この曲を聴け!
ローランDEATHさんが同意した発言一覧 1-57

MyPage

モバイル向きページ 
ローランDEATHさんが同意した発言一覧 1-57



ABIGAIL WILLIAMS - Walk Beyond the Dark

米国産ブラックメタル2019年作
最近はブラックメタルは必ず試聴してゲットするんですが、最近初ゲットしたバンドで最もツボにハマったブラックメタルはコレだ!
試聴した時は北欧のバンドかと思ったが、どうやら米国産。確かに濃厚な北欧情緒という感じではないが、米国的でもない。丁度中間くらいのテイスト。
バンド名をどこかで聞いたことがあるなと思っていたが、コレは昔観たウィノナライダー主演の魔女裁判の映画「クルーシブル」の主人公の名前だ。
少女が罪のない人々を魔女として告発して処刑する結構エグい内容の映画だったが、恐らくバンド名の由来は、この魔女裁判なんだろう。
音や歌詞から、真性な悪魔崇拝のテイストはあまり感じられないので、魔女に由来するストーリーや世界をコンセプトに曲を書いているんだと思う。
音圧でノックアウトされるタイプが最近しんどいので、最近は雰囲気重視のブラストしないブラックを蒐集しがちですが、コレはしっかりブラストする。
でも、シャリシャリ感が心地よいボクに丁度良い音圧のギターで、ブラストパートであっても音圧が聞き苦しいということはなくボクはこれくらいがいい。
特徴としては、チェロを導入していることで独特な雰囲気があること、ドラムの高度な演奏力がカッコよくとても良い仕事をしていること、かな。
いろいろ調べてみると、しょっちゅうバンドのメンバーが入れ替わっているようで、中心人物のKen Sorceron(ヴォーカル兼ギター)がやっている。
一応、ベースとドラム、チェロのメンバーもいるようだが、過去作品の参加メンバーを見ても、全くメンバーが固定されていないようだ。
その割には、非常にタイトにまとまっているハイレベルの演奏と、作り込まれてドラマチックな楽曲といい、ワンランク上の相当完成度が高いサウンドだ。
アトモスフェアな雰囲気でありながら激しさもあり、それが過剰ではない丁度良い心地よさだ。曲によってはメジャーコードを掻き鳴らし続けるような
ポストブラック的響きを感じさせるパートも登場するが、決してブラックメタルの世界観から外れることがないのが良い。とりあえず超オススメです。

kamiko! ★★★ (2020-06-17 21:45:04)


AHAB - The Boats of the Glen Carrig

ドイツ産フューネラルドゥーム2015年作。
バンド名は、旧約聖書に登場するイスラエル王「アハブ」をモチーフにした小説『白鯨』のエイハブ船長から引用しており
処女作の白鯨ジャケが印象的なTHE CALL OF THE WRETCHED SEAから、常に「海」をコンセプトとしたドゥーム作品を作り続けている。
今作はついに海中に潜り、海中生物が色彩豊かに描かれた妖艶なジャケが美しく相当ポイント高い。そういう特殊な世界観が魅力的な個性派ドゥーム作品である。
分厚い歪んだギターと唸るヴォイスによる引き摺るようなドゥーミーリフが淡々と続くサウンドがメインで、非常に鈍重な感じなのだが
挿入されるアコースティックパートやクリーンヴォーカルの声が、何故か大海原や深海を感じさせるから不思議だ。
かなり上級者向けのドゥーム作品だが、海をテーマにしたファンタジーが感じられる異色作なので、超オススメである。

kamiko! ★★★ (2020-05-01 03:10:01)


BATHORY - Blood on Ice

スウェーデン産ヴァイキングメタル1996年作
Bathoryのヴァイキング作品中、完成度という点では他のアルバムに譲るが、インパクトという点ではこの作品がナンバーワンかも知れない。
録音年の異なる作品の寄せ集めのため、曲毎の音質が異なる上、音痴なクォーソンの「歌」を前面に出す楽曲が多い、という凄まじい作風。
ところが、お得意の鈍重ヴァイキングサウンドのみならず、バラード調の曲や、疾走曲、様々なエフェクトや語り口調の挿入などかなり気合の入った楽曲群が
ドラマチックに展開する。ラストなんてヤケクソでブラストに近い音圧で締めくくり、いつもの心地よい脱力感を体験できる。
腹筋が割れそうなほど笑える音痴な寄せ集めポンコツサウンド紙一重な作品でありながら、冒険譚ハリウッド映画1本観たかのような充実感が体験できる超問題作です。
Bathory上級者マニア向け作品で、コレに高い芸術性を感じ、愛聴できるリスナーはトゥルーバソラーである!

kamiko! ★★★ (2020-05-08 22:59:19)


CARCASS - Surgical Steel

ホント、マイケル・アモットが関わらなくて良かった。

悪い意味でARCH ENEMY化しているんじゃないかと不安だったのだ。

CARCASSはビル・スティアーのギターがあれば独りで充分。

出来ればケン・オーウェンにドラムを叩いて欲しかったが、それは贅沢な要求か。

ケンのヘタな後乗りのドラムあってこそ、CARCASSの魅力が増す訳だったから。

ドラムって結構重要視されるね。

BLACK SABBATHはビル・ワードじゃなきゃ駄目だし、IRON MAIDENもクライヴ・バーのドラムじゃなきゃと未だに拘りがある。

METALLICAはラーズ、SLAYERはロンバード、EXODUSはトム・ハンティングが叩かなきゃ駄目なのである。

彼等以上に超絶テクニックを持ったドラマーはたくさん存在するが、やはりテクニックだけでは駄目なんだよね。

しかしCARCASSの復活作、このバンド特有の腐敗臭は消失してしまったが、クオリティは高いですね。

初期のCARCASSを聴いていた時に、知人のメタル愛好家の人からDQN扱いされたのも今は昔。

アゴ 勇 ★★★ (2020-05-24 19:59:11)


CAULDRON BLACK RAM - Slubberdegullion - Black Market Trade of Whore and Blade

砂利が擦れるような金属音のエフェクトから、塩気と水分多めドロドロズルズルの重低音ギターリフがフェードインする。
その途端、海賊をテーマにしたデスメタルというレアな世界観にどっぷりとハマれる。
単に変拍子で展開するのではなく、ワンテンポではない緩急のあるタメを利かせたリズムを刻む楽曲は、このバンドオンリーワンな個性。
そんなアヴァンギャルドなタイム感のある、オールドスクールデステイストを含むリフが複雑怪奇に展開するこの感じが最高だ。
こういう個性派に巡り合う機会はなかなか無い。特にこの曲は海賊テイストズルズル古学校デスサウンドの魅力がふんだんに詰まっている。

kamiko! ★★★ (2020-10-19 18:56:33)


CHTHE'ILIST - Le Dernier Crépuscule

>ローランDEATHさん

コレかっこいいね。ドゥーミーでゴアリーなのに聴きやすくていい。ゲロリバースまでいかない丁度いいヴォーカルだ。
アトモスフェアなムードだから、きちんとお掃除された詰まりのナイ下水道という感じがいいね。

kamiko! (2020-08-25 01:07:59)


DEMILICH | Nespithe - Nespithe

フィンランド産オールドスクール・テクニカルデスメタル1993年作
発売から5年後くらいだと思うが、購入当時に少しハマって、友人に貸したまま戻ってこなかったCDだが、もはやオリジナル盤は入手困難。
結局ボクは20th Adversary of Emptinessという全音源収録盤を所持している。
このバンドのフルレングスアルバムはコレのみで、デスメタル全盛期のリリースでありながら殆どメディアに露出することなく全くの無名。
ところが、当時の有名デスメタルバンドと比較しても引けを取らないどころか、かなりの個性派で偉才を放つサウンドだ。
大きな特徴は、その時代のデスヴォイスの中でも極端に低音な下水道ヴォイス、ブラストもアリでMorbid Angelを更にヴァンギャルドにしたような楽曲構成だ。
そして、やたら長い曲名が多いのも特徴。変拍子を多用し、意表を突く気持ち悪くもカッコいいギターソロなど、粗削りな演奏だが非常に多くの魅力を秘めている。
初期Meshuggah、Watchtower、Anacrusisあたりの複雑な構成のデスメタルがツボ、かつ初期Morbid Angelや初期Incantationあたりの魔性がツボなら相当ハマる。
フィンランドのカルトサウンド恐るべし。デスメタルマニアは必聴盤だ!

kamiko! ★★★ (2020-05-15 23:49:46)


DRYOM - 2

ロシア産フューネラルドゥーム2015年作
バンド名はロシア盤の表記は(たぶんベラルーシ語)Дрёмだ。3作品リリースしており、タイトルは処女作が「1」で
作品発表順にアラビア数字がそのまんまタイトルになっている。わかりやすくてイイ。
ワリと聴き応えのあるフューネラルドゥームだが、描く世界はジャケから察するに、少なくとも現代がテーマ。
翻訳すると1曲目は「死の街」3曲目が「ブリザード」だ。なんとなく世界観が見えてくる。
暗いジャケイメージと、派手さの無い音楽性から、かなーり地味なバンドというイメージを持っているが、クオリティは相当高い。
淡々としたゆるーいテンポ、粉っぽい歪みのギター、一本調子なコモり気味のデスヴォイスがうまく融合している。
ギターの質感からか、埃っぽさを感じるところと、ギター以外のシンセや効果音に独創性を感じる。
一聴しただけではしっくりこない若干前衛的なアプローチが、徐々にツボに入ってくるとその魅力から抜け出せない。
よくある「魔性」「死」を直感的に感じさせるタイプとは一線を画す作風で、相当上級者向けのフューネラルドゥームだ。
ちなみに、次作「3」は全く現代を感じない世界観に変貌しており、前衛色を若干強める。ボクはこの「2」が好みだ。

kamiko! ★★★ (2020-06-27 01:21:33)


ENCOFFINATION - O' Hell, Shine in Thy Whited Sepulchres

米産ドゥーム2011年作、随分前にローランDeath氏に勧められてゲット。
Justin Stubbsという人のプロジェクトらしいが、ミキシングやジャケ・ライナーのデザインまでやってるようだ。
ジャケ・黒地にゴールドで描かれたライナーのデザインがまず素晴らしい。
重く引き摺るような、ややこもり気味の閉塞的なギターが真性で背徳的で、まるで邪教で苦行を課せられているかのよう。
そんな禁忌に触れたような世界観が大きな魅力だ。
この人はIsoratorという延々と暗ーい音空間のダークアンビエント作品も作っているようで、特に「音作り」にコダワリがあるんだろう。
Father Befouledというバンドにも名を連ねているが、そこでの音作りに大きく貢献していることがこの盤の音から伝わってくる。

kamiko! ★★★ (2020-05-10 22:34:09)


