1988年リリースの3rd,1st収録の名曲でガルネリウスのカヴァーでも知られる“November Is Going Away”や2ndの哀メロ路線を期待して少々割高な金額をはたいて購入した事を記憶しています。①②とL.A風の爽やかな曲が聞こえてきたときは嫌な予感がしましたが哀愁を散りばめた③で溜飲を下げアメリカンでソフトケイトされた④⑥で不安も消えました、今作はこの路線で行くんだなと腹をくくれば問題なし、時折クラシカルならしいギターを聞かせてくれたりして存在感をしっかりとアピールしています。シンガーも今作は速弾きギタリストご用達ロブ・ロックですが無理に力む事無く伸びやかなハイトーンを駆使しいつもとは違う魅力を堪能させてくれました。ある意味、ロブ・ロックのハーモニーを生かした歌唱に助けられている感は否めませんが全般的にアメリカンな爽やかメロディアス路線です、キーボードもお洒落に演出しているし哀愁風味もソコソコでよく纏まっています、個人的には少々スケールが小さく感じてしまう音質と置きに行った楽曲にハード目なのにエッジが効いていない事に熱いものを感じませんが、メロディの美しさを際出せるアレンジを大切にしたのでしょう、そう聴くと⑧⑨⑩の流れは美味しいですよね。
シャープな音像がグイグイと迫ってきますね、自分達のスタイルを確立しつつある作風が耳を惹きます④等を聴くと名盤「DEATH OR GLORY」路線も感じ実に興味深い印象を持ちました。パワフルに疾走する②もカッコいいし全般におけるメロディへの拘りはドイツ産らしい泣きを散りばめたギターソロ等を聴けばわかりますね。ガッツィーなパワーメタルナンバー⑦や疾走ナンバーの⑤あたりも耳を惹くでしょう、音質も良くないしロルフ船長の下手な歌声が足を引っ張りますが勇壮な剛直メタルバンドの航海前夜作と思い聞き込むと面白いですよ。
MOTORHEADをリアルタイムで聴いたのがこの作品、ACE OF SPADESをレンタルして聞いた後だったので戸惑いは隠せませんでしたが長いキャリアを考えると原点回帰とも取れるアルバムタイトルが示す一枚かと思います。少なくとも①の軽快さとロック然としたアレンジは実に堂に入ったものですね。猛り狂う荒くれ暴走サウンドとは違う、いい意味で計算された作風ですが英国的な雰囲気を随所に感じ取ることができロックの真髄を魅せられた気分になります。
2002年リリースの力作です、前作同様時代を見据え独自のスタイルを貫くパワフルかつヘヴィなメタルサウンドを披露、ベテランバンドここにありと40を過ぎても豪腕でならした広島東洋カープ大野豊のように実に堂に入った演奏を轟かせてくれます、大人気ないほどにけたたましい無骨なスタイルに拝命した元祖パワー/スピードメタルバンドの金看板を守り通しています。大野のような七色の変化球は持ち合わせていませんが晩節を汚すことのない実直な姿勢を見せてくれたことはファンにとっては賞賛に値しますね。映画で話題になっただけに今の彼らの認知度はどの程度なのでしょうか?2000年代の作品としてはJuggernaut of Justiceと双璧をなす名盤ですね、やはり胸を焦がすのは畳み掛ける重量感を伴った疾走ナンバーの数々でしたが、ミドルナンバーのキレも悪いはずがなく、ロブライナーのドラムを健在、ダークな質感と弾けるパワー、シンプルだがカッコいいギターリフ、洗練度などクソ食らえ、ダサカッコいいアンヴィルサウンドに尊敬の念すら抱かせます。へヴィメタルを愛するベテランバンドが激動の人生と共に歩む姿を映し出す名作だと思います