間にスローナンバーもありますが、血湧き肉躍るハードナンバーの数々に身を乗り出さずにはいられませんね。

懐かしい名前のローレンス・スコッティルとジョン・ファニガンによる燻銀のグルーブ、そして近年はソロ作もリリースし健在ぶりをアピールするSnakecharmerのサイモン・マクブライト。そして花形であるヴォーカルの座に就くのは、必殺請負人と呼ばれる、なんでも歌える男カール・センタンスと来てますからね。
このストレスを抱えずに済む気心の知れた実力派のメンツが、ドンと一緒に作り上げるんだから悪い内容になるわけがない。

特に比較対象の的になるDISC2のカヴァー集を聴き比べていただければカール・センタンスの力量もマクブライトの憑依ぶりも十分に味わって頂けるでしょう。オリジナルを壊さないが単なるカラオケ大会で終わらせないアレンジも聴きどころですよ。

本編も派手目の曲に耳が持っていかれがちですが、ストリングスアレンジが大胆に導入されたタイトルトラックの③のような聴き応えのある楽曲も用意。多彩な鍵盤楽器を持ちいり主役たる存在感をアピールするドンのキーボードを出しつつも、ボーカルを蔑にしないバンドサウンドは、パーマネントな活動を視野に入れているとも取れ、期待の持てる充実した内容を誇っています。

ドンはバランスのとれたキーボードプレイヤーですね。カールの歌も前面に出しているが、やはりマクブライトのギターを大きく取り上げ、両者が激しくぶつかり合うスタイルにDPの継承者としての誇りを感じますね。
⑤とか⑦なんてDPでやっても違和感ないしね。ギターソロもリッチーをモロに意識したプレイでファンの期待に応えているでしょう。2018年に古臭くない古典ロックの名盤に出会えるとは驚きです。カール・センタンスの歌が聴きたくて手にしたアルバムだっただけに、想像を遥かに超えるドンのコンポーズ力の高さと、自我を出さないバランス感覚に脱帽です。

恐らく売り出したいレーベルにとっては、DISC2のカヴァーは保険みたいなもんだったんでしょうが、ビシッと芯の通ったリリシズムと表情豊かな色彩美に溢れる古典ハードサウンドを楽しめる本編を前にすると完全にオマケにしかならない充実度があります。
流れがイイから、ピアノが活躍するジャジーな⑥聴いても全然ダレないもんね。選曲がいいんだよなぁ。


GOLDBRICK - Goldbrick ★★ (2018-09-28 13:19:00)

2000年を前に究極のRAINBOWトリビュートバンド『虹伝説』、そこで夢の競演を果たした森川之雄と梶山のコンビ。その後、梶山は虹伝説繋がり&ビクターの後押しを受けジョー・リン・ターナーと接近を果たすのだが、ジョーに提供したが採用されなかった楽曲を用いてソロアルバムに着手。その相棒に白羽の矢が当たったのは盟友森川之雄。キーボードは永川敏郎。リズム隊は飛ぶ鳥を落とす勢いで人気の高めた陰陽座のリズム隊という国内を代表する豪華ラインナップが結集。話題性では虹伝説にも負けないが、やはり楽曲が弱かった。梶山のプレイアヴィリティの高さは、今までの活動でも証明済みだし、森川のパワーヴォイスも健在なのは知るところ、せっかく歌えるし書けるベースがいるのだからと思うのだが、ここでは瞬火のアイデアを用いる余白など無かったのだろう。
なんだか宝の持ち腐れ感がそこはかとなく漂っているのが残念感を誘発している。

やはりジョーがボツにしたという側面が地味さをアピールしたことに直結しているように感じられる。キメの一手が足りない70年代テイストの強いオーソドックスなハードサウンド、こじんまりとしたサウンドプロダクションは、ダイナミズムの欠落にも繋がり地味さに拍車を掛ける古臭さが漂ってしまったのだ。伝わりづらいが新しい目の古本なのに、めちゃ臭いみたいな感じです。

と苦言が先立ちましたが、ワタクシ個人の期待値の高さに過ぎず、2003年にここまで古典的な手法のサウンドを、鮮度を高めて聴かせた手腕は流石としか言えず、虹伝説の流れで興味をもたれた古参マニアのハートを掴むにはもってこいの一枚でしょう。
ターゲットを明確に定めた売り込みは悪くないアイデアです。
①⑧に短いイントロを置き、アルバムをリスタートさせているような感じがするのも面白い。特に⑨なんてモロに後期RAINBOWスタイルの曲でしたからね。


GOLDBRICK - The Boundary ★★★ (2018-09-27 17:18:07)

長き沈黙を破り遂に梶山章率いるGOLDBRICKが復活を果たしました。今回のパートナーは森川之雄でも下山武徳でもない、無名の新人(若くないけどね)藤井重樹を新たに迎えアルバムを制作。ちなみにベースとドラムは梶山が担当しています。

再始動GOLDBRICKのオープニングナンバーがまさかのPRECIOUS時代の『Crazy For Your Love』のリメイクで幕開けとは驚いた。あの速弾き時代を否定的に捉える意見が多く梶山から聴かれていたので、歌心のあるスピーディーなギタープレイが満載のオープニングに先制パンチを喰らいました。その後は②③④とジョーとやっていた曲のリメイクが続いたりとフレッシュ感のない選曲に不安を覚えたのだが、フロントマンを飾る藤井の表現力豊かなパフォーマンスが違いを楽しませてくれ、サビで伸びやかになる瞬間など人見基気を彷彿とさせる部分もあり、上手いだけではない情感があるシンガーがいる事に興味も尽きずに楽しみました。ただ初めてのレコーディングなのか、硬さがあったのは気になるところ、それでも十分に梶山が作りだす古典的なHM/HRサウンドの中で互角に渡り歩き躍動しています。このアルバムに新しい面白みを持ち込んだのは、器用な藤井の存在は不可欠だったように思う。

ストラトキャスターを操る不世出のギタリストと呼ばれた梶山章、そのテクニックだけに埋没しないセンスを発揮できる機会を見つけて欲しいものである。そろそろ梶山と言えばの決定打が欲しい。彼にとっては本意でなくとも『Cast In The Air』はマイナスではない。いっそ器用に歌える藤井を見つけたのだからPRECIOUSの曲をセルフリメイクするのもありだろう。
下山とのRAINBOWライブは素晴らしいけど、リッチーの影響は受けているがRAINBOWは、まともに聴いた事がないと言った男なんでね。もうRAINBOWネタこするなよと言いたい、なんかぶれるわ。もう梶山からRAINBOWとったれよとね。マネージメントを含め検討して欲しいね。そして次のアルバムはオール新曲でお願いしますよ。


TOKYO BLADE - Unbroken ★★★ (2018-09-26 14:05:43)

前作から7年ぶりにリリースされたフルアルバム。しかもシンガーの座にアラン・マーシュが返り咲きました。こうなると多くのファンが期待するのは名盤『Midnight Rendezvous』路線ですが、今回はそれらの上を行く英国産の正統派HM/HRサウンドを披露。NWOBHMなる狭い音楽性ではない多様性のある楽曲を用意、ある意味ポップ路線にも通ずる魅力を携えた楽曲もあったりと、基本が正攻法のメタルだが、そこに多様性を持ち込み旧来のファンからご新規さんまで優しく受け止めています。
ヴィック・ライトのいた時代しか認められない人には、とても薦められないが、本来あるべき等身大の音楽性に浮足立った要素など皆無。どっしりと構えたドンヨリ系の叙情派サウンドに、沸々と燃え盛る青白い炎が見えます。
オーソドックスだがツボを押さえた演奏、咽び泣くツインリードの絡み、全てがお約束だが、このラインナップだから聴きたい英国の侍メタルが楽しめる。老いては益々壮んなるべし、攻めの姿勢を崩さない純度100%の英国産メタルにグッときますよね。


ROCK CITY ANGELS - Young Man's Blues ★★ (2018-09-25 14:32:32)

80年代の後半に巻き起こったBACT TO 70’。そのムーブメントを牽引したのは空前の大成功を収めた苦労人バンドGN'R。それまでのヘアメタル勢に対するアンチテーゼとしてジワジワと売り上げを伸ばし最終的にはヘアメタル勢が道を切り開いたMTVの影響もありシーンの勢力図をあっと言う間に塗り替える事になるとは驚いた。
確かに飽和状態のシーンへ、次の一手を模索していた売り手と、浮かれまくっているアーティストに辟易としてはファンにとっては、ラフでスリージーなブルースベースのハードサウンドは、ギミックなしのカッコよさがあり次の時代への道しるべになるには十分なインパクトがあった。ZEPとかめちゃくちゃ見直されたしエアロも再結成していたしね。お膳立てが揃った中で、次にゲフィンが目をつけたバンドがコチラのグループになります。

