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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1301-1400

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1301-1400
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Carmilla - Live Explosion '88-'89 ★★ (2023-08-21 23:07:21)

『イカすバンド天国』に出演し、女性メンバーのみで構成された陣容でも注目を集めた4人組HMバンドCARMILLA。終ぞアルバム・デビューを果たすことなく、80年代の国内インディーズ・シーンを駆け抜けた彼女達が、’88年から’89年にかけて残した秘蔵ライブ音源(①~⑦)や、コンピ盤提供曲(⑫~⑭)等を取りまとめて収録した貴重音源集がこちら。
女性メンバーのみと聞くと何やら華やかなサウンドを想像してしまいますが、このバンドが叩きつけてくるのは野郎バンドも裸足で逃げ出す迫力を有するゴリゴリのパワー/スラッシュ・メタル。BLACK SABBATHやSABBLABELLSからの影響を伺わせる白塗りのオカルト・メタルから、より過激なスラッシュ・メタル方向へとサウンドをどんどん先鋭化させていったという彼女達の足跡は、本編ライブ(神楽坂EXPLOSIONで収録)において披露されている楽曲にもガッチリと刻み込まれています。アマチュア録音ゆえプロダクションの劣悪さは相当なものとはいえ、唐突な「高木ブー」コールからスタートするヘヴィネス漲る③、怒涛の如く突っ走るパワー・チューン④⑦、バンドの代表曲たる⑤等々、収録曲のカッコ良さは音質面のマイナスを差し引いても痺れざるを得ないレベル。あと、せっかくVoがドスを効かせた声色でMCをこなしているのに、肝心の話の内容は案外可愛らしかったりする(?)ギャップや、物理的にも心理的にもステージと客席の距離が近いライブハウスならではの、バンドと観客の気の置けないやり取りにもほっこりさせられましたね。
大阪のVALKYRIEだって再結成を果たした昨今、CARMILLAの復活にも期待したくなるのが人情というものなのですが…いかがなもんなんでしょうか。


Carrion (2014-04-01 22:19:17)

現在はGURDに籍を置くV.O.パルヴァーによって、スイスはベルンにて結成。
VENOM、SLAYER、METALLICAに刺激を受け、彼らよりも過激で邪悪でスピーディなサウンドを目指したというバンドは、ライブや、地元の教会の壁にサタニックな落書きを施すといった活動(?)と並行して制作した2本のデモテープが評判を呼んだことから、ドイツのインディーズGAMA RECORDSと契約を結び、'86年に『EVIL IS THERE!』でデビュー。
同郷のMESSAIAHや、ドイツのDESTRUCTIONらと親交を深めつつライブ活動を行うも、大きな成功を収めることは出来ず、しばらく後にVoが脱退。
その後任としてアンドレ・グリーダーを迎えたバンドは、POLTERGEISTと改名して活動の継続を図っていくことなる。


Carrion - Evil is There! ★★ (2014-04-01 22:21:12)

スイスのスラッシュ・メタル・バンドと言えば、個人的にCELTIC FROSTやCORONERを差し置いて真っ先に名前が浮かぶのがPOLTERGEISTなんですが、その前身バンドであるCARRIONが'86年にGAMA RECORDSに残した唯一作がこちら。
初期METALLICAやSLAYER、あと地理的にジャーマン・スラッシャー勢にも触発されたという彼らのサウンドは、「腐肉」を意味するバンド名に相応しい邪気がプンプン。顔面にはコープス・ペイント(やり過ぎて志村けんのバカ殿みたくなってるメンバーもいますが)を施し、オカルト思想や悪魔崇拝をテーマに掲げた歌詞を、テクニック度外視のスピードに乗せて叩き付ける来るスタイルは「プロト・ブラック・メタル」的とも言え、その先見性は同郷のMESSIAHに通じるものがありました。(事実、両バンドは仲良しだったという)
僅か4日間で突貫レコーディングされた音質のローファイっぷりといい、青臭さ全開のVoといい、垢抜けない作りはあからさまにマニア向け。しかしながら、バンドのリーダーたるV.O.パルヴァーの曲作りのセンスやGプレイのクリエイティビティの高さは、例えば正統派へヴィ・メタリックなGリフのカッコ良さが耳を惹く③、緩急を効かせたダイナミックな曲展開が魅力の⑥といった楽曲を耳にすれば、十二分に伝わってきます。
本作発表当時、METAL HAMMER誌のレビューにおいて最低点(7段階評価で1ポイント)を獲得したというエピソードも、今となっては勲章みたいなもんですよ!


Carrion - Evil is There! - Demon's Child ★★ (2014-04-05 02:52:02)

へたくそなVoが朗々歌い上げたかと思えば
一転、ドラムが自棄っぱち暴走しまくるといった
静と動が慌しく入れ替わる曲展開を導入。
サタニックな雰囲気を醸し出そうと頑張っていますが
恐ろしさよりも何となく微笑ましさが先立つのが
このバンドの弱点・・・ではなく、
個人的には好きな所でありました。


Carrion - Evil is There! - Games of Evil ★★ (2014-04-05 02:44:28)

ヤケクソ気味に突っ走りながらも
勢いだけで終わらせず、正統派HMに根ざした
GリフやGソロのカッコ良さからは、
後に開花するV.O.パルヴァーの才能の片鱗を
既に伺い取ることができます。


Ciro Dammicco (2019-10-08 23:42:36)

後にDANIEL SENTACRUZ ENSEMBLEを結成し、’74年には“哀しみのソレアード”を世界的に大ヒットさせた(全米チャート最高第2位)ことで知られるイタリア人ドラマー/シンガー/ソングライター。ピンクレディーも“リンダ・ベラ・リンダ”をカヴァーしていましたっけね。
‘72年と'81年にソロ・アルバムを発表していて、特にメロトロンが全面的にフィーチュアされている前者は、プログレ・ファンの間でも高い人気を誇る。


Ciro Dammicco - Ciro Dammicco ★★★ (2019-10-08 23:51:08)

NEW TROLLSの『CONCERTO GROSSO Part1』に涙して以来、「あの感動よ、もう一度」とばかりに、折に触れてイタリア産のプログレ物をチェックするようになりましたが、元々そっち方面に関する知識が薄弱な上に、当然と言えば当然の話ながら、かの国のバンド全てが濃厚な泣きメロを奏でているわけもなかったという。ただ、そうした中にあって個人的に『CONCERTO~』と並ぶ大当たりだと思っているのが、後にポップ・グループDANIEL SENTACRUZ ENSEMBLE を結成して“哀しみのソレアード”を大ヒットさせるイタリア人シンガー/ソングライター、チロ・ダッミッコ(ダミッコ?ダミコ?呼び名がまちまちでどれが正しいのやら)が'72年に発表したこのソロ・デビュー作です。邦題は『オータム』。
基本的には、濃い口なイタリア語による歌い回しが一層エモーションを掻き立てる、ダッミッコの情熱的なVoが主役のカンタトゥーレ作品で(日本だったら布施明とか上条恒彦辺りが歌っていたポップスに通じる魅力あり)、そのサウンドに複雑さや実験性は皆無。全編を詩情豊かに潤すメロトロンの活躍や、哀切な調べを奏でる生ギター、ピアノ、フルートを丹念に織り込んだアレンジ等から、プログレ愛好家の評価が高いのも納得の作品。中でも聴く者の胸を締め付ける猛烈な泣きを発散するOPナンバー①と、EDを甘く切なく締め括るアルバム表題曲⑩は哀メロ野郎終生の友となる珠玉の逸品。HR的ダイナミズムも感じられる③、サビメロの盛り上がりが感動的な⑤や、優しく包み込むようなバラード⑥も胸打つ名曲ですし…って、要は捨て曲なしの名盤であると。
哀愁のメロディを愛する向きは一度はお聴き頂きたい!と強くお薦めする1枚。


Ciro Dammicco - Ciro Dammicco - Autunno ★★★ (2019-10-10 00:29:15)

アルバムを締め括る抒情的なインスト・ナンバー。
胸をかき乱すように奏でられるピアノを始め、楽器陣が醸し出す
劇的な泣きと儚い美しさに、こちとら聴く度に蕩けるチーズと化してしまいますよ。
個人的にアルバムで最も聴き返す頻度の高い至高の逸品。


Ciro Dammicco - Ciro Dammicco - Tu Mi Eri Scoppiata Nel Cuore ★★★ (2019-10-10 00:15:40)

アルバムのOPナンバーにしてハイライトを飾る名曲。邦題は“君を想う”
ピアノとアコギによる抒情的な導入部から、メロトロンを用いて
ドラマティックに盛り上がるコーラス・パートが発散する哀愁が胸を締め付けます。
イタリア語による濃い口な歌い回しも、楽曲に備わった憂愁を倍増させてくれていますよ。


D.A.M - Human Wreckage ★★ (2007-12-04 22:57:00)

イギリスはランカシャー出身の5人組スラッシュ・メタル・バンドD.A.M.(DESTRUCTION AND MYHEM)が、
'89年にドイツのNOISE RECORDSからリリースした1stアルバム。(プロデュースは勿論ハリス・ジョンズ)
S.O.D.とかD.R.I.とかS.S.S.とか、アルファベット三文字バンド=クロスオーバー・スラッシュ
とのイメージが強いのだけど、このD.A.M.は、重く湿り気を帯びて刻まれるGリフといい、パッと弾けず
煮え切らない曲調といい、疾走感よりも構築感重視の曲展開といい、如何にも英国製(B級)スラッシュ・メタルらしい
魅力に溢れたサウンドを聴かせてくれる(⑨みたいなハードコア・ナンバーもあるけど)
まぁ人によっては、地味過ぎて退屈する可能性も無きにしも非ずなれど、XENTRIXとかPARAIAHとかAPOCALYPSEとか、
この手の音がツボな自分としては、もう大満足な1枚・・・なんだが、シャープ気味に歌うVoの声質がカラッと陽性なせいか、
上記のバンドほどジメジメとした暗さはなく、畳み掛けるように疾走する③や、爽快感すら漂う
⑩のような楽曲には、ベイエリア・スラッシュ・メタル的な趣きも感じられる。
とは言え、やはり本作の核となるのは、アルバムのOPとハイライトを同時に飾るドラマティックな名曲①、
激しくアップダウンを繰り返す⑤、ヘヴィに始まり、徐々にテンションを上げていく劇的な⑧といった楽曲で、
特に、これらの曲に於いて「押し」と「引き」を駆使したメロディアスなソロを連発するリードGは、なかなかの逸材ではなかろうか。
驚くようなクオリティや個性を備えているわけではないが、気が付けばリピート再生しているという、地味に味わい深い1枚。


D.A.M - Human Wreckage - Death Warmed Up ★★ (2007-12-04 23:05:36)

インスト曲“M.A.D."から間髪入れずに繋がる
ドラマティックなイントロ部分で掴みはOK。
重々しい疾走感を基調としつつも、インスト・パートで炸裂する
緩急をわきまえたメロディアス且つ劇的なGソロが胸を打つ、
本編のOPナンバーにして、ハイライト的存在の名曲。


D.A.M - Human Wreckage - Prophets Of Doom ★★ (2007-12-04 23:09:10)

胸に沁みる叙情的なGソロを導入部に、
激しくアップダウンを繰り返しながら突っ走る
高速スラッシュ・チューン。


D.A.M - Inside Out ★★★ (2011-03-27 23:07:53)

イギリスはランカシャー州モーカムにおいて、ジョン(G)とフィル(Ds)のバリー兄弟を中心に結成された5人組スラッシャーが、デビュー作に引き続きプロデューサーにハリス・ジョンズを起用してレコーディング、'91年に発表した2ndアルバム。(CDには④⑧が追加収録されている)
スラッシュ・メタルにしては爆発的な疾走感や尖がった攻撃性に乏しく、パワー・メタルと呼ぶには愛想に欠く本作を「地味」と捉える向きも多かろうが、個人的には、イマイチ派手にハジけ切れない、大向こうから「よっ、英国産スラッシュ・メタル!」と思わず声を掛けたくなる、このドンヨリ薄曇りサウンドがもろにツボ。
しっかりと歌えるハイテンションなVoと、手数多めで刻まれる湿気ったGリフ、歯切れ良く疾走するリズム、そして流麗に切り込んで来るツインGとが、スピードよりも構築感重視の曲展開に併せて矢継ぎ早に畳み掛けるスタイルはそのままに、今回は収録楽曲のメロディとドラマ性に一層磨きが掛けられており、特に起伏の激しい歌メロとキャッチーなGリフがクールな③、緩急の効いた曲展開に、Keyの導入等ドラマティックなアレンジが施された⑩は、本編のハイライトを飾るに相応しい名曲っぷり。また、間髪入れずにスタートするOPナンバー①、B主導でリズミックに突っ走る⑥、デイヴ・ピュー(後にSKYCLADへ参加)のテクニカルなGプレイが荒れ狂う⑨なんかも、メタル・ハートにグッと来る秀逸なスラッシュ・ソングかと。
尚、残念ながら英国スラッシュ・シーンの急速な衰退に抗い切れず、バンドは本作発表後に解散を余儀なくされている。


