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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2501-2600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2501-2600
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HEADHUNTER - Parasite of Society ★★★ (2019-08-08 01:15:35)

DESTRUCTIONを追い出されたシュミーアが、元TALONのギタリスト、シュムーデルと、ドイツ屈指の腕利きドラマー、ヨルグ・マイケルを誘って結成したバンドHEADHUNTER。3枚のアルバムを残し解散した彼らが再結成を遂げ、'08年に発表した復活の4thアルバム。
まずオリジナル・メンバーの3人がちゃんと再結集してくれているのが嬉しい。そして音楽性も、ファン人気が最も高い1st『PARODY OF LIFE』(’90年)の作風をきっちり踏襲。映画『第三の男』のテーマ曲(エビスビールのCMソングとしても有名)の牧歌的なイントロをブチ破って、噛み付くように歌うシュミーアのVoとヨルグの激烈なドラミングが映えるゴリゴリのパワー・チューン②が炸裂するOP、その勢いを引き継ぐリーダー・トラック③、シュムーデルが全くブランクを感じさせない劇的なGプレイを披露する重厚な④という前半の立ち上がりだけで、アルバム全体の完成度を確信するには十分というもの。
以降も、SKID ROWが誇る慟哭のバラード“18 AND LIFE”や、JUDAS PRIESTが放ったスラッシュ・メタルのご先祖様的疾走ナンバー“RAPID FIRE”のカヴァー⑥⑫や、更にはシュミーアが日本語詞にチャレンジした⑬等、本編には多彩な楽曲が揃っており、中でも攻撃的なGリフを伴ってスラッシーに突進する怒涛の⑦と、エキゾチックなイントロに始める妖しくドラマティックな⑨は屈指の出来栄えを誇るアルバムのハイライト。
本業のDESTRUCTIONやら、サイド・プロジェクトのPANZERもあって何かと多忙なシュミーアですが、そろそろHEADHUNTERの新作もお願いできればなぁと。


HEADHUNTER - Parasite of Society - Read My Lips ★★★ (2019-08-08 23:18:49)

イントロでカマされるGリフのカッコ良さだけで星3つは確定でしょう。
スラッシーなアグレッションとパワー・メタリックなメロディの絶妙なマリアージュ。
リフにリードに縦横無尽に駆け巡るシュムーデルのGが存在感を発揮しています。


HEADHUNTER - Parody of Life ★★★ (2017-04-23 21:24:03)

後ろから刺されるような形で、古巣DESTRUCTIONを追ん出されてしまったシュミーアが、燃え盛る怒りを胸に新たに立ち上げたバンドが'90年に発表した1stアルバム。
随所で欧州風味満点のメロディを閃かすギタリストは、元TALON(結構好きなバンドでした)のウヴェ・ホフマンことシュムーデルで、地鳴りのような疾走ビートで畳み掛けるドラマーは名手ヨルグ・マイケル。彼ら腕利き揃いの面子が三位一体となり攻撃的且つスピーディに繰り出すのは、カレ・トラップ謹製の整理された音作りと、狂性を抑制したシュミーアのシャウトとが相俟って(スラッシュ色は然程でもない)、DESTRUCTIONよりぐっと聴き易い印象のパワー・メタル・サウンドという。ちなみに今回のシュミーアの歌唱スタイルは、DESTRUCTION時代に他のメンバーからの「もっと幅広く歌えるようになってくれ」との要望に応えるべく頑張って身に着けたものだそうな。にも拘らず解雇されてしまったのだから何とも切ないお話ですよ…。(今はすっかり仲直りしてハッピーですけども)
人を食ったイントロで幕が上がり、怒涛の突撃ナンバー②がその直後に続く本編は、起伏に富んだ曲展開を飲み込む⑤、スピード・メタリックな⑥、そして技巧とドラマ性を織り込んだ曲展開に、ゲスト参加のカイ・ハイセンのGプレイが華を添える⑧を経て、ラストに置かれたDESTRUCTIONの楽曲と異名同曲⑩に至るまで、ひたすらソリッドな疾走曲の固め打ち。アクが薄まってしまい「これ」というキメ曲が見当たらない本編に対するこっちのちょっとした不満は、このパワフルさによって強引に蹴散らされてしまいましたね。
DESTRUCTIONがダメだったという方も、本作なら案外イケるのではないか?と。


