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失恋船長さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 701-800

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GRAND ILLUSION - Ordinary Just Won't Do ★★★ (2021-12-17 19:02:59)

デーモン閣下とのコラボでも知られる北欧のメロディアスロックバンドのフルアルバム。正直、このバンドのことは詳しくないのだが、ツインボーカル体制というのが面白く、アンダース・リドホルムが実権を握る中、レーベルの意向もあるのか作詞にスティーブ・オーバーランドやクリス・ウィズイーなんかの手も借りながら作り上げているのがポイント。プロデューサーにトミー・ニュートンを迎え入れ、この普遍的なHM/HRが苦心する時代に、それ相応のスタイルを誇示しながらフレッシュな感性を導入、躍動感溢れるロックサウンドと瑞々しいメロディが絶妙な絡みを魅せ自分たちが何者であるかを明確にしている。少々情緒に欠けたハードさが前に出すぎで、ダイナミック過ぎると感じる、くどいアクションシーンを魅せられているような場面があるのだが、そこは嗜好の問題であり総じてクオリティは高い。
二人のヴォーカルがグイグイと引っ張り展開しているのですが、緩急がジェットコースターのような性急さの為に、スリルと派手さを手にしたが、もう少ししっとりとしてくれたなら、情緒のある歌声も楽曲に溶け込んだのになぁと感じますね。とはいえ相変わらず曲作りは上手いし演奏も安定しています。なんだかんだ言ってトミー・ニュートンの元、自分たちのスタイルとしてモノにしているんですよね。
2004年に、この手のバンドをフォローしたのが日本と英国だけという現状を踏まえて聴いて欲しい。正統派にはまだまだ厳しい時代でした。


DANGER DANGER - Cockroach, Vol. 2 ★★★ (2021-12-16 18:40:39)

お蔵入りしていた幻の3rd。前作の延長線上にある作風であるがリリース当時の音楽シーンを意識した作りに無理矢理感は一切無い。作品前にシンガーとして成長するテッド・ポーリーの歌声もバッチリとハマり、グラム系アメリカンハードサウンドの典型的なスタイルを踏襲している。適度にハードでフラッシーなギターサウンドも味わいがあり、バラエティ豊かな楽曲の輪郭を描いている。仕上げた力作だが上積みというのかバンドが持つキャパシティが広がったとは思えいない無難さが好悪を分けるでしょう。
しかし、お手軽ロックンロールなようでIQは低くない、そして売れ線とは違う貫禄というのか迷うことなく王道スタイルを貫いているのが今作の視聴感をよりよいモノに仕上げているのだろう。少しのモダンさも許せない潔癖症な方にはすすめませんが、地に足のついたパフォーマンスは風格すら漂います。


DANGER DANGER - Screw It! ★★★ (2021-12-16 18:21:42)

華やいだL.A界隈を中心としたメタルシーン、そのムービメントに陰りが見えた91年、待望の2枚目のフルアルバムをリリースしてきたのですが、これが遅きに失する状況となっていた。音楽的な質の高さは疑いようがないのだが、やはりSKIDROWからワイルドさを抜いたような音楽性、無遅刻無欠勤の優等生になったWARRENTという趣の無難さが、当時のシーンに全く刺さることなく黙殺。内容に見合わないセールスとなってしまった。そのせいで幻の3枚目まで生まれるのだが、今の感覚で今作に耳を傾けて欲しい、かゆいところに手が届く抜群のアレンジセンスとアーティストとしての確かな腕に目を見張るモノがありますね、ハードでありながらキャッチーなスタイルはロックな野心を捨てることなく機能、ギターのアンディ・ティモンズも前作とは見違えるほど個性を剥き出しにギターを楽しそうに披露、絵に描いたようなロッカバラードまで弾きこなし存在感を際立たせています。
このバンド、あくまでも曲を聴かせる姿勢を崩していません、スーパースター不在でも苦にならない質の高い音楽性というのは素晴らしい事ですよね。とはいえ優等生過ぎるきらいがあるので、好みは分かれるでしょう。でもバブリーさとは違う安定感からくる優等生なんですけどね。


KREATOR - Coma of Souls ★★★ (2021-12-14 14:57:04)

SODOMのギタリストだったフランク・ブラックファイアーが加入、その相乗効果はあったのか今まで以上にメリハリの効いた音楽性を確立した意欲作。メロディアスさと苛烈なる攻撃性、後のメロデス勢にも影響を与えるような情感溢れるメロディを導入することで音楽性を深化させていった。勿論、唄は相変わらず叫び声を上げ神経を逆撫でしていく、リズムはソリッドでキリリとタイトに締め上げている。人間力を感じさせるスラッシーなサウンドはテクノロジーに頼りすぎな昨今のシーンとは別のベクトルを放出しているだろう。
クールなアイデアを具現化したメロディアスなリフやソロ、しかしそれらに軟弱な要素など一切見当たらず、90年という微妙な年に孤高の存在へと押し上げる音楽性へと昇華させている。
同郷のスラッシュ軍団から比較しても個性という武器を手に入れたバンドに死角は見当たりません、個人的には彼らのカタログの中ではトップクラスの出来映えだと思っています。走るだけではない芸の細やかさ、渋滞しないアイデアの構築、完全に一皮むけましたよね。今作を経て○○のフォロワーなどと言われないスタイルを手にしました。


POKOLGEP - Live ★★★ (2021-12-13 17:50:00)

1998年に再始動したハンガリアンメタルのレジェンド、ポコルゲップが2001年にリリースしたライブアルバム。ギターのガボール・クコヴェチ以外はニューカマーばかりだが、シンガーのジョセフ・ルダンがいるので安心ですね。再始動後の音源やジョー・ルダンの編成の音楽も多いため、もう少し昔の曲が聴きたかったりするのだが(勉強不足で知らない曲もあり)、そこは思い入れの問題であり、再び戻ってきた彼らの雄志に声援を送りたいですね。ライブならではのアレンジも聴き応えたっぷり、生々しいステージングは臨場感もあり追体験も可能と、復活後の彼らの姿を確認できます。
キャリアが長く、どの時代の音源を支持するかで評価も分けそうですが、今ではサブスクで簡単に聴けますので、ありきたりのメタルに飽きた方や見聞を広めたいという猛者には是非ともトライして欲しいバンドです。マイナー=駄作ではありませんよ。日本では適切に紹介されていない大物がゴロゴロいますからね。


Blind Vengeance - Blind Vengeance ★★★ (2021-12-12 17:20:30)

カナダが生んだ天才メロディメイカーとして愛されるハリー・ヘス。日本でも人気のあるアーティストだろうが、そんな彼のプロキャリアの初期を語るバンドがこちらになります。今作は1984年にリリースされたアルバムのタイトルを改変、そして曲順も変えて再リリースしたものになるらしいのだが、その元ネタを聴いたことがないので比較が出来ませんので割愛です。

オープニングナンバーこそポップな曲で幕開けだが、②曲目はガッツ溢れるスピードナンバーが登場、ハリー・ヘスも力みを入れて歌い別人の印象を抱かせる。軽いのだが④からまたパワフルなメタルナンバーへと宗旨替え、NWOBHM直系というのかJP仕込みのスケールの大きなサウンドを聴かせてくれます。
ハリー・ヘスのキャリアを考えると異端過ぎる音楽性と感じるのだが、古典メタルを愛するマニアには、その情報を隅に置き頭を切り替えて楽しんで欲しい。全10曲で33分というランニングタイムが示すようにコンパクトにまとめ上げた楽曲は情報のスリム化に成功しており、端的にヘヴィメタルの魅力を体感させる仕様になっている。しっかりと盛り上がるポイントも押さえているし視聴感は悪くない。


EXCEL - Split Image ★★★ (2021-12-12 17:08:12)

知る人ぞ知るカルフォルニア産のクロスオーバースタイルのHM/HRバンドによる1st。浮かれまくるバブリーメタルを尻目に地を這うように活動していたアングラメタルシーン、彼らもそのど真ん中で這いつくばっているのだが、ドゥームメタルからも洗礼を受けたパワー漲るスラッシュサウンドはハードコアパンクスからの影響もふんだんに盛り込み自己流をアピール。
むさ苦しい男達による汚らしいサウンドは嘘偽りがなく売れたいというベクトルとは真逆な姿勢を明確に打ち出しシーンに楔を打ち込んでいる。華やかなシーンを前に、彼らが立てたステージは少なかったろうが、化粧するよりも自分たち磨きに時間を費やした修練はけして無駄にはなっておらず、力で押し切るだけではないアイデアの豊富さに目を見張ります。未消化な部分があるにせよ、それすらも見方につけたバンドの勝ちだろう。現在のヘヴィシーンにも通ずる、ぶっきらぼうな無国籍サウンドが待つ異端性と剥き出しの個性、古典スタイルの一つとして楽しめるでしょう。有名ところにピンと来ない若い人にこそ聴いて欲しいねぇ。


CORONER - R.I.P. ★★★ (2021-12-11 15:58:37)

テンションの高い演奏、その一触即発とも言える緊張感はこの手のバンド特有の魅力ともいえテクニカルさが自己満足ではなくイマジネーションを広げることにも貢献、欧州のバンドだけに暗く湿ったサウンドは独特の風合いを醸しだし苛烈なる攻撃性の中に陰りを見せる。サウンドプロダクションに難はあるかも知れないが、メガデスがそうであったように知性溢れる音楽性と密度の濃い演奏は、メタル系のサウンドを愛するモノならば、どこかに引っかかる要素があるでしょうね。明るく楽しいメジャー系オンリーの人にはすすめないが、メロデス系にも影響を及ぼしたと言われるメロディセンス、そしてテクニカルなリズムプレイの数々、今聴いての十分通ずる個性、他では味わえない組み合わせというかアイデアが素晴らしいですね。


TEN - Return to Evermore (2021-12-11 15:28:48)

究極のマンネリズムサウンドを作り続けるゲイリー・ヒューズ、それはオープニングから炸裂だが③のイントロが始まった時はずっこけた、歌メロもまんまやる気なのかと、この節操のなさというのかモラルハザード具合がこのバンドの評価を曇らせている。
ある程度、知識のある人ならば顔を曇らせるくらいの拝借である。もっと言えばパクリ方が下手くそとも言える。そういう感度な人にとっては許すまじバンドではあるが、そこまで潔癖ではないモラルのガバガバな人ならば良質なメロディアスロックとして楽しめるでしょう。
明け透けな元ネタを探すよりも、目の前にある音を楽しむという感覚は必要なのかも知れませんが、個人的にはやはり厳しいッス。
前任者はギターを弾きすぎだが、新しい相棒は控えめ、そしてグランジ以降のスタイルを踏襲しており新鮮な風を運んでいる。古典ロックに対するモダニズムと言えば良いのだろうか?色々試してはいるが、如何せん過去からの流用がキツメなので、そういう事すらも問題にさせない不快感が勝っている。①からあちこちで見え隠れする拝借パート、一曲になんぼほど放り込むねんである。それでも成立させているのがゲイリー・ヒューズの人気なのでしょう。日本人に受けそうな曲を書いているのもポイントです。
いまや天罰が下ったのか神様から永遠の丸坊主の刑を喰らったゲイリー・ヒューズ、最近の音源をまるで聴いていないが、余りいい噂を聴かないので頑張って欲しいねぇ。


PAGANINI - Weapon Of Love ★★★ (2021-12-10 19:43:12)

ドイツのHM/HRバンドVIVAのシンガーだったマルコ・パガニーニ。次なる成功を収め動き出したのがこのバンドになります。今では放送禁止であろう、ジャケットがインパクト大なのだが、音楽性は至って真面目な正攻法で迫るHM/HRサウンドを展開、欧州風味のあるメロディだが、大陸的なグルーブを持ち込みアメリカの地を意識してる。そのバランスをMad MaxやBlind Guardian、Destructionとの仕事で有名なカレ・トラップやマルコの同郷の先輩、ヴィック・ヴァージェントらのアドバイスを受け完成させたのも作風に影響を及ぼしているのかもしれません。ルドルフ、マイケルのシェンカー兄弟の妹、バーバラと一緒にやっていたVIVA時代にも通ずる親しみやすさを上手くアメリカン志向に変換しているが、ヨーロッパのバンドである事に代わりは無く、その感触は島国ニッポンの我々に通ずるものがあり、嫌いにはなれませんね、なんと言っても主役であるマルコさんは、ダミ声系のシンガーなので、その癖の強さは大衆性を帯びたサウンドにはイマイチフィットしないんですけどね。そこが評価を大きく分けるでしょう。全然似合っていない部分とガチンとハマった時の格好良さが同時に表れるのが愛されポイントでもあるんですけどね。この不器用さがたまらんのよ。メジャー化したSCOPIONSとACCEPTが正面衝突した残骸のようなスタイルとも言える。上手く褒められん。


LOU GRAMM - Ready or Not ★★★ (2021-12-10 19:17:59)

作品前にメジャーロック化するフォリナー、すっかりポップスシンガーとなるルー・グラムだが、彼なりの思惑もあるのか、ここでは熱を帯びたアーバンなロックサウンドを展開、大人が聴いても恥ずかしくないメロディアスかつ洗練された本格派のサウンドを聴かせている。もはや確固たるシンガーとしての地位を築きつつあるルー・グラム、疑いようのない歌の上手さなのだが、AORテイストにロックな躍動感をたっぷりと盛り込みパンチの効いた歌声を押し出すことで、彼の持ち味を浮き彫りにしていますね。
ギターで参加するエディ・マルチネスなど、その筋のアーティストが参加する事でロックスター、ルー・グラムのソロ作に華を添えています。③がスマッシュヒットした関係もあり一定の成功を手にした事がフォリナー脱退の決定打となるのだが、ある意味、今作はブルース・ターゴンとのコラボもあり、モヤモヤとしていたフォリナーファンの鬱憤を晴らしていますよね。
個人的には中盤以降の方が好きだったりするのだが、上手い歌が聴きたいマニアならば一度はトライして欲しい一枚。


LITTLE CAESAR - Little Caesar ★★★ (2021-12-08 13:59:21)

