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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1701-1800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1701-1800
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ECLIPSE - Bleed & Scream ★★★ (2020-05-26 01:23:50)

北欧HR/HMシーン指折りの腕利きソングライター、エリック・モーテンセン(Vo)率いるECLIPSEが、'12年に発表した4thアルバム。
近年は来日公演も敢行する等、スタジオ・プロジェクトの段階を脱して、ライブ・バンドとしての評判もメキメキ高めつつある彼らゆえ、それに合わせて音楽性も初期のメロハー路線から、より実戦映えする骨太な正統派HM路線へと作を重ねる毎にビルドアップ。殆どパワー・メタリックとさえ評せそうな疾走ナンバー⑧も収録する等、本作の辺りからそうしたサウンドの軌道修正の試みの跡がハッキリと顔を覗かせるようになりました。
だからと言って、ヘヴィさの演出に執心するあまりメロディのフックがなおざりになる…なんて下手を打ったりしないのが流石で、本編は北欧のバンドらしい胸を打つ哀メロと、ハード・エッジが見事な融合を果たした楽曲がズラリ。OPナンバーに相応しい華やかさを纏って躍動する①、マグナス・ヘンリクソンのGソロが気を放つ②、ゲイリー・ムーアを思わす④、エリックのエモーショナルな熱唱とマグナスのテクニカルなGプレイの共演が感動を呼ぶ⑤…。特に悲哀の旋律に胸締め付けられる③は「これぞ北欧メタル!」と喝采を叫びたくなることを請け合いの名曲ですよ。
エリックとマグナスだけでも優れたソングライターなのに、更にそこにJ-POP、K-POPアーティストへの楽曲提供で知られるヨハン・ベッカーの助力まであるのですから、最早鬼に金棒状態。ECLIPSEのアルバムにハズレはありませんが、中でも本作は手元にある彼らのカタログの中で最も聴き返す頻度が高い1枚。


ECLIPSE - Bleed & Scream - Ain't Dead Yet ★★★ (2020-05-26 23:13:26)

熱気と冷気を交錯させながら哀愁のメロディが駆け抜ける
アルバムのハイライト・ナンバー。猛烈な憂いを発散する
サビメロと、Voの熱唱ぶり、後に続く泣きのGソロに
涙腺をベンベン掻き鳴らされるますよ。


EDGE OF FOREVER - Feeding the Fire ★★★ (2020-06-25 00:46:04)

今やFRONTIERS RECORDS関連の作品には欠かせない存在となった感のあるマルチ・アーティスト、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオの名前を初めて意識する切っ掛けとなったプロジェクト、EDGE OF FOREVERが'04年に発表した1stアルバム。
シンガーは現AXEのボブ・ハリスで、プロデューサー兼ソングライターとして故マルセル・ヤコブが全面バックアップ。ジェフ・スコット・ソートも一部楽曲にゲスト参加していることで注目を集めた作品…というか、当時は確かマルセルのネーム・バリューに釣られて本作を購入したんだっけなぁと。この頃はアレッサンドロは「誰それ?」状態でしたから…。
そうした制作環境が関係しているのかどうか、本作にはアレッサンドロ印のメロハー・チューンの合間に、マルセル在籍時代のイングヴェイや初期TALISMANを彷彿とさせる北欧風様式美HMナンバーも収録。ジェフ・スコット・ソートとボブ・ハリスの熱を帯びた歌合戦と、冷え冷えとした曲調の対比が効果的な③、“I AM A VIKING”を思わす重厚且つ劇的な⑤、そこから間髪入れずに疾走を開始する⑥、Keyがミステリアスな雰囲気を盛り上げる⑨等は、プロデューサーがボビー・バース(AXE)に交代する次作以降とはやや趣きを異する、本作ならではの名曲と言えるのではないかと。勿論ポップ&キャッチー、且つフックも効きまくった②や、メロディの色彩豊かなバラード⑦のような、アレッサンドロのソングライティング・センスが早くも眩い輝きを放つ名曲も忘れ難いのですが。
この内容の充実っぷりで中古盤価格が3桁台ってのは、お買い得にも程があるんじゃあないでしょうか?見かけたら是非。


EDGE OF FOREVER - Feeding the Fire - Birth of the Sun ★★★ (2020-06-26 00:35:12)

メロディが寒暖のグラデーションを描きながらポップに躍動する
腕利きソングライター、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオここにあり!
な名曲。


EDGE OF FOREVER - Feeding the Fire - Mother of Darkness ★★★ (2020-06-26 00:24:38)

マルセル・ヤコブがプロデュースを手掛けていることと関係あるのかどうか、
非常に初期イングヴェイっぽい(『MARCHING OUT』に収録されていても違和感なさそうな)
雰囲気を纏い、重厚且つ劇的に展開される北欧様式美HMナンバー。


EDGE OF SANITY - Infernal ★★ (2007-11-15 22:09:00)

40分以上に及ぶ超大作“CRIMSON"1曲のみで構成された問題作、5th『CRIMSON』(国内盤にはボーナス・トラックが
収録されてたけど)がファンから総スカン食らった事に懲りたのか、再び軌道修正を図って'97年に発表した6thアルバム。
前作のやり過ぎ大作主義から一転、今回の収録曲は、何れもコンパクト且つストレートにまとめられていて、
Keyやアコギ等の凝った装飾を排したアレンジも、至ってシンプル。破壊的な音色で刻まれる図太いリフ&リズムが
強調された作風は、まるで3rd『THE SPECTRAL SORROWS』以前のそれに立ち返ったかのよう。
疾走チューンのテンポが、ブラスト・ビートから2ビート主体へと落ちている事と、ツインGの絡みがより整合性を
増したこと、そして北欧的な悲壮感や耽美性が薄まり、スッキリと垢抜けたメロディの質の変化とが相俟って、
メロディック・デス・メタルというよりも、正統派のスラッシュ・メタル化が進んだような印象もあり。
とは言え、ダン・スウァノの曲作りの巧さは相変わらず冴えまくっているし、何より、他の誰にも真似できない
特異なリフ・ワークも健在。クリーンVoを活かしたドラマチックな①③、激烈なスピード・チューン②⑥⑨、
小気味良く疾走するリズムの上に、ニューウェーブ風味のVoが乗っかった⑦、ラストを厳粛に締め括る
メロウでモダンなバラード⑪といった楽曲で炸裂する、クールなリフの数々は最高です。
・・・と、なかなか優れた内容でありながら、良い曲とそうでない曲のクオリティのバラつきが大きいため、全体としては
地味な印象が否めず、失墜したEDGE OF SANITYの人気を回復するには、ややパワー不足な作品なのであった。残念。


EDGE OF SANITY - Purgatory Afterglow ★★★ (2007-11-10 18:25:00)

異能の天才ダン・スウァノ率いるEDGE OF SANITYが作り上げた、このバンドの最高傑作にして、メロディック・デス・メタル黎明期を代表する名盤の1つでもある、'94年発表の4thアルバム。
前作『THE SPECTRAL SORROWS』において、ブルータルなデス・メタルに明確なメロディの流れを持ち込む事で、(CARCASSの『HEARTWORK』に先んじて)メロディック・デス・メタルなるサウンドを、世のメタラー諸氏に知らしめたダンだが、本作では更に、Key、アコギ、クリーンVoを用いた「美しさ」の演出、静と動の対比、それらを効果的に活かしたドラマチックな曲展開といった要素の数々を大胆に導入し、一層の音楽的進化を遂げている。
ヨーロッパ的なダークネスをたっぷりと含んだ流麗なリフ・ワークと、北欧のバンドならではの悲哀と激情を兼ね備えたメロディの素晴しさは出色で、特に、後半に向けてグイグイと高まりを見せる、哀しみに満ちたメロディが胸を締め付けるヘヴィ・ナンバー①、ブルータルな曲調に反して、リフやメロディには慟哭のドラマが宿る「メロデスかくあるべし!」な②⑥、ノーマルVoとデス声/緩急の使い分けが巧みな③、静と動、美と醜が目まぐるしく入れ替わり、インスト・パートでは劇的なツインGのハーモニー・プレイが炸裂する、本作のハイライト・チューンと言うべき④、全面的にクリーンVoをフィーチュアして、キャッチーに疾走する異色曲⑤といった楽曲が集まる、本編前半のテンションの高さは半端ではない。(当然、後半のクオリティも十分)
・・・とまぁ、この時点では間違いなくメロデス群のトップを快走していたEDGE OF SANITYだったのに、この後、ファン置いてけぼりの実験作『CRIMSON』で大コケした結果、ここ日本において急激に失速してしまったのは残念でならない。


EDGE OF SANITY - Purgatory Afterglow - Silent ★★★ (2007-11-10 18:43:15)

EDGE OF SANITY屈指の名曲。
猛烈なブラストから、アコギによる「静」パートへと
目まぐるしく移り変わっていくダイナミックな曲展開が秀逸。
全体を貫くキビキビとした疾走感、
中間部で炸裂するツインGのハモリっぷりも良し。


EDGE OF SANITY - Purgatory Afterglow - Twilight ★★ (2007-11-10 18:37:17)

ノーマルVoとKeyによる幻想的なイントロから、
破壊的なリフ&リズムが刻まれるヘヴィ・パートへと移行する
重量級のミドル・チューン。
後半に向けてどんどん濃度を高めていく、
胸を締め付ける悲哀に満ちたメロディが素晴しい。


EDGE OF SANITY - The Spectral Sorrows ★★★ (2018-04-19 00:26:53)

「世界初のメロディック・デス・バンド」については諸説入り乱れているようですが、自分が初めて耳にしたメロデス作品は、間違いなくスウェーデンが誇る異能の才人、ダン・スウァノ率いるEDGE OF SANITYが'93年に発表したこの3rdアルバム。
それまでもGソロがメロディアスだったり、Key類をアクセント的に用いるバンドはチラホラいましたけど、本作の場合、ダウン・チューニングされ破壊的音色で刻まれるリフ、轟然と畳み掛けるリズム、響き渡る重低音グロウルとが荒れ狂う様は完全にデス・メタルそのものでありつつも、Gリフやコード進行といった楽曲の構造自体にハッキリとメロディの流れが聴き取れるという、まさに《デス・メタルとメロディ。出会う筈のなかった2人が出会ってしまった――》と昼メロ調のナレーションを入れたくなるぐらい、斬新な(もしくはコロンブスの卵的な)発想のサウンドを提示。そりゃ「その手があったか」と驚きますよ。
そして何よりも、本作は単純に曲がカッコ良かった。ただ斬新なだけで曲としての魅力に乏しかったら、その後のメロデスの隆盛はあったかどうか。寒々しく物悲しいメロディを纏い轟々と疾走する②、技巧とアレンジが凝らされた⑤⑦、バラードと呼びたい⑧、Gリフが「歌っている」⑨、ニュー・ウェーブ風の⑩等、収録曲はどれも創意工夫に富み、またMANOWARの名曲カヴァー⑥を演ることで、「デス・メタルとは別世界の音楽ではなく正統派HMとも地続きである」と知らしめてくれたことも結構重要ではなかったかと。(これ以降、デス系バンドによる正統派HMナンバーのカヴァーが一般化した感も)
ダン・スウァノの異形の才能が全編に亘りスパークしまくった、メロデス黎明期の名盤です。


EDGE OF SANITY - The Spectral Sorrows - Darkday ★★★ (2018-04-20 00:25:11)

重厚なイントロを豪快に蹴破ってスラッシーなリズムが疾走、
執拗に刻まれるGリフはササクレた音色ながら印象的な
メロディの流れをハッキリと宿していて、
更に中間部ではシンセを用いてドラマティックな曲展開を演出…と
最初期の一撃にして、既に「メロデス」のスタンダードを
ほぼ網羅してしまっている名曲であります。


EDWIN DARE - Cantbreakme ★★ (2015-01-25 22:25:31)

しれっと実家のCD棚に並んでたんだけど、果たしていつ購入したのか全く記憶が定かでない(そんなんばっか)、アメリカはオハイオ州出身の4人組が'96年に発表した2ndアルバム。
ソロ作も発表しているハイテク・ギタリスト、ジェフ・コールマンを頭に、ジェフ・テイト型ハイトーンを響かせるVoから、躍動感溢れるBラインを閃かせるケヴィン・チャウン(後にARTENSIONに参加)ら、メンバー全員がテクニシャン揃いな上にルックスもイケてる。しかも演ってる音楽が、当時アメリカでは死に体だったテクニカルな正統派HM・・・とくれば、スター性は十分(少なくとも日本では)。BURRN!!誌じゃ早くからカラーページにインタビューが載ったりもしたのですが、にも関わらず大きな成功を収めることが出来なかったのは、やっぱり楽曲(メロディ)のフックの弱さが原因だったかなぁ?と。
それでも、火の吹くような速弾きを炸裂させ、返す刀でムーディなフレーズも奏でてみせるジェフの流麗なGプレイは耳のご馳走ですし、各メンバーの達者なパフォームが角張った緊迫感を醸成する①③⑤⑨辺りは「ヴィタリ・クープリのいないARTENSION」みたいな味わいも有り。ラテン・フレーバーが隠し味のバラード④や、ファンキーなリズムと哀愁のメロディがギリギリのバランスで綱渡りしてるような⑧とかは、結構好きで繰り返し聴いてしまう佳曲なのですが・・・。
ARTENSIONとかCRIMSON GLORYとかがイケる方にトライして頂きたい1枚かな?