ENNOVEN - Redemption

ポーランド産ブラックメタル2014年作
霧に霞む針葉樹林ジャケが印象的な、東欧の教科書通りの森林崇拝独りブラックだ。
Spirits、Etherenal Winter、Of the ice、Rebornの4曲を収録、曲タイトルがいかにもな感じでステキだ。
リリースから6年経っているのにYouTubeの再生回数が2800回程度で相当無名なバンドなんだろうがハイクオリティだ。
霧を思わせる高めの湿度で、ややポストブラック的な尖ったギターパートがメインだがアコースティックギターも織り交ぜ、
最高の雰囲気の演奏に、森全体に響き渡るような濃厚なエフェクトがかかったカオティックなヴォーカルが絡むスタイルが美しい。
ブラストが無いのは好みが分かれるところだが、ボクはこの控えめさが気に入っている。トレモロリフを多用する感じの曲もあるが
アトモスフェアな空間に割と単音の旋律が響き渡る作風なので、控えめなドラムの方がムーディで良い。
こういうスタイルの作品は結構数多くあると思うし、抜きんでた個性があるとも言えないが、オーソドックスでもイイものはイイ。
小雨で薄く霧が出ている日に林道をマイカーでドライブしながら車中で聴くと、バッチリとハマりそうなサウンドだ。

kamiko! ★★★ (2020-07-08 20:52:10)


EORONT - Gods Have No Home

ロシア産ブラックメタル2020年作
処女作Neverending Journey(2013年作・未所持)は当時購入を悩んで何度か試聴した程度の知識しかないが、真面目でストレートなシンフォニックブラックだ。
通算4作目にあたる今作を発見し、処女作からどれだけ変化したか試聴してみたところ、想像以上のクオリティの高さから、ゲットしてみた。
また、購入検討中に、前作Another Realm(2017年作・未所持)とも比較してみたが、前作の自然崇拝的テーマと雰囲気が、更に円熟したような完成度を感じるところだ。
適度なザラザラ感のあるギター、トレモロリフで疾走するパートとミドルテンポを織り交ぜたオーソドックスなシンフォニックブラックだが、妙に惹きつけられるモノがある。
このバンドはFoltath Eternumという人物を中心としたバンドで、ギター・ヴォーカル・シンセ・プログラミングを担当している。しかし、今作クオリティの底上げを
している大きな要因は、ボクが一目置くバンドAlleyのギタリストEgor Moskvichevがアコースティックギターとサウンドアレンジで参加しているところじゃないかと思う。
また、このサウンドのコンセプトとして、ウクライナ出身の詩人Maximilian Voloshinの詩を歌詞に採用しているようだ。まあ、その詩を翻訳する気にはならないが
ロシアの史実をテーマにしたヒューマニズムに寄った詩人ということと、土着的・神話的な楽曲タイトルから、その世界観を想像しながら聴くのが良い鑑賞方法だ。
このサウンドは自然崇拝ブラック寄りではあっても、霧や森林を感じさせるサウンドとまではいかず、そういう雰囲気を仄かに漂わせたオーソドックスな音響で
霧の雰囲気を残響音で誇張させる感じは無く、低音部分もしっかり聴こえるところはむしろ好感触。純粋に刺激的なブラックメタル様式の演奏と音作りが魅力だ。
更に、Egor Moskvichevのアコギの存在感が程よいスパイスとなっている上、彼の持ち味である非メタル的なシットリした雰囲気が見事に融合されている。
ちなみにFoltath Eternumのサイドプロジェクトと思われるFrozenwoodsというバンド作品の方が自然崇拝度は高い。が、こちらはまた一口で語り尽くせない音楽性で
一般的な自然崇拝ブラックとはまた一線を画す作風だ。たぶん、無名なんでしょうが、ここのところ、彼の作品、関連あるアーティストの作品に注目しているところだ。

kamiko! ★★★ (2021-01-22 00:50:38)


EYELESS IN GAZA - Act I: The Protagonist

アルメニア産フューネラルドゥーム2020年作
Eyeless In Gazaといえば40年選手の英国ポストパンクバンドが思い浮かぶ。少なからず影響があるのかと思ったが真逆の音楽性であり
恐らくEyeless In Gazaの小説からバンド名を引用しているのだろう。この小説を読む気にはならないが、戦争・友人の自殺・神秘主義がテーマにあり
主人公の生涯を4つの期間に分けて語られるストーリーのようだ。「Act Ⅰ」というアルバムタイトルからも、この章立てた小説の序章という感じなのかも。
1曲目のタイトルを直訳すれば「主人公」だ。ラスト曲のタイトルは恐らくヨーロッパの詩を意味するのだろう。次作は「Act Ⅱ」を作ろうと思ってるのかも知れない。
モノクロ顔写真ジャケは、この小説の主人公なのだろう。大作主義の楽曲や、続編を予感させる雰囲気からも、大長編な壮大なコンセプトが感じられる。
そういう世界観を思い描きながら聴くとバッチリとフィットする音楽性である。神秘主義を象徴するようなアトモスフェアなシンセが支配する音空間に
クラシックギターの質感に近いアコギ、歪んだギター、ブラック寄りヴォーカルが絡み合うサウンドだ。楽曲はなかなか作り込まれておりグッドだ。
各々の楽器の音素材・エフェクトは良いが、録音時点でクリアな音質が損なわれているところが正直残念なところだ。アトモスフェアな響きを楽しむ作品だけに
ここで失敗しているところが若干頂けない。音質の劣化を感じさせる録音は大きな課題だ。また、同系メランコリックドゥーム群と比較して思うのは
鬱々とした雰囲気ではあるものの、その旋律から感じられる感情は「不憫」「憐み」といった、悲しすぎる感覚だ。まあ、人生残念サウンドなんだからいいんだけど
どうも悲愴感が濃すぎて、コレを何度も繰り返し愛聴しよう、というところには行き着かなかった。小説のコンセプトに沿ったサウンドという点ではアリなんだろうが。
ダメ出ししたが、大作主義の楽曲自体は相当な聴き応えがある上、3曲目あたりはかなりアヴァンギャルドな曲構成である。やろうとしていることが壮大で挑戦的だ。
次作で録音状態の問題を解消して欲しい。辺境バンドによる一大コンセプト作品なので、次作以降もチェックしようと思っているし、是非とも応援したい。

kamiko! ★★ (2020-11-14 00:54:36)


FATHER BEFOULED - Revulsion of Seraphic Grace

米産デスメタル2012年作。
低く唸る下水道ヴォイスは王道で、クールで派手さがなく、とても心地よい重低音ヴォイスだ。
ドゥーミーなパートのドラムの質感や、ネットリ感あるギターの音、更にそこから爆発的にテンポアップする感じや・・・
ギターソロの音の運びなどが、大御所Autopsyの質感にとても近く、オールドスクールデスメタラーのツボをやたらつきまくる。
これ以降にも作品をリリースしているのをさっき知ったが、一聴した感じ、このAutopsy的質感はこのアルバムが最も色濃い。

kamiko! ★★★ (2020-05-10 22:57:38)


GRIM RAVINE - It's a Long Way Down, to Where You Are

英国産スラッジ・ドゥーム2020年作
訳すとバンド名は「厳しい渓谷」、アルバムタイトルは「あなたのいる場所までの長い道のり」という感じかな。
バンド名の通り、不毛な土地、過去の崩壊、塵と化す大地といったテーマの曲が鈍重なスラッジ・ドゥームで描かれる。
やや楽曲が弱いかなぁ・・と思いつつも繰り返し聴いていると、結構ハマってしまった。このサウンドは曲展開の妙を
期待するのではなく、沈むような遅さ、掻き毟るような閉塞的な質感を持つ歪んだギターで構成される冷たい音世界に
ひたすら没頭することで、人が立ち入ることができない渓谷をイメージしながらその世界に浸るのが良い楽しみ方だ。
引き摺るような重量感あるギターが最大の魅力ではあるが、砂利が飛び散るかのようなノイズ、吐き出すようなヴォーカル
ハウリングを効果的に使用したり、低周波を際立たせるベースのエフェクトが登場したりなど、聴きどころ満載だ。
万人向けではない上級者向けドゥームかも知れないが、鈍重なノイズサウンドが得意な人は是非体験して欲しい。

kamiko! ★★★ (2020-07-12 20:58:10)


GRIMIRG - From the Barren Womb of Night

フィンランド産フューネラルドゥーム2020年作
この作品がこのバンド初体験。今年は良作フューネラルドゥームが結構多いが、そんな中でも特にイチオシしたい作品だ。
余計なオカズは一切無し、淡々とスローに4ビートを刻む飾りっ気の無いドラムと、ロングトーンを垂れ流すのが基本のギターによる
真性度の高い真っ黒カルトドゥームだ。スピードによる緩急のような茶目っ気や、無駄に凄みを効かせるコマーシャルな一面も皆無。
また、厚めの音像でヘヴィに圧死させるタイプでもなく、重量感はそんなに無い。劇的に展開する楽曲でもなく、地味な展開を見せる楽曲。
そんな楽曲群が4曲、ボーナストラック3曲で構成される作品。そんな苦行のような音楽性でありながら、惹き込まれると抜け出せない。
森で黒装束を着た人物が松明を持っているジャケだが、暗闇の中で粛々とアヤシゲな儀式を行っているかのようなサウンドが魅力だ。
このサウンドの最も素晴らしいところは、ギターの適度な歪みと絶妙な空間系エフェクトに職人気質を感じるところだ。相当レベルが高い。
そんな音作りの妙に中毒性があるが故に、余計な音数の無い、サステイン部分をしっかりと聴かせるスローな楽曲が、むしろ素晴らしいのだ。
過去作品を調べると、MMXV-I(2015年作)あたりでは、よりアンビエント色が強く、シンセと女声を絶妙に導入した、この作品とはまた趣きの
異なる素晴らしい作品だった。そういう作品を経ているだけあって、ギターエフェクトや空間系エフェクトには相当コダワリがあるのだろう。
重量感や激しさで聴かせるタイプではなく、むしろ静かで、カルト色が強く、呪術的なアヤシゲな雰囲気を絶妙な歪み・音響で楽しむ作品だ。
就寝前に明かりを消してじっくりと聴くと、とてもムードがあってイイ。手に入らなくなる前に過去作もちょっとずつ蒐集したい。

kamiko! ★★★ (2020-10-31 19:45:35)


