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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2401-2500

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2401-2500
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HARDLINE - Danger Zone - Stay ★★★ (2019-05-14 00:37:36)

哀愁のメロディをホットに歌い上げるジョニー・ジョエリのVoと
爽快に舞うコーラスが、まるで澄み切った真夏の青空へ
溶け込んでいくかのような錯覚を覚える、これぞHARDLINE!な名バラード。


HARLOT - Room with a View ★★★ (2015-04-11 00:26:38)

ROYAL HUNTの母体になったことでも知られるデンマークのWITCH CROSS。そこのシンガーだったアレックス・サヴェージが、新たに(つっても80年代の話ですが)立ち上げたバンドの唯一作。
WITCH CROSS時代は、肩イカらせてNWOBHM風味の荒くれパワー・メタル・ソングを歌っていた彼氏ですが、ここでは打って変わって小洒落た衣装に身を包み、“So Much For Happy Ending~♪”と明るく伸びやかな歌声を披露していて、加藤みどりも「なんということでしょう」と度肝抜かれるレベルの劇的改造ビフォーアフター。
見た目だけに留まらず歌唱力の方も、表現力から何から見(聴)違えるような成長を遂げていますし、何よりも本作に託されている、煌びやかなボーカル・ハーモニーとKeyを惜しみなく注ぎ込んだ、80年代ど真ん中のメロディック・ロック・サウンドは、WITCH CROSSの幻影を追い求めるファンをも力ずくで納得させてしまうクオリティの高さ。
特にポップなサビメロがキャッチーな②はアルバムを代表する名曲。それだけでなく、例えばケネディ大統領のベルリン演説を引用した④ではドラマティックな空気を醸成する等、本編はちゃんとハード・ロッキンなエッジと、北欧のバンドらしい哀感/透明感の保全も図られているのだから隙がない。
月並みな表現ですが、アルバム1枚きりで終わってしまったことが惜しまれるバンドでしたね。


HARLOT - Room with a View - So Much for Happy Endings ★★★ (2015-04-13 22:40:19)

ポジティブな歌詞から、爽やかなKeyを纏って
ポップに跳ねる曲調、美しいハーモニーに彩られた
キャッチーなサビメロまで、WITCH CROSS時代とは
まるで異なる仕上がりの楽曲ながら
これはこれで全然あり!な北欧ハードポップの名曲。
アルバムのリーダー・トラックではないでしょうか。


HARLOT - Room with a View - Spirits ★★★ (2015-04-13 23:14:32)

北欧ハードポップ路線のアルバムの中においては
比較的重厚且つ大スケールに盛り上がっていく
曲調が異彩(ってほどでもないけど)を放つナンバー。
中盤には“Ich bin ein Berliner”の文句で知られる
ケネディ大統領のベルリン演説(だよね?)の音源が引用され
ドラマティックな曲展開に華を添えます。


HARMONY - Chapter II: Aftermath ★★ (2009-10-17 01:00:00)

スウェーデン出身の5人組様式美HMバンドが'08年に発表した2ndアルバム。(国内盤リリースは'09年)
ここ最近、この手の音楽性のバンドとはトンとご縁がなかったのだが、評判の高さに釣られて思わず本作を購入、
早速聴いてみて「なるほど、こりゃ確かに素晴しい作品だ」と膝を打った次第。
重厚に刻まれるリフ&リズムは、デビュー作がMASSACRE RECORDSから出ていたのも納得のいくダーク&へヴィさを
誇っているが、アルバム全編を、北欧のバンドならではの悲哀と冷気に満ちたクラシカルなメロディが劇的に
彩っているため、大味感や無機質さは皆無。流麗にネオ・クラシカルなフレーズ紡ぎ出すGや、重心低くパワフルに
疾走するリズム隊が非常に良い仕事をしているが、何と言っても本作の主役を張るのは、泣きの入ったハイトーンを駆使して
顔が歪む程の強烈な「憂い」を撒き散らすメロディを熱唱するVoと、冷やかに零れ落ちていくようなピアノの音色で
楽曲のドラマ性&叙情性増幅に大きく貢献するKey。特に、この両者の特性が遺憾なく発揮されたパワフルなOPナンバー①や、
アルバム表題曲②、そして名曲中の名曲⑦の素晴しさと来た日にゃ、「この曲を聴くためだけに本作を買え!」と
思わず極論を述べたくなるほど。取り分け、北欧様式美HMの魅力を体現したかのような劇的極まりない疾走チューン⑦は、
個人的に'09年度のベスト・チューン候補の1つ。尚、この曲で強力な喉を披露しているのは、
元LOST HORIZON~現HEEDのダニエル・ハイマン(Vo)である事も付け加えておきます。
いやー、いい買い物した。今度1stアルバムも買って来よう。


HARMONY - Chapter II: Aftermath - Inner Peace ★★★ (2009-10-17 01:05:23)

疾走するリズムに乗って流麗にクラシカルなフレーズを
紡ぎ出すGやKeyといい、寒々とした歌メロを熱唱するVoといい、聴いてるだけで「これぞ北欧様式美HM!」と
思わずガッツポーズ取りたくなってしまう名曲。


HARMONY - Dreaming Awake ★★ (2010-05-05 17:37:00)

日本デビュー作となった、2nd『CHAPTER Ⅱ:AFTERMATH』が各所で高く評価された
スウェーデン出身の5人組HMバンドが、'03年にMASSACRE RECORDSからリリースしていたデビュー作。
北欧のバンドらしい叙情性と冷気は保ちつつ、へヴィネスとダークネスを増量して、よりパワー・メタル色を
強めた『CHAPTER~』に比べると、本作はオーソドックスな北欧ネオクラ・メタル寄りの作風で、
コブシの回りまくるVoの歌いっぷりもあって、ヨラン・エドマン在籍時のイングヴェイ・マルムスティーンを
彷彿とさせる部分多し。(ブルーズ色は皆無だけどね)
特に、短いインスト曲をイントロに配して疾走するスピード・チューン②⑦は、劇的なメロディを流麗に紡ぎ出すGといい、
楽曲全体を華やかに/冷やかに彩るKeyといい、そして何より「これぞネオ・クラシカル!」といった趣きのメロディを
コブシを効かせて歌い上げる強力なVoといい、北欧メタル・ファンなら思わず歓声を上げること必至の名曲。
次作に比べると、後半にこれといったキメ曲がない事、クオリティは高いものの全体的に楽曲が無駄に長く
(半数以上の楽曲が6分越え)、通して聴くとややダレる等の弱点も目に付くが、そうしたポイントも
2ndアルバムではちゃんと修正されている辺り、このバンドの潜在能力の高さが伺えて頼もしい。
とりあえず、『CHAPTER Ⅱ:AFTERMATH』が気に入った人なら購入しておくべき1枚かと。


HARMONY - Theater of Redemption ★★ (2015-02-14 00:20:26)

'08年屈指の名曲“INNER PEACE”でこっちに強烈なインパクトを焼き付けながらも、その後はとんと音沙汰がなかったマーカス・シグフリードソン(G)率いるHARMONYから、久々に届けられた新作アルバム。
前作では、その“INNER PEACE”1曲のみのゲスト参加に留まっていた元LOST HORIZONのダニエル・ハイメン(Vo)が今回は正式参加。全曲で自慢の強靭な喉を披露していることもトピックな本作ですが、音楽性の方は、これまでの疾走感溢れるネオクラ・パワー・メタル路線から若干の軌道修正有り。
全編を冷え冷えと彩るミスティックなメロディは健在なれど、スピードダウンした代わりにエピカルでプログレッシヴな大作感を強調した感じの楽曲は、昨今の欧州メタル・シーンの嗜好を踏まえた仕上がり。クラシカルな疾走チューン⑪が日本盤用ボーナス・トラック扱いなことからも、バンドの基本姿勢は明らか。
KAMELOT風味のエキゾチックなメロディが妖しげに踊る④、悲壮感の充満した曲調にダニエルの熱唱が映える⑤、バンドのテーマ曲とも言えなくもないキャッチーな⑩等、この路線の楽曲もそれはそれで魅力的なのですが、今回は“INNER PEACE”級の決め手には欠ける印象。前作でアレンジの肝となっていた、指先から零れ落ちていくようなピアノの美旋律が殆ど聴かれなくなってしまったことも、その感じてしまう要因かなぁと。質は十二分に高いんですけどね。


HARROW ★★ (2009-01-08 22:29:00)

VENDENBERGのギター・ローディとして来日経験もあるハリー・ヴェイリング(G)が、ジョニー・フレイターマン(B)を
誘って結成した、オランダはオーファーアイセル州ロッシャル出身の5人組パワー・メタル・バンド。
'93年に6曲入りEP『THE RISING PHENIX』をリリースしてデビュー。
VICIOUS RUMORSばりのパワー・メタル・サウンドが好評を博し、
'94年には、1stフル『THE PYLON OF INSANITY』で日本デビューも果たす。
次作『CALL OF THE UNBORN』('97年)がBURRN!!誌で高得点を獲得、
同作に収録されていたRIOTの名曲“ROAD RACIN"のカヴァーがちょっとした話題となるなど、
順調に活動を展開していくが、メタル冬の時代の逆風には抗い切れず、
'99年リリースの4th『EMBRACE THE WORLD』を最後に解散。

リーダーのハリーは、現在はオランダにてスタジオを経営をしているのだとか。


HARROW - CALL OF THE UNBORN ★★ (2009-01-09 21:51:00)

NOISE RECORDSからのドロップ、新たに契約を交わしたレコード会社の倒産、メンバーの脱退といった数々の困難を
乗り越えて'97年に発表された2ndアルバム。
プロデューサーに、当時、OVERKILLに在籍していたジョー・コミューとセバスチャン・マリノを迎えただけあって、
スラッシュ・メタル色を一気に強めた本作は、別人のように逞しいVoの歌いっぷりといい(歌メロの魅力も向上)、
破壊的なGリフの刻み具合、腰の据わったリズムの突進力、そしてダイナミックな曲展開といい、ドスの効いたヘヴィ・サウンドは
前作『PYLON OF INSANITY』からベロリと一皮向けて、ある種、威厳や貫禄のようなモノを漂わすまでに成長。
疾走チューン④⑪、重々しく劇的な⑤⑧、凝ったアレンジで聴かせるインスト曲⑦、ヘヴィ・バラード⑩といった楽曲は、
彼らの影響元であるVICIOUS RUMORSやMETAL CHURCHといったバンドに比べると、一聴してグッと掴まれるような
「キャッチーさ」には欠けるものの、このバンドならではの、ヘヴィネスと叙情メロディの融合を堪能する事ができる。
また本作を語る上で外せないのが、日本盤にオマケ収録され、一部メタル・マニアの間でそのカッコ良さが話題となった
RIOTの名曲“ROAD RACIN"のカヴァー⑪。シャープな原曲をよりパワフルにリメイクしたこのバージョン、
去年だか一昨年だかのTHRASH DOMINATIONの会場でも流れていたので、聴き覚えのあるスラッシャーも多いんじゃなかろうか?
ここ日本ではHARROWの代表作として取り上げられる機会の多い作品であり、個人的にも、彼らの最高傑作として強力にお薦めしたい1枚。


HARROW - CALL OF THE UNBORN - DEMOLITION ★★ (2009-01-09 23:29:20)

疾走パートも織り交ぜつつ、ダイナミックに盛り上がっていくヘヴィ・ナンバー。
歌メロの構築に難のあるバンドだが、この曲は結構フックが感じられて好印象。
劇的なインスト・パートも良い感じ。


HARROW - CALL OF THE UNBORN - FRIENDS ★★ (2009-01-09 23:32:26)

序盤のクリーンな歌い上げといい、
後半の振り絞るようなシャウトといい、
Voの歌唱力向上がハッキリと確認できる
ドラマティックなバラード。


HARROW - CALL OF THE UNBORN - ROAD RACIN' ★★★ (2009-01-09 23:35:04)

