Death Dealerというバンド名で1980年から活動開始、Metal Massacre IVに『Cross my Way』という楽曲も提供しているのですが、1986年にバンド名をDEAF DEALERに改名して1stをリリースするのですが、カナダのバンドと言われなければ気がつかない程、NWOBHMの流れを組むメタリックな正統派サウンドを披露。疾走するツービート、曲間を縫いランニングするベースとツインギターの濃密な絡み、そして力負けしない湿り気のある芯のあるハイートーンヴォイスを披露するシンガーと、その筋のマニアなら腰を上げずにはいられないストレートな音楽性は、まさにこの時代ならではのメイデンスタイルだしJP仕込みの王道メタルでしょうね。風呂場でレコーディングしたような籠り気味の音質なれど、カナダのバンドらしい丁寧な作りは良心的だし楽曲に破綻をきたさぬよう細部に渡り気を配っているのは好感が持てますね。パワフルなサウンドだが勢いでズバッと押し切らないのは素晴らしい事ですよ。その反面、個性不足感は否めず、当時としては厳しい評価を受けざるを、おえない内容だったかなぁとは思いますね。勇壮なドラマ性や硬質感を損なわないダイナミズムがあっても、一曲一曲の完成度は低くないのに、アルバムを通して聴くとサラッと流れてしまうのが難点。構成力ってのは大事なんだぁと思いますね。 2年後にはCD時代に突入を受けSteamhammerからリリースもされるのですが、オリジナルの作品がNEATにMetal Bladeなど複数のレコード会社から出ていて権利の関係がややこしいのが、今日まで日の目を浴びづらい環境を作りっているのなら残念ですね。 正攻法で迫るパワーメタルにマニアならグッとくるでしょう。
1. Lion's Roar / Bound to Be Free (Savage Grace cover) 2. Bleed for the Gods (Agent Steel cover) 3. Metal Church (Metal Church cover) 4. Ruler of the Wasteland (Chastain cover) 5. Kill with Power (Manowar cover) 6. Stars (Hear' n Aid cover) 7. Burning the Witches (Warlock cover) 8. I'm a Viking (Yngwie Malmsteen cover) 9. XXX (Nasty Savage cover) 10. Steel the Light (Q 5 cover) 11. Tor with the Hammer (TNT cover) 12. Madhouse (Anthrax cover) 13. Metal Merchants (Hallows Eve cover) 14. Red Rum (Lizzy Borden cover) 15. Soldiers Under Command (Stryper cover) 16. You and I (M.A.R.S / Driver cover)
テキサス生まれのアフリカ系アメリカ人のウィリー・バッセが立ち上げたバンドのデビュー作。あのエニグマレコードからデビューを果たしたように、けっして期待値の低いバンドではなかったかと思うのですが、我が国では低評価の人種差別発言も飛び出す酷評をウケ(顔に墨塗ってもどうにもならないみたいな事を日本のメタルゴットがレビューに書き連ねたらしい)、そりゃもう酷い扱いでしたね。2曲目でいきなり予想外のカヴァー、シュープリームスの『Stop in The Name of Love』取り上げたりと面白い試みもあるのですが、概ねロン・キール率いるSTEELER辺りを思わせる平坦なノリのアメリカンロックに突如切れ込んでくる速弾きがありますなので、その筋のマニアには興味も惹かれる所ですかね。つまんねぇ楽曲ばっかりの箸にも棒にもかからねぇアルバムだなぁと言われたら返す言葉も見つかりませんが、派手なトッド・デビートのドラムも悪くないし、なんと言っても今作に参加する二人のギタリストがマニア心をくすぐります。 今もって大きなバンド活動で爪痕を残せませんが、速弾き系ギタリストとしてデビュー前のM.A.R.S.やインギーの後任としてSTEELERに参加、その後マスターマインド博士やニール・タービンと活動を共にするカート・ジェイムス。もう一人の相棒はマキタの電動ドリルの売り上げに絶大なる貢献を果たした男。ギタースクールを卒業して間もないポール・ギルバートが参加している事が最大の聴きどころでしょう(プロキャリアの出発はRACER Xじゃなったんだね) この二人が同時に参加しているのですが、既に出来上がったバンドにはめ込まれた程度と推察されるので、正直二人のプレイは、その後の活動を考えると物足りないのですが(リフやソロにらしさは垣間見える)主役はあくまでもシンガー兼ベースのウィリー・バッセですからね。でも時折ねじ込まれる速弾きに耳を傾け楽しみのが一番でしょう。ゴスペルが強めの曲を歌うバッセ氏も悪くないですよ。 ちなみにこのバンドはエニグマからのデビューと言う事もあり、音源は残していませんが、MSGに参加するミッチー・ペリーや有名になる前のGUN'Sのスラッシュ、ランディ・カスティロなど名を連ねていますのでマニアなら食指も伸びると言うモノですよね。
