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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1301-1400

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1301-1400
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DA VINCI - Ambition Rocks - Touch of Humanity ★★★ (2017-10-23 23:30:05)

首都高ドライブの時に流したくなるというか、
夜10時台の報道番組のテーマ曲にでも採用したらハマリそうというか。
ネオンに照らされながら都会の夜を疾走していく風景を
幻視せずにはいられない、アーバンで洗練された雰囲気漂うロック・チューン。


DA VINCI - Back in Business ★★★ (2013-04-20 22:03:57)

デンマークのKey奏者を含む5人組が'89年に発表した2ndアルバムにしてラスト作。
'93年にゼロ・コーポレーションからリリースされた国内盤を購入したクチなのですが、初期イングヴェイやSILVER MOUNTAINを聴いて北欧メタルに開眼した身ゆえ、当時、この手の甘口なハードポップ作品は「俺の求める北欧メタルに非ず!」ってな感じで、殆どまともに聴かぬままCDラックに放り込んでしまっていました。ド反省。
メジャーのPOLYDORに所属し、デビュー作をヒットさせた実績を持つバンドだけに、メンバーのパフォーマンスから、ゴージャスな音作り、巧みにフックを盛り込んだ楽曲構築術に至るまで、その洗練された作風にイモっぽさは皆無。Voはちょっとこの手のサウンドを歌うには粗い声質な気がしますが、それは聴き進めるうちに慣れてしまいます。
北欧人の血の為せる業か、ポップでありながらも能天気になることはなく、絶妙に哀感を織り込んだ展開を聴かせるキャッチーなメロディがとにかく絶品で、特にそれが顕著に活かされているのが、曲中において華麗に開花するコーラス・パートにおいて。色とりどりのガラスを1枚1枚丁寧に磨き上げ組み上げたステンドグラスの如き美しさを誇る③や、Gソロの発散する猛烈な泣きに胸キュン(死語)な⑤といったバラードは、全盛期のTNTにも匹敵する名曲っぷりですよ。
快活なOPナンバーから、グリーグの『ペールギュント組曲』から“朝”をモチーフにしたラスト・ナンバーまで、甘美なハードポップ世界に耽溺できる1枚です。


DA VINCI - Back in Business - Circus Maximus ★★ (2013-04-21 22:21:49)

この曲のみ他とは異なり、プログレハード風の
雰囲気を漂わせています。曲名からも分かる通り、
後に登場するノルウェーのプログレ・メタル・バンド
CIRCUS MAXIMUSのバンド名の元ネタとなった楽曲・・・
というのは、たった今思いついたデマですが、
バッハの“G線上のアリア”(多分)を組み込んだ
Gソロもナイスなドラマティックな逸品です。


DA VINCI - Back in Business - Hold Back the Tears ★★★ (2013-04-21 22:13:01)

これまた壮麗な美しさに包まれたバラード。
甘い雰囲気に流されることなく、しっかりと泣いて
存在を主張するGが良いアクセントとなっています。


DA VINCI - Back in Business - Young Hearts ★★★ (2013-04-21 22:11:20)

サビを重厚に彩るボーカル・ハーモニーと
シンフォニックなKeyが演出する
壮麗な美しさに圧倒される名バラード。
いやホント名曲。


DA VINCI - Da Vinci ★★★ (2017-06-04 09:15:14)

ノルウェーのDA VINCIが’87年にPOLYDOR RECORDSから発表し、本国ではグラミー賞を受賞するほどの大ヒット作となった1stアルバム。日本盤は遅れて’93年にゼロ・コーポレーションを通じ、2nd『BACK IN BUSINESS』と同時リリースされました。
自分は先に『BACK~』を聴き、その完成度の高さに感心したことから本作も購入したのですが、涼しげなKeyを取り入れた中期EUROPE辺りに通じるハードポップ・サウンドが、既にこの時点で満開。北欧メタルと聞くと、どうしても「ヘタウマなVo」「貧相な音質」といった垢抜けないイメージが付き纏いますが、本作に関してはメジャー資本のバックアップを受けているだけあって音質は良好ですし、フックを盛り込んだメロディ構築術に抜かりがない上に、アレンジもハイセンスときたもんだ。
特にグラミー賞会場でも演奏したというポップに弾む①や、ドラマ性と大衆性を高いレベルで両立させた大ヒット・バラード③、Keyを有用した中間部の鮮烈なアレンジが技ありな⑥、メロディの甘さとコーラス・ワークの美しさに聴き惚れる⑨といった楽曲は、如何にも新人バンド的な「脇の甘さ」がまるで感じられない見事な出来栄えを誇ります。
少々軽過ぎる&甘過ぎる音に思える向きもありましょうが、メロディ愛好家にとっちゃこれからの季節、寝苦しい熱帯夜を快適に過ごすためのお供に打ってつけの、実に爽やかな1枚。ちょいと前まで中古盤にアホみたいに高値が付けられていましたが、輸入盤も再発された近年は価格も落ち着いて来たようなので、買うには丁度いいタイミングではないでしょうか。その際は2nd『BACK IN BUSINESS』も併せて是非どうぞ。


DA VINCI - Da Vinci - Tarquinia ★★★ (2017-06-06 00:10:59)

神の怒りに触れ、大地震によって滅ぼされてしまったという
言い伝えの残るローマ帝国の都市タルキニアについて歌ったバラード。
そう聞いてからこの曲に耳を傾けると、
何やら古代のロマンがメロディから薫って来るような来ないような…。
北欧メタルらしい透明感と美旋律が全身に染み渡る名曲で
ラジオ・チャートで大ヒットとなったというのも納得です。


DA VINCI - Da Vinci - Young Desperado ★★★ (2017-06-06 00:17:29)

メンバーの解説によれば、間違った選択ばかりしてしまう
若者のもがきについての歌らしい。
要はDA VINCI版「青春の蹉跌」か(?)
美しいコーラスと甘いメロディが、
どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出して
感傷的な曲調を盛り上げてくれる名曲です。


DAKOTA - Long Road Home ★★★ (2023-02-14 00:53:58)

ジェリー・G・ルジック(Vo)とビル・ケリー(G、Vo)の二人を中心に70年代末に結成され、解散と復活を挟みつつ、メロディ愛好家達の根強い支持を受けてマイペースで活動を続けるメロハー・ユニットDAKOTAが、トミー・デナンダー、ビル・チャップリン、ファブリッツオ・V・グロッシetc…といったメロディアスHRファンにはビビッと来る面子をゲストに迎えてレコーディングを行い、'15年に発表した7th アルバム。
前作『DRRP 6』から13年ぶりのリリース、個人的に彼らのアルバムを購入するのは、'00年に国内盤も発売された5th『LITTLE VICTORIES』以来という同窓会状態だったのですが、哀愁とフックの盛り込まれたキャッチーなメロディ、ジェリーとビルのダブルVoを活かした心和むハーモニーがたっぷりとフィーチュアされたメロハー・サウンドは、空白期間を瞬く間に埋めてくれる変わらない魅力を保持してくれていましたよ。
序盤こそ哀愁はやや抑え気味な印象を受けるかもしれませんが、聴き進めるに従ってメロディの叙情性はどんどん増幅。特に、爽やかに吹き抜ける一陣の涼風の如き⑧、ライブ映えもばっちりなキャッチーなサビメロが秀逸な⑨、哀愁とエモーション盛り盛りで贈るAORバラード⑪、歯切れ良く快活に駆け抜けていく⑫、タメの効いた哀メロ・チューン⑬、ジェリーの卓越したメロディ職人ぶりが存分に発揮された本編のハイライト⑭といった強力な逸品が並ぶアルバム後半の充実具合には惚れ惚れさせられますね。
現状、これがDAKOTAの最新作となっていますので、そろそろ新作のご発表をお待ち申し上げております。


DAKOTA - Long Road Home - When The Party Is Over ★★★ (2023-02-16 00:25:54)

タイトルからしてアルバムの締め括り役を担うに相応しい
メロディアスHRナンバー。特徴的なリフ&リズムに乗って
奏でられるメロディの絶妙な哀愁ぶりに悶絶させられます。


DAKOTA - Mr Lucky ★★★ (2017-12-26 23:14:04)

ESCAPE MUSICを通じて’95年にリリースされると、BURRN!!誌の輸入盤レビューで高得点を叩き出す等、世のメロハー・マニアの間で評判を呼び、久々にDAKOTAの名前に注目が集まる切っ掛けにもなった1枚。‘86年発表の3rd『LOST TRACKS』は、'84年から’86年頃にかけて書かれた楽曲のデモ・レコーディングに近い音源を集めたアルバムだったそうで、本作はそのうちの一部収録曲を差し替えた上でレコーディングをやり直し、曲順とタイトルを変更してリリースされたお色直し盤(?)なのだとか。
まぁそんな成り立ちはどうあれ、本作には良い曲が山ほど揃っていることは間違いありません。ラジオでオン・エアされるやリクエストが殺到したというヒット・バラード⑩を始め、ここには「手っ取り早くアウトテイクを寄せ集めてみました」的な急造感は皆無。つか、このレベルで残りカスだったら正規アルバムはどんだけの完成度の高さだと、DAKOTA未聴の方は余計興味を引かれるんじゃなかろうか?と。
また、’97年発表の復活作『THE LAST STANDING MAN』が、どちらかと言えばしっとりと聴かせる熟成を感じさせる作風だったのに比べ、本作は哀愁とフックの効いたメロディの大盤振る舞いは当然として、曲によってはツインVoをフィーチュアして溌剌とした躍動感溢れる楽曲も多数収録するという、聴かせると共に「ノらせる」ことも念頭に置いた如何にも80年代らしい作り。中でも軽快な疾走感とフックに富む哀愁のメロディが同居した⑥は名曲ですよ。
発表当時から今に至るまで、日本盤が発売されていない現実に首を捻りたくなる1枚です。


DAKOTA - Runaway ★★★ (2017-12-25 22:51:47)

CHICAGO人脈に連なるグループで、大きなヒットにこそ恵まれなかったものの、マニア筋からの支持は非常に根強いペンシルベニア出身のDAKOTAが、リッチー・ズィトー、スティーヴ・ポーカロ、ビル・チャップリン、アーニー・ワッツら豪華ゲストを迎えて制作、'84年に発表した彼らの代表作とされる2ndアルバム。(プロデュースはCHICAGOのドラマー、ダニー・セラフィンが担当しています)
セルフ・タイトルのデビュー作のセールス的不振を鑑みてか、今回はグループの前身であるジェリー・G・ルジックとビル・ケリーのデュオ時代から受け継ぐ、抜けの良いウェスト/コースト・ロック風味は残しつつ、より時代にアジャスト。リバーブを深めに掛けた瑞々しいプロダクションに、本作から参加のリック・マンウィーラーが高らかに鳴り響かせるKeyや、シンセB、トリガーを用いダンサンブルなリズム・アレンジ等、全体的にスペーシーな色合いを強めたサウンドは、イントロからして期待を高めてくれるOPナンバー①、本編中において一際プログレ・ハード色が色濃い⑥、G主導で駆け抜ける重厚なロック・チューン⑦、もしくはボーナス・トラックとして収録されている軽快に弾む⑩etc.といった具合に、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったJOURNEY、BOSTON、TOTO、ELOといったアメリカン・プログレ・ハード~産業ロック勢に通じる魅力を放つようになりました。ロマンティックなピアノ・バラード③や、ツインVoによるハーモニーが哀メロの切なさを引き立たせる⑧辺りを聴いていると、なぜこれが売れなかったのか?と首を傾げること請け合いですよ。
DAKOTAの最高傑作といえばやはりこれではないでしょうか。なお紙ジャケ再発盤が現在でも購入可能の模様。


DAKOTA - The Last Standing Man ★★★ (2017-12-24 10:56:42)

ESCAPE MUSICからリリースされた蔵出し音源集『Mr. LUCKY』が、ここ日本を始め、世界中のメロハー愛好家の間で評判を呼んだことにDAKOTA再評価の機運の高まりを感じ取ったジェリー・G・ルジック(Vo)が、嘗てのバンド・メイト、リック・マンウィーラー(Key)の助力を得て「時は来た。それだけだ」とばかりにDAKOTAを再編。'96年にエイベックス傘下のBAREKNUCKLEから復活アルバムを発表しました。(通算4作目)
のっけの①から、ジェリーのエモーショナルで味わい深いVoと、適度にエッジを効かせて歌うGを活かしたメロディック・ロック・チューンがOPナンバーに相応しい勢いを伴って繰り出され、リックが抒情的に奏でるKeyがしっとりとした哀感を演出する②がその後に続く。そしてインストの小曲③を挟んで始まるのは、どこか中期JOURNEYの名曲“MOTHER, FATHER”を彷彿とさせる④…と、序盤の隙のない流れだけで十二分に伝わって来るよう、本作に託されているのは往年のDAKOTAのシルエットを色濃く留めた、アーバンでアダルトな80年代風味満点のAOR/産業ロック・サウンド。
流石に全13曲も詰め込まれていると途中でダレなくもないですが、それでもフック満載のメロディが胸を打つ名バラード⑦が中盤に配され、ラストにはプログレ・ハード調⑬のような佳曲が要所を締めることで、収録時間50分オーバーの長丁場であっても、終始一定以上の緊張感が保たれています。この辺の構成力の巧みさはやはりベテランの技前だなぁと。
国内盤は既に廃盤のようですが、中古盤屋でも比較的見かける率は高い(あとお値段も良心的な)作品ですので、まずはDAKOTA入門盤としていかがでしょうか