D.A.M - Inside Out - Appointment With Fear ★★★ (2011-04-02 13:00:08)

尖がりつつもキャッチーでメロディアスな
Gリフと歌メロ、そして縦に刻まれるリズムが
心地良く疾走する2ndアルバム屈指の名曲。


D.A.M - Inside Out - Beneath Closed Eyes ★★ (2011-04-02 13:07:52)

アクセントとしてKeyを導入したアレンジ、
しっかりと歌うVo、徐々に速度を上げつつ
盛り上がっていく曲展開etc・・・と
2ndアルバムをドラマティックに締め括る
6分以上に及ぶ大作ナンバー。
B独演のインスト曲“INSIDE OUTRO”とセットでどうぞ。


D.A.M - Inside Out - The Innocent One ★★★ (2011-04-02 13:02:56)

ブンブン鳴りまくるBに引っ張られる形で
ノリよく疾走するアッパーなスラッシュ・ソング。
それでいて、Gが紡ぎ出すメロディや
緩急の効いた曲展開には
英国バンドらしいドラマ性が宿る。


D.R.I. - Crossover ★★ (2007-07-02 21:15:00)

テキサス出身の4人組スラッシャー、DIRTY ROTTEN IMBECILIES(薄汚い性根の腐った悪ガキ共)ことD.R.I.が、'87年に発表した2ndアルバム。
全世界で10万枚以上を売り上げたD.R.I.の出世作として知られる本作は、『CROSSOVER』という
そのものズバリなタイトルが示す通り、メタルとハードコア/パンクのクロスオーバー現象を語る上で
欠かす事の出来ない名盤の1つであり、個人的には、彼らの最高傑作と信じて疑わない1枚でもある。
ヘヴィなイントロを経て猛烈に疾走を開始。中盤にはGソロまでフィーチュアして、最後は再びミドル・パートに戻って幕となる、
緩急の効いたOPナンバー①が端的に表わす通り、もろハードコア/パンク路線だったデビューEP『DIRTY ROTTEN EP』や
1stフル『DEALING WITH IT』の作風から一転、飛躍的にスラッシュ・メタル度を高めた本作は、重厚な音作りといい、
更に鋭くメタリックに研ぎ澄まされたリフといい、よりダイナミズムを増した曲展開といい、前2作の音圧の低さに
物足りなさを覚えたメタル者の耳すらもガッチリとキャッチする、問答無用のカッコ良さを誇るスラッシュ・チューンがズラリ。
勿論、10秒にも満たない③の如きハードコア・チューンもちゃんと収録されてはいるけれど、やはりそれ以上に魅力的なのは、
ダイナミックに疾走する②、起承転結を飲み込んだ④、切り裂くようなイントロ・リフにノックダウンされる⑦、
ベース主導で忙しなく突っ走る⑩といった、硬派な高速スラッシュ・ナンバーの数々。中でも④は
「聴かせる」インスト・パートまで備えた、本編のハイライト的存在の名曲だ。
それ以外の楽曲も総じてクオリティは高めで、捨て曲は見当たらない。D.R.I.入門編としても最適な名盤じゃなかろうか。


DA VINCI - Ambition Rocks ★★★ (2017-10-23 23:04:18)

80年代に残した2枚のアルバムが、後にゼロ・コーポレーションを通じて日本でもリリースされ、メロディ愛好家達の間で評判を呼んだノルウェーのDA VINCIが再結成。のみならず凡そ30年ぶりとなる3rdアルバムまで発表してくれましたよ。
しかも音楽性の方も、前2作の美点をしっかりと受け継いだ北欧ハードポップを実践。哀愁を含んだキャッチーなメロディを、キラキラなKeyと分厚いボーカル・ハーモニー、それにこの手の音にぴったりフィットする、クセのない声質の持ち主である新Voのプレーンな歌唱とで包んだサウンドは、ジャンル愛好家の顔を綻ばせること請け合い。イントロ序曲①の後を受けて②が爽やかに始まった時には、こちとら「変わってねぇなぁ。最高か!」と、思わず膝を打ってしまったという。
正直なところHR/HMで括るには少々ポップ過ぎる作品ではありますが、オリジナル・メンバーとして踏ん張るグナール・ヴェストリー(G)とダグ・セルボスカー(Key)が、要所で耳を惹くセンスフルな演奏を閃かせ、楽曲内に思わずハッとさせられるフックを構築してくれています。特に、バンドの帰還を高らかに宣言する高揚感に満ちた④、流麗なタッチで奏でられるピアノが曲調のロマンティシズムに拍車を掛けるバラード⑦、キャッチーに躍動する⑥⑩、夜の首都高ドライブのBGMにしたらハマリそうなアーバン且つお洒落な雰囲気漂わす⑫等の楽曲は、変わらぬDA VINCI節が集約された逸品と言えるのではないでしょうか?
これ切りで終わらせず、今後の活動継続に期待を寄せたくなる1枚。


DA VINCI - Ambition Rocks - Angel ★★★ (2017-10-23 23:21:23)

ド直球のタイトルに相応しく、
スウィートでロマンティックなバラード。
しっとり聴かせにかかるGソロもいいのですが、
それ以上に流麗に奏でられるピアノが
実に良いアクセントになってくれています。


DA VINCI - Ambition Rocks - I've Come All This Way ★★★ (2017-10-23 23:17:06)

仄かな哀愁を帯びつつ、
軽快に弾む曲調は爽やかでキャッチー。
且つロック・チューンとしての高揚感もばっちりという、
帰還の挨拶でもある歌詞を含め、
まさに先行シングルに打ってつけの名曲。


DA VINCI - Ambition Rocks - Touch of Humanity ★★★ (2017-10-23 23:30:05)

首都高ドライブの時に流したくなるというか、
夜10時台の報道番組のテーマ曲にでも採用したらハマリそうというか。
ネオンに照らされながら都会の夜を疾走していく風景を
幻視せずにはいられない、アーバンで洗練された雰囲気漂うロック・チューン。


DA VINCI - Back in Business ★★★ (2013-04-20 22:03:57)

デンマークのKey奏者を含む5人組が'89年に発表した2ndアルバムにしてラスト作。
'93年にゼロ・コーポレーションからリリースされた国内盤を購入したクチなのですが、初期イングヴェイやSILVER MOUNTAINを聴いて北欧メタルに開眼した身ゆえ、当時、この手の甘口なハードポップ作品は「俺の求める北欧メタルに非ず!」ってな感じで、殆どまともに聴かぬままCDラックに放り込んでしまっていました。ド反省。
メジャーのPOLYDORに所属し、デビュー作をヒットさせた実績を持つバンドだけに、メンバーのパフォーマンスから、ゴージャスな音作り、巧みにフックを盛り込んだ楽曲構築術に至るまで、その洗練された作風にイモっぽさは皆無。Voはちょっとこの手のサウンドを歌うには粗い声質な気がしますが、それは聴き進めるうちに慣れてしまいます。
北欧人の血の為せる業か、ポップでありながらも能天気になることはなく、絶妙に哀感を織り込んだ展開を聴かせるキャッチーなメロディがとにかく絶品で、特にそれが顕著に活かされているのが、曲中において華麗に開花するコーラス・パートにおいて。色とりどりのガラスを1枚1枚丁寧に磨き上げ組み上げたステンドグラスの如き美しさを誇る③や、Gソロの発散する猛烈な泣きに胸キュン(死語)な⑤といったバラードは、全盛期のTNTにも匹敵する名曲っぷりですよ。
快活なOPナンバーから、グリーグの『ペールギュント組曲』から“朝”をモチーフにしたラスト・ナンバーまで、甘美なハードポップ世界に耽溺できる1枚です。


DA VINCI - Back in Business - Circus Maximus ★★ (2013-04-21 22:21:49)

この曲のみ他とは異なり、プログレハード風の
雰囲気を漂わせています。曲名からも分かる通り、
後に登場するノルウェーのプログレ・メタル・バンド
CIRCUS MAXIMUSのバンド名の元ネタとなった楽曲・・・
というのは、たった今思いついたデマですが、
バッハの“G線上のアリア”(多分)を組み込んだ
Gソロもナイスなドラマティックな逸品です。


DA VINCI - Back in Business - Hold Back the Tears ★★★ (2013-04-21 22:13:01)

これまた壮麗な美しさに包まれたバラード。
甘い雰囲気に流されることなく、しっかりと泣いて
存在を主張するGが良いアクセントとなっています。


DA VINCI - Back in Business - Young Hearts ★★★ (2013-04-21 22:11:20)

サビを重厚に彩るボーカル・ハーモニーと
シンフォニックなKeyが演出する
壮麗な美しさに圧倒される名バラード。
いやホント名曲。


DA VINCI - Da Vinci ★★★ (2017-06-04 09:15:14)

ノルウェーのDA VINCIが’87年にPOLYDOR RECORDSから発表し、本国ではグラミー賞を受賞するほどの大ヒット作となった1stアルバム。日本盤は遅れて’93年にゼロ・コーポレーションを通じ、2nd『BACK IN BUSINESS』と同時リリースされました。
自分は先に『BACK~』を聴き、その完成度の高さに感心したことから本作も購入したのですが、涼しげなKeyを取り入れた中期EUROPE辺りに通じるハードポップ・サウンドが、既にこの時点で満開。北欧メタルと聞くと、どうしても「ヘタウマなVo」「貧相な音質」といった垢抜けないイメージが付き纏いますが、本作に関してはメジャー資本のバックアップを受けているだけあって音質は良好ですし、フックを盛り込んだメロディ構築術に抜かりがない上に、アレンジもハイセンスときたもんだ。
特にグラミー賞会場でも演奏したというポップに弾む①や、ドラマ性と大衆性を高いレベルで両立させた大ヒット・バラード③、Keyを有用した中間部の鮮烈なアレンジが技ありな⑥、メロディの甘さとコーラス・ワークの美しさに聴き惚れる⑨といった楽曲は、如何にも新人バンド的な「脇の甘さ」がまるで感じられない見事な出来栄えを誇ります。
少々軽過ぎる&甘過ぎる音に思える向きもありましょうが、メロディ愛好家にとっちゃこれからの季節、寝苦しい熱帯夜を快適に過ごすためのお供に打ってつけの、実に爽やかな1枚。ちょいと前まで中古盤にアホみたいに高値が付けられていましたが、輸入盤も再発された近年は価格も落ち着いて来たようなので、買うには丁度いいタイミングではないでしょうか。その際は2nd『BACK IN BUSINESS』も併せて是非どうぞ。


DA VINCI - Da Vinci - Tarquinia ★★★ (2017-06-06 00:10:59)

神の怒りに触れ、大地震によって滅ぼされてしまったという
言い伝えの残るローマ帝国の都市タルキニアについて歌ったバラード。
そう聞いてからこの曲に耳を傾けると、
何やら古代のロマンがメロディから薫って来るような来ないような…。
北欧メタルらしい透明感と美旋律が全身に染み渡る名曲で
ラジオ・チャートで大ヒットとなったというのも納得です。


DA VINCI - Da Vinci - Young Desperado ★★★ (2017-06-06 00:17:29)

メンバーの解説によれば、間違った選択ばかりしてしまう
若者のもがきについての歌らしい。
要はDA VINCI版「青春の蹉跌」か(?)
美しいコーラスと甘いメロディが、
どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出して
感傷的な曲調を盛り上げてくれる名曲です。


DAKOTA - Long Road Home ★★★ (2023-02-14 00:53:58)

