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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1901-2000

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1901-2000
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F.K.U. - 1981 - Corpse Mania ★★★ (2018-02-06 22:57:02)

2分に満たないランニング・タイムを一気呵成に突っ走る
身も蓋もないスピード・ナンバーですが、
高速で刻まれるGリフのカッコ良さや、
一度聴いただけで耳に残る印象的なコーラスや、
それをド迫力で歌うVoの実力の高さがハッキリと示された
非常に濃密な仕上がり。


F.K.U. - 4: Rise of the Mosh Mongers ★★★ (2015-03-18 23:23:31)

「フレディの下着」なる人を食ったバンド名や、ジョージ・A・ロメロの『ランド・オブ・ザ・デッド』を思わせるアートワーク、それに映画や尽きせぬスラッシュ愛を題材に取った歌詞のアイデアが物語る通り、「ホラーとスラッシュ・メタルの融合」をコンセプトに掲げたスウェーデンの4人組が'13年に発表した4thアルバム。
瞬間風速ナンバー“THE UBERSLASHERS”シリーズを含む全20曲もの楽曲を擁する等、クロスオーバー・スラッシュの薫りをそこかしこに漂わせつつも、全体を見渡せば、タイトな中にも緩急を飲み込んだダイナミックな曲展開や、ソロでもきっちり自己主張するメタリックなG、そしてメロディも歌えるハイトーン・シンガーの存在等、ここに来てますます正統派のメタルへと接近。例えば②なんて、勇壮なサビメロがジャーマン・パワーメタルを彷彿とさせるほどですよ。
映画のOPを思わせる大仰なイント①がくっ付けられた、スラッシュ・アンセムちっくな曲調に気分が高揚する②、抑えた前半から解き放たれたように爆発的疾走へと転じる後半が血管ブチ切れモノのカッコ良さな⑰は、特にこのバンドの魅力全開の逸品。
4枚目にして漸く国内盤のリリースが実現したこともあり、F.K.U.入門書にするなら先ずは本作からどうぞ。


F.K.U. - Where Moshers Dwell ★★★ (2015-03-19 23:21:11)

メンバーの気合の入ったコスプレ姿から、ブックレットに載せられた「MISTRESS OF MOSH AGENT」誕生秘話を描いたコミック、あと歌詞は勿論のこと、D.R.I.をパロったロゴマークまで、ホラー映画とクロスオーバー・スラッシュへの深い愛情を示す、FREDDY KRUEGER'S UNDERWEARことF.K.U.が'08年に発表した3rdアルバム。
本家『エルム街の悪夢』でフレディ役を演じたロバート・イングランドによる、芝居がかった前口上で雰囲気たっぷりにスタートを切る本作は、全16曲で収録時間は30分台、瞬間風速ナンバーを収録し、Gソロも殆どなし・・・と、典型的クロスオーバー・スラッシュ・スタイルを採用。その一方で、例えば②③④⑧⑨⑯といった楽曲に明らかな通り、ラリー・リーサルのメリハリの効いた歌唱や、鋭くエッジの切り立ったマシンガンGリフと、緩急を飲み込むアタッキーなリズムは正統派スラッシュとして存在感を主張しまくり。特にGソロ有りの本編最速ナンバー④は「サイレン音を取り込んだ楽曲にハズレなし」という自説を補強してくれる名曲ですよ。
国内盤も出た4thが気に入った人なら、必ずや本作もピンと来るはず。


FAITHEALER (2011-06-21 22:47:40)

「日本のHR/HMファンがいなかったら、今の自分のキャリアはなかったし、
それどころか、メロディアスHRすら生き延びられなかったと思う」

と、アイヴァン・ガンが語ってくれていたBURRN!!誌のインタビューを読んで
「嬉しいこと言ってくれるじゃないのさ。そこまで言ってくれたなら、
こりゃアルバム買わんわけにはいかんでしょう!」と
思わず購入してしまったFAITHEALERの1stアルバム。
捨て曲なしの力作でしたよ。


FAITHEALER - Welcome to the Edge of the World ★★★ (2011-06-21 22:28:12)

BALANCE OF POWERやPRIDEといったバンドで、日本人好みの叙情HRサウンドをクリエイトし続けて来たにも関わらず、今ひとつその実績に見合った成功を享受できていない印象の苦労人アーティスト、アイヴァン・ガン(Key)が、元S.I.N.のフロントマン、ジェイソン・マークス(Vo)と組んで新たに立ち上げたプロジェクトのデビュー作。('10年)
このアルバムとて贔屓目に見ても話題になったとは言い難いわけだが、クオリティに関しては(これまでのアイヴァンが手掛けてきた作品がそうであったように)保証書付きの見事さ。楽曲の方向性はPRIDEをもっとハード且つドラマティックにしたような感じで、それを華やかに彩るのが、美しいボーカル・ハーモニーと、重厚且つキャッチーなKeyサウンド、クセのないクリアで伸びやかなジェイソンの歌声、それに元PRIDEのメンバーでもあったクリス・グリーンの劇的な構築美を湛えたGプレイの素晴しさ。
映画のサントラを思わせる壮大な序曲から繋がる②なんて、そうした要素が絶妙に絡み合いつつ展開していく、まさにOPを飾るに相応しいドラマティックな名曲ですよ。
それにしてもクリスのGプレイは素晴しいったら。ラルフ・サントーラ辺りを彷彿とさせるメロディの組み立ての巧さといい、聴いてると胸掻き乱されずにはいられない絶品の表現力といい、ゲスト参加にも関わらず本編の主役的存在感を発揮しまくり。
これほどの逸材が、今じゃ「正統派HR/HMじゃ食っていけないから」とモダンなヘヴィ・ロックを演ってるってんだから、世の中何か間違ってる・・・。


FAITHFUL BREATH - Gold 'n' Glory ★★★ (2015-04-08 23:12:13)

人に歴史あり。と言っても、RISKのハイミィ・ミークス(Vo、G)の過去に興味を持つHR/HMファンが日本にどんだけいるのかっつー話ですが。
RISKの前身として知られるFAITHFULL BREATHは、70年代にプログ・ロック・バンドとしてスタートを切るも、アルバムを重ねる毎にアグレッシブに研ぎ澄まされて行き、ウド・ダークシュナイダー&マイケル・ワグナーをプロデューサーに迎えた'84年発表の本作(5th)では、コスプレ姿も勇ましいルックスから雄々しく突き進む楽曲まで、いよいよ立派なヴァイキング・メタル・バンドへと(RUNNING WILDよりも一足お先に)変貌を遂げるに至りました。
まぁジャケットをよく見りゃ、ガレー船の竜は富永一朗先生(お笑いマンガ道場)が描いたような面してたり、船内に張られたテントが紅白模様だったり、そもそも船が空飛んでたりと、アバウト極まりないヴァイキング像だったりするんだけども。心意気は十二分に伝わって来るので無問題。
何より、メロディックなツインGの援護射撃の下、ハイミィがガラッパチに歌い上げる収録楽曲が、そんな些事への拘りを忘れさせてくれる素晴らしさなのですよ。鋭角的なGリフとキャッチーなメロディの組み合わせが秀逸なOPナンバー①や、無心でフィスト・バンギングに興じたくなる⑥、炸裂感溢れる③⑧等のアッパーな楽曲も最高なのですが、ACCEPTばりの掛け声コーラスに血沸き肉踊る②、戦いにくたびれた中年親父の哀愁漂うバラード④、勇ましさの中に落とし込まれた憂いにグッと来る⑤といった、ミドル/スロー・チューンもハートにズドンと突き刺さる出来栄え。
全8曲で収録時間は30分台、不器用でも簡潔明瞭にHMの魅力を謳い上げた1枚。MAUSOLEUM RECORDSからのリリースは伊達じゃない!と。


FAITHFUL BREATH - Gold 'n' Glory - A Million Hearts ★★★ (2015-04-09 23:19:40)

Gが切々と紡ぐメロディにグッとくる男泣きバラード。
巧いだけでは決して醸し出せない「味」を湛えた
ハイミィ・ミークスのオヤジの哀愁を伝える
歌唱も胸に沁みます。


FAITHFUL BREATH - Gold 'n' Glory - Don't Feel Hate ★★★ (2015-04-09 23:11:59)

プログレッシブ・ロックに始まり
ハードブギーを経て、FAITHFUL BREATHが
HMに辿り着いたことを物語る
鋭利にしてキャッチーな5thアルバムOPナンバー。
キメフレーズからソロまで
Gが非常に良い仕事してますね。


FAITHFUL BREATH - Gold 'n' Glory - Gold 'n' Glory ★★★ (2015-04-09 23:25:26)

ACCEPT辺りに通じる、いかにもドイツ産パワー・メタル然とした
重厚なミッド・チューンですが、サビメロから滲み出す
「戦う漢の哀愁」とでも言うべき憂いを帯びたメロディに
ハッと胸を打たれます。


FAITHFUL BREATH - Live ★★★ (2019-03-13 23:46:19)

後にRISKへと転生を果たすこととなる、ハイミィ・ミークス(Vo、G)が率いた「早過ぎたヴァイキング・メタル・バンド」こと、ドイツのFAITHFUL BREATHが'86年にNOISE RECORDSから発表し、惜しくも最終作となってしまった実況録音盤。タイトルはズバリ『LIVE』。シンプルでソリッド、飾り気はなくとも熱い心意気が詰まった本作に相応しい単刀直入なタイトルではないでしょうか。
‘85年に行われた欧州ツアーから、複数会場のライブの模様をピックアップ。響き渡る野郎共の野太い歓声とヴァイキング音楽風のSEに導かれ、勇ましくもどこか物悲しい名曲①が重厚に炸裂するOPだけで、こちとら胸のエンジンにボッと火が点りましたよ。但し本編は1曲毎にフェードアウトするぶつ切り構成。そのため盛り上がりに水を差されること夥しいのですが、それでも、タイトル通りの猛々しさで突っ走る②は荒っぽく、ヘヴィな④は堂々と、ドラマティックな泣きのバラード⑤はオヤジの哀愁ダダ漏れに切々と…といった具合に、ヒゲ面&ヴァイキングのコスプレというムサ苦しさ満点の風体に相応しい、ガラッパチな熱唱を轟かせるハイミィのVoや、ソロ・タイム⑥やJUDAS PRIEAST型疾走ナンバー⑨でテクニカルな演奏を閃かせるシロ・ハーマンのGプレイが所狭しと暴れ回る楽曲には、スタジオ版を大きく凌駕するライブならではの熱量が渦を巻き、大合唱を呼び起こすラスト・ナンバー⑩まで、前述の欠点を補ってお釣りが来る勢いをキープしてくれています。
BURRN!!誌レビューで、あの酒井前編集長をして「ファンになってしまいそう」と言わしめたクオリティは伊達じゃねえぞと。


FAITHFULL - LIGHT THIS CITY ★★★ (2023-08-24 00:17:41)

隣国スペインに比べるとHR/HMシーンにおいては今一つ存在感が薄い(失礼)ポルトガル出身で、当時91 SUITE、COASTLINE、AIRLESS等々のメロハー系優良バンドを抱えていたVINNY RECORDSとの契約を得た4人組FAITHFULが'03年に残した1stアルバム。
南欧出身と聞くと、どうしてもクサメロやコブシといったラテン・フレーバーを期待してしまうのが人情ですが、本作にその手のドメスティックな要素は皆無。キャッチーで伸びやかなコーラス・ワークを配し、明るい曲調の中から仄かに滲み出す「切なさ」に胸をくすぐられる秀逸な楽曲が揃ったアルバム前半①~④の流れが示す通り、ここで聴かれるのは哀愁と爽快感がポップにブレンドされたメロディアスHR。BON JOVI似のハスキーボイスを駆使して情熱的に歌い上げるVo、⑨のソロ・パートを始め、ウェットなメロディを一音一音丁寧に紡ぎ出すGを両軸に展開される洗練されたサウンドには、JOURNEYの大ヒット・アルバムを思い起こさせるバンド名と、都市の夜景を切り抜いたアートワークがよく似合う。殊に、憂いを湛えて走り抜けるハード・ナンバーっぷりで本編にメリハリを加える⑥と、「ここに音が欲しい」というスペースを的確に埋めてくれるKeyの良い仕事が光るハードポップ・チューン⑨は鮮烈な印象を残してくれる逸品ではないかと。
ハッタリの効いた楽曲や派手な演奏をぶちカマすプレイヤーを擁するわけではなく、人によっては「地味」とも受け取られかねない堅実な作風なれど、サウンドを構成する要素一つ一つを丁寧に磨き上げた結果、付け入る隙のない完成度を有するに至ったメロハーの好盤。それだけに、これ1枚きりでバンドが消滅してしまったのが残念でなりません。


