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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2201-2300

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2201-2300
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GILLAN - Mr. Universe ★★★ (2013-06-29 01:04:30)

GILLANが'79年に発表した本1stフル・アルバムは、アートワークこそAORシンガーのソロ作品のようでHR/HM的な凄みはゼロですが、内容の方はと言えば、これがイアン・ギランのDEEP PURPLE脱退後の試行錯誤を断ち切り、開き直ったかの如くアグレッシブなサウンドがギュウ詰めで最高にエキサイティング。
NWOBHMの隆盛と歩調を併せるかのように突っ込み気味に疾走する“SECRET OF THE DANCE”や“ROLLER”“MESSAGE IN A BOTTOLE”といったスピード・ナンバーの数々は、「ヘヴィ・メタル」と表現しても全く差し支えのないハッちゃけぶりが魅力。
またKey奏者コリン・タウンズの存在が、ギランの強烈なシャウト、バーニー・トーメの豪快なGプレイとタメを張る程に目立ちまくっているのも個人的には嬉しいところです(作曲面でも大きく貢献)。“SHE TEARS ME DOWN”や“MR. UNIVERSE”は、彼の渋さと華麗さの同居した流麗なKeyワーク貢献度大の名曲。そしてラストを締める号泣モノのバラード“FIGHTING MAN”では、その三者の個性がエモーショナルに絡み合うという・・・。
イアン・ギランのVoが真価を発揮するのは次作以降に譲りますが、GILLAN史上最も攻めの姿勢が打ち出された本作は、HR/HMファン向け入門盤としてお薦め1枚です。


GILLAN - Mr. Universe - Fighting Man ★★★ (2013-06-29 22:32:30)

アルバムのクライマックスを飾る泣きの名曲。
哀愁に満ちたフレーズを紡ぐトーメのG、
タウンズのKey、そして何と言っても白眉は
ギランのVo。エンディングの激情迸るシャウトは
涙なしには聴けませんよ!


GILLAN - Mr. Universe - Mr. Universe ★★★ (2013-06-29 23:02:23)

トメさんによるジャムっぽいパートを組み込みつつ
疾走するアルバム表題曲。A面はホント名曲ばかりだなぁ。
楽曲のスピード感を高めるコリン・タウンズの
KEYの速弾き、そしてエンディング間際の
喉から血ぃ吐いてそうなギランのシャウトの
カッコ良さは異常。


GILLAN - Mr. Universe - Roller ★★★ (2013-06-29 22:52:37)

ワイルドに切り込んでくるGリフ
ラウドにブチかまされるリズム、
轟音を引き裂いて突き抜けてくるギランのVoが
尋常ならざるテンションを伴ってぶつかり合う
完全に「ヘヴィ・メタル」なスピード・ナンバー。


GILLAN - Mr. Universe - Secret of the Dance ★★★ (2013-06-29 22:45:40)

NWOBHMの隆盛を予期したかのような
前のめりなスピード・ナンバー。
ハイテンションに畳み掛けるギランのVoが
楽曲を貫く疾走感を更に倍化させています。
Keyによるインスト曲“SECOND SIGHT”から
繋がっていく曲展開も効果的。


GILLAN - Mr. Universe - She Tears Me Down ★★★ (2013-06-29 22:38:06)

哀愁に満ちたメロディ、
Keyがリード楽器の役割を果たし、
プログレ風味薫る曲展開など
コリン・タウンズの才能が光る逸品。
このタイプの楽曲が聴かれるのは、
GILLANのアルバムでは本作ぐらいか?


GILLAN - On the Rocks ★★★ (2018-11-14 23:26:21)

‘81年6月、バーニー・トーメ(G)脱退5日前に、GILLANがドイツのアーヘンで行ったライブの模様を収めた実況録音盤。中古屋で見かけて「へー、こんなん商品化されてたんだ」と思わず興味に駆られて購入してしまいました。
ライン録りなのか、オーディエンスの歓声が殆ど入っておらず、また本来ショウのOPを飾っていスピード・ナンバー“UNCHAIN YOUR BRAIN”が録音上の不備で未収録という痛恨のミステイクが惜しい作りながら、代表作『FUTURE SHOCK』(’81年)を発表し、脂の乗り切っていた時期のGILLANのライブゆえ、楽曲も演奏も火が出るぐらいにホットでスリリング。「パンク世代のジミ・ヘン」トーメのGは脱退直前とは思えぬテンションの高さですし、何より圧巻なのが、プレイにしろアピアランスにしろ一癖も二癖もある個性派揃いの面子をがっちり従えて、1曲目からキレキレの歌声をブッ込んでくるイアン・ギランその人ですよ。彼のVoにリアル・タイムで触れた最初の作品が(よりにもよって)『紫の聖戦』だったこともあり、正直ギランの実力を侮り倒していた我が身なので、こうして後追いで過去の音源に触れる度に、彼に対する再評価ゲージがグングン高まっていくのを感じる次第(加齢と折り合いをつけた現在のギランのVoも嫌いじゃないですが)。特にDEEP PURPLEとはまた異なった破天荒さが炸裂する“SMOKE ON THE WATER”を皮切りに、ヒット曲“NEW ORLEANS”、お馴染みの“LUCILLE”と続く終盤3曲の怒涛の畳み掛けには、GILLANのライブ・バンドとしての魅力が凝縮されています。
この編成でのライブが見てみたかったなぁと、叶わぬ夢を抱かずにはいられない1枚。


GIRL - Sheer Greed ★★ (2017-02-15 23:07:51)

「NWOBHM四天王」という肩書と、DEF LEPPRADのフィル・コリン(G)やL.A. GUNSのフィリップ・ルイス(Vo)、後にゼロ・コーポレーションからSHEER GREED名義でアルバムを発表したりしていたジェリー・ラフィー(G)らが嘗て在籍していたバンドという点に興味を引かれて購入に踏み切った、GIRLのデビュー作(’80年発表)。
当時「NWOBHMそのものな音を期待しないように」と散々忠告されていたにも関らず、「またまた、そんな謙遜しちゃってぇ。腐っても四天王なんでしょ?」と全く聞き入れずに購入。その挙句本作で聴かれるラフでスリージーなロックンロール寄りのサウンドに対し、「全然NWOBHMっぽくねぇじゃん!」と勝手に立腹して、速攻で盤を売り払ってしまった青い思い出が蘇ります。そもそもメンバーの面子的に(あとジャケットを飾るアー写のグラマラスなルックスからして)ストレートなHMを演ってるわきゃないのですが…。
しかし。こうして紙ジャケで再発されたリマスター盤を改めて聴き直してみると、これが案外悪くないという。フィル・コリンのGは、時に印象的なメロディを奏で、時に派手に弾きまくったりと全編に亘って存在感を主張していますし、ギターがよく歌うデビュー・シングル曲“MY NUMBER”や、疾走感溢れる“DOCTOR, DOCTOR”、そして後にL.A. GUNSでもリメイクされるGIRLの代表曲“HOLLYWOOD TEASE”等、収録曲の中にはちゃんとHMの範疇で語れるモノが見受けられることにも気付かされた次第。デカダンなメロディ・センスと、フィリップの妖しいヘタウマVoの個性とが合致した“THE THINGS YOU SAY”“STRAWBERRIES”辺りも魅力的です。
従来の「“HOLLYWOOD TEASE”1曲だけのアルバム」という印象を見事に覆されましたよ。


GIRL - Sheer Greed - Hollywood Tease ★★★ (2017-02-15 23:50:52)

NWOBHMの鬼っ子的存在だったGIRLのデビュー作に収められた
これまた鬼っ子的存在の名曲。
アルバム全体をNWOBHMで括るには無理がありますが
(またメンバーもそんなことはこれっぽっちも望んでない)
特別速いわけではないものの、疾走感に溢れたメタリックな
リフ&リズムといい、弾きまくるGといい、独特の声質を駆使して
ヘタウマ・シャウトを響かせるVoといい、
この名曲に関しちゃ堂々HMの範疇で語り継げるカッコ良さ。


GIRLSCHOOL - Demolition ★★ (2012-04-12 07:17:54)

テイチクから国内盤CDが再発された際「まぁNWOBHMを代表するバンドだし、勉強しておくかな」ぐらいの資料的価値重視で購入した作品でしたが、実際に聴いてみて、HMのエッジとパンキッシュなノリの良さを併せ持った(バンド曰く「ニューウェーブと呼ぶには重く、HMと呼ぶにはあまりにパンク」)なサウンドの問答無用のカッコ良さにノックアウトされてしまいましたよ。
案外キュートな(?)歌声とハスっぱなコーラス、豪快にかき鳴らされるGリフにタイトで埃っぽいリズムとがワイルドに押し出してくる、MOTORHEAD直系ロックンロール・サウンドで媚や虚飾を排除したスケ番チックな骨の太さを提示する一方、必要以上に男勝りたらんとする力みや気負いを感じさせない自然体なバランス感覚も上々で、何よりGUNの名曲“RACE WITH THE DEVIL”の見事な料理っぷりからも分かるように、メロディがいかにも英国的な陰りを湛えている点もナイス。クールなリフ・ワークのみならずブルージーなソロ・パートにも冴えをみせるケリー・ジョンソン('04年に脊柱癌で逝去)のGプレイは本作の聴き所の1つですよ。
「サイレン音が取り入れられた楽曲にハズレなし」の自説を補強してくれる硬派なOPナンバー“DEMOLITION BOYS”から、キャッチーな名曲“EMERGENCY”を含む本編後半に至るまで、頭を振らずにはいられない好戦的なエネルギーに満ち溢れた1枚。


GIRLSCHOOL - Demolition - Demolition Boys ★★★ (2012-04-13 21:59:41)

シンプルゆえに強い求心力を発する
Gリフとリズム、それにハスっぱなVoと
コーラスのコンビネーション、
そして無頼漢溢れるGソロを聴いていると
無性に頭を振りたくて仕方なくなります。
ガールズロック?いやいやスケ番メタルですよ。


GIRLSCHOOL - Demolition - Emergency ★★★ (2012-04-13 22:25:29)

GとBが刻むリフが、まさしくタイトル通りの
切迫感を演出するアルバム後半のハイライト・ナンバー。
一緒に歌いたくなるキャッチーなサビメロも秀逸です。


GIRLSCHOOL - Demolition - Race With the Devil ★★★ (2012-04-13 22:19:27)

ポール&エイドリアンのガーヴィッツ兄弟率いる
GUNが大ヒットさせた元祖HM的なカッコ良さに
満ち溢れた名曲の好カヴァー。
勢いだけじゃないケリー・ジョンソン(G)の
確かな実力が伝わって来る楽曲でもあります。


GIRLSCHOOL - Hit and Run ★★★ (2018-08-26 23:49:52)

野郎率90%越えのNWOBHM工業高校で総番レミー先輩から薫陶を受け、学内に睨みを利かせたスケ番軍団ことGIRLSCHOOLが、'81年に発表した2ndアルバムがこちら。
「所詮は女」と舐めて掛かる輩のケツの穴に腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わさんとするパンキッシュな荒くれ感を十二分に漲らせつつ、Gリフは切れ味の鋭さを増し、リズムはよりダイナミック、ハスッぱに歌われるメロディは一層キャッチー&メロディアスに…と、演奏に厚みが出て、勢いだけに頼らないミュージシャンとしての成長ぶりもアピールする本作は、グッと整合性を高めたヘヴィ・メタリックなサウンドが提示されています。
気合一発、OPを威勢よく駆け抜ける①、土煙巻き上げて突っ走る③、オラオラとケツを蹴り飛ばされるような④、荒々しくも印象的なリフレインを持つ⑧といった疾走ナンバーを要所に配し、その合間に英国風味の湿り気を漂わせた②⑤⑦、ZZ TOPのカヴァー⑥等、バラエティ豊かな楽曲が揃う本編を聴けば、多くのファンがバンドの代表作にこれの名を挙げるのも納得ですよ。特にGIRLSCHOOLの魅力の真骨頂というべき⑩はパンクなアティテュードとキャッチーなポップ・センスが組み合わされた名曲。MOTORHEADのフィルシー・テイラーがゲスト出演しているPVも最高です。
クールな楽曲をクールに繰り出すメンバーの立ち姿もこれまた最高にクールで、長身痩躯を活かしてレスポールを掻き鳴らすケリー・ジョンソン(G)を始め、男女問わず惹きつけるその勇姿は、パンクスもメタルヘッドも憧れたレミーに通じるもの有り。この時期の彼女たちが正しく「MOTORHEADの後継バンド」であったことが理解できる1枚です。


GIRLSCHOOL - Hit and Run - Yeah Right ★★★ (2018-08-27 23:10:05)

反抗的なアティテュードと、甘く親しみ易いメロディが同居して
キャッチーに駆け抜けるGIRLSCHOOLならではの名曲。
ライブじゃさぞかし盛り上がったことでしょう。
PVには故フィルシー“アニマル”テイラーがゲスト出演、愉快な演技を披露してくれています。


