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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1001-1100

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1001-1100
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CANCER - Death Shall Rise ★★ (2014-12-07 09:03:11)

ギターを抱いた渡り鳥、ジェイムズ・マーフィ(G)が加わり4人組となったCANCERが、'91年に発表した2ndアルバム。
スラッシュ・メタル成分を多量に含んでいたデビュー作に比べ、わざわざフロリダのMORIサウンド・スタジオまで出向いて、スコット・バーンズと共にレコーディング作業が行われている本作は、デス・メタル成分が大幅増。
ブラストするリズム・セクションを活かした疾走感が全編を貫きつつも、今回それ以上に強く印象に残るのは、ツインG編成へと移行したことで一層重厚且つ禍々しくトグロを巻くようになったヘヴィネスと、アルバム全体を息苦しく覆う閉塞感。湿気ったGリフと乾いたスネアの取り合わせという、いかにもMORIサウンド・スタジオ謹製な音作りや、OPナンバー①に参加してオドロオドロしい咆哮を轟かせるグレン・ベントン(DEICIDE)の存在も、そうした印象を加速させます。
ジェイムズ・マーフィの流麗なGプレイを存分にフィーチュアした楽曲は何れも聴き応え十分ですが、一方で、個人的に愛してやまない前作に比べると、少々ありがちなデス・メタル・アルバムに仕上がってしまったかな?とも・・・。完成度は高いですし、贅沢な話ではあるのですが。


CANCER - To the Gory End ★★★ (2014-12-03 22:43:24)

イギリス出身のデス・メタル・トリオがプロデューサーにスコット・バーンズを招いてレコーディング、'90年に発表した1stアルバム。最終ミックスはフロリダのMORI SOUNDスタジオで行われており、そこで縁を結んだOBITUARYのジョン・ターディもゲストVoとして参戦しています。
轢死体の咆哮のような押し潰れたVoのグロウルや、粘性の高い耳障りな音色で刻まれるGリフ等が、禍々しくゴアリーなデス・メタル感を醸し出す一方で、軽快且つ俊敏に炸裂するリズム・ワークはスラッシュ・メタル調。なので、デス・メタルそのものを期待すると「あら?」となるかもしれませんが、個人的にはこのスラッシュがデス・メタルへと凶悪化していく過渡期的スタイルこそがツボ。(DEATHやDEICIDEも通った道でした)
BURRN!!誌レビューでは「(作った人は)死んで欲しい」となじられた上で堂々の4点を獲得。ジャケットに描かれたお兄さん――元ネタは『ゾンビ』か――も「マジで?!」ってな表情を浮かべている本作ですが、ゲテモノだと思って舐めてかかると、殺伐とした曲調に反して意外にキャッチーな②や、Keyを配して邪悪且つ荘厳な雰囲気を演出するラス曲⑨等にカウンター・パンチを食らわせられることに。特に大仰なイントロが爆発的疾走へと転じる地獄の一丁目ライクなスピード・ナンバー⑥は、CANCER屈指の名曲ですよ。
個人的にCANCERの最高傑作と言えば真っ先に本作を挙げさせて頂きます。


CANCER - To the Gory End - To the Gory End ★★★ (2014-12-05 23:23:42)

ホラー映画のOPテーマばりに不気味で大仰なKeyのイントロを経て、
殺気だったGリフとリズムの連打、それに呪詛のごときVoが
解き放たれるように爆走を開始するアルバム表題曲。
勢いだけでなく、ちゃんと緩急の演出や禍々しいドラマの醸成にも
気の払われている名曲です。


CANDLEMASS - Ancient Dreams ★★★ (2017-08-01 00:12:03)

オジー期のBLACK SABBATHに、北欧然とした神秘性やドラマ性、更にはメタリックなエッジの鋭さを加味することで、「エピック・ドゥーム・メタル」なる音楽性に先鞭をつけたCANDLEMASS。本作は、その彼らが英国輸入盤チャートで№1の座をゲットする成功を収めた『NIGHTFALL』(’87年)の勢いを駆り、’88年に発表した2ndフル・アルバム。
前作のジャケットにはトマス・コール画伯の代表作の一つ『人生の航路』より『老年期』が用いられていましたが、今回は同シリーズより『青年期』を採用。連続性を感じさせるこのアートワークが物語る通り、サバシーなリフ・ワークから漆黒のメロディを奏でるGソロまで、高い「トニー・アイオミ度数」を誇るレイフ・エドリングのGプレイ、タメの効きまくったリズム、その上で歌唱力も体型も横綱級のフロントマン、メサイア・マコーリンが朗々響き渡らせる(歌唱というよりも)「詠唱」と評したくなるオペラティックなVoをフィーチュアした唯一無二の音楽性には、些かのブレもありません。むしろ重厚長大にして、ゴシカルなドラマティシズムに磨きが掛けられた楽曲群からは、より一層闇の世界の深淵へズブズブと沈み込んで行くような暗黒オーラが濃密に立ち昇っています。
重々しく荘厳な立ち上がりから、ラストのこの上ないハマリ具合のBLACK SABBATHのカヴァー・メドレーに至るまで、ドゥーム・メタルと聞くと敷居の高さを感じてしまうリスナーも、要は「スローな様式美HM」と思えば恐るるに足らず。METAL BLADE RECORDSを通じてアメリカでのリリースも実現した結果、インディーズ配給ながらビルボード・チャートに飛び込む好成績を残したCANDLEMASSの代表作と言われるのも納得の1枚です。


CANDLEMASS - Tales of Creation ★★★ (2016-10-02 08:38:16)

CANDLEMASS来日の報に触れ、自宅の棚を漁って引っ張り出した'90年発表の3rd。
本名エディ・マコーリン、しこ名…じゃなくてステージネームはメサイア・マコーリン(Vo)を擁するラインナップの最終作となった本作は、『創生神話』なる仰々しい邦題を手始めに、まるで宗教画の如き威容を誇るアートワーク、ストーリー・アルバムさながらに曲間の切り詰められたドラマティックな構成等、まさしくメサイア在籍時代のCANDLEMASSを総括するに相応しい、集大成的内容に仕上がっています。
陽の当たらぬ地下世界へと、ズブズブ沈み込んでいくような錯覚に陥るBLACK SABBATH直系の楽曲群は、徹底してダークな色合いで塗り潰されているにも関わらず、邪教の神官の説法を思わすメサイアの朗々とした歌唱に、荘厳なドラマ性漂わす曲展開、北欧のバンドならではの荒涼たる泣きと憂いを孕んだメロディとが重厚に組み合わさり、例え暗黒色で統一された世界観であっても(さながら名匠の手による絵画の如く)豊かな陰影が迫り出し来るかのよう。また、意表を突いて流麗なGプレイを伴いスピーディにかっ飛ばすインストの名曲⑤が本編に起伏を演出したりと、この手のバンドにありがちな単調さや、ダラダラとした冗長感も皆無。そういえばドゥーム・メタルなんて言葉が一般化する以前は、単純に「良く出来た様式美HMアルバム」として本作を楽しんでいたことを思い出しましたよ。
CANDLEMASSというブランドに敷居の高さを感じてしまう初心者リスナーにも取っ付き易い1枚と言えるのではないでしょうか。


CANDLEMASS - Tales of Creation - Into the Unfathomed Tower ★★★ (2016-10-03 09:13:52)

CANDLEMASSといえば、超重くてスローで…と言ったら
「ああ、メサイアの体型のことね」
…って違います。音楽性の話です。
ともかくドゥームメタルの権化的な先入観があったので、
このインスト曲を初めて聴いた時は大層驚きましたね。
スピード・メタルばりの疾走感に、
テクニカルなGが華を添える曲調がインパクト十分。


CANNATA - Watching the World ★★★ (2016-01-04 22:26:58)

セルフ・タイトルのデビュー作がメロディ愛好家の間で絶賛されたARC ANGEL。その中心人物だったカナダ人ミュージシャンのジェフ・カンナタが、自主制作でレコーディングしたソロ・アルバムがコレ。'93年にはゼロ・コーポレーションを通じて日本盤もリリースされました。
90年代再発ブーム華やかなりし頃にARC ANGELの存在を知り、遡って本作も購入したのですが、これがプログレと呼ぶにはキャッチーで、AOR/産業ロックで括るにはインスト・パートや凝ったアレンジメントからアーティスティックな主張が迸るサウンドが、まさしくARC ANGEL時代そのまんまな音楽性で嬉しくなりましたね。
ジェフ・カンナタが甘く儚げに歌い上げるメロディが、ヴァースからサビに向かって聴き進めるに従い哀愁を深めていく①、躍動感溢れる②、サックスも取り入れたアーバン且つメロウな③という冒頭三連発で聴き手をぐっと作品世界に引きずり込んだ後は、プログレ・ハードの醍醐味が詰まった⑤を中途に挟んで、程々にドラマティックなラス曲⑨に至るまで、捨て曲なしの充実したひと時を過ごせることをお約束致します。
大陸的ポップ・センスと、欧州的な泣き/哀愁を内包するサウンドが、美しきカナディアン・メロディアスHRの理想的シルエットも描き出す1枚。未聴の方はARC ANGELの作品と併せてどうぞ。


CAPRICORN - Capricorn ★★★ (2011-04-20 08:49:45)

大成こそ出来なかったが、コアなスラッシュ・メタル・ファンからは未だ高い評価を受けるフランクフルト出身の4人組スラッシャーGRINDERが、CAPRICORNと改名してトリオ編成で再スタートを切った後、'94年に発表したセルフ・タイトルのデビュー作。
ロックロール系の括りに入れられる事の多い彼らだが、実際に演ってるのはMETAL CHURCHやVICIOUS RUMORSといったバンドの名前が思い浮かぶパワフルなパワー・メタルで、基本的にはGRINDER時代と大差ないサウンド。
但しそれをスラッシュ・スピードではなく、グッと腰を落として、よりメロディアスに、より重厚に演っているのが本作(と言うかこのバンド)の特徴で、中でも、ステファン・アーノルドのタイトで切れのあるドラミングを推進力に、エイドリアン・ハーンの男気背負ったヤサグレVoと、猛々しいリフの刻みからドラマティックなソロまでセンス良くこなすデヴィッド・ホフマンのG、それにドイツのバンドらしい憂いを帯びたメロディとがスクラム組んで突進する①~④の畳み掛けに、このバンドの真髄を見た次第。
アコギが紡ぐ哀愁のメロディと、GRINDERの頃よりも更に技量を高めたエイドリアンの歌声が胸に沁みる泣きのバラード⑤、殺気立ったGリフがジェイソンの振るう鉈を思わす『13日の金曜日』へのトリビュート・ソング⑥、そして最もスラッシュ時代の残り香を漂わすアグレッシブなスピード・ナンバー⑦辺りが、個人的に特にプッシュしたい名曲なれど、それ以降もドラマティックな⑧、ノリノリの⑨、勇猛なメロパワ・チューン⑩と、本編に捨て曲の類は見当たらない。
中古屋で3桁の値段で捨て売られているのを見かける度に、「クオリティに相応しい扱いを受けられていないなぁ」と溜息をつきたくなる1枚。


CAPRICORN - Capricorn - Bomb Eden ★★★ (2011-04-24 19:03:35)

1stアルバム中、最もスピーディでアグレッシブな
GRINDER時代(スラッシュ・メタル時代)の面影を
色濃く残した名曲。
アルバムのハイライト・ナンバーですかね。


CAPRICORN - Capricorn - Mr. Vorhees ★★★ (2011-04-24 19:01:47)

邦題は“ミスター・ヴァーアヒース”とよく分からないものに
なっているが、歌詞を読めば分かる通り『13日の金曜日』への
トリビュート・ソング。だから邦題も正しくは
“ミスター・ボーヒーズ”ですかね。
殺気立って刻まれるGリフが、ジェイソンが振り回す
鉈の如き迫力を醸し出す名曲です。


CAPRICORN - Inferno ★★ (2011-04-27 23:31:26)