大手ゲフェインレコードの口添えとバックアップを感じる豪快なサウンド、ブルージーなスタイルだが同時にポップな華やかさも加わり売れそうな空気が充満している。そのやんちゃだが堅実な作り込みは、この手の古典アメリカンロックが好きならニヤニヤとさせられるだろう。これがバンドの本文だったのかという疑問はあるが、音楽的な組み立て方も含め大手の影響を強く感じる。
だからといって売れ線というわけではないのだが、成功への近道に足を踏み込んでいたのは間違いないだろう。もう少し唄とギターとリズムの間に人間味があれば良かったが、強引に肩書きをつけようと流行り物に手を出した付け焼き刃を感じさせないバンドだけに、ここは嗜好の問題でしょう。
この手のスタイルは概ね、どこかで聴いたことがあるのがポイント、それは個性不足でもアイデアの流用でもなく、皆がシェアするアイデアでありブランドである、そこを受け止められたらノリノリで楽しめますよ。今となっては懐かしいスタイルの本格的なアメリカンロック、そのダイナミックで滋味深い古典サウンドから放たれるメジャーな風を浴びるのは心地が良いモノです。


RIVERDOGS - Riverdogs ★★★ (2021-12-08 13:37:17)

メタルバブルが膨れるだけ膨れ、そろそろ宗旨替えを考え始めたシーン、ガンズの登場はBACK TO 70'に全速力で向かわせることとなり多くのブルースベースのロックバンドが生み出された。このバンドを一躍シーンの最前線へ送り出したのは腕はあるが、見合ったギャラがもらえないヴィヴィアン・キャンベルの参加に尽きる、彼がリードギターに迎えられた事により日本でも好意的に受け止められた。
雑誌のレビューも好調で、それこそシンガーは若い頃のカヴァーディルと称された事で、多くの人からソックリと言われてしまったが、ここで聴ける歌声は、あそこまで暑苦しくなくエモーショナルだがスッキリとした味わいがあり、無理目のシャウトも交えないので視聴感はずっと上である。ブルージーな唄い回しだが声質そのものがカヴァーデイルと違います。
楽曲の充実感と面白さ、落ち着いた作風ながら華やかさもあり完成度は高い。イントロから何かを予感させる期待値を煽り、必ずや最後まで盛り上げ満足させるという手腕は見事、歌メロの良さも目を惹くモノであり、特徴的なヴィヴィアンのギターと合わさることで一段も二段も上のステージへと上り詰めています。
洗練された70年代風ロックの旨味、こういうサウンドは実力が無いと様にならないよね。


FORTRESS - Don't Spare the Wicked ★★ (2021-12-07 13:40:01)

FORTRESSというバンドは沢山ありますが、こちらは2016年に活動を始めたカルフォルニア産の若手バンドです。アメリカ産とは思えない情緒溢れるメロディアスな楽曲、湿り気はあるが濡れていない独特の風合い、そこにアメリカならではの味わいを感じるが、メロディ派の正統派メタルを愛するマニアにとっては頼もしい新人の登場でしょうね。
全8曲、30分にも満たないランニングタイムが示すよう往年のメタルアルバム同様、コンパクトにまとめられています。先人達から渡されたバトンを大切に握りしめ駆け上がる姿に共感を覚えますが、新しい何かを構築しているわけではないので、そのあたりが評価を大きく分けるでしょう。しかし、このバンドは単なるノスタルジックなスタイルをなぞるだけではない、今も感じさせるので伝統を継承する新人として楽しむのが一番でしょう。メロディがよく泣き勇ましく走るのよ。欧州にも通ずるメロディックパワーメタル風味なのよ、そこに共感するマニアは多いでしょうね。ハイトーン系も日本人にはうけるでしょう。


Turbo Red - Turbo Red ★★★ (2021-12-06 13:14:18)

一部の熱狂的なメロディアスHM/HRマニアから隠れた名品として支持されるマニアックな一枚。ドイツ産の六人組は男女ツインヴォーカルという1991年当時としては珍しい布陣、しかも両者が分け合い唄うのが基本、サビでは互いを高め合うように絡むなど理想的なスタイルを築いている。ドイツ産と言うことで生真面目さが前に出ているのも好印象、キーボードを使い口当たりの良いメロディアスサウンドは北欧タッチなのだが、ほろ苦いビターテイストを増量させる事で甘さは控えめ、そのあたりにジャーマン風味と形容したくなる生真面目さが生きている。これといった決め技があるのかと言われると微妙だ、戦隊モノヒーローみたいなバンド名が一番インパクトを残しているが、男女ツインヴォーカルがいい感じで唄い分ける様が一番の聴き所であろう。
音楽性は類型的な唄モノサウンドである、デジャブ感も満載である。個性不足である。それが逆に安定感を生んでいるのは間違いない。そこに対する評価が全てを分けるでしょうね。
洗練されたスウィートメロディは所謂、産業ロックと揶揄される路線だろう、しかし、この絶妙なバランス感覚の上で展開される透明度の高い唄モノサウンドを聴かされると否応なしに反応してしまいます。単なるラジオオリエンテッドと切り捨てられないミュージシャン気質みたいなもの見え隠れるしています。でもアイドルグループが歌いそうな軽薄なキーボードが出てくるのはチョイと苦手ですけどね。
ツボを押さえたアレンジ、ベタにはかなわんのよ。


DIO - Lock up the Wolves(LIVE) ★★★ (2021-12-05 17:18:50)

今のところデジタル配信しかされていない、短命に終わったLock up the Wolvesに伴うツアーのライブ音源。実は、今作はラジオ向けの音源であり、その為に9曲収録の52分という短いランニングタイムになっています。さらにはSpotifyでは聴けず、Amazonミュージックのアンリミテッドじゃないと楽しめない。うーん微妙だなぁ、そしてタイトル違いで同様の内容の音源が多数あるというカオス状態になっており、ディオを制覇するのは大変だと思う。あれは何とかしてほしい。金払ってダウンロードしたら死ぬど。

オープニングはLock up the Wolvesなのだが、これがフェードアウト、おいおい最後までやれよだし、選曲がここからベストオブDIOへと流れ、もはやLock up the Wolvesに対する面影のなさが好悪を分けるでしょう。せめてWILD ONEはやって欲しかったよ。この時代、ディオはステージ衣装をカジュアルなものに換え時代に合わせてきた、それだけに新作を楽しみたかったので個人的には残念だが、貴重なラインナップによるステージであることに代わりは無い。正直、このミックスで問題は無かったのか、色んな疑問はある。新しいアルバムから2曲しかない、キーボードもあまり目立たない、機材トラブルなのかバランスの悪さなのか、レコーディング環境なのか分からないが、それらも含めステージだと思っているので、貴重な音源を前に戯れ言はやめます。

このステージを体験して、やはりもう一枚、このラインナップでアングリーなマジカルディオを聴きたかったと思いました。ウェンディ・ディオは、こういう音源を小出しにするなら整理整頓してくれよぉである。


KROKUS - Fire and Gasoline Live ★★★ (2021-12-05 17:02:20)

前年にリリースしたRock the Blockに伴うツアーをパッケージしたライブアルバム。ちなみにあのWarner Bros. RecordsからリリースされたモノはDVD付きの3枚組となっています。CDも全20曲を収録したフルボリュームのライブアルバムと知られ、ファンにとってはライブ完全体現とも言える内容としても支持される作品であり、ファンならずとも知られたライブアルバムでしょう。
会場はホームと言えるスイスだけに歓迎ムード、新旧の楽曲やカヴァーソングを散りばめ、バランス良く聴かせています。当然、あれがないとかこれが聴きたいという不満はあるでしょうが、復帰したマークを迎えるという意味や、2004年のライブという観点から好意的に受け止められる選曲かと思います。
彼らが国民的な人気があって、本文とも言えるロックサウンドをかき鳴らすことで、これだけ支持されるのだからたいしたものですよ。叩き上げのライブバンドが放つシンプルな響き、それは大地を揺るがすロックとなり会場を飲み込んでいきます。これがクロークスのステージなんだという事を雄弁に語っていますね。
ワタクシはDVDは見たことがないのであれなんですが、こうなると映像も見てみたいなぁ。1-7や2-2,2-8なんていいよねぇ。


KROKUS - Round 13 - Heya ★★ (2021-12-04 17:42:14)

J.J. Lightのカヴァーソングです
有名な曲なのでどこかで耳にしているかと思います
オープニングではネイティブアメリカンのチャントも聴けたりと
大地を揺るがすネイティブアメリカンサウンドはあえて言えばサイケデリックと言えるのかな?
そっち方面には詳しくないのですが
予想外のオープニングです
いつものクロークスとは違うぞと言う選曲になりました
嫌な予感ですがカール・センタンスの器用さがバンドを助けていますね


KROKUS - Alive and Screaming ★★★ (2021-12-04 17:36:31)

2004年と2006年にもライブ盤を出していますが、こちらは1986年にリリースしたライブアルバム。アルバム『Headhunter』から②③⑧⑨の4曲と直近のアルバム『Change of Address』は④、『The Blitz』から⑤と硬軟のバランスを考えた1986年仕様の選曲で魅了、ラストが名曲Headhunterというのも嬉しいですね。叩き上げのライブバンドとして知られる、KROKUSだけに、その勢いのあるステージとサウンドは王道を貫き理屈抜きで楽しませてくれます。
2000年以降の円熟味を増したステージも良いが全盛期とも言えるエネルギッシュなステージに客席の興奮度も伝わりますね。ノリの良い楽曲を中心とした硬軟のバランスが良い選曲も視聴感を上げています。


FASTWAY - Trick Or Treat ★★★ (2021-12-04 17:04:37)

『ハロウィン1988 地獄のロック&ローラー』という邦題がついた映画のサントラ盤として知られる1986年リリースのアルバム。映像を見たことがないので、どのような形で楽曲が使用されたのか分かりませんが、2曲ほど既発音源もありますが、キャッチーでブルージーなサウンドを展開、メタルバブルが膨れ上がる時代を前に試行錯誤をしている彼らの迷いと、このバンドだからこそ感じる歯ごたえというのか、リアルなハードロックサウンドを展開しており、脳天気なアメリカンロックではない熱さとクールな熱情がほとばしり堅実なスタイルへと昇華している。KISSあたりの王道などを愛する方にはグッときますよね。
あくまでも大衆性を強めています、それはサントラという側面もあるのですが、正直、全然サントラ感はなく、例えばSEとか別のアーティストの曲があるとか、場違いなナンバーが飛び出すなどは無く純粋に一枚のアルバムとして楽しめるのが最大でしょう。
個性がある音楽性とは言えないが、個性不足をジャック・ラッセル似のデイヴ・キングの歌声が音楽性に楔を打ち込み渋くて熱いハードサウンドへと変換している。
ディー・スナイダーあたりが好きな人も大いに楽しめるでしょうかね。


INDESTROY - Indestroy ★★★ (2021-12-01 01:37:39)

マイナーメタルを愛する黒帯も避けて通りたいと言わせるNew Renaissance Recordsからデビューを果たしたパワー/スラッシュメタルバンドの1st。壊滅的な分離の悪いミックスに絶望的な気分を味わいますが、これがレーベルの旨味ということでオープニングで無理だと感じらら遠慮なく撤退ください。リズム隊など田んぼの中で泥水に浸かってプレイしているのかというほど切れがありません、単純に下手なだけという説もありますが、厳しいサウンドメイクに頭を抱えるも、ギターチームは時折、センセーショナルなプレイを放り込み立て直しを図り、この味わい深いズンドコスラッシュを展開していきます。こうなるとリズムプレイも味なんだと受け入れて楽しむのですが、薄暗いアングラ臭漂うダークテイストを散りばめたヘヴィなミドルナンバーを中盤に置いたりと工夫を凝らしているが、これが流れを悪くしているとも言えるのが、奇妙奇天烈な混沌としたサウンドを確立している。いいのか良いのか分からないが、A.I.M.L.E.S.S.なんて面白い曲ですよ。初期型メガデスあり、スレイヤーありなスタイルに70年代的なテイストも盛り込み、自分たちのルーツたる音楽性を上手くミックスしている。ある意味、ミックスが全てと言えるのだが、色んな意味でNew Renaissance Recordsを楽しんで貰いたい。


CRY WOLF - Cry Wolf ★★ (2021-11-29 20:19:54)

日本のエピック/ソニーが単独契約でデビューをさせたアメリカのバンド。いまや発展途上国と成り下がった日本では考えられない勢いのあった時期を思い出させてくれます。いかにも日本人に受けそうな優等生なサウンドを展開、リリース時は激ハマりといかなかったのですが、おじさんになってから、この堅実なサウンドが逆に染みこんでくるようになり、実に優等生なグラム系ワイルドロックをやっている。派手さや毒気ではない手堅い音楽性、厚めのコーラスとノリの良いアメリカンロック、しかし日本人好みのメロディに気を配した展開や④ではビートルズのカヴァーを披露したりしているが、これといった必殺技もなく、なんとなくだからアメリカで契約出来なかったのね、なんて悪口が頭をかすめるも、その筋のマニアならば需要はある音楽性でしょう。
日本初のLAスタイルに興味がある方は是非ともトライして欲しいですね。
久しぶりに聴いているのだが、このバンドのレビューは確実にしていたので消えているのに驚きました…


TRIXIE - Lift You Up ★★ (2021-11-29 20:04:38)

まだまだモダンヘヴィネス旋風が巻き起こるアメリカの中で往年のグラムサウンドを引っさげ活動するバンドTRIXIEの2nd。バンドのブレインでもある、ロニー・ボルヒェルトの喉を擦るように唄うヴィンス・ニールスタイルを想起させる歌声は、聞き手をノスタルジーな世界へと誘い青春時代を想起するマニアも多いでしょう。音楽性もモトリー、ポイズンといったバンドを思わせるし、ワイルドさやハードさよりも甘美なグラムロック色も強く、往年のスタイルを懐かしみたいマニアにはうってつけでしょう。単に回顧するだけではないグランジ以降のサウンドも保管しているので古さだけに埋没しないフレッシュな感性もあります。
とはいえ装飾は80年代スタイルですので、真新しいサウンドを期待すると肩すかしを喰らいますが、それを求めている方にはドンピシャリでしょう。個人的にはプリティ・ボーイ・フロイドから毒気を抜いたサウンドという感じですね。


STARDUST - Highway to Heartbeak ★★★ (2021-11-28 16:01:51)

