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ACID STORM - Why?... Dirty War ★★★ (2022-03-09 11:56:44)

ブラジリアンスラッシャーによる1989年にリリースされた幻のEP。今作はボートラを6曲追加して再発された一枚になります。とは言え現物は見たことないんですけどね。簡単に楽しめる現代なので興味のある方は是非ともトライして頂きたい。

南米スラッシャーですが、以外と聴きやすいダイハードなスラッシュサウンドを展開、殺傷力抜群のリフワーク、そこに食らいつく強靱なリズム、その過激な演奏がスクラムを組み突進、一体感のあるサウンドを形成することで、より力強いスタイルへと変換しています。先人達からの影響もふんだんに取り込み、ギャロップするリフとビートにグイグイと引き込まれます。
今となっては実に懐かしいスタイルであり、初期型スラッシュを愛するマニアには、隠れた名盤として愛聴出来るでしょうね。
特に、アメリカでもドイツでもない南米というのがポイント、ギターも以外と綺麗にまとめ上げ、ソロ以外でも汚らしい音像の中で、ヒステリックにならずにメタルの様式に沿うようなプレイを随所に見せています。
先の読めない展開も、お約束感はあるのだが、キャッチーな親しみやすさもあり、唄も咆哮タイプではないので聴きやすさを誘発しています。スカッと爽やかダーティースラッシュメタルは、サウナー感覚で良い汗を流せるでしょうね。

戦争は何時だって汚いもんですよ。

後半はあくまでもデモ、音質も良くないですし、個人的には評価に値しないというのか、やはりデモはデモ、お楽しみの一つとして受け止めていますね。そして90年代になっても自分たちのスタイルを維持している事に驚かされた。正式な音源として聴きたいです。勿体ないよ。


PROUD - Second Act ★★★ (2022-03-06 14:04:11)

アルバム一枚で消えた幻のバンド、プラウドが復活を果たしています。これには驚きましたがリリース元のレーベルに二度驚かされた。ドイツのメロディアスロックの総本山、AOR Heavenからである。こうなると二の足を踏むのですが、お金が掛からない環境なので迷うことなくクリックですよ。

ある意味、参加メンバーも含め、別のバンドと捉えるべき音楽性の変貌、洗練された叙情派スタイルに1st時代の攻撃的なスタイルは見当たりません。しかし情緒のある北欧らしい優美で冷ややかなメロディは、まさにお国柄とも言える魅力が満載、シンガーだった‎アンダース・マグネル‎がギターを担当しているのだから、こういう路線に落ち着いたとも言えますが、とにかく唄モノロックマニアが聴けば胸キュン間違い無しの楽曲が満載、北の夜空に輝くオーロラサウンドが展開されています。
②なんて裏でなるピアノの旋律も美しく、もうチョイ目立たせればと思うくらい美味しい味わいがあります。
ほとばしる哀愁と甘いトーン、この華麗なる美旋律を歌い上げるシンガーの力量と徹底した唄を聴かせるアレンジに唸りますね。ここは評価が分かれるかも知れませんが、ソフトケイスされて生まれ変わったプラウドサウンド。その細部に拘ったアレンジと情感豊かな歌声にため息が溢れ出ます。個人的には、もう少し各パートの分離をよくしてくれたなら聴きやすくなったと思いますね。特にキーボードは多彩なプレイとアレンジで耳を惹かせています。


なんだかんだ言いましたが簡単に試聴できる現在ならバンド名を知る知らない関係無しに勝負して欲しい一枚ですよ。色々聴いて見識を深めてください。ライナーノーツに目を通し雑誌のレビュー片手に音楽を語っても信用は得られません。音楽は音を楽しむモノですからねぇ。


SUNRISE - Absolute Clarity ★★★ (2022-03-06 13:44:07)

ウクライナ産のメロディックパワーメタルバンドの3rd。国内盤はボートラ2曲追加でSpiritual Beastから出ています。
欧州由来の情緒のあるメロディとサビで弾けるキャッチーさ、お手本となるバンド達からの影響もにじみ出しながらも、嫌われないようにオリジナルティとリスペクトを上手く混ぜている。メンバーを刷新した事もバンドサウンドのパワーアップに繋がり劇的なドラマ性を盛り込み聴き手を飽きさせぬよう工夫を凝らしています。
前作からのインターバルも無駄とは思わせない、しっかりとした枠組みの演奏と楽曲構成、ストラトヴァリウスやソナタ・アークティカ等が好きな方なら大いに満足して頂けるでしょう。良い意味で垢抜けたバンドサウンド、日本人にも通ずる、スクラップアンドビルド方式にも目を見張ります。壮麗な世界観を演出するキーボードも効果的に機能、根幹にあるベーシックなメタルサウンドを土台に、見事、彼ら流儀のメロディックパワーメタルを展開しています。


CHINA - Alive ★★ (2022-03-05 19:02:43)

Marc Storace & China名義でリリースされた幻のライブアルバム。こんなコラボがあったなんて最近まで知りませんでした。チャイナの曲を中心にはしていますが、DPやZEPのカヴァーも登場。サミー・ヘイガーや当然クロークスからもやっていますので、チャイナ色は薄めです。
もっとメロディアスで繊細なサウンドを基調としたライブかと思っていたらマークの豪快な歌声を生かした、活きのいいロックサウンドを展開。ライブならではのラフさも加わり、メジャー感と骨太なロックサウンドは上手く調和している。
個人的には1stや2ndが好きなために、少々、野暮ったさも感じるのだが、American Womanやってたからなぁ、こういう曲調が基本路線なんでしょうね。ある意味、チャイナとクロークスの合体というスイスロックオールスターなる印象もあるだけに、こういうお祭り感は大切でしょう。でも主役は完全にマークですけどね。
名曲In The Middle Of The Nightも熱さが加わりましたねぇ。
シンガーが違うとこうも分かるのか、チャイナというよりはマークのソロに近い熱さMAXのライブ盤です。違うバンドだねぇ。


MEMORIA AVENUE - Memoria Avenue ★★ (2022-03-05 18:44:30)

スウェーデン産のメロディアスHM/HRバンドのデビュー作。フロンティアレーベルが絡んでいるので、その筋の唄モノマニアなら、まずはアンパイと言いたくなるでょうね。プロデューサーとして名を連ねるBig Cityのシンガーでもあるヤン・ルブラント、ギターはトール・タッレ、キーボートとドラムはDa Vinci組とか、まぁマニア泣かせのラインナップです。
その北欧風味満点、爽快感たっぷりのAOR風ロックは、予想通りとも言える展開で魅了。予定調和過ぎるために大きな裏切りはないのだが、全12曲一定のクオリティをクリアーしているのはありがたい。しかし、聴き進むにつれ飽きのサイクルも同時に訪れるのが難点。一曲の出来は良いのだが、通して聴くには、もう少し色を変えるべきだったろう。
でもここは趣味嗜好の問題、唄モノロックマニアならば大いに楽しんで貰えるでしょう。逆に採点が厳しいかも知れませんけど。


SODOM - In War and Pieces ★★★ (2022-03-04 12:51:32)

時代の流れもあり音楽的に幅を広げてきた時代を象徴するような一枚。苛烈なるスラッシュと言うよりは、オーセンティックなメタルへの接近も計り、そこに欧州由来の泣きのメロディも増量と前作のスタイルを踏襲するような音楽性に落ち着いた。しかし、だからと言って彼等流の尖りが失くなったわけではなく、自らのルーツなる豊かな土壌を示したに過ぎないでしょう。
相変わらず、エンジェルリッパー隊長は吠えまくり、全線で身体を張るメタルキッズを鼓舞してますからね。
とはいえ、熱狂的なファンが求めるのは、もっと直情的で殺傷力の高いやつだから、ここは聴き手によって評価も別れるでしょう。
個人的には、チョイチョイ引っ掛かる扇情的なメロディはけして無駄なものとは思えず、新たなる戦隊を組んできたなぁと、可能性の広がりも感じます。彼等のカタログを見え、これからイケとは言わないが、ドッカンバッカン打ち鳴らされる、爆音ドラムに身震いさせられます。迫力十分ですよ。


SCORPIONS - Rock Believer ★★★ (2022-03-02 14:14:27)

ベテラン中のベテラン、今だ現役であることに驚かされるスコーピオンズの最新作。前評判通り、80年代的キャッチーで勢いのあるメジャー感バリバリの王道サウンドを披露。ある意味、デジャブ感は拭えないが、今さら奇をてらった冒険を必要としない年齢になっているので多くのファンは大歓迎しょう。限られた時間との戦い、正直衰えは隠せないが、元気溌剌がギリ許させる体裁を守っています。多才リズムを叩き出せるミッキー・ディーのドラムもバッチリはまり新鮮な空気を運んでいますね。イマイチ覇気のないアルバムをリリースしている大御所の中でスコーピオンズは良い成功例を示したと思う。50周年を祝うに相応しいアルバムですね。


SUPERNOVA PLASMAJETS - Supernova Plasmajets ★★★ (2022-02-27 13:35:30)

女性シンガー、ジェニファー・クラッシュ嬢を擁するドイツ産80年型HM/HRサウンドを大真面目にオマージュするバンドの1st。人によっては受け付けられない大胆な取り上げに驚きますが、完成度は高く逆に清々しい位です。女性らしいしなやかさと、サウンドに負けないパワーヴォイス、この妖艶なる女性シンガーの存在そのものが音楽性の良し悪しをキメているような側面もあり、楽曲に合う合わないで評価も分かれそうだ。古くて新しい王道スタイル、正直、少々今っぽいがハズくてイマイチのめり込めなかったりするのだが、見た目以上に硬派なスタイルを貫いているので試聴感は悪くない。しかし、ああいうキャラ設定も含め苦手は人はとことんダメだろう。
肩肘張らずにハードでワイルド、そしてカッコイイ女性がいるバンドサウンドを楽しんだ方が勝ちでしょう。ドイツ人の真面目さが好転させているのは間違いない。
唄も上手いし、なんだかんだ言って懐かしい空気感はむしろウエルカムですよね。若い人には新鮮に聞えそうなサウンドメイクだというのもポイントですね。


ZELBO - In My Dreams ★★★ (2022-02-27 13:07:34)

2017年にあのDA VINCIが復活してアルバムをリリースしたのに驚きましたが、今作はそのDA VINCIのキーボード、ダグ・セルボスカーが中心となり活動するメロディアスHM/HRバンドの1st。
オープニングから極上のメロディアスサウンドで幕開け、思いのほかエモーショナルな押しが強めの歌声に少々驚いた。ギターも前目だし、けしてキーボード中心の音作りという分けではないが随所の顔を出しています。そのメンバー全体が押し引きを心得たプレイで楽曲を色彩美豊かに飾り立てることで、こちらの期待以上のドラマが展開されています。その筋の北欧系ハードポップサウンドが大好物なマニアならグッとくること間違い無しですね。
ケン・ヘンズレーと活動を共にしていたギターのケン・イングワーセンな邪魔しないギターで迫ってきます。甘めのAOR調の曲が続き少々飽きがきたなぁと思ったらハードめのイントロが耳を惹く⑥がいい、70年代テイストもチョイ足されたメロディアスサウンドの旨味、こういう演出に掴まれますよね。
ツボを押さえたアレンジと古さに埋没しない現役感のあるサウンドメイク、ジャンルや時代を超越するメロディアスサウンドの旨味、チョイハスキーな歌声もドンズバでハマっていきますよね。ええバンドです。かつてのDA VINCIが静ならば、こちらは完全に動の極意ですよね。


RECKLESS LOVE - Animal Attraction - On the Radio ★★★ (2022-02-25 14:50:30)

売れそうな曲だなぁ
ここまで当たり前に振る舞われたら文句も言いません
○○風を味方につけていますねぇ


RECKLESS LOVE - Animal Attraction - Born to Break Your Heart ★★★ (2022-02-25 14:48:30)

こういうメロウな情熱系サウンドはいいねぇ
狙いすぎかも知れませんが大好物です


RECKLESS LOVE - Animal Attraction ★★★ (2022-02-25 14:47:16)

いかにもNWOTHMな作風であるのだが、流石は北欧メタルな作り込みが耳を惹きますね。壮麗なコーラスハーモニーとフック満載のメロディ、一発で耳の残るポップセンスには目を見張るモノがあります。少々甘口で優等生に感じる部分は無きにしも非ずだが、それでも充実した楽曲とアレンジには確実に需要があり、80年代的作品に漂う古くささやバブリー臭が恥ずかしいと思う若い人には、こっちの方が耳に馴染みやすいだろう。
若くて勢いがあって瑞々しいメロディアスHM/HRサウンドの旨味、ヒット性の高いコンパクトな楽曲の合間に挟まれるハードサウンドは刺激的でしたね。


KEN HENSLEY - Live Tales (2022-02-22 20:19:00)

スペインで行われたケン・ヘンズレーのアコギ時々ピアノで行われたライブ。もうライブというよりはリサイタルと言いたくなる、フォーキーなステージである。シンプルな構成から紡がれる音の調べは厳かな雰囲気もあるが、ファンとの交流もあったりとリラックスしたムードも醸し出している。
自分の持ち歌やヒープの名曲を歌う構成はいつものことだが、本人が気持ちよく唄う姿を拝みたいファンにとってはありがたい一枚であろう。部外者厳禁なステージ故に、初心者には厳しいだろう。特に唄が厳しい、曲が進むにつれて声も出なくなり、高いところは常にキツそう、ヒープ時代のドリーミングなファンタジー路線の曲をぶち壊している。バイロン、ロートンのハイパフォーマンスに慣れた耳ならばなおそうだろう。アイドルのファンでもあるまいし、そこケンさんさえいれば良いというのは別の話。
好きと下手に聞えないのは別次元である。ましてや、それを押しつけるのは常軌を逸する行為でしょう。検閲するのは他の国でやってください。
でも、アコギ一本になりメロディの良さを改めて確認することは出来る。

今回も書き込むが、今に若い人はCDを買わない。サブスクで気軽に楽しむ人生を送る人も多いでしょう。それだけに知識も無く気軽にアーティストの音源に触れることが出来る。これは素晴らしい事であり、予期せぬ出会いに人生がより豊かになるわけだ。
それだけに、最初に出会った作品がポンコツだったら、そのアーティストに対して二度と耳を傾ける事は無いだろう。サブスクはCDショップにある全ての音源を家で楽しむようなモノ、外したアーティストをわざわざ聴かない。
だからこそ、偶然でもサイトに訪れた人たちにいっておきたい。ケン・ヘンズレーは偉大なアーティストである。
こんなもんじゃない。まずはヒープの初期に当たる黄金期の目が覚めるようなオルガンプレイを楽しんで欲しい。そこから辿ることをすすめる。通常、こういう押しつけはやらないのだが、人の投稿に目を通して検閲する輩がいるので今回だけ言及します。

面倒なサイトになったなぁ。誰とも関わらずに投稿していたら突如、裏アカウントを持っているように言われ、他人を攻撃していると非難される。これだけ、おとなしくやってきたのに、人との違いを受け入れられなくなったら人間は終わり。関わりは持てませんね。


KEN HENSLEY - Love & Other Mysteries - Romance ★★★ (2022-02-21 13:25:03)

2曲目で早くもアルバムのハイライトとなるパフォーマンスが登場
グレン・ヒューズの抑え気味の歌声も味わい深いモノがアリ
女性シンガーとの絡みも上々

切ない愛の物語を二人のシンガーが互いの立場で唄い分ける様も実にロマンティック
楽曲のタイトルが示すようなロマンスがあるわけです
甘いねぇ
ロマンだねぇ
センチメンタルですなぁ


KEN HENSLEY - Love & Other Mysteries ★★ (2022-02-21 13:14:56)

前作同様ゲストシンガーを迎え制作されたソロアルバム。アルバムタイトルが示すようなロマンティックな雰囲気も漂わせるアコースティカルなサウンドが主軸のソロアルバム。
動よりも静と言うことですが、これが実に味わい深い作風に仕上がっており、ゲストシンガーのハイパフォーマンスと相まって実に聴かせてくれるアルバムに仕上がっている。

オープニングはお馴染みの地味なケンの声だが、曲調的に違和感はなく印象は悪くない、しかし本編の幕開けはロシア人女性シンガーとグレン・ヒューズの二人によるデュエットソングから一気に世界観が広がっていきます。美しいメロディを際立たせる情感のある唄声、楽曲も魅力を何倍にも膨らませてくれます。③はサラ・ロープが歌い、④ではアイリーン・フォルニシアリと‎ロベルト・ティランティ‎が歌います。この二人は⑩でも共演、ロベルトは⑨でも歌います。⑤⑥⑦⑧とケンが一人で唄うジャイアンリサイタルタイムはあれど、半数の曲を唄で酔わせてくれるパフォーマーが登場するので、彼のソロアルバムとしては前作同様、聴くべき場面は多い。

