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WILDFIRE - Brute Force and Ignorance ★★★ (2022-09-15 18:39:48)

WEAPONのギター、ジェフ・サマーズとドラムのブルース・ビスランド、リードヴォーカルは初代IRON MAIDENのシンガーとして知られるMOREのポール・マリオ・デイというNWOBHMマニアにとっては、中々興味深いラインナップが揃うバンド。
英国情緒溢れる叙情派メタルサウンド、正に1983年という時代性を反映、浮かれポンチにならない硬派な質感と、ダークな英国テイスト、そしてメロディを蔑ろにしないアレンジと英国ハードサウンドが好みの方にはたまらんものがあるでしょう。
NWOBHMというよりはブリティッシュロックマニアにとって外せない一枚でしょうね。歌心のあるポールの歌声もバッチリとハマります。彼の声質ではメイデンは少々ヘヴィ過ぎたでしょうね。
頭3曲からタイプの違い曲を並べ守備範囲の広さをアピール、ベルギーが誇るB級メタルの名門MAUSOLEUMレーベル輩出としては、A級のクオリティでしょう。
荒々しいレコーディング環境が生み出したワイルド叙情派メタル。その突貫工事ぶりが妙な生々しさを生んでいるのがポイントですね。

若い頃に聴いた時はイマイチ、のめり込めませんでしたが、オジサンになると効いてきますね。体に染み入る英国ハードサウンド。バランスの悪い音質や荒削りなパフォーマンス、そういうのを全てひっくるめて、初期型NWOBHMの多様性を確認ください。癖がないので初心者にも勧めやすいです。


SELVAGERIA - Selvageria ★★ (2022-09-12 13:22:10)

南米はブラジル産のドグサレ、スピード/スラッシュメタルバンドの記念すべき1st。その殺伐とした空気とスピーディーな演奏は、どこか危なかっしく、ハラハラとさせられるのだが、そのドキドキ感がいい意味でスリルを生み出し初期型スラッシュやスピードメタルを真っ向勝負でやっている。良く聞き取れない歌声、そしてサビでのハイトーンとワンパターンで芸が無いなぁなんて思うし、聴かせ方がイマイチ粗挽きだったりもするのだが、そういう不満をねじ込めるだけの魅力が、このヴァイオレントな作風に現れている。
直情的に刻まれるリズム、冷徹なるリフワークとリズムプレイはスピーディーに刻まれることで一定の緊張感と生み出し、聴き手の感性に切れ込んでるでしょう。ただ、脇見をしていると、いつ曲が終わり、次の曲が始まったのか見失うというメリハリのなさは最大の欠点でしょうね。それこそが魅力だという猛者もいるのでしょうが、ワタクシは広く浅く聴いているものですからお許しください。ハマれば強い、そういうスタイルです。


ANIMETAL LADY - ANIMETAL LADY MARATHON II ★★ (2022-09-12 13:02:16)

まず前作の反省を生かしたのかランニングタイムを短くしてきた、42.195への拘りを捨てたのは正解だが、タイムボカンからMIEちゃんはやり過ぎだろうです。少々キャラが強くなっているが、ここでも前作の反省を生かしているのだが、個人的にはやり過ぎで付いていけない場面が増えてしまった。なんだか策士策におぼれる感が出ている。
そういう面は気になると全然のめり込めないのだが、この企画はやはり楽しむのが一番でしかない。オマージュの導入部分に興奮するマニアも多いだろうし、ネタ元探しも一つの楽しみだ。
なんとなく避けていたアニメタルレディ、最近までほぼ聴いたことがなかったが、避けていた自分のセンスは正しいと思えたりしたのだが、こういうところからメタルを知り、偏見が薄まるのならば、ドンドンやって欲しい。
個人的にはバックの演奏がテンション低めな気がするのがチョイと気になりますね。


SAXON - Carpe Diem ★★★ (2022-09-12 12:43:24)

かつて日本では一部の批評家の影響もありアメリカンナイズドの権化のような扱いを受けたバンドとして知られています。その影響は絶大なモノであり、縦ノリの曲をヨコノリでやっているなどの、リッチーブラックモアが親指だけでギターを弾いたばりに嘘が流布されるのだからたまりません。その批評家の意見に全乗っかりするピュアな人たちのおかげで日本ではイマイチ人気を獲得できないバンド。
今の若い人には信じられない話でしょうが、マジなのです。ガチなのです。

そんな不人気を日本だけで背負わされたサクソンですが、コンスタントにアルバムをリリース、一度も歩みを止めずに邁進しているます。
その確固たる信念は、現代的なマッシブさも取り込み、近年のアルバムはヘヴィロックに接近、その為にサクソンの淡泊さや武骨な面が強まり、アメリカンナイズドと叩かれた80年代中期よりも深刻な問題を抱えていたのですが、病床に付するビフ、その影響もあったでしょう、また、前作のカヴァーアルバム、そしてサクソンの1stの次は、本来こうだったんじゃないのなソロアルバム、そして息子との共演等々、エポックメイキングな出来事が続き辿り着いたのが今作と言えるでしょうね。

多くのファンにそっぽを向かれた、あの80年代中期を想起させる音楽性に着手した今作。ハッキリ言えば、サクソンがNWOBHMスタイルを取っていたのは80年から81年までにリリースされた3枚のアルバムのみ、1983年のアルバム『Power and the Glory』からは、英国からアメリカへ活動拠点を移すためにワールドワイドな作風へと着手しています、常に時代の流れの中で、音楽性をキメてきたのですが、今作はそういう意味では、少々遅かった原点回帰とも言えます。
個人的につまらないアルバムをリリースした時期の80年代中期、しかしアメリカンナイズドなんて十把一絡げのメディア論に乗ることなど出来ず、単に不器用な彼らには似合わないだけでした。
もしアメリカンナイズドがダメなら総じて同様の意見で切り捨てなければイケません。WHITESNAKEのサーペンスは、完全にアメリカンナイズドです、ムッキムキのヘヴィロックに変貌、情緒もクソもあったモノではない別のバンドになりました、メディアも絶賛、誰もアメリカンナイズドなんていいません。EUROPEも同様ですね、ロマンティシズム溢れる2枚目から、3枚目のアルバムは洗練されたメジャー感は正にアメリカンナイズドの極地ですが売れたので、誰も文句をいいません。むしろ代表的なアルバムです。ワタクシにとってはアメリカンナイズド以外の何者でもありません、アメリカンナイズド=ダメなら、全てがダメです。80年代中期のメジャーアルバム全滅です。JPも『TURBO』だもんね。オジーもジェイクとモダンなのやっていたなぁ。

なぜサクソンだけが叩かれたのか、それは批評家の発言に尽きます。聖飢魔Ⅱの0点と同じですね、信心深い統一教会にも負けないメディア論者の盲信ぶりで失速したサクソンでしたが、今作はそんな裏切り者達へ痛快なほど、80年代中期の総括を意味するような作風を叩きつけてきましたね。

近年のアルバムになかったキャッチーさ、本文を取り戻した快活なメロディとノリ、その堅牢なる精神性を取り戻した今作に嘘偽りはなく、NWOBHM時代の初期を想起させるスタイルにも着手しています。
直情的なリズムと爽快感溢れる歌メロ、そういう小細工無用な作風、そしていい意味でのキャッチネスを取り戻し、その中で威厳溢れるコクのある重厚なナンバーを放り込み、往年の姿を取り戻しました。

多くのファンが待ち望んだ古典ロックへの邂逅、古いアイデアだが鮮度がある、それは過去を模倣するだけではない現役バンドの強み、ある意味、強固な岩盤層に支えられる彼らだかこそ選べるスタイルでもある。

ちなみにメディアでは今作の評価はどうなっているのか知り合いに聴いたら、写真付きで送ってくれた。GOD伊藤のレビューって、全然レビューになっていませんでしたね。あれじゃ、信者も苦しかろうよ。点数85が浮いていましたよ。かつては失敗したみたいな言い訳をしていましたが、昔の事なんて誰も気にしていないし、意見は意見、参考程度が普通の認識、むしろ、あの人がああ言っているから、そうなんだど聞き分ける耳も感性もない方が問題なのに、不思議な言い訳レビューを見て笑いました。
当時の批評なんだから言い訳なんていらないのにね。

そんな迷走するメディア論が象徴するようなバンド。いわれのない悪評が吹くのですが、日本でも一部だけですので、多くのメタルマニアからは尊敬されているのは間違いありません。
今作はそういうマニアにとっては会心の一撃でしょう。カヴァーアルバムは呼び水になったろうねぇ。

こういう作風が2、3枚と続けば良いのだが、それも難しいでしょうね。残された時間は僅か、そういう中で実に清々しい古典メタルをやり遂げました。そしてメディア論に乗ってきた人たちには皮肉なアルバムでしょうね、なんたってアメリカンナイズドと叩かれた作風をど真ん中でやるなんて想像していないでしょう。日本でしか通用しない話ですが、ワタクシは性格が悪いので、ざまぁみやがれと大喜びです。

だってそうでしょう、アメリカで売れようとして失敗しただけだもの。それを再構築したのが今作。手のひら返す奴が多すぎる。


ANIMETAL LADY - アニメタル・レディー・マラソン ★★ (2022-09-11 19:17:27)

予想外の売り上げを記録した企画モノアルバム。ヘヴィメタルが冬の時代に、アニメタルはある意味、渇望するファンの期待に応えた面があったと思う。特に再結成アンセムで重要なパーソンを務めた坂本英三も、アニメタルがなければ、即戦力として期待に応えられたか微妙だったでしょうね。ひょっとしたら森川が断った時点で、再結成は無かったかもなんても思ったりするんで。この企画モノは、個人的には愛すべき作品です。
作品毎に参加メンバーも豪華になり、樋口宗孝が参加するんだから驚きです。そういう人気にあやかるベテランの姿に一抹の寂しさを感じましたが、そういう人気のピークに登場したのがアニメタルレディでしょうね。
実写版ドロンジョやるなら、杉本彩がMIEちゃんしかいないでしょうと、思っていたワタクシにはヴィジュアル的に適任だったMIEちゃん。畑違いとは言え、ロックと真正面からぶつかり渾身のパフォーマンスを披露しています。ロックとポップスでは発声法も違いますからね、年齢的にも初挑戦だったでしょう、そういう苦心の跡も見え隠れする今作、ある意味、企画段階でネタ感も強めでしょうが、彼女のそういう足りない部分を補うように、バックが本家よりもオマージュを盛り込み盛大に楽しませてくれます。
そういう取り組み方もあったのか!と膝を叩いて歓喜するような場面も多く、これはこれで大ありだ。

しかし、今作最大の問題点は、MIEちゃんの歌唱スタイルにある。時には子供のような歌声を披露したり、唄のお姉さんぽかったりと、芝居が強すぎる。噛み合っている時といないときでは差が大きすぎる、そういう限界と可能性を感じる瞬間が同時に訪れるのだが、もう少し曲数を絞り30分くらいのランニングタイムだったら、企画倒れとならずに成立させられたと思う。
MIEちゃんを責めるのは簡単だが、ロックを歌ってこなかった彼女がガチンコのメタルをやらされたという点を割り引いて評価するならば、大健闘の大活躍である。キャラをやり切った彼女の貢献度を評価したいですね。
プロデューサーが遊びすぎた気がしますね。前半のテンションを維持できなかったのは何故だろう?


ANIMETAL LADY - アニメタル・レディー・マラソン - エースをねらえ! ★★★ (2022-09-11 19:01:29)

まさかゲイリー・ムーアを絡めるとわ笑
アタックNo.1への流れも素敵です
宗方 仁だなぁ


STRYPER - Even the Devil Believes ★★★ (2022-09-10 18:54:41)

再結成後はコンスタントにアルバムをリリースするベテランバンド。アルバムの中にバラードを3曲は盛り込み、ヒットチャートに送り出すという手法をいち早く取り込みシーンの中で成功を収めたメタルバブル期、その流れの中で彼らも音楽的な変遷を迫られたのだが、こうして時代が経ち、このバンドの音楽性にもはや揺るぎはない。もっと言えば、古典を好む岩盤層がシーンには存在しており、その忠誠心の高さというのか、経済的にも安定した年齢層を持つバンドは、無理に時代にすり寄る必要がなくなったというのが大きい。

ファットな音像とヘヴィグルーブもそこそこに、メロディをないがしろにしないアレンジ、そのバンドの真骨頂とも言えるメロディを大切にしたスタンスにブレはなく、単なる懐古主義では終わらないフレッシュな感性を持ち込むことで自分たちが築き上げた金看板を守り抜いている。少しでもモダンさがあるのはダメだという頑固一徹なマニアには勧められないが、切れ味鋭いツインギター、衰え知らずの美声、手に取るように分かりやすいクッキリとしたメロディラインを主張するバンドサウンドに揺らぎはありません。
盤石なる現代的ストライパーサウンドの凄み、オジサンが無理している感じが出ていないのが凄い。テクノロジー恩恵に頼り切らないのも素晴らしい。現役感の強いアルバムでしたね。


NAUTILUSS - Octopus Paradise ★★★ (2022-09-10 18:34:10)

反則技のデモテープを紹介。今作は1989年に関東メロディックメタルの総本山Mandrake Rootからリリースされた一本。当時、友人からギターの加瀬竜哉さんは2代目アンサーのギタリストだったと教えて貰った、福田洋也の後任だったの?なんて真偽の分からない情報に一喜一憂する青春時代、参加メンバーで一番有名だったのはベースの下田明典さん、横関のBRONXに参加していましたね。
日本人による日本人好みの哀愁の様式美スタイル、メロディを大切にしつつも定番成り下がらぬよう、創意工夫をこらしつつも脱線しない生真面目さが、マニアのツボを押しまくる。
オープニングから炸裂するネオクラ風味も、誰かの真似事で終わらない個性を発揮しており、キーボード入の5人編成という図式も大正解のドラマティックな展開を用意。正式な音源が出ていれば世間の評価も違ったろうになぁとは思わずにはいられません。

マルチプレイヤーとして、そして裏方として活躍した加瀬さん、帰らぬ人となり、もう何年たったのでしょうか?才能溢れる惜しい人物を無くしたなぁと思いますね。
更に在り来たりからの脱却を目指したDANTEにもいました。何といっても坂本英三、村上宏之、MASAKIと作り上げたソロアルバムはジャパニーズメタルに名を残す名盤中の名盤だと思っている。
全てがインディーズ止まりのために、お仕事の方が有名なのかも知れないが、彼のミュージシャン人生にもスポットを当てて欲しい。
レーベルもなくなった、加瀬もいない、しかし他のメンバーは健在であろう。
デモテープとは言え、このクオリティが埋もれるのは惜しい。加勢のフラッシーなギター、音質は良くないが底上げするリズム隊、なによりキーボードの使い方が上手いのでドラマが広がります。
インストと込みのラストに収録される⑤⑥のトータル10分以上になる構成を飽きさせることなく聴かせる手腕は見事。ダークなテイスト、そのオカルティックな演出は暗黒様式美スタイルとして聴き手を魅了するでしょう。インストナンバーの泣かせは絶品です。
曲だけならばメロデス勢にも通ずる泣かせと禍々しいイーブルさを撒き散らしており、その一筋縄ではいかないアレンジセンスに唸ります。

シンガーの西野幸一郎さん現在はBELLFASTで活躍、キーボードの小林拓生さんはSeventh Sonのアルバムに参加していましたね。ドラムの正田泰さんはGuardian's Nail、Solitude、Seventh Sonと関東メタルシーンを語る上では外せないミュージシャンでしょう。

このメンバーが揃っていたという事実にマニアならば興奮を覚えるでしょうね、しかも作品のクオリティが高いという奇跡もある。このまま埋もれるのは勿体ない。そう思わずにはいられないデモですね。


FAHRENHEIT - Talking 'Bout Love - Turn Me Loose ★★ (2022-09-08 19:18:07)