GIRLSCHOOL - Play Dirty ★★★ (2016-08-07 09:04:05)

ケリー・ジョンソン(G)在籍時代、最後の作品となった’83年発表の4thアルバム。
GIRLSCHOOLと言えば「MOTORHEADの妹分」との評判と、それを裏付けるかの如き破天荒でパンキッシュな初期作のサウンドが強烈なインパクトを放っていたので、初めて本作を聴いた時は、のっけから大胆にKeyを取り入れてハーモニーも増量。ミッドテンポの楽曲を中心に、DEF LEPPARDばりに洗練された小奇麗なアレンジを身に纏うポップでメロディアスなサウンドの変化にビックリ仰天。思わず「マジっすか?」とジャケットで睨みを効かせる姐さん方の顔を二度見してしまいましたよ。まるで工業高校のスケ番が、女子高への転校を切っ掛けにしれっと普通の女の子デビューを飾ったのを目撃してしまった気分というか…。いや、勿論⑤や⑩のような疾走ナンバーも収められてはいるのですが、どっちも「アグレッシブ」というよりは「軽快」という表現の方がしっくりと来る塩梅で。
しかし初聴の衝撃から立ち直れば、後はケリーが伸びやかな歌唱を披露する①、哀愁湛えたGがよく歌う②⑦、アリーナ・ロック的キャッチネスが備わった③…と言った具合に、ガンガンズイズイと楽曲の出来の良さが沁み込んできます。T-REXのカヴァー④も楽しい仕上がりですし、高水準を維持した収録曲に捨て曲/埋め曲の類は見当たりません。
発表当時はセールス/批評両面において失敗作の烙印を押された1枚なれど、今聴けばメンバーが「気に入っている作品」と胸を張る理由も、アメリカ市場で健闘したという話も納得出来るというもの。GIRLSCHOOLがこれを演るか…という気持ちは良く分かるのですが、「悔しい、でも素晴らしい!」(ビクンビクン)な1枚。


GIRLSCHOOL - Play Dirty - Going Under ★★★ (2016-08-08 23:39:05)

初めて聴いた時は、初期GIRLSSCHOOLしか知らなかった身ゆえ
シンセによるイントロと、哀愁に満ちたメロディを
リラックスして歌い上げるケリー・ジョンソンのVoに
「?!」となってしまいましたね。
が、リピート再生しているうちに、じわじわ「聴かせる」楽曲自体の
魅力が浸透。今じゃ星三つ級の大好きぶりですよ。


GIRLSCHOOL - Play Dirty - High 'N' Dry ★★★ (2016-08-08 23:43:29)

タイトルがDEF LEPPARDっぽいですが、洗練を感じさせる
楽曲自体も相当にDEF LEPPARDを意識していそうな仕上がり。
初期のような尖がり感は皆無ですが、キャッチーなメロディから
よく歌うG、メロディアスに歌い上げるVoまで
実に心地よく浸れる哀愁のハードポップ・チューン。
これははこれで十分魅力的です。


GIRLSCHOOL - Screaming Blue Murder ★★★ (2019-12-23 00:05:10)

先頃来日公演も敢行した、NWOBHMが誇るご長寿ガールズ・ロック・バンド…なんて書いたらケツを蹴っ飛ばされそうなGIRLSCHOOLが、Bをイーニッド・ウィリアムズからジレン“ジル”ウェストンにチェンジして'84年に発表した3rdフル・アルバム。
前2作の成功を糧に、更なる幅広いリスナー層へアピールするべくバラエティ豊かな曲作りが試みられている本作は、パンキッシュな炸裂感や疾走感を抑制。これまで無造作に撒き散らかされていたエネルギーに指向性を持たせて、整合性を高める方向に集約することで、HR然としたキャッチー&メロディアスな魅力の底上げが図られています。
明確に「叩きつける」よりも「聴かせる」ことを重視した仕上がりの楽曲は、破天荒さが薄まった分全体的に小粒な感は否めないものの、この完成度の高さには間違いなく唸らされるもの有り。本作をもって彼女たちがミュージシャンとして更なる成長を遂げたことは疑う余地がありませんよ。特に、身体を揺らすシンプルなノリの良さと、Gが奏でる一聴で耳を捉える印象的なメロディが散りばめられた⑥は、本作ならではの魅力を備えたメロディアスな名曲。そこから前作に収録されていても違和感のない疾走ナンバー⑦へと繋ぐ曲展開にも痺れさせて頂きました。あと一緒に歌わずにはいられないキャッチーさを備えたアルバム表題曲①も素晴らしいなぁと。
「アタイたちだっていつまでもムチャはやってられないのサ…」ってなスケ番グループからの卒業を匂わせる作風に一抹の寂しさを覚えつつも、そうした過渡期ならではの味わいがこれはこれで大変美味な1枚でもあるという。


GIRLSCHOOL - Screaming Blue Murder - Don't Call It Love ★★★ (2019-12-23 23:53:48)

練られたGフレーズから、哀愁を湛えてキャッチーな歌メロまで
勢い任せではない構築美を感じさせる仕上がり。
バンドの作曲能力の成長がしかと刻まれた名曲です。


GIUFFRIA - Giuffria ★★ (2013-05-06 22:50:15)

元ANGELのグレッグ・ジェフリア(Key)が、後にDIOに参加するクレイグ・ゴールディ(G)らと共に結成したイケメン・バンドが、'85年に発表した1stアルバム。
宇宙企画のAVのタイトルみたいな邦題(『美伝説』)が付けられていますが、本編はそこからイメージされるような美旋律や耽美性のフィーチュア度は然程高くなく、むしろ豪快なノリの良さを伴ったスケールの大きなアメリカン・ロックがその持ち味。Key奏者が曲作りのイニシアチブを握っていると聞くと何となくポップな作風を想起しますが、実際は、グレッグ・ジェフリアの派手なKey、クドイぐらいエネルギッシュなデヴィッド・グレン・エインズレーの歌声や、重厚な音作りの効果とが相俟って、そのサウンドは十分にハード且つダイナミック。
個人的にはHOUSE OF LORDSの音楽性の方が好みに近いのですが、EL&Pばりのファンファーレで幕開けを飾るOPナンバー①や、スマッシュ・ヒットとなった②、疾走ナンバー⑦といった、グレッグのKeyヒーロー然とした華々しい鍵盤捌きが炸裂する名曲の魅力はやはり唯一無二。
聴いていると映画の壮大なワンシーンが目に浮かぶような、グレッグが提唱するところの「シネマ・ロック」の先駆けとなった1枚でしょうかね。


GIUFFRIA - Giuffria - Turn Me on ★★★ (2013-05-07 23:38:11)

アルバム自体はJOURNEYなんかを引き合いに出して
語られがちですが、この疾走ナンバーに関しては
立派なHMっぷり。クレイグ・ゴールディのGと
がっぷり四つに組む、グレッグ・ジェフリアの
華やかにして攻めの姿勢を感じさせるKeyプレイが
聴きモノです。


GLASS TIGER (2016-05-11 23:16:23)

'83年結成。当初はTOKYOと名乗るも、その後「繊細さ(GLASS)とワイルドさ(TIGER)を併せ持つバンド名」としてGLASS TIGERに改名。
CULTURE CLUBの前座を務めたことを切っ掛けにCAPITOL RECORDSと契約。更に当時バリバリの売れっ子プロデューサーだったジム・ヴァランスのお眼鏡に適う幸運にも恵まれ、彼の全面的なバックアップを受けたデビュー作『THIN RED LINE』(邦題『傷だらけの勲章』)は'86年にリリースされるや否や、“DON’T FORGET ME”や“SOMEDAY”を筆頭に、シングルカットされた楽曲がカナダとアメリカで次々に大ヒット。数々の音楽賞も受賞する等、一躍カナダの国民的人気バンドの地位に躍り出る。
しかし、以降は音楽シーンの潮目の変化もあり大きなヒットに恵まれず、3枚のフル・アルバムを残した後、'93年に解散。('03年に再結成)


GLASS TIGER - Diamond Sun ★★ (2016-06-08 23:57:57)

1st『傷だらけの勲章』(’86年)からシングル・カットした“DON’T FORGET ME”をいきなりアメリカでも大ヒットさせ、数々の音楽賞を受賞するなどセンセーショナルなデビューを飾ったカナダの5人組、'88年発表の2ndアルバム。
スコットランドの大地を想起させるかのようなメロディがスペーシーに響き渡る表題曲①がアルバムのOPを飾り、再登板したジム・ヴァランスがプロデュースから作曲作業にまでタッチする等、前作において確立した「勝利の方程式」を今回もしっかりと踏襲。にも拘わらず、80年代後半の北米ロック・シーンの潮目の変化のあおりを食って、思惑通りの大ヒットとはいかなかったってんだから、音楽商売ってヤツはつくづく水物ですなぁと。
尤も、ますますポップ&ライトにU2化が進行し、名曲“CLOSER TO YOU”のような哀愁のハードポップが姿を消してしまい、「和み系」の楽曲で統一が図られている本作には、個人的にも『傷だらけの~』程はノれなかった…というのが正直なところだったり。
だがしかし。全体的に無難に置きに行った感が拭いきれぬ本作なれど、それでも1曲1曲をピックアップすれば、サックスを取り入れたロマンティックな④や、アイリッシュ風味が心地良い⑥、シンガーの歌唱力向上が顕著なピアノ・バラード⑦、雄大且つドラマティックに本編を締め括る⑩…と、ツボを心得た曲作りのセンスに唸らされる場面もしばしば。
アメリカでは「2枚目の壁」にぶち当たってしまったとは言え、母国カナダでは堂々大ヒットを記録しており、質が低いわきゃないんですよね。


GLASS TIGER - The Thin Red Line ★★★ (2016-05-11 23:17:03)

敏腕プロデューサー、ジム・ヴァランスのバックアップを受けて華々しくデビューを飾った5人組が、'86年に発表した1stアルバム。邦題は『傷だらけの勲章』…って西城秀樹の映画か?
スコットランド民謡のメロディを用いた①にて幕が上がる構成に、彼らの郷土愛を見る思いの本作(リーダーのアラン・フリューがスコットランド出身)。流石ジム・ヴァランスの仕事というべき、クリアに洗練された見通しの良い音作りの下、煌びやかなKeyを配し、甘く爽やかに歌い上げるVo、胸の透くコーラス・ワーク、躍動するポップなメロディetc…と、ヒットのツボを徹底的に解析しまくったかのような、フック満載のメロハー・サウンドが実に心地良い。シングル・カットされた②(ブライアン・アダムスがバックVoとしてゲスト参加)が、母国カナダはもとより全米チャートでも第2位を獲得する等、ビッグ・セールスを記録したというのも納得できる話です。
反面、計算し尽くされた音楽性はエキサイトメントに乏しく、メタル者からは「刺激が足んねぇ!」と怒られそうですが、個人的には、哀愁のハードポップ③、オリエンタルな序曲を有してそこはかとなくドラマティックに展開していく⑦、キャッチーの極みと言うべき⑩等、適度なイキの良さと、優れたメロディ・センスが同居した「いかにもカナディアン・メロハー」な楽曲の数々のお陰で、最後まで充実した時間を過ごすことが出来ましたよ。


GLASS TIGER - The Thin Red Line - Closer to You ★★★ (2016-05-12 23:08:25)

Voが伸びやかに歌い上げる
キャッチー且つ愁いを発するメロディが
胸にキュン(死語)とくる
秀逸なハードポップ・チューン。
物悲しいシンセ・リフも印象的。


GLASS TIGER - The Thin Red Line - I Will Be There ★★★ (2016-05-12 23:16:24)

胸高鳴る鮮やかなイントロから
思わず踊り出したくなる曲調、
キャッチーなサビメロに至るまで
ハードポップの鑑のような名曲。


GLENMORE - For the Sake of Truth ★★ (2011-02-16 22:57:20)

QUEENSRYCHEからの影響を、若手バンドならではの勢いの良さと、ドイツのバンドらしいメロディ・センスで消化したプログレ・メタルを聴かせてくれるハンブルグ出身の5人組、'94年発表の2ndアルバム。
優男風の兄ちゃんがこっちを見てるジャケットにはイマイチ購買意欲をそそらないが、張りのあるハイトーンを聴かせてくれる上手いVo、テクニカルでメロディアスなフレーズを滑らかに奏でる上手いG、そして立体的にボトムを支える上手いリズム隊(Dsはゲスト参加の名手ヨルグ・マイケル)とが揃ってるバンドだけにそのクオリティが低い筈もなく、収録楽曲は粒より。殊に疾走ナンバー⑤は、個人的にビクターが出した企画盤に収録されていたこの曲を聴いて本作の購入を決意させられた程の名曲だ。(まぁ、こいつのインパクトがデカ過ぎるせいで、他の楽曲の存在が完璧に霞んでしまってる部分がないわけはないんだけど・・・)
同期の正統派HMバンドの多くが、「80年代にコツコツと作った1stアルバムが好評を博す」→「90年代の流行を取り入れた2ndアルバムでコケる」という黄金パターンを繰り返して自滅していったのに比べ、2作続けて良作をリリースしてくれたGLENMOREは、それだけでも好意的に評価したくなるというもの。実際のところ、本作だってGリフやリズムの硬度等に90年代っぽさを宿してはいるわけだが、これはへヴィというよりも「逞しくなった」と表現したいところです。
本作を最後に解散してしまったことが惜しまれますね。