ELEGY - State of Mind ★★★ (2014-06-07 23:22:09)

「VANDENBERG以来の衝撃」との高評価と共に、日本デビューを飾ったダッチ・メタル・バンドの最高傑作と謳われる、'97年発表の4thアルバム。
本作より、当時マニアの間で知る人ぞ知る存在だった実力派シンガー、イアン・パリー(Vo)が加入。前任者との「リーグの違い」(ニール・ショーン的表現)を実証するその歌唱力のレベルは、壮大な序曲①に続く②の冒頭部分における歌声を数秒間耳にしただけでも明らか。
前Voのエドワード・ホーヴィンガも決して下手なシンガーじゃありませんでしたが、パワー/色艶/表現力を兼ね備えたパリーの声を得たことで、従来のテクニカルに駆け巡るQUEENSRYCHE型HMサウンドが一気に垢抜け、よりダイナミックに、よりドラマティックにスケールアップ(クサ味は少々薄れたかな?)。然るべきバンドが、然るべきタイミングで、然るべき人物を加入させた結果成し遂げられた飛躍的成長の跡が、しかと刻まれた名盤に仕上がっています。
ただ一点惜しまれるのは、アルバムのヤマとなるキメ曲の不在で、例えば③や⑤は文句なしで大好きな楽曲なのですが、今にして思えば、ファン以外からも「ELEGYと言えばこの曲!」と認知されるような、強力な代表曲を終ぞ生み出し得なかったことが、このバンドが大ブレイクを果たせぬまま解散してしまった一因にも挙げられるのかなぁ?と、今にして思ったりも。


ELF - Elf ★★★ (2018-09-26 01:19:11)

エルフといえば「絶世の美男美女」というこっちの既成概念を完膚なきまでに叩き潰してくれる、ディオ校長が扮した白塗り&ひげ面のコワモテのドワーフ…いやコボルド…ゲフンゲフン、エルフがアートワークを飾る、NY出身の4人組が'72年に発表した1stアルバム。
ロニー・J・ディオ(本作では本名のロナルド・パダヴォナでクレジット)や、その従弟でTHE RODSを結成するデヴィッド・フェインステインが在籍し、後にDEEP PURPLEを脱退したリッチー・ブラックモアにバンドごと乗っ取られてRAINBOWの母体になったことでも有名な彼ら。バンド名はファンタジックですし、ツアーを共にして気に入られたことが縁で、アルバムのプロデュースをDEEP PURPLEのロジャー・グローヴァーとイアン・ペイスが共同で手掛けていますが、サウンドの方に虹紫テイストはほぼ皆無。ここで聴かれるのはFACES辺りに通じるアーシーでブルージーなロックンロールであり、様式美風味を期待するとまず間違いなくスカされますんで注意が必要です。
それでも、50年代からキャリアを積み上げていたロニーは既に「ロニー・J・ディオ」として個性盤石な歌唱を披露してくれていますし、ピアノ好きの身としては、全編に亘ってミッキー・リー・ソウルが軽快に躍らせるホンキー・トンク調のピアノにも耳奪われます。特に抒情的に始まり、デヴィッドが奏でる泣きのGと哀愁のメロディを背負い盛り上がっていく曲展開にグッとくる③は本編屈指の名曲。また乾いた哀感を纏いつつ軽やかに駆け抜ける⑥も思わず惹き込まれてしまう逸品ですよ。
「RAINBOWのオマケ」とスルーしてしまうのは勿体なさ過ぎる70年代HRの名盤かと。


ELF - Elf - Never More ★★★ (2018-09-26 23:19:57)

「明」の雰囲気を纏った本編において
この曲が湛える「暗」の雰囲気は一際異彩を放っています。
既に実力派シンガーとしての貫禄十分のロニーのVo、
全編を抒情的且つ流麗に彩るミッキー・リー・ソウルのピアノ、
時に切っ先鋭く、時に濃厚な泣きを湛えて切り込んでくる
デヴィッド・フェインシュテインのGが一丸となって演出する
クライマックスの盛り上がりっぷりに胸が震えます。


ELIXIR - The Son of Odin ★★★ (2014-09-18 22:44:53)

IRON MAIDENの故クライヴ・バー(Ds)が参加していたことでも知られる、ロンドン出身の遅れてきたNWOBHMバンド、ELIXIRが'86年に発表した1stアルバム。
80年代のバブリーさとは無縁の苦学生的プロダクションの下、大味なOPナンバー①が始まった時は「ハズレ掴んだか?」と不安になりましたが、彼らの本領は後に続く、これぞメタル!な勇壮なフレージングに胸躍る②③以降にこそ発揮されていますので、ご安心あれ。
どんよりと薄曇りの湿った空気に覆われた、無愛想ながらもドラマティックな盛り上がりを聴かせるサウンドは、絵に描いたようなNWOBHMスタイルを体現する一方で、朗々歌い上げる英国声のシンガーと、ドカドカとやたらパワフルに鳴りまくるドラムの存在が、楽曲にエピック・メタリックなスケール感と重厚感を付与(本作のドラマーはクライヴじゃありませんけどね)。
特に、プログレ・バンドTHE ENIDのメンバーに借りたKeyが味付けに用いられている、様式美BLACK SABBATHを思わす⑧⑩や、荒々しく攻め立てる⑨といった名曲が連続する終盤の流れは、アルバムのハイライトと呼ぶべき偉容を誇っています。
個人的には、クライヴがドラム叩いているという2ndが是非聴いてみたいところなのですが・・・。


ELIXIR - The Son of Odin - Dead Man's Gold ★★★ (2014-09-21 09:12:12)

Keyをアクセントに用いて重厚に繰り広げられる
ドラマティックな曲展開や朗々歌い上げるVoは
完全にRAIBOW型エピック・メタル路線なのですが
尖がったGリフや炸裂感溢れるドラムが
NWOBHM然とした荒々しさも楽曲に付与していて、
それがこのバンド独特の味になっています。


ELIXIR - The Son of Odin - Son of Odin ★★★ (2014-09-21 09:06:49)

疾走する“TREACHERY”から繋がっていくアルバム表題曲。
うっすらとKeyの薄化粧が施された
壮大且つドラマティックな曲調はロニー期のRAINBOWや
様式美BLACK SABBATHを彷彿とさせる完成度の高さ。
ここでもドラムが存在感を発揮していますね。


ELIXIR - The Son of Odin - Treachery ★★★ (2014-09-21 09:04:12)

挑みかかるようなアップテンポの曲調と
回転の速いGリフは初期IRON MAIDEN風ですが
その上に乗る朗々としたVoと、重たく響くドラミングが
このバンド独特の味わいを醸し出しています。


ELIZA - Battle Field ★★★ (2018-02-12 22:47:50)

北海道の古豪が復活を遂げ、80年代に彼らが残した名曲の数々を現編成で録り直したリレコーディング・アルバムを発表してくれました。
ELIZAって「エリザ」じゃなくて「イライザ」と読むのね…と結構最近知ったぐらいの後追い野郎ゆえ、今となっては入手困難な彼らの音源をこうして取りまとめてくれる作品の存在は非常にありがたい。派手なビジュアル・イメージからロックンロール系バンドかと思いきや、こうして聴いてみると、どちらかと言えば様式美路線寄りとさえ言えそうなHMサウンドが持ち味のバンドだったんだなぁと。しかも(失恋船長さん情報で)現在フロントマンを務めているのが、GRUDGE/CURSEで強烈なシャウトを炸裂させていたSADAYAことSAKEBIと知っては、こりゃもうアルバムを買わない理由がない。考えてみるとGRUDGE/CURSE時代の金属質なシャウトしか知らないので、持ち前の金属声は勿論キープしつつも、きっちりとメロディも歌い上げる本作における彼氏の歌唱は実に新鮮という。
楽曲の関しては、1曲目から歌詞にしろメロディの持って行き方にしろ、昭和臭というか80年代ジャパニーズ・メタルっぽさが全開(実際昭和に書かれた楽曲なのだから当然ですが)。これがダメだという方もいらっしゃるでしょうが、個人的にはバッチ来い!派なので無問題。特に痒いところへの手の届きっぷりが半端ないツイン・リードGをフィーチュアして突っ走る⑤と、イントロでじっくり焦らしてから劇的な反転攻勢へと打って出る⑨は、「今までこんな良い曲を知らずにいたんかい」と思わず愕然とさせられた名曲ですよ。
是非このまま新作アルバム制作へ雪崩れ込んで頂きたい!と、願わずにはいられない1枚。


ELIZA - Something Like Hot ★★★ (2019-07-13 02:01:41)

80年代の北海道HR/HMシーンを盛り上げ、近年再始動を果たしたELIZA。それに伴い音源の発表も活発化してくれていて、長らく入手困難だった’84年リリースの本1stフル・アルバムも、ボーナス・トラックとしてライブ音源6曲を追加収録する形で再発の運びとなり、後追いファンとしてありがたい限り。
派手なルックスにまず目が行く彼らですが、音楽性の方はLAメタルに通じるワイルドなノリの良さと、NWOBHMを通過した切れ味の鋭さを併せ持ち、そこに北海道出身バンドらしい(?)繊細且つ湿ったメロディも注入した、独特な味わいのHMをプレイ。楽器陣の演奏はタイト且つ疾走感に溢れ、Voもインスト・セクションに比べるとやや線の細さが気になる場面はあれど、それでも十分健闘している部類。特に、アルバムのラストに配された代表曲にして名曲⑪や、憂いを湛えたツインGが疾走するスピード・ナンバー②③、ドラマティックに聴かせるメドレー⑨⑩のカッコ良さは一聴の価値ありですよ。
あとは、貧相なサウンド・プロダクション(一応再発盤ではリマスターされていますが)と、良くも悪くも80年代の日本のHMバンド感全開な歌詞――例えばスギちゃんばりの「〇〇だぜぇ」といった語尾の言い回し――を許容できるかどうかが本作の評価の分かれ目ですが、どちらも繰り返し聴き込めば気にならなくなるレベル。少なくともリピート再生が全く苦にならないぐらい楽曲の粒は揃っています。
セルフ・リメイク作『BATTLE FEALD』(’18年)に本作の再発と来て、あとはそろそろ新作アルバムのリリースを期待したいところですね。


