M1のどちらかというと明るいノリに度肝を抜かれ、その後の半泣きボーカルに更に度肝を根こそぎひっこ抜かれました。あの天然悪党顔でやってると思うと不気味です。いや、無愛想&邪悪路線からいきなりこういう路線に作品持って来れる才能はもっと怖いですが。 それにしても、デビューアルバムの「Return to the Eve」から彼らは女性ボーカルの入れ方が巧みですね。今回は「Tristesse de la Lune」がその極みかも。
この曲では「うっ!!」ではなく「アォ!!」というシャウトですが、そこはトムのこと、思いっきり陰気で邪悪にしてくれます。 彼の声で「Are you morbid?」(病んでるか?)なんて言われると良い意味でぞっとしますね。 「Into…」のとこでも同じこと書きましたが、やっぱり彼らの曲はテンポが落ちるところがカッコいい。
「サウンドは期待外れなとこもあるけど、曲はカッコいい」……これって、自分がCradle Of Filthの『Thornography』聴いて思ったことと同じようなものじゃないでしょうか。だとしたら、「このアーティストはこういう音じゃなきゃ嫌だ」という人でない限り、受け入れられると思います。アメリカナイズとかモダンヘヴィネス化とか言う以前にクオリティは高いですから。 この後にメロディック路線への復帰を望むのであれば、単なる回帰ではなくて「ヘヴィネス路線を経ての進化」を期待したいところです。
2008年発表の2nd。 Mortorheadへの愛情とリスペクトからか、泥臭さ溢れるロックンロールです。エディ・ガズのボーカルもダミ声系。歌詞の方も典型的セックス、ドラッグ&ロックンロール。たまに「もうちょっと頭使わんかい!」ってぐらいの、Venom以来のど直球リリックもありますが……。 そんな訳で、Dimmu Borgirの方向性を頭に入れて聴くと大いなる空振りとなります。 気に入らないって人も結構いるんじゃないかと思います。もちろん、好きな人は喜んでついていきます。まさしくブックレットの中央ページに、「Ether Hate Us Or Join Our Feast」って書いてあることだし。
彼らのステージを観たのですが、コーラスのサラがいなかったです。代わりにまた交代したと思しき女性キーボーディストがコーラスも兼ねてて、何かやたら可愛らしい声でした。 オフィシャルからもサラの名前がメンバーから消えてたし、もう離脱しちゃったんでしょうか。だとしたら勿体なさ過ぎる。初期からずっとクレイドルのアルバム世界観の重要な構築者ですから。 ちなみに、セットリストはこちら。 Shat Out Of Hell Gilded Cunt Dusk and Her Embrace Nymphetamine Principle Of Evil Made Flesh Honey and Sulphur Cruelty Brought Thee Orchids Her Ghost In The Fog 無難な路線ですが、これがクレイドルライヴ初観戦となる人間には嬉しい。 ダニのボーカルも高音シャウトよく出てて好調だったし。 最後に、しつこいでしょうが一言。 生で観たダニ君はやっぱり可愛かったです。
「The Death Of Love」のPVが公開されましたね。 http://www.metalhammer.co.uk/news/cradle-of-filth-video-exclusive/ ストレートに聖女ジャンヌと悪魔ジルの物語が描かれています。ジャンヌはジルに残された僅かなイノセンスでもあるのだから、もっとジルが弱い人間らしく描かれていてもいいんじゃないかと思いますが。 それから、曲カットがあるのは仕方ないとしても、カットの仕方に無理がある気がするのが厳しいところです。 最後に、ダニ君……メイクに変に力入れ過ぎです。どこぞの部族みたいになっちゃってますよ(笑)。