言わずと知れたRIOTの代表曲のカヴァー。
シャープで軽快な原曲、へヴィ且つパワフルにリメイク。
これがバンドの音楽性ともマッチしていて非常にカッコいい。
2ndアルバムはこの曲を聴くためだけにでも購入する価値あり!
と、思わず断言したくなる出来栄え。


HARROW - EMBRACE THE WORLD ★★ (2009-01-09 21:52:00)

惜しくもHARROWのラスト作となってしまった、'99年発表の3rdアルバム。
今回は「母なる大地、父なる自然を守ろう」というエコな主張の込められたコンセプト・アルバムと言う事で、
曲間をSEで繋ぎ、楽曲にはKeyを積極導入、シンフォニックなアレンジを施す等、よりスケールの大きな曲作りが
試みられている点が特徴で、また、生々しくシンプルなサウンド・プロダクションや、ヒステリックなシャウトを
多用するようになったVo、重心を低く落としてヘヴィにうねるリフ&リズムには、当時のアングリー・ミュージックからの影響が伺える。
流行を取り入れつつも自らの個性は見失わず、メロディとドラマティックな曲展開への拘りをきっちりと
貫き通しているのは流石で、特にイントロ(SE)を経てスタートする、ヘヴィ極まりない演奏の上に憂いに満ちた
歌メロが乗る②、破壊的な曲調の中から美しさが滲み出してくる③は、本作の作風を象徴するかのような見事な出来栄えを誇る。
また、ラップ風のVoを取り入れた⑤や、哀愁を帯びたサックスの音色をフィーチュアした⑥のような楽曲ですら
珍奇な印象は皆無で、普通にカッコいいパワー・メタル・ナンバーに仕上げているのだから大したものだ。
尚、本作にはボーナス・トラックとしてVICIOUS RUMORS屈指の名曲“DON'T WAIT FOR ME"のカヴァーが収録されているのだが、
これが想像通り、ドンピシャなハマリっぷりで嬉しくなってしまった。まぁ、この曲のインパクトで本編の印象が
吹っ飛んでしまうというのはちと問題だけど・・・。


HARROW - EMBRACE THE WORLD - DON'T WAIT FOR ME ★★★ (2009-01-09 23:43:48)

3rdアルバムにボーナス・トラックとして収録されている
VICIOUS RUMORS屈指の名曲のカヴァー。
「演ったらハマるだろうなぁ」とは思っていたが、
予想以上のハマリっぷりで思わず笑ってしまった。


HARROW - EMBRACE THE WORLD - NATURE'S CRY ★★ (2009-01-09 23:41:22)

ダークなノリの前半を経て、
メロディアスなGソロ、美しいアコギ、
Keyによるシンフォニックなアレンジなどによって
聴き進むにつれてドラマティックに盛り上がっていく
ヘヴィ・チューン。


HARROW - THE PYLON OF INSANITY ★★ (2009-01-08 22:42:00)

'93年に自主制作したEP『THE RISING PHENIX』が評判を呼び、ドイツのNOISE RECORDSとディールを交わした
オランダの5人組HMバンドHARROWが、スヴェン・コンクエストをプロデューサーに迎えてレコーディング、
'94年に発表した(本邦デビュー作ともなった)1stフル・アルバム。
VICIOUS RUMORSやMETAL CHURCHからの影響が伺える、ダークでドラマティックなパワー・メタル・サウンドは
デビューEPの作風の延長線上にあるが、今回は'94年という時節柄、よりへヴィさに拘った内容に仕上がっており、
特に、肉厚な鉈の如きGサウンドと、重厚感をいや増したリズム・セクションにその拘りが顕著に表れている。
とは言え、へヴィネス一辺倒に陥ることなく、疾走曲を要所に配し、叙情メロディにもちゃんと気を配っているのが
このバンドの良い所で、VICIOUS RUMORS風のドスの効いたパワー・チューン⑦や、アコギも取り入れたヘヴィ・バラード⑨、
メロディックに疾走するパワー・メタル然とした⑩等は、まさにこのバンドならではの魅力に満ち溢れたナンバー。
ヘヴィネスが増量された分、歌メロのフックの弱さが浮き彫りになってしまった印象があり、長大な収録時間と併せて
通して聴くとややダレるのが残念だが、不思議と嫌いにはなれない1枚。


HARROW - THE PYLON OF INSANITY - ETERNAL CHASE ★★ (2009-01-08 22:51:35)

1stアルバムはヘヴィネスに拘った分、歌メロの弱さが気になる
仕上がりだったが、この曲は歌メロの弱さをインスト・パートの
劇的さでカバー。ドスの効いたコーラスもカッコいい。


HARROW - THE RISING PHENIX ★★ (2009-01-08 22:31:00)

元VANDENBERGのクルーで(同バンドが'84年に行った来日公演にも帯同した)ギタリストのハリー・ヴェイリングが
中心となり、オランダはオーファーアイセル州ロッシャルにおいて結成された5人組パワー・メタル・バンドが、
'91年に発表した自主制作による6曲入りデビューEP。(後に日本のみで、TYTAN、IRON MAIDEN、TYGERS OF PAN TANG、
MSG、DEEP PURPLE等のカヴァー曲を追加収録したスペシャル・エディション盤がリリースされている)
そのサウンドは、ザクザクと力強く刻まれるGリフと重厚なリズム・セクションの上に、ヘタウマなVoとメロディックな
ツインGが乗っかった、NWOBHMにも通じる垢抜けない雰囲気を漂わせたパワー・メタル。よりコアな方向へと歩みを
進める後の作品に比べると、本作はグッとオーセンティックなHM寄りのスタイルが取られており、こと「取っ付き易さ」に
かけてはHARROWの作品の中でも随一。取り分け、雄々しくパワフルに疾走するメロディック・パワー・メタル・チューン③は、
このバンドの代表曲として今でも時々聴きたくなる名曲の1つ。(ドラマティックに盛り上がる⑤⑥も良い曲)
HARROWの最高傑作と言えば、個人的には2nd『CALL OF THE UNBORN』を推すが、パワーとメロディが丁度良い按配で
組み合わされた本作の魅力もまた捨て難い。国内盤のみに収録されたカヴァー曲の数々も美味しいしね。


HARROW - THE RISING PHENIX - BLUE LIGHTNING ★★ (2009-01-08 22:35:34)

後の作品ではスラッシュ化が進む彼らなれど、
歌い上げるVoといい、強力なGリフといい、疾走感といい、
この曲はもろパワー・メタリックな仕上がり。
初期HARROW屈指の名曲。


HARTER ATTACK (2014-05-11 09:16:52)

80年代半ば、リチャード・ハーター(Vo、G)によってアメリカはニュージャージーにおいて結成。当初は後にNUCLEAR ASSAULTに参加するグレン・エヴァンス(Ds)や、元RIOTのキップ・レミングス(B)を含む編成だったが、その後メンバー・チェンジが発生。リチャード、ニック(B)とジョージ(Ds)のチェホールズ兄弟という陣容に落ち着いた。
しかしバンドを去った後もグレン・エヴァンスとの友情は続いており、彼らが'89年に発表した1stフル『HUMAN HELL』ではグレン(及び彼の運営するレーベル)がプロデュース&配給を手掛けるのみならず、ダン・リルカやアンソニー・ブラマンテらNUCLEAR ASSAULTのメンバーも本編にゲスト参加して作品に花を添えていた。


HARTER ATTACK - Human Hell ★★ (2014-05-11 09:17:33)

グレン・エヴァンスがプロデュースを手掛け、彼の運営するARENA RECORDSからのリリース。加えてダン・リルカが曲作りに関与し、更に⑥ではアンソニー・ブラマンテがリードGとして客演・・・といった具合に、NUCLEAR ASSAULTの全面バックアップを受けるニュージャージー出身のトリオが、'89年に残した最初で最後のフル・アルバム。
そうした縁ゆえか、音楽性の方も「小型NUCLEAR ASSAULT」といった趣き。上擦り気味のハイピッチVoに、限定的な音域を忙しなく行き来するGリフと、オカズ少なめのリズムとが直線的に突っ走る、コンパクト且つソリッドに締まったスラッシュ・サウンド。
これといった突出した楽曲が見当たらないため、NUCLEAR ASSAULT程のインパクトは感じられない・・・というのが正直なところですが、それでも、ハードコアな突破力とへヴィ・メタリックなエッジ、ダイナミズムを併せ持った楽曲の豪快な走りっぷりもあって、本編はダレることなく、あれよあれよの内に最後まで聴き通すことができます。
例えばグレン・エヴァンスのサイド・プロジェクト、C.I.A.の諸作が気に入ったスラッシャーならば、本作も押さえておいて損はないのではないでしょうか。


HATRIOT (2013-04-14 22:16:56)

EXODUS離脱後は、趣味で演ってるAC/DCのカヴァー・バンドや、TENET、DUBLIN DEATH PATROLといったプロジェクトでプレイする以外は、ほぼセミ・リタイア状態にあったスティーヴ“ゼトロ”サウザ(Vo)が、ライブ会場で出会った若きギタリスト、コスタ・ヴァルヴァタキスの存在にモチベーションを刺激されて、'11年に結成したニュー・バンド。
同年、セルフ・タイトルの4曲入りデモテープを制作した後、ドイツのMASSACRE RECORDSと契約。'13年には、ゼトロの実子、コーディ(B)とニック(Ds)を含むラインナップで1st『HEROES OF ORIGIN』を発表している。


HATRIOT - Dawn of the New Centurion ★★★ (2014-04-15 23:47:43)

サウザ・ファミリーと、俊英コスタ・ヴァルヴァタキス(G)により結成されたスラッシュ・メタル・バンドが、デビュー作から1年という短いスパンで発表した2ndアルバム。
あまりに特徴的なゼトロのカミソリ声、切れ間なく撃ち出されるリフ&リズムの機銃掃射、その合間でメロディックなツインGが曳光弾の如く閃く・・・。ライブでの煽動効果も計算に入れた、EXODUSをよりキビキビと引き締めた感じのスラッシュ・サウンドは、本作においてもブレていません。
ゼトロの帰還を満天下に知らしめるべく、敢えて攻めの姿勢を全開放していた前作に比べると、今回は重厚感や曲展開の妙、ダイナミズム演出にも気を払う等、プレッシャーから開放されて、より伸び伸びと音楽性の幅を広げにかかっている感触。
それでも本作が純然たるスラッシュ・アルバムであることは、血気盛んな①②④⑨といったスピード・ナンバーを聴くまでもなく明らか。特に研ぎ澄まされたアグレッションと、緩急の効いた曲展開、それに密度を高めたツイン・リードGとがフィーチュアされた③は、本作ならではの名曲。
従来のスラッシュ・サウンドを堅持しつつも、新たに取り入れられた諸々の要素が、次作辺りで分岐点がやって来そうなことも予感させる1枚・・・ってなところでしょうか。


HATRIOT - Dawn of the New Centurion - The Fear Within ★★★ (2014-04-17 23:17:59)

直線的なアグレッションのみならず、
噛み付くように歌うゼトロの歌メロのカッコ良さから
2本のGを効果的に用いたドラマティックな曲展開まで
より緩急とダイナミズムを重視した2ndアルバムの
作風を象徴するような名曲に仕上がっています。


HATRIOT - From Days Unto Darkness ★★★ (2020-04-05 01:01:07)