ハンガリー産のメロディアスHM/HRバンドの1st。FRONTIERSレーベルのバックアップを受けてワールドワイドな展開しているのですが、ハンガリーな癖を押さえた謹製FRONTIERSサウンドに驚きます。軽快でメロディアスな①などラウドネスのFACES IN THE FIREを想起させるような曲調で魅了、カヴァーソング②も自分たちの持ち歌のような仕上がりで、これまた魅了と今風のサウンドメイクもハマり、この軽やかな哀愁のメロディアスHM/HRサウンドにロックな血を滾らせています。FRONTIERSなメンツが縁の下を支えているのだから当然と言えるのかも知れないが、その期待に応えたハンガリーな男達に賞賛を送るべきだろう。音楽性に反比例するように汗臭そうなメンバーショットもワタクシは大好物です。チョイハスキーな声に哀愁のメロディが似合うのよ。ハードさが絶妙なのよ。新しい事なんてしなくても良いのよ。デジャブ感も満載なのよ、でもベタには叶いません。しかし、日本人はこの手の哀愁系は弱いのに、どうして日本からは、同様のバンドが現れないのだろう?日本の若者がFrontiers Recordsの目に止まる日が来ることを願いますねぇ。


CREYE - II ★★★ (2021-11-28 15:44:35)

Frontiers Recordsと言えばサウンドが満載の北欧産メロディアスHM/HRバンドのフルアルバム。前作の流れを踏襲しつつもバンド感を強めつつメジャー感も大増量と、マイナーな存在では終わらないような大衆性を完備したサウンドを披露、哀愁のメロディを駆使したサウンドは先人達からのアイデアを引き継ぎ見事にやり切っている。いかにも北欧的なスタイルが故のデジャブ感、それだけに新規開拓とはいかないだろうが、愁いのある泣かせのマイナーメロディと大衆性の両輪を駆動させる軽やかなサウンドがたまらんと思うマニアにはうってつけでしょう。良いメロディと歌を聴かせたいというスタイルにブレはありません。


W.A.S.P. - Live in Japan 1986 ★★★ (2021-11-22 17:59:28)

サブスク生活をしていると思わぬ作品に出会う。今作など顕著な例なのだが、日本で行われたライブ音源があったことを知らなかった身としては驚きました。しかもハウリングまで入っているライブ盤、音質もさることながら、まるで会場内で録音したかのような生々しさがあり、こちらとしては完全にライブ追体験である。そのリアルライブ盤に興奮するのだがMCもカット無しで8曲収録という仕上がりに興味は尽きない。詳しいバイオはサッパリ、検索して知り得た情報を語るのはマナー違反だと思っているので、今作の出で立ちはまるっきり分からないが、70年代後半からバンド名を変えながら活動していたW.A.S.P.そのショックロックなステージは多くのロックキッズから支持を受けていたのだが、今作には、その片鱗たる臨場感を味わえます。このバンドの実力を知りたいマニアにはうってつけの作品でしょうね。
お世辞にも音質は良くないので、しっかりとした環境の中でレコーディングをして、その後スタジオで手直しをした自称ライブアルバムしか知らない人には逆に驚くかも知れませんね。これはまるで正式なブート音源でしょうよ。


SWEET - Sweetlife ★★★ (2021-11-21 15:01:40)

分裂して活動していた時代もあったSWEET。不慮の死などを乗り越え再びSWEETとして活動となったのかは分かりませんが、アンディ・スコットはWILDFIREのリズム隊としても知られる、ブルース・ビスランド、ジェフ・ブラウンらの手も借り看板を守るべく貫禄のあるサウンドを披露(ちなみにポール・マリオ・デイがいた時代もあります)昔のような派手に弾けるポップさは陰を潜めたが、大人が聴いても恥ずかしい思いをさせない洗練されたメロディアスサウンドを展開、AOR調の唄モノサウンドは味わい深さがあり、過去のアイデアと現在の感性を上手くミックスさせ自らが築き上げた暖簾に恥じない音楽性をキープしている。
ノスタルジー以外の魅力を探せるのもポイントだが、如何せん日本では人気がない。過去作が復活しきれていないという問題点が足を引っ張っているのだが、音楽性の質は高いので安心して聴けるでしょう。でもこれはアンディ・スコットの新バンドとして向き合うのが一番なのかも知れませんがね。


KKS PRIEST - Sermons of the Sinner - Brothers of the Road ★★ (2021-11-20 18:23:19)

昔のアイデアを散りばめていますねぇ
パロディ臭もきつめなので純粋な新作としては受け止められないが
上手いことやっています
本家と揉めているのだからやり過ぎ裁判になったらアウトですよ
You've Got Another Thing Comin風味のロックアンセム


NOIZ - NOIZ ★★★ (2021-11-20 18:11:09)

今となってはスーパーロックグループと呼べるバンドのフルアルバム。バンドの活動期間が短命の為に幻感も強まるのだが、カルメン・マキ&OZの春日、川上の二人に、プログレ系バンド、スペースサーカスのドラマー、小川宣一が火乃玉男を名乗り参加していたはずなのだが、この名うてミュージシャンを従えメインを張るのが人見元基というのが凄いです。彼の歌声は既に確立されたモノであり、情感たっぷりの伸びやかな歌声は、場違いと言えるほど個性をむき出しており、このシンプルロックと対峙している。
個人的にはVOWWOWのイメージが強すぎるために、この手の音楽で人見の唄を聴くのはどこかむず痒いのだが、聴きすすめるほどに違和感はなくなり、いつものように、のような曲もバンドの魅力を存分に感じさせるモノであり、NOIZというバンドの妙味を堪能できます。
このグループが売れたら人見はどうなっていたのかと考えるのもお楽しみの一つですが、やはり現在、彼がミュージシャン稼業から足を洗ったという事実に悲しい気分を味わいます。こういうスタイルでも構わないので再び、圧倒的な喉を披露してもらいたいですね。


BENJAMIN ORR - The Lace - Stay the Night ★★★ (2021-11-19 20:19:57)

大人の魅力全開です
夜の都会が似合う洗練された大人のロックサウンド
しめやかにしっとりと濡らしていきます
これぞ産業ロックでしょうかね


TERI DESARIO - Overnight Success - Overnight Success ★★★ (2021-11-19 20:03:10)

ソニーのコマーシャルソングとして知られる一曲。大人になりこの曲を聴きたいなぁと思ったら、
この曲は日本とオランダでしたリリースされなかっあっと言う事実を知り驚く。それと同時に日本のバブル経済の力強さも感じた。
日本だけでも28万枚も売ったシングル盤。その軽快で爽やかなメロディにウキウキウオッチングです。
ちなみに、日本のアイドルグループ東京パフォーマンスドールもカヴァーしていますので、その塩っ辛いヴァージョンも併せて楽しんで欲しい。


TERI DESARIO - Caught ★★★ (2021-11-19 19:56:28)

日本でもヒット曲を飛ばした事のある女性シンガー、テリー・デサリオ。そのヒット曲のイメージも強いのですが、今作はオープニングから哀愁のハードポップサウンドが炸裂。心にドスンと響く彼女の繊細さを生かした歌声、そしてツボを押さえたアレンジは、出るとこでギターがグッと出る仕様であり唄モノロックを愛するマニアならば一発で耳が持って行かれるでしょうね。そのインパクトに続けとばかりに哀愁の歌メロが映える②へと向かい天昇、サビで繰り返されるタイトルもギュンギュンと琴線に触れていきます。フック満載、その哀愁のメロディのオンパレードに釘付けなのですが、とにかく軽やかで繊細な絹のような肌触りのサウンドにキュンキュンが止まりません。③ではデスモンド・チャイルドがバラードを提供、どないですか、涙がさそわれないわけがないでしょう、あーた、ハンカチが手放せない優しく静かな感動に浸れますよ。
AOR調の唄モノサウンドではありますが①も以外とハードだし、⑤もロッキンしているんですよね。このあたりの味付けが、やっぱ唄モノはいいけどハードなもんが欲しいなぁ、エッジ効いている方がええぞと、停止ボタンを押したくなる衝動を上手く抑えてくる選曲も素晴らしい。参加メンバーもスティーヴ・ルカサー、マイケル・ランドゥ、リッチー・ジトー、デイヴィッド・フォスターやジョーイ・カルボーンの名前もあったり、彼らが曲作りに関わったりと、ある意味、この手の音楽性をやるのに適したメンツが揃い踏みな分けです、唄を中心としつつも、核になる部分はブレていない作風。大ヒットをかっ飛ばした浜田麻里あたりもこういう路線で勝負していたのですが中途半端でした。このアルバムは完全に振り切っています。⑦なんてストレートに胸に飛び込んできますよ。大人のラブソングです。ラストはビートルズのカヴァーですが、個人的には蛇足感が強く視聴感を悪くしているのですが、そういうしくじりも込みで楽しんで欲しい唄モノサウンドです。これぞ産業ロックって揶揄されるのでしょうが、いい物は良いですよ。


CRAAFT - Craaft ★★★ (2021-11-19 19:20:33)

ドイツ産ハードポップバンドの1st。打ち込みベースのドラムに若干腹が立ちますが、キラキラとしたキーボードと元気ハツラツオロナミンCな爽快感を全開に押っ広げて軽やかにリズム&メロディが踊り出しています。その軽快なサウンドは、気分によって腹ただしい気分になり全く受け付けないのだが、調子が良いときは、これが気持ちいいくらい身体の中で踊りまくりです。
類型的な商業主義のハードポップサウンドなれど、どこまでも爽快感のある弾けたサビメロ、そこにチョイとした甘酸っぱい哀愁がほんのりと漂いアメリカじゃない欧州風味やなぁとチョイ胸キュンを味わえます。
当然、お約束のバラードもありますが、このバンドの魅力は爽やかなメロディとハーモニーを生かした唄を楽しめという事でしょう。幻の1stと呼ばれている一品ですが現在はリミックスされた音源を簡単に聴くことができます。
ヒステリアのデフ・レパードをロックとして受け止められるマニアなら大いに楽しめるでしょう。バカみたいに素直にポップスをやっています、そのやり切りぶりが最大の聴き所でしょう。


KILLERS - Menace to Society - Menace to Society ★★★ (2021-11-15 17:54:53)

ポールが吠えています
モダンヘヴィネスに噛みついていますね
ド迫力の歌声です


KILLERS - Murder One - Marshall Lokjaw ★★★ (2021-11-15 17:48:01)

ポールのワイルドな歌声が映えますねぇ
この方向性を支持するアルバムを続けてリリースして欲しかったなぁ


CONEY HATCH - Friction ★★★ (2021-11-15 17:29:45)

コニー・ハッチ初体験は3枚目のフルアルバムに当たる今作でした。大陸的なリズムとキビキビとしたビートが印象的な①、メロディアスハードな②と来て、切れのある豪快なリズムが心地よいハードナンバー③とタイプの違う曲を並べ守備範囲の広さをアピール。ギターも技巧に走らずエモーショナルかつダイナミックなプレイで魅了と、豪快なハードサウンドを軸に押し引きを巧みに操り1985年という変革のシーンという荒波を漕ぎ出そうとしていますよね。
国内盤も出ているのですが、いかんせん地味目のバンドサウンドは、明確なフックを求める日本人の耳にはやや敷居も高いのかイマイチ跳ねなかったのだが、練り上げられたメロディとハードさを損なわない大衆性は絶妙なバランス感覚を有しており視聴感はかなり良い。Y&Tのような本格派のサウンドを所望するマニアにはうってつけでは無いだろうか。
また同郷のSANDERSあたりが好きな人もマストな一枚と言えるでしょう。歯ごたえはあるが切れがある、そのスッキリとした味わいはメジャーシーンを見事に撃ち抜いている。しかし売れ線にはなびいていないというが最大の聴き所でしょう。ポップな④そしてロックアンセム⑤へと流れる展開も見事、⑥以降も最高のおもてなしでハードロックサウンドを楽しめる仕様になっています。
80年代の今作を残し一度は解散するのですが、2000年以降再びバンドは動き出し現在も活動を続けているようです。本格派のハードサウンドが聴きたい、でもまったりとしたメロディや情緒がないのは嫌だという堅実派のマニアには是非ともトライして欲しい一枚ですね。
ちなみにプロデューサーとミキシングでマックス・ノーマンの名前がクレジットされています。これも80年代メタルを愛する方には好条件でしょう。


MASQUERADE - In Disguise ★★ (2021-11-14 19:58:56)

突如2004年にリリースされたアルバム。詳しいバイオはサッパリなのだが、一枚のアルバムに2枚の作風がパッケージされたような構成になっており、どうしてこうなのかは分からないのだが、聞き手を混乱させるような作風になっている。前半は初期の頃の北欧メロディアス路線なのだが、8曲目を境にグルーブ強めのヘヴィなサウンドへと転換するのが不思議である。ある意味、彼らの全ての時代を受け止めたファンにとっては嬉しい作風だろうが、⑦までノリノリで楽しんでいた身としては、釈然としない気持ちになるし、後味が悪いのは事実だ。しかし、曲自体はけして酷いモノではないので心の準備次第と言うことだろう。日本人の多くは初期のスタイルを支持しているだけに微妙な判定とはなるでしょうね。


HOLY SOLDIER - Holy Soldier ★★★ (2021-11-14 19:40:41)

いかにもクリスチャンメタルバンドっぽいバンド名&アルバムタイトルをひっさげデビューしたクリスチャンメタルバンドの1st。90年代に入りましたが、彼らが鳴らすのは80年代的なメインストリーム寄りの正攻法で迫るバンドサウンドを披露。今となっては40代以上のメタルーハートを喚起させるスタイルということなのだが、バラードありロックアンセムありとクリスチャンメタルという素地を生かした楽曲はどれもが粒そろい、その反面全般的なデジャブ感は拭えないのだがブランドに対する信頼度の表れでもあり、ここは大いに評価を分けるポイントでしょう。1stとして考えれば充実感の高い作風になったのはメロディに対する拘りと唄を前にしつつも、ギターオリエンテッドな作風になっていると感じさせるバランス感覚の賜では無いだろうか、メタリックなギターサウンドを上手く展開させ硬軟のバランス感覚を操ったのが功を奏したろう。ラストナンバーなど、顕著な例でしょうね。80年代メタルに望郷を感じるマニアは勿論楽しめますが、これからも未来を作る若い人にも耳を傾けて欲しい一品である。日本では無名でもクオリティの高いバンドは唸るほどいる。そして煌びやかなバブル時代からリアルなモノを求めた時代の過渡期となる時代の音を知って欲しい。


L.A. GUNS - Checkered Past - If Its Over Now ★★★ (2021-11-13 13:26:53)

ダークでメランコリックなスローナンバー
フィルはこういう曲も歌いこなせるようになりました
激しいだけがロックバンドではない
そういう懐の深い音楽性を魅せてくれます
シンプルな曲なんですが浮遊するようにユラユラと揺らめきながら
琴線に触れていきますよね