Hellfestで初めて見た新キーボーディストのプロフィールがオフィシャルに載ってました。コーラスもこの人がやってるみたいだし、やっぱりサラは辞めちゃったのかな。 ちなみに新キーボーディストはAshley Ellyllonというそうで、上記の「The Death Of Love」のPVでも姿を拝めます。綺麗な人です。 オフィシャルサイトのライヴ写真にて、凄い形相&メイクのダニ君を背後にクールな表情で演奏を続ける様子が何とも可笑しかった。
この新曲6曲はどこかのアルバムにコンセプトの一端として入っていてもおかしくないんですが、どのアルバムのストーリーにも沿ってないし、このEPしか場所なかったんでしょうね。そういう意味ではかなり贅沢です。個人的には、M10「Scotched…」はダニ主演映画『Cradle Of Fear』の主題歌扱いでもいいかもと思ってますが。 輸入盤には「Born in…」のPVがエンハンスドでついてます。笑えるほどヴァンパイアな世界観全開です(って笑ったらいけないのかな)。
この曲を初めて聴いたのは、DVDに収録されてた『Cradle Of Fear』(ダニ主演のネット映画)の予告編でした。といっても冒頭のピアノパートから急に疾走パートに飛んでしまうカットバージョンでしたが。切なさ漂うピアノから急にダニ声が入った時には「これもクレイドル!?」と驚いたものです。 で、この度ようやく曲全体を聴くことが出来たのですが、カットされてた冒頭の低音ボーカルが良いです。「All Hope…」といいこの曲と良い、このEPでは低音の効かせ方が巧い。疾走パート前からじわじわ入ってくる重いギターと、疾走する中で響くミステリアスなオルガンもカッコいいです。
残虐行為が発覚した後、エリザベスは臣下と違って火刑を免れたのですが、代わりに窓という窓を塗り固められた城の一室に死ぬまで幽閉されたという、彼女にとっては死刑より惨い最期を遂げたそうです。そのためか、物語が進むにつれて音はよりダークになっていき、聴いている側にも闇が広がらんばかり。最後の暗闇の中で老いて死んでいくエリザベスの語りはぞっとすると同時に、この上なく悲痛です。 また、ストーリーテラーに徹していたダニですが、第一章「Benighted Like Usher」において初めて「I」という概念を用いています。唐突に感じられるかもしれませんが、ストーリーテラーが物語の中に登場しエリザベスに寄り添うことで、彼女の孤独と後の破滅を一層強く覗わせるかのように思えます。
「夜の魔女」「アダムの最初の妻」として語られるリリスをテーマとしたコンセプト・アルバム。とはいえバソリー夫人やジル・ド・レイのように元ネタとなる歴史記録はないので、リリスの神話をもとにした暗黒物語となっています。 音楽の方向性はUsherさんも仰っている通り、前作『Godspeed…』路線の正統メタル&シンフォの融合です。それ自体に文句はないし、これまでと違う試みも見受けられたりするのに、どこか「物足りなさ」があるのがもったいない。 例えば、クレイドルのコンセプトものにつきもののイントロ、インタールード、アウトロなし。物語の主役(ここではリリス)の語り部分が少ない。最初のPVになった「Forgive Me Father(I Have Sinned)」のキーボードよりギター主体のメロディ。このあたりの変化球をもっと上手く活用してたら、それはそれで賛否両論あったかもしれないけど、面白味は増したんじゃなかろうかと思ってしまいます。 あと、単に私が聴き慣れただけかもしれませんが、「あ、ここらでブラスト入って疾走始まるな」とか曲の展開が読めてしまうので、ここらでまた変化に富んだ10分級の大曲を作ってみてはどうだろうとも思います。
私のは輸入盤(EUR盤)だったせいか、「Pervert's Church」がなくて代わりに「Dawn Of Eternity」が収録されてました。 PVの出来もさることながらEPに入れておくのがもったいないほどのタイトルトラック、秀逸なカヴァー、セカンドのゴシック感も堪能出来る「Funeral…」のリテイク……これまでのクレイドルの世界観がベスト盤とはまた違った形で凝縮されていて、意外と入門にいいかもしれません。だとしたらアートワーク(タイトルトラックのPVからの断片写真)がドン引きする原因になるだろうけど(笑)。