本業であるEXODUSの活動が多忙となり、二足の草鞋を履けなくなった看板シンガーのスティーヴ“ゼトロ”サウザが脱退。後任は迎えず、息子のコーディ・サウザがBとVoを兼任する4人編成へと移行したHATRIOT、'19年発表の3rdアルバム。
既に散々言われてますが、でもやっぱり本作を聴いて驚かされるのは父子の歌声が激似なこと。昔友人の家に電話を掛けたらそいつの親父が出て、あまりに声が似ていたので暫く気付かずに一方的に話し続けてしまった学生時代の思い出が不意に蘇るぐらいのそっくりさ加減。何も知らなければメンバー・チェンジにさえ気付かなかったんじゃなかろうか?。
そうした編成替えを経て、父親の目も届かなくなったことだし大胆に作風を刷新だ!…なんてことはなく。イントロで抑え込んだ衝動を一気に解き放つOPナンバー①の苛烈な突撃ぶりが物語る通り、今回も前2作のスタイルを継承するスラッシュ・メタル・サウンドを徹底。寧ろブラスト・ビートの多用や随所で噛まされるデス声コーラス等、これまで以上にマッシヴに音楽性を絞り込んできたとの印象です。特に、噛み付くようにシャウトするヤスリ声Vo、作曲センスのみならず、鮮烈なGプレイも曲中に焼き付けるコスタ・ヴァルヴァタキス、息の合った演奏で硬質なリズムの壁を築くニックとコーディのサウザ兄弟が一丸となって畳み掛ける、7分以上の尺を全く長く感じさせない⑥、メロディックなGソロが劇的に華開く⑦、キャッチーなリフとデス・メタリックなアグレッションが並走する⑨等々、収録曲にはゼトロが抜けた穴をカバーして余りあるエネルギーが渦巻いていますよ。
「親は無くとも子は育つ」の格言の意味をしみじみと実感させてくれる力作。


HATRIOT - From Days Unto Darkness - Frankenstein Must Be Destroyed ★★★ (2020-04-06 00:11:03)

ゼトロそっくりのヤスリ声でシャウトするVoと
ガリガリと鼓膜に突き立つ鋭角的なGリフ、
鮮烈なGソロが硬質なリズムに乗って突撃。
7分以上の長尺を一切テンション緩ませることなく
走り抜ける、HATRIOTというバンドの魅力が
分かり易く詰まったスラッシュ・ソング。


HATRIOT - HEROES OF ORIGIN ★★★ (2013-04-14 22:17:37)

EXODUS脱退後は、単発プロジェクトにバイト感覚で参加する程度だったスティーヴ“ゼトロ”サウザ(Vo)が、コーディ(B)とニック(Ds)という2人のご子息を伴い、自身のバンドを率いてシーンへと戻って参りました。しかも、情け無用に炸裂するリフ&リズムの絨毯爆撃といい、テクニカルに乱れ咲くGソロといい、聴いているだけでケツに火が点く、バリバリのEXODUS路線スラッシュ・メタルへのご帰還ですよ。
ブラスト・ビートも難なくこなす剛性なリズム・セクションの存在もあり、本家に比べ強面な印象も受ける本作ですが、それでもゼトロがTENETで聴かせたエクストリーム・メタル・サウンドよりは「気楽に殺ろうよ」(c藤子不二雄)的なノリの良さが感じられ、やっぱりこの手のスタイルの方が、ゼトロのボン・スコット系へしゃげ声は映えますね。
特に、衰え知らずのカミソリ・シャウトと研ぎ澄まされたGリフが、鼓膜を切り裂かんばかりに襲い来る冒頭①②③の畳み掛け、そしてラスト・ナンバー⑩辺りには「あ~、俺やっぱスラッシュ・メタルが好きだなぁ」と、しみじみと実感させてくれるカッコ良さが宿っています。
本家EXODUSと比較した際に感じられる、頭抜けたキメ曲の不在やツインGのドラマ不足も、これがデビュー作なら、寧ろ将来への期待を高める要素になるってもんですよ。


HATRIOT - HEROES OF ORIGIN - Heroes of Origin ★★★ (2013-04-15 21:36:33)

痛快極まりないアルバム表題曲。
最初から最後まで、全く手を緩めることなく
突貫してアルバムのラストを締め括る様は
まさしく一気呵成。


HATRIOT - HEROES OF ORIGIN - Murder American Style ★★ (2013-04-15 21:33:36)

ドリルの如く回転しながら抉り込んでくる
Gリフと、コスタ・ヴァルヴァタキスが炸裂させる
ド派手なGソロが聴きモノのスラッシュ・チューン。


HATRIOT - HEROES OF ORIGIN - Suicide Run ★★★ (2013-04-15 21:27:09)

トライバルなイントロを切り裂いて
殺傷力満点のGリフ、カミソリVo、性急なビートが
猛然と走り始めれば、あとはもうラストまで
首を振り続けるのみ。
エンディングはちょっと“PAINKILLER”風味?


HATRIOT - HEROES OF ORIGIN - Weapons of Class Destruction ★★★ (2013-04-15 21:31:01)

サビに向けてぐいぐいスピードを上げつつも、
縦方向に弾むノリの良さも備えた
本編中、最もEXODUSとの共通点を感じさせる
キャッチーな名曲。
個人的にアルバムで一番お気に入りです。


HAVE MERCY (2016-04-24 10:34:34)

'83年結成。メリーランド州ボルチモア出身の5人組。’86年制作のデモテープ『MASS DESTRUCTION』がアングラ・シーンで注目を集め、更にその中から名曲“THE OMEN”を『METAL MASSACRE Ⅶ』に提供したことが切っ掛けとなり、バンドはCOMBAT RECORDSと契約を締結し、同年、『MASS~』の楽曲をリレコーディングしたEP『ARMAGEDDON DESCENDS』でデビューを飾る。
前途揚々に思われたが、繰り返されるメンバー・チェンジが足を引っ張り(特にシンガーの座が不安定だった)活動は軌道に乗らず、間もなくレーベルとの契約も失ったバンドは、結局フル・アルバムをリリースすることなく80年代末期に消滅した。


HAVE MERCY - Combat Boot Camp(ARMAGEDDON DESCENDS) ★★ (2016-04-24 10:39:28)

HAVE MERCYが『METAL MASSACRE Ⅶ』に提供していた名曲“THE OMEN”の劇的なカッコ良さに度肝抜かれて、こいつら他に何か音源を残してないの?と探し回った末に行き着いた、'86年発表の6曲入りデビューEP。正確には、COMBAT RECORDSが「新人バンドの青田刈り」&「デビューにかかる諸々の経費節減」という一石二鳥を目論んで考案した、『COMBAT BOOT CAMP』シリーズの一作としてリリースされた作品だったりするのですが、ま、それはともかく。
楽器陣が絶え間なく動き回り、テクニカルなキメがビシバシと入る技巧派パワー/スラッシュ・メタルを身上とするバンドですが、そのサウンドに「プログレ」とか「インテレクチュアル」とか評せる程のヒネくれ感や複雑さは薄め。作品全体を支配するのは飽くまで、頭よりも肉体に訴えかけて来る、前のめりな突撃感覚です。
正直、“THE OMEN”を超えるインパクトを持つ楽曲は見当たりませんでしたが、怒涛の如く突っ走る②を筆頭に、聴いてるだけでテンション上がるパワー・チューンが揃っていますし、何より、それらを攻撃的に歌い上げるロニー・フレッチャー(Vo)の歌唱が物凄ぇ。ビブラートを伴いながら鋭く切れ上がるハイトーンは耳をつんざくド迫力で、ほぼ無名のマイナー・バンド(失礼)にこんな実力者がいたりするんですから、ホント、アメリカのミュージシャン層の厚さは半端ねえな、と。
TOXIKとかREALMとかにグッとくる感性の持ち主にお薦めする1枚。


HAVE MERCY - Combat Boot Camp(ARMAGEDDON DESCENDS) - Have Mercy - Mass Instruction ★★★ (2016-04-24 23:15:27)

全楽器が手数多く荒れ狂うハイテンションなOPナンバー。
その楽器陣を前に一歩も引かないにハイトーン・シンガーの
パワフルな歌いっぷりも、テンションの高さに更に拍車を掛けています。


HAVE MERCY - The Years of Mercy ★★ (2016-04-27 00:04:39)

多くのパワー/スラッシュ・メタル・バンド同様、活動開始当初はNWOBHMをお手本にオーソドックスな正統派HMサウンドを志向し、その後作品を重ねる毎に音楽性を先鋭化させていったHAVE MERCYの音楽的変遷を一気に振り返るのに便利なアンソロジー盤。
結成から解散までの間に制作されたデモ音源が取りまとめられていますが、やはり完成度的に傑出しているのは、アングラ・シーンでヒットとなった『MASS DESTRUCTION』(’86年)収録曲。ハッキリ言って音質は相当の覚悟を要するレベル(COMBATからこのデモでデビューを飾る話を貰った際、バンドはわざわざスタジオ入りしてレコーディングをやり直したぐらい)なれど、ロニー・フレッチャーの強力なハイトーンVoとテクニカル且つハイテンションな楽器陣の演奏に彩られた楽曲の数々は、プロダクションの悪さを押して尚伝わるカッコ良さ。
特に、かの『METAL MASSACRE Ⅶ』に提供され(それゆえかデビューEPからはオミットされてしまった)、マニアの間にHAVE MERCYの名を一躍知らしめた名曲“THE OMEN”は、パワフルな疾走感といい、勇ましくドラマティックな曲展開といい、パワー/スラッシュ・メタル愛好家必聴の逸品。
この曲目当てでも購入を考える価値は十分にある1枚ではないでしょうか?と。


HAVE MERCY - The Years of Mercy - The Omen ★★★ (2016-04-24 23:24:00)

『METAL MASSACRE Ⅶ』にも提供されたHAVE MERCYの代表曲。
初期正統派HM路線と後のテクニカル・スラッシュ路線の丁度中間点に
産み落とされた名曲で、キビキビとタイト且つパワフルな疾走感に
溢れた曲調の「これぞメタル!」なカッコ良さも然ることながら、
その上に乗るシンガーの耳を劈くハイトーンもインパクト大。
アメリカン・パワー/スラッシュ・メタル史に残したい逸品ですよ。


HAVOK (2012-07-17 19:48:31)

'04年にコロラド州はデンバーにて誕生。
NWOTMの盛り上がりの中で頭角を現し(LAZARUS A.D.とは特に親交が深いらしい)、'06年にシングル『MURDER BY METAL』を、'07年に1stデモ『THRASH CAN』をリメイクした6曲入りEP『PWN' EM ALL』(元ネタがあからさまに透けてるタイトルですね)を制作後、アメリカのCANDLELIGHT RECORDSとディールを締結。デヴィッド・チャべス以下、ジェス・デ・ロス・サントス(B)、ショーン・チャべス(G)、ライアン・ブルーム(Ds)というラインナップで'09年に1stフル・アルバム『BURN』でデビュー。
主にベイエリア・スラッシュ勢からの影響を散りばめたオールドスクールなスラッシュ・メタルを追及しつつ、勢い任せにしない構築感をも兼ね備えたサウンドが高評価を獲得し、'11年には2nd『TIME IS UP』を発表。Gの片割れとドラマーにメンバー・チェンジが発生していましたが、こちらもデビュー作を上回る快作。
また'12年には4曲入りEP『POINT OF NO RETURN』もリリースしている。


HAVOK - Burn ★★★ (2012-07-17 21:53:17)

コロラド州デンバー出身の4人組が、'09年にCANDLELIGHT RECORDSから発表した1stアルバム。
サンクス・リストに並ぶバンド群、LAZARUS A.D.、BONDED BY BLOOD、SKELETONWITCH、VEKTORらと共にNWOTMの盛り上がりの中から伸してきた彼らですが、ヨーロッパよりもベイエリア・スラッシュ勢からの影響が色濃く感じられるサウンドは、かっちりとした音作り(派手に動き回るBの音がちゃんと聴き取れるのが嬉しい)に、スピードよりも展開を重視した収録楽曲等、良い意味で新人スラッシャーらしからぬ落ち着きが感じられ、特に叙情インスト曲①に導かれてスタートするヒネリの効いた②は、本作の方向性を如実に示した名刺代わりの1曲かと。
テクニカルな2本のGが繰り出す、鋭角的なリフと滑らかなメロディの組み合わせはTESTAMENTがお手本かな?(実際メンバーの1人は彼らのTシャツを着用)
幾つかの楽曲は、こねくりが過ぎて曲の輪郭がぼやけてしまっている点が玉に瑕ですが、VoとGがメロディアスに歌うパワー・メタリックな④、畳み掛けるように襲い来る⑩、切迫感と爆発的な疾走感に血圧が上がる⑫を筆頭に、本編には聴いているだけで血が騒ぐ名曲が多数収められており、デビュー作でこの完成度の高さは実に立派ですよ。