DALTON - Pit Stop ★★★ (2020-08-26 01:02:20)

かつて北欧メタル作品を熱心に集めていた時期は、様式美系のバンドを優先的にチェックしていたため、後回しにしていたハードポップ系のバンドは結構な数を取りこぼしてしまっていました(購入を先延ばしにしているうちに廃盤→プレミア化→入手困難のパターン)。TREATの1stに参加していたマッツ・ダルトン(Ds)により結成されたDALTONもそうしたバンドの一つで、1stと2ndは入手の機会に恵まれず、結成30周年を祝う復活作として’14年発表されたこの3rdアルバムで、漸く彼らの音に触れることが出来ましたよ。
本作は正確には復活作というより、90年代に制作準備を進めるも結局果たせずに終わった幻の3rdアルバム用の楽曲を、プロデューサーのエリック・モーテンセン(ECLIPSE)の助力を得てブラッシュアップした「蔵出し音源集」的趣きも含むらしいのですが、鼻に掛かったハイトーンVoによって伸びやかに歌われる、胸のすくような爽快感を振りまきながら走り抜ける②、印象的なコーラスが耳に残るバラード③、雲一つない青空が広がっていく光景が目に浮かぶ⑤といった、北欧のバンドらしからぬ抜けの良さを伴うハードポップ・ナンバーの素晴らしさを前にすれば、そんな些細なことはどうでもよくなるってもんです。
特に仄かな哀愁を隠し味にキャッチーに弾む⑦は、本場アメリカのポップ・メタル・バンドだってそうそう書けそうもない強力なフックとヒット・ポテンシャルを秘めた名曲じゃないかと。ついでに悲哀に彩られた⑫もボーナス・トラック扱いなのが勿体なさ過ぎる逸品。
これ以降、表立った活動のニュースが日本にまで伝わってきていないのが残念ですが、こんだけ優れた楽曲を書けるバンドなのですから、是非とも活動を継続して欲しいところです。


DALTON - Pit Stop - One Voice ★★★ (2020-08-27 00:10:04)

北欧のバンドとは思えぬハジけるようなポップネスと
北欧のバンドらしい涼し気なメロディが同居した
DALTONというバンドの魅力を分かり易く伝えてくれる
キャッチーな名曲。復活作でこのレベルの楽曲を
提示できるのなら大したものですよ。


DAMIEN THORNE - The Sign of the Jackal ★★★ (2015-01-14 23:47:56)

オカルト映画史に足跡を残す名作『オーメン』。その主人公たる悪魔の申し子からバンド名を頂戴している、アメリカはイリノイ州シカゴ出身の4人組が'86年に発表した1stアルバム。
バンド名やアートワークのみならず、「刻む」というより「蠢く」と形容したくなるダークなGリフと、ハイトーンVoの芝居掛かった歌唱に導かれ繰り広げられるパワー・メタル・サウンドからも、明確なオカルト志向を窺い知ることが出来る本作ですが、ヨーロッパ産の同族に比べると耽美性や湿度は控えめ。それよりも荒々しいブチかましで中央突破を図る姿勢がアメリカンやなぁと。(ツアー・メイトもスラッシュ勢が多かったようですし)。というかコレ、ノリはSHRAPNELメタルですよね。
なので聴き始めはフックに欠ける大味さが気になったりもするのですが、中盤以降は、ルドルフ・ヘスの演説からスタートする⑤、高圧的に荒れ狂う⑥、トリに相応しい大仰さで迫り来る大作曲⑧のような、パワーのみならず、ドラマティックなメロディや曲展開にも気の払われた楽曲がギラリと存在感を放ち、本編に対する没入度の低下を防いでいます。
不器用ながらも愛すべきサムシングに満ちた1枚。ファンからの根強い支持の下、バンドが再結成を果たして80年代よりも元気に活動中なのも納得ですよ。


DAMIEN THORNE - The Sign of the Jackal - Hell's Reign ★★★ (2015-01-27 22:38:59)

聴衆を煽りまくるニュルンベルク党大会での
ルドルフ・ヘスの演説からスタート。
ナチス・ドイツについて歌った歌詞に合わせて、
蠢くGリフと押し寄せるリズム、その中から
突き抜けて来るハイトーンVoが禍々しい空気を
醸成する、アルバム屈指の名曲ではないかと。


DANCER - BEST OF TAIJI FUJIMOTO ★★ (2007-11-04 20:12:00)

足立裕二と共に「日本のマイケル・シェンカー」の異名を取る(?)ギタリスト、藤本泰司率いる
ハードロック・バンドDANCERのベスト・アルバム。元々は『DANCER MEMORIAL』のタイトルで、
1万枚限定/2枚組仕様で'92年に発表された物だったが、そこから更に藤本自らの選曲により12曲を抜き出し、
タイトルも変更して再リリースされたのが本作。(2枚組の方は、最早、入手困難の様子)
'86年発表のデビュー・ミニ『IN THE BEGINING』から5曲、'88年発表の1stフル『VIOLENT EMOTION』から6曲、
そして7インチ・シングルとしてリリースされた“GRAVE DIGGER"の全12曲からなる構成。
代表曲の1つ“NEVER SURRENDER"に象徴されるように、初期の頃はLAメタル的なポップ色も強かったらしいが、
本作で聴かれるサウンドは、哀愁を帯びたシャープな正統派ハード・ロック路線で統一されていて、
藤本のテクニカル且つメロディアスなGソロと併せ、聴き応え十分。
特に、ジャパニーズ・ヘヴィ・メタル・シーンを代表する名曲“BLUE FIRE"は必聴かと。
Voは、ANTHEMの初代フロントマンとして知られる前田敏仁で、その高域に余裕のないハイトーンは好き嫌いが
分かれるところなれど、楽曲の良さを損なうほどではないので、まぁ良いかなと。それと個人的には、
単純にANTHEMの初代Voという事で興味津々だったトニーの歌声が聴けるというだけも嬉しかったり。
今となっては、DANCERの作品で気軽に入手できるのはコレぐらいの物なので、まずは入門編としてどうぞ。


DANCER - IN THE BEGINNING - BLUE FIRE ★★★ (2007-11-04 20:24:19)

シャープに疾走する曲調と、哀愁を帯びたメロディ、
やや不安定だが「泣き」を感じさせる前田敏仁のVo、
そしてメロディアス且つスリリングな藤本のGと、
個人的に、DANCERというバンドに興味を持つ
切っ掛けとなった名曲。Keyも地味に良い仕事をしています。


DANGER DANGER - Danger Danger ★★★ (2016-04-03 00:00:33)

雑誌レビューでゴッドが「全曲がBON JOVIの“RUNAWAY”みたいなアルバム」(うろ覚え)と評していて、「そんな夢のような作品があるのか!」と慌てて購入に走った'89年発表のデビュー作。
んで、実際に聴いてみた結論は「…いや、違うんじゃね?」と。確かにBON JOVIっぽくはありますし、シングル・カットされた②はテッド・ポーリーの歌唱から、哀愁を感じさせる曲調、Keyの使い方まで、紛れもなく“孤独のランナウェイ”感溢れるド名曲なのですが、それ以外の楽曲の方向性は、明るく溌剌とハジけるポップ・メタル路線。孤独どころか友達多そうだし、逃亡者感もゼロ(むしろ着飾ってパーティに出掛けそう)という…。
でもこれはこれで大変素晴らしい。キャッチーなメロディから、気の利いたアレンジ、スタジアムで演奏されるのが似合いそうな大合唱を誘うコーラスまで、楽曲には印象的なフックが盛り盛り。爛熟期を迎えたアメリカのHR/HMシーンにおいて、有象無象のバンドの中から抜け出し、一歩でも成功に近付くべく徹底的に作り込まれたサウンドは、普段この手の音を積極的には嗜まない身にもグッと来るクオリティを有しています。特に爽やかに駆け抜けるロック・チューン⑥は、②の対となる名曲であるなと。
こんだけ曲作りのセンスがあり、且つルックスにも恵まれていたら、そりゃ日本では人気出まさぁな


DANGER DANGER - Danger Danger - Rock America ★★★ (2016-04-03 21:54:40)

1stアルバムでは“UNDER THE GUN”と双璧を成す名曲ですが、
DANGER DANGERの本質が表れているのは、多分こっち。
明るく楽しくキャッチーに疾走する、
聴いているだけで心浮き立つハードポップ・ナンバー。


DANGER DANGER - Danger Danger - Under the Gun ★★★ (2016-04-03 21:51:55)

明るくハジける本編においては少々カラーの異なる哀愁のハードポップ。
お手本は間違いなくBON JOVIの“孤独のランナウェイ”ですが
ここまで完成度が高ければそれをどうこう言う気も起きません。
個人的にはアルバムのハイライト・ナンバーです。


DANGER DANGER - Revolve ★★★ (2019-11-20 22:46:30)

テッド・ポーリー(Vo)をフロントマンの座に復帰させたDANGER DANGERが、テッド以下、ブルーノ・ラヴェル(B)、スティーヴ・ウェスト(Ds)、ロブ・マルセロ(G)というラインナップで'09年に発表した復活の7thアルバム。
ブルーノとロブの2人が、本作にもゲストVoとして参加している元バンドメイトのポール・レインと共に立ち上げたプロジェクトTHE DEFIANTSのデビュー作の完成度に感心し、慌てて買ったはいいが積んだままにしていたこのアルバムも引っ張り出してきて聴き直したのですが、いや、やっぱり良い曲を書く人達だなぁと、改めて感心させられた次第。
旧作よりも格段に説得力を増したテッドのVoと、ロブのフラッシーなGプレイに華やかに彩られたサウンドは、歳月を重ねたことで嘗てのような溌剌とした躍動感は多少薄らいだ感はあるものの、その分、合唱を誘発するキャッチネス、時に爽やかに、時にしっとりと哀愁を発するメロディのフックには益々の磨きが掛かっていて、DANGER DANGERといえば“NAUGHTY NAUGHTY”よりも“UNDER THE GUN”タイプの名曲を愛する身にとっては正にドストライクな仕上がり。個人的には、憂いを帯びて駆け抜ける②、一抹の侘しさ漂うバラード⑤、爽快感に満ち溢れたスケールの大きな⑦等に特にグッときましたが、基本的に本編には捨て曲なし。収録曲の質に関しちゃ1stに匹敵する粒の揃い具合です。
ブルーノの曲作りの相棒であるスティーヴ・ウェストが、こんなご時世ゆえアルバム作りに消極的な姿勢を取っているため、本作以降全く新作アルバムのリリースが実現していないのが残念でなりませんよ。(まぁお陰でTHE DEFIANTSが立ち上がったわけですが)


DANGER DANGER - Revolve - Ghost of Love ★★★ (2019-11-21 22:54:34)

美しいハーモニーと、テッド・ポーリーが切なく歌う
哀愁のメロディを纏って駆け抜けていく曲調といい
アルバムにおける配置箇所といい、1st収録の名曲“UNDER THE GUN”を
彷彿とさせるメロディック・ロック・チューン。
流麗なロブ・マルセロのGプレイも楽曲の魅力をもう一段上に
引き上げてくれています。


DANGER DANGER - Revolve - Rocket to Your Heart ★★★ (2019-11-21 23:01:06)

青空へ広がっていくような爽快感に満ちた曲調と
テッドの甘い歌声とロブのGが奏でる切ないメロディの
合わせ技に、いい年こいたオッサンも思わず胸キュンを
誘われてしまう何とも独特な味わいの逸品。秀曲が揃った
アルバム『REVOLVE』の中でも印象に残るナンバーです。


DANGER DANGER - Screw It! ★★★ (2017-06-30 00:40:42)

ポップ・メタルの名盤だったデビュー作をもって、ここ日本では人気が爆発したDANGER DANGER、’91年発表の2ndアルバム。
ファニーなアートワークのノリを反映させたようなSEに導かれてスタートするのは、大らかなコーラスが合唱を誘発する②。そこから哀愁漂う③へと繋ぐ構成が前作と二重写しになることからも明らかに、ファンが支持する自分達の長所をしっかりと把握し、そこを素直に伸ばした、明るく健康的なポップ・メタル・サウンドを本作でも追及してくれています。
というか全体的に更に「ネアカ」な部分が強調されている仕上がりゆえ、“ROCK AMERICA”と“UNDER THE GUN”というタイプの異なる2曲の名曲を収めた1stアルバムには一聴してのインパクトでは今一歩及ばず。しかし甘いバラードからノリノリのロックンロールまでエネルギッシュに歌いこなすテッド・ポーリーのVo、アンディ・ティモンズの益々フラッシーに冴え渡るGプレイの存在、そして巧みにフックを盛り込んだメロディやコーラスに下支えされた楽曲は、トータルの完成度では決して負けていません。特に爽快に疾走する名曲⑥や、ライブには欠かせないアリーナ・ロック・ソング⑧、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる⑨、メロウな⑩、爆走ロックンロール⑪、ドラマティックなバラード⑫…と、優れた楽曲が軒を連ねる本編中盤戦以降の充実度は天晴。
1st『DANGER DANGER』と併せて、ポップ・メタル好きなら是非とも押さえておいて頂きたい1枚。これが発表当時、アメリカ市場ではまるで相手にされなかったというのは…やはり時代が悪過ぎたんでしょうかね。


