「Lights」や「Wheel In The Sky」といった名曲が収録されているこのアルバム『INFINITY』は、まちがいなく名盤である。しかし、このアルバムの目玉は、何といってもドラマティックかつメロディアスな名バラード「Winds Of March」である。アメリカの産業ロックといわれると、ノー天気で底ぬけに明るいサウンドを想像してしまう人もいるかもしれないが、この曲で聴けるJOURNEYのサウンドは、「これは北欧のバンドか?」と思ってしまうほどウエットで透明感溢れる、まるで水晶のようなサウンドである。JOURNEYのベスト盤は数多く出ているが、なぜかいつもこの曲はリストから外されているようだ。謎である。したがって、“この曲を聴け=このCDを買え"となるわけである。百聞は一聴に如かず。とにかく聴いてみてほしい。スティーヴ・ペリーの美しい歌声に酔いしれ、この透き通った水晶のメロディに身をゆだね、絶頂の瞬間を味わっていただきたい。これは一聴の価値ありである。
1996年発表の2ndアルバム。 1stのインパクトが強かっただけに、当時はこの2ndに若干物足りなさを 感じていたが、これはかなり強力なアルバムである。 「Street Of Hate」「Back Of The Bus」「Addict」といった問答無用の ゴリゴリ疾走チューンはもちろん、ミドル・テンポの曲もBIOHAZARD張り にヘヴィでカッコイイ。
なんとMADBALLのベスト盤である。 1st~3rdアルバムの曲と未発表曲で構成されている。 4thアルバム『HOLD IT DOWN』(1st~3rdとはレーベルが違う)の曲は 入っていないが、MADBALLのカッコ良さは十二分に味わえる。 一曲目の「Set It Off」で、完全にノック・アウトされるだろう。
『OVERKILL』もそうだが、この『BOMBER』を含め、『ACE OF SPEDES』以前の作品にはモーターヘッドというバンドの体臭がプンプン漂っている。体臭と聞いて、「なんか臭そう。キモ~イ」などと、女子高生みたいなことを言ってはいけない。この体臭サウンドこそが、初期モーターヘッドの魅力なのである。もちろん最近の彼らの作品も好きである。特に、現時点での最新作『HAMMERED』(2002年)は、彼らの全作品の中でも一、二を争うほどの傑作だと思っている。それは何故だろうと考えた結果、『HAMMERED』には初期モーターヘッドを彷彿とさせる体臭が漂っているからだという結論に達した。 話を本作『BOMBER』に戻そう。『ACE OF SPEDES』のようなスピード感はないし、『OVERKILL』ほどバラエティに富んでいないのも事実である。余分な音は一切入っておらず、楽曲自体もシンプルなものが多い。しかし、その楽曲のシンプルさが逆にサウンドの生々しさ・荒々しさを際立たせている。 実は、この作品の良さに気付くまでにはかなりの時間を要した。初めて聴いた彼らの作品が『BASTARDS』だったからだろうか・・。しかし、いつの頃からだろう。シンプルでスピードを少し抑えた曲にこそ、モーターヘッドの持ち味が出ていると思うようになった。私自身の心の中でパラダイム・シフトが起こったのだ。『BOMBER』が好きになったのは、それからである。シンプル・イズ・ベスト。シンプル・イズ・ビューティフル。私がモーターヘッドに求めているのは、まさに『BOMBER』のようなシンプルなサウンドである。 『BOMBER』最高である。
疾走感やインパクトという点では確かに『ACE OF SPADES』に劣るが、この『OVERKILL』は、数あるモーターヘッドの作品の中で、私が最も大好きなアルバムである。2番目が『HAMMERED』だろうか。まぁ、順番は別にどうでもいい。素晴らしい作品であることに違いはない。レミーの男の哀愁に満ちた渋いヴォーカルといい、低音の効いた厚みのある音といい、心地良いことこの上ない。非常に男臭く、生々しいサウンドである。モーターヘッドというバンドの体臭サウンドとでも表現すればいいだろうか。ダンディな男の逞しさと愛に満ちている。 1979年発表だから、今から25年も前の作品ということになる。70年代生まれの私は、もちろん当時のことは何も知らない。しかし、不思議なものだ。このアルバムを聴いていると、なぜだか泣けてくる。70年代にこんな素晴らしい作品を発表したバンドが、自らの音楽スタイルを変えることなく、今でも活動を続けている。その事実に、思わず目頭が熱くなってしまうのである。この偉大なアーティストと同じ時代を生きているという幸運に、感動せずにはいられないのである。もし、モーターヘッドというバンドがすでに消滅していて、バンド消滅後に彼らのことを知ったとしたらどうだろう。ここまで感情移入することはできなかったはずである。だから、レミーに感謝の気持ちを込めて言いたい。「ずっと活動し続けてくれてありがとう。これからも宜しくお願いします」と。このアルバムに捨て曲など一曲もないが、特に「Limb From Limb」が好きである。これは鳥肌モノである。 『OVERKILL』最高である。
『ROCK'N'ROLL』 そのままズバリのアルバム・タイトルである。この単純明快さがイイ。このアルバムで聴かれるサウンドは、『ACE OF SPADES』ほど荒々しくはないし、衝撃度では『ACE OF SPADES』に劣る。しかし、アルバム全体がよくまとまっており、とても聴き易い。モーターヘッドに「過激」を求めている人には、迷わず『ACE OF SPADES』の方をお勧めする。『ACE OF SPADES』を聴いた後にこのアルバムを聴くと、どこか物足りなさを感じてしまうかもしれないからだ。しかし、『ACE OF SPADES』と比べるのも酷な話だ。『ACE OF SPADES』はあまりにも凄すぎるのである。他の作品と比べたりせず、ここは素直にこの作品の良さを認めるべきだろう。私にとっては、このアルバムも最高のロックンロール・バイブルである。 「これがロックンロールだ。屁理屈ばかり言ってないで、黙ってこれを聴け!ケツに蹴り入れるぞ。この鼻タレが!」というレミーの声が聞こえてきそうなサウンドである。ロックンロールといっても、底抜けに明るいスカッとしたロックンロールではない。モーターヘッド特有の、ダーティーかつワイルドなロックンロールである。シンプルな曲でこれほど個性的な音を聴かせてくれるバンドは、モーターヘッドとAC/DCくらいのものだろう。 このシンプルでストレートなロックンロールを前に、難しいことを考えていても仕方がない。ブルース・リーではないが、「Don't think. Feel !」といった感じである。アントニオ猪木風にいえば、「迷わず聴けよ。聴けばわかるさ・・」になるだろうか。屁理屈は無用。とにかく体で感じてほしい。私に言えるのは、ただそれだけである。 『ROCK'N'ROLL』最高である。