HAVOK - Burn - Afterburner ★★★ (2012-07-21 21:38:33)

アルバム中、最もスラッシュ・メタルらしいスラッシュ・ソング。
“AFTERBUNER”のタイトルに相応しい高推力で突進する
尖がった曲調は、ガンガン頭振らずにはいられない暴力衝動にも
火を点けてくれます。


HAVOK - Burn - Category of the Dead ★★★ (2012-07-21 01:01:20)

デヴィッド・チャべスがシュレッダーとしてはもとより、
シンガーとしての才能も発揮した名曲。
別にメロディアスに歌い上げているわけじゃありませんが
切迫感を撒き散らしながら畳み掛けて来る
歌メロのカッコ良さにテンション上がりまくりですよ。


HAVOK - Burn - Identity Theft ★★★ (2012-07-21 00:19:42)

一応メロディをなぞって歌うVoや
静と動をわきまえた劇的なGソロを聴いていると
TESTAMENTの姿が思い浮かびますが
楽曲自体はそれほどソックリというわけではない。
限りなくパワー・メタル寄りの
スラッシュ・ソングといった趣きの名曲です。


HAVOK - Conformicide ★★★ (2017-11-06 23:13:44)

‘14年には来日公演も行っているコロラド州デンバーの4人組スラッシャーが、新たにCENTURY MEDIA RECORDSと契約を交わし4年ぶりに発表した4thアルバム。何故にそれほどブランクが空いたのかっつーと、リーダーのデヴィッド・サンチェスがハイキング中に左手首を骨折して9か月以上もギターに触れない時期を過ごしたためだとか。
構築感重視のTESTAMENT型だった1stと2nd、奔放なEXODUS型へとサウンドのマイナー・チェンジが図られた3rdと来て、骨折期間中に味わったフラストレーションもたんまり音の方に込められているという今作は、MEGADETHを思わす展開が多用された⑤を筆頭に、5~7分台と割と長尺めの曲を多数収録する等、まるで全編に亘って派手に鳴らしまくる新加入の腕利きBの存在に触発されたかの如く、テクニカル・メタル寄りのアプローチが目立つ。またVoと2本のGがメロディックに歌う正統派HM風の⑩あり、PANTERAのカヴァーに挑戦してみたりと、曲作りの幅もこれまで以上の広がりを提示しています。
果たして1曲目のグルーヴィなイントロを聴いた時はどうなることかと思いましたが、後に続く②は一緒に叫びたくコーラスを有した血沸き肉躍る名曲。以降も、薄暗い緊迫感を湛えて突っ走る③、緩急を効かせた⑥、切れ味鋭く突撃する⑧といった優れたスラッシュ・ナンバーが要所を締めてくれるお陰で、本編は終始高いテンションを保持。そもそも前述の①からしてイントロが終わった後は激走へと展開していく佳曲なわけで。
聴き終ってみたら「これはこれで非常に優れたスラッシュ・メタル・アルバムであった」と、結局前作を聴いた時と全く同じ結論に落ち着くのでありました。良いですよ、これ。


HAVOK - Conformicide - Hang 'em High ★★★ (2017-11-07 22:53:46)

このレベルの楽曲をアルバム毎に用意できるのであれば
HAVOKは今後も安泰だな!と思わせてくれる、
ゴリゴリ鳴りまくるBに引っ張られる形でタイトに
疾走するスラッシュ・ナンバーの逸品。
一緒に叫ばずにはいられないコーラスに血が滾ります。


HAVOK - Conformicide - Masterplan ★★★ (2017-11-07 22:59:38)

インストの前半と爆発的疾走へ転じる後半の二部構成に、
テクニカル且つドラマティックな見せ場を盛り込んで
6分以上の長尺を飽きさせることなく聴かせ切った
アルバム後半のハイライト・ナンバー。


HAVOK - Time Is Up ★★★ (2012-07-19 23:17:35)

相変わらずジャケットはイマイチですが、中身はデビュー作『BURN』を凌駕する高品質なスラッシュ・サウンドが詰め込まれている、'11年リリースの2ndアルバム。
サイドGとDsにメンバー・チェンジが発生しているものの、大黒柱たるデヴィッド・チャべス(Vo、G)と、激しく動き回るBプレイで本編にゴリゴリとアクセントを入れまくるジェス・デ・ロス・サントスの2人が健在ゆえ、音楽性に大きな揺らぎはなし。寧ろ、前任者以上に精密なドラミングをこなせる新メンバーの加入によりサウンドの切れ味が大幅な向上を遂げ、それゆえ楽曲が備える攻撃性や疾走感がグッと際立って聴こえるという好結果に繋がっています。
特に②④⑤は、ザクザクのGリフと起伏に富んだリズムに乗って、力強いシャウトを轟かせるVo、そして息の合ったツインGとがテクニカルに乱舞するという従来の魅力に加えて、メロディや曲展開のキャッチーさも強化が図られているという隙のない名曲っぷり。
他にも、一層タイトに鍛え上げられた①③⑥のような高速スラッシュ・ナンバーの仕上がりも上々で、本作は日本盤が出てないのが不思議なぐらい高品質な1枚となっております。


HAVOK - Time Is Up - Covering Fire ★★★ (2012-07-23 23:45:57)

“援護射撃”のタイトル通り、ガンガン頭振るのを
手助けしてくれる直球勝負の高速スラッシュ・ナンバー。
これまた、ドラマー交代の効果が如何なく発揮された名曲です。


HAVOK - Time Is Up - D.O.A. ★★★ (2012-07-23 23:43:43)

Gリフとリズムのコンビネーションはメロデス風かな?
前作で若干弱く感じられた「キャッチーさ」が
この曲では見事に強化されていて、
イントロから徐々にスピードを上げていく歯切れの良い
曲展開には頭を振らずにはいられません。
個人的にはアルバムで一番お気に入りのナンバー。


HAVOK - Time Is Up - Fatal Intervention ★★★ (2012-07-22 21:43:45)

アルバムでも1、2を争うカッコ良さを誇る
高速スラッシュ・ナンバーの逸品。
2本のGが頻繁に差し込んで来る、TESTAMENTを思わせる
中東風のメロディが素晴しいアクセントとなっています。


HAVOK - Time Is Up - Prepare for Attack ★★★ (2012-07-22 21:41:39)

機敏に動き回るツインGに、ドスの効いたシンガロング・パート、
それに何より、ドラマーの交代で格段に切れ味と突進力を増した
リズム面強化の効果が如実に表れているOPナンバー。


HAVOK - Unnatural Selection ★★★ (2013-10-03 22:30:32)

SLAYERとSEPULTURAのカヴァーも収録したEP『POINT OF NO RETURN』でワンクッション置いた後、'13年に発表された3rdフル・アルバム。
ミックスをテリー・デイト、マスタリングをジェイムズ・マーフィが手掛けるという必勝オーダーが組まれ、歯切れ良いVo、ザックザクのGリフ、機動力に富むリズム、フラッシーに花咲くツインGとが威勢良く突っ走る、HAVOK流スラッシュ・メタルの旨味成分がパンパンに詰まった名曲①で幕が上がる本作ですが、聴き進めていくと何やら違和感が。
全体的に音圧が低く、かっちりとした整合性が感じられた前作に比べ、よりメロディアスに「歌っている」Vo、弾むような軽快感を伴って疾走するリズム等、どちらかといえば、カラッと乾いたノリの良さが重視されていることが原因かと。例えるなら、TESTAMENTのアルバムだと思って聴きてみたら、始まったのがEXODUSのアルバムだった・・・みたいな?
これはこれで間違いなく痛快なスラッシュ・アルバムですし、キレのある演奏が映える楽曲の数々、例えば運動中枢を直撃する③や、キャッチーな曲調に無性に頭を振りたくなる④みたいな名曲は、アルコール類のお供に最適。ただこの音をHAVOKに求めていたかと言えば・・・うーむ。
尤も、他にも①②⑦⑩といったクールなスラッシュ・ソングが並ぶ本作に、三ツ星の評価を与えることに何ら躊躇はありませんけどね。


HAVOK - Unnatural Selection - I Am the State ★★★ (2013-10-06 21:54:57)

カラッと抜けの良いスラッシュ・サウンドが
これまでと異なる印象を与えますが、
歯切れの良いVoと、キャッチーに疾走する
リフ&リズムからメロディックなGソロまで、
聴いてるだけで暴れだしたくなる名曲です。


HAVOK - Unnatural Selection - Under the Gun ★★★ (2013-10-06 21:57:47)

かちっとした整合感よりも、
運動中枢を直撃するキャッチーな
ノリの良さが前面に押し出されていて
「え?これがHAVOK?」と初めて聴いた時は
戸惑いましたが、どっちにしても優れた
スラッシュ・ナンバーであることに違いはありません。


HAWAII - The Natives Are Restless ★★★ (2022-07-18 22:45:45)

元MEGADETHのマーティン・フリードマンや、VICIOUS RUMORSの初代Voとして知られるゲイリー・セント・ピアーが在籍する等、ハワイ出身のHMバンドとしてはトップクラスの認知度を誇っている(んじゃないかと思う)、その名もまんまなHAWAIIが’84年に発表した2ndフル・アルバム。ちなみに今作で歌っているのはゲイリーではなく、エドワード・ポール・デイなる御仁です。
自らの出自をアピールするかの如く、本編は地元民謡“ALOHA OE”の長閑なメロディからスタート。そんな「気分は常磐ハワイアンセンター」なぼんやりとした空気を破壊的なGリフがバリバリと引き裂いてパワーメタル・ソング①が猛然と走り始める冒頭で掴みはOK。尤も、ゴリゴリのハード・ナンバーはこれぐらいで、あくまで本作の基調となるのは、NWOBHMからの影響を伺わせるヘヴィ・メタリックなエッジと、わめき型のVoが歌うキャッチーなコーラス、厚めに敷かれたボーカル・ハーモニー、抜けの良い躍動感といったアメリカのバンドらしさを併せ持つ初期型LAメタル・スタイルなのですが。
かように、いっそ典型的とも言えそうなサウンドにHAWAII独自の味わいをもたらしてくれているのが、マーティのテクニカルかつメロディアスなGプレイであり、また既に健在な彼のオリエンタルなメロディに対する拘りぶり。特に哀愁を帯びたメロディと、ドラマティックに構築されたGソロが絶品の彩りを加える④や、“さくらさくら”を“OMICCHAN NO UTA”と題してカヴァーしている⑧は聴き応え十分の名曲に仕上がっていますよ。
気合漲るパワー・サウンドに満腹になれる1枚。ま、ちょっと胃にもたれるかもですが(笑)


HAWAII - The Natives Are Restless - Beg for Mercy ★★★ (2022-07-20 00:13:14)

歯切れ良く刻まれるGリフに哀愁を帯びたメロディ等、
尖った部分はないけど中庸な魅力を放つミッド・チューン。
ドラマティックに構築されたGソロは、東洋的なメロディも
顔を覗かせたりと、マーティのセンス(とテクニック)が
存分に発揮された素晴らしい仕上がりとなっています。


HAYWIRE (2017-10-22 01:00:58)

カナダ出身の5人組で、ポール・マッカースランド(Vo)とマーヴィン・パート(G)が音頭を取って’81年に結成。バンド・コンテストへの参加や、EP『HAYWIRE』の自主制作等で腕を磨いた後、'86年に『BAD BOYS』でデビューを飾る。ここからは表題曲がヒット(最高第21位)、アルバム・セールスも最終的にプラチナムに到達している。ポップ・メタル色を強めた翌年発表の2nd『DON’T JUST STAND THERE』は更なる好セールスを記録し、特にシングル・カットされた“DANCE DESIRE”はカナダ国内においてTOP10チャートに食い込む大ヒットとなっただけでなく、日本でもヤマハ主催の世界歌謡祭(80年代末まで毎年日本武道館で開催)にエントリーされ金賞を受賞したという。
カナダ国内において確固たる支持基盤を築きつつも、音楽シーンの潮流の変化によりレコード会社から満足のいくサポートが得られなくなり、90年代に入って活動を停止。
00年代に入ってバンドは復活を遂げ、ニュー・アルバムのリリースもアナウンスされているが、まだ発表には至っていない模様。