DANGER DANGER - Screw It! - Crazy Nites ★★★ (2017-07-01 10:54:52)

以前、バラエティ番組のサッカーのPKコーナーでBGMとして
使用されてことがあるそうなのですが、
確かに躍動感溢れる曲調といい、ライブ会場を大いに盛り上げる
キャッチーなコーラスといい、その手のスポーツ好プレー集が
よく似合う疾走感と爽快感を兼ね備えた名曲ですよ。


DANGER ZONE - Fire Fire ★★★ (2021-05-06 23:09:26)

デジタル配信されたE-Z-Oの代表曲のカヴァーで
2nd『UNDYING』の日本盤にボーナストラックとして収録。
そちらは配信バージョンとも異なる、Keyを活かした
よりドラマティックなアレンジが施されていて
(終盤のGソロも胸に迫るものあり)オリジナル版に
勝るとも劣らぬ仕上がりとなっています。


DANGER ZONE - Undying ★★★ (2021-05-05 23:34:44)

イタリア人ギタリスト、ロベルト・プリオリ率いるDANGER ZONEが'12年に発表した2nd。国内盤は'18年のリリースで、その際にはタイトルを『UNDYING《RELODED》』と改め、GとKeyの録り直し、ミックスやリマスターによるお色直しが図られています。
結成は80年代前半と古く、デビューEP『VICTIM OF TIME』を発表した頃はNWOBHMからの影響も露わな武骨な正統派HMを演っていたそうですが、アメリカを拠点に活動するうちに徐々に音楽性がポップ化。復活第2弾アルバムとなる本作で聴けるのは、Keyによる薄化粧も施されたタイト&キャッチーなメロディック・メタル。
国内盤の発売がANDER STEINからだったので、もっとAOR/産業ロック路線に寄せまくった内容かと思いきや、熱い歌いっぷりが気持ち良いVoにフラッシーなG、エッジと重量感を併せ持ったリフ&リズムがサウンドが過度に甘口になることを防いでくれています。だからこそ我らがE-Z-Oの代表曲“FIRE FIRE”のカヴァーもばっちりハマったのではないかと。同曲に深く関わったジョディ・グレイがロベルトのビジネス・パートナーだったのが縁で今回のカヴァーが実現したらしいのですが、これが「原曲より良いんじゃね?」と思わずにはいられない劇的な出来栄え。正直本編のハイライト級なこの曲のインパクトが他の収録曲の存在を霞ませてしまっているきらいはあるものの、それでもGプレイが痛快な②、小気味良くハジける⑦、Voの熱唱がメロディの哀愁味を引き立てる⑨といったフックの効いた楽曲からも明らかな通りバンドの作曲術とセンスの冴えに疑う余地はありません。
とりあえず“FIRE FIRE”目当てでもいいので一聴をお薦めする1枚。


DANNY VAUGHN - Traveller ★★★ (2019-07-02 00:43:08)

FRONTIERS RECORDS肝煎りのメロハー・プロジェクトFROM THE INSIDEの成功に手応えを感じたダニー・ヴォーン(Vo)が、WAYSTEDから数えてキャリア20周年の節目を迎え、自身の原点である「クラシカルなメロディアス・ロックのスタイル」をこれまで以上に尊重するべく'07年に発表した1stソロ・アルバム。
レーベルの意向で北欧メロハーに通じる透明感と哀愁を湛えたメロディアスHR路線が徹底されていたFROM THE INSIDEに比べ、意表を突いてアイリッシュ風味漂うOPナンバー①で幕が上がる本作は、そこにほんのりアメリカンな要素(土の薫り)も加味。全ての曲作りをダニー本人が手掛けていることもあって、より彼自身のシンガーとしての資質に寄り添ったサウンドが展開されています。
それでいて、例えば以前VAUGHN名義でリリースされた作品ほどアーシー過ぎないのもポイントで、共作者としてクレジットされているSHOTGUN SYMPHONYのチャーリー・カルヴや、CONTAGIOUSのトニー・マーシャルといった手練れのソングライター勢の助力を得ることで、過度な泥臭さを抑え、ポップ且つ爽やかな味付けがなされた収録楽曲の数々は実に美味。中でも快活な曲調にピアノの隠し味が映える④と、ポップな高揚感に満ち溢れたキャッチーな⑦はアルバムのハイライトを飾る名曲ですよ。
聴く者の心を暖めるエモーショナルな歌声の素晴らしさについては既に広く周知されていますが、フックを巧みに盛り込んだ曲作りの腕前もこのレベルだったとは…と感心しきりの、TYKETTOの名盤『FOREVER YOUNG』(’91年)に匹敵するクオリティを有する1枚。おみそれしました。


DANNY VAUGHN - Traveller - Lifted ★★★ (2019-07-03 00:18:14)

ピアノとVoのみのしっとりとした導入から、全楽器が加わり
快活にテンポアップするアルバム後半のハイライト・ナンバー。
要所でのピアノの良い仕事と、胸のすくようなダニー・ヴォーンの
歌いっぷりの良さが楽曲の爽快感を盛り上げてくれます。


DANNY VAUGHN - Traveller - Restless Blood ★★★ (2019-07-03 00:23:58)

カラッと抜けの良い曲調がアメリカンなノリの良さを担保する一方、
流麗に閃くピアノとキャッチーなメロディは仄かな哀愁を運んできます。
ダニー・ヴォーンというシンガーの資質にぴったりフィットした名曲。


DANTE FOX - Under Suspicion ★★★ (2018-08-16 00:09:28)

RADIO MOSCOW(DIAMOND HEADのブライアン・タトラーが結成したバンド)のメンバーだったギタリストのティム・マンフォードと、女性シンガーのスー・ウィレッツにより結成され、元々はレコーディング・プロジェクトとして始動、やがてはそれが正式なバンドへと発展していったというイギリス出身の4人組が、’95年にNOW & THEN RECORDSから発表した1stアルバム。
当時、日本盤がBAREKNUCLEからリリースされていて、DANTE FOXなんてバンド名だから「語感からしてシャープなHRサウンドを演ってそう」と(勝手に)期待して購入してみれば、実際に聴こえてきたのはかなりAOR/産業ロック寄りのサウンド。Gは要所でそれになりに存在感を主張しつつも、基本的には歌を引き立てる演奏に傾注。煌びやかなアレンジを施された哀愁のメロディが心地よく吹き抜けていく本編の主役は、飽くまで伸びやかさと力強さを併せ持ったスー・ウィレッツの歌声という塩梅です。
そんなわけで予想が外れてガッカリしたかといえば、実は全くそんなことはなく。寧ろこれはこれでありだな!と。ポップでキャッチー、世が世ながらヒット・チャートを席巻していてもおかしくなさそうなフックを擁し、またスー・ウィレッツの耳馴染みの良い歌声がそれを一層引き立てる収録曲の数々は、既にご指摘がある通りHEART(とりわけ『HEART』~『BRIGADE』の頃)に通じる魅力に溢れています。特に後年バンドがセルフ・リメイクする②は、DANTE FOXの魅力が凝縮された名曲の一つではないでしょうか。
国内未発売の3rd以降のアルバムも、ちょっとチェックしてみたくなりましたよ。


DANTE FOX - Under Suspicion - I Can't Sleep ★★★ (2018-08-17 00:08:14)

スー・ウィレッツの伸びやかなハイトーンVoと、
ティム・マンフォードの涼し気なGプレイが
得も言われぬ清涼感を運んでくるハードポップ・チューン。
世が世なら大ヒットしていたっておかしくない
サビメロのフックの効き具合もお見事です。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend ★★★ (2021-11-01 23:55:39)

日本のレコード会社主導で制作、’82年にリリースされたNY出身の女性ソロ・シンガー、デラ・セダカのデビュー作。でらセガタ?名古屋在住のダイハードなSEGA信者か藤岡弘マニアのこと?と思う向きもありましょうが(ねえよ)、セガタではなくセダカ。数々のヒット曲で知られるシンガー/ソングライター、ニール・セダカのご息女であられます。
ジャケットを飾る彼女の、台風中継に駆り出された女子アナみたいな髪型を見た時は多少不安にもなりましたが、プロデューサーに招聘したデヴィッド・フォスター人脈を駆使して、バック・バンドはTOTOのメンバーにジェイ・グレイドン、マイケル・ランドゥ、喜多郎、ゲストVoにPAGES、ブライアン・アダムスら錚々たる面子が揃い踏みの上、デラ嬢も溌剌としたポップ・チューンからフックを盛り込んだバラードまで伸び伸びと歌いこなすシンガーぶりを披露する等、本作で披露されているAOR/産業ロック・サウンドはどこに出しても恥ずかしくないクオリティを誇っています。
まかり間違ってもHR/HMのジャンルで括れる音楽性ではないものの、キャッチーなサビメロが印象的なハードポップ③、ギターがハードに活躍するアルバム表題曲⑥、そして喜多郎作曲でアルバムのリーダー・トラックでもあった、松本零士原作のSFアニメ映画『1000年女王』のEDテーマ⑨辺りは、この手のジャンルに興味がないリスナーでもグッとくる魅力を秘めているのではないかと。
暇を持て余した二世タレントの余技とは一線を画する名盤。この調子でローズマリー・バトラーの『ROSE』(勿論日本盤の方ね)とかも再発して貰えないでしょうか。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend - Angel Queen ★★★ (2021-11-03 01:21:23)

喜多郎が作曲とシンセサイザーも担当しているバラード。
邦題は“星空のエンジェル・クィーン”で、
アニメ映画『千年女王』の主題歌だったのだとか。
AOR路線の本編からすると少々浮いてる感もあるのですが
スペーシー&ドラマティックな仕上がりは文句なしのクオリティ。


DARA SEDAKA - I’m Your Girl Friend - The Real Me ★★★ (2021-11-03 01:13:54)

邦題は“見つめてほしい”
躍動感溢れる清涼なハードポップ・チューンで
ファルセットを使ってキャッチーに歌い上げられる
サビメロが実に秀逸な出来栄え。


DARK ANGEL - Darkness Descends ★★★ (2006-12-29 00:20:00)

バカテクDs.ジーン・ホグランが加入、いよいよ戦闘態勢を整えたDARK ANGELが'86年に発表した2ndアルバム。
個人的に、彼らの最高傑作と言えば4th『TIME DOES NOT HEAL』が思い浮かぶのだが、(無愛想ながら)歌えるVoを擁し、重厚なサウンド・プロダクションのもと、「聴かせる姿勢」が顕著に表れていた『TIME~』に比べると、本作は殆ど正反対といっていい程にバイオレントな作風を誇る。
勢い重視のラフな音質、僅か7曲収録で30分強というタイトなランニング・タイム、マシンガンの如く情容赦なく刻まれるリフ&リズム、直線的でアグレッシブな(声質が非常にカッコイイ)Vo、迫力に満ちたツインG・・・何より、ひたすら前のめりに突っ走る「スピード命!」な収録曲の数々は、潔く痛快極まりない。
その原動力になっているのは間違いなくジーン・ホグランの超絶Dsで、一体、どういう手足の構造をしているのか、ダイナミックなリズムを鬼のように叩き出しながら、全く破綻しないそのドラミングは圧巻。人間、本当に凄いモノに出くわすと笑うしかないと言うが、まさにこれがそう。
また、スピード一辺倒で本編が単調になるのを防ぐため、しっかりと緩急が設けられている点も◎(④のイントロのBソロとか)
・・・といっても、このバンドの場合は「ムチャクチャ速い」と「普通に速い」レベルの緩急なんだけど(笑)


DARK ANGEL - Leave Scars ★★ (2009-08-09 20:51:00)

'89年に発表された、ドン・ドーティに代わる新Voロン・ラインハート加入一発目となる3rdアルバム。
曲作りの主導権がジーン・ホグラン(Ds)へと移り、これまでのストレートなスラッシュ・メタル路線から、複雑化/大作化が著しい本作を初めて聴いた時は、無駄に長く、また煮え切らない楽曲が余り好きになれなかった覚えがあるのだが、今改めて聴いてみると、これが十分「走ってる」ストレートなスラッシュ・メタルに聴こえてしまうんだから、時の流れってのは恐ろしい。
ペラペラで厚みに欠けるサウンド・プロダクションとか、『DARKNESS DESCENDS』から『TIME DOES NOT HEAL』へと至る過渡期の作品ゆえの中途半端さ(アレンジや曲展開の未整理)とか、色々気になる部分もあるにはあるが、何のかんの言いつつも、前2作の作風を迷いなく受け継ぐ高速スラッシュ・ナンバー①②、LED ZEPPELINの超有名曲の豪快なブチ壊しカヴァー⑤、6分以上に及ぶ長尺曲ながら、テンションの高さで聴き手を圧倒する⑥、ラストを激烈に締め括るアルバム表題曲⑨等、名曲/佳曲も数多く収録されており、この完成度の高さは流石DARK ANGEL、抜かりはない。(尚、⑦のバックボーカルにはゲストとしてVIKINGのロン・エリクソンが参加している)
このバンドの入門編としては不向きな作品ですが、やはり避けては通れない1枚。スルメ盤?


