2008年発表の2nd。 Mortorheadへの愛情とリスペクトからか、泥臭さ溢れるロックンロールです。エディ・ガズのボーカルもダミ声系。歌詞の方も典型的セックス、ドラッグ&ロックンロール。たまに「もうちょっと頭使わんかい!」ってぐらいの、Venom以来のど直球リリックもありますが……。 そんな訳で、Dimmu Borgirの方向性を頭に入れて聴くと大いなる空振りとなります。 気に入らないって人も結構いるんじゃないかと思います。もちろん、好きな人は喜んでついていきます。まさしくブックレットの中央ページに、「Ether Hate Us Or Join Our Feast」って書いてあることだし。
'08年発表の5th。被せた全てのCDジャケを台無しにするパンツ柄スリーブ付き(笑)。 「有名になりたい」でQueenの「We Will Rock You」、「オクサーヌ」でThe Policeの「Roxanne」、「おかあさん」でJohn Lennonの「Power to the People」等、端々でロックの名曲を匂わせているのがロック好きをニヤリとさせるポイントです。 でも歌詞は相変わらずバカでしょうもなくて下ネタ。この歌詞考えてる暴動さんがつくづく凄い。 オマージュというにはあまりにも情けなく、パクリというにはあまりにも完成度が高いので、ここは『TMC』で港カヲルが語るところの「おまんじゅう」が一番しっくりくるように思えます。
「夜の魔女」「アダムの最初の妻」として語られるリリスをテーマとしたコンセプト・アルバム。とはいえバソリー夫人やジル・ド・レイのように元ネタとなる歴史記録はないので、リリスの神話をもとにした暗黒物語となっています。 音楽の方向性はUsherさんも仰っている通り、前作『Godspeed…』路線の正統メタル&シンフォの融合です。それ自体に文句はないし、これまでと違う試みも見受けられたりするのに、どこか「物足りなさ」があるのがもったいない。 例えば、クレイドルのコンセプトものにつきもののイントロ、インタールード、アウトロなし。物語の主役(ここではリリス)の語り部分が少ない。最初のPVになった「Forgive Me Father(I Have Sinned)」のキーボードよりギター主体のメロディ。このあたりの変化球をもっと上手く活用してたら、それはそれで賛否両論あったかもしれないけど、面白味は増したんじゃなかろうかと思ってしまいます。 あと、単に私が聴き慣れただけかもしれませんが、「あ、ここらでブラスト入って疾走始まるな」とか曲の展開が読めてしまうので、ここらでまた変化に富んだ10分級の大曲を作ってみてはどうだろうとも思います。
ex-The Gathering、現Agua de AnniqueのAnneke van Gierbergenがゲストボーカル参加。 哀愁漂うメロディを重視してか、フェルナンドもデスボイス封印/ヴェルヴェットボイス全開です。 ところで、「デュエット歌謡曲ですか?」っていうツッコミ(ボケ?)は禁句でしょうか。
予想はしていたけど、あの独特の声のおかげで、ビートルズもストーンズもクリムゾンも、どっぷりオジー色です。 ケースに付いてたシールの言葉を借りるなら「Ozzified」か。本当上手い言葉編み出したなぁ。 オジーは実際「Working Class Hero」だからレノンの歌詞もものにしてるし、クリムゾンの「21st Century Schizoid Man」なんか、終盤はもはや病んだ人間の笑い声です。 何をやっても自分のカラーを出せるという点、しかもそれをほとんど天然でやってのけるという点で、オジーのセルフ・プロデュース力はジーン・シモンズに勝るのかも。
'10年のデビュー(?)盤。 Nirvana/Foo Fighters、Led Zeppelin、Queens Of The Stone Ageのツワモノが揃い、それぞれの特色がものの見事に浮き出た作品となりました。デイヴのパワフルなドラム、ジョン・ポール・ジョーンズのベースがグルーヴを生み出し、ジョシュの気だるいボーカルがQOTSAのトリップ感を醸し出しているといったところで。 しかし、これが「それぞれの才能/カラーのぶつかり合い」とも、ましてや「互いに譲り合い」とも思えません。むしろ、3つのバンドの音楽性が重なり合う部分を上手いことぐっと掴み取ってみせたような。しかもその掴み取って見せた部分が、ストレートにカッコいいロックンロール。 ロックンロール(HRであれそんなにハードでない曲であれ)のノリが好きな人は、それぞれのバンドを詳しく知らなくても楽しめると思います。
'94年と'96年にピーターがThe Abyssとして出した『The Other Side』と『Summon The Beast』の2枚を1枚にまとめたアルバムです。 M1~M8が『The Other Side』、M9~M16が『Summon The Beast』みたいです。 メンバーは全員ピーターをはじめHypocrisyのメンバー(当時)なのですが、音はほとんどHypocrisyとは別物。粗い音質で、高速ブラストのドラムにシャリシャリしたギターサウンドが乗る、割とスタンダードなブラックです。ジャケット内部に書いてありますが、HellhammerやBathoryといったブラックの始祖にあたるバンド、あるいはImmortalやGorgorothといったブラック始祖の生々しいサウンドを受け継ぐバンドの影響が濃いようです。実際、『The …』の方でHellhammerのカヴァーを入れています。 ただ、音質の粗さからスカンジナヴィアン・ブラック特有の荒涼感は色濃く表れているのですが、闇が押し迫って来るような暗黒の雰囲気はあまり感じられません。何というか、ピーター自身が色々なカラーの音楽を手掛けてきている人だからか、ブラックの暗黒に染まりきれていないように思えました。ブラックの闇がそう簡単に染まれないほど深いのか、はたまたピーターが数多く手にしているカラーが強すぎたのか。 まぁそれはいいとしても、生々しさや粗さを追求するあまり、リフやメロディがあまり印象に残らないのは残念です。数々のブラックメタルをプロデュースしてきたピーターなので、ここはもう少しリスナーにぶちかませるようなポイントが欲しかったです。 ピーターのボーカルは今回ドスのきいた低音デスボイスを封印、高めのデスボイスです。ピーターだけでなく、あとの2人(ミカエルとラーズ)もボーカルをやっているようです。ただ、音質とボーカルワークのせいか、時に悪く言うところの「カエル声」になってしまっているボーカルがあるのですが……誰の声だ? ちなみに、『Summon…』のボーカルは主にHypocrisyメンバーのミカエル・ヘドルンドが担当しているようです。
'05年発表の5th。 ギターとドラムだけという制約を大幅に取り払い、マリンバやピアノを導入しています。 これが大々的に賛否を醸すような実験作ととられるのではなく、自然なことであるように映るのが彼らの凄いところ。何をやっても、ジャックのブルース愛が裏打ちとなり、The White Stripesの音になってます。