HESPER PAYNE - The Cruel Teeth of Winter

英国産デスドゥーム2020年作
アヴァンギャルドなデスドゥーム路線ではボク的にナンバーワンバンドの昨年末にリリースされたデジタル作品。
タイトルを直訳すると「冬の残酷な歯」だろうか。過去作から植物が変異したモンスター的なテーマが感じられる異質な世界観があるが
この作品においても同様、魔物と化した森の木々が描かれる気持ち悪いモノクロジャケのイメージ通りの気持ち悪ーい音楽が楽しめる。
植物が纏わりつくようなウネリが特徴的なギター、軽快なビート感のようなコマーシャルなモノは皆無の鈍重なドラム、呟くようなヴォイス
鬱蒼とした森に漂う霊的な空気感を醸し出すシンセ、常に不協和なコードで構成される全く爽快感の無い毒々しいカビがわきそうな楽曲。
相変わらず健康を害しそうな日陰の音楽を全力でやっている。デスドゥーム路線ではオンリーワンな個性派で非常にクオリティが高い。
こういうサウンドは雨天でジメジメした日に楽しむと、より不健康で良い。ナマモノが瞬間腐りそうな腐臭・悪い病気に侵されそうな瘴気を
感じながら、まるで自分自身が森の異形に侵食されていく様をイメージしながら鑑賞するのが良い楽しみ方だ。
しかしまたデジタル作品というのがイタイ。フルレングスアルバムを作ってCD化して欲しい。

kamiko! ★★★ (2021-03-02 23:08:07)


INCANTATION - Profane Nexus

米国産デスメタル2017年作
最初にこのバンドをココに登録した頃は、濃厚なアングラ臭・クオリティの高さ・知名度の低さで、どことなく自身の独占欲と優越感を感じつつ
濃厚な魔性・背徳感を楽しんでいた。それももう17年前ですか。恐らく今は日本でも超有名バンドになっているんだろう。
デスメタルバンドの知名度が上がってくると、録音のクオリティがアップし、ローファイ感が抜けてしまい、真性さが半減しがちだが
Incantationに限っては、音質向上しようが、有名になろうが、全く動じることなく濃厚なアンダーグラウンド臭が漂う真性さを維持しているから凄い。
昔はギターソロのようなメロディアス・コマーシャルなモノを一切許さず、ブルータルさを前面に出す激しさと、濃厚なドス黒いドロドロ感に圧倒されたが
そのテイストは長きに渡って保たれており、今作ではブルータル一辺倒ではなく、ドゥーミーテイストも盛り込み、より深みを増した印象だ。
よくMorbid Angelと比較されるが、濃さではIncantationに軍配。ただ、ボクはブルータルに攻められるサウンドは近年はかなり疲れるので
あまり聴くことが無くなった。世界観に関しては、Incantationから分裂した、ここのサイトではあまり比較されることがなかったProfanaticaが双璧
と思っており、音響的にはIncantationの方が圧倒的にクオリティが高いが、まだまだ知名度が低く、濃い世界観で、不器用なProfanaticaの方へ
気持ちが傾いているのが正直なところだ。ただ、ドゥーミーな要素が徐々に増えつつあるIncantationもまだまだ追いかけようと思っている。

kamiko! ★★★ (2020-05-27 12:44:57)


INTAGLIO - Intaglio 15th Anniversary Remix

ロシア産フューネラルドゥーム2020年作
2005年発表の「Intaglio」の再録。原盤は15年前の作品でありながら、フューネラルドゥーム作品中、ボクの順位付けはかなり上位に位置する。
メランコリーを前面に出し、ギタートーンの減衰部分は、ギターの存在感と共にむしろ無音の存在感を感じさせる独創的な作風だ。
スローかつ音を詰め込み過ぎない楽曲のバランスが素晴らしい。また、単調にならない独特なコードワークも魅力、このハーモニーにハマる。
そんな作品の焼き直しだが、ギターの歪み、ドラムのリフなど、若干粗削りだった部分が改善され、間奏部分の尺が変化していたりと
より聴き易くなっている。が、原盤から大きな変化は殆ど無く、15年間聴き続けてきたボクでさえ、よく聴かないと気付かない微妙な変化もある。
何故今更この盤の焼き直しなのかは不明だが、Solitude Productionがこのバンドに力を入れていることは伝わってくる。ちなみに今年は
レーベルの通販サイトで買い物をすると、もれなくこの原盤がオマケでついてくるキャンペーン中で、買い物の度にオマケがついてきて、
ウチには3枚目が届き、15年前にゲットしたものを含め同じ盤が4枚ある。売れ残ってばら撒いているというよりは、タダで配布してでも
聴いてもらいたいという心意気がヒシヒシと伝わってくる。
聴き易く加工したリミックス盤はとても魅力的に聴こえる。しかし、若干無骨さのある原盤もまた魅力的であり、両方ともオススメだ。
ただ、今年は新作を発表するというアナウンスがあったワリに、先行シングル発表後はこのリミックス盤のみで音沙汰が無いのは拍子抜けだ。
ポテンシャルの高いバンドで、ボクのツボど真ん中だけに、リミックスとかは求めてないから、フルレングスの新作を発表して欲しい。

kamiko! ★★★ (2020-12-29 01:45:46)


KHANATE - Clean Hands Go Foul

米産アンビエント・ドローン2009年作(遺作)。
既に解散後に発売、発売から数年後に見つけて、若干今更感を胸に秘めつつもゲットした作品。
しかし、当時Khanateの音楽性に衝撃を受けたリスナーは必ずゲットすべき盤だ。
とはいえ、アンビエントな音空間が占める割合は結構多く、もはやドゥームやスラッジの範疇で語りきれる音楽性ではなく完全にドローン化した作品だ。
ありがちなモノクロの石床ジャケが示す通り、冷たい石床にいる孤独感、空気は冷たく、ヒリヒリとした緊張感が張り詰めている。
そういうアンビエント空間で不安を煽りつつ、絶叫ヴォイスと暴虐的なギターから発せられる重圧と様々な倍音が聴き手を圧し潰す。
たまたまなんだろうが、「遺作」というのもこの冷たい音楽性を際立たせる一因になっている。
真冬にちょっと湿気た重めの冬用掛布団を数枚重ねて聴いてみたい、圧死必至の作品である。

kamiko! ★★★ (2020-05-07 13:43:15)


KHANATE - To Be Cruel

米産アンビエント・ドローン2023年作
解散後、忘れた頃に「遺作」として登場した前作から、更に10年以上経った今、突然リリースされたこの作品。
もはや活動終了したんだろうと思っていたが、地道に活動していたのか、再結成なのか・・・。
ヘヴィさ、というよりは、音響と作風から感じられる圧迫感の強さという点では、ずば抜けたヘヴィさを誇るバンド。
To Be Cruelというアルバムタイトルが示すように、絶叫とタメを利かせた音圧のコラボは、凄惨な残虐性が色濃い。
今作でやっていることは、過去作品の類似作品、延長上の音楽であり、過去作を堪能した人にとっては一聴しただけでは
目新しさはさほど感じない内容だろうと思うが、アンビエントかつ超スローという音楽性で緊張を維持し続ける工夫は
随分とレベルアップした、と感じさせる。そもそも圧の高いアンビエントドローン的ドゥーム作品自体が稀少なワケでして
そっち方面のマニアックなファンは、必ずゲットしなければいけない盤だ。
KHANATEの持ち味は、歪んだ図太い重低音ベース&破壊力抜群のギター&じっくり力を溜めたドラム、この三者の同時ストローク
により、巨大な重量級の石で圧し潰されるような感覚に陥るところと、石を落とされるまでの無音・タメ部分のヒリヒリとした
緊張感である。また、そもそも即興演奏ではないだろうが、コード進行やハーモニーが全く排除された感じから、まるで
即興的にやっているように聴こえるところも魅力のひとつだ。
大作主義でありながら、没入度は高い。その上、昔、KHANATEにハマった時期のノスタルジーが蘇る。このバンド登場時期は
重量感は圧倒的にナンバーワンで、ボクにとってはレジェンドなバンドである。前作(遺作)から再び息を吹き返して帰ってきた。
当時ココの掲示板で語り合った人たちは今もココを見てるのかな。コレは「必聴盤」だぞ。

kamiko! ★★★ (2023-11-04 20:39:32)


LAST DAYS OF HUMANITY - Putrefaction in Progress

オランダ産ゴアグラインド2006年作
このバンドの作品は前作とコレが必聴盤。この盤でヴォーカルがチェンジしており、前作で大きな魅力を放っていた下水道ヴォイスが変化。
グシャッとした胃液ゴボゴボヴォイスになっている。コレはコレで、このサウンドの肉をミンチにするようなブラストにフィットしている。
全く曲の見分けがつかないブラストメインの1分以下の曲40曲に、ラスト3分越えのブラスト一色という曲で終了という、ブラスト地獄サウンドが魅力だ。
仕事帰りのマイカーで聴いていると、スーパーに寄ってミンチを買いたい衝動に駆られ、大抵その日の晩ご飯はハンバーグだ!
10年以上経った今でも、このバンドの衝撃を超えるゴアグラインドには出会っていない。どこを切っても同じサウンドなのに、未だにたまーに聴いている。

kamiko! ★★★ (2020-05-16 00:14:53)


LEVIATHAN - Tentacles of Whorror

米産フュネラルブラック。
同レーベル発XASTHURに近いノルウェイジャンスタイルだが、高速ブラストやスローパートもあり、よりアヴァンギャルドな作風。
アコギやアトモスフェアなSE、凄みを増すヴォイスエフェクトなどの様々な工夫があり、更に画一的にならない非常に練られたアヴァンギャルドな楽曲がツボ突きまくりだ。
全体に漂う湿度高めなジメジメ感と鬱蒼とした雰囲気はスゴイ。
霧がかったようなシンセと深めの残響音を駆使しているので不穏な空気が漂っている。
特にエフェクトの拘りを感じる作品で、霧の立ち込めた大海原を感じさせる叙情的な雰囲気、悲しみに満ちた荒廃的な感じが素晴らしい。
ジャケのアートワークもシュールで、同型陰鬱系ブラックの中では一歩上を行っている個性と世界観が素晴らしい。
決して他では体験できない素晴らしい盤、米国産が決して北欧に敵わないというワケではない、ということを知らしめる作品だ。
ヴォーカルスタイルとアコギの使い方がCORONERにも似たインテリジェンスさを漂わせているところもポイント高い。
ファストブラックよりアンビエントにシフトしたマニア向けブラックだがブラックファンは必聴盤だと思う。
これほど完成された世界観を持つブラックというのもなかなか出会うことがナイね。