これだけ良いメロディと繊細なサウンドを際立たせるアレンジがあるのだから、歌い手は重要であろう。心に潤いを与える優美なメロディの数々、たまにはこういう音楽に身を委ね優しい時間を過ごすのも耳を休めるのには丁度良いですよ。流石に全曲通して聴くのは飽きるのかも知れませんが、気分に合わせてチョイスするのが一番でしょうね。


AIRRACE - Back to the Start ★★★ (2022-02-21 12:19:33)

80年代にアルバムを一枚残し消えた幻の唄モノロックバンドが奇跡の復活を果たしました。結局、ドラムの座からジェイソン・ボーナムは降りたが、シンガーのキース・マレルとギターのローリー・マンズワースは健在。この主要キャストを中心に極上のメロディアスHM/HRサウンドを構築しています。元気はつらつな①から哀メロナンバーに②が登場、ここから一気にエアレースらしい叙情派サウンドへと展開、AOR調の唄モノハードサウンドにキースの声はよく似合います。
大きな仕掛けはないがブランクを感じさせない現役感のある音作りは鮮度も高くベタに敵う物なしを体現、多種多様なエッセンスを散りばめたサウンドはキラキラと輝き聴き手を飽きさせることなく最後まで突き進みます。
あくまでもキースの唄が主役なのだが、バックを支えるバンドサウンドも堅実なプレイで存在感をアピール、ドラムも良いしツインギターチームも練り上げたアレンジで見せ場を設けている。そのおかげで全体的なパフォーマンスにも好影響を与え試聴感を抜群に上げているもポイントでしょうね。ノスタルジーでは終わらない復活劇、素晴らしい瞬間に立ち会えました。


TYGERS OF PAN TANG - Crazy Nights ★★ (2022-02-20 20:45:21)

ロドニー・マシューズが描くキングコングをモチーフにしたジャケットも印象的なアルバム。音楽性は完全にアメリカン志向へと向かい前作のようなギラギラとした野心漲るNWOBHMスタイルから交代、最初のアルバムに通ずるような古典ロックへと回帰した。
派手なギターよりも唄を頂点にアンサンブルを構築する路線へと変更、デフレパードスタイルと言えばそれまでだが、多くのNWOBHMバンドはメジャー契約と引き換えに攻撃性を失ったのは、このバンドだけの問題ではない。そういう世相や政治事情を汲み取り音楽を楽しむ必要はないのですが、知っていると知らないとでは味も違ってくるでしょう。また、このバンドの首謀者はロブ・ウィアーであってサイクスではない。
①もさることながら②テンションはだだ下がり、④でようやくエンジンが掛かるのだが、キレのあるリフ主体のNWOBHMから脱却を図る新生パンタンサウンドなので、そことどう折り合いをつけれられるかで評価が大きく変わるでしょう。
前作に比べギターチームのインパクトが弱まった分、全体的な地味さ加減は拭えない、しかし、マイルド路線にしてはジョンの歌声はパワフル過ぎる、彼の声は主張が強い。そんなジョン・デヴァリルの上手さが光るアルバムになっている。最初の3曲のイメージが良くないので、余計にそう感じてしまいます。よく聴けばギターチームの見せ場はあるのに不思議なモノですよ。

ちなみにプロデューサーはAlcatrazzの1stを担当したデニス・マッケイ。


GROUNDBREAKER - Soul to Soul ★★★ (2022-02-19 16:58:15)

FMのスティーヴ・オーヴァーランド率いるメロディアスHM/HRプロジェクトの第二弾。前作から少しインターバルがあったので一発屋で終わったかなぁと思ったら3年ぶりの新作です。英国人シンガーのスティーブの相棒を務めるのはアレサンドロ・デル・ヴェッキオとギターのスヴェン・ラーソン。イタリア、スウェーデン人も加わりメロディアスロック多国籍軍を結成、派手さはないが後方支援に余念の無い堅実なプレイで見事にスティーブの歌声を際立たせることに成功、主役は楽曲であり唄であると言うことを明確にしていますね。
日本ではイマイチ跳ねなかったFMのシンガーであるが故に知名度がイマイチなのが残念。しかしここで聴けるアダルトな味わいのメロディアスロックサウンドは、大人が聴いても恥ずかしくない洗練されたモノであり、スティーブの成熟した歌声に酔わされます。
マイケル・ボルトンのCarrieをカヴァー、その出来映えを聴けば、どれほどの実力者であり、このグループに可能性があるのか理解出来るでしょう。上手いって素晴らしいねぇ。


DAVID MARK PEARCE - Strange Ang3ls ★★★ (2022-02-19 16:42:57)

裏方稼業もさることながらステージにも立ち経験を積んでいた遅咲きのルーキー、デヴィッド・マーク・ピアースのソロアルバム第一弾。シンガーに北欧メタルの貴公子ヨラン・エドマンとASIA等で唄っていたジョン・ペインも参戦、ギタリストのソロアルバムながら作風は唄を聴かせる楽曲中心の作り、勿論、ソロタイムでは主役たるマークの抜群の腕も見せるが、レコーディングで学んだ技術をふんだんに生かし楽曲を構成。その丁寧で緻密な作りは、どの楽曲にもフックを設け壮麗なコーラスハーモニーを絡ませドラマ性をアップ。実に聴きやすいサウンドを展開しています。
この手の洗練されたメロディアスHM/HRにヨランの声を似合いますからね。間違いないブランド力を発揮、AOR Heavenからリリースされただけのクオリティを誇示しています。大きな仕掛けやずば抜けた個性はないが、そのスリルと引き換えに抜群の安定感を手に入れていますね。


PETER GOALBY - Easy with the Heartaches - Easy With the Heartaches ★★ (2022-02-15 20:22:22)

唄モノロックの幕開けに相応しい
優しいメロディと
力強さを押さえた歌い回しが耳を惹きます
もうちょいガツーンとピーターの歌声を堪能したいのですが
作風的には問題なし
ちょっと狙いすぎというか置きに行っていますけどね


PETER GOALBY - Easy with the Heartaches - I Built This House ★★★ (2022-02-15 20:18:30)

産業ロック黄金期にリリースされても遜色のない出来映え
ピーターの押しの強い歌声もロックなカラーを強め
男らしさを存分にアピール
大衆性がありながらも力強さを損なわないパフォーマンスに舌を巻きますね
これぞピーター・ゴルビーでしょう


PETER GOALBY - Easy with the Heartaches - Take Another Look ★★★ (2022-02-15 20:15:19)

良いですよね
フォリナーあたりを思い出させるセクシーな大人の魅力が溢れています
ルー・グラム風の唄い回しで魅了
上手いねぇ


KEN HENSLEY - The Wizard's Diary Volume One - July morning (2022-02-15 19:59:25)

オリジナルはバイロン
彼のソウルフルで美しい歌声を味わえますが
おっさん声のケンではどうやっても太刀打ちできません
サビに向かってグッと盛り上がるところでも完全に唄い負け
多くのファンが大切にしている曲なので我慢がならないとなるでしょうね
ワタクシは音楽の話をしています
下手だが大好きだという愛情は大いに理解できます
そうやって皆マイアーティスを愛でて楽しんでいるでしょう
外からとやかく言うのは大間違いですし許されませんよ
でも下手か上手いかの違いが分からないのは別の話
豚肉か鶏肉かくらいは分からないとね


KEN HENSLEY - The Wizard's Diary Volume One - Easy livin' (2022-02-15 19:45:36)

軽快なシャッフルナンバー
オリジナルではギターもヴォーカルも力強く
山道を駆け抜ける四駆のようだが
ココで聴けるヴァージョンはワンボックスカーで家族揃ってイオンに行くようなほのぼのとした絵が浮かぶ
スリル皆無のお買い物である
皆で歌い上げるサビのコーラスパートに脱糞
そりゃないぜ


KEN HENSLEY - The Wizard's Diary Volume One (2022-02-15 19:40:23)

ロシアでは大スターとなるケン・ヘンズレー。全ては70年代の短い期間に残した偉業のおかげなのだろうが、西側とは違うロシアでプチスターというのがなんとも涙を誘います。
今の若い人にはどなたでょうとなりますよね。とにかく晩節を汚しまくりチョイチョイ、自分から出て行ったヒープの曲で食いつなぐ人生に涙を禁じ得ません。同情はしますが共感は出来ない自分勝手は男。スター気取りが最後まで抜けず、誰とコラボしても長続きはしなかった男。今で言えばイングヴェイ・J・マルムスティーンあたりを当てはめて頂ければ分かりやすいでょうが?そこともチョイと違うのがポイントです。インギーは、コンポーズとプレイは維持できている。

今作もジョン・ロートンとのコラボ、そしてジョン・ウェットンとの接近などあったがモノには出来ず、その後にリリースされたユーライアヒープの楽曲をカヴァーした企画モノアルバム。
バックはロシア人ミュージシャン、オーケストラも参加とケン・ヘンズレーを囲み、国威発揚とも言うべきスタイルになっている。

唄もギターもオルガンも何でもこなすケン。毎度の事ながら弱々しいレンジの狭い声で気持ちよさそうに歌っています。③なんて情感豊かに歌い上げるバイロンの真骨頂を味わえるバラードだっただけに、その対比はエグい。④みたいなスローナンバーなら誤魔化せるかもしれないが、やはり演歌歌手に指導する作詞作曲家のようなレベルの唄であり、個性もなくリードシンガーを張れるようなパフォーマンスは最後まで訪れない。勿論、持ち唄の⑧はあるが、あれはライブでもお馴染みのダン吉直美のおまけコーナー、この曲が始まれば皆が手拍子で迎えほっこりとする時間の奴である。モグモグタイムがメインでは困るのだが、今作はケンのソロアルバムお馴染みの覇気が無いセルフカバーアルバムです。

前にも発言しましたが、これをマックスの実力だと思って欲しくない。しかし残念ながら、彼のカタログではかなり良い方である。オリジナルは、ジョン・ロートン、レコーディングはジョン・スローマンが済ませたハードでノリの良い曲⑥だが、ここでは、そのハードさが削がれスローマンが持ち込んだソウルフルなフィーリングは木っ端微塵に吹き飛ばされている。⑨に関しては閉口、名曲⑩の世界観は何処へいったのか?と悪口が止まらないパフォーマンスに終始しています。ラストの⑫も万年最下位の草野球チームの補欠と大谷翔平を比較するようなモノ、上げた以外の曲でも壊滅状態である。

恐ろしいモノで、音楽ストリーミングサービスは再生回数が分かるようになってる。誰のなにが人気なのか。これは残酷な話である。
著名人の評価としては救いようもないのだが、最強の楽曲を最弱の唄が台無しにしたのだから一目瞭然でしょう。

正直、厳しい評価になるのは今の若い人は配信サービスで音楽を楽しんでいる。YouTubeもある。例えばSpotifyだとケン・ヘンズレー人気の曲は、このアルバムの⑧だ、その流れで今作に顔を出せば面食らでしょう。だから断言したい。オリジナルはもっと良いぞである。これでヒープに見切りをつけて欲しくない。
ココにあるのは独りよがりの独居老人による趣味の世界である。そう思えばグッと味が染みるだろう。そして最大の功績はオリジナルの良さを誰しも再確認出来るという一点でしょう。南無阿弥陀仏。


CERVETERI - Arabesque ★★★ (2022-02-13 20:55:01)

群馬産の国産HM/HRバンドの1st。お知り合いからSpotifyでも聴けるし古い国産メタル好きのワタクシには向いているバンドと教えて貰いましたね。いくつになってもそういう信頼ある筋からの情報は欲しいですねぇ。
女性シンガーHINA嬢を擁する4人組のバンドですが、正直、音質は良くありません。昨今のメジャー資本の音に慣れている人にとっては、薄っぺらいなぁと感じるでしょうが、ワタクシのような四畳半サウンドに慣れ親しんでいる人間には問題も無く、むしろ人間が演奏しているサウンドに対する信頼度はこちらの方が圧倒的に上です。
今はテクノロジーの恩恵を受けすぎて、皆が機会みたいに味気ない演奏を聴かせてくれます。オジー・オズボーンの最新作なんて、顕著でしたが、このバンドのそういう意味でアナログなスタイルを貫いています。

無駄を廃したシンプルな作りにロックを感じますが、個人的には少々J-POP臭が強い歌い手と歌メロの作りに恥じらいを覚えてしまいます。昔の44マグナムやアースシェイカーの方が臭いだろうと、ススメてくれた人に言われたときは、何一つ反論する気にもなりませんが、そういう若いバンドなのに懐かしい時代のエッセンスを感じさせるバンドではあります。
昨今流行のメタルコアとは違うジャパニーズハードロックとはしょる事無く言いたくなるバンドのデビュー作。良い意味でオーバーダブしない演奏は清いです。
3曲目のKEEP THE FAITHとか頭から好きなのよ、王道ジャパニーズサウンドなのよ、大好物なのよ。なんだかんだ言いましたが上手いんですよね。リズム隊もしっかりしているし、ギターもスピーディーなピッキングから繰り出される高速プレイからブルースフィーリング溢れるエモーショナルなタッチまで巧みに演奏しています。だから④もカッコいいのよね。
そして、このあたりで完全に女性シンガーに対する免疫も出来、最終的にはノリノリでアルバムを通して聴いてしまいました。

シンコーミュージックから寵愛を受けるNEMOPHILAなんかよりも、よっぽど芯のあるロックサウンドで勝負をかけていますね。何よりハードな音楽を聴いてみようというライトリスナーにススメやすい音楽性になっています。しっかりと体幹のできあがったメロディアスでキャッチーなサウンドはガールズロックバンドのCYNTIAとかAPHASIAあたりが好きな人なら全然イケるでしょう。
アニメソングの挿入歌みたいなロックスターも全然様になっているのよ、最初軽くバカにしていた自分が一番恥ずかしい思いをしているのよ。自戒の念も込めて、フラットな耳でお楽しみください。
そしてワタクシは、このバンドの音源に触れる直前にタイムスリップして、自分自身にハリセンを喰らわしたいです。ゴメンよCERVETERIの皆様。そして実は今だにバンド名を読めないでいますよ。


MALICE - Crazy in the Night - Crazy in the Night ★★★ (2022-02-13 20:15:17)

アーバンな雰囲気作りも感じさせる硬派な一曲
でもLAメタル風味も感じさせる
バンドとしての葛藤が滲みますね
ヤケクソ気味のシャウトが耳に残ります
今でも結構聴きますねぇ


GRAND PRIX - There for None to See - Runaway ★★ (2022-02-13 20:09:34)

押しの強い歌声で有名なロビンですが
ここでは無理に気張ることなく歌い上げています
そのおかげで聴きやすいですね
サビも張り上げることなくメロディを歌い上げていますよ
少々売れ線な匂いのする曲ですが
派手さやキャッチーさが嘘くさくないのもまずまずだが
ヒットチャートに食い込ませるほどのインパクトはない


ATTACKER - The Second Coming - Revelations of Evil ★★★ (2022-02-13 20:04:33)

DPのPICTURES OF HOMEをパワーメタル化したような一曲
シンガーの強烈ハイトーンも決まっています
リズムもタイトでパワフル
ギターも切れていますねぇ
NWOBHM仕込みのUS産パワーメタルに震えます


TYGERS OF PAN TANG - First Kill ★★★ (2022-02-12 17:54:57)

ラストの曲以外は1979年から80年にかけて録音されたデモ集。オリジナルメンバーによるレコーディングとなります。ここから1stへ流れる曲もありますが、この初期のメンツならではの英国サウンドの旨味、サクソンなどにも通ずるようなバイカーズロックを楽しめる初期ならではのスタイル、まさにNWOBHM勃興時ならではの英国的ハードサウンドを存分に味わいましょう。
どうしてもジョン・サイクス云々かんぬん言われがちなバンドですが、NWOBHMマニアならば、この時代にも大いに愛着がわくでしょうね。ロブ・ウィアーの味わい深いギターは基本を押さえつつもアイデアを盛り込み新鮮味をアピール、新風を吹き込んでいますよね。ヘタウマの代表格なジェス・コックスの投げやりで自堕落な唄い回しもバッチリとハマりロックしています。
ちなみにラストの⑩はジェス・コックスとロブ・ウィアーが再び合流して結成されたTIGER.TIGERの音源です。マニア泣かせですよね。
でもMCA時代にレコーディングされたデモをNEATはどうやってリリースしたのだろう?色んな意味で危険で怪しいアルバムが、何故かワタクシを興奮させてくれます。


SATAN - Early Rituals ★★★ (2022-02-12 17:38:22)