GLENMORE - For the Sake of Truth - TV War ★★★ (2011-02-16 23:01:30)

鋭角的なGリフ、タイトに疾走するリズム、
張りのあるハイトーンVo、そしてエンディングで
炸裂する泣きを伴ったGソロと、百篇聴いても
聞き飽きない名曲ですよ。


GLENN HUGHES - Burning Japan Live ★★★ (2012-02-18 01:46:04)

ドラッグで身を持ち崩して過去の人になりつつあったグレン・ヒューズ、起死回生の一撃となった力作『FROM NOW ON・・・』リリースに伴う日本公演(前座はスウェーデンのFORTUNEでしたっけね)の模様を捉えたライブ・アルバム。
「THE VOICE OF ROCK」コールに導かれ、いきなりド級の名曲“BURN”によって幕が開き「掴みはOK!」となるショウは、当時の最新作『FROM~』からのナンバーを中心に据えつつ、DEEP PURPLE、TRAPEZE、HUGHES/THRALLの名曲も要所に配置される等、その豪勢なセットリストはまさしく「ヒストリー・オブ・グレン・ヒューズ」といった趣き。その上でクスリ断ちに成功し、心身ともに絶好調なグレンが熱の篭ったパフォーマンスを繰り広げてくれるのだから、これで盛り上がらない訳がない。
バックを固める北欧ミュージシャン勢も、テクニカル&ヘヴィ・メタリックな演奏で彼を的確にサポート。のみならず、彼の地独特の透明感をもってグレンの「黒っぽさ」や「ファンキーなノリ」を中和する役割も果たしており、特に、メロウな叙情HRナンバー“FROM NOW ON・・・”と、TRAPEZE時代の名バラード“COAST TO COAST”におけるパフォーマンスは、両者の持ち味の最良の部分が見事に引き出されていて圧巻の一言。ソウルフルに炸裂するグレンのハイトーン・シャウトには魂が震えるってもんですよ。
それまで知識としてしか知らなかったグレン・ヒューズというシンガーの凄味を、実感を伴って理解させてくれる1枚。ゼロ・コーポレーションが残した数々の遺産の中でも一際眩い輝きを放つ「LIVE IN JAPAN」物の傑作だと思います。(あからさまに手が加えられている歓声の処理は評価が割れるところかもしれませんが、個人的にはこれは「有り」)


GLENN HUGHES - First Underground Nuclear Kitchen ★★★ (2019-09-22 10:04:23)

その音楽性ゆえ敬遠され、中古盤屋じゃ安値で見かける機会の多いグレン・ヒューズ(Vo)のソロ・アルバム。ただ何故か’08年発表の本作だけはプレミア価格が付けられていて、FRONTIER RECORDSからのリリース(日本盤の発売はキング)だし、もしかしてメロハーでも歌ってくれているのか?と期待してしまいますが、CDを再生すると流れ出すのは、黒いフィーリング全開の粘っこい歌声と、柔軟なリズムのコンビネーションが生み出すグルーヴに思わず身体が横揺れを始める、いつも通りのファンク/ソウルを基調としたサウンドです。
同じ虹紫ファミリーで、「メタルを歌うのに打ってつけの声の持ち主ながらメタル自体はあんまし好きじゃない」という似た志向の持ち主だったグラハム・ボネットが、近年はガンガンHM街道を邁進しているのに対し、こちらは相変わらずのマイペースを維持。何せ表題『FIRST UNDERGROUND NUCLEAR KITCHEN』の頭文字を取るとF.U.N.K.になるってんだから、その拘りは徹底していますよ。
尤も、HR/HMと若干の距離を感じる音楽性だから本作にガックリ来たかと言えば、そんなことは全然なく。盟友チャド・スミス(Ds)やJ.J.マーシュ(G)といったお馴染みの面子による表情豊かな演奏と、ソウルフルな節回しから一気に駆け上がるハイトーンまで、衰え知らずのグレンの神唱を得て躍動する楽曲は、都会的洗練を身に纏わせ、グルーヴのみに偏重することなくメロディは存外にキャッチー。特にホーン・セクションが映えるクールな④、ストリングスをフィーチュアしたドラマティックなバラード⑩等の出来栄えは絶品です。
演りたいことを演りたいように演ってるグレンの幸福感がこっちにも伝播してくる1枚。


GLENN HUGHES - First Underground Nuclear Kitchen - Love Communion ★★★ (2019-09-23 22:57:42)

身体を揺する粘っこいグルーヴにグレンの躍動感溢れる
歌声(とBプレイ)が乗っかったホットなロック・チューン。
都会的なクールネスを演出するホーン・セクションの導入も効果的。


GLENN HUGHES - First Underground Nuclear Kitchen - Too Late to Save the World ★★★ (2019-09-23 22:52:51)

抑え気味に始まり、グレンの熱を帯びたVoに煽られるように
後半に向けて盛り上がっていくドラマティックな逸品。
作品全体としてはHR/HMとは若干の距離を感じさせる作風ながら
この曲はグレンの歌も楽器陣の演奏も、間違いなくハードにロックしています。


GLENN HUGHES - Live in Australia ★★★ (2019-09-24 23:15:06)

グレン・ヒューズが’06年に、オーストラリアはシドニーのライブハウスで行ったアコースティック・ギグの模様を収録した実況録音盤。こんなんが発売されているとは露知らず、最初目にした時は簡素なジャケットの印象も手伝って海賊版かと思ってしまいましたよ。
聴き始める前は「アコースティックで70分のライブはキツイんじゃないかなぁ」と不安に思っていたのですが、これが完全なる杞憂。リラックスしたグレンのMCや観客の暖かい歓声がアットホームな雰囲気を伝えてくれるライブは、いきなり名曲“COAST TO COAST”で開幕。新旧のソロ・アルバムからDEEP PURPLE、TRAPEZEに至るまで、グレンのキャリアをざっくり振り返る構成のセットリストは、名曲群の大盤振る舞いな上、抑えたトーンから一気に駆け上がるハイトーンの伸びといい、エモーショナルな表現力といい、齢50(収録当時)を超えて尚衰えることを知らない彼の神掛かった歌声が、ライブにダイナミックな起伏を作り出してくれていて、「弛緩」「中弛み」といった負の要素の発生を許しません。
殊に、“サテンの夜”の邦題で知られるMOODY BLUESの泣きのバラード“NIGHTS IN WHITE SATIN”、マーク・ボニーラのソロ『AMERICAN MATADOR』(’93年)にゲスト参加した際にも歌っていたPRCOL HARUMの代表曲“青い影”、そして観客の唱和を誘う第3期DEEP PURPLEが生んだ名曲“MISTREATED”におけるグレンの熱唱は、まさに「ソウルフル」という言葉の意味を体現するかの如き素晴らしさを誇っていますよ。
シンガー/グレン・ヒューズの実力を十二分に堪能できる1枚。HR/HMサイドにフォーカスした『BURNING JAPAN LIVE』(’95年)と併せて聴くと一層趣き深いのではないかと。


GLENN HUGHES - Live in Australia - A Whiter Shade of Pale ★★★ (2019-09-26 01:21:23)

PROCOL HARUMの不朽の名曲のカヴァー。
マーク・ボニーラのソロ・アルバムでもこの曲をグレン・ヒューズは
歌っていましたが(それ目当てでアルバムを買った思い出)、
より一層シンガーとしての実力がダイレクトに発揮された
このライブ・バージョンも絶品ですよ。


GLENN HUGHES - Live in Australia - Nights in White Satin ★★★ (2019-09-26 01:36:16)

“サテンの夜”の邦題で知られるMOODY BLUES初期の名曲を
生ストリングスをフィーチュアしてカヴァー。
ダークでメランコリックな抒情メロディを、エモーショナルな
シャウトを交え情熱的に歌い上げるグレンの歌声が、ライブならではの
臨場感を伴ってグイグイと胸に迫ってきますよ。


GLENN HUGHES - Play Me Out ★★★ (2021-11-30 01:02:59)

歌神グレン・ヒューズ(Vo、B)が、TRAPEZE時代の僚友メル・ギャレー(G)、デイヴ・ホーランド(Ds)、テリー・ロウリー(Key)、そしてゲストとしてパット・トラヴァース(G)等を迎えてレコーディングを行い、’77年に発表した1stソロ・アルバム。邦題は『燃焼』。
DEEP PURPLE解散後、創作の自由を満喫できる環境を手に入れたグレンが己の趣味丸出しで制作しているだけあって、ストリングスやホーン・セクション、女性コーラスを取り入れたゴキゲンなサウンドは「聴き終えたあと頭がアフロヘアになってました」とすぐバレる嘘をつきたくなるぐらいファンキー&ソウルフル。90年代ぐらいまでは、メタル雑誌でDEEP PURPLEのディスコグラフィーが紹介されたりすると、このアルバムに関しては微妙というか、もっとハッキリ駄作扱いされていることも少なくなく、実際問題自分もDEEP PURPLEでグレンのことを知った直後に本作を聴いたならば、HR/HM色薄めの内容に「ちょっと勘弁してよ…」との感想を持ったであろうことは想像に難くありません。
とはいえ、90年代以降のグレンのソロ活動の変遷を体験した今となっては、本作とて恐れるには足らず。歯切れ良く躍動感するイントロから転調してじっくり聴かせる③、都会的な哀愁漂わす⑦、ラストをエモーショナルに盛り上げる⑨等は、メロウな曲調と、シャウト一発で場を完全に掌握してしまう(まさしく邦題通り)魂を燃焼させるかの如きグレンの歌声と相俟って、ジャンルの壁をブチ抜いて聴き手を痺れさせる名曲に仕上がっています。
先頃ようやく国内盤のCD化が実現しています。この機会にいかがでしょうか?


GLENN HUGHES - Play Me Out - Your Love Is Like a Fire ★★★ (2021-11-30 23:51:07)

6分越えの長尺曲。ホーン・セクションをフィーチュアして
後半へ聴き進むに従って徐々に熱を帯びていくメロウな曲調と
それを支えるグレンの熱唱に痺れます。


GLORY - Danger in This Game ★★★ (2013-05-01 22:38:13)

ヤン・グラウィック(G)率いるGLORYが'89年に発表したデビュー作で、一作毎に音楽性を拡散させて行き、終いには収集のつかないことになっていたこのバンドのカタログの中では、最も「北欧メタル」らしさが堪能できる1枚。
クラシカルなフィールを湛えたG、霧のように楽曲を包み込むKey、透明度の高い美旋律やボーカル・ハーモニーといった要素が北欧メタル風味を創出する一方で、ヤン・グラウィックが本作において目指しているのは、Voの甘い歌声をサウンドの中心に据え、バラエティ豊かな楽曲を取り揃えた歌モノHR路線。(お手本は勿論EUROPEだ)
煌めくKeyをフィーチュアしたポップな②、優しいメロディが胸に染みるバラード③にその成果を表しつつも、本作のハイライトは北欧様式美メタルの醍醐味を凝縮したかのような名曲④で決まりでしょうか。弾きまくるのではなく、かっちりと構築されたヤン渾身のGソロと、そこへ絡むピアノ・ソロが辛抱堪らんクラシカルなドラマを生み出しているこの至高の逸品を聴くためだけにでも、是非本作をご購入頂きたい!
・・・と言っても、昔ポリスターから出てた国内盤は長らく廃盤のままほったらかしなんすけど。願・リマスター再発。


GLORY - Danger in This Game - This Is the Love ★★★ (2013-05-03 09:29:41)

GLORYの代表曲というより、個人的には
“THIS IS THE LOVE”=GLORY、な名曲中の名曲。
歌メロ(あんまし上手くないですが、そこがまた北欧っぽい)、
からクラシカルなドラマに満ちたGソロ、Keyソロに至るまで、
北欧様式美メタルの旨みが凝縮された1曲。
初手でこんな凄いもん聴かされたんで、
2nd以降のGLORYのアルバムがどれも物足りなく
聴こえてしまう点は痛し痒しですが。


GOBLIN - Zombi(colonna Sonora Originale Del Film) ★★★ (2017-12-10 01:17:07)