DARK ANGEL - Time Does Not Heal ★★★ (2006-10-01 16:14:00)

「聴かせる」姿勢が、より明確に表れた'91年発表の4thアルバム。
日本ではDEATHの作品に参加した事で一気に知名度を上げた感のあるジーン・ホグランだが、ドラマーとしての腕前はこの頃から既に一流で、時にリード楽器の役割も果たす、そのヘヴィネスと疾走感を兼ね備えたドラミングはまさに圧巻。
彼がその殆どを手掛けた収録曲も、OPとEDを飾る高速スラッシュ①⑨、中盤の盛り上がりを演出する④⑤⑥⑦等、いずれもハイクオリティ。特に10分に及ぼうかという長尺曲⑥は、ストレートな疾走感と、煮え切らない歌メロ&メロディアスなGの絡みが秀逸な、本作のハイライト的存在の名曲。
「67分で9曲、246のリフ」という名キャッチコピーからも分かる通り、大作主義、頻繁なリフ/リズム・チェンジ等、複雑な曲展開が前面に押し出された仕上がりなわけだが、ドラマーが曲作りの中心に座っているせいか、理屈っぽさが感じられず、頭よりも体に直に訴えかけてくる衝動性が非常に素晴しい。そのため展開の複雑さに反して、楽曲は「走ってる」印象が強い。
愛想はないがしっかりとメロディを追いかけるVo、アグレッシブにリフの壁を築く一方、メロディアスなソロやハーモニー・プレイを聴かせるGコンビ、手数の多いジーンのDsと、がっちりスクラムを組むB・・・と、各メンバーの仕事振りもナイスで、作品自体は以前よりメロディ重視の姿勢が打ち出されているとは言え、軟弱な印象は欠片もない。
スラッシュ・メタル・シーン末期の名作の1つではないだろうか。


DARK LUNACY - The Diarist ★★ (2010-10-26 00:04:24)

第二次世界大戦の過酷な戦場として知られる東部戦線。その中でも、際立って凄惨な地獄絵図が繰り広げられた「レニングラード包囲戦」をテーマに据えたストーリー・アルバム・・・という点に戦争映画ファン心理を擽られ、ろくにバンドの事も知らずに購入した作品。('08年発表の3rdアルバムだとか)
「ソ連時代の国策映画的なノリ(ソビエト連邦万歳!社会主義万歳!)だとキツイよなぁ~」と、若干の危惧を覚えながら聴き始めてみれば、これが冷静且つリアリスティックな視線で飢えと寒さ、そして恐怖に苦しむレニングラード市民や兵士達の姿が点描されており、その完成度の高さに大いに感心させられた次第。
曲間にインストの小曲やSE、実際の戦時放送音源を配し、シアトリカルに組み上げられた本編の構成が作品世界への没入度を深め、悲壮感に塗れた咆哮を上げるVo、寒々とした冷気を宿して刻まれるリフ&リズム、それに壮麗なクワイア、女性Voやドラマティックなオーケストレーションが、アルバム全体を包み込む厳粛な雰囲気を一層引き立てるが、何と言っても本作の肝は、聴く者を心胆寒からしめる悲痛さを撒き散らしながら疾走するメロディの魅力。
特に、激しくも哀しい泣きメロを纏って突き進む①②③⑧⑩といった荘厳な名曲の数々(無論これ以外の楽曲も
粒揃いで捨て曲なし)を聴くにつけ、このバンドのメロディ・センスの冴えには驚かされるばかり。
まぁ実際のところ一番驚いたのは、これほど本格的なロシア情緒漂う作品を作り上げたのが、ロシアでも東欧でもなく、イタリア出身のバンドという事実なのですが。


DARK MOOR - The Hall of the Olden Dreams ★★★ (2015-10-26 23:46:31)

作品をリリースする毎にレベルアップを遂げ、今や日本におけるスパニッシュ・メタル筆頭の地位に上り詰めた感さえある、エンリク・ガルシア(G)率いる6人組の本邦初登場作ともなった2ndアルバム('00年発表)。
女性シンガー、エリサ・マルティンの男勝りな歌唱をフィーチュアして、クラシカルな優美さとシンフォニックなスケール感を両輪に疾走するドラマティックなパワー・メタル・・・という基本スタイルは既に確立済み。ただこの時点ではRHAPSODY、STRATOVARIUS、BLIND GUARDIANといった先達からの影響が未消化気味というか結構あけすけで、現在の彼らに比べるとそのサウンドは少々野暮ったい。しかし、同時にそれこそが本作最大の武器でもあったという。
野暮ったさの発生源の一つが、全編で溢れ返るクサメロの大洪水なのですが、これがとにかく強力無比。序曲①に続いて間髪入れずに繰り出される②③の時点で早くもメーター振り切らんばかりの勢いですが、更にトドメの一撃を加えてくるのが名曲⑤で、コテコテ&クサクサに疾走するその勇姿には痺れるやら笑うやら。いやでもカッコイイ。
作風の洗練と引き換えにクサメロ度が落ち着いていったとされるDARK MOORの最高傑作に、本作の名を挙げるマニア多数という話も理解できなくはない、非常にクセになる1枚。これを店内で流したショップや購入者のお宅では異臭騒ぎが起きたと聞きますので(嘘)、ガスマスク用意してトライしてみてはいかがでしょうか。


DARK STAR - Dark Star ★★ (2012-01-11 21:31:25)

NWOBHM史に燦然と輝く1発屋の星、バーミンガム出身の5人組HRバンド、DARK STARが'81年にリリースした1stアルバム『暗黒の星屑』の紙ジャケ/リマスター盤が発売されていたので、「考えてみりゃ、ちゃんと買って聴いたことなかったなぁ」と後学の為に購入。
その昔、バイト先の先輩宅で本作のA面サイドを聴かせて貰った時は「RIOTからドライブ感を差し引いた代わりに湿り気を増量したようなサウンド」との感想を抱き、「つまりNWOBHMの聖歌“LADY OF MARS”は欧州版“WARRIOR”なんスよ!」等と強弁した、一刻も早く忘れたい恥ずかしい記憶があるのですが、今回改めて最後までちゃんと聴き直したら、当然のようにそんな事は全くありませんでした。(いやでも①②はそこはことなくRIOTっぽいか?)
また、↑上記で多くの方がご指摘されている通り“LADY~”以外にも良い曲が多数収録されていることが分かったのも大きな収穫でしたね。バンドのテーマ・ソングと言えそうな⑥や、サビメロがPRAYIN MANTISを思わせる⑦といったツイン・リードGの威力が如何なく発揮された楽曲、それに渋い泣きのロッカ・バラード⑧とか。
でもやはり、本作において別格の存在感を放つのは“LADY OF MARS”。軽快なリズムに乗って、湿気ったメロディをくぐもった声質で歌い上げるVo、切なくも美しいツインG&コーラスのハーモニーが印象的に踊るこのドラマティックな名曲は、聴く度に猛烈に郷愁を刺激してくれて堪らんですな。
また廃盤になっちゃう前に、未聴の方は是非どうぞ。


DARK STAR - Dark Star - Green Peace ★★★ (2012-01-17 20:55:38)

NWOBHMというより70年代HR的な
メランコリズムが横溢する陰気な泣きのバラード。
沁みますねぇ。


DARK STAR - Dark Star - Lady Love ★★ (2012-01-17 20:53:31)

Gリフとリズム・パターンはロックンロール調ですが、
哀愁を帯びた美しいツインGとボーカル・ハーモニーが
如何にも英国然とした情緒を伝えてくれるので
能天気な印象は全然ない。良い曲です。


DARK STAR - Dark Star - Lady of Mars ★★★ (2012-01-17 20:58:13)

DARK STAR=LADY OF MARS
と言っても過言ではないバンドの代表曲。
イントロとリズム・パターンは
UFOの“DOCTOR,DOCTOR”ですが、
こちらの方が貧乏臭い分(褒め言葉)、
哀愁が濃厚に感じられますね。


DARKNESS - Conclusion and Revival ★★ (2006-10-17 22:19:00)

『遊星からの物体Ⅹ』を思わせるキモジャケがインパクト大な、'89年発表の3rdアルバム。
(実際、彼らは『遊星~』のテーマ曲をカヴァーした前歴がある)
前任者よりも幅広い声域を備えた新Voの加入効果で、かなり聴き易くなった印象を受けるが、
だからと言ってヤワになったわけではなく、従来通りのストレートなスラッシュ・チューン②③⑧⑫を
要所に配しつつも、Keyの隠し味が効いている正統派へヴィ・メタリックな④⑩のような楽曲も収録。
歌えるVoを活かした、よりメロディ重視のパワー・メタル路線への歩み寄りが感じられる
作風に仕上がっている。(中には⑨の如き異色曲も収録されているけど)
特に、スラッシーな疾走感を基調に、そこにドラマチックな曲展開を持ち込んだ6分以上に及ぶ大作⑦は、
リード楽器の役割を果たすBの存在の大きさもあって(このBは、ソロにリフにとアルバム全編で大活躍)、
IRON MAIDENを彷彿。デビュー当時からちょこちょこと匂わせていたドラマ志向が、遂に実を結んだ
名曲と言えるのではなかろうか。(と言っても実は2nd収録曲のリメイクなのだが。ちなみに⑥⑪もそう)
本作がラスト・アルバムになってしまったとは、残念至極。


DARKNESS - Death Squad ★★ (2009-08-08 00:38:00)

'84年に結成され、独スラッシャーの第1世代に属していたエッセン出身の4人組が、'86年に発表した1stアルバム。
ジリジリとノイジーに荒っぽく刻まれるGリフ、濁声で吼え立てるVo、そして取り憑かれたように性急なビートを
叩き出すリズム隊とが一丸となって突っ走る、実にスラッシュ・メタルらしいスラッシュ・メタルが全編に渡って
繰り広げられる本作は、DARKNESSが残した3枚のフル・アルバムの中でも、特に攻撃的な作風を誇る・・・っても、
まぁこれは彼らに限った話じゃなく、同時代の大概のスラッシュ・メタル・バンドのデビュー作に
当て嵌る話なわけだが、その多くが「やりたい事に技術が追い付いていない」状態だったに対し、このバンドが凄いのは
全編をスピーディに押しまくりつつ、その合間に正統派へヴィ・メタリックなインスト・ナンバー⑤や、
アコギに始まりアコギに終わる重厚な⑧といった楽曲を挟み込んで本編の流れに緩急を演出する等、溢れ出る初期衝動を
きっちりと自身でコントロールし切っているところ。取り分け、イントロ代わりの①を引き裂いて爆走を開始する②、
フックの効いた⑥といった楽曲は、その攻撃性と曲作りの上手さが如実に表れた名曲。
こうした隠れた逸品が、CDで、しかもリマスターを施されて(オマケ音源てんこ盛り)状態で
気軽に聴けてしまうのだから、ホント良い時代になったもんです。


DARKNESS - Death Squad - Faded Pictures ★★ (2009-08-08 17:36:40)

実にDARKNESSらしい高速スラッシュ・ナンバー。
サビの部分を、濁声Voが一生懸命歌ってる辺りに
好感を感じますね。


DARKNESS - Death Squad - Tarsman of Chor ★★ (2009-08-08 17:40:32)

激烈高速スラッシュ・ソングを演奏する一方、
こういう正統派へヴィ・メタリックなインスト曲も
収録して本編の流れにメリハリを付ける辺り、上手い。
曲自体も「スラッシュ化したIRON MAIDEN」調でカッコイイ。


DARKNESS - Defenders of Justice ★★ (2009-08-08 17:41:00)

メンバーがプログレッシブ・ロックや、WATCHTOWER等のインテレクチュアル・スラッシュ・メタルからの
影響を告白する、'88年発表の2ndアルバム。
とは言え、本作で聴く事が出来るサウンドは、人を食ったような暢気なイントロ・パートから一転、切れ味鋭く
猛烈な疾走を開始するOPナンバー①を手始めに、濁声Vo、カミソリGリフ、それに性急に突っ走るリズムを兼ね備えた
王道ジャーマン・スラッシュ・メタル以外の何者でもなく、そこには妙な実験精神が入り込む余地なんぞ皆無。
但し、基本的には前作『DEATH SQUAD』の作風を継承しつつも、アレンジや曲展開の複雑化に伴い、一層の長尺化が
進んだ収録楽曲からはこれまで以上に「練り込み」の跡が伺えるのも確かで、取り分け、隠し味的にKeyを用いた④、
下っ腹にズンズン響く重厚なヘヴィ・チューン⑤、メロディアスに歌うVo、IRON MAIDENばりのツインGをフィーチュアして
劇的さを演出する大作ナンバー⑧といった楽曲は、本作でしか聴く事の出来ないタイプの名曲/佳曲かと。
(あと、要所で硬質なアクセントを加えてくる新加入のBの良い仕事っぷりも本作のポイント)
サウンド・プロダクションの洗練と引き替えに、ノイジーなGの迫力が失われしまった点は惜しいが、
それを差し引いてもこのの完成度の高さは立派。DARKNESSの最高傑作として、入門編にもお薦めできる1枚。
尚、本作を最後にバンドから脱退したVoのオリバー・フェルニッケルは、'98年に心不全でこの世を去っている。R.I.P.