憂いのある沸騰型NWOBHMサウンドが売りのバンドだったSATAN。今作は、いずれもデモ音源をまとめて製品化したモノ。①から④が幻のファーストデモ、⑤から⑩が1stのデモ、ラスト4曲がEP『Into the Future』の叩き台となるDirt Demo '86でデモというマニア泣かせのコンピ作。個人的にはシンガーにロブ・ハルフォードタイプのトレバー・ロビンソンがいた時代のファーストデモに興味が注がれます。
ハッキリとスラッシュ勢に影響を与えたトレバーの歌い回し、これを聴けばデイブ・ムステインやジェームス・ヘッドフィールドを思い出しますよね、さらにはキレのあるスピーディーな楽曲群の魅力たるや、妖しげでキレのあるリフワークは鋭い刃を立て聴き手の感性に切れ込み理性を支配、ミステリアスなムード満点の英国サウンドが鈍色の光を放ち魔界へ誘います。
このデモ音源集は、NWOBHMの歴史としても、スラッシュメタルに与えた影響としても見落とされているというのか、軽視されているSATANの重要性を説いていますね。
勿論荒々しい1stのデモも魅力的だし、マイケル・ジャクソン時代も、こういう形でも良いので取り上げて欲しいと思います。メイデンが余に残したThe Soundhouse Tapesも強力だが、そのメイデンの遺伝子を組み込んだファーストデモも同様に、NWOBHMのアイコンになるインパクトの強い楽曲を聴けるのが嬉しい。
継続した活動ができずNWOBHMの波を活用できず、80年代中期に沈んだバンド。それだけに雑誌のフォローも受けられず、残念ながら日本ではイマイチ知名度が上がりきらない彼らですが、若い人にこそ聴いて欲しいリアルNWOBHMサウンドを余に提示したバンドのデモ集。
英国的な湿り気たっぷりのサウンドは、どこか煮え切りません。そのモヤとした音質の向こうから妖しげに響くサタニカルな味わい、それはおどろおどろしいだけではないロックなダイナミズムと切れ味があり、常に聴き手を鼓舞します。魔界降臨という言葉が最も似合うバンドです。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - Love Potion No.9 (2022-02-11 14:39:46)

THE CLOVERSのカヴァー
このあたりにバンドのやらされている感を感じますね
かわいそうですねぇ
オリジナルはスーツをビシッと決めた黒人ヴォーカルグループですよ
しかもシングルカットまでされて
お仕事感がハンパないです
初めて聴いたときは心の底からダメだこりゃが出ました
なんだバカ野郎である
オイ志村~次いってみよう


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - Lonely at the Top ★★★ (2022-02-11 14:34:14)

オープニングでチョイと躓くのですが
ここで一気に盛り返します
メロディアスはハードポップサウンドはジョン・デヴァリルの歌声によく似合う


TYGERS OF PAN TANG - The Wreck-Age - The Wreck-Age ★★★ (2022-02-11 14:23:04)

アルバムでは唯一疾走するナンバー
メロディアスで唄を前に出した軽やかなミックスですが
ライブでは熱く燃えるでしょうね
メタルバンドとしての意地を垣間見した
この路線をもう2曲アルバムに欲しかったね


TYGERS OF PAN TANG - The Wreck-Age ★★★ (2022-02-11 14:15:29)

かつて短期間ではあるがジョン・サイクスが在籍していたことでライトリスナーから注目を浴びたバンド。特にサイクスがWHITESNAKEで成功したあとは、逆輸入状態でこのバンドも再注目を浴びた。しかし、ジョンがいた期間はNWOBHM最盛期、その時期に作られたアルバムがいかにもNWOBHM的な魅力に富んでおり、その立役者がジョンと言われた分けですが、実際、ジョンはバンドに発言権はなくイニシアチブをとれるような立場ではなかった。ましてや、加入直前まで活動していたSTREETFIGHTERではヴォーカル兼ギターで活躍、THIN LIZZY丸出しのローカルバンドで、フィルにソックリな歌い方でリジー節を炸裂していた男、TYGERS OF PAN TANGではゲイリー・ムーア直系のプレイを披露、確かにスピーディーなソロワークには目を見張るが、個性に乏しくギターヒーローとしてはこれからの有望株だったでしょう。
このバンドの首謀者はギターのロブ・ウィアーであり、主導権は彼の手にあった。ジョンは助っ人でありメインソングライターではありません。WHITESNAKEで売れたが為に、再評価された辺りからジョン・サイクスがどうのこうのと言われ出しましたが、嘘ではないが正解ではない。何をしてTYGERS OF PAN TANGなのかで見方は変わりますが、名盤『SPELLBOUND』の方向性はプロデューサーのクリスによる影響も大きいでしょう。サイクスではありません。

そんな過大評価に押しつぶされたバンド。もっと言えばレコード会社の意向に負けポップ化(デフレパード化)を強いられバンドは空中分解、NWOBHMあるあるではあるのだが、多くのバンドが音楽性の変遷に対応できずに散ったわけです。それがサイクスの不義理と重なり、誤ったサイクス最強論は流布される形になりました。
まぁアメリカレコード会社と契約したタイミングが運の尽きだったのかも知れません。あの後、もう一枚厳ついのイケたら違う結果もあったのかもですね。

1984年にバンドは一旦活動停止。そして今作はレコード会社もアメリカのMCAレコードからイギリスのMusic for Nationsへと変わりました。なにより参加メンバーが大幅に変更、オリジナルドラマーのブライン・ディック、ヴォーカルのジョン・デヴァリルの二人はいるのだが、ベースはサポート、そしてギターは新生コンビに生まれ変わります。しかもメインソングライターがサポートベースのスティーブ・トンプソン(初期NEATレコード関連に携わる人物、RAVENのプロデューサーも務めています)、前作にあたる『THE CAGE』でも顔を出し、バンドを支えていた人物です。ある意味、ポップ化するバンドの手助けをしたわけですが、今作でも彼のコンポーズを頼りに唄モノ路線を強化、主役はシンガーのジョンの歌声であり、彼はポップスからバラードにハードな曲まで難なく歌いこなし、その存在感をより強いモノにしています。バンドとしての顔が益々イケメンのジョン・デヴァリルに移行していますが、新生ギターチームもコンパクトながら印象的なプレイを持ちいり、このメロディアスかつポップなハードサウンドの中でギラリと光を放ちます。

確かにロブ・ウィアーがいれば出来なかった音楽性でしょう。もはや別バンドの様相ですが、移りゆくハードシーンの中で行われた音楽性の変遷、メロディアスな疾走ナンバー⑤みたいな曲があと、2曲くらいあれば印象もガラリと変わるのですが、ないものねだりですね。甘口な曲も多いですが⑤の次にくる⑥もええのよ。
このアルバム最大の聴き所はジョンの唄です。どんなタイプの曲も歌いこなしていますよ。④なんてジョンの力強さがメリハリを生み単なるハードポップソングでは終わらせていません。
唄モノ系のメロディアスハードサウンドが好きな方なら間違いなく満足して頂けるクオリティを保持しています。参加メンバーによるバイアスを受けない純粋な音楽ファンなら無視しないで聴いて欲しい一枚ですね。何を隠そうワタクシも20年位前まで聴いたこともない一枚でした。今では簡単に試聴できる環境もありますので、メロディ派にはトライして欲しいです。


DIO - The Mob Rules(LIVE) ★★★ (2022-02-09 20:34:47)

詳細はサッパリ、配信でのライブ音源です。時期は分かりませんがMCでミルウォーキーと言っていますね。ギターはトレイシーGです。

収録は

1.Jesus Mary And The Holy Ghost
2.Strange Highways
3.Don't Talk To Strangers
4.Pain
5.The Mob Rules
6.Holy Diver
7.Man On The Silver Mountain
8.Heaven And Hell

当然お馴染みの曲も入っているアングリーマシーンなDIOサウンド時代のライブ。MOB RULESが組み込まれているのも、その現れでしょうね。80年代のマジカルサウンドと手を切り現代のハードシーンに殴り込みをかける我らがロニー、後半の3曲などはソロパートも挟み臨場感たっぷりのサウンドを披露、おそらくサウンドボード録音と思われる生々しい音源を前に、ライブさながらの興奮を覚えますが、とにかくロニーは声が出ています。アングリーなサウンドにも負けないドスを聴かせたロニーの鬼神っぷり、そして声の聖人として朗々と歌い上げる姿との対比は実に興味深いモノであり、結局、何をやってもロニーは様になるなぁと関心した次第ですね。
ロニーが亡くなった今も、こうして埋もれていた音源が蘇るのは嬉しい限りです。あと8曲と言っても最後の3曲はメドレー形式だから、物足りないですよねぇ。もっと聴きたいなぁ。


LOUDNESS - Sunburst~我武者羅 ★★ (2022-02-09 20:01:31)

SUNBURST~我武者羅というサブタイトルも付いたラウドネスの最新作は予想外の2枚組、最近ベテラン勢がやりがちなスタイルに一抹の不安も覚えるが、これが予想外の形で裏切ってきました。
前作は欧州のレーベルの意向もあったのか随分とワールドワイド仕様に傾いており、ある意味、最も灰汁の薄いアルバムだった。もう少しラウドネス的なアプローチもあった方がとは思うが、スッキリとまとめた印象が強い。今作はそんな前作の揺れ戻しなのか正に日本のメタルになっている。日本語詞になっているからだけではない、曲調そのものに日本を落とし込み随分とジャパネスクメタルへと回帰している。
日本と言わずにニッポンと言いたくなる、ニッポン人による大和魂沸き立つニッポンメタルの感性である。
とくにB面は、そのエッセンスが強く昭和の匂いがプンプン漂う音楽性を踏襲、ラストソングなど70年代フォークである。今回のアルバムに一番近いのはオリジナルラインナップ再結成後、最初にリリースされたアルバムを思い出すが、今回は歌詞がユニークだ。誕生前夜、戦慄の奇蹟、魔界典章、撃剣零化という言葉まで飛び出すが、一番驚いたのは『富士山のてっぺんまで登り火星人の頭にも響かせろ』だろう、人間椅子みたいな歌詞に驚いたが、そんな事など小さいよと思わせる、オールドスタイルの音楽性を超自然体でやっている。①枚目から色んなオマージュが隠し味になっている、ここまでマイケル・シェンカーな曲をやるとも思わなかった。
そしてあのサムライジャケットの意味を大いに噛みしめた、なるほど我武者羅な分けだと妙に納得したアルバムでもある。個人的には、その遊び心に何処まで付き合えるかが最大のポイントだろう。古くさいとバッサリ切り捨てられる音楽性でもある。潔いアルバムでもある、なんとも言えない摩訶不思議なニッポンのメタルである。そして2枚組は正解だろう。
それにしても歳の取り方が上手いバンドだなぁ。


LOUDNESS - 8186 Now and Then ★★★ (2022-02-08 15:14:54)

究極の企画モノと言える4枚組のライブアルバム。1986年に凱旋帰国を果たし逞しい姿を見せつけた代々木オリンピックプールで行われた伝説のライブを2017年にリマスター。そして後半の2枚はZEP東京で行われた8186ライブの完全再現というファン心理をくすぐるライブを収録と、これはファンならずとも見逃せない作品です。

個人的には思い入れの強いライブのリマスターに興奮しますが、貫禄のある現在の姿もまた魅力的であり、当時との違いを楽しみつつ耳を傾けるのが一番でしょう。樋口と鈴木の違いを語っても意味がないし、現在進行形の彼らによる究極の企画を素直に受け入れるのが一番ですね。
通して聴くと4枚組&同じ曲なので疲労感は半端ないので、分けて聴くことをすすめるが、86年に彼らの勢いと若さよりも海外で快進撃をとげ自信に満ちた圧巻のステージに魅了。こうして時が経っても、あの時の興奮は色あせません。選曲的に微妙ですが、スーパーロックグループの片鱗を思いっきり味わえるでしょう。
これほど音圧が凄いのに抜けのいい音を出せる、彼らの腕に耳も心も奪われます。感嘆あるのみです。

最新版における、ライブの迫力満点、貫禄の増したステージの中でマッシブで鋭利な刃を立て刻む鈴木のドラム、ベテラン山下は鈴木を引っ張るようにラウドネスグルーブを牽引、タイトに締め上げたリズムは轟音サウンドを支えている。高崎の存在感は言うに及ばず、貫禄のあるサウンドの中でキレのあるリフとギタープレイで魅了、天賦の才とも言えるリズム感と技巧的なプレイの数々を難なくこなす高崎晃という男、この人に陰りなどありません。
多くのベテランアーティストは声を失っていますが、二井原実先輩は鍛錬を怠らず若い頃よりも安定感が増し、このラウドネスサウンドを従え見事にフロントマンとしての重責を全う、彼なくして今のラウドネスはありえません。かつてクビになった男が今は最重要パートへと上り詰めた姿に胸打たれます。
しかし、こうして改めて聴くと、つくづくラウドネスは現在進行形のバンドであることを思い知らされた。こういう企画は面白いが彼らは、こんな古いアイデアに頼らなくとも成立するバンドですね。古いマテリアルで遊ぶよりも今の彼らを見せつけるだけで十分だと思いますね。往年のヒット曲に頼らなくともステージは成立させられる。後半2枚を聴きつくづくそう思いましたね。


LEE AARON - Power, Soul, Rock n'Roll - Live in Germany ★★★ (2022-02-07 18:48:41)

元祖メタルクィーン我らがリー・アーロンが2019年にリリースしたライブアルバム。

①DPのカヴァー
⑦ココ・タイラーのカヴァー
③⑪アルバム『Bodyrock』
④アルバム『Metal Queen』
⑥アルバム『Lee Aaron』
⑧⑨アルバム『Some Girls Do』
⑩⑬アルバム『Call of the Wild』

上記以外は知らない曲のなのですが、驚くのがディープパープルのブルースナンバーからスタート、正直、実際のライブはどうだったのか分かりませんが、渋いブルースナンバーで幕が開けたライブに驚きます。そしてリーは年齢を感じさせないパワフルかつエモーショナルな歌声で魅了、色んな意味で驚いていたら②がスタート、知らない曲でしたがタイトルが示すようなお転婆ロックは健在、キャッチーでパワーポップなサウンドにアーロンの歌声はよく似合います。
このライブは、現在の彼女を示すモノなのでしょう、個人的にはメタリックな④みたいな曲を聴きたいのだが、ブルースナンバーの⑦があるように、古き良き古典ロックの旨味をリー・アーロンというフィルターを通して現在進行形の姿へと変換されることを最優先されているように感じます。もう還暦近い年齢なはずなのに、ここまで現役感を出しハードなサウンドに負けない歌声をキープしている姿に驚かされます。バックのメンバーも活きの演奏でアーロンをバックアップ。リラックスしたムードに包まれた貫禄のステージに耳が奪われました。
かつては女を売ることを強要され苦しんだ時代もあるでしょう。早かったメタルクィーンの登場、そういう性差別的なニュアンスを乗り越え今があります。地に足をつけたパフォーマンス、日本では今だに性を消費することが重要です。可愛いことが最大のポイントにされては音楽の世界はお仕舞いです。女であるが故に苦しんだ彼女、そして女だかこそ出来る音楽、ここに不自然さは一切介在しない、我々、日本も学ぶべきミュージックビジネスモデルがあると思う。


SAXON - St.George's Day Sacrifice-Live in Manchester ★★★ (2022-02-07 05:30:44)

アルバム『Sacrifice』に伴うツアーの模様を収めたライブアルバム。MCもカットされずソロパートもあるために完全実況盤としての様相を呈しているがバイオは分からないで割愛させてください。
彼らがセント・ジョージの日を大切にしているのはファンなら周知の事実ですが、その日にマンチェスターで行われた音源というのもファン心理をくすぐりますよね。
アルバムは比較的ヘヴィで武骨なパワーメタル色が強かったのですが、ライブではサクソンらしいブライトな音質に変換されており、良い意味で古い曲と混ざり合っても違和感がない、むしろ昔のヒット曲とならんでも違和感のない仕様になっているのだが、2014年に、ここまで現役感の強いスタイルを保持している事に驚かされる。老いては益益壮んなるべし、このバンドに陰りはみえない。
活きのいいステージと同じくらい貫禄を出しているのだが、その深みが増した旧来の楽曲における、いぶし銀のプレイの数々にニヤリとさせられますね。中盤は腰の据えたミドルナンバーが多いのですが、後半は畳みかけるように代表曲を連発、その中に新作から『Stand Up And Fight』が混じっても違和感を抱かせない統一感にこそ、サクソンが変わらずに自分たちの音楽を研磨してきた事を知らしめます。日本以外の国と言うか、日本でも一部の熱狂的なメディア信者の影響のみで語られるアメリカンナイズドSAXON時代の名曲も、このアルバムでは映えまくり、『Power and the Glory』『Broken Heroes』『Crusader』などは、ライブでも重要なレパートリーとして機能、彼らがどれくらい多くのロックアンセムを所持しているか知るでしょう。
新旧の魅力を違和感なく伝えた渾身のライブアルバム。このバンド、スタジオ作に負けないくらいライブアルバムを出しているのだが、どれから手にして良いか悩むでしょうね。特に若い人は大変かと思います。とりあえずサクソンは何時の時代もタテノリの曲をヨコノリではやっていませんので、安心してどの時代からでもチャレンジしてください。


FORTUNE(L.A) - The Gun's Still Smokin' Live ★★★ (2022-02-04 15:50:55)