ケバケバしいロックスが懐かしい、イギリスの出身のグラム系HM/HRバンドの1st。1988年にCD化された時にジャケットが差し替えられたのですが、オリジナルの持つトゲトゲのケバケバしい奴の破壊力は忘れられませんよ。 サウンド的にはPOISONのようなパワーポップスタイルに初期MOTLEY CRUE辺りが醸し出した退廃的なムードに包まれたグラマラスなハードサウンドを掛け合わせ、そこに本当は素行の正しい英国人らしい生真面目さが加わり、わりとしっかりとしたサウンドメイクを施されています。陽性なノリのよさ、コマーシャル性を高めた楽曲は洗練されたイメージも手伝い、過度にやり過ぎる傾向の高い音楽性の中でも、バランス良く聴かせる一品として愛聴しています。このアルバムを聴き真っ先に思い出されるのは、Pretty Boy Floydなので、その辺のサウンドに愛着を覚える方にはグッとくる要素も高いと思いますよ。ポップなんだけど、ハードで身体の悪そうな毒気のあるサウンドにロックな精神性を感じますね。
元はTHIN LIZZYの再結成バンドだったのだが、作品をリリースするにあたりバンド名をBLACK STAR RIDERSと改め2013年にリリースした1st。アイリッシュフレーバーたっぷりの③辺りを聴けば、このバンドがTHIN LIZZYの遺伝子を継ぐものと即座に分かるものですが、それはけっして安易な焼き回しに起因する過去の遺物を喰い尽くす姿とはチョイと違う、本気度の高いバンド活動を示唆する音楽性を高らかに鳴らすもので、男のダンディズムを醸し出す屈強なリフワークと哀愁のある男泣きのメロディ、その随所に盛り込まれるアイリッシュな響きに、このバンドの本質を見出す事が出来るでしょう。
北欧はスウェーデン出身の4人組による2014年リリースのアルバム。Dead End Exit Recordsという、あまり馴染みのレーベルからのリリースのせいか知名度が低いようですが、出している音は、ビックギターにビックドラムから繰り出される耳馴染みの良い豪快なアリーナロックサウンド。全編に渡り張り巡らされるキャッチーでフックに富んだメロディ、好きな人には頭からケツまで安心安全の保証付きとなるのですが、その反面、物凄く個性不足でもあるので、そこが評価を分けるでしょうね。 ある意味、究極のポピュリズムをフォローする音楽性は鼻につく事もあるでしょうが、キッチリと図面を広げ、丁寧に作り上げた楽曲の持つ輝きは、世代を超え愛される普遍的ロックサウンドとして、デカイステージと会場の中で大音量で聴きたくなる音楽だと思います。良く練り上げられたアレンジとフックの富んだメロディの数々、ロックの持つ豪快さと親しみやすいメロディの融合、無駄のないツボを押さえた演奏は、伝統と革新さを武器に硬軟交えたバランス感覚に優れており、売れる事の匂いを嗅ぎ取った実に良く出来た音楽性だと思います。よう考えているわ。ノリの良さ、視聴後の爽快感、北欧ブランドは揺るがんね。
シルヴィ・ラクロア嬢がフロントマンを務めるシアトル出身の正統派HM/HRバンドが1986年にリリースした1st。ラストに収録されているタイトルトラックのCrack of Doomのリフなんてリッチーマニアならニアニアさせられるだろうし、アメリカのバンドなので明るめのライトな楽曲もあるが、ダークな色合いが強くバンドの目指している方向性と、お国柄がバッチンバッチンとぶつかっているようで聴いていてチョット面白い。スケールの大きなロックサウンドを母体にいかような方向性に進むかを試行錯誤する姿に可能性を大いに感じるし、とにかく空間を引き裂くようにヨーロピアンテイスト溢れるリードギターが顔を出す瞬間に、この時代ならではのUSアングラメタルシーンの在りし日の姿を垣間見ますね。初期Twisted Sisterあたりが持つアングラな雰囲気が好きな人なら愛着を覚える一枚でしょう。
でもそんなディアノの在りし日の姿を頭から外して聴くと、これが実にメロディックな歌モノHM/HRサウンドとして聞こえるから不思議なモノです。⑤曲目に収録される『Tales Of The Unexpected』の英国紳士たるプログレポップサウンドなど同郷のMAGNUM辺りがやりそうなナンバーもあったりと、鍵盤楽器を前に出した柔らかい感触の歌モノサウンドを惜しげもなく披露。色んなタイプの洗練されたポップロックを聴かせてくれました。
1. Have a Nice Day [Fred Coury - Cinderella] 2. Welcome To Wherever You Are [Colby Veil - Hollywood Roses] 3. Runaway [Alex Mitchell - Circus Of Power] 4. In and Out of Love [Stevie Rachelle - Tuff] 5. You Give Love a Bad Name [Kelly Hanson - Foreigner] 6. Livin' on a Prayer [Marq Torien - Bulletboys] 7. Wanted Dead or Alive [Phil Lewis - L.A. Guns] 8. Lay Your Hands On Me [Jani Lane - Warrant] 9. Bad Medicine [Jizzy Pearl - Love/Hate] 10. Born to be my Baby [John Corabi - The Crue Union] 11. Living in Sin [Spike - Quireboys] 12. I'll Be There For You [Chaz - The Jason Bonham Band] 13. Blaze of Glory [Kory Clarke - Warrior Soul]
