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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1801-1900

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1801-1900
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EVILE - Five Serpent's Teeth - Origin of Oblivion ★★ (2011-12-18 00:01:50)

3rdアルバム中にあって、
“IN DREAMS OF TERROR”と双璧を為す
正統派の高速スラッシュ・ナンバー。
メロディを追いかけているVoと流麗なGソロ、
ライブ映えしそうなコーラス・パートが
カッコイイっす。


EVILE - Hell Unleashed ★★★ (2021-07-20 01:03:40)

オルとマットのドレイク兄弟を中心に結成され、00年代に盛り上がったスラッシュ・メタル復権の波に乗り人気を博したアメリカ出身の5人組、EVILE。ツアー生活に燃え尽きてオルが脱退してからこっち、プツリと音信が途絶えてしまっていた彼らが、オルの復帰/入れ替わるようにマットが脱退/後任は迎えずオルがVoとGを兼任する4人編成へ…というメンバー・チェンジを経てレコーディングを行い、'21年に久々に発表した5thアルバム。
勿体ぶった前置きは抜きに、開始早々からフルスロットルで突っ走るOPナンバー①と、ラストをこれまたスピーディに締め括る表題曲⑨が叩きつけて来る通り、本作では初心に立ち返ったかの如く、頭からケツまで全力で走り抜けるスラッシュ・サウンドを実践。刻みの細かいリフに、緩急を盛り込みダイナミックに曲展開を支えるリズム、その間隙を縫ってスリリングに閃くツインG…と、彼らがここまで衒いなくスラッシュしてくれているのはデビュー作以来じゃないでしょうか。
唸るような怒号主体のVoは前任者に比べると少々魅力に欠けるのですが、思うにシンガーとしてもっとテクニカルなマットが本作でも歌っていたらば、これほどスラッシーな内容にはならなかった――あるいはできなかった――のではなかろうか?と。オルがVoを取ることで逆にストレートなスラッシュ・メタル・テイストが強調される形となったのだったら結果オーライ(無論、要精進ですが)。スピーディ且つアグレッシブな曲調にツインGが印象的に斬り込んでくる④なんて、ブランクを全く感じさせない名曲ですよ。
気合の入った帰還の挨拶に顔が綻ぶ1枚であります。


EVILE - Hell Unleashed - War of Attrition ★★★ (2021-07-21 01:27:31)

刻んで刻んで刻みまくるGリフに、せかせかと突っ走るリズムが
「これぞスラッシュ!」なカタルシスをもたらしてくれるスピード・ナンバー。
演奏に埋もれがちなオルのVoがちと惜しいのですが、その分スリリングに駆け巡る
ツインGの方で埋め合わせをしてくれるので、まあいいかと。


EVILE - Infected Nations ★★ (2010-03-14 00:34:00)

荒々しい攻撃性と湿った構築美を併せ持つ、如何にも英国的なスラッシュ・メタルを聴かせてくれたデビュー作に比べ、
疾走感が減じた分、ヘヴィネスとメロディが増量され大作感を強めた楽曲といい、スラッシュ馬鹿的な
ファニーなノリが薄れ、シリアスさを増した歌詞の数々といい、かなり大胆に変化を遂げた作風が賛否両論を呼んだ
'10年発表の2ndアルバム。なんつーか、デビュー直後のMETALLICAが2ndと3rdをすっ飛ばして、
いきなり『・・・AND JUSTICE FOR ALL』を作っちゃったような感じの作品ですね(?)
特にラストに置かれたインスト・ナンバー⑩は、やや冗長ながらも多彩なアイデアが盛り込まれた10分越えを果たす
大作曲で、これを聴くと、このバンドが目指すべき音楽的到達地点をかなり高く/遠くに設定している事が分かり、
頼もしく思える反面、ボンクラ・メタラー的には置いてけぼりを食ったような一抹の寂しさを覚えたりも。
尤も、手数の多いGリフが猛然と疾駆する①、緩急を飲み込んだ③、ストレートなスラッシュ・ソング⑦のような
前作の面影を残す楽曲も収録されているし、これまで以上に練り込まれ、曲中の大きな聴き所として
機能しているGソロの存在もあって、決して退屈する作品というわけではないのだが。
ただ個人的には、オマケ収録された笑撃の日本語スラッシュ⑩と、PANTERAの名曲“CEMETARY GATES"の
カヴァー⑪で、本編の印象が完全に霞んでしまった感あり。取り分け⑪はなかなかの出来栄えで、
マット・ドレイクはクリーンVoでの歌い上げも結構イケてますね。どうせなら本編でも活かせば良かったのに。


EVILE - Skull ★★★ (2013-09-30 23:26:44)

スピーディだが緩急の演出にも気を払い、印象的なツインGのハモリが随所に散りばめられたサウンドは構築感十分なんだけど、劇的/ドラマティックと言える程の華々しさや愛想はないという、「嗚呼、英国産スラッシュ・メタル」の王道を実直に歩むEVILEが、'13年に発表した4thアルバム。
執拗なシュレッド・リフを前面に押し立てて突貫する①③、ダイナミックな曲展開を擁する②⑥⑨のような、このバンドの魅力を体現するスラッシーな楽曲で要所を固める一方で、80年代スラッシュ・メタル愛に満ちた1st、よりへヴィ且つシリアスに表現の幅を広げに掛かった2nd、そして両者の美味しいトコ取りだった3rd・・・と、アルバム毎にサウンドのマイナー・チェンジを試みてきた彼らだけに、今作においても例えば、禍々しさ漂わすミッド・チューン④、デス・メタリックなアグレッションを撒き散らす⑦等、旺盛な前身意欲を感じさせる楽曲も散在。以前にも増してメロディをなぞって歌う場面の増えたVoの実力は、男泣きのバラード⑤において存分にご堪能あれ。
全体的に「80年代スラッシュ風味」は減少傾向にありますが、それでも国内盤が出て然るべき完成度を誇っている辺りは流石。まぁ国内盤、出てないんですけどね。


EVILE - Skull - Skull ★★★ (2013-10-02 22:34:11)

アルバム表題曲にして、EVILEという
バンドの魅力を判りやすく伝えてくれる
起伏に富んだダイナミックなスラッシュ・ナンバー。
しかし、この手の楽曲を歌わせると
マット・ドレイクの歌唱は本当に
ジェイムズ・ヘッドフィールドに似ますね。


EVILE - Skull - Underworld ★★★ (2013-10-02 22:31:23)

OPナンバーに相応しく、情け無用で突進する
アグレッシブなスラッシュ・ソングですが、
初期に比べるとマット・ドレイクの歌唱力が
飛躍的に上達しているので、攻撃的に突っ走っても
どこか貫禄のようなものが漂います。


EXCITER - Better Live Than Dead ★★★ (2023-01-26 00:32:14)

スラッシュ・メタルの元祖とも評されるカナダ出身のスピード・メタル・トリオEXCITER。本作は一度の活動停止期間を挟んで6th『KILL AFTER KILL』(’92年)でカムバックを遂げた彼らが'93年に発表した、バンドにとって初めてのライブ・アルバム。活動最盛期の80年代にリリースがなかったのは残念ですが、今となってはダン・ビーラー(Ds、Vo)とジョン・リッチ(B)が揃った状態でのライブ盤を公式に残してくれたことに感謝ですよ。
’91年2月に地元で行った復活ギグの模様が収録されており、セットリストは彼らが最も尖っていた1st~3rdアルバム収録曲のみというかなり偏った構成。でも文句を言うファンはいないんじゃないかな?個人的にも文句はありません。演奏は精緻とは言い難いですし、音質もイマサン。録音レベルが低いのでかなりボリュームを上げて聴いていると、連続再生で別のアーティストの楽曲が流れ出すとムチャクチャ爆音で毎度ビクッとさせられるという。しかしながらそうした荒っぽさすらも、欠点としてあげつらうのではなく「うむ、実にEXCITERらしい!」とポジティブに捉えられるのがこのバンドの強み。
ほぼ全編をスピード・ナンバーで固め、“STAND UP AND FIGHT”に始まり、“HEAVY METAL MANIAC”“I AM THE BEAST”“LONG LIVE THE LOUD”“VIOLENCE AND FORCE”といった名曲で畳み掛ける手加減無用のライブは、歌もドラムも喧しいことこの上ないダンを中心に、まるでブランクを感じさせないエネルギーの迸りで聴き手を圧倒する仕上がり。彼ら唯一のライブ盤ですし(違う?)、機会があればEXCITER入門盤として是非一聴をお薦めするはっちゃけた力作です。


EXCITER - Heavy Metal Maniac ★★ (2007-06-05 21:19:00)

ANVILと双璧を為す、カナダ出身の元祖スラッシュ・メタル・バンド、'83年発表の1stアルバム。
鋭く刻まれる剃刀リフに、力いっぱい疾走しまくるリズム隊、ギャンギャンと喧しいぐらいシャウトを繰り返すVo、
勢い重視だがやたらカッコイイGソロ・・・と、EXCITERの何たるかがギュッと凝縮された名曲“HEAVY METAL MANIAC"を
収録した本作は、とにかく全編スピーディ且つハイテンション。特にこのスラッシュ・メタル・バンドすら軽く吹き飛ばす
テンションの高さには凄まじいものがあって、②③⑥⑨といったスピード・チューンなんか、「元気が良い」とか
「エネルギッシュ」とかのレベルを遥かに飛び越えて(↑上の方の発言を引用させて貰うなら)
まさしく「ラウド」という表現がピッタリくるド迫力の作風。何かヤバイ薬でドーピングでもしてたんじゃなかろうか?なんて。
かと思えば、メロウな曲調でジックリと聴かせるバラード風の⑧を収録して、アルバムの流れが単調にならないように
気を配っていたりするから侮れない。まぁ最後の最後で「てやんでぇ、もう我慢できるかい!」とばかりに
猛スピードで突っ走り始めちゃう辺りは、非常にこのバンドらしいんだけど(笑)。
音質の悪さが唯一にして最大のネックの作品だったが、最近はボーナス・トラックを追加収録したリマスター盤が
出回っているので、そちらがお薦め。ちなみに、リマスタリングを手掛けたのはジェフ・ウォーターズ。
ANNIHILAORが最新作で“HEAVY METAL MANIAC"をカヴァーしたのは、この辺の縁が関係しているのかな。


EXCITER - Heavy Metal Maniac - Heavy Metal Maniac ★★★ (2007-11-24 18:35:26)

カミソリ・リフにハイテンションな疾走感、
そして喧しいVoが一丸となって突っ走る、
EXCITERの何たるかがギュギュっと凝縮された、
スラッシュ/パワー・メタル好きなら避けて通れない名曲。


EXCITER - Kill After Kill ★★★ (2018-08-29 00:30:27)

喧嘩別れしたダン・ビーラー(Ds、Vo)とジョン・リッチ(G)が、恩讐を乗り越えて再び手を組んだことからマニアの間で注目を集めた、’92年発表の6thアルバム。ついでにEXCITERにとって久々に日本盤リリースが実現した作品でもあるという。
整合性を重視し、徐々にノーマルな正統派HM路線に接近していた前作までの流れをブッた切るかの如く、剃刀Gリフが騒々しく刻まれ、Voがメロディに頓着せず喚き倒し、低音を効かせるよりもひたすら前のめりに突き進むリズムが猛然と吹き荒れるサウンドは、通して聴くと時々自分が今何曲目を聴いているのか見失いそうになる(笑)金太郎飴感も含め、裏ジャケにデカデカと掲げられた《THE MANIAC IS BACK》の宣言通り、初期EXCITER節が全開。
特にダンのドラミングがEXCITERサウンドの個性確立に果たす役割は大きく、彼が生み出す正統派HMにしては前のめりで、スラッシュ・メタルにしてはガバガバな疾走感は、後発のNWOTHM勢がいくら真似しようにも真似できない、天然ボケ気味な魅力と勢いが横溢。名曲“VIOLENCE & FORCE”を彷彿とさせるOPナンバー①、緩急の効いた②、荒々しく挑みかかるミッド・チューン③、再びギアをトップに入れて猛然と駆け出す④…と、本編は終始テンション高く突っ走って、ランニング・タイムは潔く30分台。時代遅れと笑わば笑え。90年代のHR/HMシーンのトレンドなんぞ一顧だにしない(もしかしたら単にモダン・ヘヴィネスを知らなかっただけという可能性も捨てきれませんが、それはそれでEXCITERらしくて良し)、オールドスクールな姿勢が痛快極まりない力作。ダンとジョンの組み合わせにはマジックが働くことを実感させてくれる1枚でもありました。


EXCITER - Kill After Kill - Rain of Terror ★★★ (2018-08-30 00:26:04)