ELIZA - Something Like Hot - Battle Field, Running Wild ★★★ (2019-07-15 23:51:35)

音質のハンデをものともしないキレのある演奏、やや線は細いが
オラオラと挑みかかるように歌うVo、劇的に絡み合うツインGと、
「アルバムの最後をスピード・ナンバーで締め括るバンドは信頼できる」
という自説を補強してくれる名曲の一つ。


EMERSON, LAKE & PALMER - Emarson,lake & Powell ★★ (2017-09-21 23:00:22)

EL&P――と表記するとカール・パーマー氏がムッとされますので――EMERSON, LAKE & POWELLが'86年に残した、スタジオ・アルバムとしては唯一となる作品。
じんわり胸に沁み入る英国シンガー然としたグレッグ・レイクのジェントリーな歌声、華麗にKeyを操りバンマス役を担うキース・エマーソン、そこに我らがコージー先生の個性的なDsとがマッスル・ドッキング!この組み合わせによって生み出されたサウンドのマジックは、『ワールドプロレスリング』テーマ曲にして、いきなり10分に迫る長尺でアルバムOPを飾る①からして全開。のっけからトリオ編成が出してる音とは思えぬ壮大なスケール感で聴き手の度肝を抜きに掛かってきてくれますよ。
但し、全体的に「いかにも80年代」なプロダクションが緊張感を著しく削いでいる感は否めず。またシンセが紡ぐ大衆度高めのメロディは分かり易い反面、少々安易な印象で、また火花散る楽器同士のバトルや、インプロヴィゼーションを盛り込んだスリリングな曲展開よりも、カッチリとまとめ上げることが重視された収録曲の数々を聴いていると、確かに壮大ではあるものの「何か映画のサントラみたいだなぁ」ってな感想を覚えなくもないという。
そんなわけで初めて聴いた時は「こういう方向性か…」と多少戸惑ったのは事実なれど、前述のドラマティックな①、タメを効かせて盛り上がる④、ホルストの“火星”の翻案曲⑧等、「でも、これはこれであり!」と思わされる優れたクオリティを備えていることは間違いなく。本作に関する最大のガッカリごとと言えば、アルバムにプレイを刻んだ御三方が、既にこの世にいないということではないでしょうか。虎子の間、まこと広うなり申した…


EMERSON, LAKE & PALMER - Emarson,lake & Powell - The Score ★★★ (2017-09-21 23:41:41)

「ワールドプロレスリング」テーマ曲というと、この曲よりも
“朝日に栄光あれ”の方が思い浮かぶのですが、それはともかく
この曲が名曲であることに違いはありません。
9分以上に及ぶ長尺曲ながら、印象的なメロディの洪水、
壮大且つドラマティックな曲展開といい
眉間に皺寄せて聴くような小難しさは皆無ですよ。


EMIR HOT ★★ (2010-04-29 11:26:00)

旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)、ツズラ出身で、現在はロンドンを拠点に
活動中というギタリスト。てっきり若手ミュージシャンかと思いきや、写真を見ると
結構ベテランっぽい雰囲気で、実際、80年代末からバンド活動を開始し、地元ではTVドラマの
サントラを手掛けるなど、既に確固たる地位を築いているとのこと。
ボスニア/中部・東部バルカン地方のトラッド音楽「セヴダ」(ポルカに似てる)と、
ネオ・クラシカル風味の様式美HMとの融合を図ったアルバム『SEVDAH METAL』で
ソロ・デビュー。国内盤もリリースされたが、サウンド・ホリックが会社を畳んでしまったので現在は廃盤・・・。


EMIR HOT - Sevdah Metal ★★ (2010-04-29 11:28:00)

ボスニア・ヘルツェゴビナ(旧ユーゴスラビア)出身のミュージシャンというと、勉強不足ゆえミシャ・カルヴィン
ぐらいしか思いつかないのだが、このエミール・ホットなるギタリストもなかなかの逸材。
ジョン・ウェスト(Vo)にマイク・テラーナ(Ds)という実力派ミュージシャンのバックアップを受けて
制作された、本ソロ・デビュー作で披露されているのは、時に賑々しく、時に猛烈な哀愁を発散しながら楽曲を彩る
ボスニア/中央・東部地方発祥の民俗音楽「セヴダ」のメロディを大胆に導入した、スピーディでクラシカルな様式美HM。
特に、起伏に富んだ泣きのバラード⑥、エキゾチックなメロディを撒き散らしながら疾走する⑦、
そして女性Voの導入がドラマティックな効果を上げている、本編のハイライトたる大作ナンバー⑩といった楽曲は、
聴いているだけで東欧の寒々とした自然や街並みが目に浮かんでくるような、エミール・ホットの目指す
「セヴダ・メタル」なるサウンドが、高いレベルで表現された名曲じゃないかと。ジョン・ウェストと
マイク・テラーナのサポートっぷりもナイス。(ただ、ジョンはまた随分と声質が変わった印象)
音質がイマイチな点と、一部楽曲ではセヴダのメロディがチープに聴こえてしまう点は要改善なれど、
ともあれ、この人にはこの路線を極めて欲しい。目指せ第2のスティーヴン・アンダーソン(?)


EMIR HOT - Sevdah Metal - Endless Pain ★★ (2010-04-29 19:41:21)

セヴダのメロディと様式美HM然とした曲調が
上手く組み合わされた、エミール・ホットが目指す
「セヴダ・メタル」なるサウンドが
非常に判り易く示された1曲かと。


EMIR HOT - Sevdah Metal - Stand and Fight ★★ (2010-04-29 19:50:26)

さめざめと泣くアコギと
ジョン・ウェストのVoを用いて
上手く曲調に起伏が演出されたバラード。


EMIR HOT - Sevdah Metal - You ★★ (2010-04-29 19:37:46)

本編ラストに鎮座まします
8分以上に及ぶ大作ナンバー。
女性Voの導入が楽曲の持つ
幻想的な雰囲気を強化。
ジョン・ウェストの熱唱も映える。


ENTOMBED - Clandestine ★★★ (2019-08-06 01:12:39)

北欧デス・メタルを語る上で欠かすことの出来ない重要バンドであり、後にTHE HELLACOPTERSでブレイクするニッケ・アンダーソンがVoとDsを兼任していたことで知られる5人組が、’92年にEARACH RECORDSから発表した2ndアルバム。日本盤はご存知トイズ・ファクトリーからのリリースで、邦題は『密葬』でした。
作を重ね作風の幅を広げていった彼らですが、ここで炸裂するのは暗鬱な歌詞を重低音で咆哮するVoからダウン・チューニングされた楽器陣による無慈悲な突貫まで、基本に忠実なデス・メタル・サウンド。プロデュースはトーマス・スコグスベリが担当し、ENTOMEDやDISMEMBERらによって生み出されたとされる、チリチリジリジリと高音で刻まれるGリフ等、スウェディッシュ・デスの代名詞というべき音作りも既に完成を見ています。また地の底から湧き上がるようなVoは正統派のデス声である一方、リード楽器の役目も果たすドラムの抜けの良い暴れっぷりのお陰か、ドロリとした粘着性や重苦しさは然程でもなく、そこはかとなく劇的な⑦、キレキレなリフ&リズムが疾駆する⑧を始め、2ビート主体で楽曲が走り抜ける際にはスラッシュ・メタルに通じる爽快さが感じられるのも好ましい。
タイトな演奏、爆発的疾走パートに荒涼としたドラマ性を醸し出すヘヴィ・パートまで、緩急を効かせたダイナミックな楽曲構築術、そしてダン・シーグレイヴの手による荘厳なアートワークの世界観を踏襲したかのようなダークな収録曲の数々etc…。従来のキワモノ扱いにキッパリとSAY NO!な、ENTOMED初期の代表作にして、急速に人気を拡大しつつあった北欧デス・メタル・シーン勃興期に作り出された傑作の一つ。


ENTOMBED - Clandestine - Severe Burns ★★★ (2019-08-07 00:11:28)

鼓膜をジリジリと灼くGリフ、欧州の濃い闇を湛えたメロディ、
手数の多いドラムがけん引する、下っ腹に響くヘヴィネスと
爆発的疾走の波状攻撃によるダイナミックな曲展開と、
初期ENTOMBEDのカッコ良さを端的に示してくれている名曲じゃないかと。


EPIDEMIC - Decameron ★★ (2007-02-14 21:54:00)

サンフランシスコ出身の5人組スラッシャー、'92年発表の1stアルバム。
続く2nd『EXIT PARADISE』では、もろ当時の流行から影響を受けたと思しきヘヴィ・サウンドを披露して
壮絶にズッコケさせてくれた彼らだが、このデビュー作の時点では、ベイエリア・スラッシュならではの
キャッチーさとは無縁の、ひたすらスピーディでバイオレントな剃刀の如きスラッシュ・メタルを展開。
時に、そのスピードはデス・メタルの領域にまで達する勢いだが、曲中に巧みに織り込まれた
リフ/リズム・チェンジでしっかりと緩急が演出されているため、楽曲が一本調子に陥る事は無い。
手数の異様に多いDsに引っ張られる形で、ダイナミックに疾走する①④⑧⑨⑩⑪といった
高速スラッシュ・チューンの数々には、謹んで「倍速化したSLAYER」の称号を進呈したい。
曲のテンションを効果的に高めるGソロも、なかなかにカッコイイぞ。
まぁ、楽曲が画一的で強力なキメ曲に欠けるため、通して聴くと、やや中弛みが感じられなくもないのだけど、
前述のスラッシュ・チューンから得られるカタルシスは、そうした弱点を補って遥かに余りある。
取り合えず、スピード命!なスラッシャーは必聴。


EPIDEMIC - Decameron - Circle of Fools ★★ (2007-11-25 15:54:10)

デス声寸前で喚き立てるVoに手数の多さで圧倒するDsと
笑っちゃうぐらい速いデビュー作のOPチューン。
但し、Gソロはハイテンションでカッコイイし、
曲展開もダイナミズムに溢れ、勢い任せではない
「練り」の感じられる仕上がりなのが素晴しい。


EPIDEMIC - Decameron - Territories ★★ (2007-11-25 16:03:56)

山あり谷ありの曲展開と、
雪崩を打つようなド迫力の突進力が強いインパクトを放つ。
緩急自在・・・というか、「物凄い速い」と「普通に速い」リズムを
ガンガン叩き出すDsの凄まじさが際立つ1曲。
リフのカッコ良さと、短いながらハイテンションなGソロもイカス。


ERIKA - Cold Winter Night ★★ (2010-02-14 14:11:00)

「元イングヴェイの嫁」ことエリカが'90年に発表したデビュー作で、リリース当時は主にイングヴェイのゲスト参加に
注目が集まっていたが、その後、BURRN!!の藤木記者の啓蒙活動が奏功したのか(?)、現在では寧ろ
「良質なメロディが詰め込まれた北欧ハードポップの名盤」との評価が大勢を占めるようになった(気がする)1枚。
女の趣味は余り良くないイングヴェイだが、その中にあってルックス的には一番イケてた彼女(但しこの時期限定)。
歌唱力の方もなかなかのものだし、何より本作で発揮されている、ABBAばりにポップでキャッチーな哀メロ作りの
センスには瞠目させられるモノ有り。北欧らしい透明感と涼しげな爽やかさを湛えた楽曲は、全曲がシングル・カット
できそうなフックを有する逸曲揃いだが、中でもプレリュード①を経てスタートする②は、北欧ハードポップの粋を
結集したかの様な、煌びやかさと華やかさを兼ね備えた名曲。また失恋船長さんの仰る通り、堀ちえみや伊藤かずえの
顔が次々に思い浮かんでは消えていく、80年代大映ドラマ主題歌風の⑥(それにしてもこの曲の印象的なKeyリフ、
どっかで聴いた事あるような?)、そして夫婦共演を果たした一際ハードな⑨といった楽曲も素晴しい完成度を
誇っており、流石、スウェーデン国内でゴールド・ディスクを獲得したという実績は伊達じゃないな、と。
ハードな調べ好きには、打ち込みっぽいリズムや、Key主体のダンサンブルなアレンジ等、エッジに乏しい音作りが
物足りなく感じられるかもしれないが、ともあれ、メロディ愛好家なら間違いなく必聴・必須の1枚。