Loverboyの曲をカヴァー
アルバムの中では一二を争うハードな曲になります
オリジナルに負けてないですね
無くても成立するのだがアクセントにはなっている
それにしてもマイク・レノに声が似ていますね


FAHRENHEIT - Talking 'Bout Love ★★★ (2022-09-08 19:13:22)

初めて聴いた時は驚きましたね。一般的な認知度は低いのにクオリティはメチャクチャ高い、バンド名から推察できるAOR志向のハードサウンド、その予想を裏切らないフック満載のメロディとハードテイストの絶妙な絡み、とにかく一発で魅了されましたね。
アルバム全体を通して無駄がないアレンジと選曲、そして胸を突く哀愁のメロディ、ハードなモノを愛するモノにとっては軽めのミックスというのは命取りに成りかねない位、評価に直結するのですが、そういうマイナスな要素すら味方につけ、ロックテイストとシャレオツ感の合間をスリルタップリに綱渡りで聴き手を魅了していくのです。
オーストリアという事もあるのか、世界的な流通はどうなっていたのか分かりませんが、1989年にリリースされた今作の質はワールドワイドに通用するクオリティを有しており、2007年に再発するまでメロディ派のごく一部にしか届いていないという結果になったのは、メロディ派のマニアにとっては悲劇以外の何者でもないでしょう。

無国籍という言葉がシックリハマる、その質の高い音楽性と世界観。繊細な歌声と高い声に女性的な魅力すら感じるシンガーの唄い回し、ロックに噛みつく様もノリノリで歌い上げるのですが、その嫌みの無い歌声と、物足りなさを補完する邪魔をしないギター、しっかりと機能していますね。


ENGLISH STEEL - Start 'em Young ★★★ (2022-09-08 19:01:50)

ご存じリー・ハートとその仲間達によるロックプロジェクト。似たようなメンツがあつまり、同じ曲を使い回す事でお馴染みの奴です。もうどの曲が何処で転用され、どっちが先かなどと調べるのが面倒なのでバッサリといきます。
このアルバム、日本でリリースされているモノと海外ヴァージョンが違うというポイントがあります、海外ヴァージョンには、当時は無名だったドゥギー・ホワイトが唄っているんですがね、今となってはそっちの方が付加価値が高いという残念な結果になっていますが、国内盤には国内盤の良さがありますので、マニアならば両方チェックでしょう。
英国風味満点のハードポップサウンド、初見の方ならば大いに楽しめるでしょう。少々小綺麗にまとめ上げた音像だけに、エッジ不足ではありますが、総じて及第点を超えた楽曲が揃っていますので、一撃必殺はなくともアルバム単位で楽しめます。
当時は、まだまだ鮮度のあった元メイデンの威光も通用したポール・ディアノ、デニス・ストラットン、リー・ハート、そして紅一点で、この企画では貴重な女性ジャッキー・ボディミードがリードヴォーカルで参戦、個人的にはジャッキーのおかげで、聴いたことある乱発のアルバムでも、フレッシュな空気が漂い大いに楽しめました。
キーボードのジム・ディヴィス、ほとんどの場面でリードギターとして活躍するデイブ・センチャック、SAXONのナイジェル・グロックラー、ニブス・カーターの合間にニール・マーレイとゲイリー・ファーガソンも参戦、スティーブ・クラークの名前もあるし、ポール・サムソンもいる、そういうNWOBHM残党組という言葉が最もシックリくるメンツ、いや、それしか当てはまらない、ドサ回り公演組の中で、一際スター性を放っていたのがジャッキー・ボディーミードでしたね。

快活でキャッチーなポップロックは、甘酸っぱい哀愁がまぶされており、その弾けっぷりが耳を刺激します。前後左右で流用されるアイデアと楽曲、初見で聴ける人が羨ましい一品だが、個人的に残暑厳しい今時期にはメチャクチャ聴きたくなる一枚です。
煮え切らない作風、総じて70点、そういう作風がワタクシが大好きなのです。カラッと晴れない、どこかジンワリと湿るメロディが好きなんですね。でもキャッチーでポップなんですよ。そしてチョイ切ないんですよね。


URGENT - Timing ★★★ (2022-09-06 15:19:35)

こちらはカナダのエージェントになります。アルバム一枚で消えたため、イマイチ認知度は低いのですが、唄モノハードマニアには是非とも聴いて欲しい一枚。カナダらしい妙な売れ線志向になど走らない堅実な作り。キーボードもそこそこに活用しながらサビではコーラスハーモニーも活用、そのメロディを聴かせたいという作風と作り込みも功を奏しており、無理無駄のないツボを押さえたアレンジが光ります。嫌みの無いクリアーな歌声、ベース兼ヴォーカルを担当するダグ・ベイナムのパフォーマンスにも魅了、エモーションを込めつつも暑苦しく聴かせない唄い回しは正解だが、軟弱に感じるマニアもいるでしょうね。ギターも的確なスタイルで邪魔をせずに堅実なるハードサウンドに対応、適度にエッジの効いた艶やかなサウンドメイクに一役も二役も買っています。洗練されているがロックな熱量を放出することも忘れていないバンドサウンド、TOTO、JOURNEY、Foreignerをもっと男臭くしたカッコ良さがある。

今作リリース後、程なくしてバンドは解散。1985年にHanover Fistがリリースするアルバム『Hungry Eyes』に大半のメンバーが参加するという事件が起きますので、そのあたりに解散劇の真相があるのでしょうね。
これほどの作品を作りながら一発で解散したのは本当に惜しい。上手い歌と洗練されているが男臭さのあるロックテイストを残したアレンジは、耳が持っていかれますね。ステージにて光る汗が似合う曲が多いのよね。


JON BUTCHER - Pictures From the Front ★★★ (2022-09-06 14:55:44)

黒人がギターを下げたジャケを見て、勝手にマカパインみたいなギタリストなのかとキメつけたのが今作の出会い。ギターもヴォーカルも曲作りも担当するのは主役であるジョン・ブッチャーさん。見た目で人を判断するのは良くないと思うのですが、今作はその最たる例でしたね。89年という時代背景もそこそこに、適度にハードな唄モノロックを披露。その嫌みの無い作りにブラックフィーリングなど幾度感じることはなく、あのジャケは完全に損しているぞという微妙な感覚を味わう。
チョイブルージーな匂いもするが、洗練されたAOR志向と言える作風、ラジオ向けと言えるのだが、浮ついていないので弾けすぎるメインストリームハードポップなんかよりも好感が持てます。特にオジサンになったワタクシには、このしっとりと迫るチョイ渋ハードサウンドにグッと引き寄せられますね。ある意味、個性のないスタイル、唄もギターも上手いが灰汁がないという、黒人系アーティストに驚かされるのだが、それも全てがワタクシの勝手なイメージ。そういう人種的な発送を切り捨てて耳を傾ければ、何の問題も起きない。

オシャレで普遍的音楽性、その口当たりの良さとキャリアに裏打ちされた作り込み、一発大技のいらないジャンルだからこそ成立させられるのだろうが、ハードなサウンドの合間に疲弊した耳を休めるのにはピッタリであろう。

上手い歌と無駄のないアレンジ。それで良いのです。


SHOUT - It Won't Be Long ★★★ (2022-09-05 13:15:41)

バンドのブレインたるケン・テンプリン、彼はかつてJoshua Perahiaと活動を共にしIntense Defenseのデモを収録、結局ネームバリューもあったのかロブ・ロックに変更したものがリリースされるのだが、ロブにも負けない力強い歌声を今アルバムで堪能できます。

爽快感と勢いに満ちたグラム系クリスチャンメタル。1988年という時代を射貫いた煌びやかなグラマラスロックは嫌みの無い爽やかな弾けっぷりで聴き手を魅了。軽やかさだけではない芯のあるハードテイストも陽気な風を送り込みながら、チョイ切ないメロディで装飾したスタイルに、メロディ派ならば素直に楽しめるでしょうね。
もう少し情緒のある方が日本人好みなのかも知れないが、このポジティブな空気感を纏った陽性メロディアスロックに心も洗われるでしょう。でも80年代テイスト満載のサウンドメイクなので、少々古さは否めませんが若い人には、そこが逆に新鮮に映るかもしれません。

それにしても恥ずかしくなるくらいど真ん中である。少々やり過ぎなくらい優等生である。ルールに則ったバブルメロディックメタル、そのやり切りぶりは天晴れである。こんな爽やかな音楽をライブで聴かされたあと、聖書渡されたらジーザスって言いたくなるよね。


SARACEN - Red Sky ★★★ (2022-09-05 12:47:20)

70年代の中期から活動していた彼らは、NWOBHMの流れの中で1981年にバンド名をLAMMERGIERからSARACENと変更してデビューを果たしました。そのデビュー作の質は高く叙情的な泣きと拘りの展開、キーボードプレイヤーを大胆に活用しつつもNWOBHMらしい攻撃性と英国様式美、さらにプログレテイストも加味させたスタイルは、あの時期では異色のスタイルと写り注目の的となります。NWOBHMマニアからは期待の新人と目される分けですが、NWOBHM四天王なるメディアとレコード会社がマッチポンプで金儲けでもしようとしたのかという、誤った認識がメディア偏重者の間ではあるので、この手のバンドに辿り着かない方もいるでしょうが、メタルの世界にアンテナを張っているマニアならば、その高い音楽性に目をつけた者は当時から沢山いました。

しかしメンバーチェンジや音楽性の変換などもあり、やっぱりなぁと言うNWOBHMあるあるでバンドは解散の憂き目にあうのだが、よもや復活を果たすとは驚きです。

個人的には幻のLAMMERGIER時代のマテリアルや、1stはおろか、2ndからのリメイクがあった事に驚かされます。今作リリース時、既に他界していたベースの‎バリー・イェーツ‎。今作にはそのテイクと彼に捧げたという意味合いが込められているというのもポイントなんだろう。そういう意味での1stリメイク&過去のマテリアルなのかな?と深読みしつつ、この芳醇な英国産クラシックハードサウンドに浸ります。
今では今作と1st&ギターの‎‎ロブ・ベンドロー‎が自主制作でリリースした音源をプラスした2枚組がリリースされていますので、そちらを聴いて頂くと2度美味しい思いが出来るでしょう。オリジナルとリメイクの比較が出来るのも嬉しいですよね。

壮大なスケールを抱く叙情派サウンド、ガツーンと走るのが好きな方にはチョイと物足りなさもあるだろう、若干の間延びを感じるかも知れないが、一曲の完成度の高さ、何より創意工夫を凝らした音楽性は一聴の価値ありです。


X-SINNER - Peace Treaty ★★★ (2022-09-04 20:15:20)

カルフォルニア産のクリスチャンメタルバンドの2枚目。しわがれ声のシンガーの影響もありAC/DC風に聞こえる場面も多いが、こちらはもう少しネチっこい根暗さがあり、ドライでノリノリと言うわけではない。またチョイメロディアスなパートもあったりと、デフレパードとAC/DCが正面衝突、その残骸をL.A風味にまとめ上げたようなごった煮感がある。
そういう意味ではメインストリーム寄りスタイルだが、神をも恐れぬ背徳的なロックフィーリングというのかモトリー・クルー的な悪っぽさもチョイと感じたりと、中々どうして工夫を凝らし個性を研磨しています。このシリアスさや堅実さからはスローターあたりも思い出すのですが、80年代のメジャースタイルが好みの肩ならば大いに楽しめるでしょう。
しかし、前述したようなバンドからの影響が出ていますので、苦手は人はスルーでしょうね。バランス感覚の妙味。スリリングとまではいかないが、クリスチャンロックの可能性を広げる曲作りの上手さに興味もありますね。
プロデューサーとしてディノ&ジョンのエレファント兄弟がクレジットされているのもマニアにはポイント高しでしょう。


DOUG ALDRICH - HighCentered ★★★ (2022-09-04 20:01:09)

日本では人気のあるギタリストのダグ・アルドリッチ。苦労人のイメージが強いのだがホワイトスネイクのギャラが良かったのか、今では安定した生活を手に入れたようだ。おかげで本腰を入れてバンド活動が出来ているようなので関係者でもないのですが、良かったなぁとしシミジミ思いますね。
今作のビックインジャパンの影響を受けて日本国内でリリース。海外でのリリースも数年後にあったようだが、詳細はよく分からない。
ドライヴィングなロックナンバーからジャジーな雰囲気やブルース臭を発散したりと、当時の背景も意識しつつ、ダグの情感溢れるギタープレイを堪能。自らの唄入れもあるが、ジョニー・ジョエリが一曲参加したりと華を添えている。
単なるスケールを追うだけではない華麗なるギタープレイ、そのリズム感の良さから生み出されるグルーブ、そして流麗なギターはテクニックに富んでおり、先人達からの影響もそこそこに独特のタイム感で魅了。個性的か否かは別だが、ベタさも相まってフレーズ作りの上手さも光っていますね。
とは言えダグと言えばこれと、断言できるほどの強烈な個性は微妙だが、ファンであれば満足できるだけの作風になっている。時代的な流れもあり少々窮屈に感じる面はあれど、面白い事をやっていますよ。


ZODIAC - First - Magic Mountainway ★★★ (2022-09-01 20:10:30)

紫の曲としての認知度も高く
またオリジナルでもある一曲
しかし唄うのは宮永だから成立していますね
日本のDPと言われた紫
この曲を聴けば後ろでオルガンの音色が鳴りますよね
トリオだから出せる一体感と飾り気のないパワー
名曲のヴァージョン違いがあるのも嬉しいですね


ZODIAC - First ★★★ (2022-09-01 20:04:02)

こちらは沖縄のゾディアックです。同じようなバンド名が国内外にあるので混同しますが、元紫のドラマーとして知られる沖縄ロック界の顔、宮永英一がリーダーを務めるトリオバンド。結成時は5人編成だったようですが、すったもんだの挙げ句バンドは空中分解。紆余曲折を経て新たに照喜名薫と保良勇次の二人が加わりリスタート。そして晴れて正式な音源を自主制作ではありますが残してくれました。

宮永のいかにも頑丈な躯体から放たれるドラムと、エモーショナルかつパワフルな歌声を駆使したハードサウンドは、再結成紫の曲としても知られているオープニングの『Magic Mountainway』から炸裂、キーボードはいないが、それでも十分なほど、そのインパクトの強さを残し、良く唄い躍動するエモーショナなギターとの味わい深い絡みを魅せ、英米のロックバンドに負けない独自性をアピール。
紫でもサンディエゴでもないゾディアックスタイルを構築しているのが最大のポイント。
肉を喰らい腕っぷしの強さだけで打ち鳴らされるだけじゃないパワーヒッティングドラムの力感と、日本人離れしたグルーブ。そのドラムを渡り合うベースの堅実な脇役っぷりに目を細め賛辞を送りますね。
テルキナ・カオルのギターワークもオーソドックスだが、随所に印象的なプレイを盛り込みトリオバンドの可能性を広げていますね。

古典ロックの旨味を90年の頭にここまで思いっきり出せるバンドなどそうはありません。古さに埋没しない揺るぎなきロックスピリット。ガンズブームなど微塵も感じさせない叙情性とハードサウンドの絡み、パワープレイだけじゃない、バラードで魅せる守備範囲の広さ、ロックの教科書と言われるようなバンド達と比肩しても遜色のない定番の魅力、アメリカに支配されていた歴史があるからこその無国籍具合に少々ニガイ思いもあるのだろうが、こういう骨太なロックが埋もれるのは惜しい。残念すぎる。
George Murasaki and Marinerが奇跡の再発があった今、自主制作盤も復活劇が見たいですね。クラウドファンディングでいいんじゃいですかね。


KILLER DWARFS - Stand Tall ★★★ (2022-09-01 19:08:11)

メンバー全員がドワーフと名乗る事で一部のピュアなロックファンから全員兄弟という誤った認識もされたカナダのロックバンド。メンバーチェンジもあるので、大家族が全員ミュージシャン志望というレアはなく、大衆演劇一家じゃあるまいしとクスッと笑いますが、本当に全員兄弟と思っていた人がいたんですよね。

