'04年発表。反戦と変革を掲げたカヴァー集(お蔵入りしたトレントとの共作プロジェクトの曲、オリジナルもありますが)。 イラク戦争という時勢が時勢だけに、曲のアレンジはヘヴィ&ダークな色合いが強いです。特に「Imagine」は一番ズタズタ。しかしそれだけに、「What's Going On」「When The Levee Breaks」の美しさにははっとされられるし、最後の「Fiddle And The Drum」のアカペラには感動すら覚えます。 メイナードいわく、カヴァーにしたのは「一から曲を作っていたのでは(次の大統領選にも世界情勢にも)間に合わないから」でした。しかしながら結果は知っての通り、ブッシュ再選でイラク戦争の惨状は続く。それを受けて、メイナードは「僕らは負けた」と語りました。 確かにこの年、ブッシュに対抗したあらゆるロックは負けました。それでもこの作品と、メイナードの反逆には敬意を表します。
怖い。 神経症っぽい音の使い方が怖い。 「I want your soul/I will eat your soul/Come to daddy」だけの歌詞が怖い。 リチャードの顔した子供達が走り回り、テレビに歪みまくった顔が映り、しまいにはガリガリのクリーチャーが出てくるPVが怖い。 そのくせ中毒性があるのが怖い。
Black Sabbathはヘヴィ・メタルの始祖であると同時に、悪魔主義的側面を打ち出してメジャーに挑んだバンドの始祖でもあります。 それを最も体現しているのがこの作品です。不吉なイメージのジャケットといい、ジャケット内の逆さ十字といい、何より1曲目からの雷鳴と不穏なリフ……発表から何年経とうと、人を魅了する力があるでしょう。 また逆に、オープニングの不気味さから打って変わって、その後に続くブルースの影響が濃い楽曲に「かっこいい」との声が上がるケースも。
まずイントロのベースが凄い。オジーのボーカルが凄い。アイオミのギターソロが凄い。リフも凄い……個人的サバスのベストです。 ところで、サビの一番最後の歌詞だけ変更されてるのは、やっぱり「My name is Lucifer/Please take my hand」が引っかかったからなんでしょうか。しかし、アメリカ盤かヨーロッパ盤なら分かるけど、日本盤ライナーノーツの中でまで変えなくても……。
際立った名曲があるのは『Paranoid』の方だと思いますが、アルバム全体のバランスがいいのはこちらかなと。ドゥーム色よりヘヴィネスの方が濃いですし。アイオミのソロ曲も効いてます。 ちなみに、『Master Of Reality』というタイトルを冠しておきながら、1曲目がいきなりトリップソングというのはある意味ブラックユーモアという気がします。
Black Sabbathの中から名盤を選ぶのは難しいですが、一番名曲が入っているのはと聞かれたら真っ先に本作を挙げます。少なくとも「Paranoid」「War Pigs」「Iron Man」は知っておくべき(というか、どこかで流れていたのを聞いて知っている可能性大)だと思います。 そんな名曲勢の中に埋もれがちですが、アイオミのソロインストや文字通りドゥームの始祖の1つとされる「Hand Of Doom」なんかも必聴ですよ。