L.A. GUNS - Checkered Past - Get Along ★★★ (2021-11-13 13:24:47)

素直に良い曲ですよね
シンプルですが心にスッと入ってくるメロディ
どこか優しげな眼差しが音になって現れています
だから次に繋がるんでしょう


L.A. GUNS - Checkered Past ★★ (2021-11-13 13:19:43)

先行公開された楽曲も多くリリース前にアルバムを聴いた気になるのが昨今の問題のような気がしますが、その反面、手応えありなのは間違いないので安心して聴くことが出来ます。オープニングからその魅力は全開、海賊髭たくわえたフィルの姿に不安な気持ちにはなるがオープニングナンバーは間違いなくカッコイイ。その勢いは衰えること無くトレーシー復帰後の路線であるシリアスなスタイルはダークでメランコリックなサウンドを展開、どこか退廃的なムードを散りばめた楽曲は、ソリッドかつメタリックなギターサウンドを軸とすることでバンドの個性となる音を手にした事になる。ある意味、時代遅れなサウンドであろう。2021年にバットボーイズロックなんてと悪口も出そうですが、一本筋の通った音楽性の中で可能性を広げる音楽的教養の豊かさに、ベテラン戦士にしか成し得ない身体で鳴らすロックのカッコよさに痺れます。小難しい事なんてやっていません。その清さがロックなんですよね。それに今作は従来のイメージだけではない、より深遠なるロックの世界で真摯に音楽と向き合っている。全体から出ている雰囲気も悪くないでしょう。
若い人にこそ聴いて欲しい老け込むことを知らない定番ロックの旨味、とりあえず行って欲しいねぇ。


John O’Banion - 里見八犬伝 Satomi Hakken-Den ★★★ (2021-11-12 17:21:01)

1983年に角川のバックアップを受けてリリースされたフルアルバム。タイトルから分かるように映画『里見八犬伝』とのタイアップ的な効果を狙っていますよね。一応はイメージアルバムだとの事ですが英語で歌っているのでワタクシにはよく分かりません。そういう知識は横に置いて聴いて欲しいですね。ジョンのソフトな歌声を生かしたAOR調の唄モノアルバムはロックな曲も放り込みつつ、ディスコ調の曲もあるし、お得意のソフトケイスされたロマンティックナンバーまでとバラエティは豊か、彼の素直でクリアーな歌声を多種多様な楽曲を用いて堪能できます。個人的には①がハイライトなのだが、シリアスな空気の③もいいですよね。
彼の真骨頂は⑥だろうなんて声も聞えてきますが、映画の重要な場面で流れる楽曲だけに走馬灯のように名シーンが脳裏をよぎる方も多いでしょう。ダンサンブルでポップな⑦だって歌メロは魅力的ですよ、そこから⑧に流れる展開も素晴らしい、彼の力強さが際立っておりメリハリが効いています。ラストはメロウでロマンチックなソフトロックでクロージング、また頭から聴きたい欲求に駆られます。個人的には①が大好物なので、チョイチョイ聴くのですが、今作の再発は無いのが残念。
里見八犬伝は正規のサントラ盤はありますので、こっちにも光を当てて欲しいねぇ。ライセンスを角川が持っているのがポイントなのかなぁ。


John O’Banion - John O’Banion - Come to My Love ★★★ (2021-11-12 16:59:39)

大人の魅力ですねぇ
哀愁を含んだジョンの歌い回しもクール
サビでは軽くなるのもポイント
聴かせ方が上手いよね
ソングライティングチームも価値でしょう


John O’Banion - John O’Banion - Love Is Blind ★★★ (2021-11-12 16:58:13)

哀愁のメロディが耳を惹くロックナンバー
甘いトーンを駆使しセクシーなダンディズムを振りまき迫ってきます
こういうタイプも歌えるジョンの歌声に惚れ惚れする
語尾に掛かるヴィブラーどもなかなか味わい深いです
でも何故ユーライアヒープはカヴァーしたんだろうねぇ


John O’Banion - John O’Banion - Take a Chance on Love ★★★ (2021-11-12 16:48:49)

洒落ていますねぇ
洗練された哀愁のメロディが華麗にステップ
サビではパッと明るく跳ねあがります
ホーンセクションの導入もオシャレ


John O’Banion - John O’Banion ★★★ (2021-11-12 16:45:38)

東京音楽性でグランプリを獲得、その後は角川映画『里見八犬伝』の主題歌などを担当、その里見八犬伝をイメージしたアルバムを作ったりするなど、日本でもブレイクした実績のあるアメリカ人シンガーの1st。今作リリース時は30代半ばという苦労人ですが、①が地味にヒットするなど、ローカルヒーローで終わるようなシンガーではなく、一見ソフトケイスされたバラードタイプの歌い手と思いきや、③のようなロックナンバーも起用に歌いこなし黒っぽいフィーリングを生かした歌い回しは実にエモーショナル、ロマンチックなソフトソング&バラードシンガーだけじゃ無いぞと思わせる、彼の歌い回しにグッときます。
ちなみにこの曲は、ユーライアヒープがカヴァーしていたことでも知られていますよね。個人的には①②ののほほんとした路線よりも、ピリッとしたこちらの方が好みなのですが、AOR調のソフトロックサウンドをお楽しみの方には、次の④の方がグッとくるのでしょう。
クリアーなハイトーン系は繊細です、その繊細さが表現する優しい眼差しは、ライトでメロウな曲調と相まって世の女性のハートを濡らすのでしょう。やっぱ⑤だよなぁ、なんて言いたくなりますよね。若い頃には見向きのしなかった音楽性、それがグランジ以降のシーンに興味を持てず、いろいろな音楽と触れている時代に出会ったAOR系のサウンド、美しいメロディやハーモニーに心惹かれるマニアなら是非とも聴いて欲しい一枚です。
ソングライティングチームはジョーイ・カルボーンとリッチー・ズィトーの二人ってのも日本人には親しみやすいポイントかと思います。


DAMIAN HAMADA'S CREATURES - 魔界美術館 ★★★ (2021-11-10 15:28:10)

前2作の好評を受け早くもリリースされた2021年の最新作。ダミアン浜田殿下の活動意欲に驚かされるのですが、その世界観に迷いはなくダミアンブランドに陰りはありません。前2作にあった濃密な世界観から今回は全体的にスッキリとしたアレンジを持ちいり今まで以上に歌が前に出る作風になっています。昔のアイデアを持ち出したリメイクアルバムと言われたらそれまでだが、どのような形であれ現ラインナップで創作した新作として十分楽しめます。
可愛らしい声質の伊舎堂さくらも、ストレートな歌唱スタイルを研磨、裏返りそうになりながらもロックな逞しさが増し今まで以上にメタルを唄うに適合しようと努力しているのも好印象、どうしても可愛い声優声というのかアイドルチックな声質は変わりようもないのだが、聴かせ方というのを身につければ、逆にこの声はバンド最大の武器になる、大福にイチゴを入れたように究極のミスマッチ感が、このダミアンワールドの妖しげな暗黒の世界の中で、囚われの天使のように美しく輝き、堕天使ルシファーの如き存在感を放つ日がくるでしょう。
演者は上手いのは間違いないのですが、どこか余所行きなのも事実。特に厳しいのがサウンドメイクである。
いかにも聴きやすい音に仕上がっているのは残念。ハイカットだし、リズムセクションも可愛そうである、ベースは聞こえないしハイアットもキックも迫力がなさ過ぎる。デジタルチックなドラムの処理をしたのは誰であろう。ギターはどこにいっという瞬間もあり、これでは歌以外脇役すぎじゃないだろうか?本格的な叙情派メタルだけに残念な気分を猛烈に味わうのだが、これは、ダミアン閣下のファンは聖飢魔IIファンが多いから許されるかも知れないが、難しい問題だと思う。地獄の大魔王ならもっとヘヴィネス成分は強めでお願いしたい。荘厳なチャーチメタルも弱なるぞ。
唄をメインに据えた魔界舞踏ロック、無駄な贅肉をそいでも十分、荘厳なチャーチメタルサウンドは健在です。これも売れコンスタントな活動に繋がることを望みます。なんだかんだ言っても好きな世界観なのでね。


KAMIKAZE - Kamikaze 3 ★★★ (2021-11-09 14:00:20)

アルゼンチンを代表するメインストリーム寄りの正統派サウンドが売りのバンドによる3枚目のアルバム。サウンドメイクも良くないし、怪しい場面も多々ある作風だが、遅れてきた88年と言いたくなるようなバブリー正統派メタルサウンドを彷彿とさせるバンドサウンドを展開。92年という時代でも古くさいのだが、今となっては懐かしい雰囲気もありまくりでノスタルジーを思い切り味わえるでしょう。お世辞にも上手いバンドではないのだが、総合力を楽しんでもらいたい。アルゼンチンらしいパッションはじけるサウンドは、昭和の刑事ドラマのような薄く暗い路地裏系の哀愁がにじみ出たりと、絶妙なマイナー臭も放り込み、丸ごとアメリカンではない情緒を感じさせるのがポイント。日本のインディーズ系にも通ずるシンガーの線の細さにも通ずる問題もあったりと共感させるポイントが多いのも個人的には好感が持てます。なかなか手に入らない作品ですので、わざわざお目に掛かる必要もありませんが、南米特有の情熱と哀愁がほとばしるサウンドが大好きな方なら間違いなく楽しめるでしょう。ギターだけ様式美系ってのも共感出来ませんかね。


SAXON - Live at Rock Sound Festival 2006 ★★★ (2021-11-09 13:47:28)

2006年に行われたイベントの模様をパッケージしたライブ盤。これが実に生々しいサウンドメイクとなっており目の前でライブが展開されているような臨場感を味わえる。怒気を孕んだステージは2006年という背景をバックに、ビフ・バイフォードは噛みつくように吠えている。老いて益々盛んなるべしという言葉が当てはまるように、①で掴んで、②の豪放磊落パワフルな出だしに身震いさせられます。それはジャイアント馬場が喰らわす脳天唐竹割りチョップからのココナッツクラッシュを彷彿とさせる破壊力をイメージさせるモノであり、スタン・ハンセン流血である。
とにかく現役感バリバリです。元々演奏の上手さで酔わせるバンドではないので、この荒っぽさも逆に魅力的に感じさせるのが老獪なテクニックを駆使すると言うことでもあろう。新旧の楽曲を混ぜても困惑することのない筋の通ったバンドサウンドの凄み、2006年という背景を味方につけて、古典ロックを全開でやりきっている。当時は、まだまだリバイバルブームが沸騰寸前だっただけに、この選曲とステージは重要な意味があったろう、そういう知識を頭に描いて聴けば見えてくる景色も違いますよ。
日本ではアメリカン何チャラと吊し上げられ求心力を失った老舗のブリティッシュロックバンドです。誰かがかつて言っていました、裏切ったのはサクソンではないファンの方だと、今作のようなパワフルな作風を耳にするたびに、いつもその言葉を思い出します。リアルサクソンファン以外にもインパクトを残すガチムチのパワフルサウンドはステージの上で猛り狂っている。選曲もいいぞ!!


SAXON - Rock 'n' Roll Gypsies ★★★ (2021-11-09 13:19:53)

短命に終わった『Destiny』のラインナップ。個人的には歌モノが大好きなのでOKな作風だが、大胆に売れ線志向に舵を切った時代でもあり、長続きはしないだろうと感じてました。そんな関係もあるのか、このライブではリズム隊が変更。ナイジェル・グロックラーが戻り、付き合いが長くなるニブス・カーターの名前が初めてクレジットされたのが今作であった。リアルサクソンファンにとっては、このアルバムはそういう意味での記念碑的な意味合いもあり以外と着目される一枚でもある。
一部の雑誌崇拝者の影響もあり渡米後の彼らがいわれのないバッシングを受けた事実を知るものとしては同情を禁じ得ないのだが、今の若い人は雑誌を読まないと聴いたのである意味一安心です。余計なバイアスが掛からない今だからこそ、機会があれば聴いて欲しい一枚。プロデューサーにビフ・バイフォードのクレジットがあったように、今作はALLサクソンで作り上げた渾身のライブ盤である。
ちなみに私が所持しているモノには③④がない10曲入りなのですが、ここで収録されている⑤⑥⑦⑧の流れが素晴らしく、熱の籠もったサクソンナンバーが目白押し、新たなるロックアンセム⑤、ドラマティックな⑥、そして哀愁溢れる、これまたドラマティックな⑦と流れアタッキーな⑧へと進む展開はグッときますよね。楽曲が寄せ集めあのか、ぶつ切り感があり歓声もわざとらしさがあるのだが、それでも渡米後の彼らの雄志が目に浮かぶようなベストアルバム的な側面もあり、初期の頃のバイカーズスタイルの曲が収録されていないというのが面白い。掟破り感が漂い、じゃないサクソンの楽曲が多いのだが、それでもこれもサクソンと言える裏メニューが満載であり彼らのファンにとってはありがたい一枚だろう。
今は2021年である、そりゃ一度はBURRN!! の批評に完全に乗っかり調子こいたかも知れないが何時までも強がっていないでと言いたいですね。本当に恥ずかしいよ。お里が知れているんだもの、だって、めちゃくちゃアメリカンナイズドされまくった他のバンドの作品を絶賛して、サクソンだけ×って説明がつきませんからね。古参の方にはそういうチャンスを与えてくれる昔のアルバムですよと言いたい。そんな風評被害を知らない若い人には、随分と新鮮な感触を覚えるでしょうね。バッキバキのムッキムキな昨今のパワーメタルサクソンよりも聴くべきアレンジと楽曲が多いですよ。間違っても縦ノリの曲を横ノリではやっていませので…そして、これこそアメリカンナイズドなライブアルバムだと言っておきます。


John O’Banion - 里見八犬伝 Satomi Hakken-Den - Hakkenshi's Theme (White Light) ★★★ (2021-11-07 19:47:48)

角川映画『里見八犬伝』のサントラ盤という側面もあるアルバムのオープニング
タイトルからして完全にそうですよね
出だしのキーボードそして歌い出しのAメロから哀愁のメロディにグッと掴まれます
アルバムとしては一二を争うハード目の一曲
ジョーイ・カルボーンとリッチーズィトーという二人がソングライティングに参加
どうりで日本人好みのメロディを書きあげているわけだ
ダンサンブルな次の曲との流れも完璧なんですよね
それもこれも主役であるジョン・オバニオンの繊細な歌声が絶妙だからですけどね
Aメロ泣けるんだよなぁ
弱いんだよ~このメロにねぇ