2001年発表のライヴDVD。『Midian』期のツアーです。 音源は『Live Bait For The Dead』のものと同じノッティンガム公演の時のものです。ステージがどんな感じだったのかよーく分かります。観た感じそんなにステージでっかくないので、この距離感でライヴ体感出来たノッティンガムのファン達が羨ましいですよ。最後、何故かダッチワイフがオーディエンスの頭上転がってたりします。耽美なクレイドルには不釣り合いに思えるかもしれませんが、後述のドキュメンタリーを見ると何となく納得出来てしまう……。 しかしダニ若いな。当たり前だけど。 で、『Peace…』同様こちらにもまたツアードキュメンタリーが収録されてますが…… 君らはカメラ向けられたらベロを出すかケツを出すかせんと気が済まんのかい。あるいは何かネタ披露するとか。ヴァンパイア軍団転じて、メンバーとスタッフ一丸となったクソガキ集団ですよ全く。ドキュメンタリーのエンドクレジットでもふざけた文句書きまくってるので注目です。 そしてダニ……君ほどママチャリの似合うメタルアーティストを私は他に知らない。 この他PV、『Cradle Of Fear』の予告(ダニ主演のネット映画。B級スプラッターホラー)、ブレアウィッチをパクったアホな映像、アートワーク収録。あと、隠しコマンドもあります。「Born in a Burial Gown」に出てたあの人達って(二重の意味で)スゴい人達だったんだ……。
クレイドル聴いた当初は、まさかダニのボーカルで泣けるとは思いませんでした。それを覆したのがこの曲です。特に「Dawn discovered Her there……」のところから。あの“Come back to Me"の叫びは本当に悲痛で、思い出しただけでも泣けてきます。 尚、PVはティム・バートンの影響が濃いように思えたので、バートンファンとしては嬉しいところです。
本作の不評は多くのファンの知るところです。高音シャウトが少ない、シンフォニックじゃない、ホラー要素が少ない等々。実際、聴いてて「ここでもっと大仰にストリングス入ればいいのに……」「クワイア入れればいいのに……」と何度思ったことか。メタルとしては上質だけど、クレイドルの作品としては物足りないですね。 ……と、文句のつけどころを列挙しても、どうしても否定できない点が。 それは彼等が本当にすんごくいいメロディ書くってことです。 「シンフォニック要素欲しいな……」と思いながら聴いてても、メロディが耳に残るし、無意識で首動いちゃうし、実は「Foetus…」なんか無意識で歌っちゃうぐらいだし。本当かっこいいんです。 あと、高音域減ってもやっぱりダニ声はダニ声です。もうやめられません。しかし、M11で「And here we go again!!」ってフレーズ挿まれた時には似合わなさ過ぎて笑ってしまいました。……すみません。 以上の理由から、『Harder, Darker, Faster』のデラックス盤買ってしまいました。前評判から言ったら通常盤で十分じゃないか?なんて思ってたってのに。 まぁ、ボーナストラックはわりと佳作揃いだし、外れとまではいかなかったかなと。 多分、このプロセス踏んだからこそ、これまでのシンフォニック&ホラー色を併せて取り込んだ次作の感動があるんでしょうか。
HIMのヴィレ・ヴァロがゲスト参加した曲。ダニいわく「彼の声こそバイロン卿に相応しい」そうです。 貴公子と駄々っ子(笑)というミスマッチな組み合わせながら、そのミスマッチさ加減が不思議と聴き心地いいです。特に「The patron saint of heartache…」からのヴィレの美声と、ダニの奇声の掛け合いでゴシックの雰囲気が増してます。 欲を言えば、ダニの高音が苦しそうなのがちょっと残念。あと、シンフォニックパートも味付け程度じゃなくてもっと入れた方が(既にアルバム全体に対して言ってますが、ここではその方がヴィレの声にも合うと思えただけに尚更)。 一説によると、この共演ついでにダニとヴィレはキスしたとか(笑)。本当ならヴィレも意外とバカなチャレンジ精神の持ち主だったようで、その点クレイドルと似た者同士? 一部のファンは泣くかもしれませんが、私はむしろ褒めたいです。