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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 201-300

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 201-300
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ALLEGIANCE - D.e.s.t.i.t.u.t.i.o.n - Torn Between Two Worlds ★★ (2009-01-25 10:38:40)

切迫感を伴って、畳み掛けるように疾走する様に
勝手に頭が動き出す名曲。
スピーディ且つメロディックなGソロも◎。


ALLEGIANCE - D.e.s.t.i.t.u.t.i.o.n - Twisted Minds ★★ (2009-01-25 10:30:21)

アグレッシブに畳み掛けてくる曲調の中から、
不意に浮かび上がってくる泣きのGソロが
非常に秀逸な名曲。


ALLEGIANCE - Skinman ★★ (2009-01-24 01:57:00)

ロブ・ハルフォードに気に入られ、1st『D.E.S.T.I.T.U.T.I.O.N』が高評価を得るなど、
上々のメジャー・デビューを飾ったALLEGIANCEが、間に自主制作のスタジオ・ライブ盤『TIME TO REACT-LIVE!』の
リリースを挟んで'96年に発表した2ndアルバム。(ラスト作でもある)
如何にも90年代的なセンスの、実も蓋もないジャケット・アートワークのデザインに嫌な予感を覚えつつCDを再生してみれば、
聴こえて来るのはスラッシーな疾走感が大幅に減退し、へヴィ且つグルーヴィなノリが前面に押し出された、
いわゆる「モダン・へヴィネス」からの影響が色濃いOPナンバー①・・・。フックに乏しい横ノリ・チューンが垂れ流される前半には、
「ALLEGIANCEよ、お前もか・・・」と失望感を隠せなかったのだが、ところどっこい、激烈なスピード・ナンバー④を
過ぎる辺りから、本編のテンションが徐々に上昇線を描き始め、それは、叙情的にスタートし、スピードを上げつつ
ドラマティックに盛り上がって行く本編ラスト・ナンバーにして、ALLEGIANCE屈指の名曲⑩でもって頂点に達する。
その他の楽曲も冷静に聴き直してみれば、速い曲もちゃんと収録されているし、キレのある演奏は相変わらずタイトだし、
ツインGはカッコ良いフレーズをビシバシ決めてくれるしで、クオリティの高さは前作同様、高水準が保たれている事に気付く。
(まぁでも正直に言えば、よりスラッシュ・メタル色の濃厚な前作の方が好きだけどね)
尚、アルバムの印象を一層向上させるために、個人的には頭3曲を飛ばして聴く事を推奨させて頂きます。


ALLEGIANCE - Skinman - Hands of Fate ★★★ (2009-01-25 10:46:40)

メロディアスに歌いこむVoと、アコギに泣きのGソロを
フィーチュアして叙情的にスタートし、
後半はスピーディ且つダイナミックに盛り上がっていく
2ndアルバムのハイライト・チューンにして
ALLEGIANCE屈指の名曲の1つ。


ALLIANCE - BOND OF UNION ★★★ (2018-06-19 23:37:30)

NIGHT RANGERのアラン“フィッツ”ジェラルド(Key)に、結成の音頭を取ったゲイリー・ピール(G)、BOSTON他の仕事で知られるデイヴィッド・ローザー(Ds)という元SAMMY HAGAR BAND同窓生3人に、プログレ界隈では腕利きプロデューサーとして腕を振るうシンガー、ロバート・ベリー(Vo)が合流する形で結成されたバンドが、'96年に発表した1stアルバム。(日本盤はゼロ・コーポレーションから発売)
リリース当時は、どうせグランジ/オルタナティブ・ロックの台頭で暇になったベテラン・ミュージシャンが、日本市場で小銭を稼ごうとちゃちゃっと集まって仕上げた即席プロジェクト感漂うAOR/産業ロック作品でしょ?と、偏見丸出しでスルーしてしまったのですが、これが大間違い。ロバートの熱い歌いっぷりや、クラシック・ロックの風格漂わすアランのヴィンテージなオルガン捌きを始め、タイト且つソリッドにまとまった演奏は気持ち良くロックしてくれている上に、バンドとしての一体感にも溢れています。
何よりAOR/産業ロックだけに留まらず、メンバー各自の豊富なキャリアを物語るかのように、様々なジャンルの音楽要素をバランス良く配合した収録曲の数々が聴き応え十分。特に重厚にしてドラマティックなバラード⑤、ロバートのソウルフルな歌唱と楽器陣の適格なバックアップに酔いしれる⑧、小気味よく走り抜ける哀愁のHRチューン⑨、攻めのKeyプレイが映えるハード・ロッキンな⑪といった楽曲は、このバンドの醍醐味が詰め込まれた逸品ではないでしょうか。
充実の内容に、侮り倒していた己の不明を恥じ入るばかりのアメリカンHRの力作です。


ALLIANCE - BOND OF UNION - BEST OF ME ★★★ (2018-06-20 23:26:42)

憂いを湛えたドラマティックなバラード。
ただ美しいだけでなく、エモーショナルなVo、泣きのG、
抒情的なオルガン、重厚なリズムと、
各メンバーによるHRバンドとしての
主張も込められた名曲に仕上がっています。


ALLIANCE - BOND OF UNION - Turn Around ★★★ (2018-06-20 23:30:06)

哀愁を帯びたメロディが軽快に駆け抜けるメロディアスHRチューン。
影に日向に楽曲をカラフルに彩るアラン“フィッツ”ジェラルドの
鍵盤捌きがアレンジ面において重要な役割を果たしてくれています。


AMAZE ME - Dream on ★★★ (2020-04-14 01:25:20)

STATE OF MINDやGREAT KING RAT、TALK OF THE TOWN、あと個人的には北欧メタルの隠れた秀盤、ラーズ・エリック・マットソンの『VISION』(’92年)で歌っていた印象が未だに強く残っているコニー・リンドと、プロデューサー/ソングライター/マルチ・プレイヤーとして腕を振るうピーター・ブローマン(今回調べてみて’17年に亡くなっていると知ってびっくり)の2人により立ち上げられたメロハー・プロジェクトAMAZE MEが、’97年にマーキー/アヴァロン・レーベルから発表した2ndアルバム。
コニーの甘く感傷的な歌声と煌めくKeyの彩りが映える、「北欧のそよ風」の如き爽やかな透明感&哀感兼備のメロディアスHRサウンド実に心地の良い1枚なのですが、90年代当時はこの手の作品の受け入れ先が日本(と欧州の一部)にしかなかったためか、レコーディング費用はあまり用意出来なかったようで、音質はお世辞にも上質とは言い難く、打ち込み丸出しのリズムも少々気になるっちゃあ気になります。
ただぶち壊しというレベルではありませんし、何よりそれを押しても溌剌と弾むOPナンバー①、清涼感に溢れた⑥、甘口な中にもHRのエッジが効いたアップテンポの⑪等、収録曲の出来栄えが素晴らしい。特に北欧ハードポップの理想形を体現した名曲の一つである②は、この曲目当てにアルバムを買っても損はないと力説したくなる魅力を有しています。
BURRN!!誌等で高評価を得たこともあって、リリース時はそれなりのセールスを記録したようで、廃盤の今でも中古屋に行くと安価での入手が可能。もし見かけたら上記楽曲目当てに手に取って頂けましたら幸いです。


AMAZE ME - Dream on - It's All over ★★★ (2020-04-15 01:34:05)

涼し気な哀愁を湛えたメロディを、コニー・リンドが甘い歌声で
爽やかに歌い上げる北欧ハードポップの名曲。
個人的には「AMAZE ME=IT'S OVER」ってな認識と言っても過言じゃありませんよ。
大味な打ち込みドラムがやや耳障りですが、それを差し引いて尚魅力的。


AMBITION - AMBITION ★★ (2010-01-09 12:08:00)

トム・グリフィンと言えば「素晴しい歌唱力を誇る2代目TRILLIONフロントマン」として知られているが(?)、
それ以降は特に目立った活動をする事もなく、ミュージシャン業からは半ば引退状態にあった彼が久々に
現役復帰を遂げ、AMBITION名義で'06年に発表した作品がこれ。
メロディアスHRファンからの信頼も篤い優良レーベルFRONTIER RECORDSの社長セラフィノ・ペルジーノの
肝煎りで制作されているだけあって、同レーベルの人脈をフル活用し、作曲から演奏まで
実力派ミュージシャン勢が呼び集められた本作は、それに見合うだけのクオリティをしっかりと保持。
キャッチーな哀メロに彩られた叙情HRチューンの数々、それらを的確にサポートする、よく泣きよく歌うGや
楽曲をピリッと引き締めるリズム隊、華やかなKey等、本作の聴き所をいちいち挙げていったら枚挙に暇がないが、
やはり何と言っても、本編の主役たるに相応しい存在感を発揮するのは、経年劣化を全く感じさせないトム・グリフィンのVo。
特に、静と動のメリハリの効いたドラマティックな曲展開に、豊かな表現力を駆使してエモーショナルに歌い上げる
彼のVoが絡む②は、メロディ愛好家を自認する方なら一度は聴いて頂きたい極上の名曲。(泣きのGも良い仕事してます)
この手のプロジェクトにありがちな「楽曲の詰め込み過ぎ」(収録時間は1時間弱)という欠点を抱えて尚、
その完成度の高さには揺ぎないメロディアスHRの力作。当然のように次作を期待しているのだが、もうやらないの?


AMBITION - AMBITION - HOLD ON ★★★ (2010-01-09 12:17:09)

今も変わらずエモーショナルなトム・グリフィンのVo、
歌を盛り立てつつ、ちゃんと自己主張もするメロディアスなG、
甘口になり過ぎぬようパンチを効かせるリズム隊、
曲調を華やか且つ叙情的に彩るKey(TOTO風?)・・・と
AMBITIONというプロジェクトの魅力を判り易く詰め込んだ1曲。


AMBITION - AMBITION - HYPOCRITES ★★★ (2010-01-09 12:20:32)

静と動、メリハリの効いた劇的な曲展開が深い感動を呼ぶ名曲。
個人的にはアルバムのハイライト・チューンかな、と。
流石に往年の艶はないトム・グリフィンのVoだが、
表現力と円熟味を増した歌声でその分をしっかりとカバー。
伸びやかに泣くGもいい仕事してまっせ。


AMBITION - AMBITION - SHAPING FATE & DESTINY ★★ (2010-01-09 12:23:53)

歯切れ良く弾む曲調に身も心も浮き立つ
ポップ&キャッチーなメロディアス・ハードの名曲。


AMBUSH - Desecrator ★★★ (2016-01-26 21:34:31)

スウェーデン出身の若き5人組の日本デビュー作ともなった2ndアルバム('15年発表)。
スパンデックス&ガンベルト武装のメンバーの勇姿からもNWOTHM一派に属することは明らかで、音の方もそれに相応しく(?)、ロブ・ハルフォード似のハイトーン・シンガーと、リフにリードに溌剌と動き回るツインGを活かしたJUDAS PRIEST型正統派HMサウンドを志向。
新人ならここにスピード/スラッシュ・メタリックなアグレッションや、モダンな味付けといった前のめりな感覚を付け加えたりしそうですが、根が真面目な人達の集まりなのか、本作は『BRITISH STEEL』~『背徳の掟』期のJP度満点な中庸ミッド・チューン①②で開巻します。
正直「掴み」としては少々弱いんですけど、メタルゴッドに対する敬愛を衒いなく表明する姿勢には好感が持てますし、何より後に続くアルバム表題曲③が、思わず目を細めたなくなる劇的なツイン・リードGが閃く名曲でテンションがV字回復。ここで一気に聴き手の身を前に乗り出させると、以降は『THUNDERSTEEL』の頃のRIOTにも通じる④、独産パワー・メタルばりの力強さを宿した⑥、NWOTHMバンドお約束のIRON MAIDEN型大作ナンバー⑨etc・・・と、正統派HM然としたカッコ良さだけでなく、重厚なコーラスやライブ映えする80年代メタル風味のキャッチネスも仕込まれた楽曲群で畳み掛け、最後までタイトに走り抜けます。
新旧どちらのHR/HMリスナーにもアピールし得る魅力を備えた力作。


AMBUSH - Desecrator - Desecrator ★★★ (2016-02-02 23:32:29)

ハイトーン・シンガーの歌いっぷりの良さから
Gリフのカッコ良さ、そして思わず目を細めてしまう
ツインGの劇的なハモリ具合まで、
「これがOP曲で良かったんじゃね?」と
思わずメンバーに尋ねたくなってしまう疾走ナンバーの名曲。


AMERICAN TEARS - Powerhouse ★★★ (2020-09-01 01:04:51)

AMERICAN TEARSといえば、メロディ愛好家にとって信頼のブランドであるマイク・マンゴールドが率いていたTOUCHの前身として知られるバンド。本作はマイク以外のメンバーを刷新するというドラスティックな編成替えを経て、’77年に発表された彼らの3rdアルバムにして最終作。(この後TOUCHと改名することとなる)
マイクのプロ・キャリアの出発点となったVALHALLA時代同様、英国勢からの影響を伺わせるプログレッシブなアプローチも目立っていた(それはそれで大層魅力的だった)1st、2ndに対し、本作では一気にアレンジがアカ抜けて、キャッチーなメロディや印象的なハーモニーが大幅増量。当時チャートを席巻していたBOSTON、KANSAS、STYXといったアメリカン・プログレ・ハード勢のサウンドに触発されたような、より大衆性を意識し洗練された方向へと大きく舵が切られています。
包み込むような暖かみに溢れたバラード②は本作ならではのコマーシャルな魅力を発散していますし、後にTOUCHでもリメイクされることになる③は、7分以上に及ぶ大作ながらも大仰にならないドラマ性とポップな親しみ易しさが自然な融合をみた、AMERICAN TEARSの新機軸を分かり易く伝えてくれる名曲です。勿論、泣きのメロディを奏でるGが活躍する重厚な⑤のような、プログレ・テイストを濃いめに漂わす楽曲も健在で、こっちも当然グッとくる仕上がりなのは言うまでもありません。
TOUCHにビビッときた方なら、本作含めてAMERICAN TEARSのカタログもチェックしておいて損はないのではないでしょうか。