FAITHFULL - LIGHT THIS CITY - You Won't Get Me Now ★★★ (2023-08-25 01:23:39)

愁いを帯びて疾走するHRナンバー。
Voの声質もあってやはり1st~2ndの頃のBON JOVIを
彷彿とさせますが、それが悪いなんてことはある筈もなく
むしろ個人的には最上級の誉め言葉ですよ。


FAKE I.D. - Dreaming Ezekiel ★★★ (2023-12-26 01:02:09)

QUEENSRYCHEの名作『OPRERATION:MINDCRIME』でシスター・メアリー役を担当していた女性シンガー/ソングライターのパメラ・ムーア・バロウと、ヴァン・モリソンの元嫁だという(マジで?)ジャネット・ミントによって立ち上げられたAORプロジェクト、FAKE I.D.が’97年にMTM MUSICに残した唯一のアルバム。(歌っているのは2人ではなくジーン・ミラーなる男性シンガー)
このコンビの仕事といえば、真っ先に思い出されるのは北欧メタル史に燦然と輝く名盤、ALIENのデビュー作で収録曲のほぼ全てを手掛けていたことですが、本作に託されているサウンドもあのアルバムと同一のハードポップ路線。実際“TEARS DON’T PUT THE FIRE”と“GO EASY”のセルフ・カヴァーも収録されていますし。但し“DREAMER”のような北欧様式美系のハード・ナンバーは見当たらないので、一口にALIENのデビュー作といっても、オリジナル・バージョン(青盤)よりは、日本盤も発売されたワールドワイド・デビュー・バージョン(赤盤)の方に近い仕上がりと言えるやもしれません。
まぁ何にせよ、腕に覚えのあるソングライター・コンビに、ジム・ジッドヘッドやピート・サンドベリに勝るとも劣らぬ上手いシンガーが加われば鬼に金棒、その完成度の高さは推して知るべし。特にヒット・ポテンシャルもライブ映えもバッチリなOPナンバー①は、聴き手を一気に本編へと惹き込んでいく説得力を持ったハードポップの名曲。ホント月並みな台詞ですが「世が世なら…」と思わずにはいられませんよ。
リリースが90年代だったことが、本作の唯一にして最大の不幸じゃないでしょうか。


FAKE I.D. - Dreaming Ezekiel - Above And Beyound The Call Of Love ★★★ (2023-12-27 00:49:18)

アルバムのOPを飾るハードポップ・ナンバー。マーク・フリーやVENUS & MRSを
引き合いに出して語られているのを見かけましたが、その気持ち分かるなぁと。
この強力なフックの効いた名曲っぷりで、日本盤が発売されていないことが解せませんよ。


FAR CORPORATION - Division One ★★★ (2023-01-05 00:40:53)

ドイツ人プロデューサーのフランク・ファリアンが音頭を取って結成、LED ZEPPELINの代表曲“天国への階段”をカヴァーしてスマッシュ・ヒットさせ全英チャート最高第8位に送り込んだことや、ボビー・キンボール、スティーヴ・ルカサー、デヴィッド・ペイチらTOTO組を始め、ロビン・マッコーリー、サイモン・フィリップス、メル・コリンズといった参加メンバーの豪華さでも注目を集めたプロジェクト、FAR CORPRATION(FARはプロデューサーの名前に由来)が'86年に発表した1stアルバム。これが唯一作だと思っていたら'94年に2ndアルバムもリリースしていたんですね。
その“天国への階段”だけでなく、FREEの名曲“FIRE AND WATER”もカヴァーしている…と書くとプロジェクトの目指す方向性がさっぱり分からなくなりそうですが、基本的には初期TOTO辺りに通じる洗練されたメロディアスHRに、ニューウェーブ風味を追加投入した感じのサウンドを志向。上記カヴァーもダンサンブルなアレンジが施されており、そのカヴァー曲のインパクトの大きさに本編の他の楽曲の存在感が食われてしまっていたり、今聴くと80年代全開なアレンジにむず痒さを覚える部分なんかもありつつ(そこが魅力でもあるわけですが)、それでも流石に実力派ミュージシャン達が集っているだけあってクオリティは高め安定をキープ。特にロビン・マッコーリーが歌い、TOTOのメンバーがバックを支える叙情的かつドラマティックな⑤は、この1曲を聴けただけでも本作購入価値はあった!と納得できる名曲ぶりですよ。いや強がりでなくて。
廃盤のままほったらかしは惜しい、と再発の願掛けを正月にしたくなる1枚。


FAR CORPORATION - Division One - Johnny Don't Got the Distance ★★★ (2023-01-06 01:00:55)

憂いを帯びたエレピに導かれてスタートするアルバム屈指の名曲。
サックスを効果的に用いたドラマティックな曲展開からは
プログレ・ハード風味も感じられたり。透明度の高い曲調に
ロビン・マッコーリーのエモーショナルな歌声がマッチしています。


FASTKILL - Bestial Thrashing Bulldozer ★★★ (2012-01-03 11:40:07)

平成の世を爆走する昭和スラッシャー軍団ことFASTKILLが、2nd『NUCLEAR THRASHING ATTCK』との間にCODE REDとのスプリット仕様のシングル『THRASHING WARFIELD』のリリースを挟んで'11年に発表した3rdアルバム。
一目見ただけで、その内容について確信を抱かせてくれる相変わらずのアルバム・タイトル(邦題は『恐怖のスラッシュ殺戮兵器』)とジャケット・アートワークが物語る通り、鋭利なカミソリGリフと、俊敏なフットワークを駆使して荒れ狂うリズムとが、「止まったら死ぬぜ」とばかりに猛然と畳み掛けて来るスラッシュ・サウンドは、ローファイな音質まで含めて前2作で披露した方向性を微塵の迷いもなく突貫。
1stデモ収録曲のリメイク⑨が違和感皆無で本編の流れに馴染んでいる事からも、彼らがデビュー当時より一貫してオールドスクールなスラッシュ・メタルに拘り続け、且つ現在に至るもその姿勢が1ミリたりともブレていない事実が伝わってきます。
炸裂感に満ちた②や、刻みの細かいGリフが緊迫感を煽る③、地鳴り如く突っ走る⑦といった高速スラッシュ・ナンバーのあまりのカッコ良さにテンションが上がりまくって、評価が割れる甲高いVoの歌唱スタイルもまるで気になりませんでしたよ。それと個人的には、北海道のスラッシュ・レジェンドNEGAROBOの⑥をカヴァーしてくれているのも嬉しいですね。
FASTKILL入門編としてもお薦めの1枚。(と言っても、基本彼らの作品はどれも同じノリですが)


FASTKILL - Bestial Thrashing Bulldozer - Die in the Pentagram ★★★ (2012-01-03 11:50:02)

のっけのGリフの刻みっぷりが
「これぞスラッシュ・メタル!」という
カッコ良さで思わず胸が熱くなりますね。
3rdアルバムで一押しの名曲。


FASTKILL - Bestial Thrashing Bulldozer - Endless Game ★★★ (2012-01-03 11:57:09)

基本的には原曲に忠実なカヴァーですが、
NEGAROBOとはVoのタイプが大きく異なるで
仕上がりの印象もかなり違うものに。
これ聴いてカッコイイと思ったら、
是非NEGAROBOのアルバムも聴いてください。


FASTKILL - Bestial Thrashing Bulldozer - In Thrash We Trust ★★ (2012-01-03 11:48:50)

このタイトルに「STRYPERかい!」と
思わずツッコミを入れたくなる
3rdアルバムの実質的OPナンバー。
猛然たる炸裂感溢れる曲調に
あれよあれよと翻弄されまくりです。


FASTKILL - Bestial Thrashing Bulldozer - Toxic Tormenter ★★★ (2012-01-03 11:54:09)

シャウト一発と共に突進を開始する
リフ&リズム(地鳴りのようなDsがえらい迫力)の
破壊力に、首を振らずにはいられない
アルバム後半のハイライト的名曲。


FASTKILL - Infernal Thrashing Holocaust ★★ (2006-11-15 22:23:00)

「名は体を現す」とはよく言ったもので、まさにFASTでKILLなスラッシュ・メタルを聴かせる、
日本の5人組スラッシャー、'04年発表の1stアルバム。
とても90年代を通過したとは思えぬ、80年代的なつんのめり気味の疾走感がアルバム全編を支配していて、
狂ったようなテンションで喚きまくるヒステリックなVo、カミソリの如き殺傷力を備えたクランチ・リフ、
タイトに突っ走るリズム隊、スカッと短いランニング・タイム(全9曲で30分弱)と、初期ジャーマン・スラッシュ・メタル的
雰囲気を濃厚に漂わせた1枚で、成る程、KREATORやDESTRUCTIONのカヴァーを演ったらハマリそうだ。
終始「躁」状態で一瞬たりとも緩まないテンションと、強烈なスピード感に身を任せているうちに、
あれよあれよと聴き終えられる勢いの良さは買いだが、個人的には楽曲の画一性が気になったりもする。
ここぞ!という強力な聴かせ所があれば尚良かったのだけれど・・・まぁ、好みの問題かな。


FASTKILL - Nuclear Thrashing Attack ★★ (2007-11-29 21:48:00)

'04年リリースの1st『INFERNAL THRASHING HOLOCAUST』で披露した、まるで80年代からタイムスリップして来たかのような、
ピュアなスラッシュ・サウンドが、マニアの間で好評を博した東京出身の5人組スラッシャーが、3年ぶりに発表した2ndアルバム。
血管がブチ切れそうなハイテンションVo、鋭利な剃刀リフを矢継ぎ早に繰り出すG、猛烈な勢いで畳み掛けて来るリズム隊から
成る楽曲の数々は、相変わらず初期KREATORを彷彿とさせる尖がった暴走っぷりを誇り、トータル・ランニング・タイムも
全10曲収録で僅か30分。一時もテンションを緩める事無く、頭から尻まで一気呵成に駆け抜けていく。
思わずニヤリとするアルバム・タイトルも含めて、従来の路線を何の迷いもなく突き進んでいるが、
サウンド・プロダクションが向上して音に厚みが出た分、迫力においては前作を上回る印象。特に、キャッチーなリフと
歌メロを備えた④(ポップという意味ではない)から、激烈に炸裂する⑤への流れはムチャクチャかっこいい。
但し、音が良くなったことで、逆に裏声ハイトーン(?)Voのアクの強さがより一層目立ってしまっていて、
この声を受け入れられるかどうかで、本作の評価がハッキリと分かれるような気がしなくもない。


FASTKILL - Nuclear Thrashing Attack - Kill and Possess ★★ (2007-11-29 21:58:27)

弾丸のようなスピード・チューンだが、リフと歌メロは
非常にキャッチーで(ポップという意味ではない)えらいカッコイイ。
更にそこから、炸裂するように疾走する高速スラッシュ・ナンバー
“ANNIHILATION BETRAYER"へと繋がっていく流れも良い。


FASTWAY - Waiting for the Roar ★★ (2013-11-23 00:12:35)

FASTWAYと言えば、若き日のロバート・プラントを彷彿とさせるデイヴ・キングの情熱的なVoと、エディ“ファスト”クラークの骨太にして豪快なロックンロール・センスとが、ガップリ四つに組んだ1stが代表作として知られていますが、自分が持ってる彼らのアルバムは(なぜか)'86年にリリースされたこの3rdのみ。でも一体いつ買ったのかはさっぱり思い出せねぇ・・・。
深めにリヴァーブがかけられたポップな音作りに、シンセを大胆に組み込むことでメロディアス且つスケールの大きなアレンジを施された本編は、一般的にFASTWAYの名を聞いて想起するサウンドとは大きく趣きが異なる。初期作に収録されていたならさぞかしハマったであろうジャニス・ジョプリンの名曲④のカヴァーが、ここでは今ひとつ馴染んで聴こえないこともその証左かと。
前作のセールス的不振を踏まえて、プロデューサーのテリー・マニング主導でレコーディング作業が進められた結果、こうした80年代的モダンさ漂う作風へと至ったらしいのですが(作中でシンセ弾いてるのも彼)、いやでもこれはこれで案外悪くない。58人編成のオーケストラを起用して、OPからいきなり6分を越えるドラマティックな大作ナンバー①や、ストリングスが非常に効果的に取り入れられている②、デイヴの熱唱に涙ちょちょ切れるバラード④といった思わず前に身を乗り出す名曲を収録されていますからね。
「FASTWAY流アリーナ・ロック」(?)という、実験的な試みがきっちりと成果を上げている意欲作ではないでしょうか。