奇跡の復活後、イタリアのメロディアスロックフェスで行われた模様を収めたライブアルバム。商品としてはDVDとの2枚組で売られているという事ですが、そちらは見たことがありませんので割愛します。
ライブという事でスタジオ盤のような丁寧で繊細に作り込まれた作品よりも骨太な印象を受けるだろうが、逆に言えばライブならではの熱量というのか逞しさが堪能できるのが嬉しい、確かにテンポはオリジナルよりも遅いが、それでも①③⑥⑦⑨は1stから、②④⑧⑩は2ndそしてレアモノとしてはシンガーのラリー・グリーンが映画TOP GUNに提供した⑤という魅力的な楽曲が収録、美味しい選曲のおかげでベストアルバム的な側面もあり充実の仕上がりとなっています。
この手のバンドのライブというのは難しいです、当然スタジオ盤の再現性も問われるでしょうが、奇跡の復活劇にケチをつけるようなパフォーマンスは見当たらず、メンバー感の強い絆、強力なケミストリーが存在しており、実力派ながら長らくシーンに埋もれていた彼らの姿に触れることが出来ます。AOR調の唄モノサウンドに、ロックな息吹を与えるラリー・グリーンの熱量の高い歌声も素晴らしく、バンドサウンドをよりいっそう逞しいものに仕上げています。10曲では物足りないと思わせる貫禄のステージ、既に新曲が公開されている彼ら、今後の活躍が楽しみで仕方がありませんね。


OUTLOUD - We'll Rock You to Hell and Back Again ★★★ (2022-02-02 16:07:24)

最近まで、こんなにカッコイイバンドがいたのを知りませんでした。いやー活きがいいですね。ワイルドでメロディアス、そしてキャッチーなサウンドは躍動感溢れるハードサウンドを従えノリノリで楽しませてくれます。
80年代的な王道スタイルを嫌みなく踏襲、その無理無駄のないアイデアはスッキリとまとまり目詰まりなく展開、すんなりと耳に届いてくれるのが嬉しい。ついつい類似点が気になったりとオジサンの悪い癖が出てしまうのですが、このバンドはそんな事を考えさせないくらい完成されています。FIREWINDの二人がドラムとギターを担当、こういう王道スタイルでありながらも自分たちの音を持っているのが強い。躍動感のあるグルーブ感の心地よさ、瑞々しいメロディを力強く歌い上げるチャンドラーの確かなパフォーマンス力、一発で魅了されました。お約束感満載のハードサウンドが最高にカッコイイ①から②の流れ、そしてボンジョヴィな③で昇天です。王道ロックの必勝リレーに3タテを喰らい完敗、清々しい気分で白旗を揚げましたよ。
単なるノスタルジースタイルではない現代に通するメタルの系譜、それらを順当にアップデートして今の時代に伝えてくれた良質な一枚。歯ごたえのあるメジャーロックをここまでカッコ良く聴かせてくれるバンドは希有ですよ。


NEMOPHILA - REVIVE (2022-02-02 15:31:23)

BURRN!はおろかシンコーミュージック激押し女性グループのデビュー作。SNSを駆使する売り方は今っぽいがどれだけ効果があったのかは分からないが、なんといってもこういう門外漢も甚だしい音楽に簡単に触れる環境がある昨今なので試聴出来るのはありがたいです。
オープニングナンバーからメタルコアが炸裂、ジャパニーズ歌謡テイストも満載と、いつ禰豆子~!!と叫び、うっせわぁ~という曲が登場してもおかしくない親しみやすさで大衆性を補完しています。
前半の数曲はもはやテクノロジーの恩恵を受けまくった曲であり、だれが演者でも構わない仕様、エイベックス系の女性シンガーが無理して声を潰して歌うのも感心できなかったりと、問題点も少ないくないが流行りモノに目のない人ならば問題はないだろう。

このバンド、アイアンメイデンのカヴァーをやっているのだが、実は出来は良くない。簡単に言うとバンドの音がない。メイデンを全然喰っていないメンバーが、なんとなくカヴァーしたというのが目に余り、素人は騙せてもプレイヤーは騙せないぞと言うのがデビュー前からあった。ドラムはバランスの悪い音圧でプレイ、ベースは幾度活躍しない、ツインギターも弾いているだけ、唄もリスペクトがない、単なるコピー大会だった。そして一番最悪なのは自分たちの音を持っていないことに尽きる。
例えばメタリカをテクニカルなバンドと紹介する奴はいない、ガンズも同じでプロなのはスラッシュくらい、でも彼らの音には不思議な魅力がある、まさにケミストリーという奴である。上手いドラマーが叩いてもガンズの音にならない。

この女性グループは何屋さんなんだろう?エモい曲が3曲続き、その次にオリエンタルなムードの④で目先を変えるも個人的にはエモさが恥ずかしく脱落です。バラードの⑤エモ曲⑥⑦と、ここまで全曲サビへのもって行き方が余りにもJ-POPなので恥ずかしい気分が満載である。そしてノリノリのお祭りソング⑧、アニメのタイアップソングみたいな⑨と続き最後まで聴くことが出来ませんでした。
とにかくエモいです。流行り物です。人間の力を必要としないテクノロジーの恩恵を受けたサウンドです。終始唄が前に出るJ-POP仕様のミックスもハズいです。終始ベース死んでいます。ドラムも聴きやすくこぢんまりとまとまっています。ギターもソロくらいでリフワークに関してはコンビニ弁当の揚げ物の下に敷いてるパスタぐらいの役割しか果たしていません。

これではメタルコアとしても迫力が死んでいるでしょう。普段貧乏くさい地下室サウンドをメインにしているワタクシですが最近は、メジャーな音にも触れる機会が増えました、なんとなくトレンドというものを認識しているつもりです。この音は最大公約数のファン向けのサウンドであり、ロックとしては熱さが足りず、時速40キロのカーチェイスを見せられているような迫力不足は否めません。

この手の流行もんのサウンドはコアなメタルファンには受けません、でも彼女たちのターゲットはそこではないので問題はないでしょう。ただ、余りも歌謡テイストが強く筋金入りのメタルコアファンから見向きもされていないのがキツい。ターゲットは消費されるだけのヒットチャート偏重のライトリスナーでしかない。

売れることは必要だ、飯が食えなきゃ活動は出来ない。しかし自分たちの音を持たないバンドに未来はあるのだろうか?レコード会社主導のアイドルバンドの未来はミュージシャンとして明るくはない。
お金の匂いが漂いすぎるのも問題だろう。何故、BABYMETALが成功したのか?それはアイドル+本格的なハードサウンドがあったかだろう、しかもジャンル不問で本気で悪ふざけをして、多くのロックファンを究極におちょくった。そのパフォーマンス力は圧巻だったはずである。痛快なほど多種多様な音楽性を取り込み世界をアッと言わせた。

ワタクシは期待をしていました、普段聴かないメタルコアの良さを知ることになるのかなぁと、残念ながら得るものはなかったが、それはあくまでもワタクシの耳が化石かしただけであり、柔軟に最近のハードサウンドを楽しんでいる人なら無視してください。

個人的にはJ-POPが強すぎて恥ずかしかった。

これは余談だが、彼女たちのイベントに参加した知人の話によると、お客さんの大半がオジサン達だったというのを聞いて驚いている。
これもシンコーミュージック激押しアーティストならではの現象なのだろうが、彼女たちにとってプラスなんだろうか?
あの雑誌はBABYMETALを無視したが、そのおかげでグローバルな成功を収めた。まさに国籍を問わず老若男女である。
このグループにも、その可能性はあるだろうが、道を間違えてはいないだろうか?
関係者でもないのだが心配である…


STALA & SO. - Play Another Round ★★★ (2022-02-01 13:29:01)

最近まで、こんなにオシャレでメロディアスな北欧メタルバンドがいたことを知りませんでした。参加メンバーが新しいバンドには疎いので仕方がありません。やはり雑誌読まないと離れ小島にはなりますよねぇ。しかし、いくつになっても新鮮な出会いがあるので問題はないのですが、LORDIのドラマーであるKITAことサンプサ・アストラが全権委任するバンドの2枚目。ここではシンガーを務めているのですが、北欧マインド全開のメロディアスサウンドを嫌みなく展開、ど真ん中もど真ん中なハードポップ風味もねじ込んだスタイルはとにかく聴きやすい。北欧ならではの哀愁のメロディと爽快感、なによりヒットポテンシャルを携えたメジャー仕様の作り込みは万人受けすること間違い無しの守備範囲の広い音楽性を見事に聴かせてくれます。その優等生ぶりは完全に土屋太鳳ちゃん級の輝きなのですが、ここまで国民受けするメジャー北欧ロックを聴かされるとチョイと恥ずかしい気分にもなるのだが、唄モノロック好きのメロディ派にはたまらんモノがあるでしょうね。
結局、唄を邪魔しない演奏と躍動するハードなリズムと煌びやかなポップセンス、これらが高次元で融合しているから様になるのです。主役は曲です。その姿勢を貫いているのが素晴らしい。チョイハスキーな歌声も満点の星空輝くオーロラサウンドにフィットしている。


EXODUS - Persona Non Grata ★★★ (2022-02-01 12:57:44)

知らないうちに新作をリリースしていたスラッシュメタル界の重鎮、衰えを知らないベテランの凄みはオープニングナンバーから炸裂。アグレッシブで性急なビート、切れ味鋭いギターは相手構わず滅多斬りの様相、その狂気のハイテンションぶりに仰け反るのだが、粗暴で卑下た唄い回しもズッポリとハマり聴いている人間の闘争心を煽ります。
獰猛な肉食獣の闘いを見せられていりような神経を逆撫でするというのか、心の奥底にある破壊的衝動を煽るというのか、実に猛々しい爆音が一気呵成に畳みかけてくる。ある意味、初期の時代への回帰だし、多くのファンが待ち望んだスタイルなのではと思わずにはいられません。これだけキャリアがあるので、どの時代にフォーカスを当てるのかで評価も大きく分かれそうですが、過激な音楽性ではあるのに、リフ一つとってもキャッチーで耳なじみが良く身体が勝手にリズムを刻み出すような親しみやすさが試聴感をよりよいモノに展開、これぞスラッシュというスタイルを豪快に解き放っていますね。
鋭角的なリフワークと衝動を解放する心地よいリズム、聴きすすめるごとに身体が熱くなります。なんか上手く言えないのですが懐かしさもありキュンとなりました。


PETER GOALBY - Easy with the Heartaches - Mona Lisa Smile ★★★ (2022-01-31 14:01:45)

ポップですね
キャッチーです
そしてロマンティックです
なによりヒープに提供した楽曲の元ネタです
こういう優美なメロディを歌いこなせる器用さがピーターの魅力でもあります
押しは強いが一本調子にならないエモーショナル歌声
器用な歌い手ですよね
唄が下手なんで事は断じてありませんのでご安心ください


PETER GOALBY (2022-01-31 13:58:02)

1973年にFABLEのシンガー兼ギターとしてデビュー、その後はソロに転身した曲も作れるミュージシャン。
グレンヒューズが抜けたあと、ヴォーカルを兼任していたメル・ギャレー、しかしメルも声に不調を訴え専任シンガーとして迎えられたのがピーター。クラシックロックだったFABLEからファンクロック系のTRAPEZE加入とは驚いたが、その重責を見事に果たし名を上げる。
1982年にURIAH HEEPに加入、音楽性をガラリと変えた名盤『Abominog』で力強い歌声を披露。RAINBOWにジョー・リン・ターナーが加わった時のように、新たなる可能性を導いた男して知られています。

HEEP脱退以降大きな活動はなく幻のPERFECT STRANGERはあるのだが、都市伝説となるHEEPの過酷なツアーで喉が壊れ、さらには燃え尽き症候群だったなどの逸話を残し結局、90年代を迎え表舞台から去りました。
それだけに知名度はイマイチなのですが、30年以上前に仕上げた幻のソロアルバムがめでたくオフィシャルな形で世に出ました。あくまでも昔のデモ音源の復刻です。現在の彼はもう唄えません。それでも、名のあるバンドを渡り歩いた男の一端を垣間見る事が出来るでしょう。


PETER GOALBY - Easy with the Heartaches - I Found Real Love ★★★ (2022-01-31 13:39:39)

大人の魅力に溢れていますね
都会的な洗練度と男臭いピーターの歌声
野性味とシャレオツ感が絶妙です
英国のマグナムとか思い出しますよ


PETER GOALBY - Easy with the Heartaches ★★★ (2022-01-31 13:37:59)

昨年の11月にCherry Redからリリースされた幻の一枚。HHEP脱退後に作り上げるも契約に結びつける事が出来ずにお蔵入りしていた一枚。30年以上も埃が被っていたレアモノが遂にリリースされました。当然、古さは否めませんが、ピーターの押しの強い歌声を前に出した唄モノサウンドはキラキラとしたキーボードも生かしソフトなAOR調のロックサウンドを展開、哀愁のメロディを散りばめメリハリを効かせています。
リズムは打ち込みだしロック色は薄い、HEEPファンやTRAPEZEのファンにとってもおもてたんと違うと感じる場面は多いでしょう。しかしロビン・ジョージとの共作もありますが、大半はピーターが一人で作り上げた楽曲ばかり、彼のソロとしては美味しい作りになっているのは確かです。ピートの歌声に涼やかなAORサウンドが合う合わないは好みもあるでしょうが、唄モノロックが好きな人は大いに楽しめるでしょう。個人的には完成品とは思えないデモ並の軽く平坦な音質、また似たような曲調が出てくるので、通して聴くには飽きてくるのが難点。個性不足と言えばそれまでだが(このあたりもレコード会社に敬遠されたのかも知れない)完成度はけして低くないです。既に現役引退したピート。ブートがあるぞと噂は聴いたが、見たことも聴いたこともなかっただけに幻の一枚に巡り会えて良かったです。
なんと言っても嬉しい誤算はVoice On My TVの元ネタというのか、オリジナルはピーターなので『Voice On My TV』のオリジナルに当たる⑤にファンならニヤリとさせられますよね。


STORMHUNTER - Crime and Punishment ★★ (2022-01-31 13:26:24)

バンド名と甲冑に身を包んだ騎士が描かれるジャケを見れば音楽性も聞えてきますよね。ツインギター編成のジャーマンメタルバンドによる2枚目のフルアルバム。屈強なメロディアスサウンドが哀愁をまとい疾走する、これぞ欧州産のスピードメタルというか、ドイツ特有のスピードサウンドを披露、初期型ハロウィーンだし、ロックンロルフだしブラインドガーディアンなどの初期のスタイルが好きな人ならば胸が焦がれる、あの古くさい音色の鋼鉄サウンドを魂が震えながらかき鳴らしていきます。
リードギターとして活躍するステファン・ミューラー、そして相棒を務める紅一点のジュリア・ワイスによる二本のアックスマンによる泣かせのフレーズ、我が身の命運は神のみぞ知ると言わんばかりに勇猛果敢に突っ込む戦士達の刹那、そういうドラマティックなバトルメタルサウンドをど真ん中で展開しています。ワタクシはそちら方面に疎いので、恐ろしいくらいのパクリを敢行しても気がつかないのだが、このバンドの欠点は、ヒロイズム溢れるバトルメタルを具現化するだけの歌い手でないとうのが気になる、完全に演奏に負けているし、ヌルッとしていて気になる。せっかくロトシリーズの鎧を身につけたのに、武器だけ銅の剣のままじゃ様になりませんよね。
そのポンコツ感がマイナー臭さを倍増、マニアならば逆にそこに惹かれるかも知れませんね。全編に渡り駆け抜ける哀愁とスピード感、この手の勇壮なメロディに涙したいマニアにはたまらん一枚かと思います。


ZEDEKIAH - Karma +3 ★★★ (2022-01-30 15:24:01)

知る人ぞ知る関西を拠点に活動していた国産スラッシャー、とは言っても一括りで紹介するのに躊躇するような多様性を抱えたバンドであり、スラッシーなリフワークもあるが、やはりDOOMのようにプログレからメタル、ジャズまで飲み込んだ懐の深さがバンドのウリであり、情念のある和のテイストも楽曲に散りばめ独自性を高めている。勿論、一気呵成に突っ込んでくる攻撃性と破壊力も、もち合わせているのでスラッシーなサウンドに身を任せたいマニアも存分に楽しめます。
攻撃的な音楽性の中に隠された知性、そして各パートが互いを睨み合いながら一触即発とも言うべき緊張感を持ちながらプレイしているのでスリルは満点、しかし破綻せぬようアイデアを共有、バンドとして強靱なアンサンブルを叩き出しています。
シンガーのRAN嬢のアジテーションヴォイスもバシッとハマり、場面場面に合わせストリーテラーの如く多彩な表情を見せフロントマンの重責を果たしています。90年代の前半から中頃の活動の為に、今となっては幻のバンド感も強く知名度も低いだろうが、彼らが世に出した楽曲が一つにまとめられたのはマニアに取ってはありがたいだろう。
ちなみにワタクシがこのバンド初体験は手弱女となんと読めるのか分からない曲でしたが、アグレッシブかつテクニカルな演奏に魅了されたのだが、サビで繰り返される『タオヤメ~タオヤメ、命短し恋せよ乙女』歌うパートがダメで脱落した。いまでも聴く度に恥ずかしいのだが、スピード渦巻く高速リフと強靱なリズムを叩き出すドラム、そしてブリブリと裏回しをするベース、これは三者が濃密に絡み合うインストパートに唸る。それだけに、細かい事が気にならなければ問題なしです。これは単にワタクシ個人の問題です。