DARKNESS - Defenders of Justice - Predetermined Destiny ★★★ (2009-08-08 17:56:30)

パートによっては頑張ってメロディアスに歌い上げる濁声Vo、
IRON MAIDENばりのハーモニーを聴かせてくれるツインG、
起承転結がバッチリ決まった曲展開、
いずれもドラマティックな2ndアルバムのハイライト・ナンバー。


DARKNESS - Defenders of Justice - They Need a War ★★ (2009-08-08 17:50:46)

スピードに頼らずとも良い曲が書ける事を証明してみせた
重厚で緊張感に溢れたヘヴィ・チューン。
実はドイツ語バージョンの方が
(曲調と合っていて)カッコイイ。


DAVID GLEN EISLEY (2019-02-26 23:51:12)

元メジャー・リーガー(サンフランシスコ・ジャイアンツ所属)という異色の経歴の持ち主で、グレッグ・ジェフリア率いるGIUFFRIAにフロントマンとして参加したことで、一躍その名をHR/HMシーンに知らしめたアメリカ人シンガー。
個性的な歌声のみならず、端正なルックスを活かして俳優としても活動していた時期がある模様。奥様が女優のオリビア・ハッセー(日本だと布施明の元嫁として知られる)で、俳優としての活動はその辺のコネクションも関係していたのかなと。


DAVID GLEN EISLEY - Stranger From the Past ★★★ (2019-02-26 23:53:23)

ジーン・シモンズのお眼鏡に適わずHOUSE OF LORDSに参加し損ねて以降は、関わったバンドや作品が悉くパッとしない結果に終わっていたデイヴィッド・グレン・アイズレー(Vo)。そうした彼に対する冴えないイメージを一変させてくれたのが、盟友クレイグ・ゴールディ(G)、チャック・ライト(Ds)、その他多数のゲスト・ミュージシャンを招いて制作、'00年にFRONTIERS RECORDSから発表されたこの1stソロ・アルバムでした。
1人でG、B、KeyからDsまでこなすマルチ・ミュージシャンとして、神秘的な序曲からパワフルに展開していくOPナンバー①②の流れを始め、抒情メロディと熱い盛り上がりに彩られた楽曲をクリエイトする優れた作曲家/プロデューサーとして、そして何より実力派シンガーとして、本作のデイヴィッドは持てる才能をフル稼働。この人のVoは良く言えば個性的で豪快、悪く言うと脂っこくて、ことによっては楽曲の大味感のみを助長する諸刃の剣にもなり得るのですが、流石収録曲を独力で書き上げているだけあって、本作では己の声の個性をしっかり把握し、長所を活かす曲作りを心掛けている印象です。特にクレイグの泣きのGも冴え渡る猛烈な哀愁を発散する劇的な⑤⑥⑨、妻で女優のオリビア・ハッセーに捧げられたお惚気バラード⑪等は、タメを効かせて盛り上がる曲調とクドめな熱唱の威力とが相俟って、息苦しい程のエモーションが迸る仕上がり。こちとら失礼ながら「こんな良い曲書ける人だったんだ?」とビックリですよ。
GIUFFRIA以降、デイヴィッドが関わった作品の中にあって頭一つ抜きん出たクオリティを誇る1枚ではないでしょうか。


DAVID GLEN EISLEY - Stranger From the Past - Don't Turn Away ★★★ (2019-02-28 00:15:11)

エモーションとタメの効いた、じっとりと熱を帯びた曲展開に、
デイヴィッドのクドイぐらいにダイナミックな歌唱がよく映えます。
胸を鷲掴みにされるような終盤の怒涛の盛り上がりっぷりを支える
クレイグ・ゴールディのGがここでも良い仕事をしていて、
本作でこの人の再評価ゲージがストップ高ですよ。


DAVID GLEN EISLEY - Stranger From the Past - Sing Brother ★★★ (2019-02-28 00:06:03)

「入魂」という表現がぴったりくる熱唱といい
哀愁の海にどっぷり浸かったメロディの迸りといい
シンガーとして、ソングライターとして、
デイヴィッド・グレン・アイズレーというミュージシャンの
才能を存分に堪能できる名バラード。
クレイグ・ゴールディのエモーショナルなGプレイも実に沁みる。


DAVID LASLEY - Soldiers on the Moon ★★★ (2023-03-07 00:57:10)

ボズ・スキャッグスの名曲“JOJO”を手掛けたこと等でも知られるミシガン州出身のシンガー/ソングライター、デヴィッド・ラズリーが、日本のPACIFIC COAST HIGHWAY RECORDSと契約を交わして’89年に発表した、ソロ名義では3作目となるアルバム。この文章を書くにあたって「そういえば最近はどんな仕事してるんだろう」と思ってちょっと調べてみたら、何と'21年に病気で急逝されていたと知ってビックリでしたよ…。R.I.P.
先日感想を書いたティム・フィーアンの『CARMELITA』と同じく、本作はCOOL SOUNDからCDが再発されていますが、比較的ロック色が強かったあちらに比べると、こっちはロック色絶無。その大半を、自作曲のセルフ・リメイク及びジャズ/ブルーズ/ポップスのスタンダード・ナンバーのカヴァーが占める本編からは、昭和ドラマのバーやラウンジでの密談/密会シーンで流れていても違和感のないアダルトでジャジーな雰囲気が濃厚に漂ってきます。
音圧による誤魔化しがきかないアコースティックな仕上がりな分、デヴィッドの歌の上手さがより一層際立っていて、取り分けストリングスをフィーチュアしてメロウに迫る①、美しいピアノ・バラード③、エモーションの籠った歌い回しにウットリさせられる⑤、ランディ・ニューマンのカヴァー⑪といった楽曲は、時に女性と聴き紛う彼のソウルフルなハイトーンVoが絶品に映える名曲ではないかと。これだけのクオリティの代物が、リハーサルなし、レコーディング期間僅か3日という、NWOBHM作品ばりの突貫スケジュールで制作されたとは俄かに信じ難いものがありますね。歌ウマ男にも程があるだろうと。
まかり間違ってもHR/HMコーナーに置かれることはないでしょうけど、例えばグレン・ヒューズのソロ作辺りが楽しめる方であれば、是非チェックして頂きたい1枚であります。


DAVID LASLEY - Soldiers on the Moon - Warm As the Wind ★★★ (2023-03-09 01:24:22)

ピアノとストリングスをバックに、女性と聴き紛う
ハイトーン・ボイスを駆使してデヴィッド・ラズリーが
ソウルフルに歌い上げる美しいバラード。幼少時より
ブラック・ミュージックに親しんできたというルーツ含め、
グレン・ヒューズの歌心なんかにグッとくる方には
是非一度お聴き頂きたい名曲です。


DAVID ROBERTS - All Dressed Up... ★★★ (2013-01-19 00:19:28)

当時、ヒットチャートを賑わせていたLAの名うてのミュージシャン達が集結した豪勢なレコーディング環境、そして何より卓越した作曲家としての才能が注目を集めた、カナダ出身のシンガー・ソングライター、デヴィッド・ロバーツ、'82年発表の1stアルバム。
自分は'08年リリースの2nd『BETTER LATE THAN NEVER』を先に聴いてから、遡って本作を購入したのですが(何しろ1stは長らく入手困難な状態が続いていたので)、やっぱりこの頃は若い。いや四半世紀ぶりの2ndでも瑞々しさは失っていませんでしたが、この頃は更に輪をかけてピチピチしている印象で、歌声にしろ楽曲にしろアレンジにしろ、溌剌として、明日への夢と希望でパンパンに膨らんでいる感じ(?)。
フレッシュにハジける①⑤、ジェフ・ポーカロの豪快なドラミングからスタートする③なんてその最たる例に挙げられる名曲ですし、サビのメロディ展開が印象に残る②、甘くロマンティックなバラード⑦、ポップに弾むキャッチーな⑧なんかも、後にダイアナ・ロスら、著名なアーティスト達がカヴァーしたのも納得の魅力的な仕上がり。
よくぞ再発してくれました。感謝。


DAVID ROBERTS - BETTER LATE THAN NEVER ★★★ (2013-01-19 00:43:06)

お宝盤として珍重されていた'82年発表のデビュー作『ALL DRESSED UP』が数年前に紙ジャケCD化され、その好調な売れ行きに気を良くした日本のレコード会社が制作費を援助する形で実現した、実に20数年ぶりのリリースとなるデヴィッド・ロバーツの新作(2nd)。
1st発表以降は表立った活動はせずに、職業ソングライターとしての仕事にシフトしていた人だけに、どれだけ往時の歌唱力を保持しているのか読みきれませんでしたが、蓋を開けてみれば、保持どころか年を経て熟成されたワインの如き深みとまろやかさを増した歌声を聴かせてくれて(良い意味で)ビックリ。
収録楽曲に関しても、元々STARSHIPやダイアナ・ロス、BAD ENGLISHらに楽曲提供をしていた実力派とは言え、年齢を重ねることによって妙にレイドバックしたり枯れたりすることなく、若き日の瑞々しさを適度に保った楽曲は、メロディも一層キャッチーに練り込まれていて、個人的には「1stよりも良いんじゃね?」と思わされる場面もしばしば。
カントリー風味のGが良いアクセントとなっている明るく溌剌とした①に始まり、アルバムのハイライトに押したい名曲④、ジョン・ウェイトとの共作バラード⑤、それに独特のリズムで綴られる哀愁のメロハー⑧を収めた本編後半に至るまで、HR/HMと呼ぶには少々距離を感じさせるサウンドではあるものの、メロディ愛好家の方には是非一聴をお薦めしたい1枚であります。


DEAD CLAW (2011-07-04 22:21:48)

DEAD CLAWの1stは、失恋船長さんの文章を読まなければ
まず聴き直す気にはならなかったであろう作品(しかも今回、
実はそう悪い作品でもなかった事に気付かされました)なので、
非常に得難い機会を頂きました(笑)。
 
それにしてもEBONY EYESの『FINAL FIGHT』がダウンロードなら¥1500ですか!
一度聴いてみたいと思っている、カルメン・マキ&5Xの作品等も、
ダウンロードならそれぐらいの価格で購入可能なんですよねぇ。
  
でも自分もパッケージに拘る派なので、いつか再発される可能性
(もしくは手の届く価格の中古盤を発見する可能性)に掛けて、
ここは一つ、グッと我慢したいと思います。
 
でも1500円か・・・。


DEAD CLAW - BOMBED AND BLASTED (2011-07-03 21:33:53)

'90年発表の1stアルバム。「どうやらスラッシュ・メタル・バンドらしい」「バンド名にDEADって入ってるし」という薄らボンヤリとした情報を頼りに購入した作品だったが、まるでロックンロール・バンドのような隙間の多い音作りに、疾走パートを盛り込みつつも、ジャジーだったりアーシーだったりプログレ調だったりもするリズム、捉えどころのないメロディを歌うVo等、その一筋縄では行かないサウンドが全くピンと来ず、長らく放置プレイの刑に処していた1枚。
今回、失恋船長さんのレビューに刺激されて久し振りに引っ張り出して聴いてみたのですが、全体的な印象に大きな変化はないまでも、パワー/スラッシュ・メタル由来の鋭角的なリフの刻みから練られたソロ・パートまで、意外なぐらい正統派な演奏を聴かせてくれるGの活躍っぷり等、新たな聴き所も再発見。
本編中最もアグレッシブに疾走する⑧、それにこのバンドの個性を余す所なく封入した上でドラマティックに仕上げられた、山あり谷ありで12分以上に及ぶラスト・ナンバー⑨は確かになかなかの力作ですね。
再結成作でDEAD CLAWに興味を持った人にお薦めしたい1枚・・・なんですが、そういう人が本作を聴いたら、「これ同じバンド?」と面食らう事は確実でしょうが。


DEAD CLAW - BOMBED AND BLASTED - THE LONE-HORSEMAN ★★ (2011-07-06 22:44:35)

バラエティ豊かなリズムを叩き出すDsなど、
バンドの幅広いルーツを窺い知る事の出来る1曲。
12分以上に及ぶ長尺曲だが、へヴィ・メタリックなGが
曲調をドラマティック且つビシッと引き締めているため
ダレた印象もない。