HEADHUNTER - Parody of Life - Cursed ★★★ (2017-04-23 21:38:33)

DESTRUCTION時代よりも歌心を感じさせるようになった
シュミーアのシャウト(あとBプレイ)から、
ゲスト参加のカイ・ハンセンのGプレイまで
参加ミュージシャンの見せ場を盛り込んでアルバム後半の
山場を飾る、ぐっとくる名曲。


HEADHUNTER - Parody of Life - Force of Habit ★★★ (2017-04-23 21:30:51)

忙しなく駆け巡るスピード・メタリックなGリフのカッコ良さといい
(シュムーデルのGソロも構築美を感じさせて◎)
ウリ・カッシュが怒涛の勢いで刻むビートといい
その上に乗っかるキャッチーなシュミーアのシャウトといい
いずれも本編のハイライトに推したいカッコ良さ。


HEAR'N AID - HEAR' N AID ★★★ (2011-01-24 22:40:17)

80年代の「AID」ブーム華やかなりし頃、メタル版“WE ARE THE WORLD”として、故ロ二ー・J・ディオの音頭取りによって立ち上げられたプロジェクトが'86年に発表した作品。
チャリティー・ソング“STARS”を目玉に、シングルとアルバム(多数のバンドのライブ音源を収録)がそれぞれリリースされたが、自分が本作に興味を持った時には既にLPは廃盤になってしまっていたので、'96年にCDの再発が叶った際には、それこそ小躍りしながら購入に走った事を思い出します。
「アフリカの飢餓救済」を目的とした志の高さや、一堂に会した名立たるミュージシャン連中の共演、そして、その一癖も二癖もある面子を見事まとめ上げたロ二ーの校長先生っぷりも立派だが、何より特筆したいのは、ロ二ー、ヴィヴィアン・キャンベル、ジミー・べインが作詞・作曲を手掛け、叙情的なイントロに始まり重厚且つドラマティックな曲展開を備えた、「まるでDIO」な名曲“STARS”自体の素晴しさ。これがなけりゃ折角の豪華共演も宝の持ち腐れってもんですよ。特に、ジャケットの写真が脳裏に浮かぶサビメロが良い。思わずコブシ振り上げながら一緒にシンガロングしたくなりますね。
尚、参加面子の中で個人的に特に印象に残っているのは、Voならポール・ショーティノ(凄い声量)、Gならどんな時でも自己主張を忘れないイングヴェイ、あとメイデン印のユニゾン・プレイで楽曲の屋台骨を支えるエイドリアン・スミス&デイヴ・マーレイのコンビでしょうか。
近々CDの再々発が噂されていますが、そん時ゃ是非ともリマスター作業とDVDの収録も宜しくお願い致します。


HEART - Heart ★★★ (2023-11-28 00:15:40)

80年代と一緒に低迷期も迎えていたアン&ナンシーのウィルソン姉妹率いるHEARTが、CAPITAL RECORDSへの移籍、ヒット請負人ロン・ネヴィソンをプロデューサーに招聘、ジム・ヴァランス、ホリー・ナイトといった助っ人外部ライターの登用、あとアルバム・タイトルにバンド名を冠する等、勝負作と位置付けて'85年に送り出したこの6thアルバムは、切れるカードは全て切った甲斐あってHEARTを一気にスターダムに押し上げる起死回生の大ヒット作となりました。
ウィルソン姉妹的には、ルックスにしろ音作りにしろ、殊更にバブリーな華やかさ(80年代っぽさともいえる)が強調され、プロデューサーによって自らのアーティスティックな創造力の発揮を制限されてしまったこの時期に関しては忸怩たる思いがあるようですが、個人的にはこの時期のゴージャスHEARTにこそ寧ろ思い入れがパンパン。以前のHEARTのアルバムは、名曲とそうでもない曲が結構ハッキリと分かれてしまっていた印象があるのですが、今回は投入された職人ソングライター勢がその差をきっちりとカバー。切れ味鋭いハード・ナンバー①から、アンの熱唱が光る感動的なバラード②、思わず口ずさんでしまうキャッチーな③、そして彼女達に初めて全米チャート№1の栄誉をもたらしたヒット・シングル④…と、のっけから名曲で畳み掛けてくる本編はコンスタントに良い曲が並び、通して聴いても最後まで息切れがありません。
煌びやかにしてキャッチー、HEARTの名を聞いて想起するメロディアスHRサウンドを確立させると共に、彼女たちの黄金時代の到来を告げた名作じゃないでしょうか。