ジェリー・G・ルジック(Vo)とビル・ケリー(G、Vo)の二人を中心に70年代末に結成され、解散と復活を挟みつつ、メロディ愛好家達の根強い支持を受けてマイペースで活動を続けるメロハー・ユニットDAKOTAが、トミー・デナンダー、ビル・チャップリン、ファブリッツオ・V・グロッシetc…といったメロディアスHRファンにはビビッと来る面子をゲストに迎えてレコーディングを行い、'15年に発表した7th アルバム。
前作『DRRP 6』から13年ぶりのリリース、個人的に彼らのアルバムを購入するのは、'00年に国内盤も発売された5th『LITTLE VICTORIES』以来という同窓会状態だったのですが、哀愁とフックの盛り込まれたキャッチーなメロディ、ジェリーとビルのダブルVoを活かした心和むハーモニーがたっぷりとフィーチュアされたメロハー・サウンドは、空白期間を瞬く間に埋めてくれる変わらない魅力を保持してくれていましたよ。
序盤こそ哀愁はやや抑え気味な印象を受けるかもしれませんが、聴き進めるに従ってメロディの叙情性はどんどん増幅。特に、爽やかに吹き抜ける一陣の涼風の如き⑧、ライブ映えもばっちりなキャッチーなサビメロが秀逸な⑨、哀愁とエモーション盛り盛りで贈るAORバラード⑪、歯切れ良く快活に駆け抜けていく⑫、タメの効いた哀メロ・チューン⑬、ジェリーの卓越したメロディ職人ぶりが存分に発揮された本編のハイライト⑭といった強力な逸品が並ぶアルバム後半の充実具合には惚れ惚れさせられますね。
現状、これがDAKOTAの最新作となっていますので、そろそろ新作のご発表をお待ち申し上げております。


DAKOTA - Long Road Home - When The Party Is Over ★★★ (2023-02-16 00:25:54)

タイトルからしてアルバムの締め括り役を担うに相応しい
メロディアスHRナンバー。特徴的なリフ&リズムに乗って
奏でられるメロディの絶妙な哀愁ぶりに悶絶させられます。


DAKOTA - Mr Lucky ★★★ (2017-12-26 23:14:04)

ESCAPE MUSICを通じて’95年にリリースされると、BURRN!!誌の輸入盤レビューで高得点を叩き出す等、世のメロハー・マニアの間で評判を呼び、久々にDAKOTAの名前に注目が集まる切っ掛けにもなった1枚。‘86年発表の3rd『LOST TRACKS』は、'84年から’86年頃にかけて書かれた楽曲のデモ・レコーディングに近い音源を集めたアルバムだったそうで、本作はそのうちの一部収録曲を差し替えた上でレコーディングをやり直し、曲順とタイトルを変更してリリースされたお色直し盤(?)なのだとか。
まぁそんな成り立ちはどうあれ、本作には良い曲が山ほど揃っていることは間違いありません。ラジオでオン・エアされるやリクエストが殺到したというヒット・バラード⑩を始め、ここには「手っ取り早くアウトテイクを寄せ集めてみました」的な急造感は皆無。つか、このレベルで残りカスだったら正規アルバムはどんだけの完成度の高さだと、DAKOTA未聴の方は余計興味を引かれるんじゃなかろうか?と。
また、’97年発表の復活作『THE LAST STANDING MAN』が、どちらかと言えばしっとりと聴かせる熟成を感じさせる作風だったのに比べ、本作は哀愁とフックの効いたメロディの大盤振る舞いは当然として、曲によってはツインVoをフィーチュアして溌剌とした躍動感溢れる楽曲も多数収録するという、聴かせると共に「ノらせる」ことも念頭に置いた如何にも80年代らしい作り。中でも軽快な疾走感とフックに富む哀愁のメロディが同居した⑥は名曲ですよ。
発表当時から今に至るまで、日本盤が発売されていない現実に首を捻りたくなる1枚です。


DAKOTA - Runaway ★★★ (2017-12-25 22:51:47)

CHICAGO人脈に連なるグループで、大きなヒットにこそ恵まれなかったものの、マニア筋からの支持は非常に根強いペンシルベニア出身のDAKOTAが、リッチー・ズィトー、スティーヴ・ポーカロ、ビル・チャップリン、アーニー・ワッツら豪華ゲストを迎えて制作、'84年に発表した彼らの代表作とされる2ndアルバム。(プロデュースはCHICAGOのドラマー、ダニー・セラフィンが担当しています)
セルフ・タイトルのデビュー作のセールス的不振を鑑みてか、今回はグループの前身であるジェリー・G・ルジックとビル・ケリーのデュオ時代から受け継ぐ、抜けの良いウェスト/コースト・ロック風味は残しつつ、より時代にアジャスト。リバーブを深めに掛けた瑞々しいプロダクションに、本作から参加のリック・マンウィーラーが高らかに鳴り響かせるKeyや、シンセB、トリガーを用いダンサンブルなリズム・アレンジ等、全体的にスペーシーな色合いを強めたサウンドは、イントロからして期待を高めてくれるOPナンバー①、本編中において一際プログレ・ハード色が色濃い⑥、G主導で駆け抜ける重厚なロック・チューン⑦、もしくはボーナス・トラックとして収録されている軽快に弾む⑩etc.といった具合に、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったJOURNEY、BOSTON、TOTO、ELOといったアメリカン・プログレ・ハード~産業ロック勢に通じる魅力を放つようになりました。ロマンティックなピアノ・バラード③や、ツインVoによるハーモニーが哀メロの切なさを引き立たせる⑧辺りを聴いていると、なぜこれが売れなかったのか?と首を傾げること請け合いですよ。
DAKOTAの最高傑作といえばやはりこれではないでしょうか。なお紙ジャケ再発盤が現在でも購入可能の模様。


DAKOTA - The Last Standing Man ★★★ (2017-12-24 10:56:42)

ESCAPE MUSICからリリースされた蔵出し音源集『Mr. LUCKY』が、ここ日本を始め、世界中のメロハー愛好家の間で評判を呼んだことにDAKOTA再評価の機運の高まりを感じ取ったジェリー・G・ルジック(Vo)が、嘗てのバンド・メイト、リック・マンウィーラー(Key)の助力を得て「時は来た。それだけだ」とばかりにDAKOTAを再編。'96年にエイベックス傘下のBAREKNUCKLEから復活アルバムを発表しました。(通算4作目)
のっけの①から、ジェリーのエモーショナルで味わい深いVoと、適度にエッジを効かせて歌うGを活かしたメロディック・ロック・チューンがOPナンバーに相応しい勢いを伴って繰り出され、リックが抒情的に奏でるKeyがしっとりとした哀感を演出する②がその後に続く。そしてインストの小曲③を挟んで始まるのは、どこか中期JOURNEYの名曲“MOTHER, FATHER”を彷彿とさせる④…と、序盤の隙のない流れだけで十二分に伝わって来るよう、本作に託されているのは往年のDAKOTAのシルエットを色濃く留めた、アーバンでアダルトな80年代風味満点のAOR/産業ロック・サウンド。
流石に全13曲も詰め込まれていると途中でダレなくもないですが、それでもフック満載のメロディが胸を打つ名バラード⑦が中盤に配され、ラストにはプログレ・ハード調⑬のような佳曲が要所を締めることで、収録時間50分オーバーの長丁場であっても、終始一定以上の緊張感が保たれています。この辺の構成力の巧みさはやはりベテランの技前だなぁと。
国内盤は既に廃盤のようですが、中古盤屋でも比較的見かける率は高い(あとお値段も良心的な)作品ですので、まずはDAKOTA入門盤としていかがでしょうか


DALTON - Pit Stop ★★★ (2020-08-26 01:02:20)

かつて北欧メタル作品を熱心に集めていた時期は、様式美系のバンドを優先的にチェックしていたため、後回しにしていたハードポップ系のバンドは結構な数を取りこぼしてしまっていました(購入を先延ばしにしているうちに廃盤→プレミア化→入手困難のパターン)。TREATの1stに参加していたマッツ・ダルトン(Ds)により結成されたDALTONもそうしたバンドの一つで、1stと2ndは入手の機会に恵まれず、結成30周年を祝う復活作として’14年発表されたこの3rdアルバムで、漸く彼らの音に触れることが出来ましたよ。
本作は正確には復活作というより、90年代に制作準備を進めるも結局果たせずに終わった幻の3rdアルバム用の楽曲を、プロデューサーのエリック・モーテンセン(ECLIPSE)の助力を得てブラッシュアップした「蔵出し音源集」的趣きも含むらしいのですが、鼻に掛かったハイトーンVoによって伸びやかに歌われる、胸のすくような爽快感を振りまきながら走り抜ける②、印象的なコーラスが耳に残るバラード③、雲一つない青空が広がっていく光景が目に浮かぶ⑤といった、北欧のバンドらしからぬ抜けの良さを伴うハードポップ・ナンバーの素晴らしさを前にすれば、そんな些細なことはどうでもよくなるってもんです。
特に仄かな哀愁を隠し味にキャッチーに弾む⑦は、本場アメリカのポップ・メタル・バンドだってそうそう書けそうもない強力なフックとヒット・ポテンシャルを秘めた名曲じゃないかと。ついでに悲哀に彩られた⑫もボーナス・トラック扱いなのが勿体なさ過ぎる逸品。
これ以降、表立った活動のニュースが日本にまで伝わってきていないのが残念ですが、こんだけ優れた楽曲を書けるバンドなのですから、是非とも活動を継続して欲しいところです。


DALTON - Pit Stop - One Voice ★★★ (2020-08-27 00:10:04)

北欧のバンドとは思えぬハジけるようなポップネスと
北欧のバンドらしい涼し気なメロディが同居した
DALTONというバンドの魅力を分かり易く伝えてくれる
キャッチーな名曲。復活作でこのレベルの楽曲を
提示できるのなら大したものですよ。


DAMIEN - Stop This War ★★★ (2024-09-23 23:58:03)

映画『オーメン』に登場する悪魔の子からバンド名を頂戴してDAMIENを名乗った5人組(同名バンドは多いが彼らはオハイオ州トレド出身)が、'89年に発表した2ndアルバム。1st『EVERY DOG HAS ITS DAY』(’87年)では凶悪な面構えの白犬、今作では戦闘機化した犬と、やたらジャケットが犬推しなのも「ダミアンは山犬の子」という映画の設定を踏まえているからなんでしょうかね?
それはともかく。本作で披露されているのは高血圧なシャウトとメロディアスな歌い上げをスムーズにこなすVoと、硬軟自在に動き回る2本のGを効果的に用いたJUDAS PRIEST型正統派HM。勿論そのサウンドはアメリカのバンドらしくよりアグレッシブにビルドアップされていますが、一方で単調な力押しに終始することなく、キャッチーなメロディ作りへの拘りから印象的なツインGの絡みに至るまで、曲展開をしっかりと練ってフックを仕込む手腕には、しょせんB級メタルと舐めてかかる輩にカウンター・パンチをぶち込むが如き強力なクオリティが宿っていますよ。
パワフルに押しまくる曲調にふっと引きのパートが差し込まれる技ありのOPナンバー①、熱くドラマティックに盛り上がる③、憂いに満ちたメロディを纏ってスマートに駆け抜けていく⑧…。中でも重厚かつ好戦的な曲調、光沢を帯びたツインGハーモニーに乗せて「マチールダー!マチールダー!」と思わず唱和せずにいられないコーラスが炸裂する④はDAMIEN屈指の名曲じゃないでしょうか。
前作に負けず劣らず聴き応え十分の名盤。今更ですが日本盤出して欲しかったですね。


DAMIEN - Stop This War - Matilda ★★★ (2024-09-25 00:07:43)

曲調は重厚にして威圧感満点ですが、ツインGを効果的に用いた
コーラス・ワークは思わず合唱したくなるキャッチーさが備わっています。
このバンドの作曲能力の高さがいかんなく発揮された名曲。


DAMIEN THORNE - The Sign of the Jackal ★★★ (2015-01-14 23:47:56)

オカルト映画史に足跡を残す名作『オーメン』。その主人公たる悪魔の申し子からバンド名を頂戴している、アメリカはイリノイ州シカゴ出身の4人組が'86年に発表した1stアルバム。
バンド名やアートワークのみならず、「刻む」というより「蠢く」と形容したくなるダークなGリフと、ハイトーンVoの芝居掛かった歌唱に導かれ繰り広げられるパワー・メタル・サウンドからも、明確なオカルト志向を窺い知ることが出来る本作ですが、ヨーロッパ産の同族に比べると耽美性や湿度は控えめ。それよりも荒々しいブチかましで中央突破を図る姿勢がアメリカンやなぁと。(ツアー・メイトもスラッシュ勢が多かったようですし)。というかコレ、ノリはSHRAPNELメタルですよね。
なので聴き始めはフックに欠ける大味さが気になったりもするのですが、中盤以降は、ルドルフ・ヘスの演説からスタートする⑤、高圧的に荒れ狂う⑥、トリに相応しい大仰さで迫り来る大作曲⑧のような、パワーのみならず、ドラマティックなメロディや曲展開にも気の払われた楽曲がギラリと存在感を放ち、本編に対する没入度の低下を防いでいます。
不器用ながらも愛すべきサムシングに満ちた1枚。ファンからの根強い支持の下、バンドが再結成を果たして80年代よりも元気に活動中なのも納得ですよ。


