1988年発表の2nd。 これは最高のロック・アルバムである。この作品に対するメンバーの妥協を許さない姿勢が、シンプルなアルバム・ジャケットに表れている。「変な先入観は捨てて、とにかく曲を聴いてくれ!」そんなメンバーの熱い思いとこの作品に対する自信が、猛烈にジャケットから伝わってくる。 もちろん楽曲は素晴らしい。まず1曲目の「Bad Seamstress Blues/Fallin' Apart At The Seams」でKOされるに違いない。キャッチーな「Gypsy Road」や「The Last Mile」、カントリー調の「Coming Home」、バラードの「Don't Know What You Got」など名曲のオンパレードである。トム・キーファーのしゃがれ声が最高に渋くていい味を出している。このアルバムのサウンドは、テクニカルでドラマティックなメタルが好きな人にとっては地味なサウンドなのかもしれない。しかし、テクニックに走ったメタル・バンドが忘れたロック魂がここにはある。これがロックというものである。ロックはハートである。
久しぶりに聴こうと思ってジャケットのメンバー写真を見たとたん、思わず吹き出してしまった。普通ではちょっと考えられないほど、メンバーの衣装がド派手だったからである。しかも、ヴォーカルのトム・キーファーはダンディ坂野の「ゲッツ!」のポーズである。「ゲッツ!」のルーツはトム・キーファーだったのだろうか。左端のジェフ・ラバーの体も変な具合によじれている。しかも口は半開きである。ただ、本人達はいたって真面目にやっているので、これ以上は言うまい。 しかし、楽曲は素晴らしい。バンド名やメンバーのルックスとはかなり印象が異なるパワフルなサウンドを聴かせてくれる。オープニングの「Night Songs」はかなりヘヴィでインパクトがあるし、「Shake Me」や「Somebody Save Me」のようなミドルテンポの力強い曲や「Hell On Wheels」のようなAC/DC張りのロックン・ロールの曲もあり、非常にバラエティに富んでいる。とてもいいアルバムである。
1969年発表の4thアルバム。 次作の『COSMO'S FACTORY』ほどバラエティに富んでいるわけ ではないが、泥臭くて全体的にまとまりがあるので、私は この『WILLY AND THE POORBOYS』も好きである。 「Down On The Corner」や「Cotton Fields」「Fortunate Sun」 など、佳曲が満載だ。哀愁を帯びたラストの「Effigy」もイイ。
ベルギー産ハードコア。2002年発表の5thアルバム。 サウンド的にはBIOHAZARDタイプだが、10年以上も活動し続けている彼らを単なるBIOHAZARDのフォロワーだと決めつけてしまうのは間違いだ。ただのフォロワーであれば、とっくにシーンから消えているはずだからである。ヨーロッパのバンドだが、叙情的な音は一切入っていない。ニューヨークのバンドに全く引けをとらないストロングで極悪なサウンドを聴かせてくれる。 ちなみに11曲目の「Mama Said Knock You Out」にはBIOHAZARDのエヴァンとビリーが参加している。
とにかく気持ちのいい音である。なんと言うか、ブルージーなヘヴィ・グルーヴである。とても味わい深い。楽曲云々の話ではなく、とにかく音が気持ちいいのである。フィル・アンセルモのヴォーカルもいい味を出している。「Where I'm Going」や「beautifully Depressed」,「Landing On The Mountains Of Meggido」などでは、しっとりとした渋い歌声を聴かせてくれる。コメカミに青筋立てて咆哮している時のフィルとはまるで別人のようである。フィル・アンセルモのヴォーカリストとしての才能と、音楽の間口の広さを再認識させられたアルバムだ。アルバム全曲楽しめるが、特に「Where I'm Going」が好きである。この曲は癒し系である。
ゴリゴリ・ロックである。ヘヴィなサウンドだが、PANTERAのようにメタル然とした金属的な音ではない。もっと生々しく、ナチュラル・パワーを感じさせる音である。何というか、土の匂いがする、味わい深い音である。ほんと、この音とグルーヴ感はクセになる。気持ちがいい。体に馴染むのである。DOWNにおけるフィルのヴォーカルは、PANTERAでの極悪スクリーム系のヴォーカルよりも、ずっと渋くて野太い。PANTERAが苦手な人も、一度は試してみる価値がある。2ndの「Ⅱ」と同様、アルバム全曲楽しめるが、特に「Stone The Crow」が大好きである。
私にとって、EUROPEのこの「OUT OF THIS WORLD」こそが、HM/HR系でナンバーワンのアルバムである。ナンバーワンの地位は不動である。他にも好きなアルバムは幾らでもあるが、このアルバムは別格なのである。ここで聴かれるサウンドは、もはやヘヴィ・メタルと呼べるものではないのかもしれない。しかし、それがどうしたというのだ。私は産業ロックだと思って聴いている。捨て曲などない。名曲オンリーの超名盤である。美しい名バラードの「Open Your Heart」、キャッチーで思わずルンルン気分になってしまう「More Than Meets The Eye」、EUROPEというバンドのスケールの大きさを感じさせる「Coast To Coast」、ピアノの旋律が美しい「Sign Of The Times」、アルバムのラストを飾るEUROPE屈指の叙情バラード「Tomorrow」etc...ジョーイ・テンペストの歌唱がまた素晴らしい。透明感溢れるクリスタルなサウンドにピッタリの歌声である。このアルバムを聴き終えた後、私の心はこのアルバムのサウンドと同様に、クリーンになっているような気がするのである。