Marino The Bandのシンガーだったリサ・ドミニクが1989年にリリースしたソロ転向後の第一弾アルバム。ギターに前身バンドのマリノさんが全面参加しているように、単純に彼女を前面に出し売りたいという関係者の意向も見え隠れするのですが、半裸をさらしたジャケも細身すぎてセクシーさにチョイと欠けるのも残念な仕上がりで、女人禁制を掲げる潔癖症のマニアから反感も買う代物と誰も得をしていないのが気になりますね(安い洋モノポルノなルックスが更に拍車を掛けますね) 肝心の楽曲ですが、チョイハード目の歌モノポップロックが目白押し、アルバムタイトルに偽り無しのストレートな音楽性に嫌味など全くなく、何を聴かせたいかを明確に定めているのが好印象です。その反面、余りにも余白が少なく、ともすれば何を引っ掛からずに、最後までサラリと流れてしまう個性不足が評価を分けるでしょうね。 今日一日を飾る一発目に選ばなくとも、ハードな調べの合間に聴く耳休めに丁度良い、軽快なノリとバックの本格派志向ぶりが心地よく、アレンジ全般を見ても遊ばない分、ストーンと落ち着いて聴かせてくれるのが、この手の堅実なロックサウンドの肝なのかも知れませんね。
国内盤は我らがZero Corporationからリリースされたオリジナルメンバーによる復活作。解散前のソフトなポップを路線の復活でもなく、また安易な初期の焼き回しでもない、しっかりと1997年にやるべくハードなアメリカンロック路線を披露。厚みのあるツインボーカルによる強力なハーモニー、派手目のツインギターと、自らの持ち味を遺憾なく発揮。これぞナイトレンジャーな王道路線にオンパレードに往年のファンは勿論、泣かないメロディックロックが好きな人には安心して耳を傾ける事が出来るでしょう。当時のアメリカでこの路線での復活は相当厳しいモノがあり、覚悟も入ったでしょうが、BIG IN JAPANと揶揄されようが、本分とも言える音楽性で勝負を掛けれたのが、ファンの方にとっては嬉しい誤算だったかと思いますよ。だってこの時期、復活した往年のバンドは皆、それなら、そのメンツじゃなくてもいいんじゃないのって音楽性が多かったですからね。 爽快なメロディを生かしたポップなナンバーや、王道バラードに、気持ちよく駆け抜けるハードサウンドを用意し、自身の復活劇を強く印象付ける事に成功した一枚ですね
Liv Moonを経てBabymetalとのお仕事もこなす若手辣腕ギタリストの一人、大村孝佳がシンガーにアカネ・リブやラッセル・クロウ、LIVEでも共演を果たしたマーティー・フリードマンなど多彩なゲストを迎え入れ2013年にリリースしたソロアルバム。速いパッセージを織り込んだメロディックなギタープレイは健在。曲を殺さない弾き倒し方もカッコ良く決まり、ここ数年、自身のソロ以外での活動が無駄になっていない事を見事に証明してくれました。テクニックに埋没しない、聴かせる事と凄技で聴き手を圧倒する事の離れ業を見事にやってのけているようで、その充実したプレイを前に個人的には聴いていてワクワクゾクゾクとさせられましたね。 情感たっぷりなインストナンバーからマーティーとのバトルまで収録、歌モノも歌い手の資質を考えた適材適所にはめ込んでおり、その辺りにも不満はないでしょう。日本人好みのメロディックメタルサウンドを多くにリスナーを惹きつける要素も大。Babymetalとのお仕事を契機に、ここで一発名前を挙げて欲しいですね。
Metal Blade主催のコンピ作Metal Massacre VIIにも楽曲を提供している。US産のスピード/スラッシュHM/HRバンドの記念すべき1st。とにかくアグレッシブかつスピーディーな楽曲が目白押し、US産マイナーメタルらしいガチャガチャとしたやかましさ故に、整合感の高いキャッチーなメジャー級の作品に慣れた人には、かなり厳しいモノとなるでしょうね。たぶん、煩いわと言われ音量を下げられるかチェンジを余儀なくされる代物でしょう。 しかし個人的にはこれぞメタルだよなぁと言わしめる怒気と破壊力に恐れ戦き、何物も寄せ付けない誉れ高きメタルスピリットを存分に味わい崇め祭りたくなります。音楽性に関しては火薬さんのコメントに付け加える要素はなし(いつもそう思っているのですが)とにかく当時のメタルシーンの底力を体感したい人は是非とも手にとって欲しい一品です(大手ダウンロードサイトで安価で手に入るのでね)