タガの外れたシャウトVo、カミソリGリフ、ドカドカ突進するバカリズムと
EXCITERここにあり!と大声で叫び倒しているかのような名曲。
当時のダウナーなヘヴィ・ミュージックの趨勢にまるで頓着しない
アゲアゲな飛ばしっぷりに痺れました。


EXCITER - Long Live the Loud ★★★ (2015-07-08 22:27:08)

オリジナル・ラインナップ最後の作品でもある、'85年発表の3rdアルバム。
「俺の辞書に《手加減》の文字はねえ!」とばかりに、歌もドラムも全力でブチかましに来るダン・ビーラーのメーター振り切ったパフォーマンスを軸に、ブレーキのイカれたダンプカーの如く突っ走るEXCITERサウンドは、相変わらずの轢き逃げ上等っぷり。作品を重ねてもテンションが緩まず、寧ろますます意気盛んなのですから、バカよまさにメタルバカ。(大山倍達風に)
無論進歩の跡は着実に刻まれており、例えば力押しに徹していた前2作に比べると、JUDAS PRIESTばりに劇的な序曲でスタートを切る本作は、メロディのフックラインや曲展開のドラマ性が強化されたことで、収録各曲のキャラ立ちが明瞭に。お陰で全体の流れにメリハリが生まれ、これまでありがちだった「俺いま何曲目聴いてんだっけ?」と現在置を見失うようなことがなくなりました。
開巻早々に本編のハイライトを飾る①②の流れ、そしてキラー・リフにメタル魂が昂りまくる③は間違いなくEXCITER史に残る名曲ですし、他にも、ダンがメロディアスに歌うと金属声が二井原実化することに気付かされた④、トリオ編成離れした喧しさで突進する⑤、荘厳な鐘の音と共に始まり、アコギも取り入れて重厚に迫り来る⑦等は、上り調子のバンドの勢いを余す所なく反映させた仕上がり。そしてラストを〆るのは、EXCITERと言えばこれ!なカミソリ・ナンバー⑧・・・。
これら楽曲の充実っぷりを聴くに、こりゃ確かに「EXCITERの最高傑作」との評判を頂くも当然ですわなと。


EXCITER - Unveiling the Wicked ★★★ (2015-08-13 00:07:02)

ジョン・リッチ(G)が脱退し、オリジナル・ラインナップが崩壊。しかし活動の勢いを鈍化させることを嫌ったバンドは直ちに旧知のギタリスト、ブライアン・マクフィーを迎え入れてツアーを続行すると、その合間にレコーディング作業も行い、'86年に本4thアルバムを発表しました。
突貫人事のようでいて、このブライアン氏が実に良いソロを弾く逸材でして。オールド・スクーラーな前任者に比べると、メタリックなリフを刻む傍らインスト曲②を始め、ソロ・パートではギター・ヒーロー然とした派手なGプレイも決めてみせる等、よりモダン(80年代当時)な感性の持ち主。それに触発されたのか、今作はカミソリっぷりは抑えめに、そのぶんキャッチーなメロディや構築感を重視し、JUDAS PRIEST型正統派HM路線への更なる接近が図られています。
で、こうなると問題になるのがダン・ビーラーの一発キメたようなVo。既に散々突っ込まれてる通り、一層メロディックになった楽器陣との乖離(というかテンションのズレ)は誰の耳にも明らかなんですが、でもじゃあ場の空気を読んで粛々と歌うダン・ビーラーをお望みか?と問われれば、答えは断じて否。この丸出しのメタルバカっぷり、ノー・ブレーキの「行ってこい」な全力投球シャウトこそが彼の個性なわけで。
あと本作を語る上で重要なのが、粒選りの収録曲の質の高さですよ。EXCITERらしいテンションの高さで突撃する①⑤⑧、ライブ映えしそうな③、重厚に押し寄せる⑦⑨etc・・・と、最高傑作の呼び声高い前作とタメ張るレベルの本編を聴いていると、諸々の問題点について「いいんだよ、細けぇこたぁ!」と心に棚を作る気になるってもんです。特に、起承転結を伴う劇的な疾走ナンバー⑥は数あるEXCITERの名曲の中でも五指に入るカッコ良さではないかと。


EXCITER - Unveiling the Wicked - Invasion/Waiting in the Dark ★★★ (2015-08-18 21:52:08)

重々しいイントロから疾走を開始し、
中間部に「聴かせる」インスト・パートを挟んで
ドラマティックに展開していく構成が
これまでになかった魅力を放つ名曲。
ダン・ビーラーは明らかに歌いきれていませんが
この人はこれで良い。


EXCITER - Violence & Force ★★ (2014-10-13 11:21:14)

'84年発表の2nd。当時国内盤が出たにも関わらずイマイチ影が薄いのは、衝撃のデビュー作『HEAVY METAL MANIAC』に比べると、プロダクションからパフォーマンスまでモーレツっぷりが抑制されていて、そこはかとなく「聴かせる」姿勢を見せ始めたことにパワーダウンを感じる方が多いせいでしょうか?
それでも、JUDAS PRIESTの“EXCITER”を10倍アグレッシブに、そして50倍バカにしたようなハイパーっぷりで突進するアルバム表題曲②で幕が上がる本作の、余人を寄せ付けぬテンションの高さはやはり圧倒的。
曲作りのパターンは2、3通りしかなく、しかもどの曲も似たり寄ったりなテンションの高さで押しまくるので、通して聴くと自分が今何曲目を聴いてるのか見失うこともしばしば。そりゃゴッドでなくとも「もうちょっと緩急を考えて欲しい」と苦言を呈したくなるかもしれませんが、しかしながらこの芸のなさ、この愚直なまでのメタル・バカっぷりこそがEXCITER。
「退かぬ」「媚びぬ」「省みぬ」の姿勢が徹底された収録楽曲(大仰な邦題がまた良く似合う)は、とりわけ冒頭3曲が強く印象に残りますが、1曲ずつ取り上げてチマチマ解説するのはよして、全編を大音量で流して無心でヘッドバンギングに興じることこそが、本作の正しい楽しみ方ではなかろうか?と思う次第。


EXHORDER - Slaughter in the Vatican ★★ (2007-05-05 22:01:00)

アメリカはニューオリンズ出身の5人組突撃スラッシャー(但しBはヘルプ)、'90年発表の1stアルバム。
プロデューサーに名手スコット・バーンズ、レコーディング場所はデス・メタルの聖地MORRIサウンド・スタジオという
鉄壁の布陣からも明らかな通り、その作風は(メンバーの風貌同様)非常にバイオレント。
元々、デスラッシャーの元祖的存在として知られているバンドだけに、ドスの効いたハイテンションVo、
重厚且つパワフルなリフ&リズムが隙間なく音の壁を作り上げ、一丸となって押し込んでくる様は圧倒的迫力を誇る。
中でも、スリリングなGソロが疾走感を倍増させる①、その勢いを受け継いで、つんのめり気味に突進する②、
タモリ倶楽部ファンからは空耳ソングとしても親しまれている(?)ダイナミックな③、
バンドのテーマ・ソングと言うべき④という、頭4曲の猛烈な畳み掛けには「ぐぅ」の音も出ないほど叩きのめされる。
その要となるのが、硬質且つタイトなプレイでサウンドの中心を固めるDsの存在で、こいつが思いっきり
突っ走った時の爽快さは筆舌尽くし難い。謹んで「まるでジーン・ホグラン」の称号を贈りたい。
後半以降も、ラストを激烈に締めるアルバム表題曲⑧までテンションは全く下がることなく一気に走り抜け、
全8曲、人によってはこの強烈な音圧は疲労感を覚えかねないが、初期DARK ANGEL好き、
分けても2nd『DARKNESS DESCENDS』好きのスラッシャーなら、本作はマスト・バイ。


EXHORDER - Slaughter in the Vatican - Death in Vain ★★ (2007-11-25 17:05:57)

不気味なSEを引き裂いて、耳から血が出そうな鑢状のリフが
シュレッドされる1stアルバムのOPナンバー。
楽曲の持つ疾走感を倍化させる、勢いに満ち溢れたなGソロも素敵。


EXHORDER - Slaughter in the Vatican - Desecrator ★★ (2007-11-25 16:57:43)

のたうつようなヘヴィネスの効いた前半~中盤から一転、
後半で爆発的な疾走へと転じるダイナミックな仕上がりの1曲。
昔、タモリ倶楽部の空耳アワーで、ラストの畳み掛ける歌詞の部分が
「どすこい、どすこい、どすこい、どすこい、だぁ!」
と聞こえると取り上げられ、爆笑を誘っていた。(Tシャツ獲得)


EXHORDER - The Law ★★ (2007-05-08 06:17:00)

デビュー作『SLAUGHTER IN THE VATICAN』は、硬質且つスピーディなスラッシュ・メタル・アルバムの力作だったが、
この'92年発表の2ndは、スラッシーな疾走感よりも圧し掛かって来るかのようなヘヴィネスの演出に
重きを置いた内容に仕上がっている。
とにかく今回は、徹底的にドンシャリ感が強調されたサウンド・プロダクションが圧巻。生々しいドラム・サウンドは
バスドラの重さが半端じゃないし(ちょっと『...AND JUSTICE FOR ALL』風?)、何より、
グルーヴィなノリを飲み込んで、ジャリジャリと分厚く刻まれるヘヴィ・リフの迫力は圧倒的。
そうした音像に従来の激烈な疾走感が加味された、強力な「掴み」の役割を果たすOPチューン①、
冒頭のへヴィ・パートがその後のスピード感を倍化させる②、インスト曲ながら、本編随一の
ストレートなスラッシュ・チューン⑥といった楽曲はメチャ強力。また、⑦のようにアコギを
単なる装飾以上に活用してみたり、④ではラップ風にアジるVoを導入してみたりと、アレンジに
これまで以上の練り込み(実験色)が伺えるのも、本作の特徴の1つか。
収録曲の出来・不出来にバラつきが見られるのは気になるし、ストレートなスラッシュ・アルバムを
求める向きには評価の分かれそうな作風だが、クオリティが高いのは疑いようがない。


EXISTANCE - Breaking The Rock ★★★ (2017-03-01 23:43:36)

80年代のフレンチ・メタル・シーンを盛り上げたH-BOMBのシンガー、ディディエ・イザールのご子息ジュリアン・イザール(と聞いて「おお!」と色めき立つ方は、きっと失恋船長さんクラスのメタル・マニア)をフロントマンに擁する5人組が、’16年に発表し日本デビュー作ともなった2ndアルバム。
雷鳴に続く抒情的なアコギのイントロを鋭利なGリフが切り裂き、頭振るのに丁度良い速度でOPナンバー①が疾走を開始。ツイン・リードGもメロディックにハモってみせる、このSAXONライクな楽曲に冠されたタイトルは“HEAVY METAL FURY”…。最早この時点でバンドが高純度の正統派HM路線を志向していることは明白です。
但しジュリアンのふにゃっとしたハイトーンVoが柔和な響きを宿していたり、2本のGが快活に弾き出すリフやソロ、もしくはキャッチーなコーラスの飾り方が、曲によってはLAメタル的とも言えるブライト感を含有していることもあって、オールド・スクーラーなゴリゴリ度は然程でもないという。この辺はやはりフランス出身というお国柄の表れなのかどうか。
何にせよ、フラッシーに躍動するツインGが曲展開を牽引する②、ライブ映えしそうな独産パワー・メタル風の③、メロディアスなコーラスが印象的な⑤、IRON MAIDENばりに勇ましく飛ばしまくる⑦、溌剌とハジける⑨といった、タイトにまとめ上げられた楽曲が次々とテンポ良く繰り出される本編は、最後まで退屈する暇なく楽しめます。
それと、もし本作がお眼鏡に適ったならばH-BOMBのアルバムの方も是非どうぞ。親子の作品を聴き比べてみるのも一興かと。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Heavy Metal Fury ★★★ (2017-03-02 23:27:36)

アコギのイントロで劇的に盛り上げてから
スピーディに疾走を開始する曲展開といい、
ツインGの駆け抜けっぷりといい、
そしてこのタイトル。まさしく
「俺達は正統派HM路線で行く」という
バンドの堅い決意表明が伝わるアルバムのOPナンバーです。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Honest ★★★ (2017-03-02 23:33:39)

快活なGリフ(“BARK AT THE MOON”?)と
合唱を誘うキャッチーなコーラスは欧州HMよりも
LAメタルあたりからの影響を伺わせます。
刻み、奏で、ハモる、華やかなツイン・リードGの
活躍が大きな聴き所を作り出す、
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。


EXISTANCE - Breaking The Rock - Marilyn (Icon of Desire) ★★★ (2017-03-02 23:24:46)

タイトルからも察しがつく通り、女優マリリン・モンローの
謎多き死について歌った疾走ナンバー。
(途中の肉声は本人のものかな?)
ツインGの絡みは明らかにIRON MAIDENからの影響が
見て取れますが、ここまでカッコ良ければ文句もないという。