DAMIEN THORNE - The Sign of the Jackal - Hell's Reign ★★★ (2015-01-27 22:38:59)

聴衆を煽りまくるニュルンベルク党大会での
ルドルフ・ヘスの演説からスタート。
ナチス・ドイツについて歌った歌詞に合わせて、
蠢くGリフと押し寄せるリズム、その中から
突き抜けて来るハイトーンVoが禍々しい空気を
醸成する、アルバム屈指の名曲ではないかと。


DANCER - BEST OF TAIJI FUJIMOTO ★★ (2007-11-04 20:12:00)

足立裕二と共に「日本のマイケル・シェンカー」の異名を取る(?)ギタリスト、藤本泰司率いる
ハードロック・バンドDANCERのベスト・アルバム。元々は『DANCER MEMORIAL』のタイトルで、
1万枚限定/2枚組仕様で'92年に発表された物だったが、そこから更に藤本自らの選曲により12曲を抜き出し、
タイトルも変更して再リリースされたのが本作。(2枚組の方は、最早、入手困難の様子)
'86年発表のデビュー・ミニ『IN THE BEGINING』から5曲、'88年発表の1stフル『VIOLENT EMOTION』から6曲、
そして7インチ・シングルとしてリリースされた“GRAVE DIGGER"の全12曲からなる構成。
代表曲の1つ“NEVER SURRENDER"に象徴されるように、初期の頃はLAメタル的なポップ色も強かったらしいが、
本作で聴かれるサウンドは、哀愁を帯びたシャープな正統派ハード・ロック路線で統一されていて、
藤本のテクニカル且つメロディアスなGソロと併せ、聴き応え十分。
特に、ジャパニーズ・ヘヴィ・メタル・シーンを代表する名曲“BLUE FIRE"は必聴かと。
Voは、ANTHEMの初代フロントマンとして知られる前田敏仁で、その高域に余裕のないハイトーンは好き嫌いが
分かれるところなれど、楽曲の良さを損なうほどではないので、まぁ良いかなと。それと個人的には、
単純にANTHEMの初代Voという事で興味津々だったトニーの歌声が聴けるというだけも嬉しかったり。
今となっては、DANCERの作品で気軽に入手できるのはコレぐらいの物なので、まずは入門編としてどうぞ。


DANCER - IN THE BEGINNING - BLUE FIRE ★★★ (2007-11-04 20:24:19)

シャープに疾走する曲調と、哀愁を帯びたメロディ、
やや不安定だが「泣き」を感じさせる前田敏仁のVo、
そしてメロディアス且つスリリングな藤本のGと、
個人的に、DANCERというバンドに興味を持つ
切っ掛けとなった名曲。Keyも地味に良い仕事をしています。


DANGER DANGER - Danger Danger ★★★ (2016-04-03 00:00:33)

雑誌レビューでゴッドが「全曲がBON JOVIの“RUNAWAY”みたいなアルバム」(うろ覚え)と評していて、「そんな夢のような作品があるのか!」と慌てて購入に走った'89年発表のデビュー作。
んで、実際に聴いてみた結論は「…いや、違うんじゃね?」と。確かにBON JOVIっぽくはありますし、シングル・カットされた②はテッド・ポーリーの歌唱から、哀愁を感じさせる曲調、Keyの使い方まで、紛れもなく“孤独のランナウェイ”感溢れるド名曲なのですが、それ以外の楽曲の方向性は、明るく溌剌とハジけるポップ・メタル路線。孤独どころか友達多そうだし、逃亡者感もゼロ(むしろ着飾ってパーティに出掛けそう)という…。
でもこれはこれで大変素晴らしい。キャッチーなメロディから、気の利いたアレンジ、スタジアムで演奏されるのが似合いそうな大合唱を誘うコーラスまで、楽曲には印象的なフックが盛り盛り。爛熟期を迎えたアメリカのHR/HMシーンにおいて、有象無象のバンドの中から抜け出し、一歩でも成功に近付くべく徹底的に作り込まれたサウンドは、普段この手の音を積極的には嗜まない身にもグッと来るクオリティを有しています。特に爽やかに駆け抜けるロック・チューン⑥は、②の対となる名曲であるなと。
こんだけ曲作りのセンスがあり、且つルックスにも恵まれていたら、そりゃ日本では人気出まさぁな


DANGER DANGER - Danger Danger - Rock America ★★★ (2016-04-03 21:54:40)

1stアルバムでは“UNDER THE GUN”と双璧を成す名曲ですが、
DANGER DANGERの本質が表れているのは、多分こっち。
明るく楽しくキャッチーに疾走する、
聴いているだけで心浮き立つハードポップ・ナンバー。


DANGER DANGER - Danger Danger - Under the Gun ★★★ (2016-04-03 21:51:55)

明るくハジける本編においては少々カラーの異なる哀愁のハードポップ。
お手本は間違いなくBON JOVIの“孤独のランナウェイ”ですが
ここまで完成度が高ければそれをどうこう言う気も起きません。
個人的にはアルバムのハイライト・ナンバーです。


DANGER DANGER - Revolve ★★★ (2019-11-20 22:46:30)

テッド・ポーリー(Vo)をフロントマンの座に復帰させたDANGER DANGERが、テッド以下、ブルーノ・ラヴェル(B)、スティーヴ・ウェスト(Ds)、ロブ・マルセロ(G)というラインナップで'09年に発表した復活の7thアルバム。
ブルーノとロブの2人が、本作にもゲストVoとして参加している元バンドメイトのポール・レインと共に立ち上げたプロジェクトTHE DEFIANTSのデビュー作の完成度に感心し、慌てて買ったはいいが積んだままにしていたこのアルバムも引っ張り出してきて聴き直したのですが、いや、やっぱり良い曲を書く人達だなぁと、改めて感心させられた次第。
旧作よりも格段に説得力を増したテッドのVoと、ロブのフラッシーなGプレイに華やかに彩られたサウンドは、歳月を重ねたことで嘗てのような溌剌とした躍動感は多少薄らいだ感はあるものの、その分、合唱を誘発するキャッチネス、時に爽やかに、時にしっとりと哀愁を発するメロディのフックには益々の磨きが掛かっていて、DANGER DANGERといえば“NAUGHTY NAUGHTY”よりも“UNDER THE GUN”タイプの名曲を愛する身にとっては正にドストライクな仕上がり。個人的には、憂いを帯びて駆け抜ける②、一抹の侘しさ漂うバラード⑤、爽快感に満ち溢れたスケールの大きな⑦等に特にグッときましたが、基本的に本編には捨て曲なし。収録曲の質に関しちゃ1stに匹敵する粒の揃い具合です。
ブルーノの曲作りの相棒であるスティーヴ・ウェストが、こんなご時世ゆえアルバム作りに消極的な姿勢を取っているため、本作以降全く新作アルバムのリリースが実現していないのが残念でなりませんよ。(まぁお陰でTHE DEFIANTSが立ち上がったわけですが)


DANGER DANGER - Revolve - Ghost of Love ★★★ (2019-11-21 22:54:34)

美しいハーモニーと、テッド・ポーリーが切なく歌う
哀愁のメロディを纏って駆け抜けていく曲調といい
アルバムにおける配置箇所といい、1st収録の名曲“UNDER THE GUN”を
彷彿とさせるメロディック・ロック・チューン。
流麗なロブ・マルセロのGプレイも楽曲の魅力をもう一段上に
引き上げてくれています。


DANGER DANGER - Revolve - Rocket to Your Heart ★★★ (2019-11-21 23:01:06)

青空へ広がっていくような爽快感に満ちた曲調と
テッドの甘い歌声とロブのGが奏でる切ないメロディの
合わせ技に、いい年こいたオッサンも思わず胸キュンを
誘われてしまう何とも独特な味わいの逸品。秀曲が揃った
アルバム『REVOLVE』の中でも印象に残るナンバーです。


DANGER DANGER - Screw It! ★★★ (2017-06-30 00:40:42)

ポップ・メタルの名盤だったデビュー作をもって、ここ日本では人気が爆発したDANGER DANGER、’91年発表の2ndアルバム。
ファニーなアートワークのノリを反映させたようなSEに導かれてスタートするのは、大らかなコーラスが合唱を誘発する②。そこから哀愁漂う③へと繋ぐ構成が前作と二重写しになることからも明らかに、ファンが支持する自分達の長所をしっかりと把握し、そこを素直に伸ばした、明るく健康的なポップ・メタル・サウンドを本作でも追及してくれています。
というか全体的に更に「ネアカ」な部分が強調されている仕上がりゆえ、“ROCK AMERICA”と“UNDER THE GUN”というタイプの異なる2曲の名曲を収めた1stアルバムには一聴してのインパクトでは今一歩及ばず。しかし甘いバラードからノリノリのロックンロールまでエネルギッシュに歌いこなすテッド・ポーリーのVo、アンディ・ティモンズの益々フラッシーに冴え渡るGプレイの存在、そして巧みにフックを盛り込んだメロディやコーラスに下支えされた楽曲は、トータルの完成度では決して負けていません。特に爽快に疾走する名曲⑥や、ライブには欠かせないアリーナ・ロック・ソング⑧、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる⑨、メロウな⑩、爆走ロックンロール⑪、ドラマティックなバラード⑫…と、優れた楽曲が軒を連ねる本編中盤戦以降の充実度は天晴。
1st『DANGER DANGER』と併せて、ポップ・メタル好きなら是非とも押さえておいて頂きたい1枚。これが発表当時、アメリカ市場ではまるで相手にされなかったというのは…やはり時代が悪過ぎたんでしょうかね。


DANGER DANGER - Screw It! - Crazy Nites ★★★ (2017-07-01 10:54:52)

以前、バラエティ番組のサッカーのPKコーナーでBGMとして
使用されてことがあるそうなのですが、
確かに躍動感溢れる曲調といい、ライブ会場を大いに盛り上げる
キャッチーなコーラスといい、その手のスポーツ好プレー集が
よく似合う疾走感と爽快感を兼ね備えた名曲ですよ。


DANGER ZONE - Fire Fire ★★★ (2021-05-06 23:09:26)

デジタル配信されたE-Z-Oの代表曲のカヴァーで
2nd『UNDYING』の日本盤にボーナストラックとして収録。
そちらは配信バージョンとも異なる、Keyを活かした
よりドラマティックなアレンジが施されていて
(終盤のGソロも胸に迫るものあり)オリジナル版に
勝るとも劣らぬ仕上がりとなっています。


DANGER ZONE - Undying ★★★ (2021-05-05 23:34:44)

イタリア人ギタリスト、ロベルト・プリオリ率いるDANGER ZONEが'12年に発表した2nd。国内盤は'18年のリリースで、その際にはタイトルを『UNDYING《RELODED》』と改め、GとKeyの録り直し、ミックスやリマスターによるお色直しが図られています。
結成は80年代前半と古く、デビューEP『VICTIM OF TIME』を発表した頃はNWOBHMからの影響も露わな武骨な正統派HMを演っていたそうですが、アメリカを拠点に活動するうちに徐々に音楽性がポップ化。復活第2弾アルバムとなる本作で聴けるのは、Keyによる薄化粧も施されたタイト&キャッチーなメロディック・メタル。
国内盤の発売がANDER STEINからだったので、もっとAOR/産業ロック路線に寄せまくった内容かと思いきや、熱い歌いっぷりが気持ち良いVoにフラッシーなG、エッジと重量感を併せ持ったリフ&リズムがサウンドが過度に甘口になることを防いでくれています。だからこそ我らがE-Z-Oの代表曲“FIRE FIRE”のカヴァーもばっちりハマったのではないかと。同曲に深く関わったジョディ・グレイがロベルトのビジネス・パートナーだったのが縁で今回のカヴァーが実現したらしいのですが、これが「原曲より良いんじゃね?」と思わずにはいられない劇的な出来栄え。正直本編のハイライト級なこの曲のインパクトが他の収録曲の存在を霞ませてしまっているきらいはあるものの、それでもGプレイが痛快な②、小気味良くハジける⑦、Voの熱唱がメロディの哀愁味を引き立てる⑨といったフックの効いた楽曲からも明らかな通りバンドの作曲術とセンスの冴えに疑う余地はありません。
とりあえず“FIRE FIRE”目当てでもいいので一聴をお薦めする1枚。