Kamiko ★★ (2006-10-21 17:37:00)


LUGUBRUM - De ware hond

ベルギー産アヴァンギャルドブラック2007年作
強い魔性を感じさせ、かつ不吉な、タブーに触れたような背徳感が漂っている。かなりの異端作品だがブラック的世界観ではこの作品が真性で濃い。
Lugubrumは様々な引出しがあって、アルバムによって多様な世界観を感じることができるが、純粋にブラック的狂気に浸るにはこのアルバムがベストだ。
ギターは超ハイセンス且つあらゆる奏法を駆使し不気味な旋律を奏でる。ラッパがジョンゾーンのサックスのように荒れ狂い、狂人のようなヴォーカルが毒を吐く。
バンドネオン・オルガン的な音が密かに響いており、古臭さ、埃っぽさ、田舎臭さを感じさせ、まるで誰も知らない村の教会で異教徒が呪術を施しているかのよう。
ちなみに、この作品では、食べ物の腐ったような腐臭は感じられず、限りなく黒い。
もうね、このアルバムは狂ってるよ。

kamiko! ★★★ (2020-05-03 00:51:36)


LUGUBRUM - albino de Congo

ベルギー産ブラック2008年作。
不穏さを感じさせないアルバムジャケに不安を感じながらも、いざ聴いてみるとその不安は一蹴。
もはやこのジャンルではボクの中ではナンバーワンのバンドですわ。
演奏技術に裏づけられた複雑で技巧的な楽曲は相変わらず素晴らしいです。
なんといっても、このバンドの特徴は、不穏で醜悪な空気と知的さが同居しているところだ。
蛮族が崇める魔性のような感覚は以前から感じられたが、アートワークやタイトルからその感触が明確に理解できるところからも、聴き手にとってその感覚は更に強まった。
速度や重圧の激しさで聴かせるのではなく、SEや残響・呪術的なヴォイス、ざらついたギターの不協和、不思議なベースラインなどの独創的な個性が前面に出ているから好きだ。
強力な異端作品で人を選ぶ。激しいブラックが聴きたい人は敬遠して正解だが、ブラックに潜む神秘性や魔性に共感する人は必聴盤だと思う。
ブラックの多くは北欧的だが、このバンドは南半球の空気があるのが特徴。
この作品はその特色がより明確に現れており、そういう世界をブラックメタルの手法でアヴァンギャルドに料理した、稀少で、より想像力を掻き立てる奥深い作品だ。

Kamiko ★★ (2008-11-17 21:51:00)


MIZMOR - Yodh: Live at Roadburn 2018

米産ドローン・ブラック寄りドゥーム2018年作
最近ローランDEATH氏が猛プッシュして書き込みしてるので、是非ゲットしてみようと思いあちこち探したんですが
スタジオ盤は海外から輸入しないと無理っぽく、しかもこのコロナ騒ぎでいつ届くやら・・というワケで
唯一このライブ音源が日本のショップ(しかもアマゾン)で簡単にゲットできた。ここ数日コレを楽しんでいる。
基本ドゥーム作品のライブ盤は好まないのだが、この盤はまるでスタジオで万全の体制で録ったかのような素晴らしいクオリティだ。
まあ、演奏が終わった時の拍手とかが余計なんだけどね。いずれスタジオ盤をゲットしたいところだ。
トレモロリフを織り交ぜながらも鈍重な沈み込むような遅さ、重低音が魅力。ここまでテンポダウンしてくれると激しい音でも聴きやすい。
疾走するパートもあるが、ブラックメタルに慣れた耳であれば、とても心地良い。というか、そもそもジャリジャリ感あるギターと
絶叫するヴォーカル、疾走時の割れ気味なドラムの質感は、むしろブラックメタルリスナー向けのスタイルだ。
歪みやハウリング、スクラッチを効果的に聴かせるドローン的演奏に、激しくも擦れ気味のヴォーカルが響き渡る音空間が絶品だ。
このカオティックな音空間は、ハマれば癖になる。ビニールにカオを押し付けたようなジャケが意味不明だが、コレはYodh(2016年作)の
顔オブジェをビニールに押しつけてみました的なデザインなんでしょうね。

kamiko! ★★★ (2020-07-08 01:43:25)


MONASTERIUM - Cold Are the Graves

ポーランド産ドゥームメタル2022年作
ドゥーム寄りの正統派で飾りの少ない音楽性、前作から大きく音楽性は変化していないが、何故か魅力タップリなサウンド。
ヴィブラートを利かせたクリーンな声で歌い上げる、CandlemassのMessiah Marcolinを彷彿させるヴォーカルが魅力だ。
Solitude Aeturnus路線を真面目にやっているバンドも年々少なくなっていると感じるので、このバンドの存在は結構貴重だ。
とはいっても、ドラムの手数が少な目でSolitude Aeturnusよりもヘヴィさ控えめ、雰囲気はSanctuaryのInto the Mirror Blackに近いかも。
海外の反応は微妙な感じで、高評価ではなさそうだ。新時代要素皆無の化石ミドルテンポメタルは今の時代ではウケない、ということか。
ギターの音像もオーソドックス、速弾きは無い、ヘヴィさもそこそこ、特に際立った個性は無く従来メタルバンドあるあるの再現とも言えるが
何故かこのバンドのサウンドはボクのツボをものすごーく刺激する。全体的に90年代ミドルテンポメタルの雰囲気があるからだろう。
際立ったキラーチューンのない佳作揃いな盤だが、過剰演出がない頑固な生真面目なリフと、時折挿入されるアコギの仄かな哀愁で
曲が構成されており、激しさが希薄で地味な音楽性がむしろインテリジェンス。没入度は高めだ。
普段は毒気の多い音楽を多く聴くものの、実はこういう地味目なミドルテンポな過剰演出のないメタルの方が賞味期限が長いんだよ。

kamiko! ★★★ (2023-11-05 06:15:16)


MORAST - Il nostro silenzio

ドイツ産ブラック寄りドゥーム2019年作
ブラックメタルとドゥームメタルの丁度中間といった音楽性で、ドゥーミーだが結構ドラムは騒々しい。
ジャリジャリ感のあるギターの質感でドゥーミーなサウンドを聴きたいリスナーにとってはツボにハマるかも知れない。
ドゥーミーとは言っても、テンポはそこまで遅くない。一部超スローな曲調はあるもののミドルテンポ主体の楽曲群だ。
ボクとしては、ツーバスでドコドコするのが余計だなぁ・・と感じるが、そこをガマンすれば充分聴ける素晴らしい音。
重低音かつ録音がいいので、重量感を堪能したいリスナーにも打って付けだろう。
少なくとも、オーソドックスなブラックやドゥーム路線ではなく、双方の質感をうまく融合した音響的にかなり好みの音だ。
ただ、そういう音楽性でありながら、録音が良すぎるからか、アングラ臭があまり感じられないのが残念なところだ。
ドラムの抜けの良さとビートを刻む感じの演奏、メロディに乗せて歌う感じが、真性さを損なう要因になっていると思わせるのが惜しい。
そういう理由で、完成度も高くかなり濃い音楽でありながら、好きな音だけにもう一押しホンモノ感を底上げして欲しいと思わせる。
ダメ出ししたが、コレは完成度の高い作品。ボク的にはドラムの音数を半分にしてツーバスを排除、テンポをもうちょっと落としてくれたら
額に入れて飾りたいほどの神盤になっていただろうと思う。ホント惜しい、もったいない。次作は必ずゲットしたいと思わせる盤だ。

kamiko! ★★★ (2020-07-04 01:43:31)


MORBID ANGEL - Gateways to Annihilation

これ以上に無く驚異的な2バス、邪悪とか凄まじいとかを通り越してむしろ甘味な程美しいトレイとエリックのギター、孤高のおぞましい世界観を堂々と威厳そのものな声で歌い上げるスティーブ。
アルバムの最後には何にも代え難い至福の時間が過ぎていった事に気付く。
天に昇っていく感じか。

ぬりかべメヒコっこ ★★ (2005-04-03 00:50:00)


MORBID ANGEL - Gateways to Annihilation

スロー、ミドルテンポが多いというので敬遠していたんですが、
実際はなんでもっと早く買わなかったんだろうと後悔した作品。

まず楽曲がとてつもなく邪悪です。
邪悪さはブラックメタルの特権みたいに思っていましたが、
ここまで邪悪で荘厳なアルバムはなかなかないでしょう。

まずギターリフが物凄くカッコイイです。
ゾクゾクするような邪悪荘厳リフで覆い尽くされています。

ピートのドラムは基本はスローなものの、ツーバスはかなり速いです。
結構踏んでいる頻度も多いです。
また、ここぞという時に炸裂させる爆裂ブラストビートは圧巻の一言。
スネアの音が軽いのが残念ですが、非常にイイドラミングしてます。

ヴォーカルのスティーブはデイヴィッドの威厳ある咆哮と似て非なる
強烈な咆哮デスを聴かせてくれます。
スティーブの方がより人間離れした魔獣のような感じでしょうか。

スラミングデスとはまた違うドゥーミーな感覚がたまらない
邪悪デスメタルの冥盤!