ERUPTION - Cloaks of Oblivion ★★★ (2018-04-16 23:01:51)

中央ヨーロッパに位置するスロヴェニア(小学校で習った当時、あの一帯はユーゴスラビアと呼ばれていましたっけね)出身のHR/HMバンドとしては、初めて正式に日本デビューを飾ったと言われる、女性ベーシストを含む5人組が'17年に発表した3rdアルバム。
てっきりスラッシュ・メタル作品と思って購入に踏み切った本作でしたが、ここで実際に聴けるのは、モダンな感触も宿した音作りやアレンジの下、噛み付くような歌唱から朗々とした歌い上げまで柔軟にこなせる逸材Voの存在といい、ツインGが豊かに奏でるメロディといい、5~7分と尺が長めに取られている曲展開といい、どちらかと言えばパワー・メタル寄りの音楽性。アメリカン・パワー・メタルに、スラッシーなエッジと疾走感、それに如何にもヨーロピアンHM然とした翳りと憂いを湛えた旋律美、ドラマティックな曲展開を加味したサウンドは、失恋船長さんのご指摘の通りMETAL CHURCH、あるいはHEATHEN、近年だとSAVAGE MESSIAH等のバンドを彷彿とさせます。
叙情的な序曲①から疾走曲②へと繋げる欧州HMならではの様式美に満ちたOP構成や、デヴィッド・ウェインとカール・アルバートを足して2で割ったような声質のシンガーの歌唱力が映えるミッド・チューン③、ATLANTIC時代のVICIOUS RUMORSばりのスピード・ナンバー④、スラッシュ・メタル然とした攻撃性とパワー・メタルならではの豊かなメロディを併せ持って畳み込む本編屈指の名曲⑥、各メンバーの技量の粋が集められた大作⑨といった楽曲は、そうしたバンドの強みを端的に示しているのではないかと。
「メタル後進国でしょ?」等と舐めて掛かる輩に強烈なカウンターを食らわされる1枚。


ERUPTION - Cloaks of Oblivion - Cloaks of Oblivion ★★★ (2018-04-16 23:20:18)

美しく爪弾かれるアコギのイントロからスタートし、
欧州HMならではの憂いと翳り、それにドラマ性を湛えて
6分越えの長尺がパワフルに綴られるミッド・チューン。
実力が問われるタイプのこの手の楽曲も見事に熱唱する
シンガーの確かな実力に感心させられます。


ERUPTION - Cloaks of Oblivion - The Yearning ★★★ (2018-04-16 23:15:02)

スタスタと切れ味鋭く疾走するリズムは
スラッシュ・メタル然としたものながら、
攻撃的且つ豊かにメロディを歌うVoと、
流麗に絡み合うツイン・リードGが
パワー・メタリックな彩りも加えてくれるという
一粒で二度美味しい名曲。


ESSENCE (2014-03-17 22:06:09)

デンマークはオールボーにおいて、平均年齢16歳という若いメンバー達によって結成。
'07年制作の自主制作EP『ART IN IMPERFECTION』で獲得した評判を梃子に、'11年には「制作日数僅か12日間」という実にスラッシュ・メタル・バンドらしい手法でレコーディングされた1stフル『LOST IN VIOLENCE』をULTIMATE RECORDSから発表。
更に'12年には、バンド・コンテスト「ROCK THE NATION AWARD 2012」に参加し、数千の応募バンドの中から見事最優秀バンドに輝き、その賞品としてワールドワイドなレコード契約を獲得。
プロデューサーにHYPOCRISYのピーター・テクレンを迎える等、より潤沢なレコーディング環境で制作された2nd『LAST NIGHT OF SOLACE』は'13年に発表され、同作はSPIRITUAL BEASTを介して日本盤もリリースされた。


ESSENCE - Last Night Of Solace ★★★ (2014-03-18 22:42:54)

バンド・コンテスト「ROCK THE NATION AWORD 2012」で最優秀賞を獲得し、その賞品としてワールドワイドなレコード契約を手に入れたESSENCEの日本デビュー作となった、'13年発表の2ndアルバム。
リフ&リズム・チェンジの激しいパワー/スラッシュ・サウンドという基本路線に変化はありませんが、レコーディング環境が整ったことで、ラフな仕上がりだった前作に比べてプロダクションが見違えるように向上。併せて、よりエモーションの乗ったシャウトをヒリ出すようになったVo、一層エクストリーミリーにブラストするDs、その間隙を縫ってこれまで以上にドラマティックなメロディをブッ込んで来るG・・・と、各セクションのスキルが目に見えて鍛え上げられているのは、やはりプロデュースを担当したHYPOCRISYのピーター・テクレンの功績も大きいと思われ。
駆け上がるようなGリフ、叙情メロディ、落差の大きな曲展開といった、持てるテクニックを総動員して長尺をドラマティックに語り切る②⑧をハイライトに据えて、激しくもどこか物悲しい④、憤然たる激情迸る⑤、デス・メタリックな爆発力も伴ってブーストする⑥⑦等、遮二無二な突進力と綿密な構築感が同居した、バンドの目指すサウンドが高い次元で結実した充実作。
ただラスト2曲がちょっと地味ですかね。


ESSENCE - Last Night Of Solace - Final Eclipse ★★★ (2014-03-23 21:58:27)

回転の速いGリフを刻みつつ華麗に舞う2本のGや、
叙情パートからブラスト・ビートが炸裂する疾走パートまで
落差の大きな劇的な曲展開など、ESSENCEというバンドの
魅力を分かり易く伝えてくれる名曲。


ESSENCE - Last Night Of Solace - Last Night of Solace ★★★ (2014-03-23 22:04:24)

音質の向上はもとより、プログレ・メタルばりの
ストップ&ゴーを飲み込んだ起伏の激しい曲展開、
ブラスト・ビートを織り交ぜつつ突進するリズム、
その上でテクニカルなGがドラマティックに乱舞する
場面のカッコ良さを耳にすれば、バンドが前作から
数段階上のステージに上がったことがよく分かります。


ESSENCE - Lost in Violence ★★★ (2014-03-17 22:07:40)

デス/スラッシュ・メタルに由来する爆発的な突進力、現代メタルの重量感、それに卓越した演奏技術に下支えされた展開激しめのパワー/スラッシュ・サウンドを標榜する、デンマークの4人組が'11年にULTIMATE RECORDSから発表した1st。
僅か12日間で突貫レコーディングされた作品だけあって音質自体はかなりラフ。しかしそれを捻じ伏せるだけの重厚な迫力が全編に漲り、リフ/リズム・チェンジを多用する楽曲は大作主義に寄り添うものの、アルバム全編を貫くタイトな疾走感、そして曲展開に勿体ぶったところがないので「長さ」を意識させられる場面が殆どないという曲作りの巧さも光ります。
姿勢を低く構えて突っ走る③⑤⑩といったバイオレントなスラッシュ・ナンバーから得られるカタルシスにも辛抱堪らんモノがありますが、個人的に痺れたのは、中東風味のエキゾチックなメロディ使いが、彼らが最大限のリスペクトを表明する故国の先輩スラッシャーARTILLERYを彷彿とさせる①②、血の涙を流して慟哭せんばかりの⑥や、静と動、押しと引きを駆使して本編のクライマックスを飾るアルバム表題曲⑨といった、北欧のバンドならではの構築美やメロディ・センスの冴えっぷりも堪能できる楽曲の数々。
デビュー作にして、その居住まいに早くも風格のようなものを感じてしまう力作。


ESSENCE - Lost in Violence - Lost in Violence ★★★ (2014-03-23 00:56:42)

バイオレントな疾走パートから、威勢のいいギャング・コーラス、
Bの独演によるムーディな叙情パート、そしてドラマティックに
盛り上がっていく構築美を湛えた曲展開まで、8分に及ぶ長尺の中に
ESSENCEというバンドの持ち味の全てがぶち込まれた、
アルバム・タイトルを冠されるに相応しい名曲。


ESSENCE - Lost in Violence - Shades of Black ★★★ (2014-03-23 00:52:28)

ハッキリとメロディの流れが確認できる、
スラッシュというよりは正統派ヘヴィ・メタリックな仕上がり。
振り絞るようなVoの絶叫と、慟哭を伴った泣きメロが
胸を締め付ける、バンドの懐の深さを知らしめる名曲です。


ESSENCE - Lost in Violence - Unlimited Chaos ★★ (2014-03-23 00:45:07)

序曲“ALLEGIANCE”と共に
中東風味のメロディが妖しく踊る曲調は
バンドがリスペクトを公言する
ARTILLERYからの影響がハッキリと打ち出されています。
本家に比べると、あんまりアクが感じられませんけどね。


EUROPE - Europe ★★★ (2013-08-14 00:15:19)

EUROPEと言えば“SEVEN DOORS HOTEL”派か“THE FINAL COUNTDOWN”派かで意見が割れるところですが(俺調べ)、こちとら断然“SEVEN~”派なので、プロダクションが貧相だろうが、楽曲が荒削りでアレンジがイモ臭かろうが、開巻早々のジョーイ・テンペスト(Vo)の遠吠えシャウトに膝から崩折れそうになろうが、とにかくこの1st('83年)は問答無用の名盤である!と信じて微塵も揺るぎません。
ここには、『幻想交響詩』なる秀逸な邦題、美麗なアートワーク、クラシカルな美旋律満載のメロディ&起承転結の決まったドラマティックな曲展開を有する楽曲の数々etc・・・と、自分が「北欧メタル」というジャンルに求める要素の殆どが凝縮されています。と言うか、本作こそが同ジャンルの出発点といっても過言ではないわけで。
殊に、HR/HM史に残る名曲中の名曲“SEVEN DOORS HOTEL”は、ジョーイの青臭い歌唱や、垢抜けない「オ~オオ~オ~♪」のコーラスさえも「なぁに、却って北欧らしい寒々しさを補強してくれているぜ!」と好意的に受け止めさせる程の魅力に満ち満ちていますよ。
昔は、その“SEVEN~”ばかり繰り返し再生していたのですが、ジョン・ノーラム(G)のメロディアス且つ攻撃的なGプレイが閃くインスト曲⑤や、ラストを締めるアップテンポの⑨なんかも十分名曲足りえる出来栄え。
個人的にEUROPEのアルバムでは(欠点込みで)これが一番好きですね。入門盤にゃお薦めしかねますが。


EUROPE - Europe - Boyazont ★★ (2013-08-15 00:36:18)

北欧民謡調の風情漂う前半と、
クレイジーに弾きまくるスピーディな後半の
二部構成からなるインスト曲。
荒々しく野心溢れる若き日のジョン・ノーラムの
ダイヤの原石の如き煌きが封じ込められた逸品です。


EUROPE - Europe - Seven Doors Hotel ★★★ (2013-08-15 00:30:19)

グロ描写満載のルチオ・フルチのスプラッタ・ホラー映画
『ビヨンド』に着想を得て、ここまで美しくドラマティックな
楽曲を作り出すジョーイ・テンペストって凄ぇな、と。
無数のアイデアを録り溜めて、その最良の部分だけを
繋ぎ併せて組み立てられたというジョン・ノーラムの
劇的極まりないGソロも素晴し過ぎますよ。


EUROPE - Out of This World ★★ (2013-08-22 23:09:35)