Tom DeLuca - Down to the Wire ★★★ (2022-01-29 18:36:07)

全く知らないアーティストですが、あなたにオススメという事で試聴。これが実に爽快でロッキンな熱量のある唄モノサウンドを聴かせてくれます。基本はポップでキャッチーなのだが主役であるシンガーのトムさんの押しの強いハスキーヴォイスは一本筋が通っており、その男臭いセクシーさも機能、カッコつけたモノクロジャケもハッタリで終わらない大人の魅力を醸し出しています。上手い歌とツボを押さえた楽曲の旨味、デビュー作とは思えない完成度の高さにポッと出ではないキャリアを感じますね。
ジョン・パーとか、ロバート・テッパーなどの熱いロックシンガーが好きな人ならばグッとくるでしょうね。特に、軽めの曲の中にハードさを絶妙な加減で持ち込む歌声と、曲の良さのマッチングも良く、1986年リリースの今作は日本でも話題になっておかしくないクオリティを誇示しています。唄モノマニアならば押さえて損はしないクオリティをパフォーマンス力に見入りますよ。
とは言え80年代的オシャレなアプローチもありますので、その辺りに軽薄さを覚えるダイハードなファンには不向きでしょう。
でも曲が良いのでね。気軽に楽しめる親しみやすさが多くのフォロワーを生みそうですけどね。


SPYS - S·p·y·s ★★★ (2022-01-26 19:30:54)

結局バンドから離れることになったフォリナーのキーボードプレイヤーであるアル・グリーンウッドとベーシストのエド・ガリアルディ、その二人が中心となり結成されたのがこちら。プロデューサーにニール・カーノンを迎え密度の濃いAOR調のプログレハードポップサウンドを構築、キーボードを中心に組み立ててはいるが、不必要にでしゃばらない絶妙なリードプレイが楽曲の世界観を大きく押し上げている。クリアーな声質だが情熱的なエモーションを込めて唄うジョン・ブランコのソウルフルな歌声と壮麗なコーラスハーモニーは見事に主役となり色彩美豊かな世界観を展開、このバンドが持ち合わせている質の高い楽曲と知性、そして親しみやすさの裏にあるアーティスティックな感性が彩りを膨らまし自然の営みの如く体中に染み渡っていく。
どの曲にも強烈なフックがあり、心地よく耳を刺激、産業ロックかくあるべきと断言したくなるほど完成度が高い、無理無駄を徹底的に廃したコンパクトな作り大成功、こういう曲をカッコ良く聴かせる術を持った男達が万全の体制でもてなしてくれたようです。
当時としてはオシャレなニューウェーブ感も出してはいるが、それよりも職人集団による丁寧な作り込むのポップロックサウンドに対する比重の大きさに耳を持って行かれます。フォリナーとかステイクスが好みの方ならば是非ともトライして欲しい一枚ですね。


夜叉 - 夜叉 ★★ (2022-01-26 14:52:24)

スラッシュメタルという形で紹介されたが、このバンド、実はそんなにスピーディーな曲を用意していない。ここで聴けるサウンドはドスの効いた成田伸治の唄を中心としたヘヴィネスサウンドを展開、リリースが1992年ですから脱スラッシュ化したスラッシュバンドの系譜というなら納得するが、個人的にはダイハードなアメリカンパワーメタル軍団に類するようなスタイルだと思う。特にドラマーでありリーダーの菊池さんの後ノリのドラムは、スラッシュメタル然としたリズムとは違う、また、当時はさらし巻いて着流しを羽織るみたいなイメージに難を示してステージも見なかった。この時代の音楽性は後に変遷するので、このラインナップを見逃したのは若気の至りで恥ずかしいのだが、成田の山田雅樹を彷彿とさせる咆哮スタイルは説得力も十分備わり、E・Z・Oのミドルナンバーをよりヘヴィにしたようなスタイルにフィット、スーパーグループ時代のLOUDNESSのような雰囲気もあり、時代性を見越したスタイルである。
それだけに、古くさいジャパニーズマインドがパンテラ化するヘヴィシーンに合う合わないという問題点も見えてくるが、成田の唄がそんな疑問を吹っ飛ばし力尽くでねじ伏せてくるのが面白い。今回久しぶりに聴いたが、やはりミドル中心で後半にバラードがくる展開な流れが悪い、もう少し勢いのある楽曲があった方がメタル魂を燃やせるというモノですが、そこは趣味趣向の問題。機会があれば硬派なジャパニーズヘヴィロックを聴いて欲しいですね。


WRABIT - Tracks - Bare Knuckler ★★★ (2022-01-26 01:53:11)

イントロから凄いです
前作の流れからドカーンと始まる感じがエグい
その壮大なアレンジセンスを耳馴染みよく聴かせた手腕に脱帽
ドラマティックなサウンドが一陣の風となり
心を晴れやかにして過ぎ去っていきますよ
上手い歌とツボを押さえたアレンジ
皆が主役となり叩き出すバンドサウンドの凄みたるや
何度聴いても興奮させてくれる
大衆性があるのにメンバーがバトルしているようで面白い


WRABIT - Tracks ★★★ (2022-01-26 01:49:07)

本日、めでたく3枚とも国内盤が再発された幻のメロディアスHM/HRバンドの2枚目。音楽ストリーミングサービスで楽しめる状態ではありますが、ファンなら手元に置いておきたいと思うでしょうね。
壮麗なメロディと耳なじみの良いキャッチーさを際立たせるハードネス、その絶妙なバランスは明るく脳天気では無い真面目な作風を貫いているので最後までテンションが落ちることなく楽しめる仕様になっている。ソフトケイスされたサウンドなのに、シリアスな空気から生み出される独特の間合い、その緊張感がロックな耳を捉えてはなさい。アレンジにも気を配りサラリと流れそうなサウンドなのに、グッとふんばり刺激を与えてくる。
本当に素晴らしいIQの高い音楽性を披露、でもアホでも楽しめる親しみやすさが最大の売りである。エモーショナルを讃えた歌声と壮麗なコーラスハーモニー、心も穏やかに清々しい気分をたっぷり味わいながら、涙は心の汗だと言わんばかりに涙腺を刺激と、メロディ派ならば優しいショックに打たれて安楽死となるでしょう。
唄を頂点に見据えたバンドサウンドはバラエティ豊かな楽曲を用意、作業用BGMにしようものなら気になって逆に仕事が止まるでしょうね。玄人も唸らせるアレンジセンスに見入りますよ。


TRAPEZE - Live in Texas: Dead Armadillos ★★★ (2022-01-25 14:52:54)

グレン・ヒューズの後任としてシンガーの座に収まったピーター・ゴルビー、彼はギターも担当出来るので四人編成でのライブとなります。ライブという事もありバンドの演奏は良い意味でロックなワイルドさを加味、ファンキーでグルーヴィーなトラピーズサウンドはそのままに、新体制でも十分にやれるという事を証明しています。
グレン時代の曲も、オリジナルに敬意を払い器用に歌うピーターのおかげで、バンドサウンドは壊れること無く機能、スタジオ作よりも荒っぽいギターワークで攻めているメル・ギャレー、実に生々しいサウンドでライブ感を追体験させてくれます。
リズム隊も強めのビートとグルーブ感で勝負、腰に来るノリの良さに、ファンクロックの旨味を味わえるが、個人的にはファンクロックに詳しくないので、ウネリが強めでは無いストレートさがすんなりと耳に入ってきます。グレンの特徴的なベースラインというのがあるので、その質感は変わるが比較して云々かんぬん意見をするつもりはありません。
メル・ギャレーが唄っていた時代はスルーだし、前作から1曲しか無い、そもそも6曲入りですからね、中々バンドの全貌は掴みきれませんが、ピーター・ゴルビーの骨太な歌声をどう感じるかで評価が分かれるでしょう。


NAPALM - Cruel Tranquility ★★★ (2022-01-24 14:45:04)

元々はコンバットという名前で活動していたアメリカンスラッシャー、1986年にバンド名を変更、1989年にSteamhammerからメジャーデビューを果たします。先人達からの影響も巧みに取り込み築き上げたスラッシュサウンドはシリアスでクール、アメリカのバンドらしいコンクリートメタルサウンドは鈍色の光をギラリと放ち、こちらを睨み付けてくる。刻まれるリフと怒濤のリズムプレイ、強靱なビートをたたき出すドラムの手腕にも目を見張るが、個人的にはドラムサウンドが好きになれない場面があり、このミックスで良かったのかと思う瞬間もある。しかしギラギラとしたベースとの絡みがハマった時のエネルギーは凄まじいパワーを有しており、切り刻まれるギタープレイとかけ合わさることで極限的に破壊力を強めている。情報過多に追い込まれず破綻しないアイデアは、スラッシュ特有の先を読ませないスリルが張り詰めており、その筋のマニアならば大いに楽しめるでしょう。
メロディを追いかけ咆哮するシンガーもしっかりと唄っているのも好感が持てますね。


LOUDNESS - Eurobounds ★★★ (2022-01-23 17:52:18)

渡米前のラウドネスがヨーロッパを中心にクラブサーキットしたDVD映像の音声をリマスターにてCD化。それだけにDVDを見まくった人には少々物足りないのかも知れませんが、ハイトーンスクリーム全開な二井原実先輩の若々しい歌唱スタイル、そしてダークな英国メタル路線を踏襲する初期型ラウドネスサウンドを思いっきり堪能できる一枚、若いのにテクニックは申し分ない彼らが海外のメタルキッズをノックアウト、世界に通用する演奏技術と個性を武器にメタル大戦の火蓋を切ってくれました。
この時の彼らがあるから、今日の知名度と期待に繋がっている。渡米後のマイルドラウドネスも良いが、個人的には古くささは否めないが、ダークでブリティッシュな路線を突き詰めて欲しかったので、この時代のライブ音源は本当に嬉しいです。ここで選曲された楽曲はどれもが即効性があり、攻撃性の高いスピードナンバーやキャッチーなサウンドを盛り込み、手軽に初期型ラウドネスを楽しめます。

歴史のあるバンドだけに、どの時代にフォーカスするかでファン層も分かれるでしょう。雅樹や泰司がいたスーパーロックグループも良かった、柴田直人がいたブッタ時代の中毒性、そしてインダストリアル系まで飲み込んだ再結成オリジナルラウドネス、樋口亡き後の王道への回帰など、思い入れは人それぞれですが、ライブでも定番の曲が揃っている今作は8曲入りですが、大いに楽しめるでしょうね。この演奏を20代前半でやっているって信じられる?
LOUDNESSは勿論ですがIN THE MIRRORやSPEEDは8186LIVEヴァージョンも含め死ぬほど聴きましたよ。


EZ LIVIN' - Firestorm ★★★ (2022-01-23 17:34:32)

懐かしい名前が復活です。領主自ら謀反を起こしてBONFIREから離脱するも、真相は分からないが元サヤに戻りバンドは短命の終わっている。それから10年以上もたって復活した幻のメロディアスHM/HRバンドの2枚目。シンガーに懐かしいデイヴィッド・リースを迎え腰を据えたメロディアスロックをやっている。かつてのような煌びやかなメインストリームサウンドではないが、プロデューサーにアレサンドル・デル・ヴェッキオを迎え堅実なスタイルになっています。
正直、もう少し分かりやすく跳ねた曲があった方が良いのにとは思いますが、良心的なメロディアスハードサウンドを踏襲、URIAH HEEPのカヴァーまでしっかりとやっています。ちなみにオリジナルよりもテンポを落としヘヴィな仕様になっています。このあたりのアプローチが今作の方向性を示しているのでしょう。
ドイツ人らしい生真面目さが音楽性に息づいている。ワンアウトでも確実に送りバンドをしてくる高校球児の如き忠誠心がありますね。
ちなみに②はデイヴィッドが以前組んでいたBangalore Choirでも唄っていました。書いたのはあのリック・フィリップス。詩はデイブ・クオモとハリー・ヘレスのお二人です。


EZ LIVIN' - After the Fire ★★★ (2022-01-23 17:20:37)

知る人ぞ知るジャーマンメロディアスHM/HRバンドの1st。BONFIREのギターとドラムが参加、音楽性的にはBONFIREの派生と言えるメロディアスかつ大衆性をまとった音楽性を披露、そのメジャー感バリバリのサウンドと欧州由来の叙情性、そしてドイツらしい硬質感をミックスさせたサウンドは、少々リズムセクションの音作りには注文をつけたくはなるが、BONFIREの創立者として知られるギターのハンス・ジラーはイニシアチブを握る為に結成されたバンドだけにクオリティは保証付き、CACUMEN時代にも通ずる硬派なスタイルを設え硬軟のバランスに秀でたバンドサウンドを作り上げている。
個人的には少々、鼻につく場面はあるのだが、欧州産ならではの情緒のあるメロディと煌びやかなキャッチネスさはメインストリームを射貫く鋭さをもっており、ティーンエージャーに消費されるだけのヒットチャートを賑やかすだけではない、アーティストとしの気概を感じます。鼻に掛かった甘いダーティヴォイスで唄う新人のピーター・ヘンリックスは、この後S.O.Sで唄っています。


MARK SPIRO - Now Is Then, Then Is Now ★★★ (2022-01-21 16:20:13)

最近フロンティアからベストアルバムをリリースしたAORマスターと呼んでも差し支えのないマーク・スピロの3枚目のアルバム。既に楽曲提供を行い名を挙げていますが、彼の本文はアーティストであり有能なシンガーでもあります。
その繊細なハスキーヴォイスは、哀愁をまとったアーバンなAORサウンドと相性も良く、ハスキーヴォイスが運んでくる刹那な哀愁がロマンティックなメロディの中で一陣の風となり吹き抜けていきます。思わずコートの襟を立てたくなりますが、哀愁をたたえたサウンドはフックも満載、素直に心に響いてきます。
とにかくAORな唄モノロックを愛する方ならビンビンに響くでしょうね。リリース時が1996年でなければ相当、話題をかっさらうような隙のない作りとクオリティを保持、どうして国内盤がなかったのかと不思議に思うくらい出来が良いです。日本人の心に訴えかける繊細で情緒のあるメロディ、打ち込みベースのリズムセクションだって問題ないでしょう。ギターにはマイケル・トンプソンとティム・ピアースの名前もあり職人が揃っています。このロマン溢れる叙情派サウンドに心を掴まれる唄モノファンは多いでしょうね。
アルバム一枚通して聴きたくなる作品です、どれも欠けちゃダメだよねと言いたくなるくらい粒が揃っています。個人的には大好きなアルバムですね。唄モノとしては名盤と誉れ高いミカエル・アーランドソンの1stよりも上だと思いますね。
そんくらい完成度が高い作品です。


John O’Banion - Danger ★★★ (2022-01-21 16:00:26)

同年に日本限定でリリースされた『Close Up』と内容がかぶりまくりの2nd。東京音楽祭グランプリの勢いも手伝い元祖ビックインジャパン的な扱いを受けるジョン・オバニオン、先行されたアルバムを聴いたファンは複雑な気分で今作を手にしたんでしょうね?
ちなみに今作がCD化されたときは『Close Up』に収録されたライブヴァージョンが追加され、もやは『Close Up』にボートラが追加されたといった方が分かりやすい状態になっています。
そんな混乱は、今となっては笑い話で済みますが、とにかくAORな唄モノロックが好きな人にはたまらんものがあるでしょう。ウエストコースト風味満点の爽快なサウンドにねじ込まれる哀愁、オバニオンの歌声はロックな力強さもあり、優美なメロディにボディガードのように寄り添ってくれます。『Close Up』の帯に書いてあった『過ぎ去った恋に一人口づけるクラブソーダの味』意味分からん、クラブソーダってなに?そんな帯の一文に胸がキュンとなるマニアならば、絶対にキュンキュンしっぱなしの一枚でしょうね。
AORならではのロマンティックなメロディを歌い上げる彼の確かなパフォーマンス力、ワタクシの駄文で汚すのはこれくらいにして、機会があれば耳にして欲しい一枚。


ANIHILATED - The Ultimate Desecration ★★★ (2022-01-21 15:47:19)

デビュー当時はハードコアパンクスだったと言われるUK産スラッシュメタルバンドの2枚目。時代が1989年というのもありスラッシュメタルシーンの成熟してきました。そういう時代背景もあり音楽性は先人達の影響下にあるサウンドを披露。まるで○○風だったりもするのだが、イギリスのバンドらしく土台のしっかりとしたスタイルを構築、刺激的でスリルのあるサウンドは古典スラッシュメタルを愛するマニアを喜ばせるだけのクオリティは保持しています。とくにスレイヤーからの影響を受けているバンドが好みの方ならば、フォロワーバンドとして歓迎できるでしょうね。
少々、似たような曲調に陥る欠点があります、リフ時代も単調に感じさせる場面がある、そういう欠点を飲み込ませるだけのパワーと緊張感、そして破壊力のあるサウンドは説得力があり期待を抱かせる有望株と言えるでしょう。今作リリース後、ほどなくして解散、それだけに知名度を上げきれませんでしたが、現在もは復活を果たし3枚のフルアルバムをリリースしています。