GOD ★★★ (2012-01-25 01:23:09)


MOURNFUL CONGREGATION - The Book of Kings

オージー産フューネラルドゥーム2011作。
この作品以降、2作品のアルバムを発表しているが、それを含め、このジャンルではレジェンドになりつつあると感じる今日この頃だ。
重厚なギターと唸るようなヴォイスの密度が、初期作品から更に際立ち、凄みという点で深化している。
仄かな光を感じさせる、メランコリックさがスパイスとなっている作風がこのバンドの個性で、今作も鬱々とした気分に浸れる。
とりあえず、フューネラルドゥームというジャンルのど真ん中、スタンダードに位置していることは間違いない。
とはいえ、近年では、米露産・北欧産のフューネラルドゥームバンドが量産され、その多くが凡作ながら、一部良質バンドが出始めている。
特にロシアではこのバンドをお手本にしたかのようなバンド群が量産されているなぁ、と感じる。
この作品発売当時は、このバンドがマイフェイバリットNo.1だったが、近年は少しずつ自分の中で順位が下がりつつあるのが正直なところだが
このバンド特有のメランコリックさを武器に、オージー産代表フューネラルドゥームとしてレジェンドな存在であり続けてほしいと思う。

kamiko! ★★★ (2020-05-01 01:20:20)


MURKRAT - Drudging the Mire

オーストラリア産ドゥームメタル2011年作
一応ドゥームメタルとしたが、メタル要素が控えめになり、オルガンドゥーム色を前面に出した作品だ。
前作ほどイタいジャケではないが、まあ、子どものような物体が描かれるジャケからは不穏な空気が。
メタルサウンドとしてはオススメできないが、底辺のドゥームを求める人には、まあオススメできる。
世界への絶望と、鬱々とした内省的なコンセプト、そこに子どもの誕生が絡んでくる世界観は相当イタイ。
フェミニズムと人類への憎悪を感じるこの生理的気持ち悪さが、この作品の唯一性でして
ドゥームというジャンルの作品の中では、群を抜いてドゥーム度が高い真性さを帯びた作品なのだ。
この世界観に没頭できる人にとっては、この盤は神盤になるだろうし、生理的に拒絶感を感じる人は
ゴミ以下の、音楽自体を冒涜していると感じてもおかしくない最低の盤、という評価になりそうだ。
ボクは結構この盤は購入当時は聴いたが、好きかと言われると結構微妙。
オルガンを前面に出し、終始スローな展開。ワリと苦行ドゥームフリーク向け。
ただ、急展開する箇所が僅かにあり、そこが聴きどころでして、静から豹変するような女声ヴォーカルに狂気が感じられる。
思想的に良い悪いは別にして、世界観の唯一性というレア度の高さと、このテの思想家が何を思っているのかの資料
としての興味、という点で一応★3という評価にしてみた。

kamiko! ★★★ (2023-10-31 20:13:07)


MURKRAT - Murkrat

オーストラリア産ドゥームメタル2008年作
Mandy Andersen含む2人の女性メンバーによるドゥーム作品だが・・・保有するドゥームの中でもかなり濃い強烈な作品。
3曲のドゥーム曲に加え、Murky Ratmass(2007年)のデモ5曲が収録されている。
モノクロジャケではお手伝いさんのような女性が剃刀を振り上げ、ベッドに押さえつけている赤ちゃんの耳から出血している。
床にはネズミが6匹ほど描かれている。かなーりイタイ醜悪な世界観をお持ちである。赤ちゃんにオイタをするジャケだけならまだしも
(いや・・充分ヒドいが)インナーのイラストは更に醜悪で完全にイってしまわれている。
この人自身がフェミニストであると公言している記事を随分昔に読んだことがあるが、現在でも閲覧できる動画からはむしろ
ミサンドリーあるいは極度なミサントロープと言われても仕方がない程の、強い負の感情が伝わってくる。
同郷ドゥームバンドThe Slow Deathにも参加している。こちらもワリと底辺な世界観のバンドだが、Murkratの方が輪をかけて底辺。
また、詳細は書かないが、独特な政治信条をどうやらお持ちのようなので、それが色濃く作品に反映されているなぁと感じる。
その上、アンチクライスト・既存宗教へ冒涜的なオーラも漂うので、ものすごーく背徳的な危険臭がする作品だ。
メインヴォーカル、ギター、鍵盤もイケるマルチプレイヤーで、特に歌はドゥームでは珍しくかなりウマい女声ヴォーカルである。
しかし、何故か、よくある魔女ドゥームの雰囲気は微塵も感じられず、内省的で、絶望的で、とても後ろ向きなオーラが漂っている。
ギターの音に中毒性があり、演奏はウマいので、音響的なところではドゥームファンから一定の支持を集めていたと思うが
一般的には結構な酷評を受けていた印象。まあ、毒の強い世界観が原因で、気軽に楽しめる雰囲気が全く無いからだろうね。
この世界観はDiamandaGalasの描くダークサイドなパフォーマンスがとても近い位置にあると、ボク的には感じるところが多々ある。
とにかく真性で底辺を感じたい人にはお勧めですが、ちょっと毒の強い上級者向けです。ただ、この人の描く世界観を無視
できるリスナーであれば、普通に渋いドゥームメタルとして楽しめるかも知れない。
バンド活動始動が高校時代らしいので、計算するとたぶんこの作品が発表された時にはMandyは20代後半じゃないかと思う。
もっと明るく健全な20代を過ごせばいいのに・・と思う。
また、中東が混乱してきてる今の社会情勢にバッチリとハマるBGMがコレで、そのテの報道を観るとこのバンドが頭をよぎります。

kamiko! ★★★ (2023-10-20 11:21:49)


NORILSK - Weepers of the Land

カナダ産ドゥームメタル2018年作
雪山ジャケとバンド名がロシアの都市名というところに惹かれ、ロシア産ドゥームかと思ってゲットしたが、カナダの2人組バンドだった。
ロシアの都市名をバンド名にするのが流行ってるのか、ボクの知る限り、フィンランド産ドゥームKYPCKとカナダ産スラッジのAstrakhanが
バンド名にロシアの都市名を採用している。寒々としたドゥームのイメージがきっとフィットしたんだろうね。
Norilskという都市がどんな所なのか、このバンドがこの都市についてテーマにしているのかは不明だが、少なくともこの土地をイメージ
しているのは過去2作品と今作のジャケからなんとなくわかる。歌詞を訳してどんなテーマなのか調べてみようと思ったところ
一部フランス語で歌われている曲があることがわかった。歌詞からNorilskの地について歌っているんだろうなということはわかったが
カナダ人がロシアの地をフランス語で歌うことの意味はさっぱり理解できないままだ。まあ、それはそれで良し。
そもそもこのサウンドは試聴した瞬間にゲットしただけあって、ボクのツボにはドストライクだ。雪山を感じさせる、仄かにヴィンテージ臭
のするサウンド、かつ、ヴォーカルはドロドロと低音で歌ったりブラックメタル的なガナリ声で歌ったりする。
楽曲はスローからミドルテンポ主体で、一聴すると非常に地味で淡々としたサウンドに聴こえるが、コレが慣れてくると深い味わいにハマってしまう。
寒さを感じさせる哀愁がほんのり漂う旋律、氷のザクザク感がステキなギターのキザミ、叩き過ぎないクールなドラム、なかなか良い仕事をしてるベース
ナマ音に近いアコースティックなパートを織り交ぜるなど、一口では語れないとても奥深い味わいがある。きっと万人受けはしない、上級者向けドゥームだ。

kamiko! ★★★ (2020-08-11 23:03:57)


NORTT - Galgenfrist

デンマーク産アトモスフェア・フューネラルドゥーム2008年作
濃厚に深い残響音にブラックの質感を持つ分厚いノイジーなギターが響き渡る作風の独りフューネラルドゥーム。
ジャケの真っ黒で液体が流れるようなバンドロゴから思い浮かぶそのままの、かなーり暗い、寂しく、怖くなるサウンドだ。
ここまでイってしまわれている人生残念サウンドだと、独りでこのサウンドを作っているアーティストの安否を気遣いたくなる。
ギター等の魅力よりも、空間を支配するヒリヒリとした緊張や、ノイズの倍音が響き渡る様を楽しむといったダークアンビエント色が強く
判りやすい世界観ながら、聴き手を選ぶ上級者向けで、アンビエントサウンドが得意でないと厳しいかもしれない。

kamiko! ★★★ (2020-05-15 01:54:17)


OSSUARIUM - Living Tomb

米国産オールドスクールデスメタル2019年作
水に浸かった石造りの墓所のような廃墟のジャケ、裏ジャケは墓地に立つバンドメンバーのモノクロ写真。
「Living Tomb」というアルバムタイトルなどから、オールドスクールデスど真ん中の予感がしてゲットした作品。
適度にドゥーミーなテンポで、ブラスト等スピードや勢いに頼ることなく、湿気と霧を感じさせる雰囲気が素晴らしい。
ギターは血糊を思わせるザックリ感のあるリフを刻み、アヤシげな気持ち悪いギターソロを奏でる。
特にズトボコなドラムがいかにも80~90年代のB級デスメタルテイストで、とても良い仕事をしている。
ジメジメ、ドロドロ感がやたらツボにハマり、オールドファン納得の味わいが楽しめる、オールドスクール王道デスメタルだ!
この時代にこういう音を追求するバンドに出会えることは滅多になく、運よくジャケ買いでゲットできてホントにラッキーだった。
この作品は処女作でありながら、楽曲クオリティが高く、ハイテクではないが、B級デスマニアが喜びそうな非常に味のある演奏をする。
メンバーの経歴を調べてみたが、ギタリストは他に在籍していたバンド情報など見つからず経歴は不明。
ドラムはTrollという、これまた非常に味わい深いバンドに在籍していたようだ。その盤も素晴らしいので、また近々レビューしたい。

kamiko! ★★★ (2020-05-26 00:53:02)


PALE DIVINE - Consequence of Time

米産ヴィンテージドゥーム2020年作
昔から70年代ヴィンテージドゥームロックを意識し、結構渋味あるオールドファン向けの古典ロックを追求している感のある彼ら。
ツインギターヴォーカルというスタイルで、一方はメインヴォーカルでたまにハモるという感じなんだが、昔はそのヴォーカル部分が
若干弱いな、と感じていた。また、結構作品をコンスタントにリリースしているが、ヴィンテージ臭ある古典的な作風の魅力に反して
ギターの音自体は、盤ごとに試行錯誤が見えた。Painted Windows Black(2012年作)あたりではヘヴィなギターが若干煩わしさを
感じさせて、勿体ないなあと思っていた。ただ、自身のバンド名をタイトルにした次作Pale Divine(2018年作)でギターが若干改善。
とはいえ、ボクとしてはもう一押し欲しいと思わせる盤だった。曲も演奏も完璧なんだが、無駄に凄みを効かせる不自然さが邪魔に思えた。
楽曲が素晴らしい上、ヴィンテージドゥームらしい渋味を常に宿しているので、どの盤でも安定のクオリティだが、ハマって聴き続けた
作品というのもあまりなかった。トップクラスの味わいを持つ反面、どこかひとつ難点があり、かつ、年配向け化石ロックのイメージが強すぎる。
そういうイメージも手伝って、マイフェイバリットバンドとまではいかなかったバンドだが、この新作を聴いた瞬間に、不満に感じていた
難点が全て払拭された。コレは今まで培ってきた持ち味を最大限に発揮した、音響的な難点を全て克服した、非の打ち所の無い完璧なサウンドだ。
歪みを抑えたことで、ここにきてギターの音が完成された感がある。70年代的ヴィンテージ臭と迫力あるイーヴルな感じが、これ以上ナイ最適な状態だ。
また、ヴォーカルは無駄な凄みが消えて、最大の持ち味であるロングトーンやハモリ、そして独特のビブラートが相当カッコ良くなっている。
今までヴォーカルの弱さに若干の不満を感じていたが、今作も決して音程がうまく取れているとは言えないにしても、泥臭く、渋味を醸し出しており
大きな魅力に転換しているところが素晴らしい。ホントたまーに登場する高音域が、70年代的空間エフェクトにベストマッチして刺激的だ。、
また、単にPentagramやTroubleあたりのヴィンテージドゥーム的な空気があるだけではなく、作り込まれたハイレベルの楽曲とギターテクニックがスゴイ。
インナーのメンバー写真で、ギターのDana OrttがBlood FarmersのTシャツを着ているが、Blood Farmersほどの生臭さは無いにしても音楽性は非常に近い。
ヴィンテージドゥーム路線で、このバンドがボクの中での順位付けが一気に上がった。この路線が好きなリスナーは、初っ端1曲目を一聴しただけで
きっと、その凄みを思い知ると思う。

kamiko! ★★★ (2020-08-22 22:21:59)