FATES WARNING - Night on Bröcken ★★★ (2017-04-29 09:30:14)

ブライアン・スラゲルに気に入られ、METAL BLADE RECORDSとの契約をゲットしたコネチカット出身の5人組が、名物コンピ盤『METAL MASSACRE』シリーズ第5弾に楽曲提供を行った後、'84年に放った1stアルバム。
アーティスティックな拘りを感じさせるアートワークから音楽性に至るまで、「洗練されたプログレ・メタル」の貫禄漂わす5th『PERFECT SYMMETORY』を先に聴いてから、遡って本作を購入したので、まず手書きの温もりに満ちた…つか温もりしか伝わってこねぇ(笑)ジャケット・イラストのいなたさに吃驚仰天した記憶あり。更に本編にはプログレ色がほぼ皆無だったもんで2度吃驚。じゃあここにはどんな音が託されているかといえば、パワフル且つ音痴なVoが醸し出すマイナー臭と、NWOBHMからの影響がモロ出しのダークでアグレッシブなHMサウンド。起伏に富んだ曲展開が素晴らしくドラマテックな④⑧といった楽曲もありますけど、それらに関してバンドが曲作りのお手本にしたのは、恐らくプログレ方面じゃなくてIRON MAIDENやJUDAS PRIESTじゃねえかなぁ?という。
いやでもそれが悪いかと言えば、断じてそんなことはない!と申し上げたい。圧の強いハイトーンVoと劇的に動き回るツインGを前面に押し立てたOPナンバー①、バンドの前身MISFIT時代のテーマ曲⑥、『METAL MASSACRE Ⅴ』にも提供されていた⑨という、ストレートに駆け抜ける正統派HMナンバーは本作でしか聴けぬタイプの名曲ではないかと。
万人にはお薦めし難い作品であることは事実なれど、個人的には聴き返す頻度がかなり高いFATES WARNINGのアルバムだったりします。


FATES WARNING - Night on Bröcken - Damnation ★★★ (2017-04-30 22:20:29)

アルバムのクライマックスを盛り上げる大作ナンバー。
尺は7分近くありますが、影響源は明らかにプログレッシブ・ロックよりも
IRON MAIDENとかJUDAS PRIESTに求められる感じ。
ぶっちゃけマイナー・メタルではありますが、
勇壮な曲調といい、勢いがあり余ってるVoの熱演といい、
ボンクラ・メタラー的には後の知的路線以上にグッと来る場面多し。


FATES WARNING - Perfect Symmetry ★★★ (2017-05-06 00:30:19)

FATES WARNINGの日本デビュー作であり、個人的に初めて彼らの音に触れた作品でもある、’89年発表の5thアルバム。
ヘヴィ・メタリックな荒々しさや疾走感が影を潜め、哀愁のメロディ、凝ったアレンジに、派手さよりも「味わい深さ」で聴かせる曲展開等がいちいち洗練を感じさせる楽曲を始め、いかにもHM然としていたガビガビのバンド・ロゴがいつの間にかスマートなデザインに改められていたり、ついでにジャケットもモダン・アート風だったり…と、この頃には完全にバンドは「本格派プログレ・メタル路線」へと移行完了。当時は全く気にしていなかったのですが、今となってはDREAM THEATERの初代Key奏者ケヴィン・ムーアがゲスト参加している辺りもその表れと言えなくもなかったという。
益々扇情力を高めた2本のGのメロディアスな絡み、ジェフ・テイト型に分類されるレイ・アルダー(Vo)の表現力に富む歌唱、それに柔軟にボトムを支える元WARLORDの名手マーク・ゾンダー(Ds)の多彩なリズム・ワークを得たことで、サウンドは繊細な抒情面の魅力が大きく開花。バイオリンをフィーチュアした美しい前半を経て、中盤以降はケヴィン・ムーア(Key)も交えた楽器陣がスリリングに盛り上げていく⑤や、哀切に満ちたレイの歌声が胸打つバラード⑦、そして全メンバーの長所が存分に発揮された泣きの大作ナンバー⑧といった楽曲はその好例かと。
こちとら初期作を偏愛する身なれど、やはりFATES WARNING入門盤には、万人に受け入れられるであろう本作あたりをお薦めするのが適当なのでしょうか…。


FATES WARNING - Perfect Symmetry - Nothing Left to Say ★★★ (2017-05-06 00:35:57)

歌に入る前の導入部の一捻りとか
濃淡の塗り分けられた曲展開等、
これぞプログレ・メタル!な逸品。
レイ・アルダーのシンガーとしての熟達から、
新加入のマーク・ゾンダーの柔軟なリズム・ワーク、
表現力を増したツインGの泣きっぷりまで
バンドの洗練具合がしかと刻み込まれた名曲です。


FATES WARNING - The Spectre Within ★★★ (2017-05-01 23:43:13)

FATES WARNINGの名を聞くと思い出すSFタッチのアートワークといい、いきなり7分越えのOPナンバー①で幕が上がり、10分以上に及ぶ⑦にて幕が下りる本編の攻めた構成といい、後のプログレ・メタル路線への息吹があちこちから感じられるようになった、’85年発表の2ndアルバム。
ツインGの劇的なハモりっぷりや、メリハリの効いた勇壮な曲展開が物語る通り、未だサウンドの基軸はIRON MAIDEN、JUDAS PRIEST由来のダークでアグレッシブな正統派HM路線に据え置かれています。その一方で、前作のパワフルな音痴ぶりから確かな成長を遂げ、歌声にブルース・ディッキンソンばりの雄々しさと力強さと心強さが宿った(一つ違う)ジョン・アーチの歌唱力や、ドラマ性及びスケール感の一層の増強が図られた曲展開etc.に下支えされた各収録曲は、1曲毎の中で多彩な表情を見せてくれるようになっています。その好例が前述の①や⑦であり、中盤に置かれたエピカルな④であると。
全体的にはまだまだ荒削りな出来栄えだったりするのですが、普段あまりプログレ物を嗜まないボンクラ・メタル野郎的には寧ろそれが丁度いいぐらいの塩梅でして。特にツインGの活用振りがIRON MAIDEN風の劇的な⑤から、疾走ナンバー⑥と来て、ドラマティックな大作ナンバー⑦へと至るクライマックスの流れは何度聴いてもグッときますよ。
…以上のような絶賛具合からもお察し頂けます通り、個人的には「FATES WARNINGと言えば本作が最高である!」と、今後も熱く推して行きたい1枚であります。


FATES WARNING - The Spectre Within - Epitaph ★★★ (2017-05-06 00:42:38)

別にKING CRIMSONのカヴァーではありませんが
タイトルからして「今後はプログレ路線で行くぜ!」との
バンドの決意の程が伝わって来るかのようです(?)
11分以上に及ぶドラマティックな大作ナンバーではあるものの
ブルース・ディッキンソンへの憧憬が滲むシンガーの歌唱にしろ
勇壮且つアグレッシブな曲調&曲展開にしろ、この時点ではまだ曲作りの基盤は
正統派HMに据え置かれたまま。つか、むしろそこが良い!と。
タイトル負けしていない名曲ですよ。


FATES WARNING - The Spectre Within - The Apparition ★★★ (2017-05-02 23:43:30)

FATES WARNINGのことを小難しいだけのプログレ・メタル・バンドと
思ってる奴はこれでも喰らえ!という劇的な構築美とスリリングな
緊張感に満ち溢れた名曲。引っ掛かり気味の曲進行やツインGの
ドラマティックなハーモニーはIRON MAIDENからの影響大。
勢い余りまくりながらもパワフルなジョン・アーチの歌いっぷりも良し。


FATIMA HILL - Melodical Renaissance ★★★ (2008-06-05 23:48:00)

FATIMA HILLの存在を知ったのは、この作品が切っ掛けでした。
東京出身のメロディック・パワー・メタル・バンドGUARDIAN'S NAIL、関西出身の様式美HMバンドVOLFEEDと、現VIGILANTEの丹羽英彰(Vo)が在籍していたスラッシュ・メタル・バンドHIDDEN、そして女性Voを擁し、ミステリアスにして壮大、且つ劇的なエピック・メタルを聴かせる北海道出身のFATIMA HILLという計4バンドが参加して制作、'95年にリリースされたコンピレーション・アルバムで、FATIMA HILLはオリジナル・アルバムには未収録の楽曲2曲を提供している。
トニー・マーティン時代のBLACK SABBATHを思わせる、劇的なヘヴィ・チューン“ICON AND VOODOO DOLL"も素晴しいが、本作の白眉は何と言っても12分以上に及ぶ大作“THE SONG FOR BEATRICE"。重々しく引き摺られるヘヴィ・リフに低くのた打つリズム、そしてFATIMA HILLサウンドの主役と言うべき、可憐に囁いたかと思えば、一転妖しげで大仰なメロディを、司祭の如く朗々と歌いこなす女性Voの圧巻の歌唱とが一体となって、ドラマティック且つ壮大にうねくるエピック・ドゥームの名曲に仕上がっている。CANDLEMASS、TROUBLE、SOLITUDE AETURNUS辺りが好きな人なら要チェックかと。
ちなみに本作、現在では既に廃盤状態のようだが、参加バンドの質も高く(特にGUARDIAN'S NAILの“SECOND WIND"は全メロパワ・ファン必聴の名曲)、中古屋でも結構手頃な値段で売られているので、興味を持たれた方は是非一聴を。


FEINSTEIN ★★ (2009-08-03 22:32:00)

ロニー・J・ディオの従兄弟とか、ELFの初代Gとか、THE RODSの司令塔とか、様々な肩書きを持つ
デヴィッド・フェインシュテインが、ARTENSIONやROYAL HUNT等での活動を通して日本でも高い人気を誇る
実力派シンガー、ジョン・ウェストとタッグを組んで立ち上げた新プロジェクト。
エグゼクティヴ・プロデューサーとして、アマチュア時代に同じ釜の飯を食った旧友ジョーイ・ディマイオ(MANOWAR)の
名前がクレジットされており、ライナーを読むと制作にはロス・ザ・ボスも1枚噛んでいるのだとか。
サウンドの方は、80年代の伝統を今に伝える、適度な疾走感と重厚感を併せ持った実にHMらしいHMで、
最も勢いのあった頃のDIOを彷彿とさせるサウンド・・・と言えなくもないような。
スピードやアグレッションで押しまくるタイプではないゆえ古臭く感じられたのか、リリース当時は
余り話題にはならなかったが、オールドスクールなHM好きなら一聴の価値がある名盤。個人的には
'04年に発表された作品の中では、トップクラスの完成度を備えた逸品と信じて疑わない次第。


FEINSTEIN - Third Wish ★★ (2009-08-03 22:36:00)

元THE RODSのデヴィッド“THE ROCK"フェインシュテインが新たに結成した、自身の名を冠するプロジェクトのデビュー作。
Voとして実力派シンガー、ジョン・ウェストが全面参加していたり、MANOWARのジョーイ・ディマイオと
ロス・ザ・ボスがプロデュースに関わっていたり、BURRN!!誌のレビューで高得点を獲得したりと、いろいろ
話題性はあったにも関わらず、大して評判になる事なく現在では中古屋の片隅で埃を被っている姿を見かける本作。
スラッシュでもデスでもメロスピでもネオクラシカルでもない、実にへヴィ・メタルらしいヘヴィ・メタルが最初から
最後まで詰め込まれた内容は、「何も足さない、何も引かない」サントリー・ウィスキーの如き芳醇な仕上がりで、
全13曲が収録された長丁場にも関わらず、捨て曲なし。一体なぜこのクオリティで人気が出なかったのか・・・。
この時期、ジョン・ウェストは喉の手術の影響で歌唱力の低下が懸念されていたのだが、本作で披露している
胸焦がす極上の歌声に不安定さは皆無だし、ディヴィッドの古き良き伝統美を今に伝える劇的なGプレイもお見事。
特に、HMのカッコ良さが凝縮された疾走曲①に始まり、重厚な②と勇壮な③を経て、壮大な④へと至るアルバム前半の
流れは、ただ速いだけでも、アグレッシブなだけでも、大仰なだけでも表現し得ない、オールドスクールな
ヘヴィ・メタルの魅力が「これでもか!」と詰め込まれた本編のクライマックス。
とにかくメタル好きなら一度は聴いて頂きたい1枚。MANOWARのメンバーが関わってるのは伊達じゃないですぜ。