このバンドの音楽を時系列で聴いた時は驚きましたね。1983年にリリースした1stから3年、時代の流れを読み取り見事に86年仕様に変貌を遂げたバンド。その音楽性はオープニングから炸裂、芯にあるロックテイストもそこそこに、売れそうな空気を纏ったラジオオンエアー対策もバッチリとり、現状を好転するよう仕掛けてきました。
いい意味でのメジャー感、だが隠せないハードテイスト、その絶妙なさじ加減をコントロールと耳馴染みのよい楽曲を並べています。曲間の短さなんかも、聴き手の興味が離れないような工夫もあり、アルバム単位で聴かせてくれる。またメロディ成分の強弱を上手くつける事でアルバムの流れに変化をつけているのもポイント。日本人好みの哀メロナンバーなんかが合間に顔を出してくる事により、試聴感も上がるでしょう。
ある時期から、アメリカでもヴィジュアル全盛というのか、腕よりも華やかさを重視される時代が来ました。下手くそでもステージに立てた時代がある。そういうバブル弾ける時代のバンドとは明らかに一線を画す、下地のしっかりとした実力。その自肩の強さが安定感に繋がり安心して聴いてられます。カナダ産だけに丸ごと陽性ではないのも日本人にウケそうですね。

あまり好意的な評価を貰えなかったバンド。また国内盤のリリースも無かったような記憶があるのでイマイチ知名度を上げられていませんが、甘すぎないメロディアスメジャーサウンドの旨味、その味付けの巧みぶりに唸ります。


GARGOYLE - 禊 ★★ (2022-08-29 01:24:05)

和洋折衷スタイルを研磨するジャパニーズメタルの探求者と言っても大げさではないKIBA率いるバンドのデビューアルバム。その勢いというのかアイデアはオープニングから炸裂、個性の強い歌詞と複雑な曲展開を武器に独自の路線を突き進んでいます。
ソロでは俄然色めき立つSHE-JAの泣きのギター、ヴィジュアル系ブームの勢いもあり、このバンドは歌謡路線に進む戦友達を尻目に和風メタルへと倒錯していった。
勿論、アイデアの踏襲はある。それは誰もがやっていることであり、オマージュを否定しては耳が育たない。研ぎ澄まされた先鋭性、まだまだ未消化な部分もある、唄も次のアルバムほど尖っていない、そういう荒削りさも味方につけ多種多様な音楽性と要約してガーゴイルサウンドへと築き上げている点は大きく評価すべきであろう。
雑誌の批評でも話題になった、③曲目の”ぎ”の連発すらも自分たちのスタイルとして違和感なく取り込んでいるのだから問題は起きない。惜しむらくは、この手のスタイルには合わないミックスに尽きるだろう。そういう意味で制度を上げた次作には叶わないが、ごった煮感の強い今作もインパクトという点では負けていないだろう。


YNGWIE MALMSTEEN - Trial by Fire: Live in Leningrad ★★★ (2022-08-28 14:58:07)

いきなりOPのRISING FORCEをカットするという謎の選曲となったロシアでのライブコンサートを収録した一枚。当時はジミヘンの曲をインギーがやるのかと驚きと話題性を集めました。事故後の後遺症と戦うインギー、そんな不安な要素を微塵も感じさせないギタープレイ、過去との比較など無駄だと思わせた存在感にただただひれ伏します。
ジョーがいた効果も大きいのか、このライブではインギーのライブとしては比較的バランスの取れた演奏になっており、何でもかんでも俺様ではない。逆を言えば、俺様がインギーだろうと思う中毒者には少々物足りなさを誘発するだろうが、少々わざとらしい歓声を抜けば、実に生々しいライブ盤として楽しめますね。
リバーブの掛かった音像も会場にいるような錯覚を覚えるし、何よりジョーの荒さがライブっぽく感じる。
収録時間の関係でカットしたCRYSTAL BALLやRIOT IN THE DUNGEONSや今となっては貴重なFURYなど収録した完全版の発売を期待したくなりますね。
ジョー、インギーの二人にスポットが集まりすぎのライブ、個人的にはもっとヨハンソン兄弟にも美味しい場面を用意して欲しかった。淡々と刻むベースも職人肌で、ジッと支えているのも印象的ですね。
スターばかりではバランスが悪くなる。バンドというのは難しい生き物だよ。


GARGOYLE - 檄 ★★ (2022-08-27 18:58:38)

個人的にはKIBAさんの癖が強いヴィヴラードが苦手でイマイチ、ハマらなかったバンドなのだがギターのSHE-JAの泣きのフレージングも上々に、ジャパネスクなヘヴィサウンドを展開。唯一無二の音楽性に磨きを掛け独自性を強めている。ドカドカと刻まれるスラッシーなサウンドも顔を出したり、キャッチーさを強めたり、パンキッシュに弾けたりと多様性を持ち込みつつも、日本的ワビサビの聴かせたサウンドは、泣かせのメロディに倒錯するギターもあったりと、実に複雑怪奇な魅力を併せ持っている。
どこかジャパニーズパンクみたいなノリもあるのだが、多様な楽曲の中で柔軟な姿勢を見せるリズムプレイの面白味、そういう無限の可能性を、良くも悪くも我が強い唄でまとめ上げたのがガーゴイルなんだろう。
とにかく一筋縄ではいかない音楽性、唄さえ気にならなければ、独創的なジャパニーズメタルの頂点に君臨するようなバンドとして崇めまつり立てるでしょうね。
どの曲にもドラマ仕立ての演出があり、攻撃性と渡り合う泣かせのメロディ、そのさじ加減が変ることで独特の風合いを醸し出している。ありそうでないスタイル。フラットバッカーや人間椅子と同じく日本のメタルをやっているのがポイント。
それにしてもSHE-JAの泣きは色あせませんね。


ALDO NOVA - Subject ★★★ (2022-08-23 13:28:43)

昨日SHOGUNの幻の3rdを聴いていたら真っ先に頭の中に浮かんだのが今作でした。ある意味、現在はソングライターとしての方が名が通っているようにも感じますが、最近もアルバムもリリースしているので現役感は損なわれていないかと思います。
イマイチ、自分の曲もモノにしていないと影口を叩かれる雰囲気重視の歌い手というかマルチプレイヤーなのだが、このアルバムを聴けば、あれ?これどこかで聴いたことがあるぞというデジャブに遭遇する場面も多々あるでしょう。タイムスリッパーな感覚になるのは、彼が自分のアイデアを惜しげも無く、他のアーティストに提供しただけに過ぎません。こちらが本家なんですよと言いたいです。合間にSEを挟んだ事で、あれ?曲が始まんねぇなぁ?と錯覚する場面もチラホラありますが、曲の良さは折り紙付き。
個人的にも仲間内でも、アルド・ノヴァと言えばこっちだろうというファンも多いというのがポイント。やはり日本人好みの哀愁が散りばめられている今作には普遍的魅力が備わっています。
シャレもんの唄モノロックをイケるぞというメロディ派のマニアには勧めたいですねぇ。


SHOGUN - Ⅲ - the Lost Album ★★★ (2022-08-22 16:35:32)

2019年に突如リリースされた幻の3rd。1988年にレコーディングされるもお蔵入りした幻の一品が復活しました。どのような形の音楽性に変遷したのかと興味も尽きませんが、③を聴いた時はズッコケましたね。完全のBON JOVIのRUNAWAYですからね。その初期BON JOVIやSURGIN'、Aldo Nova風味を全開に、英国テイストも織り込み情緒のあるメロディアスサウンドへと昇華、少々キーボードみたいな線の細いギターサウンドに懐かしい空気を感じるのか煩わしいと感じるかで評価も大きく分かれるでしょう。リズムセクションの軽めだしキーボードも重ねすぎである。硬派な味わいは少ないが、デビュー作から通じるキャッチーなメロディは磨きが掛かり、完全に振り切ることで迷いの無いスタイルに変換、いい意味で弾けるポップセンスもアクセントなり、1stと2ndの美味しいところをパッケージしていますね。
80年代スタイルを愛するメロディ派にとっては、外せない一枚でしょう。


HEAD OVER HEELS - Head Over Heels ★★★ (2022-08-21 16:35:46)

デビューフルアルバムにて唯一のアルバム。アメリカはミシガン州から登場したトリオバンド。このアルバムは日本でもリリースされグランド・ファンクの次はこいつらだ見たいなアナウンスをされたりと、注目度の低いバンドではなかったと言われています。
いかにも中西部な黒っぽいブルース臭、デトロイトロックなどと形容されるゴリッとした堅さと、ムンムンと漂う男性ホルモン強めの汗臭さ、その洗練されないロックサウンドは3人とは思えないほどパワフルかつ厚みのある演奏で魅了、バンドを牽引するポール・フランクを筆頭にかなりの実力者が揃っています。70年代らしいインプロテイストは濃淡をハッキリさせることで音楽性に深みをもたらし、勢いだけでは誤魔化せない小技も使いバンドとしての魅力を、より値のあるものに変換、パワフルなドラミングの合間を縫うようなベースの音色は唄うように存在感を発揮、そこに味わい深いブルージーな歌声も誇りっぽいロックサウンドとマッチ、典型的なスタイルと言えるかも知れないが、セクシーな色気を滲み出し古典ロックとしての旨味を抽出しています。歌える二人がいるのも強いですよね。

当時のアメリカにはゴロゴロといたスタイルだろうが、デビュー作にこぎ着け実力と、裏打ちされたテクニックとアレンジセンス。豪胆だけではない大衆に訴えかける娯楽性を持ち込んだバンドサウンドに唸りますね。
今作一枚で消えただけに、今となっては完全に忘れ去られたバンドだろうが、70年代型のハードサウンドが好みの方ならば大いに楽しんで貰えるでしょうね。ヘヴィなだけでオシャレなモダンサウンドなど簡単に蹴散らしています、ロックの真髄がここにはありますよ。


GIRLSCHOOL - Hit and Run: Revisited ★★★ (2022-08-21 16:08:21)

このバンドの魅力を端的に表したと言われるのが1981年にリリースした今作のオリジナル。それを30年後にセルフリメイクするとは洒落た事をしますが、ある意味、ヘタウマ感が最大の魅力を言われるバンドによるセルフリメイクに何処まで価値があるのかは評価の分かれるところでしょう。
円熟味を増した演奏、いい意味で年を重ねた熟女によるハードヴォイス、現代的なタフネスを増強されたサウンドは、昔のは少々プロダクションがショボいと感じる若者にはこちらの方が聴きやすいでしょう。
せーので声を合わせ演奏したような破天荒さが好きな人はオリジナル盤に軍配を上げるでしょう。
2007年に癌で亡くなったケリー・ジョンソンに捧げるという意味、その大きな役割は十分に果たしています。初期衝動をくすぐる問答無用な荒くれハードサウンドの旨味、そのやんちゃで過激な暴走ロックが深みを増して聴き手をねじ伏せてきます。


Hank Erix - Nothing But Trouble ★★★ (2022-08-20 19:32:54)

HOUSTONのフロントマンとして確固たる実績と地位を確立したシンガーとして知られるヘンク・エリックが世には成ったソロアルバム。相変わらずの北欧風味満点のAORサウンドで魅了、そのフック満載のメロディを自在に操るソングライティング力と歌の上手さは折り紙付き、日本ではイマイチ高い評価を得ていないが、海外のマニアからはソフトロックの申し子のような扱いを受けているバンドとシンガーだけに、安心して身を任せる事が出来ます。
正直、ソロとバンドでの明確な違いというのは見つけられないと言えばそれまでだが、キラキラと輝く北欧サウンドによる往復ビンタに目を冷めますよ。オープニングからガツーンと掴むのだが、個人的にはヘンク風DOKKEN③と④の曲間を明確に分けずグラデーションをかけて繋げたアイデアに上手いと声を上げましたね。
参加メンバーもメロディアスロックを知り尽くした猛者ばかり、‎DEGREEDダニエル・ヨハンソン‎、マイケル・ヤンソン、マッツ・エリクソン、PALECEのマイケル・パレス、‎スーフィアン・マアウィ‎等が脇を固め、盤石の体制を敷いています。

癖のない上手い歌と、哀愁たっぷりの冷ややかな北欧風メロディ、その甘く切ない煌びやかなサウンドは夜空に輝く満点の星と成り聴き手の眼前に降り注がれるでしょう。‎ちなみに⑥でデュエットの相手を務めるリンネア・ヴィクストローム‎は、あのトーマス・ヴィクスとロームの娘さんです。どうりでワシも年を食ったわ。トーマスの娘だってさ。

良いメロディと巧みなアイデアの再構築、それをパクりが多いと非難するのか職人技と聞き分けるのかで評価が分かれるのが、この手のスタイル。様式美系同様、伝統芸能として受け入れるセンスは必要だが、ワタクシは大好物でありたい。

エアコンの設定温度を下げずとも清々しい風を送ってくれる極上の北欧風AORサウンドに魅了されっぱなしです。


RIVERGE - Rebirth of Skull ★★★ (2022-08-19 19:17:32)

知る人ぞ知る国産スラッシャーが2009年に復活の狼煙を上げた待望のアルバム。今は入手困難な初期の音源+新曲にライブ音源まで追加したのがドイツ盤。そしてワタクシが楽しんでいるのは、そのドイツ盤なのだが、昔、ダビングしたテープで聴いた音源はモッサリとした田舎ハードコアスラッシュみたいなイメージだったが(ダビングを重ねたテープという問題点があるのでお許しを)ここで聴けるのは血なまぐさいダーティーな音色、そして下品さをねじ込んだスピードサウンドは最高にクール、サウンドプロダクションも思ったよりしっかりしており、オールドスクールが狙ってやっているのではなく自然体で打ち鳴らされているのが好印象。正直、小綺麗にまとめ上げたスラッシュや、オシャレなモダン化した奴なんざ聴けねぇよぉと、古典を愛してやまない猛者にはたまらんものがあるでしょう。
BIG4とか、ある時から祭り上げられた存在の彼らを、ワタクシはどこか冷ややかな目で見ています。そういうのは、求めてなかったよである。どんなにファーストブランドを身につけても、高級時計が眩しいお金もちバンドからは出せない、多様性を孕んだ音楽性を集約したバイオレントなスラッシュサウンドは、個人的には古い時代のリメイクが好きだったりするのだが、無理無駄のないリスペクト愛溢れたサウンドは、今の時代でも十分通用するし、逆に新鮮に聞こえるでしょうね。
ハードコラスラッシュと一口に言っても色々あるよなぁ、そういう観点から見てもこのバンドは最高峰に位置すると言っても過言ではないでしょう。ルール無用ではない整合感、その行き届いた聴きやすさも日本のバンドらしい、キメの細やかさが音に溢れており、肉を喰らい轟音を鳴らすだけでないワビサビが、これまた心地が良いですね。
実は最近まで、このバンドの事を忘れていました。スラッシュ系のイベントにも出ているのは知っていたのですが、最近はご無沙汰ですのでもうね、忘れていました。なので、ここ最近はヘビロテですね。
邪悪なる叙情性、絶妙です。単に突っ走るだけじゃないドラマがあるのよ、スピードにかまけて往って来いではない、切り返すの上手さ。その構築されたバイオレントサウンドに唸ります。過激さで誤魔化さないスリルにこれまた唸ります。
なんと言っても海外からの評価を受けている点が日本人としても誇り高いですね。


Ültra Raptör - Tyrants ★★★ (2022-08-19 18:47:37)