PERSISTENCE IN MOURNING - A Tongue of Bone

英国産フューネラルドゥーム2020年作
Andy Lippoldtという人のドローン寄りインダストリアルドゥームプロジェクト。多くがカセットテープや他バンドとのスプリットなので長く購入を控えていたが
CDでのリリース作品を発見したので即ゲットした。恐らく録音年はもう少し前なんじゃないかなと思う。ちなみにDying in the Darkness(2020年)が最新作
ではないかと思うが、コレはカセットテープでのリリース。底辺の良作ドゥーム作品はカセットテープリリースが多いと感じる今日この頃だ。
人生残念ドゥームは結構多いが、WORSHIPやUNTIL DEATH OVERTAKES MEあたりの、群を抜いて底辺を行く絶望感を漂わせるバンドにはそうそう出会えない。
このバンドはそんなレジェンドに匹敵する底辺サウンドを聴かせてくれる。純然たるドゥームといった感じではなく、結構エクスペリメンタルテイストがある。
叫び・嘆きのようなヴォーカルは、ヴォコーダーを咬ませているような電子処理がされ、鈍重な音像のギターによるドゥームを展開させるが
ナイロン弦の質感があるギターを織り交ぜ、まるでアングラフォーク独特の翳りとも言える残念感をも併せ持つ。録音の残響は万全とは言えないが
冷たい緊張を表現する様々なサウンドスケープ、蠅が飛び交っているかのような醜悪なノイズなどが、サウンドクオリティを随分と底上げしている。
近年のUNTIL DEATH OVERTAKES MEと同様、ビートを排除した楽曲。底辺の残念感を表現するのに軽快なビートは不要だ。
このサウンドからは、焦土と化した全てを喪失したかのような世界、死体すら腐りきったかのような、孤独感と絶望感が感じられる。
上級者向けドゥームだが、限りなく底辺の残念ドゥーム且つインダストリアル風味を盛り込んだ前衛的なドゥームに興味があれば、コレは必聴盤だ。

kamiko! ★★★ (2021-09-15 22:59:52)


PESTILENCE - Hadeon

オランダ産オールドスクールデスメタル2018年作
オリジナルメンバーはPatrick Mameliのみで、それ以外は全員ルーマニア人になっている。
とはいえ、この人がヴォーカル兼リードギター、作曲の大半を行っているので、他メンバーが入れ替わってもあまり問題ない。
しかし、あまりにメンバーチェンジが多いので、ワリとこの人が中心のワンマンバンドなんだろうと感じる。
おまけに、最近は髪の毛を辮髪にしているようだ。
Consuming Impulse(1989年)、Testimony of the Ancients(1991年)と神盤を連発して当時のデスメタルでは
コレを超える作品はナイと個人的にナンバーワンだったが、次作Spheres(1993年)で大々的にシンセを取り入れ若干空振るも
新たな音楽性に向かってチャレンジする独特な音楽性にかなり期待したものだ。が、解散してしまった。
2009年に奇跡的に復活するが、良い頃の持ち味を掻き消すかのようなモダンヘヴィ的なサウンドに何も良さを見出せず
その後2作品もコレジャナイ感が満載なボクとしては残念な作品となり、もう追いかけるのは終了、と思っていたところ、
忘れた頃に突如この作品をリリースですよ。全く期待せずに当時はゲットしたんですが、コレは!!素晴らしい。
本当のところは、神盤2作品の路線を再現して欲しかったんですが、コレはSpheresで新要素を予感させた、その次の作品という
イメージに近い内容だ。もはやバンド名(ペスト・疫病)のイメージとは全く異なるサイバーデスメタル的な作品だ。
とはいえ、決してインダストリアルに音処理がされているのではなく、3rdの頃のギターの音で、楽曲構成でサイバーを思わせる内容だ。
当時の神盤を超えたとまでは言えない内容だが、Patrick Mameliの新たな挑戦を感じさせる音楽性で、特にギターソロがスゴイ。
決して速弾きがスゴイというのではなく、このサイバー世界観を感じさせる摩訶不思議な旋律のギターソロがスゴイのだ。
最初ジャケ裏に書いてある曲名の字体で、コレはもうダメかな、と半ば諦め気分が濃厚だったが、良い意味で予想を裏切られた。
良かった頃のギターの感触が帰ってきた上、新たなサイバー感覚が加わるという、ワクワク感が蘇る作品だった。
Pestilenceが、オールドスクールデスのボク的順位格付けにおいて、大きく再浮上した会心の作品だ。

kamiko! ★★★ (2020-05-31 22:39:41)


PORTAL - Swarth

オーストラリア産アヴァンギャルドブラック2009年作。
ウチにはPortalはこの作品と次作Vexovoidの2枚がある。音像はデスメタルとブラックの中間くらいな音。
猛烈な激しさと音圧が特徴で、派手さがなくクールなスタイルが真性さを醸し出している。
楽曲は複雑な展開を見せ、テンポの緩急がスゴイ。よく演奏が合わせられるなと感心するくらい。
もうとにかく圧倒的な真っ黒サウンドが聴きたい人は、このバンドは避けて通れない。

kamiko! ★★★ (2020-05-10 17:35:03)


PORTAL - Vexovoid

オーストラリア産アヴァンギャルドブラック2013年
ベーシストがチェンジしているみたいだが、音楽性や方向性は変わらず、録音状態が少し向上して、更に迫力を増した。
音像が真っ黒いノイズの塊で、雪崩のように、怒涛のように襲い掛かってくる。
拍子が一定ではなく不規則なので、先が読めない不安感を煽られ、暗黒の渦に放り込まれる。
現在エクストリームサウンドではこのバンドを凌ぐバンドはいないと言えるくらい凄まじい。
ボクには少ししんどい。しかし、最高潮に激しく重くアヴァンギャルドな音楽性を求める人には神盤になるだろう。

kamiko! ★★★ (2020-05-10 17:54:41)


PROFANATICA - Disgusting Blasphemies Against God

米産ブラック2010年作
Incantationのオリジナルメンバーが分裂し、ドラマーのPaul Ledneyにより結成されたバンドだが、Incantationが激しいデスメタル路線で
アンダーグラウンドの帝王になっていった反面、Profanaticaは全く異なるアプローチで存在感に幅をきかせている。
元々分裂したキッカケは、演奏様式の違いというよりは、Paul Ledneyの思想を受け入れられなかったことが原因らしい。
そういうワケでProfanaticaのサウンドは、自身を崇拝し、他宗教に冒涜的な世界観が非常に色濃い。また、古くからあるブラックメタルのメイクや
演奏スタイルを伝統的と言えるほど貫いているように見える。特にドラムはブルータル路線に走ることなく、古典のようなスタイルだと感じる。
アンチクリスチャン度が最高潮のジャケデザイン、カルト臭の濃い世界観、古典的スタイルと禍々しいヘヴィさに魅力がある。
Incantationのような演奏力やカッコ良さはナイ。こちらはIncantation以上にタブーに触れるような背徳感と濃厚なカルト臭があり、そこに惹かれるのだ。

kamiko! ★★★ (2020-05-27 17:03:39)


PROFANATICA - Rotting Incarnation of God

米産ブラック2019年作
ボクが持ってるCDジャケには、レーベルの宣伝文句と思われる文章が書かれたシールが貼ってあるが、日本語訳をすると
「最も卑劣なブラックメタルは、ベテランの王から射精され、彼らの最も邪悪な作品であることを証明するだろう」といった感じか。
レコメンドアーティストとして、Beherit、Mystifier、Blasphemy、Havohejが挙げられている。
ちなみにHavohejはProfanaticaの唯一のオリジナルメンバーであるPaul Ledneyで、そちらでも尊大で自身を崇拝する狂気のサウンドが聴ける。
相変わらず伝統的なブラックメタルのメイクを施し、ジャケやアルバムタイトルから判る通り、卑劣で冒涜的なテーマで、濃いブラックをやっている。
Incantationの分家と思って、このバンドに楽曲や演奏の妙を期待するのは間違い。そもそもそういう魅力のバンドではない。
卓越した演奏技術やヘヴィネスやブラストの刺激を求めるブラックメタラーの方がきっと多いと思うが、
濃厚なカルト臭を前面に出した、こういうスタイルのバンドは、現代のブラックメタルリスナーに果たしてウケるんだろうか、とは思う。
ボクとしては、いつまでもあまり表に出ず、アンダーグラウンド臭を漂わせていて欲しいと思うけどね。

kamiko! ★★★ (2020-05-27 17:38:45)


REENCARNACION - 888 Metal

マイナスとマイナスを掛けてプラスを得んとする安易な手法が微笑ましい。

限りなくゼロに近い正数を得た。

奇盤・珍盤である。

こんなの喜んで聴いているのはローランDEATH氏とKamiko氏と自分だけでしょうね。

アゴ 勇 ★★★ (2020-05-24 16:46:35)