DANNY VAUGHN - Traveller ★★★ (2019-07-02 00:43:08)

FRONTIERS RECORDS肝煎りのメロハー・プロジェクトFROM THE INSIDEの成功に手応えを感じたダニー・ヴォーン(Vo)が、WAYSTEDから数えてキャリア20周年の節目を迎え、自身の原点である「クラシカルなメロディアス・ロックのスタイル」をこれまで以上に尊重するべく'07年に発表した1stソロ・アルバム。
レーベルの意向で北欧メロハーに通じる透明感と哀愁を湛えたメロディアスHR路線が徹底されていたFROM THE INSIDEに比べ、意表を突いてアイリッシュ風味漂うOPナンバー①で幕が上がる本作は、そこにほんのりアメリカンな要素(土の薫り)も加味。全ての曲作りをダニー本人が手掛けていることもあって、より彼自身のシンガーとしての資質に寄り添ったサウンドが展開されています。
それでいて、例えば以前VAUGHN名義でリリースされた作品ほどアーシー過ぎないのもポイントで、共作者としてクレジットされているSHOTGUN SYMPHONYのチャーリー・カルヴや、CONTAGIOUSのトニー・マーシャルといった手練れのソングライター勢の助力を得ることで、過度な泥臭さを抑え、ポップ且つ爽やかな味付けがなされた収録楽曲の数々は実に美味。中でも快活な曲調にピアノの隠し味が映える④と、ポップな高揚感に満ち溢れたキャッチーな⑦はアルバムのハイライトを飾る名曲ですよ。
聴く者の心を暖めるエモーショナルな歌声の素晴らしさについては既に広く周知されていますが、フックを巧みに盛り込んだ曲作りの腕前もこのレベルだったとは…と感心しきりの、TYKETTOの名盤『FOREVER YOUNG』(’91年)に匹敵するクオリティを有する1枚。おみそれしました。


DANNY VAUGHN - Traveller - Lifted ★★★ (2019-07-03 00:18:14)

ピアノとVoのみのしっとりとした導入から、全楽器が加わり
快活にテンポアップするアルバム後半のハイライト・ナンバー。
要所でのピアノの良い仕事と、胸のすくようなダニー・ヴォーンの
歌いっぷりの良さが楽曲の爽快感を盛り上げてくれます。


DANNY VAUGHN - Traveller - Restless Blood ★★★ (2019-07-03 00:23:58)

カラッと抜けの良い曲調がアメリカンなノリの良さを担保する一方、
流麗に閃くピアノとキャッチーなメロディは仄かな哀愁を運んできます。
ダニー・ヴォーンというシンガーの資質にぴったりフィットした名曲。


DANTE FOX - Under Suspicion ★★★ (2018-08-16 00:09:28)

RADIO MOSCOW(DIAMOND HEADのブライアン・タトラーが結成したバンド)のメンバーだったギタリストのティム・マンフォードと、女性シンガーのスー・ウィレッツにより結成され、元々はレコーディング・プロジェクトとして始動、やがてはそれが正式なバンドへと発展していったというイギリス出身の4人組が、’95年にNOW & THEN RECORDSから発表した1stアルバム。
当時、日本盤がBAREKNUCLEからリリースされていて、DANTE FOXなんてバンド名だから「語感からしてシャープなHRサウンドを演ってそう」と(勝手に)期待して購入してみれば、実際に聴こえてきたのはかなりAOR/産業ロック寄りのサウンド。Gは要所でそれになりに存在感を主張しつつも、基本的には歌を引き立てる演奏に傾注。煌びやかなアレンジを施された哀愁のメロディが心地よく吹き抜けていく本編の主役は、飽くまで伸びやかさと力強さを併せ持ったスー・ウィレッツの歌声という塩梅です。
そんなわけで予想が外れてガッカリしたかといえば、実は全くそんなことはなく。寧ろこれはこれでありだな!と。ポップでキャッチー、世が世ながらヒット・チャートを席巻していてもおかしくなさそうなフックを擁し、またスー・ウィレッツの耳馴染みの良い歌声がそれを一層引き立てる収録曲の数々は、既にご指摘がある通りHEART(とりわけ『HEART』~『BRIGADE』の頃)に通じる魅力に溢れています。特に後年バンドがセルフ・リメイクする②は、DANTE FOXの魅力が凝縮された名曲の一つではないでしょうか。
国内未発売の3rd以降のアルバムも、ちょっとチェックしてみたくなりましたよ。


DANTE FOX - Under Suspicion - I Can't Sleep ★★★ (2018-08-17 00:08:14)

スー・ウィレッツの伸びやかなハイトーンVoと、
ティム・マンフォードの涼し気なGプレイが
得も言われぬ清涼感を運んでくるハードポップ・チューン。
世が世なら大ヒットしていたっておかしくない
サビメロのフックの効き具合もお見事です。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend ★★★ (2021-11-01 23:55:39)

日本のレコード会社主導で制作、’82年にリリースされたNY出身の女性ソロ・シンガー、デラ・セダカのデビュー作。でらセガタ?名古屋在住のダイハードなSEGA信者か藤岡弘マニアのこと?と思う向きもありましょうが(ねえよ)、セガタではなくセダカ。数々のヒット曲で知られるシンガー/ソングライター、ニール・セダカのご息女であられます。
ジャケットを飾る彼女の、台風中継に駆り出された女子アナみたいな髪型を見た時は多少不安にもなりましたが、プロデューサーに招聘したデヴィッド・フォスター人脈を駆使して、バック・バンドはTOTOのメンバーにジェイ・グレイドン、マイケル・ランドゥ、喜多郎、ゲストVoにPAGES、ブライアン・アダムスら錚々たる面子が揃い踏みの上、デラ嬢も溌剌としたポップ・チューンからフックを盛り込んだバラードまで伸び伸びと歌いこなすシンガーぶりを披露する等、本作で披露されているAOR/産業ロック・サウンドはどこに出しても恥ずかしくないクオリティを誇っています。
まかり間違ってもHR/HMのジャンルで括れる音楽性ではないものの、キャッチーなサビメロが印象的なハードポップ③、ギターがハードに活躍するアルバム表題曲⑥、そして喜多郎作曲でアルバムのリーダー・トラックでもあった、松本零士原作のSFアニメ映画『1000年女王』のEDテーマ⑨辺りは、この手のジャンルに興味がないリスナーでもグッとくる魅力を秘めているのではないかと。
暇を持て余した二世タレントの余技とは一線を画する名盤。この調子でローズマリー・バトラーの『ROSE』(勿論日本盤の方ね)とかも再発して貰えないでしょうか。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend - Angel Queen ★★★ (2021-11-03 01:21:23)

喜多郎が作曲とシンセサイザーも担当しているバラード。
邦題は“星空のエンジェル・クィーン”で、
アニメ映画『千年女王』の主題歌だったのだとか。
AOR路線の本編からすると少々浮いてる感もあるのですが
スペーシー&ドラマティックな仕上がりは文句なしのクオリティ。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend - The Real Me ★★★ (2021-11-03 01:13:54)

邦題は“見つめてほしい”
躍動感溢れる清涼なハードポップ・チューンで
ファルセットを使ってキャッチーに歌い上げられる
サビメロが実に秀逸な出来栄え。


DARK ANGEL - Darkness Descends ★★★ (2006-12-29 00:20:00)

バカテクDs.ジーン・ホグランが加入、いよいよ戦闘態勢を整えたDARK ANGELが'86年に発表した2ndアルバム。
個人的に、彼らの最高傑作と言えば4th『TIME DOES NOT HEAL』が思い浮かぶのだが、(無愛想ながら)歌えるVoを擁し、重厚なサウンド・プロダクションのもと、「聴かせる姿勢」が顕著に表れていた『TIME~』に比べると、本作は殆ど正反対といっていい程にバイオレントな作風を誇る。
勢い重視のラフな音質、僅か7曲収録で30分強というタイトなランニング・タイム、マシンガンの如く情容赦なく刻まれるリフ&リズム、直線的でアグレッシブな(声質が非常にカッコイイ)Vo、迫力に満ちたツインG・・・何より、ひたすら前のめりに突っ走る「スピード命!」な収録曲の数々は、潔く痛快極まりない。
その原動力になっているのは間違いなくジーン・ホグランの超絶Dsで、一体、どういう手足の構造をしているのか、ダイナミックなリズムを鬼のように叩き出しながら、全く破綻しないそのドラミングは圧巻。人間、本当に凄いモノに出くわすと笑うしかないと言うが、まさにこれがそう。
また、スピード一辺倒で本編が単調になるのを防ぐため、しっかりと緩急が設けられている点も◎(④のイントロのBソロとか)
・・・といっても、このバンドの場合は「ムチャクチャ速い」と「普通に速い」レベルの緩急なんだけど(笑)


DARK ANGEL - Leave Scars ★★ (2009-08-09 20:51:00)

'89年に発表された、ドン・ドーティに代わる新Voロン・ラインハート加入一発目となる3rdアルバム。
曲作りの主導権がジーン・ホグラン(Ds)へと移り、これまでのストレートなスラッシュ・メタル路線から、複雑化/大作化が著しい本作を初めて聴いた時は、無駄に長く、また煮え切らない楽曲が余り好きになれなかった覚えがあるのだが、今改めて聴いてみると、これが十分「走ってる」ストレートなスラッシュ・メタルに聴こえてしまうんだから、時の流れってのは恐ろしい。
ペラペラで厚みに欠けるサウンド・プロダクションとか、『DARKNESS DESCENDS』から『TIME DOES NOT HEAL』へと至る過渡期の作品ゆえの中途半端さ(アレンジや曲展開の未整理)とか、色々気になる部分もあるにはあるが、何のかんの言いつつも、前2作の作風を迷いなく受け継ぐ高速スラッシュ・ナンバー①②、LED ZEPPELINの超有名曲の豪快なブチ壊しカヴァー⑤、6分以上に及ぶ長尺曲ながら、テンションの高さで聴き手を圧倒する⑥、ラストを激烈に締め括るアルバム表題曲⑨等、名曲/佳曲も数多く収録されており、この完成度の高さは流石DARK ANGEL、抜かりはない。(尚、⑦のバックボーカルにはゲストとしてVIKINGのロン・エリクソンが参加している)
このバンドの入門編としては不向きな作品ですが、やはり避けては通れない1枚。スルメ盤?


DARK ANGEL - Time Does Not Heal ★★★ (2006-10-01 16:14:00)

「聴かせる」姿勢が、より明確に表れた'91年発表の4thアルバム。
日本ではDEATHの作品に参加した事で一気に知名度を上げた感のあるジーン・ホグランだが、ドラマーとしての腕前はこの頃から既に一流で、時にリード楽器の役割も果たす、そのヘヴィネスと疾走感を兼ね備えたドラミングはまさに圧巻。
彼がその殆どを手掛けた収録曲も、OPとEDを飾る高速スラッシュ①⑨、中盤の盛り上がりを演出する④⑤⑥⑦等、いずれもハイクオリティ。特に10分に及ぼうかという長尺曲⑥は、ストレートな疾走感と、煮え切らない歌メロ&メロディアスなGの絡みが秀逸な、本作のハイライト的存在の名曲。
「67分で9曲、246のリフ」という名キャッチコピーからも分かる通り、大作主義、頻繁なリフ/リズム・チェンジ等、複雑な曲展開が前面に押し出された仕上がりなわけだが、ドラマーが曲作りの中心に座っているせいか、理屈っぽさが感じられず、頭よりも体に直に訴えかけてくる衝動性が非常に素晴しい。そのため展開の複雑さに反して、楽曲は「走ってる」印象が強い。
愛想はないがしっかりとメロディを追いかけるVo、アグレッシブにリフの壁を築く一方、メロディアスなソロやハーモニー・プレイを聴かせるGコンビ、手数の多いジーンのDsと、がっちりスクラムを組むB・・・と、各メンバーの仕事振りもナイスで、作品自体は以前よりメロディ重視の姿勢が打ち出されているとは言え、軟弱な印象は欠片もない。
スラッシュ・メタル・シーン末期の名作の1つではないだろうか。


DARK HEART (2020-01-13 23:35:17)

英国はヨークシャー州ノーザラートン出身。
GUARDIAN RECORDS N’ TAPESからリリースされたコンピレーション・アルバム『PURE OVERKILL』に参加していたTOKYO ROSEを前身に誕生。ドラマーはBATTLEAXEの1stと2ndに参加していたイアン・トンプソン。
印象的なジャケット含め、マニアから愛されるデビュー作『SHADOWS OF THE NIGHT』(’84年)1枚をROADRUNNER RECORDSに残してバンドは消滅。'87年にEPを発表しているとの情報もありますが、実在を示す証拠はない模様。