デビュー作のジャケットと連続性を感じさせるアートワークのみならず、「当初、アルバム・タイトルはシンプルに『CAPRICORN Ⅱ』にしようと思ってた」とメンバー自身が語っている事からも分かる通り、媚びのない濁声Vo、荒々しさとヨーロピアンな美意識を兼ね備えたG、キレ良くパワフルに突貫するリズムetc・・・と、デビュー作で披露したタフ&ソリッドなパワー・メタル・サウンドを忠実に継承した'95年発表の2ndアルバム。
TWISTED SISTERのカヴァー⑨の半端ないハマリっぷりや、ボーナス・トラック⑫の存在もあってロックンロール・テイストが増量されたような気がしなくもないが、まぁ飽くまで「気がする」レベルの話であり、各楽器が弾き出す音の逞しさ、収録楽曲に漲るパワー/ヘヴィネスは前作と同等かそれ以上。
相変わらず、CAPRICORN印のスピード・ナンバー②⑥、捻りを加えつつ盛り上がっていくパワー・バラード⑤、禍々しく重厚に押し寄せるアルバム表題曲⑪、そして前作に続き再び『13日の金曜日』へ愛を捧げた、スリリングな名曲⑩のカッコ良さは只事じゃないですよ。
1stアルバムが気に入った人なら間違いなく買いの1枚。これを最後に消息不明になってしまったのが残念至極。(それともこっちが知らんだけで、もっと作品出してたりするのだろうか)


CAPRICORN - Inferno - Camp Blood ★★★ (2011-04-27 23:37:07)

このタイトル、そして「キ、キ、キ・・・マ、マ、マ・・・」
(KILL MAMA)のSEからも察しのつく通り、
前作“MR.VOORHEES”に続いて再び収録された
『13日の金曜日』へのトリビュート・ソング。
(本当に好きなのな)
まるでジェイソンに追いかけられているかのような
スリルとサスペンスが味わえる(?)スピード・ナンバーの名曲。


CARE OF NIGHT - Connected ★★★ (2019-02-14 23:52:58)

プログレ・メタル・バンドSEVEN TEARSを前身として’09年に結成され、同郷の詩人ブルーノ・K. ウィエルの作品からバンド名を頂きCARE OF NIGHTを名乗ったスウェーデンの5人組が、'16年にRUBICON MUSICから発表した1stアルバム。
OPナンバーは“カサンドラ”。このマッチョな獄長が支配する世紀末世界の大監獄みたいな曲名に反して、神秘的なイントロからフレッシュなコーラス・ワークが響き渡る健康美に満ちた①がアルバム全体の方向性を物語る通り、本作において追求されているのは、甘美でキャッチーなメロディ、クリアなハイトーンで溌剌と歌うVoと美麗なハーモニー、多彩な音色で楽曲をドラマティックに修飾するKey、コンパクトにまとまった魅力的なソロを奏でるGが織りなす、北欧メロディック・ロックの美点を集約したようなサウンド。
特に強力なメロハー・チューンが連続するアルバム前半の充実度には目を見張ります。ライブ映え確実の①、ドライブ感溢れる疾走ナンバー②、イントロからGがよく歌う③、透き通ったピアノの美旋律とメロウなサックスが映えるバラード④…。逆にそのせいで後半ややテンションが緩んでしまうように感じられる点は痛し痒しですが、それは飽くまで前半戦が素晴らし過ぎるからであって、本編に捨て曲がないことは衆目の一致をみるところではないでしょうか。
レーベル主導で、曲作りから参加ミュージシャンの人選に至るまでお膳立てが揃ったメロディックHRプロジェクトもいいですが、そればかりというのは余り健全な状況とは言えません。新人バンドが独力で作り上げた作品がこれだけの完成度を誇っているのは非常に頼もしい限りですよ。応援したくなる1枚。


CARE OF NIGHT - Love Equals War ★★★ (2019-02-17 10:28:56)

1st『CONNECTED』(’15年)が雑誌やネット上において高評価を獲得し、非常に幸先の良い日本デビューを飾ることに成功するも、好事魔多し。その後はメンバーの脱退が相次ぎ、4年間もの沈黙を余儀なくされてしまったわけですが、長いブランクをものともせず、この2ndアルバム(’19年)でもポップ&キャッチーに煌めく王道北欧産メロハー・サウンドを追求する一念に揺るぎなし。寧ろ新加入のギタリストが楽器の腕前だけでなく曲作りに関しても豊富なアイデアを持った逸材だったこともあり、収録曲のクオリティから、Keyを活かした技ありのアレンジ、それにパフォーマンスに至るまで、自分たちの長所を素直に伸ばした充実の内容に仕上がっていてホクホク顔ですよ。
神秘的なイントロから高揚感を伴いスタートする①、爽快な躍動感に満ちたアップテンポの②、ピアノの美旋律と、聴かせるGソロにグッとくる③、Voの伸びやかな歌声が映える抒情的な導入からエモーショナルに盛り上がっていく④、そして再びアクセルを踏み込んでエンジンを吹かせるパワフルなロック・チューン⑤…といった具合に、緩急織り交ぜて流麗に紡がれる本編は、例えば前作で気になった「アルバム後半の若干のテンションの緩み」(粗という程のものじゃありませんが)みたいなポイントを、本作ではサックスを取り入れたメロウな⑦、女性Voとのデュエットもドラマティックな⑩のような印象的な名曲を配することで、きっちりアジャストしてきています。あらやだ頼もしい、と。
完成度に関しちゃ前作に勝るとも劣らぬ1枚。『CONNECTED』の成功がフロックではなかっとことを立派に証明してくれて嬉しい限り。


CARE OF NIGHT - Love Equals War - Love Equals War ★★★ (2019-02-18 00:07:38)

神秘的なイントロから、煌びやかに
メロディアスに展開していくアルバム表題曲。
高揚感を伴うポップな曲調がまさにOPナンバーに打ってつけです。


CARNIVORE - Retaliation ★★ (2006-11-03 01:02:00)

TYPE O NEGATIVEのカリスマ・フロントマン、ピーター・スティールが在籍していた事で知られる
ニューヨークはブルックリンのスラッシュ・メタル・トリオ、'87年発表の2ndアルバム。
強烈なSE(笑)で幕を開ける本作のサウンドは、ピーターの変幻自在のBプレイにリードされる形で、
無軌道且つバイオレントに暴走しまくるハードコア罹ったスラッシュ・メタル・・・といった趣き。
マッチョで硬派な作風は時に息苦しさを覚える程だが、デタラメなまでにダイナミックな演奏と、
男の哀愁を漂わせたメロディアスな⑤、クラシック風のインスト・パートが印象的な⑧のような楽曲が
良いアクセントとなって、ダレや単調さを感じる場面は少ない。(ジミ・ヘンドリックスのカヴァー⑨も収録)
野太い声でアジりまくるピーターのVoも個性的で、その「ブルータルになった筋肉少女帯の大槻ケンヂ」唱法は、
聴き始めこそ耳障りかもしれないが、慣れると結構クセになります。
昔は、防毒服姿の兵士達の背後に聳え立つミサイルのイラストが描かれていたと記憶するアルバム・ジャケットが、
今は切り絵風の物に変更されていて、成る程、これは確かにウルトラマンに見えます(笑)


CARNIVORE - Retaliation - Race War ★★ (2006-06-17 21:27:57)

本作に於いては「歌う」と言うより、ハイテンションに「アジる」Voスタイルで
攻めまくるピーター・スティールが、この曲のサビではしっかりと歌っている。
哀愁背負ったリフと男臭い歌声が相俟って何となくTANKを彷彿とさせる
この叙情パートが印象的だからこそ、後半の激烈な疾走感がより一層引き立つというもの。


CASANOVA - Casanova ★★★ (2018-08-06 23:03:20)

MAD MAXの一員としてデビューを飾るも、ビジネス上のトラブルに巻き込まれバンドの先行きに不安を感じたマイケル・ヴォス(Vo)が、WARLOCK解散後、新しい就職先を探していたマイケル・ユーリッヒ(Ds)を誘って結成したCASANOVAが、WARLOCK時代の伝手で(推測)ヘンリー・スタロステをプロデューサーに迎えてレコーディングを行い、'91年に発表した1stアルバムがこちら。
ポップでキャッチーなメロディと、カラッと垢抜けたアメリカンな雰囲気を身に纏った、ドイツのバンドらしからぬメロディックHRという、CASANOVAのトレードマークたるサウンドは既に寸分の迷いもなく定まっており、特にまだまだ生硬かったMAD MAX時代とは打って変わって、熱くハスキーな声質を生かしてパワフル且つ伸び伸びと歌いまくるマイケルの歌声は、「この人の声ってこんな魅力的だったっけ」と認識を上書きされる、バンドの看板声として抜群のインパクトを放っています。
次作『ONE NIGHT STAND』(’93年)に比べると、VoとGが哀愁の旋律をメロディアスに歌い上げるOPナンバー①にて幕が上がることに象徴されるよう、本作はよりマイケルの歌を中心としたメロハー作品としての色合いが強めに打ち出されていて、その①及び、PVも作られている②、しっとりと聴かせる哀愁に満ちた⑥、エネルギッシュにハジける⑨、爽やかに跳ねる⑪といったミッド・テンポの楽曲は、CASANOVAの曲作りの才を証明する秀逸な名曲揃い。特にキャッチーなサビメロ作りの上手さはやはり際立っていますね。
デビュー作にしてこの完成度の高さは実に立派です。


CASANOVA - Casanova - Hollywood Angels ★★★ (2018-08-07 23:27:49)

エネルギッシュに弾むヴァースから、
爽やかでキャッチーなサビメロへと
繋がっていく曲展開に心躍ります。
(テクニカル且つコンパクトにまとめられたGソロも良し)
CASANOVAの作曲センスの冴えを物語る
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。


CASANOVA - One Night Stand ★★★ (2018-07-22 23:51:58)

メロディック・パワー・メタル勢が一大勢力を形成していた90年代のドイツHR/HMシーンにおいて、アメリカナイズされたHRサウンドを武器にするバンドとして、FAIR WARNING、PINK CREAM 69と並んで気を吐いたCASANOVA、’92年発表の2ndアルバム。確か自分が初めて買った彼らの作品はコレでしたよ。
パワフルな疾走ナンバー①、高いヒット・ポテンシャルを感じさせるキャッチーな②、思わず一緒に歌いたくなるライブ映えしそうな③という、CASANOVAというバンドの持ち味が凝縮された開巻早々の流れが物語る通り、アコースティック・ギターと開放的なコーラス・ワークを有用して、ドライでブライトな雰囲気を醸成するサウンドは、メンバーの垢抜けたルックス同様にアメリカンな雰囲気が色濃く漂ってきます。
但し、マイケル・ヴォス(元MADMAX)の灼熱Voはメタリックなエッジを宿していますし、何よりキャッチーなだけでなく、要所で発揮されるメロディ・センスからは、CASANOVAの隠しきれない欧州出身バンドとしてのアイデンティティーを聴き取ることが出来てほっこりさせられますよ。特に涼しげな哀愁を纏った⑨、シャープに走り抜ける⑩、マイケルの熱唱が映える憂いを帯びた⑪という秀曲が連続する終盤は聴き応え十分。
かように冒頭3曲の「掴み」と、本編終盤の畳み掛けのテンションが高過ぎるせいか、ミッド・テンポ~バラード系の楽曲が連続する中盤の展開が少々弱く感じられる気がしなくもありませんが、まぁ単に好みの問題かと。個々の楽曲の完成度はしっかりしていますし。
うだるような暑さにグロッキー気味な我が身に、沸々とやる気を湧き上がらせてくれる1枚。酷暑のお供にいかがでしょうか。


CASANOVA - One Night Stand - Dead Man's Hand ★★★ (2018-07-23 23:47:46)

イントロからして欧州風味の哀愁が漂う疾走ナンバーで、
こういう曲を演ってもハマるのがCASANOVAの強み。
シャープなスピード感、その上に乗るマイケル・ヴォスの
胸焦がすシャウトにメタル魂がメラメラと燃え上がる
アルバムでも1、2を争うお気に入りの楽曲ですよ。


CASANOVA - One Night Stand - Seal It With a Kiss ★★★ (2018-07-23 23:53:16)

アルバムを締め括る、これまた欧州風味の哀愁が匂い立つメロディックHRチューン。
但し、ベタつかずサラッと爽やかな辺りがこのバンドならでは。
その優れたメロディ・センスを的確に的確に引き立てる
マイケル・ヴォスのハスキーなシャウトと
ステファン・ノーマイアのセンスの良さを感じさせるGソロも美味なり。


CASANOVA - One Night Stand - Ticket to the Moon ★★★ (2018-07-23 23:59:06)

思いっきりアメリカンに振り抜いたグルーヴィーなロック・ナンバー。
しかしながら高いヒット・ポテンシャルを感じさせるサビメロは、
一緒に歌わずにはいられないキャッチネスが充満していて、
バンドの非凡な曲作りのセンスに感服させられる次第。


CASBAH - BAREFOOTED ON EARTH ♯1 ★★ (2007-03-05 22:00:00)

「人間のネガティブ面とポジティブ面を炙り出す」コンセプト作品として、'99年に連続リリースされた
2枚の4曲入りマキシ・シングルのうち、「ネガティブ面」にスポットを当てた本作は、その第1弾。
と言っても、別に歌詞にストーリー性があるわけではないようで、楽曲的にも「ネガティブ」という
言葉から連想されるような、内に篭ったダークな雰囲気は皆無。
アグレッシブでグルーヴィな①、地響き立てて突進してくる様がド迫力な②、前半で溜めて後半で炸裂する
緩急の効いた③、このバンドには珍しい(?)勇壮なツインGのハーモニー・プレイをフィーチュアした④と、
1stフル・アルバム『BOLD STATEMENT』の作風の延長線上にある、外へ向かってエネルギーを
撒き散らす、パワフルなスラッシュ・チューンの数々が揃えられている。
個人的には、よりバラエティに富んだ楽曲を収録した第2弾作品よりも、こちらの方が好みかな。
唯一の不満点は対訳が付いていない事ぐらいのものだ。(何で日本のバンドって対訳が付いてない場合が多いのだろうか?)