AMERICAN TEARS - Powerhouse - Can't Keep From Cryin' ★★★ (2020-09-02 00:45:22)

抒情的なKeyによるイントロの焦らしからスタート。
エモーショナルな熱唱のみならず、哀愁をたっぷり含んだメロディを
奏でてGを泣かせまくるクレイグ・エヴァンス・ブルックスの
見事なミュージシャン・シップにも痺れる劇的な逸品です。


AMERICAN TEARS - Tear Gas ★★★ (2021-08-12 00:31:54)

復活後も間を置かずに新作リリースを重ねる、マーク・マンゴールド率いるAMERICAN TEARSが’75年に発表した2ndアルバム。
マークといえば、彼の名を一躍広める切っ掛けとなったTOUCHを始め、数多のメロディアスHR作品に関与してきたベテラン・アーティスト。その何れもアンサンブル重視の姿勢が徹底されており(AMERICAN TEARSの3rd『POWERHOUSE』も含む)、本作も当然そのような作風が託されているものとばかり思い込んでいたため、後追いで聴いた時は結構驚かされました。ギターレスのトリオというEL&Pばりの攻めた編成の下、自らリードVoも担当。更に相棒として「ベースに持ち替えたジミ・ヘンドリックス」の異名を取ったというジャズ畑出身のゲイリー・ソニーを迎え、弾きまくるKeyがサウンドをグイグイと牽引するプログレッシブ・ロック然とした音楽性を追求しているではありませんか。なんつーか、野球チームで「繋ぐ野球」「全員野球」の大切さを説いているコーチが、若い頃はヤクルト・スワローズの池山隆寛ばりのブンブン丸だったことを知ってしまったような衝撃を味わいましたよ。
とはいえ、テクニックの披露のみに拘泥した独り善がりな内容にはなる筈もなく。現在に通じる優れた作曲/メロディ・センスはこの時点で既に開花。その最たる例というべきが、プログレッシブ・ロック然とした大作主義、スリリングなアンサンブルに、キャッチーなメロディが組み合わされたドラマティックな名曲③ではないかなと。
「人に歴史あり」という格言の意味をしみじみと噛み締める1枚。


AMERICAN TEARS - Tear Gas ★★★ (2021-08-13 00:53:35)

神秘的なイントロと、DEEP PURPLEの“BLACK NIGHT”を思わすGリフに
導かれてスタートするアルバムのハイライト・ナンバー。8分越えの
長尺の中に、スペーシーかつドラマティックな曲展開と、リード楽器として
活躍するKeyを始め、各楽器の見せ場が盛り込まれていますが、それでもやはり
最も印象に残るのは秀逸なメロディ・センスという辺りが、マイク・マンゴールド印です。


AMORAL - Show Your Colors ★★ (2009-08-24 22:24:00)

去年、フィンランド・フェスト08を見に行った時の話。2番手として登場したアリ・コイヴネンに対し、ステージ前方に
陣取った外人客が終始、中指を立てて野次を飛ばしまくっているのを目撃して、やはりコアなメタル・マニアからの
風当たりはキツイものがあるのか・・・と暗澹たる気分を味わったのだけど、ニコ・カリオヤルヴィ(Vo)に代わる
新たなフロントマンとして、そのアリを加入させたAMORALが'09年に発表するや、ファンの間で
「問題作」として賛否両論を巻き起こした本作(4th)を聴いていたら、ふとその事が思い出された。
尤も、「エクストリーム・メタル・バンドにメタル・アイドル加入」という経緯こそが問題なのであって、内容自体は、
北欧のバンドならではのメランコリックなメロディを満載にした、非常に優れたHMアルバムに仕上がっているように思うのだが・・・。
ただ、そうした感想を抱くのは自分が別段AMORALというバンドに強い思い入れを持たない人間だからであって、
彼らにブルータルなデス/スラッシュ・サウンドを求める向きには、やはり本作の作風は辛いものがあるか。
しかし繰り返しになるが、クラシカルで美しい序曲①から展開する劇的な②、ブラスト・ビートをフィーチュアして
切れ味鋭く疾走する③、1stシングルとしてリリースされファンの間で賛否両論を巻き起こしたものの、冷静に聴けば
優れた哀メロ・ナンバーである事が分かる④・・・と、本作に収録された楽曲は最初から最後まで、この顔合わせでしか
作り得ない魅力を備えたモノばかりで、アルバム自体の完成度は非常に高い。アリ加入に対するファンからの
風当たりのキツさは相当なものらしく、バンドが抱え込んだストレスの大きさは、フラストレーションに満ちた
歌詞の数々を読んでるだけで嫌というほど伝わってくるが、せっかく質の高い作品を作り上げ、新たな可能性への
扉を開いたのだから、批判に負けてこの編成がアルバム1枚きりで終わってしまわないよう願っております。


AMORPHIS - The Karelian Isthmus ★★ (2018-04-22 00:02:25)

メロデス第一世代として頭角を現し、現在はその音楽性を孤高の域にまで引き上げることで本国フィンランドは勿論のこと、日本でも安定した人気を誇るAMORPHISが’92年に発表した1stアルバム。(日本盤は'95年に2ndアルバムと同時リリース)
本作で披露されているのは、地の底から轟く咆哮Voと重苦しく刻まれるリフ&リズムが、時に轟然と、時にじりじりと這い進む、基本に忠実なデス・メタル。全編に亘って北欧民族音楽由来の抒情メロディが満ち溢れ、メロディック・デス・メタル黎明期の名盤として知られる2nd『TALES OF TEN THOUSAND LAKES』(’94年)や、近年の傑作群における唯一無二のサウンドに比べると、まだまだ相当に粗削りな出来映えではあるものの、寧ろ今聴くと「あのAMORPHISも若い頃はブラスト・ビートを用いて遮二無二にブッ飛ばしてたんだなぁ」と、新鮮に感じる人もいるんじゃなかろうかと。
無論独自の個性も既に芽吹き始めており、侘し気な序曲①を経て、段階的に速度を上げていく重厚な②に繋げる構成や、ツインGの奏でる荒涼とした旋律がデスメタル然としたブルータリティを伴って吹き荒ぶ⑥等は、この時期の彼らだからこそ生み出し得た名曲ですよ。
ちなみにアルバム・タイトルの『THE KARELIAN ISTHMUS』は、フィンランドにとって重要な土地である「カレリア地峡」を意味する言葉。そして彼の地に残っていたフィンランド語の伝承や歌謡を編纂した民族叙事詩が、AMORPHISの曲作りの重要なインスピーレション源として知られる『カレワラ』であるという。斯様にAMORPHISの創作活動の姿勢が、当時から現在まで一貫してブレていなことを伝えてくれる1枚でもあります。


ANACRUSIS - Reason ★★★ (2019-07-29 00:14:47)

日本盤がリリースされたことは終ぞないが、マニア筋からはVOIVODやBLIND ILLUSION、ATHISTといったバンドに匹敵する実力派と高評価を受けている、ミズーリ州出身の5人組が'89年にMETAL BLADE RECORDSから発表した2ndアルバム。
古代ギリシャ語を原義とする難解な音楽用語をバンド名に冠するだけあって、彼らが奏でるのはアメリカのバンドらしからぬダークさを纏った、アグレッシブ且つプログレッシブなスラッシュ・メタル。シャウトを基本に時折妖しげに歌い上げるVo、ササクレた音色でドリルのようにリフを刻む傍ら、メランコリックな抒情旋律も紡ぐG、高低差の激しいリズムを叩き出すDs、そしてリード楽器といっても過言ではない主張っぷりでうねりまくるBとが、静と動、緩と急、躁と鬱を目まぐるしく入れ替えながら展開していくサウンドは、知的と呼ぶには余りにマッド。何やらアングラな雰囲気が濃厚に立ち込めます。
テンション抑え気味のOPナンバー①に代表されるように、前作に比べるとVoの歌う場面が増え、全体的にもメロディが増量された印象を受けますが、その結果、激烈な疾走パートとアトモスフェリックな中間部の対比が効果を上げている②、攻撃的なバッキングに乗せられた、浮遊感を湛えた哀愁の歌メロとの取り合わせがユニークな⑥、技巧を駆使したリフ/リズム・チェンジで畳み掛けながら終盤に向けてギアを上げていく⑪等、ANACRASIS印の名曲のダイナミズムや個性がより一層際立っているので無問題。
マニア筋の高評価をしかと裏付けるテクニカル・スラッシュの傑作。近年で言えば、VEKTOR辺りがツボにハマる方なら本作も必ずや愛聴盤になるのではないでしょうか。


ANACRUSIS - Reason - Misshapen Intent ★★★ (2019-07-30 00:37:57)

ダーティなシャウトと物憂げな歌い上げを
使い分けるVoの歌唱スタイルに象徴される通り、
スラッシュ・メタル然とした剥き出しの攻撃性と、
ダークに浮遊するメランコリックなメロディとが
交錯する曲展開がユニークな逸品。


ANACRUSIS - Reason - Terrified ★★★ (2019-07-30 00:30:33)

切っ先鋭く荒れ狂う曲相に、それを制御する精緻な演奏技術、
動から静、そして再び動へと激しくアップダウンする曲展開と
知性と獣性が拮抗するANACRUSISというバンドの個性を
分かり易く叩きつけて来るスラッシュ・ナンバー。


ANACRUSIS - Screams and Whispers ★★ (2007-02-06 21:48:00)

アメリカはミズーリ州出身の4人組スラッシュ・メタル・バンド、'93年発表の4thアルバム。
アグレッシブなリフの刻みや、時折炸裂する猛烈な疾走感に嘗ての面影を残しつつも、
ここでは、独特の浮遊感を湛えたプログレッシブ・ロック風の曲調といい、親しみ易い歌メロを歌い上げたかと思えば、
次の瞬間にはスラッシーなシャウトを響かせるVoといい、安易なジャンル分けを拒否する摩訶不思議なサウンドを展開。
同じミズーリ出身のバンド、AWFUL TRUTH(後のGALACTIC COWBOYS)を、
更にアグレッシブにした感じのサウンド・・・と言えば分かり易いだろうか。
この捉え所のなさに反して、焦点のボケや散漫さが全く感じられないのは、アルバム全編に溢れる
哀感を帯びたメロディが非常に魅力的だから。特に、変幻自在のVo、テクニカル且つメロディアスなツインG、
時にスラッシュ・ビートを叩き出すDs、ミステリアスな雰囲気や、浮遊感を演出するピアノやKeyの音色・・・と、
本作の魅力がギュッと凝縮されたかのような③は、本編のハイライト・チューンではなかろうか。


ANDRE MATOS - The Turn of the Lights ★★ (2019-06-12 00:50:02)

高齢のベテランや、若くして破天荒なライフスタイルを送ってそうなミュージシャンだと、訃報に触れてもある程度は粛々と受け止められるものですが、アンドレ・マトス死去とは…。全く予想だにしなかった方向からブン殴られたような衝撃ですよ。
本作は彼が'12年にソロ名義で発表した3枚目のアルバムで、初めてサシャ・ピート以外のプロデューサーと組んで制作されているせいか、全体的にメロパワ・メタル色もラテン色も控えめ。よりモダンでプログレッシブなアプローチが目立っており、OPナンバーにしちゃ覇気に欠ける①や、本編を色濃く覆う内省的なムード、テンションを抑え気味に淡々と歌うマトスのVoもそうした印象に拍車を掛けています。無論②⑩のような疾走ナンバーも健在ですが、若干「置きに来てる」感がなくもないそれらよりは、憂いに満ちた③、ムーディなバラード④といった、マトスの哀愁声が映える、一聴地味だけど聴くほどに味わいを増す楽曲の方に心惹かれる次第。中でも、緩から急まで多彩な展開を織り込んだ⑧は名曲ですよ。
ちなみに日本盤はVIPER時代の代表曲“AT LEAST A CHANCE”、QUEENSRYCHEの“I DON’T BELIEVE IN LOVE”、演歌の名曲“氷雨”等のカヴァー曲を集めたボーナス・ディスクが付属する2枚組仕様。確か当時“氷雨”聴きたさに本作を購入したんだっけなと。マトスの微笑ましい日本語による歌唱は評価の分かれ目なれど、個人的には哀愁を孕んだ曲調をドラマティックに蘇らせた好カヴァーとして楽しませて頂きました。
マトスの豊かな才能が発揮された1枚であると共に、てめぇがやりたい音楽と、外から期待される音楽との齟齬についての彼の葛藤が刻まれている(ような気がする)作品でもあるという。


ANDRE MATOS - The Turn of the Lights - Hisame (Japanese Enka Cover) ★★★ (2019-06-13 00:04:52)

妙にハキハキとしたアンドレ・マトスの日本語の歌にちょっと笑ってしまうのですが
哀愁を帯びた曲調と、ヘヴィ・メタリックなアレンジの相性は良好。
ドラマティックな好カヴァーではないでしょうか?
あと、なぜかこのカヴァーを聴く度に“泳げたいやきくん”のことを思い出してしまうという。
曲調似てるのか。


ANGEL DUST - Enlighten the Darkness ★★★ (2020-06-10 00:35:46)