DARK HEART - Shadows of the Night ★★★ (2020-01-13 23:40:16)

先日BATTLEAXEのアルバムを聴き直していて、ふと思い出したのがこのDARK HEARTのこと。英国はノース・ヨークシャー出身の5人組で、GUARDIAN RECORDSリリースのコンピ盤『PURE OVERKILL』(’83年)に、MILLENIUMやSPARTAN WARRIOR、INCUBUS、RISK等と共に名を連ねていたTOKYO ROSEを前身とするバンドで、ドラマーが元BATTLEAXEのイアン・トンプソンだったなぁと。
美しい絵画的なジャケットが目を惹く本作は、彼らが'84年にROADRUNNER RECORDSに残した最初で最後のアルバムで、長らく未CD化だった物が'08年にMETAL MINDから1000枚限定でリイシュー。果たして1000枚も需要があるのだろうか…ってな(失礼な)疑問はさておき、篭った音質にヘタウマVo、特段速くもアグレッシブでもない楽曲等々、NWOBHM愛好家の琴線に触れるいなたいサウンドは、若い頃に聴いたら「地味」「面白味に欠ける」と切って捨てていた気がしますが、今聴くとこの愚直なまでのメタル一直線ぶり、天カスだけ振りかけられたウドンみたいな味わいに胸がホンワカパッパしますよ。そういう意味では音的にもBATTLEAXEに通じるバンドと言えるかもしれません。
ただ、いかにも英国然とした湿った旋律を懇々と紡ぎ、随所でメロディアスにハモる2本のGの活躍ぶりはBATTLEAXE以上に顕著で、荘厳なコーラスと劇的な2本のGの絡みが辛抱堪らん⑤、疾走するツインGが主役といっても過言ではない⑥、バラード調に始まってドラマティックに盛り上がりながら本編を締め括る⑨辺りは、このバンドの真骨頂が刻まれた逸品。
積極的に人に薦めるよりも、個人的にこっそり聴き続けていきたい愛すべき1枚ですね。


DARK HEART - Shadows of the Night - Don't Break The Circle ★★★ (2020-01-14 23:58:42)

DEMONの名曲みたいなタイトルですが
実際ちょっと通じる雰囲気を感じたりもするという。
Voの力量不足は如何ともし難いですが、
ツボを押さえたGソロと、印象的に舞うボーカル・ハーモニーが
それを補って余りある魅力を提供してくれていますよ。


DARK HEART - Shadows of the Night - Shout It out ★★★ (2020-01-15 00:04:58)

インストの前半と、テンポアップする後半の二部構成からなる
アルバム最長の7分半に及ぶ大作ナンバー。
その割に大仰さよりも素朴な雰囲気が勝ってしまうのがこのバンドらしいところ。
ここでもやはりメロディアスに駆け巡るGが非常に印象的な仕事をしてくれています。


DARK LUNACY - The Diarist ★★ (2010-10-26 00:04:24)

第二次世界大戦の過酷な戦場として知られる東部戦線。その中でも、際立って凄惨な地獄絵図が繰り広げられた「レニングラード包囲戦」をテーマに据えたストーリー・アルバム・・・という点に戦争映画ファン心理を擽られ、ろくにバンドの事も知らずに購入した作品。('08年発表の3rdアルバムだとか)
「ソ連時代の国策映画的なノリ(ソビエト連邦万歳!社会主義万歳!)だとキツイよなぁ~」と、若干の危惧を覚えながら聴き始めてみれば、これが冷静且つリアリスティックな視線で飢えと寒さ、そして恐怖に苦しむレニングラード市民や兵士達の姿が点描されており、その完成度の高さに大いに感心させられた次第。
曲間にインストの小曲やSE、実際の戦時放送音源を配し、シアトリカルに組み上げられた本編の構成が作品世界への没入度を深め、悲壮感に塗れた咆哮を上げるVo、寒々とした冷気を宿して刻まれるリフ&リズム、それに壮麗なクワイア、女性Voやドラマティックなオーケストレーションが、アルバム全体を包み込む厳粛な雰囲気を一層引き立てるが、何と言っても本作の肝は、聴く者を心胆寒からしめる悲痛さを撒き散らしながら疾走するメロディの魅力。
特に、激しくも哀しい泣きメロを纏って突き進む①②③⑧⑩といった荘厳な名曲の数々(無論これ以外の楽曲も
粒揃いで捨て曲なし)を聴くにつけ、このバンドのメロディ・センスの冴えには驚かされるばかり。
まぁ実際のところ一番驚いたのは、これほど本格的なロシア情緒漂う作品を作り上げたのが、ロシアでも東欧でもなく、イタリア出身のバンドという事実なのですが。


DARK MOOR - The Hall of the Olden Dreams ★★★ (2015-10-26 23:46:31)

作品をリリースする毎にレベルアップを遂げ、今や日本におけるスパニッシュ・メタル筆頭の地位に上り詰めた感さえある、エンリク・ガルシア(G)率いる6人組の本邦初登場作ともなった2ndアルバム('00年発表)。
女性シンガー、エリサ・マルティンの男勝りな歌唱をフィーチュアして、クラシカルな優美さとシンフォニックなスケール感を両輪に疾走するドラマティックなパワー・メタル・・・という基本スタイルは既に確立済み。ただこの時点ではRHAPSODY、STRATOVARIUS、BLIND GUARDIANといった先達からの影響が未消化気味というか結構あけすけで、現在の彼らに比べるとそのサウンドは少々野暮ったい。しかし、同時にそれこそが本作最大の武器でもあったという。
野暮ったさの発生源の一つが、全編で溢れ返るクサメロの大洪水なのですが、これがとにかく強力無比。序曲①に続いて間髪入れずに繰り出される②③の時点で早くもメーター振り切らんばかりの勢いですが、更にトドメの一撃を加えてくるのが名曲⑤で、コテコテ&クサクサに疾走するその勇姿には痺れるやら笑うやら。いやでもカッコイイ。
作風の洗練と引き換えにクサメロ度が落ち着いていったとされるDARK MOORの最高傑作に、本作の名を挙げるマニア多数という話も理解できなくはない、非常にクセになる1枚。これを店内で流したショップや購入者のお宅では異臭騒ぎが起きたと聞きますので(嘘)、ガスマスク用意してトライしてみてはいかがでしょうか。


DARK STAR - Dark Star ★★ (2012-01-11 21:31:25)

NWOBHM史に燦然と輝く1発屋の星、バーミンガム出身の5人組HRバンド、DARK STARが'81年にリリースした1stアルバム『暗黒の星屑』の紙ジャケ/リマスター盤が発売されていたので、「考えてみりゃ、ちゃんと買って聴いたことなかったなぁ」と後学の為に購入。
その昔、バイト先の先輩宅で本作のA面サイドを聴かせて貰った時は「RIOTからドライブ感を差し引いた代わりに湿り気を増量したようなサウンド」との感想を抱き、「つまりNWOBHMの聖歌“LADY OF MARS”は欧州版“WARRIOR”なんスよ!」等と強弁した、一刻も早く忘れたい恥ずかしい記憶があるのですが、今回改めて最後までちゃんと聴き直したら、当然のようにそんな事は全くありませんでした。(いやでも①②はそこはことなくRIOTっぽいか?)
また、↑上記で多くの方がご指摘されている通り“LADY~”以外にも良い曲が多数収録されていることが分かったのも大きな収穫でしたね。バンドのテーマ・ソングと言えそうな⑥や、サビメロがPRAYIN MANTISを思わせる⑦といったツイン・リードGの威力が如何なく発揮された楽曲、それに渋い泣きのロッカ・バラード⑧とか。
でもやはり、本作において別格の存在感を放つのは“LADY OF MARS”。軽快なリズムに乗って、湿気ったメロディをくぐもった声質で歌い上げるVo、切なくも美しいツインG&コーラスのハーモニーが印象的に踊るこのドラマティックな名曲は、聴く度に猛烈に郷愁を刺激してくれて堪らんですな。
また廃盤になっちゃう前に、未聴の方は是非どうぞ。


DARK STAR - Dark Star - Green Peace ★★★ (2012-01-17 20:55:38)

NWOBHMというより70年代HR的な
メランコリズムが横溢する陰気な泣きのバラード。
沁みますねぇ。


DARK STAR - Dark Star - Lady Love ★★ (2012-01-17 20:53:31)

Gリフとリズム・パターンはロックンロール調ですが、
哀愁を帯びた美しいツインGとボーカル・ハーモニーが
如何にも英国然とした情緒を伝えてくれるので
能天気な印象は全然ない。良い曲です。


DARK STAR - Dark Star - Lady of Mars ★★★ (2012-01-17 20:58:13)

DARK STAR=LADY OF MARS
と言っても過言ではないバンドの代表曲。
イントロとリズム・パターンは
UFOの“DOCTOR,DOCTOR”ですが、
こちらの方が貧乏臭い分(褒め言葉)、
哀愁が濃厚に感じられますね。


DARKNESS - Conclusion and Revival ★★ (2006-10-17 22:19:00)

『遊星からの物体Ⅹ』を思わせるキモジャケがインパクト大な、'89年発表の3rdアルバム。
(実際、彼らは『遊星~』のテーマ曲をカヴァーした前歴がある)
前任者よりも幅広い声域を備えた新Voの加入効果で、かなり聴き易くなった印象を受けるが、
だからと言ってヤワになったわけではなく、従来通りのストレートなスラッシュ・チューン②③⑧⑫を
要所に配しつつも、Keyの隠し味が効いている正統派へヴィ・メタリックな④⑩のような楽曲も収録。
歌えるVoを活かした、よりメロディ重視のパワー・メタル路線への歩み寄りが感じられる
作風に仕上がっている。(中には⑨の如き異色曲も収録されているけど)
特に、スラッシーな疾走感を基調に、そこにドラマチックな曲展開を持ち込んだ6分以上に及ぶ大作⑦は、
リード楽器の役割を果たすBの存在の大きさもあって(このBは、ソロにリフにとアルバム全編で大活躍)、
IRON MAIDENを彷彿。デビュー当時からちょこちょこと匂わせていたドラマ志向が、遂に実を結んだ
名曲と言えるのではなかろうか。(と言っても実は2nd収録曲のリメイクなのだが。ちなみに⑥⑪もそう)
本作がラスト・アルバムになってしまったとは、残念至極。


DARKNESS - Death Squad ★★ (2009-08-08 00:38:00)

'84年に結成され、独スラッシャーの第1世代に属していたエッセン出身の4人組が、'86年に発表した1stアルバム。
ジリジリとノイジーに荒っぽく刻まれるGリフ、濁声で吼え立てるVo、そして取り憑かれたように性急なビートを
叩き出すリズム隊とが一丸となって突っ走る、実にスラッシュ・メタルらしいスラッシュ・メタルが全編に渡って
繰り広げられる本作は、DARKNESSが残した3枚のフル・アルバムの中でも、特に攻撃的な作風を誇る・・・っても、
まぁこれは彼らに限った話じゃなく、同時代の大概のスラッシュ・メタル・バンドのデビュー作に
当て嵌る話なわけだが、その多くが「やりたい事に技術が追い付いていない」状態だったに対し、このバンドが凄いのは
全編をスピーディに押しまくりつつ、その合間に正統派へヴィ・メタリックなインスト・ナンバー⑤や、
アコギに始まりアコギに終わる重厚な⑧といった楽曲を挟み込んで本編の流れに緩急を演出する等、溢れ出る初期衝動を
きっちりと自身でコントロールし切っているところ。取り分け、イントロ代わりの①を引き裂いて爆走を開始する②、
フックの効いた⑥といった楽曲は、その攻撃性と曲作りの上手さが如実に表れた名曲。
こうした隠れた逸品が、CDで、しかもリマスターを施されて(オマケ音源てんこ盛り)状態で
気軽に聴けてしまうのだから、ホント良い時代になったもんです。


DARKNESS - Death Squad - Faded Pictures ★★ (2009-08-08 17:36:40)

実にDARKNESSらしい高速スラッシュ・ナンバー。
サビの部分を、濁声Voが一生懸命歌ってる辺りに
好感を感じますね。


DARKNESS - Death Squad - Tarsman of Chor ★★ (2009-08-08 17:40:32)

