YOUNG GUITER誌が主宰する新人開発オーディションで、高い評価を得た高田明(G)と、 名古屋出身で、スラッシュがかったパワー・メタルを聴かせるHELLGENOMの松田大二郎(Vo、B)が イベント「HARD ROCK SUMMIT」を切っ掛けに知り合い意気投合、結成へと至ったパワー/スラッシュ・メタル・バンド。 最後にドラマーとして、OUTRAGEの丹下真也が合流してラインナップが完成。韓国で行われた日韓交流ライブに 参加する傍ら、ソウルでレコーディングした5曲入りEP『CERBERUS』を'05年に発表。 当初は助っ人としてドラムを叩いていた筈の丹下も(居心地が良かったのか)正式メンバーとして参加を表明、 '07年には、オーストラリアでレコーディングされた1stフル・アルバム『FEAR NO DECAY』もリリースされている。 サウンドの方は、初期OUTRAGEの突進力に、TANKの男気と哀愁を注入したかのようなパワー/スラッシュ・メタルで、 怒涛の如く押しまくりつつも、力強く歌うVoと、劇的なソロを連発するGがメロディもしっかりとフォロー。 スラッシャーのみならず、一般のメタル・ファンにもアピールし得る音楽性を備えている。
ノースカロライナ州出身の5人組が、NEW RENAISSANCE RECORDSのオムニバス盤『SATAN’S REVENGE』に楽曲提供を行った翌年、’86年に発表したデビュー作がこれ。 OPナンバー①においてBと2本のGが忙しなくハモる様や、クイック且つスリリングに走り抜けるインスト曲⑦が発する構築感、または収録曲の随所に用意された落差の大きな曲展開等、IRON MAIDENからの多大なる影響を感じずにはいられない正統派HMサウンドには、アメリカのバンドらしからぬダークな湿り気が渦を巻いています。(単に垢抜けないだけとも言えますが) レーベルがレーベルゆえ音質は相当に薄っぺらいものの(ジャケットはNRRのものとしてはかなりマシな方)、しかしレット・フォリスター似の声質のVoをフィーチュアして勇壮に飛ばしまくる①、メロウなイントロからパワフルに展開していく③やアルバム表題曲④、静と動の対比も劇的な⑥、重厚且つメロディアスに本編の幕を引く⑧といった高品質な楽曲の数々を前にすれば、多少の粗はむしろ愛嬌として殆ど気になりません。加えて、CD化に際して本編にはボーナス・トラックとしてレアな’87年発表の4曲入りEP『LIKE A BANSHEE ON THE LOOSE』からの楽曲も収録されていて、アグレッシブなパワー・メタル色が増量されたこれらがまた『THUNDERSTEEL』を発表した頃のRIOTを彷彿とさせる出来栄えで、どえらくカッコイイというね。 「どうせNEW RENAISSANCE RECORDSの作品でしょ?」と舐めて掛かると、足元をすくわれる1枚。底は浅いが奥は深いですよ、あのレーベル。
BURRN!!誌のレビューで90点台の高得点を獲得したことで知られる'87年発表の3rdアルバム。 ドスを効かせたレザー・レオーネの男前な歌いっぷり、益々精度を高めたデヴィッド・T・チャステインのテクニカルなGワーク、ダイナミックに暴れ回る手練のリズム隊をフィーチュアした本作は、ダークでアグレッシブ・・・まぁ要するにド直球の「SHRAPNELメタル」としか表現のしようのないパワー・サウンドを、相変わらず迷いなく突き進んでいて頼もしい限り。 ただ、前2作と比較した時(特にアップテンポの楽曲において)平板な歌メロのフックの弱さが気にならなくもないかな? それでも、そうした弱点は聴き進めるに従って徐々に改善されていき、ミスティックなヘヴィネスが渦を巻く⑤、音数多めのケン・メリーのドラミングが冴える⑥、レザー姐さんのパワフルな歌唱が聴きモノの⑦、各楽器の見せ場が盛り込まれた⑧、そしてラストをドラマティックに盛り上げてアルバムの幕を引く⑨・・・といった具合に、本編中盤以降は力瘤る名曲の連発にテンションうなぎ上り。このアルバムに関して言えば、疾走曲よりもタメの効いたヘヴィ・ナンバーの方がカッコイイ印象がありますね。 音作りも旧作と比べて幾らか進歩の跡が伺えますので、次作『THE VOICE OF THE CULT』と併せてCHASTAIN入門編にお薦めする1枚です。
SAVAGEの『LOOSE ‘N LETHAL』を筆頭に、EBONY RECORDS作品のアートワークを数多く手掛けて来たゲイリー・シャープによるSFタッチのイラストが目印の2nd。(’84年) 前作『CHAINED AND DESPERATE』発表後にメンバー・チェンジが発生し、Bのクリス・メイソンがVoを兼ねるトリオ編成へと移行していますが、「小細工?無用!」とばかりにソリッドに突き進む、HM以外の何者でもないサウンドにパワーダウンの兆候は見られません(音の悪さが相変わらずなのは流石EBONY)。どうもCHATEAUXというとスティーヴ・グリメットが参加したデビュー作にばかり注目が集まりがちのような気がしますが、単純な完成度で言えば本作の方が上ではないかと。 レンジの広さは前任者に及ばずとも、熱量の高さじゃ一歩も引けを取らないクリスの歌唱を活かすべく、重厚なタイプの楽曲の出来栄えが目立っていた前作から、今回はより直線的でアグレッシブな方向へとサウンドを軌道修正。その好例と言うべきパワー漲るOPナンバー①と、『マッドマックス』感迸る(V8を崇めよ!)ラスト・ナンバー⑧は、荒々しい音色で破壊的に刻まれるGリフといい、土煙蹴立てて爆走するリズムといい、その上に乗っかる火傷しそうに熱いVoのシャウトといい、これ聴いてメタル魂に点火されない男が居ようか?な名曲っぷり。この2曲に挟まれたその他の収録曲も、重厚なミッド・チューン③⑤、畳み掛ける疾走ナンバー④、歌に負けじとティム・ブロウトンが熱く歌わせるGにもグッとくる⑥等、「いやぁ、HMって本当に良いものですね」とマイク水野ばりに微笑みたくなる逸品揃い。 何だったら本作をCHATEAUXの入門盤にしてみてはいかがでしょうか?