80年代に残した2枚のアルバムが今もマニアから愛されるドイツのスラッシュ/パワー・メタル・バンドANGEL DUSTが、オリジナル・メンバーのリズム隊を中心に再編され、'14年に発表した復活第3弾アルバム(通算5作目)。ゴールデンウィークに掃除をしていたらCD棚の隅っこから本作を発見。「いつ買ったか全然思い出せねぇ…」と聴き直してみたら、その意外な完成度の高さ(失礼)についつい掃除の手が止まってしまったという。
初期のゴリ押しスラッシュ・メタル時代しか追いかけていなかったので、こちらが知らぬうちに作を重ね、ヘヴィに刻まれるGリフや、Key奏者を専任メンバーに迎えて技巧的アプローチが試みられた曲展開等、いつの間にかジャーマン・メタル的クサ味控えめの、ダークでドラマティック、モダンな味わいも感じられる(同じドイツ出身だとVANDEN PLUS辺りに通じる)本格派のプログレ・メタル・バンドに転身を遂げていたのだなぁと。
全体的に重厚な印象が勝る仕上がりながら、冷ややかな哀メロやシンフォニックなアレンジの積極導入によって荘厳に彩られたサウンドは、抒情性の増強も抜かりなく図られていて大味感は皆無。確かにVoの歌唱力はやや不安定ではありますが、こちとら初期作を繰り返し愛聴してきた身ゆえ、あっちに比べたら「上手いシンガーが入ったなぁ!」ってなもんですよ。特に、悲哀に満ちたメロディ、ピアノ、女性コーラス等を取り入れ、タメを効かせて劇的な盛り上がりを呈する②は思わず身を乗り出さずにはいられない名曲。
ANGEL DUSTに関しては初期2枚さえ持ってりゃいいやという態度だったのですが、こうなると3rd以降のアルバムにも俄然興味が湧いてきましたよ。


ANGEL DUST - Enlighten the Darkness - The One You Are ★★★ (2020-06-10 23:33:06)

かつてのゴリ押しスラッシュの面影は殆どなく、
重厚に刻まれるリフ&リズム、その上でダークなメロディを朗々歌うVo、
動→静→動と転調を効果的に用いた劇的な曲展開等、
すっかりプログレ・メタル・バンドとしての風格漂う仕上がり。
抒情性を増幅するピアノの隠し味が効いています。


ANGEL DUST - Into the Dark Past ★★ (2011-03-09 21:56:38)

ANGEL DUST、'86年発表の1stアルバム。
次作では専任VoとしてS.L.クー(REACTOR~SCANNER)を迎え入れて、ドラマティックな曲展開とメロディの充実を図り、正統派パワー・メタル色を増量する事となる彼らだが、このデビュー作では、後にRISKやCENTOURといったバンドを渡り歩くローマン・ケイマー(G)のヘタウマVoと、間断なく撃ち出される機銃弾の如きGリフ、それに性急なリズムとが一塊に疾走する、もっと骨太で直線的なサウンドを志向。(Bも良い仕事してる)
ただスラッシュ・メタルと言い切るには、下手なりにメロディを追いかけるVo(唐突なハイトーンが「世界のナベアツ」風)や、メロディックなツインGの掛け合いがタップリとフィーチュアされたインスト・パートの存在もあり、確かに「スピード・メタル」と表現した方がシックリくる内容かな、と。
収録楽曲はややフックに欠けるが、ゴシカルなインスト曲①を除くその他全てが疾走ナンバーで固められた、清々しいまでに力押しに終始した構成といい、手数の多さで圧倒するGリフのカッコ良さといい、聴き手を捻じ伏せる迫力は十分。(個人的なお薦めは②③⑧辺りでしょうか)
AGENT STEELやSAVAGE GRACEといったバンドがお好みならば、必ずやお眼鏡に適うであろう1枚。


ANGEL DUST - Into the Dark Past - I'll Come Back ★★★ (2011-03-09 21:59:55)

ゴシック調のイントロを、機銃弾の如き速射リフが
引き裂いて猛然と疾走を開始するOPナンバー。
ヘタウマ(というか下手)なVoは一応メロディを
追い掛け、ツインGの掛け合いパートも用意されて
いるものの、メロディよりもスピード感や攻撃性が
前面に押し出された曲調は、まさしく
「スピード・メタル」と表現するのにぴったり。


ANGEL DUST - Into the Dark Past - Legions of Destruction ★★★ (2011-03-09 23:19:37)

Bがゴロンゴロン唸りを上げ
切迫感を煽るイントロでガシっと掴まれ、
あとは小気味良い疾走感に身を任せて
首よモゲよとばかりに頭を振るのみ。
やたらテンションの高いツイン・リードGも○。


ANGEL DUST - To Dust You Will Decay ★★ (2010-06-22 22:48:00)

80年代のジャーマン・スラッシュ/スピード・メタルを語る上では欠かす事の出来ない(・・・そうでもないか?)
ドルトムント出身の5人組が、Voをローマン・ケイマーから、後にSCANNERやREACTORに参加する事で知られる
S.L.クーに代えて、'88年に発表した2ndアルバムにしてラスト作。(で、90年代に再結成)
プロデューサーにキット・ウルーヴェンを迎えた事で音質が向上。また、しっかりと歌える専任シンガーが
加わったことで「脱スラッシュ/スピード・メタル」志向が加速した本作は、全体的にパワー・メタル度が急上昇。
と言っても、彼らの場合はドイツのバンドらしい高いドラマ性を有しながらも、メロパワ的な懐っこさより、
JUDAS PRIESTやACCEPTの系譜に連なるゴツゴツとした感触の硬派なサウンドがその身上で、刻みの細かいGリフや、
畳み掛けるようなリズムの疾走感には、前作同様スラッシーなアグレッションが宿り、その上でハイトーンVoが
勇壮なメロディを朗々と歌う、劇的なラスト・ナンバー⑩はANGEL DUST屈指の名曲の一つか。
個人的には、もろスラッシュ・メタル的な切れ味の鋭さを誇る⑤のような楽曲の方が好みだったりするのだけど。
何にせよ、捨て曲なしの力作なのは間違いない1枚。これ程の作品が、未だ嘗て正式にCD化されたことがないってのは
何とも解せない話だ。(海賊盤なら容易に入手可能だけど)


ANGEL WITCH - Angel Witch ★★★ (2007-07-10 21:57:00)

NWOBHMに沸くイギリスで活躍し、幻想美術画家ジョン・マーティンの代表作の1つ「万魔殿の堕天使」を用いたアルバム・ジャケットや、
オカルト色の強い歌詞、そしてダークでドラマチックな楽曲の数々が生み出すオドロオドロしいイメージをもって、
METALLICAやMEGADETHを始めとするスラッシュ・メタル勢に多大な影響を与えた事で知られる、
ロンドンはサウス・イースト出身のパワー・トリオANGEL WITCH、'80年発表の1stアルバム。
硬質なリフ、シャープに疾走するリズム、メロディアスに切り込んで来るG、イギリスの専売特許とも言える湿ったメロディを
歌うヘタウマVo、そしてダークでドラマチックな曲展開といった、このバンドの持つ美点を余す所なく兼ね備えた
名曲中の名曲①で幕を開ける本作は、流石、NWOBHMを代表する名盤の1つと評されるだけあって、捨て曲は皆無。
前述したバンドのテーマソングでもある名曲①に始まり、シャープに疾走する②、静と動の対比が美しい③、
ONSLAUGHTもカヴァーした緊張感に満ちた④、70年代ハードロック風味の⑤、アグレッシブだがメロディにも気の払われた⑥、
如何にもNWOBHM的なスピード・チューン⑦、メロメロに泣きまくるバラード⑧、バンドのイメージに忠実な
禍々しい雰囲気を発散する⑨、そして本編を締め括るアウトロ⑩に至るまで、最初から最後までテンションが緩む事は一切ない。
また、全体的に漂うコアな雰囲気とは裏腹に、隠し味的に導入されているKeyが非常に効果的に機能している点も付け加えておきたい。


ANGEL WITCH - As Above, So Below ★★ (2012-04-15 22:05:09)

前作『RESURRECTION』から14年ぶりに発表された5枚目のスタジオ・アルバム。ANGEL WITCHの作品とまともに対峙するのは久々なのですが、これがデビュー作と音楽性が全く変わっていなくて、最初聴いた時はちょっと笑ってしまいましたね。勿論、良い意味で。
ジョン・マーティンの宗教画(審判三部作が一篇『最後の審判』)を再びジャケット・アートワークに用いていることからも原点回帰の姿勢が明らかな本作は、RISE ABOVEのバックアップを受けレコーディングが行われたことのプラス効果か、作品全体が濃厚な英国風味によって包み込まれている。重く湿気った感触のリズム・セクションを手始めに、ロンドンの空を分厚く覆う曇天模様のごとき空気感は、リー・ドリアン人脈に連なる英国人ミュージシャン達だからこそ出しえた味ではないでしょうか。
そして何より本作のMVPは、ANGEL WITCHの中心核たるケヴィン・ヘイボーンその人。アングラ臭がプンプンと漂って来るダークで鋭角的なリフ・ワークの妙技もさることながら、とにかく「歌」が良い。上手過ぎず、下手過ぎず、絶妙な匙加減で煮え切らないメロディを拾って行くこの人の歌声は、まさしくNWOBHMの地下室的な息吹を生々しく現代に蘇らせてくれています。
特にOPナンバー①は、痒い所に手の届くGプレイと歌メロに悶絶必至、1stアルバムに収録されていた名曲群と比較しても何ら遜色のない逸品で、個人的には、これとバラード調に始まり劇的に盛り上がっていく④が聴けただけで本作購入費の元は回収出来たと思っております。(それ以外の楽曲がつまらないわけではありませんが)
ケヴィン・ヘイボーンが自信たっぷりに「1stの後に来るべき作品」と語るのも納得の力作。


ANGEL WITCH - As Above, So Below - Dead Sea Scrolls ★★★ (2012-04-17 23:48:20)

暗く鋭角的に刻まれるGリフ、憂いを帯びた垢抜けない
メロディを歌い上げるVo、劇的に奏でられるツインG、
曲全体を包み込む噎せ返るようなアングラ臭・・・と
ANGEL WITCH流の様式美が詰め込まれた必殺の名曲。
この曲を聴くためだけにでもアルバムを購入しても損はない!
と思わず断言したくなりますね。


ANGEL WITCH - As Above, So Below - The Horla ★★★ (2012-04-18 07:20:36)

昭和歌謡か、はたまた演歌かといった趣きの
泣きのイントロで掴みは万全。
ヘヴィでタメの効いたリズム・ワークは
エピック・ドゥーム調で、この辺はリー・ドリアン人脈に
連なるミュージシャン達の面目躍如といったところで、
その上に乗る、ケヴィン・ヘイボーンが歌い奏でる
メランコリックなメロディにも心打たれます。


ANGEL WITCH - Burn The White Witch - Live In London ★★★ (2021-01-25 23:57:56)

再結成、そして初の来日公演を記念して、'09年に紙ジャケット仕様にて日本のみでリリースされたANGEL WITCHの実況録音盤。帯に記載された『白人の魔法使いを燃やしなさい』という直訳極まりない邦題が何やらブート盤めいた雰囲気を醸し出していますが、れっきとしたオフィシャル作品。正月休みにCD棚を整理していて発見するまで、リリースがあったことも購入したこともすっかり忘れてしまっていましたよ。
‘09年にロンドンのクラブで行われたライブの模様が収録されており、セットリストは全10曲、全てが1st『ANGEL WITCH』からのチョイス。今も昔も変わらないケヴィン・ヘイボーンの独特なヘタウマVoと、彼がクリエイトする地下室的な湿り気と薄暗いメロディに彩られたバンド初期の名曲が、MCもそこそこに、大仰な仕掛け等何もなく次々に畳み掛けられるソリッド極まりない――でもこのバンドには非常に似合っている――構成といい、野郎率120%な観客の野太い声援といい、何も知らずに聴いて「実はこれ、80年代初頭に録音された秘蔵ライブ音源なんですよ」と言われたら、疑わずに信じてしまいそうな仕上がり。(補足しておくと、バック・バンドは初来日公演時と同じ、リー・ドリアン人脈に連なる若手ミュージシャン達によって固められています)
バンドとオーディエンスのコール&レスポンスが熱い⑤、満を持して炸裂する名曲中の名曲に会場のボルテージが最高潮に達する⑨は本編のハイライト。これ聴いて来日公演の大合唱の思い出が蘇り胸が熱くなったファンも多いのじゃないでしょうか。
国内盤で手に入るANGEL WITCHのライブ盤は本作だけなので、見かけたら是非どうぞ。


ANGEL WITCH - Burn The White Witch - Live In London - Angel Witch ★★★ (2021-01-27 00:03:04)

毎度ライブのトリを飾るバンドのテーマ曲。
スタジオ・バージョンも最高ですが、観客の大合唱が加わる
ライブ・バージョンはそれ以上の高揚感に満ち溢れています。


ANGELICA - Angelica ★★★ (2022-12-29 00:23:19)