CASBAH - BAREFOOTED ON EARTH ♯2 ★★ (2007-03-05 22:27:00)

『BAREFOOTED ON EARTH ♯1』の続編として'99年に連続リリースされた、コンセプト作品の第2弾。
今度は「人間のポジティブ面にスポットを当てた作品」なんだとか。
コンセプトはあってもストーリー性はないという点は第1弾シングル同様。また「ポジティブ」といっても、
別にポップになったり、メジャー・キーで曲作りが為されているわけでもないので誤解なきよう。
グルーヴィなナンバーで幕を開けた前作に対して、今回は「これぞCASBAH!」たる強力な高速スラッシュ・チューンの
①で掴みはOK状態。続くシリーズ随一のメロディアスさを誇る②で意表を突き、強烈にうねりまくる
③で圧倒し、激しくアップダウンを繰り返す④で一気に寄り切るという構成になっている。
第1弾シングルに比べると、より曲調に広がりが見られる分、即効性のインパクトはやや後退してしまった印象なんだけど、
でも、やっぱりスラッシャーなら名曲①のために本作を買いましょう。(個人的な一押しは②なんだけど)


CASBAH - BELIEVE OR BLEED - WORLD KNOW AS HISTORY ★★★ (2007-01-27 21:21:47)

戦車の突進の如き迫力を感じさせるミドル・チューン。
男の哀愁を発散させながら、しっかり「歌う」Voが素晴しい。
Gが奏でる“移民の歌"チックなフレーズも印象的。
『THE CALLING』と『BELIEVE OR BLEED』の2本のデモ・テープに収録されたが、
個人的には『BELIEVE~』バージョンの方がお気に入り。
ちなみに初期音源集『RUSSIAN ROULETTE』で両方を聴く事が可能。


CASBAH - BOLD STATEMENT ★★ (2006-04-12 20:10:00)

発表された時期を考えると、この混じりっ気なさは奇跡的とも言える
爆走型ピュア・スラッシュ・メタル・アルバム。
クオリティは高いもののキメ曲に乏しいとか、低域を膨らませ過ぎて鋭さに欠ける
サウンド・プロダクションがイマイチといった細部への不満も、
前のめりの全8曲、トータル・タイム僅か31分、曲間も殆ど無しという
怒涛の攻めの姿勢の前には吹き飛ぶと言うもの。
取り敢えず、聴き終えた後の爽快感はかなり大きい。


CASBAH - DINOSAURS ★★ (2015-12-07 23:42:52)

CASBAHが'98年に残した再録ベスト盤。それまで入手困難な状態にあった彼らの初期の名曲/代表曲の数々が、テープの伸びとかを気にせずに気軽に!まとめて聴くことが出来る!と発表当時かなり重宝致しました。
音質的には厳しいものがあったオリジナル版に比べ、向上著しいプロダクションは人によっては大歓迎でしょうし、スピーカーを食い破らんばかりの野太さで襲い来る羽鳥恭充のVoも、完全に嘗ての己を凌駕するド迫力。まさしくCASBAH入門編に打って付けの1枚です。
・・・と、良いこと尽くめのようでいて、個人的に本作に今ひとつ乗り切れぬまま今日へと至ったのは、締まりに乏しい音作りがあまり好きになれなかったせいなんですよね。後に発売された2枚組の初期音源集『RUSSIAN ROULETTE~NO POSERS ALLWED 1985-1994』』と聴き比べると、ラフでチープだが(であるがゆえに)煮え滾るような熱さや前のめりな勢いがダイレクトに伝わってきた『RUSSIAN~』に対し、パッケージとしてのクオリティの向上と引き換えに、本作からは切っ先の鋭さがボヤけてしまっているような気が・・・。
でもまぁ音質の評価なんて人それぞれですんで、やくたいもない愚痴はスルーして「CASBAHが生み出した名曲の数々を手っ取り早く体験出来る入門盤」として、レッツ・ビギン(村野武憲風に)


CASBAH - RUSSIAN ROULETTE ~NO POSERS ALLOWED 1985-1994 ★★★ (2006-11-12 12:10:00)

メジャー・デビュー以前に発表された、デモ・テープやLPの音源をまとめて収録した、2枚組ベスト(?)アルバム。
今となっては殆どが入手困難な作品ばかり、しかも、そのいずれもが1曲入魂の名曲揃いなので、
『BOLD STATEMENT』でCASBAHというバンドに興味を持った人間(俺だ)なら、非常に重宝する筈。
比較的最近の曲から始まり、どんどん過去へと遡っていくアルバム構成になっていて、楽曲に試行錯誤の跡が見受けられる
DISK-1も興味深いが、やはり迷いなくスラッシュ・メタル道を邁進しているDISK-2が、個人的にはツボ。
兎に角、楽曲に漲るエネルギーが半端じゃなく、音質的には今ひとつなれど(一応、リマスターはされてのかな)、
尋常ならざる前のめりな勢いの前には、そんなものは全く気にならない。
何しろ、過去の名曲群をリ・レコーディングしたベスト・アルバム『DINOSAURS』と比べても、
(録音技術には天と地ほどの開きがある筈なのに)楽曲に宿る「熱さ」「迫力」といった要素が桁違いなのだ。
これの前には『DINOSAURS』が色褪せて聴こる・・・というのが正直なところ。大好きなんですけどね、あのアルバムも。


CASBAH - Reach out ★★★ (2015-12-02 23:26:14)

結成30周年を祝う記念ライブが呼び水となってリリースが実現したという、CASBAHの2ndフル・アルバム。
十数年のブランクが開いたのに、いきなり叩き付けられるOPナンバー①が、破壊的に刻まれるGリフといい、グワシと鼻面掴まれて強引に引き回されるようなグルーヴといい、そして音楽から離れた生活を送っていたとは思えぬ、シャウト一発でどんな楽曲も自分色に塗り潰してしまう羽鳥恭充のドスの効いた歌唱といい、実に剣呑極まりない出来栄えで、「スゲェ、この人ら全然丸くなってないよ!」と。
並みの若造バンドなぞ歯牙にもかけない、百戦錬磨の凄みを放つ突撃ナンバー②⑦⑧で要所を締めつつも、アルバム全体としては、'99年発表のEP『BAREFOOTED ON EARTH』二部作の方向性を更に突き詰めた、一口に「スラッシュ・メタル」では括りきれない奥深さを有したサウンドを実践。中でも、徐々に内圧を高めていくグルーヴの沸騰に圧倒される④、逆にスカッと吹っ切れたバラード⑤、スラッシーな突進力と、パワー・メタリックなメロディを組み合わせ畳み掛ける⑦、起承転結がドラマティックに決まった⑨といった楽曲は、バンドが一回りも二回りもスケールアップして帰って来たことを伝えてくれる仕上がり。と同時に、それらの楽曲がいずれも本編のハイライトたりえるカッコ良さなのですから大したもんですよ。
こりゃあ確かにCASBAHの最高傑作。活動の継続を期待します。


CASBAH - Reach out - Five Thousand Feet ★★★ (2015-12-06 01:21:00)

これまで以上にしっかりと「歌う」羽鳥恭充のVoと、
トライバルなグルーヴ渦巻くリズムとが、クライマックス目掛けて
緊迫感をぐいぐい高めていく様に圧倒されていまいます。
CASBAHが一回りも二周りもスケールアップして帰って来たことを
物語る名曲ではないでしょうか。


CASBAH - Reach out - Inside Me ★★★ (2015-12-06 01:10:33)

「シンガー」としての実力を存分に発揮する羽鳥に、
叙情的な導入部に始まって、山あり谷あり、激しくドラマティックに
盛り上がっていく7分以上に及ぶ曲展開など、CASBAHの新生面を表すと共に、
アルバムのハイライト役も担う頼もしき大作曲です。


CASBAH - Reach out - Unsung Heroes ★★★ (2015-12-06 01:04:53)

実にCASBAHらしい直線的な突撃スラッシュ・ナンバーでありつつ
パワー・メタリックなコーラスには、聴く者の士気を鼓舞するかのような
力強さが宿っています。


CAUGHT IN THE ACT - Heat of Emotion ★★ (2010-02-03 22:48:00)

AXEのリーダー、ボビー・バースのバックアップを受けて'95年にデビューを飾ったコロラド州はデンヴァー出身の
5人組メロディアスHRバンドが、翌'96年に発表するや、1st『RELAPSE REASON』を更に上回る快作として
雑誌等で高く評価され、(特に日本に於いて)好セールスを記録した2ndアルバム。
聴き手の期待感を煽る重厚なイントロに始まり、同じフレーズを用いたアウトロで本編の幕が閉じるという
ドラマティックな循環構造が取られた本作は、アレンジのメリハリに関してはGUILD OF AGES時代に一歩及ばないまでも、
ポジティブなフィーリングと哀愁を兼ね備えた叙情メロディの威力に関しては、彼らの全作品の中でもトップクラス。
中でも、華には乏しいが情感豊かな節回しで聴かせるVo、美旋律を1音1音丁寧に紡ぎ出すG、そして
メンバー全員が「歌える」強みを活かした分厚いボーカル・ハーモニー(ハスキーなボブ・ハリスの
シャウトは絶品)が楽曲の持つ爽快感を数倍にも引き上げる名曲⑨は、アルバムのハイライト・ナンバー
であるだけでなく、個人的に、このバンドの全楽曲の中で最も愛して止まない1曲だったり。
似通ったテンポの楽曲が続く本編の流れには単調さを感じなくもないが、メロディの充実度はその欠点を補って
大きく余りある。既に廃盤の作品ながら中古が安く入手可能なので、メロディアスHRファンは是非。


CAVALERA CONSPIRACY - Blunt Force Trauma ★★★ (2011-05-07 23:09:02)

SEPULTURAやSOULFLYの新作以上に期待していた、マックス(Vo)&イゴール(Ds)のカヴァレラ・ブラザーズ・バンドの2ndアルバム。
スラッシュ・メタル・リバイバルが盛り上がる昨今、彼らもまた、その波に乗った内容の作品を提示してくるかと思いきや、既に確固たる個性を確立済みの人達の集まりゆえ、安易に時流におもねるような真似はせず、マックスの強靭で剣呑な咆哮と、イゴールが叩き出す重く骨太なリズムを中心に据えて激しく脈動する、デビュー作で披露した苛烈極まりないエクストリーム・メタル・スタイルには微塵の揺るぎもなし。
ただ一聴してハッキリと分かるように、前作以上にオールド・スクールな要素は増強されており、特に、硬質且つ破壊的なリフを刻む一方、リードからソロ・パートに至るまで、鮮烈にしてドラマティックなGプレイを狂い咲かせるマーク・リゾ(G)の存在は本編の肝。
前作を遥かに上回る、濃厚な正統派HMテイスト背負った彼の流麗な演奏をフィーチュアしつつ、尖がったアグレッションと緊迫感を撒き散らかしながら畳み掛ける楽曲の数々には、名盤『ARISE』や『BENEATH THE REMAINS』を発表した頃のSEPULTURAっぽさが確実に息衝いている。特に殺傷力抜群の②、AGNOSTIC FRONTのロジャー・ミレット(Vo)もゲスト参加している③、“THRASHER”なるタイトルからして直球勝負の⑤といった高速ナンバーのカッコ良さは出色。
スピーディでバイオレントなだけでなく、デビュー作以上にキャッチーで取っ付き易い作品。「昔はSEPULTURAが好きでした」と過去形で語るスラッシャーにもお薦めできる1枚。


