櫻井が囁くような日本語ボーカル、レイモンドがドス声英語ボーカル、サシャが無機質ドイツ語ボーカル。メインは櫻井ですが、三者が疾走する硬質なギターサウンドの上で交錯する様はかっこいいとしか言いようがありません。 そしてその直後、三者が完全に一体となっての「Lard,Lips,Liquor/Lard,Lips I Lick Ya Baby 」のコーラスがもっと突き抜けてかっこよく響く。
インダストリアル・ロック界の巨匠で、Ministryの先輩格。カナダ出身。 Nine Inch Nails、Marilyn Manson、Jakalopeの仕事で知られるデイヴ・オギルヴィーはこのバンドのプロデューサー兼エンジニアでした。 '96年に一度解散して'01年頃再結成。再結成後はどうも活動に関わってないらしいのですが、不確かなので事情をご存知の方はどうぞ訂正をお願いします。 非に登録するかどうか迷ったのですが、Ministryがこっちだし一応「ヘヴィ・ロック」の範疇で語られているのでこちらに登録しました。
実は一番最初に聴いたSlayer作品がこれ。そして衝撃のあまりしばらくスラッシュメタルから遠ざかってしまった原因もこれ……。 とはいえ、今聴くとほとんど疾走してません。それでも当時の自分がビビったのは、音が発する邪悪なオーラのためでした。 『Reign In Blood』が疾走、暴虐、鋭利なサウンドを極める作品だとしたら、本作は邪悪性を突き詰めたものかもしれません。 ただ、最近改めて「Love To Hate」を聴いてみたら「……え!? このリズム感は……Korn??」と思ってしまいました。リズム変わってもSlayerはSlayerでしたけどね。
個人的な話、この曲の初聴きはフェスの場でしたが、「Hunting~」等のキラーチューンに並ぶほど記憶に残ってました。 キーボードリフといい、ミドルテンポといい、哀愁といい、曲のテーマ「冬」といい、「Before The Winter」を思わせます。でもメロディはあれほど大仰ではなく、静かに聴かせるタイプのようです。
何故か『Mezmerize』より点数低いですね。2つで1つの作品なのに。 もとより怪しさと変態性が彼らの音楽の特色ですが、催眠2部作はその両者がより怖い方向に向かってます。特に本作ではタイトル・トラックで天安門事件に言及していたり、ラストに若い兵士達の末路を悲しく歌いあげているのに、唐突に「I'm just sitting in my car…」みたいな日常的/パーソナルなパートが入ってくる。そしてバナナ連呼。何よりこのバナナが意味不明すぎて怖い。それら全部が怪しい音楽に乗せられ、混沌状態になっているのも怖い。 既出意見ですが、これはイラク戦争に踏み切ってしまったアメリカに対するシステム流の反逆ロックだと思います。正面切って反ブッシュ/反アメリカを唱えるのではなく、イラク戦争以降の世界を覆う混沌と、それに対する漠然とした恐怖感を体現してみせるという姿勢で。
「システムといえばサージの変態ボーカル」でしたが、この催眠2部作ではダロンのブチ切れ具合も半端じゃなかったです。とりわけ、2部作前半の2番目に当たるこの曲にはしてやられたと思いました。 でもこの曲が作られた背景を思うと、そりゃダロンがあれだけブチ切れて叫ぶよと納得してしまいます。というか、あの冒頭の半ば裏返り声の「Why do they always send the poor?」はダロンだけの叫びじゃないよ。
あまりにもクオリティの高いアウトトラック集。2ndに入れるには異色すぎる曲をまとめてオフィシャルブートにしてみたら、それはそれで妙なバランスの良さが出て、一つの作品になってしまったような。 「Chic'n' Stu」や「Fuck The System!」に顕著だった意味不明なボケと怖さは、後の催眠二部作への橋渡しであったように思えます。
重い変態サウンドと変幻自在の変態ボーカルが強力武器の彼らが、本作では「まさかの泣き」という武器も手に入れました。 「Chop Suey!」のサビや「Toxicity」のイントロなど、思いもよらぬところで哀愁のメロディが流れ、しかもその曲調変化が変態度に磨きをかけ、結果とんでもなくSystem Of A Downなサウンドになってます。 そしてラストは、同じくまさかのバラード調「Aerials」で!……と思ったら、数十秒の空白の後に謎の民俗音楽(?)が。最後まで先が読めない人達です。
'94年と'96年にピーターがThe Abyssとして出した『The Other Side』と『Summon The Beast』の2枚を1枚にまとめたアルバムです。 M1~M8が『The Other Side』、M9~M16が『Summon The Beast』みたいです。 メンバーは全員ピーターをはじめHypocrisyのメンバー(当時)なのですが、音はほとんどHypocrisyとは別物。粗い音質で、高速ブラストのドラムにシャリシャリしたギターサウンドが乗る、割とスタンダードなブラックです。ジャケット内部に書いてありますが、HellhammerやBathoryといったブラックの始祖にあたるバンド、あるいはImmortalやGorgorothといったブラック始祖の生々しいサウンドを受け継ぐバンドの影響が濃いようです。実際、『The …』の方でHellhammerのカヴァーを入れています。 ただ、音質の粗さからスカンジナヴィアン・ブラック特有の荒涼感は色濃く表れているのですが、闇が押し迫って来るような暗黒の雰囲気はあまり感じられません。何というか、ピーター自身が色々なカラーの音楽を手掛けてきている人だからか、ブラックの暗黒に染まりきれていないように思えました。ブラックの闇がそう簡単に染まれないほど深いのか、はたまたピーターが数多く手にしているカラーが強すぎたのか。 まぁそれはいいとしても、生々しさや粗さを追求するあまり、リフやメロディがあまり印象に残らないのは残念です。数々のブラックメタルをプロデュースしてきたピーターなので、ここはもう少しリスナーにぶちかませるようなポイントが欲しかったです。 ピーターのボーカルは今回ドスのきいた低音デスボイスを封印、高めのデスボイスです。ピーターだけでなく、あとの2人(ミカエルとラーズ)もボーカルをやっているようです。ただ、音質とボーカルワークのせいか、時に悪く言うところの「カエル声」になってしまっているボーカルがあるのですが……誰の声だ? ちなみに、『Summon…』のボーカルは主にHypocrisyメンバーのミカエル・ヘドルンドが担当しているようです。
革新性とか影響力で言うと『Sgt.Peppers…』の陰に隠れがちですが、良い意味で負けず劣らず異様な雰囲気を放つアルバム。 お馴染み「Yellow Submarine」みたいな軽やかポップと、もろインド音楽の影響下な「Love to You」、終いには「Tomorrow Never Knows」のサイケデリック色が同居というごった煮ながら、決して聴きにくくはありません。
決して曲のクオリティが落ちてる訳ではないのに、どこか物足りない印象が残ります。 デジタルサウンドやオーケストラアレンジで今までと違った方向性を、と行きたいところですが、それらが味付け程度なのであまり大胆さが感じられないからかもしれません。大胆な方向転換があったらそれはそれで賛否を巻き起こしたでしょうが、こういうエフェクトは取り入れるなら豪快に使っちまえというのが私の意見です。 M1「Living In The World Without You」とM2「Ten Black Roses」が極私的聴きどころ。