EXODUS - Blood In, Blood Out ★★★ (2014-12-26 23:51:28)

フロントマンの座にスティーヴ“ゼトロ”サウザが出戻って(10年ぶり2度目)、'14年に発表されたEXODUSの新作。
恋愛体質のカップルばりに別れたりヨリを戻したりを繰り返してるんで、今更「ゼトロ復帰」っても新鮮さを感じたりはしませんが、ですがやっぱりこの編成の磐石感は半端ない。ゼトロの剃刀Voに鈍りがないことはHATRIOTの作品群が証明している通りですし。
以前、雑誌では「次作は短い曲が波状攻撃を仕掛けて来るタイプの作品になるよ」とかゲイリー・ホルト(G)が語っていたのに、蓋を開けてみれば収録曲の半数が6分超えという前作同様の大作主義が貫かれていて、嘘つき!(笑)と開巻暫くは微妙なテンションでした。
しかし尺は長めでも全編がアゲアゲな疾走感で敷き詰められ、EXODUSの旨みが凝縮された名曲③で一旦我を忘れてしまうと、以降はラス曲⑫(VARUKERSのカヴァー)まで殆ど冗長さを感じることなく完走できてしまうのですから、やはりこのバンドの作曲能力は底が知れません。
キレッキレのGリフと躍動感溢れるリズムが、よく歌うツイン・リードGを載せて駆け巡る③⑤⑦⑩⑪等は、スラッシャーなら末永くお付き合いしたくなる魅力がハジケまくってます。
折角カーク・ハメットがゲスト参加してるのに④があんま印象に残らなかったりと、収録曲の出来栄えにムラを感じなくもないのですが、うるさ型のマニアから初心者まで、十分納得させられるだけの説得力を有している力作なのは確か。でも、ぼちぼち「短い曲が波状攻撃を仕掛けて来るタイプの作品」もよろしく頼んます。


EXODUS - Blood In, Blood Out - Collateral Damage ★★★ (2014-12-28 00:52:49)

血沸き肉踊るGリフとリズムのコンビネーションに
ハイテンションなゼトロのVoから、
スラッシュ魂を煽りまくるコーラスまで
もうEXODUSエキス100%(成分無調整)な名曲。
これ聴いてアガらんEXODUSファンはいないじゃなかろうか。


EXODUS - Blood In, Blood Out - Food for the Worms ★★★ (2014-12-28 01:09:30)

本編中、最高速度を叩き出すラスト・ナンバー。
突っ走るキレッキレなGリフのカッコ良さは正しくEXODUS印。
フェードアウト気味に終わってしまうのが
もったいないぐらいの名曲ですよ。


EXODUS - Blood In, Blood Out - Wrapped in the Arms of Rage ★★★ (2014-12-28 00:59:04)

無性に頭振りたくなるEXODUS流スラッシュ・ソングとしての
カッコ良さは勿論のこと、高みへ向かって昇りつめていくような
飛翔感溢れるツイン・リードGにも胸高鳴る逸曲。


EXODUS - Bonded by Blood ★★ (2006-07-20 22:53:00)

EXODUSにアルバム史上、最も欧州へヴィ・メタルからの影響が色濃く薫る、'85年発表のデビュー作。
デモ・テープ並みのクオリティながら、破れかぶれな迫力に満ちている轟然としたサウンド・プロダクション、
テンションも音程もリズム感も狂いっ放しだが、それゆえ極悪な凄味を感じさせる故ポール・バーロフのVo、
憑かれたように前のめりで突っ走るトム・ハンティングのDs、そして何より本作の白眉たる、高いドラマ性と殺傷力を兼ね備えた、
H-TEAMによるツイン・ギター・ソロ&クランチ・リフは強力無比!
2ndアルバム以降ではキャッチーさも加味されていく楽曲も、ここでは凶暴性剥き出し。
名曲④“A LESSON IN VIOLENCE"を山場に、ひたすらササクレ立ったスラッシュ・チューンが、
アグレッション撒き散らかしながら疾走する、アルバム前半の畳み掛けはまさに圧巻。
かと思えば、⑥“NO LOVE"のイントロに美しいアコースティック・ギターを用いて、フッと空気を入れ換える等の小技も効いていて、
このバンドの売りが「勢い」だけでない事もアピール。
スラッシュ・メタル・バンドとしてのEXODUSの代表作の座は、次作「PLEASURES OF THE FLESH」に譲るものの、
個人的好みで彼らのカタログから1枚選ぶなら、本作こそマスト。


EXODUS - Exhibit B: The Human Condition ★★ (2010-08-01 21:12:00)

久し振りにメンバー・チェンジなしで制作、'10年に発表された9thアルバム。
「人類の残虐行為」をテーマに据えた、7th『THE ATROCITY EXHIBITION(EXHIBIT A)』と対を成すコンセプト作
ということで、基本的には前作の作風を受け継ぐ、殺伐とした空気が充満するスラッシュ・アルバムなのだが、
テーマがテーマなだけに「重苦しい」「キャッチーさに欠ける」と賛否が分かれた『EXHIBIT A』に比べ、
こちらは疾走感3割増しの上、ゲイリー・ホルトとリー・アルタスのGコンビが、前作以上に華麗にして流麗な
ツイン・リードを随所で炸裂させまくっているため、取っ付き易さでは本作の方に軍配が上がる。
「EXODUSの声」として益々凄味を増したロブ・デュークスの肉食獣シャウト、独特の音色と切り口で刻まれるGリフ、
高揚感を生み出すリズム、それに正統派へヴィ・メタリックなツインGとが抜群のコンビネーションを発揮して
畳み掛けて来る、キレとノリの良さを併せ持つ①②④⑤⑧といった疾走曲のカッコ良さはこのバンドならではで、
②⑧なんぞ、聴いていてテンション上がり過ぎて、血管がぶち切れるかと思いましたよ。
通常のスラッシュ・アルバム2枚分に相当する、70分超の収録時間は明らかに詰め込み過ぎだし、
楽曲の中にはもっとストレッチ出来たのでは?と感じさせられるモノもあるにはある。また「南京大虐殺」を
題材に取ったヘヴィ・チューン⑦の対訳を載せないレコード会社の腰の引けた姿勢も気に食わないが、
そうした諸所のマイナス点を差し引いても、本作のクオリティの高さはやはり脱帽モノ。EXODUS凄し。


EXODUS - Exhibit B: The Human Condition - Beyond the Pale ★★★ (2010-09-18 01:22:11)

凶悪にしてキャッチー
禍々しくもドラマティック
これぞEXODUS!と思わずコブシを握り締める
リズミック且つ鋭利に畳み掛けるリフ&リズム、
そして飛翔するGソロのあまりのカッコ良さに
血管がプツンといきそうになりました。
再結成後のEXODUSが生み出した
屈指の名曲の一つじゃないでしょうか。


EXODUS - Fabulous Disaster ★★ (2007-01-17 21:48:00)

歯切れの良い疾走感が小気味イイ①、EXODUS史上屈指の名リフが炸裂する②、バンドが一体となって
生み出すグルーヴに思わず体が反応する③という、冒頭からの名曲3連打が圧巻の、'89年発表の3rdアルバム。
アグレッシブ且つキャッチーなリフ、リズミカルでノリの良いVo、印象的なフレーズを閃かせるツインG、
適度なユルさで疾走するリズム隊etc・・・と、EXODUS流スラッシュ・メタルの醍醐味がギュッと詰め込まれた、
この頭3曲のインパクトが余りにも強烈過ぎるせいか、後に続く楽曲の存在感が思いっきり霞んでしまっているのは
問題だが(メロディックなGソロが美味しい⑥⑦なんて普通に良く出来た曲なのに・・・)、
その辺りを差し引いても、聴く価値は大いにある作品。
あと付け加えておくなら、WARのカヴァー④、ブルーズ風の⑤、AC/DCのカヴァー⑩といった
楽曲を聴けば明らかな通り、彼らのアルバムの中では最も陽性のノリが強く出た1枚でもあります。


EXODUS - Force of Habit ★★ (2007-04-10 22:15:00)

トム・ハンティング(Ds)に続きロブ・マッキロップ(B)まで脱退。その後任にマイク・バトラーを迎え入れて
'92年に発表された5thアルバムにしてラスト作(その後、再結成したわけだけど)。
うーん、ごく普通のへヴィ・メタル・アルバムですな、こりゃ。この時期、進むべき音楽的方向性を巡って
所属レーベルのキャピトルとかなり揉めたらしいが、その結果、メンバーのモチベーションの著しい低下が
はっきりとレコードに刻み込まれてしまっていて、全体的に、やや緊張感に欠ける散漫な仕上がり。
中でも、スティーブ・ゼトロ・サウザ(Vo)のテンションの低さはどうした事か。また、楽曲が無駄に長いのも
緩い雰囲気に拍車を掛けていて、特に、年寄りの小便の如くダラダラとキレのないアルバム後半の構成には、
もっと工夫が必要だったのではなかろうか?カヴァー2曲も思いっきり浮きまくってるし・・・。
と、前4作と比較するとどうしても文句が先行してしまう本作なれど、じゃあ救いようのない駄作なのかと言えば
決してそんなことはない。相変わらずリフのアイデアは秀逸だし、H-TEAMによるメロディックなツイン・リードも聴き応え十分。
本編屈指の名リフとツイン・リードが炸裂する②、高速スラッシュ・ナンバー⑤、スラッシーに始まり、山あり谷ありの展開を経て、
アコギで締め括られるドラマチックな⑦といった楽曲は、過去の名曲群と比べても全く遜色ないカッコ良さを誇る。
王道スラッシュ・アルバムを期待するとスカされるが、ヘヴィ・メタル・アルバムとしては良く出来た1枚のように思う。
まぁ、何も彼らがこういう作品を作らんでも・・・と思わなくもないけどね。


EXODUS - Impact Is Imminent ★★ (2007-01-17 22:05:00)

バンドのメジャー・デビュー作という事で、キャピトル・レコードが権利をガッチリ握っているせいか、
なかなか再発が掛からずに最近はめっきり店頭でも見かけなくなってしまった、'90年発表の4thアルバム。
本作を先ず一聴して圧倒されるのが、その強烈極まりないサウンド・プロダクション。まるで耳に
ヤスリを掛けられているかの如く、ジャキジャキと刻まれるエッジの立ちまくったリフは、重く、分厚く、
ベイエリア・クランチの完成型とでも言うべき迫力を誇る。この特性を存分に活かして歯切れ良く疾走する
アルバム・タイトル・トラック①は、本編の幕開けを飾るに相応しいインパクトを備えた、必殺の名曲。
前作『FABULOUS DISASTER』は、EXODUSの持つファニーな面が強く表れた1枚だったが、今回は幾分か
メロディに欧州的な湿り気が戻ってきていて、特に、緩急の効いた⑦、よく歌うツインGが印象的な⑧、
ラストを猛スピードで駆け抜ける⑨という後半3曲の畳み掛けは、間違いなく本編のクライマックス。
正直、地味な曲が並ぶ中盤はダレなくもないのだけれど、この後半の一山があるお陰で、聴き終えた後の満足感はかなりのもの。


EXODUS - Let There Be Blood ★★ (2009-09-23 02:18:00)

ロブ・デュークス(Vo)、ゲイリー・ホルト(G)、リー・アルタス(G)、トム・ハンティング(Ds)、
ジャック・ギブソン(B)という編成に落ち着いたEXODUSが、「黎明期のスラッシュ・シーンに燦然と輝く名盤」と
高く評価される、'85年発表の1st『BONDED BY BLOOD』をセルフ・リメイク。
本作はTESTAMENTの『FIRST STRIKE STILL DEADLY』の方法論に触発されて制作されたらしいが、様式美HMに通じる
構築美やドラマ性を湛えた初期TESTAMENTの名曲群が、リ・レコーディングによって一層魅力的に蘇っていたのに対し、
『BONDED~』の魅力は、楽曲のカッコ良さのみならず、ヘタクソなVoや劣悪な音質といったマイナス要素すらも
強力な武器へと転化してしまう、当時のEXODUSが放っていた圧倒的「初期衝動」や「カリスマ性」にも負うところが
大であり、そうした要素は単純に録り直したからといって再現できるものではなく(というか不可能)、
正直な話、本作からオリジナル版を超えるようなインパクトを受ける場面は殆どない。
とは言うものの、単純に「優れたスラッシュ・ソングの数々が良好な音質で楽しめる作品」としては文句なしの内容であり、
特に名曲⑤なんて、サウンドの切れ味が増したことで明らかに原曲を上回るカッコ良さを獲得しているんじゃなかろうか。
「①~⑤の流れは何度聴いても完璧」とか「ラストを締める⑨はやっぱり名曲」とか、改めて『BONDED BY BLOOD』の
素晴しさを再認識させてくれる1枚。先日行われたTHRASH DOMINATION 09で、本作が完全再現されたのも嬉しかったなぁ。