HAYWIRE - Don't Just Stand There ★★★ (2017-10-22 01:01:47)

『赤毛のアン』の舞台として知られるカナダのプリンス・エドワード島シャーロット・タウン出身で、80年代には本国を中心に人気を博した5人組、'87年発表の2ndアルバム。
自分が持っているのはアルファから発売された国内盤なのですが(邦題は『ダンス・デザイアー』)、ここにボーナス・トラックとして収録されている、シングル・カットもされた⑪がヤマハ主催の「世界歌謡祭」にて金賞を受賞した…とのエピソードからも、当時レコード会社が彼らを売り出すために相当プッシュしていたことがお分かり頂けるのではないかと。
内容については、Key奏者が曲作りの中心的役割を担っているだけあって、まずKeyやシンセサイザー類がサウンドの基盤を作り、そこに適宜に歌うG/軽快に踊るリズム・ワーク/甘いハイトーンVoが絡んで来るという塩梅のメロディアスHR路線。ゴリゴリのメタル野郎には、初めて聴いた時はKeyが少々煩かったり、シンガーの歌唱力がパンチ不足に感じられたものですが、例えばノリ重視で大味に流れてしまいそうな楽曲であっても、常にメロディが仄かな哀愁を湛えている辺りはやっぱりカナダのバンドだなぁと。またGが泣きまくる⑤や、“時は流れても”なる邦題を冠された⑩といったバラードにおける魂の篭ったVoの熱唱を耳にすれば、その実力に疑念を挟む余地なんてありませんわな。大陸的ハードネスと、欧州風味のメロウネスがうまい具合に同居した⑥なんてアルバムのハイライト・ナンバーじゃないでしょうか?
デビュー作『BAD BOYS』(’86年)に続きプラチナムを獲得、HAYWIRE作品で最もチャート・アクションが良好だったという代表作。入門盤としてどうぞ。


HAYWIRE - Don't Just Stand There - Hard Reaction ★★★ (2017-10-22 11:04:39)

全体的にポップな方向に振られた2ndアルバムの中にあって
爽やかに駆け抜けて行くハード・チューン…といっても
飽くまでメロディに重きを置いたポップ・メタル・ソングには
違いありませんが。清涼感溢れるサビメロがキャッチー。


HAYWIRE - Don't Just Stand There - Man Enough ★★★ (2017-10-22 11:11:51)

80年代ど真ん中っぷりにほっこりさせられるパワー・バラード。
ロック・ソングを歌うと声質的にややパンチ不足に感じられるVoですが
この手のメロウな楽曲を謳わせると絶品。更に少ない音数で
聴き手を確実に泣かせに来るGソロにもグッとくる名曲です。


HEADHUNTER - Parasite of Society ★★★ (2019-08-08 01:15:35)

DESTRUCTIONを追い出されたシュミーアが、元TALONのギタリスト、シュムーデルと、ドイツ屈指の腕利きドラマー、ヨルグ・マイケルを誘って結成したバンドHEADHUNTER。3枚のアルバムを残し解散した彼らが再結成を遂げ、'08年に発表した復活の4thアルバム。
まずオリジナル・メンバーの3人がちゃんと再結集してくれているのが嬉しい。そして音楽性も、ファン人気が最も高い1st『PARODY OF LIFE』(’90年)の作風をきっちり踏襲。映画『第三の男』のテーマ曲(エビスビールのCMソングとしても有名)の牧歌的なイントロをブチ破って、噛み付くように歌うシュミーアのVoとヨルグの激烈なドラミングが映えるゴリゴリのパワー・チューン②が炸裂するOP、その勢いを引き継ぐリーダー・トラック③、シュムーデルが全くブランクを感じさせない劇的なGプレイを披露する重厚な④という前半の立ち上がりだけで、アルバム全体の完成度を確信するには十分というもの。
以降も、SKID ROWが誇る慟哭のバラード“18 AND LIFE”や、JUDAS PRIESTが放ったスラッシュ・メタルのご先祖様的疾走ナンバー“RAPID FIRE”のカヴァー⑥⑫や、更にはシュミーアが日本語詞にチャレンジした⑬等、本編には多彩な楽曲が揃っており、中でも攻撃的なGリフを伴ってスラッシーに突進する怒涛の⑦と、エキゾチックなイントロに始める妖しくドラマティックな⑨は屈指の出来栄えを誇るアルバムのハイライト。
本業のDESTRUCTIONやら、サイド・プロジェクトのPANZERもあって何かと多忙なシュミーアですが、そろそろHEADHUNTERの新作もお願いできればなぁと。


HEADHUNTER - Parasite of Society - Read My Lips ★★★ (2019-08-08 23:18:49)

イントロでカマされるGリフのカッコ良さだけで星3つは確定でしょう。
スラッシーなアグレッションとパワー・メタリックなメロディの絶妙なマリアージュ。
リフにリードに縦横無尽に駆け巡るシュムーデルのGが存在感を発揮しています。


HEADHUNTER - Parody of Life ★★★ (2017-04-23 21:24:03)

後ろから刺されるような形で、古巣DESTRUCTIONを追ん出されてしまったシュミーアが、燃え盛る怒りを胸に新たに立ち上げたバンドが'90年に発表した1stアルバム。
随所で欧州風味満点のメロディを閃かすギタリストは、元TALON(結構好きなバンドでした)のウヴェ・ホフマンことシュムーデルで、地鳴りのような疾走ビートで畳み掛けるドラマーは名手ヨルグ・マイケル。彼ら腕利き揃いの面子が三位一体となり攻撃的且つスピーディに繰り出すのは、カレ・トラップ謹製の整理された音作りと、狂性を抑制したシュミーアのシャウトとが相俟って(スラッシュ色は然程でもない)、DESTRUCTIONよりぐっと聴き易い印象のパワー・メタル・サウンドという。ちなみに今回のシュミーアの歌唱スタイルは、DESTRUCTION時代に他のメンバーからの「もっと幅広く歌えるようになってくれ」との要望に応えるべく頑張って身に着けたものだそうな。にも拘らず解雇されてしまったのだから何とも切ないお話ですよ…。(今はすっかり仲直りしてハッピーですけども)
人を食ったイントロで幕が上がり、怒涛の突撃ナンバー②がその直後に続く本編は、起伏に富んだ曲展開を飲み込む⑤、スピード・メタリックな⑥、そして技巧とドラマ性を織り込んだ曲展開に、ゲスト参加のカイ・ハイセンのGプレイが華を添える⑧を経て、ラストに置かれたDESTRUCTIONの楽曲と異名同曲⑩に至るまで、ひたすらソリッドな疾走曲の固め打ち。アクが薄まってしまい「これ」というキメ曲が見当たらない本編に対するこっちのちょっとした不満は、このパワフルさによって強引に蹴散らされてしまいましたね。
DESTRUCTIONがダメだったという方も、本作なら案外イケるのではないか?と。


HEADHUNTER - Parody of Life - Cursed ★★★ (2017-04-23 21:38:33)

DESTRUCTION時代よりも歌心を感じさせるようになった
シュミーアのシャウト(あとBプレイ)から、
ゲスト参加のカイ・ハンセンのGプレイまで
参加ミュージシャンの見せ場を盛り込んでアルバム後半の
山場を飾る、ぐっとくる名曲。


HEADHUNTER - Parody of Life - Force of Habit ★★★ (2017-04-23 21:30:51)

忙しなく駆け巡るスピード・メタリックなGリフのカッコ良さといい
(シュムーデルのGソロも構築美を感じさせて◎)
ウリ・カッシュが怒涛の勢いで刻むビートといい
その上に乗っかるキャッチーなシュミーアのシャウトといい
いずれも本編のハイライトに推したいカッコ良さ。


HEAR'N AID - HEAR' N AID ★★★ (2011-01-24 22:40:17)

80年代の「AID」ブーム華やかなりし頃、メタル版“WE ARE THE WORLD”として、故ロ二ー・J・ディオの音頭取りによって立ち上げられたプロジェクトが'86年に発表した作品。
チャリティー・ソング“STARS”を目玉に、シングルとアルバム(多数のバンドのライブ音源を収録)がそれぞれリリースされたが、自分が本作に興味を持った時には既にLPは廃盤になってしまっていたので、'96年にCDの再発が叶った際には、それこそ小躍りしながら購入に走った事を思い出します。
「アフリカの飢餓救済」を目的とした志の高さや、一堂に会した名立たるミュージシャン連中の共演、そして、その一癖も二癖もある面子を見事まとめ上げたロ二ーの校長先生っぷりも立派だが、何より特筆したいのは、ロ二ー、ヴィヴィアン・キャンベル、ジミー・べインが作詞・作曲を手掛け、叙情的なイントロに始まり重厚且つドラマティックな曲展開を備えた、「まるでDIO」な名曲“STARS”自体の素晴しさ。これがなけりゃ折角の豪華共演も宝の持ち腐れってもんですよ。特に、ジャケットの写真が脳裏に浮かぶサビメロが良い。思わずコブシ振り上げながら一緒にシンガロングしたくなりますね。
尚、参加面子の中で個人的に特に印象に残っているのは、Voならポール・ショーティノ(凄い声量)、Gならどんな時でも自己主張を忘れないイングヴェイ、あとメイデン印のユニゾン・プレイで楽曲の屋台骨を支えるエイドリアン・スミス&デイヴ・マーレイのコンビでしょうか。
近々CDの再々発が噂されていますが、そん時ゃ是非ともリマスター作業とDVDの収録も宜しくお願い致します。


HEART - Heart ★★★ (2023-11-28 00:15:40)

80年代と一緒に低迷期も迎えていたアン&ナンシーのウィルソン姉妹率いるHEARTが、CAPITAL RECORDSへの移籍、ヒット請負人ロン・ネヴィソンをプロデューサーに招聘、ジム・ヴァランス、ホリー・ナイトといった助っ人外部ライターの登用、あとアルバム・タイトルにバンド名を冠する等、勝負作と位置付けて'85年に送り出したこの6thアルバムは、切れるカードは全て切った甲斐あってHEARTを一気にスターダムに押し上げる起死回生の大ヒット作となりました。
ウィルソン姉妹的には、ルックスにしろ音作りにしろ、殊更にバブリーな華やかさ(80年代っぽさともいえる)が強調され、プロデューサーによって自らのアーティスティックな創造力の発揮を制限されてしまったこの時期に関しては忸怩たる思いがあるようですが、個人的にはこの時期のゴージャスHEARTにこそ寧ろ思い入れがパンパン。以前のHEARTのアルバムは、名曲とそうでもない曲が結構ハッキリと分かれてしまっていた印象があるのですが、今回は投入された職人ソングライター勢がその差をきっちりとカバー。切れ味鋭いハード・ナンバー①から、アンの熱唱が光る感動的なバラード②、思わず口ずさんでしまうキャッチーな③、そして彼女達に初めて全米チャート№1の栄誉をもたらしたヒット・シングル④…と、のっけから名曲で畳み掛けてくる本編はコンスタントに良い曲が並び、通して聴いても最後まで息切れがありません。
煌びやかにしてキャッチー、HEARTの名を聞いて想起するメロディアスHRサウンドを確立させると共に、彼女たちの黄金時代の到来を告げた名作じゃないでしょうか。


HEART - Heart - What About Love ★★★ (2023-11-29 01:21:42)

個人的にはHEART=この曲というぐらい愛して止まないドラマティックなバラード。
低迷期を脱して、サクセスしたるでぇ!とばかりに熱いパッション迸る
アン・ウィルソンVoが圧巻ですよ。


HEATHEN - Breaking the Silence ★★ (2006-06-17 21:22:00)