DEAD CLAW - CEASE FIRE SAVE YOUR GROUNDS ★★ (2011-07-04 22:23:32)

再結成を果たした名古屋出身のスラッシュ・メタル・バンドが'07年に発表した復活の2ndアルバム
良くも悪くも成熟したHRバンド的感触もあった1stアルバムに対し、本作は勢い勝負のジャケット・アートワークに、ローファイな音質、全7曲収録でランニング・タイムは17分ぽっちというショート/シャープ/ショックな構成に至るまで、まるで新人バンドばりに荒ぶる初期衝動がモロ出し(どう考えてもこっちがデビュー作ですよ)。
'92年の解散から'03年の復活に至るまで、凡そ10年の沈黙期間中に一体どういう心境の変化があったか知る由もないが、聞けば活動初期はアグレッシブなスラッシュ・メタルを演っていたらしいので、ぐるりと一周回って元の位置に戻って来ただけとも言えるのか。
デビュー作の作風を受け継ぐ④やインスト曲⑤⑦といった泥臭いナンバーで緩急を演出しつつ、上擦り気味に喚き散らすVo、ギャンギャン唸りを上げるG、喧しく連打されるリズムとが、パンク/ハードコア風味の攻撃性を迸らせながら突っ走る①②③⑥といった高速スラッシュ・ナンバーで畳み掛ける本編は、カタルシスに満ち溢れていて非常にカッチョイイ。
前述の通りボリューム的にはやや食い足りないが、満足度は高い。DEAD CLAW入門編としてどうぞ。


DEAD CLAW - CEASE FIRE SAVE YOUR GROUNDS - CROSS FIRE ★★★ (2011-07-07 22:20:51)

リフ、リズム、Voが一丸となって
剥き出しのエネルギーを叩き付けて来る
本編で最もスラッシュ度高めのスピード・ナンバー。
勢い溢れるGソロもカッコイイ。


DEAD CLAW - CEASE FIRE SAVE YOUR GROUNDS - DOWNSTAIRS ★★ (2011-07-07 22:22:38)

ノリ良く刻まれるリフ&リズムが
一気呵成に畳み掛けるタテノリ・スラッシュ・ソング。
体が勝手に動き出しますね。


DEAD CLAW - Cold Defiance ★★ (2018-02-10 23:59:29)

'07年発表の2nd『CEASE FIRE SAVE YOUR ROUNDS』以来、音沙汰がなかった愛知出身の4人組が、久々にリリースした3曲入りシングル(’18年発表)。ディスクユニオンで買ったら特典として2曲の未発表曲入りCD-Rが付いてきたので、実質5曲入りEPと言えなくもないか?
『CEASE~』は、全7曲で収録時間が20分弱と、かなりクロスオーバー・スラッシュ方面にはっちゃけた内容だったと記憶しておりますが、本作も一発録りっぽいラフな音質といい、Gリフのササクレ感や、突っ走った時に放たれるアグレッションといい、ジャンルとしては間違いなくスラッシュ・メタルで括れるサウンド。ただ、男臭い発声のVoがメロディを追っかけ(OUTRAGEの橋本直樹と似たタイプ)、時にMOTORHEADに通じる埃っぽさを身に纏わせた楽曲はパワー・メタル…というよりも、80年代初頭のスラッシュ・メタル誕生数歩手前のHM的な感触も有り。
また、勢いに任せてガムシャラに畳み掛けるのではなく、曲によってはプログレ・メタルばりの緩急を仕込んだ曲展開や、適度に隙間を活かしたリフ&リズムの組み立てで抜けの良さを演出したりする手腕、それでいてあれこれ詰め込み過ぎてとっ散らかった印象はなく、それらがちゃんとバンドの個性として消化されている辺りは流石キャリアの長いバンドだけのことはあるなぁと。
継続的な活動と、ニュー・アルバムの発表への期待を高めずにはいられない1枚。


DEAD END - DEAD LINE ★★ (2006-03-22 08:29:00)



DEAD END - DEAD LINE ★★ (2008-07-06 19:37:00)

メタル、プログレ、パンクがミックスされた個性的なサウンドや、過激なルックスと歌詞、Voの爬虫類型(?)
歌唱法などが、後のヴィジュアル系バンド群に多大なる影響を及ぼしたDEAD END。その彼らが'86年に発表するや、
当時のインディーズ・シーンでは異例とも言える、1万枚以上のビッグ・セールスを記録したデビュー・アルバムがこれ。
オリジナル・メンバーの一人ながら、この作品のみでバンドを去った香川孝博(G)の手掛けた楽曲が、本編の大半を
占めるせいか、後のアルバムとは異なる、正統派HM色が強く打ち出された内容に仕上がっているのだが、
シアトリカルな歌唱を駆使するMORRIEのVoに、時にリード楽器の役割も果たす、豪快にハジけるCRAZY COOL JOEのB、
変幻自在のビートを叩き出す田野勝啓のDs、そして元TERRA ROSAという出自も納得の、高い構築美を湛えた劇的なソロを
紡ぎ出す足立裕二のGが一体となって生み出す、唯一無二、超個性的なDEAD END流HMサウンドは、既にしっかりと確立済み。
それでいて独り善がりな部分は全く無く、1度聴いたが最後、激しい中毒性を引き起こす「キャッチーさ」を備えている点も、
本作の大きな魅力の1つ。特に、一際ヘヴィ・メタリックに、ドラマティックに疾走する⑤(足立裕二のGソロが悶絶モノの素晴しさ!)、
幾層にも重なり合う美しいアコギを効果的にフィーチュアした、妖しくも激しい⑨はDEAD END屈指の名曲かと。
ちなみに、フォノ・シート音源の⑨と、限定ピクチャー盤に付録としてついていた⑩は、CDのみの収録となっている。
メジャー・デビュー以降の、洗練された作風とはかなり趣きを異にするものの、この荒々しいトンガリ具合こそが本作の肝であり、
中古盤市場において、1万円前後の高額で取引されているというのも、大いに納得。1日も早いリマスター再発が望まれる名盤。


DEAD END - DEAD LINE - Sacrifice of The Vision ★★★ (2006-03-22 08:25:04)

ダークな歌詞と個性的な歌唱の組み合わせが癖になる。シャープに疾走するリフも非常にカッコイイ。
アコースティック・ギターとキーボードが絡み合い、そこにメロディアスでドラマチックなギター・ソロが切り込んでくる中間部に痺れた!


DEATH - Human ★★ (2006-06-14 21:33:00)

直線的なスラッシュ・チューンが姿を消し、(若干)楽曲がメロディアスに聴き易くなった事から、
ハードなデスラッシャーからの評判はイマイチらしい'91年発表の4thアルバム。
どっこい本作こそ、禍々しいリフと印象的なギター・ハーモニー、狂気のシャウトとメロディアスなGソロといった美醜の対比の効かせ方、
凄腕揃いの面子による、高度なテクニックと表現力に裏打ちされた複雑極まる曲構成、「タメ」と「疾走」を繰り返しながら
テンション&ドラマ性を高め、その頂点で劇的且つメロディックに炸裂するGソロetc・・・と、後期DEATHのスタイルが遂に完成をみた記念すべき一作である。
バンド形態の崩壊に伴うDEATHのソロ・プロジェクト化、他メンバーからのインプットがなくなり、
開き直ったチャック・シュルデナーが好き勝手に創作活動を展開した事が奏功したのか、唯一無二のDEATH(流)メタルを確立させた彼は、
以降、この方向性に磨きをかけ、ドラマチックな「INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS」、キャッチーな「SYMBOLIC」といった傑作を発表していく事となる。


DEATH - Individual Thought Patterns ★★ (2007-05-26 22:10:00)

チャック・シュルデナー以下、アンディ・ラロック(G)、スティーブ・デジョルジオ(B)、
ジーン・ホグラン(Ds)という、名実共に過去最強の布陣で製作、'93年に発表された5thアルバム。
凶暴なデス/スラッシュ・メタルならではの攻撃性と、複雑な曲展開、そして美しいメロディの融合という、
3rd『SPIRITUAL HEALING』以降のプログレッシブなDEATH流メタルの最高到達地点とでも言うべき本作の
大きなセールス・ポイントは、ジーン・ホグラン&スティーブ・デジョルジオという、スラッシュ・メタル・シーン
屈指の豪腕リズム隊を得た事で、楽曲に初期の頃を彷彿とさせるスラッシーな疾走感が戻って来ている点。
また、美旋律メイカーの名にかけては、チャックに勝るとも劣らない実力者アンディのGプレイに刺激されたのか、
チャックのGソロも益々冴え渡り、アルバム全編に渡って激情を撒き散らしながら(メロディアスに)荒れ狂う。
一筋縄ではいかない複雑な曲展開を飲み込みつつも、全体を支配するのは激烈な疾走感という高速スラッシュ・チューン①、
イントロのツインGのハーモニー・パートからしてグイグイと惹き込まれる④、アルバムで最もメロディアスな仕上がりと言える、
静のアンディ/動のチャックという対比が見事な⑧といった楽曲は、そうした本作ならではの美点が最大級に発揮された名曲ではなかろうか。
ハッキリ言って「キャッチー」とは言い難い作風だし、取っ付き難さではDEATHのアルバム中でも1、2を争うが
だからこそハマッた時の快感は強力極まりない。本作をDEATHの最高傑作に挙げる人が多いのも納得の名盤だ。


DEATH - Leprosy ★★ (2007-05-22 22:22:00)

DEATH、'88年発表の2ndアルバムにして、初期の名作。
同郷のデス・メタル・バンドMASSACREのメンバーが全面的に参加している事から察しの付く通り、
本作で聴く事ができるのは、デビュー作『SCREAM BLOODY GORE』の作風を順当に発展させた
ストレートなスラッシュ・サウンドなわけだが、但し、そのカッコ良さは『SCREAM~』の比ではない。
デス・メタルの聖地MORRI SOUNDスタジオでレコーディングされただけあって、サウンド・プロダクションが飛躍的に充実。
音にズッシリとしたヘヴィネスが宿った事で、リフ&リズムは禍々しさと重さを増し、Voは狂気に、
Gソロは美醜を兼ね備えた華麗さに一層の磨きを掛け、楽曲にも緩急が持ち込まれた事でアルバム全体のダイナミズムが向上。
後年のDEATH独自のスタイルへの萌芽が、確かに感じられる作風に仕上がっている。
特に①⑤⑥の3曲は、スラッシーな疾走パートを基本としつつも、ダイナミックな曲展開でテンションを高めて、
狂い咲くチャック・シュルデナーの劇的極まりないGソロでそれを解き放つという、まさにDEATHの必勝パターンが堪能できる名曲。
その他にも捨て曲は見当たらないし、何より、チャックの絶品のGプレイが楽曲のクオリティを力ずくで数段引き上げている。
初期スラッシュ・メタル路線の集大成的作品なので、DEATH未体験でスピード命!のスラッシャーは、まず本作から入るのが宜しいかと。


DEATH - Scream Bloody Gore ★★ (2006-08-06 16:01:00)

よく「処女作には作家の本質が表れる」と言われますが、なるほど。チャック・シュルデナー率いるDEATHが、
'87年に発表したこの1stアルバムを聴くと、その言葉の意味が良く分かる。
中期~後期の作品に比べると、驚くほど飾り気のないスラッシュ・サウンドで、あまりにもストレートに疾走するリズム・パートは、
ショーン・レイナート、ジーン・ホグランといったスーパー・ドラマーによる、オカズ満載の超絶プレイに慣れ親しんでいる身には
物足りなく聴こえるかもしれないが(とは言え、クリス・レイファートのドラミング自体は非常に堅実で気持ち良い)、
耳を捕らえて離さない禍々しいリフ、狂気を帯びた絶叫Vo、そして何より、邪悪極まりない曲調と見事な迄に美醜の対比を描き出す、
華麗にして流麗なGソロといった、DEATHならではの強烈な特異性は、このデビュー作の時点で既にギラリと光を放っていて、
凡百のスラッシュ・メタル・バンドとの格の違いを見せ(聴かせ)つけてくれる。
ちなみに、個人的にお気に入りの楽曲は⑨“EVILDEAD"。ドラマチックなイントロに導かれて、
僅か3分足らずのランニング・タイムを、荒々しくも(BURRN!!風に言うなら)慟哭のメロディを纏って駆け抜けて行く
「元祖メロデス」風なリフが、非常にカッコイイ一曲。


DEATH - Spiritual Healing ★★ (2007-05-23 22:39:00)