ホラー映画史に燦然と輝く金字塔、故ジョージ・A・ロメロ監督作『ゾンビ』(原題『DAWN OF THE DEAD』)と言えば、米国劇場公開版、ディレクターズ・カット版、そしてダリオ・アルジェント監修版の3パターンを基本に、派生型である日本TV初公開版やら、ドイツのマニアが勝手に作ってしまった最長版やら、無数のバージョン違いが存在していることで知られています。で、お前はどのバージョン派?と問われたならば、コンマ数秒たりとも躊躇うことなく「アルジェント版!」と即答する準備は万端。ロメロが作品に込めた消費社会・文明に対する批評性が薄められているとしてマニア受けはイマイチなれど、カット割りがスピーディ且つアップテンポで、『ゾンビ』のサバイバル・アクション物としての側面がより強調された同バージョンの味付けが、個人的に一番グッときましてね。それに何より、ここにはGOBLINが手掛けた最高にイカした劇伴がある!と。特に映画序盤、警察/不法移民/ゾンビが三つ巴の地獄絵図を繰り広げるアパートの場面で、名曲②が流れないなんてちょっと考えられないですよ。この勇ましく緊迫感に満ちた名曲を聴く度に、ウーリー大暴れの図が脳裏に浮かんでほっこりするという(それはどうか)。
そんなアルジェント版の劇中使用曲をまとめて収録したサントラ盤たる本作ですが、『ゾンビ』を見たことがない方が、単純にプログレッシブ・ロック作品として触れると、唐突に陽気なピアノ曲やカントリー、更には民族音楽風コーラスが挿入されたりと、ロック色の薄い、少々アバンギャルドな作りに戸惑う危険性あり。映画を見てからだと、聴く度に劇中の名場面の数々が瞼の裏に蘇って感動に浸れる名盤なのですが…。


GOBLIN - Zombi(colonna Sonora Originale Del Film) - Zombi ★★★ (2017-12-10 01:29:49)

タイトルそのまんまですね。
映画開巻から間もなく、警察が包囲するアパートを舞台に、
不法移民とSWATが繰り広げる銃撃戦に、ゾンビ軍団が乱入する
カオスな名場面を彩るアゲアゲな名曲です。
シーンの緊迫感を高めるだけでなく、
ダリオ・アルジェント監修版が持つ「サバイバル・アクション映画」
としての雰囲気も大いに盛り上げてくれているという。


GOLDEN FARM - ANGEL'S TEARS ★★★ (2015-09-09 23:17:49)

スペイン産メロディアスHRバンドというと、古くはHIROSHIMA、近年だと91 SUITEやNEXX等の名前が思い浮かびますが、このGOLDEN FARMが'03年に発表した1stアルバムも、それらのバンドに引けをとらない出来栄え。
同国大手のAVISPA RECORDSのプッシュを受けてるだけあって、ドメスティックなイモ臭さを殆ど感じさせないメロハー・サウンドは、シンガーの伸びやかな歌唱力から、ネオクラシカルな美旋律も紡いでみせるGを始めとする楽器陣の演奏力まで、デビュー作にしてに早くも世界水準に達しています。
ピアノによるイントロ転じて軽やかに幕開けを飾る、ハードポップのお手本のようなOPナンバー①を挨拶代わりに、エッジを効かせて爽快に疾走する③があったかと思えば、重厚なアレンジの施されたヘヴィな⑧や、中期イングヴェイを思わす冷ややかな⑩があったりと、本編の流れが単調にならぬよう、幅を持たせた曲作りのセンスがキラリ。尚且つスペイン人の血の為せる業か、時折猛烈な哀愁を放つキャッチーなメロディがアルバムに一本の筋を通してくれているので(ついコブシが回ってしまう⑦とか)、散漫な印象もありません。
ボーナストラック⑫まで秀曲なのですから実に立派。時折「2ndはまだですかいの」とか思いながらCD棚から引っ張り出しては聴き直していた作品なのですが、ある日購入した書籍に「中心メンバーだったギタリスト氏が事故死して'07年にバンドは消滅」と書かれていて、地味にショックでした。


GOLDEN FARM - ANGEL'S TEARS - FIRE AND ICE ★★★ (2015-09-10 23:37:36)

JOURNEYとSURVIVORの美味しいトコ取りな(?)
アップテンポの快活なHRチューン。
弾きまくるGソロが楽曲の持つ爽快感を
効果的に盛り上げてくれています。


GORKY PARK - Gorky Park ★★ (2016-10-16 09:41:42)

ソ連邦崩壊が目前に迫った’89年、鉄のカーテンの向こう側から1st『GORKY PARK』(邦題『マイ・ジェネレーション』)を引っ提げて日本デビューを飾った5人組。BON JOVI、SCORPIONS、MOTLEY CRUEら西側の人気HRバンドが一堂に会した「モスクワ・ピース・ミュージック・フェスティバル」(舞台裏の乱闘劇はピースどころじゃなかった模様)にソ連代表として出演する等、共産圏において当時(今も?)随一の認知度を誇ったバンドで、斯くいう自分も剛力彩芽がブレイクした頃には彼女の名前を聞く度に「そう言えばゴーリキー・パークは今何を…」と東の空を見上げながら切ない溜息を吐いていました(雑な嘘)。
ブルース・フェアバーンがプロデュースを担当し、ジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラが⑤を共作しレコーディングにも参加する等、チームBON JOVIの全面バックアップを受けた本作で聴かれるのは、やはりBON JOVI路線のメロディックHRサウンド。学校の先輩は「赤いBON JOVI」なんて呼んでましたけど、ド真ん中のアリーナ・ロック・ソング①が、ノリノリの曲調の中にも荒涼たる雰囲気を秘めていることからも分かる通り、BON JOVIと似たような音楽性を志しても、メロディの持って行き方からアレンジの手法一つとっても、どこかエキゾチックな響きを湛えているのが彼らの強み。中でもTHE WHOの代表曲“MY GENERATION”をスターリン風味に革命してみせた(なんじゃそら)⑥は、疑う余地なく本編のハイライトですよ、同志。
個人的には「ソ連のHMバンドったらSHAHだろ!」派なので、ドストライクとは言い難い音ではあるのですが、それでも①⑥目当てで本作を購入しても損はないと思う次第。


GORKY PARK - Gorky Park - My Generation ★★★ (2016-10-16 09:52:21)

皆さん仰られている通り原曲の面影まるでなし。
でもそこがいい!みたいな。
要所にロシア風味の厳粛なメロディ&重厚なコーラスが
ブッ込まれたマルクス・レーニン的アレンジを聴くと、
思わず赤の広場を隊列組んで行進したくなります。


GORKY PARK - Moscow Calling ★★ (2018-01-15 23:17:30)

裏ジャケを飾るメンバーの格好が、旧ソ連時代だったらシベリア収容所送りは確実なアメリカナイズっぷりで笑ってしまった2nd(右端メンバーの「裸にオーバーオール」という攻め過ぎな服装に“WIND OF CHANGE”を感じずにはいられません)。発表のタイミングがソ連邦崩壊に伴う東西冷戦の終結と、その後起こった湾岸戦争でアメリカを始めとする西側諸国の注目が中東に向いていた時期だったせいか、アルバムは殆ど話題になることなく撃沈。中には「え?2ndあったの?」なんて認識の人もいるぐらい不遇の1枚であります。
ケヴィン・ビーミッシュが手掛けた洗練されたプロダクション、バンドのアレンジ力、更には豪華なゲスト・ミュージシャンの顔触れ等、アルバムは彼らがアメリカ滞在で積み上げた経験値がしっかりと反映された仕上がり。その反面LAレコーディングということで「あれもこれも試したい」と少々はしゃぎ過ぎたのか、全体的に少々オーバー・プロデュース気味。メロディよりも聴き手をノらせるリズム重視の曲作りの方向性とも相俟ってHR/HM色は減衰傾向が見受けられます。何より“MY GENERATION”級のキメ曲の不在が痛かった。
ただ、それでも時折零れ落ちるメロディ(特にサビメロ)の煌めきは相変わらずロシアのバンドらしい魅力を秘めていて、“BANG”の流れを汲む①の雄大なシベリア大陸を幻視してしまうスケール感や、美しいバラード⑤⑨が伝える冷ややかな感触はこのバンドならでは。
話題となった前作から間を空けずに、あと1、2年早く発表されていれば、アメリカで好成績を残せた可能性もあったのではないか?と思わされる1枚。


GORKY PARK - Moscow Calling - Moscow Calling ★★ (2018-01-15 23:24:20)

言い方は悪いですが、前作“BANG”の二番煎じ。
しかし、ナウいビートに乗せてポップにハジける曲調に、
ひと匙落とし込まれたロシア産バンドならではの涼し気なメロディが
彼らならではの魅力を発散する秀曲なのですから
何を恥じる必要があろうか?という。


GOTHIC SLAM - Just a Face in the Crowd ★★ (2009-12-20 18:45:00)

こんなバンド名だが、別にゴシック・メタルを演ってるわけではない(寧ろ音楽的にはラテンのノリが感じられる)
ニュージャージー州出身の5人組スラッシュ・メタル・バンドが'89年に発表した2ndアルバム。
重厚なGリフの刻みっぷりや、楽曲が放つアグレッションは間違いなくスラッシュ・メタル由来のものなれど、
RAVENのロブ“ワッコ"ハンターがプロデュースを担当しているためか、隙間の多い音作りからはシンプルな
ロックンロール・テイストが強く感じられるし(THIN LIZZYの代表曲“THUNDER AND LIGHTING"のカヴァーが
全く違和感なくハマっている)、メロディアスに歌うVoや、後にILL NINOで活躍する事となる名手デイヴ・チャヴァッリの
変幻自在なドラミングを筆頭に、テクニカルな楽器陣の演奏が作り出す、躍動感に溢れたグルーヴが前面に押し出された
作風からは、クロスオーバー・スラッシュ的色合いが強く感じられる。そのため直線的な疾走感を期待して聴くと
間違いなくスカされる事になる本作だが、一方で、ツイン・リードGが紡ぎ出すメロディには正統派HM由来の
ドラマ性が宿っているし、中にはバラード調に始まりIRON MAIDENばりにドラマティックに盛り上がっていく
⑨のような名曲も収録されているので、個人的には、あっさりスルーするのは勿体ない魅力を感じてしまう1枚でもある。
このバンドのデビュー作が聴いてみたいんだけど、全然見当たらないんだよなぁ。(中古盤はプレミアがついてるし)


GOTHIC SLAM - Just a Face in the Crowd - Demented Obsession ★★ (2009-12-20 18:52:06)

Voがムーディに歌うメロウな導入部から
パワフル且つドラマティックに盛り上がっていく名曲。
アルバムの中では例外的なノリの1曲ながら、
こうした楽曲でも説得力十分にこなせる辺りに
バンドの実力の高さが伺えたり。


GOTTHARD ★★ (2007-09-19 22:24:00)

久し振りの来日公演、非常に楽しめる内容でした。
名曲を沢山持ってるバンドゆえ、ショウに中弛みがないのは勿論のこと、
ヨーロッパで大観衆相手にライブを演ってるだけあって、メンバーの
パフォーマンスも素晴しく(特にスティーヴ・リーの強靭な喉には惚れ惚れ)、
また、今回は過去2回の来日公演に比べても客入りが断トツに良かった事もあって、
これまでで最高の盛り上がりっぷりを記録したんじゃないかな、と。
会場は死ぬほど暑かったですが。(スティーヴ曰く「まるでサウナ」)


GRAHAM BONNET - Line-Up ★★★ (2011-02-20 01:01:00)

当たりハズレの多い・・・というかHR/HMファン的には圧倒的にハズレの方が多い(?)グラハム・ボネットのソロ・アルバムだが、盟友コージー・パウエルにジョン・ロード、ミッキー・ムーディ、ラス・バラードといった豪華な面子の協力を得て制作された本作('81年)は、大当たりに分類されて然るべき大名盤。
無論、RAINBOWやM.S.G.、ALCATRAZZのような様式美HMワールドを期待すると肩透かしは確実だが、オールディーズ風の楽曲から、シンセ・ベースや鳴り物を取り入れたポップな楽曲まで、伝家の宝刀である青筋パワー・シャウトは控えめに、リラックスした歌声を伸び伸びと聴かせてくれるグラハムのパフォーマンスは、これはこれで非常に魅力的。本作を聴いて漸く自分の中で、やっさんとポップ・シンガーのイメージが繋がりましたよ。
ガタガタと鳴りまくるコージーの特徴的なドラムが、ライトタッチな作風に「喝」入れてくれる本編は、スマッシュヒットを飛ばした先行シングル①、歯切れ良くポップな②、Keyの使い方やベタなコーラスが昭和ニュー・ミュージック風の雰囲気を醸し出す③、力強い曲調と“哀愁のヒーロー”なる邦題もイカしてる⑤、KINKSの名曲を見事消化した⑪・・・といった具合に優れた楽曲がズラリ顔を揃えているが、やはりハイライトは、後に西城秀樹もカヴァーした名曲①でしょう。コージー、ジョン、ミッキーがそれぞれの持ち味を120%発揮した、キャッチー且つ都会的な哀愁を湛えたこの曲を聴くためだけにでも、本作は買う価値大いに有りだ。


GRAHAM BONNET - Line-Up - Night Games ★★★ (2011-02-20 01:19:18)