同時期凌ぎを削ったミュージシャンが集い、上記楽曲を収録したボン・ジョヴィのトリビュートアルバム。 デヴィット・ブライアン風味を押さえハードなアレンジが耳を惹きますが、原曲の持つ眩い光がいかようなアレンジも寄せ付けないのが今作を聴いた一番の印象。実力のある著名なシンガーが歌ってもボンちゃんのセクシーな歌声が頭の中で大きくイメージされ、心の底からボンちゃんて個性的で凄い歌い手なんだなぁと思い知らされましたね。 ボン・ジョヴィ通のお知り合いの女性によると、今作は別バージョンが以前リリースされていて、どのような経緯から分からないが 数曲差し替えて再度リリースされたものらしい?個人的には奇をてらわないベストな選曲と豪華メンバーにつられ購入したクチなので気にならないが、慌てて手に入れると悔しい思いをしかねないですからね。 しかしこうして改めて聴くとエエ曲のオンパレードですね、偉大なバンドだったなぁ。 ボン・ジョヴィのハードファンの方なら、ここはああだこうだと言いながら楽しめるだろうし、最近彼らはちょっとと思う方も、気になる面々がどのように歌いあげるか気になるところだろうし、エエ曲に変な個性をぶち込まなければ、当然楽しめますよね。スリルは無いし、プロのカラオケ大会的なニュアンスは拭えないが、ベスト的な選曲も手伝い月1位で聴きたくなりますよ(その後、モヤモヤを吹き飛ばしたくなり原曲を思いっきり聴きたくなるのです) クドイようだがエエ曲を持っているバンドの偉大さと彼らの商業的にも歴史的にもシーンにとって重要なマスターピースだった事を再確認させられましたね。 バックを支えるメンツはコチラ Guitar – DJ Ashba, Eric Turner Bass – Jerry Dixon Drum – James Kottak
①Savage Grace / Sins Of The Damned ②Panther / Set Me Free ③Bitch / Make It Real ④Lace / Knightmares ⑤Cirith Ungol / I'm Alive ⑥Pandemonium / Evil Face ⑦Stainless Steel / Goin Deaf For A Living ⑧Ruthless / Gates Of Hell ⑨Stormtrooper / Armies Of The Night ⑩Savage Grace / Bound To Be Free
ジョン・ボン・ジョヴィのいとこだったかな?BON JOVIに所縁のある女性シンガーの1stソロ。甘く切ない哀愁のハードポップサウンドと彼女の甘酸っぱい歌声との相性も良く個性不足感は否めないが初期BON JOVI路線を引き継ぐ音楽性は聴き応え十分。オープニングは散々擦り倒された名曲『Somebody To Love』を元気いっぱいもう一杯にカヴァー、ボトムの効いた②の『Jealousy』、③は仄かな哀愁が漂う甘めのハードポップナンバー『Maryanne』④はビックバラード『Keep The Light Burning』、キーボードを前面に出した⑤『Emergency』哀メロも耳に残りますがサビで明るく弾けます。とバラエティに富んだ楽曲が続くのですが、この辺りで彼女の画一的な歌い回しが気になり、また威光を借りた印象は受けるのがマイナスに働いたのでしょうが、彼女の作品は今作限りで終了。つまらん類似性を取り上げ埋もれさせるのが惜しいと思わせる一枚です。 また歌唱力も経験を積めば確実に表現力も増すもので、当時として確実にあった女人禁制なロックの世界では厳しいのかね。個人的には前半よりも後半の流れの方が好みで、ジョンの歌声も聞こえてきそうな哀メロハードポップナンバー⑥『Two Sides Of Love』、センチメンタルなメロディが耳を惹く⑦の『A Flower Can't Grow In A Shadow』ハードでワイルドな魅力を発散する⑧の『Dangerous』哀メロ具合が丁度よい、キュンキュンとさせられるね。⑨の『Freeze This Moment』などアメリカンな湿っているけど濡れていない、お得意の王道バラードですよ。ラストの⑩もジョンの声が聞こえてきそうですね。ワタクシはBON JOVIと言えば1stが一番好きなたちなので、この甘く切ないハードポップサウンドは大好物なのですが、最近はサッパリ見かけなくなったなぁ。爽やかで親しみやすいメロウな旋律、そこに弾ける微炭酸なポップフィーリングも加味された、煌びやかな叙情派ハードサウンドに癒されますね。