すでに英国のDOGS DAMOURなんかがいち早く紹介されたり、QUIREBOYSなんかも流れの中で大きく取り上げられるバンドとなりました。それだけに、このバンドを紹介したゲフィンの力の入り方も目に浮かびます。泥臭いブルースベースと思いきや、思いのほかスッキリと聴かせる南部譲りのサザン風味のあるクラシックロックサウンドで勝負。嫌みのない作り込みと、やはりアメリカンなロックがもつアルコールの匂いがする退廃的なムードと、ロックなグルーブが独特の空間を生み出し聴き手を痺れさせますね。
ホーンセクションも導入したファンキーなナンバーや軽快なノリとキャッチーさが満載のロックナンバーありと、レイトバックさせつつも古臭さに埋没しない旬な作りに大手の力を感じますね。

個人的には、その作り込みの上手さが逆に亜流感は激増させ、なんとも底の浅い音楽に聴こえてしまうのが難点。それもこれも、この手のアメリカンロックに対して蘊蓄を語れるほどの知識と興味がないだけかも知れませんが、どうしても流行りもんというカラーが払拭出来ていないのが残念。クオリティの高さにケチのつけようはないし、ワタクシのような貧乏耳のD級メタルマニアの戯言です。80年代後期に表れた懐かしきサウンドが好物な方は楽しめるでしょう。爆発力はないが堅実ですよ。

ちなみにこのバンドがマニアのハートを擽り続けるのは俳優として大成功する、あのジョニーデップが在籍していたバンドであり、③曲目のクレジットに彼の名前も見られるのが、バンドとしての価値を高めているのが皮肉ですね。


HELL FREEZES OVER - 1st Demo ★★★ (2018-09-24 12:43:25)

ライブ会場などで配布されていたデモ音源。
いまとは違うシンガーが歌っていたのですが、これが思いのほか強烈なシンガーで、○○に似ている声質な為に結構かぶりついて聴ける。オールドスクール極まりない暴走ロックとの相性も抜群。このメンバーで正式音源が聴きたかったと思わせる高いクオリティがある。徹頭徹尾貫かれるメタルスピリット。派手さや速さだけではないへヴィグルーブがなんとも心地よく鳴り響かせている。
時代を超越した基本的なスタイルがブレる事無く中央に鎮座しているから、誰誰のモノマネではないスタンダードな暴走メタルサウンドとしてダイレクトに聴き手に届くのでしょうね。これから目が離せないニューアクトでしょう。

外国のバンドは当たり前に未発表音源を世に出すので、彼らも出し惜しみしないで正式な形にした方が良い。恩讐を乗り越え皆がウィンウィンになる関係は悪い事ではない。割り切りも大切ですからね。それが若い時に出来る人間なら絶対に成功すると思いますよ。


TOKYO BLADE - Pumphouse ★★ (2018-09-24 12:33:03)

作品をリリースする度に音楽性が拡散していったバンド。メンバーも固定出来ず活動は常に不安定、そんなバンドの看板を守ってきたアンディ・ボウルトンは、さぞや苦行を強いられたでしょうね。バンド名を捨てイマージに囚われずに自由な発想のもと、Mr Ice名義の活動に着手するも、無名のバンドを売り出す気のないレーベルはTOKYO BLADE名義を強要。そんな環境に嫌気がさしたアンディ・ボウルトンは遂にバンドを去り実質は解散となるのだが、アラン・マーシュらが残り新バンドPUMPHOUSEを結成。そしてアルバムリリースに持ちこむも、蓋を開ければTOKYO BLADEの『PUMPHOUSE』となる。
だから今作にはアンディ・ボウルトンの名がクレジットされていないんですね。

当然、別バンドとしての活動なので音楽性に脈絡など無く1998年当時の正攻法で迫るメタルサウンドを披露していました。
ブリティシュ然としたドンヨリ系のメロディ、バキバキとなるベースなど面目躍如な面もありますが、NWOBHM後期にデビューを果たしラストサムライと呼ばれたサウンドの面影なし。キーボードもバリバリ目立つし、モダンさもあるし、意欲に富んだ作風で勝負してきました。元は別バンドなんだからね。類似性を期待する方が間違っているですが、看板に泥を塗る結果になったのはレーベルだけにせいには出来ませんよね。
日本ではイマイチですが、世界的にはNWOBHMの代表格なんですよね。だから離散集合を繰り返すも、現存するバンドになれたんです。
それにしても、この薄っぺらい音質はなんとかならんかったのかね。メンバーが可哀想だよ。


ALICE IN HELL - Creation of the World ★★★ (2018-09-24 12:17:36)

↑火薬さんに刺激を与えられて良かったです!!


TOKYO BLADE - Burning Down Paradise (2018-09-21 13:19:36)

チョンマゲをおろし刀を捨てたイギリスの侍メタルバンド。1991年にひっそりと幕を下ろす事になったのだが、オリジナルヴォーカルのアラン・マーシュ、ギターはアンディ・ボウルトン&ジョン・ウィギンズが復活して再結成となる。
このラインナップに期待するのは攻撃性の高いへヴィメタルサウンドとなるのだが、時代は1995年、その嫌な予感が的中するファンキーなグルーブが飛び出す不似合いなファンクロック風味のメタルサウンドでカムバック。そこに80年代後期のポップロックが中心となる姿は、多くのファンが待ち望んだものとは違う形になってしまった。刀の代わりにラジカセを肩に担いで登場してきたんか?バンド名を変えてくださいなぁなんて悪口もいっぱい聴こえてくる、そのしくじり感はハンパないが、アラン・マーシュの声質にはあっているし、彼の声で80年代後期の曲をやるのは理に敵っていると言える。

こうして2000年になって初めて聴いたんじゃないかと思われる今作なんですが、時代がぐるりと回り、コチラもいろんな耐性が出来ている為に、思いのほか楽しめる内容となっていた。
英国のバンドらしい憂いのあるメロディが随所にねじ込まれているしベースもバキバキ言っている。初期の頃に通ずる垢ぬけないメロセンスなど、このバンドらしい魅力もあったりと、ラックの肥やしになっていた駄作が、今日、日の目を浴び成仏しましたね。

1995年ってこんな感じだったよなと久しぶりに実感しました。ファンの期待を裏切った再結成。成功する事もなく黄金期のメンバーは再度決裂する事に、そして今度はアラン・マーシュがこのバンドを引き継ぐ事になるとは夢にも思わなんだ。ネーミングライツは誰のものなのか?円満脱退だったのか?色んな疑問が頭をよぎるが、NWOBHM出身者の多くは時代に翻弄されていたと思います。


TOKYO BLADE - No Remorse ★★ (2018-09-21 12:59:09)

前作に続いて国内盤もリリースされましたね。益々磨きが掛かったポップロック路線。専任キーボードも加わりバンドは5人体制となる。全般的に落ち着いた大人のメロディックロックへと着地した姿にNWOBHM出身のバンドとしては、随分と様変わりしましたが、時流に無理する事無く乗っかっています。⑧なんて完全にジョー時代のRAINBOW路線だもんね。

シャープに切れ込むリフも激しいリズムもない、音楽性も亜流の域を抜け出せない個性の足りないものになったのは、かつての姿を知っているだけに複雑な胸中に陥るのだが、NWOBHMという狭いジャンルに押し留められない柔軟さが、アンディ・ボウルトンの器用さを物語っています。いずれにしろ方向性を明確に示したのは正解。でも89年に溢れかえっていたメロディックサウンド、あえてこのアルバムに手を出さなくとも聴くべきアルバムが唸る程あるのも確かである。

究極のマニア向け、NWOBHMファンからは最低の烙印、メジャーロックファンにとってはオッサン臭い没個性サウンドとなる。うーむ難しい問題だ。このアルバムを最後にバンドは一旦歴史に終止符を打つ事となったのも皮肉な結果である。餅は餅屋と言う事なんだろう。それほどデフレパードの成功は英国勢に刺激を与えた事になる。彼らに出来るなら俺たちもと言う心境は痛いほど分かるもんね。前作よりも練り上げています。そこが最大の聴きどころでしょう。


TOKYO BLADE - Ain't Misbehavin' ★★ (2018-09-20 12:36:20)

前作で見せたスタイルが不評だった為にセールスは惨敗。当然契約も失い、やはり路線変更が上手くいかなかった典型例だろう。すったもんだの挙句バンドに残ったのはギターのアンディ・ボウルトンだけになった。それはアルバムジャケが完全に物語っています。

異を唱えるメンツがいなければ作風にまとまりもでき、アイコンとなる音楽性を強調。マイナーバンドから正統派のメジャーバンドへと脇見もせずにマイシン。そして今回はよりメロディックな路線へと突き進む道を選ぶことになった。とにかく聴きやすいメロディックかつストレートなサウンドで勝負。側はおの店なのに中身は全然違うという居抜物件のようなバンドになってしまった。メロディックロックが好きな人には需要もあるでしょうが、かつての姿を求める人にはキツイ作風ですね。