CHARIOT - The Warrior - Horizons ★★★ (2021-11-07 19:21:54)

UFOからの影響も強い一曲
ブリブリと唸るベースと小気味いいドラム
情念のあるギターと押しの強さ
その押しに負けない歌声
青空が似合わない情熱的なNWOBHMサウンドに唸ります


CHARIOT - The Warrior ★★★ (2021-11-07 19:18:41)

ムーブメントとしては完全に下火となったNWOBHM、遅れてきたルーキーとしては厳しい環境だろうが、彼らは実に全うにNWOBHMの世界観を貫いてきた。英国由来の湿りけっぷりの煮え切らないメロディと、どんよりとくぐもった音質、そのビシャビシャに湿ったサウンドメイクと分離の悪い音質のおかげで、懐かしいあの時代を空気を思いっきり体感できます。
それ故に、一般的なメジャー流通に作品に慣れた耳には退屈に感じるだろうが、ひとたび、この世界に足を踏み入れた迷い人ならば、ズブズブと沈み込み体中で味わいたい情熱系NWOBHMサウンドを楽しめます。シンガーの持って生き方もフィル・モグからの影響が顕著な唄い回しもあったり、初期型ブリティッシュハード系の系譜に連なる伝統芸能をアップデートしたスタイルは、地味ではあるが熱き血潮が滾る情熱的なサウンドを展開しており、リフで押しまくる姿も頼もしい限りです。
雑誌のレビューに振り回される万年ライトユーザーからの評価は低いが、輸入盤市場では話題となり高い評価を受けたのは今作の方だと胸を張れる同士ならば、まごう事なきNWOBHMサウンドを体感できる今作を支持するでしょう。時期的にも1984年という事でNWOBHMサウンドも熟成されてきていましたからね、全10曲、抜きん出たリーダートラックがなくとも楽しめるという、アルバム単位で勝負できる頼もしさもマニアからの支持を受けた要因です。NWOBHMを知りたい初心者には、最初に方に出会うべきバンドであると断言したい。
今でもチョイチョイ聴くアルバムですねぇ。


CHARIOT - Burning Ambition ★★★ (2021-11-07 18:56:23)

遅れてきたNWOBHM、1986年リリースと言うこともあり彼らなりに時代性を加味した作風に転換。その効果はメロディアスでキャッチーさも散りばめたブリティッシュロック路線で見事に発揮されているが、個人的にはかなり驚いた。
タンクのような哀愁系のリフも今作ならではの味わいだろう。普遍的なメタルとしての魅力は今作に軍配を上げるがNWOBHMとして括ると1stの世界観の方が上でしょう。
そういう趣向を加味して手に取って欲しい一枚です。燃える野心と訳せるアルバムタイトル同様、ここにはメジャー感を増した老舗のブリティッシュメタルサウンドがあります、メタルバブル勃興の1986年に時代錯誤だったろうが、それでもピュアなメタルを求める耳にはビンビンに届いていましたよ。


SAXON - Carpe Diem - Carpe Diem (Seize the Day) ★★★ (2021-11-05 19:40:32)

来年の2月にリリースされるアルバム『Carpe Diem』のタイトルトラックでしょうね。
先行配信されているのですが、これが初期の頃を思わせるリフで押すナンバーとなっており、アメリカン何チャラとイチャモンをつけられていた渡米時代より遙かに重傷とも言えるヘヴィネス路線とは手を切った印象を与えるメロディアスでキャッチーな活きのいいナンバーが飛び出しました。とにかく昨今のサクソンはリフがおもろなかったので、その味のないパワーコード一本から脱却した印象はありがたいです。しかし、懐かしいミックスは80年代的であり、これは前作のカヴァーアルバムが功を奏したと言えるでしょう。
面白いのが、この曲の次に自動再生で偶然繋がったのが『Rock The Nation』でしたが全く違和感がありません。面白いですよね。カムバックサクソンを印象つけていますよ。その日を摘めって言葉もいいねぇ。


ROSEMARY BUTLER - 汚れた英雄 ★★★ (2021-11-05 19:07:27)

火薬先輩お疲れ様です。
ワタクシ、残念ながら国内盤を見たことがありません。収録曲が大幅に違うのですね。ちなみにアニメの主題歌は角川映画主題歌集で視聴済みです。飛ぶ鳥を落とす勢いの角川だからそこ実現したキース・エマーソン参加だったのでしょう。
そして愛情物語の情報はレアすぎて手が出ませんが、YouTubeで探して聴いてみようかと思います。貴重な情報ありがとうございます。
他のユーザーにとっては適切な情報ですね。
再発されると良いのですが、権利の関係がネックでしょうか…など邪推したくなります。


ROSEMARY BUTLER - 汚れた英雄 - The Last Hero ★★★ (2021-11-04 13:47:35)

いいですねぇ
角川な優しくロマンを包み込むバラードタイプの一曲
映画はクラッシュしたポンコツの部類に入るのだが
この曲の持つ普遍的な魅力は傷ついた心を癒やし
レースに負けた男達を優しく慰めます

今の映画は内容に見合わないJPOPが多すぎる
今作はイメージを損なわないどころか救っていますよね
主題歌と併せて名曲でしたね
どこかで配信されんかね


ROSEMARY BUTLER - 汚れた英雄 - 汚れた英雄 ★★★ (2021-11-04 13:42:45)

この曲を書いたのは日本人の作曲家、小田裕一郎さん、
作詞はトニー・アレン、歌はローズマリー・バトラーというややこしい編成。
所謂、俺は洋楽しか聴かないという鎖国体制の偏屈モノを混乱させる楽曲になります。
普通に良い音楽に巡り会いたいと思う方ならなんの問題もないのですがね…

ロッキーの主題歌EYE OF TIGERあたりを思い出させるビートの聴いた楽曲、
そしてパワフルなローズマリーの嬢の歌声に魅了サビメロもグッとくるのよねぇ
歌メロが抜群に良いのです、日本人の耳に馴染むんですよねぇ。
と言うことでカッコイイロックを聴きたいと思う方はジャンル不問でお楽しみください。
この昭和感も愛して欲しい。
哀愁のあるメロディと力強い歌声に持って行かれるのよ~


EXISTANCE - Wolf Attack ★★★ (2021-11-04 13:11:58)

フランスを代表する若手正統派HM/HRバンドが2016年以来のフルアルバムをリリース。音沙汰がなかったので心配していましたが、国内盤も前作同様スピリチュアルビーストからリリース。しかもボートラ2曲追加&国内先行販売という気合いの入りように驚きましたが、このバンドにはそれくらい力を入れてリリースしたくなるような魅力があり、現存するこの手のバンドでは最高峰に位置するクオリティを保持しています。
ワタクシは、RIOTとRAINBOWのカヴァーは魅力的ですが、その2曲のために2500円は出せないのでお金の掛からないストリーミングサービスで楽しんでいますが、本編のラストも美味しい選曲なんですよね。イケメンシンガー兼ギターのジュリアン・イザードは、フランスメタルシーンを語る上では外せないバンド、H-BOMBのシンガーであるディエディ・アイザードの息子というDNAを引き継いでおり、今回はカヴァーソングで亡き父を弔うという浪花節もあったりと聴き所が多い。
前作を踏襲しつつも音楽性の幅を広げてきた今作、しかし、そこに迷いはなくイメージに傷がつくような愚行は一切行っていません。むしろメリハリとつける事で今まで以上に豊かな音楽性を見せつけることで可能性を広げてきたなぁと思いますね。古さに固執することのない鮮度の高いサウンドメイク、そしてブレないメタルスピリット、そこに共感出来るモノならば今作もマストな一枚と言えるでしょう。
過去のバンドの音源はどうしても古くさく聞こえてしまう、しかし、正統派のサウンドには興味があるんだという若い人にはもってこいの一枚でしょう。何より、おじさん達のお慰みもので終わらない旬を感じさせるのが最大のポイントでしょうかね。


BLITZKRIEG - Ready for Action ★★★ (2021-11-02 13:27:40)

ロン・キールがプロデューサーを務めた事で知られるL.AメタルバンドのEP。硬派でメタリックなサウンドはKEEL仕込みの豪快なサウンドを展開、乾坤一擲とも言える出たとこ勝負というのか、これでも喰らえ感がカッコイイ。巨体を生かした大技重視のレスラーのようだが、小技もしっかりとキメれますよな器用さもあり、聴いていて心地が良い。フルアルバムを出すことなく今作一枚で消えたために認知度は低いのだが、硬派なアメリカンロックが好きな人ならば大いに満足して頂けるでしょう。
ちなみに、このアルバムの歌い手がキールそっくりなのも耳を惹きますよね。プロデューサーやり過ぎじゃないのと言えなくもないのだが、ロン・キールファンとしては、そこも見逃せないポイントでしょう。


WHITEFOXX - Come Pet the Foxx ★★★ (2021-11-02 13:13:26)

音楽ストリーミングサービスを利用していると、こういう出会いがあります。輸入盤市場などで高評価を得ているフィラデルフィア出身の5人組によるコンピ作。詳しいバイオはサッパリですが、今作のCDの裏面には1982年にプレシャスメタルというバンド名でスタートしたと紹介があります。
サウンドは類型的な部分が顔を出しており、オープニングナンバーなどDOKKENからの影響も強くメロディ重視のバンドなのだという事が理解出来ます。2曲目など日本のバンドにも通ずるようなワビサビを感じさせるメロディアスなロックを展開しており、丸ごとメインストリーム寄りのバンドサウンドという分けではなく、もっと硬派で本格的なスタイルを築いている。正直、輸入盤市場における絶賛を鵜呑みには出来ないが、デモ音源の寄せ集めと思われる今作は、お世辞にも音質がクリアーと言えず、シンガーの湿度のある抜け心地のどんよりとした歌声もあり、どこか曇り空なサウンドメイクとの相性も良く、煮え切らないアメリカンロックを展開。メジャーになるには洗練具合も必要だろうが、メロディアスになったKEELとか垢抜けないKING KOBRA、70点DOKKENと形容したくなる音楽性は、その筋のマニアには訴求効果は大きいでしょう。
個人的にはODINあたりを思い出しますが、シンガーがあそこまで癖がないので聴きやすいのは間違いないです。またもっと大衆性が強いのも武器でしょうね。没個性の為に、何を聴けば良いのかと質問されると困りますが、学食で並んで買った焼きそばパンみたいなもんだと言いたい。
大きな仕掛けはないのでジャンクな味付けで食欲を満たした、ノスタルジーな雰囲気を楽しむ一枚でしょう。
でもこのバンド、完成品はどうなっていたのだろうか?と期待をさせる場面も少なくない。チョイマイナーなメロディが流れるアメリカンロックの美しさを知っている身としては、ポテンシャルは低くないと言えるでしょうね。そういう意味では高い評価も頷ける一枚へと変わるから不思議です。


BLOOD MONEY - Red, Raw and Bleeding! ★★★ (2021-11-02 12:50:48)

かの有名な商業誌のレビューにてゴット伊藤がボロカスの評価を下した為に完全に死んでしまったバンドの1st。そういう評価があったことを知らないのでなんとも言えないのだが、メタルに対するスピードを求めるマニアならば首も疼きぱなしの爆裂メタリックサウンドがてんこ盛り、全10曲、ランニングタイムが30分を切る潔い展開に持って行かれますよね。
プレスラッシュと呼ぶに相応しい加速度を増した楽曲群の放つ切れ味と攻撃力は半端なく、まるでビルの解体現場で大暴れすドデカい鉄球のついた重機が制御不可能に陥ったような過激で凶暴なスピードメタルを展開しています。
しかし、このバンドが凄いのは、そういう破天荒メタルにありがちな雰囲気重視の歌声で突っ込んでくるのではない、実力者がしっかりとメロディに乗せて伸びやかな歌声を披露することで、バックのイケイケドンドンの演奏との対比がより体感スピードを上げ、そんじょそこらのスピードメタルバンドでは叶わないと思わせる腕っぷしの強さを見せつけている。
とにかくスピーディーである。このバンドの母体はWOLFBANEなのだが、NWOBHMバンドがトービングしたと言わしめるほどのスピード狂である、今の若い人は商業誌を読まないと聴いています、であれば余計なバイアスはかからないでしょう。
80年代に埋もれた英国産スピードメタルの凄みを是非とも味わって欲しい、あっという間にアルバム終わりますよ。と言うことは脇見運転したら道に迷う可能性もありますが、9曲目のイントロでアコギが出ますので、それを合図にお戻りください。
これが金も掛からずに聴ける時代って、いやー音楽って本当にいい物ですよね。さいなら、さいなら、さいなら、と小松政夫が淀川長治のモノマネをしている、モノマネで〆たいと思います。


PALACE - Rock and Roll Radio ★★★ (2021-10-31 14:01:14)

マイケル・パレスのソロプロジェクトバンドの第3弾。マルチプレイヤーとして知られる彼ですが、今作では多くの場面で自分のカラーを投影、それもそのはずでアレンジを含め各パートまで自分の手で再現する始末、もうやりたい放題のメロディアスロック路線を突き詰めています。それはオープニングから炸裂で、○○風味満点の楽曲を全力でやりきっています。潔癖症な人は、オープニングのイントロで撤退を決めるでしょうが、懐かしきキラキラ系の産業ロック路線はどれもが高品質、同窓生の家で見る卒業アルバムのような懐かしさを共有できるマニアなら必ずや満足出来るでしょう。
嫌みのないクリアーな歌声とツボを押さえたアレンジ、サックスも飛び出すオシャレ感とハードエッジを効かせたサウンドは、上手いこと仕上げています。その筋のマニアならずとも身を乗り出したくなる視聴感の良さに笑みもこぼれますが、やり過ぎだと思う瞬間は少なくないです。そのあたりが評価を大きく分けるでしょう。
北欧のFORTUNEとかも、こういう路線を突き進めれば良かったのになぁ、なんて懐かしい空気にさせてくれるのは嬉しいのですが、熱心に聴くほどでもないのが玉に瑕でしょうね。

なんだかんだ言いましたがメロディ派のマニアには心に引っかかると思いますよ。北欧風味のミンティアなメロディ、そして完成されたメジャーサウンドは極上の絡みを魅せ何を聴かせたいかを明確にアピール。甘口ばかりじゃないロックなドライブ感があるのも頼もしい限り、よく練られ計算し尽くしていますよ。
でもこういうの聴くと思いっきり下品なサウンドを欲するんですけどね。
それにしても口当たりが良いわぁ、口ずさむわぁ。