EXODUS - Pleasures of the Flesh ★★ (2006-07-21 23:21:00)

Voをポール・バーロフからスティーブ・ゼトロ・サウザに代えて、'87年に発表された2ndアルバム。(国内盤には『栄光への挑戦』なる邦題がつけられていた筈)
良い意味でも悪い意味でも尖がっていた1st「BONDED BY BLOOD」に比べ、格段に聴き易くなっているのが大きな特徴で、
これは、前任者よりメロディを追えるタイプのVoの存在、サウンド・プロダクションの向上と、
演奏のキレをしっかり捉えた整理された音作り、そして何より、フックに富んだキャッチーなクランチ・リフに由るところが大。
個人的に、EXODUSの名前を聞いて想起する音像は、本作に於いて確立された感あり。
勿論、楽曲が親しみ易くなったとは言え、攻撃性は微塵も損なわれてはおらず、アルバム全編、スラッシーに疾走しまくり。
ゲイリー・ホルト&リック・ヒューノルトのH-TEAMによるツイン・ギターも、益々メロディの煽情力を高め、
特にキャッチー且つアグレッシブに刻まれるリフが秀逸な③“PARASITE"、2本のギターが互いに煽り合って
クライマックスへと昇り詰めていくドラマチックな曲展開が失禁モノの⑧“SEEDS OF FATE"(序曲代わりのインスト曲⑦も美しい)
といった楽曲では、その真髄が存分に堪能できる。
スラッシュ・メタル・バンドとしてのEXODUSの代表作は、間違いなく本作だろう。


EXODUS - Pleasures of the Flesh - Seeds of Hate ★★★ (2006-04-13 20:26:22)

EXODUSと言えば、一番好きなアルバムは『BONDED BY BLOOD』だが、一番好きな曲はこれ。
アコギによる美しい小曲“30 SECONDS"(正確には“35 SECONDS"だが/笑)をイントロに、
「攻撃的でありながらキャッチー」という相反する要素を兼ね備えて疾走するリフが凶悪なまでにカッコイイ。
憑かれたかのように突っ走るトム・ハンティングのDs、
エキセントリックでありながら、しっかりと歌っているスティーヴ・ゼトロ・サウザのVoも強烈ながら、
やはり主役はゲイリー・ホルト&リック・ヒューノルトのH-TEAM。
2本のギターが絡み合うようにして高みへと昇り詰めていくクライマックスのソロ・パートは、
あまりの恍惚感に失禁しそうになりましたですよ、はい。


EXODUS - Shovel Headed Kill Machine ★★ (2006-07-24 17:24:00)

再結成2作目を前に早くもラインナップが崩壊。ゼトロ離脱は予想範囲内だったが、H-TEAMの片翼リック・ヒューノルトと、
EXODUS独特の疾走感の要トム・ハンティングの脱退には心底驚かされた。ともあれ、その後任にポール・ボスタフとリー・アルタスを
迎え入れるというサプライズ人事で体制を立て直し、殆どベイエリア・スラッシュ・オールスターズと化したEXODUSが
'05年に発表した7thアルバム。しかもこれが傑作ときたもんだ!
メロディ無視で吠えまくるVo(ポール・バーロフ程の狂気はないが)、キャッチーさより攻撃性を重視した作風は、
1st「BONDED BY BLOOD」を思わせるが、これまでになくベース音が強調された音作りと、重量感溢れるタイトなドラミングによって、
ガチガチにビルドアップされまくった硬質な楽曲は、明らかにその1stの頃の路線とも異なる。
「ショベル付き殺人戦車」の進撃の如きミドル・チューンも迫力だが、やはり本作の肝は高速スラッシュ・チューン。
中でも頭3曲のリフのカッコ良さは強烈の極みで、スラッシュ・ファンならハートを鷲掴みにされること請け合い。
また、こうした楽曲に流麗に斬り込んでくるリー・アルタスのGも期待通りのドラマ性を誇り、
ともすれば剛直一辺倒になりがちな楽曲に潤いをもたらすと共に、美醜の対比によるダイナミズムをも生み出している。
前作『TEMPO OF THE DAMNED』も良く出来た作品ではあったが、本作を聴いてしまうと、やはり人間関係の歪みが、
その完成度に多少なりとも影を落としていたのかな・・・と思わざるを得ない。
新たなEXODUS流スラッシュ・メタルの創出に成功した、底なしの才能の持ち主ゲイリー・ホルト、恐るべし。
そして、同じく豊かな作曲能力を有するリー・アルタスが曲作りに参加するであろう、次作以降のアルバムが今から楽しみでならない。


EXODUS - Tempo of the Damned ★★ (2007-01-22 21:10:00)

再結成EXODUSが、紆余曲折を経て'04年に発表した復活の6thアルバム。
かなり迷いの感じられる内容だった前作『FORCE OF HABIT』の反省を踏まえて、本作は自らの原点に
立ち返ったかのような、強力なスラッシュ・メタル・アルバムに仕上がっている。
アンディ・スニープが手掛けたサウンド・プロダクションは、これまでの作品とはかなり違った感触を伝えるものの、
OPチューン①における、キャッチー且つアグレッシブに刻まれるリフ、そして何より躍動する
トム・ハンティングのDsを聴いた瞬間、“あの"EXODUSが帰ってきた!と実感。
全体的にアグレッシブさが前面に押し出されていて、特に、スティーブ・ゼトロ・サウザの力みまくった歌唱は
それを強く意識させる。ただ、迫力は十分だが少々躍動感に欠ける印象が無きにしも非ずで、
折角のミドル・チューンの魅力をスポイルしてしまっているような・・・。
その代わり、精彩に欠けるゼトロのVoを補って余りあるのがH-TEAMの活躍っぷりで、特に④⑤⑥といった楽曲で
炸裂する、2本のGが互いに煽り合って昇り詰めていく、EXODUS必殺のメロディックなツイン・リードは最高としか!
アルバム後半、テンションが下降線を描いてしまうのは残念だが、ファンの期待に見事に応えた力作なのは間違いない。


EXODUS - The Atrocity Exhibition: Exhibit A ★★ (2007-12-06 23:23:00)

精神疾患を理由にバンドから離脱したオリジナル・ドラマーのトム・ハンティングが戦線復帰を果たした、'07年発表の8th。
基本路線は前作『SHOVEL HEADED KILL MACHINE』と同様ながら、今回は「組織化された宗教と、その名の下に行われた
残虐行為の数々」をテーマに取り上げたセミ・コンセプト作ということで、いつになくダークな雰囲気がアルバム全編を支配。
『IMPACT IS IMMINENT』を更に強力にした感じのヤスリ状サウンド・プロダクション(アンディ・スニープ謹製)や、
収録曲の大半が7分以上という大作主義が貫かれた作風と併せて、圧し掛かってくるかのようなへヴィネスが圧倒的迫力を誇る仕上がり。
そんな重苦しい空気の中で存在感を発揮するのが、トム・ハンティングのDsと、ゲイリー・ホルト&リー・アルタスの
Gコンビで、前者はEXODUS流スラッシュ・メタルの要とも言うべき躍動感溢れるドラミングで、後者は、ダークな曲調の中で
閃くメロディックなツイン・リードでもって、その重苦しいトーンを緩和する機能を果たしている。
中でも、劇的なインスト曲①の時点でグッと掴まれ、OPのドクランチなリフが炸裂した瞬間ガッツポーズを取ってしまう
高速スラッシュ・ナンバー②や、ロブ・デュークスがクリーンVoによる歌唱も披露する④、ドラマティックなツインGの
ハーモニー・プレイが聴かれる⑦、ラストを激烈に締め括る⑨といった楽曲は、両者の魅力が存分に堪能できる名曲じゃないかな、と。
あと、いよいよリー・アルタス(G)が本格的に曲作りに関わり始めたこともあり、
HEATHEN(特に2nd『VICTIMS OF DECEPTION』の頃)を思わせる部分もチラホラと見られるような?


EXODUS - The Atrocity Exhibition: Exhibit A - Children of a Worthless God ★★ (2007-12-08 01:56:33)

リー・アルタスが曲作りに加わっているせいか、
他の楽曲よりもドラマティックな仕上がりのナンバー。
たっぷりフィーチュアされたツインGと、
ロブ・デュークスのクリーンVoによる歌唱も効果的。


EXODUS - The Atrocity Exhibition: Exhibit A - Iconoclasm ★★ (2007-12-08 02:03:20)

暴力的なまでのアグレッションを撒き散らす曲調と、
美しくすらあるツインGのハーモニー・プレイとの対比が
ドラマティックなスラッシュ・チューン。


EXODUS - The Atrocity Exhibition: Exhibit A - Riot Act ★★★ (2007-12-08 01:48:07)

EXODUSのアルバムのOPナンバーにハズレは1曲も存在しないが、
今回も、無事その法則は守られた。
ドラマティックなイントロから、ドクランチなOPリフが炸裂した瞬間、
思わずガッツポーズ取ってアルバムの出来の良さを確信しましたよ。
比較的、長尺曲の揃った『THE ATROCITY~』なれど、
この曲は3分台のランニング・タイムを、一気呵成に突っ走る。


EXORCIST (2015-09-21 22:19:08)

'86年にCOBRA RECORDSからアルバム『NIGHTMARE THEATRE』でデビューを飾った覆面スラッシュ・メタル・バンド。
プロデュースや作曲をVIRGIN STEELEのデヴィッド・ディフェイズとエドワード・パッシーノが手掛けており、てっきりVSの弟分バンドなのかと思いきや、後に、弟分も何もVIRGIN STEELE自身の変名バンドであることが判明。
彼らはこの時期、PILEDRIVERの2nd『STAY UGLY』や、デヴィッド・ディフェイズの妹がシンガーを務めていたORIGINAL SINのアルバム『SIN WILL FIND YOU OUT』に全面参加したりと、積極的に課外活動に精を出していて、このバンドもそうした中の一つだった模様。


EXORCIST - Nightmare Theatre ★★★ (2015-09-21 22:21:59)

突如HR/HMシーンに現れた、謎の(というか、そもそも誰も正体を知りたがらなかった)覆面スラッシャー、EXORCISIT。ジャケットのインパクトも強烈な本作は、彼らが'86年にCOBRA RECORDSに残した唯一作で、スラッシュ愛好家が「EXORCISTは実はVIRGIN STEELEの変名バンドだったのです!!」と、いくら!!マークを多用して熱弁を振るっても、堅気のメタル・ファンからは「それがどうした」ってな醒めた(至極ごもっともな)反応しか返ってこなくてしょんぼりする1枚でもあります。
尚、マスクの下の正体はVIRGIN STEELEですが本編にエピック・メタル的要素は皆無。ラフなプロダクションに、メロディ無視でダーティに吐き捨てるダミアン・ラス(デヴィッド・ディフェイズ)のVo、チリチリとした音色でササクレたリフを刻み、狂ったようにソロを弾き倒すG、押して押して押しまくるリズム隊・・・と、徹頭徹尾、アングラ感満載のスラッシュ・サウンドを実践しています。
但し、不気味なSEやインスト曲等を曲間に配置して、見世物小屋的いかがわしさというか、ホラー映画ライクな雰囲気を演出してみせる手腕には、(方向性は異なるものの)VIRGIN STEELEに通じる「大仰さ」に対する拘りが感じられなくもないかな?と。
昭和のSLIPKNOT・・・と言ったら明らかに褒め過ぎですが、個人的には結構お気に入りの1枚。切り立ったGリフが荒々しく突進する③や、スピード・メタリックな⑫とか、かなりカッコイイ出来栄えですし、確か収録曲の幾つかは後にVIRGIN STEELEのアルバムでもリメイクされた筈。


EXORCIST - Nightmare Theatre - Riding to Hell ★★★ (2015-10-01 23:23:28)

音程無視のシャウト型Voに、ヤケクソ気味に引き倒すG、
ひたすら直線的に突っ走るリズムと、
アクセルべた踏みで突っ走る(その結果、最後に事故を起こす)
高速スラッシュ・ナンバー。
スピード・メタリックなGリフのカッコ良さは本編随一。


EXUMER - Fire & Damnation ★★★ (2022-07-13 23:54:07)