どちらかと言えばポップ寄りのキャッチーな曲調なんだけど
都会的な哀愁を帯びたメロディと、独特なコージーのDs(名演!)、
リリカルなジョン・ロードのKey、そして渋く泣く
ミッキー・ムーディのGのお陰もあって、軽薄な印象は皆無。
青筋は控えめでも、それでも十分過ぎる程に特徴的な
グラハムの歌声も最高です。


GRAHAM BONNET BAND - My Kingdom Come ★★★ (2016-09-13 23:55:14)

素晴らしい情報を教えて頂き、失恋船長さんに心より感謝を。
視聴した“MY KINGDOM COME”も“THE MIRROR LIES”もどちらも非常に優れた楽曲で、
「もっと自分の声を活かしてくれる(曲作りのできる)ミュージシャンと組めばいいのに」
(いっそ柴田直人に曲を書いて貰えばいいのに、とか)
と、長年グラハムに感じていた不満がようやく解消されそうです。

これをもう20年、せめて10年早くやってくれてたらな…とかちょっぴり思いますが、 
ともあれ、こりゃ本当にフル・アルバムが待ち遠しいですよ。


GRAHAM BONNET BAND - My Kingdom Come - The Mirror Lies ★★★ (2016-09-15 22:33:49)

PVに映し出される、ビーチで歌うグラハムのルックスは、
最早やっさんというよりも「黒スーツで決めたおばあちゃん」
といった風体ですが(なんて言ったらグラサンをクイクイさせながら
「怒るで、しかし!」と詰め寄られるかもしれませんが)、
パワフルな青筋ボーカルは健在ですし、何より彼が歌うメロディが魅力的。
フルアルバムに対する期待を弥が上にも高めてくれる一曲です。


GRAHAM BONNET BAND - The Book ★★★ (2016-11-28 00:11:38)

グラハム・ボネットが久々に発表したソロ・アルバム。「HR/HMを歌うためにあるような青筋声の持ち主だけど、HR/HMはあんまし好きじゃない」というご本人の資質ゆえか、彼主体で作品を作ると、どうにも中途半端な内容に終わることが多々ありまして。そのため最近はすっかり「昔の曲だけ歌って暮らす」楽隠居モードに入りつつあったのですが、ところがどっこい。今回はOPナンバー①の雄々しいサビメロからして早くもやっさん節全開。経年劣化とはまるで無縁のパワフルな歌いっぷりで「おお!」とこちらの身を乗り出させると、ライブじゃ「オオーオオー♪」と大合唱が巻き起こること請け合いのキャッチーな②以降も、まるで開き直ったかのように王道HRチューン三昧。先行シングル『MY KINGDOM』で高まっていたこっちの期待を裏切らないどころか軽く凌駕する勢いに、思わず「それで良いんだよぉ、グラハム君!」と、西川きよし顔でガッツポーズを決めたくなりましたよ。
何より、これらの楽曲(メロディ)を全てグラハム自身が書いているという点が素晴らしいじゃないですか。これまでリッチーやイングヴェイに散々「曲のアイデアがない」「メロディが書けない」とかダメ出しされて来ましたけど、ALCATRAZZのアルバムに入っていてもおかしくない①、哀愁のイントロから疾走へ転じる⑤、愁いを帯びたコーラスを朗々歌い上げる青筋Voが冴える⑥⑧といった会心の名曲を聴けば、「ワシが本気出せば軽くこんなもんやっちゅうねん!正味な話」と、サングラスを指でクイクイさせるグラハムのドヤ顔が浮かんでくるかのよう。じゃあもっと早く本気出して欲しかった…って、まぁそれはそれ。
往年の名曲の再録ベスト盤との2枚組仕様と知った当初は、そっちばかり聴く羽目になりゃしないかと危惧しましたが、全くの杞憂でありました。グラハム完全復活!な1枚。


GRAHAM BONNET BAND - The Book - Dead Man Walking ★★★ (2016-11-28 23:35:52)

アグレッシブに疾走する
本編中、最もへヴィ・メタル色が強く出た1曲。
ハーモニーを活かして若々しく溌剌とした空気も
演出するサビメロも気持ち良し。
泣きのイントロやメロディックなGソロ等、
ギタリストの仕事ぶりも光っていますね。


GRAHAM BONNET BAND - The Book - Into The Night ★★★ (2016-11-28 23:29:34)

ALCATRAZZのアルバムに収録されていてもおかしくない
雄々しい疾走ナンバー。特に、グラハムが歌うに相応しい
サビメロは何度聴いてもグッと来ますよ。
それでいて歌詞が「別れた女房に家から追ん出された→夜の中へ」という
締まらなさなのもグラハムらしくて良し。


GRAHAM BONNET BAND - The Book - Where Were You? ★★★ (2016-11-28 23:31:28)

緊迫感を高めるヴァースから解き放たれたように
コーラスで走り出す曲展開が秀逸。
でまた愁いを帯びたメロディと、グラハムの経年劣化を
感じさせない伸びのある歌声が沁みるんですよ。


GRAND - Grand ★★★ (2023-03-31 00:18:25)

ベテラン・シンガーと馴染みのソングライターを組み合わせたプロジェクト(と書くと何やら批判的っぽいですが、いやいや毎回楽しませてもらってますよ)の発足に熱心なFRONTIERS RECORDSとはいえ、勿論新人アーティストの発掘にも余念はなく、新たに同レーベルからデビューを飾ったのが、スウェーデンはストックホルムにて結成されたというこのトリオ、GRAND。本作は彼らがアンダース・ウィゲリウス(WIGELIUS)の協力を得てレコーディングを行い、’22年に発表した1stアルバムに当たる作品です。
バンド名はいまいちパンチに乏しくとも、内容の方は手応え十分。美しいイントロから一気に惹き込まれてしまうOPナンバー①、それにFRONTIERSの眼鏡に適ったという事実からもお察しの通り、彼らが演っているのは透明感の高いVo、煌めくKey、壮麗なハーモニーに彩られたAOR/ハードポップ・サウンド。中心メンバーであるマティアス・オロフソン(Vo)が、ソングライターとして既に20年以上のキャリアを数えるプロフェッショナルなだけあって、本編にはトリオ編成ゆえのハンデ(例えば音の薄さとか)なんぞ全く感じさせない、いずれ劣らぬ逸品がズラリ勢揃い。とりわけ、ポップに弾むサビメロが秀逸な⑥、都会的なクールネスと哀愁漂わす⑦、爽やかさと切なさが絶妙にブレンドされて駆け抜けていく⑧、伸びやかなコーラス・ワークが心地良い⑨、本編をエモーショナルに締め括るバラード⑪といった強力な楽曲が連続するアルバム後半の充実っぷりは半端ないですよ。
これ1枚きりで活動終了とならず、是非とも2枚、3枚とアルバムのリリースを重ねてくれることを期待せずにはいられない充実作。


GRAND - Second to None ★★ (2024-07-15 23:43:17)

新人離れした完成度を有する1st『GRAND』(’22年)を引っ提げてデビューを飾ったスウェーデンのメロディアスHRトリオが、同作の高評価を推進力代わりに、約1年という短いブランクでリリースに漕ぎつけた2ndアルバム。
スポーツカーが炎上しているジャケットに加えて、OPナンバーのタイトルが“CRASH AND BURN”と来た日にゃ本編はどんだけHR/HM色を強めた仕上がりなのかと冷や汗タラリでしたが、どっこい本作で披露されているAOR寄りのハードポップ・サウンドには、澱みなく伸びていくクリアなハイトーンVo、煌びやかに楽曲を彩るKey、そして甘くポップに弾むキャッチーなメロディといい、デビュー作でこちらのハートをキャッチした美点がしっかりと継承されていますのでご安心。厳つい曲名とは裏腹に①は歯切れ良く刻まれるGリフに乗ってフックの効いたメロディが爽やかに舞う名曲ですし、キラキラと金粉をまき散らすような②、印象的なコーラス・ワークが確かにABBAを彷彿とさせる③という強力な楽曲が連続する序盤を聴いただけで、本作の完成度を確信するには十分というものですよ。
ブルージーなエッセンスも取り込む等、収録曲のバラエティが更なる広がりをみせると共に、前作に比べるとメロディから北欧のバンドならではの哀感や透明感が薄れている印象で、これを物足りなく思うか、「より洗練され普遍的なハードポップ・アルバムに仕上がった」と好意的に受け取るかは、まぁ聴き手の好みの問題。個人的には中盤以降にもキメ手となる楽曲が欲しかったかなぁと。
ともあれ、前作が気に入った方なら要チェックな1枚であることは間違いありませんよ。


GRAND - Second to None - When We Were Young ★★★ (2024-07-17 23:33:04)

北欧的な哀感は薄れましたが、ポップ、キャッチー、煌びやかな
洗練されたハードポップ・チューンに仕上がっています。


GRAND ILLUSION - Brand New World ★★ (2010-07-03 00:48:00)

中心メンバーの仲違いが原因で活動休止状態にあったGRAND ILLUSIONが、今年発表した待望の復活作。
その陰にはデーモン小暮閣下の決して小さくない貢献があったとの事で、ファンとしては彼に足向けて寝れませんな。
メンバーのルックスは益々「普通のオッサン化」が進行しているものの、サウンド自体は変わらぬ高品質を維持。
瑞々しいサウンド・プロダクション、ポップでキャッチーな哀メロ、華やかなKey、壮麗なハーモニーetc・・・が
揃った本作で聴く事が出来るのは、デビュー作や、最高傑作と名高い2nd『VIEW FROM THE TOP』の作風を
彷彿とさせる美しき北欧ハードポップ。個人的には、ハード・ロッキンなノリが増量された前作や、
中心メンバーのアンダース・リドホルムが、別シンガーと組んで立ち上げたHRプロジェクトCODEも愛聴させて
貰ってはいたが、本作を聴いてしまうと「やっぱこれですよ、これ!」と思わず顔が綻んでしまいますね。
収録曲数が多いため若干の中弛みを感じなくもないが、序盤の畳み掛け(①~③)と後半(⑪~⑬)の盛り上がりっぷりが
そうした弱点をカバー。特にアンダースの強力なメロディ・センスと、看板シンガー、ピーター・スンデルの
パワフル且つ爽快な歌唱が組み合わさった③は、本編のハイライト的名曲。また、ラスト・ナンバー⑬には
デーモン小暮がゲスト参加。持ち前の芝居がかった歌唱を持って楽曲の完成度向上に大きく貢献している。


GRAND ILLUSION - Ordinary Just Won't Do ★★★ (2011-12-05 23:56:25)

プロデューサーに、ジャーマン・メロパワ界の大御所トミー・ニュートンを招きソリッドに仕上げられたサウンド・プロダクション、それに⑧のようなパワフルな疾走ナンバーを収録する等、これまでになくギター・オリエンテッドでハード・ロッキンな作風がファンの間で賛否両論を巻き起こした'05年発表の3rdアルバム・・・と言われていますが、個人的には全く違和感なく「良く出来たGRAND ILLUSIONのアルバム」として親しんでいる1枚。
例えばOPナンバー①は、今までになくGサウンドが強調されたイントロにこそ一瞬不安を煽られるものの、ピーター・スンデル(Vo)が歌う強力なフックの効いたサビメロの素晴しさや、もう1人のVo.ペア・スヴェンソンの存在を活かし、分厚く折り重ねられたボーカル・ハーモニーの華麗さは紛うかたなきGRAND ILLUSION印。
清涼飲料水のCMに使えそうなぐらい爽やかな②、エモーショナルな盛り上がりが感動を呼ぶバラード⑤、洗練された哀メロが駆け抜けていく⑫etc・・・と、後に続く楽曲も、アンダース・リドホルム(B)のメロディ・メイカーとしてのセンスが冴え渡る逸曲揃い。
折角の収録曲の質の高さも、詰め込み過ぎ(全13曲は多過ぎます)が仇となり焦点がボヤけ気味なのが勿体ないものの、本作がこのバンドならではの力作であることは間違いなし。


GRAND ILLUSION - Prince of Paupers ★★★ (2011-12-07 22:13:24)

今やすっかり聖飢魔Ⅱファミリーの一員と化した感のあるアンダース・リドホルム(B)率いるGRAND ILLUSIONが、復活作『BRAND NEW WORLD』から然して間を空けることなく発表してくれた5thアルバム。
TOTOのスティーヴ・ルカサーや、AIRPLAYのジェイ・グレイドンらAOR/産業ロック界の大物ギタリスト達が風格とセンス溢れるGプレイで華を添える本作は、突き抜けるように真っ直ぐ伸びていくピーター・スンデルのハイトーンVo、北欧らしい透明感とフック満載の哀メロ、そして鮮烈なコーラス・パートを壮麗に彩るボーカル・ハーモニーといった、まさしくGRAND ILLUSION以外の何者でもないメロハー・サウンドが終始徹底されており、ファンの期待に120%応える出来栄え。
ボスニア出身の新人ギタリスト、マリス・ヴァラジックの良い仕事っぷりも特筆モノで、彼の鮮烈なGソロがフィーチュアされた、スケール感とゴージャスな雰囲気を纏って駆け抜けていくOPトラック①、このバンド流の様式美に則った劇的なメロディ展開が堪能できるアルバム表題曲③、ノリ良くキャッチーな⑪は、何れも本編の要石となる重要曲だ。
それ以外にも、哀愁に満ちた曲調とスティーヴ・ルカサーの名演が感動に拍車を掛けるバラード④、GRAND ILLUSION節が心地良い哀メロ・ナンバー⑤(ソロを取るのは名うてのセッション・ギタリスト、ティム・ピアーズ)等、耳惹かれずにはいられない秀逸な楽曲が並ぶ本編は、名盤『VIEW FROM THE TOP』にも迫るクオリティの高さを誇る。
アンダースが制作を手伝ったと言うデーモン小暮のソロ・アルバムも早く聴いてみたいなぁ。