FEINSTEIN - Third Wish - Masquerade ★★ (2009-08-07 08:10:58)

胸が熱くなるメロディと、ジョン・ウェストの
伸びやかなVoを纏って疾走するHRナンバー。
そのオーソドックスさゆえ「ここが凄い!」ってな
書き方は出来ないのだが、とにかく全体的に完成度高し。


FEINSTEIN - Third Wish - Regeneration ★★★ (2009-08-07 08:06:57)

オーソドックスなHMのカッコ良さが
凝縮されたデビュー作のOPナンバー。
疾走曲だが、スピードは飽くまで
ノリ易く速過ぎない。その上に乗る
ジョン・ウェストの雄々しいVoと、
メロディックなGが最高です。


FEINSTEIN - Third Wish - Streaming Star ★★ (2009-08-07 08:08:25)

これまたジョン・ウェストの雄々しいVoが映えるナンバー。
特に、クライマックスで炸裂する
朗々とした歌い上げの素晴しさと言ったら。
(バックに流れるGメロディも美しい)


FEINSTEIN - Third Wish - Third Wish ★★★ (2009-08-07 08:09:33)

メロウに始まり、重厚な前半を経て、
後半は疾走へと転じるデビュー作の表題曲にして
本編のハイライトを飾る10分近くに及ぶ大作ナンバー。
今にもロニー・J・ディオの歌声が聴こえて来そうなくらい
ドラマティック。


FERGIE FREDERIKSEN (2011-12-08 22:42:11)

ANGEL、TRILLION、LE ROUX、TOTOといったバンドでシンガーを務め、KANSASやSURVIVORのフロントマンの座にも就任しかける等、アメリカン・メロディアスHR街道一筋に歩み続けるベテラン・シンガー。(本名はデニス・ハーディ・フレデリクセン)
近年はFRONTIER RECORDSを拠点に、ANGEL時代の僚友リッキー・フィリップスや、メロハー・プロジェクト仕掛人トミー・デナンダーらと組んで数々の優れた作品を世に送り出していたが、長年患っていた肝細胞ガンの悪化により一時は生命の危険な状態にまで陥り、世のメロディアスHR愛好家を心配させた。
が、不屈の精神力でこれを克服すると、今年、前作『EQUILIBRIUM』以来11年ぶりとなる2ndソロ『HAPPINESS IS THE ROAD』を発表、HR/HMシーンに健在ぶりをアピールした。


FERGIE FREDERIKSEN - Any Given Moment ★★★ (2013-11-18 21:08:42)

アレッサンドロ・デル・ベッキオを筆頭とする実力派ミュージシャン達のバックアップの下、'13年に発表された3rdソロ・アルバム。
順調なアルバムのリリース・ペースのみならず、'12年にはボビー・キンボールやスティーヴ・オウジェリーらと共に来日公演を行っていたりと、ファーギー・フレデリクセンはもうすっかり癌を克服したものとばかり思っていましたが、今回雑誌に載っていたインタビューを読んで、実は現在も、作品をフォローするためのツアーにさえ出られないぐらい体調が思わしくないことを知り愕然。張り良し、艶良し、伸び良しの三拍子揃ったエモーショナルな歌声からは、病魔の影なんて微塵も感じさせないのに・・・。(顔つきには確かにやつれが現れていますが)
それでも、アルバム全編に咲き誇るのは爽やかに澄み渡った曇りなきメロディアスHRサウンド。「体調は良くない」「その時が来たとしても覚悟は出来ている」と率直に語る彼が、にも関わらず、沸々とエネルギーが湧き上がってくるかのような①⑩、LE ROUX時代の僚友がテリー・ブロックと共作した哀愁のメロハー②、ジム・ピートリックのメロディ職人としての筆致が冴え渡る⑧、美しくポップなイッサ嬢とのデュエット・ソング⑨etc・・・といった、どこまでもポジティブなフィールに貫き通された楽曲の数々を力強く歌い上げる様には、胸打たれずにはいられませんて。
決して派手な作品ではありませんが、静かに漲る気迫に思わず背筋が伸びるような思いを味わう1枚であります。


FERGIE FREDERIKSEN - Any Given Moment - Any Given Moment ★★★ (2013-11-23 00:02:03)

伸びやかなVoとG、
さりげなく合いの手を入れるKeyが
透明度の高い哀愁を漂わすメロハー・ソング。
作曲はジム・ピートリックと聞かされて
この名曲っぷりも納得ですよ。


FERGIE FREDERIKSEN - Any Given Moment - Last Battle of My War ★★★ (2013-11-19 23:12:11)

ネバー・ギブアップ!ネバー・サレンダー!な歌詞は
ありがちなメッセージ・ソングかもしれませんが、
幾度となく死線をくぐったこの人が歌うと、
尋常でない説得力でグッと胸に迫ります。
疲れた心身にエネルギーを注ぎ込む、
ポジティブ且つ力強さに満ち溢れた名曲。


FERGIE FREDERIKSEN - Equilibrium ★★★ (2018-01-31 23:26:01)

闘病生活にも挫けず、精力的に新作のレコーディングやライブ(来日公演含む)等をこなし、'14年に惜しまれながらもこの世を去った名シンガー、ファーギー・フレデリクセンが豪華ゲストを迎えて制作し、'99年に発表した自身のキャリア初となるソロ・アルバム。
MTM RECORDSからのリリースだけあって、本作に託されているのはファーギーの「歌」が主役のメロディアスHR。但し、後のソロ2作に比べるとハードさは控えめで、よりAOR/産業ロック寄りの作風であったため、初聴時の感想は「地味だなぁ」とあまりパッせず。当時は日本がCD化大国としてブイブイ言わせてた時期でもあり、毎月大量発売されるHR/HM系カタログの山の中に埋もれてしまっていたところ、しかしその後時間を置いてから改めて聴き直し見たら「いや、全然いいじゃんか!」と。
様々なバンド/プロジェクトで自慢の喉を披露して来たファーギーゆえ、パフォーマンス面に関しては最初から不安要素は皆無であり、後はどんだけ彼が歌うに相応しい曲が揃えられるかが勝負だったわけですが、流石一流どころのライター陣が楽曲提供者として名を連ねているだけあって、適度な疾走感を湛えた曲調がスポーツ番組のテーマ曲にフィットしそうなOPナンバー①、ジム・ピートリックとリッキー・フィリップス共作による哀愁のメロハー③、情感豊かに綴られるバラード⑥⑩、ひんやりと心地良い哀感を湛えた⑧、爽やかに吹き抜ける微風の如き⑪…と、本編に並ぶ楽曲は十分粒揃い。
前述の通りHR/HMとは若干距離がある作風ではありますが、TOTOやTRILLIONからLE ROUXまで、ファーギー関連作品を愛聴する方なら間違いなくマストな1枚かと。


FERGIE FREDERIKSEN - Equilibrium - Blaze Of Love ★★★ (2018-02-02 00:31:21)

軽快に疾走する印象的なテーマ・メロディが
夜11時台のスポーツニュースのBGMっぽい…と
書くと褒めてんだか何なんだかですが、褒めてます。
名曲です。


FERGIE FREDERIKSEN - Happiness Is the Road ★★★ (2011-12-09 07:14:17)

LE ROUXの『SO FIRED UP』、TRILLIONの『氷牙』、TOTOの『ISOLATION』といったアメリカン・メロディアスHRを語る上で外せない名盤、あるいはマルチ・ミュージシャン、トミー・デナンダーと組んだメロハー・プロジェクトの数々で素晴しい歌声を披露してきたファーギー・フレデリクセンが、FRONTIER RECORDSの全面バックアップを受けてレコーディング、'11年に発表した2ndソロ・アルバム。
大病を患っていた彼の復活までの険しい道程については平野和祥氏が執筆したライナーノーツに詳しいが(この人がこの手の音楽性のアルバムに寄稿するのって珍しいような?)、少なくとも本作で聴ける彼の声の張り/艶/伸び具合に、病魔の悪影響は微塵も感じられない。
WORK OF ARTのメンバーや現PRIDE OF LIONのジム・ピートリックらが提供した心打つキャッチーなメロディに彩られたメロハー・ソングの数々を、時に繊細に、時にダイナミックに歌い上げる様は、とても病床を脱して間もない人物の歌声とは思えぬエネルギーの迸りが感じられ、取り分けファーギー自身が作詞を手掛けたアルバム表題曲⑤は、逆境の中にあっても決して希望を失わない前向きな姿勢が綴られた歌詞と、ポジティブな躍動感に満ち溢れた曲調とが相俟って深い感動を呼ぶ、今年のベスト・チューン候補に推したい名曲の一つ。
爽やかに駆け抜けていく①や⑨、情熱的な歌唱が五臓六腑に染み渡るバラード④、哀愁のメロハー・ソング⑧、瀟洒なKeyの旋律が心地良い⑫等、優れた楽曲が揃えられた本編はまさしく復活作に相応しいクオリティ。
ファーギー・フレデリクセンの前途が洋洋であることを切に願います。


FERGIE FREDERIKSEN - Happiness Is the Road - Angel ★★★ (2011-12-11 18:14:42)

心躍るポップな曲調に
ファーギー・フレデリクセンの哀愁の
ハイトーンVoが乗っかった
OPナンバーに相応しい名曲。


FERGIE FREDERIKSEN - Happiness Is the Road - Follow Your Heart ★★★ (2011-12-11 18:26:49)

ピアノとVoのみの前半から、
全楽器が加わって壮大に盛り上がっていく曲展開が
たまらなくドラマティックな名バラード。
繊細でエモーショナルな歌い込みから、
堂々として伸びやかな歌唱まで
幅広い表現力を駆使するファーギー・フレデリクセンの
歌いっぷりが素晴しい。


FERGIE FREDERIKSEN - Happiness Is the Road - Happiness Is the Road ★★★ (2011-12-11 18:32:01)

アルバム表題曲にしてアルバムのハイライト・ナンバー。
この曲のみファーギー自身が作詞を手掛けており、
重病を患っても決して希望を失わない決意表明が綴られた歌詞と、
その歌詞に相応しいポジティブな躍動感に満ち溢れた曲調は
聴いているだけで沸々と力が湧き上がって来るような
エネルギーに満ち溢れています。

今年のベスト・チューン候補。


FERGIE FREDERIKSEN - Happiness Is the Road - Love Waits for No One ★★★ (2011-12-11 18:35:31)

絵に描いたように典型的なメロハー・ソング。
哀愁とフック兼備のサビメロは聴く度に
安心感をもたらしてくれます。


FERGIE FREDERIKSEN - Happiness Is the Road - The Savior ★★ (2011-12-11 18:44:26)

これまた(良い意味で)典型的な哀愁のメロハー・ソング。
AOR/産業ロック然とした、流麗な演奏を聴かせてくれる
Keyの良い仕事っぷりが際立つラスト・ナンバー。


FERGIE FREDERIKSEN - Happiness Is the Road - Writing on the Wall ★★ (2011-12-11 18:37:53)

アルバム収録曲の中では
かなりロックしているナンバーですが、
勿論大味なんてことはなく、
メロディにもきっちりとフックが効かせられ
本編の流れに緩急を付ける
重要な役割を担ってくれています。


FIFTH ANGEL - Fifth Angel ★★ (2008-10-12 23:32:00)

ATLANTIS RISINGのジェイムズ・バード(G)や、HOUSE OF LORDSのケン・メアリー(Ds)が嘗て在籍していた事で知られる、
米ワシントン州はベルビュー出身の5人組HRバンド(と言ってもBは幽霊メンバー)FIFTH ANGELが、'86年に発表した1stアルバム。
本作は、当初、マイク・ヴァーニーが主宰するSHRAPNEL RECORDSからリリースされたものの、日本を含む世界中の
HR/HMファンの間での、このアルバムの評判の良さに目をつけた米メジャーEPIC RECORDSが契約を申し出て、
'88年にアートワークを差し替え(このジャケットが美麗で非常に秀逸な出来)、リマスターを施してリリースし直された・・・
というエピソードを持っているだけあって、実際、その完成度の高さには目(と耳)を瞠るものがある。
哀愁とフックに富んだメロディを、確かな力量で歌い上げるテッド・パイロットのVo、エモーショナルに歌う
ジェイムズ・バードのメロディアスなGプレイ、そして、とてもアメリカのバンドとは思えぬ、欧州HR然とした湿り気を
たっぷりと帯びた曲調を更に盛り上げる、叙情的且つドラマティックなツイン・リードGを大フィーチュアした楽曲は、
全9曲収録で捨て曲は1つもなし。ライナー・ノーツではオランダのHELLOISEなんかと比較されているけど、
ヨーロピアンな風情を漂わせつつも、決して暗く/重くなり過ぎず、どこか爽やかさを感じさせる作風は確かに共通点が多い。
特に、この1曲のためだけに本作を購入しても損はない!と断言したくなるナンバーが連続する、アルバム前半の隙のない構成は見事で、
取り分け、舞うようなツインGと、心地良く疾走する哀愁のメロディが、どこかRIOTの代表曲“WARRIOR"を彷彿とさせる③は、
FIFITH ANGELというバンドの魅力の粋を結集したかのような名曲。(勿論、スピーディな⑥から劇的な⑨へと至るB面パートも充実)
ここ日本では、UFOの名曲“LIGHTS OUT"のカヴァーを収録し、国内デビュー作となった2nd『TIME WILL TELL』の方が
人気が上のようだが(実際、甲乙付け難いクオリティ)、個人的には、FIFTH ANGELの入門編には、まずこの1stをお薦めしたい次第。