あらゆる面で洗練された2nd「VICTIMS OF DESEPTION」に比べ、ジャケは冴えないし、Voはイモだし、音質もイマサンなれど、
単純に収録曲のクオリティのみで勝負した場合、軍配が本作に上がる事は、多くのHEATHENファンが認めるところ。(じゃなかろうか)
とにかく、曲が圧倒的に良い。ドラマチックでスピーディ。勿論、捨て曲等一切ない。疾走するリズムに乗って力強く刻まれるリフは
2ndでは典型的なベイエリア・クランチ・スタイルだったが、ここではもう少し鋭角的で、リー・アルタスが愛して止まない
NWOBHM風(それよりずっとパワフルだが)。ディビッド・ゴッドフレーのVoも、歌唱力は兎も角、彼の歌う湿り気を帯びた
マイナー調の歌メロは非常に魅力的で、思わず「スラッシュ・メタル界のゲイリー・バーデン」の称号を進呈したくなる程(?)
そして何より本作のハイライトは、リー・アルタス/ダグ・ピアシーのコンビによる、劇的極まりないツイン・リード・ギター!
緩急自在、時にクラシカルなフレーズも流麗にキメてみせるそのGソロは、まさに「蝶の様に舞い、蜂の様に刺す」状態で、
心の琴線をビシバシ刺激しまくってくれます。


HEATHEN - Empire of the Blind ★★★ (2020-10-12 23:21:26)

復活作となった前作『THE EVOLUSION OF CHAOS』から実に10年のブランクを経て、'20年に発表されたHEATHENの最新アルバム。(通算4作目)
ここまで間が空いてしまったのは、バンドがのんべんだらりと食っちゃ寝していたから…なわけはなく、質量共に80年代を上回るツアーに忙殺されたのと、ジェフ・ハンネマンの急死により空席となったSLAYERのギタリストの座を急遽EXODUSのゲイリー・ホルトが埋めることとなり、その代わりに空席となってしまったEXODUSのギタリストの座をリー・アルタスが埋めるという、スラッシュ・メタル界隈の玉突き衝突的な人材交流の影響でアルバム作りに取り組む時間が作れなかったためだとか。
そうした事情ゆえ今回リーは曲作りにタッチしておらず、代わりに作曲を一手に担ったのは前作からバンドに参加したクラーゲン・ラム(G)。となると出来栄えに関して若干の不安を覚えなくもなかったわけですが、それも泣きのGを配したイントロから猛然と突撃に転じるOPナンバー①②の血沸き肉躍る流れを聴くまでの話。前作同様、本作においても、デヴィッド・ホワイトのデビュー作とは隔世の感を覚える見事な歌唱が堪能できるHEATHEN流バラード⑧や、疾走するツインGの劇的且つ濃密な絡みにグッとくる⑩等、クラーゲンはその作曲センスを立派に証明する優れた楽曲を提供してくれています。
敢えて指摘すると、全体を覆うダークな雰囲気と、前作“DYYING SEASON”に匹敵するようなキメ曲が本編に見当たらないことが相俟って、起伏の乏しさが気にならなくもないかなと。まぁこんなん小姑スラッシャーによる「良く出来ているからこその粗探し」みたいなもんですよ。


HEATHEN - Empire of the Blind - A Fine Red Mist ★★★ (2020-10-13 23:47:40)

アルバム後半を引き締めるインスト・ナンバー。
当初はインスト曲だと全く気付いていなかったのですが、
というのも2本のGが劇的且つメロディックに曲中を駆け巡って
Voの代わりを十分以上に果たしてくれているから。
クライマックスへ向かってぐいぐいテンションを高めていく
2本のGの絡みに聞き惚れます。


HEATHEN - The Evolution of Chaos ★★ (2009-12-31 17:29:00)

THRASH DOMINATION 09での熱演も記憶に新しい再結成HEATHEN、待望のニュー・アルバム。(3作目)
スラドミで“DYING SEASON"が披露された瞬間から、新作の内容に関する不安は全くなかったが、
まさか、ここまで完成度の高い作品を提示して来てくれるとは思わなんだ。
特に、東洋風味のエキゾチカルなメロディを纏ったイントロを経て、パワフルに疾走を開始するOPナンバー②は、
手数多めのGリフといい、起伏に富んだメロディをしっかりと歌うVoといい、劇的な曲展開といい、初めて耳にした時は
「はて?俺はARTILLERYの新作を聴いてるんだっけ?」と一瞬考え込んでしまったぐらい、『BY INHERITANCE』発表時の
ARTILLERYを彷彿とさせる名曲。個人的にはこの名曲が聴けただけでもうお腹一杯といった感じだが、本作はそれ以降も
1st『BREAKING THE SILENCE』の疾走感と、2nd『VICTIMS OF DECEPTION』の構築美を組み合わせたかの如き
スピーディ且つドラマティックな楽曲が並び、テンションが下がる事は最後までない。捨て曲?ないない。
もう少し楽曲はコンパクトにまとてくれた方が良かった気もするが、その分、リー・アルタスとクラーゲン・ラムの
「蝶のように舞い蜂のように刺す」絶品のツイン・リードGがたっぷりと聴けるのだから、文句ばかりも言えまい。
(尚、EXODUSやSADUSのメンバー、ベイエリア・シーンの先輩格テリー・ローダーデイルといった面々がゲスト参加)
2ndアルバムを上回り、1stアルバムに迫るクオリティの高さを誇る1枚だと思います。


HEATHEN - The Evolution of Chaos - Dying Season ★★★ (2009-12-31 17:35:50)

エキゾチックでドラマティックな東洋風のメロディを纏って
激走する3rdアルバムのOPナンバー。
まさか、ARTILLERYの新作に感じた不満が、HEATHENの新作で
解消される事になるとは思ってもみませんでした。


HEATHEN - Victims of Deception ★★ (2006-11-25 20:00:00)

ベイエリアの苦労人スラッシャーが、数々のトラブルを乗り越えて、'91年に漸く発表した2ndアルバム。
まず一聴して耳を疑うのが(失礼)、デイヴィッド・ゴッドフレイのVoの上達振り。思わずブックレットで
メンバーの名前を確認してしまったぐらい、別人のような歌唱でRAINBOWの名曲のカヴァー④や、泣きのパワー・バラード⑥といった、
(かつての歌唱能力で演ったら失笑間違いなしの)難易度高めの楽曲を堂々と歌いこなしていて驚かされる。
作品自体も、イマイチ垢抜けなかった——でもそこが大きな魅力だった——1stアルバムに比べ、
パワー、スピード、ヘヴィネス、それに重厚なサウンド・プロダクションと、全てにおいて格段に洗練された印象。
ただ、それと引き換えに欧州ヘヴィ・メタリックな湿り気が後退していて、その点で大作化した楽曲に多少の冗長さを
感じるのも事実だが、どっこい、リー・アルタス&ダグ・ピアシーの名コンビによる劇的なツイン・リードGは健在。
その涙腺を刺激する泣きメロの洪水には、僅かな鈍りも見られないので安心されたし。


HEAVEN & HELL - The Devil You Know ★★ (2009-06-22 22:23:00)

『HEAVEN AND HELL』はHR/HM史に残る名盤であり、LOUD PARK 08で見た彼らのライブも大いに楽しませて貰ったが、
とは言え、トニー・アイオミとロニー・J・ディオの組み合わせには『DEHUMANIZER』という前科があるし、
BLACK SABBATHったら『HEADLESS CROSS』が最高傑作でしょ?という厄介なトニー・マーティン支持者的には、本作に寄せる
期待はそう高いモノではなかったのだが、実際に聴いてみるとこれが結構・・・と言うか、かなり良い出来で驚いた。
“HEAVEN AND HELL"や“DIE YOUNG"級の名曲は収録されておらず、一聴地味な印象を受ける作風は
やはり『DEHUMANIZER』を彷彿とさせるのだが、ロニーの歌声の色艶、トニーのGの表現力、そして何より
暗黒のオーラを纏った楽曲自体が放つ「凄み」「格調」「荘厳さ」は『DEHUMANIZER』を遥かに凌駕。
(唯一、地を這うヘヴィネスを宿したリズム隊の迫力に関しては、あの頃から不変だが)
中でも、重厚且つ威厳たっぷりな①、ロニー入魂の歌唱に震える③、軽快なタイトルとは裏腹にトニーのGが渋く
咽び泣く⑤、そして厳粛にして劇的な⑩といった楽曲は、ディオ期のみならず、オジー期、トニー・マーティン期、
その他全てのBLACK SABBATHファンをも魅了する圧倒的完成度の高さを誇る。
正直、この組み合わせでここまでハイクオリティな作品を作り出せるとは思っていなかった。いや、畏れ入りました。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge ★★★ (2017-03-08 22:46:38)

マーク・エヴァンス(Vo)とレジー・ウー(G)を中心に結成された、ツインG編成の5人組が’90年に発表した1stアルバム。国内盤の解説はゴッドが書いていたりと、期待の新人としてそれなりに注目を集めた作品だったと記憶しております。
ニール・カーノンが手掛けた硬質な音作りの下、華やかに弾きまくるリードG、エッジの効いたGリフ、安定感のあるボトムを築くリズム隊、その上で熱っぽく歌うVoとが快活にハジけるサウンドは、メンバーのルックスの良さも相俟って「遅れて来たLAメタル・バンド」的雰囲気が漂う。でも実際は東海岸のフィラデルフィア出身だとか。
本編は骨太なロックンロールと、哀愁のメロハーが交互に波状攻撃を仕掛けて来る構成。テクニカルな演奏から生み出される疾走感が痛快この上ない⑦のような楽曲も良いのですが、やはり個人的にグッと来るのは後者の路線。特に世が世なら大ヒット間違いなしだった(?)ハードポップ・チューン④、Keyの効いたドラマティックなバラード⑥、熱く激しく盛り上がる⑧、愁いを帯びたHRナンバー⑨⑪といった楽曲を耳にすれば、「デビューがもう数年早ければ状況も違ったろうになぁ…」と惜しまずにはいられませんて。
グランジ/オルタナティブ・ロックの猛威が目前まで迫っていたアメリカでは、正当な評価を受ける余地なく(ビルボード・チャートでは100位以内に入ることすら叶わず)撃沈してしまいましたが、日本では今でも根強い人気を誇る1枚。中古盤屋に行くと3桁の値段で入手可能ですんで、是非一度お聴きあれ。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge - Bad Reputation ★★★ (2017-03-08 22:58:30)

アルバム前半のハイライトが
ポップな“FIND ANOTHER WAY”なら
アルバム後半の山場は、Keyを適宜取り入れつつ
ハードなG主導で熱く激しく盛り上がっていく
この名曲ですよ。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge - Find Another Way ★★★ (2017-03-08 22:54:08)

イントロのハーモニーだけで「これは名曲」と予感させてくれますね。
爽やかな哀愁漂わすメロディ、ポップに弾む曲調、
練られたGソロと、もう数年早く発表してたら大ヒット間違いなしだったのに…
ってか、そもそもバンドはなぜこの曲をシングル・カットしなかったのかと。


HEAVENS EDGE - Some Other Place - Some Other Time ★★★ (2023-04-07 01:12:59)

'90年にデビューを飾るも遅きに失し、グランジ/オルタナ・ブームの濁流に飲まれて消えたペンシルベニア州出身の5人組HEAVENS EDGEが、亡くなったドラマーを除くオリジナル・メンバーで再結成してニュー・アルバムをレコーディング中らしい…とのニュースを目にして「そういえばこんな作品もあったっけな」と、最近引っ張り出して聴き直しているのが本作。
こちらは‘98年にMTM MUSICからリリースされた蔵出し音源集で、内容は1st『HEAVENS EDGE』(’90年)の選に漏れた楽曲、ライブでの昔からのレパートリーだった楽曲、それに書下ろしの新曲2曲等で構成。とはいえ「アウトテイクの寄せ集めじゃクオリティは期待出来そうもないかな~」と事前には侮り倒していたのですが、いやこれがしっかりと出来が良いのだから驚かされますし嬉しいじゃありませんか。
中心メンバーたるマーク・エヴァンス(Vo)のエネルギッシュな歌いっぷり、中国系アメリカ人レジー・ウー(G)のテクニカルにして構築美を感じさせるGプレイも勿論健在。特に憂いに満ちたメロディが威勢の良い曲調に乗るOPナンバー①、マイナー調のヴァースからメジャー・キーのサビメロへの転調が巧みな②、アコギを活かしたアメリカのバンドらしい爽やかな魅力振りまく③という冒頭3曲は、「何でこれを1stアルバムに収録しなかったん?」と首を捻りたくなる、これぞHEAVENS EDGE!たる出来栄えを誇っていますよ。
近々リリースされる予定だという復活アルバムは、まずは本作のクオリティ越えを目標にして欲しいところであります。