『北斗の拳』と『マッドマックス』と『13日の金曜日』をゴタ混ぜにしたようなマスコット・キャラと、オフロードを力尽くで踏破するモンスタートラックの如きスラッシュ・サウンドが強烈なインパクトを放った1st『POSSESSED BY FIRE』(’86年)が、今もマニア筋から熱狂的に支持されるドイツのEXUMERが'12年に発表した復活作。通算3作目。
アルバム・デビューから間もなくバンドを去った中心メンバー、メム・フォン・シュタイン(B、Vo)がラインナップに復帰していることもあって、怪作『POSSESSED~』の再来に期待が高まりましたが、キャリアを重ね安定感を獲得した演奏といい、「キ」印成分控えめのシャウトVoといい、強引な展開が整理されストレートに疾走する楽曲といい、本作で披露されているのは、まぁビックリするぐらいに普通のスラッシュ・メタル。丸大ハンバーグばりに《ポンコツでもいい。ワンパクに育って欲しい》と念願していたスラッシャー諸兄がこれ聴いて嘆息する気持ちも分からんではないのですが、でも80年代のあの時期のEXUMERだからこそ生み出し得た『POSSESSED~』を狙ってもう一度作るのなんてほぼ無理…つか不可能な所業ですわな。(翌年リリースの2ndですら既に作風が変化していたわけで)
なので、アレはアレ/コレはコレと切り分けて接しさえすれば、スピード・ナンバーの連打で畳み掛ける本作だって決して退屈な内容ではなく、むしろ良質なスラッシュ・アルバムとして楽しめるのではないかと。猛烈なリフの刻みと欧州風味のダークネスを纏って突っ走る⑨のカッコ良さなんてなかなかにグッときます。
まだEXUMERを未聴の方は、何なら本作を入門盤にするのだって有りだと思いますよ。(で遡って1stを聴くと)


EXUMER - Fire & Damnation - I Dare You ★★★ (2022-07-15 00:30:07)

猛烈なリフの刻みとダークな雰囲気が初期作を彷彿とさせる
・・・と思ったら、2nd『RISING FROM THE SEA』収録曲の
リメイクだったという。でもカッコイイですよ。


EXUMER - Possessed by Fire ★★ (2011-03-29 22:21:16)

VENOMの登場に衝撃を受けたメム・フォン・シュタイン(B)が音頭を取って結成、彼の父親が提案したバンド名「EXHUMER」からHを抜いて「EXUMER」を名乗ったドイツ/フランクフルト出身の4人組スラッシャーがDISASTER RECORDSから'86年に発表した、ジャケットに描かれたジェイソン風怪人のインパクトも十分なデビュー作。(イラストレーターがアルバム・タイトルからイメージを膨らませて創作したキャラクターなのだとか)
個性派スラッシュ・メタル・バンドが群雄割拠するドイツにあって独自色を強調するため、「THE U.S. TRASH METAL BAND FROM GERMANY」を目指したという彼らのサウンドは、破壊的に刻まれる禍々しいGリフや、狂ったように掻き毟られるGソロ辺りにSLAYERからの影響を滲ませつつ、基本はVENOM直系のゴリ押しスラッシュ路線を爆走。演奏力はやや覚束なく、音質もしょっぱいが、「でも演るんだよ!」とばかりにガムシャラに押し出してくる喧しい楽曲の数々と、全編を覆うヨーロッパ的ダークネスが本作に独特の色合いを付与している。
特に、不穏なイントロを荒々しく引き裂いてスタートする②、緩急の効いたドラマティックな③、唐突に繰り出される「躁」パートに意表を突かれる⑥、印象的なGソロが疾走して行く⑦、ラストを仰々しく締め括る⑩なんかは、繰り返し聴き込んだ覚えがある名曲だ。
本作発表直後に中心メンバーのメムが脱退し、バンドは2枚の作品を残して解散するも、00年代に入って再結成を遂げた・・・らしいが、現在に至るも新作アルバムを発表したという話は聞こえてこない。


EXUMER - Possessed by Fire - Destructive Solution ★★★ (2011-03-31 22:38:43)

執拗なGリフの刻みっぷりと強引に走りまくるDs、
それに喉よ裂けよとばかりに喚き倒すVoが
ヤケクソ気味に突貫するアルバム屈指の名曲。
SLAYER型のキチガイGソロから一転、
美しいメロディを叙情的に紡ぎ出す
Gの振れ幅の大きい良い仕事っぷりがギラリと光っていますね。


EXUMER - Possessed by Fire - Possessed by Fire ★★ (2011-03-31 22:33:15)

不穏なイントロを突いて、喧しく鳴りまくる
Gリフとリズム、そして「とにかく力一杯叫んでます!」感溢れる
Voとが、後は野となれ山となれってな感じで疾走するOPナンバー。
押し出しの強いサビが結構カッコ良い。
曲間には禍々しい雰囲気を演出するミドル・パートも組み込まれているが
息も絶え絶えなVoのパフォーマンスにちょっと笑ってしまう。


EXUMER - Rising From the Sea ★★ (2007-01-31 20:16:00)

ドイツ出身の4人組スラッシャーが、'87年に発表した2ndアルバム。
正直な話、アルバム前半は冴えない内容。キレに欠ける演奏で聴かされる楽曲はフックに乏しく、
声質は迫力十分ながら一本調子なパフォーマンスのVoの存在と相俟って、どの曲も似たり寄ったりに聴こえてしまう。
ミドル・パートを組み込んで楽曲に緩急を演出しようとする姿勢は買えるのだが、それが単に
「かったるい」だけの印象で終わってちゃ拙いだろ、と。Gソロの魅力不足も如何ともし難し。
ところが、エンディングに叙情味を持ち込み「おや?」とさせられる⑥辺りから空気が変わり始め、
ハイテンションに突っ走る⑦、ジェットコースターの如くアップダウンを繰り返す⑧、
バイオレントな高速スラッシュ・チューン⑨、本編ラストを激烈に締める⑩・・・と、アルバム後半には
それまでの失点を取り戻すかのようにテンションの高い楽曲が並ぶ。
まぁ、それでも前半のダレた印象を完全に覆せる程ではないし、1stに比べるとかなり聴き劣りがする・・・というのが
実際のところだが、それでも個人的には⑥~⑩の流れは「スラッシャーなら一聴の価値あり」と、小声でコッソリ主張しておきたい。


EXUMER - The Raging Tides ★★★ (2019-08-15 23:24:49)

80年代に2枚のアルバムを残し解散したEXUMERが、1st『POSSESSED BY FIRE』(’86年)発表後にバンドを去った中心メンバー、メム・フォン・シュタイン(Vo、G)を擁するラインナップで復活を果たしたのは00年代初頭のお話。ただ、その後待てど暮らせど作品リリースの動きはなかったので「ああ、ライブで小銭を稼ぐだけなのね」と油断していたら、ここ数年で3枚のスタジオ・アルバムを次々発表。それまでのブランクを取り返すようなアクティブな活動っぷりを見せてくれて意表を突かれましたよ。
本作は’16年発表の復活第2弾アルバム(通算4作目)で、プロデュースは前作同様ヴァルデマー・ゾリヒタが担当。アートワークには『13日の金曜日』のジェイソンと『北斗の拳』の雑魚キャラを足して2で割ったようなお馴染みのマスコットキャラが登場しています。
再結成後の彼らの音には本作で初めて触れたのですが、ストレートに突っ走るピュアピュアなスラッシュ・サウンドはそのままに、演奏にしろ楽曲にしろ随分とスマートになっていて、「おお、普通だ」と。1stの悪路をダンプカーで強引に走破するような出鱈目っぷりが影を潜めていることを残念に思う向きもありましょうが、アレは若き日のEXUMERのガムシャラさが生んだ奇跡であり、決して狙って再現できるものではないので諦めるしかねぇ。
鋭利且つキャッチーに刻まれるGリフと、欧州風味のダークネスを孕んだGソロが疾走するOPナンバー①でいきなりMAXに達したテンションが、本編の一本調子な構成とリズムのキレ不足が相俟って、聴き進めるうちに徐々にパワーダウンしていくいかにもB級スラッシュ然とした弱点さえも、「味」として愛しく思えてしまう1枚。


EXUMER - The Raging Tides - The Raging Tides ★★★ (2019-08-15 23:38:06)

鋭利でキャッチーなGリフを前面に押し立ててスマートに疾走するアルバム表題曲。
欧州風味のダークネスを湛えたGソロもしっかり練られていて
かつての「無理を通せば道理が引っ込む」出鱈目っぷりは影を潜めています。
若干の寂しさを覚えつつも、でもこれも十分カッコイイですよ。


EYES - Eyes ★★ (2017-03-07 22:28:03)

ジェフ・スコット・ソートがフロントマンを務める(ついでに盟友マルセル・ヤコブもヘルプ要員として数曲でBをプレイしている)LAの4人組が、CURB RECORDSとの契約を得て'91年に発表したデビュー作。
熱く歪んだメタル・ボイスで正統派HMを歌わせたら業界屈指と評判のジェフですが、それだけに留まらず、メロハーにもファンクにも対応できる、幅広い柔軟性と表現力の持ち主であることはファンならご承知の通り。土の匂いが薫る活きのいいHRナンバーから、キャッチーなハードポップ、更には美しいバラードまで、バラエティ豊かな楽曲が取り揃えられた本作では、主に彼氏の後者の才能が如何なく発揮されています。BURRN!!誌レビューでの高評価に釣られて購入した当時は、一聴して「ちぇっ、イングヴェイみたいな音楽性じゃねえのか」とガックリした覚えがあるものの(浅はかな…)、しかし折角買ったんだからと繰り返し聴き込むうちに、どんどんお気に入り度が高まっていきました。
というのも、精度の高いフックが備わったメロディがこの手のサウンドを普段主食にしていない身にも猛烈にアピって来ますし、何よりそれらを時に熱く、時に黒いノリを駆使して粘っこく歌い上げるジェフのVoがやはり絶品。特にダイアン・ウォーレン提供の③、感動的な⑧、またはアカペラによるゴスペル風バラード⑪といった抒情的な楽曲におけるエモーショナルな歌声は実に沁みますよ。
良質なメロディックHRが詰まった好盤なのに、オルタナティブ・ロックでも演ってそうなジャケットで損してる気がしてならない1枚。


EYES - Eyes - Nobody Said It Was Easy ★★★ (2017-03-07 22:52:34)

美しいバラード。
アグレッシブなHMナンバーだけでなく
この手の抒情的な楽曲を歌わせても
ジェフ・スコット・ソートは絶品の実力を
発揮してくれますね。


Eastern Orbit (2014-03-02 22:47:33)

中島優貴(Key)率いるHEAVY METAL ARMYが、より幅広い音楽性を追求すべく、メンバー・チェンジ(ギターがシンキから多田勇に、ベースがチェピート竹田からデイヴ伊藤に交代)を契機にEARSTEN ORBITと改名。
ハードネスは維持しつつも、中島の操るKeyをこれまで以上に前面に押し出し、プログレ・テイストを増強した1st『FUTURE FORCE』を'82年に発表して出直しデビューを飾る。
アルバムのクオリティのみならず、横田基地で収録された『LIVE! JOURENEY TO UTOPIA』('83年)を聴けば明らかなようにライブ・アクトとしての実力も確かだったが、結局、その後間もなくバンドは自然消滅・・・。


Eastern Orbit - Future Force ★★★ (2014-03-02 22:49:35)

これまで良い評判は耳にしても「でもプログレ作品なんでしょ?」と、あまり食指が動かずにいたEARSTEN ORBITのデビュー作('82年)を、紙ジャケ再発を機会に購入してみたのですが、これが聴いてビックリ。スペーシー且つ攻撃的に切り込んでくる中島のKeyに、新加入の多田勇(G)とデイヴ伊藤(B)、それに宮永英一のドラミングが嵐のように暴れ回るOPナンバー①の迫力からして度肝を抜くカッコ良さ。余計な先入観を彼方へと吹き飛ばされてしまいましたよ。
「近未来への警鐘」をテーマに据えたトータル・コンセプト作で、アメリカン・プログレ・ハード調の③や、KING CRIMSONの不朽の名曲“EPITAPH”のカヴァーに挑んだ⑨といった楽曲も収録。辣腕ミュージシャン同士の鬩ぎ合いによって生じるスリルや豪快さよりも、Keyがアンサンブルのまとめ役を担った整合性重視の作風は、確かにこれまで以上に中島のプログレ志向が強く打ち出されている仕上がり。
一方でサウンドはエッジの鋭さを失ってはおらず、メリハリの効いた劇的な曲展開を有する④、アップテンポで駆け抜けていく②⑤、リッチー・ブラックモアが演りそうなシャッフル・ナンバー⑦、そして原曲とは異なる魅力の創出に成功した⑨等、J.J.(Vo)の熱い歌声がタフネス/ハードネスを燃え立たせる楽曲の数々は、よりメロディアスに、よりドラマティックにスケールアップ。
HR/HMリスナーにもアピールしうる魅力を備えた、もっと早く聴いておけば良かったと後悔しきりな名盤でした。


Eastern Orbit - Future Force - Epitaph ★★★ (2014-03-03 22:33:53)

KING CRIMSONの不朽の名曲“墓碑銘”のカヴァー。
オリジナルに匹敵する出来栄えとは口が裂けても
言えませんが、でも原曲の深遠な静謐さは敢えて
オミットして、よりHR的なアプローチを試みた
攻めの姿勢を感じさせるアレンジは買い。
どうせリスキーな挑戦ですし、カヴァーするなら
これぐらいやった方が聴いていて楽しいですよ。


Eastern Orbit - Future Force - Space Strut ★★★ (2014-03-03 22:24:06)

OP曲。スペーシーな響きを湛えつつ
切れ味鋭く暴れ回る中島のKeyを筆頭に、
プログレ・バンドというこちらの先入観を
豪快に粉砕するハードなインスト・ナンバー。
曲中で繰り返される「THE FORCE WITH YOU」の
元ネタは『スターウォーズ』の「理力と共にあらんことを」
でしょうかね?