でも、西ドイツのマイナーレーベルのみの契約と考えれば合点もいきますよ。国内盤は3年遅れの1990年にJimco Recordsからひっそりとリリースされました。


TOKYO BLADE - Blackhearts & Jaded Spades ★★ (2018-09-20 12:20:36)

前作が好評だったために、国内盤のリリースも早々にアナウンスされた3枚目のアルバム。NWOBHM由来のシャープな疾走感が売りのバンドだったが、今作では見事に路線変更を遂げている。そのヴィジュアルはL.A風なのに正統派というのが人気の秘訣だったと思うが、今作では見た目通りのメジャーロックへと進むことに、多様性を帯びた楽曲の質は高まったが、完全に個性は死んじゃった。

そのどちらを好むかで評価の分かれる作品。けして質は低くないので楽しめる要素も大。ただNWOBHMマニアとしては、一番進んで欲しくない路線に様変わりしたと言える


TOKYO BLADE - Night of the Blade - The Night Before ★★★ (2018-09-19 11:04:18)

オリジナルシンガーのアラン・マーシュが歌っていたヴァージョンが遂に日の目を浴びる事に、NWOBHMバンドあるあるのお蔵盤なんですが、マイルドな声質のアランならではの節回しも煮え嫌いないブリティッシュサウンドに合わない分けがないので、その両者の違いを楽しむのが一番でしょう。キャッチーでメロウな曲はアランの方がフィットしているでしょうね。ボートラ6曲はMr ICEのタイトルで知られるデモ音源。資料的な価値はあるが蛇足感もある。


TOKYO BLADE - Night of the Blade ★★★ (2018-09-19 10:49:34)

完全にNWOBHMも斜陽を迎えた時代にアルバムをリリース、あと少し早く世に出れれば今日の評価も違うのでしょうが、日本では思いのほか知名度のあるバンド。おそらく日本一権威ある商業誌によって好意的な評価をうけたからだと思いますが(他にも素晴らしいNWOBHMバンドはいっぱいあるぞ)彼らはL.A風のファッションに身を包みつつも、ツインギターとハイトーン系のシンガーが地に足をつけたパフォーマンスで魅了する本格派のバンドでした。

キレのある鋭角的なリフワークはNWOBHMならでは、そこに絡む英国的な煮え切らないメロディをシャープに切れ込むギターとヴォーカル、屋台骨を支えるリズムプレイの上に彼らは、派手な剣劇を繰り広げ聴き手を魅了していきます。
日本人の琴線に触れる哀愁味溢れる叙情的なメロディ、英国の伝統を受け継ぐロックサウンドは類型的ではあるが、へヴィメタル大好きなんだと言う空気が充満する愛に溢れた名盤としてNWOBHM史に燦然と輝いていますね。


DRIVE - CHARACTERS IN TIME ★★★ (2018-09-18 18:57:53)

アメリカは南部出身、ツインギター編成の5人組が1988年にリリースした記念すべき1st。時代はメタルバブル全盛、そのバブリーに浮かれまくった時代に彼らが勝負したのは、プログレメタルと呼ばれるジャンルに属する高い構成力とパワーを内包した純度の高いへヴィメタルサウンドで挑んできた。
あくまでも拘ったのは徹頭徹尾貫かれるシリアスなサウンドはインテリジェンスさえ感じさせ、ある意味Queensrycheのフォロワースタイルなのだが、よりストレートなパワフルさを前に出しており共通点はあろうとも、その凄みのあるサウンドに嘘偽りは一切ない。
格式高い様式を守り抜いた高潔なるメタルスピリット、テクニカルだがエモーショナルな絡みを見せるツインギターコンビの演奏力、冷徹なマシーンの如き無表情な鋼鉄サウンドに生命を吹き込んでいる。温かい血が通う事で他では味わう事が出来ないオリジナルティを作りだしたのがデビュー作というのだから驚きです。

これだけのクオリティながら日本では全く無名と言う現状に歯がゆい思いを味わいます。こういう音は時代を超越した説得力があると思うのだが、良く分からん作品を乱発して晩節を汚した本家に嘆いてるファンにこそススメたい一品ですね。


DISCHARGE - Why ★★ (2018-09-16 12:27:14)

ハードコアパンクスの世界では伝説と呼ばれるバンドが1981年にリリースしたミニアルバム。ショッキングなジャケットは関東軍は重慶に爆撃を行い関係ない民間人を犠牲にしたもの、その生々しい写真に日本人として目をそむけたくなりますが、彼らが叫びあげるのは虐げられ苦悩する弱者達の声である。その目線に先にある純粋なる渇望、渇きが過激なサウンドにのって爆発しているのだ。
あまりにもストレートな作風故に、へヴィメタルの流儀の則ったドラマ性やメロディの組み立て方を愛するファンにとっては、短絡的過ぎるのだが、これぞパンクでありハードコアと呼びたくなる純潔なる衝動性がある。絶え間なく流れる雑多な暴音、耳をつんぞくノイズの嵐、それらが速射砲の如く発射。ヒステリックに叫びあげる度にやるせない感情が怒りを伴い権力構造を打ち破ろうとしているのだろう。
音に深みもないし軽いだが、それでも多くのへヴィロックバンドが束になっても叶わない暴虐性がこのバンド最大の魅力なんだろう。エクストリーム系に多大なる影響を及ぼしていると言われる彼ら、今更語る事でもないが本気のメタルサイドが聴いての楽しめる要素の強いパンクスを聴きモーターヘッドが何故、両者から支持されたかを理解してもらえるでしょうね。
ちなみに全曲1分半です。


TWO OF A KIND - Two of a Kind ★★★ (2018-09-16 12:00:58)

TERRA NOVAのヘンドリックス兄弟を中心としたTERRA NOVA組が女性二人をフロントに置きデビューを果たしたサイドプロジェクト的デュオ。体裁は女性二人がメインの作りです。歌が前面に出る手法ですので、もう少しバンドサウンドが欲しいと思う方もいるでしょうが、出しているサウンドは完全にTERRA NOVA印満載の叙情派メロディックバンドですよ。疑いようがない強力なソングライティング力、躍動感溢れるポジティブメロディックロックに揺ぎ無し、ド頭から最後まで全編に渡り炸裂するのですが②で早くもハイライト、多くのマニアは昇天必死となるでしょうね。

女性二人が若いわけではないし個性のある歌い手で無い分、主役感がぶれるのだが、キャリアに裏打ちされた実力からくる安定感はハンパない。瑞々しいポップセンスとダイナミックなロックのリズム、そして鮮烈なる爽快なボーカルハーモニーの美しさ、メロディアスなロックが大好物だと言う方には間違いなく琴線に触れていくでしょうね。
古典的な楽曲もデジタルなミックスを加える事で古臭く聴こえさせない手腕に一日の長を感じずにはいられませんね。上手いってことは素晴らしいね。こういうサウンドに出会える度にHM/HR系のバンドを聴いていて良かったと思いますね。
過激なもんなら直ぐに手に入るけど、質の高いメロディックロックってのは定期的に探究しないと見つけられない。手短な存在だけと、実はそんな簡単に出会えないジャンルである。それは似たような没個性のバンドが多いからだ。だけに頭一つ抜けた存在に出会える喜びは一入ですよ


GUILD OF AGES - Rise ★★★ (2018-09-16 11:40:48)

アメリカンメロディアスロックの雄が遂に復活です。90年代の苦しい時代の活動だったが為に認知度は低いのかも知れませんが、ZEROコーポレーションから鮮烈なるデビューを果たしメロディ派のハートを鷲掴みにしたCaught in the Act。そのバンド名が権利の関係で使えなくなり(同盟のアイドルヴォーカルグループがいた)GUILD OF AGESと名乗ることに、AXEのボビー・バースの力添えを受けデビューを果たすのですが、2001年の作品を最後に活動を停止。アメリカのバンドにはない叙情性と泣きの要素、その泣きを倍増させるボーカルハーモニーとギターの絡み、キーボードの程ほどに、ロックの醍醐味を失わない哀愁を讃えたサウンドは王道だが、90年代としては個性的な輝きを見せていた。そんな幻のバンドが17年ぶりに新作を引っ提げ完全復活を果たしました。

相変わらずのメロセンスを生かしたノリの良いメロディックロックを今回も量産、今まで以上にギターも前に出てきており、ハードさを上げつつも、かつての姿と照らし合わせても問題などなく、彼らのファンであれば諸手を上げて喜べる充実の一枚へと仕上げています。

メロディックロック=売れる為の要素が強い。どうしてもそういった俗っぽい側面が強いバンドもいるのだが、彼らはそれは一つの表現方法に過ぎず、もっとアーティスティックな方面へと手を伸ばしているので聴き込む程に新しい発見も出来、お楽しみな要素もある。誰かが過度に目立たない作り込み故に、一曲の中に大きな仕掛けはないがアルバム単位で聴けば、その柔軟な音楽性をもったバンドだとい言う事が理解できるでしょう。
かつてAXEのボビー・バースの手によりシーンに躍り出た彼ら、その血脈を守るリアルアメリカンメロディックロックサウンドは、時代を超越して愛される魅力に富んでいると思います。