デニス・キャメロン(G)率いるクリスチャン・メタル・バンドANGELICAが、INTENSE RECORDSから’89年にセルフ・プロデュース/セルフ・タイトルで発表した1stアルバム。
バンドと言いつつ、正式メンバーはデニスとロバート・バレン(B)の二人のみ。他パートもクレジットこそあるものの、この時点ではバンドとしての実態は殆どなかったようで、その穴を埋めるべく助っ人シンガーに起用されているのが誰あろう、IMPELLITTERI等での活躍で知られるロブ・ロック。彼の客演が、プロデューサー兼ゲストVoとして本作制作に関わるレーベルメイトのケン・タンプリン(ロブとはJOSHUAで一緒に仕事をした仲)の紹介によるものだったのかどうか定かじゃありませんが、ともあれ既に一発で彼と分かるパワフルな歌声をもって、サウンドの「格」を数段レベルアップさせてくれていますよ。
時にポップで柔和な味わいも醸し出すキャッチーなメロディと、デニスの構築美を湛えたメタリックなギターの組み合わせによって形成されるANGELICA独特のメロディアスHRサウンドは、デビュー作にしてほぼ確立の域に達しており、特に爽快感と高揚感を併せ持った⑤はこのバンド屈指の名曲の一つ。
通して聴くと強烈なインパクトに乏しいという、これ以降も彼らのカタログについて回ることになる弱点が早くも健在化してしまってはいるのですが(でもどのアルバムも出来は良い)、ロブのシャープなハイトーンVoが楽曲のメタル度数を底上げしてくれている本作は、ANGELICA入門盤としても取っ付き易い仕上がりとなっているのではないかと。
でも国内盤は廃盤か。


ANGELICA - Angelica - Shine On Me ★★★ (2022-12-30 01:02:32)

爽やかで開放的なサビメロが実にキャッチーな
ハードポップの名曲。ロブ・ロックの鮮烈な
ハイトーンVoと、デニス・キャメロンの華やかな
Gプレイがこれまた楽曲の魅力を際立たせてくれています。


ANGELICA - Rock, Stock, & Barrel ★★ (2017-10-18 00:02:24)

ロブ・ロックがゲストで歌っていた1st『ANGELICA』(’89年)や、ドラム・マシーンを使用していた2nd『WALKIN’ IN FAITH』(’90年)の頃は、バンドとしての実体もライブ経験もない、デニス・キャメロン(G)とロバート・バレン(B)のプロジェクト状態だったカナダ出身のANGELICAが、漸く正式メンバーを揃えて日本デビューを飾った’91年発表の3rdアルバム。ちなみにバンド名、所属レーベル(INTENSE)、人脈、演ってる音楽性からもお察しの通りのクリスチャン・メタル・バンド。国内盤の解説でそのことに触れられていないのは、余計な色(先入観)が付くのを避けるための配慮でしょうかね。
のっけの①から存在を主張してくるBといい、“熊蜂の飛行”のカヴァー⑧を始め、全編に亘ってメロディック且つキレのある演奏を炸裂させまくりのGといい、ほんのりテクニック志向を伺わせつつも、基本的な音楽性は柔和な美旋律と分厚いハーモニー重視の、いかにもクリスチャン・メタル/カナディアンHRバンドらしいポップなメロハー・サウンド。
Voの線の細さと相俟って、全体的にメロディにパンチが効いていないというか、例えば同ジャンルの先輩バンド勢に比べると、サビメロの踏み込みの浅さが楽曲の印象を弱めてしまっている感が無きにしも非ずなのですが、この大らかにふわ~っと流れていく感じが大陸産ロックの魅力の一端と言えなくもない…かもしれません。取り敢えず、そよ風の如く吹き抜けていく爽やかな②、軽快にしてキャッチーな疾走ナンバー④辺りには、メロディ愛好家のツボを突いて来るフックが備っていて大好きな楽曲であります。
クリスチャン・メタル好きなら聴いて損のないクオリティは備わっている1枚かと。


ANGELICA - Rock, Stock, & Barrel - Home Sweet Heaven ★★★ (2017-10-18 00:12:40)

個人的には3rdアルバムで一押しの疾走ナンバー。
緊張感を湛えたヴァースから、
ポップでメロディアスなサビメロへの転調が印象的且つ効果的。
テクとセンスが迸るGソロも実に良い感じですよ。


ANGELICA - Walkin' In Faith ★★★ (2019-09-04 00:09:53)

カナダ出身のクリスチャン・メタル・バンドANGELICAが、'90年に発表した2ndアルバム。但しバンドといっても、シンガーはデビュー作で歌っていたクリスチャン・メイトのロブ・ロックから、近年はスティーヴ・ウォルシュのソロ作に参加していたりするジェローム・マッツァに交代しており(これ1枚きりで脱退)、不在のドラマーの座はドラムマシンで補う等、リーダーのデニス・キャメロン(G)とその相方ロバート・バレン(B)のデュオ・プロジェクトとしての性格が益々強まっているのですが。
それでも、透明感を湛えたハイトーンVoと、全編を優しく包み込むボーカル・ハーモニーがいかにもCCMらしい柔和な雰囲気を醸し出すポップ・メタル・サウンドは質の高さをキープしており、美しいインスト曲⑩を始め、たっぷりと尺を取って弾きまくるバカテクぶりを誇示しながらも、楽曲の邪魔をしない(むしろ曲の一部として見事に機能している)華やかなデニスのGプレイも相変わらず冴え渡っています。
ソフトな作風からすると、ロバート・バレンのBがブンブン唸りを上げる音作りがややチグハグな印象を残すのと、メロディの哀愁味が強いわけではないため、曲によっては油断していると右から左へフワッと流れて行ってしまう掴みの弱さも否めませんが、キャッチー且つ爽やかに走り抜けるメロハー・チューン④と、ほんのりドラマティックなインスト・パートが冒頭に付け足されている⑥という秀でた逸品の存在もあって、個人的にANGELICAのカタログの中では聴き返す頻度が最も高い作品となっています。
彼らの代表作として本作の名を挙げるファンが多いというのも納得の1枚。


ANGELICA - Walkin' In Faith - Soul Search ★★★ (2019-09-05 00:15:15)

本編中においては比較的ハード寄りの楽曲ながら
聴き終えて強く印象に残るのはキャッチネスや爽やかさ
という辺りがこのバンドならでは。
テクニカル且つ歌心を感じさせるGプレイと、
伸びやかなハイトーンVoもそうした印象を増幅してくれます。
しかしBがうるさい(笑)


ANGI SCHILIRO - White Lady ★★★ (2020-05-28 23:15:07)

スイスから現れ、ハモンド・オルガンをフィーチュアした様式美HR寄りのサウンドをもって一部のメタル愛好家に強いインパクトを与えたSTORMBRINGER。その中心メンバーたるアンジー・スキリロ(G)がバンド解散後、映画のサントラを手掛けたり、CHINAへの楽曲提供、PAGANINIのアルバムへの参加といったバイト仕事を経て、'93年にFEMS RECORDSから発表し1stソロ・アルバム。(レコーディング自体は'89年に行われた模様)
OPナンバー①こそイングヴェイ風味も感じられるネオクラシカル調の疾走ナンバーですが、演奏にしろ作曲スタイルにしろ、リッチー・ブラックモア&ゲイリー・ムーアからの強い影響が伺える作風はSTORMBRINGER時代から変わっておらず、オール・インストの本編は、基本的に抒情メロディとクラシカルな美旋律が優しく耳に沁み込んでくる、ミドル~スロー系の楽曲を主体とする構成。例えるなら、嘗ての名曲“SUSI”の味わいを全編に亘って充満させたような仕上がりとでも申しましょうか。
元々限界まで音を詰め込んだ速弾きよりも、音符と音符の隙間から情感が溢れ出す官能的なGプレイの方に遥かに冴えの感じられた御仁ゆえ、Voの代わりにGが雄弁に歌う②、クラシックの有名曲のフレーズを引用していると思うのだけど、それが何なのか思い出せずモヤモヤする③、“薔薇は美しく散る”によく似たメロディが顔を覗かせる⑧といった印象的な楽曲の数々を聴けば、この方向性が正解だったことがお分かり頂けるのではないかと。
90年代に率いたZEROが解散してからこっち、すっかり名前を聞かなくなってしまいましたが、今も元気でいらっしゃるのでしょうかね?


ANGRA - Angels Cry - Carry On ★★★ (2019-06-10 23:41:47)

NWOBHMにもLAメタルにも第一次北欧メタルブームにもリアルタイムでは間に合わなかった身にとって、
「後世まで語り継がれるHR/HMの名曲」とは、己がこのジャンルを聴くようになるずっと以前から
既に厳然として存在する楽曲ばかりだったわけですが、考えてみればそんな自分にも
「後世まで語り継がれる名曲誕生にリアルタイムで立ち会えたかも」
と思わせてくれた楽曲の一つが、この“CARRY ON”だったなぁと。
当時それぐらいのインパクトを受けた名曲でありました。


ANNIHILATOR ★★ (2007-04-13 23:54:00)

新譜の発表、キングへの移籍など、舞台は完璧に整った・・・。
というわけで、今年も開催されるであろうTHRASH DOMINATION 07には、
是非、ANNIHILATORの招待を何卒どうか宜しくお願い致します。

ただ、これで呼ぶと“SOUND GOOD TO ME"とかは
演ってくれそうもないんだよな・・・。


ANNIHILATOR ★★ (2007-06-06 23:15:00)

「THRASH DOMINATION」での来日が決まったようですね。
共演はNUCLEAR ASSAULTにDESTRUCTIONにNEVERMOREだとか。


ANNIHILATOR ★★ (2007-09-30 00:12:00)

1回ならともかく、複数回の機材トラブルは、明らかに盛り上がりに水を差しちゃいましたよね・・・。
(これはトリを務めたNUCLEAR ASSAULTにも言えたことですが)
考えてみれば、初来日の時はサイドGが病気で急遽シングルG編成でのライブだったし、2度目はジェフが
Voを取ってた時期だったので、初期のメロディアスな楽曲が歌いこなせずメロメロだったし、
3度目は仕事の都合で見に行けなかったしで、今度こそ完璧な編成でのANNIHILATORが楽しめる!と
期待していただけに、少々残念な結果に終わってしまいました。
とはいえ、相変わらずジェフ・ウォーターズ先生の正確無比なGプレイは光っていましたし、
バンドのパフォーマンス自体は非常に熱の篭ったモノで文句なし。
出来れば、今度は単独で来て欲しいなぁ、と。


ANNIHILATOR - Alice in Hell ★★ (2006-08-02 21:26:00)

ジェフ・ウォーターズ率いる技巧派スラッシュ・メタル・バンド、'89年発表のデビュー作で、
ANNIHILATORのアルバムの中では、比較的ストレートな疾走感が堪能できる1枚。(飽くまで「彼らにしては」だけど)
物語を感じさせるアルバム・ジャケットといい、クセの強いVoの存在といい、シアトリカルな曲展開といい、ついでに発売元が
同じROADRUNNERである事といい、本作を例えて「スラッシュ化したKING DIAMOND」とは正に言い得て妙。座布団1枚!
KING DIAMONDがホラー・メタルなら、こちらはサイコ・ホラー・メタルとでも形容すべき独特の雰囲気が漂っていて、
それを主に演出するのが、ランディ・ランペイジのヒステリックなキ○ガイVo、そして、痙攣の発作の如き執拗なリフの刻みと、
高いドラマ性を有しながら、どこか不安を掻き立てるメロディが印象的なソロを聴かせる、ジェフ・ウォーターズのGワーク。
特に、絡み合う2本のアコギが、文字通り水晶のような美しさを感じさせる序曲①“CRYSTAL ANN"と、
組曲形式で続く②“ALICE IN HELL"は、不気味なヘヴィ・パート/ひねくれたインスト・パート/オペラティックなパート
/スラッシーな疾走パート等が目まぐるしく入れ替わる、芝居がかった劇的な曲展開が素晴しい、
初期ANNIHILATORの何たるかを「ギュッ」と凝縮した名曲。
デビュー作にして早くも、新人離れした高い完成度とインテリジェンスを誇る楽曲の数々を作り上げてしまうジェフ・ウォーターズ、
その才、恐るべし。


ANNIHILATOR - All for You ★★ (2006-08-17 22:28:00)

3枚の作品を残して、逸材Voジョー・コミューが脱退。代わりに無名の新人デイヴ・パッデンを加えて、'04年に発表された10thアルバム。
その新Voは、この御時世アメリカには掃いて捨てる程いそうな、クリーンボイスと怒号を使い分けるタイプだが、
流石ジェフ・ウォーターズの眼鏡に適っただけあって、③のようなスラッシュ・チューンも、④のようなバラードも
歌いこなせる確かな実力の持ち主。力んでもしなやかさを失わない声質は、前任者の「硬」の対して「軟」。
スタイル的には三代目Voのアーロン・ランドールに近い感じ?
そんな今風のVoの存在ゆえか、本作はモダンな空気が強いように感じられるかもしれないが、どっこい。
腰を据えて聴き込んでみると、スピーディでメロディアス、且つドラマチックというANNIHILATORサウンドの基本は
きっちり守られていることに気付く。まぁ1曲目のタイトル・チューンは、ジェフ自身が「NU METALっぽいだろ」と
ぶっちゃけてた通りの仕上がりなんだけど。とは言え、流麗なインスト・パートと、憂いを帯びた歌メロの魅力は
このバンドならでは。そもそも、流行を意識した曲をOPに持って来るのは昔からだしね。
そして何より、今回は初期のシアトリカルな雰囲気が復活を遂げている事が大きい。特に②⑤⑥⑨といった
大作志向の楽曲で聴く事の出来る、妖しくもドラマチックな曲展開と、それを絶妙にアシストするVoの
芝居がかった歌唱は本作の白眉。必聴。
あと個人的には、バラード⑧で久し振りにジェフの歌声が聴けるのも嬉しい(やはり上手い)。
今回は全編でBもプレイ。随所でメロディアスなフレーズを閃かせていて、久々にマルチ・プレイヤーの本領発揮といったところか。


ANNIHILATOR - Annihilator ★★ (2010-06-05 18:28:00)

ANNIHILATOR史上、最もハードコアな面構えのアリス嬢がアートワークを飾った13thアルバム。
ここ近作同様、エキセントリシティは控えめに、コンパクト且つシンプルにまとめられた作風で、個人的に
「デイヴ・パッテンを擁するラインナップの最高傑作では?」というぐらい気に入っていた前作と比べてしまうと
“HAUNTED"のようなドラマティックなナンバーが見当たらず、中盤に並ぶ楽曲にやや面白味が欠けていたりと、
多少物足りなさを覚えるのも事実だが、そうした不満点を補って遥かに余りあるのが、精密なリフ・ワークから
構築美を湛えたメロディアスなソロ・パートまで、目まぐるしくこなす名手ジェフ・ウォーターズのテクニカルなGプレイ。
『METAL』では大挙参加してくれたゲスト・ギタリスト達に花を持たせていた彼氏なれど、今回はもう最初から
最後まで鬼のように弾きまくり。取り分け、曲間を開けずに一気呵成に畳み掛けて来る①②③の冒頭3曲は、
彼のハイテンションなGプレイと、スピーディ且つキャッチーな曲調とが相俟って聴く者を圧倒する名曲揃い。
(あとに続くキレのあるミドル・チューン④や、本編屈指の名ソロが炸裂する⑧も名曲)
正直、これでメタルコア・シンガー然としたデイヴ・パッテン(Vo)の歌メロがもう少し魅力的なら・・・
と思わなくもないが、ジェフが彼を認め、信頼している以上は最早何も言うまい。実際、フロントマンとして
のみならず、セカンドGとしての役割もこなす等、ライブでの良い仕事っぷりには目を瞠るものがあるし・・・。
それに歴代シンガーの中でも最も灰汁の薄い声質ゆえ、いちげんさんにも取っ付き易いとの利点もあるかもしらん(?)