BOULDER - Boulder ★★ (2022-01-18 18:46:53)

スタン・ブッシュのキャリアを語る上では外せない幻のバンド。そんな貴重な音源がただで聴けるのは嬉しいですよね。ありがとうSpotifyなのですが、ここで歌うのはスタン・ブッシュ兄さんではなく、ボブ・ハリス、アメリカンメロディアスロックマニアにとっては、見逃せないコラボですよ。それだけで十分興奮するのですが、サウンドの方はライトなメロディアスロックを披露、洗練された味わいは野性味を感じさせませんが、整合性のあるサウンドは知的なエッセンスを盛り込み優等生さをアピール。後の片鱗を爆発とはならずも、ボブの温かみのある歌声に酔いしれる事は出来ます。
今作リリース後、このバンドがどうなったのかは分からないが、ボブ・ハリスを筆頭に数名のメンバーがアメリカ人のカントリー系シンガー、ウォーレン・ゼボンが1980年リリースするライブアルバムに参加(ボブ兄のコーラスも良いですよ)おそらく短命に終わったんでしょうね。


ROBIN RED - Robin Red ★★★ (2022-01-18 18:25:17)

スウェーデンのメロディアスHM/HRバンドDEGREEDのヴォーカル、ロビン・レッドのソロアルバム。オーディション番組出身という経歴も話題性十分。DEGREEDの方がオシャレ過ぎて、ちょっとしか耳にしなかったのだが、今作は本家とは違い懐かしきスタンダードな唄モノロックサウンドをやり切っている。80年代から90年代にかけて良く耳にしたサウンドを想起した。
ここにモダンな匂いは無い、現代的なテクノロジーの恩恵は受けているが、やっている音はノスタルジックだ。それだけに主役たるロビン・レッドの歌声が重要なのだが、これが実に温かみのある歌声を披露、時代を超越した普遍的メロディアスロックとの相性も良く、チョイハスキーな声が絶妙な哀切を演出している。
ギターワークも素晴らしいし参加メンバーも機能と全てが優等生なのだが、この手のサウンドを知らない若い人には新鮮に聞えるでしょう。甘ったるいだけじゃないハードさも完備しているのがポイントでしょうね。
でも赤を基調としたジャケット損しているよなぁ、あれはドゥーム系よ。こんなに筋の通ったメロディアスロックを想起できないモノの。


TONY MARTIN - Thorns ★★★ (2022-01-16 18:38:27)

個人的には最近、名前を聞かなくなったなぁと思ってたトニー・マーティン。そういう意味では待望のソロアルバムなのですが、中途半端なことをやっている可能性はあるなぁと睨んでいました。ましてや実子が参加するとか親バカぶりも感じるしと、訝しむワタクシの思いを吹っ飛ばしたのが先行公開された曲の数々、まさにマーティンが求められている、様式美サバスを想起させるような神秘的なダークネススタイルの音楽性を踏襲、ド派手なゲストを招聘してお茶を濁す事も無く実に筋の通った作風へと仕上げてきた。
幾分、艶は失ったが往年のパフォーマンスと比べても遜色の無い歌声で魅了、マーティン節とも言える朗々と歌い上げる姿は実に頼もしい限りです。まだまだ第一線でやれる現役感を見せてくれましたね。
ダニー”ダンテ”ニーダムのパワフルなドラム、オーソドックスな形に終始したギターワーク、キーボードも音楽性の幅を広げドラマ性を広げることに貢献、皆が一体となり古くて新しい古典メタルを形成してくれました。
主役はあくまでもマーティン、彼の唄を聴かせる威風堂々としたサバスティカルな一枚は、あの時代の暗黒様式美を愛するマニアにはたまらんものがあるでしょう。
ロニー・ジェイムス・ディオがそうだったように、今のサバスはオリジナルメンバーが揃わなければサバスと名乗れないルールになっています。リアリティショーのおかげですっかりお茶の間の人気者になったオジー、その人気は凄まじいモノなのだが(特に嫁さんがすごいことになった)そんな大人の事情でマーティンサバスが聴けないのは寂しい限りです。そう嘆くマニアにとってもありがたい一枚でしょうね。


Tokio Rose - Just Wanna Rock N Roll ★★★ (2022-01-16 18:09:21)

1987年にカナダでアルバムをリリースしたメロディアスロックバンドの再発アルバム。2008年にタイトルも変わり、数曲追加されて世に出ていますが、そもそもオリジナルを聴いたこともなく今作しか知りません、おそらく復刻版だとは思いますが、そのあたりの審議に確証を得られませんので割愛します。
ソフトケイスされたメロディアスサウンドはあくまでも楽曲重視、扇情的なフレージングと甘く切ないハードサウンドを巧みに融合させバランス良く聴かせてくれます。とにかくキャッチーなメロディは耳なじみもよく適度な刺激を与えてくれます。
哀メロハードポップファンならば腰を上げずにはいられないスタイルでは無いでしょうか、音質こそ奥行きの無いチープなモノになっているが、それ相応のサウンドメイクが施されたならばメジャーロックシーンに切れ込むだけにクオリティは十分の保持しているので安心して聴けますね。だたミックスがぬるいのでエッジに欠け眠気を誘う絶妙な腰砕けサウンドが個人的には苦手です。一曲の完成度は高いのに通して聴くと、もっと熱量が欲しくなるのです。そういう不満はあれど、いかにもアメリカ人が喜びそうな明るさと、悪びれない生真面目さ、上手くはまっていると思いますよ。
ちなみにこの作品の現物は見たことがありません、そしてこのバンドがマニアの興味を抱かせているのが、ボー・ナスティのヴォーカルとギターがいるからですね。マニアなら確かめずにはいられない音楽性でしょう?


Stingray(JAPAN) - Rain ★★ (2022-01-15 18:04:28)

このバンドの登録もあったし、このアルバムをコメントした記憶がありありなんだけどなぁ…バンド自体が消えていたんだよねぇ
ウーン、チェリーボーンからの譲二ショックである。
気を取り直して再投稿をしますかね。

キングレコードはNexusから1985年にリリースされた1st。いかにも日本人らしいスクラップ&ビルドを展開、影響を受けたのアーティストからのエッセンスを巧みに取り込みニューミュージックなロックサウンドを展開。非常に聴きやすい歌謡テイストのあるロックサウンドを聴かせてくれます。少女漫画チックな歌詞の世界もなんとも言えないドリーミングな世界観を魅せ、このバンドの独自性を高めているように感じるが、日本のプログレバンドはこんな感じだったかも知れない。
インストから続くのはマイケル・ジャクソンが踊り出しそうなビートの強いナンバー、その後もグッとロックな滾りを感じず、脱落しそうになった中盤あたりで、キレのあるリフが切れ込んでくるスピードナンバーが唐突に顔を出しボルテージを上げます。このバンドの本文はどこなのか戸惑うが、繊細なハイトーンを操る鈴木治の歌声もハマり、暴れるギターと躍動するリズム隊がここぞとばかりにフラストレーションを払拭しています。オルガンもユニゾンをかまし音に厚みを持たせている(エンディングに向けてバンドが一体感を高め爆発するスリルと破壊力は凄まじい)。こういう曲がもう少しあれば良かったのだが、歌謡テイストと恥ずかしい日本語歌詞が絶妙な味わいを魅せるジャパニーズメロディアス歌謡メタルの⑥で昇天させてくれる。アルバムの方向性や売れないと飯が食えないというレーベルの意向もくみ取り折衷したような⑥はバンドの本文なのかも知れませんね。
でも⑤の演奏が全く無理を感じさせないので、腕に自信はあるがやらせてもらえなかった感は否めない。
そういう疑問の抱えたまま、やり過ぎソングの⑦へと向かい、こういうtoo muchさが問題なのですが、アルバムの表題曲である⑦は良い雰囲気です。でもイーグルスに訴えられたら100%敗訴します。
そのインパクトの強さが全てを霞ませるのですが、国産メタルシーンの難しい活動基盤を考えると、こうなるのも仕方が無いのかと大人になれば飲み込めます。なんだかんだ言って、自分の好みに併せて好きな曲をチョイスすれば問題はありませんので、個人的には大いに楽しみました。

ちなみにワタクシが持っているのは2002年に紙ジャケで復刻した奴です。そして2017年には高音質で再発もされています。比較的入手しやすい一枚でしょう。キーボードと哀愁のあるメロディを生かしたサウンドは、ソフトケイスされた面は強めですが、その日本人らしいワビサビのある展開と繊細な作り込み、それは⑧みたいな曲にも顕著に表れているでしょうね。

ワタクシも1985年当時に聴かされたときは、ボロクソ悪口を言いましたよ。軟弱な唄だ、こんなもん女子供が喜ぶソフトロックだとケチョンケチョンでしたが、年齢を重ね物事の分別がつくようになったら、このバンドの持つ技量や制約のある活動下の中で意地を見せたんだよなぁと勝手に推察して楽しんでいます。ギターは上手い、リズム隊も安定感がある。皆、腕に自信がある。だから、この繊細は歌声を生かした英国寄りのメロディアスロックを作り上げる事が出来たのであろう。
ゴリゴリのメタルファンにはすすめないが、和洋折衷を楽しめるマニアにすすめたい。あと潔癖は人は止めた方がいい。聴いたことのあるフレーズが多すぎる。


WAYNE - Metal Church ★★★ (2022-01-15 17:26:30)

メタルチャーチのシンガーだった、デイヴィッド・ウェインが立ち上げたソロプロジェクト。アルバムタイトルを見ただけでややこしいイメージを持ちますよね。参加メンバーにも懐かしい名前があったりと成り立ちはどういうところから発生したのか気になりますが、2001年という時代背景を飲み込みつつも、出している音は懐かしきUS産パワーメタルサウンドを披露。ガッツ溢れるスピードナンバーが適度にあれば良かったのだが、時代性がそれを許さずミドルテンポ主体の作風になっている。
ヘヴィなギターリフが要所を締めているが、メタルチャーチというアルバムタイトルにしたのであれば、本家を脅かすような勢いが欲しかった。しかし、ダークでミステリアスな雰囲気のあるパワーメタルはウェインに期待される一面であることに変わりは無く、メタルチャーチというバンドが持ち合わせていた緊張感と曲間にギアを上げる起承転結のある展開、それがあればなお良かったのですが、そうなるとメタルチャーチになっちゃうので、無い物ねだりなのかも知れませんね。
類似点や雰囲気を匂わせと捉え否定するのか、往年の風を吹かせ、デイヴィッド・ウェインここにありと認識するかで評価も大きく分かれそうですが、⑤みたいなガッツィな曲を聴かされると燃えてきますよ。
二番煎じ感を覆すだけに力作になっています。それどころかメタルチャーチ復活みたいなノリでイケるでしょう。でも⑥は偉い人に怒られるかも知れませんよ。


HURRICANE - Take What You Want - Hurricane ★★★ (2022-01-11 22:32:25)

歌メロが好きなんですよねぇ
リバーブの掛かったミックスも懐かしいです
バンド名をつけた曲だけに強力
そしてこのバンドの音楽性を端的に伝える曲でしょう
哀愁のメロディアスハードサウンドに耳がもっていかれます


HURRICANE - Take What You Want ★★★ (2022-01-11 22:28:53)

有名な商業誌にて、パッとしないとので買うか迷う点数でと言う批評をくらい70点代の前半を頂戴したデビューEP。このバンドの代名詞と言えるメロディと硬派なハードスタイルは既に確立。明るく脳天気、売れたいですよーという音楽性とは一線を画した音楽性を披露、勿論アメリカのバンドなので、濡れているが湿ってはいない光沢のあるメロディアスサウンドを展開、グルーブ感のあるリズムは心地よく鳴り響き、豪快な①から悪っぽい路地裏ハードサウンド②への流れなんかもベタですがグッと掴まれますよね。
ある意味、お約束感は強い、そこが批評家から苦言を呈されたのでしょうが、それなりのキャリアのあるメンバーが手堅い音楽性を踏襲しつつ聴かせるパートを設け適度に耳を刺激、この計算されたワイルドさとロックの持つダイナミズムの格好良さ、今となっては懐かしいミックスのドラムでさえ、これでいいと思わせる味わいが大好きです。
今ではお手軽に視聴できる機会も増えていますので、本格派のメロディアスアメリカンハードサウンドが好みの方なら聴いて損はしないでしょう。


SAXON - Carpe Diem - Remember the Fallen ★★★ (2022-01-11 22:18:17)

早くも最新作から2曲目の先行リリース。懐かしい時代を想起させる哀愁の英国ハードサウンド。しかしマイナーな時代では無く渡米後の垢抜けた時代を想起させるフレッシュ感のあるバイカーズロックです。これでもアメリカンなんちゃらと難癖をつけられそうですが、いやむしろアメリカンなんちゃらと言わないと、過去のアルバムに対する整合性は成立しないんですけどね。
30年以上も前の評論家の発言に引っ張られない純粋なロックファンに楽しんで貰いたい一曲。
落としすぎのチューニングを戻して往年の姿を取り戻していますよ。


SINNER - Santa Muerte ★★★ (2022-01-09 19:05:39)

頭にはあるのだが、熱心に追いかけていないマット・シナー率いるSINNER。いつでも気軽に聴ける環境が余計に遠ざけている感はあるのだが、しばらく放置している間に随分と様変わりしています。オープニングから女性シンガーのタフな歌声にノックアウト、呆然としているうちに②ではロニー・ロメロがゲスト参加で歌声を披露。いかにもシナーが考えそうなメロを唄い我に返りました。
③ではシナー節とも言える哀愁が炸裂、シナーのリードヴォーカルをとりメランコリックな哀愁のシナー節を聴かせてくれます。ここには新旧の魅力があります。自らが築いた古典ロックと踏襲したシナー流のメタルサウンド、そこに現代的な要素も無理なく盛り込みアップデート、一見、奇をてらったような女性シンガーの加入も、次の展開を見据えた中で行われているのは当然のことであり、シナーのハンドリングの元、多彩なフォーメーションで魅了するサッカーチームのような華麗なるアグレッションを見せつけ果敢に攻めあげている。男女混合なんて流行かも知れないが無理を感じません。シナー節は健在です。ド迫力のリズム隊、そしてツインギターチームは飽きさせること無くスリリングなプレイで魅了、質実剛健なメタルサウンドを轟かせ新生バンドとしての充実度をアピールしてきた。マイトガイなクールでキザなタフネスさと哀愁のメロディアスサウンドの旨味、メンバーシップが爆発です。ケミストリーを感じますねぇ。
シナーを聴けば、またオススメが増える。聞き込ませてくれないよなぁ。


IT'SALIE - Lilith ★★★ (2022-01-09 18:44:44)

サブスク生活は色んな意味で刺激的です。とにかく一枚なにかを聴けばオススメのアーティストや似たテイストのバンドをめちゃくちゃ薦めてくれます。本当に追いつきません。そのおかげで最近のバンドの音源に触れる機会が増えました。増えすぎて困るくらいなんです。こんなにSpotifyやAmazonに追い詰められる人生を送るとは夢にも思いませんでした。たいして金も掛からんのに恐ろしい情報量です。なにより好きな時に好きな音源が聴けるというのが一番です、このバンドのそんな中で出会いました。
全く知らないバンド、情報も皆無ですが、このバンドはプロジェクトチームのような立ち位置であり、イタリア人女性シンガーのジョルジア・コレルオーリの歌声を生かした古典ロックを展開、現代的なサウンドメイクでアップデートしているが、タフでヘヴィな古めかしいサウンドを名いっぱい聴かせてくれる。そこにこのパワフルな女性シンガーが持ち込んだ刹那な哀愁、ドカーンと打ち上げた花火が散りゆくような哀愁が良い感じで楽曲にメリハリと付け、堂々とハードなロックを従え歌い上げている。
⑤ではマット・シナーとデュエット、さらにはマットがプロデュースを買っているのだが、ワタクシが単なる勉強不足なだけで、彼女が現在のSINNERのフロントマンだったんですね。浦島太郎おじさんにとっては目から鱗でした。今作で聴ける歌声に惚れ惚れしたので、当然、今作のあとはSINNERにハシゴ酒ですよ。
古くて新しいざらついた古典ロック、どこかで聴いた感覚がマイナスに働かないのは絶妙なさじ加減で似て非なるモノを作り上げた関係者の手腕によるところでしょう。
コンパクトな中にもバックを支えるメンバーの適切な仕事ぶりが視聴感をよくしているのも好印象。少々暑苦しい歌声を上手く間引いているようで面白い。この女性シンガーだが、パワフルな曲でも凄い迫力で分厚い音像を押し返しているのだが、バラード系でもエモーショナルに歌い上げ器用さをアピール出来ている。硬軟交えたパワフルヴォイスは性別を超えたところで評価されるべき逸材だろう。華のある見た目だけでは無い、実力があるのが素晴らしい。ハートのカバーも押しが強すぎるぞ。