Eastern Orbit - Future Force - Time Limit Man ★★★ (2014-03-03 22:28:18)

静から動、動から静、そして再び静から動・・・
といった具合に、プログレシッブ・ロック的な
ドラマティックな構築美と、HR然とした疾走感とを
併せ持ったアルバムのハイライト・ナンバー。
触れ幅の大きな曲調を完璧にこなしてみせる
高度なテクニックと表現力を併せ持ったメンバーの
力量に瞠目させられます。


Eastern Orbit - Live-journey to Utopia ★★★ (2017-01-14 10:23:17)

‘83年11月に、EASTERN ORBITが米軍横田基地内の将校クラブ「NCO CLUB」で行ったライブの模様を収めた実況録音盤(前座は十二単だったという)。
メンバーはJ.J.(Vo)、中島優貴(Key)、宮永“CHIBI”英一(Ds)、多田勇(G)、デイヴ伊藤(B)、それに特別ゲストのCHAR(G)という布陣。英語のMCも流暢にこなせるJ.J.の熱唱を始め、手練れの面子が繰り出す熱く激しいパフォーマンスと、初っ端からテンションが振り切れている観客の熱狂とが相俟って、本作を聴いていると、何やら海外で(そも米軍基地内はアメリカの領土なんですけども)、海外のバンドのライブを見ているような錯覚に陥る瞬間もしばしば。中でも個人的には、イアン・ペイスばりのタイトで流れるようなドラミングのみならず、RAIBOWのカヴァー③ではリードVoも担当する(しかも巧い!)という多才ぶりを発揮している、宮永英一の存在に特に感銘を受けましたね。
HEAVY METAL ARMY時代の代表曲①に始まり、疾走ナンバーの名曲②が後に続く「掴み」や、CHARの独奏“星条旗よ永遠なれ”からスタートする印象的なリフレインを持った⑥、全楽器が火花を散らして衝突し合うインスト曲⑦といった楽曲からは、スタジオ・バージョンを軽く凌駕する迫力と熱量が迸ります。「Key奏者が創作面のイニシアチブを握るバンド」と聞くと、プログレ・ハード系の音を想像しがちですが、ここに詰まっているサウンドは完全にHR/HMの領域にダイブ・イン。もしかすると1st『FUTURE FORCE』よりもEASTERN ORBIT入門盤にお薦めできるかもしれません。


Eastern Orbit - Live-journey to Utopia - Fire Ball ★★★ (2017-01-15 08:34:15)

このタイトルでこのバンドですから
DEEP PURPLEのカヴァーかな?と思ったのですが、違いました。
Charをゲストに招いてのステージ上でのジャム・セッションに
曲名を付けたものなのですが、これがまさしくタイトルを地で行く
火を噴くような楽器陣の掛け合いがスリリングな出来栄え。
疾走感溢れる曲調はテーマ・メロディも印象的で
ちゃんと「インスト曲」として成立しています。


Eastern Orbit - Live-journey to Utopia - Journey to Utopia ★★★ (2017-01-15 08:27:30)

1stアルバムには収録されておらず、このライブ盤でしか
聴くことができない(多分)アルバム表題曲。
宮永英一の流れるようなドラムロールと、Charが奏でる
“星条旗よ永遠なれ”をイントロ代わりにスタート。
一度聴けば耳に残る印象的なリフレインを持った哀愁のHRナンバーで
熱く激しく咽び泣くGソロも強烈。
それまでバリバリ英語の楽曲とMCをこなしてきたJ.J.が
曲紹介で「Char、オ願イシマス」と
凄い丁寧に日本語を話しているのも微笑ましい。


Evil Invaders (2014-02-24 23:51:04)

ベルギーはリンブルグ州モルにおいて、Vo兼Gのジョー・アヌス(凄ぇ名前だな)が結成。
バンド名がRAZORの2ndアルバムから取られていることは想像に難くなく、事実、彼らが演奏しているのはカミソリの如きGリフとリズムがハイテンションに突っ走る、RAZORはもとより、MOTORHEAD、IRON MAIDEN、EXCITER、その他諸々からの影響をちゃんぽんしたスピード/スラッシュ・メタル・サウンド。
'13年発表のセルフ・タイトルの6曲入りデビューEPが高評価を受け、また同作を引っ提げて参加した、地元リンブルグが隔年で開催する音楽コンクール「LIMBOMANIA」では見事優勝。
'14年には早くもTRUE THRASH FESTでの来日公演も決定している等、期待と注目を集める逸材。


Evil Invaders - EVIL INVADERS ★★★ (2014-02-24 23:52:22)

ベルギーから現れた期待の新人5人組が'13年に発表したデビューEP。
前評判やジャケットの印象から、てっきりスラッシュ・メタル・バンドだと思っていたのですが、当たらずと言えども遠からず。
熟練職人の刃物捌きのような鋭利にして軽快なリフ・ワークや、スタッカート気味に走り抜けるリズムがスラッシーな攻撃性とスピード感を具現化しつつも、サウンド全体としては、FASTKILLの伊藤昭博似のハイトーンでテンション高くまくし立てるVoがしっかりとメロディを「歌い」、尚且つツイン・リードGがメロディックに、ドラマティックに駆け巡っていることもあって、その印象は「限りなくNWOTHM寄りのスピード・メタル」といった趣き。
特に、MOTORHEAD遺伝子を組み込んでフルスロットルで高速回転するGリフ&Bラインと、起承転結を背負って劇的に疾走する曲展開が血中メタル成分を沸騰させる②と、主張しまくりなBと、2本のGが奏でるキメのフレーズが微笑ましいぐらいIRON MAIDENしているバンドのテーマ曲⑥は、間違いなく本作のハイライトにしてこのバンドの個性が刻印された名曲。
そう遠くない将来リリースされるであろう、フル・アルバムに対する期待を煽りまくる1枚です。


Evil Invaders - Feed Me Violence ★★★ (2018-05-22 00:12:57)

なかなか国内盤が発売されず、「まさか今回はスルーされてしまうのか?」と危機感を募らせていたら、’17年発表の4曲入りEP『IN FOR THE KILL』とドッキングした豪勢な2枚組仕様でのリリースが実現しホッと一安心。ベルギーの切り込み部隊EVIL INVADERSが’18年に発表した2ndフル・アルバム。
鼓膜をつんざく高音スクリームVo、カミソリGリフ、性急なリズムが一丸となって畳み込む、カナダの元祖スラッシュ・メタル・バンド、EXCITERの名曲“VIOLENCE & FORCE”のカヴァー⑩が「オリジナル曲か」っつーぐらい違和感なくハマりまくるスピード・メタル路線を迷いなく突撃する一方で、従来の疾走疾走また疾走という力業スタイルに比べると、今回は重厚なインスト小曲③から繋がるヘヴィな④、ラストを締め括るドラマティックなエピック・ナンバー⑨といった楽曲を要所に配置することで、これまで以上に作品全体に緩急とダイナミクスを演出。聴き手の鼻面を掴んでブン回すが如きアップダウンの効いた本編構成や、厚みを増した音作り等からは、バンドが次の段階へ進むために課題を設け、それを一つ一つクリアしていったような着実な成長の跡が刻まれています。
かといって、エピカルであることを意識し過ぎて切れ味を失い、鈍重になったりしていない点もナイスで、いきなりトップギアから爆走を開始する①②、高速回転するGリフがクールな⑤、本編最速の⑧といった、タイトに締まった激走ナンバーの数々からは、バンドの変わらぬスピード/スラッシュ・メタル魂の迸りを感じることができましたよ。
全10曲で収録時間は40分弱。何度でもリピートしたくなる実にスカッと痛快な1枚です。


Evil Invaders - Feed Me Violence - Feed Me Violence ★★★ (2018-05-24 00:04:21)

高速で刻まれるイントロのGリフの切れ味だけで
その名曲ぶりを確信させられるアルバム表題曲。
前掛かりな突進から、2本のGを活かした中間部の
ドラマティックなタメを経て、再び突進へ転じるという
緩急の効いた曲展開からもバンドの確かな成長が聴き取れます。


Evil Invaders - Pulses of Pleasure ★★★ (2015-04-22 23:34:29)

セルフ・タイトルのデビューEPが絶賛されたベルギーの5人組が、満を持して'15年に発表した1stフル・アルバム。(日本デビュー作でもある)
剃刀Gリフを目まぐるしく刻み倒し、IRON MAIDENへの憧憬も露わに劇的にハモりまくるツインGにグイグイ引っ張られて、ハイピッチVoと、敏捷な機動性を誇るリズム隊を伴い一気呵成に突っ走るサウンドは、NWOTHMの一派に含めるには尖がっていて、スラッシュ・メタルで括るにはメロディアス。さてこの音を何と表現するべきか…と一瞬考え込んでから、あ。「スピード・メタル」でいいじゃんかと。
ただ、字余り気味のテンションで押し込んで来る②のような楽曲にしても、曲展開には緩急やドラマが仕込まれ、Gソロにも尺がたっぷりと取られています。昨今評判のSPEEDTRAPやDEMOLITION TRAINといったプレ・スラッシュ/スピード・メタル勢に比べるとパンクっけが殆ど感じられず、そうしたメタリックな作風も個人的には好みに近い感じ。特に、イントロ一発でハート鷲掴みな、一際雄々しくメロディアスに歌うVoのフィーチュアされた⑤と、序曲⑧とセットで本編の幕引き役を担うドラマティックな⑨は、デビュー作よりも更に構築感を増した本作を代表するナンバーかと。
全体をもうちょい整理すると、更に一段上のレベルを狙えそうな気がしますが、現時点でも十分星3つ評価に値する力作。


Evil Invaders - Pulses of Pleasure - Master of Illusion ★★★ (2015-04-23 23:00:46)

序曲“BLINDED”とセットで劇的に本編の幕を引く、
勢いは抑え気味に、聴かせることに主眼を置いたエピック・ソング。
ツインGが奏でる印象的なメロディを手始めに、
これまたIRON MAIDENからの影響が濃厚に打ち出されていますね。


Evil Invaders - Pulses of Pleasure - Stairway to Insanity ★★★ (2015-04-23 22:54:08)

“BE QUICK OR BE DEAD”か、
はたまた“PURGATORY”かといった趣きの
Gリフでグワシッと掴まれるスピード・メタル・ナンバー。
シャウトだけでなく、ここではきっちりとメロディを
追いかけるVoも楽曲の荒ぶる勇ましさを援護射撃。


Evil Invaders - Shattering Reflection ★★★ (2022-06-20 23:15:27)

これまでに3度の来日公演を敢行する等、今やベルギーを代表するHMバンドへと成長を遂げた感のあるEVIL INVADERSが、プロデューサーにFLESHGOD APOCALYPSEのメンバーであるフランチェスコ・パオリとフランチェスコ・フェリーニを招聘してレコーディングを行い、'22年に発表した3rdフル・アルバム。
積極的なツアー攻勢と、折からの新型コロナウィルス感染症蔓延による世界中の混乱が重なって、前作リリースから5年ものブランクが空いてしまいましたが、ジョーのハイピッチ・スクリーム、カミソリGリフとタイトなリズムとが、一糸乱れぬ統制のもとで突っ走るテクニカルなスピード・メタル・サウンドは健在。その一方で、よりメロディックに歌うようになったVoといい、スピードは抑え気味にして、ダイナミズム演出にこれまで以上に気の払われた構成といい、前作あたりから顕著になった正統派HMスタイルへの接近も更に押し進められています。これについて「曲調の幅が広がった分、Voの力量不足が気になる」との指摘もあるようですが、確かに決してテクニカルなタイプではないものの、持てる力全てを振り絞るような熱唱ぶりには個人的には心動かされずにはいられませんし、特にバラード⑤における劇的な盛り上がりは彼の絶唱あったればこそじゃないかと。
インストの小曲と重厚なミッド・チューンが連続するため、やや尻すぼみな印象を受けてしまう本編ラストの流れに若干の疑問を感じつつも、切れ味鋭いスピード・ナンバーを要所に配して小気味よく畳み込む本編尺は、スッキリとタイトに40分台。新味とらしさがバランス良くブレンドされた、ブランクの影響を全く感じさせない快作です。