FIFTH ANGEL - Fifth Angel - Call Out the Warning ★★★ (2008-10-12 23:39:24)

華麗に舞うツインGと、強烈なフックと哀愁を伴った歌メロが
心地良く疾走する様が、どこかRIOTの名曲“WARRIOR"を彷彿とさせる、
FIFTH ANGELというバンドの魅力の粋を結集したかのような、
1stアルバムのハイライト・ナンバー。哀メロ派は必聴かと。


FIFTH ANGEL - Fifth Angel - Fifth Angel ★★ (2008-10-12 23:41:41)

フックと哀愁に富んだメロディの良さ(あとVoの上手さ)が際立つ、
バンドのテーマ曲でもあるミドル・チューン。
勿論、ツボを押さえたジェイムズ・バードのGプレイも最高だ。


FIFTH ANGEL - Fifth Angel - Wings of Destiny ★★★ (2008-10-12 23:44:57)

タイトルはJUDAS PRIEST調で、導入部はIRON MAIDENの
名曲“審判の日"を彷彿とさせる、1stアルバム随一の
ドラマ性の高さを誇る名曲。


FIFTH ANGEL - Time Will Tell ★★ (2008-10-13 19:29:00)

中心メンバーのジェイムズ・バードとケン・メアリーの脱退(但しケンは、ヘルプ参加で引き続き本作でもDsを叩いている)
というバンド存亡の危機を乗り越えて、1st『FIFTH ANGEL』に勝るとも劣らぬクオリティの作品を作り上げた事で、
FIFTH ANGEL凄し!との評価が一層高まった、日本デビュー作でもある'89年発表の2ndアルバム。(邦題は『時の呪文』)
音楽性に大きな変化はなく、前作同様、UFOの名曲“LIGHTS OUT"のカヴァーがピタリとハマる、
アメリカのバンドらしからぬ叙情的でドラマティックなブリティッシュHR路線を迷いなく邁進。
但し、今回はメジャーからのリリースという事で、若干作風がVo中心になったというか、前作にあったような疾走曲が姿を消し、
全体的にミドル・テンポの楽曲をメインに手堅くまとめられているため、そこに物足りなさを覚えるファンもいるかもしれない。
とは言え、相変わらずツインGが紡ぎ出すメロディの哀愁とフックは強力極まりなく、取り分け、リリカルなアコギの音色に導かれて
スタートする、“夢幻"という美しい邦題が付けられた④は、涙腺を刺激しまくる表現力豊かなGといい、憂いを帯びたメロディを
切々と歌い上げるテッド・パイロットのエモーショナルなVoといい、まさに「絶品」としか言いようのないバラードの名曲に仕上がっている。
それ以外にも、躍動感溢れる②や、曲作りの上手さが光るミドル・テンポの③、ポップ風味を巧みに取り入れた⑤等、
楽曲の粒は非常に揃っていて、完成度の高さに揺ぎはない。これがラスト作になってしまったとは残念至極。


FIFTH ANGEL - Time Will Tell - Broken Dreams ★★★ (2008-10-13 19:31:41)

リリカルなアコギの調べに導かれてスタートする、
叙情的で劇的なバラードの名曲。
VoとGの豊かな表現力がこれでもか!と堪能できる、
2ndアルバムのハイライト・ナンバー。


FIFTH ANGEL - Time Will Tell - Midnight Love ★★★ (2008-10-13 19:34:49)

ミドル・テンポの楽曲が大半を占める2ndアルバムの中にあって、
躍動感溢れるこの曲の存在はキラリと光る。
単にアップテンポなだけでなく、
哀メロ満載で切り込んで来るツインGの威力も大変素晴しい。


FIFTH ANGEL - Time Will Tell - Time Will Tell ★★ (2008-10-13 19:38:14)

従来の「らしさ」と、ポップ風味を上手くブレンドした
2ndアルバムのタイトル・トラック。
曲作りの上手さが光りますね。


FIGHTER V - Fighter ★★★ (2024-11-06 23:47:50)

スイス出身の5人組が、プロデューサーにH.E.A.T.のヨナ・ティーを起用してレコーディングを行い’19年に発表した1stアルバム。(前身のHAIRDRYER時代に既にアルバムを制作しているので、正確にはバンド名を改めての出直しデビュー作というべき1枚なのかな)
バンド名がFIGHTER Vで、アルバム・タイトルはシンプルに『FIGHTER』。これだけだとデモテープとシングルのみを残して消えたNWOBHMのオブスキュア・バンドの発掘音源集みたいですが、彼らの結成時期は’10年と結構最近ですし、プロデューサーの人選からも明らかな通り、出している音にも無骨さは皆無。煌びやかなKeyと分厚いVoハーモニー、思わず合唱を誘われるキャッチーなコーラス・ワークといった80年代的要素をふんだんに取り入れたメロディアスHRアルバムに仕上がっています。
元気よくかっ飛ばす疾走ナンバーから、明るく跳ねるロックンロールまで収録曲のバラエティは多岐にわたりますが(ヨナ・ティーがH.E.A.T.用に準備した楽曲だったという⑦も収録)、いずれにおいても北欧メタルに通じる透明感を湛えた哀愁のメロディ作りの上手さが際立っており、特にグッと胸に差し込むメロディの泣きと、ライブ映えする曲調を共存させたアルバム表題曲④、抜群に上手いわけではないものの愁いを感じさせる声質のVoの歌唱が映える、爽やかさを振りまきながら駆け抜けていくハードポップ⑥は、FIGHTERというバンドの魅力が的確に捉えられた本編のハイライト・チューンですよ。
先頃、5年のブランクを経てリリースされた2nd『HEART OF THE YOUNG』も是非チェックせねば!という気にさせられる力作です。


FIGHTER V - Fighter - Fighter ★★★ (2024-11-07 23:48:53)

アルバム表題曲にしてバンドのテーマ曲。PVを作成していることからも
バンド側のこの曲に対する注力ぶりが伺えるのではないでしょう。
実際、合唱を誘われるキャッチーさと憂いを帯びたメロディの魅力が
組み合わさった見事な逸曲に仕上がっていますよ。


FIND ME - Angels in Blue ★★★ (2019-05-06 08:51:59)

FRONTIERS RECORDSのバックアップを受け、プロデューサー/ソングライター/ミュージシャンとしてマルチな活躍ぶりをみせる売れっ子ダニエル・フローレスと、兄弟デュオFURYやBLANC FACES(新作待ってます)等での活動で知られるシンガー、ロビー・ラ・ブランクによるメロディアスHRプロジェクトが、4年ぶりに発表した3rdアルバム(’19年)。余談ですが、デビュー作が『WINGS OF LOVE』で次作が『DARK ANGEL』と来て、今回が『ANGELS IN BLUE』。どうやらこのプロジェクト、「天使」推しで行く気らしいということがハッキリしましたよ。
前2作がメロハーの好盤だったこともあり本作にも期待値を上げて臨んだところ、当初は最も印象に残るのがSURVIVERの名曲“DESPERATE DREAMS”のカヴァー⑫という結果に、「流石に3作目ともなるとマンネリか?」と思わなくもなかったと。しかし聴き込むことで「あれ、この曲意外に良い」「おや、こっちも素敵」とメロディの良さが浸透して来ると、爽快なコーラスが感動を呼ぶバラード⑥をハイライトに、涼し気なメロディが心地よい②、メロディのフックもロックのエッジも効いた④、高揚感を湛えたハードポップ⑨、印象的なファンファーレから高らかにスタートする⑪、キャッチーに本編を締め括る⑬等、ダニエルの作曲センスと、力強さ&繊細な表現力とを併せ持つロビーの卓越した歌唱力が、お互いを引き立て合う優れた楽曲が要所に散らされていることに気付かされ、「やっぱりFIND MEは良いなぁ」としみじみ呟く結論に落ち着くのですから流石じゃないですか。
「前2作が気に入った方ならマストな1枚」と、お決まりの文句でお薦めさせて頂きます。


FIND ME - Angels in Blue - One Last Kiss ★★★ (2019-05-08 23:51:26)

日本盤ボーナス・トラックとして別バージョンが
収録されていることからも、FIND MEがこのバラードを
アルバムのリーダー・トラックに位置付けていることが伺えます。
スケールの大きな曲調にロビー・ラ・ブランクの力強さと
説得力を併せ持った歌声が映える感動的な名曲。


FIND ME - Lightning in a Bottle ★★★ (2022-05-27 01:38:29)

早いもので企画立ち上げから既に10年を数える、ロビー・ラ・ブランク(Vo)を中心とするメロディアスHRプロジェクトFIND MEが、メモリアル・イヤーたる'22年に発表した4thアルバム。(ちなみに今回もアートワークや表題には「天使」を絡めて来るものと思いきや、蓋を開けてみればほぼ無関係なネタで「あら?」と肩透かしを食いましたよ)
スタート当初から寸分たがわぬ…どころか、初めてのソロ・アルバムのリリース等の経験を経ることで、張り/艶/伸びと年齢を重ねて益々パワーアップしている感すら漂うロビーのグンバツな歌声から、プロデュースを担うダニエル・フローレスを筆頭に、FROINTIERS RECORDSお抱えの腕利きソングライター/ミュージシャン勢が作曲と演奏の両面を漏れなくバックアップする体制に至るまで、これまでの勝利の方程式を手堅く踏襲した作りゆえ、ぶっちゃけ取り立てて目新しさはなく、感想を書いても過去3枚と同じような感じになってしまうのですが、その安定感こそ(自分含め)FIND MEファンは求めているわけで、別に悪いこっちゃないですわな。
特筆すべき点としては、映画『ステイン・アライヴ』のテーマ曲②を本家からヴィンス・デコーラをゲストに招いてカヴァーしており、これがまたHR調のアレンジがばっちり決まった実に秀逸な出来栄え。というか秀逸過ぎて本編の他の楽曲の存在を霞ませてしまっている気がしなくもないのですが、ともあれ素晴らしい仕上がりなので是非一聴をお薦め致します。
FIND MEが今後10年も戦えることを確信するに十分な1枚。できればロビー・ラ・ブランクにはBLANC FACESの再始動もお願いしたいところではありますが…。


FIND ME - Lightning in a Bottle - Far from Over (feat. Vince DiCola) ★★★ (2022-05-31 01:33:14)

オリジナルはロッキーの弟ことフランク・スタローンが歌った
映画『ステイン・アライヴ』の主題歌で、それを本家から作曲担当の
ヴィンス・デコーラ(Key)を招いてカヴァー。この名曲に目を付けただけで
星3つは確定ですが、スピーディな曲調に派手なKeyをフィーチュアした
HR調のアレンジがばっちり決まった秀逸なカヴァー・バージョンに仕上がっています。
他のオリジナル収録曲を完全に霞ませちゃってる点は痛し痒しか。


FIND ME - Nightbound ★★★ (2024-11-19 00:48:39)