LOVEBITES - Battle Against Damnation ★★ (2018-09-15 11:57:23)

飛び鳥を落とす勢いで人気を拡散する本格派ガールズHM/HRバンドの4曲入りEP。

その人気は日本だけに留まらずMETAL HAMMERが選ぶBest New Bandに選ばれたり、あのWACKEN OPEN AIRやBLOODSTOCK OPEN AIRと海外の大きなフェスや、国内でもANTHEM主催のHEADSTRONG FES.18。そしてLOUDNESS、HELL FREEZES OVERと共演するRED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018のMETAL MANIAに出演など、彼女たちの快進撃ぶりを伝える例は枚挙に暇がない。そして本格的な国産のメタルバンドが色眼鏡なく認められるニュースは日本人としては誇らしいですね。

完全に息を吹き返したLOUDNESS、社会現象を巻き起こすBABYMETALの成功。とにかく時期を逃すことなく世界へ向けて攻勢をかけて欲しい。SABER TIGERも東ヨーロッパを攻めたしね。柴田直人さんにも頑張ってほしい。

すでに秋には欧州ツアーも決定している彼女たち。今作で聴ける音楽性はデビュー当時から一環とした正攻法で迫る本格派のヘヴィメタル。
女を売る曲調など皆無、その徹頭徹尾貫かれるメタルスピリットにオジサンたちも歓喜ですね。

ド頭からメイデンよろしくと畳みかけるスピードナンバーで幕開け、キレのあるツインリード、楽曲に負けない歌、屋台骨を支えるリズム隊の逞しさ、その歯切れの良い演奏のフレッシュ感と温故知新ぶりに唸らされる。とにかく良く出来な作りこみなのだ。
すべてが彼女たちのアイデアなのなら、相当なマニアになるのだが、メジャー資本がスケベ根性を出さずに売りだしているは好感が持てる。

個人的には、出来過ぎ感が強くイマイチのめり込めない面はあるのだが、それはワタクシがクサレNWOBHMやマイナーバンドを溺愛しすぎるが故の貧乏耳のせいなので、一般的な方には、なんらマイナスな面はないでしょう。屈強なメタルサウンドにお化粧するキーボードの使い方も巧みだ。


THIN LIZZY - Jailbreak - Emerald ★★★ (2018-09-13 10:22:26)

アルバムのラストを締めくくるシンリジィ節炸裂の名曲
屈強なリフワークと哀愁美溢れるツインリード
コートの襟を立て煙草を燻らせたくなる男の世界が詰まっている
石原裕次郎であり渡哲也であり舘ひろしだなぁ


THIN LIZZY - Jailbreak ★★★ (2018-09-13 10:19:01)

男の哀愁とフィルの書きあげる歌詞の世界観からくる任侠路線、ヤサグレ男のダンディズムと言えば良いのかチョイ悪風なのか、逞しさの増したツインリードのリフワークと相まって独自性をさらに高める事に成功。ポップフィーリングを出しつつもロック色を強める事に成功したバランス感覚が今作を名盤へと押し上げている。
ロックの持つエナジーと万人向けのポップセンスがウケ英国はもとより米国でもビルボードチャートに喰い込ませた彼らの出世作。彼らの内からにじみ出るアイリッシュフレーバー、70年代のリジィサウンドとしては、もっとも入門者向けの一枚であろう。


THIN LIZZY - Fighting - Wild One ★★★ (2018-09-13 10:05:16)

このいなたさがカッコいい
やるせない歌詞もフィル節か
初期の頃から通ずる魅力も携えた代表曲


THIN LIZZY - Fighting - Suicide ★★★ (2018-09-13 10:04:00)

哀愁のツインリードとグルーヴィーなロックを同時に楽しめる
一粒で二度美味しい
これぞリジィな一曲


THIN LIZZY - Fighting ★★★ (2018-09-13 10:02:24)

いきなりのカヴァーソングで幕開けですがライブでは重要なレパートリーとなる事でも知られます。ツインギター編成も板に付き確実に音楽性の幅を広げてきました。若い二人に触発されるようにフィル・ライノットも表現力を高め、多彩な楽曲を自分流に染め上げている。
哀愁のツインリードが映える③直線的に進むだけではないグルーヴィーさに、このバンドの個性が光っている。続く④もジョン・ノーラムもカヴァーしたバンドの代表曲の一つ。マイナーなローカルバンドからいよいよメジャーシーンへと打って出る力を身に付けた出世作と言えるだろう。


THIN LIZZY - Night Life ★★ (2018-09-13 09:48:15)

遂にツインギター編成に変貌を遂げたシンリジィ。今までの流れを踏襲するアイルランドフォークロック路線ではあるが、ツインギターの絡みは今までにない叙情美を帯びており、本格的にバンドが動き出したとも言える一枚。まだまだ地味だが、シンプル故にメロディのアイリッシュフレーバーに素直に触れる事が出来る。今聴けば初期の頃の垢ぬけないローカルバンド臭が徐々に減ってきたのが後の躍進を示唆しているようで面白い。


TILT - The Beast in Your Bed ★★★ (2018-09-11 14:35:27)

1987年にリリースした名古屋のリアルトラヴェリンバンドTILTの記念すべき1st。なんだが、記憶が定かではないが書き込んだ記憶があるし、他のユーザーのコメントもあった記憶が凄くあるのだが…うーむ、なんかたまに消えているページがあるんだよなぁ?
ワシがボケただけなのかも…(笑)

切れ味の鋭い『STICK INTO YOURS』が幕が開ける構成のまずは驚きました。確かに英国寄りのジャパニーズメタルスタイルも持ってはいたが、徐々にアメリカンテイストを強めていたバンドだっただけに、攻撃性の増したオープニングナンバーに衝撃を覚えましたね。
他にもモトリーのLIVE WIRE風の『(you Give Me)action!』アッパーな曲があったりと、一括りに出来ない多様な楽曲も収録と、基本はドライブ感の強いアメリカンロックが売りバンドだと思うが、上手くメリハリを効かせる事に成功している。
インディーズ盤故に音質の緩さは否めないものの、日本人らしい木目の細やかさとロックバンドらしい豪胆なノリの良さを上手く両立させているのが最大の聴きどころだろう。バンドの推進力とも言えるパワフルなドラムも魅力的だ。

毒気のある猥雑さは日本人からは出せないんだが、彼らなりの野趣味は出せている。ロックバンドならではの力強さが彼らには確実に備わっていた。それだけに雑誌の低評価の煽りをウケ、一般的なレベルでの知名度を獲得するには至らなかったが残念でなりませんね。


THIN LIZZY - Vagabonds of the Western World ★★ (2018-09-11 14:10:29)

西洋無頼という邦題がね。所謂ヴァガボンドって言葉が無頼になるだろうなぁ。作品を重ねる度にロック色も上がっていった。ワウをかました攻撃的なギターが堪能できる④なんて顕著な例だろう。この時代だから繰り広げられるインタープレイ、独特の間が生み出すグルーブなど全てにおいてスケールUPしてきた。
それにバンド最大の特色と言える、男の哀愁とダンディズム溢れるタフな世界観の融合。その足がかりを作りだしているが最大の聴きどころ。前2作とは比べ物にならないほど方向性も定まりハードな面も強まった。


THIN LIZZY - Shades of a Blue Orphanage ★★ (2018-09-11 13:55:14)

前作よりは確実にロック色が強まった2枚目のアルバム。後に披露する屈強な男のダンディズムと扇情的なフレーズで泣かせる哀愁美には、まだまだ届かないが、シングルとしてヒットした『Whiskey In The Jar』などリジー=アイリッシュサウンドをロックに導入と言う個性に磨きを掛けたことは間違いない。


THIN LIZZY - Thin Lizzy (2018-09-11 13:47:42)

アイルランドの無頼漢のデビュー作はサイケなアイリッシュフォークでした。ツインギター体制になってからロック色を強めますが、この時点ではハードさは薄く、穏やかなサウンドの為に眠気も誘いますが、親しみやすいアイリッシュなメロディは随所で聴く事が出来ます。飾らない純粋さを楽しめる1971年当時ならではの音でしょう。


ALICE IN HELL - The Fall ★★★ (2018-09-10 12:47:57)

関東のスラッシュシーンを支える若手のトリオバンド。自らをヴィンテージスラッシュと呼んでいるように、実に清いスタイルのピュアスラッシュサウンドを叩きつけてくるバンドだったが、今作もその呼び名に相応しい往年の感性を今の時代にアップデートしたサウンドが獰猛な肉食獣の如く聴き手の喉笛に噛みついてくる。アイデアを纏め上げる構築力の高さ、マシーンの如き冷徹さとエモーショナルな有機的感性がぶつかり合い、それは小爆発を繰り返しながら激しく突っ込んできました。
古い事をまんまやることは難しい事ではない、しかしそれはもろ刃の剣の如くバンドにダメージを与える。その難業に真っ向勝負する姿に頼もしさを感じますね。
スラッシュメタルの魅力は速さだけではない、同様に魅力的なのはへヴィさだ。そして巧みに導入される変拍子、スリルを伴うメロディの外し方、にくい演出が見事に冴えわたっていました。
スラッシュ寄りのパワーメタルとも言えるバンドだが、シーンにとっては貴重な存在なので歩みを止めずに頑張って欲しいですね。