Evil Invaders - Shattering Reflection - Forgotten Memories ★★★ (2022-06-21 23:52:16)

EVIL INVADERSにとって初(?)のバラード。
といっても悲壮感を湛えて劇的な盛り上がりを呈する曲調に
甘さの類は皆無。Voもムーディに歌い上げたりはせず、
喉から血を吐くような激情シャウトで聴き手のハートを鷲掴んでくれます。


Exarsis (2013-10-12 00:08:36)

ニュース番組的には財政問題で、HR/HM的には新世代スラッシュ・メタル・バンド勢の台頭で注目を集めるギリシャはキアトにおいて、'09年に結成。
'10年に入り、アレックス(Vo)、クリスP(B)、パナヨティス(G)、クリスT(G)、ジョージ(Ds)というラインナップが揃うとバンド活動が活性化。デモ音源のリリースやスプリット・アルバム『3 WAYS OF THRASHERS』に参加して地歩を固めると、'11年には自主制作した1st『UNDER DESTRUCTION』を、アテネのインディーズATHENS THRASH ATTACKからリリースする。
同作が国内外で評判となったことから、新たにドイツのMDD RECORDSと契約を交わしたバンドは、'13年にはプロデューサーにジョージ・ボコスを迎えて2nd『THE BRUTAL STATE』(2nd)を発表。彼らはこのアルバムで日本デビューも飾っている。


Exarsis - New War Order ★★★ (2017-12-06 22:16:14)

シンガーを交代して2作目、通算では4作目ともなるスタジオ・アルバム。(’17年発表)
そろそろ中堅バンドの仲間入りというキャリアを積み重ねながらも、バタバタと落ち着きのない、どこかB級感漂うスラッシュ・サウンドは相変わらず。と言ってもこれは貶しているわけじゃなく、寧ろ褒め言葉。演奏はキレキレですし、普通デビュー当時の初期衝動は作を重ねる毎に貫禄や整合性といった要素に上書きされていくものですが、このバンドの場合はラフい音質の下、ハイテンションで歌いまくるVo、マシンガン・リフを間断なく吐き出すG、せかせか忙しないリズム、テンポ良く炸裂する威勢の良い野郎コーラスetc.と、未だ(良い意味で)「スラッシュ小僧」感を保ち続けててくれているのだから貴重ですよ。
イントロ序曲①をブチっと強引に断ち切って②が突っ走り始める、笑っちゃうぐらい荒っぽい導入で掴みはOK。その後も猛然とラッシュを仕掛けて来る③、これまたインスト小曲⑤が前置きに用意された⑥の激烈メドレーが続き、締めは7分越えの大作ながら、メロディックに駆け巡るツインGをフィーチュアして一気呵成に畳み掛ける⑨。そしてバンドのルーツを詳らかにするSLAYERとRAZORの好カヴァー⑩⑪がボーナス・トラックとしてオマケ収録されているという、全編に亘ってひたすら前のめりな姿勢が貫かれた1枚。
各曲にフックを構築する2本のGの活躍ぶりや、「一発キメたロブ・ハルフォード」てな風情のハイピッチ・シンガーがメロディを追えることもあって、ふとFORBIDDENの1stアルバムのことが頭を過りました。あちらよりも大分荒々しい感じですが。
今後もその意気で走り続けてくれることを切に期待致します。


Exarsis - New War Order - Human Project ★★★ (2017-12-08 00:28:15)

前作のタイトル・トラックがここに収録されている理由は不明。
本編の幕引き役に相応しく7分以上に及ぶ大作ですが、
鋭利なリフ、小回りの利くリズム、アッパーなVoが緊迫感を伴い
一塊に突っ走って、勿体ぶった雰囲気が皆無なのがこのバンドらしい。
ただよくよく聴くとVoはハイピッチを活かしてメロディを
歌っていますし、何より劇的にハモりながら駆け抜けて行く
ツインGが、楽曲が持つドラマ性を効果的に高めてくれています。


Exarsis - New War Order - Twisted Logic ★★★ (2017-12-08 00:23:02)

普通、序曲とそれに続く楽曲ってのはシームレスに
繋がって行くもんだと思うのですが、ここでは曲と曲の継ぎ目が
くっきりと露呈していて、「いいんだよ、細けぇことは!」
というノリ一発(雑な)姿勢が微笑ましくて良い。
濁声とハイトーンを使い分けテンション高く迫るVo
Gリフを痙攣気味に刻み倒したかと思えばソロは劇的に響かせるツインG、
それらを乗せてわっせわっせと一心不乱に突っ走るリズムとが畳み掛ける
炸裂感に溢れたOPに打ってつけのスピード・ナンバー。


Exarsis - Sentenced to Life ★★★ (2022-06-16 00:30:24)

作を重ねても落ち着く気配が全然ない、メタル馬鹿っぽさを漲らせながら全力疾走を続けるギリシャのEXARSISが、こっちが知らぬ間にリリースしていた5thアルバム(’20年発表)。いやマジでいつの間に出てた?
このCD不況の折、無事国内盤が発売されただけでも寿ぐべきこととはいえ、解説もついてないソリッド過ぎる仕様はそりゃないぜと。なので、かつてSUICIDAL ANGELSへと去った筈のクリス・T(G)がしれっとバンドに出戻った理由については不明のままなれど(脱退以降も両者は良好な関係を保っていたようですが)、一聴してすぐに分かるのは、鼓膜をつんざくハイピッチVo、手数多めに押し込んでくるリフ&リズムを軸としたサウンドのけたたましさには微塵の変化もないこと。
キャリアを積んだスラッシュ・メタル・バンドにとってスピード・ダウンは避け難い宿命みたいなものとはいえ、彼らの場合、アッパーなテンションとドタバタ忙しない疾走感はそのままに、Voが歌うメロディと、楽曲を彩る劇的なツインGハーモニーをこれまで以上に増量することで、ストレートなスラッシュ・メタルから、EXCITER辺りに通じるスピード・メタル・スタイルへと自然にシフト・チェンジを果たしています。
挨拶代わりにOPからブッ飛ばす①②に始まり、ムーディなインスト・ナンバー⑥から破れかぶれな激走へと転じる⑦を経て、メロディックなツインGに先導される形で突っ走ってアルバムを締め括る⑪に至るまで、ほぼスピード・ナンバー一色に塗り固めれた本編を聴くにつけ「上手いこと年齢を重ねてるなぁ」(老成という意味ではなく)と感心させられる1枚。


Exarsis - Sentenced to Life - ...Against My Fears ★★★ (2022-06-17 00:45:07)

ムーディなインスト・ナンバー“THE DRUG”をイントロ代わりに
スタート。メロディアスな前半はミドル・テンポで抑え気味ながら、
中盤からは血管切れそうな勢いでシャウトをひり出すVo及び全楽器が
アクセルべた踏みで猛加速。スラッシュ魂にボッと炎を点火してくれます。


Exarsis - The Brutal State ★★★ (2013-10-15 23:16:39)

日本デビュー作ともなった'13年発表の2ndアルバム。
1st『UNDER DESTRUCTION』最大の欠点だった安普請のプロダクションが劇的な改善を遂げ、オーラ0だったジャケット・アートワークもVEKTORやMUNICIAL WASTEとの仕事で知られるアンドレイ・ボウジコフが手掛けることによって大幅グレードアップ。加えて、刺々しくドライでキャッチーなリフ&リズムが「トルクより回転数で勝負!」とばかりに高速で畳み掛ける収録楽曲には、『UNDER~』を凌駕せんとする前のめりな威勢の良さが漲っているのですから素晴らしい。
それと今回、アコギ序曲のしじまをブチ破って猛突進へと転じる②や、本編最高速度を誇る④、それに1st収録の代表曲をより強力にリメイクした⑤といった優れたスラッシュ・ナンバーの数々を聴いて驚かされるのが、Voの著しい成長っぷり。前作では割とありがちなシャウト・スタイルだったのに、ここでは全編に亘って金属質なハイピッチ・スクリームを繰り出していて、もはや別人と聴き紛う逞しさ。
このハイテンションなVoに、メロディアスに焦燥感を煽り立てるツインG、コール&レスポンスを喚起する雄々しい野郎コーラス、そして猛烈に肉体に訴えかけて来るノリの良さが豪快にトッピングされたスラッシュ・サウンドは、ボーナストラックのEXODUSとNUCLEAR ASSUALTのカヴァー⑪⑫の存在が端的に示す通り、確かに「もし初期EXODUSにNUCLEAR ASSAULTのジョン・コネリーが加入したら?」的な味わいが漂ってきます。
前作から弱点を改善し長所を伸ばした、文句なしの1枚。


Exarsis - The Brutal State - Dying Earth ★★★ (2013-10-16 22:24:09)

キャッチーな疾走感とキビキビとしたノリの良さを
併せ持つ、ANTHRAX風味のスラッシュ・ナンバー。
1stアルバム収録曲のセルフ・リメイクですが、
音質、Voの迫力、楽器陣の演奏の精度、
それにアレンジの練り具合まで、完成度は段違いに増しています。
(サイレン音を取り入れた楽曲にハズレなし)
歌詞には「EXARSIS」という言葉も登場しますし、
バンドの代表曲なんでしょうかね。


Exarsis - The Brutal State - Mind Poisoning ★★★ (2013-10-16 22:16:43)

エンジンふかし過ぎてタイヤが空転するのもなんのその、
アクセルべた踏みで突っ走る突撃スラッシュ・ナンバー。
ハイテンションで叫び倒すVoとメロディアスに疾走する
ツインGも切迫感を煽ってくれます。


Exarsis - The Brutal State - Vote for Crisis ★★★ (2013-10-16 22:19:09)

疾走感にかけてはアルバム収録曲中、1、2を
争うハイスピード・ナンバー。
でありながら、キャッチーさを失っていないのが
このバンドの良いところ。
随所で炸裂する掛け声コーラスが
良い感じに高揚感を盛り上げてくれます。


Exarsis - The Human Project ★★★ (2015-07-06 00:10:42)

メンバー5人中3人が脱退するという、バンドによっては致命傷にもなりかねない大幅な編成替えを経て、'15年に発表された3rdアルバム。それでいて音楽性は拡散することなく、寧ろその切っ先を益々鋭く研ぎ澄ませて健在です。
ジタバタと焦燥感を伴い喧しく炸裂する①、硬質に畳み掛けて来る④、アグレッシブな中にもキャッチーさを宿らせた⑩等、従来の「80年代型スラッシュ・メタル」のフォーマットをブレずに受け継ぎつつ、本作はプロダクションの強度が増したことで、リフ&リズムの切れ味、野郎コーラスの迫力、そしてメロディックに閃くGソロの鮮烈さetc・・・が、一層ダイレクトに伝わって来るようになりました。また「元メタル雑誌のライター」というユニークな出自の新Voが、前任者ほどのクレイジーネスを感じさせない代わりに、よりコントロールされたハイピッチ・シャウトを提供。
結果として、熱に浮かされたような破天荒さは薄れてしまったかもしれませんが、その分、サウンドの方には(若干ながらも)整合性が出て来て、取っ付き易さが増したかなと。中でもリードBに導かれて突っ走るパートの勇ましさが際立つ⑧は、彼らの今後の進むべき方向性を示唆するかのような名曲です。
バンドのLIVE FOR THRASH, DIE FOR THRASHな心意気が全編に漲る充実作。


Exarsis - The Human Project - Skull & Bones ★★★ (2015-07-11 22:59:53)

陰謀論でお馴染みの秘密結社について歌ったスラッシュ・ソング。
攻撃的ハイピッチVoを持ち味としながらも
メロディをなぞっても歌えるニュー・シンガーの
存在が活かされた、本編中にあってはパワー・メタリックな
感触も味わえる名曲。オフィシャル・ビデオを制作していることからも
バンド側のこの曲に対する手応えの確かさが感じられますね。
リードBと共に走り出すパートのカッコイイこと。


Exarsis - The Human Project - The Brutal State ★★★ (2015-07-11 23:07:09)

キャッチーさを伴って、歯切れ良く
跳ねるように疾走する曲調と、
合唱を誘う威勢のいいコーラスが
ANTHRAX辺りを彷彿とさせる本編ラスト・ナンバー。


Exarsis - The Human Project - The Human Project ★★★ (2015-07-11 23:15:04)

3rdアルバム表題曲にしてOPナンバー。
嵐のように吹き荒れるリフ&リズムの絨毯爆撃、
脳天から突き抜けるようなハイピッチVo、
目まぐるしく駆け巡るGソロが怒涛の如く聴き手を煽り立て、
居ても立ってもいられない気分にさせてくれる曲調は
実に「スラッシュ・メタルらしさ」に満ち溢れています。


Exarsis - Under Destruction ★★ (2013-10-12 00:10:15)