激烈高速スラッシュ・ソングを演奏する一方、
こういう正統派へヴィ・メタリックなインスト曲も
収録して本編の流れにメリハリを付ける辺り、上手い。
曲自体も「スラッシュ化したIRON MAIDEN」調でカッコイイ。


DARKNESS - Defenders of Justice ★★ (2009-08-08 17:41:00)

メンバーがプログレッシブ・ロックや、WATCHTOWER等のインテレクチュアル・スラッシュ・メタルからの
影響を告白する、'88年発表の2ndアルバム。
とは言え、本作で聴く事が出来るサウンドは、人を食ったような暢気なイントロ・パートから一転、切れ味鋭く
猛烈な疾走を開始するOPナンバー①を手始めに、濁声Vo、カミソリGリフ、それに性急に突っ走るリズムを兼ね備えた
王道ジャーマン・スラッシュ・メタル以外の何者でもなく、そこには妙な実験精神が入り込む余地なんぞ皆無。
但し、基本的には前作『DEATH SQUAD』の作風を継承しつつも、アレンジや曲展開の複雑化に伴い、一層の長尺化が
進んだ収録楽曲からはこれまで以上に「練り込み」の跡が伺えるのも確かで、取り分け、隠し味的にKeyを用いた④、
下っ腹にズンズン響く重厚なヘヴィ・チューン⑤、メロディアスに歌うVo、IRON MAIDENばりのツインGをフィーチュアして
劇的さを演出する大作ナンバー⑧といった楽曲は、本作でしか聴く事の出来ないタイプの名曲/佳曲かと。
(あと、要所で硬質なアクセントを加えてくる新加入のBの良い仕事っぷりも本作のポイント)
サウンド・プロダクションの洗練と引き替えに、ノイジーなGの迫力が失われしまった点は惜しいが、
それを差し引いてもこのの完成度の高さは立派。DARKNESSの最高傑作として、入門編にもお薦めできる1枚。
尚、本作を最後にバンドから脱退したVoのオリバー・フェルニッケルは、'98年に心不全でこの世を去っている。R.I.P.


DARKNESS - Defenders of Justice - Predetermined Destiny ★★★ (2009-08-08 17:56:30)

パートによっては頑張ってメロディアスに歌い上げる濁声Vo、
IRON MAIDENばりのハーモニーを聴かせてくれるツインG、
起承転結がバッチリ決まった曲展開、
いずれもドラマティックな2ndアルバムのハイライト・ナンバー。


DARKNESS - Defenders of Justice - They Need a War ★★ (2009-08-08 17:50:46)

スピードに頼らずとも良い曲が書ける事を証明してみせた
重厚で緊張感に溢れたヘヴィ・チューン。
実はドイツ語バージョンの方が
(曲調と合っていて)カッコイイ。


DAVID GLEN EISLEY (2019-02-26 23:51:12)

元メジャー・リーガー(サンフランシスコ・ジャイアンツ所属)という異色の経歴の持ち主で、グレッグ・ジェフリア率いるGIUFFRIAにフロントマンとして参加したことで、一躍その名をHR/HMシーンに知らしめたアメリカ人シンガー。
個性的な歌声のみならず、端正なルックスを活かして俳優としても活動していた時期がある模様。奥様が女優のオリビア・ハッセー(日本だと布施明の元嫁として知られる)で、俳優としての活動はその辺のコネクションも関係していたのかなと。


DAVID GLEN EISLEY - Stranger From the Past ★★★ (2019-02-26 23:53:23)

ジーン・シモンズのお眼鏡に適わずHOUSE OF LORDSに参加し損ねて以降は、関わったバンドや作品が悉くパッとしない結果に終わっていたデイヴィッド・グレン・アイズレー(Vo)。そうした彼に対する冴えないイメージを一変させてくれたのが、盟友クレイグ・ゴールディ(G)、チャック・ライト(Ds)、その他多数のゲスト・ミュージシャンを招いて制作、'00年にFRONTIERS RECORDSから発表されたこの1stソロ・アルバムでした。
1人でG、B、KeyからDsまでこなすマルチ・ミュージシャンとして、神秘的な序曲からパワフルに展開していくOPナンバー①②の流れを始め、抒情メロディと熱い盛り上がりに彩られた楽曲をクリエイトする優れた作曲家/プロデューサーとして、そして何より実力派シンガーとして、本作のデイヴィッドは持てる才能をフル稼働。この人のVoは良く言えば個性的で豪快、悪く言うと脂っこくて、ことによっては楽曲の大味感のみを助長する諸刃の剣にもなり得るのですが、流石収録曲を独力で書き上げているだけあって、本作では己の声の個性をしっかり把握し、長所を活かす曲作りを心掛けている印象です。特にクレイグの泣きのGも冴え渡る猛烈な哀愁を発散する劇的な⑤⑥⑨、妻で女優のオリビア・ハッセーに捧げられたお惚気バラード⑪等は、タメを効かせて盛り上がる曲調とクドめな熱唱の威力とが相俟って、息苦しい程のエモーションが迸る仕上がり。こちとら失礼ながら「こんな良い曲書ける人だったんだ?」とビックリですよ。
GIUFFRIA以降、デイヴィッドが関わった作品の中にあって頭一つ抜きん出たクオリティを誇る1枚ではないでしょうか。


DAVID GLEN EISLEY - Stranger From the Past - Don't Turn Away ★★★ (2019-02-28 00:15:11)

エモーションとタメの効いた、じっとりと熱を帯びた曲展開に、
デイヴィッドのクドイぐらいにダイナミックな歌唱がよく映えます。
胸を鷲掴みにされるような終盤の怒涛の盛り上がりっぷりを支える
クレイグ・ゴールディのGがここでも良い仕事をしていて、
本作でこの人の再評価ゲージがストップ高ですよ。


DAVID GLEN EISLEY - Stranger From the Past - Sing Brother ★★★ (2019-02-28 00:06:03)

「入魂」という表現がぴったりくる熱唱といい
哀愁の海にどっぷり浸かったメロディの迸りといい
シンガーとして、ソングライターとして、
デイヴィッド・グレン・アイズレーというミュージシャンの
才能を存分に堪能できる名バラード。
クレイグ・ゴールディのエモーショナルなGプレイも実に沁みる。


DAVID LASLEY - Soldiers on the Moon ★★★ (2023-03-07 00:57:10)

ボズ・スキャッグスの名曲“JOJO”を手掛けたこと等でも知られるミシガン州出身のシンガー/ソングライター、デヴィッド・ラズリーが、日本のPACIFIC COAST HIGHWAY RECORDSと契約を交わして’89年に発表した、ソロ名義では3作目となるアルバム。この文章を書くにあたって「そういえば最近はどんな仕事してるんだろう」と思ってちょっと調べてみたら、何と'21年に病気で急逝されていたと知ってビックリでしたよ…。R.I.P.
先日感想を書いたティム・フィーアンの『CARMELITA』と同じく、本作はCOOL SOUNDからCDが再発されていますが、比較的ロック色が強かったあちらに比べると、こっちはロック色絶無。その大半を、自作曲のセルフ・リメイク及びジャズ/ブルーズ/ポップスのスタンダード・ナンバーのカヴァーが占める本編からは、昭和ドラマのバーやラウンジでの密談/密会シーンで流れていても違和感のないアダルトでジャジーな雰囲気が濃厚に漂ってきます。
音圧による誤魔化しがきかないアコースティックな仕上がりな分、デヴィッドの歌の上手さがより一層際立っていて、取り分けストリングスをフィーチュアしてメロウに迫る①、美しいピアノ・バラード③、エモーションの籠った歌い回しにウットリさせられる⑤、ランディ・ニューマンのカヴァー⑪といった楽曲は、時に女性と聴き紛う彼のソウルフルなハイトーンVoが絶品に映える名曲ではないかと。これだけのクオリティの代物が、リハーサルなし、レコーディング期間僅か3日という、NWOBHM作品ばりの突貫スケジュールで制作されたとは俄かに信じ難いものがありますね。歌ウマ男にも程があるだろうと。
まかり間違ってもHR/HMコーナーに置かれることはないでしょうけど、例えばグレン・ヒューズのソロ作辺りが楽しめる方であれば、是非チェックして頂きたい1枚であります。


DAVID LASLEY - Soldiers on the Moon - Warm As the Wind ★★★ (2023-03-09 01:24:22)

ピアノとストリングスをバックに、女性と聴き紛う
ハイトーン・ボイスを駆使してデヴィッド・ラズリーが
ソウルフルに歌い上げる美しいバラード。幼少時より
ブラック・ミュージックに親しんできたというルーツ含め、
グレン・ヒューズの歌心なんかにグッとくる方には
是非一度お聴き頂きたい名曲です。


DAVID ROBERTS - All Dressed Up... ★★★ (2013-01-19 00:19:28)

当時、ヒットチャートを賑わせていたLAの名うてのミュージシャン達が集結した豪勢なレコーディング環境、そして何より卓越した作曲家としての才能が注目を集めた、カナダ出身のシンガー・ソングライター、デヴィッド・ロバーツ、'82年発表の1stアルバム。
自分は'08年リリースの2nd『BETTER LATE THAN NEVER』を先に聴いてから、遡って本作を購入したのですが(何しろ1stは長らく入手困難な状態が続いていたので)、やっぱりこの頃は若い。いや四半世紀ぶりの2ndでも瑞々しさは失っていませんでしたが、この頃は更に輪をかけてピチピチしている印象で、歌声にしろ楽曲にしろアレンジにしろ、溌剌として、明日への夢と希望でパンパンに膨らんでいる感じ(?)。
フレッシュにハジける①⑤、ジェフ・ポーカロの豪快なドラミングからスタートする③なんてその最たる例に挙げられる名曲ですし、サビのメロディ展開が印象に残る②、甘くロマンティックなバラード⑦、ポップに弾むキャッチーな⑧なんかも、後にダイアナ・ロスら、著名なアーティスト達がカヴァーしたのも納得の魅力的な仕上がり。
よくぞ再発してくれました。感謝。


DAVID ROBERTS - BETTER LATE THAN NEVER ★★★ (2013-01-19 00:43:06)

お宝盤として珍重されていた'82年発表のデビュー作『ALL DRESSED UP』が数年前に紙ジャケCD化され、その好調な売れ行きに気を良くした日本のレコード会社が制作費を援助する形で実現した、実に20数年ぶりのリリースとなるデヴィッド・ロバーツの新作(2nd)。
1st発表以降は表立った活動はせずに、職業ソングライターとしての仕事にシフトしていた人だけに、どれだけ往時の歌唱力を保持しているのか読みきれませんでしたが、蓋を開けてみれば、保持どころか年を経て熟成されたワインの如き深みとまろやかさを増した歌声を聴かせてくれて(良い意味で)ビックリ。
収録楽曲に関しても、元々STARSHIPやダイアナ・ロス、BAD ENGLISHらに楽曲提供をしていた実力派とは言え、年齢を重ねることによって妙にレイドバックしたり枯れたりすることなく、若き日の瑞々しさを適度に保った楽曲は、メロディも一層キャッチーに練り込まれていて、個人的には「1stよりも良いんじゃね?」と思わされる場面もしばしば。
カントリー風味のGが良いアクセントとなっている明るく溌剌とした①に始まり、アルバムのハイライトに押したい名曲④、ジョン・ウェイトとの共作バラード⑤、それに独特のリズムで綴られる哀愁のメロハー⑧を収めた本編後半に至るまで、HR/HMと呼ぶには少々距離を感じさせるサウンドではあるものの、メロディ愛好家の方には是非一聴をお薦めしたい1枚であります。


DEAD CLAW (2011-07-04 22:21:48)

DEAD CLAWの1stは、失恋船長さんの文章を読まなければ
まず聴き直す気にはならなかったであろう作品(しかも今回、
実はそう悪い作品でもなかった事に気付かされました)なので、
非常に得難い機会を頂きました(笑)。
 
それにしてもEBONY EYESの『FINAL FIGHT』がダウンロードなら¥1500ですか!
一度聴いてみたいと思っている、カルメン・マキ&5Xの作品等も、
ダウンロードならそれぐらいの価格で購入可能なんですよねぇ。
  
でも自分もパッケージに拘る派なので、いつか再発される可能性
(もしくは手の届く価格の中古盤を発見する可能性)に掛けて、
ここは一つ、グッと我慢したいと思います。
 
でも1500円か・・・。


DEAD CLAW - BOMBED AND BLASTED (2011-07-03 21:33:53)