CAVALERA CONSPIRACY - Blunt Force Trauma - Lynch Mob ★★★ (2011-05-07 23:25:24)

緊迫感を伴ったリフ/リズム・ワークからは
オールドスクールなスラッシュ・メタル風味が
強く感じられ、個人的には2ndアルバム収録曲の中で
最もお気に入りの名曲。
AGNOSTIC FRONTのロジャー・ミレットが
ゲストVoとして参加。


CAVALERA CONSPIRACY - Blunt Force Trauma - Thrasher ★★ (2011-05-07 23:26:31)

名は体を表す。
要するにそういう楽曲ですね。


CAVALERA CONSPIRACY - Blunt Force Trauma - Torture ★★★ (2011-05-07 23:22:26)

猛烈な勢いでガリガリと刻まれる
殺傷力満点のGリフと、マックスの野太い怒号、
それにマーク・リゾの流麗なGプレイとが
イゴールの怒涛ドラミングに乗って突進する
2分弱のハードコア・チューン。
いやぁ、カッコイイ。


CAVALERA CONSPIRACY - Inflikted ★★ (2010-03-16 21:06:00)

マックスとイゴールのカヴァレラ兄弟が恩讐を乗り越え再タッグを組み、'08年に発表した作品。
『ROOTS』以降のSEPULTURAのアルバムは今ひとつ好きになれなかったし、SOULFRYに至ってはまともに聴いた事すらない
という酷い有様ゆえ、このプロジェクトにもさして期待していなかったのだが、実際に聴いてみたら、これが
人間離れしたマックスの怒号Voと、圧倒的音数の多さで畳み掛けて来るイゴールのドラミング、それにテクニカルな
Gが終始高いテンションを保って怒涛の如く突っ走る、曲によっては『ARISE』の頃のSEPULTURAを
思わせたりもする、無茶苦茶カッコイイ作品に仕上がっていて驚いたの何のって。何せ、かのPOSSESSEDの名曲
“THE EXORCIST"のカヴァー⑫(例のイントロもちゃんとアコギで再現)と他の楽曲を並べて聴いても
全然違和感がないのだから、この作品のスラッシュ・メタル指数の高さが分かろうというもの。
取り分け、本編を流麗に彩るマーク・リゾのGプレイは、時にカヴァレラ兄弟以上の存在感を発揮する程で、
⑧のGソロなんてドラマティックと表現しても差し支えないうえ、⑨のようなゴリゴリのハードコア・チューンにすら
正統派ヘヴィ・メタリックなGプレイを持ってフックを作ってくれるのだから有り難い。
無論、単純にスラッシュ・メタルという狭い枠内で括るには無理がある、多彩でモダンな味わいも備えた
(トライバルなリズムもそこココで聴ける)本作なれど、嘗て1度でもSEPULTURAにハマッていた事がある
HR/HMファンなら、一聴の価値がある作品なのは確か。こうなるとSOULFRYが聴いてみたくなりますね。


CAVALERA CONSPIRACY - Inflikted - The Exorcist ★★★ (2010-03-16 21:25:13)

POSSESSEDの名曲のカヴァー。
イントロの“TUBULAR BELLS"のメロディも
ちゃんとアコギで再現されており、
オリジナル・バージョンの唯一にして最大の弱点だったDsも、
イゴールが叩く事によって改善されているのだから、
これはもう文句なしの名カヴァー認定。


CENTAUR - Power World ★★★ (2011-02-23 22:21:06)

ギリシャ神話に登場する半人半馬の怪物「ケンタウルス」(の英語発音)をバンド名に戴く、ドイツはノルトライン・ヴェストファーレン州デュイスブルク出身の6人組が、デビュー当時の所属レーベルNO REMORSEの倒産にもめげず、'94年に発表した2ndアルバム。
泣きの入ったクサメロを次々に紡ぐ2本のGと、クラシカルな旋律で楽曲を荘厳に肉付けするKeyを核に、北欧的な冷やかさと、ドイツのバンドならではの骨太な重厚感を併せ持った様式美HMを聴かせてくれるそのサウンドの醍醐味は、バッハの“TOCCATA”を引用したドラマティックなOPナンバー①から早くも全開。(プロデュースをラルフ・ヒューベルトが手掛けているのも然もありなんといった感じ)
これ以降も、PVが作られた④、CENTOUR版“HEAVEN AND HELL”といった趣きの⑤、鋭角的且つリズミックなGリフが印象的な⑦、美しいコーラスを纏ってキャッチーに疾走する⑨等、マイナーなクサメロが横溢する名曲/佳曲が全編に渡ってひしめいており、リリース当時はかなり愛聴させて頂いた記憶があるのだが、今の若人にしてみりゃ、ぶっきらぼうで音程の甘いVoや鈍重なDsが野暮ったくて聴けたもんじゃない・・・か?
アルバムを発表する毎に、洗練と引き替えクサメロの煽情力が低下して行ったバンドだが、本作は彼らのカタログの中でも両者のバランスが最も良好に保たれた1枚。
CENTAURの最高傑作?確かに。


CENTAUR - Power World - Part of Me (J.S.B.) ★★★ (2011-02-23 22:29:03)

バッハに捧げられたクラシカルなイントロを経て、
パワー・メタリックなGリフが走り出す
劇的極まりないOPナンバー。
ピッチの甘いVoとキレに欠けるDsが大きな弱点のバンドなれど
そのVoが歌う憂いを帯びたメロディは非常に魅力的だし、
泣きの入ったG、リリカルなKey、そして美しいコーラスの魅力は
それらの弱点を補って余りある素晴しさ。


CERBERUS ★★ (2008-02-17 09:05:00)

YOUNG GUITER誌が主宰する新人開発オーディションで、高い評価を得た高田明(G)と、
名古屋出身で、スラッシュがかったパワー・メタルを聴かせるHELLGENOMの松田大二郎(Vo、B)が
イベント「HARD ROCK SUMMIT」を切っ掛けに知り合い意気投合、結成へと至ったパワー/スラッシュ・メタル・バンド。
最後にドラマーとして、OUTRAGEの丹下真也が合流してラインナップが完成。韓国で行われた日韓交流ライブに
参加する傍ら、ソウルでレコーディングした5曲入りEP『CERBERUS』を'05年に発表。
当初は助っ人としてドラムを叩いていた筈の丹下も(居心地が良かったのか)正式メンバーとして参加を表明、
'07年には、オーストラリアでレコーディングされた1stフル・アルバム『FEAR NO DECAY』もリリースされている。
サウンドの方は、初期OUTRAGEの突進力に、TANKの男気と哀愁を注入したかのようなパワー/スラッシュ・メタルで、
怒涛の如く押しまくりつつも、力強く歌うVoと、劇的なソロを連発するGがメロディもしっかりとフォロー。
スラッシャーのみならず、一般のメタル・ファンにもアピールし得る音楽性を備えている。


CERBERUS - CERBERUS ★★ (2008-02-15 23:51:00)

どういう経緯を辿ったのかはよう分からんが、ともかく、ギター講師も務める実力派ギタリスト高田明と、
名古屋出身のスラッシュ・メタル・バンドHELLGENOMの松田大二郎(Vo、B)、そしてご存知、OUTRAGEの丹下真也(Ds)という
面子で結成されたトリオ・スラッシャーが、'05年に発表したセルフ・タイトルのデビューEP。
店頭に並んでいたところを、何の予備知識もなしに「スラッシュ・メタル」「丹下真也」というキーワードに釣られて
購入した作品だったが、これが大当たり。まさにバンド名に相応しい迫力で、噛み付くように突っ走る①に始まり、
猛々しく重量感に溢れた②、畳み掛ける高速スラッシュ・チューン③、激烈な疾走感と、メロディックなインスト・パートの
組み合わせが絶妙な④、本編中、最も正統派HM色が濃い劇的なラスト・ナンバー⑤まで、全5曲、最初から最後まで
初期OUTRAGEばりのストレートでピュアなパワー/スラッシュ・メタル・サウンドが詰め込まれていて、思わずガッツポーズ。
バンドの重要な推進力となっている丹下のパワフルなドラミング、破壊的なリフを刻む一方で、構築美の高い
ドラマティックなソロを連発する高田のG、羽鳥恭充を思わせる濁声シャウトと、メロディアスな歌い上げを使い分ける
松田のVo(HELLGENOMでの歌唱とはかなり印象が異なる)とが一塊となって突進するサウンドは、3人編成とは思えぬ厚みと
迫力を誇り、本作は、舶来志向のスラッシャーをも振り向かせるクオリティを備えた1枚に仕上がっているんじゃないかな、と。


CERBERUS - CERBERUS - P.A.S.&C. ★★ (2008-02-15 23:57:57)

濁声シャウトと、メロディアスな歌い上げを使い分けるVoを
活かして、スピーディに畳み掛ける高速スラッシュ・チューン。
激烈な曲調と対照的な、メロディアスなGソロが印象的。


CERBERUS - CERBERUS - THE COUNTDOWN TO DEATH ★★ (2008-02-15 23:55:25)

まさにバンド名に相応しい、
獣の如き突進力を誇るEPのOPナンバー。


CERBERUS - CERBERUS - ULTIMATE WEAPON OF YOU ★★★ (2008-02-16 00:11:39)

タメの効いたGによるメロディアスなイントロから
怒涛の疾走を開始する、雄々しくドラマティックな
EPのラスト・ナンバー。
起承転結を備えた曲展開は、スラッシュ・メタルというよりも
正統派へヴィ・メタルのノリに近い。


CERBERUS - FEAR NO DECAY ★★ (2008-02-16 23:21:00)

5曲入りEP『CERBERUS』で'05年にデビューを飾った、松田大二郎(Vo、B)、高田明(G)、丹下真也(Ds)ら、名うての
ミュージシャン達によって結成されたスラッシュ・メタル・バンドが、更なる結束を得て'07年に発表した、待望の1stフル・アルバム。
初期OUTRAGEを思わせる破壊力抜群のリフ、疾走感と重量感を兼ね備えたリズム、そして、正統派HM然とした構築美溢れる
インスト・パートをフィーチュアした、猛々しくもメロディックなパワー/スラッシュ・サウンドは、基本的にはデビューEPの
延長線上にある作風ながらも、スラッシュ色が強かった前作に比べると、今回は4人編成時代のTANKを彷彿とさせる、「戦う男の哀愁」が
漂ってくるかのような、よりメロディ重視の姿勢が打ち出されているのが特徴か。(丹下の趣味が大きく反映された結果なのかな?)
その最たる例が、スラッシーな攻撃性と、硬派な哀愁が絶妙な融合を見た②で、松田のVoも
どことなくアルジー・ワード風に響く、男泣きの名曲に仕上がっています。
その他にも要所に配された、劇的なインスト曲⑤、元DUNGEONのスチュ・マーシャルがゲスト参加して、JUDAS PRIESTばりの
ツイン・リードを炸裂させる正統派へヴィ・メタリックな⑥、メロウに始まり、激しく盛り上がるダイナミックな⑨といった楽曲が、
本編の流れに起伏を作り出し、且つ、①④⑩といった高速スラッシュ・チューンのカッコ良さを、一層引き立たせる役割を
果たすという隙のない構成。最近のOUTRAGEの作品に物足りなさを覚えているスラッシャーは、こちらを是非。


CERBERUS - FEAR NO DECAY - FORCES ★★ (2008-02-17 09:46:09)

本編を締め括る、問答無用の高速スラッシュ・ナンバー。
直線的な疾走感と、サビメロの雄々しい展開の落差も印象的。
元CASBAHの羽鳥恭充がゲストVoとして参加。


CERBERUS - FEAR NO DECAY - MY LIFE IS RUNNING OUT ★★ (2008-02-17 09:42:46)

ドラマティックなインスト曲“DAWN OF NEW OYNASTY"から繋がる
怒涛の如きスラッシュ・メタル・チューン。
元DUNGEONのスチュワート・マーシャルがGとしてゲスト参加、
インスト・パートにおいて、JUDAS PRIESTばりの
劇的なツイン・リードを炸裂させている。