HELL FREEZES OVER - Speed Metal Assault ★★★ (2018-09-10 12:23:16)

耳が早いメタルファンの間では活きのいい国産スラッシャーが出たぞと話題になっていた、」若手バンドによる2018年リリースの4曲入りのミニアルバム。
ドラムには我らがMAD大内をゲスト参加で乗りきったりと、メンバーチェンジなど問題も多く抱えていたが、ようやくレコーディングを済ませ完成させた渾身の一品。出てくる音も懐かしいピュアスラッシュ。伝統的なへヴィメタルの流儀に則った格式高いスラッシュサウンドの復権である。確かに海外では若手のリバイバル風味満点のスラッシャーがゴリゴリデビューしているのだが、ようやっと日本からも出てきた事に安堵です。
4曲入りと言う事でまだまだバンドの全容は見えてきませんが、恒久的なラインナップが整ったあとのフルアルバムに期待大です。レーベルもspiritual beastですから浮ついていないので安心して見守れますね。

NWOBHM直系の鋭角的なリフワーク、急降下爆撃を繰り返す起伏に富んだ展開。先人達の美味しいところをギュッと絞ったスタイルは、破れかぶれの突進力だけじゃない構成力がある。その作り込みの上手はへヴィメタルの様式を駆使したものでり、格式高いメタルスピリットが継承されている。だからこそ、破壊的な爆発力に魅力が増すのだ。
今後もオリジナルティを研磨しつつ、進むべき道へと邁進して欲しいバンドですね。


KROKUS - Big Rocks - The House of the Rising Sun ★★★ (2018-09-08 15:05:05)

アニマルズがヒットさせた古くから伝わるアメリカのフォークソング
ボブ・デュランも取り上げていますが
元々作者不明の民間伝承的なフォークソング
それをアニマルズがロックヴァージョンに仕上げヒットさせた
娼婦が自分の人生を悔いる歌だったらしいが
アニマルズが男の話に変えたらしい

邦題”朝日の当たる家”にまつわる話は興味が尽きない
そもそもの曲の明確な作者&出所が分からないなんてね

こちらのカヴァーはアニマルズヴァージョンを意識した仕上がりなんでしょう
マークの嗄れ声も悪くない
ギターも渋かった
でもアニマルズは凄すぎたな


KEEL - Streets of Rock & Roll ★★★ (2018-09-08 14:54:24)

リバイバルブームの流れに乗りついにFrontiers Recordsが担ぎ出したのがキールなんだから驚きだ。メロディック専門レーベルがキールを手掛けるのかとびっくりしたんですが、かつての焼き回しでは終わらないKEEL再生に成功。まさにレーベルによるバックアップ体制の賜物だろう。
一聴して耳に残るサビメロの分かりやすさ、ビックコーラスまで用意しており、ライブではどうするだという不安は残るが、ロンのパートは出来過ぎなくらいレーベル印にまとめている。
懐かしきギターの響き、あえてドンシャリだねと言いたいあの音である。豪快なL.Aサウンド時代よりも洗練されたメロディが大増強、その辺りが今作最大の聴きどころ、勿論バンドらしい小気味い豪快なハードサウンドも搭載されているので、ファンなら安心して聴けますよね。もう少し力技の方がKEELらしいのかもしれませんが、これは大いにありな方向性でしょう。


聖飢魔II - 恐怖のレストラン ★★★ (2018-09-06 00:12:27)

お茶の間の知名度もあがり、ついに紅白歌合戦に出るまでのバンドに上り詰めた悪魔の集団。その先にあったのは海外公演だったのだが(EARTHSAKERと海外で一緒にやった記憶もある?)そんな世界の舞台を踏んだのが影響を及ぼしたのか、悪魔と言うキャラクターを生かしたシアトリカルなステージングをそのままパッケージした印象が強いアルバム。

売れると共にHM/HRと呼ばれる範疇のバンドの割に、歌謡テイストも増え日本のロックバンドぽくはなっていた。特にレベッカの土橋をプロデュースに迎えた『THE OUTER MISSION』などは、メタルとして聴くと方向性が拡散している、しかしバンドのメンツを見れば多様な音楽性を吸収している悪魔達なのでクオリティは高かった。
そして次にリリースされた『有害』は閣下お得意のハイトーンを封印。あえて中音域を意識した歌唱スタイルに固執。色モノ扱いからの脱却。個性的な歌唱スタイルも、言いがかりのような非難を浴びたりしたことへの対抗心だったんだろう。その為に、イマイチ魅力が伝わらないアルバムになった。作品前に訪れる不安定要素、ジェイル大橋の離脱なども影響したのかも知れない。

そんな問題点を抱えた中で1992年にリリースしたアルバムが今作にあたる。へヴィメタルは斜陽を迎え、日本でも多くのバンドが解散を余儀なくされた。そんな中で悪魔達は見事にやってのけたのが、このアルバムなのだ。
おどろおどろしいタイトルからして彼らが長年培ってきたコンセプトが見えてくる。その世界観をへヴィなサウンドに乗せて見事に昇華した会心のアルバム。バンド本来の魅力たるハードさの復権は初期のファンにとっては嬉しいニュースとなったが、閣下作曲の楽曲が多く収録されているだけに、歌メロは勿論だがキャッチーで派手な曲が多い。
ダークなのだが、賑やかな絶叫ショー、見世物小屋と言うよりは海外のフリークショーといったドライさがこのアルバムの特徴なのだろう。女性の悲鳴や語りなど、SEも多くとにかく仕掛けてきたアルバムだった。
こういう作りだと、もう少し低音に重さが欲しいのだが、メジャー流通となると望むべくもないだろう。そこが残念な気分にさせる。
しつこいようだが、雑誌で0点を喰らい、音楽性のみならず存在を否定されたバンド。その為に、持ち前のキャラを生かし芸能界で活きていくしかなかった。その集大成が究極の折衷案とも言える今作を生み出したんだろう。
しかし期待した程の成功を収める事が出来ず、その反動が次回作へと繋がる事になるとは皮肉な結果となった。


TERRA ROSA - Terra Rosa Live from Coda ★★★ (2018-09-04 16:15:52)

日本が世界に誇れる様式美界のドン。我らがTERRA ROSAが赤尾重恵、岡垣JILL正志、そしてプレイのみならず作曲面でも多大なる貢献を果たしていたがDEAD ENDに引き抜かれた足立祐二の三人が一堂に会してライブを行う。この事実だけでも興奮は押さえられませんね。

しかも選曲がにくい、足立にはなじみ深いインディ時代の楽曲を中心に、音源として残っていない楽曲&書き下ろしの新曲もあったりと、単なるライブ盤の域を超えた充実感と希少価値の大きい作品になった。
天才ギタリストの名を欲しいままにしている足立のプレイは、今さらながら感嘆させられる。その才気にあふれたフレージングとテクニック、高い実績に彩られたプレイが醸し出す安定感、円熟味を増してはいるが、スリルを失わないライブならではの臨場感にか固唾を飲みます。ある意味、今のマイケル・シェンカーよりもマイケルしている男だろう。トーン一発で酔わせるギターは足立ならではの魅力だ。彼が抜けずに活動を続けてれば今日の評価もかなり違ったろうなぁと今回のアルバムを聴くほどに痛感しました。運も実力の内とは良く言った言葉である。

ヘルプではあるが佐藤潤一の柔軟なドラムスタイル、彼の粘り腰のグルーブ感はスタイルを選ばない、同じくMASAKIのベースも無難な形で収まっている。MASAKI自身はもっとやれるのだろうが、こういうタイプのバンドでも違和感なく溶け込める柔軟さは重要だ。

名うてのミュージシャンが集い作り上げたステージ。その魅力を堪能できるライブ盤。昨今のテクノロジーの発達もあり生々しいステージをパッケージしている。様式美系に興味のある方は勿論だが、TERRA ROSAファンにとっても貴重なライブ音源となるだろう。解散ライブはバンドがバラバラだった。山口氏のトリビュートライブも限定品だし、今作のもつ価値は個人的には計り知れない。ましては足立が参加しているのだから。

恩讐を乗り越えて再び合流を果たした黄金期のラインナップ。我の強い岡垣に嫌気を差しメンバーが固定出来なかったと言われたバンド、アルバム毎に看板ギタリストが抜け新ギタリストでレコーディングを行うと言う稀有なケースが訪れる不運が常に、このバンドにはつきまとっていましたが、ここいらで一発新録アルバムに期待したいものです。新しい歴史の扉を開いて欲しいねぇ。