ANNIHILATOR - Annihilator - Coward ★★★ (2010-06-06 00:14:37)

猛烈なスピードで駆け抜けていく高速スラッシュ・ソングながら
アグレッシブなだけでなく、キャッチーな魅力も備えた
アルバムのハイライト・ナンバーの一つ。
この曲における炸裂感とドラマ性を併せ持った
ジェフ・ウォーターズのGプレイはもう絶品。


ANNIHILATOR - Annihilator - The Trend ★★ (2010-06-06 00:05:07)

7分越えを果たす大作だが、
実のところ3分のイントロと4分の本編から構成された
ストレートなスラッシュ・ナンバー。
個性的なリフ・ワーク(“ALISON IN HELL風のパートも有り)
のみならず、時にデイヴ・パッテンのメタルコア風Vo以上に
魅力的に歌うジェフ・ウォーターズのGがとにかく魅力的。


ANNIHILATOR - Bag of Tricks ★★ (2008-01-10 21:59:00)

'94年に、ROADRUNNNER RECORDSから離れるに当たってリリースされた、未発表曲&未発表バージョン/テイク集。
この手の企画盤には余り興味が沸かない性質なので、ジェフ・ウォーターズへのお布施のつもりで購入こそしたものの、
碌に聴きもせず長らく放置してしまっていたのだが、ここでの評価の高さにつられて、殆ど10年振りぐらいに
棚から引っ張り出して聴いてみたら・・・いや、確かに良いですよ!これは。
ROADRUNNERの名物A&Rモンテ・コナーが、わざわざ詳細な収録曲解説を寄せている事からも、本作が単なる契約消化用の
企画盤とは一線を画す事が分かるし、楽曲のクオリティの高さは今更に言うに及ばず、1st~3rdの美味しい部分を摘んだ
選曲といい、資料的価値も高い未発表バージョン/テイクの数々といい、ANNIHILATORファンは勿論、
それ以外にもアピールし得るカッコ良さを備えた内容に仕上がっているんじゃないかな、と。
特に個人的にそそられたのが、未発表曲⑪と、2ndデモから収録された名曲⑮⑯の存在。前者はまさに
“SOUND GOOD TO ME"に匹敵するキラー・チューンだし、後者は劣悪な音質に苦笑を覚えつつも、
アマチュア時代とは思えぬ、ジェフのド迫力Voと、演奏/作曲能力の高さに感動すら覚える音源。
ここに更に10th『SCHIZO DELUXE』に収められていた、初代Voジョン・ベイツ時代の楽曲“ANNIHILATOR"('85年)を
加えれば、ジェフが現在に至るまでに辿った音楽的変遷が凡そ把握できるようになり、ファンとしては非常に興味深い。


ANNIHILATOR - Bag of Tricks - Fantastic Things ★★★ (2008-01-10 22:09:02)

ANNIHILATORのメロウ・サイドの魅力を端的に表した名曲。
個人的には“SNAKE IN THE GLASS"よりも、この曲を3rdに収録して欲しかったが、
これを入れちゃうと、アルバムの作風がポップ方向に傾き過ぎの印象を受けたかな。
Voを取っているのはBのウェイン・ダーレイ。上手い。


ANNIHILATOR - Ballistic, Sadistic ★★ (2020-04-01 00:54:29)

カナダが誇るベテランHMバンド、ジェフ・ウォーターズ(Vo、G)率いるANNIHILATORが'20年に発表した最新アルバム。
最初に言っておけば今回もジェフのGは最初から最後までキレキレ。自ら「初心に立ち返った」と語り、名盤『NEVER, NEVERLAND』の頃のスタイルを目指したと明言しているだけあって、バラードさえ排した本編は徹底してファスト&テクニカルな仕上がり。もしファンであれば、そうしたサウンドの中を俊敏に動き回り、蝶のように舞い蜂のように刺す「モハメッ度」高めのジェフのハイテンションなGプレイを聴くためだけにでも本作は購入する価値ありですし、逆にANNIHILATORに興味がないというリスナーも、このGプレイには一聴の価値がありまっせ!と強力にお薦め致します。
ただ、収録曲の方向性が初期スタイルに寄せられた分、高低差の激しいメロディをエキセントリックに歌い上げられるシンガーの不在がこれまで以上に気になってしまうのも事実でして。ジェフのフロントマンとしての仕事に不満はなくとも、どこかで聴き覚えのあるフレーズが頻出する歌メロ(例えば本作で一番のお気に入りの楽曲は⑨なのですが、でもこれって“KNIGHT JUMPS QUEEN”の焼き直しじゃね?とか…)等からは、若干マンネリの気配が感じられなくもないという。個人的には、ジェフには今一度個性派シンガーと組んで、バチバチ化学反応の火花を散らして頂きたいと念願する次第ですが、これまでの活動経緯を踏まえれば、全部自分で回せてしまう彼がいちいち専任シンガーを加入させる可能性の低さも理解できるわけで…。ストレスなく活動を継続してくれることが一番とはいえ、ちと複雑な思いに囚われなくもない1枚。


ANNIHILATOR - Ballistic, Sadistic - Lip Service ★★ (2020-04-02 23:54:53)

Gリフ、Bライン、Voの歌メロ、醸し出されるグルーヴまで
(恐らく意図的に)“KNIGHT JUMPS QUEEN”そっくりのミッド・チューン。
新曲というよりはリメイクと言うべきか。
“KNIGHT~”にはない、ジェフ・ウォーターズのトレードマークといえる
アルペジオを交えたGソロ・パートのメロディアス且つドラマティックなアレンジは〇。


ANNIHILATOR - Carnival Diablos ★★★ (2006-08-14 22:47:00)

人気ないなー、このアルバム。個人的にはANNIHILATORの最高傑作!と断言したくなるぐらい気に入っているんだけど・・・。
快作「CRITERIA FOR A BLACK WIDOW」で、それまでの迷いを断ち切り完全復活を遂げたANNIHILATORが、'01年に発表した8thアルバム。
「CRITERIA~」でバンドに電撃復帰を果たしたランディ・ランペイジが、案の定、アルバム1枚きりで脱退(というか解雇)、本作からは、その後任として元OVERKILLのジョー・コミューが参加しているのだが、これがアグレッシブなシャウトから、ロブ・ハルフォードばりのスクリーム、更にはブルース・ディッキンソン風の雄々しい歌唱まで幅広くこなせる、二代目フロントマン コバーン・ファー以来の逸材。
「歌える」Voの加入効果か、楽曲の方も意図的に激しさ/複雑さが前面に押し出されていた前作に対し、今回はリフにしろ、メロディにしろ、ツインGの絡みしろ非常にキャッチー。曲展開も必要最低限に整理され、ある意味、正統派へヴィ・メタル的とも言える仕上がりをみせる。ここ暫くは封印されていた、バンド初期の必殺技「ここぞという箇所でのアルペジオ」が効果的にフィーチュアされているのも、その印象を強めている一因かな?
結果として、スラッシーな雰囲気は若干後退したものの(勿論③⑩のような高速スラッシュ・チューンも収録しているが)、シャープに疾走する①“DENIED"、へヴィな曲調と哀愁を帯びたVoハーモニーの対比が美しい④“CARNIVAL DIABLOS"、ジョー・コミューのダイナミックな歌唱が劇的な盛り上がりを演出する⑥“TIMEBOMB"、そして全てを兼ね備えた名曲中の名曲⑨“EPIC OF WAR"といったハイクオリティな収録曲の前には、そんなことは枝葉末節。
中期以降のANNIHILATORの何たるかが知りたければ、まず本作を聴くことをお薦めさせていただきまうす。


ANNIHILATOR - Carnival Diablos - Epic of War ★★ (2006-07-27 21:49:29)

「最近のANNIHILATORは、Gソロはメロディアスでも、曲自体がメロディアスな事は余りないよな」
とボヤいていた頃に、ガツンとカマされた勇壮な疾走チューン。
1st~3rdの頃を思わせる、欧州へヴィ・メタリックなリフと、
ドスの効いたシャウトだけでなく、しっかりと「歌う」事も出来る
ジョー・コミューの確かな歌唱力が素晴しい。
勿論、細部にまでコントロールの行き届いたプレイで楽曲をドラマチックに盛り上げる
ジェフ・ウォーターズのGにも文句なし!


ANNIHILATOR - Criteria for a Black Widow ★★ (2006-08-12 01:27:00)

アルバムのOPをダイナミックに駆け抜けるスラッシュ・チューン①“BLOODBATH"が始まった瞬間、
「ANNIHILATOR復活!」と大声で叫びたくなる'99年発表の7thアルバム。いや復活も何も、バンドはコンスタントに
作品を作って順調に活動を続けていたわけなのだが、明らかに進むべき方向性に迷いの感じられたここ数作の作風から一転、
(私生活でのトラブルを乗り越えた開放感からか)本作では徹底的に原点回帰の姿勢が打ち出されているのだ。
アルバム・ジャケットにアリス人形が再登場、初代Voランディ・ランペイジの戦線復帰といった表面的な部分はもとより、
ここのところシンプル化著しかった楽曲に、叙情的なメロディ、リフ/リズム・チェンジを多用して畳み掛けてくる
ドラマチックな曲展開といった、1st~3rdの頃を彷彿とさせる要素が戻って来ているのがナイス。
そして何より、久々に冴え渡るジェフ・ウォーターズのギター・プレイ!まぁ兎に角、シアトリカル且つドラマチックな①⑤⑧、
高速スラッシュ・チューン⑥⑨等の楽曲を聴いてみて下さい。曲自体の素晴しさは勿論のこと、
その中を縦横無尽、緩急自在、華麗にして流麗に動き回るジェフのGに圧倒されること請け合いですから。
(また、声のクセの強さは相変わらずながら、多彩な表現力を駆使するランディ・ランペイジの良い仕事っぷりも見逃せない)
個人的には「REFRESH THE DEMON」も「REMAINS」も決して嫌いな作品ではなかったが、へヴィさとメロディが
絶妙な絡みをみせる本作を聴いてしまうと、やはり「これこそANNIHILATOR!」との思いを強くするのも、また事実。
何せ、このスタイルを彼らほど上手くやってくれるバンドは他にいないのだから・・・。


ANNIHILATOR - Double Live Annihilation ★★ (2006-08-26 19:41:00)

'03年発表の2枚組ライブ・アルバム。9th「WAKING THE FURY」に伴う欧州ツアーの模様を捉えたものらしいが、
偏りのない選曲はなかなかツボを突いていて、これなら確かにベスト盤としても十分に機能すると思われ。
勿論、「漏れ」も結構あるけど、歴史の長いバンドだけに致し方なしと言ったところか。
DISKⅠに比較的新しめの曲を、DISKⅡに初期の名曲を集めた構成になっていて、やはりDISKⅡの怒涛の盛り上がりは圧巻。
実験色の濃いサウンドだった「WAKING~」からの楽曲も、こうして装飾の取っ払われたライブで聴くと、
非常に純度の高いスラッシュ・メタル・チューンと化していて面白い。
ジェフ・ウォーターズ(G)を筆頭に、楽器陣の一糸乱れぬ、それでいてライブならではの熱さと
前のめり感を漂わせた、素晴しく達者な演奏ぶりは今更言うに及ばず、歴代フロントマンの中でも
屈指の実力を誇る逸材Voジョー・コミューのダイナミックな歌唱もお見事!
個人的には、もう少し観客とのエネルギーのやり取りが感じられるライブ盤の方が好みだし、
欧州メタル・ファンの嗜好を考慮した結果か、ANNIHIRATORのもう1つの顔である「メロウな側面」が
フォローされていないのも残念だが、ともあれ、ジョー・コミューを擁したバンドの3度目の来日公演を見逃した
己の迂闊さを呪いたくなる、ハイクオリティなライブ盤であることは間違いない。


ANNIHILATOR - Feast ★★★ (2013-09-27 22:49:16)