HEART - Heart - What About Love ★★★ (2023-11-29 01:21:42)

個人的にはHEART=この曲というぐらい愛して止まないドラマティックなバラード。
低迷期を脱して、サクセスしたるでぇ!とばかりに熱いパッション迸る
アン・ウィルソンVoが圧巻ですよ。


HEATHEN - Breaking the Silence ★★ (2006-06-17 21:22:00)

あらゆる面で洗練された2nd「VICTIMS OF DESEPTION」に比べ、ジャケは冴えないし、Voはイモだし、音質もイマサンなれど、
単純に収録曲のクオリティのみで勝負した場合、軍配が本作に上がる事は、多くのHEATHENファンが認めるところ。(じゃなかろうか)
とにかく、曲が圧倒的に良い。ドラマチックでスピーディ。勿論、捨て曲等一切ない。疾走するリズムに乗って力強く刻まれるリフは
2ndでは典型的なベイエリア・クランチ・スタイルだったが、ここではもう少し鋭角的で、リー・アルタスが愛して止まない
NWOBHM風(それよりずっとパワフルだが)。ディビッド・ゴッドフレーのVoも、歌唱力は兎も角、彼の歌う湿り気を帯びた
マイナー調の歌メロは非常に魅力的で、思わず「スラッシュ・メタル界のゲイリー・バーデン」の称号を進呈したくなる程(?)
そして何より本作のハイライトは、リー・アルタス/ダグ・ピアシーのコンビによる、劇的極まりないツイン・リード・ギター!
緩急自在、時にクラシカルなフレーズも流麗にキメてみせるそのGソロは、まさに「蝶の様に舞い、蜂の様に刺す」状態で、
心の琴線をビシバシ刺激しまくってくれます。


HEATHEN - Empire of the Blind ★★★ (2020-10-12 23:21:26)

復活作となった前作『THE EVOLUSION OF CHAOS』から実に10年のブランクを経て、'20年に発表されたHEATHENの最新アルバム。(通算4作目)
ここまで間が空いてしまったのは、バンドがのんべんだらりと食っちゃ寝していたから…なわけはなく、質量共に80年代を上回るツアーに忙殺されたのと、ジェフ・ハンネマンの急死により空席となったSLAYERのギタリストの座を急遽EXODUSのゲイリー・ホルトが埋めることとなり、その代わりに空席となってしまったEXODUSのギタリストの座をリー・アルタスが埋めるという、スラッシュ・メタル界隈の玉突き衝突的な人材交流の影響でアルバム作りに取り組む時間が作れなかったためだとか。
そうした事情ゆえ今回リーは曲作りにタッチしておらず、代わりに作曲を一手に担ったのは前作からバンドに参加したクラーゲン・ラム(G)。となると出来栄えに関して若干の不安を覚えなくもなかったわけですが、それも泣きのGを配したイントロから猛然と突撃に転じるOPナンバー①②の血沸き肉躍る流れを聴くまでの話。前作同様、本作においても、デヴィッド・ホワイトのデビュー作とは隔世の感を覚える見事な歌唱が堪能できるHEATHEN流バラード⑧や、疾走するツインGの劇的且つ濃密な絡みにグッとくる⑩等、クラーゲンはその作曲センスを立派に証明する優れた楽曲を提供してくれています。
敢えて指摘すると、全体を覆うダークな雰囲気と、前作“DYYING SEASON”に匹敵するようなキメ曲が本編に見当たらないことが相俟って、起伏の乏しさが気にならなくもないかなと。まぁこんなん小姑スラッシャーによる「良く出来ているからこその粗探し」みたいなもんですよ。


HEATHEN - Empire of the Blind - A Fine Red Mist ★★★ (2020-10-13 23:47:40)