次々とデビューを飾るも泡沫の如く一作限りで消えてしまうか、あるいは作を重ね主役と思っていたミュージシャンの首が突然挿げ替えられたりすることも珍しくない(例:SUNSTORM、KHYMERA等)FRONTIERS RECORDS発のメロハー・プロジェクト群の中にあって、ロビー・ラブランク(Vo)とダニエル・フローレス(Key)のコンビを中心に、立ち上げから既に10年以上の月日を数え、安定した人気と作品のクオリティを保ち続けるFIND MEが'24年に5thアルバムを発表してくれました。
名手アレッサンドロ・デル・ベッキオを筆頭に腕っこきのソングライター勢を結集、ロビーの伸びやかなで力強い歌声が映えるメロハー・チューンをズラリ取り揃える制作体制に変化はないため、当然今回も安心/安定の高品質を保証する仕上がり。特に高揚感に満ちたポップ・チューン②は全盛期のSURVIVORを彷彿とさせる名曲!…とか思ったら、実際に“I SEE YOU IN EVERYONE”のカヴァーだったという。前作でカヴァー曲“FAR FROM OVER”の素晴らしさが他の曲の存在を霞ませてしまっていた事実が一瞬脳裏を過りましたが、今回はその他にも爽快にアルバムのOPを飾る①、本家SURVIVORから馳せ参じたジム・ピートリック提供の⑦、後半戦をハードに駆け抜ける⑪等、優れた楽曲が要所を引き締めてくれているので大事には至らず。とりわけキャッチーでフックに富むサビメロに顔が綻ぶ⑥は、このプロジェクトの盤石ぶりを物語るような名曲ですよ。
前作には見当たらなかった「天使」が、再びアートワークにその姿が描かれていることにもホッと一安心(?)な1枚。


FIND ME - Nightbound - Love Always Finds a Way ★★★ (2024-11-20 00:14:01)

アレッサンドロ・デル・ベッキオ、ARCTIC RAINのピート・アルペンボルグ、
STREET TALK他のフレドリック・バーグという腕に覚えのある面子の共作曲だけに、
頭抜けたクオリティの高さを誇るハードポップ・チューン。
高揚感漂わすサビメロ作りの上手さに唸りますよ。


FIND ME - Wings of Love ★★★ (2019-02-06 00:03:11)

「敏腕ミュージシャン/プロデューサー」+「実力派シンガー」÷「腕利きソングライター陣」=「名盤」一丁上がり!というのが、イタリアのFRONTIER RECORDSが編み出した勝利の方程式。まぁ必ずしも上手く機能するとは限らないというのが現実のままならぬところではありますが、スウェーデン出身のミュージシャン/プロデューサー/ソングライターのダニエル・フローレスと、FURYやBLANC FACESの活動で知られるシンガー、ロビー・ラ・ブランクを上記計算式に当てはめて立ち上げられたプロジェクト、FIND MEが’13年に発表したこのデビュー作は、間違いなく大当たりに分類される1枚です。
ロビーの歌の上手さや、G、Keyを始めとする参加ミュージシャン達の的確な仕事っぷりは勿論のこと、特筆すべきは収録曲の出来の良さ。適度にロック然としたエッジを保ちつつ、哀愁とフックの効いたメロディを盛り込んだ曲作りは、ダニエルを始めアレッサンドロ・デル・ベッキオ、トム&ジェームズのマーティン兄弟、エリック・マーテンソンといったFRONTIER RECORDSお抱えソングライター陣の真骨頂。アルバム開巻を力強く宣言する①、ポジティブなフィール漂う爽やかな③、Bメロのメロディ展開にグッとくる⑥、エネルギッシュなポップ・チューン⑨等、この1曲が聴けたならアルバムを買った価値はあったと思える楽曲が次から次へと繰り出されるのですから大したもの。
こっちの知らぬ間に2nd『DARK ANGEL』が発表されていたり、近々3rdアルバムのリリースがアナウンスされていたりと、プロジェクトが単発の打ち上げ花火で終わらなかったことも、本作のクオリティの高さを裏付けてくれているのではないでしょうか。


FIND ME - Wings of Love - Bottom of My Heart ★★★ (2019-02-06 00:15:16)

アレッサンドロ・デル・ベッキオ提供のHRナンバー。
ポジティブなエネルギーを放射するメロディを纏って
アップテンポで駆け抜ける曲調と
ロビー・ラ・ブランクのエネルギッシュな歌唱が
高揚感を大いに盛り上げてくれます。


FIND ME - Wings of Love - On the Outside ★★★ (2019-02-06 00:10:49)

トーマス・ヴィクストロムが提供した楽曲で
ロビー・ラ・ブランクの伸びやかな歌声をフィーチュア、
HR然としたエッジと躍動感を併せ持ち、
何よりメロディのフックの効きっぷり(特にBメロが素晴らしい)に
思わず「たまらん!」と膝を打ちたくなりますよ。


FIONA - Beyond The Pale ★★ (2013-05-22 22:56:42)

いよいよボー・ヒルがレコーディング・プロセスに全面的に関わって作り上げられた、'86年発表の2ndアルバム。(キップ・ウィンガー、レブ・ビーチらも参加)
HR色は一気に後退しましたが、角の取れたモダンなプロダクション、踊りやすく(ノリやすく)ビート感が強調された楽曲等、サウンドは格段に洗練され、歌だけでなく作曲作業にも積極的にタッチし始めたフィオナ嬢のパフォーマンスからもメジャー・アーティスト然とした成熟が感じられるようになりました。
ただその反面、万人受けする歌メロを無難になぞってる印象も無きにしも非ずで、デビュー作でこちらの胸を打ったひたむきさというか、思わず保護欲をそそられる「ギリギリまで力を振り絞っている感じ」が薄れてしまっている点は痛し痒し。
まぁそうは言っても、フックの効いたメロディを盛り込んだ⑥や、高いヒット・ポテンシャルを備えたバラード⑧みたいな楽曲の出来栄えとかは流石なんですが。
あと本作の大きな問題点として挙げておきたいのは、(伊藤政則氏も指摘している通り)裏ジャケの写真こそフロント・カバーに相応しかったのではなかろうか?!ということでしょう。


FIONA - Fiona ★★★ (2013-02-24 01:19:24)

'12年にはショーケース規模ながらも初来日公演を行う等、未だ根強い支持を集めるFIONAことフィオナ・フラナガンが'85年に発表したデビュー作。
「ボー・ヒルの(元)嫁」のイメージに引き摺られ、本作については「豪勢なソングライター陣のバックアップを受けた産業ロック/ハードポップ作品」的な先入観を持っていたのですが、再発を機に購入して聴いてみたら、作曲はGOOD RATSのペピ・マルチェロ(息子は後にMARCHELLOを率いてデビューを飾るジーン・マルチェロでしたか)がほぼ一手に担っている上、何より、予想よりもずっとハードにロックしているサウンドにガツンと一撃ドツかれた次第。(ボー・ヒルも1曲のみ参加しています)
色気ムンムンではなく、さりとて男勝りなメタル・クィーン風でもない、ガール・ネクスト・ドア的な自然体が魅力のフィオナ嬢は、端正な容姿とは裏腹に、例えば②④⑦といった楽曲に顕著に表れている通り、根性の入ったパワフルな熱唱も披露。華奢なルックスにも関わらず渾身の力を振り絞るように歌うスタイルは確かに保護欲を刺激するものがあって、失恋船長さんが「守ってあげたい」と思わされたのも無理はないなぁ、と。
適度にポップで適度にハード、哀メロのフックもきっちりと効いた侮れない名盤です。


FIONA - Fiona - Over Now ★★★ (2013-02-24 22:23:23)

これまたフィオナ嬢の熱唱が映える
ミディアム・テンポのエモーショナルなロック・ナンバー。
負けてらんねぇ!とばかりに
ボビー・メッサーノのGソロも熱いですよ。


FIONA - Fiona - Rescue You ★★★ (2013-02-24 22:16:51)

エモーショナルな熱唱を感動を呼ぶ、
アルバムでも1、2を争う名曲。
力を振り絞るようにして歌うフィオナ嬢の歌唱は
華奢な外見と相俟って(実際どうなのかはともかく)
「健気」で「一生懸命」な印象が強く感じられ、
聴いてるこっちも何やら応援したくなってしまいます。


FIONA - Fiona - Talk to Me ★★★ (2013-02-24 22:09:28)

全米チャートでも64位と健闘したシングル曲。
ボー・ヒルが手掛けており(ジョニ・ミッチェルとの共作)、
サックスがモダンでアーバンな空気を演出する一方、
フィオナ嬢の性根の座った歌いっぷりが
メタル魂をもビンビンに刺激してくれる名曲。


FIONA - Heart Like a Gun ★★ (2013-09-15 22:59:37)

ボー・ヒルとキース・オルセンの2人がプロデュースを担当。ブラッド・ギルス、キップ・ウィンガー、ドウィージル・ザッパ、デヴィッド・グレン・エイズリーらをゲストに迎えてレコーディング、'89年に発表された3rdアルバム。
売れっ子プロデューサーの全面協力を受けることで「鮮烈さ」は色褪せた代わりに、(良くも悪くも)「商品」としてより完成された2nd『BEYOND THE PALE』の作風を受け継ぐ内容ではありますが、単純に本作の方が自分好みの楽曲が揃っているせいか、『BEYOND~』よりも楽しんで聴くことが出来ました。
米シングル・チャート54位にランクインしたという、キップ・ウィンガーとのデュエット曲②を含むアルバム序盤は「ふーん」ぐらいの心持ちで聴き流していたのですが、暖かみに溢れたバラード④で「おや?」と思わされ、マイク・スラマー共作のロック・ナンバー⑤で「おお」と身を前に乗り出して以降は、サビメロの素晴しさにメロディ職人の匠の業が光る⑥⑧、思わず一緒に歌いたくなるキャッチーな⑨・・・といった具合に、フィオナ嬢の艶やかな歌声によって眩い輝きを与えられた良質なメロハー・ソングが連続。最後までダレを感じることもなく聴き通すことができました。
最近、FIONAのATLANTIC時代のカタログ3枚が再発されましたが、どうせならGEFFEN移籍後のアルバムのリイシューも宜しくお願い致します。


FIONA - Squeeze ★★★ (2018-08-13 09:28:41)

名物A&Rとして知られたジョン・カロドナーの引きもあり、ATLANTICからGEFFIN RECORDSへと移籍を果たしたフィオナが、’93年に発表した4thアルバム。
フィオナ一人がフィーチュアされていたこれまでのジャケットに対し、今回はローラ・マクドナルド(B)、ジミー・デグラッソ(Ds)、デヴィッド・マーシャル(G)ら、新加入のメンバーも平等に――なぜか全員裸で――登場。乱交パーティー感…じゃなかった「バンド感」をアピってきます。そんなアダルトな雰囲気も漂うジャケットのイメチェンぶりから、すわ落ち着いたAOR/産業ロック路線への鞍替えか?と危惧を覚える向きもありましょうが、実際のところ作風に大きな変化はなく、益々表現力に磨きの掛かったフィオナの歌を主役に据える、キャッチーな躍動感に溢れたゴージャスなハードポップ・サウンドは、前3作の路線を順当に踏襲する仕上がり。敢えて変化を探すならば、バンド感の強調に伴い前作より多少ギターの存在が目立っているかな?程度かと。
ダイアン・ウォーレン、WARRANTのジェイニー・レイン、CHEAP TRICKといった手練れの面子との共作曲が並ぶ本編のクオリティもド安定。特に豪快に刻まれるGリフからスタート、たまらなくキャッチーなサビメロが印象的な②、愁いを帯びたメロディを熱唱するフィオナ嬢のVoに惹き込まれる③という序盤の2連発は、本編開始早々に「勝負あった!」と白旗を掲げたくなるヒット・ポテンシャルを感じさせる名曲です。
レーベルが異なることから、数年前にFIONAの国内盤が再発された際にラインナップから漏れてしまった作品ですが、完成度の高さでは全く引けを取らない1枚ですよ。


FIONA - Squeeze - Ain't That Just Like Love ★★★ (2018-08-15 01:47:37)

ソロ・アーティストではなく、バンドとしての一体感を強調するべく、
エッジの効いたGリフがイントロから豪快に刻まれます。
ライブ映えしそうな躍動感とフックを有したメロディとが
ポップにハジける、アルバムでも1、2を争う名曲ではないでしょうか。


FIREHOUSE - Bring 'em Out 'Live' ★★★ (2016-10-01 08:55:17)