GRAND ILLUSION - Prince of Paupers - Gates of Fire ★★★ (2011-12-17 01:26:24)

かつてないほどゴージャスな雰囲気漂う
アルバム屈指の名曲。
タイトルに相応しい火を噴くような
鮮烈なGソロを聴かせてくれる
ボスニア出身のギタリスト、
マリス・ヴァラジックの良い仕事っぷりも
ナイスですね。


GRAND ILLUSION - Prince of Paupers - Prince of Paupers ★★★ (2011-12-17 10:12:36)

零れ落ちるようなピアノの旋律に導かれて
スタートするアルバム表題曲。
鮮烈なピーター・スンデルの歌声と、
ペア・スヴェンソンが存在感を発揮する
分厚く壮麗なボーカル・ハーモニーが
心地良く躍動するメロハー・チューンで、
個人的にGRAND ILLUSIONに求めているのは
まさしくこのタイプの楽曲。
いわゆる様式美って奴ですね。


GRAND ILLUSION - Prince of Paupers - St. Teresa's Love ★★★ (2011-12-17 10:17:10)

なぜかこの曲のみ“聖テレサの恋”という邦題付き。
哀愁を帯びたメロディが壮麗且つポップに展開される
極上のメロディアスHRナンバー。
Gソロではティム・ピアーズが流石の指捌きを
聴かせてくれます。


GRAND ILLUSION - The Book of How to Make It ★★★ (2011-11-30 22:19:23)

00年代にデビューを飾ったメロディアスHRバンドの中でも、頭抜けたインパクトを放っていた4人組――と言っても実体はアンダース・リドホルム(B、Key)、ピーター・スンデル(Vo)、ペア・スヴェンソン(Vo)のレコーディング・プロジェクト的なニュアンスが強い――が'01年に発表した1stアルバム。
北欧らしい冷やかな哀感を伝えるメロディを、壮麗なボーカル・ハーモニーと透明感を湛えたドラマティックなアレンジに包んで聴かせてくれるメロハー・サウンドが本作のセールス・ポイントで、特に、ピーターが持ち前の張りのあるハイトーンを駆使して歌う、鮮烈にしてキャッチーなサビメロの素晴しさはアルバムのハイライト。
しばしば「メロハーを歌うには声が暑苦しくてクドイ」と評されてしまう彼氏なれど、個人的にはこの歌いっぷりの良さを断固支持。全身全霊を込めて振り絞られ、一直線に伸びていくパワフルなハイトーンVoにはグッと胸締め付けられるエモーションが宿り、中でも爽快な②と劇的なアルバム表題曲⑤はメロディ愛好家なら聴かずには済ませられない秒殺ナンバーですよ。
本作はGRAND ILLUSIONのカタログの中では比較的マッタリとした内容で、アルバム後半になるとやや息切れ感が漂う点が残念なれど(それでも並のバンドよりは遥かに聴かせてくれますが)、ともあれ①~⑤の流れのためだけにでも購入する価値が大いにある1枚なのは確か。


GRAND ILLUSION - View From The Top ★★★ (2011-12-03 02:16:58)

哀感を伴ったキャッチーなメロディ、歌心に長けたGと北欧のバンドらしい透明感を演出するKey、そして伸びやかでハイテンションなVoの存在が映えるメロディアスHRサウンドという、従来の音楽性を素直に継承しつつ、この2ndアルバム('02年)ではツインVo体制が活かされた立体的なボーカル・ハーモニーの増強や、リズム・パートのポップな躍動感の拡充等が図られた事により、一層のスケール感と壮麗さを獲得。
その成果の程は、分厚いボーカル・ハーモニーがレイヤー状に積み重ねられていくクライマックスが圧巻のOPナンバー①から早くも全開で、何より緊迫感溢れるヴァースから、心洗われるような開放感を伴ったサビメロへと至る劇的なメロディ展開に思わずガッツポーズ決めたくなる鮮烈な逸品④をハイライトとする、アルバム前半の隙のない流れにはぐぅの音も出ませんて。
後半がマッタリ気味だったデビュー作の反省を踏まえ、今回はアップテンポの名曲⑩を終盤に配置する等、より起伏に富んだ構成が取られている点もグッド。(曲順設定にはBURRN!!誌の藤木氏も1枚噛んでる模様)
「バンドの最高傑作」の評判に違わぬ力作です。


GRAND MAGUS - Hammer of the North ★★★ (2010-10-07 23:42:53)

様式美BLACK SABBATHと80年代のMANOWARを足して2で割り、そこに北欧暗黒メタルのエッセンスを振り掛けて仕上げたような、男臭いエピック・メタル・サウンドを聴かせてくれるスウェーデンのトリオ、'10年発表の5th。
SPIRITUAL BEGGERSを脱退し、GRAND MAGUSでの活動一本に絞っただけあって今回のJB(Vo)の気合の入りようは半端なく、思わずコブシを振り上げたくなる熱気に満ちた勇壮な歌唱から、闘争心を鼓舞する猛々しさと、一音入魂のエモーションを併せ持ったGプレイまで、何れも凄まじい充実っぷり。
磨かれ過ぎたサウンド・プロダクションのせいで、豪快さや炸裂感が薄れてしまった点は物足りないが、そこを乗り越えさえすれば楽曲自体のクオリティは相変わらず強力。特に、硬質なBサウンドが下っ腹に響くミディアム・テンポの②は、重厚なヘヴィネス、雄々しいメロディ、そして強烈な泣きが見事に融合を果たしたグッとくる男泣きの名曲。もう今年のベスト・チューンはこれで決まりですよ!
初期MANOWARを彷彿とさせる力強さとスケール感を有する③、荒ぶるリフ&リズムの刻みっぷりに震える④⑦⑧、疾走する曲調と泣きのGソロの対比も劇的な⑤、北極海の荒波の如くうねる荘厳な⑩といった楽曲を筆頭に、前作『IRON WILL』同様、本作にもまた捨て曲の類は見当たらない。
渋めのドゥーム・メタル・バンドとしてスタートを切ったことが今となっては信じられないぐらい、エピック・メタラーとしての貫禄と風格が感じられる1枚。


GRAND MAGUS - Hammer of the North - Hammer of the North ★★★ (2012-09-02 00:57:06)

重厚でタメの効いた曲調に絡む、
雄々しいコーラスと猛烈な男泣きメロディに
何度聴いても心奪われる超ド級の名曲。
ああ、一度でいいから生で聴いてみたいなぁ。


GRAND MAGUS - Iron Will ★★★ (2010-09-21 23:23:00)

寒々としたイントロに導かれ、野蛮且つ勇壮な①が始まった途端、思わず「カ、カッチョエェ・・・」と
呻いてしまった、GRAND MAGUS、'08年発表の4thアルバム。
CATHEDRALやSPIRITUAL BEGGEARSと同系統のドゥーム・メタル・バンドと思いきや、本作で聴く事が出来るのはロ二ー・J・ディオやト二ー・マーティン在籍時代のBLACK SABBATHに、北欧のバンドならではの荒涼感と暗黒美を増量したかのような、荒々しくも劇的なHMサウンド。
確かにドゥーム・メタリックなヘヴィネスも全編に横溢しているが、それ以上にスラッシュ/ブラック・メタルを思わせるササクレ立った(乾いた)音作りに、ドカドカと豪快に打ち鳴らされるリズム、それに圧倒的高熱量を放出するJB入魂の歌唱が前面に押し出されており、陰鬱な雰囲気や内省性は極めて薄い。ヴァイキング・メタル路線を突き進んでいた頃のBATHORYにムチャクチャ上手いシンガーが加入した感じ?ダラダラと垂れ流すことなく、1曲平均4分、トータルでも40分台とタイトに締まった本編の構成もナイスだ。
荒ぶる名曲①に始まり、派手に鳴りまくるDsが怒涛の突進力を生み出す②、Bの独演曲③から、MANOWARの“地獄の鎮魂歌"ばりのエピック・チューン④へと繋がっていく本編前半が個人的には最高だったけれど、“HEAVEN AND HELL"風味のBリフを備えた劇的なラスト・ナンバー⑨に至るまで、基本的に本作に捨て曲はない。
重厚にして勇猛、心に秘めたメタル魂にボッと火を点される1枚。


GRAND MAGUS - Monument ★★ (2012-09-08 23:14:09)

GRAND MAGUS、'04年発表の2ndアルバム。
勇猛でドラマティックなエピック・メタル・サウンドにノックアウトされて以来彼らの作品を集めるようになりましたが、本作で聴くことが出来るのは、シケシケな音作りに、引き摺るよう刻まれるGリフと、重々しくのたうつリズムによって構成された真性ドゥーム・メタル・サウンドで、流石にこの辺りまで遡ると最近作とは大きく音楽性が異なります。
と言っても完璧に断絶しているなんてことはなく、きっちりと今へと至る連続性は確保されており、ヨーロッパの「闇」を纏ったドラマティックな曲展開の素晴しさも然ることながら、やはり本作の肝となるのは、ダルさなぞ微塵も感じさせない熱い歌声と、猛烈な「気」を放つ入魂のGプレイで本編を彩るJ.B.のの骨太な存在。エモーションの乗ったGソロにハート鷲掴みな③、後のエピック・メタル路線の萌芽が垣間見える⑤、ヘヴィ・メタリックなGリフがアップテンポに刻まれる⑥、圧し掛かるようなヘヴィネスが荘厳な空気も運んでくる⑦等は、彼のダイナミックなパフォーマンスと楽曲自体の質の高さが相俟って、聴き応え満点の名曲に仕上がっております。


GRAND MAGUS - Sword Songs ★★★ (2016-06-11 00:12:06)

J.B.ことヤンネ・クリストファーズソン(Vo、G)率いる北限の益荒男メタル軍団、GRAND MAGUSが'16年に発表した7thアルバム。
手に取ってまず最初に目に飛び込んで来る≪8年ぶり最新作!≫という帯文句に、「おいおい」とツッコミを入れたくなりますが、そうしたレコード会社のやらかしはさておき。聴く者のメタルの血を沸騰させるJ.B.の灼熱Vo、図太く攻撃的に刻まれるGリフ、炸裂するようにブッ叩かれるリズムが、トリオ編成とは思えぬ音圧を伴い周囲を睥睨しながら突き進む、野蛮、勇壮、且つ劇的。「バーバリアン化したWARLORD」みたいなエピック・メタル・サウンドは、これまで散々言及して来た通りの強力さ。
音作り等からやや洗練志向も感じられた近作に比べ、本作のプロダクションは(良い意味で)小汚くてラフ。手で触ったら指先が真っ黒になりそうな感じの荒々しくササクレた音作りが、ヴァイキング軍団の進撃を思わす地響き立てまくりの①、アンセミックな③、GRAND MAGUS版“THE LAWMAKER”…とでも言いたくなる疾走ナンバー⑤、杭を打ち込むような重厚感溢れる⑨等、収録各曲の暗黒色底上げに貢献してくれています。
残念ながら今回は「年間ベスト・チューン」級の逸品は見当たりませんが、それでも楽曲はどれも力作揃い。何より長大になりがちなこの手のジャンルにあって、ボーナス・トラックであるDEEP PURPLEの名曲“嵐の使者”の好カヴァー⑪を含めても、収録時間が40分台とタイトに凝縮されているのも、アルバムの印象をグッと上向かせてくれていますよ。


GRAND MAGUS - Sword Songs - Freja’s Choice ★★★ (2016-06-12 22:12:22)

地響きの如く重厚に刻まれるGリフとリズムが
重武装のバイキング軍団の行進を思わせるOPナンバー。
軍団の士気を高めるようなJBの雄々しく殺気立った
歌いっぷりにも燃えますよ。


GRAND MAGUS - Sword Songs - Last One to Fall ★★★ (2016-06-12 22:18:14)

「疾走ナンバーである」という点以外、
別にそれほど似ているわけではないのですが、
でもなぜだかBLACK SABBATHの“THE LAWMAKER”っぽさを感じてしまう、
重々しく駆け抜ける勇壮な名曲。


GRAND MAGUS - The Hunt ★★★ (2012-09-02 00:53:49)