ギリシャ出身の5人組スラッシュ・メタル・バンドが、アテネのインディーズATHENS THRASH ATACKから'11年にリリースした自主制作の1stアルバム。
いかにも「身近な知り合いにちゃちゃっと描いて貰いました」感漂うチープなジャケット・アートワークと、ダビングを繰り返した聴き古しのカセットテープの如き劣悪な音質とが、リスナーの聴く意欲を著しく削いでくれますが、それさえ乗り越えられれば(高過ぎるハードルだけれども)、収録曲の出来は非常にハイクオリティで驚かされます。
デモテープでWHIPLASHの名曲“POWER THRASHING DEATH”をカヴァーしていることからもこのバンドの趣味嗜好は明らかで、音程無視のシャウト型Vo、ササクレたGリフ、突っ込み気味のリズムとが「止まったら死ぬ!」とばかりに前のめりな生き様を炸裂させまくったスラッシュ・サウンドは、野生動物ばりの猪突猛進ぶりと共に、すこぶるつきのキャッチーさも提示。バンドが秘めた高いポテンシャルをギラリと輝かせます。
スラッシュ馬鹿ぶりダダ漏れの④⑦、バンドのテーマ曲⑤を筆頭に、奔放に弾きまくりつつ、ギリシャ人らしい(?)メロディ・センスも垣間見せるGソロをフィーチュアして、ノリ良く/歯切れ良く/気持ち良く突っ走って、ランニング・タイムは30分弱。
明らかにマニア向けですが、個人的には愛すべき1枚。


Exarsis - Under Destruction - The Return ★★★ (2013-10-14 20:36:56)

ランニング・タイムは2分台とコンパクトですが、
前のめりな疾走感、キャッチーなノリの良さ、
高揚感を煽る掛け声コーラス、それに印象的なGソロと、
このバンドの魅力が全て凝縮されていると
いっても過言ではない、アルバムのハイライト・ナンバー。


Exarsis - Under Destruction - Thrash Is Back ★★★ (2013-10-14 20:30:54)

タイトルからして若気の至り感炸裂しまくりな、
スラッシュ・メタル・バンドのデビュー作に
収録されるに相応しい逸品。
攻撃的でありながら、ノリ易いキャッチーさも備えた
実にこのバンドらしい仕上がりです。


Excalibur(france) - Fils Vengeur ★★★ (2023-02-06 23:23:23)

バンド名はX-CALIBERでもEXCULIBERでもなくEXCALIBUR(間違い探しか)。80年代初頭のフレンチ・メタル・シーンで頭角を現し、一時はベルギーのMAUSOLEUM RECORDSと正式契約寸前まで漕ぎ着けたらしいですが、主要メンバーの脱退等で活動が軌道に乗らず、結局アルバム・デビューを果たせぬまま解散してしまったという4人組。本作は彼らが残した幻のデモテープ『FILS VENGEUR』(’84年)を始め、貴重なライブ音源等を取りまとめて収録した特別編集盤…なのかな?
フレンチ・メタル熱が盛り上がっていた時期に行きついた作品で、ファンタジックなバンド名とは裏腹に、神秘さの欠片もねぇジャケット・アートワークは海原雄山が「このイラストを書いたのは誰だあ!!」と怒鳴り込んできそうなヘボヘボ具合ですし、元がデモ音源だけにプロダクションのショボさも相当なもんですが、しかしそれを補って余りあるぐらい楽曲がカッコ良いんですよ。目玉はやはり『FILS VENGEUR』収録曲で、NWOBHMのみならず当時台頭し始めていたスピード/スラッシュ・メタル勢からの影響も咀嚼したアグレッション撒き散らかす楽曲、分けてもササクレた音色で刻まれるGリフに荒々しく突っ走るリズム、自棄っぱちなハイトーンVo(歌詞は当然フランス語)が一丸となって畳み掛けるJUDAS PRIESTとEXCITERを足して2で割ったようなOPナンバー①と、「タガが外れたACCEPT」といった趣きの⑤は頭抜けたインパクトを放っています。
一応’07年に再結成しているらしいですが、以降も作品発表には至ってないので、「アルバム・デビューして欲しかったな」と思わずにはいられない1枚。


Excalibur(france) - Fils Vengeur - Fils Vengeur ★★★ (2023-02-10 00:15:56)

EXCALIBURの代表曲。リマスターしようが元がデモなので
音質の改善具合はたかが知れていますが、忙しなく刻まれる
Gリフ、ガムシャラに突っ走るリズム、劇的に舞うインスト・パートの
カッコ良さには「それがどうした」と思わされるだけの
魅力が備わっていますよ。


Excalibur(frence) - Fils Vengeur ★★★ (2023-02-06 23:23:23)

バンド名はX-CALIBERでもEXCULIBERでもなくEXCALIBUR(間違い探しか)。80年代初頭のフレンチ・メタル・シーンで頭角を現し、一時はベルギーのMAUSOLEUM RECORDSと正式契約寸前まで漕ぎ着けたらしいですが、主要メンバーの脱退等で活動が軌道に乗らず、結局アルバム・デビューを果たせぬまま解散してしまったという4人組。本作は彼らが残した幻のデモテープ『FILS VENGEUR』(’84年)を始め、貴重なライブ音源等を取りまとめて収録した特別編集盤…なのかな?
フレンチ・メタル熱が盛り上がっていた時期に行きついた作品で、ファンタジックなバンド名とは裏腹に、神秘さの欠片もねぇジャケット・アートワークは海原雄山が「このイラストを書いたのは誰だあ!!」と怒鳴り込んできそうなヘボヘボ具合ですし、元がデモ音源だけにプロダクションのショボさも相当なもんですが、しかしそれを補って余りあるぐらい楽曲がカッコ良いんですよ。目玉はやはり『FILS VENGEUR』収録曲で、NWOBHMのみならず当時台頭し始めていたスピード/スラッシュ・メタル勢からの影響も咀嚼したアグレッション撒き散らかす楽曲、分けてもササクレた音色で刻まれるGリフに荒々しく突っ走るリズム、自棄っぱちなハイトーンVo(歌詞は当然フランス語)が一丸となって畳み掛けるJUDAS PRIESTとEXCITERを足して2で割ったようなOPナンバー①と、「タガが外れたACCEPT」といった趣きの⑤は頭抜けたインパクトを放っています。
一応’07年に再結成しているらしいですが、以降も作品発表には至ってないので、「アルバム・デビューして欲しかったな」と思わずにはいられない1枚。


Excalibur(frence) - Fils Vengeur - Fils Vengeur ★★★ (2023-02-10 00:15:56)

EXCALIBURの代表曲。リマスターしようが元がデモなので
音質の改善具合はたかが知れていますが、忙しなく刻まれる
Gリフ、ガムシャラに突っ走るリズム、劇的に舞うインスト・パートの
カッコ良さには「それがどうした」と思わされるだけの
魅力が備わっていますよ。


Excess (2018-02-23 23:39:32)

80年代に活躍したフランスのHR/HMバンドは、海外にまで伝わって来る情報が少なく、このバンドもまた然り。 ‘83年にフランスはシェール県ブルージュで結成。80年代に2枚のスタジオ・アルバム(1stのプロデュースを担当したのはSATAN JOKERのドラマー、ルノー・ハントソンだった)を、90年代に1枚のEPを発表するも、レーベルの後押しを受けられずに21世紀を迎える前に解散したことぐらいしか、調べてみても分からない。
あとシンガーだったジャン・ルイ・トゥーブノとドラマーのアラン・トゥーブノ(兄弟?)は、'07年と'08年にそれぞれお亡くなりなっていて、’17年にNO REMORSEからリリースされた再発盤は、彼らに捧げられているという。


Excess - Melting Point ★★★ (2018-02-23 23:40:15)

フランスはシェール県ブルージュ出身で、アルバム2枚(とEP1枚)を残して解散した今もオリジナルLPの中古盤が高値で取引される等、マニア筋から根強い支持を受ける5人組が'86年に発表した1stアルバム。
夢見が悪くなりそうな人相の悪い兄ちゃんが描かれたジャケットだけだと、オカルト/サタニック・メタルでも演ってそうな感じを受けますが、実のところ、JUDAS PRIESTの“THE HELLION”か、はたまたY&Tの“FROM THE MOON”かというツインGによる重厚なイントロで幕が上がる本作で聴くことが出来るのは、オーソドックスな正統派HMサウンド。(フランスのバンドには珍しく歌詞は全曲英詞です)
良好とは言い難いプロダクションと、煮え切らないウェットな声質のシンガーの歌唱が相俟って、全体的に小ぢんまりとしていて些か音に迫力は欠けますが、聴き手の期待を煽るドラマティックなイントロからテンポアップして切り込んで来る①⑧という、なかなかの名曲ぶりを発揮するナンバーを本編の最初と最後に配置。その合間にもノリ良くアグレッシブな③、RAINBOWを思わす重厚な④、メロディアスなミッド・チューン⑤、哀愁を帯びたメロディが疾走する⑥等、粒の揃った収録曲が引きも切らず繰り出される本編は、マニアから愛されるのも納得の完成度の高さという。
「フランス語はメタルに合わない」という決まり文句の下、ここ日本では正当に評価されたとは言い難い80年代フレンチ・メタル・シーンですが、実際は数多くの優れたバンドが群雄割拠していたという、その充実っぷりを裏付けてくれる名盤の一つではないかと。


Excess - Melting Point - Foreign Lands ★★★ (2018-02-26 00:08:21)

JUDAS PRIESTの“THE HELLION”や、Y&Tの“FROM THE MOON”を
思い出さずにはいられない、重厚なGによるイントロだけで
名曲の貫禄は十分。こぢんまりとしたプロデュースのせいで
今一つ問答無用の迫力には欠けますが、憂いを帯びたメロディと、
劇的に駆け巡るツインGとを乗せて疾走する楽曲自体は十分にカッコ良い。


Excess - Melting Point - The Game ★★★ (2018-02-26 00:12:51)

アルバムのトリを務めるナンバーで、これまたKeyと
泣きのGの共演によるイントロだけで名曲の貫禄は十分。
勿論、ウェットな声質のVoが歌う、透明感を湛えた哀メロが
軽快に疾走するイントロ後の曲展開だって
こっちの期待を裏切るものではありません。
Voに負けじと歌うGソロがまた素晴らしい。


F.K.U. (2015-03-18 23:21:41)

S.O.D.の活動に触発され、'87年に結成されたという古参スラッシュ・メタル・バンド。
現メンバーは、元MIDAS TOUCHのパトリック・スポロング(B)、DARKANEのローレンス・マックローリー(Vo)、WUTHERING HEIGHTSのテディ・モーラー(Ds)、LOST SOULSのピーター・ランス(G)と腕利き揃い。その代償として継続的な活動を行うことが難しかったようなれど、過去にリリースした4枚のスタジオ・アルバムは何れも高評価を獲得し、'13年発表の4th『4:RISE OF THE MOSH MONGERS』では待望の日本デビューも飾っている。


F.K.U. - 1981 ★★★ (2018-02-06 22:51:24)

楽曲の題材選びから、全身に血塗れメイキャップを施したメンバーの扮装まで、「ホラー・スラッシュ」を標榜するスウェーデンの5人組が'17年に発表した5thアルバム。
キレッキレなGリフ、機動力に富むリズム、メロディも追えるハイピッチVoという、抜群の安定感を誇るパフォーマンスがスクラムを組み、ランニング・タイム2~3分台とタイトにまとめ上げられた高速ナンバーが次から次へと畳み掛ける、速戦即決のスラッシュ・メタル…という基本スタイルは勿論継続。但しGソロが殆ど聴かれなかったり、前作『4:RISE OF THE MOSHERS』に比べるとややクロスオーバー方面に揺り戻されている感有り。
ヘドバンに興じてるうちにアッという間に聴き終っているという、頭よりも体で楽しむタイプの作品であり、1曲1曲のインパクトはそれほどでもない…かと思いきや。歌詞のテーマに『バーニング』『13日の金曜日PARTⅡ』『ローズマリー』『ゾンビ3』etc.といった1981年に撮られたホラー映画の名作(もしくはポンコツだけど愛される迷作)を取り上げることで、各曲のキャラ立ちを明快にしてしまうという仕掛け。ジャンル映画ファン的には、『バーニング』のバンボロって誰だよ?とか、『ローズマリー』のトム・サヴィーニの殺人芸術は見事だったなとか、思わず1曲毎に語りたくなってしまいますよ。楽曲的には、アルバム全体のテーマ曲でもある①、炸裂感に溢れたサビメロにアガる④、「キ・キ・キ…マ・マ・マ…」コーラスまで組み込んだ⑤、歌えるVoが活かされた⑧、歌詞的にも曲調的にも見事にハマったDEATHのカヴァー⑮辺りのカッコ良さが特に印象的。
次はもうちょい早いペースで出してね、と思わずお願いしたくなる充実作です。