SUNSTORM - The Road to Hell ★★★ (2018-09-03 15:46:36)

メロディ派にとってはオアシスのような存在であるFrontiers Musicからリリースされているジョー・リン・ターナーのメロディックロックプロジェクト。主役はジョーだが、裏で支えるのはFrontiersお抱えのソングライティングチームによるサポートがあってだと言う事を忘れてはいけないプロジェクトでもある。

盤石の体制の上に成り立つ期待を裏切らない安定感。それはどこか聴いた事のあるデジャブ感を誘発する危険は伴うが、もはやこの手のジャンル&ジョーの作品では、当たり前の事と断言できるほどの安定感なのである。それほどジョーは、この手のスタイルに従事していた証明でもある。スリルや真新しさとは関係ない、船越英一郎や片平なぎさ、内藤剛志が主演する2時間ドラマのようなもんだ。キャスティングだけで犯人が見えてくるお馴染みのヤツである。しかしマンネリの中で期待を裏切らず、やはりそうきたか、いやそうであって欲しいと思わせ、満足させる楽曲を用意出来た制作者側の勝ちであろう。
ジョーも紅蓮次郎の如く喜怒哀楽の激しい情感豊かなパフォーマンスを披露(山下容莉枝役がいれば完パけだ)。
過激なモノやスピード命な方にはススメられないが、メロディ派なら手にとって損はしないでしょう。アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ恐るべしである。


THIN LIZZY - Johnny the Fox ★★★ (2018-09-03 15:29:35)

The Boys Are Back In Townのヒットを受けた後にリリースされたアルバム。若きギタリスト二人による叙情的なツインリードが胸を締め付ける、ストリート目線のクールさと、いなたいさ、そしてアイリッシュなメロディが大いにウケたのだが、今回もソロ路線をガッチリと引き継ぎ音楽性に揺るぎはない。むしろ方向性を先鋭化することで自分たちに魅力を研磨してきた印象が強い。

アルバムのツアーに出る前に、若いブライアン・ロバートソンが喧嘩で腕を負傷。その代役でゲイリー・ムーアが戻ったりと、そういう印象がこのアルバムの味をどこか薄めてしまっているのだが残念なのだが、この時期の彼らがいかに旬を迎えていたアーティストだったかは聴けば理解できるでしょう。

名盤の予感を漂わせる①リズムセクションからしてリジー感が強い。その①と対をなす⑥、タイプの違うメロウな③と⑨、これぞリジーな哀愁に咽ぶ、ヤサグレハードな⑧など個性の光るナンバーが多い。個人的には、どれかをピックアップするよりもアルバムを通して聴く事で作品の魅力が一番伝わると思わせる充実感が最大の聴きどころだと思います。


SABER TIGER - Bystander Effect ★★★ (2018-08-31 13:38:38)

結成当初から世界を目指していたと言われているが、その動きが顕著になったのは下山が復帰してからだろう。海外への働き掛けも行い2013年にアメリカ、2016年には今作の基のアルバムを引っ提げ韓国、オランダへと向かった。そんな成果が表れたのかヨーロッパ各地に販売網を持つと言われるリトアニアのSliptrick Recordsと契約を行い。Bystander EFFECTに収録されていた日本語詩の歌を英詩に変え録り直し&新曲1+ボートラ3曲収録で2018年に再リリースを計りました。
聴き馴染みの曲が英詩になることで印象も変わりましたが、今作のリリースに伴い6月にロシア、ウクライナ、ラトビア、リトアニアに渡りツアーを行ったニュースにも驚きました。今でもライブではしんどそうな木下御大。体調も気になりますが、念願の海外活動の足がかりを作れたのは本当に良かったです。下山体制初の日本語詩が収録されたアルバムだっただけに、方向性を見つめ直したと思った矢先の海外活動でしたので、感慨もひとしおでしたね。まずはおめでとうと言いたいです。

01. Dying Breed
02. Sin Eater
03. Act Of Heroism
04. Dreadout
05. One Last Time
06. Just-World Hypothesis
07. What I Used To Be
08. Shameless
09. An Endless End: Another Time
10. Devastation Trail
11. Afterglow
12. Ship Of Theseus (新曲)
13. First Class Fool(リ・レコーディング)
14. Sin Eater (2013 Demo)
15. What I Used To Be (2013 Demo)

近年のアルバムにはなかった充実したメロディ、そのフックに富んだ歌メロは耳馴染みも良く、簡単に口ずさめるほど印象に残るものでした。キメキメのテクニカルな演奏、その対比がバランスよく配合され最大の売りが海外でウケたのなら、彼らの狙いは大成果だったと言う事です。

既に10月に新作『OBSCURE DIVERSITY 』のリリースをアナウンスしている彼ら、今回はSliptrick Recordsからも同時に発売ですからね。今作を聴き改めて彼らからの朗報を楽しみにしています。


U.D.O. - Man and Machine - Dancing With an Angel ★★★ (2018-08-29 14:30:39)

歴戦の兵同士が夢の共演です
ドロ・ペッシュとウド・ダークシュナイダーが歌う
甘美で幻想的なバラード


W.A.S.P. - Unholy Terror ★★★ (2018-08-29 14:25:54)

プリプロの段階で音楽性に難色を示したクリス・ホムルズが脱退を決める事になったアルバム。どこまでレコーディングに関与したかは分からないがバンドメンバーとしてクレジットは残っている。そんな危機的状況をゲスト参加のロイZらが救ったのだろう。
荒々しい初期の頃を想起させる生々しいサウンドメイクは、単に予算の関係なのかも知れないが、下手に作り込んでいない分、初期衝動のような激しさが内包されている。ただ今のご時世ではデモの製品化と揶揄されても仕方ないだろう。
それでもデビュー当時の活きの良さと、練り込まれた80年代後期から90年代の幕開けを迎えたシリアス路線が見事に融合した、聴き応えのある一枚である事に変わりはない。
何をやってもブラッキー節は健在。おなじメロを行ったり来たりする声域の狭さも最大の魅力。ノリの良いアッパーな楽曲との相性も抜群だ。全てが似たり寄ったりのW.A.S.P.サウンド。それも最大の魅力とあえて言及したいですね。


W.A.S.P. - Dying for the World ★★★ (2018-08-29 14:08:47)

ギターのクリス・ホムルズがまた抜けてしまった。しかしこのバンドはブラッキー・ローレンスがいれば問題なし、湾岸戦争と9.11に触発された詩と、ブラッキー節全開の楽曲は重苦しいテーマを上手く飲み込みノリよく聴かせている。英詩なんで何を歌っているか分からないからイケるのかも知れないが、シリアスな内容なのは分かる。だからと言って政治批判一辺倒ではないのがブラッキーのセンスの良さなのだろう。
お馴染みのリズムパターンにお馴染みのメロディとデジャブ感満載のブラッキー節。そのマンネリ感がW.A.S.P.の魅力なんだと楽しめるかが最大のポイント。
高揚感のあるアッパーな楽曲がグイグイと牽引していく中でシリアスなミドルナンバーやバラードをバランスよく配置。アルバムを最後まで一気に聴かせる手腕は素晴らしい。ノリの良さもあるのだが、テーマから漂うシリアスな雰囲気、その重さを蔑にしていない作り込みが、これまた魅力なのである。

それにしても湾岸戦争時、兵士たちはW.A.S.P.の曲を大音量で流し戦闘を行ったというエピソードは血も凍る思いがする。


TILT - Stick into Yours - Hold Me ★★★ (2018-08-27 18:22:52)

アルバムのラストを占めるロッカバラード
光る汗が似合うライブ映えする一曲
もう少し丁寧に慎重に時間を掛けて録音して欲しかったなぁ


TILT - Stick into Yours - Open Fire ★★★ (2018-08-27 18:19:48)

勢いよく弾き出されるリフ
方便さと構築されたソロ
メタリックサイトのTILTを代表する曲だろう


TILT - Stick into Yours ★★★ (2018-08-27 18:15:08)

名古屋と言えば本格派のSNIPERや元祖スラッシュのOUTRAGE、サタニカルなCROWLEYなど真っ先に思い浮かびますが、忘れてはらないないのが、インディーズ時代から精力的なツアーを敢行していたことで有名な、まさにTravellin' Bandを地でいくTILTを無くしては語れないでしょうね。
今は亡きE.L.Lからリリースされた『From Electric Lady Land '84』で聴けるサウンドは、日本人的な英国寄りのスタンスだったが、のちにアメリカン志向に変貌を遂げるのは有名。その昔はキーボードがいてプログレ系が始めと言うのだから驚きますね。