HEAVENS EDGE - Some Other Place - Some Other Time - Rock Steady ★★★ (2023-04-11 00:06:51)

溌剌とした曲調に、マーク・エヴァンスがパワフルに歌う
憂いを帯びたメロディ、一度聴けば覚えてしまうキャッチーなコーラス、
それにレジー・ウーのフラッシーなGソロに至るまで
「何でこれ1stアルバムに入れなかったの?」というレベルの名曲です。


HEAVENS GATE - In Control ★★★ (2016-08-31 21:07:59)

今では売れっ子プロデューサーとして腕を振るうサシャ・ピート(G)が在籍し、90年代には、HELLOWEEN、GAMMA RAY、BLIND GUARDIANらと共に、ここ日本でジャーマン・メタル人気を牽引したHEAVENS GATEの記念すべきデビュー作(’89年)。
JUDAS PRIEST型正統派HMに、ジャーマン・メタルならではのメロディとパワーがトッピングされた名盤『LIVIN’ IN HYSTERIA』(’91年)の出来栄えに衝撃を受けた当時、慌てて遡って本作も買いに走ったのですが、勿体ぶったインスト序曲①による導入を経て、うじうじと蠢くGリフが印象的なアルバム表題曲“IN CONTROL”のカッコ良さだけで速攻ノックアウトされてしまいましたよ。流石、来日公演のトリを飾っただけあって、“GATE OF HEAVEN”や“LIVIN’ IN HYSTERIA”にも負けない名曲ぶり。
他にもキャッチーな疾走チューン“TYRANTS”あり、トリロジー第一作目となる重厚なエピック・メタル調の“PATH OF GLORY”あり…といった具合に、メタル者が拳を振り上げるに足る逸品の数々を収録し、国内盤は'90年発表の6曲入りEP『OPEN THE GATE AND WATCH!』とのカップリング仕様、全15曲、1時間オーバーの超過ボリュームにも拘わらず、ダレを殆ど感じることなく全編を聴き通させてしまうのですから、「こいつらは本物だ!」と、バンドの才能を確信するには十分です。
クセの強いVoにベタッとしてキレに欠けるドラミングとか、全体的にまだまだ垢抜けない雰囲気を漂わせつつも、デビュー作でこのクオリティは立派。『LIVIN’~』が気に入った方ならこっちも押さえておいて損はありません。格安価格でお買い求め頂けますしね。


HEAVENS GATE - Live for Sale! ★★ (2012-02-19 15:55:06)

HEAVENS GATEの日本での人気が頂点に達した瞬間の記録であると同時に、その凋落の始まりの証ともなってしまった、何とも皮肉なライブ・アルバム。
当サイトにおける獲得ポイント数の少なさからも察しが付く通り、バンドの経験不足をもろに露呈してしまった垢抜けないパフォーマンスに対し、手厳しい意見が続出した初来日公演の模様が克明に捉えられていることから余り評判の芳しくない本作ですが、どっこい個人的には「仰る通り。ご尤も」とそれらの意見に全面同意しつつも、どうしても嫌いになれず、今でも機会があれば聴き返している作品であります。
まず第一に楽曲が良い。“LIVIN' IN HYSTERIA”“GATE OF HEAVEN”“IN CONTROL”といった代表曲を筆頭に、ベスト盤状態で次々に繰り出される楽曲はいずれもジャーマン・メタル好きなら一聴の価値がある名曲ばかり。そして第二に挙げられるのがファンの熱烈な盛り上がりっぷりで、コーラス部分を客に任せきりにするシンガーのパフォーマンスには苛々させられるものの、一方でそれに見事な反応を返す観衆の一体感溢れる大合唱には「お見事!」と素直に賛辞を贈りたくなります。
例え残念なクオリティでも、こうしたバンドとファンの熱いエネルギーの交歓がしっかりとフィーチュアされているライブ・アルバムには点数が甘くなるというもの。「良い曲と熱心なファンを沢山抱えているバンドは強いなぁ」と思わせてくれる1枚ですよ。


HEAVENS GATE - Livin' in Hysteria ★★★ (2014-06-10 00:04:05)

現在は売れっ子プロデューサーとして辣腕を振るうサシャ・ピート(G)も在籍していたドイツの5人組が、'91年に発表した2ndアルバム。
HELLOWEENの『守護神伝』シリーズと並んで、日本におけるジャーマン・メロパワ・メタル人気定着に一役買った記念碑的名盤として知られる本作ですが、一方で、そのサウンドにHELLOWEEN的な大仰な曲展開や、コミカルなノリは控えめ。
せっかくの緊張感をおちゃらけたサビメロで台無しにしてしまうフォロワー・バンド群とは一線を画す、JUDAS PRIESTを筆頭とするブリティッシュHM寄りのソリッドな疾走感と、ドイツのバンドらしい雄々しいメロディとがバランス良くブレンドされた必殺の名曲“LIVIN' IN HYSTERIA”と“GATE OF HEAVEN”の2曲は、HEAVENS GATEというバンドの魅力の結晶にして、ジャーマン・メタル史に燦然と輝く至高の逸品ですよ。
他にも、独産バンドの面目躍如たる重厚感で迫り来る③、スピーディに閃く⑦、ドラマティックなバラード⑪etc・・・と、捨て曲なしの本作が、HEAVENS GATEの最高傑作と評価を受けるのは、当然っちゃあ当然の話ですわな。
次作以降、音楽性を拡散の方向へと舵を切ってしまったことが返す返すも惜しまれますが、逆にこんな凄いアルバム作っちゃったら、後は音楽性を拡散させるぐらいしか次の一手が思い浮かばなかったたんだろうなぁ、とも。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army ★★★ (2014-01-07 00:04:57)

中島優貴(Key)を中心に結成されたバンドが、'81年に残した唯一作が待望の再発。しかもEARSTEN ORBITの『FUTURE FORCE』も同時再発ってんだから嬉しいったらないですよ。
歴戦の兵(解説の言葉を拝借するなら「一国一城の主たち」)が集ったスーパーバンドでしたが、ここで実践されているのは、インプロヴィゼーション重視の70年代型HRではなく――勿論そうした要素も本編には色濃く影を落としていますが――、疾走感溢れるリフ&リズムが楽曲を牽引する、ソリッド且つタイトに締まった80年代型HMサウンド。
特に、中島が刻む悲鳴のようなKeyリフ、荒ぶるシンキのGソロ、オカズ山盛りの宮永英一&チェピート竹内のリズム・ワーク、そしてJ.J.の男性ホルモンむんむんな歌唱が一体となって疾走するOPナンバー“HEAVY METAL ARMY”は、バンドのテーマ・ソングの名に恥じぬ名曲。
以降も、豪快なリフ捌きにガツンとやられる“YES OR NO”や、プログレ趣味が垣間見える“CHANGELING”から、(なぜか)大野雄二テイスト入ったラスト・バラード“生命の風”に至るまで、実にテンション高く駆け抜けていく1枚。
スーパーバンドの宿命に倣い、短命に終わってしまったことが惜しまれる名盤です。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army - Bird of Destiny ★★★ (2014-01-07 22:30:43)

何も知らずに「これ、角川映画のエンディング曲だよ」と
言われたら間違いなく信じたであろう、大野雄二テイスト
入ったスケールの大きな哀愁のバラード。
J.J.の熱唱、胸掻き毟りたくなる切ないソロを聴かせる
中島のシンセ、タメの効いたリズム、あと山本恭・・・
もといMr.XのGソロも大いに泣かせてくれます。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army - Heavy Metal Army ★★★ (2014-01-07 22:20:11)

聴いてるだけで胸毛がもさもさになりそうなJ.J.の歌声、
攻撃的に切り込んでくるKeyとG、このテンポの楽曲にしては
異様に音数の多いドラムと、仰々しいタイトルに
決して負けていないパワフルさで迫り来るOPナンバー。
実は歌詞は結構軟弱なんですが(笑)、
思わず心にLOVE SUPER WEAPONを設置したくなる名曲に
間違いありません。


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose ★★★ (2016-05-27 23:16:22)

NWOBHMの波には少々乗り遅れても、名曲“ROLL THE DICE”のスマッシュ・ヒットと華のあるルックスの威力で(?)、堂々メジャー・レーベルとの契約を勝ち取ったスコットランド・グラスゴー出身の5人組が、’83年に発表した1stアルバム。
「DEF LEPPARDフォロワー」という評判、それにプロデュースをQUEENのブライアン・メイが手掛けていることが先入観となり、「どうせ好みの音じゃねぇだろう」と入手を後回しにしていた作品なのですが、実際に聴いてみたら、そのカッコ良さに膝ガクガク。
いや、確かにDEF LEPPARDっぽさは本編の端々から感じられます。OPナンバー“IN AND OUT OF LOVE”の爽快なコーラス・ワークとか、哀メロが胸打つ“BROKEN HEART”の洗練具合とか、“ROCK ME”が醸し出すアリーナ・ロック的スケール感とか、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる楽曲の数々は、それはそれでお気に入り。しかしそれ以上にグッと来るのが3曲目の“LOVE ON THE RUN”を皮切りとするにスリリングな疾走ナンバーの数々。特にハードネス、メロディの哀愁、ツインGのドラマ性、いずれの面においても本家DEF LEPPARDを凌駕せんとする気迫漲る“VICTIM OF THE NIGHT”と“HELL IS BEAUTIFUL”の2曲は、メタル者ガッツポーズ必至の逸品であると断言したい。逆にこういう荒々しさがあちらほど大衆受けしなかった要因なのかもしれませんが…。
個人的には、「DEF LEPPARDにあまりピンと来ない」という人に寧ろお薦めしたい1枚ですよ。


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose - Roll the Dice ★★★ (2018-05-08 00:12:51)

'81年にNEAT RECORDSからリリースした7インチ・シングルの
タイトル・トラックで、この曲の評判がHEAVY PETTINに
POLYDOR RECORDSとの契約をもたらしたという。
DEF LEPPARDとの類似点を指摘されがちな彼らですが、
この名曲で炸裂するシャープなGリフ、疾走感に満ちたリズム、
Voが歌う憂いを帯びたメロディがスピーディに畳み掛ける様は、
まさに「ザ・NWOBHM!」なカッコ良さ。
現在では1stの再発盤にボーナストラックとして収録されています。


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose - Victims of the Night ★★★ (2016-05-29 22:29:11)

「DEF LEPPARDのクローン」との先入観を粉砕する、
シャウト一発、切れ味鋭く走り出す必殺の疾走ナンバー。
スピーディでありつつも、コーラスにしろツインGにしろ、
ハーモニーの魅力が損なわれておらず、アグレッシブというより
「華麗」な印象を受けるのがこのバンドならでは。


HEAVY PETTIN' - Rock Ain't Dead ★★★ (2016-05-29 08:53:25)

デビュー作『LETTIN LOOSE』(’83年)が、NWOBHMの勢いに陰りの見え始めた英国で苦戦を強いられたことを受け、ソフト・フォーカス使いまくりのアートワークから音楽性に至るまで、一層「アメリカ志向」を鮮明に打ち出した'85年発表の2ndアルバム。
前作収録の“VICTIM OF THE NIGHT”や“HELL IS BEAUTIFUL”のようなへヴィ・メタリックな疾走ナンバーが姿を消し、よりポップに、よりコマーシャルに、テンポを抑え気味にした分、メロディのフックライン強化に全精力を注ぎ込んだかのような楽曲は、アンセミックな“ROCK AIN’T DEAD”、アルバムのハイライトの一つと言うべき乾いた哀愁漂わす“SOLE SURVIVOR”、「暗」なヴァースから「明」のサビメロへと曲調が鮮やかに変化する“CHINA BOY”…といった具合に、ますますDEF LEPPARD化が加速。特にボーカル・ハーモニーを分厚く敷き詰め、ライブ会場が一体となって盛り上がる様が目に浮かぶような収録各曲コーラス・パートの素晴らしさは本作の白眉ですよ。
鼓膜にピリピリ来るハイトーンが好悪分かれるVo等、洗練の度合いは本家に遠く及ばないまでも、代わりハードネスとメロディの欧州的薫りに関しちゃ相変わらずこっちのが上。哀愁のポップ・センスと英国産HMのエッジが同居するキャッチーな“HEART ATTACK”なんて、タイトル通り心臓にズドンと来る、本作ならではの名曲ではないかと。
個人的には、前作にも勝るとも劣らぬ力作のように思う1枚です。お蔵入りのはずがいつの間にかリリースされてた(全然知らんかった)3rdも気になりますね。