CERBERUS - FEAR NO DECAY - NO EFFECT ★★★ (2008-02-17 09:35:47)

効果的にアルペジオを用いて、
TANKばりの「戦う男の哀愁」を撒き散らしながら
ザクザクと切り刻むように疾走するパワー・チューン。


CEREBRAL FIX - Tower of Spite ★★ (2009-06-20 23:19:00)

JUDAS PRIESTやBLACK SABBATH等、数々の名バンドを輩出してきたイギリスはバーミンガム出身の5人組が、
デビュー作の好評を受けROADRUNNER RECORDSと契約後、'91年に発表した2ndアルバム。
巨漢ドラマー、アンディ・ベイカーの叩き出す緩急に富んだ極太のリズムに乗って、濁声Voが吼える
オカルトを題材にした歌詞の数々・・・といった要素から、デス・メタルの枠内で語られる機会の多かったバンドなれど
(実際、それも道理のアグレッションを備えているのだが)、ヘヴィ・リフが引き摺るように刻まれる
もろBLACK SABBATH風味の③を筆頭に、如何にも英国然とした暗さと湿り気、そして、そこはかとないドラマ性が
薫る楽曲の数々からは、70年代HRからの影響も強く匂い立つ。(とか偉そうに言っても、彼らの作品はコレしか持っていない)
取り分け、ドゥーム・メタルばりのヘヴィネスと、スラッシーな疾走感が巧みに組み合わされた②や、ダークで圧迫感に
満ちた曲調の合間から陽光が差し込むかの如く、美しいメロディを紡ぎ出すツインGにハッと胸を突かれる⑧といった楽曲は、
本編のハイライトを飾るに相応しい、CEREBRAL FIXというバンドの魅力が遺憾なく発揮された名曲じゃないでしょうか。
濁声Voを許容できるかどうかによって、好き嫌いがハッキリと分かれそうな作品ではあるが、SEPURTULA時代の
マックス・カヴァレラがリスペクトを捧げていたという話も納得の力作。
スラッシュ/デス・メタル・ファンのみならず、ドゥーム・メタル・ファンもどうぞ。


CEREBUS - Too Late to Pray ★★★ (2017-02-27 22:50:04)

ノースカロライナ州出身の5人組が、NEW RENAISSANCE RECORDSのオムニバス盤『SATAN’S REVENGE』に楽曲提供を行った翌年、’86年に発表したデビュー作がこれ。
OPナンバー①においてBと2本のGが忙しなくハモる様や、クイック且つスリリングに走り抜けるインスト曲⑦が発する構築感、または収録曲の随所に用意された落差の大きな曲展開等、IRON MAIDENからの多大なる影響を感じずにはいられない正統派HMサウンドには、アメリカのバンドらしからぬダークな湿り気が渦を巻いています。(単に垢抜けないだけとも言えますが)
レーベルがレーベルゆえ音質は相当に薄っぺらいものの(ジャケットはNRRのものとしてはかなりマシな方)、しかしレット・フォリスター似の声質のVoをフィーチュアして勇壮に飛ばしまくる①、メロウなイントロからパワフルに展開していく③やアルバム表題曲④、静と動の対比も劇的な⑥、重厚且つメロディアスに本編の幕を引く⑧といった高品質な楽曲の数々を前にすれば、多少の粗はむしろ愛嬌として殆ど気になりません。加えて、CD化に際して本編にはボーナス・トラックとしてレアな’87年発表の4曲入りEP『LIKE A BANSHEE ON THE LOOSE』からの楽曲も収録されていて、アグレッシブなパワー・メタル色が増量されたこれらがまた『THUNDERSTEEL』を発表した頃のRIOTを彷彿とさせる出来栄えで、どえらくカッコイイというね。
「どうせNEW RENAISSANCE RECORDSの作品でしょ?」と舐めて掛かると、足元をすくわれる1枚。底は浅いが奥は深いですよ、あのレーベル。


CEREBUS - Too Late to Pray - Catch Me If You Can ★★★ (2017-02-28 22:44:16)

Voと楽器隊が押しまくって直線的に突っ走る
パワー・メタル・ナンバー…と思わせて
中間部とスッと引いてドラマティックに
聴かせてみせる曲展開が技あり。
思わず「おっ」と声が出てしまいました。
泣きのGソロと、直後に続くメイデン風味の
ツインリードGの疾走感も良い。


CEREBUS - Too Late to Pray - Too Late to Pray ★★★ (2017-02-28 22:52:39)

音質のせいもあってちょいキレ不足に響きますが
重厚な導入部からどんどんパワーと速度を高めていく
曲展開には文句なしでアガります。


CHANNEL ZERO (2011-03-09 22:07:18)

FEAR FACTORYのクリスチャン・オールド・ウォルバースなんかも在籍し、2枚のスタジオ・アルバムを残して解散したベルギーの名門スラッシュ・メタル・バンド、CYCLONEのメンバーだったエグゼヴィア・カリオン(G)が、ブリュッセルにて'90年に結成したパワー/スラッシュ・メタル・バンド。
といっても、LAAZ ROCKIT+FORBIDDENライクなパワー/スラッシュ・メタルを演っていたのはセルフ・タイトルのデビュー作('92年)ぐらいのもので、PANTERAのヴィ二ー・ポールがエンジニアリングを手掛けた2nd『STIGMATIZED』('93年)以降は、「PATERAに対するベルギーからの返答」なんてありがちなキャッチコピー付けられるぐらい、モダンなヘヴィ・ロック路線を迷いなく邁進。
なのでどんどん彼らに対する興味はフェードアウトしていったのだが、バンド史的にはこの時期の方がより重要なのは間違いなく、'97年の解散まで、ベルギー国内においてはかなりの人気を誇ったとのこと。
'10年に行われた再結成ライブでは1万人以上の観衆を集めたというから、その人気の根強さが確認できる・・・のだが、正直好みの音楽性じゃないのであまり興味が沸かないのであった。(酷)


CHANNEL ZERO - Channel Zero ★★★ (2011-03-10 22:39:52)

ベルギーのスラッシュ・レジェンド、CYCLONEのメンバーだったエグゼヴィア・カリオン(G)らによって結成されたパワー/スラッシュ・メタル・バンドが、'92年にドイツのSHARK RECORDSから発表したセルフ・タイトルのデビュー作。
メロディをしっかりと追いつつ、語尾をシャープ気味に吐き捨てる歌唱法がマイケル・クーンズを思わすVoと、堅牢に編まれたリズムと重厚な音作りがLAAZ ROCKIT風で、摩擦係数高めのGリフに、疾走感と構築感を併せ持った楽曲は初期FORBIDDEN風・・・と、まぁ要するにもろベイエリア・スラッシュ風味のサウンドを、アルバム全編に渡ってパワフルに展開(②のイントロなんてLAAZ ROCKITの“PRELUDE”まんま)。音だけ聴いたら絶対にベルギーのバンドだとは思わんですよ、これ。
流石に前記2バンドほど演奏にキレはないが、収録各曲のカッコ良さの平均値はかなりのレベルで、重量感溢れるリズムに乗って、鋭利なGリフが疾走する様はガッツポーズ物のカッコ良さ。特に本作の魅力が凝縮されたOPナンバー①と、メロディックなツインGとダイナミックな曲展開が炸裂する⑦は、アルバムのハイライト的な名曲。
次作以降顕著になるヘヴィ・ロック路線で成功を収めたCHANNEL ZERO的には、本作は実は例外的な内容だったりするのだが、とは言えその素晴しさは未だに色褪せない。リリース当時は、FORTEやMYSTIKのデビュー作なんかと共にかなり聴き込んだ覚えがある、非常に愛着ある1枚。


CHANNEL ZERO - Channel Zero - Painful Jokes ★★★ (2011-03-10 22:44:28)

横ノリの前半から、ザクザクと切れ味鋭く疾走する
後半へと移行するスラッシュ・ナンバー。
メロディックに絡み合う2本のGが素ン晴しいったら。


CHARIOT - Burning Ambition ★★ (2014-09-17 22:28:25)

音質の大幅な向上に加えて、収録楽曲に更なるキャッチーさが加わったことで、デビュー作以上の高評価を獲得することに成功した'86年発表の2ndアルバム。BURRN!!誌のレビューでも、1stが創刊号で50点食らってたのに比べ、こっちは80点台まで点数がUPしてましたっけね。
軽快に駆け抜ける⑨のような、いっそ「ポップ」とさえ言えそうなタイプの楽曲も収められている本作ですが、それでも彼らの出す音が、相変わらずどうしようもないぐらい初期NWOBHMスタイルを踏襲していることは、シンプルにサウンドを牽引するリフ&リズム、くぐもり声の熱唱型Vo、ウェットなメロディを奏でるツインGを一聴しただけで明らか。
特にOPを飾る①なんて、凝ったアレンジも曲展開もお呼びじゃない、ザク切りキャベツと白飯だけで頂く男料理の如きソリッドな名曲ですよ。泣きのバラード⑧や、ハードな⑥なんかも個人的にはお気に入り。
BON JOVIを代表とするポップ・メタル勢と、METALLICA筆頭のスラッシュ・メタル勢が続々名盤を発表し、意気上がりまくりだった'86年当時のHR/HMシーンに、彼らのようなタイプのバンドの居場所がなかったことが不運でありましたね。


CHARIOT - Burning Ambition - Screams The Night ★★★ (2014-09-17 22:34:06)

実にNWOBHMらしい、ソリッドで男気溢れる名曲。
「TANKがカヴァーした“NEON KNIGHTS”」という
例えがドンピシャ過ぎて、他に言うべきことが思い浮かびませんね。


CHARIOT - The Warrior ★★★ (2014-09-15 21:25:28)

スティーヴ・ハリスの庇護を受け、DIRTY DEEDS~DEEDSと改名した後、メイデンの前座で来日公演も行っているピート・フランクリン(Vo、G)率いる4人組が、ロンドンの名物レコード店が興したSHADE RECORDSを通じて、'84年に発表した1stアルバム。
エッジーなGリフとシンプルに刻まれるリズムを主体に、虚飾もヒネリもなくストレートに突き進む曲調といい、くぐもった声質で生煮えなメロディを熱唱するVoといい、ツインGが紡ぐ英国の曇り空を思わす湿った旋律といい(ついでにロー・パジェットな音質といい)、「NWOBHM」と聞いて想起する要素をまとめて全部ブチ込んでみました的な作風に思わず頬が緩みます。
ここにはNWOBHM史に残るような名曲は収められていませんが、名を成したバンドのように個性的には突き抜けていない分、NWOBHMの旨み成分が雑味なく高純度で凝縮。「NWOBHM風って具体的にはどんな音像なん?」と仰る方には「これを聴き給へ」とお薦めしたくなるぐらいですよ。
ズバ抜けた名曲が見当たらないと言っても、収録楽曲のクオリティは安定していて、中でも鋭角的に刻まれるGリフに自然と体が動き出す①⑤⑨や、叙情的な導入部を経て、ツインG主導でテンポアップする曲展開に胸が熱くなる⑧等は、聴く度に喝采を送りたくなる逸品ではないかと。
一般的には次作の方が評価が高いようですが、個人的には本作の方が聴き直す機会が多いですね。


CHARIOT - The Warrior - Horizons ★★★ (2014-09-16 22:45:17)

叙情的に始まり、ツインGに先導される形で
テンポアップして盛り上がり、最後は再びメロウに
締め括られると言う、NWOBHMの様式美を体現するかの
如き曲展開にメタル魂が燃え上がる逸品。
アルバムのハイライトではないでしょうか?