'99年に来日したFIREHOUSEが、大阪の梅田HEAT BEATで行った公演の模様を収録。意外にもこれが彼らの初ライブ・アルバムだとか。
セットリストは、この時点でリリース済みだった4枚のスタジオ・アルバムからヒット曲、代表曲を中心に網羅。比率はやはり1st『FIREHOUSE』と2nd『HOLD YOUR FIRE』に偏り気味ですが、このことに異議を唱えるファンは恐らく少ないですよね。C.J.スネアの伸びやかな歌声を始め、美しいコーラス・ワークから楽器隊の安定したパフォーマンス、更にはOPで必殺の名曲“OVERNIGHT SENSATION”をブチかまし、後に続くのは“ALL SHE WROTE”。このFIREHOUSEが誇る代表曲2連打でいきなり会場を興奮の坩堝に叩き込むステージ進行に至るまで、場数を踏んで鍛えられたライブ・バンドとしての実力が如何なく発揮された出来栄え。
それを受けての観客の盛り上がりも半端なく、特にハイライトはヒット・バラード“I LIVE MY LIFE FOR YOU”にて訪れます。伴奏なしでバンドからサビを託された観客が、(ワンフレーズどころか)ワンコーラス丸々を見事な大合唱で歌いきる様は、メンバーは勿論、聴いてるこっちも感動しますよ。
正直、購入前までは「90年代前半にライブ盤を出しときゃ、クラブなんかじゃなくてホールクラスで収録できたろうに」とか舐めたこと思っていたのですが、本作を聴いてしまったら、そんな風に考えた我が身の不明を恥じ入るばかり。会場の大小に関係なく、これほど熱いお客さんに恵まれたら、そりゃ記録として残しておきたくなるってもんです。


FIREHOUSE - Firehouse 3 - I Live My Life for You ★★★ (2016-10-01 09:04:38)

優し気な曲調のバラードで、FIREHOUSEのバラードとしては
並みの出来かなぁとか思っていたのですが、
日本で収録されたライブ・バージョンを聴いて、いや素晴らしい!と。
楽曲の良さだけでなく、リズム隊だけの援護でコーラス部分を
見事に大合唱する観客に感動。
あんな長い歌詞、英語バカな自分にゃよう歌えませんよ。


FIRST SIGNAL - FIRST SIGNAL ★★★ (2019-05-31 00:23:22)

日本でも高い人気を誇るカナダのHAREM SCAREM。そのシンガーであるハリー・ヘスを主役に迎えたプロジェクトのデビュー作。(’10年発表)
改名騒動に音楽的試行錯誤等、再結成以前のHAREM SCAREMは、バンドが演りたい音楽とファンが彼らに期待する音楽とが微妙なすれ違いを続け、その距離を埋めきれぬまま解散へと至った印象が少なからずありますが、FRONTIERS RECORDSの仕切りで実現した本作は、「俺達が理想とする初期HAREM SCAREM風の楽曲をハリー・ヘスに歌って貰いたい!」との願望ありきでレコーディングされているため、その辺りの思惑のズレが皆無。デニス・ワードがプロデュースを担当し、盟友ダレン・スミス(B)らのゲスト参加を仰ぎ、マーティン兄弟、ダニエル・フローレス、エリック・マーテンソンら、名うてのソングライター陣がハリーのために腕を振るうというお膳立ての揃いまくった本編には、まさに1st~2ndの頃のHAREM SCAREMを彷彿とさせるフック満載のメロディック・ロック・ソングが大集合しています。
特に、華麗に咲き誇るボーカル・ハーモニーからGソロまで、OPナンバーに相応しい高揚感で駆け抜ける①に始まり、爽快な②、哀愁を湛えた重厚なミッド・チューン③と来て、悲哀のメロディが胸を打つドラマティックなバラード④へと至るアルバム前半の流れは掴みとして文句なし。キャッチーなハードポップ⑧⑩が用意された後半戦まで、ハリーの伸びやかで情熱的な歌声の素晴らしさを「これでもか!」と堪能できる、隙のない仕上がりをアピールする1枚に仕上がっていますよ。最近3rdも出たらしいのでチェックせにゃ。


FIRST SIGNAL - Face Your Fears ★★★ (2023-04-25 00:54:20)

HAREM SCAREMのハリー・ヘスとFRONTIERS RECORDSの愉快な仲間達によるメロディアスHRプロジェクト、FIRST SIGNALが'23年に発表した最新作。これで早くも5枚目に到達、しかも前作『CLOSER TO THE EDGE』から僅か8ヵ月のブランクでのリリースというハイペースな活動ぶりが、安定した人気の高さとレーベル側がこのプロジェクトに賭ける意気込みのほどを物語っているんじゃないでしょうか。
アレッサンドロ・デル・ヴェッキオを始めとするブレーンの顔触れに大きな変化はないものの、前作が(良くも悪くも)やや煮詰まりの気配を感じさせる仕上がりだったため、リリース間隔の短さと相俟って本作に関しては購入時に若干の懸念を覚えなくもなかったのですが、実際に聴いてみたら、いやこれが全くの杞憂でしたね。Gの存在を前面に押し出し、よりパワフルな歌唱を披露するハリー、アップテンポの曲調、ライブ映えしそうな抜けの良いコーラス・ワーク等々によって新風を吹き込まれた楽曲は、これまで以上にハードネスの増強が図られており、それでいてメロディのフックやハーモニーの美しさを損なわない曲作りの巧みさは、ヤン・アケソン(STONELAKE)、クリスティアン・フィール(SEVENTH CRYSTAL)、ピート・アルペンボルグ(ARCTIC RAIN)ら、優れたソングライター勢を次々招集できるFRONTIERS RECORDS発プロジェクトの強みだなぁと。特に憂いを帯びたメロディとアタッキーなリフ&リズムが力強く突き進む②と、壮麗に華開くようなサビメロが秀逸なアルバム表題曲⑦は本作ならではの魅力が詰まった名曲ですよ。
FIRST SIGNALがこの先まだまだ戦えることを見事に証明してくれた力作。


FIRST SIGNAL - Face Your Fears - Face Your Fears ★★★ (2023-04-26 01:22:00)

リフもリズムもハリーの歌唱も「HMナンバー」と形容可能な
逞しさですが、壮麗なハーモニーに包まれたサビメロのフックの強度が
如実に物語る通り、大味感は皆無。新味とらしさがバランス良く
ブレンドされた名曲に仕上がっています。


FIRST SIGNAL - Line of Fire ★★★ (2020-07-28 00:08:04)

前2作の内容の素晴らしさと高評価を受けて、完全にハリー・ヘス(Vo)のレギュラー・プロジェクトとして定着した感のあるFIRST SIGNALが'19年に発表した3rdアルバム。
プロデューサーにはダニエル・フローレスが続投。参加ソングライター勢は前作から一新され、BAD HABITのハル・マラベルや、XORIGINのダニエル・パルクヴィスト、FRONTIRES RECORDS絡みのプロジェクトで頻繁に名前を見かけるソレン・クロンクヴィスト等、ダニエル人脈に連なる北欧系ミュージシャンが多数起用されています。なので音楽性にブレが生まれる筈はなく、ハリーのエモーショナルなハスキー・ボイスが映えるよう、作曲陣は抒情的でキャッチーなメロディアスHRソングを集中的に提供してくれているわけですが、個人的に嬉しかったのがスタン・メイズナーの名前がクレジットされていたことでして。METROPOLISのアルバム(秀作でした)を最後に、近年は殆ど活動状況が伝わって来なかった彼氏がアルバムの掴み役でもあるOPナンバー①を提供し、その健在ぶりをアピールしてくれているのは嬉しい限り。これを機に活動を再開してくれると尚嬉しいな、と。
収録曲に関しては、年間ベスト級の名曲が収録されていた前2作に比べると若干インパクトは弱めの印象なれど、それは飽くまで比較論であり、北欧に吹く一陣のそよ風の如き哀メロが駆け抜けていく②や、J-POPシーンにも多数のヒット曲を提供しているというアンダース・レゾフのペンによる爽快感に満ち溢れた④みたいな、凡百のメロハー・プロジェクトじゃ逆立ちしたって出てこないような名曲を聴くことが出来る本作が、三ツ星に値する力作なのは疑いようがありません。前2作が気に入った方なら是非に。


FIRST SIGNAL - Line of Fire - A Million Miles ★★★ (2020-07-29 00:38:45)

スウェーデンのソングライター、ヘンリク・ヘドストロムなる人物の提供曲。
ハリーの歌声が映える哀切な響きを湛えたメロディに煌びやかなアレンジ等、
北欧ハードポップ風味溢れる名曲で、女性Voのさりげない導入や、
マイケル・パレスの泣きを湛えたGプレイも効果的に楽曲を盛り立ててくれています。


FIRST SIGNAL - Line of Fire - Tonight We Are the Only ★★★ (2020-07-29 00:44:10)

嵐やKA-TUN等にも楽曲提供をしているというシンガー/ソングライター
アンダース・レゾフ提供曲で、オフィシャルなリリック・ビデオも
制作されているアルバムのリーダー・トラック的1曲。
ハリーの爽快な歌声を得て、爽やかに伸びやかに、澄み切った青空へ
溶け込んでいくような清々しさに満ち溢れた名曲に仕上がっています。


FIRST SIGNAL - One Step over the Line ★★★ (2020-07-07 00:36:49)

'13年にHAREM SCAREMの再結成が実現したこともあり、もはやハリー・ヘスに副業に勤しむ時間的余裕はねえだろうと続編は諦めかけていたFRONTIERS RECORDS発「俺達が書いたメロディアスHRナンバーをハリー・ヘスに歌って貰おう」プロジェクトことFIRST SIGNALから’16年に届けられた、まさかの2ndアルバム。
プロデュースはデニス・ワードからダニエル・フローレスにバトンタッチ。作曲陣もアレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、マッツ・ヴァレンティン、ナイジェル・ベイリー、トーマス・ヴィクストロム等々、前作から顔触れが一新されていますが、音楽的方向性は全くブレておらず、今回も抒情的なメロディ/キャッチーなコーラス/ダレン・スミス(B)続投による重厚なボーカル・ハーモニーを山盛りに、ハリーの爽快な歌声が映えるメロディアスHRソングが大集合しています。HAREM SCAREMが再始動したことで敢えてそっち方向へ寄せる必要がなくなったからなのか、若干楽曲に漂う北欧臭が強まったように感じられますが、個人的にはこっち路線も好みなので全く問題はありません。
いずれの楽曲もサビメロの素晴らしさが際立っていて、特にポジティブな空気が聴き手にも伝播するような②、清涼感に満ちたメロディに心洗われる③、情感豊かなハリーの熱唱にグッとくる④…と、冒頭からメロディ愛好家の琴線を速弾きギタリスト並にハジき倒す楽曲が連打され、トドメは歌もGも哀愁塗れのハードポップ⑥。’16年のベスト・チューン候補だったこの名曲が聴けただけでもアルバムを購入した価値はあった!と。
当然最後まで捨て曲なし。前作に勝るとも劣らぬ傑作に仕上がっている1枚ですよ。


FIRST SIGNAL - One Step over the Line - Minute of Your Time ★★★ (2020-07-08 01:20:44)

元BLOOD RED SAINTSのドラマーで現TAINTED NATIONのシンガー、
ピート・ニューデックと、イアン・ナッシュ(何者?)の共作曲で、
ハリー・ヘスの熱唱が映えるメロディからマイケル・パレスのGに至るまで
だだ漏れの哀愁が胸を締め付けるハードポップの名曲。
感傷的だけどベタつかない清涼感を振りまくコーラス・ワークが絶品です。


FIST - Turn The Hell On ★★★ (2016-04-06 22:58:44)

英国はタイン・アンド・ウィア州にて結成。当初はAXEと名乗るも、アメリカに同名バンドが存在することを知り、名をFISTと改めた5人組が、デビュー・シングル『NAME, RANK AND SERIAL NUMBER』をスマッシュ・ヒットさせた勢いを駆って、メジャーのMCA RECORDSから’81年に発表した1stフル・アルバム。
どうもFISTについては、NWOBHMの中にあってアグレッシブ方向にもメロディアス方向にも振り切れない、中途半端というか地味な立ち位置のバンド…との偏見を持っていたのですが、いやいやいや。90年代の国内盤CD化を契機に購入したらば、これが熱気を孕んでドライヴするOPナンバー①が始まって早々にノックアウト。つか、そもそもつまんねぇ作品だったら何遍も日本盤がリイシューされるわきゃねえよな、と。気付くのが遅すぎましたね。
リフまたリフ攻勢で突き進む、NWOBHM然とした疾走ナンバー①④⑦と共に「FISTサウンド」の基軸を成す、五臓六腑に沁み渡るメロディの哀愁っぷりも本作の大きな魅力。特にシンプルな曲調に熱い泣きメロがアクセントを加える②、劇的に盛り上がる③、演歌ばりの嗚咽が入った⑧…と、これらを歌い上げるキース・サッチフィールドの塩辛いVoがまた良いんですよ。「味で勝負」系の人で抜群にテクニカルってわけじゃないのですが、持てる力すべてを振り絞るような熱唱はメタル魂を十二分に震わしてくれるという。
今にして思えば、シンガーを元HOLLOW GROUNDのグレン・コーツに代え5人編成でレコーディングされた2nd『BACK WITH A VENGEANCE』も買っときゃ良かったなと。