サウンドのポップ化が益々進行した結果、BURRN!!誌において「?点」を頂戴したことでも知られる、'89年発表の4thアルバム。尤も「HR/HMを忘れたカナリア」が⑤みたいなヘヴィな楽曲を演るとは思えないし、個人的には十分ハードロックの範疇で語れる作品だと思いますが、まぁEUROPEの不運はレビュアーが酒井康編集長だったことでしょうかね(?)。
期待した程のセールスを上げられなかった本作以降、EUROPEには「一発屋」なる不名誉な称号が付いて回りますが、それは飽くまで売上面に限った話で、このアルバムとてメロディの魅力で前3作に後れを取るようなことはありません。(但しキメ曲も見当たりませんが)
中でも聴きモノはジョーイ・テンペストの歌声で、初期作ばかり聴いて来た身には、いくら彼が実力派シンガーと評されても「それ程のもんかぁ?」とピンと来なかったのですが、これ聴いて納得。こりゃ実力派シンガー以外の何者でもないわ。特にバラード③⑥⑫におけるソウルフルな歌声は絶品。マイク一本だけで十分生計を立てられるレベルですよ。
これまで積極果敢に攻め続けて来たEUROPEが、初めて「守りに転じた」との印象を受けた1枚。ただ、その守りは非常に堅固です。


EUROPE - The Final Countdown ★★★ (2013-08-20 22:31:27)

どこの誰の曲かは知らなくとも、誰もがみんな知っている。月光仮面・・・じゃねEUROPEの大ヒット曲“THE FINAL COUNTDOWN”を収録した、'86年発表の3rdアルバム。
華やかなKeyをふんだんに取り入れて、ポップ&コマーシャルなシルエットを描き出すサウンドからは、初期の「暗さ」「マイナー臭」「疾走感」といった北欧メタル的要素が払拭されていて、世界を舞台に戦うメジャー・アクトとして洗練されたEUROPEの勇姿が前面に押し出されています。
初期作を愛する身としては一抹の寂しさを覚えなくもない作風ですが、それはそれとして本作の完成度には瞠目せざるを得ません。例えポップになっても透明感を湛えたメロディの質が下がっていないこと、アルバムの主役の座を担うジョーイ・テンペストの歌唱力の益々の向上、相対的にスポットを浴びる機会は減ったものの、コンパクトに締まった演奏で歌を盛り立てる(当人的には甚だ不本意でしょうが)ジョン・ノーラムのGプレイ・・・この辺りが成功の要因でしょうか。
代表曲①を皮切りに、アリーナ・ロック調のノリの良さを伴う②、大ヒット・バラード③といった具合に、高いヒット・ポテンシャルを秘めた楽曲が連なる本編ですが、個人的に最も大きな感銘を受けたのは、“NINJA”なるタイトルからしてワクワクが止まらない⑤。しかもこれがキャッチーな哀メロと胸踊るポップ・センスという、新旧EUROPEの良いトコ取りの北欧ハードポップの名曲なのだから素晴しいじゃありませか。
EUROPEのみならず、HR/HM史においてもマイルストーン的役割を果たした名盤。


EUROPE - The Final Countdown - Ninja ★★★ (2013-08-21 23:19:57)

80年代のニンジャブームの勢いを伝えてくれる(?)名曲。
これを聴いていると「燃えよNINJA」とか「アメリカン忍者」とか
「仁義なきニンジャ」とか、ビデオでパチモノニンジャ映画を
山ほど見まくった日々のことを思い出します。
しかもこの曲の後に続くのが、ネイティブ・アメリカンの悲劇を歌った
“CHEROKEE”ですからね。大魔神・佐々木のフォークボールばりの
落差のデカさについつい笑ってしまいますよ。


EUROPE - The Final Countdown - The Final Countdown ★★★ (2013-08-21 23:00:46)

イントロなファンファーレ聴くと無性に行進したくなるんで
武藤敬司がこれを入場テーマ曲に選んだ気持ちが良く分かる。
「プロレスラーのテーマ曲=名曲」説を裏付ける逸品と言えましょう。
(いや、名曲だから入場曲に選ばれるのか?)


EUROPE - Wings of Tomorrow ★★★ (2013-08-19 22:08:14)

「水晶の如き美旋律を満載にした北欧メタル」という基本路線はそのままに、音質の改善、NWOBHM的な荒々しさを後退させ、一層メロディアスに磨き上げられた収録楽曲の数々・・・と、確かな成長の跡が刻まれている'84年発表の2ndアルバム。
北欧メタル作品として統一感はあったものの、一部楽曲を除き収録曲に似たり寄ったりなイメージもあったデビュー作に比べ(そこが良くもあったのですが)、今回はKeyを増量してサウンドのメロディアス化が一層推進されたことで、個々の楽曲のキャラ立ちが明確になりました。“SEVEN DOORS HOTEL”級の超名曲は見当たらない代わりに、青臭さが薄れて後の「実力派シンガー」の片鱗を伺わせ始めたジョーイ・テンペストの歌唱と、ぶいぶい言わせるジョン・ノーラムのエネルギッシュなGプレイを両翼として華麗に羽ばたく楽曲は、劇的なイントロのみで虜となる壮麗なOPナンバー①から、後にARCH ENEMYもカヴァーした疾走曲②、美しく煌くバラード③⑨やインストの名曲⑤・・・といった具合に捨て曲は皆無。
また、それらを適切な曲順で組み合わせることで、本編の流れに整合性とドラマティックな起伏を演出するなど、アルバム作りの手腕も随分と洗練されてきました(前作比)。
EUROPE入門編としてもお薦めする名盤。


EUROPE - Wings of Tomorrow - Aphasia ★★★ (2013-08-19 22:34:04)

EUROPEのインスト曲ではこれが一番好きですね。
マイケル・シェンカーかゲイリー・ムーアか
といった勢いでGが泣きまくっていますが
濃厚さよりも水晶細工のような透明感が印象に残る辺り
きっちりと個性を打ち出すことに成功しています。


EUROPE - Wings of Tomorrow - Scream of Anger ★★★ (2013-08-19 22:28:56)

歪んだGリフにパワー・メタリックな疾走感、
それでいて煌きを失わない美麗なメロディ・・・と
EUROPEのハード・サイドを代表する名曲中の名曲。
曲調に力負けすまいと、必死に声を張る
ジョーイ・テンペストの歌唱も初々しくて微笑ましいですよ。


EUROPE - Wings of Tomorrow - Stormwind ★★★ (2013-08-19 22:18:56)

OPナンバーとしては少々覇気に欠けますが
楽曲の完成度自体は非常に高い。
イントロ数秒だけでその名曲ぶり
ひいてはアルバムの名盤ぶりを確信させてくれますよ。


EVILDEAD - Annihilation of Civilization ★★ (2006-09-25 22:35:00)

JUDAS PRIESTタイプのAGENT STEELと、IRON MAIDENタイプのABATTOIR、
2つのスラッシュ・メタル・バンドのメンバーが結成したEVILDEAD、'89年発表のデビュー作。
出自が出自だけに、てっきり華麗なツイン・リード・ギターが乱舞する、ドラマチックな
スラッシュ・サウンドを聴かせてくれるものとばかり思っていたが、実際聴いて見ると、
それよりも硬派な疾走感がグッと強調された、ストロング・スタイルが身上のバンドであった。
とにかく突っ走った時の爽快感が半端じゃなく、マッチョなVoと、歯切れの良い演奏、
そして分厚いサウンド・プロダクション(LAのバンドなのにベイエリア風)が、それを見事に援護射撃している。
勿論、AGENT STEELとABATTOIRのファンが期待する要素もちゃんとフォローされていて、
特に、随所で炸裂するツインGが紡ぎ出す、一捻り加えられた流麗なメロディはかなり印象的。
叙情的なアコギと、山あり谷ありの曲展開が劇的なドラマを演出する⑤なんかは、
本作のハイライト・チューンといっても過言ではない(と思う)。
日本盤は(多分、今じゃ輸入盤も)、パンク・バンドBLACK FLAGのカヴァー曲“RISE AVOVE"を
含む4曲入りEPとのカップリング仕様。これまた全曲走りまくりの大変素晴しい内容だ。


EVILDEAD - Annihilation of Civilization - Holy Trials ★★★ (2006-06-03 00:37:04)

LA出身のバンドなのに、ザクザクと刻まれる分厚いクランチ・リフがベイエリアのそれを思わせる。
叙情的なイントロを導入に、ミドル~高速パート、絡み合う2本のGが紡ぎ出す
泣きの入ったメロディが大変美味なブレイク・パートを挟んで、再び高速パートへ・・・と、
アップダウンの激しいドラマチックな曲展開が魅力のスラッシュ・チューンながら、
聴き終えて最も印象に残るのは「コアな疾走感」という辺りが、このバンドならではの味わい。


EVILDEAD - The Underworld ★★ (2007-04-10 21:49:00)

AGENT STEELのフォアン・ガルシア(G)と、ABATTOIRのメル・サンチェス(B)が中心となって、
LAで結成された5人組スラッシャー、'91年発表の2ndアルバム。
爽快に飛ばしまくっていたデビュー作『ANNIHILATION OF CIVILIZATION』に比べ、ググッと重心を低く落として、
スピードよりもヘヴィネス演出に主眼を置いた作風は如何にも90年代の作品ぽいが、別にスピード・チューンが
なくなったわけでも、シアトル勢やグランジ・サウンドから悪影響を受けていたりするわけではないので安心されたし。
強いて例えるなら、SACRED REICHの1stから2ndへかけての変化に近い感じ?
重厚さを倍増させ、ジャキジャキと刻まれるクランチーなリフや、重々しく疾走するリズム、
そして歯切れの良い硬派なVoが隙間なく攻め立ててくる楽曲は、とにかく圧倒的迫力を誇り、
中でも、DARK ANGELのジーン・ホグラン(Ds)がゲスト参加している④は、個人的にイチオシのスラッシュ・ナンバー。
前作収録の“HOLY TRAILS"のようなドラマチック路線の楽曲が姿を消してしまったのは残念だが、
高いドラマ性を感じさせる流麗なツインGは相変わらず健在なので、まぁ良いかな、と。
その代わりと言うわけじゃなかろうが、SCORPIONSの名曲のカヴァー⑧が収録されていて、
ここでVoのフィル・フォロワーズが披露するメロディアスな歌唱がなかなかに上手い。また、バックアップVoとして参加している
METAL CHURCH~REVERENDのデヴィッド・ウェインもパワフルなシャウトを響かせてくれています。


EVILE ★★ (2009-06-06 19:40:00)

初期EXODUS、初期SLAYER、もしくはジャーマン・スラッシュ風味のプリミティブな
スラッシュ・メタルを追求するバンドが目立つ新世代スラッシャーの中にあっては珍しく、
どんよりと重たい湿り気に、カッチリとした構築性という、いかにも「英国産」といった趣きを
感じさせるスラッシュ・メタルを聴かせてくれる、ヨークシャー州はハダースフィールド出身の4人組。
華のないMETALLICAというか、ドラマ性を減じたTESTAMENTというか、
ともかく武骨で飾り気のないサウンドを聴いていると、SLAMMERなんかを思い出しますね。
そろそろ2ndアルバムを出してくれい。


EVILE - Enter the Grave ★★ (2009-06-06 19:42:00)