CHARIOT - The Warrior - Love Or Leave Me ★★ (2014-09-16 22:35:23)

シンプルでエッジーなGリフに、
頭振るのに丁度良いテンポで刻まれるリズム、
湿ったメロディを熱唱するシンガー・・・と、
1㍉たりともNWOBHM道からはみ出すことなく
実直に突き進むOPナンバー。
ブーム末期の活動で知られるバンドですが
出してる音は何から何まで初期NWOBHMしてて
思わず笑みがこぼれます。


CHARIOT - The Warrior - Warriors ★★ (2014-09-16 23:00:23)

シンプルにして煽情力の高いGリフに
アガリまくるアルバム表題曲。
同一フレーズの繰り返しながら
ぐんぐんテンションを高めていく
インスト・パートは、HMのプリミティブな
カッコ良さに満ち溢れていて最高ですよ。


CHASTAIN - Mystery of Illusion ★★ (2009-01-28 22:52:00)

デヴィッド・T・チャステイン(G)が、それまで作り溜めてきたマテリアルの数々をレコーディングするため、マイク・ヴァーニーから紹介された元RUDE GIRLSのレザー・レオーネ(Vo)、SPIKEやCJSSの僚友マイク・スキマーホーン(B)、後にCINDRELLAに参加するフレッド・コウリー(Ds)という面子を集めて結成したCHASTAIN。本作は、その彼らが'84年に発表した1stアルバムに当たる。
デビュー作という事で、全体的に未洗練で荒削りな雰囲気が濃厚に漂うものの、ダークでミステリアス、且つドラマティックな様式美パワー・メタル路線という、このバンドの基本的音楽スタイルは既に確立済み。
中でも構築美に溢れたスリリングなGプレイと、赤尾和重(TERRA ROSA)、ドロ・ペッシュ(WARLOCK)、アン・ボレイン(HELLION)と並んで「女ロニー・J・ディオ四天王」と崇め奉られた、レザー姐さんの男勝りなパワフルVoは本作最大の聴き所と言っても過言ではない。
凝ったアレンジで聴かせきる③、スラッシュ/スピード・メタルからの影響が伺える④、重く劇的なバラード⑤、分厚く重ねられたイントロのGハーモニーが印象的な⑥、レザーのハイポテンシャルな歌唱力が堪能できる⑨等、収録曲も粒揃い。
長らく廃盤状態が続き、市場でも中古盤が高額で取引されていたが、先日、遂にリマスター盤の再発が叶ったので、この機会に様式美HMファンの方々は是非ご一聴を。


CHASTAIN - Ruler of the Wasteland ★★ (2009-01-31 21:42:00)

デビュー作の好評を受け、単なるレコーディング・プロジェクトに過ぎなかったCHASTAINの活動継続を決めたデヴィッド・T・チャステイン(G)は、レザー・レオーネ(Vo)、マイク・スキマーホーン(B)、そしてCINDRELLAへと去ったフレッド・コウリーの後任に、元FIFTH ANGELのケン・メリー(Ds)を加入させバンドを再建。'86年にSHRAPNEL RECORDSより本2ndアルバムを発表する。
「気品を減らした分、アグレッションを増量したJUDAS PRIEST」といった趣きの作風は前作の路線を踏襲しつつも、今回はLAの仕事人ことケン・メリーを得た事でサウンドがグッと引き締まり、楽曲の重厚感、ドラマ性といった要素が大幅向上。デヴィッドのGプレイも前作以上に印象的なフレーズを連発しており、相変わらず力強いレザーのVoと共に、楽曲のハイライトを形成している。
イントロから、切り裂くようにGが踊るOPナンバー①に始まり、ケン・メリーのシャープなドラミングが映える②、ファン人気の高い勇壮な疾走チューン④、後にHAMMERFALLがカヴァーする荘厳なヘヴィ・バラード⑤、小技の効いたGプレイが堪能できる⑥、エピカルな雰囲気を漂わせた⑦⑨といった楽曲に至るまで、収録曲のクオリティは確実にデビュー作を上回る、充実した内容を誇る1枚。
個人的に「SHRAPNEL風メタル」と聴くと、本作のような音を思い出しますね。


CHASTAIN - The 7th of Never ★★★ (2012-11-26 22:40:21)

BURRN!!誌のレビューで90点台の高得点を獲得したことで知られる'87年発表の3rdアルバム。
ドスを効かせたレザー・レオーネの男前な歌いっぷり、益々精度を高めたデヴィッド・T・チャステインのテクニカルなGワーク、ダイナミックに暴れ回る手練のリズム隊をフィーチュアした本作は、ダークでアグレッシブ・・・まぁ要するにド直球の「SHRAPNELメタル」としか表現のしようのないパワー・サウンドを、相変わらず迷いなく突き進んでいて頼もしい限り。
ただ、前2作と比較した時(特にアップテンポの楽曲において)平板な歌メロのフックの弱さが気にならなくもないかな?
それでも、そうした弱点は聴き進めるに従って徐々に改善されていき、ミスティックなヘヴィネスが渦を巻く⑤、音数多めのケン・メリーのドラミングが冴える⑥、レザー姐さんのパワフルな歌唱が聴きモノの⑦、各楽器の見せ場が盛り込まれた⑧、そしてラストをドラマティックに盛り上げてアルバムの幕を引く⑨・・・といった具合に、本編中盤以降は力瘤る名曲の連発にテンションうなぎ上り。このアルバムに関して言えば、疾走曲よりもタメの効いたヘヴィ・ナンバーの方がカッコイイ印象がありますね。
音作りも旧作と比べて幾らか進歩の跡が伺えますので、次作『THE VOICE OF THE CULT』と併せてCHASTAIN入門編にお薦めする1枚です。


CHASTAIN - Voice of the Cult ★★★ (2009-01-26 22:14:00)

ポール・ギルバート、トニー・マカパイン、ヴィニー・ムーアらと共に、「ネオ・クラシカル四天王」として80年代の速弾きブームを彩ったギタリストの一人、デヴィット・T・チャステイン率いるパワー・メタル・バンドCHASTAINが、'88年にチャステイン自身が運営するLEVIATHAN RECORDSから発表した4thアルバム。
ギタリストとしても、コンポーザーとしても確かな実力を備えながら、レーペル運営にプロデューサー業、ソロ・アーティストとしてのインスト・アルバム作り、そして無数の名義でのセッション活動・・・と、軸足のハッキリしない(節操のない)音楽活動が災いしてか、イマイチ日本では評価されなかった彼氏。だが、だからと言ってこのCHASTAINが残した数々の名盤の価値が損なわれる事はない。中でも本作は、ダークでドラマティックな収録曲のクオリティといい、ギタリストとしてのエゴを殆ど感じさせない、楽曲を盛り上げることを最優先にしたデヴィッドのGプレイといい、そして何より「女ロニー・ジェイムズ・ディオ」の称号を戴くレザー・レオーネのパワフルなVoといい、従来の作品よりも一皮向けた貫禄が漂う、バンドの代表作と呼ぶに相応しい内容に仕上がっていると言える。
特に、劇的なイントロに導かれてスタートする「これぞ様式美!」なアルバム表題曲①や、アコギがミステリアスな雰囲気を演出する④、本編クライマックスをドラマティックに飾る、レザーの熱唱が映えるラス曲⑨は、CHASTAINの何たるかを端的に物語る名曲。
既に廃盤状態の国内盤の入手は困難のようだが(願・リマスター再発)、輸入盤ならば安価での購入が
可能なようなので、CHASTAIN未体験の様式美HMファンの方は、入門編として1枚いかがでしょうか。


CHASTAIN - Voice of the Cult - Take Me Home ★★★ (2009-01-26 22:25:08)

4thアルバムのラスト・ナンバー。
効果的に取り入れられたアコギやKey、
そして何より、力押しのみに留まらない、幅広い表現力を備えた
レザー・レオーネのパワフルな歌唱が、楽曲の持つ
荘厳さやドラマ性といった要素を一層引き立てている。
名曲。


CHASTAIN - Voice of the Cult - Voice of the Cult ★★★ (2009-01-26 22:19:17)

劇的なイントロから疾走へと転じる
導入部のカッコ良さだけで完全にノックアウトされる
CHASTAIN屈指の名曲。
この曲におけるレザー姐さんの歌唱は
まさに「女ロニー」の如き迫力を誇る。


CHATEAUX - Chained and Desperate ★★★ (2017-04-12 23:10:39)

'81年、ティム・ブロウトン(G)によって英国のチェルトナムで結成されたSTEALERが、EBONY RECORDSのコンピ盤『METAL MANIAX』への参加を契機にバンド名をCHATEAUX(シャトー)と改めて、'83年に同レーベルから発表した1stアルバム。
デビュー・シングル『FIGHT TO THE LAST』(’82年)ではアレックス・ヒューストン(B)がVoを兼任していましたが、本作でフロントマン役を担うのは誰あろうスティーヴ・グリメット。この翌年にはGRIM REAPERで(やはりEBONY RECORDSから)デビューを飾ることとなる彼氏が何故ここで歌っているのかその理由はよう分かりませんけども、取り敢えずこの頃から既に歌の上手さがズバ抜けていたことはハッキリしています。
音楽性の方もGRIM REAPERと同一のNWOBHM路線…というかアレをもっと野暮ったくした感じのサウンド。音の悪さじゃ人後に落ちないEBONY作品ゆえプロダクションは粗悪極まりなく、相当に聴き手を選ぶ作品であることは否定しえないのですが、だとしても、チリチリとした音色で刻まれるGリフがソリッドに疾走し、その上でスティーヴが強靭なシャウトを轟かせる様にメタル魂にボッと火を点される⑤を始め、HM以外の何者でもないカッコ良さを主張する収録曲の数々からは、音の悪さや垢抜けなさといった弱点をぶっちぎるサムシングが感じ取れるのではないかと。特にバンドのテーマ曲(なのか?)②、へヴィ・バラードの大作④、重厚な⑧といった、Voの熱唱が映えるドラマティックな楽曲の聴き応えは本編の白眉。
知名度ではGRIM REAPERに大きく水をあけらていますが、内容では負けていませんて。


CHATEAUX - Chained and Desperate - Spirit of the Chateaux ★★ (2017-04-12 23:43:08)

NWOBHMのトリビュート・バンド、ROXXCALIBURが
カヴァーしていた、このバンドのテーマ曲。
重厚なミッド・チューンだけど聴いていて飽きが来ないのは
スティーヴ・グリメットの見事な歌唱力と
ティム・ブロウトン(G)のメロディ・センスの良さのお陰かと。


CHATEAUX - Chained and Desperate - Straight to the Heart ★★★ (2017-04-12 23:15:52)

音質の悪さが却って独特の味になっている
Gリフ主導で鋭角的に疾走する
オーソドックスなHMのカッコ良さが凝縮された名曲。
伸びのあるハイトーンから、曲中で多用される
「ウッ」の掛け声まで、スティーヴ・グリメットが
既に実力派シンガーとしての才能を如何なく発揮してくれています。


CHATEAUX - Firepower ★★★ (2017-04-13 23:40:01)

SAVAGEの『LOOSE ‘N LETHAL』を筆頭に、EBONY RECORDS作品のアートワークを数多く手掛けて来たゲイリー・シャープによるSFタッチのイラストが目印の2nd。(’84年)
前作『CHAINED AND DESPERATE』発表後にメンバー・チェンジが発生し、Bのクリス・メイソンがVoを兼ねるトリオ編成へと移行していますが、「小細工?無用!」とばかりにソリッドに突き進む、HM以外の何者でもないサウンドにパワーダウンの兆候は見られません(音の悪さが相変わらずなのは流石EBONY)。どうもCHATEAUXというとスティーヴ・グリメットが参加したデビュー作にばかり注目が集まりがちのような気がしますが、単純な完成度で言えば本作の方が上ではないかと。
レンジの広さは前任者に及ばずとも、熱量の高さじゃ一歩も引けを取らないクリスの歌唱を活かすべく、重厚なタイプの楽曲の出来栄えが目立っていた前作から、今回はより直線的でアグレッシブな方向へとサウンドを軌道修正。その好例と言うべきパワー漲るOPナンバー①と、『マッドマックス』感迸る(V8を崇めよ!)ラスト・ナンバー⑧は、荒々しい音色で破壊的に刻まれるGリフといい、土煙蹴立てて爆走するリズムといい、その上に乗っかる火傷しそうに熱いVoのシャウトといい、これ聴いてメタル魂に点火されない男が居ようか?な名曲っぷり。この2曲に挟まれたその他の収録曲も、重厚なミッド・チューン③⑤、畳み掛ける疾走ナンバー④、歌に負けじとティム・ブロウトンが熱く歌わせるGにもグッとくる⑥等、「いやぁ、HMって本当に良いものですね」とマイク水野ばりに微笑みたくなる逸品揃い。
何だったら本作をCHATEAUXの入門盤にしてみてはいかがでしょうか?