前作『ANNIHILATOR』でリーガン・マクニールばりのブルータルなご尊顔を披露していたアリス嬢が、今回はとうとうゾンビ化。一体この娘はどこへ行こうとしているのか・・・と、つい余計な心配をしてしまいたくなる(しないか)アートワークが目印の新作アルバム。
頭3曲で完璧に首根っこを押さえられた前作のテンションの高さに比べると、今回はSLAYERを思わせる剃刀スラッシュ①こそ強力な名曲ですが、以降は「らしさ」を維持しつつも、ファンキーに跳ねる楽曲があったり、ロケンロールな楽曲があったりして、(好みの差はありましょうが)個人的には今ひとつ気分がアガりきらず。精密射撃を行う最新式アサルト・ライフルの如きジェフ・ウォーターズのGプレイは、相変わらずエキサイティングなんですが。
しかし叙情バラード⑥を境に、本編後半は雰囲気が一変。構築美を湛えたGソロが激走する⑦、メロウなイントロを引き裂いて加速へと転じる⑧、劇的且つトリッキーな曲展開がブチ込まれた大作⑨・・・と、ジェフがメロディ・メイカーとしての才能もスパークさせた名曲が次々に波状攻撃を仕掛けてきます。
頭3曲ではなくラスト3曲の畳み掛けが圧巻ってのは、まるで前作の裏返しのような構成ですが、何はともあれ終わり良ければ全て良し。
尚、本作の初回盤は代表曲をリ・レコーディングしたベスト盤を同時収録する2枚組仕様。個性は弱い代わりにどの時代の楽曲も無難に歌いこなせる、デイヴ・パッテン(Vo)のフレキシビリティが遺憾なく発揮された仕上がりとなっています。


ANNIHILATOR - Feast - Deadlock ★★ (2013-10-02 22:27:48)

刺々しいGリフから、シャープ気味に吐き捨てる
デイヴのシャウトまで、ここまでSLAYER調の
スラッシュ・ナンバーをジェフ・ウォーターズが
演るのは珍しいような。
彼が手がけている以上は勿論、ちゃんと
ANNIHILATOR印が刻まれていますが。


ANNIHILATOR - Feast - Fight the World ★★★ (2013-10-02 22:52:38)

叙情的なイントロから一転、
アクセルべた踏みで突っ走る展開は
スラッシュ・ナンバーのお約束とも言えますが
ジェフのキレキレな演奏でこれをやられると
やはりテンションが上がります。Gソロも美味。


ANNIHILATOR - Feast - One Falls, Two Rise ★★★ (2013-10-01 23:16:03)

バラード調にスタートして一気に加速した後、
ジェフ・ウォーターズのテクニカルなGプレイが
映えるインスト・セクションを経て、再び叙情的に
締め括られるという、8分以上に及ぶ長尺曲。
落差の効いたドラマティックな曲展開といい、
現行ANNIHILATORの魅力全部入りな名曲です。


ANNIHILATOR - For the Demented ★★★ (2018-01-09 23:00:45)

ジェフ・ウォーターズ自身が担当する国内盤解説を読み「最初期ANNIHILATORの雰囲気がある作品」とのお言葉に、聴く前から期待値がMAXまで跳ね上がった'17年発表の新作。
何せ1曲目のイントロからして“ALICE IN HELL”風でニヤリとさせられますし、以降もスラッシュ・メタル然とした突撃ナンバーあり、抒情バラードあり、シアトリカルな曲展開を有する楽曲あり…と、本編は非常にバラエティに豊んだ仕上がり。原点回帰が志向されたサウンドの中を水を得た魚の如く縦横無尽に泳ぎ回り、聴き手の情緒を不安定する、美しくも不穏なアルペジオを巧みに織り交ぜたジェフの高速Gプレイも、唯一無二のセンスを携えて益々冴え渡っていますよ。
イントロの一捻りから激烈な突進へ転じる①、美しいメロディと凄惨な歌詞の歪んだコントラストが秀逸な④、本編ハイライトに推したい劇的な疾走曲⑦、“BRAIN DANCE”タイプのトリッキーな⑩等、なるほど確かに収録曲は初期3作を思わせる要素が確信的に散りばめられているのですが、ジェフ自らマイクを取るVoの声質がダークなため、作品全体も仄暗い色合いが強まって聴こえるという点では、本作に一番近いのは4th『KING OF KILL』じゃなかろうかと。彼のシンガーとしての力量に不足はないものの、今作の場合はもうちょい声質にエキセントリックな「色」のついたシンガーが歌った方が、楽曲が持つ豊かな色彩をより活かせたのではないかなー?と思ったり思わなかったり。
…等となまじ出来が良いだけに重箱の隅を突きたくなりますが、近年屈指の力作であることは間違いない1枚。ただ「不振を完全払拭」という国内盤帯の惹句はバンドに失礼じゃないかね、君ィ。


ANNIHILATOR - For the Demented - Altering the Alter ★★★ (2018-01-09 23:38:43)

浮遊感のあるイントロを鋭利なGリフが蹴散らして
スラッシーな激走へと転じるスピード・ナンバー。
この手の楽曲は打ち込みでなくドラマーに叩いて欲しいとか
プロダクションは作り込み過ぎない方が豪快さが演出できるのでは?
といった無い物ねだりは、ジェフの流麗且つドラマティックなGソロによって
綺麗サッパリ昇華されていきました。


ANNIHILATOR - For the Demented - Pieces of You ★★★ (2018-01-09 23:12:45)

歌詞はカニバリズムを扱ったゴアゴアなものなのに
曲調はバラードでメロディはどこまでも美しい。
倒錯したセンスと歪んだ詩情がANNIHILATOR印の逸品。


ANNIHILATOR - King of the Kill ★★ (2006-08-02 21:44:00)

ジェフ・ウォーターズ率いる技巧派スラッシュ・メタル・バンド、'94年発表の4thアルバム・・・と同時に、
裏ジャケにジェフ1人しか写っていない事からも明らかな通り、なかなか安定しないバンドのラインナップに業を煮やした彼が、
遂に開き直って自らVoも担当、ANNIHILATORのソロ・プロジェクト化を宣言した最初の作品でもある。
前作の(日本でのみ好評を得た)メロディ重視路線から、若干、アグレッシブ方向へ軌道修正が図られている感じで、
ジェフの荒々しい歌唱スタイルと相俟って、かなりヘヴィな印象を受けるかもしれないが、実際に聴き込んでみると、
疾走チューンあり、バラードあり、穏やかなイントロから一転、ドラマチックな盛り上がりを見せる曲あり・・・と、
これまでの作風と大差はない事に気付く。寧ろ、コンパクトに練り上げられた楽曲が次々に繰り出される様は爽快ですらある。
中でも、バンド名をタイトルに冠した③“ANNIHILATOR"は、シンプルなミッド・チューンながら、
キャッチーで歯切れの良い、弾けるような躍動感溢れる演奏がクセになる気持ち良さ。聴いてるだけで勝手に体が動き出します。
・・・と、かなり充実した内容にも関わらず、どうも過小評価に甘んじている気がする本作(来日公演の客入りもイマイチだったし)。
その原因の1つはやはりジェフのVoだろうが、歴代シンガーに比べ声域の狭さは如何ともし難いものの、
別に音痴ではないし、優しさの滲むバラード⑤“ONLY BE LONELY"における表現力など立派なものだ。
それより問題なのは、アルバムのOPを飾るANNIHILATOR屈指の駄曲①“THE BOX"の存在ではなかろうか。
素直にスピーディな名曲②“KING OF THE KILL"辺りで始めていれば、アルバム全体の印象も、もう少し向上したと思うのだが・・・。


ANNIHILATOR - Live at Masters of Rock ★★ (2010-03-13 02:11:00)

チェコ共和国のメタル・フェスティバル『MASTER OF ROCK』に3rdビルとして登場した際の
ライブの模様を捉えた、ANNIHILATORの3枚目となる実況録音盤。『IN COMMAND』は過去の蔵出し音源集で、
『DOUBLE LIVE ANNIHILATION』は'02年に行われた欧州ツアーのダイジェストだったわけで、
1ステージをそのまま収録したライブ盤は本作が初めてとなる・・・のかな。
フェス仕様のセットリストゆえマニアックな選曲は望むべくもなく、収録楽曲は前の2枚と被りまくりだが、
Voが違うのでそこから受ける印象はかなり異なるし、何より、腕利き揃いのメンバー達の手により、
一筋縄では行かない捻りと攻撃性を兼ね備えた楽曲の数々が、流麗に構築していく様はやはり圧巻。
特に光っているのがフロントマン、デイヴ・パッテンの存在で(勿論、名手ジェフ・ウォーターズは別格)、
正直スタジオ盤ではイマイチ影の薄い彼氏なれど、ここでは堂々たるパフォーマンスのみならず、
“ALISON IN HELL"や“THE FUN PALACE"といった、初期のエキセントリックな名曲をも易々と歌いこなし、
且つセカンドGの役割も果たすという隙のない仕事っぷりを披露。数年前にTHRASH DOMINATIONで見た時も
痛感させられたけど、俺、この人の事を見縊っていたんだなぁ、としみじみ反省させられた次第。
尚、数万人の大観衆は大いに盛り上がってはいるものの、場が場だけにダイ・ハードなANNIHILATORファン揃い
というわけには行かず、そのためか、掛け合いの類は思いの外シンプル。だからCDで聴くよりは、
スケールの大きな映像も楽しめるDVDの方が、本作の魅力を余す所なく伝えてくれていると思われる。


ANNIHILATOR - Metal ★★ (2007-04-13 23:32:00)

傑作です(断言)。直球勝負のタイトルも頼もしいこの12thアルバムは、名作と名高い3rd『SET THE WORLD ON FIRE』以来、
久々にポップ・フィールドにまで曲作りの幅を広げたバラエティ豊かな作風ながら、「らしさ」もしっかりと維持した
ANNIHILATORのここ数作のアルバムの中でも、ズバ抜けてハイクオリティな内容に仕上がっている。
マイケル・アモット、アレキシ・ライホ、イェスパー・ストロムブラッドら、キラ星の如く参加している
ゲスト・ミュージシャン勢に何かと話題が集まりがちな作品なれど(全員、非常に良い仕事をしてくれていますが)、
それ以上に印象に残るは、メロディの素晴しさ。特に叙情的でキャッチーな歌メロが抜群に良い。その好例が、
憂いを帯びたメロディが軽快に疾走する、名曲“SOUND GOOD TO ME"を彷彿とさせる②や、バックの演奏はアグレッシブなのに
その上に乗る歌メロはフックに富みキャッチーというミスマッチ感が楽しい⑤だろうか。
勿論、OPとEDを〆る高速スラッシュ・チューン①⑩を始め、ANNIHILATOR節が炸裂するダイナミックな④⑥⑧、
そして本編の白眉たる、スラッシーな疾走感/キャッチーなメロディ/ドラマチックな曲展開と、全てを兼ね備えた名曲⑦の
カッコ良さは言うに及ばず。(ボーナス・トラックがEXCITERの名曲“HEAVY METAL MANIAC"ってのもナイスです)
3rd『SET~』以来、ANNIHILATORをお見限りだったメタル・ファンをも振り向かせる説得力を持った1枚ではなかろうか。
・・・と絶賛しておいて最後に不満点を1つ。それは相変わらず芯の(熱さの)感じられないデイヴ・パッデンの薄味なVo。
アルバム3枚連続登板はこのバンドのフロントマン史上初の快挙だが、ダンコ・ジョーンズにアンジェラ・ゴソウ、
ダン・ビーラーにジェフ・ウォーターズという強烈な個性を備えたシンガー達に比べると、その存在感はかなり薄い。
このアルバム、例えばジョー・コミュー辺りが歌ってくれればもっと凄いアルバムになったような気がするのは俺だけか。


ANNIHILATOR - Metal - Haunted ★★★ (2007-04-13 23:48:56)

スラッシュ・メタルならではの疾走感、
ダイナミックな曲展開、劇的なインスト・パートと、
ANNIHILATORの魅力の粋を結集して作り上げられたかのような
8分以上に及ぶIRON MAIDENばりの名曲。


ANNIHILATOR - Never, Neverland ★★ (2006-08-05 09:46:00)

その完成度の高さから、ANNIHILATORの最高傑作に推すファンも多いと聞く、'90年発表の2NDアルバム。3rd以降の音楽的変化を考えると、
確かに、攻撃性と叙情性のバランスが絶妙なこの作品こそ、初期テクニカル・スラッシュ路線のベスト盤かな、と。
前作では、曲展開が唐突だったり強引過ぎたりと、やや未整理な部分(そこがまた魅力だったわけだけど)が目に付いたが、
ここではそうした無駄が省かれ、カッチリと整理整頓。激烈スラッシュ・チューン⑧⑩を収録しつつも、
ストレートな疾走感よりダイナミズムが強調された楽曲は、シャープ且つテクニカルなリフ、流麗なGソロ、構築美を感じさせる曲展開と、
三拍子揃った隙のない仕上がり。中でも、これぞANNIHILATOR!たるシアトリカルな曲展開の①“THE FUN PALACE"
勇壮なパワー・メタル・チューン④“STONE WALL"、ドラマチック極まりない⑤“NEVER,NEVERLAND"といった楽曲は
その真骨頂か。ここぞというタイミングで炸裂する、美しいアルペジオも非常に効果を挙げている。
新Voとして迎えられた、歴代シンガーの中でも屈指の実力派コバーン・ファーの、多彩な表現力を備えた強力な歌唱も、
楽曲のドラマ性の底上げに大いに貢献。確かに、良くも悪くも個性の塊みたいな声質だったランディ・ランペイジを失ったことで
病的な雰囲気は大きく後退してしまったが、メジャー感、ドラマティシズム等、得たものはそれ以上に多いので、個人的には無問題。
本作を聴けば、何故、デイヴ・ムスティンがMEGADETHにジェフ・ウォーターズを欲したのか、よく分かるはず。