スピード狂の間では、早くから目をつけられていたカナダ産スピードメタルバンドの1st。2018年にEPを出しているから待望と言えるのでしょうね。典型的なNWOBHMスタイルを現代に復刻されたヘヴィメタルサウンドはJPからの影響も強く、そのストレートに打ち鳴らされるトラディショナルなスタイルに、カナダってこういうメタル出てくるよねぇと感心させられます。
特段、目を惹くような個性や強力な武器を持っているわけではありません、押せ押せのスピードと言っても過激さ命のブルータル系なんかよりも、ずっと大人しいと感じるでしょう。
彼らが大切にしているのは伝統であり、その様式に沿った流れで自分たちの愛すべきスタイルを研磨しています。それだけに好き者には安心安定のブランド力を誇り、古典落語を楽しむかの如く、先の読める構成にニヤニヤと笑みを浮かべ、良くやり切ったと賛辞を与えるでしょう。
メロディアスかつスピードに特化したガッツ溢れる高速サウンドが生み出す、継承された伝統美。そのリフワークとハイトーン系の歌声を軸に屈強なリズムプレイが後方支援で押し上げるスピードメタルは、型にハマり過ぎるが為に、やや飽きのサイクルを早めるという欠点はあるのだが、テクニカルなギターを織り交ぜる展開の旨味、速さに特化しつつも、聴かせるパートを設け創意工夫を怠らない点は大いに評価したいですね。
メタルのスピードを分かりやすく伝えるとう点でも親しみやすいバンドかと思います。


BELLA BESTIA - Bella Bestia ★★★ (2022-08-16 16:03:35)

参加メンバーの来歴や交流を考えるとスパニッシュメタルを語る上では外すことの出来ないバンドの一つ。黎明期と呼べる70年代の後半から80年代前半にかけて活発になるメタルシーン、このバンドの名前を変えようやく1984年にデビューを果たす。JP風味もあるが、このバンドはメロディを大切にしたナンバーもあったり、派手さには欠けるが堅実な作りとメタルマナーを遵守する音楽性は正統派マニアにとっては大切な領域であり、彼らはそういう意味では侵犯すること無く硬軟交えたアレンジで楽しませてくれる。
次のアルバムでは、よりメインストリーム寄りというのかグラム系に接近、SWEETのカヴァーもあったくらいである。そういう意味もあるのか、ギターの‎マノロ・アリアス‎は、Barón Rojoで活躍する弟の‎エンジェル・アリアス‎、そして今作で唄う‎トニー・クエバス‎らとNiagaraを結成するとい意味では叩き台のようなバンドでもあります。

しかし、あそこまでメロディアスな方向性ではなく③のような血湧き肉躍るNWOBHMスタイルもあるので、より硬派で正統性の強いメタルをやっています。なんか初期のLOUDNESSとかと同じベクトルを放っているんですよね。垢抜けないというのかマニアックというのか、アングラ臭がなんとも言えない熱を帯びたロックサウンドに変換されており、マニア心をくすぐります。

80年代の初期型スタイルが好きな人にはたまらんでしょうね。この分離の悪いミックスと音質も込みで楽しんで欲しい。でもメジャー流通の作品しか聴かない人は止めた方が良いですね。お金かかっていないもの。


UDO DIRKSCHNEIDER - My Way - My Way ★★★ (2022-08-15 16:11:31)

フランク・シナトラのカヴァー
クロージングソングですね
結婚式場で働いていた若い頃を思い出す
完全に余興タイムである
でもそれでいい
それが今アルバムであろう


UDO DIRKSCHNEIDER - My Way ★★★ (2022-08-15 16:09:03)

色んな名義でアルバムをリリースしている印象の強いウド・ダークシュナイダー。どんあ形であれ、あのしゃがれたメタルヴォイスが登場すれば、それはウド印に染め上げ何物にも代えがたい魅力を発散する。そういう曲もカヴァーするのですか?という驚きはあるが、アレンジが素晴らしく、どの曲もウドの名に恥じない仕上がりになっている点は本当に素晴らしい。特段テクニカルなソロがなくとも耳を取られるメタルアレンジとギター、そして屈強なリズムセクションというジャーマンメタル謹製なウドサウンドに魅了されましたね。

ある意味、こういうカヴァーアルバムは、カラオケ大会的な側面は否めません。17曲は多いだろう、しかしウドのルーツに迫るという試みは熱狂的なファンならずとも、あの時代のアーティストに対する追体験のような側面があり、そこに共感出来ると楽しみ方も倍増します。ROLLING STONESのPaint It Blackは誰が唄っても良いと思わせる原曲の強さを感じますね。FRANKIE MILLERのJealousyだってウドの曲になっているじゃないか、④だって面白いアレンジのおかげで違和感などと、野暮なことを言うんじゃないぞと言わせるだけに力業がある。ウドは何をやってもウド。ベタなメタル系のカヴァーよりもそれ以外の方が面白かったですね。
楽しみ方は人それぞれ、③も唄下手王ケン・ヘンズレーから比べたら何百万倍も魅力があります。全ては先行公開されたQUEENの名曲カヴァーでしょう。あの声がダメな人は撤退してください。
ワタクシはPVも込みで楽しみました。突出したカヴァーはないんだけどね。


THE BRAVE - Battle Cries ★★★ (2022-08-14 17:10:06)

最近まで全く知らなかったクリスチャンメタルの系譜に連なるバンドのデビュー作。1992年リリースという事ですがグランジからの影響もなく80年代後期のメインストリーム寄りなハードサウンドを展開。クリスチャンロック系ではありますが、FMとか、WINGER、後期SCORPIONS、GIANTあたりを想起させるような音楽性を披露しており、癖のない楽曲とサウンドメイクを引っ提げワールドワイドな感性で勝負を仕掛けています。硬軟交えたハツラツとしたハードサウンド、④みたいなバラードではロビン・マッコリー風の歌声を披露したりと、押しの強いメロディアスロックが楽しめますね。
もっと哀愁の強いマイナーサウンドの方が好みの方もいるでしょうが、アメリカのバンドらしい、いい意味での泥臭さが音楽性に投影されており、適度に厚みを持たせたコーワスワークと出過ぎないが、存在感のあるギターなど、演者の美味しさも殺していないバンドサウンドに、裏方チームの適切なアドバイス&スタジオワークがあったんだろうなぁと感心させられます。

まだまだ知らないクリスチャンロック系、このバンド以外にも最近20は知ったので、チェックするのは大変ですが、今作リリース後、バンドはシンガーが変ったとか、このバンドに関係したバンドも追いたいので、本当に贅沢な悩みに苦労しております。恐るべしサブスクリプションサービス。知識があれば9割はカバー出来ますね。


BRONX - ON THE STEEL BREEZE ★★ (2022-08-13 17:32:11)

最近再発盤も出た横関敦率いるBRONXがメンバーチェンジに伴いTHE BRONXと改めてリリースされた3枚目のアルバムにてラストアルバム。新シンガーにはヘレンで活躍した今越能人が参加、横関のソロでの共演もあり再登板という感じなのだが適任とは思えず、聞く前から不安点が膨らみました。そして予定通り、その不安要素を覆す事はなく、頭打ちな印象を否めませんね。

彼の甘めの声質を生かしたアメリカンな要素も増えましたが、時折ギラリと光る横関のギタープレイは鮮烈な印象を与え、少々、組み合わせの悪さを感じる瞬間も多々訪れるが、がちっとハマった時のスケールの大きさというのか、可能性の高さに耳が奪われます。
少々タイトなレコーディングなのか、これで良かったのかもある、こういうところに厳しい目を向けずにはいられないのだが、良くも悪くも国産ハードシーンの大いなる問題点に直面した気分です。横関が目指すスタイルとシンガーの特性、今越には少々ヘヴィすぎるだろう。また唄入れの粗さも同様に気になる、もう少し時間を掛けてレコーディングしたら印象も変わっていたはず。と不満ばかりが口に出るのも、全ては横関敦という偉大なるギタリストの、その腕前が存分に生かされているとは思えずに終わっていること。
後年、海外の一流ところと共演を果たしソロを作り上げる横関だが、こういうバンドとしての成功をつかみ取れなかったのは残念でなりませんね。良い部分もあるだけに、惜しいと思いますよ。

国産メタルシーンの功罪を全て背負い込んだような一枚。再発を機に歴史的な観点や資料的な意味合いも含め、若い人に触れて欲しい作風ではあります。


SHOOTING STAR - Burning ★★★ (2022-08-07 21:10:22)

ジャーニーやナイトレンジャー、エリック・マーティンにヨーロッパなどの仕事で知られるケヴィン・エルソンが引き続きプロデュース&ミキシングを担当、躍動するハードサウンドと親しみやすいサウンドメイクが心地よく耳を刺激します。技巧に走りすぎないバランス感覚、それでありながらも軟弱な要素など挟む余地のないアーティスティックな完成が絶妙な駆け引きを持って濃密な世界観を構築。エモーショナルな歌声が見つめる先は、冷めた熱情を激しく揺らし聴き手のロック魂を燃やし、その弾けるロックなパッショネイトに絆されます。

やはり上手いって事は素晴らしいです。初期のファンにとっては、もう少しカンサスばりのプログレテイストを期待するのでしょうが、②⑥⑧⑩と言ったAOR路線の楽曲は新境地を開拓、初期のファンには⑤があるぞと言うことで、懐の深いハードサウンドをお楽しいください。⑦のカヴァーも上手くやっていますよ。このあたりのセンスがバンドの魅力でしょう。⑤みたいな曲、もう2曲くらいあれば良かったのになぁ。


LIZZIES - Good Luck ★★★ (2022-08-07 20:51:50)

スペインが生んだガールズメタルバンドの記念すべき1st。全員女性という形態も珍しい時代でなくなりましたが、日本のメディア激押し、性欲を売りまくる女性グループとは違いこちらは、性差別を受けることなく出している音で勝負。前時代的なジャパニーズ芸能界とは一線を画す活動が出来る正常な環境が羨ましいですね。とは言え、男性が作り出した枠組みで活動するのは困難でしょう。そういう意味で、ここまで辿り着いた苦難の道のりを想像すると、聞こえてくる音も変わりそうですね。
ドラマーがチェンジしましたが、このバンドがやりたいことはオールドスクール極まりない古典サウンドを披露、若いのにいぶし銀の古典メタルの旨味、けして技巧的なバンドとは言えないが、自分の信じる道へ突き進む姿には好感しかありません。
こういうものを×とするのは簡単ですが、やはり性別を乗り越えたところで活動するバンドは応援したくなりますね。

全8曲というボリュームが丁度良いと思わせるのは、彼女たちの反省材料だが、この時代に古典を現代に再興するという思想は高潔なモノであり、メタル愛溢れるものでしょう。その真摯な姿勢が音と成り、古典を愛するものと共鳴します。そういった80年代の初期型スタイルに憧憬を思い浮かべるマニアならばグッと来るでしょうね。
でもメジャー流通の作品に慣れ親しんでいる人にはチョイと敷居も高いでしょう。


Damn Cheetah - Primal ★★★ (2022-08-06 13:25:54)

BLACKLACEのギター、カルロ・フラグニーロとベースのアンソニー・フラグニート兄弟がLACKLACE解散後、カルロが結成したバンドN.R.Gで活動を共にしたシンガー、レス・ブラウンらと結成したアメリカンHM/HRバンドのコンピ作。80年代後半から90年代までに録音したデモ音源などを中心とした作品なのだが、これが実に質の高い一品へと仕上げている。メインストリームど真ん中の路線、だが脳天気なパーティーロックと言うよりも、もっと芯のある正統性の強いスタイルを構築、ノリの良いダイナミックなハードサウンドは勿論だが、バラードもしっとりと泣かせ、器用にやり切っている。
確かにお手本のある没個性なスタイルではあるが、BLACKLACE解散後、こういうスタイルに進み活動していたんだなぁと思うと嬉しくなりますね。レス・ブラウンのブルージーでハスキーな歌声も、ガンズシンドロームにも対応。バブリーな音楽性に楔を打ち込んでいます。WARRENTを思い出しますが、もうチョイブルージーですね。
ちなみに、レス・ブラウンとカルロと組んだバンド時代、アニメ映画トランスフォーマーのサントラに参加、『Instruments of Destruction』という曲を提供していますので、そちらの方が有名かも知れません、スタン・ブッシュやLIONも参加した奴ですのでね。


VICTORY - Culture Killed the Native ★★★ (2022-08-01 18:35:21)

結成当初からワールドワイドなスタンスで活動していたジャーマンメタルバンド。SCORPIONNSやBON FIREよりもL.Aメタル風味も強く②みたいな曲を聴けば、このバンドがどこに軸足を置いているかが理解できるでしょう。しなやかなリズムも口当たりの良いハードサウンド、キャッチーなメロも適度は硬質感を伴いアメリカでもドイツでもない無国籍なサウンドを奏でている。やはりメロディに欧州の味わいを感じさせるのも高い評価に繋がるでしょう。
堅実なプレイの中で、ハーマン・フランクはギターヒーロー然とした派手目のソロを披露、今の若い人には新鮮に聞こえるタッピングプレイも耳を楽しませてくれますね。
こうして時代を経て、向き合うと当時とは違った情景が見える。メタルバブル弾ける80年代の終焉を迎えようとしていた時代、このバンドは、ある意味メインストリーム寄りサウンドを全開で鳴らしている、だが同時にメタルバンドとしての気概も強く感じさせる生真面目さが、そこかしこに息づいており80年代型メジャーメタルの最終形態のようなサウンドを構築しています。
温故知新、雑誌でも紹介されるようなバンドでもないだろうが質の高さは間違いない。というか、最高峰に位置する欧州型メジャーサウンドが楽しめますよ。


KATANA - Heads Will Roll - Heart of Tokyo ★★★ (2022-07-31 20:15:56)

こういうアッパーでノリの良い曲は耳を惹きますねぇ
これこれこれよと言いたくなる期待を裏切らない展開も良いです
甘い歌声もメロも適応させたプロデューサーの手腕にも目を見張りますね


KATANA - Heads Will Roll ★★★ (2022-07-31 20:12:49)

プロデューサーにアンディ・ラロックの名前もあるように、それだけに期待値の高い新人のデビュー作と言えよう。苦節8年にして手にした正式なデビュー作とという事なのだろうが、メイデンに代表されるような古典スタイルを下敷きに現代的な要素も加えつつ、古典をやり切るというNWOTHMスタイルを展開、そこに北欧マインド全開のメロディとキャッチーな歌メロを用意、透明感とスウィーティーなエッセンスを散りばめ、硬質なメタルを披露している。
プロデューサーの手腕によるところも大きいのだろうが、万人受けしそうなスタイルを構築している点はデビュー作としては合格でしょうね。個性という点でも、クドい唄い回しのシンガーもギリギリで脱線することなく機能、癖が強めなので好き嫌いはあるだろうが、二本にギター同様、音楽性を高見へと導いているので、メイデン仕込みのドラマ性を曇らせることなく邁進している。
個人的にはバンド名や曲名など、日本を意識させているので、もう少し和風なメロディが耳を惹くような曲が欲しかったなぁ。


JOHN NORUM - Face It Live '97 ★★★ (2022-07-31 19:43:28)

最近までリリースされていたことを忘れていたジョン・ノーラムのソロバンドによるライブアルバム。FACE IT LIVEという事でグレン・ヒューズが降臨しているのかと思いきや、ここでメインを張るのはブルージーな歌唱スタイルがウリのリーフ・スンディン。
だけに、彼の性質に合う合わないとかもありますが、低迷時期のブルース&モダンヘヴィネス時代の楽曲は少なく、ヨーロッパ時代の楽曲やゲイリー・ムーア大好きぶりも伺わせるカヴァーもありと、聴き応えタップリと言えよう。
中盤で光るバラード『In Your Eyes』などリーフの持ち味を生きており、このラインナップにおける可能性を感じます。MCを挟んでの⑩に流れる展開もグットとダレそうになる中盤も逃げ切りラストまでテンションを下げる事無く完走してくれます。
少々できすぎライブではあるが、1997年という時代に、こういうスタイルのサウンドを堪能できたのは正統派マニアにとってはありがたい事でしょうね。リリース時、スルーをしたので、最近まで耳にすることのなかったライブアルバム。
ジョン・ノーラムファンは勿論ですが、ブルージーなハードサウンドが好みの方ならば大いに楽しめるでしょうね。


LOUDNESS - Sunburst~我武者羅 - OEOEO ★★★ (2022-07-30 16:46:26)

お遊び心も過ぎるぶっ飛んだ歌詞も曲調もジャパネスクメタルであろう
日本人によるニッポンのメタル
これがあらゆる制約から解放されたベテランの自然体という事なのかな?


