NWOBHMが生んだ幻のバンドSALEMが2013年に突如リリースした1st。その前の2010年に「In the Beginning...」というデモ音源のCD化作品は知っていたのですが、再結成を果たしそのご2枚のEPを世に送り出したあと、満を持してのフルアルバムだったんですね。いかにも暗く英国らしい暗く湿り気を帯びたメロディと威厳に満ち溢れた美しいハーモニー、そこにタイトなリズムが乗り、王道を行くリフワークで構築されたサウンドが生み出す叙情的かつ泣きを誘発するサウンドメイクは素晴らしい出来栄えを誇りNWOBHMとはなんたるかを凝縮した一枚。もう少し攻撃的な面が欲しいNWOBHMマニアもいるでしょうが、ドゥギー・ホワイトにも通ずるエモーショナルな歌声と叙情的なメロディが映える芯の太いNWOBHMサウンドの相性は抜群だし聴いていて実に心地が良い。NWOBHMマニアのみならず王道を行くバンド群と遜色のない伝統を継承するスケールの大きなサウンド、是非とも多くの人に触れて欲しい一枚ですね。
ちなみに今作にはデジパック仕様の2枚組とデカイポストカートにTシャツとLive In HaalemのCDがついた3枚組があります。僕がもっているのは3枚組みなのですが、この2枚目が熱い。一部のマニアにはいまだに認められてもらえない「Crusader」から2曲リメイク。ブルージーな「Just Let Me Rock」に「Crusader」はストリングスを大胆に導入した新生ヴァージョン。「Solid Ball of Rock」収録の「Requiem (We Will Remember) 」はアコギヴァージョンで生まれ変わり、同じく1st収録の「Frozen Rainbow」、そして「Forever Free」の現ラインナップによりセルフカヴァーと興味深い楽曲が収録されています。