帯に付けられた「嗚呼、あの頃を思い出し、目頭が熱くなる!」というキャッチコピーがスラッシャーの笑いを誘った(?)、
英国はヨークシャー州出身の新世代スラッシュ・メタル・バンドが、プロデューサーに名手フレミング・ラスムッセンを起用し、
レコーディング場所にはSWEET SILENCE STUDIOSを使用する等、恵まれた制作環境を得て作り上げた'08年発表の1stアルバム。
近年、続々と登場する若手スラッシュ・メタル・バンドの多くが、どちらかと言えばプリミティブなスラッシュ・サウンドを
追求しているのに対し、こちらは重たく湿った空気に(ドラマティックと表現する程ではないにしろ)カッチリとした
構築性を帯びた曲調といい、SLAMMER辺りを思い起こさせる「如何にも英国産スラッシュ・メタル」といった趣きのサウンドを展開。
特に、刻みの細かい鋭利なGリフと、フックのあるメロディを弾き出すGソロ、スピードに拘りつつも、きっちり緩急を
飲み込んだリズムとが、一丸となってダイナミックに突進する②④⑤、起承転結を兼ね備えた曲展開に惹き付けられる
劇的な⑦といった、EVILEというバンドの魅力が炸裂しまくった楽曲の数々を聴くと、彼らが恵まれた
制作環境を無駄に浪費することなく、きっちりと本編のクオリティにフィードバックしている事が分かる。
今後、同世代のバンドから頭一つ抜き出るためには、本編に強力な「キメ曲」があと一つ二つ欲しいところだが、
ともあれ、METAL HAMMER誌において「期待の未契約バンド」第1位に輝く等、デビュー前から既に高い評価を
受けていたのも伊達じゃないと思わされる、バンドの地力の高さが伝わってくる力作。英国産スラッシュ・ファンは必聴か。


EVILE - Enter the Grave - Burned Alive ★★ (2009-06-06 23:32:48)

硬質且つダイナミックに疾走するリズムと、
執拗且つ鋭角的に刻まれるGリフが一丸となって突進する、
アルバムでも1、2を争う名曲。
メロディアスなGソロも○。


EVILE - Enter the Grave - Killer From the Deep ★★ (2009-06-06 23:35:06)

切り裂くようなリフ・ワークといい、
ハイテンションなVoといい、
直線的な疾走感といい、
注釈無用のスラッシュ・メタル・ソング。
いや、カッコイイ。


EVILE - Enter the Grave - Thrasher ★★ (2009-06-06 23:29:19)

モッシュ作法について歌った、
タイトルからしてモロな高速スラッシュ・ナンバー。
高速回転するGリフと、メロディックなGソロが印象的。


EVILE - Enter the Grave - We Who Are About to Die ★★★ (2009-06-06 23:27:43)

7分以上に及ぶ大作チューン。
スローに始まり、へヴィな前半を経て
スラッシーな疾走パートへと移行。
最後は大仰なエンディングを迎えるという
起承転結の決まった曲展開が素敵な名曲。


EVILE - Five Serpent's Teeth ★★★ (2011-12-16 20:05:35)

ツアー中に急逝したマイク・アレクサンダー(B)の後任に、元RISE TO ADDICTIONのジョエル・グレアムを迎えて'11年に発表された3rdアルバム。
スピードやバカっぽさを抑制し、よりシリアスに、よりへヴィに、より複雑に・・・と楽曲の重厚長大化が押し進められた前作『INFECTED NATIONS』のフラットな作風は多くのスラッシャーの不興を買ったが、今回はのっけから鋭角的に切り込んで来るOPナンバー①に「おっ」と身を乗り出し、居ても立ってもいられない切迫感溢れるGリフ、スリリングでダイナミックな曲展開、そして劇的なツインGが炸裂する名曲②が後に続いた瞬間、「よっしゃ!」と本作の出来栄えに確信が持てる筈。
スラッシュ・メタル然としたアッパーな疾走感の大幅回復のみならず、起伏の激しい曲展開、しっかりと練られたGソロと、2本のGが奏でる印象的なハーモニーが活かされた④⑤⑦といった楽曲を聴けば、前作における試行錯誤が無駄じゃなかったことが分かる上、例えばスピーディな⑨に明らかなように、限られた音域内ではあるものの、硬派なメロディを「歌う」ようになったマット・ドレイクのVoワークも特筆に価する。亡きマイクに捧げられた慟哭のバラード⑧は、そうした彼のシンガーとしての熟達振りが明確に刻まれた、ハンカチ必須の男泣きの名曲ですよ。
それにしても、せっかく過去最高の内容に仕上がっているのに日本盤のリリース予定なしとは納得いかんなぁ。


EVILE - Five Serpent's Teeth - Centurion ★★ (2011-12-18 00:05:41)

1stにも“GLADIATOR”なるタイトルの楽曲が
収録されていたが、このバンドはローマ時代に
思い入れでもあるのだろうか?
「百人隊長」というタイトルに相応しく、
勇ましく血沸き肉踊るパワー・チューンに
仕上がっております。


EVILE - Five Serpent's Teeth - Descent Into Madness ★★ (2011-12-18 00:15:17)

ストレートな疾走感が売りのスラッシュ・ナンバーなれど
Voがニヒルなメロディをちゃんと歌っており、
このバンドが前作における試行錯誤を無駄にせず、
きっちりと本作の曲作りにフィードバックしている事が
伺える内容に仕上がっております。


EVILE - Five Serpent's Teeth - In Dreams of Terror ★★★ (2011-12-18 00:18:58)

焦らしのイントロを経て炸裂する、
鋭利且つキャッチーなGリフを耳にして
頭を振らずにおられるスラッシャーがおりましょうか。
とは言え、アップダウンの激しい曲展開や
劇的に存在感を主張するツインGなど、
新味も抜かりなく織り込まれている辺りも流石です。


EVILE - Five Serpent's Teeth - In Memoriam ★★★ (2011-12-18 00:12:53)

作曲クレジットには
故マイク・アレクサンダーの名前もあるバラード。
彼に対するトリビュート・ソングでもあり、
メロディアスに歌い上げるマット・ドレイクのVoに
胸を突く泣きメロを紡ぎ出すGと、
全編が悲壮な空気に包まれた慟哭の名曲。


EVILE - Five Serpent's Teeth - Origin of Oblivion ★★ (2011-12-18 00:01:50)

3rdアルバム中にあって、
“IN DREAMS OF TERROR”と双璧を為す
正統派の高速スラッシュ・ナンバー。
メロディを追いかけているVoと流麗なGソロ、
ライブ映えしそうなコーラス・パートが
カッコイイっす。


EVILE - Hell Unleashed ★★★ (2021-07-20 01:03:40)

オルとマットのドレイク兄弟を中心に結成され、00年代に盛り上がったスラッシュ・メタル復権の波に乗り人気を博したアメリカ出身の5人組、EVILE。ツアー生活に燃え尽きてオルが脱退してからこっち、プツリと音信が途絶えてしまっていた彼らが、オルの復帰/入れ替わるようにマットが脱退/後任は迎えずオルがVoとGを兼任する4人編成へ…というメンバー・チェンジを経てレコーディングを行い、'21年に久々に発表した5thアルバム。
勿体ぶった前置きは抜きに、開始早々からフルスロットルで突っ走るOPナンバー①と、ラストをこれまたスピーディに締め括る表題曲⑨が叩きつけて来る通り、本作では初心に立ち返ったかの如く、頭からケツまで全力で走り抜けるスラッシュ・サウンドを実践。刻みの細かいリフに、緩急を盛り込みダイナミックに曲展開を支えるリズム、その間隙を縫ってスリリングに閃くツインG…と、彼らがここまで衒いなくスラッシュしてくれているのはデビュー作以来じゃないでしょうか。
唸るような怒号主体のVoは前任者に比べると少々魅力に欠けるのですが、思うにシンガーとしてもっとテクニカルなマットが本作でも歌っていたらば、これほどスラッシーな内容にはならなかった――あるいはできなかった――のではなかろうか?と。オルがVoを取ることで逆にストレートなスラッシュ・メタル・テイストが強調される形となったのだったら結果オーライ(無論、要精進ですが)。スピーディ且つアグレッシブな曲調にツインGが印象的に斬り込んでくる④なんて、ブランクを全く感じさせない名曲ですよ。
気合の入った帰還の挨拶に顔が綻ぶ1枚であります。


EVILE - Hell Unleashed - War of Attrition ★★★ (2021-07-21 01:27:31)

刻んで刻んで刻みまくるGリフに、せかせかと突っ走るリズムが
「これぞスラッシュ!」なカタルシスをもたらしてくれるスピード・ナンバー。
演奏に埋もれがちなオルのVoがちと惜しいのですが、その分スリリングに駆け巡る
ツインGの方で埋め合わせをしてくれるので、まあいいかと。


EVILE - Infected Nations ★★ (2010-03-14 00:34:00)

荒々しい攻撃性と湿った構築美を併せ持つ、如何にも英国的なスラッシュ・メタルを聴かせてくれたデビュー作に比べ、
疾走感が減じた分、ヘヴィネスとメロディが増量され大作感を強めた楽曲といい、スラッシュ馬鹿的な
ファニーなノリが薄れ、シリアスさを増した歌詞の数々といい、かなり大胆に変化を遂げた作風が賛否両論を呼んだ
'10年発表の2ndアルバム。なんつーか、デビュー直後のMETALLICAが2ndと3rdをすっ飛ばして、
いきなり『・・・AND JUSTICE FOR ALL』を作っちゃったような感じの作品ですね(?)
特にラストに置かれたインスト・ナンバー⑩は、やや冗長ながらも多彩なアイデアが盛り込まれた10分越えを果たす
大作曲で、これを聴くと、このバンドが目指すべき音楽的到達地点をかなり高く/遠くに設定している事が分かり、
頼もしく思える反面、ボンクラ・メタラー的には置いてけぼりを食ったような一抹の寂しさを覚えたりも。
尤も、手数の多いGリフが猛然と疾駆する①、緩急を飲み込んだ③、ストレートなスラッシュ・ソング⑦のような
前作の面影を残す楽曲も収録されているし、これまで以上に練り込まれ、曲中の大きな聴き所として
機能しているGソロの存在もあって、決して退屈する作品というわけではないのだが。
ただ個人的には、オマケ収録された笑撃の日本語スラッシュ⑩と、PANTERAの名曲“CEMETARY GATES"の
カヴァー⑪で、本編の印象が完全に霞んでしまった感あり。取り分け⑪はなかなかの出来栄えで、
マット・ドレイクはクリーンVoでの歌い上げも結構イケてますね。どうせなら本編でも活かせば良かったのに。


EVILE - Skull ★★★ (2013-09-30 23:26:44)

スピーディだが緩急の演出にも気を払い、印象的なツインGのハモリが随所に散りばめられたサウンドは構築感十分なんだけど、劇的/ドラマティックと言える程の華々しさや愛想はないという、「嗚呼、英国産スラッシュ・メタル」の王道を実直に歩むEVILEが、'13年に発表した4thアルバム。
執拗なシュレッド・リフを前面に押し立てて突貫する①③、ダイナミックな曲展開を擁する②⑥⑨のような、このバンドの魅力を体現するスラッシーな楽曲で要所を固める一方で、80年代スラッシュ・メタル愛に満ちた1st、よりへヴィ且つシリアスに表現の幅を広げに掛かった2nd、そして両者の美味しいトコ取りだった3rd・・・と、アルバム毎にサウンドのマイナー・チェンジを試みてきた彼らだけに、今作においても例えば、禍々しさ漂わすミッド・チューン④、デス・メタリックなアグレッションを撒き散らす⑦等、旺盛な前身意欲を感じさせる楽曲も散在。以前にも増してメロディをなぞって歌う場面の増えたVoの実力は、男泣きのバラード⑤において存分にご堪能あれ。
全体的に「80年代スラッシュ風味」は減少傾向にありますが、それでも国内盤が出て然るべき完成度を誇っている辺りは流石。まぁ国内盤、出てないんですけどね。


EVILE - Skull - Skull ★★★ (2013-10-02 22:34:11)

アルバム表題曲にして、EVILEという
バンドの魅力を判りやすく伝えてくれる
起伏に富んだダイナミックなスラッシュ・ナンバー。
しかし、この手の楽曲を歌わせると
マット・ドレイクの歌唱は本当に
ジェイムズ・ヘッドフィールドに似ますね。


EVILE - Skull - Underworld ★★★ (2013-10-02 22:31:23)