CHEZ KANE - Chez Kane ★★★ (2021-10-30 14:41:54)

YouTubeドリームを掴んだ女性シンガーのソロアルバム第一弾。オープニングからサックスも飛び出すアーバンでメロディアスなロックサウンドでメロディ派のハートを掴んでいくのですが、②では豪快なロックナンバーも放り込みロックアンセム然とした楽曲は、アリーナと浜崎あゆみ風に叫んでおかしくないくらいメロディアスロックマニアのハートにビンビンと響いていきます。
彼女に関わっているアーティストからのデジャブ感がちょっとにじみ出ているのですが、狙い澄ました王道メロディアスロックサウンドは、彼女のYouTubeドリーム体感させるには十分な楽曲を用意、その筋のマニアなら必ずや満足できる出来映えでしょう。
極めてキャッチーでメロディアスな作風だが焦点を絞っているのでブレはない、妙なパーティーソングでお茶を濁すこともないし、粒ぞろいの楽曲を無難に歌い上げることで女性らしい、しなやかさを北欧マインド溢れる楽曲に落とし込んでいる。親しみやすいメロディとコンパクトな展開は日本人好み。進化を続ける懐古主義サウンドの先端を行くパフォーマンスで魅了してくれました。


MIKE TRAMP - Capricorn ★★★ (2021-10-30 14:28:43)

WHITE LIONのヴォーカリスト、マイク・トランプのソロアルバム第一弾。1997年にリリースされた作品ですね。Freak of NatureよりはWHITE LIONに近い作風になっており、乾いたアメリカンロック風の楽曲はどこかメロウな響きがあり、ヴィトと培った音楽性の芽吹きを思い出させるような、あの独特の風合いを感じ取る事が出来ます。
ある意味、円熟味を増した歌声は親しみやすさがあり、かつては元はアイドルグラムロック出身だった事をチョイと思い出させたりする瞬間がなきにしもあらずな彼だったが、ここでは、そういう馬脚を現す瞬間を押さえ自分のカラーに完全に持って行っている。彼もまたWHITE LIONの強烈なブレインであり、相棒だったんだということを再認識させるパフォーマンスを味わえます。
上手い下手では表現できないマイクの歌声、その個性無しが個性的に映るのも彼の魅力の一つ、究極のヘタウマシンガーである。ジェリー・ベストにケニー・コリードと言った仲間がバックアップしていたのも充実感に繋がったのでしょう。


KENT HILLI - Vital 4 ★★★ (2021-10-30 14:07:02)

収録曲
1. Losing You (Joe Lynn Turner cover)
2. Can't Turn It Off (Michael Bolton cover)
3. Arms Of A Stranger (Signal cover)
4. More Than Meets The Eye (Europe cover)

上記4曲を収録したEPを9月にリリースしたケント・ヒッリ。バンド活動のみならず、ソロのキャリアも精力的に築き上げてきていますね。それにしてもジョー・リン・ターナーのカヴァーから幕が開けるのは渋い。シグナルをやったのも渋い、そしてヨーロッパはOUT OF THISからのシングルカットされたキャッチーでマイルドになったが北欧の風を吹かせまくったあの曲をカヴァーと、彼の瑞々しいハイトーンヴォイスを駆使し、見事にやりきっています。自分の持ち歌のように歌い切る姿の頼もしさもあり、どの楽曲も令和3年に新たなる息吹を与えられ蘇りましたね。
選曲はけしてベタではない、しかしツボは突いてくるというセンスにメロディ派のマニアならニンマリさせられるでしょう。上手い歌と良い楽曲が聴きたいというマニアにはもってこいのEPです。彼のメロディに対する拘りが心に浸透していきますよね。マニアを唸らせる選曲だよなぁ。シグナル忘れていた。


RUNNING WILD - Blood on Blood ★★★ (2021-10-30 13:37:14)

キャッチーで明るいオープニングナンバーには驚いた、SEとかで盛り上げるわけでもないし唐突に始まった感はある、ジャーマンメタル界のレジェンドである彼らの5年ぶりになる新作。しかも今回は国内盤もリリースされるとのことで航海の支度は整っていますかね。
相も変わらずドラマ性のあるメロディアスな王道サウンドを踏襲、自らが作り上げたフォーマットに沿うようにヘヴィメタルの枠に拘りつつも多くのファン層に切り込むだけの魅力を誇っているのがポイント。ロックン・ロルフ船長が示す世界に向けた大海原を駆け抜ける元祖メタル海賊、その勇ましい姿は彼の思考を反映、つかみで失敗した?ようだが曲が進むにつれ挽回、その勢いを増したパワフルサウンドは嵐を巻き起こし海峡を突っ切ります。自らが切り開いた世界観を突き詰めた今作に迷いはありません。
代わり映えのないスタイル故に、ロルフ船長の生き様に共感できなければ付き合えないのだろうが、以外と明るめの曲も多くバラエティ色を強めたり、無駄な装飾を落としシンプルにしたことで聴きやすさが上がっていると思います。最近の彼らと疎遠になったマニアの耳にも届きやすいかも知れませんね。


Wolfbane - Wolfbane ★★★ (2021-10-26 13:41:21)

こちらはブルース・ベイリーがいた英国のバンドではありません。あっちはWOLFSですからね。こちらは幻のNWOBHMバンドになります。どうやらデモ音源のみで消えたバンドらしく、その実態は不明。昔、Bandcampで見つけたのだが、なんと愛するSpotifyでも聴けますのでNWOBHMマニアならば是非ともトライしてください。でも日本的なNWOBHMを支持する方にはハードルは高いかもです。なんたって四天王にワイルドホーシズが入ると解釈された国ですからね。ガールにデフ・レパードだもの。
暗く湿った英国サウンドは暴力的な響きを伴いズンズンと突き進み、その垢抜けないサウンドはデモで終わったのが残念と言えるほど、作り込まれており9分超えの大作ナンバーも面白くないと言わせない腕を持っていた。ラフな音像と対比するような細部への拘り、しかしデモだけに荒削りではある。もしこれが正式な形で世に出ていたら、NWOBHM史に名前を刻めたのではないだろうか?
キメのフレーズも様になっているし、十分迫力のある演奏も様になっている。ドゥームロックとまでは言わないが、彼らのリフは重く荒々しい物であり血なまぐさい不気味さも漂う、そのマイナー臭は単館公演のB級オカルト映画の如き妖しい光を放つのだが、70年代的重苦しいロックを鳴らしているのは、今の時代逆に刺さる可能性はあるでしょう。サバス的な方法論は80年代、古くさいと言われていましたのでね。
結局、このバンド名義で音源は残せませんでしたが、ギター兼ヴォーカルのグラミー・ディーとベースのデール・リーの二人は、後にスピードメタルバンド、BLOOD MONEYに参加してEbonyレーベルからデビューを果たしています。


ARAGORN - NOONDAY: THE ARAGORN ANTHOLOGY ★★★ (2021-10-26 13:10:22)

NEATレーベルからシングル盤を出した実績のあるNWOBHMバンドのコンピ作。有名なシングル盤も納めているが、今作最大の聴き所は幻となった1stアルバムが丸々収録されていること、ほかにもデモ音源など入っているが、ハイライトはシングル&フルアルバムであろう。
煮え切らない唄い回しも完全にNWOBHMな空気を充満、そして抜けの悪い音質もまさにアングラ地下室サウンドの如き胡散臭いスタイルを前面にだしており、マニアならば一気にあの時代にトリップ出来るでしょう。
ラフなパワーを内包した荒削りな演奏、憂いのある英国式ロックが沸々と燃えさかり激しくスパークする様にスラッシュ勢に多大なる影響を及ぼしたのは、間違いなくNWOBHMだよなぁなんて事を再確認させてくれるような実直さがあります。
でもヌメッとしたシンガーの節回しは如何ともしがたく、マニアック度を倍増させているのが最大のクサレポイントである。これは立派な褒め言葉なのだが、そういう例えにピンと来ないマニアにはススメられません。
しかし、NWOBHMの魔境に魅入られたマニアならば腰を上げずにはいられないでしょう。ルーズでダーティでメタリック、そして力任せだけではない静のパートも盛り込めるアイデアがこのバンドにはあります。メロディアスなのに暴力的というのもNWOBHMスタイル直系とも言えるでしょう。ちなみにベタですがGolden Earringのカヴァー「Radar Love」もやっています。


GIRLSCHOOL - Running Wild - Running Wild ★★★ (2021-10-25 13:29:30)

バブルの匂いがするなぁ
ガールスクールらしさは微塵もありませんが
前作でモデルチェンジした彼女たちの最終形態でしょう
やり過ぎだがここまでいったら受け入れるしかないでしょう
ソフトケイスされていますが質は高い
バンド名にこだわらなければ問題なしです


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground - Tokyo Time ★★★ (2021-10-25 13:14:10)

ジャック・ポンティ~と叫びたくなります
こういうコーワスワークとサビメロの盛って生き方にジャックの味付けを感じますねぇ
ボンジョヴィぽいのもパクりではありません
彼はブレインの一人だったのです
何度聴いてもエエわ
ワタクシを1991年に連れ戻してくれます


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground ★★★ (2021-10-25 13:10:12)

90年代というシーンの変遷に巻き込まれ、自分自身も当時の嫌な記憶を消し去っているところがあります。今作もリリース時は、熱心に聴かなかったので、昨今のサブスクリプションサービスのおかげで、消し去った空白の期間を埋めております。いやぁ本当に便利な世の中になったなねぇ。日本じゃ手に入らないマイナー系は勿論だが、購入に躊躇するようなバンドを気安く聴き再考する機会があるのは、何よりも嬉しい限りです。
前作とは打って変わりブルージーな要素を増量、アメリカン度は上がったがコーワスワークなどメロディアスさも忘れてはおらず、現代のシーンを通り抜けてきた耳には何の違和感もなく届くでしょうね。本格派のバンドサウンドは成熟度もあげ、ケリー・キーリングのちょいハスキーな声にはぴったりとハマるでしょうね。とくにギターリフがクールでかっこいいエネルギッシュなオープニングナンバーは珠玉の出来映えを誇り完全に掴んでいきます。だからクールで官能的な③がグッと生きてきますよ。
プロデューサーのみならず多くの楽曲アレンジにも加わったジャック・ポンティの手腕も大きいのでしょうが、硬軟交えた楽曲は粒が揃っており、その味わい深さに唸らされます。重厚な3段重ねの幕の内弁当みたいな豪華さと満足感を約束してくれるでしょう。
しかし、ロックの難しさというのがある、それは幕の内弁当の無難さである。どんなに豪華に盛っても、オムライスにカレーがかかっている方がインパクトあるよなぁと思うように、今作には弁当箱をひっくり返すような衝撃はない。しかし、作りは素晴らしいのである。
楽しみ方で音源を変えるので、今作自体の評価は最高なのだが、シーンに対するインパクトは強いとは言えないだろう。91年という壁に弾かれたバンドかも知れないが質の高さは群を抜いています。
今こそ、再考してほしいアメリカンロックの一枚。若い人には91年の作品は十分クラシックな音楽ですからね。


MISFITS - Walk Among Us ★★ (2021-10-25 12:52:26)

US産バンク/ハードコア番長として知られるバンドのフルアルバム。パンク特有の荒涼とした空気と同じくらい陽性なお気楽感があり、情緒がないのでハマらなかったが、ストレートに弾き出されるスピードロックが好物な方なら大いに楽しめるでしょう。
賑々しい破天荒なスタイルは思いのほか直情的に進んでくるが聴きやすい、これはシンガーのグレン・ダンジグがしっかりとメロディを追いかけて唄っていることに尽きる、パンクバンドにありがちなアジテーションヴォイスじゃなかったのが視聴感の良さに繋がったろう。
またミックスも特徴的で、メタルになれている耳には奇っ怪に聞こえるキックの強度が高い音作りに馴染めなかったりするのだが、どこか人を寄せ付けない排他的なエッジのたったバンドサウンドをひっさげており、馴染みやすさとアンバランスなツンデレ感が最大の聴き所でしょう。如何せん、こちら方面の音楽に造詣がない門外漢なワタクシですが、今作はメタリカつながりで手にしたことを覚えています。若い頃と違いおじさんになったんだから、評価が少しは変わるかなぁと思いましたが、今作はアメリカのコメディ要素のあるホラー映画を思わせる音楽なんだと思いますね。
頭を空っぽに楽しんだものの勝ちでしょう。


METALLICA - The $5.98 E.P.: Garage Days Re-Revisited ★★★ (2021-10-25 12:37:56)

2018年にはリマスター再発された5曲入りにEP。存在をすっかり忘れていました。わざわざ今作単体を買わなくともガレージインクに丸々収録されているのだからと思うのだが、リマスターを楽しみたい猛者には再発は嬉しいニュースでしたでしょうね。
今作の意味はシーンにとっては大きいと思います。特に日本ではNWOBHM自体が湾曲して伝わっています。なんといってもNWOBHM四天王はメイデン以外はNWOBHMと呼ぶのに微妙なガールとデフ・レパードの二つ、前者は音楽性そのものが違う、後者は本人が否定している。そしてもう一つがワイルドホーシズでした、これに関しては、日本以外でNWOBHMと括る国はないでしょう。
こんなガセネタを伝達した罪は重いのですが、一番驚いたのは30年くらいたってもまだ、それを信じて疑わない人に出会ったことの衝撃は未だに忘れられません。本当に驚きましたよ。そういう雑誌偏重のステレオタイプの人間にはチンプンカンプンでしょうが、ここで紹介された楽曲はミスフィッツとキリングジョークはNWOBHMとはちょいと違いますが、どれもがメタルシーンにとってはマイナーな存在で終わったが、NWOBHM史においては重要なバンドばかりであり、彼らのセンスの良さと自らのルーツを世に知らしめた意義は大きい、日本では人気のないバッジーもNWOBHM勢に与えた影響は大きく、そういう日本独自のシーン構成から漏れたバンドを取り上げ、多くのマニアにNWOBHMを再考させたのはエポックメイキングだと断言したい。実際にダイアモンドヘッドのアルバムは大きく取り上げられ、彼らはメタリカのおかげでスポットライトを浴びました。また、マイナーなミスフィッツとキリングジョークに手をつけた彼らのセンスにも下を巻きますよ。形や権威に囚われない自由なマインドこそロックだと高らかに宣言しています。このアルバムは内容よりもそういう姿勢に感化させられたアルバムでした。
でもなぁ2021年でもNWOBHM四天王いうてるやつおるからなぁ。NWOBHMに四天王なんて括れるようなアイコンはいませんよ。


