BAD ENGLISHやSTARSHIP、HOUSE OF LORDSなどに楽曲を提供していることでも知られるシンガーソングライターのデヴィッド・ロバーツが1982年にリリースした1st。バックにTOTOのメンバー等を従え時代性を加味した極上のAOR系のハードサウンドを披露、洗練された甘美なメロディを前面に押し出し、時にはアーバンでアダルトな雰囲気を醸し出しシットリと適度な湿り気と糖度のあるメロディを嫌味なく優しく歌い上げてくれます。透明感のある性質のせいか聞き終えたあとの爽快感も上々で実に清清しい気持ちにもさせてくれますね。歌モノにアリガチな軽めのサウンドに終始しお約束のバラードやカントリー調の楽曲を放り込み散漫な印象を与えることなく、ソフトケイスされた歌モノに癒されたい方にはオススメ出来る極上のハードな味付けを施したAOR系の名盤かと思います。
1992年リリースの「PILE OF SKULLS」以降の作品を聴いたことがなく、RWの新譜を20年ぶりに触れる事になります。欧州圏におけるトラディショナルなメタルの復権も盛んに行われていると言う情報を羨ましく思い、その状況を憧憬する気持ちから今作を手にしたのですが僕の知っているメロディアスなパワーメタルサウンドを軸に独特の疾走感とリズムプレイが信条だった彼らとは違う面を垣間見る事の出来る今作を聞いていい意味での変貌ぶりに驚きましたね。ともすれば単調なリフワークとリズム、声域の狭さとガナリ立てる歌声に聴いていて少々疲れも出るのですが、従来のロルフ節も巧みに散りばめつつもバラエティに富んだ楽曲を収録することや歌メロの充実が以前に感じさせていたマイナスな面を押さえ込み、さらには正統派メタルバンドが陥りやすい個性の埋没を防ぎ新鮮でありながらも実に堂に入った正統的なメタルサウンドを披露、再度メタルの世界へ航海に出たロルフ船長の気概に大いに感嘆させられました。コンパクトにまとめ上げられた多様性を帯びたロルフ節を堪能して欲しいですね、肩の力を抜いたガリガリゴリゴリと走りまくるだけではないキャッチーでメロディアスな彼らの魅力に改めて惚れ直しました。