OPナンバーに相応しく、情け無用で突進する
アグレッシブなスラッシュ・ソングですが、
初期に比べるとマット・ドレイクの歌唱力が
飛躍的に上達しているので、攻撃的に突っ走っても
どこか貫禄のようなものが漂います。


EXCITER - Better Live Than Dead ★★★ (2023-01-26 00:32:14)

スラッシュ・メタルの元祖とも評されるカナダ出身のスピード・メタル・トリオEXCITER。本作は一度の活動停止期間を挟んで6th『KILL AFTER KILL』(’92年)でカムバックを遂げた彼らが'93年に発表した、バンドにとって初めてのライブ・アルバム。活動最盛期の80年代にリリースがなかったのは残念ですが、今となってはダン・ビーラー(Ds、Vo)とジョン・リッチ(B)が揃った状態でのライブ盤を公式に残してくれたことに感謝ですよ。
’91年2月に地元で行った復活ギグの模様が収録されており、セットリストは彼らが最も尖っていた1st~3rdアルバム収録曲のみというかなり偏った構成。でも文句を言うファンはいないんじゃないかな?個人的にも文句はありません。演奏は精緻とは言い難いですし、音質もイマサン。録音レベルが低いのでかなりボリュームを上げて聴いていると、連続再生で別のアーティストの楽曲が流れ出すとムチャクチャ爆音で毎度ビクッとさせられるという。しかしながらそうした荒っぽさすらも、欠点としてあげつらうのではなく「うむ、実にEXCITERらしい!」とポジティブに捉えられるのがこのバンドの強み。
ほぼ全編をスピード・ナンバーで固め、“STAND UP AND FIGHT”に始まり、“HEAVY METAL MANIAC”“I AM THE BEAST”“LONG LIVE THE LOUD”“VIOLENCE AND FORCE”といった名曲で畳み掛ける手加減無用のライブは、歌もドラムも喧しいことこの上ないダンを中心に、まるでブランクを感じさせないエネルギーの迸りで聴き手を圧倒する仕上がり。彼ら唯一のライブ盤ですし(違う?)、機会があればEXCITER入門盤として是非一聴をお薦めするはっちゃけた力作です。


EXCITER - Heavy Metal Maniac ★★ (2007-06-05 21:19:00)

ANVILと双璧を為す、カナダ出身の元祖スラッシュ・メタル・バンド、'83年発表の1stアルバム。
鋭く刻まれる剃刀リフに、力いっぱい疾走しまくるリズム隊、ギャンギャンと喧しいぐらいシャウトを繰り返すVo、
勢い重視だがやたらカッコイイGソロ・・・と、EXCITERの何たるかがギュッと凝縮された名曲“HEAVY METAL MANIAC"を
収録した本作は、とにかく全編スピーディ且つハイテンション。特にこのスラッシュ・メタル・バンドすら軽く吹き飛ばす
テンションの高さには凄まじいものがあって、②③⑥⑨といったスピード・チューンなんか、「元気が良い」とか
「エネルギッシュ」とかのレベルを遥かに飛び越えて(↑上の方の発言を引用させて貰うなら)
まさしく「ラウド」という表現がピッタリくるド迫力の作風。何かヤバイ薬でドーピングでもしてたんじゃなかろうか?なんて。
かと思えば、メロウな曲調でジックリと聴かせるバラード風の⑧を収録して、アルバムの流れが単調にならないように
気を配っていたりするから侮れない。まぁ最後の最後で「てやんでぇ、もう我慢できるかい!」とばかりに
猛スピードで突っ走り始めちゃう辺りは、非常にこのバンドらしいんだけど(笑)。
音質の悪さが唯一にして最大のネックの作品だったが、最近はボーナス・トラックを追加収録したリマスター盤が
出回っているので、そちらがお薦め。ちなみに、リマスタリングを手掛けたのはジェフ・ウォーターズ。
ANNIHILAORが最新作で“HEAVY METAL MANIAC"をカヴァーしたのは、この辺の縁が関係しているのかな。


EXCITER - Heavy Metal Maniac - Heavy Metal Maniac ★★★ (2007-11-24 18:35:26)

カミソリ・リフにハイテンションな疾走感、
そして喧しいVoが一丸となって突っ走る、
EXCITERの何たるかがギュギュっと凝縮された、
スラッシュ/パワー・メタル好きなら避けて通れない名曲。


EXCITER - Kill After Kill ★★★ (2018-08-29 00:30:27)

喧嘩別れしたダン・ビーラー(Ds、Vo)とジョン・リッチ(G)が、恩讐を乗り越えて再び手を組んだことからマニアの間で注目を集めた、’92年発表の6thアルバム。ついでにEXCITERにとって久々に日本盤リリースが実現した作品でもあるという。
整合性を重視し、徐々にノーマルな正統派HM路線に接近していた前作までの流れをブッた切るかの如く、剃刀Gリフが騒々しく刻まれ、Voがメロディに頓着せず喚き倒し、低音を効かせるよりもひたすら前のめりに突き進むリズムが猛然と吹き荒れるサウンドは、通して聴くと時々自分が今何曲目を聴いているのか見失いそうになる(笑)金太郎飴感も含め、裏ジャケにデカデカと掲げられた《THE MANIAC IS BACK》の宣言通り、初期EXCITER節が全開。
特にダンのドラミングがEXCITERサウンドの個性確立に果たす役割は大きく、彼が生み出す正統派HMにしては前のめりで、スラッシュ・メタルにしてはガバガバな疾走感は、後発のNWOTHM勢がいくら真似しようにも真似できない、天然ボケ気味な魅力と勢いが横溢。名曲“VIOLENCE & FORCE”を彷彿とさせるOPナンバー①、緩急の効いた②、荒々しく挑みかかるミッド・チューン③、再びギアをトップに入れて猛然と駆け出す④…と、本編は終始テンション高く突っ走って、ランニング・タイムは潔く30分台。時代遅れと笑わば笑え。90年代のHR/HMシーンのトレンドなんぞ一顧だにしない(もしかしたら単にモダン・ヘヴィネスを知らなかっただけという可能性も捨てきれませんが、それはそれでEXCITERらしくて良し)、オールドスクールな姿勢が痛快極まりない力作。ダンとジョンの組み合わせにはマジックが働くことを実感させてくれる1枚でもありました。


EXCITER - Kill After Kill - Rain of Terror ★★★ (2018-08-30 00:26:04)

タガの外れたシャウトVo、カミソリGリフ、ドカドカ突進するバカリズムと
EXCITERここにあり!と大声で叫び倒しているかのような名曲。
当時のダウナーなヘヴィ・ミュージックの趨勢にまるで頓着しない
アゲアゲな飛ばしっぷりに痺れました。


EXCITER - Long Live the Loud ★★★ (2015-07-08 22:27:08)

オリジナル・ラインナップ最後の作品でもある、'85年発表の3rdアルバム。
「俺の辞書に《手加減》の文字はねえ!」とばかりに、歌もドラムも全力でブチかましに来るダン・ビーラーのメーター振り切ったパフォーマンスを軸に、ブレーキのイカれたダンプカーの如く突っ走るEXCITERサウンドは、相変わらずの轢き逃げ上等っぷり。作品を重ねてもテンションが緩まず、寧ろますます意気盛んなのですから、バカよまさにメタルバカ。(大山倍達風に)
無論進歩の跡は着実に刻まれており、例えば力押しに徹していた前2作に比べると、JUDAS PRIESTばりに劇的な序曲でスタートを切る本作は、メロディのフックラインや曲展開のドラマ性が強化されたことで、収録各曲のキャラ立ちが明瞭に。お陰で全体の流れにメリハリが生まれ、これまでありがちだった「俺いま何曲目聴いてんだっけ?」と現在置を見失うようなことがなくなりました。
開巻早々に本編のハイライトを飾る①②の流れ、そしてキラー・リフにメタル魂が昂りまくる③は間違いなくEXCITER史に残る名曲ですし、他にも、ダンがメロディアスに歌うと金属声が二井原実化することに気付かされた④、トリオ編成離れした喧しさで突進する⑤、荘厳な鐘の音と共に始まり、アコギも取り入れて重厚に迫り来る⑦等は、上り調子のバンドの勢いを余す所なく反映させた仕上がり。そしてラストを〆るのは、EXCITERと言えばこれ!なカミソリ・ナンバー⑧・・・。
これら楽曲の充実っぷりを聴くに、こりゃ確かに「EXCITERの最高傑作」との評判を頂くも当然ですわなと。


EXCITER - Unveiling the Wicked ★★★ (2015-08-13 00:07:02)

ジョン・リッチ(G)が脱退し、オリジナル・ラインナップが崩壊。しかし活動の勢いを鈍化させることを嫌ったバンドは直ちに旧知のギタリスト、ブライアン・マクフィーを迎え入れてツアーを続行すると、その合間にレコーディング作業も行い、'86年に本4thアルバムを発表しました。
突貫人事のようでいて、このブライアン氏が実に良いソロを弾く逸材でして。オールド・スクーラーな前任者に比べると、メタリックなリフを刻む傍らインスト曲②を始め、ソロ・パートではギター・ヒーロー然とした派手なGプレイも決めてみせる等、よりモダン(80年代当時)な感性の持ち主。それに触発されたのか、今作はカミソリっぷりは抑えめに、そのぶんキャッチーなメロディや構築感を重視し、JUDAS PRIEST型正統派HM路線への更なる接近が図られています。
で、こうなると問題になるのがダン・ビーラーの一発キメたようなVo。既に散々突っ込まれてる通り、一層メロディックになった楽器陣との乖離(というかテンションのズレ)は誰の耳にも明らかなんですが、でもじゃあ場の空気を読んで粛々と歌うダン・ビーラーをお望みか?と問われれば、答えは断じて否。この丸出しのメタルバカっぷり、ノー・ブレーキの「行ってこい」な全力投球シャウトこそが彼の個性なわけで。
あと本作を語る上で重要なのが、粒選りの収録曲の質の高さですよ。EXCITERらしいテンションの高さで突撃する①⑤⑧、ライブ映えしそうな③、重厚に押し寄せる⑦⑨etc・・・と、最高傑作の呼び声高い前作とタメ張るレベルの本編を聴いていると、諸々の問題点について「いいんだよ、細けぇこたぁ!」と心に棚を作る気になるってもんです。特に、起承転結を伴う劇的な疾走ナンバー⑥は数あるEXCITERの名曲の中でも五指に入るカッコ良さではないかと。


EXCITER - Unveiling the Wicked - Invasion/Waiting in the Dark ★★★ (2015-08-18 21:52:08)

重々しいイントロから疾走を開始し、
中間部に「聴かせる」インスト・パートを挟んで
ドラマティックに展開していく構成が
これまでになかった魅力を放つ名曲。
ダン・ビーラーは明らかに歌いきれていませんが
この人はこれで良い。


EXCITER - Violence & Force ★★ (2014-10-13 11:21:14)

'84年発表の2nd。当時国内盤が出たにも関わらずイマイチ影が薄いのは、衝撃のデビュー作『HEAVY METAL MANIAC』に比べると、プロダクションからパフォーマンスまでモーレツっぷりが抑制されていて、そこはかとなく「聴かせる」姿勢を見せ始めたことにパワーダウンを感じる方が多いせいでしょうか?
それでも、JUDAS PRIESTの“EXCITER”を10倍アグレッシブに、そして50倍バカにしたようなハイパーっぷりで突進するアルバム表題曲②で幕が上がる本作の、余人を寄せ付けぬテンションの高さはやはり圧倒的。
曲作りのパターンは2、3通りしかなく、しかもどの曲も似たり寄ったりなテンションの高さで押しまくるので、通して聴くと自分が今何曲目を聴いてるのか見失うこともしばしば。そりゃゴッドでなくとも「もうちょっと緩急を考えて欲しい」と苦言を呈したくなるかもしれませんが、しかしながらこの芸のなさ、この愚直なまでのメタル・バカっぷりこそがEXCITER。
「退かぬ」「媚びぬ」「省みぬ」の姿勢が徹底された収録楽曲(大仰な邦題がまた良く似合う)は、とりわけ冒頭3曲が強く印象に残りますが、1曲ずつ取り上げてチマチマ解説するのはよして、全編を大音量で流して無心でヘッドバンギングに興じることこそが、本作の正しい楽しみ方ではなかろうか?と思う次第。