BATON ROUGE - Lights Out on the Playground - Slave to the Rhythm ★★★ (2021-10-24 13:11:29)

かっこいいねぇ
今でもノリノリで聴いていますよ
この時代のバンドと最近は向きある機会が増えています
プチブーム到来なので尚更ノリノリです
ハードエッジなギターは弾き出すご機嫌なリフ
洗練度とアメリカンなブルージー感が絶妙に絡み淡泊になりすぎない男臭さがある
でも野暮ったさなんてものは微塵もない
いい時代のメジャーなサウンドですねぇ


WILDSIDE - Under the Influence ★★★ (2021-10-24 13:05:05)

ワイルドサイトといういかにもなバンド名、そのイメージを具現化したようなサウンドなのだが、これが以外に口当たりがよい。確かにバットボーイズ系の匂いがするのだが、ゴールデンタイムのドラマに出てくるような不良学生感が漂い全然悪じゃないのがポイント。計算されたハードサウンドと売れそうな空気、なにより洗練された作りはメジャー資本のハード系でしか成し得ない物であり、その質の高さと練り具合に唸らされる。曲の良さを壊さない堅実な演奏も相まって視聴感は上々でしょう。歌い手も、少し声色を変えてアクセル・ローズっぽさも出たりする瞬間があるのだが、個人的にはキャッツインブーツで歌っていたシンガーを思い出しました。ほかにもドンピシャでスティーブン・パーシーだったりするんですが、SKID ROWあたりを想起させるようなナンバーも出てきたりと、メタルバブル最終兵器と言った様相を呈しているのが今となっては新鮮です。
リリース時期もありイマイチ認知度が高いと言えない彼ら、あの時代の音を懐かしみたい、あるいは興味があるという若い人にもトライして欲しい一枚ですね。昨年、再発されましたので視聴環境は良いかと思いますよ。


Big Bad Wolf - Big Bad Wolf ★★★ (2021-10-22 13:28:08)

国内盤はAVALONからもリリースされているメロディアスHM/HRバンドの1st。参加メンバーが玄人好みのメンツなのも話題なのですが、キャッチーなメンバーではなかったかもしれませんが腕は確かです。
ギターのグレイグ・チャキーソとベースのブレット・ブルームフィールドはSTARSHIP組、ドラムのケニー・スタフロブラスはLE MANS、CACOPHONYのシュラプネル系バンドに参加、シンガーのキャリアは分かりませんが、各自が思いの丈をブチかまし、ド派手にアメリカンハードサウンドをかき鳴らしています。ともすれば妙な明るさを持ち込むアメリカンハードなのですが、彼らはその領域に踏み込まず明朗かつ爽快感のある強靭なハードサウンドを武器に堅実だが遊び心のある下地のしっかりとした本格派のメロディアスロックを披露。サビで重ねるコーラスハーモニーも抜群だし、メリハリの利いた演奏とサウンドメイクは絶妙なバランス感覚を伴い剛柔を制しています。
腰にくるグルーブ感も気にならない作り込みの上手さ、そこにちょいとした哀愁を盛り込むから耳に残るのですねぇ。
少々メタリックなサウンドメイクに好みも分かれそうですが、甘さの中にピリッとしたハードさと、刹那な哀愁をチョイ足ししたサウンドは、2000年を目前に世に出たを考えると感慨深いものがりますねぇ。STARSHIPと侮ると火傷するようなハードさと鮮度と勢いのある楽曲は多くのファンを虜にするだけの魅力があると思いますよ。歌い手もしっかりとしていますしねぇ。向こうのミュージシャンは層が厚いなぁと、改めて思い知らされます。


Kim Sixx - Complete Anthology (1984-1985) ★★★ (2021-10-22 12:56:10)

カルトメタルマニアの間では知られるデンマークの正統派メタルバンド?なのかソロなのか分かりませんが、女性シンガー、キム・シックスをフロントに据えるバンドサウンドはNWOBHM仕込みのスピーディなサウンドを軸に、メイデンよろしくな展開とRIOTバリに哀愁を振りまく疾走パートを盛り込み華麗に走り抜けていきます。
主役たるキム嬢も曲調に合わせ柔軟な歌唱スタイルを披露、張り上げるだけではない女性らしい、しなやかを武器にバンドサウンドを牽引しています。音質はお世辞にも良いとは言えないが、熱くほとばしる熱情はメタル愛に溢れるものであり、NWOBHM直系の鋭角的なリフと派手なギターソロは見せ場を設け機能している。リズムプレイも若々しい、キャッチーでメロディアスな歌メロも耳を引きますね。
ACIDやBLACKLACEあたりがイケるマニアなら、このバンドもマストと言えるでしょう。あくまでもデモ音源の寄せ集めです。ましてや16曲入りの72分越えとCDに収録できる容量を使い切っていますからね。似たような曲調も多いのですが、ブートレックを扱うようなレーベルでも、ここまで仕上げるのですから文句は言えません。曲調もサウンドメイクも明快で歯切れがよく、この垢ぬけすぎないマイナー系のバンドサウンドを見事に合致しています。フルアルバムが世に出なかった為に、その実態が掴めない幻のバンドでしたが、今作を聴き正式なアルバムを世に生み出していたが今日の認知度も大きく変わっていたでしょう。
このパワフルかつスピーディな展開は多くのメタルキッズをノックアウトしたでしょうね。まだまだ世に出ていない優れたバンドが多いねぇ。今作は2020年リリースですよ。


Joined Forces - Joined Forces ★★★ (2021-10-21 12:11:10)

元々は1989年にレコーディングしていた作品がお蔵入り、2010年に晴れて世に出ることとなったアメリカ産のバンドによる幻の1枚。しかし、これが実に活きのいいアメリカンロックを展開、シンガーのサミー・ヘイガー風味の歌声を生かしドライブする豪快なロックはダイナミックに鳴り響きます、曲によってはWHITESNAKE風味もバッチリと漂わせカヴァーディルに寄せに行ったりと器用に展開していますね。
嘘や裏切りのないアメリカンロックは聴いていて実に心地が良いですね、テクニックもあるし曲作りも巧、類似性を許せない潔癖なマニアにはすすめないが、Y&T当たりの玄人を唸らせるような本格派のハードサウンドが好きに人なら大いに楽しめるでしょう。
でも90年代を目前に、少々置きに行っている印象もあるので、そのあたりがお蔵に繋がったのでしょうかね?質は高いだけに世に出なかったのは残念ですが、今聴いても十分、鮮度を保っているのであの時代に思いを馳せるマニアから、当時を知りたい若い人にも手を出しやすい手堅い作風を貫いています。
ちなみにギターのジミ・ベルはHOUSE OF ROSEのギターとしても活躍するので、確かな腕も持っていますよ。歌もうまいしアレンジも上々、個性は薄いかも知れないが堅実な作りは堂に入った魅力がありますねぇ。
やはりアメリカのシーンは層が厚いね、これが世に出れないのだから恐るべしです。


LADY BEAST - Vicious Breed ★★★ (2021-10-21 11:39:23)

いまやUSメタルシーンの裏番長といっても差し支えのないバンドといってイイほどキャリアを積み上げている。女性シンガーをフロントに置き、奏でるは従来通りの古典スタイル。その古臭い音色に新しい歴史を作れないメタルなど無意味だと言われると、ぐうの音も出ないのだが、時代の流れの中で価値観は変われど、様式そのものまで変わる必要もなく、その古典芸能を現代のシーンに受け継ぐのも重要な行為だと思うワタクシにとって、このバンドはヘヴィメタルの血脈を守る守護神かの如く神々しく輝いております。
ギターのアンディ・ランペイジは、あくまでも攻撃的に野心を漲らせ、この古き良き世界観を踏襲、バンドが一丸となり作り上げる筋の通ったメタルワールドは、驚くほど忠実で真っ当に古典芸能を再現している。
もちろん現代のシーンを生き抜くにあたり、古さの中にある新機軸を打ち出し無理なく聴かせる器用さとバランス感覚がベテランの域に入ったと言わせるほど手慣れており、曲作りの上手さを体感させてくれます。
適度なドラマ性とミステリアスなムードも漂わせながら、人間力溢れるゴン太ヘヴィメタルサウンドの凄みに唸りますね。けして強烈な個性を発揮しているとは言い難い女性シンガーも絶妙な存在感を持っています。彼女の極端に偏った存在ではない、普通の歌い方によるロックシンガーとしての戦い方にも好感が持てますね。


BAD MOON RISING - Blood ★★★ (2021-10-18 19:45:05)

日本一権威ある商業誌の評価によって殺された一枚として有名なアルバム。点数は70点ですが、内容はケチョンケチョンでしたからね、あの内容なら30点つけないとおかしくないの?やはり企業から接待されていますか?等など勘繰りたくなるような点数と批評のバランスが釣り合っていないアルバムとしても有名です。
あくまでもクラシックなメタルを神とするなら、今作は駄作でしょう。でもスリップノットやアヴェンジドセブンフォールド、ブレットフォーマイバレンタインなどの新興勢力が世界最高峰であり、これからのハードシーンは彼等が天下とするのならば、このアルバムの低評価に対する整合性は一切ないと断罪したい気分である。
数年後、あれだけ手のひらを反すなら、今のネット社会、あん時はゴメンね!と関係者は謝罪するべきだろうと思いますよ。それくらい、このアルバムはモダンなアメリカンロックを本気でやり切っていますのでね。
しかもギターはテクニカルでエモーション、エッジの立ったヘヴィなギターは実に魅力的でした。LIONのそれと比較するのならば退屈ですが、93年の音楽シーンはこんなもんでしたね。
むしろ、メロディアスだし起伏もある、メインストリームには寄っているがLION時代にも通ずるドラマや展開も見られます。愁いのあるカルの歌声もモダンなサウンドに潤いを与え、埃っぽいナンバーの中ではオアシスのような存在である。グランジ勢に負けまいと折衷した音楽性、本当にこれは退屈なのでしょうか?
ワタクシは古臭い音楽が好みです、グランジからは直接影響を全く受けていません。でも2000年以降のメタルバンドの多くはグランジからの影響を強く感じます、特にサウンドメイクなどは顕著でしょう、ギターのアプローチもグランジから多大に受けたバンドが多いです。
そういうアーティストは現在、どのような評価を受けているのでしょうか?過去は過去ですが、やっぱり『俺、カブキ過ぎたかも』と思ったら謝罪すべき。でなければ、ワタクシと同様、古い感性を愛して支配された編集者と名乗るべきでしょう。それくらい許されない文言でしたよ。そしてワタクシはこのバンドのファンでもなんでもありません。
ただ、今の感性で聴いて、これを断罪できる耳を持っていませんので悪しからず。
そして2000年代のメタルをルーツとする若い人にこそ再考して欲しいアルバムでもある。現代的なメカニカルでマッシブなサウンドからすると、そうとうエモーションで人間臭さが滲み出た古典と耳に響くでしょう。


SHADOW KING - Shadow King ★★★ (2021-10-18 19:27:37)

プロデューサーにキース・オルセンを迎えコマーシャル性豊かなメロディアスHM/HRサウンドをダイナミックに展開している。ヴィヴィアン・キャンベルとルー・グラムの共演と言う当時としては嘘みたいな組み合わせが話題性にも繋がってはいるのだが、雑誌の評価が辛辣なモノであり、日本でも評価を得られなかったバンドである。
そういう意見を鵜呑みにするステレオタイプの人ではない、良識のあるメロディ派には再度向き合って頂きたいクオリティの高い一枚。売れっ子プロデューサーであるキースを選んだのも頷ける、みずみずしいメロディアスサウンドは絶妙なハードテイストを残しワールドワイドな感性を用いり展開、アメリカでも英国でもない偏りの少ない王道路線は、実に同に入ったもの。正直、ギターはヴィヴィアンである必要はないのだが、後にヴィヴィアンがデフ・レパードに加入した時ほどの驚きも違和感もなく、むしろ予兆はここにあったのか!なんて思うと聴こえてくる音色も随分と変わるでしょうね。アーバンでアダルトなハードサウンドは、大人が聴いても恥ずかしくない洗練されたサウンドを聴かせており、グッと惹き寄せられう場面は少なくないでしょう。
唄の上手さに疑いのないルーのパフォーマンス力も脂が乗り切っており、これほどシャレオツハードサウンドをフロントマンを飾るのが似合う男はいないでしょうね。
セクシーで男臭い歌声はこういう歌モノサウンドに楔を打ち込みますねぇ。バラードなんか天下一品でしたよ。
短命に終わった為に、今となっては完全に忘れ去られたバンドになります、スタイリッシュなジャケもメタルっぽくないので毛嫌いされそうですが、フォリナーを舐めていないメロディ派のマニアならマストだとも言いたい。


Jagged Edge UK - Fuel for Your Soul ★★ (2021-10-17 12:45:42)

まずオープニングはジミヘンメロディアスロックヴァージョンで幕開け、新人のデビュー作の割には地味な手法やなぁと感じますが、それと同時に抜群の安定感を感じさせます。②では一転してキャッチーでメロウなロックを展開、そして③からまたブルージーな路線へと戻ります。このバンド、思いのほか、先人たちの足跡を辿っている。それは堅実なサウンドがあるから様になるのだが、潔癖な人には相当気にかかるでしょうね。
そういうレイトバックした作りに評価も分かれそうですが、バランスの取れたサウンドであることは間違いなく、MR.BIG英国ヴァージョン的な匂いもする。
看板シンガーと言っても大げさではないマッティ・アルフォンゼッティのソウルフルな歌い回しも、クドクないのですんなりと耳に馴染むし、英国的な湿り気のあるメロディと相まって視聴感はホワイトスネイクよりもメロディアスに感じるだろう。90年と言えば同タイプのサウンドが溢れかえっていただけに、堅実さが地味さに映ったのだろうが、影響を受けたバンドから素直にアイデアを抽出しただけに安定感は抜群である。
抜きに出た個性、それと引き換えに手にいてた1stとは思えない、渋みと聴き馴染みの良さ、そこが評価を分ける最大のポイントでしょう。最近、再発されたようなのでブルージーなHM/HRが好きな人なら聴いて損はしないでしょう。
演者は皆、巧者ですのでね。