1986年にリリースの今作は、その過渡期ともいえる内容の作品で、重さを残したメタリックなサウンドと、彼らが目指したラフでスリージーなロックサウンドが上手く共存しており、雰囲気モノの妖しさが独特の音を鳴らしている。
ギターアプローチの変則的な魅力、お気楽なロックバンドにはないキレがあり、ソロの組みたて方など面白かった。そんな魅力は小気味いノリのある楽曲に存分反映され、重さを伴い駆け抜ける様は痛快だし、この下手ウマな雰囲気モノの歌い手もギリギリのところで踏ん張り歌い切っている。派手さを押し上げるリズム隊の堅実さも日本人的な潔癖さが出ており、ラフなのにカッチリ聴かせているのが、やはり面白い。

雑誌の評価がすこぶる悪く、この作品と次のフルアルバムは50点を献上。大野さんの好みに合わなかったようで大苦戦を強いられる。そんな悪評を振り払うが如くライブの帝王と呼ばれる程に、全国津々浦々に駆け回っていたのだから胸に迫るものもありますね。
L.A風のノリもあるが、日本人的哀愁美とTILTならではのドライブ感溢れる演奏、酷評されるような作品だとは思わないが、その影響を大きかったと言わざるを得ないだろう。
個人的には音楽性云々よりも、ヴォーカルがAMERICAN CHERRYと名乗っていた事がハズかった。


FM - Tough It Out ★★★ (2018-08-26 17:26:02)

売れたきゃ俺に頼めと言わんばかりに、この手の歌モノ系には名を連ねていた名プロデューサーのニール・カーノンが参加しています。ライトでアーバンなアメリカン志向のサウンドは洗練された作り込みが耳を惹く、作り手と演者の思惑が合致したような作風に仕上げており、そのカラフルな楽曲も手練手管のやり手に掛かれば、必要以上に弾かないが、インパクトを放つクリスのギター、装飾美担当のキーボードも絶妙と、ライトな作風なのに、英国的なコクを聴かせるアレンジメントにも両者が大きく貢献している。
そんな中でも圧倒的な存在感を見せているのがヴォーカルのスティーブ・オーバーランドのをエモーショナルヴォイスだと思うのですがいかがでしょうか?彼らが奏でるサウンドは華やかさと躍動感に溢れており、完成度の高さを促す圧倒的なパフォーマンスを見せている。
何故か日本では売れずイマイチ認知度の低い英国のバンド。都会的なオシャレ感はあれど、根底にある陰気な英国風味が絶妙に絡んでいるので、聴き応えはたっぷりあると思いますよ。
甘いだけじゃない歌モノロックが聴きたいマニアなら迷わずトライして欲しい一品ですね。


FM - Tough It Out - Someday ★★★ (2018-08-26 17:14:56)

複数のアーティストが取り上げている哀メロナンバー
このヴァージョンもまた素晴らしい
少々歌が押しつけがましいのが気になるかね


FM - Tough It Out - Bad Luck ★★★ (2018-08-26 17:12:10)

武富士のCMを見る度にこの曲を思い出していた
ベタだが必要不可欠な曲だろう
高水準すぎて凄さがイマイチ伝わらないと言う贅沢な悩みを感じる


FM - Metropolis ★★★ (2018-08-26 16:55:26)

英国のベテランバンドは久しぶりに復活を果たしリリースしたアルバム。威厳に満ち溢れた職人技が冴えわたるAOR調のロックナンバーは、潤いと色彩美に溢れた名曲が目白押し、歌を聴かせるアレンジ、その合間をぬように深みを与えるキーボードと邪魔しないハードなギター、皆が一体となり聴かせる事を念頭に置いた楽曲に隙など見当たらず、歌モノロックを愛する方のオアシスとなる極上のサウンドを手掛けています。
まぁ、この手の音は無難だしスリルはないかも知れません。また走るのがへヴィメタルという認識の上では、この聴かせる路線に眠たくなるでしょうが、フックに富んだ哀愁のメロディに泣かされたいと思うマニアなら手にとって損はしないでしょう。
上手いバンドだよなぁ。単なる過去の焼き回しで終わらないフレッシュ感も持ちこんでいたのが素晴らしい。


FM - Metropolis - Unbreakable ★★★ (2018-08-26 16:45:41)

一撃必殺の哀メロナンバー
誰が主役じゃない
皆が一体となり生み出す阿吽の呼吸
歌もアレンジも全てが素晴らしい


CJSS - Praise the Loud ★★★ (2018-08-24 17:06:42)

アメリカのアングラメタルシーンを代表するギタリスト、デヴィッドTチャステインの別バンドの2nd。1stも1986年にリリースされているのだが、このアルバムの同年にリリースされているという作品。前作の評判を受けてなのかは分からないが、メインと思われていたCHASTINも世に出ていたし、彼のキャリアとしては大切なSPIKE時代のメンツでやっている、このバンドの重要なピースだと思うのだが、何故同時期に乱発したのか理解に苦しむアルバムになった。
作風云々よりも、その境界線の分からない節操のなさが批判的な意見を誘発させていた事実を思うと残念でならない。

今作でもチャステインのギターと一発で分かる黒光りする艶めかしメタリックギターを奏でているだけに尚更な気分だ。レザー・レオーネの声も聞こえてきそうな重厚なナンバーもあるし、その路線との違いを打ち出したストレートなメタルサウンドもある。いずれにしろ質の高い硬派なメタルサウンドは、メタリックに研ぎ澄まされた感性がギラリと光りを放つ歯ごたえのあるものばかりだ。
それだけに、この時期の活動がうやむやになっているようで、親でも親戚でもないのに歯がゆい気持ちにさせる。

CHASTINのドラマ性よりもストレートな感性を優先、アメリカンなノリも多少あるが、ゴツゴツとしたパワフルなサウンドは独特の緊張感を生み出し聴き手をねじふせて聴かせるだけの説得力がある。
それはこのバンドがアメリカ産とは思えない、暗く湿った重々しいメロディを持ち合わせており、強烈なインパクトを残しているからだ。またこの時期溢れかえっていたシュラプネル系の速弾きギタリストは一線を画す独特の攻撃的なギターも魅力的だった。

いまでは『2-4-1』というタイトルで1stとのカップリング仕様で手に入る一品。浮かれ気分のアメリカとは違う、硬派なスタイルを知りたいマニアなら手にとって欲しい一枚です。最近のリバイバルブームによる安っぽい再構築アルバムや、メイデン・JP直系の安直なスタイルではない本気のアメリカンメタルを楽しめますのでね。


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Oh Fatimah ★★★ (2018-08-24 16:15:27)

アルバムのラストは泣きのロッカバラード
べったりとまとわりつくのがアジアン


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Suzana ★★★ (2018-08-24 16:10:09)

陰気臭い曲が多いので
この手のポップロックは耳を惹きますね
アニソンチックな雰囲気も日本人にウケそうだ


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - La Obe ★★★ (2018-08-24 16:07:51)

この曲に限った事ではないが
昭和歌謡の匂いが人懐っこいイメージを抱かせますね
これが東南アジアから聴けると言うのが不思議だ


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Bibir Mesra Jiwa Parah ★★★ (2018-08-24 16:04:31)

アジアンな哀愁が滲み出たメロディックな一曲
音質の割に深みを感じるのは演奏力の高さのおかげ
マレーシアの底力を垣間見ましたね


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Dendang Remaja ★★★ (2018-08-24 16:02:01)

暗く湿った哀愁のミドルナンバー
こちらが知らんだけで
地に足のついた本格派のサウンドが楽しめる


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Tak Mengapa ★★★ (2018-08-23 12:21:11)

哀愁のメロディが耳を惹きますね
合いの手コーラスに笑った
なんかグループサウンズみたいですよ
この歌謡ロック調が似合うバンド
ソロでは俄然前に出るギターも悪くない


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Ikan Todak ★★★ (2018-08-23 12:16:57)

仄かな哀愁を漂わせるポップロック
歌がサウンドに負けていないのがイイ
こういうタイプの曲もサラリとこなす実力のあるバンドなんですね
ギターは巧者だなぁ


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Baju Hijau ★★★ (2018-08-23 12:14:13)

泣かせのギターで幕開け
そのままバラードに流れ込むのかと思ったらテンポアップ
クドクならないコテコテ感がマレーシアメタルなのか
絶妙なところを突いてくる


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Kenanganku ★★★ (2018-08-23 12:11:07)

懐かしい雰囲気のメロディです
演歌調の歌謡テイスト
こういうスタイルにアジアのロックを感じる
メロディ一つとっても欧米じゃないもんなぁ


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an - Ayahku Kahwin Lagi ★★★ (2018-08-23 12:07:51)

アルバムのオープニングナンバー
ガツーンとスピードナンバーがくるのかと思ったら
へヴィなミドルナンバーだった
堅実な演奏とコブシの効いた歌
親しみやすいメロディにアジアの血が騒ぎますね


KRISTAL - Rock Yeh Yeh 60'an ★★★ (2018-08-23 12:00:04)

2000年にデビューを果たしたマレーシアのHM/HRバンドが2007年にリリースしたアルバム。東南アジア≒格下扱いを受けそうですが、これが思いのほか日本人の琴線に触れるメロディ、所謂ワビサビのある演歌にも通ずるような情念やアジア的ポップセンスも満載、バックの演奏もソツなくまとまりメジャー級の一品に仕上がっています。