EXHORDER - Slaughter in the Vatican ★★ (2007-05-05 22:01:00)

アメリカはニューオリンズ出身の5人組突撃スラッシャー(但しBはヘルプ)、'90年発表の1stアルバム。
プロデューサーに名手スコット・バーンズ、レコーディング場所はデス・メタルの聖地MORRIサウンド・スタジオという
鉄壁の布陣からも明らかな通り、その作風は(メンバーの風貌同様)非常にバイオレント。
元々、デスラッシャーの元祖的存在として知られているバンドだけに、ドスの効いたハイテンションVo、
重厚且つパワフルなリフ&リズムが隙間なく音の壁を作り上げ、一丸となって押し込んでくる様は圧倒的迫力を誇る。
中でも、スリリングなGソロが疾走感を倍増させる①、その勢いを受け継いで、つんのめり気味に突進する②、
タモリ倶楽部ファンからは空耳ソングとしても親しまれている(?)ダイナミックな③、
バンドのテーマ・ソングと言うべき④という、頭4曲の猛烈な畳み掛けには「ぐぅ」の音も出ないほど叩きのめされる。
その要となるのが、硬質且つタイトなプレイでサウンドの中心を固めるDsの存在で、こいつが思いっきり
突っ走った時の爽快さは筆舌尽くし難い。謹んで「まるでジーン・ホグラン」の称号を贈りたい。
後半以降も、ラストを激烈に締めるアルバム表題曲⑧までテンションは全く下がることなく一気に走り抜け、
全8曲、人によってはこの強烈な音圧は疲労感を覚えかねないが、初期DARK ANGEL好き、
分けても2nd『DARKNESS DESCENDS』好きのスラッシャーなら、本作はマスト・バイ。


EXHORDER - Slaughter in the Vatican - Death in Vain ★★ (2007-11-25 17:05:57)

不気味なSEを引き裂いて、耳から血が出そうな鑢状のリフが
シュレッドされる1stアルバムのOPナンバー。
楽曲の持つ疾走感を倍化させる、勢いに満ち溢れたなGソロも素敵。


EXHORDER - Slaughter in the Vatican - Desecrator ★★ (2007-11-25 16:57:43)

のたうつようなヘヴィネスの効いた前半~中盤から一転、
後半で爆発的な疾走へと転じるダイナミックな仕上がりの1曲。
昔、タモリ倶楽部の空耳アワーで、ラストの畳み掛ける歌詞の部分が
「どすこい、どすこい、どすこい、どすこい、だぁ!」
と聞こえると取り上げられ、爆笑を誘っていた。(Tシャツ獲得)


EXHORDER - The Law ★★ (2007-05-08 06:17:00)

デビュー作『SLAUGHTER IN THE VATICAN』は、硬質且つスピーディなスラッシュ・メタル・アルバムの力作だったが、
この'92年発表の2ndは、スラッシーな疾走感よりも圧し掛かって来るかのようなヘヴィネスの演出に
重きを置いた内容に仕上がっている。
とにかく今回は、徹底的にドンシャリ感が強調されたサウンド・プロダクションが圧巻。生々しいドラム・サウンドは
バスドラの重さが半端じゃないし(ちょっと『...AND JUSTICE FOR ALL』風?)、何より、
グルーヴィなノリを飲み込んで、ジャリジャリと分厚く刻まれるヘヴィ・リフの迫力は圧倒的。
そうした音像に従来の激烈な疾走感が加味された、強力な「掴み」の役割を果たすOPチューン①、
冒頭のへヴィ・パートがその後のスピード感を倍化させる②、インスト曲ながら、本編随一の
ストレートなスラッシュ・チューン⑥といった楽曲はメチャ強力。また、⑦のようにアコギを
単なる装飾以上に活用してみたり、④ではラップ風にアジるVoを導入してみたりと、アレンジに
これまで以上の練り込み(実験色)が伺えるのも、本作の特徴の1つか。
収録曲の出来・不出来にバラつきが見られるのは気になるし、ストレートなスラッシュ・アルバムを
求める向きには評価の分かれそうな作風だが、クオリティが高いのは疑いようがない。


EXISTANCE - Breaking The Rock ★★★ (2017-03-01 23:43:36)

80年代のフレンチ・メタル・シーンを盛り上げたH-BOMBのシンガー、ディディエ・イザールのご子息ジュリアン・イザール(と聞いて「おお!」と色めき立つ方は、きっと失恋船長さんクラスのメタル・マニア)をフロントマンに擁する5人組が、’16年に発表し日本デビュー作ともなった2ndアルバム。
雷鳴に続く抒情的なアコギのイントロを鋭利なGリフが切り裂き、頭振るのに丁度良い速度でOPナンバー①が疾走を開始。ツイン・リードGもメロディックにハモってみせる、このSAXONライクな楽曲に冠されたタイトルは“HEAVY METAL FURY”…。最早この時点でバンドが高純度の正統派HM路線を志向していることは明白です。
但しジュリアンのふにゃっとしたハイトーンVoが柔和な響きを宿していたり、2本のGが快活に弾き出すリフやソロ、もしくはキャッチーなコーラスの飾り方が、曲によってはLAメタル的とも言えるブライト感を含有していることもあって、オールド・スクーラーなゴリゴリ度は然程でもないという。この辺はやはりフランス出身というお国柄の表れなのかどうか。
何にせよ、フラッシーに躍動するツインGが曲展開を牽引する②、ライブ映えしそうな独産パワー・メタル風の③、メロディアスなコーラスが印象的な⑤、IRON MAIDENばりに勇ましく飛ばしまくる⑦、溌剌とハジける⑨といった、タイトにまとめ上げられた楽曲が次々とテンポ良く繰り出される本編は、最後まで退屈する暇なく楽しめます。
それと、もし本作がお眼鏡に適ったならばH-BOMBのアルバムの方も是非どうぞ。親子の作品を聴き比べてみるのも一興かと。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Heavy Metal Fury ★★★ (2017-03-02 23:27:36)

アコギのイントロで劇的に盛り上げてから
スピーディに疾走を開始する曲展開といい、
ツインGの駆け抜けっぷりといい、
そしてこのタイトル。まさしく
「俺達は正統派HM路線で行く」という
バンドの堅い決意表明が伝わるアルバムのOPナンバーです。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Honest ★★★ (2017-03-02 23:33:39)

快活なGリフ(“BARK AT THE MOON”?)と
合唱を誘うキャッチーなコーラスは欧州HMよりも
LAメタルあたりからの影響を伺わせます。
刻み、奏で、ハモる、華やかなツイン・リードGの
活躍が大きな聴き所を作り出す、
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Marilyn (Icon of Desire) ★★★ (2017-03-02 23:24:46)

タイトルからも察しがつく通り、女優マリリン・モンローの
謎多き死について歌った疾走ナンバー。
(途中の肉声は本人のものかな?)
ツインGの絡みは明らかにIRON MAIDENからの影響が
見て取れますが、ここまでカッコ良ければ文句もないという。


EXODUS - Blood In, Blood Out ★★★ (2014-12-26 23:51:28)

フロントマンの座にスティーヴ“ゼトロ”サウザが出戻って(10年ぶり2度目)、'14年に発表されたEXODUSの新作。
恋愛体質のカップルばりに別れたりヨリを戻したりを繰り返してるんで、今更「ゼトロ復帰」っても新鮮さを感じたりはしませんが、ですがやっぱりこの編成の磐石感は半端ない。ゼトロの剃刀Voに鈍りがないことはHATRIOTの作品群が証明している通りですし。
以前、雑誌では「次作は短い曲が波状攻撃を仕掛けて来るタイプの作品になるよ」とかゲイリー・ホルト(G)が語っていたのに、蓋を開けてみれば収録曲の半数が6分超えという前作同様の大作主義が貫かれていて、嘘つき!(笑)と開巻暫くは微妙なテンションでした。
しかし尺は長めでも全編がアゲアゲな疾走感で敷き詰められ、EXODUSの旨みが凝縮された名曲③で一旦我を忘れてしまうと、以降はラス曲⑫(VARUKERSのカヴァー)まで殆ど冗長さを感じることなく完走できてしまうのですから、やはりこのバンドの作曲能力は底が知れません。
キレッキレのGリフと躍動感溢れるリズムが、よく歌うツイン・リードGを載せて駆け巡る③⑤⑦⑩⑪等は、スラッシャーなら末永くお付き合いしたくなる魅力がハジケまくってます。
折角カーク・ハメットがゲスト参加してるのに④があんま印象に残らなかったりと、収録曲の出来栄えにムラを感じなくもないのですが、うるさ型のマニアから初心者まで、十分納得させられるだけの説得力を有している力作なのは確か。でも、ぼちぼち「短い曲が波状攻撃を仕掛けて来るタイプの作品」もよろしく頼んます。


EXODUS - Blood In, Blood Out - Collateral Damage ★★★ (2014-12-28 00:52:49)

血沸き肉踊るGリフとリズムのコンビネーションに
ハイテンションなゼトロのVoから、
スラッシュ魂を煽りまくるコーラスまで
もうEXODUSエキス100%(成分無調整)な名曲。
これ聴いてアガらんEXODUSファンはいないじゃなかろうか。


EXODUS - Blood In, Blood Out - Food for the Worms ★★★ (2014-12-28 01:09:30)

本編中、最高速度を叩き出すラスト・ナンバー。
突っ走るキレッキレなGリフのカッコ良さは正しくEXODUS印。
フェードアウト気味に終わってしまうのが
もったいないぐらいの名曲ですよ。


EXODUS - Blood In, Blood Out - Wrapped in the Arms of Rage ★★★ (2014-12-28 00:59:04)

無性に頭振りたくなるEXODUS流スラッシュ・ソングとしての
カッコ良さは勿論のこと、高みへ向かって昇りつめていくような
飛翔感溢れるツイン・リードGにも胸高鳴る逸曲。


EXODUS - Bonded by Blood ★★ (2006-07-20 22:53:00)

EXODUSにアルバム史上、最も欧州へヴィ・メタルからの影響が色濃く薫る、'85年発表のデビュー作。
デモ・テープ並みのクオリティながら、破れかぶれな迫力に満ちている轟然としたサウンド・プロダクション、
テンションも音程もリズム感も狂いっ放しだが、それゆえ極悪な凄味を感じさせる故ポール・バーロフのVo、
憑かれたように前のめりで突っ走るトム・ハンティングのDs、そして何より本作の白眉たる、高いドラマ性と殺傷力を兼ね備えた、
H-TEAMによるツイン・ギター・ソロ&クランチ・リフは強力無比!
2ndアルバム以降ではキャッチーさも加味されていく楽曲も、ここでは凶暴性剥き出し。
名曲④“A LESSON IN VIOLENCE"を山場に、ひたすらササクレ立ったスラッシュ・チューンが、
アグレッション撒き散らかしながら疾走する、アルバム前半の畳み掛けはまさに圧巻。
かと思えば、⑥“NO LOVE"のイントロに美しいアコースティック・ギターを用いて、フッと空気を入れ換える等の小技も効いていて、
このバンドの売りが「勢い」だけでない事もアピール。
スラッシュ・メタル・バンドとしてのEXODUSの代表作の座は、次作「PLEASURES OF THE FLESH」に譲るものの、
個人的好みで彼らのカタログから1枚選ぶなら、本作こそマスト。