IDLE CURE - Tough Love ★★★ (2022-07-29 15:36:16)

こちらはアメリカ産のクリスチャンロックバンドの2枚目。音楽性は完全にメインストリーム寄りデフ・レパードです。そのなりきりぶりと言いますかフォロワーぶりに驚きますね。本家がなんだかゴタゴタしていたりするので、あのバンドの代替品としては最強の部類に入るバンドでしょう。サウンドメイクは勿論だが、コーラスワークも込みで類似性が高い。やり過ぎ感は強いのだが、それでも疑いもなくやり切る姿はファンにとってはありがたいだろうし、逆に心強いと言える。また、聴きすすめる内に、違う面も見えてくるので、その質の高い演奏と期待を裏切らないアレンジに舌をまくでしょうね。
今となっては逆に新鮮な風を送るのかも知れません。80年代型のメインストリームロックが好きな人に喜ばれるでしょうが、若い人にこそ知って欲しいベタな一枚です。ベタ最強説を裏付けるバンドでしょう。でも潔癖な人にはススメられませんけどね。
しかし、まだ見ぬバンドは多いなぁ。生涯聴き続けでも追いつかないだろう。Spotifyだけでも大忙し、実は、あそこでしか配信されていません的なアーティストもいる。うーん頭が痛くなる。
訳の分からん奴の相手などしている暇はワタクシにはありません。


RUSCHA - Come Alive ★★★ (2022-07-29 15:26:20)

これもSpotifyからのオススメのバンド。まったくバイオは分かりませんが、このサイトでも自動登録は出来たので、それなりのバンドなのでしょう?唄を中心としたライトな作風、シンガーはジョン・ロートンタイプのクリアーな性質で高音域も力強く、朗々と気持ちよさそうにメロディを追いかけ歌い上げています。
ハードさは薄味、非常にメインストリーム寄りのサウンドメイクを施しており、どこかで聴いたような曲調だったりするのだが、複雑な曲調ではないのでアイデアの渋滞もなく素直にメロディが耳に飛び込んでくる。泥臭さのないマイケル・ボルトンとも言える音楽性、この手のAOR系は得意分野ではないのだが、今作を聴いたら類似するバンドとして、沢山のクリスチャンロック系が表示されるようになったので、このバンドもクリスチャンロック系なんだろう。
チョイ情緒のあるメロディ、雄大なリズムとエモーショナルな歌声、そこに絡むサックスの音色、③のような曲も上手く調理できる手腕は見事。AOR系のメジャーサウンドが好みの方ならば大いに楽しめる一品ですね。素直なメロディとアレンジ、上手い歌と安定感はありますので。


Burning Desire - Break Free ★★★ (2022-07-29 15:04:15)

まったくバイオの分からないバンド。アメリカのバンド言うことらしいのだが、そこにも確証が持てません。ある日、Spotifyから類似するバンドとしてすすめられるのだが全然しらん。でもお金も掛からんし容易に試聴が出来るわけですよ。ハイトーン系の男性シンガーと、メインを飾るのは女性ギタリストという構図。これには興味もそそられますよね。
いかにも自主制作盤のらしい輪郭の甘い音質と怪し演奏の数々、ギターソロもウーン…怪しいさが満載である。しかし、メロディを大切にする曲作りと今のご時世、そうそうお目にかかれないオーソドックスな作りに、何故か耳を奪われ最後まで完走。ベタではあるが工夫を凝らしドラマ性を演出している点は見逃せません。
あくまでもマニア向けですし雑誌で紹介されるようなメジャー流通の作品に慣れ親しんでいる人に勧められませんが、レア盤に目のないマニアには、たまらんでしょうね。


WIZARD MASTER - Phasmatis ★★ (2022-07-24 12:12:29)

アルバムジャケットを見ているだけで音が聞こえてきそうです。イタリア産のスラッジ/ドゥームロックバンドによる1st。ファズの掛かった汚らしいギター、地ベタを這いずり回る酔いどれヘヴィグルーブ、その筋のマニアならばクラクラと目眩を起こしそうになる、陶酔感の強い音楽性を踏襲しております。ある意味、定番であり個性は見出せないのだが、70年代イタリアンホラー言いたくなるような、血糊べっとりのジャーロ映画路線を展開、胡散臭さがスタイリッシュに錯覚させる、狂気と何者も寄せ付けない疎外感、心理に侵食する偏執病的な音色に定番を見つける事が出来ます。
闇にうごめくカルトヘヴィロック、その押しの強いリフワークに似て非なるセンスを垣間見ます。まぁ、個性は薄めなのがドゥームあるあるなんですけどね。


D.R.I. - Thrash Zone ★★★ (2022-07-23 17:43:50)

アルバムタイトルが示すとおりスラッシュメタルへと接近、そのドライで明快なサウンドメイクは正にアメリカンスラッシュ、その小気味の良い切れ味は実に爽快である。その反面、少々味付けがスッキリとしてしまい、このバンドが持つ灰汁が薄まったという面はあるかも知れないが1989年という時代背景を考えると、むしろこの方向性の方が無難であり、多くのファンを取り込む魅力に溢れている。
かつて多くのフォロワーを持つ日本の著名な批評家からウンコバンドの称号を頂いた彼ら、伊藤政則はアメリカでメタリカが売れているという情報をいち早くキャッチ、その後、手のひらを返したようにスラッシュメタルにも好意的な顔をしましたが、こちらは忘れていません。ライナーノーツ読んでCD聴いて、洗脳されるって統一教会の話かと思いますが、日本のメタルシーンというのは、特定の年齢層には、確実にこの手合いがいますので要注意ですよね。
音楽は音を楽しむモノ、自分の感性を信じられなくなったらお終いです。そもそもなんで批評家のレビューに合わせて意見を変えるのでしょうか?
このバンドは、スタートで躓きましたが、確実に日本にもファンがいて、今作のようなスタイルを構築する器量とセンスがありました。
持ち前のハードコアからの影響は抑えめですが、曲が長くなった分、聴かせるパートも増えリフワーク一つとっても面白味が倍増。賑やかで快活なサウンドへと展開、同時期活躍していたNuclear AssaultやAnthraxと言ったバンドと比肩しうる魅力を発散しています。


NAZARETH - Surviving the Law ★★★ (2022-07-22 20:58:57)

カール・センタンスで二枚目のアルバムを作ることになるとは思っていなかったのですが、オープニングナンバーを聴けば納得ですね。50年以上のキャリアを誇る老舗中の老舗バンド。多くのバンドが直面する老との向き合いを見事に昇華、古さに埋没しない現役感バリバリの古典サウンドに唸ります。
現代的な音作りとテクノロジー恩恵を享受した最新作は、実に鮮度の高いサウンドへと展開しています。
グランジ、オルタナ勢にも間違いなく影響を与えた彼ら、その先祖帰りとも言うべき自らのスタイルの再構築は、ここで見事に花開きシーンの先頭を切っていると言っても大げさではないほど、今っぽさもあり老舗の看板に偽り無しの快作となっていますね。
シンガーの交代劇もチャンスに変えたバンドの気概、あれほどの声を失ったんですけどね。日本では全く人気の出ない彼らですが、アメリカのメジャーロックが好きな人には、是非とも聴いて欲しい一枚ですね。この音がいかに影響を及ぼしているか驚くでしょう。彼らがパクっているんじゃなくて、こっちがルーツなんですよと理解出来るでしょう。
本当に古くて新しい音を出していますねぇ。


人間椅子 - 苦楽 - 肉体の亡霊 ★★★ (2022-07-22 20:44:41)

パワフルかつヘヴィな人間椅子ワールド
鈴木の歌声もパンチ効いています
そして和島との絡みもあり人間椅子ワールドが全開ですよ
お得意の童謡を取り込んだのも正解
ジャパネスクドゥームロックが全開です
海外のファンを虜にした国産古典ロックバンドの底力ですね


人間椅子 - 苦楽 - 疾れGT ★★★ (2022-07-22 20:40:06)

ゴリゴリの疾走リフが耳を惹きます
ありがちなパターンではあるが新機軸もしっかりと盛り込み
今作の充実度をサラリと表現している
遊び心満載なのも聴いていて好奇心をくすぐられる
人間椅子風の撃剣霊化ってところかな


人間椅子 - 現世は夢 - 宇宙からの色 ★★★ (2022-07-22 20:34:03)

ストレートに打ち出される古典ロック
かつてのような陰気な空気はなくなったが
スペイシーなロックサウンドはお得意の奴です
イントロにニヤリとした古参ファンも多いでしょう


人間椅子 - 此岸礼賛 - 今昔聖 ★★★ (2022-07-22 20:28:18)

アルバムのラストにねじ込まれたヘヴィなプログレナンバー
お得意の奴だが昔と違うパワフルです
こういう曲をやらせたら右に出る者がいないよねと言わせる説得力がある
希有なバンドだよなぁ


PRIMAL FEAR - Rulebreaker ★★★ (2022-07-18 19:54:19)

ある意味、現代の鋼鉄神と呼ぶべきバンドと言える、マット・シナーとラルフ・シーパースの二人がメインを張るバンド。今作ではトム・ナウマンが復帰を果たし、昨今、流行のトリプルギター体制へと移行している。正直、誰がどのパートを担当しているかは分からないが、現代的な生々しいヘヴィな音像、その欧州テイスト溢れる硬派な質感を損なわないメロディとタイトにまとめ上げたリズム、実にメジャーな感覚を持つ正統派メタルは、キメるところを見事にキメまくり耳馴染みの良いドラマを展開している。
その試聴感の良さは、この手のスタイルに対する造詣で決まりそうだが、ど真ん中を闊歩する王道スタイルに熱いモノがこみ上げてきます。正統派メタルの源流とも言えるJPがロブを復帰して活動しているが、どうも昔のアイデアを擦るだけで、イマイチ鮮度が低い。その代用品と言われそうなバンドだった、こちらはお手本とバンドからの影響を包み隠さずに、奇をてらうことなく真っ向勝負で叩きつける。その清い姿勢が最大のポイントだし、マット・シナーの書き上げるメロディの良さと絡むことで、ベタだがフレッシュな叙情派漢メタルとしての黄金比を確立させた。いい曲とメロディを書けるソングライティング力の強さが、そのまま充実度に反映されているのも、このラインナップに揺るぎなきメタル愛が宿っているからだろう。
今作におけるMVPは新加入となるドラムのフランチェスコ・ジョヴィーノですね。


MUNICIPAL WASTE - The Fatal Feast ★★★ (2022-07-18 19:39:46)

収録曲の多さの割にランニングタイムが短いというド直球なスタイルが魅力の彼ら、そのどこかネタ感が漂うプロジェクトチーム的な匂いもあり、個人的にはどこか斜めから見てしまうのだが、今回はNuclear Blastからのリリースと言うこともあり俄然興味も沸きました。
その爽快感MAXのキレっぷり、切り刻まれるギターリフの心地よさにウネリます。締め上げたタイトなリズムもクールにキマり、小細工無用なスピード感を倍増、往年のスケーターロックなる言葉が頭をよぎるキャッチーさと親しみやすい暴虐性、良い感じでクロスオーバーされており、ギターソロなんてしらねぇ、スカッとさせてくれよというスピード狂にはもってこいの音楽性でしょう。
このバンド、けして新しい事をやっているわけではないのに常に鮮度が高い。古いアイデアをフレッシュに聴かせる技、ある意味サイドプロジェクトな立ち位置だからこそ、好きな事を思いっきりやっているだけだからな、清さがピュアさに拍車を掛けているのだろう。
38分を切るランニングタイムが丁度良い、そのバランス感覚に共感しますね。以外とメロディがしっかりしている点も見逃せませんね。聴きやすいわぁ。


MAZERAN - Moving Lips - Let Me Fly ★★★ (2022-07-13 09:20:01)

繊細なタッチのギターサウンドが懐かしい
メロディを大切にするソロも好きですね
らしさ前開のオープニングナンバー
耳馴染みよく駆けて行きます


MAZERAN - Outsider ★★★ (2022-07-13 09:12:16)

ダークでミステリアス
グラム系の要素も練り込み妖しく光ります
日本的な面が強いのが全てを結審するだろう
音質は良くないがタイトでリズミカルなリズムプレイも耳を惹きます


ANTHEM - Explosive - studio jam - Night Games ★★★ (2022-07-13 09:06:21)

ラストに極上のオマケが出てきました
シンセのパートなんとかして欲しかった
お世辞にも声は出ているとは言えないが
スタジオライブをいう生感を楽しもう


Le Griffe - The EPs ★★★ (2022-07-10 20:44:44)

NWOBHMマニアにとっては幻のバンドと言えるマニア泣かせのEP2枚をひとまとめにしてボートラ一曲を追加した全9曲入のコンピ作。この幻の一品をリリースしたのが、相変わらず発掘に余念の無いNo Remorse Recordsからというのが激アツです。
いなたさのある垢抜けない英国ロック、そのねじ込まれた叙情性、洗練性とは無縁のハードサウンドは正にNWOBHMと叫ばずにはいられない煮え切らないハードサウンドを聴かせてくれます。
この作風で85年までバンドは活動するのだが、遅れてきたサウンドに需要もなく、アメリカン市場に売って出る予算もなかったろう、あえなくバンドは解散となるのですが、こうして2022年に日の目を浴びることになるとは、何が起きるか分かりません。こういう作品を復活させたレーベルの企業努力には頭が下がりますね。日本じゃイチオシはオジサンうけしそうな女性グループだもんなぁ涙


MASTEDON - Lofcaudio ★★★ (2022-07-07 19:09:52)

オープニングナンバーを聴きながら、思わずカンサスでこれやりなさいよと言いたくなりましたね。メロディアスかつハードな極上のサウンドを展開、拘りのアレンジを盛り込み最後まで飽きる事無く聴き手の好奇心を刺激し続けます。
とにかく腕が鳴る演者のプレイ、それでありながらも味付けがクドくないので、リスナーオンリーの人が聴いても全然邪魔にならない。頭がいいですねぇ。JOURNEYやTOTOの美味しいところを放り込み、プログレハードとメインストリーム寄りのスタイルへ行ったり来たりを繰り返す、絶妙なさじ加減が最大の聴き所、苦手な人には居心地の悪さを感じるだろうが、メロディアスなロックを探し求めている方にとっては夢のようなハードサウンドへと仕上がっている。
時代は1990年、国内盤のリリースもなくクリスチャンロック系のレーベルというのもあり認知されなかったのが痛かった。一番の要因はKANSASをダメにしたジョン・エレファンテというのもあったのかもしれないが、質の高さは折り紙付きです。
今作に対する詳しいバイオはサッパリですので調子こいてコメントしませんが、今では簡単に試聴できる環境もありますので、メロディ派のマニアならばマストな一枚と言えるでしょう。
清々しいメロディとロックのダイナミズム、品行方正なスタイルはバカでは様にならない高尚なサウンドを奏でており、見も心も躍らせてくれます。真夏日を記録する昨今、こういう爽快感MAXのハードサウンドに身を委ね涼を求めたいです。
でも少々、キーボードがうっとしいと思うのワタクシは、地下室NWOBHMが大好きな貧乏耳だからです。


KANSAS - Drastic Measures ★★★ (2022-07-07 18:49:05)

スティーヴ・ウォルシュが去り、今度はヴァイオリンのロビー・スタインハートもバンドを離れることとなる。前作から参加するジョン・エレファンテの存在感がグッと表に出てきています。完全にメロディアスな唄モノロックに変貌を遂げました。
時系列で追っかけたファンは度肝を抜かれたでしょうね。
これがロマン溢れるアメリカンプログレバンドの最終形態と言われたら下を向くしかないでしょう。