CRYSTAL VIPER - The Cult - The Cult ★★★ (2022-01-08 18:31:08)

イントロの流れを引き継ぐモノ悲しいイントロ
マイナー調のメロディは悲しみを讃え一気に弾けます
パワフルかつメロディアスなクリスタルヴァイパーサウンドの幕開け
心して聴かないと吹っ飛ばされるような勢いをまとっている


RAGE - Execution Guaranteed ★★★ (2022-01-07 14:01:29)

ギタリストの片割れがWARLOCKのルディ・グラフに変更、ミキシングはトミー・ハンセン、総監督にノイズのオーナーも登場とバックアップ体制を強化。スラッシーな殺傷力とメリハリを効かせたメロディ、そこに拘りのある展開も設け一筋縄ではいかない独自性を高める事に成功。欧州由来の叙情性も生かしつつもタフガイな魅力を損なわない男臭さが全体を支配している。
ミキシングも代わりスッキリとした味わいが増えたのはメジャー感を強めたと言えるだろう。当時は唄が弱いと揶揄されたが、この味わいこそRAGEでありピーヴィの魅力でしょう。既存のアイデアを踏襲しつつも斜めから切り込む独自の感性がより強固に花開いた2枚目。スピード狂には前作の方がウケが良いかも知れませんが、独創性を高め順当にパワーアップを果たした今作に豊かな将来性を感じます。テクニカルな演奏と安定感が更なる逞しさを見せつけている。


CROWLEY - 悪魔がにくい - 悪魔がにくい ★★★ (2022-01-06 01:42:36)

昨年の暮れにリリースされたミニアルバムのタイトルトラック
平田隆夫とセルスターズのカヴァーソングというテレ東音楽祭みたいなノリに驚きました
昭和歌謡全開の楽曲をやりきった彼らの心意気
なんと言っても原曲のノリを壊さずにクロウリー流のサウンドへと転換しています
動画を見つけてからはヘビロテで楽しんでいますよ
原曲も簡単に聴ける環境なので聞き比べもしました
元は女性が歌っているからキーが高いのですね


LUBA - Secrets and Sins ★★★ (2022-01-04 13:50:31)

ウクライナの血を引く女性シンガー、ルバこと‎ルボミラ・コワルチク‎のソロなのかバンドなのか分からないが1984年にルバ名義でリリースした2枚目のアルバム。カナダではスマッシュヒットしたバラードの②が有名なのですね。少々デジタルチックなニューウェーブ臭も漂いますが、ワイルドでハードなロック的ニュアンスも散りばめ、主役たるルバ嬢の女性らしい、しなやかで凜とした佇まいの歌声がサウンドとマッチしており、チョイハードな唄モノロックを愛するマニアにはマストな一枚と言えるでしょう。
当時、彼女の作品が日本でリリースされていたのかは知るよしもないが、メディアが取り上げていないのは確かで、カナダで売れたバンドはイマイチ跳ねないような印象が強い。これもメディア偏重な日本人気質によるモノだろうが、そういった情報に踊らされない唄モノロックファンにもススメたい一枚ですね。
とはいえ、ワタクシもニューウェーブ系やチャカポコしたダンサンブルなデジタルビートは嫌いなので、大口は叩きませんが、ルバ嬢のワイルドさを加味した力強い歌声、③みたいなダンサンブルなモダンポップみたいな曲も上手く歌いこなせる器用さに耳が持っていかれます。語尾に掛けるビブラードも良いですよね。
総じて当時としてはオシャレな一枚なのでしょうが、売れたいだけでは無い本格派志向を貫いており実力派集団による質の高いパフォーマンスを楽しめます。泥臭さや大陸的なグルーブとは違うエッセンスはルバ嬢の持つ血のなせる技ならば、このグループは正解だ。


I,NAPOLEON - I, Napoleon ★★★ (2022-01-04 13:28:31)

バンド名がインパクト大なバンドのデビュー作。大手ゲフィンレコードからリリースとお膳立ては揃っているが、リリース時期も悪かったと思う。リアルロックに傾いた時代に彼らはバブル臭の残った音楽性を展開、しかも主役たるシンガーのスティーブ・ナポレオン氏の悪声がメロディアスはバブルロックに似合わない。パンキッシュな『Love I Hate』みたいな曲では機能するが、ポップスやバラードとなるカナダでヒットしたルバの⑤などはトイレの前でモジモジしながらシャウトしているようでかみ合っていないのが好悪を分けるポイントでしょう。私のように気になるとダメだが、国内盤も出ているようなので、クオリティは保持されていると思います。個人的にも前半よりも中盤以降に顔を出すダークでメランコリックなサウンドの方がバンドの持ち味が出ていると感じるので、曲順は大切だなぁと思いますね。聴きすすめることに、この爬虫類的ねっとりとした唄い回しもハマるんですよね。少々、ガンズ臭いジャングルロック的なモノをねじ込めるのだから将来性はあったと思います。このアルバム一枚で消えたために決断を下すのは時期尚早だと思うが、もう一枚、聴いてみたいバンドでした。
久しぶりに聴いたが中盤以降のVAIN的なサウンドは魅力的ですね。バンドの巧者ぶりも確認できるし、バブルロックをやれと命じた予感がするゲフィンレコードの仕業と睨みますね。


LOUDNESS - DRAGON - Mirror Ball ★★★ (2022-01-03 16:56:05)

曲名が示すように多様なアイデアが眩い光を放ちながら回転しています
聴きようによって表情を変える古典ロックの凄み
山田雅樹のエモーショナルな歌い回しにも不自然さは無い
リズム隊は強力なアイデアとプレイで魅了
フリーフォームなロックサウンドの中で縦横無尽に暴れ
主役たる高崎晃と渡り合っている
サイケでいかしたヘヴィロックディスコです


LOUDNESS - Loudness Japan Tour 2019 Hurricane Eyes + Jealousy Live at Zepp Tokyo 31 May, 2019 ★★★ (2022-01-03 16:15:20)

日本向けのミニアルバム『JEALOUSY』と『HURRICANE EYES』を中心に収録、そこに『RISE TO GLORY』から数曲を混ぜ作り上げた渾身のライブアルバム。特に『JEALOUSY』の楽曲は貴重であり、二井原実先輩脱退前のツアーを思い出させるラインナップに興奮を覚えます。
ドラムは器用に叩く西田竜一の力強いドラム、山下のベースとも相性が良く互いを高め合うように重厚なリズムをたたき出している。衰えるどころか全盛期よりも太さを増した二井原実先輩の歌声も、この路線にマッチしており、多くのベテランが精鋭を欠いた中で彼ら現在進行形でベストなパフォーマンスを見せている。相変わらず高崎のギターは文句なしの仁王立ちである。生々しいピッキングのニュアンスも伝わる抜けの良いギターの音像、80年代的なメタルサウンドではないオーガニックな響き、そのナチュラルな高崎のギタープレイから放たれる新機軸に、この80年代ラウドネスサウンドがバッチリとハマり違和感は少ない。
それにかつては高崎のプレイが前に出ている印象が強かったが二井原実先輩が見事にフロントマンたる役割を果たしバンド感が強まっているのが印象的だった。今のラウドネスはバンドとしての結束が高まり一体感が増しているように感じた、特にバラード2曲続けての流れにも、その魅力は顕著に表れ、妙に浮いているがポップなLONG DISTANCE LOVEのような曲すらも手懐けている。
個人的には大好きな『HEAVIER THAN HELL』を現ラインナップで聴けたのは嬉しかったし、ラウドネス節満載のスピードナンバー『DIE OF HUNGER』も火花を吹きながら走っていた、新旧の魅力を端的に伝えたライブ。もう少し荒くれた方が好みの方もいるだろうが、ワタクシはこのキッチリと作り上げたベテランの風格漂うサウンドに魅入られました。上手いって事は素晴らしい。昔のアイデアを現代に落とし込みアップデートした余裕のあるパフォーマンス力に舌を巻きます。誰がなんと言おうと今が全盛期でしょう。

アンコールであんパンさんが復帰したのもファンにとっては朗報でしょう。『ESPER』みたいな曲は彼のドラムはよく似合います。
あとなんで『STRIKE OF THE SWORD』やらなかったの?それとも収録的にカットしただけ?チョイと残念ですよね。


DRIVE,SHE SAID - Pedal to the Metal ★★★ (2022-01-02 16:04:16)

オープニングナンバーからやっていますねぇ。少々狙いすぎな奴ですが(曲名Touchに曲調はやり過ぎ)、Frontiersも完全なるバックアップ体制でお迎え、このバンドに求められる音楽的要素を再構築する為のお仕事に余念はありません。
レーベル関係者が揃い、とにかくダイナミックなハードさとフックのあるメロディを軸に展開、ベテランならではの円熟味と若々しい躍動感、この二つがドーピングギリギリで弾けあうことで攻めの姿勢を貫けたのが功を奏している。
勿論、期待されているベタは外していないのでファンなら安心して聴けるでしょう。ベタ中のベタを極めたサウンド、これもFrontiersならではの味付け、まさかのフィオナ嬢まで担ぎ出し玄人からライトリスナーまで満足させるメロディアスHM/HRサウンドを作り上げました。AOR系と呼ぶにはロック色が強い、ここもハード系を愛するマニアには朗報でしょう。でもFrontiers過ぎる面もあるのが好悪を分けるかも知れませんね。


LOUDNESS - Loudness World Tour 2018 Rise to Glory Metal Weekend ★★★ (2022-01-02 15:47:20)

01. OPENING
02. SOUL ON FIRE
03. I'M STILL ALIVE
04. CRAZY NIGHTS
05. LIKE HELL
06. HEAVY CHAINS
07. THE SUN WILL RISE AGAIN
08. GO FOR BROKE
09. ARES' LAMENT~UNTIL I SEE THE LIGHT
10. KAMA SUTRA-Instrumental-~Drum Solo
11. MASSIVE TORNADO
12. RAIN
13. THIS LONELY HEART
14. CRAZY DOCTOR
15. IN THE MIRROR
16. S.D.I.

今や80年代の全盛期をしのぐ多忙を極めていると言われる国産メタルシーンの代表格、我らがラウドネスが2018年に行われたイベントの初日をパッケージしたライブアルバム。新作を中心に渡米後のサウンドを展開、これが全く違和感なくハマっている。若い頃よりも太くなった二井原実先輩の歌声も逞しくパフォーマンスを上げているのも素晴らしいが、高崎のギターは常にクールで熱い、そのテクニカルな要素と構築美溢れるギターワークが完全復権、ライブならではの躍動感と火花散る高速ギタープレイに息を呑みます、あんぱんよりも柔軟さのある西田竜一のドラムもサポートの域を超える仕上がり、山下とウネリをあげるヘヴィグルーブの心地よさに唸りますね。
この二人でも成立させられた西田の努力に敬礼あるのみ、なにより彼がハードシーンにおいて、いかに過小評価されていたかを知らしめ、その存在感をアピールできたことが個人的には嬉しいですよね。
バンドとして成熟したラウドネスサウンド、④曲目にはCRAZY NIGHTSも登場とノリノリじゃないですか、最近は割と聴ける⑤もやっぱり良い曲、燃え上がる情念、イントロのギターが素晴らしいドラマティックな⑥と隙のない展開に息を呑みますよ。お祭り騒ぎじゃ終わらない緊張感溢れるプレイ、手抜かり無しの黄金期のサウンドメイク、不安を感じさせない二井原実先輩のパフォーマンスに釘付けです。そのテンションは最後まで下がることはなく、アコギを片手にアレスの嘆きを唄う姿は今アルバムのハイライトでしょう。

名曲、代表曲がこれほどあるのかと思い知らされたイベントの初日、おじさんになった&コロナのせいでライブにサッパリいかなくなってしまいましたが、全盛期のラウドネスはもう一度、見ておこうと思いましたね。
再生回数は低めだが大好きなTHIS LONELY HEARTが聴けたのも良かった。新旧の楽曲が違和感なく溶け込み、そして年齢を感じさせないエキサイティングなステージ、やはり今が全盛期でしょう。ブッタの世界から戻ってくれて良かったなぁ。


DANTESCO - Pagano ★★ (2022-01-02 15:16:35)

プエルトリコのメタルバンドが2008年にリリースした2nd。オペラドゥームなどと称されたデビュー作の流れを引き継ぐ濃密な世界観、愛してやまないMANOWARからの影響も強く、その濃度の高い世界観に胸焼けを起こすのだが、情熱的なサウンドメイクはプエルトリコというお国柄の影響も強めにスパニッシュな味付けは独自性を高め、似て非なるモノを作り上げている。
煽り立てる情感の歌声、冷ややかな感性で見つめる静と動のコントラストをダイナミックに描く演奏、その鋭い眼差しは他では味わえない一線を画す発想を蓄えたおり、無理矢理大げさなアイデアを盛り込み台無しにするような愚行は行っていません。
亜流と罵られる面は否めないが、それがけしてマイナスに働いていない、アナログ的な古典主義と現代的なデジタルワークの融合、起承転結をこれでもかと盛り込む濃密なドラマ性、一つ一つを整理し完結させているのがポイント。それだけにアルバムを通して聴く疲労感は半端ない。それ故に好き者にしか手が出せないマニアック度の高めが好悪を分けるだろう。
このバンド、カルトメタルと呼ばれる先人達よりも明らかにテクノロジーの恩恵を受けており音質自体は消して古くないのもポイントでしょう。


WITNESS - Witness - You're Not My Lover ★★★ (2021-12-30 15:22:57)

ダルトンの曲として知られていますが
この曲のクレジットが凄い
Captain Kiddことジョン・ボン・ジョヴィ
The King Of Swingことリッチー・サンボラ
そしてデスモンド・チャイルドの3人で共作した一曲
悪いわけがありませんよね
耳を惹くフック満載のメロディと華麗なコーラスワーク
絵に描いたような売れ線ハードポップナンバー
女性シンガーの方がフィットしていますよね
もっと売れて良いし認知されるべきグループだったと思うなぁ


WITNESS - Witness ★★★ (2021-12-30 15:17:58)

女性シンガー、デビー・デイビス擁するアメリカンメロディアスハードロックバンドが1988年にリリースしたフルアルバム。作品はこれで終わったので知る人ぞ知る的な存在なのだが、ハッキリ言うとバンド感が全く漂わない。外部ソングライターの曲ばかりだし、参加メンバーにニール・ショーンやブラット・ギルズ、スティーブ・スミスといった名前もあり、もはや誰がメインのバンドなんだと訝しむラインナップ、デビー嬢を売り込むバンドなのかなぁと思ったりもするのだが、一応バンドのギターとして名を連ねるのはデイモン・ジョンソンである、デイモンと言えばBlack Star Riders、Thin Lizzyでギターを担当したし、幻の3枚目のアルバムを作るもお蔵入りしたDamn YankeesやAlice Cooperとのお仕事でも知られる実力者、さらにキーボードのジョーイ・ハフマンの後に成功者となる人物だったり、バンドとしてのポテンシャルはけして低いモノではなかった、それだけにカヴァーソング集みたいな作風に落ち着いたのがチョイと残念である。
しかし、逆を言えば粒だった楽曲はどれもが魅力に溢れており、ポテンシャルの高さを証明しているのだから皮肉なモノである。唄モノやメロディアスなサウンドが好物の方は必ずや楽しんでもらえる一枚でしょう。よそ行きとは言え全曲捨て曲無しの名盤と呼べる内容なんですよね。
このグループの魅力はハードな質感を残していること、リズム隊もしっかりしているしギターもハードワークな面をキープしている。豪華ゲストに目が眩まなくても十分にやれるバンドでした。もう一枚聴きたかったなぁ。そしてアメリカのバンドはレベルが高い。


Dag Finn - The Wonderful World of D. Finn ★★★ (2021-12-28 13:27:48)

Sha-Boomのシンガーとして知られるダグフィン・ストロームがダグ・フィン名義でリリースしたソロアルバム。彼の歌声を前に出した作風はいかにも北欧風の哀メロを搭載した叙情はハードポップサウンドを展開、爽快で冷ややかな風を運ぶキーボードと嫌みの無いハードサウンドは、日本人の感性に訴えかける場面も多いでしょうね。今作のリリースが1991年なのですが、既にあのトミー・ディナンダーが楽曲を提供、その筋の歌モノロックを愛する方ならドンピシャの方向性に進んでいますよ。
ミカエル・アーランドソンなどが好きな方なら大いに楽しめるでしょう、全ての楽曲に不自然さがないんですよね。あるべくして出てくる弾けるポップロックの旨味、どんな曲を歌っても邪魔しない個性と力強さ、そのおかげで全てが高品質なクオリティを保持、ラモーンズもやったI Wanna Be Your Boyfriendも様になっていますよ。この器用さがあってのダグなのですが、Sha-Boom自体が日本で知られていないので、誰やねんでしょう。今のご時世、視聴しやすい環境でもあるので北欧ハードポップサウンドが好みの方や歌モノロックを愛する方はお探しください。
北欧人脈が多いですからね、ギターにWIGWAMのティニーの名前があったりとマニアなら食指も伸びるメンツが顔を揃えていますよ。