REENCARNACION - 888 Metal

コロンビア産ウルトラメタル1988年作
辺境メタルを漁っていると必ず出くわすのがコレ。メタル文化があるのかと思いつつ、このバンドの作品は2枚ゲットしている。
確かにブラックメタルに聴こえなくもないが、独特な音楽性で、自分たちはウルトラメタルと言っているようだ。
少なくとも、ナマ音に近いギターやドラムのバタバタ感や粗悪な録音状態は、ムーディーに働いているとは言えないが
このバンドが作る曲は、前衛的というよりは、ヘンテコな曲で突拍子もない、破天荒な感じだ。
録音がポンコツなので、ダメ作品と思う人もいるかも知れないが、前衛さが洗練されていないだけでこういう作風は珍しい。
コレがコロンビア情緒なのか、と勘違いしそうだが、単にこのバンドの個性なんだろう。
後期作では、若干脱ブラック的な音で、前衛路線から若干普通になった、と思わせておいて、明らかにメタルから外れたダンサブルな楽曲や
やたらファンキーな楽曲を織り交ぜ、一体どう捉えたらいいのか奇怪な世界観の作品を残しているから、全く引出しの多いバンドだ、と感心する。

kamiko! ★★★ (2020-05-24 17:20:48)


REVELATION OF RAIN - Откровения дождя

ロシア産ドゥームメタル2009年作
ロシア作品を大量大人買いした時に、オマケ的にゲットした経緯もあり、僅かに聴いただけでコンテナ収納お蔵入りになってしまった盤だ。
ゲットしてもはや10年以上経っているが、最近マイカーで改めて聴き直している。モノクロジャケとオーソドックスな音響が地味過ぎて
一聴しただけではなかなかその魅力を理解することができない。空間系エフェクトの広がりが浅めで各パートの一体感が若干欠ける録音だが
それぞれの楽器が出す音自体は、その路線ど真ん中の安定感を備えた硬派な音響・演奏である。
近作よりも淡々としたドゥーム寄りの音楽性だが、曲の構成力は相当優れていると感じるサウンドで、録音状態に慣れることをクリアすれば
その奥深い音楽性を堪能することができるだろう。ただ、際立って目立つ個性は期待しない方が良い。ボクは今現在相当ハマっている。

kamiko! ★★★ (2020-08-01 23:18:51)


RIPPIKOULU - Musta Seremonia

フィンランド産ドゥームメタル1993年作
この作品をタイムリーに体験していれば、かなりショックを受けただろうと思う。残念ながらコレをゲットしたのは2010年にリマスター盤が出て数年後だ。
1993年年頃のフィンランド産ドゥームといえば、まず思い浮かぶのはTHERGOTHONだ。当時はデスメタル全盛、むしろ更にスピード化が加速していた時代に
鈍重で、超スローテンポなメタル、表舞台で活躍するサウンドに比べ逆行するスタイルに某メタル雑誌では低得点を食らい酷評され、ボクのような低得点マニア
は狂喜した。酷評ではあってもレジェンド級のクオリティだった。THERGOTHONはメディアで紹介されたぶん、ドゥームファンには一定の知名度はあったと思う。
しかし、活動時期がほぼ同じ時代であって、同等のレジェンド級クオリティを秘めるRIPPIKOULUは、更に知名度が低く、恐らく当時は地元フィンランドの
一部のドゥームマニアしか知る由が無かったのだろう、と想像する。
2騎の馬上の戦士が描かれるジャケクオリティが相当高いんだが、残念ながらリマスター盤はモノクロジャケである。カラージャケはいくら探してもCDでは
発見できず、購入当時はモノクロリマスターCDでさえ70ドルくらいだった。今は恐らく探せばカラーLPが100ドルくらいで手に入るだろう。
サウンドは、一聴した瞬間、ダウンチューニングが施されたギターの質感に驚愕するだろう。この時代にここまで真性で硬派なギターを奏でるドゥームメタルは
存在していなかった、と思う。また、今でこそ鈍重なドゥームは山ほどいるが、当時はこういう音像で真性なドゥームをやってるバンドは唯一無二の存在だ。
また、このバンドはドゥームメタルスタイルでありながら、ブラストビートを取り入れているところが凄い。普通はドゥームがブラストすると残念感しか無いのに
このバンドはとても理に叶っていると思わせる。
この作品を発表後、中心人物であるギタリストMarko Henrikssonは亡くなり、長く活動を休止していたが、2014年にEPをリリースしている。
ギタリストの存在が大きかったようにも思わせるところがあるが、再び衝撃的な作品を世に出して欲しい。

kamiko! ★★★ (2021-04-14 23:35:39)


RIPPIKOULU - Ulvaja

フィンランド産フューネラルドゥーム2014年作
3曲入りEP、量的にやや物足りなさはあるものの、中心人物だったと思われるギタリスト死亡後、21年のブランクを経て作品を世に出したことに興味惹かれる。
ダウンチューニングを施された重低音、絞り出すような低音デスヴォイス、ノイジーなギターには仰々しいシンセが絡む。いかにもフィンランド産の真性さがある。
唯一のフルレングスアルバムMusta Seremonia(1993年)のレジェンド級の凄まじさを継承しているとは言い難いところはある。それだけギタリストの存在が
大きかったんだろうと、まず感じてしまう。リフで構成する感じとブラストが無くなり、前作のデスメタル的楽曲からアンビエント寄りになっている。
真性さはある程度維持しつつ、スタイルが様変わりしているところは、評価が大きく割れるところだろうと思う。ボクとしては前作のスタイルを維持して欲しかった。
現在活動しているのかどうかわからない。EPをリリースしたということは、まだフルレングスアルバムを世に出す見込みはある、と期待しているところだ。
(といってもリリース後7年経過しているが・・)

kamiko! ★★ (2021-04-14 22:56:54)


SAOR - Forgotten Paths

英国産ブラックメタル2019年作
ペイガニズムに寄ったメタルサウンドに浪漫を感じるボクのツボを突くバンドの作品。ペイガンメタルはロシア、特にスラブ地域の作品を多く愛聴しているが
珍しく英国産で、このバンドはカレドニアメタルと言われているようだ。深く調べると、英国の土地、自然、詩をテーマにしているようだ。
Andy Marshallという人のソロプロジェクトだが、恐らくゲストミュージシャンと共に演奏されている。この人は、自然をメタルに融合することをテーマとして
作品を創っているようだ。そういう志向性があるので、ボクのような森林崇拝系ブラックを愛する者としては、どストライクゾーンなサウンドだ。
但し、多くの森林崇拝ブラックのように、濃い空間エフェクトで霧を表現する類いのサウンドではない。適度な残響音でブラックメタル様式の演奏で突っ走るが
音圧は控えめ、落ち着いた感じである。若干クサめな旋律に土着的な浪漫が宿っている。また、楽曲構成自体に才があるな、と感じさせる。
最近は、土着的なブラックの教科書はコレだ、と感じている。なかなかコレを超える同系ジャンルのバンドには出会えないんだよねぇ。オススメ。

kamiko! ★★★ (2021-08-14 03:05:21)


SEPTIC MIND - Rab

ロシア産フューネラルドゥーム2014年作
一応真っ黒い世界観なのでフューネラルドゥームとしたが、一般に想像するフューネラルドゥームほど速度がそんなに遅くなく、あまり淡々とはしていない。
ロシア語を翻訳する気にならないので歌詞はわからないが、過去作含めたジャケから想像しうる世界観は限りなく絶望的で、人生残念ドゥームだ。
よくある遅ーい垂れ流し系とは一線を画し、ワリと起伏のある曲展開をする。また、ギターは常に何か旋律を奏でており、刻む時はトレモロリフを刻む。
ギターの音作りは結構コダワリを感じ、どちらかというとブラックメタル的質感を持つジャリジャリした硬めの音で、単音で弾くと突き刺さるような感じだ。
曲によっては、ワウを結構多用したり、フランジャー的なギターエフェクト(実際は何のエフェクターかはちょっとわからない)を咬ませたりしている。
大作主義の楽曲だが、長時間淡々と聴かせることで鬱々とした気分にさせるタイプとは若干異なり、楽曲構成力で勝負しており、とても奥深いサウンドだ。
サイケとは異なる独創的なギターエフェクトと職人気質な演奏、複雑に作り込まれた楽曲、張り詰めた緊張を伴うヒリヒリした感触など、完成度は非常に高い。
その分、コレを聴くには集中力が必要で、フルで聴くと相当疲労感を伴う。ボクは疲れている時にはとてもしんどくて聴けない。
疲れることが判っているからCDを手に取ってプレイヤーに入れるまでにスタミナを消費してしまう。そんな音だが、この盤はドゥームフリークは必聴盤だ。
しっかりと体力が温存されている時に、腰を据えて聴きたい、相当聴き応えのあるサウンドだ。

kamiko! ★★★ (2020-06-22 01:50:01)


SERPENTCULT - Raised by Wolves

ベルギー産ドゥームメタル2011年作
前作のWeight of Light(2008年作)でMichelle Noconの女声ヴォーカルがクローズアップされがちな印象だが、この作品では脱退している。
濃密なドゥームサウンドをバックにキュートな女声ヴォーカル乗る魔女サウンドもいいが、このバンドの最大の魅力はそこではないとボクは思う。
このバンドの前身、Thee Plague of Gentlemenの鈍重で濃密な真性ドゥームサウンドに一時期ハマったことがあるが、そのヘヴィネスを継承した
演奏にこそ魅力がある。海外レヴューを翻訳すると、どうもichelle Noconが脱退したこの盤は過小評価されがちな感じだが、ボクは前作とではなく
Thee Plague of Gentlemen時代のサウンドと比較してしまう。純粋にドゥーム・スラッジ的濃さではThee Plague of Gentlemenに軍配が上がるが
当時のストレートなサウンドから更なる進化を志向している雰囲気が感じられるこの盤は、ボクのツボに結構ハマる。
この人たちの演奏は、ヘヴィでカオティックで、ファズの効いたギターノイズのザラつきや粘っこさ、無駄の無いタイトなドラムなど、
純粋に音響的な魅力が詰まっている。わかりやすい個性である「女声」を失ってしまったが、もっと評価されるべきサウンドだと感じる。
この盤をラストに全く音沙汰が無いのが残念だ。

kamiko! ★★★ (2020-07-27 22:53:26)