アルバム後半を引き締めるインスト・ナンバー。
当初はインスト曲だと全く気付いていなかったのですが、
というのも2本のGが劇的且つメロディックに曲中を駆け巡って
Voの代わりを十分以上に果たしてくれているから。
クライマックスへ向かってぐいぐいテンションを高めていく
2本のGの絡みに聞き惚れます。


HEATHEN - The Evolution of Chaos ★★ (2009-12-31 17:29:00)

THRASH DOMINATION 09での熱演も記憶に新しい再結成HEATHEN、待望のニュー・アルバム。(3作目)
スラドミで“DYING SEASON"が披露された瞬間から、新作の内容に関する不安は全くなかったが、
まさか、ここまで完成度の高い作品を提示して来てくれるとは思わなんだ。
特に、東洋風味のエキゾチカルなメロディを纏ったイントロを経て、パワフルに疾走を開始するOPナンバー②は、
手数多めのGリフといい、起伏に富んだメロディをしっかりと歌うVoといい、劇的な曲展開といい、初めて耳にした時は
「はて?俺はARTILLERYの新作を聴いてるんだっけ?」と一瞬考え込んでしまったぐらい、『BY INHERITANCE』発表時の
ARTILLERYを彷彿とさせる名曲。個人的にはこの名曲が聴けただけでもうお腹一杯といった感じだが、本作はそれ以降も
1st『BREAKING THE SILENCE』の疾走感と、2nd『VICTIMS OF DECEPTION』の構築美を組み合わせたかの如き
スピーディ且つドラマティックな楽曲が並び、テンションが下がる事は最後までない。捨て曲?ないない。
もう少し楽曲はコンパクトにまとてくれた方が良かった気もするが、その分、リー・アルタスとクラーゲン・ラムの
「蝶のように舞い蜂のように刺す」絶品のツイン・リードGがたっぷりと聴けるのだから、文句ばかりも言えまい。
(尚、EXODUSやSADUSのメンバー、ベイエリア・シーンの先輩格テリー・ローダーデイルといった面々がゲスト参加)
2ndアルバムを上回り、1stアルバムに迫るクオリティの高さを誇る1枚だと思います。


HEATHEN - The Evolution of Chaos - Dying Season ★★★ (2009-12-31 17:35:50)

エキゾチックでドラマティックな東洋風のメロディを纏って
激走する3rdアルバムのOPナンバー。
まさか、ARTILLERYの新作に感じた不満が、HEATHENの新作で
解消される事になるとは思ってもみませんでした。


HEATHEN - Victims of Deception ★★ (2006-11-25 20:00:00)

ベイエリアの苦労人スラッシャーが、数々のトラブルを乗り越えて、'91年に漸く発表した2ndアルバム。
まず一聴して耳を疑うのが(失礼)、デイヴィッド・ゴッドフレイのVoの上達振り。思わずブックレットで
メンバーの名前を確認してしまったぐらい、別人のような歌唱でRAINBOWの名曲のカヴァー④や、泣きのパワー・バラード⑥といった、
(かつての歌唱能力で演ったら失笑間違いなしの)難易度高めの楽曲を堂々と歌いこなしていて驚かされる。
作品自体も、イマイチ垢抜けなかった——でもそこが大きな魅力だった——1stアルバムに比べ、
パワー、スピード、ヘヴィネス、それに重厚なサウンド・プロダクションと、全てにおいて格段に洗練された印象。
ただ、それと引き換えに欧州ヘヴィ・メタリックな湿り気が後退していて、その点で大作化した楽曲に多少の冗長さを
感じるのも事実だが、どっこい、リー・アルタス&ダグ・ピアシーの名コンビによる劇的なツイン・リードGは健在。
その涙腺を刺激する泣きメロの洪水には、僅かな鈍りも見られないので安心されたし。


HEAVEN & HELL - The Devil You Know ★★ (2009-06-22 22:23:00)