'90年発表の1stアルバム。「どうやらスラッシュ・メタル・バンドらしい」「バンド名にDEADって入ってるし」という薄らボンヤリとした情報を頼りに購入した作品だったが、まるでロックンロール・バンドのような隙間の多い音作りに、疾走パートを盛り込みつつも、ジャジーだったりアーシーだったりプログレ調だったりもするリズム、捉えどころのないメロディを歌うVo等、その一筋縄では行かないサウンドが全くピンと来ず、長らく放置プレイの刑に処していた1枚。
今回、失恋船長さんのレビューに刺激されて久し振りに引っ張り出して聴いてみたのですが、全体的な印象に大きな変化はないまでも、パワー/スラッシュ・メタル由来の鋭角的なリフの刻みから練られたソロ・パートまで、意外なぐらい正統派な演奏を聴かせてくれるGの活躍っぷり等、新たな聴き所も再発見。
本編中最もアグレッシブに疾走する⑧、それにこのバンドの個性を余す所なく封入した上でドラマティックに仕上げられた、山あり谷ありで12分以上に及ぶラスト・ナンバー⑨は確かになかなかの力作ですね。
再結成作でDEAD CLAWに興味を持った人にお薦めしたい1枚・・・なんですが、そういう人が本作を聴いたら、「これ同じバンド?」と面食らう事は確実でしょうが。


DEAD CLAW - BOMBED AND BLASTED - THE LONE-HORSEMAN ★★ (2011-07-06 22:44:35)

バラエティ豊かなリズムを叩き出すDsなど、
バンドの幅広いルーツを窺い知る事の出来る1曲。
12分以上に及ぶ長尺曲だが、へヴィ・メタリックなGが
曲調をドラマティック且つビシッと引き締めているため
ダレた印象もない。


DEAD CLAW - CEASE FIRE SAVE YOUR GROUNDS ★★ (2011-07-04 22:23:32)

再結成を果たした名古屋出身のスラッシュ・メタル・バンドが'07年に発表した復活の2ndアルバム
良くも悪くも成熟したHRバンド的感触もあった1stアルバムに対し、本作は勢い勝負のジャケット・アートワークに、ローファイな音質、全7曲収録でランニング・タイムは17分ぽっちというショート/シャープ/ショックな構成に至るまで、まるで新人バンドばりに荒ぶる初期衝動がモロ出し(どう考えてもこっちがデビュー作ですよ)。
'92年の解散から'03年の復活に至るまで、凡そ10年の沈黙期間中に一体どういう心境の変化があったか知る由もないが、聞けば活動初期はアグレッシブなスラッシュ・メタルを演っていたらしいので、ぐるりと一周回って元の位置に戻って来ただけとも言えるのか。
デビュー作の作風を受け継ぐ④やインスト曲⑤⑦といった泥臭いナンバーで緩急を演出しつつ、上擦り気味に喚き散らすVo、ギャンギャン唸りを上げるG、喧しく連打されるリズムとが、パンク/ハードコア風味の攻撃性を迸らせながら突っ走る①②③⑥といった高速スラッシュ・ナンバーで畳み掛ける本編は、カタルシスに満ち溢れていて非常にカッチョイイ。
前述の通りボリューム的にはやや食い足りないが、満足度は高い。DEAD CLAW入門編としてどうぞ。


DEAD CLAW - CEASE FIRE SAVE YOUR GROUNDS - CROSS FIRE ★★★ (2011-07-07 22:20:51)

リフ、リズム、Voが一丸となって
剥き出しのエネルギーを叩き付けて来る
本編で最もスラッシュ度高めのスピード・ナンバー。
勢い溢れるGソロもカッコイイ。


DEAD CLAW - CEASE FIRE SAVE YOUR GROUNDS - DOWNSTAIRS ★★ (2011-07-07 22:22:38)

ノリ良く刻まれるリフ&リズムが
一気呵成に畳み掛けるタテノリ・スラッシュ・ソング。
体が勝手に動き出しますね。


DEAD CLAW - Cold Defiance ★★ (2018-02-10 23:59:29)

'07年発表の2nd『CEASE FIRE SAVE YOUR ROUNDS』以来、音沙汰がなかった愛知出身の4人組が、久々にリリースした3曲入りシングル(’18年発表)。ディスクユニオンで買ったら特典として2曲の未発表曲入りCD-Rが付いてきたので、実質5曲入りEPと言えなくもないか?
『CEASE~』は、全7曲で収録時間が20分弱と、かなりクロスオーバー・スラッシュ方面にはっちゃけた内容だったと記憶しておりますが、本作も一発録りっぽいラフな音質といい、Gリフのササクレ感や、突っ走った時に放たれるアグレッションといい、ジャンルとしては間違いなくスラッシュ・メタルで括れるサウンド。ただ、男臭い発声のVoがメロディを追っかけ(OUTRAGEの橋本直樹と似たタイプ)、時にMOTORHEADに通じる埃っぽさを身に纏わせた楽曲はパワー・メタル…というよりも、80年代初頭のスラッシュ・メタル誕生数歩手前のHM的な感触も有り。
また、勢いに任せてガムシャラに畳み掛けるのではなく、曲によってはプログレ・メタルばりの緩急を仕込んだ曲展開や、適度に隙間を活かしたリフ&リズムの組み立てで抜けの良さを演出したりする手腕、それでいてあれこれ詰め込み過ぎてとっ散らかった印象はなく、それらがちゃんとバンドの個性として消化されている辺りは流石キャリアの長いバンドだけのことはあるなぁと。
継続的な活動と、ニュー・アルバムの発表への期待を高めずにはいられない1枚。


DEAD END - DEAD LINE ★★ (2006-03-22 08:29:00)



DEAD END - DEAD LINE ★★ (2008-07-06 19:37:00)

メタル、プログレ、パンクがミックスされた個性的なサウンドや、過激なルックスと歌詞、Voの爬虫類型(?)
歌唱法などが、後のヴィジュアル系バンド群に多大なる影響を及ぼしたDEAD END。その彼らが'86年に発表するや、
当時のインディーズ・シーンでは異例とも言える、1万枚以上のビッグ・セールスを記録したデビュー・アルバムがこれ。
オリジナル・メンバーの一人ながら、この作品のみでバンドを去った香川孝博(G)の手掛けた楽曲が、本編の大半を
占めるせいか、後のアルバムとは異なる、正統派HM色が強く打ち出された内容に仕上がっているのだが、
シアトリカルな歌唱を駆使するMORRIEのVoに、時にリード楽器の役割も果たす、豪快にハジけるCRAZY COOL JOEのB、
変幻自在のビートを叩き出す田野勝啓のDs、そして元TERRA ROSAという出自も納得の、高い構築美を湛えた劇的なソロを
紡ぎ出す足立裕二のGが一体となって生み出す、唯一無二、超個性的なDEAD END流HMサウンドは、既にしっかりと確立済み。
それでいて独り善がりな部分は全く無く、1度聴いたが最後、激しい中毒性を引き起こす「キャッチーさ」を備えている点も、
本作の大きな魅力の1つ。特に、一際ヘヴィ・メタリックに、ドラマティックに疾走する⑤(足立裕二のGソロが悶絶モノの素晴しさ!)、
幾層にも重なり合う美しいアコギを効果的にフィーチュアした、妖しくも激しい⑨はDEAD END屈指の名曲かと。
ちなみに、フォノ・シート音源の⑨と、限定ピクチャー盤に付録としてついていた⑩は、CDのみの収録となっている。
メジャー・デビュー以降の、洗練された作風とはかなり趣きを異にするものの、この荒々しいトンガリ具合こそが本作の肝であり、
中古盤市場において、1万円前後の高額で取引されているというのも、大いに納得。1日も早いリマスター再発が望まれる名盤。


DEAD END - DEAD LINE - Sacrifice of The Vision ★★★ (2006-03-22 08:25:04)

ダークな歌詞と個性的な歌唱の組み合わせが癖になる。シャープに疾走するリフも非常にカッコイイ。
アコースティック・ギターとキーボードが絡み合い、そこにメロディアスでドラマチックなギター・ソロが切り込んでくる中間部に痺れた!


DEATH - Human ★★ (2006-06-14 21:33:00)

直線的なスラッシュ・チューンが姿を消し、(若干)楽曲がメロディアスに聴き易くなった事から、
ハードなデスラッシャーからの評判はイマイチらしい'91年発表の4thアルバム。
どっこい本作こそ、禍々しいリフと印象的なギター・ハーモニー、狂気のシャウトとメロディアスなGソロといった美醜の対比の効かせ方、
凄腕揃いの面子による、高度なテクニックと表現力に裏打ちされた複雑極まる曲構成、「タメ」と「疾走」を繰り返しながら
テンション&ドラマ性を高め、その頂点で劇的且つメロディックに炸裂するGソロetc・・・と、後期DEATHのスタイルが遂に完成をみた記念すべき一作である。
バンド形態の崩壊に伴うDEATHのソロ・プロジェクト化、他メンバーからのインプットがなくなり、
開き直ったチャック・シュルデナーが好き勝手に創作活動を展開した事が奏功したのか、唯一無二のDEATH(流)メタルを確立させた彼は、
以降、この方向性に磨きをかけ、ドラマチックな「INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS」、キャッチーな「SYMBOLIC」といった傑作を発表していく事となる。


DEATH - Individual Thought Patterns ★★ (2007-05-26 22:10:00)

チャック・シュルデナー以下、アンディ・ラロック(G)、スティーブ・デジョルジオ(B)、
ジーン・ホグラン(Ds)という、名実共に過去最強の布陣で製作、'93年に発表された5thアルバム。
凶暴なデス/スラッシュ・メタルならではの攻撃性と、複雑な曲展開、そして美しいメロディの融合という、
3rd『SPIRITUAL HEALING』以降のプログレッシブなDEATH流メタルの最高到達地点とでも言うべき本作の
大きなセールス・ポイントは、ジーン・ホグラン&スティーブ・デジョルジオという、スラッシュ・メタル・シーン
屈指の豪腕リズム隊を得た事で、楽曲に初期の頃を彷彿とさせるスラッシーな疾走感が戻って来ている点。
また、美旋律メイカーの名にかけては、チャックに勝るとも劣らない実力者アンディのGプレイに刺激されたのか、
チャックのGソロも益々冴え渡り、アルバム全編に渡って激情を撒き散らしながら(メロディアスに)荒れ狂う。
一筋縄ではいかない複雑な曲展開を飲み込みつつも、全体を支配するのは激烈な疾走感という高速スラッシュ・チューン①、
イントロのツインGのハーモニー・パートからしてグイグイと惹き込まれる④、アルバムで最もメロディアスな仕上がりと言える、
静のアンディ/動のチャックという対比が見事な⑧といった楽曲は、そうした本作ならではの美点が最大級に発揮された名曲ではなかろうか。
ハッキリ言って「キャッチー」とは言い難い作風だし、取っ付き難さではDEATHのアルバム中でも1、2を争うが
だからこそハマッた時の快感は強力極まりない。本作をDEATHの最高傑作に挙げる人が多いのも納得の名盤だ。


DEATH - Leprosy ★★ (2007-05-22 22:22:00)

DEATH、'88年発表の2ndアルバムにして、初期の名作。
同郷のデス・メタル・バンドMASSACREのメンバーが全面的に参加している事から察しの付く通り、
本作で聴く事ができるのは、デビュー作『SCREAM BLOODY GORE』の作風を順当に発展させた
ストレートなスラッシュ・サウンドなわけだが、但し、そのカッコ良さは『SCREAM~』の比ではない。
デス・メタルの聖地MORRI SOUNDスタジオでレコーディングされただけあって、サウンド・プロダクションが飛躍的に充実。
音にズッシリとしたヘヴィネスが宿った事で、リフ&リズムは禍々しさと重さを増し、Voは狂気に、
Gソロは美醜を兼ね備えた華麗さに一層の磨きを掛け、楽曲にも緩急が持ち込まれた事でアルバム全体のダイナミズムが向上。
後年のDEATH独自のスタイルへの萌芽が、確かに感じられる作風に仕上がっている。
特に①⑤⑥の3曲は、スラッシーな疾走パートを基本としつつも、ダイナミックな曲展開でテンションを高めて、
狂い咲くチャック・シュルデナーの劇的極まりないGソロでそれを解き放つという、まさにDEATHの必勝パターンが堪能できる名曲。
その他にも捨て曲は見当たらないし、何より、チャックの絶品のGプレイが楽曲のクオリティを力ずくで数段引き上げている。
初期スラッシュ・メタル路線の集大成的作品なので、DEATH未体験でスピード命!のスラッシャーは、まず本作から入るのが宜しいかと。