MANTAS時代からの付き合いだったリック・ロッツ(G)が脱退、後任に凄腕Gギタリストとして知られる
ジェイムズ・マーフィを迎えて、'90年に発表した3rdアルバム。
プロデューサーにスコット・バーンズ、レコーディングにMORRI SOUNDスタジオというお馴染みの布陣で作り上げられた
本作は、その音作りといい、スピードよりも展開重視で畳み掛けてくる楽曲といい、大多数のファンが
DEATHの名前を聞いて想起するサウンドが、初めて聴かれるようになったアルバムでもある。
全体的にアングラ臭が薄まり、これまでになく垢抜けた雰囲気が漂っているのが特徴で
(あと、ヘヴィ・パートの引き摺るような重苦しさ)、これは新加入のジェイムズ・マーフィの弾く流麗なGソロが、
非常に正統派ヘヴィ・メタル・テイストが濃く、普遍的な魅力を備えているせいもあるのかな?
チャック・シュルデナーの美しくも壊れてる(狂ってる)Gソロと良い感じに対比を為しているだけでなく、
アルバム自体の取っ付き易さも高めてくれている印象。本作が日本デビュー作になったのも納得の仕上がりだ。
特に、疾走するGソロに耳奪われる②や、7分以上に及ぶアルバム・タイトル・トラック⑤、
チャックとジェイムズのハイテンションなGバトルが聴ける⑥辺りは、本作ならではの名曲じゃないかと。
尤も、次作『HUMAN』以降に比べるとリズム・パートはかなりシンプルなので、相変わらず
スラッシュ・メタル濃度は高め。スラッシャーも安心な、過渡期的な魅力も備えた1枚。


DEATH - Symbolic ★★ (2007-05-28 21:14:00)

前2作に比べると少々地味な面子で製作、'94年に発表された6thアルバム。
とはいえ、作品の完成度には微塵の揺るぎもなし。チャック・シュルデナーが賢明だったのは、
前作『INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS』が、豪腕プレイヤー達が好き勝手に暴れまくった結果、極上のスリルと
カタルシスが生み出されていたのに対し、面子が地味な本作では同じ方法論は選択せずに、アンサンブル重視の作風に
切り替えた点。そのため、スリルやテンションの高さでは『INDIVIDUAL~』に一歩譲るものの、かっちりと
まとめ上げられた楽曲自体の完成度の高さ、分けても明快さや即効性といった、キャッチーな魅力にかけては本作の方が上。
チャックのGプレイも過去最高とも思える冴えを見せ、ソロは基より劇的且つメロディアスな
リード・プレイの素晴しさにも瞠目させられること必至。
また、前作から引き続いて参加のジーン・ホグランの存在感が益々強まっているのも本作の特徴の1つで、
MORRI SOUNDスタジオのオーナー、ジム・モリスが手掛けたエッジの効いたサウンド・プロダクションのもと、
ジーンのDsが地響きを立てて突っ走った時の破壊力と爽快感ときたら、強烈極まりない。
特に、激烈な高速スラッシュ・チューン①、劇的に疾走する⑤、本編随一のドラマ性を誇る⑥、ブルータルな曲調の中で閃く
アコギにゾクゾクさせられる⑦等、静と動、緩急、美醜を併せ持った楽曲群のクオリティは圧巻だ。
個人的には、DEATHのアルバムでは本作が一番好きかな。


DEATH - The Sound of Perseverance ★★ (2007-05-28 21:36:00)

基本的にDEATHのアルバムにハズレはないと考えているんだけれども、その中にあって参加メンバーの顔触れ、
作品の完成度共に最も地味と言わざるを得ないのが、チャック・シュルデナーの夭折により、
奇しくもDEATHのラスト作となってしまった、この'98年発表の7thアルバムだろうか。
ここ数作において、バンドの推進剤の役割を担って来ていたジーン・ホグラン(Ds)の離脱により、
一層の長尺化(6分を越える物が半数以上を占める)、変拍子の多用による複雑化の進んだ楽曲のテンションを
維持しきれていない等、その理由は幾つか考えられるが、やはり最大の原因は、ラストを締める
JUDAS PRIESTの代表曲のカヴァー⑨の存在ではなかろうか。ぶっちゃけ、このカヴァー曲の出来が余りに良過ぎるせいで、
本編の印象が完全に霞んでしまっているような・・・。上手過ぎるカヴァーってのも考えもんですなぁ。
とは言え、その辺を踏まえた上でジックリと聴き込んでみれば、ストップ&ゴーを繰り返しながら
ドラマチックに盛り上がっていく③や、チャックの表現力豊かなGプレイの妙技が堪能できるインスト曲⑥、
引っ掛かるようにして劇的に疾走するスラッシュ・チューン⑦等、如何にもDEATHらしい名曲も多数収録されていて、
並みのスラッシュ・バンドじゃ逆立ちしたって敵わないハイクオリティに本作を仕上げてみせる手腕は、
流石はDEATH(チャック)なのであった。


DEATH ANGEL - Act III ★★ (2006-07-27 21:42:00)

'90年発表の3rd。再結成第1弾アルバム「THE ART OF DYING」が余りに素晴しい出来だったので、購入して1、2度聴いて以来、
「いまいちピンとこないや」と長らく放置状態にしていた本作を、久し振りに引っ張り出して聴き直してみたのだけれど・・・
あれ?これってこんなにイイ感じのアルバムでしたっけ?
「スラッシュ・メタルとファンクの融合」が意欲的に推し進められた作品として知られているが、
その試みは飽くまでリズム面のみに留められていて、クランチーなリフの刻みや、強靭且つしなやかなグルーヴ、
そして、時に強烈な哀愁を発散するメロディからは、ファンク的なユルさや能天気な雰囲気が感じられる場面は殆どない。
特に、パッションを秘めた繊細なアコギに導かれてスタートし、やがて濃厚に泣きまくるGによって
劇的な盛り上がりを見せるバラード⑥“A ROOM WITH A VIEW"は、個人的にアルバムのハイライト・チューン。
聴く度に脳裏に「南国の黄昏時」の風景が勝手に思い浮かび、ドップリと浸れます。
哀メロの質が、欧州風味よりスパニッシュ風味の方が強く効いてる辺りが、このバンドらしいところかな、と。
それにしても、MORDREDの1stや2ndといい、本作といい、「先入観は目(耳か)を曇らせる」と痛感させられるアルバムでした。


DEATH ANGEL - Killing Season ★★ (2008-06-01 23:22:00)

積極的なワールド・ツアーと、メンバーの家庭の事情(子供が生まれたり)とが重なって、
前作『THE ART OF DYING』から実に4年ぶりのリリースと相成った、再結成第2弾(5th)アルバム。
DEATH ANGEL復活をファンにアピールするため、比較的、判り易くストレートなスラッシュ・メタル・アルバムに
仕上がっていた『THE ART~』に対し、プロデューサーにRUSHなんかとの仕事で知られるニック・ラスクリネッツを
迎えて制作された本作は、モダンでソリッドなサウンド・プロダクションといい、スラッシーな疾走感はやや控えめに、
濃い口のメロディや、捻りの効いたリズム&グルーヴの強調された楽曲といい、バンド側が追及したいと考えている音楽性が
より前面に押し出された、意欲的に曲作りの幅が広げられた作風に仕上がっている。
サウンド的には『ACT Ⅲ』を彷彿とさせるノリだが、ファンク風味は(前作同様)殆ど感じられないし、
何より、叙情的なアコギに導かれてスタートする①や、ライブでの盛り上がりが目に浮かぶような②、
ハードコア風味の④、畳み掛けるように疾走する⑧といった、DEATH ANGEL印の高速スラッシュ・ナンバーもしっかりと収録。
ただ、そうした楽曲以上に、本作において印象に残るのは、アグレッシブ且つエモーショナルな「歌」を聴かせる
マーク・オセグエダのVoや、劇的で濃密なツインGの絡みを活かした、ダークでメランコリックな70年代HR風味の③、
尻上がりに速度を上げていくダイナミックな⑤、呪術的にうねるリズムと、劇的なインスト・パートが組み合わさった⑨、
本編最後をメロディアス且つドラマティックに締め括る、アルバムのハイライト的存在の名曲⑪といった楽曲だったりするわけだが。
スラッシュ・メタル・アルバムと言うよりは、DEATH ANGEL流HMサウンドが、全編に渡って展開されている1枚。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution ★★ (2011-01-17 22:40:54)

結成当初からDEATH ANGELの屋台骨を支え続けてきた、アンディ・ガレオン(Ds)とデニス・ペパ(B)の脱退という一大事を乗り越えてリリースされた6thアルバム。
「らしさ」を十二分に保ちつつ音楽性を拡散させ、スラッシュ・メタルのみならずハードコアや70年代HR等、バンドのルーツを詳らかに開陳してみせた前作『KILLING SEASON』に対し、今回は硬質な音像の下、丹念に磨き上げられた金属の如き光沢を放つ収録楽曲がダイナミックに突進する、アグレッシブ且つストレートなスラッシュ・テイストを回復。
・・・とは言え、今更彼らが『THE ULTRA-VIOLENCE』みたいな破れかぶれなアルバムを作るわけはなく、硬派なVoにソリッドなリフ&リズム、それに流麗なツインGが猛然と畳み掛けて来る高速スラッシュ・ナンバー(③⑤⑦⑩⑫)と、幅広い表現力に長けたVoとG、メランコリックな叙情メロディの存在が活かされた⑨⑪といった楽曲が無理なく同居し、抜かりなく緩急と整合性を飲み込んだ内容は、再結成第1弾『THE ART OF DYING』と前作の丁度中間を行く作風といった感じ。
中でも、スラッシーな突貫パート、怒号とクリーンな歌い上げを使い分けるVo、劇的な曲展開、そしてスパニッシュ・フレーバー溢れる絶品のアコギがぶち込まれた7分以上に及ぶ大作曲②は、現在のDEATH ANGEL、及び本作の魅力を判り易く体現した名曲だ。
幕開けを飾るアングリーなOPナンバー①が「掴み」としてはイマイチ地味だが、総合的な完成度では前作を上回る力作かと。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution - Claws in So Deep ★★★ (2011-01-30 14:52:34)

7分以上の長尺を、全くそれと感じさせない6thアルバムの
ハイライト・ナンバーにして、現行DEATH ANGELの
魅力が全部詰め込まれた名曲。
スラッシーな疾走パート、表現力に長けたVo、
ソリッドなリフの刻みから、スパニッシュ風味のアコギまで
手広くこなすG・・・特にロブ・キャヴスタ二ーのアコギは
素晴しい。いつかスラッシュ・シーンから身を引く日が来たなら
このノリの作品を作って欲しいぐらいだ。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution - Opponents at Sides ★★★ (2011-01-30 15:02:07)

3rd以降のDEATH ANGELのアルバムには
必ずメロウな楽曲が収録されているが
これもそのタイプ。
男の色気と哀愁を感じさせるマークのVoが
とにかく素晴しく、この手の楽曲を歌わせると
ピタリとはまりますね。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution - This Hate ★★ (2011-01-30 14:58:10)

ハードコア/パンク的な炸裂感を帯びつつ
疾走する高速スラッシュ・ナンバー。
噛み付くように歌うマーク・オセグエダの
Voがカッコイイ。


DEATH ANGEL - Relentless Retribution - Volcanic ★★★ (2011-01-30 15:06:10)

これまたロブ・キャヴスタ二ーのアコギの妙技が
堪能できる叙情ナンバー。
男の哀愁を背負ったマーク・オセグエダの歌声、
楽曲のメロウさを増幅するラインを奏でるBも
良い仕事しまくり。


DEATH ANGEL - The Art of Dying ★★ (2006-07-29 23:51:00)

アコギのイントロに続いて1曲目が疾走を開始した瞬間、多くのファンがガッツポーズを取ったに違いない、
DEATH AGEL、'04年発表の再結成第1弾アルバム。
前作「ACT Ⅲ」と比較した時、スラッシュ・メタルならではの疾走感が、かなり戻って来ているのが特徴で、
これに押しやられる形でファンク色が大きく後退。代わって、THE ORGANIZATION時代に培ったと思しき
「うねり」が、スパイスとして加えられている。
とは言え、やはりメインはピュア・スラッシュ・チューンの数々。特に①③⑥⑧といった、アルバムのポイントとなる
位置(先制・中押し・ダメ押し)に配された疾走曲が、いずれも高品質に仕上げられているのには拍手喝采。
中でも、哀愁を帯びて駆け抜ける⑧“SPIRIT"は、新生DEATH ANGELの新機軸とでも言うべき名曲じゃなかろうか。
思いっきり突っ走ってる時でも常に余裕を感じさせ、アグレッシブな作風ながらも、
ちゃんとメロウな曲——“A ROOM WITH AVIEW"に通じる、ドラマ性に富んだ情熱的なバラード——を収録してくれる、
歴戦のスラッシャーならではの懐の大きさもナイス。全方位からのファンの期待に見事応えた、会心の復活作である。


DEATH ANGEL - The Dream Calls for Blood ★★★ (2013-12-18 23:23:24)