HOUSTON - IV ★★★ (2021-10-15 16:45:40)

北欧のAOR系メロディアスロックバンド待望の新作。前回から4年のブランクがありましたが、今回はイタリアの名門フロンティアからリリースとなりました。少々キラキラ系のキーボードが増えたなと、打ち込みチックなリズムセクション、そしてギターサウンドと、気になる点が増えましたが楽曲によっては違う印象を受け、チグハグな感じもしたりするのですが、全般的に、このバンドらしい北欧風味の叙情的なメロディが冷ややかな風を吹かせメインストリーム路線を楽曲を包み込む仕様に変わりはなく、先人達からの影響を一切隠さない清い姿勢でやり切っています。
今までも作風を支持する方は問題なく楽しめるでしょう。ミックスの関係は好みですので、こちらも問題ないでしょうね。哀愁のHOUSTONサウンド、華やいだメロディアスロックはリラックスしたムードに包まれ絶妙なコマーシャル性を維持しながらロックな手ごたえを残しつつ最後まで走り抜けます。
職人技が映える楽曲構成、唄モノロックが好きな人には需要もありますが、それ以外のハード系を愛する方にはチョイと甘口でしょう。あと類似性が気になると前にすすめませんので潔癖な方は引き返した方が無難かと思います。
ワタクシ、この手のサウンドが好物なんですよね。10回くらい聴いたら飽きるかも知れませんが、爽やかな涙を誘う哀メロナンバーが大好物なのです。


BONFIRE - Point Blank - Tony's Roulette ★★★ (2021-10-13 19:59:52)

やってんなぁ
やりにいってんなぁ
と細かい追及はご法度でお願いしたい
欧州とアメリカの融合
正にメロディアスロックのNATO軍と言った曲です
こういうミドルナンバーは大好物です
メロディがハッキリとしていますからね
地味ですがアルバムには必要な曲
こういうのをサラリとやれる彼等のセンスに目を細めます
BONFIRE組の底力を見ましたね


BONFIRE - Point Blank ★★★ (2021-10-13 19:55:13)

ドイツのBON JOVIのように例えられる事もあるボンファイア。今作は17曲入りのボリュームだが一枚のCDに収まると言うコンパクト仕様。テクニックよりもエモーションを込めたメロディを届けると言う作業に力点を置きハード&キャッチネスサウンドを展開。ヒットポテンシャルを秘めた楽曲はどれも耳なじみが良く、ドイツらしい生真面目さを武器にメインストリーム寄りの楽曲構成を行い何を聴かせたいのか明確な意思表示をおこなっています。
類型的な音楽性を嫌味なく取り込むことで無理無駄のないコンパクトさを確立、個性不足であろうが一聴して口ずさめる親しみやすさは爽快でもある。
今聴けば懐かしい音色だなぁとほっこりとした気分にもなるのだが、ドイツのバンドだけに欧州風味のメロウなフレーズがチョコチョコを琴線を震わしていきます。今の若い人には新鮮なサウンドとして耳に届くと思いますよ。
豪快で大陸的なアメリカンロックから埃っぽさを取り除き、その代わりに欧州フレーバーをタップリとかけ欧米折衷のメロディアスサウンドを築き上げた彼等の流儀。ヘヴィメタルNATO軍たるワールドワイドなサウンドは、売れ線志向であろうとも真の強さは捨てていません。


EARTHSHAKER - Back To Nexus - Radio Magic ★★ (2021-10-12 12:06:15)

一般層にも受け入れられそうなポップソング
そういう意味では大切な一曲でもありライブでも定番である
個人的には思い入れも薄いので原曲と聴き比べ
余り変わっていないようでテンポが全体的に早いですよね
プチモデルチェンジに成功していますが
オリジナルが好きな人は違和感もあるでしょう
でも名曲はやはり色あせませんという感じですかね


EARTHSHAKER - Back To Nexus - Earthshaker ★★★ (2021-10-12 12:01:49)

リズムがキッチリとしています
メリハリが効いていてシャープになりました
ドラムアレンジもベースもローがズンときています
唄も円熟味が増して艶が出ていますねぇ
名曲は色あせんぞ
サビのところの裏で踏み込むドラムアレンジも好きですね


EARTHSHAKER - Back To Nexus - Shiny Day ★★ (2021-10-12 11:58:00)

隠れた名曲と言うのか居酒屋の裏メニュー的な曲
忘れていたファンも多いのではないでしょうか?
全体的にタイトでソリッドになりました
改めて聴くと仕上がっていた曲だから余計な手直しはいらないんだなぁと感心しましたね
歌謡ポップサイドを代表する曲でしょう


EARTHSHAKER - Back To Nexus - More ★★ (2021-10-12 11:53:49)

もう何度目のリメイクですか?
もっともっともっととやり過ぎリメイクですが
2010年仕様という事でソリッドでタイトに感じます
テクノロジーの賜物感はあるが
名曲はどんな形であれ紡いで欲しいです


Restless - Alone in the Dark ★★★ (2021-10-11 17:56:08)

90年代の終わりに突如現れたメロディアスロックバンドのフルアルバム。このアルバムは実に微妙な立ち位置にある。リリース時に実体はなく、しかも本来はFREELANCEというバンドの音源でもある。彼等が80年代に録り溜めた音源集がドイツのMTMから世に放たれた。その煌びやかで哀愁風味たっぷりのメロディアスサウンドは、カラフルな彩りも実に鮮やかに映し出しており、フックのあるメロディとチョイハスキーな歌声は実に優等生な出来栄えを誇っている。その反面、個性は薄いのだがキーボードを効果的に使いベタな展開は堅実そのもの、ジャーニーよりは、デフ・レパードと言えるスタイルもTHE80年代という空気感もモロに演出。そういうのも、正式な契約に影響があったのか分かりませんが、古き良きAORスタイルのメロディアスロックをお探しの方ならマストな一枚でしょうね。
しかしハードシーンは奥が深い、紹介したいバンドは山ほどある。死ぬまで追い付かないだろう。メロディアスロック一つとっても底が見えません。


ROXUS - Nightstreet ★★★ (2021-10-11 17:32:50)

フルアルバムが一枚だけで消えてしまった幻のメロディアスHM/HRバンドとして知られるROXUS。オーストラリアという事で大陸的なグルーブも飛び出すが、メロディアスなサウンドメイクは実に硬派でクールなのに情熱的。それでありながらも大衆性も意識した音作りを行い、その奥行きのあるサウンドの完成度は1stとは思えない。アメリカン仕様のWHITESNAKE風味の④をやっても様になる説得力の高さ、合い間に挟まれるAC/DC風味のロックスタイルも多様性を広げる事に貢献、一本筋が通っているので、守備範囲の広さが魅力になっている。哀愁のメロディが好きだを合言葉に、バラエティ豊かな楽曲を揃えた事は大いに支持できるでしょう。時代が90年代だっただけに不遇を味わう音楽性だったと思うが、今こそ見直されるべき一枚だと思いますね。


VANDAMNE - NIGHT CRIMES ★★★ (2021-10-11 17:21:36)

NWOBHMファイターの間では知られるDEALERのメンバーが集結。再デビューを計るに音楽性もアダルトなメロディアスロックサウンドに変換、勢いのあるNWOBHM時代を期待すると肩透かしを喰らうのだが、落ち着き払ったメロディアスハードサウンドはICONの2枚目の世界観に通ずるのもがあり、メロディ派のHM/HRマニアならグッとくる場面は少なくない。勿論、硬質なメタルナンバーも登場するだけに甘口のロックサウンドだけではないのだが、耳を惹くのはメロウなパートの方だったりする。個人的にはKUNIとか思い出しますよね。メロディアスだしハードだし、聴かせたいものを明確にしているので迷いはなく多様性のあるメロディ重視のメタルサウンドだと思っています。
今となってZEROコーポレーションの偉業の一つだし、海外盤だとLONG ISLANDからのリリースだけでした。それだけに希少価値は高いのでマニアなら見かけたら迷わず手に取って欲しい一枚。
ちなみにギターで活躍するアシュレイ・リマーはドゥギー・ホワイトが立ち上げたロックプロジェクトのCHAINでギターを弾いているのでも知られていますかね。


SGM - Aggression ★★★ (2021-10-11 04:12:41)

知る人ぞ知るシアトル出身のクロスオーバー系メタルバンドが1988年にリリースしたフルアルバム。シアトルと言う地がなせる技なのか、メインストリーム寄りでもアングラ系とも一線を画す独自のスタイルを披露。スラッシュンロールなんて言いたくなるノリの良いグルーブを従え心地よく駆け抜けている。
シンガーは大げさなくらいシアトリカルな歌い回しで応戦、その野蛮で卑下た節回しは時には官能的に絡み独特の喉を披露。そしてデス系にも負けない血生臭いバイオレントな歌唱スタイルも披露しており、実に多彩な声色を使い分ける。アクセル・ローズよりも個性的であろう。
クロスオーバー系スラッシュと言っても、このバンド実に面白い下地なのである。古典的なロックやパンクを踏襲しつつヘヴィメタル系のレシピを用いり調理、そのマナーに対する礼儀の正しさは、ぶっ壊している部分と守る部分が混沌なり一つの方向性に放たれることでカオスな世界観を演出。毒気の強い歌詞と相まって、やばい音を鳴らし理性の奥深くに潜り込んでくる。
このバンド、実に先を行っていたと思う。メンバーショット見たときに驚いた、所謂プードルヘアーでもカットTシャツでもパッツンパツンのスパッツも吐いていない、勿論、トゲトゲのレザーでも、肩パット入った世紀末覇者仕様でもない、普通のラフな格好をして映っている。しかも傷んだロン毛でもない、短髪で当時のメタル系のイメージを完全に覆している。タータンチェックのシャツを着ていたりと、後のシアトリカル系の先を行っているだろう。そう思うとラップ風の曲が飛び出してきても驚かない。正に彼等はシアトル勢の先陣を切るようなバラエティ豊かなラウドロックを展開したことになる。しかも1988年にアルバムまでリリースしてきた。その実績と野心に驚く。
今作が当時のシーンにどのような影響を与えたかは知る由もないのだが、今もって先を行くバンドだなぁと思う。何系と上手く説明できない音楽性、近寄りがたい路地裏系だが危険を犯しても覗き見たい世界観を持ち合わせていた。
ラストのSHEはKISSのカヴァーですよ。
それにしても後のシアトルスタイルの元祖的な魅力がありますね。重さと言うよりはドライなキレ味で勝負、軽めなのはスラッシュ由来と言うよりはハードコアパンクスの匂いが強いからでしょう。


LAAZ ROCKIT - No Stranger to Danger - Leatherface ★★★ (2021-10-11 03:42:49)

映画『悪魔のいけにえ3 レザーフェイス一家の逆襲』の主題歌と言える曲
PVも作られているので割とキャッチーである
重苦しい弾力あるヘヴィグループとひねくれたギター
このバンドらしい癖の強さも味方につけ個性を磨いている
単に走るだけではない強烈なうねりがクールに鳴り響いている
映画を喰う勢いでカッコいいぞ


HURRICANE - Over the Edge - Spark in My Heart ★★★ (2021-10-11 03:35:55)

少々オカルトホラータッチの鐘の音
イントロで鳴るのですが展開が読めない
そこから男らしい硬派なメロディアスロックに流れる
十分大衆性も完備しているが真面目な音は頼もしいし素直にカッコいいと思う
映画悪魔のいけにえ3には勿体ない曲ですね
何度聴いても襟を正したくなる凛とした佇まいと裏切りがカッコいい中盤の陽性パートもクール
個人的には歴史に残る名曲だと思っている


WRATH - Nothing to Fear - When Worlds Collide ★★★ (2021-10-11 03:31:20)

切迫感に満ち溢れたヨーロピアンスタイルのパワフルメタル
でもアメリカ産なので濡れているが湿っていない独特のコクリートサウンドを披露
歌い手がイマイチ切れていないのをバックがフォローしている
場面展開も多いのだがヌルイ音質が損してるなぁ


DEATH ANGEL - Frolic Through the Park - Bored ★★★ (2021-10-11 03:25:06)

引っ掛かりのあるリフとリズムが癖になります
トリッキーなフレーズも盛り込み多様性を広げている
一口にスラッシュメタルと呼べないスタイルを見せている
PVも作られているのでバンドとしてはキャッチーな側面も補完


KILLER DWARFS - Dirty Weapons ★★★ (2021-10-10 05:53:18)

紆余曲折を経て辿り着いたバンドサウンドは実に硬派でメロディアスな正統性の強いスタイルに落ち着きました。バラエティは豊かだが一本筋の通った音楽性、その高潔な精神性は売れ線志向とは一線を画すものでありながらも大衆性を補完しているのも見逃せません。
メロディ派だが甘すぎるのは嫌だ、もっと攻撃的であってくれと思うメタルファンなら是非とも聴いて欲しい一枚。このバンドはまずテクニックがある、土台のしっかりとしたプレイを根幹に質の高い楽曲を用意、完成度の高さに見合う演奏力があるからこそ様になります。
伝統的なハードテイストと耳を惹くフックのある哀愁のメロディの融合、迷いがないバンド運営は決定的なカラーを打ち出すことに成功している。個人的にはもっと認知されるべき傑作だと思っているがイマイチ跳ねなかったのは残念でならない。乾いたバラードを用意したりと芸の細かさも強力な武器だっただけに、その器用さがマイナスに働いたのかもしれない、いい意味でのデジャブ感も足を引っ張っているのだろうか、個人的にはベストオブ80年代的なメインストリームよりのバンドサウンドに魅了されますけどね。
④なんてちょっぴり切ないアメリカンロッカバラード風味にキュンとなるし、そもそも頭3曲が強力すぎる。力強さと切なさが同居するミドルナンバーの⑤もエエ、⑥だって名曲の予感を漂わせるムードのあるイントロからカッコいいと、アルバムを通して捨て曲が見当たらないのが素晴らしい。
無駄を削ぎ落しシェイプされた楽曲群の凄みに圧倒される39分の旅路です。気が付けばリピートですよ。アメリカでもドイツでもないカナダという国を代表する音でしょうね。


GIANT - Time to Burn - Stay ★★★ (2021-10-08 15:07:00)

売れそうやでぇ
フック満載で哀愁たっぷりの歌メロ
でもサビではパッと明るく弾けます
計算されてますねぇ
見事な黄金比です
ギターも職人技で素晴らしいソロもクールに燃える名演です
リズムプレイも大人のマナーで行儀よく存在感を出していますよ