HEAVY PETTIN' - Rock Ain't Dead - Heart Attack ★★★ (2016-05-30 23:25:50)

歯切れ良く跳ねるキャッチーな曲調に
爽やかなボーカル・ハーモニーと
アルペジオを織り交ぜた哀愁のメロディが映える
2ndアルバムのハイライト。
夏休みの小学生顔負けのハシャギっぷりで歌いまくる
ハミーのVoは確かに評価の分かれ目かもしれんですが、
このバンドの重要な個性であることは間違いありません。


HEAVY PETTIN' - Rock Ain't Dead - Sole Survivor ★★★ (2016-05-30 23:34:35)

へヴィ・メタリックな疾走感は後退したものの、
その分、メロディのフック強化に全力を傾けた
2ndアルバムの方向性を物語るかのような哀愁のミッド・チューン。
分厚いハーモニーに包まれた、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる
サビメロのコーラス・ワークがとにかく素晴らしい。
DEF LEPPARDにだって負けてませんよ。


HELIX - Back for Another Taste ★★★ (2019-06-03 00:03:14)

オーセンティックなHR/HMへの逆風が一気に強まった’91年。アルバム・セールスの勢いが衰えメジャーのCAPITAL RECORDSとの契約を失ったカナダのHELIXが、オリジナル・メンバーの一人だったブレント・ドエナーの脱退に伴い、シングルG編成の4人組となって発表した7thアルバム。プロデュースはトニー・ボンジオヴィがバンドと共同で担当しています。(曲によってはニール・カーノンの名前もプロデューサーとしてクレジット)
HELIXについてよう知らんかった当時、「カナダのAC/DC」と呼ばれていたらしいとの薄らボンヤリとした情報と、日本盤のリリースがスラッシュ/パワー・メタル系のカタログを多数抱えるテイチクのMETAL MANIAだったことから、きっと刺々しくアグレッシブなサウンドが詰まってるに違いないと勝手に期待して聴き始めてみたらば、音作りはマイルドだしパフォーマンスも洗練されているしで、思ってたのとかなり違うなぁと。
ただ、じゃあ退屈な作品なのかと問われれば答えは断じて「ノー」。聴く者を踊らせるキャッチーなノリの良さ&フックに磨きの掛かったメロディで、世が世ならヒット・チャートを席巻していたであろうポップな⑨やコマーシャルな⑪、嘗てのカミソリ感に情熱的な表現力も加味されたブライアン・ヴォウワー(Vo)の歌声が映えるバラード④等、本編にはガムシャラな荒々しさ以上に、ベテラン・バンドの貫禄と懐の深さが光る秀曲が並んでいます。中でもヒンヤリとした感触を残して駆け抜ける哀メロ・ナンバー②と、HELIXがHRバンドとしての牙を失っていないことを証明する疾走ナンバー⑫は絶品ですよ。
作を重ねて味わいを増したHELIXの魅力が堪能できる1枚。


HELIX - Back for Another Taste - Running Wild in the 21st Century ★★★ (2019-06-03 23:47:08)

あえて打ち込み感を強調したリズムや、煌びやかなコーラス・ワーク等、
HELIX流に料理されたモダンなハードポップ・チューン。
しかしこれが大変素晴らしい出来栄えでして、特にVoの歌う
都会的というか、どこか冷ややかな哀感を湛えたメロディにグッときますね。


HELIX - Back for Another Taste - Wheels of Thunder ★★★ (2019-06-03 23:52:05)

音作りは洗練されていてメタルっぽくはないのですが、
SAXONばりの曲名が物語る通りのハード・ドライヴィンな曲調と、
ベテラン・バンドらしい木目細かい曲作りの技とが同居した、
HELIXのHRバンドとしての牙が折れていないことを誇示する名曲です。


HELIX - Walkin' the Razor's Edge ★★ (2018-04-01 23:51:14)

RUSHやTRIUMPHほどじゃないにしろ、「本国やアメリカではそれなりの知名度を誇っているのに、ここ日本では全く認知されていないバンド」のカナダ代表としてその名が度々挙げられるHELIX。斯くいう自分も(名前の語感と音楽性が似ているせいか)スイスのKROKUSと時々ごっちゃになる程度の認識でして。本作はそんな彼らが米メジャーのCAPITAL RECORDSから'84年に発表するや、世界的なHMブームを追い風に、米・加ビルボード・チャートの上位にランクイン。最終的にはプラチナム認定を受けるぐらい売れまくった4thアルバムにして代表作たる1枚であります。
「R!O!C!K!ROCK YOU!」というHM版“ヤングマン”みたいなコーラスが、本編開巻を威勢よく宣言するスマッシュ・ヒット曲①(最高第27位)が体現するように、HELIXが聴かせてくれるのは、カミソリ声のシンガーのシャウトも映えるAC/DCやKISSなんかに通じるタテノリ・ロックンロール。抜けるような青空の下、カーステから流れて来た日にゃ思わずアクセル踏み込みたくなる、スカッとハジけるノリの良さを全面展開させつつ、能天気一歩手前で踏み止まって、メロディに哀愁を小さじ一杯分程溶かし込んでいる辺りはやりカナダのバンドであり、自分が本作を楽しめる理由でもあるという。
特にヘヴィ・メタリックな②、ワイルドにぶちかまされる⑤、曲以上にオッパイ大盤振る舞いPV(未検閲バージョン)が目に楽しかった⑥、そこはかとなく重厚感漂う⑩といった楽曲には、日の出の勢いだったHELIXの充実ぶりが如実に反映されているのではないかと。
長らく廃盤だった国内盤がこの度再発されたので、未聴の方はこの機会にいかがでしょう。


HELIX - Walkin' the Razor's Edge - Young & Wreckless ★★★ (2018-04-02 23:04:17)

タテノリのロックンロールを得意とするHELIXですが
Gリフの鋭さ、その上に乗るシンガーのカミソリ声、
ノリ良く合唱を誘発するメロディと、
この曲は完全にメタル。いやカッコイイ。


HELL 'N' BACK - Demon Supremacy ★★ (2014-05-08 22:58:30)

ANTHEM脱退以降は表舞台から姿を消していた中間英明(G)が、渡米時代に作り溜めていたマテリアルが正式音源化。
インストゥルメンタル作品ではなく、全曲英詞による歌入り。但し、元がデモテープなので音質はお世辞にも良好とは言えず。またシンガーの歌唱も、力みまくりのハイトーンが引っ繰り返りそうになる危なっかしさ。加えて、HURRY SCUARYの『BREAK IT UP』や名盤『POINT OF NO RETURN』と比べてしまうと収録曲は今ひとつ面白みに欠ける・・・と、あまり「アメリカ・レコーディング作品」というありがたみを感じさせてくれません。
しかし、そうしたモノトーンな本編中にあっても総天然色の華を終始撒き散らすのが、技術的にも感性的にも冴え渡る中間のGプレイ。例え地味な楽曲であろうとも、ひとたび彼の演奏が走り始めれば、一気に曲調が輝き出すのですから、御見事!としか言いようがありません。
長き不在を囲う内に、半ば伝説的存在と化していた「不世出のギター・ヒーロー」との評価が伊達じゃないことを再確認させてくれる1枚。ファン向け作品ですけどね。


HELL - Human Remains ★★★ (2011-07-11 22:42:45)

数々の不運を被ってNWOBHM史の陰へと埋もれてしまったバンドが四半世紀の時を経て復活。かつてのデモ用マテリアルを現代技術を駆使して再構築し、'11年に発表するや関係各所で絶賛を浴びた初のフルレンス・アルバムがこれ。
MERCYFUL FATEやKING DIAMONDに通じる、ダークで大仰でオカルティックなHMサウンドは、在りし日のNWOBHMの密教的な空気が、さながらタイム・カプセルの如く濃密に封入されているが、それでいて貧乏臭さや時代錯誤感がないのは、元々の楽曲の完成度の高さに加えて、プロデューサー兼ギタリストとして全面参加している、名手アンディ・ス二ープの仕事の枠を越えた献身に依るところ大か。
全面に押し出された大作主義に、曲間をSEとインスト曲で繋ぎ合わせ、映画のサントラばりに綴られる本編の壮大な構成等、プログレッシブ・ロックからの影響も露わな作り込みが為されている一方、比較的ストレートな疾走ナンバー⑥⑩を聴けば判る通り、エッジの立ったGリフと躍動感溢れるリズムがHM然としたノリの良さも備えているため、思ったよりずっと聴き易い本作。
とは言え、やはりこのバンドならでは個性とアルバムの聴き所がしかと刻印されているのは、奇怪に蠢くGリフ、起伏の激しいメロディを(現役俳優というスキルを活かして)シアトリカルに歌い上げるVo、荘厳にしてシンフォニックに曲調を盛り立てるKeyとが怪しく絡み合う、②③⑤⑦⑪といったオドロオドロしくもドラマティックな楽曲の数々だとは思いますが。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser ★★★ (2020-10-01 01:32:09)

看板シンガーの離脱でデビューEPのレコーディング作業やり直しを余儀なくされたかと思えば、記念すべきこの1stフル・アルバム(’20年)のリリース時期もコロナ禍の真っ只中と重なってしまったりと、タイミングに恵まれない印象がつきまとうHELL FREEZES OVER。しかし本作の内容はそうしたモヤモヤを吹っ飛ばすに十分な覇気が満ちています。
RAVENの名物ドラマー、ワッコ兄さんライクなキャラクターが描かれたヘタウマ・ジャケットやラフなエッジを残したプロダクションに加えて、耳をつんざくハイピッチVo、乾いた音色で荒々しく刻まれるGリフ、押せ押せで突き進む直線的なリズムが物語る通り、ここに託されているのは初期METALLICA、RAVEN、EXCITER等々、NWOBHMをやがてスラッシュ・メタルの領域へと押し進めた80年代初頭のスピード・メタル勢を彷彿とさせるサウンド。それでいて懐古的なニュアンスよりも、前のめりなイキの良さ、炸裂感の方が遥かに勝っている辺りが新人バンドならではじゃないでしょうか。
ついでに言うと、デモCDにも収録されていたシャウト一閃から走り始める名曲①、最速の爆走ナンバー⑤、刻んで刻みまくる代表曲⑧を筆頭に、全編をアッパー・テンションな疾走曲で固めつつ、ノリ良く跳ねる②、GリフがRIOTのアンセム“WARRIOR”を思わせる⑥、IRON MAIDENばりに組み上げられたインストの大作⑩といった楽曲をその合間に配して、全体の流れが単調にならぬようダイナミズムの演出にも気を払う等、1stにして既にアルバム作りに余裕さえ伺わせてくれる辺りも現代っ子バンドだなぁと。
期待していた連中が期待通りの作品を提示してくれた、まさに拍手喝采モノの1枚です。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser - The Last Frontier ★★★ (2020-10-01 23:42:44)

忙しなく刻まれるGリフがRIOTの名曲“WARRIOR”を思わせる疾走ナンバー。
アルバムにおいて印象に残る“HELLRASIER”“BURN YOUR LIFE”“OVERWHELM”
といった楽曲がEPやデモCDで既出だったのに対し、この曲はまっさらな新曲。
それでこのレベルのカッコ良さなのですから、バンドの地力の高さが伺えるってもんです。