『HEAVEN AND HELL』はHR/HM史に残る名盤であり、LOUD PARK 08で見た彼らのライブも大いに楽しませて貰ったが、
とは言え、トニー・アイオミとロニー・J・ディオの組み合わせには『DEHUMANIZER』という前科があるし、
BLACK SABBATHったら『HEADLESS CROSS』が最高傑作でしょ?という厄介なトニー・マーティン支持者的には、本作に寄せる
期待はそう高いモノではなかったのだが、実際に聴いてみるとこれが結構・・・と言うか、かなり良い出来で驚いた。
“HEAVEN AND HELL"や“DIE YOUNG"級の名曲は収録されておらず、一聴地味な印象を受ける作風は
やはり『DEHUMANIZER』を彷彿とさせるのだが、ロニーの歌声の色艶、トニーのGの表現力、そして何より
暗黒のオーラを纏った楽曲自体が放つ「凄み」「格調」「荘厳さ」は『DEHUMANIZER』を遥かに凌駕。
(唯一、地を這うヘヴィネスを宿したリズム隊の迫力に関しては、あの頃から不変だが)
中でも、重厚且つ威厳たっぷりな①、ロニー入魂の歌唱に震える③、軽快なタイトルとは裏腹にトニーのGが渋く
咽び泣く⑤、そして厳粛にして劇的な⑩といった楽曲は、ディオ期のみならず、オジー期、トニー・マーティン期、
その他全てのBLACK SABBATHファンをも魅了する圧倒的完成度の高さを誇る。
正直、この組み合わせでここまでハイクオリティな作品を作り出せるとは思っていなかった。いや、畏れ入りました。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge ★★★ (2017-03-08 22:46:38)

マーク・エヴァンス(Vo)とレジー・ウー(G)を中心に結成された、ツインG編成の5人組が’90年に発表した1stアルバム。国内盤の解説はゴッドが書いていたりと、期待の新人としてそれなりに注目を集めた作品だったと記憶しております。
ニール・カーノンが手掛けた硬質な音作りの下、華やかに弾きまくるリードG、エッジの効いたGリフ、安定感のあるボトムを築くリズム隊、その上で熱っぽく歌うVoとが快活にハジけるサウンドは、メンバーのルックスの良さも相俟って「遅れて来たLAメタル・バンド」的雰囲気が漂う。でも実際は東海岸のフィラデルフィア出身だとか。
本編は骨太なロックンロールと、哀愁のメロハーが交互に波状攻撃を仕掛けて来る構成。テクニカルな演奏から生み出される疾走感が痛快この上ない⑦のような楽曲も良いのですが、やはり個人的にグッと来るのは後者の路線。特に世が世なら大ヒット間違いなしだった(?)ハードポップ・チューン④、Keyの効いたドラマティックなバラード⑥、熱く激しく盛り上がる⑧、愁いを帯びたHRナンバー⑨⑪といった楽曲を耳にすれば、「デビューがもう数年早ければ状況も違ったろうになぁ…」と惜しまずにはいられませんて。
グランジ/オルタナティブ・ロックの猛威が目前まで迫っていたアメリカでは、正当な評価を受ける余地なく(ビルボード・チャートでは100位以内に入ることすら叶わず)撃沈してしまいましたが、日本では今でも根強い人気を誇る1枚。中古盤屋に行くと3桁の値段で入手可能ですんで、是非一度お聴きあれ。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge - Bad Reputation ★★★ (2017-03-08 22:58:30)

アルバム前半のハイライトが
ポップな“FIND ANOTHER WAY”なら
アルバム後半の山場は、Keyを適宜取り入れつつ
ハードなG主導で熱く激しく盛り上がっていく
この名曲ですよ。


HEAVENS EDGE - Heaven's Edge - Find Another Way ★★★ (2017-03-08 22:54:08)

イントロのハーモニーだけで「これは名曲」と予感させてくれますね。
爽やかな哀愁漂わすメロディ、ポップに弾む曲調、
練られたGソロと、もう数年早く発表してたら大ヒット間違いなしだったのに…
ってか、そもそもバンドはなぜこの曲をシングル・カットしなかったのかと。


HEAVENS EDGE - Some Other Place - Some Other Time ★★★ (2023-04-07 01:12:59)