ANNIHILATOR - Refresh the Demon ★★ (2006-08-09 22:09:00)

'96年発表の5thアルバム。丁度この時期は、メロディ志向の日本市場と、ヘヴィ志向の欧米市場のギャップが
埋め難いほどに広がってしまっていて、メロディとヘヴィさのバランスこそ最大の武器であったANNIHILATORにとっては
「あちらを立てれば、こちらが立たず」ってな具合で、最も活動が困難な時期だったのではなかろうか。
そんなわけで(?)本作は、複雑でドラマチックな曲展開を控えめにした、かなりヘヴィでソリッドな仕上がり。
前作の経験を踏まえて、自分の荒々しい声にあった、ストレートなアグレッシブ・チューンをズラリ揃えた
その判断は的確で、作曲能力の高さも含めて、流石、ジェフ・ウォーターズといったところなのだが、
問題はその作風が、叙情メロディと劇的な曲展開を愛する日本のファンには、余り受け入れて貰えなかった点か。
(美しいバラード“INNOCENT EYES"を「日本盤のみのボーナス・トラック」として収録してる辺りにも彼の苦悩が伺える)
従来のANNIHILATOR節が堪能できる①“REFRESH THE DEMON"、軽快に疾走するポップ・チューン⑦“CITY OF ICE"、前述のバラード⑪等、
佳曲も多数収録されていて、決してつまらない作品ではないのだが(というかANNIHILATORに駄作はない)、
大多数の日本のファンがこのバンドに求める理想像と、ジェフが生き残るために選択したスタイルとのズレが、いよいよ顕著に表れた1枚。


ANNIHILATOR - Remains ★★ (2006-08-10 22:45:00)

ANNIHILATOR最大の問題作と言えば、やはりこの'97年発表の6thアルバムでしょうか。
何せレコーディング・メンバーはジェフ1人(全てのパートを担当)という、文字通りのソロ・プロジェクト状態。
内容の方も、シンプルというか素っ気無いデザインのアルバム・ジャケットに嫌な予感を覚えつつCDを再生してみれば、
1曲目から聴こえてくるのは、明らかに打ち込みのDs、無機質なリフ、エフェクトのかかりまくったVoといった、
如何にも90年代風の(当時としては)モダンなサウンド・・・そりゃファンもドン引きするわ。
2曲目以降も似たようなスタイルの楽曲が続く事からも明らかな通り、彼らのアルバムの中でも最も実験色の濃い1枚で、
複雑な曲展開を排して、ひたすらシンプルにアグレッシブに攻めてくる楽曲は兎も角、全般的にGソロに冴えが見られないのが痛い。
どうやら、私生活でのゴタゴタで溜まったフラストレーションが、もろ作風に影響を与えてしまったらしいのだが・・・。
とは言え、それで本作を駄作と切って捨てるのは早計というもの。ジェフの成長著しいVoが素晴しい、
ここ数作では出色のバラード⑥“IT'S YOU"を皮切りに、うっすらと哀愁を帯びたリフが駆け抜ける⑦“I WANT"
初期ANNIHILATORの空気を濃厚に漂わせたスラッシュ・チューン⑧“TRICK&TRAPS"⑪“REACTION"等、
中盤以降には聴き応えのある曲が並び、個人的には前作「REFRESH THE DEMON」よりも評価の高いアルバムだったりする。
実験色の濃い曲も、装飾を取っ払ってしまえば、骨格となるリフのアイデアは悪くないしね。
そんな感じで、単体としては結構好きな作品なのだが「じゃあANNIHILATORのアルバムとしてはどうなのよ?」と聞かれると・・・うーむ・・・。


ANNIHILATOR - Schizo Deluxe ★★ (2006-08-23 22:23:00)

前作「ALL FOR YOU」に引き続きベーシスト不在のまま、ジェフ・ウォーターズが兼任する形でレコーディング
(リフが印象的な佳曲⑧ではリードVoも披露)、'05年に発表された11thアルバム。
似たようなスタイルを2作続けない事を旨とする(?)ANNIHILATOR。前作が大作主義に傾いたシアトリカルな作風だった事への
反動か、今回はコンパクトにまとめられた(彼らにしては)直線的な楽曲がズラリと並ぶ。バラードもない、かなり硬派な仕上がり。
ただ、ここで気になるのは、器用だがパンチに欠ける声質のデイヴ・パッデン(Vo)のありがちな歌唱スタイルが、
せっかくの楽曲の個性をスポイルしてしまっているように聴こえる点。③⑤⑨のようなドラマチックで多彩な表現力を
必要とする楽曲におけるハマリっぷりは、相変わらず最高なんだけど・・・。
とは言え、疾走感と勇壮なメロディが融合を果たした②⑤⑦のようなスピード・チューンは、
その辺りの不満を差し引いても十分カッコ良く、全体的な完成度には揺るぎはない。
また、今回はなかなか興味深いボーナス・トラックが何曲か収録されていて、1つはシングルのみの収録だった⑪。
全楽器が一丸となって突進する「らしい」スラッシュ・チューン。そしてもう1つは、バンド名をタイトルに
冠した⑬(4th収録のモノとは同名異曲)。リフ主体で組み立てられた、如何にも'85年という時代を感じさせるHMチューンで、
ジェフがNWOBHMから大きな影響を受けていたことが伺え、微笑ましい。
それにしても、これだけ素晴しい作品を発表し続けているのに、ここ暫く来日がないのはどういうことか。
単独公演が難しいなら、THRASH DOMINATIONに1バンドとしてでも構わないので、日本に呼んで貰えないもんかな~。


ANNIHILATOR - Set the World on Fire ★★ (2006-07-26 21:33:00)

ジェフ・ウォーターズ率いる技巧派スラッシュ・メタル・バンド、'93年発表の3rd。
・・・なんだけど、ここまで曲調に広がりが見られると、最早スラッシュ・メタル・アルバムと言っていいのかどうか。
エッジの立ったリフの刻みと、場面転換の激しい⑩“BRAIN DANCE"にその面影を留める程度で、
例えばスピード・チューンの②“NO ZONE"にしても、スラッシーと言うよりは
JUDAS PRIEST型の正統派HMチューンといった趣き。(実際、そのJPのカヴァー曲“HELL BENT FOR LEATHER"を収録)
泣きの叙情バラード⑤“PHOENIX RISING"、メロウに駆け抜ける⑦“SOUNDS GOOD TO ME"等、
ANNIHLATORのポップ・サイドを代表する名曲を収録した本作は、彼らのカタログ中、最もコマーシャルな作風の1枚で、
スラッシュ・バンドがここまでやったら、普通総スカンを食らいそうなものだが、才人ジェフ・ウォーターズが
持てる才能を十二分に発揮したそのハイレベルな完成度ゆえ、日本ではこの3rdを切っ掛けに人気が急上昇。
アルバムに伴う来日公演も大盛況だった事が懐かしく思い出される。(急病でサイドGを欠いた不完全編成での公演だったけど)
尚、個人的にお薦めの楽曲は、キャッチーなベース・ラインが印象的なMEGADETH風の⑥“KNIGHT JUMPS QUEEN"。
疾走曲でもバラードでもない、こうしたソリッドなミッド・テンポの名曲をもサラリと生み出す辺りに、
ジェフの豊かな才能の片鱗を感じて痺れてしまうのであった。


ANNIHILATOR - Set the World on Fire - Knight Jumps Queen ★★ (2006-03-09 22:24:00)

(皆さんが仰るとおり)ブンブン唸りながら刻まれるキャッチーなベース・ラインが◎
「SET THE WORLD ON FIRE」のポップサイドの代表曲が“SOUNDS GOOD TO ME"なら、へヴィ・サイドの代表曲はこれだ!
疾走曲、複雑な展開を持つ曲は言うに及ばず、こういうシンプルなミッドテンポの名曲も書けちゃう辺り、ジェフ・ウォーターズの懐の深さが感じられます。


ANNIHILATOR - Set the World on Fire - Sounds Good to Me ★★★ (2007-04-13 23:43:58)

ANNIHILATORが誇る異色の名曲。
都会的な哀愁をまとって、軽やかに疾走する
ポップでキャッチーなメロディが非常に素晴しい。
ただ、この曲のインパクトが余りに強過ぎたため、
その後のバンドのアグレッシブ路線への方向転換に対する
拒否反応が大きくなってしまったような気がしなくもない。


ANNIHILATOR - Suicide Society ★★★ (2015-10-20 22:36:39)

フロントマンであり、2ndギタリストであり、長らくジェフ・ウォーターズのサイドキックでもあったデイヴ・パッデンがまさかの脱退。そのためジェフが久々にシンガーも兼任する形で'15年に発表された最新作。
つっても、既にご承知の通り「ANNIHILATOR=ジェフ・ウォーターズ」なわけで、本作のクオリティにデイヴ脱退の影響は皆無。ヘヴィに弾む楽曲、美しくメロウな楽曲、そして高速スラッシュ・ナンバーと、コンパクト且つバラエティ豊かにまとめられた本編は、ここ数作の流儀に則ったANNIHILATOR以外の何者でもない仕上がり。その中で鋭利なリフを刻み、時に美しく/時に不気味なメロディを爪弾き、ソロはテクニカルに決めたりと、縦横無尽に飛び回るジェフの軽業師ばりのGプレイも、相変わらず抜群の切れ味を誇っています。
懸案事項であった歌唱力についても90年代とは雲泥の差。何よりメタルの「芯」を感じさせるジェフの歌声は楽曲のオールドスクール度を確実に底上げしてくれていて、この声あったればこそ、スラッシュ・メタル時代のMETALLICAを彷彿とさす②や、『ALICE IN HELL』『NEVER, NEVAER LAND』の頃を思い出させる④といった疾走ナンバーのカッコ良さが引き立ったのではないかと。
・・・と持ち上げた端から意見を翻すようで何なのですが、出来れば次回作では諦めずに専任シンガーを加入させてくれると嬉しいかなぁ、と。異なるシンガーとジェフの間に生まれる化学反応の数々はANNIHILATORのアルバムを聴く上で大きな楽しみ一つでしたし、あとジェフの場合、独りで何でもこなせる器用さがアダとなり、作品が予想の範囲内に卒なくまとまり過ぎてしまう危険性を排除するためにも、是非ご一考を。


ANNIHILATOR - Suicide Society - Creepin’ Again ★★★ (2015-10-22 22:34:44)

キビキビとタイトな疾走感溢れる曲調の中で奏でられる、
神経症的というか、どこか不安感を掻き立てる
メロディの使い方が、まさにANNIHILATOR。
メロディックなコーラスも印象的です。
1stや2ndに収録されていてもおかしくなさそうな、
“MY REVENGE”と並ぶアルバムのハイライトの一つ。


ANNIHILATOR - Suicide Society - My Revenge ★★★ (2015-10-22 22:28:00)

ANNIHILATORのファンなら心鷲掴まれずにはいられない
アルバムのハイライト・ナンバー。
初期METALLICA風のスピーディに曲調に
ちょいとジェイムズ・ヘッドフィールド入った
ジェフ・ウォーターズのVoが映える。
それでいて中間部で奏でられる美しいアルペジオが
紛うかたなきANNIHILATOR印を焼き付けています。


ANNIHILATOR - Triple Threat ★★ (2017-02-25 09:25:06)

ANNIHILATORがドイツのBANG YOUR HEAD Fest.に出演した際の模様を収めたライブ盤(Disc-1)とBlue-ray、それにスタジオ収録のアコースティック・セッション(Disc-2)という3要素を1つに取りまとめた作品。タイトルはそれに因み『TRIPLE THRAT』。でも日本盤はBlue-rayが付属してないため、表題に込められた意味がイマイチ伝わり難いという。
とまれ内容は高品質です。まずDisc-1のライブ盤に関しては、メンバー全員テクニシャン揃いゆえ、複雑にして精緻、且つライブならではの白熱具合も存分に伝えてくれるパフォーマンスには何の不安もなし。初期の名曲を中心に構成されたセットリストはフェス仕様ですが、必ずしもANNIHILATOR目当てで集まったわけではない観客すら大合唱させてしまう“W.T.Y.D”や“ALISON HELL”といったキメ曲を抱えているバンドはやはり強い。あと驚かされるのがジェフ・ウォーターズのVoの上達っぷりで、最初聴き始めた時は、特に疑いもせず「専任シンガーを迎え入れたのか」とか思っていましたよ。
続いてアコースティック・セッションの模様が収められたDisc-2。OPナンバーが“SOUND GOOD TO ME”でいきなりテンションが上がりますが、選曲はバラード主体のため「この曲をアコースティック化?!」的驚きは少な目。強いて言えば“STONE WALL”が意外なチョイスでしたが、この名曲は出来ればライブ本編の方で聴きたかった…なんて。
それでも、誤魔化しのきかない状況ゆえシンガーとして熟達ぶりがよりダイレクトに伝わってくるジェフのVoを始め、この完成度の高さは流石の一言に尽きます。剛柔併せ持つANNIHILATORの卓越したパフォーマンスが楽しめる、「ファンなら買い」の1枚かと。


ANNIHILATOR - Waking the Fury ★★ (2006-08-16 22:05:00)