これはリッチー・ブラックモア率いるRAINBOWの変遷をどう捉えるかです。日本でのRAINBOW初CD化は、たしか酒井康氏監修の2枚組のベストだったと記憶している。その選曲はかなり偏ったモノであり、特にジョー・リン・ターナー時代のチョイスには、かなり疑問があった。推察するにジョー=ラジオ向けのポップバンドという図式なのだろう、だからラス・バラードの曲になる。
あのおかげで随分と後期RAINBOWはワリを喰った。何ならRAINBOWの軟弱化はジョーの仕業と言われる勢いだったが、世の中がアナログ盤からCDへ移行する際に、BURRN!の広瀬さんがジョーを激押し、インギーとの共演も功を奏し、ソロアルバムで低評価を喰らった汚名を雪ぐ事となります。
もし、広瀬さんがいなければ日本におけるRAINBOWの批評はどうなっていたのでしょう?個人的にはKILL THE KINGの後に、I SURRENDER聴かされたら殺意を覚えるもんね。それくらい違うバンドになりましたが、FIRE DANCEもあるぞ、SPOTLIGHT KIDもあるぞと成るわけですが、何故かベスト盤には、そちらの硬派なのは収録されず、軟弱=ジョーという悪意を感じる選曲と思うのは私だけでしょうか?もっとロマン溢れる曲もあるぞの中で、最もシングル向けを選曲です。考えるとゾッとしますね。ファンクロックが好きじゃない批評家が多く第3期DPの評価が低めなのが典型例です。

今作のどこにフォーカスを当てるのか?それが全てを結審します。結論から言えば、ポップロックとしては極上の品質を誇ります。耳馴染みの良い柔らかい感触、上手い歌を主軸に聴かせています。それでありながらも大衆性オンリーの音楽性に倒錯するのではない、IQの高さが音楽性に練り込まれており、カンサスという冠名をギリギリ守っています。
これは時代の流れの即した変遷であり、ワタクシのように、良い音楽を聴きたいが最優先であり、バンド名は二の次という感性の人ならば、驚きはあれど許容できるでしょう。
しかしロマン溢れる往年の姿を期待するならば無視するべきですね。つくづく罪作りなアルバムですよ。完全に賛否が分かれるでしょう。どちらかと言えば否が多いのですが、これが売れたらどうなったのかと思うと…ね。


KANSAS - Power ★★★ (2022-07-06 15:28:59)

今聴いても、これがあのカンサスなのかという印象は拭えません。商業的な成功を念頭に置いて制作されたのは間違いない。その割にヒットとは言えない状況だったのは残念だが、それでは駄作と切り捨てるのはチョイと違うのです。
スティーヴ・ウォルシュが戻り、さぁあのカンサスが聴けるのかなぁと期待すると駄作ですが、時代性を真っ向から受け止めハツラツとした、ストレートなハードさとポップフィーリング、そして熱の籠もった哀愁を散りばめ、嫌みの無い一線級のサウンドとして仕上げています。
とにかく時代と真っ向から向き合っています。ある意味、側は軽めの売れ線志向ですが、その芯にあるサウンドはアホでは出来ない知性を秘めており、今となっては逆に聴けないスタイルとして重宝できるサウンドかと思います。やっぱり④ドラマあるもんねぇ。
ギターチームもさることながら一線級の腕利きミュージシャンが揃っているだけに、アイデアの渋滞は起きていません。各自が持ち味を発揮しつつも拡散させないパワーこそ、このアルバム最大の聴き所でしょう。
売れ線志向という批評はけしてマイナスではなく、このバンドが純粋に成功を手にしようとしただけにであり、けして質は低くない。大衆性だけじゃないアーティスト気質、その両面を味わえる名盤と言えるでしょう。後半に進むにつれアルバムの作風に引き寄せるパワーがある点も見逃せません。カンサスに何を求めるかで評価も大きく分かれそうですが、名前に拘り過ぎなければ全然イケるアルバムですよ。


KANSAS - Power - Silhouettes in Disguise ★★★ (2022-07-06 15:05:05)

我らがブリザードもカヴァーした新生カンサスを印象づけるオープニングナンバー
違和感はもの凄くあるがバンド名など気にさせない勢いがある
こういうインパクトのある曲が続けば良かったが②のまったり感は良くなかったよなぁ


SCANDAL - Warrior - Only the Young ★★★ (2022-07-06 14:57:05)

1985年にジャーニーの曲としてシングルカットされた一曲。映画『ヴィジョン・クエスト』にも提供しました。
このバンド以外にも国産美形メタルバンド、ブリザードも1984年リリースの1stで取り上げており、その際にはジャーニーの未発表曲という触れ込みで紹介されており、どういう経緯でそうなったのか、またどちらが先に取り上げたのかも気になりますね。

そして本家が1985年にシングルとして世に出します。
ちなみにこの曲のエピソードとしては、不治の病で余命幾ばくもない男の子をお見舞いにした、メンバーが仕上がったばかりで世に出ていない、この曲をカセットに入れて渡したというエピソードがあります。
時系列で言ってもジャーニーの曲ではあるが、スキャンダルやブリザードヴァージョンの方が先です。しかし、エピソード的にはジャーニーのモノでしょう。なんたって病床で命を引き取った際に、この曲を聴いていたというのだから…なんで他人に提供したのだろう?
ややこしや~ややこしや。って言うか、その話本当なら、絶対他人に提供したらダメだろう?ブリザードとジャーニーに深い関係性あった?である。スキャンダルのアルバムは売れたしねぇ。問題ありすぎだぞ。


SCANDAL - Warrior ★★★ (2022-07-06 14:42:33)

こちらのスキャンダルはパティ・スミスをフィーチャーしたアメリカのバンドです。活動時期は短く今作をリリース後、メンバー感のいざこざが絶えず解散したと言われているバンド。詳細はサッパリなのですが、後にパティ・スマイスは、この路線を引き継ぎソロアルバムをリリース。キュートなルックスに負けないインパクトを残す歌声で人気を博しました。アメリカって実力が無いとステージには立てない、日本とは大違いですよね。その根本の強さを完膚なきまでに味わうのですが、チャートの上位にも食い込むヒットを出しているだけに短命に終わったのは残念ですね。
ハードでポップ、大衆性を完備したサウンドは、どれもがヒット性を秘めており、そりゃ売れるわぁと関心しきりです。豪快さの中に押し込めた計算尽くの売れ線方程式、アーティストとしての気概もあるが、それらが反発することなく昇華されています。青春映画のサントラなどに放り込まれても違和感なく溶け込む事が出来るでしょう。
個人的には主食になるジャンルではないので熱心に耳を傾ける事も無いのですが、むさ苦しい夏に、ハードなサウンドの合間には丁度良い具合で登場します。やっぱりロックが欲しいんでねぇ。


NESTOR - Kids in a Ghost Town ★★★ (2022-07-01 18:27:29)

彗星の如くシーンに現れたベテラン新人バンド、垢抜けないオッサン集団な見た目とは違いカラフルな80年代型HM/HRサウンドを奏でている。栄光の日々を再びと言いたげなラジオオリエンテッドな作風、それでありながらも芯にあるハードな質感、軽やかで耳馴染みの良いメロディを軸に、実に地に足の付いたパフォーマンスとアレンジで楽しませてくれます。
余りにも素直なスタイル故に、新しい発見はないのだが、古典に根ざしたAOR風味満点のメロディアスロックは、ここ日本においては大きな市場があると思えるだけに、このバンドの認知度も上がりそうである。メディアがどう批評したのか気になるところだが、メロディ派にとっては、また一つ優れたバンドに出会ったと歓喜するでしょうね。
主役は楽曲という事なのだろうが、もう少しロックな部分が欲しいと思うのだが、このクオリティがあれば十分でしょう。熱波を吹き飛ばす爽快感のある叙情派サウンドの旨味、全身で浴びたいですねぇ。
苦労してデビューにこぎ着けたという感じがしないのも良いでしょう。


MICHAEL SCHENKER GROUP - Universal ★★★ (2022-06-30 12:29:11)

精力的な活動を続けるマイケル・シェンカー、色んな名義があるので、イマイチのめり込めないのだが、おそらくMSG名義で活動をメインに行い、続けてアルバムをリリースしてきたと思う。名義問題もあるが、前作同様というのか最近のマイケルのアルバムは複数シンガーが参加するという形態をとっており、そのあたりに混乱をしているワタクシですが、そういう面倒を拭い去り向き合えば今作も神の名に恥じない作風に仕上がっている。
攻撃性を緩めいないギター、往年のテイストも残しつつ現代的な要素を盛り込み主役である自分自身を奮い立たせている。ロニー・ロメロが中心となるヴォーカル体制もゲストとなるラインナップを巧みに混ぜ込み、高めの幕の内弁当感を誘発、個人的にはオカズが多いだけで味は無難感は強いのだが、個性的である事に間違いはなく、マイケルらしいテンションの高いギタープレイと、叙情的なフレーズの散りばめ方に耳を持っていかれ満足感は得られます。

多くのファンが待ち望むスタイルでの活動、今が旬と言わんばかりのロニー・ロメロの顔の出し過ぎ感に新鮮味はゼロも、唄えるシンガーと活動を共にする姿に安堵します。
特筆すべきゲストとしては、ボビー・ロンディネリ、トニー・カーレイ、ボブ・デイズリーというレインボー組に、マイケル・キスクがシンガーを務める④など効果的に機能、サプライズ感も強く今作に華を添えていますねぇ。ロニー・ジェイムス・ディオに捧げた曲というのもあるのか、虹チックなのも嬉しいですね。
個人的には、スピードや派手さよりもハードな質感と攻撃性を高めたミドルナンバー主体というアルバム構成もグッとくるモノがありました。ヘヴィな曲だからこそ、マイケルの泣かせも耳を惹きます。いいバランス感覚が全体を支配していますね。
前作と合わせると相乗効果も高まるでしょう。


犬神サーカス団 / 犬神サアカス團 - 怪談!首つりの森 - 怪談!首つりの森 ★★ (2022-06-28 20:08:11)

メジャー仕様でしょうね
オカルトタッチの歌詞も面白いです
でももっと猟奇的でエグいのを期待するのですが
いつまでもアングラロックじゃ飯が食えないよね
売れなきゃやってられないよなぁ


犬神サーカス団 - 赤猫 - 血の贖い ★★★ (2022-06-28 19:56:45)

猟奇的で屈折した世界観と素朴な曲調
それだけに歌詞がグサリと突き刺さります
個人的には食傷気味なのですが
ファンにはたまらんのでしょうね
巻き舌も好きですよ


犬神サーカス団 - 赤猫 - 鬱病の道化師 ★★★ (2022-06-28 19:54:51)

有名な曲を上手くモチーフとして取り上げますね
このバンドのファンにロックの神髄を教えたいと言うことでしょうか?
相変わらず身の毛のよだつ歌詞です
でも似たようなタッチなんですよね


犬神サーカス団 - 蛇神姫 - 父親憎悪 ★★★ (2022-06-28 19:52:58)

また分かりやすい曲を下地にしています
このバンドのファンは知らないのかな?
そういう意味では賢い選択ですね
ストレートな曲調と相反する欲深い人間を糾弾する歌詞
虐待親父の唄でしょうかね?
ストレートに吐き出されています
サビメロと歌詞が上手く合致しています


犬神サーカス団 - 蛇神姫 - 鬼畜 ★★★ (2022-06-28 19:50:40)

退廃的なムードと昭和歌謡風味がいいですねぇ
怖いなぁ
夜うなされそうです


犬神サーカス団 - 地獄の子守唄 - 地獄の子守唄 ★★★ (2022-06-28 19:45:15)

文学的な歌詞が耳を惹きますね
こういう世界観を描くのが上手いバンドでした
凶子さんの歌声も絶望的な悲哀を表現しています
切ないが許されない間柄の二人
そのいく果てを描いています
昭和ですねぇ


犬神サーカス団 - 地獄の子守唄 - 路上 ★★★ (2022-06-28 19:41:56)

和風なヘヴィブルース
ひねくれた世界観です
情景が浮かぶ唄い回しも良いです
アンサンブルもイイですね


犬神サーカス団 - 地獄の子守唄 - 白痴 ★★★ (2022-06-28 19:39:28)

彼らは日本のバンドだからアンセムのWARNING ACTIONをモチーフといこう
多くのバンドが取り上げるモチーフなのですが
このバンドらしい歌詞が耳を楽しませます


ZEBRA - 3.V ★★★ (2022-06-26 16:39:56)

商業的な失敗を受けて、よりメロディアスなスタイルへ舵を切った勝負を賭けた3枚目のアルバム。頭からメロウなメロディが耳を惹くメロディアスロックで幕開け、その流れを崩さぬように②へと流れます。シンセを全開に前に出した口当たりの良いサウンドは、少々やり過ぎなれど、商業的な成功に軸足を置いた今作の道筋を考えると不満はありません。
ハードな面にフォーカスを当てるファンにとっては頭も痛いだろうが、ランディの癖が強いハイトーンも、この透明感溢れるサウンドにフィットしていますね。
結局、このアルバムもロクなプロモーションも無く売れませんでしたが、質の高さは折り紙付き、品のあるメロディアスロックをお探しのマニアならば大いに楽しめるでしょう。


SARACEN - Marilyn ★★★ (2022-06-25 18:22:58)

NWOBHM期に泣かせのチョイプログレタッチの叙情派サウンドでデビューを果たした彼ら。予定通り2枚目のアルバムでアメリカン志向を打ち出しバンドは、これまた予定通り解散という憂き目に遭います。ある意味NWOBHMあるあるなので驚かないが、今作の方向性には三度驚いた(2度目は復活作リメイクアルバムです)前作を聴いていないので、あれなのですがEscape Musicからのリリースと考えると合点がいきます。ロビン・ベックやイッサ、そしてスティーヴ・オーヴァーランドまで顔を出し見事な歌声を披露、デュエットにもウットリですよ。

枯れた味わいのブルージーテイストは控えめ、サックスまで大胆に取り込み、実に豊かな音楽性を披露。それを聴かせるメロディアスロックとして統一感を持たせたのだから文句を言うのは野暮でしょう。
おもてたんと違うは拭い去れませんが、それはワタクシが何の予備知識も持たずに聴いただけに過ぎません、過去やイメージに囚われない、又は知らない人には大人のメロディアスロックとして耳を捉えるでしょうね。11分にも及ぶラストソングなどを作り上げた手腕は見事です。ゲストヴォーカルによる貢献も大きいのですが、新生SARACENは実に魅力的なバンドでした。


The Marcy Band - The New Old World ★★★ (2022-06-25 18:03:38)

EARTHSHAKERの西田昌史がバンドの顔となるロックグループ。マーシーとは縁のある若いミュージシャンを従え実にフレッシュな感性を落とし込んだ普遍的なハードサウンドと展開している。正に『THE NEW OLD WORLD』という事だろう。
昨今流行の男女ツインヴォーカルの相方を務めるのは奈良井恭子ことgi-na。ギターはマーシーと縁の深い、峰正典。ベースは天才少年としてメディアにも取り上げられたKenTも18才に成長、ベースはFIREさん、このリズムセクションがタイトでクール。熱き感情を込めつつもビシッと決めてくれます。なんと言っても生身の人間から叩き出されるグルーブが心地よい。