熱く骨太なエモーションを迸らせるシンガー兼ギタリストとして、そして、聴き手を古の戦場へと誘うが如き勇壮さ、北欧の荒涼たる大地を想起させる冷厳な悲哀と、ミスティカルな雰囲気を兼ね備えた楽曲をクリエイトする優れたソング・ライターとして、相変わらず強烈な存在感を放ちまくりなJ.B.(Vo、G)率いるGRAND MAGUSが、ドラマーをセバスチャン“セブ”シッポラから、SPIRITUAL BEGGARSやFIREBIRDでの活躍で知られるラドウィッグ・ヴィッドに代えて'12年に発表した6thアルバム。
雄々しい曲調と重厚な掛け声コーラスがメタル魂に火を点す③、野蛮で好戦的なGリフに思わず血が滾る④、ムーディな歌声と寂寥感を湛えたアコギ/ストリングスによる「静」パートと、力強く盛り上がっていく「動」パートの二部構成からなる⑦、そこから間髪入れずに⑧(Gソロが絶品)へと繋がっていくアルバムの山場的なドラマティックな盛り上がり等、相変わらずここに収められているエピック・メタル・ソングの数々は血沸き肉踊る素晴しさ。
作品全体を見渡してみると、プロダクションと楽曲の方向性に齟齬が感じられたり、オーセンティックな正統派HMテイストが増量された分、サウンドから刺々しさや暗黒色が薄れてしまった作風等、物足りなく思う部分も無きにしも非ずなんですが、でもやっぱり上記した劇的な楽曲の数々を聴いていると、あまりのカッコ良さに「もう何でもいいや。取り敢えずコブシ振り上げて歌っておこう」となるのであった。
今年のLOUD PARKで呼んでくれないものか。


GRAND MAGUS - The Hunt - Iron Hand ★★★ (2012-09-03 21:45:25)

前曲“SON OF THE LAST BREATH”から
間髪入れずに繋がる展開が劇的で非常にカッコイイ。
軽快に疾走するリズム等、IRON MAIDENからの
影響が濃厚に表れていて、特に「音数より
エモーションで勝負!」といった趣きの
Gソロは絶品ですよ。


GRAND MAGUS - The Hunt - Son of the Last Breath ★★★ (2012-09-03 21:40:02)

アコギとストリングス、ゲストVo(ジョ二ー・ヘドランド)の
ムーディな歌唱を活かした北欧民謡風味のフォーキーな前半と、
そこにJ.B.の熱い歌声とバンド・サウンドが加わり力強く展開される
後半の二部構成から組み立てられた、アルバム全体の山場となる逸品。


GRAND MAGUS - The Hunt - Storm King ★★★ (2012-09-03 21:34:01)

劇的に刻まれる好戦的なGリフの
あまりのカッコ良さに
思わず血圧が上がる名曲。
シンプルなサビメロもライブでの
盛り上がりを想像させますね。


GRAND MAGUS - The Hunt - Valhalla Rising ★★★ (2012-09-03 21:31:19)

1、2曲目が比較的ノーマルな正統派HMソングだったので
「あれ?」と肩透かしを食った気分になったのですが、
3番目に置かれた本曲を聴いて一安心。
猛々しいGリフに闘争心を煽る野太いコーラス、
そして雄々しく重厚な曲調に
「そうそう、GRAND MAGUSはこうでなくっちゃ」と
思わず膝を打ったアルバム前半のハイライト・ナンバー。


GRAND MAGUS - Wolf's Return ★★★ (2011-01-23 18:39:56)

4th『IRON WILL』と5th『HAMMER OF THE NORTH』の余りの素晴しさに痺れ、遡って購入した'03年発表の3rdアルバム。
男らしく野太い声質と広い声域を併せ持ったJBのVo、猛々しく刻まれるGリフに、地鳴りの如きうねりを伴ったリズムから構築される、「BLACK SABBATHミーツ北欧様式美HM」といった趣きのサウンド・スタイルは、このアルバムの時点で既にその方向性を定めつつあるが、と同時に本編には、ゆっくりと沈み込むようなヘヴィネスを湛えた超ドゥーム・メタリックな楽曲も散在。初期作の色合いも確実に息衝いており、まぁ要するに過渡期的内容の作品なのか。
但し、ここに収められた楽曲の数々はメチャ強力。特に、雄々しくも物騒な①に始まり、(なぜか)『恐怖のレストラン』の頃の聖飢魔Ⅱを思い出したりもする②、ヘヴィなインスト曲③に導かれてスタートする、BLACK SABBATHのみならずMANOWAR辺りからの影響も入り混じったエピック・チューン④を経て、シャープなGリフがアップテンポで駆け抜けていく⑤にてクライマックスを迎える、アルバム前半の完成度の高さは間違いなく本編の白眉。(北欧民謡風のメロディが聴かれるインスト小曲⑥から始まる、アルバム後半戦も十分聴かせてくれるけどね)
パワフルな歌いっぷりのみならず、センス良くまとめられたJBのGプレイもキラリと輝きを放つ1枚。


GRAND PRIX - Grand Prix ★★ (2010-08-20 19:23:00)

現URIAH HEEPのバー二ー・ショウ(Vo)やフィル・ランゾン(Key)が在籍していた
イギリス出身の5人組HRバンドが、'80年に発表した1stアルバム。
一応NWOBHMの範疇に入るバンドなのだろうが、バー二ー・ショウ(これまた現URIAH HEEP)の張りのある
ハイトーンVo、溌剌としたボーカル・ハーモニー、そして華やかでドラマティックなKeyをたっぷりとフィーチュアして、
ポップ&キャッチーに弾む頭3曲の流れが如実に表している通り、STYXや後期KANSASといった大陸出身の
プログレ・ハード系バンドを彷彿とさせる洗練されたサウンドに、NWOBHM特有の荒っぽさやアングラ臭は皆無。
・・・と言っても、時節柄やはり各楽器は結構ハードに自己主張しており、取り分け、本編中を縦横無尽に動き回り、
楽曲を華やかに色付ける、フィル・ランゾンのKeyプレイは本作の要。ストリングスを効果的に取り入れ、
ドラマティックに盛り上がる名曲⑤⑥を筆頭に、粒揃いの楽曲の完成度の高さは彼の存在あったればこそ、だ。
個人的にGRAND PRIXと言えば、名曲“SAMURAI"を収録し、国内盤がCD化もされていた3rdアルバムに
最も思い入れを感じているのだけれど、単純に完成度のみで評価した場合は、シンガーの技量といい、
楽曲のクオリティといい、恐らく本作が彼らの最高傑作かな、と。


GRAND PRIX - Samurai ★★ (2007-08-23 22:32:00)

後にマイケル・シェンカーとM.S.G(マッコーリー・シェンカー・グループ)を結成し、現在では何とSURVIVORの
フロントマンの座に就任しているロビン・マッコーリーが、その昔在籍していた事で知られる、
イギリス出身のKeyを含む5人組ハードロック・バンドが、'83年に発表した3rdアルバム。
NWOBHMのカテゴリーに属するバンドで、しかもアルバム・タイトルが『SAMURAI』と来た日にゃ(鎧武者の描かれたジャケットもイカス)
どんな無骨で荒々しいヘヴィ・メタル・サウンドが炸裂する作品なのかと思いきや、本作に収められた楽曲は
時にBOSTONや後期KANSASを思わせる、ポップでキャッチー、且つ爽やかなハードロック・チューンばかり也。
豊かなVoハーモニーとKeyを全面的にフィーチュアした洗練されたサウンド・スタイルは、NWOBHMというよりは
アメリカン・ロック(プログレ・ハード~産業ロック)寄りで、特に、掴みにもってこいのキャッチーな①や、
スウィートで胸キュンもののバラード④、アップテンポで爽快な⑤は、本作の美味しい部分がギュッと凝縮された名曲。
また、ラストを締めるアルバム・タイトル・トラックの⑨(「元寇の乱」について歌っている)も、
ヨーロッパ的な構築美が前面に押し出された、他の収録曲とはやや毛色の異なる、壮大でドラマチックなナンバーでお薦め。
M.S.G時代は、のっぺりと無表情な歌声が批判を集めたロビンのVoも、ここでは違和感なく馴染んでいて、
寧ろ、アクの薄い声質でVoハーモニーの効果を一層高めている感じが無きにしも非ず。
NWOBHMのメロウ・サイドを代表する名盤の1つではないかな、と。


GRAND PRIX - Samurai - Samurai ★★★ (2017-06-26 01:52:14)

サ~ム~ラ~イ♪
「元寇」を題材にした曲調はドラマティックではあるのですが
エピック・メタル的な血飛沫飛び散る勇壮さやドキュメンタリズムより
時を越えて語り継がれる伝承を聴いているような気分になれる
壮大にして透明感漂うメロディと曲展開がこのバンドならでは。


GRAND PRIX - There for None to See ★★ (2010-09-08 20:46:00)

アルバムのレコーディング作業中にバー二ー・ショウ(Vo)が脱退。後任シンガーにロビン・マッコーリーを
迎えて'82年に発表された2ndアルバム。(国内盤の邦題は『ツアー・フォー・ファンタジー』だったか)
同時期にイギリスを席巻していたNWOBHMの武骨なサウンドとは一線を画する、STYXやKANSASといったバンドを
彷彿とさせる、メロディとハーモニー重視のプログレ・ハード~産業ロック寄りの音楽性は相変わらずで、
勿論、曲作りの大半をこなすだけでなく、プログレ・マインド溢れるKeyワークをもって本編を
ドラマティックに彩り、サウンドがポップ方向へ流れ過ぎるのをグッと引き締めている、フィル・ランゾンの
良い仕事っぷりも健在。その妙技はOPナンバー①から早くも華麗に炸裂しまくっております。
新Voロビンの歌唱は、バー二ーのそれに比べると音域面でこそやや物足りなさが残るものの、ハスキーな歌声は
この手の楽曲を歌うのには打ってつけ。表現力豊かなGも印象的な美しいバラード⑦や、思わずコブシの回る
ロック・ナンバー⑩といった楽曲の魅力は、彼のVoに依るところが大と見たがどうか。
そして本作のハイライト・ナンバーたる④は、タメを効かせて盛り上がっていく曲調に、
ロビンのVoとフィルのKeyが劇的な彩りを加える極上の逸品で、こんな名曲が聴けるだけでも、
本作には「名盤」の評価を与えても良いぐらいですよ。(いや実際これ以外にも良い曲揃いの名盤なんですが)
デビュー作や3rd『SAUMRAI』が気に入った人なら、本作も必聴です。


GRAVE DIGGER - Heavy Metal Breakdown ★★ (2007-08-08 23:20:00)

結成以来残る唯一のオリジナル・メンバーにして、リーダーのクリス・ボルテンダール(Vo)が中心となり、
現在も第一線で活動を続けるドイツの古参パワー・メタル・バンドが、当時はまだ新興のインディ・レーベルに
過ぎなかったNOISE RECORDSから、'84年に発表した1stアルバム。
ここ日本でも高く評価された'93年の再結成第1弾アルバム『THE REAPER』以降は、比較的、整合性の感じられる
メロディック・パワー・メタル路線を追求している彼らだが、このデビュー作の頃は、タイトルからして奮ってる
名曲①②や、ダークなミドル・チューン③といった楽曲に代表されるように、ウド・ダークシュナイダーを
更にラウドにしたかのようなクリスのVoといい、猛々しく刻まれるササクレ立ったリフといい、雪崩を打って押し寄せる
リズム隊といい、とにかく野卑でアグレッシブ。「整合性なんざクソ食らえ!」とばかりに突撃しまくるそのサウンドは、
かなりスラッシュ・メタル寄りだ。特に本編ラストを締める⑨なんかは、もろそっち系のスピード・ナンバー。
とは言え、どんなにダーティでも、ちゃんとメロディを追いかけるクリスのVoやGリフ、そして「無骨で強面のオッサンが
精一杯優しくキメてみました」的なメロウさが微笑ましいバラード④を聴けば分かる通り、彼らの根っこにあるのは飽くまで
ヘヴィ/パワー・メタル。再結成以降のアルバムでGRAVE DIGGERを知ったファンが聴いても、十分満足できる内容なのは間違いない。


GRAVE DIGGER - War Games ★★ (2007-08-14 21:16:00)