CHATEAUX - Firepower - Hero ★★★ (2019-11-30 01:00:02)

久々に聴き直す機会があったのですが、
タイトルも直球なら曲調もストレート。
余計な装飾をまとわず、HMが殆ど骨格だけで
突っ走ってるようなシンプルさに痺れましたよ。
BATTLEAXEっぽい。


CHATEAUX - Firepower - Rock n Roll Thunder ★★★ (2017-04-15 08:50:08)

ササクレた音色で猛然と刻まれるGリフに
メタル魂が燃え上がるスピード・ナンバー。
「ロックンロール」と「サンダー」という
イカした単語二つを合体させたタイトルが物語る通り、
前作よりもストレートで荒々しく、埃っぽくなった
2ndアルバムの作風を象徴するような名曲です。


CHATEAUX - Firepower - V8 Crash ★★★ (2017-04-15 08:57:33)

このタイトル聞くと、思わずイモータン・ジョー様に
お祈りのポーズを捧げたくなりますが、それはともかく。
音、悪っ
しかしこの壊滅的プロダクションが
バリバリ刻まれるGリフとリズム、その上に乗る
熱いシャウトの迫力を増しているので、
(レーベルメイトのSAVAGEを思い出します)
これはこれで全然有りだな!と。


CHATEAUX - Firepower - White Steel ★★★ (2017-04-17 23:38:01)

スピードは然程でもないのですが、鬼のようなGリフの刻みっぷり
は殆どスラッシュ・メタルの領域に半身を突っ込んでいますね。
それでいて、アグレッシブな曲調を突いてぐぐっとせり上がってくる
Gソロは実に情熱的でエモーショナル。
ティム・ブロウトンの動く姿は見たことがないのですが、
何となく「顔で弾く」タイプのギタリストっぽいなぁと。


CHATEAUX - Highly Strung ★★★ (2017-04-18 22:53:38)

結構最近までバンド名をどう読むのか知らなかった(辞書引けよ)ティム・ブロウトン率いる英国のHMトリオが’85年に発表し、ラスト作ともなった3rdアルバム。ちなみにバンド名は「シャトー」と読む。お城を意味するフランス語で、日本だと安アパートが時々名乗っていたりするアレですね。
今回もEBONY RECORDSからのリリースですが、前2作に比べるとプロダクションが改善。埃っぽいラフネスやササクレ感が減少し、よりカッチリと整合性を増したサウンドは、NWOBHMというよりは「パワー・メタリック」と表現したくなる厚みと緊張感を獲得。リヴァープ過多なVoの音作りは、折角のクリス・メイソンの熱いシャウトから生々しさを奪っているようで戴けませんが、それでもティム・ブロウトン(G)がクリエイトする徹頭徹尾HM!なパワー・チューンが放つ熱気は相変わらずムンムン。特にエフェクトのかけられたGサウンドがグルグル浮遊するイントロを、鋭利なリフと豪快に打ち鳴らされるリズムとがブチ破って疾走を開始するOPナンバー①のカッコ良さにゃ、メタル魂にガンガンにガソリンを注ぎ込まれる思いですよ。
以降も、ティムのギタリストの才能を凝縮したかのような攻撃的インスト曲④あり、緩急を効かせた⑤あり、タイトル通りアッパーに駆け抜ける⑦あり、重厚に押し出す⑧あり…と、最後まで高いテンションを保ったまま完走。贅沢が許されるなら後半にもう1曲ぐらい問答無用でブッ飛ばすスピード・ナンバーが欲しかったところですが、ともかくCHATEAUXの有終の美を飾るに相応しい1枚であったことは確か。再結成したりしねえのかなぁ。


CHATEAUX - Highly Strung - Highly Strung ★★★ (2017-04-18 23:36:23)

浮遊するGサウンドによるイントロで引き絞られた緊張感が
一気に解き放たれるように疾走へと転じるOPナンバー。
リヴァープの掛け過ぎで生々しい熱気を削がれてしまった
Voプロダクションは頂けませんが、それを差し引いても
ストレートに疾駆する楽曲のカッコ良さは
OPナンバーに相応しいものがあるのではないかと。


CHEAP TRICK - At Budokan the Complete Concert ★★★ (2013-08-28 23:59:15)

中堅ツアー・バンドとして燻っていたCHEAP TRICKを一躍トップ・バンドの地位に押し上げると共に、世界中の音楽ファンに「武道館」の名を知らしめた'79年発表の傑作ライブ・アルバム。
「レディース&ジェントルメン!」と呼びかける“HELLO THERE”で勢い良くスタートする本編なれど、黄色一色に塗り潰された歓声渦巻く会場にジェントルマンは居ませんね(笑)。例えば来日公演を行った海外バンドが、曲と曲の合間に静まり返る日本の観衆の反応に戸惑った・・・なんてのは未だによく聞く話ですが、のべつまくなし絶叫し、圧倒的エネルギーを迸らせ続ける彼女達はその限りにあらず。本作について語る際、先ず「アイドル・コンサートばりに凄まじい女性ファンの嬌声」が話題になるのにも納得です。
勿論そうした声援に鼓舞され、全編に亘ってテンションの高いパフォーマンスを繰り広げるバンドの方も負けておらず(個人的には歯切れ良くボトムを支えるバニー・カルロスのドラミングに感銘を受けました)、取り分けキャッチーな名曲“甘い罠”は、親しみ易い楽曲/メンバーのパフォーマンス/観衆の絶妙な反応(CRYIN'! CRYIN'! CRYIN'!の大合唱が非常に効果的)とが三位一体となった奇跡的な仕上がり。このライブ・バージョンがバンド初のトップ10ソングとなったというのも、さもありなん。
現在は2枚組の完全版も出回っていますが、CHEAP TRICK入門書にするなら、先ずは旨み成分が凝縮されている1枚バージョンの方から購入することをお薦めします。


CHER - Cher ★★★ (2018-02-03 23:57:37)

70年代に歌手として一世を風靡し、80年代には女優業にも進出したシェールの音楽シーンへのカムバック・アルバムとして大いに注目を集めた’87年発表のソロ作。彼女のカタログでHR/HMファンに最も馴染み深い作品がこれではないでしょうか?
まず制作に当って、所属レーベルのゲフィンが彼女のために結集した人材が凄い。当時『SLIPPERY WHEN WET』をメガヒットさせ飛ぶ鳥落とす勢いだったBON JOVIとデズモンド・チャイルドのチーム、更にマイケル・ボルトン、ホーリー・ナイト、その他にもボニー・タイラーやTOTO、ジョー・リン・ターナーら有名ミュージシャン多数と、まさに「勝ちに行く」オーダーを組んでいて、その彼らが「必殺の1曲」を持ち寄った本編は当然捨て曲なし。どころか全曲シングル・カット可能なハイクオリティっぷりですよ。
フックが連続するスケールの大きなハードポップ・サウンド(ジム・スタインマンのプロデュース諸作に通じるもの有り)を堂々歌い上げる、シェールの表現力豊かなVoがこれまた素晴らしい。マイケル・ボルトンが作曲とプロデュースを手掛けた、全米チャート最高第10位のヒット曲①が本作の主役なのでしょうが、個人的には哀愁のバラード②(最高第14位)、自身が60年代に放ったヒット曲をドラマティックにリメイクした③という、BON JOVIとの共演曲(リッチー・サンボラがシェールと付き合ってたんだっけ)がお気に入り。
「ダンス・ディーヴァ」もしくは「整形のやり過ぎで顔面が凄いことになってるオバちゃん」とのイメージしかない方にも是非聴いて頂きたい1枚。ただプラチナムを獲得するほど売れた作品にも関わらず、国内盤が廃盤なままなのは何故なんだぜ?


CHER - Cher - Bang-bang ★★★ (2018-02-04 00:05:07)

60年代にシェール自身が放ったヒット曲を、
バックにBON JOVIを従えてカヴァー。
プロデュースもBON JOVIとデズモンド・チャイルドが担当し、
オリジナルに比べてかなりHR色が強まっています。
(ちょっとジム・スタインマン風の大仰さ)
映画『KILL BILL』でもかなり印象的な使われ方をしていた
名曲ですが、あちらはナンシー・シナトラの
カヴァー・バージョンだという。


CHER - Cher - We All Sleep Alone ★★★ (2018-02-04 00:16:27)

これまたBON JOVIの『SLIPPEERY WHEN WET』チームが
作曲並びに演奏とプロデュースを手掛け、
スマッシュ・ヒットを飛ばしたドラマティックなバラード。
PVではシェールが見事な歌唱と肢体を披露してくれていますが
この人、歌声が案外逞しいこともあって、それが濃いめの顔立ちと相俟うと
何だかドラァグクィーンに見えて来るという…(笑)。


CHER - Heart of Stone ★★★ (2018-02-04 22:37:13)

カムバック作『CHER』(’87年)の大成功を受けて、同じ作風、同じ布陣を踏襲して制作、'89年に発表された復活第2弾アルバム。
むしろ参加面子は更なる豪華さ。BON JOVI、デズモンド・チャイルド、マイケル・ボルトンら前作からの続投組に加え、今回は新たにダイアン・ウォーレン、ジョナサン・ケイン、ボブ・ハリガンJr、ピート・シェフィールドといったヒット請負人達が大集合。バックを固めるのもTOTOのメンバーや一流のセッション・ミュージシャン達ですし、そりゃこんだけ4番バッターが揃ってればホームラン攻勢は約束されたも同然という。実際、アルバムに先駆けてリリースされたピーター・セテラとのデュエット・バラード⑫を手始めに、シングル・カットされた①②④がいずれも全米チャートTOP10入りする等、前作を凌ぐチャート・アクションを記録しています。(アルバムも全世界で400万枚を売り上げた)
…と、褒めまくっておいて何なんですが、前作に比べるとポップさが増しているというか、全体に占めるバラード・ナンバーの割合が増えていて、個人的には聴き始めた当初は今一つアガらなかった記憶あり。尤も本編後半には、ボニー・タイラーが歌いそうな(そも当人がバックアップVoとして参加もしている)パワフルな⑦や、キャッチーなコーラスに何だか聴き覚えがあるぞ?と調べてみたら、マッチョ・ギタリストことケイン・ロバーツが2ndソロ『SAINTS AND SINNERS』に収録していたBON JOVIチーム作曲の⑨といった名曲が控えているため、聴き終えた後の感想は「最高!」以外の何者でもないのですが。
前作と併せてメロディ愛好家なら必聴の1枚。でも本作も国内盤が廃盤のままなんですよね…。


CHER - Heart of Stone - Does Anybody Really Fall in Love Anymore ★★★ (2018-02-04 22:52:20)

マッチョ・ギタリスト、ケイン・ロバーツがスマッシュ・ヒットさせた
ことでも知られるBON JOVI、デズモンド・チャイルド、
ダイアン・ウォーレン共作のバラード。(ここでは演奏もBON JOVIが担当)
そりゃこれだけの面子が関わっているのですから名曲ですわな。
ネット情報だと、どうやらBON JOVIのアルバム『NEW JERSEY』から
漏れたアウトテイクらしいのですが、こんだけ強力な楽曲でさえ
ハズされてしまう『NEW JERSEY』って恐ろしい作品だなぁと。


CHER - Heart of Stone - Emotional Fire ★★★ (2018-02-04 22:47:50)

大映ドラマの主題歌に起用されていそうな=ボニー・タイラーが演りそうな
パワフルなHRチューン。
勿論シェールの凛々しい歌唱にもバッチリはまっています。
ボニー・タイラーやマイケル・ボルトンがバックVoとして
参加している分厚くキャッチーなコーラス・ワークが秀逸で、
終盤の盛り上がりっぷりは胸熱。


CHER - Heart of Stone - If I Could Turn Back Time ★★★ (2018-02-04 22:43:01)

戦艦ミズーリの艦上で撮影されたスケール感といい、
尻丸出しのハイレグ衣装(もはや放課後電磁派クラブ)といい、
超バブリーなPVも印象的だったヒット・ナンバー。
作曲&プロデュースは天下のダイアン・ウォーレンですから
名曲であることは言わずもがな。


CHEVY - The Taker ★★★ (2016-06-05 21:40:51)