若々しい感性を秘めたのはギターワークによる貢献も大きい、峰のプレイは基本を押さえつつも大胆に多様な音楽性を取り込んできた。マーシーのオールドスクールなメロディと、若いミュージシャンを繋ぐ峰さんの存在感、この熟成度の高い音楽性に貢献していますね。ギタリストなら真似したくなる美味しいプレイも多いのがポイント。上手いってのは武器でしょうよ。gi-naさんもメインヴォーカルを担当する曲もあり、マーシーだけじゃないという主張を叶えたのもバンドの可能性を広げています。
良くも悪くもマーシー節というメロセンスに、昭和を感じる趣もあるだろう、そのあたりが若い人にどう響くのかは分からないが、一周回って新しいとなれば成功なのだが、今作のリリースが2016年、その続きがないところを見ると上手くいかなかったのかな?
上手い歌とノリの良い楽曲、どれもがハイアベレージを刻んでいるので今でも十分に通ずるハイブリッドなロックサウンドを奏でています。少々、早かったのかも知れませんね。メタルコアではありませんが、ネモフィリアなどで興味を持ったファンにも訴求するような親しみやすさがありますね。


GIANT - Shifting Time ★★★ (2022-06-24 19:13:49)

知らない内に再結成を果たしアルバムもリリースしていた彼ら、しかし、ここにはダン・ハフはいない。そしてかつてはテリー・ブロックがリードシンガーを務めていたというのだから、商業誌を読まないとこういう時代を招きますが、浦島太郎おじさんにとっては、いらぬ先入観は必要ないので困りません。
ギターはジョン・ロス、ヴォーカルはケント・ヒッリが担当、リズムセクションは往年の二人が引き継ぎ、バンドの体をなしているという事でしょう。多くのファンにとっては主役はダン・ハフだと思うでしょうが(時代遅れのワシだけか?)脇を固めるアレッサンドロ・デル・ヴェッキオを先頭に外部ソングライターの助力を得て多くのファンが待ち望むメロディアスロック路線に進んでいます。
正直、アメリカンな色は抜けレーベル印のワールドワイドなスタイルへと移行、無駄のないサウンドメイクと聞き心地のよいプロダクションのおかげでアイデアの渋滞は一切起こりません。
ある意味、ジャイアントじゃないのかも知れないが看板が変われば中身が変貌するのは当然、画期的なモデルチェンジに不満など無いでしょうが、ブルージーなテイストを求める方には、欧州風味も強すぎるかも知れませんね。
見せ場が多いとは言えないがジョン・ロスのギターもセンスにあるフレーズを盛り込み、耳を楽しませてくれます。
普遍的メロディアスロックの旨味、洗練された極上の唄モノサウンドを前に戯れ言は無用でしょう。この手のサウンドをお探しの方ならば大いに楽しめるでしょう。


Chris Ousey - Rhyme & Reason ★★★ (2022-06-20 19:27:01)

ハートランドのシンガーとして知られるクリス・オウズィー。長いキャリアを誇るが成功したとは言えない実力者。その深みのある歌声は英国人ならではの味わい。説得力溢れるエモーショナルな歌声を武器に、待望のソロアルバムをリリースしてくれた。

プロデュースはトミー・デナンダーとマイク・スラマーという布陣。二人はギタリストしても参加と完全バックアップ、クリスに取ってはEscape Musicとの関係性も深く、このラインナップに問題は生じないでしょう。豪華制作陣を迎え入れた今作は、クリスの歌声を中心に聴かせるハードロックを展開、安直なAOR志向ではないグルーブ感のある唄モノサウンドは躍動感に溢れており、憂いのあるパワーヴォイスを存分に披露、その良質なパフォーマンスに魅了されっぱなしです。ファンにとっては待ち望んだスタイルの音楽性と言えるでしょう。

ちなみにリズムセクションはニール・マーレイとグレッグ・ビソネットの二人です。そりゃ安定感抜群のグルーブに耳が持って行かれますね。


SKULL FIST - Way of the Road ★★ (2022-06-19 19:06:47)

カナダ産の正統派HM/HRバンドの3rd.勝負となる3枚目なのだが、ある意味、置きに行った印象を受ける。音楽性に問題は無い。所謂NWOTHMと呼ばれるバンドになるのだが、本家本元となるベテラン組がかつてのマテリアルを引っ提げて復活を果たしている、その中で、この手の若手はどのような差別化を図るかが最大のポイントとなるのだが、今作は所謂、中庸をいく路線を真っ向からやり切っている。
キャッチーでノリの良い楽曲は元気いっぱいである。嫌みの無いサウンドメイクは先輩達に最大限の敬意を払い、この路線を踏襲している。それだけに、このクオリティで文句を言われたらたまらんだろうが、個人的には、人生で脇見をせずにズッと聞き続けていたジャンル故に、少々ハードルが高くなっています。そういう目からすると、置きに行っている作風ではありますが、うつろいでいる時代の中を一陣の風のように通り抜けてく王道スタイルにブレはありません。
本当に些細な事なのですが、気にならないと言えば嘘になります。あとは嗜好の問題、間口を広げつつも自らの型を研磨する姿勢、これで飯を食っていくという強い意思表示に、正統派メタルファンならば安心して手を出せるでしょう。
少々マイルドな歌声になったのも気になるなぁ。


ALLTHENIKO - Devasterpiece ★★★ (2022-06-17 12:54:04)

イタリア産のパワー/スピードメタルバンドが2008年にリリースした3枚目のアルバム。欧州由来の湿り気のあるメロディとダークなテイスト、そして目の覚めるようなスピード感とメロディ、一癖ある展開も工夫を凝らし耳を惹きますね。方向性としてはトリオという点もあり、RAGEとの類似性も高い。シンガーの唄い回しなどピーヴィーを思い出す場面を多々ある。
そういう純潔なるフォロワーバンドとも言えるのだが、クラシックメタルと呼ばれるスタイルのエッセンスを巧みに取り込み現代的なフィルターを通して再構築、技巧的なギタープレイは切れ味鋭いプレイで魅了、癖の強い音楽性と対峙しています。またトリオとは思えない迫力のある演奏はRAGEにも負けない勢いを感じますね、その一糸乱れぬ熱き弾丸サウンドはテンションも高いです。
良くも悪くも中庸な路線と言えるのだが、キャッチーさもねじ込んだ欧州型パワー/スピードメタルに目のない方ならば間違いなくグッとくるでしょうね。
3枚目と言うことで実績と安心を感じさせるソツのなさも耳を惹きますよ。でも潔癖な方は気になる点も多々あるのがポイントなのでご注意頂きたい。


FIREWOLFE - Firewolfe ★★★ (2022-06-15 01:14:23)

ベテランアメリカ人ミュージシャンが揃った正統派HM/HRバンドの1st。ドラマーはHurricaneやAsiaで叩いていたジェイ・シェレン、ヴォーカルはHawkやValhallaで唄っていた‎デヴィッド・フェフォルト‎の名前があるように通好みの実力派が揃う、その二人に負けない実力者が二人のギタリスト、彼らしっかりとしたテクニックを駆使して重厚なサウンドと統率、ガッツリとした古典ロックの凄みを見事に体感させてくれる。ベースのデビッド・トーリー‎もHawkに居ましたね。
皆で曲を聴かせるという仕様は、実に堂に入ったもの、その堅実な作り込みは、この重厚なサウンドを作り上げるのに必要不可欠、売れなかったがキャリアのあるメンツが揃っているので、ヘタを売ってはいません。
その反面、即効性は鈍いのでライトリスナーや、速いのキャッチーのと言う分かりやすさを求める人にはチト敷居は高いでしょう。そのあたりで評価も分かれそうですが、それが逆に魅力だよと思える玄人にはたまらんものがあるでしょう。
最近、メジャー流通の作品に触れる機会も多くなったので知りましたが、このバンド2011年に国内盤も出ているので、先賢の目があるレーベルもあるもんだなぁと関心しましたね。


Weird Tales - ... Under the Moon ★★★ (2022-06-13 17:46:45)

各方面で絶賛されている国産様式美系バンドのフルアルバム。とは言っても制作途中でギタリストでありメインソングライターの藤田哲也氏は帰らぬ人となる。そういう不幸に見舞われつつも、残りのメンバーが楽曲を完成させることに尽力、こうして出来上がったのが今作となるのだが、これが激アツの古典HM/HRが展開。完全にリッチー・ブラックモアタイプのギターだが、その完成度言うのかフォロワー具合が素晴らしいモノであり、そのギターをサポートするようにキーボードの田口雅敏の才気溢れるプレイで魅了。
また唄入れを行った、岡崎勝利も楽曲を壊すことなくキレのある歌声を披露。皆で藤田氏のギターを盛り上げています。
こういう素晴らしい作品を作りながらも、藤田氏がこの世にいないという現実に、こちらとしては放心状態となりますが、惜しい人物だったなぁと悔やまれますねぇ。
パープル/レインボー路線が大好きな紫虹の血を流すマニアにはたまらんでしょう。日本人ならではのリスペクトを忘れない精神性とオリジナルティの確立。もっと前に、このバンドの事を知りたかったなぁ。


SKID ROW - Matt Fallon Demos ★★★ (2022-06-11 17:52:24)

ニール・タービンが解雇された時期にAnthraxのステージに立っていたマット・ファロンがリードシンガーを務めていた時代のデモ音源。オフィシャルな形で世には出ていないが、色んな形でブート盤として出回っている。

1.Midnight/Tornado
2.Forever
3.18 and Life
4.Youth Gone Wild
5.Rattlesnake Shake
6.Rescue You
7.Walk with a Stranger

リリースは1986年、上記楽曲が収録と大半が1stアルバムに採用されているように1986年の時代で音楽性もある程度固まっており、彼らがポッと出の新人でないのを確認出来るでしょう。名曲③の歌メロもセバスチャン・バックが考えた分けではないことに驚かされます。また濁りのあるハスキーヴォイスも同路線と、マット・ファロンが実力の無いアーティトではないことを確認出来ます。セバスチャンのライブでの荒さと、ここで聴ける唄入れはあくまでもデモとして捉えれば尚更です。
貴重な時代の音源ですので、オフィシャルな形で世に出て欲しいですね。多くのマニアに聴いて欲しい意欲に溢れたデモ音源。1stアルバムにこぼれた3曲も単なるボツ曲として見捨てられない1986年仕様のSKID ROWサウンドを楽しめます。ある意味、そっちがメインかも知れませんね。


Fallon - Fallon ★★★ (2022-06-11 17:36:38)

知る人ぞ知る初代SKID ROWのシンガー、マット・ファロンのバンドによる音源。リリースは2015年との事だが現物を見たことがないので詳細は不明。そもそも、実態のあるバンドだったかも不明。さらには、何時の音源なのかと分からない事だらけのフルアルバム形式。12曲入りで最後の2曲がデモと言われても?である。
そんな詳細の分からない音源がストリーミングサービスだから楽しめるのですが、興味のある方は是非とも視聴して欲しいですね。2015年リリースとは思えないバットボーイズロックを展開、完全にSKID ROWの1stを踏襲するスタイルは懐かしさが満載、恥ずかしげも無くど真ん中で鳴らしているので、こちらも余計な詮索などせずに楽しめます。それなりの音質は当然ですが、そういうマイナス点を割り引いても、懐かしい時代を想起させます。アコギの映えるバラードなど、セバスチャン・バック風味も醸し出し、なるほど、この声があるから初代SKID ROWのシンガーになれたんだなぁという事を確認出来るでしょう。
オリジナルは現役のバンドして活動、こういう路線をやりません。それだけに、懐かしい時代の音楽性をお探しの方には、チョイとしたサプライズ感覚で楽しめるでしょう。潔癖な方にはとてもすすめられませんが、やり過ぎな面も込みで面白いですよ。


METALITE - A Virtual World ★★★ (2022-06-10 13:40:18)

勝負となった3枚目のアルバム。今回はシンガーも変わらず本格派の歌姫、エリカ・オールソンが引き続き唄っています。とにかくド派手に軽やかに踊りまくっています。やり過ぎだと感じるくらいダンサンブルなリズムを大導入するナンバーもあったりするのですが、ここでは音楽性も熟れてきた印象が強く、なんと例えれば良いのかいい例えが見つからないのだが、バンドとしての一体感というのか、このEDM+メタルという究極のミスマッチを演出する黄金比を見つけたような印象を抱かせる。
北欧というバックボーンもあるのかABBAのメタルヴァージョンと言えば良いのかなぁと思わせる軽快なビートと大衆性、個人的には④位で脱落するのだが、ギターソロになると急にメタル度を増したりと、脱落しかけるワタクシに手を差し伸べてきます。
この手のスタイルは、初心者にとっては馴染みやすく敷居を下げている。ヘヴィなグルーブやメタリックな質感、そういうモノよりもスピードやノリの良さ、そういう点に重きを置くマニアならば、こちらのバンドの方が楽しめるでしょう。
BABYMETAL的なバンドもイケる方ならば尚更だろうし、シンコーミュージック激押しアーティストのネモフィリアよりも、質は高く大人の事情を感じさせない真面目な取り組みが、音楽性の底上げに貢献している点も見逃せません。本気で、このメタルダンスミュージックをやっているのです。
個人的にはハマらないのだが、お金も掛からず音源を楽しめる今、こういう音を若い人に振れて貰い、メタルに対する偏見を無くして欲しいと思いますね。ABBAメタルだよなぁ。


FM - Thirteen ★★★ (2022-06-09 14:03:07)

ブリティッシュロック界の大物と言っても過言ではない大ベテランバンドによる通算13枚目のスタジオアルバム。オープニングから、その威厳に満ちあふれたメロディアスロックを展開、AOR調の②への流れも素晴らしく、今作に対する期待値も爆上がりです。
スティーブ・オヴァーランドの歌声も円熟味を増しつつも輝きを失わないパフォーマンスを披露、多彩な楽曲を用意したアルバムの中で、全てをFM印に変えてしまう存在感に唸ります。またバンドの唄を軸とした作り込みを行っているので、そのあたりのバランス感覚にも一日の長を感じずにはいられませんね。
総じてベタな世界観です、大衆性のある良識的な音楽性、人を不快にさせないハードでメロディアスなロックサウンドは英国流儀に彩られています。この手のスタイルならではの親しみやすさ、その中でも適度な緊張感は、聴き手の好奇心を刺激し飽きさせることなく最後まで聴かせてくれます。この力業にこそFMの魅力を感じますね。
等身大のメロディアスロックの旨味、ベタに敵う物なしを体感させてくれる至高のロックサウンドに魅了されっぱなしでした。


OUT OF THIS WORLD - Out Of This World ★★★ (2022-06-06 13:33:42)

おいおいおい、キー・マルセロとトミー・ハートの二人でKEE OF HEARTSやっていたじゃん。ややここしい二人が中心となるメロディアスロックバンドのデビュー作。なんか混同しますよね。そういう外見的な問題を感じましたが、サウンドの方も同系統なれど、こちらはキー・マルセロがイニシアチブを握り、懐かしのロン・ネヴィソンをミキシングに迎え、80年代テイストを全開で披露。
ヴァン・ヘイレンみたいな楽曲まで放り込み、とにかくMTV全盛期を思わせる煌びやかな路線を展開、嫌みの無い大衆性と健全はハードサウンドの持つパワーは光り輝いており、硬軟交えた楽曲に潤いと彩りを与えています。
やや、声に艶がなくなったなぁと思わせるトミー・ハートだが、この手のサウンドに対する適正は既に実証済み、今更、注文をつけられるようなアーティストでもありませんよね。
総じて懐かしいです、キーのギターワークは余裕のあるプレイでも存分にテクニックを盛り込み魅了、ドン・エイリーのプレイも前目に出して軽やかなハードポップサウンドに華を添えています。
ある意味、予定調和のスタイルだし、KEE OF HEARTSの第二弾じゃないのかね?という気持ちも拭えないのだが、両者に対する期待通りの作風は多くの支持を集めるでしょう。第二弾があるのならば、もう少し個性というか欲を見せて欲しいですね。


Phantom Excaliver - 幻の聖剣 ★★ (2022-06-03 17:48:41)