「反戦」をテーマにしたコンセプト・アルバム的な側面を持つ作品のせいか、硬派で無骨なパワー・メタルという
基本的な音楽性はそのままに、前2作に比べると、幾分シリアスな仕上がりとなった'86年発表の3rdアルバム。
ちゃんとプロのエンジニアの手を借りてレコーディングされているだけあって、重厚さを得たサウンド・プロダクションの
向上も著しい本作。(2nd『WITCH HUNTER』と2in1仕様の国内盤を通して聴けば、音質の差は歴然)
楽曲のアレンジやメンバーのパフォーマンスもグッと洗練され、なかなか垢抜けた雰囲気が漂う・・・飽くまで前2作比でだけど。
特に、劇的さを演出するピアノの調べをフィーチュアしたバラード⑤はその代表格で、これまでの
「良い曲なんだけど力み過ぎていて笑っちゃう」という過剰な空回りっぷりが抜け、表現力を身に付けた
クリス・ボルテンダールのメリハリの効いた歌唱が、感動すら感じさせる名曲。その他にも、
これぞGRAVE DIGGER節!といった感じのアグレッションを発散する①②⑦、隠し味的に使われているKeyが
非常に効果を上げているスピード・チューン③、JUDAS PRIESTを思わせる④、泣きのGを配してドラマチックに盛り上がる⑥、
凝ったアレンジで聴かせるミドル・チューン⑧等、収録された楽曲の平均クオリティは押し並べて高め。
個人的に、GRAVE DIGGERの初期作品3枚の中では1st『HEAVY METAL BREAKDOWN』が一番好きなんだけど、
最も高い完成度を誇っているのは本作のように思う。
尚、こんなに素晴しい作品を作りながらも、レコード会社の横槍で迷走を始めたバンドは、
この後バンド名をDIGGERに改めて、ポップ方向に大きく舵を切った4th『STRONGER THAN EVER』を発表するも、
結局解散の道を辿る事になる。(で、後に再結成を果たして現在に至ると)


GRAVE DIGGER - War Games - Love Is Breaking My Heart ★★★ (2014-09-13 20:26:34)

ピアノの調べに乗せてクリスが切々と歌うラブ・ソング。
「あの声で!?」とか言うなかれ。
むしろ非モテ系のアノ声だからこそ、フラレ男の傷心ぶりを
説得力十分に伝えてくれるってもんですよ。(酷い)
音質もパフォーマンスも一皮剥けた手応えを感じさせる名バラード。
曲タイトルをひたすら連呼するサビメロは
安心のGRAVE DIGGER節ですが。


GRAVE DIGGER - Witch Hunter ★★ (2007-08-09 22:34:00)

1st『HEAVY METAL BREAKDOWN』発表後にBが脱退してしまった為、その抜けた穴を中心メンバーの
クリス・ボルテンダール(Vo)とピーター・マッソン(G)で埋めつつレコーディング、'85年に発表された2ndアルバム。
GRAVE DIGGERを代表する名曲の1つでもある、アルバム・タイトル・トラック①で幕を開ける本作は、
相変わらず突き抜けたテンションで飛ばしまくるクリスのVo、荒っぽく猛々しいGリフ、力任せに押し込んでくるリズム隊・・・と、
基本的には1stの作風を順当に受け継いだ、無骨で剛直なパワー・メタル・アルバムながら、
スラッシュ・メタル的なガムシャラな疾走感が若干後退。代わって、要所にリズム・チェンジを仕掛ける等、
ダイナミズムの強調された楽曲の数々は、これまでより格段の練り込みが伺える仕上がり。
特に、前述のアルバム・タイトル・トラック①や、ドラマチックなツインGが聴かれる③、
前作収録の“YESTERDAY"を思わせるパワー・バラード④は、その効果がテキメンに表れた、このアルバムのハイライト的存在。
勿論、その一方で⑤のようなゴリ押しのスピード・チューンもちゃんと収録されているので安心されたし。
後半に「これ」といったキメ曲が見当たらないせいか、聴き進むにつれてテンションが下降線を描いてしまう点が難だが、
ともあれ、1stが気に入ったファンなら本作も必聴の1枚なのは間違いない。
尚、かつてビクターから発売された国内盤は、3rd『WAR GAME』とのお得なカップリング仕様だった(現在も入手可能かどうかは不明)


GRAVE DIGGER - Witch Hunter - Get Away ★★ (2014-09-13 09:44:32)

ドカドカバカスカ刻まれるGリフもリズムも、気が狂ってるGソロも
尋常ならざる喧しさなのに、それを更に上回るのがクリスのハイテンションなヤスリVo。
心霊スポットで流した日にゃ自縛霊も“GET AWAY”しそうな迫力ですよ。
装飾もヒネリもなく突っ走る真っ裸のアパッチ野郎っぷりが愉快痛快な1曲。


GRAVE DIGGER - Witch Hunter - Witch Hunter ★★★ (2014-09-13 09:52:40)

2ndアルバムのタイトル・トラック。
今回は色々と展開を持ち込んでドラマティックに盛り上げようと
頑張っていますが、その昔友人に聴かせたら
「何コレ、うるせぇVoだなぁ」で片付けられてしまったというエピソードや
「WITCH HUNTER!」「WITCH HUNTER!」とタイトル連呼するだけの
男らし過ぎるサビメロが、それでこそGRAVE DIGGER!と思わせてくれる名曲です。


GRAVESTONE - Victim of Chains ★★★ (2015-03-08 23:50:40)

20世紀のU.D.O.を支えた名手マティアス・ディート(G)を輩出したことで知られるジャーマン・メタル軍団、'84年発表の1stアルバム。・・・と長らく思っていたのですが、最近になって実はこれ以前にも2枚ほどスタジオ・アルバムをリリースしてたと知り吃驚。まぁそっちにはマティアスは未参加で、音楽性も全く異なるプログレ/70年代HR路線だったらしいのですが。
ともあれ、心機一転の再出発作となった本作で炸裂するのは、墓石ばりの硬質さで刻まれるGリフ&リズムが、勇ましくもムサ苦しく突き進む、HELLOWEEN登場以前の独産パワー・メタルのど真ん中を行くサウンド。しかもありがちなACCEPT路線ではなく、SCORPIONS路線なのがミソ。
リフ/リード両面において華を感じさせるマティアス・ディートのGプレイも、本編から大味感を払拭するのに大きく貢献。特にパワー・メタル版“BLACKOUT”とでも言うべきOPナンバー①と、泣きを伴って熱く激しく盛り上がる④、そして⑥におけるセンス溢れるGソロを耳にすれば、U.D.O.時代「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と評された彼の卓越した演奏技術が既に完成の域に達しつつあることがよく分かります。(今じゃミュージシャン稼業から足を洗って法律関係の仕事してるって話は本当でしょうかね。)
「発情したカイ・ハンセン」チックな声質のVoが独特過ぎて好悪が分かれそうな所ではありますが、U.D.O.やSINNERといったマティアスが渡り歩いたバンド群が気に入った方ならば、こちらも押さえておいて損はなし、というか積極的に押さえるべし!な1枚。


GREAT KING RAT - Out of the Can ★★ (2018-03-23 00:35:10)

大いなる注目を集めて'91年にセルフ・タイトルの1stアルバムでデビューを飾るも、レコード会社の無為無策に足を引っ張られた挙句解散を余儀なくされてしまった悲運のバンド、スウェーデンのGREAT KING RATが'99年に発表した2ndアルバム。…ではなく。日の目を見なかったお蔵入り音源(一部録り直し曲もあり)を取りまとめた未発表曲集。
本作に託されているのは、「北欧のMr. BIG」とも評されたデビュー作のサウンドを順当に継承する、70年代の薫り漂うブルージーなHR。マイケル・シェンカーにその才を買われたリーフ・スンディンのエリック・マーティン似のソウルフルなVoや、現POODLESのポンタス・ノルグレンのテクニカルなGプレイに、レトロなハモンド・オルガンの音色等、例え未発表曲集と言えども、ここには「北欧のローカル・バンド」的な垢抜けない雰囲気は皆無。逆に言うと「煌めく美旋律」「ドラマティックな曲展開」といった様式美HM要素を期待するとガッカリすることになるわけですが、それでも作品全体がどこかヒンヤリとした空気に覆われているように感じられるのは、やはり彼らの血の為せる業か。
個人的には、FREEの名曲“BE MY FRIEND”を完全に己のものにしているリーフの熱唱に聴き惚れる⑦以降、初期RAINBOW風味の妖しげな重厚感漂わす⑧、埃っぽい疾走ナンバー⑨、ほんわかと心温まるバラード⑩といった優れた楽曲の連打にテンションがアガるアルバム後半の流れがお気に入り。
廃盤の国内盤が高値で取引されている1stに比べると比較的入手も楽なので、取り敢えずどんなバンドなのか興味を持たれた方は本作から入ってみるのがよろしいかと。


GREAT KING RAT - Out of the Can - Be My Friend ★★★ (2018-04-11 00:26:15)

言わずと知れたFREEの名バラードのカヴァー。
「高い声が出せる」「音程が正しく取れる」だけでは
決して歌いこなせないこの難曲を、
本家ポール・ロジャースに肉薄する情感の豊かさで
熱唱するリーフ・スンディンのVoの素晴らしさよ。
その濃厚なエモーションの迸りっぷりに酔いしれます。


GREAT WHITE - Elation ★★★ (2020-05-01 00:14:10)

00年代後半にお家騒動が勃発。現在に至るも、マーク・ケンドール(G)率いる本家(バンド名を名乗る正式権利はこちらが所有)と、看板シンガーのジャック・ラッセルが新たに結成した分家の2派に別れた状態が続くGREAT WHITE。本作はマーク率いる本家の方のGREAT WHITEが'12年に発表した12枚目のスタジオ・アルバム。
なおジャックの後任シンガーとして新たに加入したのは、誰あろう元XYZのテリー・ルイス。GREAT WHITEの活動を熱心にフォローしてたわけじゃないので、後追いで知って「え?加入してたんだ」とちょっと吃驚でしたよ。しかしこの人選がドンピシャでして、XYZの2nd『HUNGRY』でも圧巻だったテリーのワイルド且つ情熱的な歌声は衰えることなく健在な上に、相当数のライブをこなすことでバンドとしての一体感を獲得し、より骨太で埃っぽさを増したサウンドにもジャストフィット。この方向性を決めていたから彼を加入させたのか、彼の資質に合わせてこの方向性を選択したのか、どっちだろ?
全体的に乾いた空気感が支配的な本編ですが、マークの滋味深いGプレイが映えるエモーショナルなバラード系の楽曲も充実。テリーのソウルフルな熱唱が堪能できるアコギ・バラード⑤も絶品ですが、個人的に一押ししたいのはピアノのイントロに導かれてスタートする⑩の方。バラードというよりは抒情メロハーといった儚い憂愁を孕んだ曲調と、ちょい掠れた歌声にどうしようもなくエモーションを掻き立てられてしまう名曲です。
尚、この編成はアルバム1枚のみで終了し、現在のGREAT WHITEのフロントマンの座にはミッチ・マロイが就任している模様。そっちはそっちで音源が聴いてみたいぞ。


GREAT WHITE - Elation - Love Is Enough ★★★ (2020-05-03 00:29:43)

夕焼け色の哀愁を帯びたメロディと、マーク・ケンドールの泣きのGが
実に涙腺に沁みる抒情ナンバー。物悲しいメロディをエモーショナルに
歌い上げるテリー・ルイスのハスキー・ボイスが絶品にハマっていますよ。


GREAT WHITE - Great White ★★★ (2014-10-05 22:55:39)

GREAT WHITEと言えば、折からのLED ZEPPELIN人気の再燃やブルーズ・ブームを追い風に大ヒットを飛ばした『ONCE BITTEN』や『・・・TWICE SHY』こそが必聴盤なのでしょうが、個人的に彼らの作品で最も聴き直す頻度が高いのは、まだブルーズの「ブ」の字も見受けられない'84年発表のこの1stフル・アルバムだったりします。
マイケル・ワグナーが手掛けたブライトな音作りの下、溌剌と刻まれるGリフと「押しも引きも知ったこっちゃねえ」とばかりに若さ全開で歌いまくるジャック・ラッセルのVoを中心に組み立てられたサウンドは、まさに当時猛烈な勢いで伸して来ていたLAメタルそのもので、そこにブルージーな侘び寂びはほぼ皆無。
それでいて能天気にはならず、都会的とも言える冷ややかな感触と哀愁を宿しているのが本作の魅力。スピーディな①⑩や、ミッド・テンポの⑤といった正統派HMナンバーにおけるダブル・トラックで録られたマーク・ケンドールのGソロは微笑ましいぐらいJUDAS PRIESTしていますし、アコギを取り入れドラマティックに盛り上がる④も、ブルーズ・ロック的陰影よりは、ヨーロピアンHM伝来の様式美の方がより強く感じられます。
この路線では間違っても後の大成功はなかったと断言できますし、彼らにしてみりゃ若気の至り的1枚やもしれませんが、でもメタル脳的には本作が一番しっくり来るんだよなぁ、と。


GREAT WHITE - Great White - Out of the Night ★★★ (2014-10-06 23:02:21)

GREAT WHITE=ブルーズ・ロック、との先入観を頭に
この曲を聴いたら、ちょっと面食らう筈?
印象的なコーラスが耳に残る王道LAメタル・ナンバー
であると同時に、力強いGリフからツーバスをフィーチュアした
疾走感、それにツインG風のアレンジが施された
インスト・パートまで、当時のLAメタルが
JUDAS PRIESTを始めとする欧州HM勢から
強い影響を受けていことを物語る名曲でもあります。