TIGERTAILZ - Young and Crazy ★★ (2021-12-28 12:56:14)

ド派手なルックスに負けないパワーポップなオープニングナンバーも炸裂とめちゃくちゃデジャブ感が強いサウンドを引っ提げている。ジリ貧する英国シーンから活路を見いだすために米国に渡ってきたのだが、それにしてもアメリカン路線であろう。歌い手のダイアモンド・デイブ臭もキツメであり、ポイズン、モトリーといったグラム系バットボーイズロックをど真ん中でやり切っている。
今作のみでバンドを去るスティービー・ジャイムズの歌声の嘘くささが、このバンドサウンドにハマり過ぎたのが個人的には食い切れない要素でした。でも、所謂グラム系のサウンドが好みの方なら大いに楽しめる要素も大きいでしょう。
楽曲が進むにつれ英国情緒のあるメロディも顔を出し、カラッとドライなスタイルに傾くのではなく毒気のあるポップなサウンドの中にモッチリとした哀愁のメロディを練り込んでいる。
こうして久しぶりに聴いたのだが、やはり優等生過ぎる面が強いなぁ。安い学園ドラマの不良学生みたいなやり切れていない部分が微妙な空気感を出しているぞ。


CHANNEL ZERO - Channel Zero ★★★ (2021-12-27 14:12:20)

今は泣きドイツのShark Recordsからデビューしたベルギー産スラッシーの1st。まずは一聴して、そのワールドワイドな基準値を超える質の高い音楽性に驚く、物資不足な東欧圏の貧しい国とは思えないメジャーな質感、この手のバンドはどこか貧乏くさい一面が出るのだが、そういうハンディを微塵も感じさせない近代的なスタイルを披露。重ね合わせたリフワークに煽られるよう聴き手を扇動するのだが、スピードやパワーだけで押し切るのではない攻撃的だがメロディアスなツインギターのフレーズを軸に、タイトなリズムが躍動する劇的な展開を際立たせ飽きがこないよう工夫している。歌い手もジョン・ブッシュを彷彿とさせる場面もあり、デビュー作とは思えない貫禄のある歌声を聴かせバンドサウンドの頂点に鎮座、先人達が手本とは言え上手く作り込んでいますよね。


Мастер(Master) - Maniac Party ★★★ (2021-12-27 13:55:20)

オリジナルは確か1994年にリリースされた4枚目のフルアルバムでしたかね。前作から英詩にも挑戦した彼らだが今作でも同様、ワールドワイドな展開を視野に入れた音楽性は、レコーディング時のゴタゴタの影響など微塵も感じさせないマッシブな硬質スラッシュサウンドを展開、シンガーの唄い回しも説得力が増しバンドサウンドを牽引、1994年という時代背景を考えたら絶滅危惧種となるような古典スラッシを披露、聴き手を飽きさせない工夫とスリリングなアレンジも効果的に機能しており土台となる正当性の強いメタルサウンドが逆に新鮮に聞えるから不思議である。
リリース当時の背景や、このバンドを取り巻く環境、脆弱なレーベルからのリリースなどもあり、忘れ去られた感や、そもそも知られていない一面がある。大手レーベルからリリースされた作品は一定のクオリティを兼ね備えているが、どこか方向性が…
そういう大人の事情で音楽性がコロコロ変わるチョイ名前が売れているバンドなどよりも遙かに聴くべき要素が大きい。スピード/スラッシュ系が好きな人ならば今作には大きな発見と魅力があるだろう。ロシアンメタルシーンの底力、物資不足から来る国内事情などものともしないパワー溢れるスラッシュサウンドは純然たるアイデアを有し圧倒的な凄みで聴き手の飲み込むでしょう。


Мастер(Master) - Talk of the Devil ★★★ (2021-12-27 13:38:12)

ロシアンスラッシャーの草分け的存在と言われている彼らが遂に英詩に挑戦、ペレストロイカ万歳という影響もあるのかワールドワイドな展開を視野に入れての今作と言うことなのだろう。そういう意味で癖の強いロシアンメロディは減退したが世界基準に焦点を絞ったスタイルに無理無駄はなく徹底的に絞り上げたタイトなリズムプレイとザク切りリフワークは心地よく耳を刺激、切迫感のあるリズムが体中を駆け抜けアドレナリンを分泌、軽快感すら漂うバッキバキのゴッキゴキなやつはご機嫌ですよ。
紆余曲折を経て現在も活動する古参ロシアンメタルバンドの一つとして知られる彼ら、○○からの影響を垂れ流すだけではない個性とアイデア、決定的な出路の違いが音楽性に反映、星条旗に火を放ち広大なロシアの大地から世の中を見下ろしているような大胆不敵な野心に満ちあふれている。


LOUDNESS - 8186 Live ★★★ (2021-12-26 15:30:12)

人生でもっとも聴いたライブアルバムである、ラウドネスの全盛期のステージを堪能できる強烈な2枚組。初期のナンバーから渡米後のサウンドまで、選曲に偏りはあれど完成度の高いプレイとライブならではのアレンジ、声も出ている二井原実先輩のパフォーマンスも堂に入ったものであり若さに似合わない貫禄のステージにアメリカでの武者修行の厳しさを感じ取る事が出来ましたね。
修羅場をくぐり鍛え抜かれたステージング、その火傷するほど熱きパフォーマンスをラウドネスという看板に相応しいレベルの高い演奏技術に酔わされました。
ハイテクニック、ハイパフォーマンス、ハイエナジーとまだ20代の若造なのに、ここまで自分たちのスタイルと音を持っていることは脅威である。やはり自らが築き上げたブランド、ジャパニーズメタルシーンの先駆者として道を切り開いた実績がものを言わせているのだろう、雷鳴の如きアームプレイから幕が開ける今作を聴き、思春期ど真ん中のワタクシは雷に打たれたような体験をしました。
背筋が痺れたラウドネスサウンド、ロックショックなんて何度聴いたかわかりません。クレイジードクターに熱狂し、ジェラルディーンみたいなポップな曲もあるのかいと驚き、そしてベースソロとドラムソロに耳を奪われシャドウズオブウォーで昇天、いかにもシングルなレットイットゴーもエエのよ、フェイストゥフェイスも燃えた、アレスの嘆きに涙し、インザミラーで燃え尽きましたよ。
タッカンの独壇場なソロタイム、そしてクレイジーナイトの登場で再び奮い立ち(二井原実先輩歌詞を覚えなさい)、スピードで再び天に召されましたが、三途の河原から引き返したくなるほど、今作は魅力的なステージと楽曲が収録されているので何度でもリピート再生したくなります、あのプレイはどうやっているんだ?高崎のギタープレイに魅了されまくりです、リフ作りも上手いしソロパートも圧巻だし、ギターヒーロー然とした佇まいにただただ羨望の眼差しを向けますよ。
生意気な若造だと音楽関係者から陰口を叩かれまくったと言われる高崎だが、これだけ独創的なニュアンスとタッチを操るのなら天狗になりますよ。いや、ヒーロー気取りの大天狗になって欲しいと思うくらいかっこよいです。
音で圧倒した貫禄のステージ、ベースソロではバッハのフレーズを持ちいりインテリジェンスな面も披露、マー君の華やかなステージングと相まって実に素晴らしいモノになっています。樋口ドラムもタイトで正確、一聴して彼と分かるドラミングは本当に素晴らしい。

今作を聴き、音が気取っているとか歌詞が聞き取れないと批評した評論家がいると、のち知ってウンコ漏らしそうになりました。ワタクシにはミキシングを担当したビル・フーリッシュがわざとらしいくらい、唄のパートを際立たせ歌詞がビンビンに響いているのですが、なんなんだろうねぇ?悪意しか感じない批評に首をかしげますが、日本人がメタルをやることを嫌う極端な思想の持ち主はいるので仕方がありませんけどね。

渡米後の彼らよりも初期のダークなブリティッシュロック系の方が好みでしたが、日本人がメジャーベースボールの世界で活躍する姿に興奮するように、ラウドネスの躍進と逞しく生まれ変わった姿にワタクシは、同じ日本人として誇らしく思います。
今のロックシーンを見渡しても20代でここまで完璧なステージを披露できるアーティストってどれだけいます?それだけでも凄い事なんですけどね。
楽器を始めた若い人にこそ聴いて欲しい一枚、プロってのはここまでやるのかという意味でも勉強になりますよ。


X-MAS PROJECT - X-Mas Project, Volume II ★★ (2021-12-24 12:21:52)

現在は1とカップリングで再発もされたジャーマンメタル軍団による企画モノアルバム。前作はかなりお祭り騒ぎの狂想曲的な遊びが満載だが、今作は思いのほか真摯に取り組みダーティーなスピード/スラッシュ仕様のメタルサウンドをやり切っている。
もう少しバカ騒ぎの方が、こういうのは面白かったりするのだが、お金を出して買うとなるとやはり、おふざけは厳禁なものでしょうかね。いずれにしろ、メタルなクリスマスに相応しいサウンドではあります、前作と合わせて楽しんで欲しい。


KILLER MAY - Sangre ★★★ (2021-12-21 12:48:28)

最近、めでたく廉価版が再発されたキラーメイ。ここで紹介するのは1988年にリリースされた3枚目のアルバム。どういう分けかデビューしたときは、シンガーのREINOが女装して唄っていた、他のメンバーもそんな感じだったと言われるが、個人的にはTVでREINOが女装して唄っていた姿しか確認できてない。そんなキワモノ的なイメージは最後まで、このバンドの評価を曇らせたが、後にギターとドラムの菊池兄弟がTHE YELLOW MONKEYで売れたので、このバンドにも少し光が当たった。
インディーズ時代から底抜けに明るいロックをやっていただけに、女装姿はあれだが、陽性サウンドと派手目のルックスの下に隠れる素顔はイケメンというメンバーショットは売れるポテンシャルを秘めていただけに、キワモノとしての売り出し方が悔やまれるバンドでした。
ここではREINOの男を取り戻し、インディーズ時代のようなロックンシャウトを絡め自身の持ち味をアピール。彼の歯切れの良い歌声を前に出しつつ古典的なロックサウンドを披露、シンプルイズベストな音楽性は当時としても古くさいのだろうが、逆を言えば安定したブランドでもあるために、その安定感のある演奏と相まって聴きやすいハードなロックを聴かせてくれる。
ある意味、インパクトは薄まったが本来あるべき姿に戻れたのは彼らにとっては良かったろう。結局、最後まで女装で売れたが為の呪縛から解き放たれなかったバンド。歌詞の内容も変わり仕切り直しを図っただけに、もう一枚この路線でアルバムをリリースして欲しかった。バンド名を変えて勝負しても良かったかもね。KISSとか好きな人なら楽しいだろうねぇ。

話は変わりますが、このバンドのレビューがごっそり無くなっている。ワタクシのコメントも勿論だが、他のユーザーのもなくなっている…ん~


ZINATRA - Zinatra ★★★ (2021-12-21 00:08:15)

オランダ産のメロディアスHM/HRバンドの1st。少々アイドルチックなイントロで幕が開ける弾けるポップセンスが冴えるメロディアスハードサウンドと来て②ではスウィートでメロウなミドルナンバーを披露、その北欧風味と言える甘美なメロディに持って行かれます。キーボード奏者も楽曲に合わせ顔を変えたりと貢献していますね。デフ・レパードが助力したとかしないとかで話題性もありますが、そんな力に頼らなくとも、軽そうで芯の太いバンドサウンドを展開、1988年という煌びやかな時代にジャストフィットするようなメロディアスHM/HRサウンドを展開している。産業ロックな③も以外と拘りの展開があり、どの曲にも見せ場になるような場面を設け単なる売れ線スタイルとは一線を画す知性派な面もあり、このバンドの持ち味は奥が深い。
次のアルバムの方が話題性はあるのだが、個人的な思い入れは今作の方が強い。


SCORPIONS - World Wide Live ★★★ (2021-12-19 14:43:16)

飛ぶ鳥を落とす勢いで上り詰めるドイツのスーパーロックバンド、このライブ盤は正にその勢いをダイレクトに伝えてきます。名曲②③と弾け飛んできたのもそうなんだろうが、とにかく活きのいいステージからは熱気がダダ漏れ、全世界制覇を目論む若き男達の野心が健全なパワーを伴い光り輝いています。
ミドルナンバーでは太古の恐竜たちがステージを闊歩するような堂々たる貫禄を感じさせ観衆を飲み込み、サウンドに爆発的なパワーを与えところ狭しと大暴れ、緊張感のあるスリルよりも賑々しい楽しさが、単純にカッコイイと思わせてくれます。
ロックスターのオーラをまとったメンバー、ウリ・ロートやマイケル・シェンカーと言ったスタープレイヤーの公認として、小粒感の否めないマティアス・ヤプスが、華がなかろうとバンド一丸で盛り上げロックバンドのライブとして理想的といえる運びで最後まで楽しませてくれる。欧州的な叙情性と大衆性を完備したサウンドは鋭さもあり、軟弱に聴かせないのも肝。不良なロックじゃないのが良いんだろうね。今となっては少々バブリーに感じるサウンドかも知れないが、ドイツ人アーティストの誇りと信念を貫いたワールドワイドなスタイルは、やはり心動かされるものがある。


FASTWAY - Waiting for the Roar ★★★ (2021-12-19 14:07:45)

骨太なブリティッシュロックを引っさげデビューを果たした彼らだが、勝負の3枚目で方向転換を敢行、良い意味での洗練度を高めたサウンドは古くさかった古典ロック臭を一掃、それでありながらも軸にあるハードなロック魂は健在、キーボードが飛び出そうが大衆性を増そうが、広げた音楽性を受け止めるだけの実力者が揃っているだけにアイデアは破綻していない。
とはいえオープニングナンバーなど、今までと余りに違うので、これがダメなら引き返すのが一番だろう。逆に大作な空気すら漂わせる今作に魅入られたマニアは、このバンドの評価を一変させるほど魅力的なサウンドに映るでしょう。でも②とか始まった時はひっくり返ったけどね、今作もMVPはデイブ・キングである、彼はこんなに器用に歌えるのかと驚いたほど、軽くさせない説得力のある歌声、中庸なメロディアスハードサウンドに楔を打ち込んでいますね。エディはギターを弾きながら複雑な気分を味わったでしょうね。

でもこのアルバムが面白いのがアナログ盤で言うところのA面B面で音楽性が変わります、前半こそ洗練されたメロディアスハードで迫るが、後半はハードさが復権、『1粒で2度おいしい』アーモンドキャラメルのキャッチコピーな楽しみ方が出来るのがポイント。上手く時代に合わせてきた彼らを褒めたくなる一枚です。


FASTWAY - Fastway ★★★ (2021-12-19 13:55:57)

MOTORHAEDのファスト・エディ・クラークとUFOのピート・ウェイがバンドの顔となり立ち上げるも今作リリース前にピートは脱退、大物プロデューサー、エディ・クレイマーの元にブルージーな古典ロックを土台とした生々しいサウンドで勝負、1983年当時でも少々レトロなスタイルは旬のサウンドとは思えないが、エディのギターはラフなエモーションを武器に情感を込めて演奏、バンドの屋台骨を支えています。しかし、今作のMVPというか殊勲賞は間違いなくデイブ・キングの歌声によるところが大きい、彼の艶のあるロックな歌い回しは、この古典ロックにズバッとハマり、いやハマりすぎたが為にZEP的な扱いを受けたが、同じスタイルをルーツとするバンド群と比肩しても負けないだけの地肩の強さを見せつけてくれた。骨太なブリティッシュロックの凄み、英国ロックマニアなら避けては通れないバンドであろう。


BRIGHTON ROCK - Take a Deep Breath ★★★ (2021-12-17 19:22:44)

カナダ産メロディアスHM/HRバンドの2枚目。メロディアスかつ堅実なハードスタイルのサウンドは実に歌心に溢れており、そのフックのあるメロディとメリハリの効いたアーバンなサウンドは、メロディ派の心に必ずや寄り添ってくれるでしょう。
でもこのバンド、歌い手が相当な癖強シンガーなので聴き手の評価が分かれそうである。その特徴的な歌声は高いキーで歪むのでヒステリックに感じる、イマイチ音楽性にフィットしているとは思えない瞬間は無きにしも非ずだが、聴きすすめることに、そこが最大の愛着ポイントであり、トレードマークと思えるほど特徴がありますよ。
ソフトケイスされたパートとロックなダイナミズムの比率の上手さ、1988年という華やかなシーンにも目を配りバランス良くバンドサウンドを展開しています。流れるような構成と温かみのあるサウンドメイクを駆使しつつも、地味なルックスがイマイチ跳ねなかったのか3枚のアルバムを残してシーンから消えた実力派の彼ら、活きのいいメロディアスロックが好みの方ならトライして損はしないでしょう。