自らの事をメロディックスピードデスメタルと呼ぶ、やり過ぎ感MAXの国産バンド。我らがサーベルタイガーと同じステージに立つと言うことでチェックなのですが、全力で悪ふざけを行っています。それがイケるかで評価が大きく分かれるでしょう。劇クサのメロディアスなフレーズを奏でるギターワークは、メロディックスピードデスメタルに偽りなし、日本人による日本人好みのメロディックなフレーズも連発、サビではキャッチーに歌い上げ、親しみやすさもアピール。雑食感のあるごった煮サウンドを、メロディックという言葉の元にまとめ上げた手腕は見事でしょう。こっち方面に造詣の深くないワタクシは、彼らがもの凄いパクりをやっても気がつかないので許して欲しいのだが、とにかく親しみやすいサウンドで勝負している。ド派手に打ち鳴らされるドラムもカッコいいしバンドサウンドの底上げにも貢献、今の若い人ならば存分に楽しめるような、お楽しみ感も強く、コミカルさが上手く転べば、一般的な層にも食い込めるような魅力がある。
主食となるような音源ではないが、ハロウィーンとかアングラなどのメジャーなメロディを展開するパワーメタルサウンドが好きな方ならば大いに楽しめるかと思いますよ。でもおふざけを許容する度量は必要ですがね。ガルネリウス+セックスマシンガンズって感じなのかも知れません。
オジサンにとっても、大真面目にメタルと向き合っている事に驚く。伝統的なマナーを踏襲しているんですよね。


SEPULTURA - The Mediator Between Head and Hands Must Be the Heart (2022-06-03 12:35:33)

知らない内にメンバーも大幅に変わり全く違うバンドのような構成になっている事に驚いた。豪放磊落、過激なサウンドは時代性のど真ん中を走っており、モダンなヘヴィグルーブミュージックが好きな人にはたまらない内容だろう。とくに最先端を追いかけるマニアならば、大好物なアリーナサウンドである。
この手のスタイルは2000年以降ドンドンと生まれアメリカのハードシーンの主流となりつつあるわけだが、カヴァレラ兄弟がいないのだから、こういうスタイルになることに驚きはない。当方は古い人間なので最先端サウンドを聴かされると場違い感を味わい木っ端ずかしい思いしかしないのだが、それにしてもモダンである。これは売れたのだろうか?
旧来のファンには、おもてたんと違うとなるだろうが、バンドの顔が変わり、それなりにプレッシャーもあったろうが、そういう気負いも味方につけ、モダンヘヴィグルーブコンセプトアルバムなるものを作り上げた意欲は認めるべきでしょう。このジャリジャリとしたサウンドメイクに、伝統的なマナーは存在しません。その最先端さが大きく評価を分けるでしょうが、この作品は長いキャリアの中で一枚か二枚はある実験的な作風として楽しむべき一枚でしょう。前作と次作を聞き比べれば顕著なのですが、2013年てこういう時代だったのかなぁ?


BURNING RAIN - Face The Music ★★★ (2022-06-02 12:06:41)

ダグ・アルドリッチと言えば苦労人というイメージが圧倒的に強い。世良公則とアコギによるデュオでツアーしたりと、ダグ・アルドリッチの行く末を案じていましたが、DIOに見切りと付けギャラの良いWHITESNAKEに加入したあたりから好転したようで、色んなバンドに顔を出し精力的な活動をしているように感じる。ドサ回りをせずに飯が食えているのなら幸いですね。
今作を聴き真っ先に感じたのはホワイトブルースを基調としたダイナミックなハードサウンドを展開、豪快なヘヴィグルーブと渋めの楽曲はモロにWHITESNAKEを想起させるモノであり、いい意味でのインプロヴィゼーションを感じさせるライブ的ノリが楽曲から醸し出されており、腕のあるベテラン組から生み出される生身のロックに唸ります。
ゆるくやっているようで緊張感が漂い、その静かなバトルは熟練されたモノ達が習得した技巧をたっぷりと贅沢に味わえます。かつては教則本のようなギターソロと叩かれたダグも、エモーションを込めたプレイで魅了。ビックインジャパンの代表的なミュージシャンと言えるダグだが、もうそんな悪口を言われるようなアーティストではないだろう。
本家であるWHITESNAKEは80年代後半の成功で見せつけたエンタメ性の高いバブルロックを今もやっている。モダンでゴージャスなサウンドで天下を取ったが、もはや初期の頃とは別物であった。今作は、そんな本家にないバンドとして生身のバイブが存在する。古典ロックかくあるべきな制作環境とミュージシャンシップが生み出した輝き、ブルースベースのハードサウンドが、好みの方にはドンピシャの音楽性であろう。


PRAYING MANTIS - Katharsis ★★ (2022-06-02 11:42:03)

日本では根強いファンを獲得している叙情派HM/HRバンドのフルアルバム。メンバーチェンジが多く腰の座りのわるいイメージもあるのだが、今回は前作のラインナップを引き継いでいるようで、このあたりも安心材料ですよね。レーベルはメロディアスロックの総本山、我らがFrontiersですから、再生前から音が聞こえてきます。
そんな盤石の体制から生み出された今作は、彼らの専売特許と言える憂いのある叙情派サウンドを真っ向から展開、その嫌みの無い温かみのあるメロディにホッコリとさせられます。初期の頃のような荒さや、ロック然として攻撃性は弱いかも知れませんが、多くのファンが待ち望んでいるスタイルを踏襲、スリルと引き換えに安らぎをもたらす、癒やし系ハードサウンドは、常に自らに求められているクオリティを超えてきています。
新しさを拒むのではなく、やんわりと拒絶している古典ロックの輝き、それは現代人が忘れている精神性のように感じられる。フォロワー数が、その人間の価値を計るモノならば、直ぐにでも音楽性を変えるべきである。
しかし、ここには伝統が息づいている。それで良いのではないのだろうか?代わり映えのない清い姿勢、時代を超越した優美なハードサウンドの凄み。ここは素直に耳を傾けるべきでしょう。


BLACK EYE - Black Eye ★★★ (2022-06-01 13:37:16)

最近ではTANKでも唄入れを行っている実力派シンガーのデビッド・リードマンが中心となり結成されたプロジェクト。彼の才気溢れる歌声を中心にハードでメタリックながらもメロディアスなサウンドを展開、バリバリキーボードを前に出した作風もあったりと現代的な音楽性で勝負、どんなタイプの曲でも押しの強さを見せつける歌声はバンドサウンドの肝、パワフルかつエモーショナルなリードマンの存在感を強める楽曲構成に唸ります。
その見せ方の上手さのおかげで、聴いているこちらは飽きませんが、いかにもFrontiers Recordsな音楽性に少々胃もたれも起こしそうですが、そこは趣味嗜好の問題でしょう。盤石の体制から生まれたクオリティの高さ、硬軟交えつつも攻撃性を緩めない音楽性、華やかな80年代テイストを現代にアップデートした音楽性に古さなど皆無。まさに真性メジャーメタルとして受け入れられるべき力作でしょう素直にカッコいいですねぇ。ワタクシは貧乏くさいデモ音源の板起こしNWOBHMを聴きすぎました。


THE BIG DEAL - First Bite ★★★ (2022-06-01 13:27:23)

女性シンガーを二人擁するメロディアスHM/HRバンドのデビュー作。名門Frontiersレコードからのリリースなので間違いはありません。既に先行リリースされたカヴァーソングの3曲の出来も素晴らしく(ABBAのGIMME GIMME GIMEE,NIGHTWISHのAmaranth、EUROPEのRock The Night)オリジナル作に対する期待も高まりましたが、このバンドは見事に高いハードルをクリアしています。

東欧諸国出身のメンバーらしい哀愁のメロディを軸にメジャー感の高い厚みのあるサウンドを展開、キーボード兼ヴォーカルのネヴェナ・ブランコヴィッチは両面でも一流の腕を持ちリアル二刀流としてバンドサウンドに貢献、ギターを担当するスルジャン・ブランコヴィッチも腕利きのギタリストだがソングライティングの面でも一流の腕を披露、このバンドの根幹を支えています。今回はベースで参加する我らが、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオも顔を出しており、このあたりの人選も安心材料に繋がるでしょう。

全11曲、40分少々のランニングタイムが示すように楽曲はコンパクト、それでありながらも豊かな音楽性を披露しており、徹底した無駄を排したSDGsサウンドを展開しており、アナ・ニコリッチとネヴェナ・ブランコヴィッチのツインボーカルが音楽性に華と潤いを与えています。ソロでは才気を剥き出すギターもクールだ。
唄モノだがバランスのとれたハードテイストの練り込む方の上手さにレーベルに対する信頼度を感じますね。


SAVATAGE - Poets and Madmen ★★★ (2022-05-30 13:02:30)

2000年という時代に真っ向から対峙した意欲に溢れた一枚。荒々しいサヴァタージサウンドと濃密な世界観の融合、ここで聴ける静謐なるクラシカルテイストと、パワフルなヘヴィメタルスタイルをぶつけ合うことで独自のスタイルを磨き上げている。ある意味、サヴァタージと言えばな音楽性をより深化させることで独自性を強烈にアピール。どの曲にもドラマがあり、その起伏に富んだ展開は耳を捉えてありません。噛みつくようなラフな唄い回しも、荘厳なるバンドサウンドに食らいつき獣性を加味させている。
自分たちの型を持つバンドの強み、去ったメンバーもいるが、そういう事態も乗り越え結束力が増したと思わせたのも今作の評価を上げることに繋がっているだろう。何を聴きたいかで評価も分かれるのだろうが、2001年に新章のページを捲ったと感じさせた古典と新機軸の両面をバランス良く打ち出した今作は大いに支持できますね。


RUNNING WILD - Port Royal ★★★ (2022-05-29 12:44:47)

今はACCEPTのドラマーとして知られるジャーマンメタル界を支える凄腕ドラマーのステファン・シュワルツマン、ベースはGrave Diggerで活躍するイェンス・ベッカーにスイッチして制作されたフルアルバム。上昇気流に乗りつつあったバンドだけにメンバーチェンジに対する不安はあったが、揺るぎなきロックンロルフ節に些かの陰りはなく、むしろジャーマン由来の剛毅なパワフルサウンドは、新生リズム隊の推進力の強さもあり、より屈強なモノへと強化。ロルフ特有の叙情的なメロディとの相性も良く、このバンドの流儀を高めている。
とにかく類型的なスタイルに何の疑いもなくやり切っている、スピード、パワー、メロディという三種の神器を旗印に掲げ、ロルフ船長は広大なミュージックシーンの大海原へ舵を切ったと言えよう。このスタイルを突き詰めることがバンドの全てなのだが、同時にそれは限界のあるスタイルでもあるのだが、勇壮なメロディックパイレーツメタルサウンドが放つ、バトルティックなサウンドに闘争心をかき立てられます。
今となっては忘れ去られた感のあるバンド、1988年という時代に、逆行するかの如き融通の利かない音楽性は、それなりの大衆性も取り込み折衷していた事は間違いない。自分たちの型を持つバンドの強み。それが後年、マンネリズムに繋がり航海を止める時期もあったのだが、ここで聴けるスタイルは、彼らの未来を明るいモノであると確信させるだけの魅力を放っています。


LOVEBITES - Glory, Glory, to the World ★★★ (2022-05-28 12:12:37)

日本を飛び出し海外でも根強いファンを味方につけている国産ヘヴィメタルバンドが2021年にリリースしたEP。既発音源もなく純粋な新作というのが嬉しい限りですが、コロナ渦の影響をモロに受けており一番勢いのある時に足踏み状態なのが悔しい限りです。
このバンドの人気は、シンコーミュージックごり押しのネモフィリアとは違い、地に足をつけて活動している点に尽きる。女を売らずとも音楽性で勝負をするタフな女傑チーム、その筋金入りのメタルサウンドは、古典に埋没する古典主義とは一線と画すモノであり、現代ハードシーンに息づく本格派のバンドサウンドを貫いている。
この姿勢はマネージメントの企業努力に尽きるのだが、高潔なる精神性を音楽性に落とし込み多くのファンに対する忠実なるスタンスを貫いた、その一点に頭が下がります。
もっと、今っぽい曲をやろうと思えば幾らでも出来たはずである。目先の成功に囚われるならネモフィリア戦法で十分だ。
ここには、雑誌編集者にお酌をするメンバーの姿は思い浮かばない。男性社会の枠組みの中で、活動するのは大変だろうが、女性メタルバンドの先駆者としてシーンを切り開いて欲しい。
メロディアスかつハードなサウンドは、ヘヴィメタルという枠組みながら、ジャンルを超えて受け付けられるセンスのある音楽性が詰まっている。重厚なドラマを積み立てた大衆性も完備した渾身の一枚。EPでは物足りないと思わせる力の漲る一枚。


V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Tribute to the Scorpions(Six Strings, Twelve Stings) ★★★ (2022-05-24 12:30:54)

1.Here I Am (Rock You Like A Hurricane)
Kelly Hansen

2.Still Lovin' You
Steve Whiteman

3.Falling In Love
Marq Torien

4.Big City Nights
Kevin Dubrow

5.Blackout
Stevie Rachelle

6.No One Like You
Jizzy Pearl

7.The Zoo
Joe Lesté

8.Steamrock Fever
Phil Lewis

9.In Trance
Kory Clarke

10.He's A Woman, She's A Man
John Corabi

11.Holiday
Paul Shortino

12.Lovedrive
Taime Downe

上記楽曲が収録されたスコーピオンズのトリビュートアルバム。2004年にMausoleumからリリースされています。タイトルの下に参加シンガーを記入していますが、これが興味をそそるラインナップ。L.A界隈でくすぶる中堅からベテランが一堂に顔を揃えます。
概ね有名な曲ばかりを選んでいるので聴きやすいでしょうし、オリジナルとの比較も簡単と親切ですが、大きく期待を裏切るような展開はありません。
バックを支えるメンツのリードギターでジョージ・リンチが参加、ここはマニアにとっては最大のポイントでしょうね。ベタな曲をジョージがどう料理するのか、選曲はギタリスト目線ではありませんからね。それだけに筋肉ムキムキ男のカミソリギターを存分に味わえます。強引さも込みでジョージ印満載。リズムギター担当はブレットボーイズのジョン・モーリス、ドラムとベースはL.Aガンズからチャック・ギャリック、スティーブ・ライリーの二人、身近なところで済ましていますが、演者が変わればニュアンスがここまで違うとは驚きましたね。
やはりアメリカ人に欧州産の泣きは理解されないという事でしょう。そのニュアンスの違いが合わなければイマイチとなるでしょうが(合わないヴォーカルもいるしね)トリビュートアルバムの楽しみ方としては、これは大ありでしょうね。
やっぱりお国柄ってあるんだなぁ。カヴァーしてもあの味は出ないモノね。
それにしてもポール・ショティーノは何を唄っても自分のカラーに染め上げますね。ケヴィン・タブロウの押しが強いわぁ。


DIVLJE JAGODE - Konji ★★★ (2022-05-20 23:38:17)

知る人ぞ知るクロアチアを拠点に活動する東欧産のHM/HRバンドによる1988年にリリースしたアルバム。時代性も反映させたのか、音楽性にも変化が訪れている。大衆性を補完するようにキーボードプレイヤーを正式に迎え入れ柔和な姿勢も打ち出し間口を広げてきた。また、シンガーもムラデン・ヴォイチッチ・ティファに変更とリニューアルを行っています。
元々大衆性を持ち合わせていたバンドだけに、ここで聴けるスタイルに大きな違和感はない。むしろ、癖を薄めワールドワイドな展開を視野に入れてきたと好意的に受け止めることが出来る。脆弱な環境の中、今のようにSNSで情報を共有出来ない中で、世相を読み動いてきたことは賞賛に値するとも言えるが、もう少し厳つい方がメタルバンドらしいと言えるので、そこは評価の分かれるところでしょう。
また、拝借具合も気になることろ、インストナンバー④などトルコ行進曲をモチーフにしたりしているが、元々があの曲だろうと思ったり、全般的なツメの甘さは否めないのだが、後期レインボーにも通ずる大衆路線に舵を切った今作にも聴かせる場面は多く、共産圏において西側の音楽が、どれほど影響を及ぼし社会に根付いたのかの一旦を垣間見た気がします。