母体となったバンドの結成は60年代まで遡るという、英国はウォーリックシャー州レミントン・スパ出身の5人組が、NWOBHMの勃発を期に浮上のチャンスを掴み、’80年にAVATAR RECORDSから発表した1stアルバム。「汗ばんだオッサンの額ドアップ」ジャケットに「センスねぇな」と呆れたら、後でこれがヒプノシスの手によるデザインだと教えられ、慌てず騒がず「…ですよね~。ナイス・センス!」と華麗に手のひらをクルッ。
一応NWOBHMの枠内に組み込まれているバンドなれど、演っている音楽はスタッド&レザーで身を固めたバリバリのHM!…ではなく、オヤジ声のVoからゆったりとハモる2本のGまで、キャリアの長さに裏打ちされた、ブリティッシュの渋みと滋味が骨の髄まで染み渡る70年代型HR。なので、鋭角的なアグレッションとかパワフルな疾走感とかを期待すると、間違いなくガッカリすることになりますんで要注意。自分が初めて彼らの音に触れたのは確か『METAL FOR MUTHAS PARTⅡ』だったと記憶しますが、その時も「え?これ全然メタルじゃないじゃん」とか思ったものでした。
でも、仄かに哀愁漂う①や、伸びやかでキャッチーなセンスが活かされた⑧とか、皆さんが仰る通り楽曲が良いんですよ。中でも別格の輝きを放つのが③で、昔はタイトルが似ていることもあってLYNYRD SKYNYRDの名曲“FREE BIRD”と比較しながら聴いていたのですが、言われてみれば確かにBOSTONっぽい。こっちのがGフレーズの湿度高めですが。
現在は大量のボーナス・トラックを収録した2枚組国内盤が入手可能ですよ。


CHEVY - The Taker - Cold And Lonely ★★★ (2016-06-07 23:17:29)

渋めの音楽性が身上かと思いきや、こういう曲も書けるんだ!
と感心させられた、仄かなポップ・センスが光る哀メロ・ソング。
ちょっとPRAYING MANTIS入ってますかね。
ハーモニーを活かしたキャッチーなサビメロが秀逸。


CHEVY - The Taker - Skybird ★★★ (2016-06-07 23:12:38)

かつて、この曲聴きたさにアルバム購入を決意した名曲。
哀愁を帯びたメロディを伸びやかに紡ぐGは確かにBOSTON風味。
一方で、少々オッサン入った声質で熱唱するシンガーと、
泣きのGソロの湿度の高さは、英国産をしっかりと主張しています。


CHEZ KANE - Chez Kane ★★★ (2021-05-27 01:02:46)

プロデュースから作曲、演奏まで、CRAZY LIXXの中心メンバーであるダニー・レクソンの全面バックアップを受けてデビューを飾ったイギリス出身の女性シンガー、シェイ・ケインのデビュー作。’21年発表。
ロビン・ベック、リー・アーロンといった80年代に活躍した女性HRシンガーの現代版を世に送り出したい…とのダニーのコンセプトに則り、アルバムに託されているのは、サックスをフィーチュアした快活な①、ライブ会場の盛り上りが目に浮かぶアンセミックな②といった居並ぶ楽曲が物語る通り、嘗てのBON JOVIやDEF LEPPARDを彷彿とさせる王道アリーナ・ロック路線。レザーファッションに指抜きグローブ、キツめのアイメイク等、気合の入った80年代ファッションで全身を包んだシェイ嬢も、気持ち良く伸びていくハイトーンを駆使したフレッシュな歌声でサウンドを瑞々しく彩ってくれています。
個人的にはジム・スタインマンと組んでいた頃のボニー・タイラーを思い出したりもするこの作風はドンピシャでして、特に高揚感に満ちたキャッチーなサビメロが絶品の③、歯切れ良く弾むKeyリフにこっちの気持ちも弾む⑤、初期BON JOVIに通じるフックの効いた哀メロにグッとくる⑦を初めて聴いた時は、「確か大映ドラマの主題歌だったよね?」「麻倉未稀が日本語でカヴァーしてなかった?」と、ありもしない記憶が脳裏を駆け巡ったぐらいですよ。パンチの効いた疾走ナンバー⑧のカッコ良さもなかなかのもの。
シェイ嬢のシンガーとしての資質と、プロジェクトの方向性が幸福な一致をみた充実作。是非ともこの座組でアルバム・リリースを重ねて欲しいと念願する次第です。


CHEZ KANE - Chez Kane - Ball n’ Chain ★★★ (2021-05-27 23:21:54)

フックの効いたメロディと、ライブ映えしそうな
ノリの良さを併せ持った、3rdアルバムを発表した頃の
BON JOVIを彷彿とさせるポップ・メタル・チューン。
思わずクレジットにデズモンド・チャイルドの名前を探してしまいましたよ。


CHEZ KANE - Chez Kane - Rocket on the Radio ★★★ (2021-05-27 23:12:45)

ハジけるような高揚感を伴うサビメロが絶品の
アルバム・ハイライト・ナンバー。
80年代だったら映画やドラマの主題歌に起用されて
大ヒットをかっ飛ばしていたであろう名曲です。


CHEZ KANE - Powerzone ★★★ (2022-12-06 01:26:55)

80年代に活躍した女性ロック・シンガーへのリスペクトを満載にした会心のデビュー作『CHEZ KANE』(’21年)が、母国イギリスのロック・チャートで最高第8位を記録するという好成績を残したシェイ・ケイン(Vo)が、「鉄は熱いうちに打て」とばかりに矢継ぎ早に発表した2ndアルバム。’22年発表。
前作から僅か1年足らずのブランクでのリリースと相成りましたが、プロデュースから作詞作曲、ほぼ全ての楽器演奏、更には拘りを感じさせるジャケット撮影まで八面六臂の大車輪でこなすダニー・レクソン(CRAZY LIXX)の並々ならぬ入れ込みっぷりが物語る通り、ここには〆切に終われて慌ててでっち上げたような粗雑さは皆無。CRAZY LIXXの方が心配になってしまうぐらい、惜しげもなく投入された収録楽曲はいずれもメロディにフック効きまくりで、(月並みな表現で恐縮ですが)全曲シングルカット可能なクオリティ。声を張ると切ないフィーリングも醸し出すシェイ嬢の溌剌とした歌声を乗せ、今回も王道アリーナ・ロック路線を堂々突き進んでいます。
本作の魅力を集約したような高いヒット・ポテンシャルを感じさせる①②⑩、80年代だったらジム・スタインマン・プロデュースでボニー・タイラー辺りが歌っていそうな大仰なスケール感を有するバラード⑤、アルバム表題曲に相応しい高揚感を湛えてパワフルに駆け抜ける⑥といった逸品の数々には、単に「80年代風味満点だから素晴らしい」的な安易さとは一線を画する質の高さと説得力が備わっていますよ。収録全曲が“CRYN’”級の出来栄えを誇るVIXENのアルバム…という例えにピクリと食指が反応した諸兄にお薦めする1枚です。


CHEZ KANE - Powerzone - Powerzone ★★★ (2022-12-15 23:13:11)

パワフルに疾走するアルバム表題曲。
曲調はスピーディながら、勢い任せになることなく
メロディにもしっかりとフックが効いていて
気持ち良く伸びていくシェイ・ケインのVoのみならず
楽器陣にも見せ場が用意されていたりと、
配慮の行き届きっぷりが心憎いほど。


CHILDREN OF BODOM - Trashed, Lost & Strungout - Follow the Reaper ★★★ (2017-12-19 00:23:12)

カナダのバンクーバーを拠点にスタジオ・ミュージシャンとして活躍していた腕利き連中が結成し、その来歴や志向していた音楽性等から「カナダのTOTO」とも評されたという5人組が、'80年に発表した1stアルバム。(邦題は『カナディアン・ロマンス』)
実際、都会的な哀愁を湛えたメロディを、卓越した演奏テクニックと、プログレ・ハード寄りの凝ったアレンジ、そして歌心に溢れたVoと華やかなハーモニーに包んで届けてくれるスケールの大きなサウンドは、1stや2ndの頃のTOTOを大いに彷彿とさせます。
ノリのいいアップテンポの曲調に、ホットなGとクールなKeyが多彩な彩りを加えるOPナンバー①(邦題は“熱い夜”)、歯切れ良く軽快に跳ねるリズムの上をボーカル・ハーモニーが華麗に舞う②、サビでの盛り上がりっぷりが大いなる感動を呼ぶ③という冒頭3曲は、そうした印象を着実に補強してくれます。
独自性の乏しさを取り上げて本作を批判することも可能でしょうが、個人的にはここまでクオリティが高ければ誰に恥じる必要があろうかと。特に心地良い疾走感に溢れたハード・ナンバー⑥、そしてストリングスをフィーチュアした劇的なイントロだけでその名曲ぶりを確信させられる、邦題“哀しみのステージ”に相応しい悲哀に満ちたメロディの洪水に浸る⑩(ちょっと中期STYXが演るプログレ寄りの楽曲っぽい)は、世の中にはまだまだ知らない名曲があるのだなぁと思い知らされましたね。
LPがリリースされたきりだった本作の国内盤初CD化に踏み切ってくれた(しかもお値段も良心的)レコード会社に感謝感激雨霰ですよ。


CHINA - China ★★★ (2019-10-16 00:57:12)

ジャケットに書かれた「君炎」の漢字でお馴染み(どういう意味かは未だ不明のままですが)、GOTTHARD登場前はKROKUSと共にスイスを代表するHRバンドの一つだったCHINAが’88年にPHONOGRAM RECORDSから発表し、母国のアルバム・チャートでは最高第6位にランクインするヒットとなったデビュー作。ジャケットをオリジナルのシンプルなデザインからグループショットに差し替えてリリースされた国内盤の邦題は『ワン・ショット・トゥ・ザ・ハート』でした。
バンド名はこんなんですし、アルバム全体のイントロである序曲①でももろ中華風なメロディが奏でられていますが、曲名と曲調がKISS風な②以降にオリエンタルな要素はほぼゼロ。更に言うとそのサウンドはヨーロッパ的な暗さや重さとも無縁で、元気一杯に歌いまくるVoや、煌めくKeyといった快活なパフォーマンスに載せて繰り広げられるのは、寧ろアメリカに対する憧憬が強く迸る明るく健康的にハジけるポップ・メタルです。
高いヒット・ポテンシャルを秘めた③、爽快なHRチューン④、ハイトーンVoが映える⑦、哀愁の隠し味が効いた⑨、ゴキゲンにロックする⑩、フラッシーなGプレイに彩られた⑫等、フックを盛り込んだキャッチーなメロディや、思わず合唱を誘われるサビメロ作りの上手さは、流石「スイスのBON JOVI」と評されるだけのことはあるなぁと。特に日本のファンの間でも評判を呼んだという⑤は、欧州風味の湿り気とアメリカンなポップ・センスという、CHINAの個性サウンドが理想的な形で体現されたハードポップの名曲。
次作『SIGN OF THE SKY』(’90年)と甲乙つけ難い、CHINA入門盤にお薦めする1枚。


CHINA - China - Wild Jealousy ★★★ (2019-10-17 00:29:34)

Voの歌唱が少々暑苦しいものの、曲調自体は涼しげ。
特に爽やかな空気を運んでくるキャッチーでメロディアスな
コーラス・パートが秀逸。人気曲なのも納得ですよ。


CHINA - Go All the Way ★★ (2019-11-29 00:44:21)

2nd『SIGN IN THE SKY』(’89年)のヨーロッパ市場における成功を足掛かりに、アメリカ攻略を目指したCHINAが、シンガーをパトリック・メイソンからエリック・ST・ミカエルズにチェンジ後、EP『狂熱のライブ・イン・ヨーロッパ』のリリースを間に挟んで'91年に発表した3rdアルバム。
前任者と声質が非常に似通っているのでシンガーの交代劇は何ら瑕になっていませんが、それよりも音楽性の変化に対する驚きの方が大きかった本作。これまでの寒色系から一転、暖色系の色使いでまとめられたアートワークのイメージが分かり易く物語る通り、HR的なエッジや、メロディからは欧州風味の哀愁や湿り気が後退し、カラッと明るくポップな曲調でアルバム全体がふんわりとまとめられています。
コーラスは相変わらずキャッチーですし、美しいバラード等、随所で魅力的なメロディも顔を覗かせてくれてはいるものの、本編はミドル・テンポの楽曲が大半占め、しかも全15曲、60分弱という長大な収録時間。これじゃいくら何でもメリハリに乏しく胃にもたれますよ。アルバムに起伏を作るためにも、OPを軽快に疾走する爽やかな①や、本編中最もHR然とした仕上がりの⑬みたいな秀曲が、中盤にもあと1、2曲は欲しかったかなぁと。この収録曲の多さといい、音楽性といい、どことなくドイツのBONFIREが'88年に発表した『POINT BLANK』のことを思い出す1枚だったりします。
決して完成度は低くありませんでしたが、グランジ旋風に席巻されつつあったアメリカでは殆ど話題に上らず撃沈。バンドはこれ以降大きく迷走する羽目に…。