同一コンセプトを元にして、同じスタジオ、同じチームでレコーディングが行われた、前作『RELENTLESS RETRIBUTION』の姉妹篇と言うべき'13年発表の8thアルバム。
だもんで、当然サウンドの方は「スラッシュ・メタルに基盤を置きつつも、バンドの幅広い音楽的素養が生かされた」前作の作風を踏襲するものとばかり思っていたのですが、実際にCDを再生してみると、流れ出すのはそうした安易な予想をしたこっちの顔面に「黙らっしゃい!」とばかりに鉄拳をブチ込む、デビュー作『THE ULTRA-VIOLENCE』にも匹敵する破壊力と突進力に溢れた暴力サウンド。特に1曲目から4曲目までのスピード・ナンバーによる情け無用の畳み掛けは圧巻で、その獰猛さ(と野生美)は、さながらアートワークに描かれた牙を剥く狼の如き。
無論、今の彼らが『THE ULTRA~』の再現に汲々とするわけもなく、ストレートに押しまくる一方で、メロディアスにも歌えるVo、多彩な表現力を備えたツインG、しなやかなグルーヴを構築するリズム隊を駆使して、巧みに演出される緩急/ダイナミズムにも手抜かりはなし。ラストにボーナス・トラックとして収められたBLACK SABBATHの名曲“HEAVEN AND HELL”は、そうしたバンドの懐の深さを物語る好カヴァーではないでしょうか。
現在のDEATH ANGELの好調ぶりがとっくりと体感できる1枚。


DEATH ANGEL - The Dream Calls for Blood - Fallen ★★★ (2013-12-20 23:20:09)

初期作に匹敵する突進力と、今の彼らだからこそ
生み出せる横ノリのグルーヴとが緊張感を伴って
絡み合う、アルバムでも1、2を争う秀曲です。


DEATH ANGEL - The Ultra-Violence ★★ (2009-08-02 01:17:00)

3rd『ACT Ⅲ』で初めてDEATH ANGELのサウンドに触れた後、遡って本作を購入したのだが、“THRASHERS"のタイトル通り
ハチャメチャに疾走しまくる①がスタートした瞬間、「これ本当に同じバンド?」と思わず烏龍茶吹いた'87年発表の1stアルバム。
『ACT Ⅲ』で聴かせた整合性や実験精神はここには皆無と言ってよく、頭からケツまで、メンバーの平均年齢が
若干17歳(Dsに至っては当時僅か14歳)というピチピチの若さに任せた、衝動性溢るる前のめりな走りっぷりが全開。
未だ演奏は荒削りだが、それすらも「迫力」に転化してしまう、このウルトラ・ヴァイオレンスな勢いには圧倒されますね。
一方、そうした抜き身のアグレッションを猛り狂わせつつも、Gソロは結構メロディアスだったり、曲によっては
Voがちゃんと歌っていたり、リフ/リズム・チェンジの仕掛けられた曲展開にも緩急が持ち込まれていたりと、
既に2ndアルバム以降の作風への布石もバッチリ。その代表格と言えそうな10分以上に及ぶ大作インスト曲⑤は、
「全くダレない」と言えば嘘になるものの、聴き手を飽きさせないようにあれこれとアレンジに工夫が凝らされており、
非常に好感が持てる仕上がり。プログレ風味よりもIRON MAIDENからの影響が強く感じられる辺りも○。
本作からはDEATH ANGELの「スラッシュ・メタル・バンドとしてやりたい事は全てやり切った」感が強く感じられ、
これ以降、彼らが路線変更をするのも何となく納得できてしまう1枚でもある。


DEATHBLOW (2011-07-19 20:22:56)

バンド名「DEATHBLOW」で検索を掛けると「もしかしてDEATHLOW?」と返されてしまうぐらい情報が少ない日本のスラッシュ・メタル・バンド。

80年代中期より活動を開始し、'88年にはEXPLOSION WORKSが編纂したコンピ盤『SKULL SMASH』(LPとビデオ両方)に参加。
その後、'91年に1st『MEANLESS PROPAGANDA』を同レーベルから発表してデビューを飾り、'94年にはしっかりと「歌う」Voをフィーチュアした3曲入りデモテープ『DEATH AFTER THREE YEARS』をリリースする等して国内のスラッシュ・シーンの盛り上がりに一役買ったが、'97年に鹿鳴館でファイナル・ギグを行って解散・・・

以上ザックリと書いてみましたが、自分も「EXPLOSION WORKSからのリリースだし、バンド名に“DEATH”って入ってるからスラッシュ・メタルだろう」ぐらいの知識でデビュー作の中古盤を購入したクチなので、彼らについては詳しい事は知らず。
帯に書かれた「豪華特典」の内容も気になるところです。


DEATHBLOW (2016-08-20 09:15:25)

十数年来、抱え続けて来た謎が遂に氷解しました(笑)
ありがとうございます。


DEATHBLOW - MEANLESS PROPAGANDA ★★★ (2011-07-19 20:37:43)

荒っぽい疾走感や衝動性の発露と、プログレ・メタル寄りの理性的な曲展開とが同居した英国型スラッシュ・メタルを聴かせてくれる、東京(多分)出身の5人組が'91年にEXPLOSION WORKSから発表した1stアルバム。
中学生の美術部員が授業中に描いたようなジャケットはかなりしょっぱいし、モコモコと不明瞭な音質はデモテープ・レベル、オマケに息も絶え絶えなVoのシャウトは迫力不足だしで、正直「マイナー・スラッシュ」の謗りは免れぬ本作なれど、どっこい、楽曲自体のクオリティはこれが舐めたもんじゃない。
特に、切り立ったGリフの削り出しから、劇的なネオクラ・ソロまで滑らかにこなす、剛柔両面併せ持ったツインGの存在は本編の肝。
非力な喚き型Voと、やや未整理で締まりに欠ける曲展開に足を引っ張られつつも、それらを差し引いて尚、叙情的なインスト小曲①や、そこからブランクを空けずに炸裂する②、アグレッシブな疾走パートと劇的なインスト・パートの二部構成からなる名曲③、メロウな前半からギア・チェンジしてテンションを上げていく⑦、本編最速のスラッシュ・ソング⑧といった、流麗な且つドラマティックなツインGの存在が映える楽曲の輝きが失せてしまう事はない。
EXPLOSIONには是非ともリマスター再発をお願いしたい1枚であります。


DEATHBLOW - MEANLESS PROPAGANDA - BEYOND SALVAGE ★★★ (2011-07-21 22:28:06)

PANTERAブレイク前夜のオールドスクールな
スラッシュ・メタルらしい、重心位置の高い
疾走パートと、しっかりと「聴かせる」インスト・パートの
二部構成からなる名曲。
アルバムのハイライト・ソングに推したいカッコ良さ。


DEATHBLOW - MEANLESS PROPAGANDA - NEGOTIATOR ★★ (2011-07-23 23:25:33)

アルバムの中では比較的ストレートに
疾走するスラッシュ・ナンバー。
とは言え、緩急を意識して各楽器に見せ場を
設けるなど、このバンドらしさも健在。


DEATHBLOW - MEANLESS PROPAGANDA - PATHETIC ★★ (2011-07-20 23:03:27)

次曲“THE DISTORTED SYMBOL”のイントロみたいなものだが、
叙情メロディを奏でる2本のGが美しく絡み合う様は
単体でもイケる、どことなくANNIHILATORの“CRYSTAL ANN”を
思い起こさせるインスト・ナンバー。


DEATHBLOW - MEANLESS PROPAGANDA - SWORD DANCE ★★★ (2011-07-21 22:36:56)

悪声なりにメロウに歌うVoが微笑ましいイントロを経て、
オールドスクールなスラッシュ・ビートが疾走開始。
ややまどろっこしい曲展開にはもう少し整理が必要なようにも
思われるが、とは言え本曲が劇的且つカッコ良いことも
間違いのない事実。


DEATHBLOW - MEANLESS PROPAGANDA - THE DISTORTED SYMBOL ★★ (2011-07-20 23:05:09)

ストレートに疾走するだけでなく、技巧を持ち込んだ
曲展開はいかにも90年代のスラッシュ・メタルといった趣き。
ネオクラシカルなフレーズを流麗に紡ぎながら
ドラマティックにハモるツインGも聴きどころの一つか。


DEATHROW - Deception Ignored ★★ (2013-01-06 20:39:24)

Gの片割れをトーマス・プリーベからウヴェ・オスターレーナーに代え、'88年に発表されたこの3rdアルバムをもってDEATHROWはサウンド・スタイルを大幅に刷新。
相変わらずスラッシュ・メタル以外の何物でもない作風を貫いてはいるのですが、前2作で聴かせてくれた本能任せの突進感覚が後退して、代わりに、理性的なリフ/リズム・チェンジを仕込んだ曲展開や、10分に及ばんとする長尺曲にチャレンジする等、プログレ・メタル・テイストをクローズアップ。いかにもHM然とした脳筋チックなモノから、何やらアーティスティックなイラストへと変化を遂げたアートワークもそのことを如実に表していますね。
多少サウンドが複雑さを増したとは言え、そこは西ドイツきっての暴走軍団として勇名を轟かせたバンド。相変わらず人並み以上のスピード感覚は全編に亘って発揮されていますし、ツインGが随所で劇的に奏でるウェットなメロディも健在。①④⑧辺りは「プログレ・スラッシュ」として十二分なカッコ良さを誇っているのですが、ただまぁ1stと2ndがあまりにも魅力的だったために、数年前にDEATHROWの旧譜がまとめて再発された際、本作だけが(同じNOISE RECORDSリリース、ハリス・ジョンズ・プロデュース作品だったにも関わらず)お味噌扱いされてしまった理由も分からなくはないかなぁ、と。


DEATHROW - Raging Steel ★★ (2008-12-20 11:16:00)

長らくCD化が待たれていた、ドイツはデュッセルドルフ出身の暴走軍団DEATHROWが'88年に発表した2ndアルバムが、
1st『SATAN'S GIFT』('86年)と共に遂にリマスター再発。しかも(帯と解説を輸入盤にくっつけただけの仕様とは言え)
国内盤のリリースまで実現したのだから、最近出回っていたリプロ盤に手を出さず、ずっと我慢して待ち続けた甲斐が
あったというもの。(余談ながら、解説文を担当しているのは日本が世界に誇る暴走スラッシャー軍団FAST KILLの伊藤昭博だ)
で、肝心の内容に関してなんだけど、これが↑上の方々同様まったく文句なし。2枚目と言う事で少しは丸くなるかと思いきや、
つんのめり気味に爆走するスラッシュ・サウンドには微塵の曇りもなく、寧ろその猛々しさはデビュー作をも凌駕する勢い。
しかも今回は、ハリス・ジョンズをプロデューサーに迎えて音質が多少なりとも改善、メンバーの技量も高まり、
併せて曲展開にこれまで以上に緩急が持ち込まれた事で、楽曲のダイナミズムやドラマ性も飛躍的に向上・・・と、
バンド側が、自身の暴走っぷりをしっかりと制御している点が素晴しい。
大仰なファンファーレに導かれてスタートする②、濁声Voがメロディアスに歌い上げる、勇壮且つ劇的な④、
凝ったアレンジと曲展開が魅力の⑤、機関銃の如く刻まれるリフ&リズムが一気呵成に畳み掛けてくる、DEATHROW史上
最速のスラッシュ・ソング⑥、IRON MAIDENばり⑨といった楽曲は、従来の突撃感覚と本作より強化された
メロディ分(ドラマティックなツイン・リードG)が上手く組み合わされた、本編の大きな聴き所じゃないかと。
DEATHROW入門編としてお薦めしたい、ジャーマン・スラッシュ・メタル史に燦然と輝く名盤の1つ。


DEATHROW - Satan's Gift ★★ (2008-12-09 21:11:00)

スヴェン・フリューゲ(G)とマーカス・ハーン(Ds)がデュッセルドルフにおいて結成したSAMHAINが前身となり、
NOISE RECORDSとの契約を期に名をDEATHROWと改めた(アメリカにグレン・ダンジグ率いる同名バンドが存在したため)
ドイツ出身の4人組スラッシュ・メタル・バンドが、'86年に発表した1stアルバム。
ジャーマン・スラッシュ第2世代に属し、シーン屈指の暴走軍団として勇名を馳せた彼らだけあって、
鬼のようにシュレッドされる猛々しいリフ、炸裂感溢れるGソロ、そして何と言っても、まるで倒れる寸前まで前傾姿勢を取ったかの如き、
前のめり過ぎるリズムの走りっぷりが本作の「肝」。アンサンブルのまとまりのなさを力押しでブッ千切る獰猛なサウンドは、
音質も含めてチープではあるものの、バカバカしいまでの迫力に満ち溢れていて単純にカッコいい。
スピーディと言っても、パンクやハードコア的な匂いは殆ど感じられず、しっかりと構築された④のようなインスト曲を
演奏するなど、楽曲の根っこにヘヴィ・メタリックなドラマ性が強く宿っている辺りも個人的に好みで、
これは、Voが濁声ながら「歌う」場面が結構ある事、そして、要所でドラマティックなメロディを豊かに紡ぎ出す
ツインGの存在に依るところが大かと。(同郷のスラッシャー、SDI辺りに共通する雰囲気有り)
特に、劇的なイントロに導かれて激烈に疾走を開始する、スピード/パワー/ドラマ性の3拍子が揃ったアルバム表題曲の②や
ラスト・ナンバー⑨は、DEATHROW屈指、いやさ、ジャーマン・スラッシュ・メタル史に残る名曲じゃないかと。
スピード命!なスラッシャーなら聴かずには死ねない、B級スラッシュ・メタルの名盤。