FIST - Turn The Hell On - Collision Course ★★★ (2016-04-07 22:45:06)

70年代ブリティッシュHRに通じる哀愁と
ドラマ性迸るアルバム・ハイライト・ナンバーの一つ。
VoとGの泣きの競演には胸打たれずにはいられませんて。


FIST - Turn The Hell On - Terminus ★★★ (2016-04-07 22:54:43)

イントロから「演歌かい!」っつーぐらい
泣き・・・というか嗚咽?に満ち満ちていて
聴いているだけで眉が八の字になる名バラード。
決して器用なタイプのシンガーではないキース・サッチフィールドですが
逆にだからこそ、全身全霊を傾けての熱唱が
この曲調にドはまりしています。


FIST - Turn The Hell On - You'll Never Get Me Up (in One of Those) ★★★ (2016-04-07 22:49:27)

3分に満たないランニング・タイムを
ひたすらリフ・リフ・リフ、そしてリフ!で押し通す、
まさに「ザ・NWOBHM」な疾走ナンバー。その潔さに乾杯。
しゃがれ声でまくした立てるVoもカッコ良さを増強してくれます。


FLAMES - Last Prophecy ★★ (2011-06-02 22:12:06)

デス声Voに、音数多く暴走がちのリフ&リズム、おまけにアルコール万歳ソングまで演ってみたりと、騒々しくとっ散らかった独産スラッシュ・メタル風味のサウンド・スタイルを身上とする(でも実際はギリシャ出身の)4人組が'89年に発表し、彼らのラスト作ともなった4thアルバム。
いきなり厳かな般若心経の読経で幕を開ける、衝(笑?)撃のOPナンバー①に度肝を抜かれる本作だが、内容に関しては前作『SUMMON THE DEAD』に比べると、ずっと常識的で聴き易い仕上がり。
デス声Voの凶悪度が下がり、音質はそれなりに改善、演奏もタイトに締まって楽曲がキャッチーさを増すなど、全体的に整合性と取っ付き易さの底上げが為されているが、その一方で、小じんまりとまとめられているため、バカバカしいほどの迫力が薄れてしまったとの印象もあり、痛し痒し。
SLAYERばりに荒ぶる②、TANKやMOTORHEADに通じる突撃感覚を備えた③、ヨーロピアン・スラッシュならではのササクレ立ったアグレッションを撒き散らす④⑤⑥等、収録楽曲の疾走感や切れ味に鈍りは見られず、何よりクライマックスに控えし名曲“LEGEND Ⅱ”の流れを汲むドラマティックな大作ナンバー⑦の素晴しさなんかも最高なのですが・・・。
しかし、前作と比較せずに本作単体で評価するならば十分にイケてる1枚。


FLAMES - Summon the Dead ★★★ (2011-06-01 23:08:15)

デスラッシャーの先駆け的存在とも目される、ギリシャのカルト・スラッシュ・メタル・バンドが'88年に発表した3rdアルバム。
結成当初はNWOBHMの匂いも香る正統派HMを演っていたが、本作で完全にスラッシュ・メタル・フィールドへと移行完了。“EASTEN FRONT(東部戦線)”のタイトルやSEからも分かる通り、映画『戦争のはらわた』へのトリビュート・ソングたる①を手始めに、ペラっペラな音質のもと、鬼のように刻まれるGリフと、けたたましく打ち鳴らされるDs、そして野蛮なデス声Voとがグシャグシャの塊となって突進する暴走スラッシュ・メタルは、初期のKREATORやSODOM、BULLDOZER辺りを比較対象に挙げたくなるとっ散らかり具合だが、とにかくバカバカしいまでの迫力は十分。
痙攣気味に炸裂するGリフのクールさにも侮れないものがあるし、曲によっては泣きのGソロからドラマティックな曲展開、果てはブラスト・ビートまでが組み込まれ、またドイツ民謡“小さなハンス”(日本では『ちょうちょ』のタイトルで有名)、酒飲み賛歌“BIER HER,ODER ICH FALL UM”、ロシア民謡“カリンカ”を挿入して本編のアクセントとする等、風変わりなアレンジ・センスもユニーク。7分以上に及ぶ大作⑤や劇的な⑦なんかは彼らの実力がしかと発揮された名曲だ。
あと、ビシッと決めた裏ジャケの集合写真で、ドラマーが目を瞑ってしまっているのにも親近感が沸きますね(笑)。きっと出来上がりを見て「俺って奴は・・・」と頭を抱えたに違いない。


FLESHGOD APOCALYPSE - Agony ★★★ (2011-11-05 01:08:37)

メンバーに専任ピアノ奏者がいるとの情報にピアノ・サウンド愛好家としての食指をそそられ、バンドの事も碌に知らずに衝動的に購入してしまった作品。
で実際聴いてみると、確かに流麗にピアノが閃く場面は多々あるものの、へヴィな演奏にその音が埋もれがちで期待していたほど目立ってはいませんでした。
それでもブルータルなデス声Voと寒々しいメロディを朗々歌い上げるクリーンVo、暴力的に吹き荒れるリフ&リズムの嵐と、壮麗に楽曲を包み込むドラマティックなオーケストレーションetc・・・といった、数々の相反する要素を飲み込んで突進する陰影の濃ゆいシンフォニック・デス・メタル・サウンド(流石イタリア産)は全身が総毛立つ程に劇的で高品質。買って良かった。
そうした本編を個性的に彩るのが、ネオクラシカルな旋律とエモーションに満ちた泣きメロを紡ぐG、胸抉る程の悲壮感を醸し出すクリーンVo(Bが兼任)、それに人間離れした手数足数の多さに、思わず「プレイヤー」というよりも「アスリート」と表現したくなるDsの存在。(勿論、サウンドに気品を付与する我が愛するピアノの調べも良い仕事をしております)。殊に、凍えるような冷気と慟哭が渦巻く②⑤⑥⑦⑨といった楽曲のドラマティックさは圧巻ですね。
唯一、曲のパターンが少ないため1曲1曲のクオリティの高さに反して、通して聴くと少々引っ掛かりに乏しい点が玉に瑕かな。(各曲がブランクなしで繋がっている構成もそうした印象に拍車を掛けている印象あり)


FLOTSAM AND JETSAM - Doomsday for the Deceiver ★★ (2006-07-31 22:45:00)

F&Jの代表作と言えば、やはり2nd「NO PLACE FOR DISGRACE」で決まりだろうが、ジェイソン・ニューステッドが
唯一参加している、この'86年発表のデビュー作も、完成度の高さでは負けていない。
兎に角、(俺のように)METALLICAでジェイソン・ニューステッドというベーシストの存在を知り、
遡ってこのアルバムを聴くと、その活き活きとハジけるように動き回る魅力的なベース・プレイに
「METALLICAと全然違うなぁ」と驚かされること請け合い。これが若さか・・・なんて。
ぶっちゃけた話、彼が殆ど手掛けたという収録曲のクオリティも、「...AND JUSTICE FOR ALL」以降の
METALLICAの楽曲より断然上だ。(と言っても、これは単なる好みの問題なんだけれども)
本作は、のっけからガツンとカマされる勇壮な①“HAMMERHEAD"を筆頭に、F&Jのアルバム史上、
最もスラッシュ・メタル色が色濃く打ち出されている1枚で、そのエネルギーの原動力は、勿論、ジェイソンのリードB。
一方で、⑤“DOOMSDAY FOR THE DECEIVER"のような劇的な盛り上がりをみせる大作では、
2本のギターが中心となって、美味しいメロディを積み重ねながらドラマ性を演出していく。
この強力なツインGがあったればこそ、中心メンバーだったジェイソンを引き抜かれた後も、
作品のクオリティを落とすことなく活動を継続できたんじゃなかろうか?
また、フロントマンのエリック・AKも、確かな歌唱力を備えながら、3rdアルバム以降の脱スラッシュ路線では
歌メロの弱さを指摘される場面もしばしばだったが、ここでは有無を言わせぬ攻めの姿勢で聴き手を圧倒。
耳をつんざくパワフルなハイトーンVoで、作品のアグレッション演出に大きく貢献している。


FLOTSAM AND JETSAM - No Place For Disgrace 2014 ★★★ (2015-03-04 23:37:27)

'88年発表の2nd『NO PLACE FOR DISGRACE』のリレコーディング・アルバム。切腹ジャケットがオリジナル盤と比較して「使用前」「使用後」状態になっているのが面白くて、つい購入してしまいましたよ。(タイトル直訳と思しき「不面目者に居場所はありません」なる怪しげな日本語が載っているのもポイント/笑)
よりドラマティックに、よりメロディアスに。ジェイソン・ニューステッド脱退というピンチが、逆に残されたメンバーの潜在能力をフルに引き出す好結果へと繋がった名盤『NO PLACE~』の素晴らしさ、殊に、殆ど完璧と言っていい頭4曲の流れの隙のなさについては今更語るまでもなし。なので今作とオリジナル盤の差異について述べさせて貰うと・・・基本的に何も変わっていない(笑)。勿論プロダクションは現代的に進化していますが、アレンジに関しては原典を尊重。これを「だったらオリジナル聴けばいいじゃん」と取るか、歳月を経ても全く衰えを感じさせないメンバーの力量に感服するかは聴き手次第。個人的には、深みも表現力もかつての比じゃないエリックAKの歌声に感服させられましたね。
スラッシュ/パワー・メタル好きなら必聴盤と言っても過言じゃない『NO PLACE~』(もしくはFLOTSAM & JETSAM自体)を未だ聴いたことがないという方は、とりあえず本作から試してみるのも良いのではないでしょうか。


FLOTSAM AND JETSAM - No Place for Disgrace ★★ (2006-12-21 22:04:00)

ジェイソン・ニューステッドをMETALLICAに引き抜かれる(しかも、その後METALLICAが作ったのは
Bの音の聴こえない『・・・AND JUSTISE FOR ALL』・・・)という大事件を乗り越えて、'88年に発表された2ndアルバム。
中心メンバーのジェイソンが抜けた事で、当然サウンドの方にも変化が生じていて、まず大きいのはBの存在感が
後退した事。代わりにツインGが曲作りの中心に据えられ、そのせいか全体的にかなりメロディアスに、
聴き易くなった印象を受ける。疾走感はそのままに、以前よりもドラマチックな曲展開を聴かせるようになった楽曲は、
スラッシュ・メタルというよりは、メロディックなパワー・メタルといった趣き。特に緩急自在のツインGは、
思いっきり弾きまくった時も良いが、じっくりと泣かせに掛かった時のメロディの煽情度が半端じゃない。
必殺の名曲①を始め、ジェイソンの置き土産的楽曲も散見されるが(いずれもスラッシーな雰囲気が強い)、
その①に匹敵する名曲④は、残ったメンバーが総力を上げて作り上げたアルバムのハイライト・チューン。
その他の楽曲も総じてクオリティが高く、当然、捨て曲もなし。本作はFLOTSAM&JETSAMの地力の高さを
見事に証明して見せた、傑作のデビュー作をも更に上回る、彼らの(現時点での)最高傑作だろう。


FLOTSAM AND JETSAM - When the Storm Comes Down ★★ (2009-03-15 00:51:00)

プロデューサーにアレックス・ぺリアラスを迎えて制作、'89年に発表された3rdアルバム。
MCA RECORDS移籍後初のアルバム作りという事で、より幅広いリスナー層にアピールする事を念頭に置いたのか、
前2作に比べるとスラッシーな攻撃性が薄れ、エリックAKのハイトーンVoと、2本のGが紡ぎ出す豊かなメロディが
前面に押し出された楽曲の数々は、これまで以上に正統派へヴィ・メタリック。
名曲①を筆頭に、ストレートなスラッシュ・ソングもちゃんと収録されてはいるものの、それ以上に印象に残るのが、
Gリフと歌メロのカッコ良さが際立つミドル・チューン⑥、「押し」と「引き」がバッチリ決まった⑦といった、
ドラマティックな曲展開が光るメロディアスなナンバーの数々。特に、寂しげなアコギの音色に導かれて
叙情的にスタートする⑨は、その怒涛の盛り上がりっぷりが本編のクライマックスを飾るに相応しい名曲に仕上がっております。
楽曲のバラエティが広がった分、それに対応するエリックの歌メロのフック不足が、徐々に気になり始めた感もあるのだが、
ともあれ、初回出荷分だけで10万枚以上を記録したというのも納得の力作なのは間違いない。