SKYFOREST - Unity

ロシア産シンフォニックブラック2016年作
随分前から欲しい欲しいと思いつつも、あまり高評価ではない世間評と金欠から購入を躊躇していたが、先にゲットした「A New Dawn」(2020年)の
素晴らしさに惚れてしまい、ついにこの作品もゲットしてしまった。相変わらずロシアからの空輸は時間がかかる、随分待たされたが、待った甲斐があった。
森&鳥ジャケフェチにとってどストライクな、水彩画調の、夕焼けに染まる山々、湖から飛び立とうとしている巨大鶴の美しいジャケから
どんな森ファンタジーなサウンドを聴かせてくれるんだろうというワクワク感と興奮が芽生える。盤には夜空が描かれ、鳥の星座があしらわれている。
プレイヤーにCDを入れる前から、そのファンタジックな世界観に高揚感を覚える。サウンドが流れた途端、美しく森ファンタジーな世界に魅せられる。
ギターのシャリシャリ感と湿度が森度合いを決定づける一般的な森林崇拝ブラックに比べると、ギターの質感が前面に出ているサウンドとは言い難く
森に木霊する残響音は、むしろ大々的に取り入れているシンセサウンドが担っている。この点はコアなブラックメタラーには向かないかも知れない。
しかし、その手法は、多くの森林崇拝ブラックが夜・曇り空・雨天を想像させるのに対して、このサウンドは雨上がり・朝焼け・夕焼け・木漏れ日を思わせる。
後ろ向きな陰鬱な空気ではなく、清々しい爽快感・大自然の生命力・躍動感といった前向きな感覚がこの音楽性には詰まっている。
根暗サウンド満載のロシア産にしては珍しい作風、また、今の季節(10月)の夕暮れ時の景色が、何故かとてもマッチする。最近の帰宅途中のサウンドはコレだ。

kamiko! ★★★ (2020-10-09 12:45:55)


SLEEP - The Sciences

米国産ドープスモーカー向けドゥーム。
前作Dopesmokerは名作Jerusalemのリマスター&未発表曲アルバムなので、それをカウントしなければ
完全新作としての復活は実に24年ぶりくらいになるか。Dopesmokerは完全新作と思っていなかったのでゲットせず
Jerusalemをゲットしたのは2000年以降なので自分にとっては10数年ぶり。
とはいえ、Jerusalemは神盤と思っているので、この10数年聴く頻度はワリと多く、長く愛聴してきた。
大麻合法国のマリファナデーを発売日に設定してリリースされたが、その情報を遅れて知ってしまい発売日過ぎてゲット。
一応予約購入したというのに、発売日をチョイ過ぎて届いてしまった。
Jerusalemではマリファナ騎士団が聖地を目指していたが、今作はジャケのとおり、ついに宇宙に行ってしまった。
濃厚なストーナー臭を帯びたギターリフが繰り返され、スペーシーな酩酊感を楽しむことができる逸品だ。
ドラムがオリジナルメンバーからNeurosisのドラマーに交代しているが、Neurosis的なひねくれ感はなく、ドラミングは大きく変化してない。
というか、Jerusalemの頃とほぼ音楽性やコンセプトは変わらず、もうマットパイクが好き放題やってる作品だ。
そもそもSleepファンは、それを望んでいる筈で、再びJerusalemの酩酊感を堪能できる作品であればOKなんだよね。
Jerusalemは1曲50分越えの、陶酔に没頭する有り得ない曲の長さがウリだったが、今作は前作より短い曲が6曲。
そういうところのインパクトが薄れた感は否めないが、曲間に無音があったからといって別に大した問題ではなかった。
ギターの厚みやストーナー感はより深みを増した印象で、会心の復活作品だ。
日本では大麻所持は犯罪なので、覚醒剤や危険ドラッグと同等な危険なモノと勘違いしている人が多いが
多くの国が合法化している流れに乗って、日本でも合法化されて、この作品を楽しむという日が来ればいいなと思う。

kamiko! ★★★ (2020-05-01 00:03:33)


TAAKE - Kong Vinter - Inntrenger

アルバム中、最も旋律が印象に残る。キャッチーでありながらとてもカッコいいギターワークがふと脳裏によぎると、またこの盤を手にしている。
なかなか中毒性の高い音質とクールな楽曲である。そんなサウンドが終盤に差し掛かる頃、ラジオヴォイスによる語りが挿入され、コレがまたカッコいい。
佳作揃いの盤で、凄い名盤という印象こそないものの、なんだかんだで今年はこの盤のこの曲を最も愛聴している気がするね。

kamiko! ★★★ (2021-08-18 13:51:30)


TOWARDS DARKNESS - Tetrad

カナダ産ポストドゥーム2020年作
ドゥーム路線ではボクの中でかなり上位に位置する彼ら。今年の新作は充分に聴き込んでレビューしようと思い、かなり聴き込んだが・・
処女作の非常に判りやすい世界観から、前作は独創的な世界観に変貌、今作は更に難解なサウンドに進化しており、一体どう捉えればいいのか
随分と悩みながら聴いた。アルバムタイトルTetrad(4つの組?4元素?)から受ける印象もなんだか小難しい。ただ、楽曲タイトルから
割と前作に近い延長上の世界観かな、とボクは捉えている。ちなみに前作は、不毛の土地をテーマにした固有なインダストリアルな
フューネラルドゥームを展開した。今作はややフューネラル臭が薄まった。曲の骨格自体は至ってシンプルで、相当地味に聴こえるが、
音に含まれる強調された倍音からその音素材への相当なコダワリは感じる。その迫力に圧倒されるが、疲労感も伴う。
元々凄みを効かせるヴォーカルスタイルだが、今作でも同様に凄みがある。インダストリアルなギターの感触が更にアップしている分、
このヴォーカルが乗ると更に疲れが増して集中力が削がれる。但し、地味な楽曲構成とのバランスが取れていて、疲れるものの聴き易さもある。
このサウンドを愛聴して繰り返し聴けば、この疲れは慣れてくる。
こういう難解な盤は、慣れるまでひたすら繰り返し聴かないと、その魅力になかなか辿り着けない。最近やっと耳が馴染んで慣れてきた感じだ。
このサウンドの魅力をなかなか一口で言い表せないが、このバンドが影響を受けたとされるミュージシャンを挙げると、その志向性が見えてくる。
Sonic Youth、Sun O)))、Pink Floyd、Chelsea Wolfe,、Russian Circlesに影響を受けたらしいが、まぁ、Sun O)))あたりはドローン的な志向が
あるバンドがよく挙げるので納得だし、スピリチュアル志向があればPink Floydの影響も頷ける。面白いのは、女性シンガーChelsea Wolfeを挙げている点だ。
Chelsea WolfeのBirth of Violence(2019年作)の世界観や雰囲気が結構近い。また、Rossian Circlesはボクは未所持だが、一聴した感じからすると
このバンドのポストロック感やギターの質感は結構近いものがある。濃いドゥームサウンドでありながらも、純然なドゥームバンドからの影響を
公言していないところが面白い。
処女作から完成されたサウンドだったが、2nd、今作とアルバムを発表する度、全く新しい難解な要素を盛り込んでくる。
下手すれば消化不良に陥るかも知れないが、想像力を働かせて自分なりに解釈しつつ、このサウンドと付き合う必要がある。処女作のストレートさは
もはや微塵も感じられないが、このバンドは独創性を発揮してどんどん難解な世界を描いていって欲しい。ただ、これ以上疲れるサウンドは困るけどね。

kamiko! ★★★ (2020-08-27 00:59:32)


TRIPTYKON - Melana Chasmata

スイス産ブラッキンエクストリームメタル2014年
ジャンルは勝手にボクが作ったが、トムウォーリアー(今はフィッシャー?)のサウンドはなんとも形容しがたい固有のモノがある。
Celtic Frost時代のMonotheist(2006年作)の音楽性を突き詰めたような音楽性は、迫力があり硬派で真っ黒な世界だ。
トムは結構お茶目な性格で、普段は暗い人物ではないと思うし、一時期Apollyon Sunのような全く黒くないデジロック的バンドを組んだこともあるが
結局はこういう真っ黒な世界を描く方が断然カッコいい。
ただ、ボクとしてはどうしてもCeltic Frost時代の初期作&Vanity/Nemesisの頃の強い癖のあるダミ声が断然好きで、Triptykonの音楽性とクオリティを認めつつも
ヴォーカルがクール過ぎて個性を失ってしまっている、と思ってしまう。そこだけ。
このまま真っ黒ズブズブ路線を突き進んでほしい。

kamiko! ★★★ (2020-05-05 00:27:55)


UMBRA NIHIL - The Borderland Rituals - Welcome to the Borderland

アヴァンギャルドドゥーム路線では、Markus Marjomaaというギタリスト率いるユニットの、Umbra NihilとAarniが最もボクのツボを突く。
意外と海外では評価されず無名なのかも知れないが、このギタリストの奏でる旋律、ギターの歪み、病的な不協和音、適度なサイケさなど
どれをとってみても強烈で、この人にしか作れない独創的な、癖のある、毒気を含んだ音楽に圧倒される。
Aarniが世に出たデモ音源ですら、そのギターの音が鳴った瞬間に、この人はホンモノだ、と思わせるインパクトと固有の毒気がある。
作品的には前作のファンタジック・メランコリックドゥーム「Gnoia](2004年作)が好みだが、純粋にMarkus Marjomaaが奏でるギターワークの
魅力を楽しむとしたら、こちらの盤だ。この曲はアルバム最初を飾る曲だが、ぶっ壊れた、イーヴルな、シュールな、気持ち悪いリフ満載な
Markus Marjomaa固有の魅力が詰まっている。この人が奏でる音は、Aarniの一連の作品にある森のジャケイメージも手伝ってか
濃厚な毒・瘴気と共に、音に植物の蔦が絡み合うかのような気持ち悪さがある。誰にも真似できないオンリーワンな個性を放っている。
この盤に限っては、そういった濃厚な毒がジャケイメージと作品の世界観によって、イーヴルかつ背徳的な感じに昇華されている。
ずっと新たな作品を待ち続けるが、最近は全く音沙汰が無く、活動しているのかどうかも不明。再び危険な異端ドゥーム作品を作ってくれることを願う!

kamiko! ★★★ (2020-10-09 04:29:41)


WITH THE DEAD - With the Dead

英国産ドゥームメタル2015年作
リードリアンとElectric Wizardのドラム&ベーシストによるドゥームバンド1st・・・このメンツだと
もう聴く前にどんな音か想像できるが、予想を裏切ることのない、ファズかけまくりの壮絶にヘヴィなサウンドだ。
とにかくElectric Wizardクラスの重量感を求めるなら、コレは必聴盤だ。
リードリアンのプロジェクトTeeth Of Lions Rule The DivineのRampton(2002年作)あたりの重量感がある。
最近はボクはこのテのヘヴィさは年齢を重ねたからか少々疲れるので、あまり聴く盤ではなく、次作も未所持だが、
ヘヴィ・ドゥームファンはコレはバイブルとして携帯しておかなければならない。

kamiko! ★★★ (2020-05-25 22:35:31)