イーサーンの美声、サモスのリフ、タリムの人間業とは思えないブラスト……全部が全部神懸かり……いや悪魔懸かり的整合度です。土下座もののクオリティの高さです。しかも、M1「Curse You All Men!」から伝わってくる鬼気にぶっ飛ばされます。 さすが皇帝。演奏面全てにおいては隙がありません。 しかし、編集がな……ほぼ1,2曲おきに途切れてしまうのには違和感を覚えます。 ちなみに、エンハンスドで「I Am The Black Wizards」の映像が観られます。 やっぱりイーサーンのスキンヘッド、デスからクリーンまでの美声、そして「白EmperorTシャツズボンにin」スタイルにのけぞりました。シャツをズボンに入れた姿が怖いのなんてイーサーン様ぐらいですよ……。
M1のどちらかというと明るいノリに度肝を抜かれ、その後の半泣きボーカルに更に度肝を根こそぎひっこ抜かれました。あの天然悪党顔でやってると思うと不気味です。いや、無愛想&邪悪路線からいきなりこういう路線に作品持って来れる才能はもっと怖いですが。 それにしても、デビューアルバムの「Return to the Eve」から彼らは女性ボーカルの入れ方が巧みですね。今回は「Tristesse de la Lune」がその極みかも。
実は一番最初に聴いたSlayer作品がこれ。そして衝撃のあまりしばらくスラッシュメタルから遠ざかってしまった原因もこれ……。 とはいえ、今聴くとほとんど疾走してません。それでも当時の自分がビビったのは、音が発する邪悪なオーラのためでした。 『Reign In Blood』が疾走、暴虐、鋭利なサウンドを極める作品だとしたら、本作は邪悪性を突き詰めたものかもしれません。 ただ、最近改めて「Love To Hate」を聴いてみたら「……え!? このリズム感は……Korn??」と思ってしまいました。リズム変わってもSlayerはSlayerでしたけどね。
音は悪いしミックスも良くないですが、曲自体はキャッチーで良い。正直、「Never For Fun」よりこっちをシングルカットした方が良かったんじゃないかと思いました。 歌詞は……最低だなこいつ(笑)。自身ワンマンプロジェクトのデビュー作でいきなりこれかよ。まぁ、サビはKMFDMの「Kickin' Ass」とほぼ同じ歌詞ですけど……。
『Praise The Lard』M1のリテイクです。 原曲よりはオーケストラがバックに下がってしまっているのですが、女性コーラスが入ったりシャウトが増したりと、こちらの方が格段に洗練されています。 でも、極私的に一番いいリテイクはSchweinでBuck-Tickの櫻井敦司のコーラスを入れたバージョンじゃないかと。
性急気味のリズムにゴリゴリしたギターが乗る硬質な音が基本ですが、プログラミングサウンドがどこかねっとりしていて陰湿さを助長しています。 「Beaten Bitter, Broken Low」「Dine and Dance with the Devil」等、歌詞ではレイモンドお得意の頭韻法が炸裂。タイトルからして明らかなんですけどね。
'97年発売の5thアルバム。 一番メタル色が濃いのは本作だと思われます。ザクザクしたギターリフが前面に出ているし、曲調もバイオレントだし(歌詞はいつでもバイオレントだし陰湿です/笑)。ラテン風味(ただし性格悪い)がないのはちょっと残念ですけど。 PIGはオーケストラが入っているのが好きという方、極悪ラテンソングが好きという方はあまり好かないかもしれませんが、メタル好きでインダストリアル系もいけるという方にはお勧めです。 注意したいのは、国内盤と輸入盤とで曲が違っていることです。 輸入盤収録のM2「No One Gets Out Of Her Alive」とM4「Contempt」は国内盤にはなく、代わりに「Book Of Tequira」と「Find It Fuck It Forget It」のリミックスというかリテイク版です。個人的には輸入盤の収録の方がバランスいいんじゃないかと思います。それに国内盤の対訳があまり良くないし(このサイト内でも評判悪い訳者でした)。でもライナーに載ってるレイモンドの写真がカッコ良かったりする(笑)。 尚、輸入盤のみ収録の上記2曲は、後に『No One Gets Out Of Her Alive』のEPで発表されてます。 また、収録曲10曲中、上記の「Find It…」を含めた3曲はリテイクです(輸入盤なら10曲中2曲が)。どのバージョンも元の曲よりメタル色を増した印象です。
'07年発表。見れば分かりますが、映画『V Is For Vendetta』の悪質極まりない(笑)パロディタイトルです。ついでに言うと、フライトガイドを模したジャケットアートワークも真っっっ黒なユーモア満載です。 Toolの複雑怪奇な世界観、APCの聴きやすさを期待すると肩透かしを食う、ダークでミドルテンポで淡々とした作風です。音もプログラミングが多用されてます。しかも、メイナードさんの武器たる中性的な美声はほとんど封印され、低音ボーカルが中心。 この辺りが賛否両論になるポイントかもしれませんが、メイナードさんの才能にはまだまだ未知の領域があったことを思い知らされることには違いないでしょう。
ライヴ音源の方はいきなり「Terrible Lie」の予想以上の爆音にびっくりさせられます。「March Of The Pigs」の曲間のタメも原曲以上に効いている。「Closer」のベースもよりカッコよく響く。「Starfuckers, Inc.」の疾走を経て「Hurt」で泣きのラストという終焉にも溜息が出る。 動(崩壊)と静(内省)が入り乱れたライヴの名盤ですね。 もしノイズが好かないという理由でNINのスタジオ盤を敬遠してる人がいたなら、このライヴ盤がお勧めです。 『Still』は上記の「静」のパートで作られた世界。それもNIN屈指の美しさです。 特に冒頭の「Something I Can…」とラストの「Leaving Hope」に泣かせられます。