日本語に訳すと『私を崇拝するか死ぬか』というタイトルと持つ、往年の大映ドラマでも言わねえぞと突っ込まずにはいられないセーラー服反逆同盟な(スケジュールが忙しくキャスティングされた中山美穂が他の演者と共演シーンの少なかった記憶があるドラマ、仙道敦子とのダブル主演とも言えるが、ワタクシは弓削 ルリ役を演じた山本理沙派です。ちなみにVIXENならシェア・ぺターゼン派) イメージを抱かせるが、その期待に沿ったハチャメチャなネオクラスタイルのスピードメタルサウンドを披露。よりキレまくりなのは次作ですが、今作も負けず劣らずの破天荒さを披露、所狭しとカット様のクラシカルギターのオンパレードにビビります。もう少し間を考えた方が聴きやすいに決まっているのですが、今作はカット様の責め苦に耐えれるメタルドM大集合なので、『私を崇拝するか死ぬか』を地で行く猛者限定の一品として、当時のマニア筋を恐れひれ伏せさせていましたね(-100点か100点かの二者択一な作品)。 かくゆうワタクシも、いつも5曲目の『DIE DIE DIE』辺りのコーラスパートまでくると、余りの責めの強さに耐えれず中座を余儀なくされるのですが、予定調和なんて嫌だ、俺を裏切って欲しい、そんなブッ飛んでるメタルが聴きたいと思う方には2007年にポーランドのMetal Mind Productionsからリマスターで再発されましたので、カット様の手ほどきによる無間地獄に招待されてはいかがでしょうか?それにしても今回、久しぶりに通して聴いたけど、肩凝ったわ。目がシバシバしてますよ。
そんな個人的な不満をぶちまけましたが、そこは嗜好の問題なのでね。許していただきたい(もったいないんじゃ) ④から⑦までスキップすれば、飛び込んでくるのはヘヴィブルースなP.A.F流『Wanted Dead Or Alive』な⑧、貫禄の熱演ぶりにバンドの本気度も伺え気分を持ちなおし最後まで聴きます。 PATA氏のルーツたる音楽性をより高い次元で披露するメンバーを従え、J-POPな要素も当然あるがロックフィールドへと果敢に挑み、やりきった一枚。セールス的には惨敗だったようですが、日本語が気にならず、所謂アメリカかぶれなロックサウンドを楽しめるマニアなら心躍る力作でしょう。X-JAPANだからと言って舐められる要素のない一枚です。
August Redmoonと言うバンド名でMetal Massacre IVに『Fear No Evil』を提供、Terracudaと改名、そしてエニグマから今アルバムをリリースする前にEDEN改名した経歴のバンド。 その流浪の経歴を持つバンドの音楽性はPOISONから毒気を完全に抜いて、より正統性を強めた印象のあるスタイルを披露。それも癖の強い歌声が、その印象を強めているのですが、カラッとしたアメリカのバンドとは違う湿ったムードが漂っており、高い演奏技術に支えられた楽曲は、ポップでキャッチーなアメリカンロックからパンチの効いたスピードナンバーとバラエティに富んではいるが、急場凌ぎのポップロックなどは盛り込み、場の空気を悪くしていないのが好印象。実にソツなく纏めてきましたね。 その反面やや個性不足感は否めないが、何を聴かせたいかを明確に見定め、メンバー全員で作り上げたバンドサウンドは誰かが突出した存在ではない脇役の美学が貫かれており魅力的に輝いております。 正統性の強いアメリカンメタルが好きな人なら聴いて損はしないでしょう。ドイツのMetal for MuthasからCD化もされましたが、2016年にDivebomb Recordsから出たヴァージョンの方が手に入りやすいでしょう。