アジアのバンドと言う事で個人的には親しみやすさを感じ、この粘りのある英国寄りのサウンドと東南アジア歌謡テイストが絶妙な絡みを見せ、独自性と欧米諸国に負けないクオリティを誇示している姿に頼もしさを感じますね。

アジア圏にありがちな歌い手の力量不足もこのバンドは回避。若い頃の影山ヒロノブみたいな声でロックシンガー然とした歌唱スタイルから甘いトーンも器用に歌いこなします。どこか郷愁を誘う哀愁のメロディとロック然としたパワーを内包した、歯ごたえのある演奏。アジアの血が騒ぐ熱情にほだされました。

まだまだ知らんバンドは世界中にあるなぁ。マレーシアのメタルシーンなんてチンプンカンプンだもんね。このアルバムに触れマレー探訪の旅に出ましたよ。でも全然知る事が出来んかった。

1.Ayahku Kahwin Lagi
2.Kenanganku
3.Baju Hijau
4.Ikan Todak
5.Tak Mengapa
6.Dendang Remaja
7.Bibir Mesra Jiwa Parah
8.La Obe
9.Suzana
10.Oh Fatimah


OUTRAGE - GENESIS I - 荒城の月(インストゥルメンタル) ★★ (2018-08-22 16:56:29)

ある意味ベタな選曲のカヴァー
でも取り組み方はウリ・ロートとは違った
もう少し弾きまくっても良かったと思う
コクがなかったのが残念


OUTRAGE - GENESIS I - THE SHADOW OF FEAR ★★★ (2018-08-22 16:50:57)

再始動後のラインナップなら
どのアルバムに収録されても違和感のない一曲
シンプルだが魅力的なリフワーク
本能を呼び覚ます強烈なグルーブ
ただ走るだけじゃない懐の深いOUTRAGEらしさが充満している


OUTRAGE - GENESIS I - SUNNY DAZE ★★★ (2018-08-22 16:48:26)

腰にくるへヴィブルースなグルーヴ
エグイベースの音も70年代的だ
前時代のへヴィロック
違和感がないのは当然なのだが
橋本が歌ってナンボとも言える


OUTRAGE - GENESIS I - BURIED ALIVE ★★★ (2018-08-22 16:43:45)

トリオ時代の『24-7』に収録済みの一曲
橋本が歌いなおし事で完全体になった
へヴィグルーブが心地よいです
この時代ならではの阿部のギターワークも注目ですよ


OUTRAGE - GENESIS I - DEAL UP ★★★ (2018-08-22 16:40:08)

迫力満点の激烈スラッシュナンバー
しなやかなへヴィグルーブなのに
獰猛さが際立っている
力の籠った一曲だねぇ
恩讐を乗り越え橋本が復帰したのは本当にありがたい事ですよ


OUTRAGE - GENESIS I - EVIL ROCK ★★★ (2018-08-22 16:37:48)

パンキッシュな疾走ナンバー
アルバムOUTRAGEDからのアウトテイクです
勢いよく突っ込んでくるねぇ
でもワビサビがあるのがOUTRAGEなんだろう


OUTRAGE - GENESIS I - JUST I WAS BORN ★★★ (2018-08-22 16:35:08)

BLUES CREATIONのカヴァー
激ハマりのクールなアレンジが魅力
現体制にピッタリの選曲でしたね


OUTRAGE - GENESIS I - 空いろのくれよん ★★★ (2018-08-22 16:31:56)

コアなスラッシャーならイントロで激怒しそうになるでしょうね
こういう曲調を上手く歌いあげています
橋本は素晴らしいシンガーだ
個人的にもイメージ的には一番無い曲だが
ある意味一番衝撃を受けた一曲だった
こういうほのぼのとした曲なのに
荒涼とした雰囲気を醸し出すのがOUTRAGEなんだろう


OUTRAGE - GENESIS I - あぶらむし ★★ (2018-08-22 16:28:28)

日本のパンクロックバンド『亜無亜危異』と書いてアナーキーと読むのカヴァー
橋本のパワフルヴォイスがパンクにはないカラーだが
橋本は日本を代表するロックシンガーだと改めて思いました


OUTRAGE - GENESIS I ★★ (2018-08-22 16:20:55)

日本のバンドと未発表曲からなる企画モノのアルバム。カヴァーされた日本のバンドに驚いた。

1.御意見無用 / THE MOPS
2.あぶらむし / アナーキー
3.ふざけるんじゃねえよ / 頭脳警察
4.空いろのくれよん / はっぴいえんど
5.JUST I WAS BORN / BLUES CREATION
6.香り / 外道
7.メリー・ジェーン / Strawberry Path

頭脳警察も意外だったけどはっぴいえんどには度肝抜かれました。こういうのもルーツでやるんだなぁと驚きのカヴァーに、他のアーティストがコスリ倒したバンドが無いのは良いアイデアだったと思います。
モップスの曲なんてZEPみたいでカッコいいですよね。外道はハマっている。頭脳警察もOUTRAGE風の荒涼としたバンドカラーが上手く投影されており、これもありだなぁと思う。最初は違和感ありありの④だって、この並びなら大ありだなと思わせるのも今作の特色だろう。大真面目に遊んでいる大人の余興ですよ。

未発表曲も単なるスラッシュに留まらない多様性のあるナンバーが多く、トリオ時代を思い出させる荒っぽいものまであったりと一筋縄ではいかない楽曲が中心となっています。あまりにも捻くれた選曲故に、分かりやすいの一曲くらいやったら良かったのにとは思いますが、それだとOUTRAGEらしくないとも思え、何とも言えない感情が湧き起こる一枚でした。
カヴァー集は①⑤がお気に入りです。好きな曲調ではないが④も橋本が歌い切っているのが魅力的だった。


OUTRAGE - 24-7 ★★ (2018-08-22 16:01:38)

音楽性が拡散していく中で遂にOUTRAGEもメンバー交代を迎える事に、それが看板シンガーである橋本直樹の脱退というのだから大事件だ。橋本程の逸材が国内にいるかと言われると厳しいだろう。この脱退劇をどのように乗り越えるのかと思ったらなんと、専任ボーカル抜きのトリオ体制で活動を続けるとは夢にも思わなんだ。
その影響は音楽性も影を落とし、もはやNWOBHMからのスラッシュではない完全な別物として再スタート。
これも俺たちのルーツなんだと言わんばかりのへヴィでサイケな原始的ロックへと回帰。野趣溢れるサウンドに、この荒っぽい歌い方はあっていないわけではないが、やはり自分達3人の歌唱力を鑑みての路線変更に思え戸惑いは隠せませんでした。
個人的には、これをOUTRAGEとして聴く事は難しくサイドプロジェクト的な立ち位置で楽しんではいるが、やはりどの路線でも歌えるシンガーは必要だろう。表現力の限界が制約を設けているのでは本末転倒ですよ。

しかしグランジやオルタナ風のへヴィロックサウンドまで取り込み活動を続けてきた彼ら、ある意味、この原始的なスタイルに回帰したのも必然だったのかも知れない。むしろ、ルーツたる自然体のへヴィサウンドを鳴らしていると好意的に捉える事も出来る、計算されたラフさが魅了なんだろう。5 P.M. みたいな荒涼としたメロディが聴こえてくると橋本直樹で歌って欲しいと思いますね。
機会があれば、この時代の曲をチョイスして橋本に歌いなおして欲しいと思います。


DEAD END - shambara ★★ (2018-08-21 14:57:24)

岡野ハジメのプロデュース第1弾。音楽性に大きな変化はなく細部に渡り拘りぬいた影響が反映された意欲作になっている。元々純粋にHM/HRに区分するのが難しいスタイルのバンドだけにね。

イントロだけで身を乗り出したくなる足立の妖艶なギターは健在。ベース、ドラムと両者の特性を生かしたプレイを出しつつも離反する事無く独特の世界観を生み出すグルーブを作り出している。そんな個性的な集団の中にあっても、最終的には歌が一番目立つと言う作り込が今作最大のポイントだろう。歌唱スタイルも今まで以上に洗練され違和感なく溶け込んでいるのが良かった。

次のアルバムで全く違うバンドになったのだが、ヴィジュアル系の人たちが影響を受けたと公言してくれたおかげで、彼らのアルバムは一くくりに評価されるという摩訶不思議な現象がおこった。
そんな不思議な現象の中でも、このアルバムはバランス的に全てのファンに訴えるものがあるだろう。ある意味、メタルサイドからは1stで終わったバンドと陰口も叩かれるバンドだったが、足立のギターは常に魅力的だった。
足立祐二がTERRA ROSAだけで終わっていたら、今日の成功はなかったが、純粋にギタリストしての評価は別だったと言うのは皮肉なものだ。素晴らしいギタリストなのにもう少し認めて欲しいね。