前々作、前作と、ANNIHILATORの理想像に忠実な作品を発表してきたジェフ・ウォーターズ先生が、
久々に頭をもたげて来た実験精神を全開にして作り上げた、'02年発表の9thアルバム。また、ジェフ自身が兼任してて時期を除けば、
同じシンガーのまま、2枚目のアルバムを作る事が出来たという意味でも画期的(笑)な作品。
さて本作。CDを再生すると、いきなり斬り込んでくるノイジーなギター・サウンドに思わず仰け反らされる。
前作「CARNIVAL DIABLOS」はキャッチーとも言える仕上がりをみせていたが、今回は「獣性を呼び起こせ」の題名通り、
再びアグレッシブ方向に揺り戻されていて、凄まじいアグレッションを撒き散らしながら疾走する①、
鉈で両断されるが如きリフの刻みが強烈な③、殆どハードコア・チューンなノリの⑩、
といった楽曲に代表されるように、全体的にかなり前のめりな作風。
それでも本作が、賛否両論分かれた実験作「REMAINS」の再現になっていないのは、その豊潤なメロディの魅力ゆえ。
復活作「CRITERIA FOR A BLACK WIDOW」で開眼した、ジェフのメロディ重視の姿勢は②⑧等の楽曲に明らかなれど、
先述のスピード・チューンにしても、インスト・パートは非常にメロディアスで、アグレッシブな曲調と、
次々に湧き上がって来るメロディの対比が堪らなくドラマチックだ。そして、その極みが⑨“STRIKER"。
前作にもIRON MAIDENを彷彿とさせる名曲“EPIC OF WAR"が収録されていたが、こちらはシャープに乱舞するツインGと、
ジョー・コミューのパワフルな歌唱とが相俟って、スラッシーなJUDAS PRIESTといった趣き。
ジェフの作曲能力の高さを改めて思い知らされる名曲である。(正直、ブレイク・パートはいらなくね?と思わなくもないけど)


ANTERIOR - Echoes of the Fallen ★★★ (2011-11-13 17:13:58)

てっきり解散したものとばかり思っていましたが、どっこい健在だったANTERIORの2ndアルバム。しかもこれが、元MENDEEDのスティーヴ・ニクソン(G)ら新メンバーを補充しつつ、積極的にツアーやライブ活動を行う等して地道に研鑽に励んでいたらしく、4年以上の長期ブランクがちゃんと作品のクオリティに反映された充実作に仕上がっているのだから素晴しい。
デビュー作ではIRON MAIDENはもとより、SHRAPNELメタル辺りからの影響も感じさせる、テクニカルなツインGが乱れ咲くメタルコア・サウンドを聴かせてくれていたが、今作ではそのメタルコア分が一気に減退。これまで以上に緩急とドラマ性が盛り込まれた曲展開や、より劇的且つメロディックに絡み合うツインGが搭載された楽曲は、最早オールドスクールな正統派HMそのものと言って決して過言ではないような?
イントロのみでバッチリ掴まれるOPナンバー①や、2本のGが無駄に弾き倒すのではなくメロディの組み立てにも冴えを発揮してくれる②、エピック調の盛り上がりに胸熱の③、インスト曲⑥から繋がっていくスピーディでドラマティックな本編中盤の山場たる名曲⑦、スラッシーな疾走ナンバー⑨等、収録曲のキャラ立ちも前作より明確だ。
Voは相変わらず怒号スタイルなれど、ツアーを潜り抜けて体得したシャウトの迫力は前作の比じゃないし、何より昨今流行のクリーンVoに脇目も振らない咆哮一本槍の頑固さに逆に好感を持ってしまいましたよ。
バンドは早くも来日公演が決定しているようなので、今回はアルバムがクオリティに見合った成功を収めてくれると良いなぁ。


ANTERIOR - Echoes of the Fallen - Blood in the Throne Room ★★★ (2011-11-18 21:00:37)

スピーディ且つアグレッシブな曲調に併せて
鮮烈に弾きまくる2本のGの美味しさといったら。
しかも無意味な速弾きではなく、ちゃんと考え抜かれた
ドラマティックでメロディアスなソロを聴かせてくれる点も
評価ポイントです。


ANTERIOR - Echoes of the Fallen - To Live Not Remain ★★★ (2011-11-18 20:58:25)

前作より格段にダイナミズムを増した
(ヘヴィ・メタリックになった)音作りの下、
起承転結がばしっと決まったドラマティックな曲展開が、
アルバムの出来の良さすら確信させてくれます。


ANTERIOR - Echoes of the Fallen - Venomous ★★ (2011-11-18 21:03:22)

地響き立てて突進する、アルバム中最もストレートで
アグレッシブな疾走ナンバー。
勿論、IRON MAIDENの遺伝子を受け継ぐ
印象的なGハーモニーを聴くことも出来ます。


ANTERIOR - This Age of Silence ★★ (2009-01-18 22:25:00)

イギリスは南ウェールズ・トレデガー出身のツインGを擁する4人組が、METAL BALDEから'07年に発表した1stアルバム。
「BULLET FOR MY VALENTINEやTRIVIUMから影響を受けた若手メタル・バンド」と言うと、嫌でもメタルコア的なモノを
想像してしまうが、このANTERIORの場合、音作りや怒号スタイルのVoにこそソレっぽい雰囲気が漂うものの、
随所で劇的なハーモニー・プレイをキメまくる、メロディックなツインGを大々的にフィーチュアして、スピーディに疾走する
収録楽曲は、かなり正統派HM色が濃厚な仕上がり(と言うか正統派HMそのもの)。ドラマティックな①~②の流れを筆頭に、
日本人好みの作風にも関わらず(RACER Xのカヴァー曲も収録)、国内盤は悲しいぐらい売れなかったとか・・・何故?
Gが兼任するハードコア調のVoには余り魅力を感じないものの、それをカバーするかのように、ツインGがアルバム全編に
渡って雄弁に歌いまくっており、このメロディックなツインGこそANTERIORの強力な武器。単にピロピロと派手に
弾き倒すのではなく、「テクよりもメロディを聴かせたい!」という姿勢が終始徹底された、構築美に溢れるGプレイの数々は
間違いなく本作最大の聴き所で、特に、静と動の対比が鮮やかな③のGソロなんてガッツポーズものですがな。(⑧⑨も◎)
曲のパターンが似通っている為、そのクオリティの高さに反してキメ曲に乏しい点が勿体ないが、まだまだアルバム1枚目。
逆にこれぐらいの弱点(と言うほど大袈裟なもんじゃなけど)があった方が、以後の成長が楽しみになるってもんです。


ANTHEM - Absolute World ★★★ (2014-11-16 23:00:36)

嘗てはバリバリの森川之雄派として鳴らした我が身ですが、ANTHEM再結成以降は坂本英三の素晴らしい仕事振りにシビれまくっていたので、今回のフロントマンの交代劇には、喜びよりもまず不安が先立ちました。
でもそれも、実際に本作を聴くまでのお話。高浜祐輔のKeyをお供に、疾走ナンバー固め打ちの本編前半で早くも炸裂する、森川のリキの入った「オゥイェー!!」のシャウトを耳にした途端、そうした不安は完璧に雲散霧消しましたね。
メンバーの屈強且つタイトなパフォーマンスと、グッと胸に染み入る哀愁のメロディとが熱く脈動するANTHEM流HMサウンドの本分はそのままに、激しく燃え盛る坂本のVo→沸々と煮え滾るような森川のVoへとバンドの「声」がバトンタッチしたことで、個々の楽曲が放つ印象も少なからず変化。具体的に言うなら、タメの効いた歌唱を得てよりウェット且つメロディアスな味わいが強まったかな?と。
アルバムは全編捨て曲なしですが、トドメはなんつっても名曲“DON'T LET IT DIE”。攻撃的なGリフ、小気味良く疾走するリズム、噛み付くようなヴァースから一転、メロディアスに展開されるサビメロの素晴らしさは特筆モノで、未だにこんな年間ベスト・チューン・クラスの名曲を生み出してしまう柴田直人(B)の才能には、黙って平身低頭するのみです。


ANTHEM - Absolute World - Don't Let It Die ★★★ (2014-11-18 01:01:16)

アグレッシブに刻まれるリフ&リズムの応酬と、
その上に噛み付くように歌うVoが乗る序盤は
何となく“THE JUGGLER”を彷彿。
2ndヴァースのメロディが「もうこれがサビでいいじゃん」
と思うぐらいの素晴らしさなのですが、更にそこから
哀愁を湛えてメロディアスに展開される真のサビメロが
輪をかけて素晴らしい!
脳内「今年のベスト・チューン候補」上位にランクインする名曲です。


ANTHEM - Absolute World - Pain ★★★ (2014-11-18 00:51:30)

硬派なれど無愛想ではなく
哀愁に満ちてはいるけどベタつかない。
パワーとメロディが絶妙なバランスで同居した
これぞANTHEM!というか、ANTHEM以外には作りえない逸品。
坂本英三が歌ってもきっとハマったことでしょうが
森川が歌うことで、より情念渦巻くウェットな仕上がりになったような?


ANTHEM - Absolute World - Stranger ★★★ (2014-11-18 00:43:11)

開始早々に血管がぶち切れそうな勢いの
「オゥイエェェェッ!!」シャウトを聴いた途端
おかえりなさい、と思わず言いたくなりましたよ。
全編が荒々しい疾走感で貫かれながらも
ゆったりとした歌メロを後ノリ気味に乗せていく
森川の歌唱法が、スケール感とメロディアスな
取っ付き易さを付与してくれています。


ANTHEM - Anthem ★★ (2011-09-19 00:20:21)

BURRN!!の大野奈鷹美女史がライナーを執筆しているのが今となっては時代を感じさせる、ANTHEM、'85年発表の1stアルバム。(副題は『パワー・メタル戒厳令』)
5Xのジョージ吾妻がプロデュースを手掛けている本作だが、全体的にとにかくラフで荒削り。音質はもとより収録曲にしても、ファンに広く認知されている現在のANTHEMサウンドとは大きく異なる、整合性よりも初期衝動をダイレクトに叩きつけて来る勢い任せな作風で、再結成以降にバンドのことを知ったリスナーがコレ聴いたらさぞかし面食らうに違いない。取り分け、青さ全開の坂本英三の歌唱にはほっこりさせられますねぇ。
しかし、ギラギラとした若さ剥き出しのANTHEMサウンドってのはここでしか聴けないレア物であり、その筆頭たるACCEPTばりの突撃パワー・メタル・チューン“WARNING ACTION!”は、発表当時イギリスにおいて高く評価されたという話も納得のいく、初期ANTHEMならではの逸曲。また重心低く押し出してくる“LAY DAWN”や、切れ味鋭い疾走ナンバー“STEELER”も問答無用で頭を振りたくなるカッコ良さだし、それに何より本作は、バンドのテーマ・ソングにして後の彼らの音楽的方向性を指し示す名曲中の名曲“WILD ANTHEM”の存在がトドメを刺す!
月並みな表現ですが、まさしく「磨けば光るダイヤの原石」的輝きが感じられるデビュー作ですね。


ANTHEM - Anthem - Warning Action! ★★★ (2011-09-19 00:39:18)

イギリスで高い人気を誇ったという、
初期ANTHEMならではのパワー・メタル・チューン。
ACCEPTばりのGリフのカッコ良さも然る事ながら
福田洋也のドラマティックに疾走するGソロが
大変素晴しい。


ANTHEM - Anthem - Wild Anthem ★★★ (2011-09-19 00:32:34)

まさにANTHEMのアンセム。
坂本の声は未だ青臭いが、曲の良さは文句なし。
先日リマスター盤を購入したらボーナストラックとして
歌い直しバージョンが収録されていて、
聴き比べてみたら坂本の歌唱力の違いっぷりに
思わず笑ってしまいましたよ。


ANTHEM - Black Empire ★★★ (2011-10-08 00:49:01)

レコーディング終盤、出来上がってきたサウンドに不満が生じたため、クリス・タンガリーディスにミックス作業のやり直しを依頼するというゴタゴタが発生したものの、その甲斐あってか、硬質でタイトなリズムの「鳴り」の良さにかけては過去最高レベルを獲得した、'08年発表の12thアルバム。
時にKeyを交えて、屈強さよりもメロディ重視の姿勢が貫かれた作風は前作『IMMORTAL BIND』と同様だが、所謂「昭和歌謡メタル」的な臭みを伴ったメロディが聴かれる場面は徐々に減少傾向にあり、特にそれは坂本英三(Vo)の歌メロに顕著に表れている。
例えばアルバム表題曲“BLACK EMPIRE”はヴァース部分こそ森川時代を彷彿とさせるANTHEM節なのだが、サビメロに関しては、より洗練されたスマート且つキャッチーな歌い回しでまとめられていて、従来の思わずコブシが回る歌唱は影を潜めている。
尤も、涙なしには聴けない叙情HRナンバー“WALK THROUGH THE NIGHT”や、へヴィに刻まれるリフ&リズムとその上を舞う哀メロのコントラストが絶妙な“EMPTINESS WORLD”辺りを聴けば分かる通りクサメロが皆無なんて事はなく、何より前述の“BLACK~”や、リズム隊が主役を張る“HEAT OF THE EMOTION”“GO INSANE”といった楽曲に代表される、唯一無二のANTHEM流HMサウンドのフォーミュラはきっちりと固守しながら、マンネリに陥ることなく、似て非なる名曲を次々に生み出すこのバンドの曲作りセンスには毎度感心させられっ放しですよ。名盤?勿論ですとも。


ANTHEM - Black Empire - Black Empire ★★★ (2011-10-08 00:53:48)

ヴァース部分は“GYPSY WAYS”辺りを想起させる
古き良きANTHEM節なのですが、Keyを巧みに用いて
鮮烈に展開するキャッチーなサビメロは
これまで余り聴かれなかったパターン。
「ならでは」の魅力と新鮮さが同居した名曲ですね。