'90年にデビューを飾るも遅きに失し、グランジ/オルタナ・ブームの濁流に飲まれて消えたペンシルベニア州出身の5人組HEAVENS EDGEが、亡くなったドラマーを除くオリジナル・メンバーで再結成してニュー・アルバムをレコーディング中らしい…とのニュースを目にして「そういえばこんな作品もあったっけな」と、最近引っ張り出して聴き直しているのが本作。
こちらは‘98年にMTM MUSICからリリースされた蔵出し音源集で、内容は1st『HEAVENS EDGE』(’90年)の選に漏れた楽曲、ライブでの昔からのレパートリーだった楽曲、それに書下ろしの新曲2曲等で構成。とはいえ「アウトテイクの寄せ集めじゃクオリティは期待出来そうもないかな~」と事前には侮り倒していたのですが、いやこれがしっかりと出来が良いのだから驚かされますし嬉しいじゃありませんか。
中心メンバーたるマーク・エヴァンス(Vo)のエネルギッシュな歌いっぷり、中国系アメリカ人レジー・ウー(G)のテクニカルにして構築美を感じさせるGプレイも勿論健在。特に憂いに満ちたメロディが威勢の良い曲調に乗るOPナンバー①、マイナー調のヴァースからメジャー・キーのサビメロへの転調が巧みな②、アコギを活かしたアメリカのバンドらしい爽やかな魅力振りまく③という冒頭3曲は、「何でこれを1stアルバムに収録しなかったん?」と首を捻りたくなる、これぞHEAVENS EDGE!たる出来栄えを誇っていますよ。
近々リリースされる予定だという復活アルバムは、まずは本作のクオリティ越えを目標にして欲しいところであります。


HEAVENS EDGE - Some Other Place - Some Other Time - Rock Steady ★★★ (2023-04-11 00:06:51)

溌剌とした曲調に、マーク・エヴァンスがパワフルに歌う
憂いを帯びたメロディ、一度聴けば覚えてしまうキャッチーなコーラス、
それにレジー・ウーのフラッシーなGソロに至るまで
「何でこれ1stアルバムに入れなかったの?」というレベルの名曲です。


HEAVENS GATE - In Control ★★★ (2016-08-31 21:07:59)

今では売れっ子プロデューサーとして腕を振るうサシャ・ピート(G)が在籍し、90年代には、HELLOWEEN、GAMMA RAY、BLIND GUARDIANらと共に、ここ日本でジャーマン・メタル人気を牽引したHEAVENS GATEの記念すべきデビュー作(’89年)。
JUDAS PRIEST型正統派HMに、ジャーマン・メタルならではのメロディとパワーがトッピングされた名盤『LIVIN’ IN HYSTERIA』(’91年)の出来栄えに衝撃を受けた当時、慌てて遡って本作も買いに走ったのですが、勿体ぶったインスト序曲①による導入を経て、うじうじと蠢くGリフが印象的なアルバム表題曲“IN CONTROL”のカッコ良さだけで速攻ノックアウトされてしまいましたよ。流石、来日公演のトリを飾っただけあって、“GATE OF HEAVEN”や“LIVIN’ IN HYSTERIA”にも負けない名曲ぶり。
他にもキャッチーな疾走チューン“TYRANTS”あり、トリロジー第一作目となる重厚なエピック・メタル調の“PATH OF GLORY”あり…といった具合に、メタル者が拳を振り上げるに足る逸品の数々を収録し、国内盤は'90年発表の6曲入りEP『OPEN THE GATE AND WATCH!』とのカップリング仕様、全15曲、1時間オーバーの超過ボリュームにも拘わらず、ダレを殆ど感じることなく全編を聴き通させてしまうのですから、「こいつらは本物だ!」と、バンドの才能を確信するには十分です。
クセの強いVoにベタッとしてキレに欠けるドラミングとか、全体的にまだまだ垢抜けない雰囲気を漂わせつつも、デビュー作でこのクオリティは立派。『LIVIN’~』が気に入った方ならこっちも押さえておいて損はありません。格安価格でお買い求め頂けますしね。


HEAVENS GATE - Live for Sale! ★★ (2012-02-19 15:55:06)

HEAVENS GATEの日本での人気が頂点に達した瞬間の記録であると同時に、その凋落の始まりの証ともなってしまった、何とも皮肉なライブ・アルバム。
当サイトにおける獲得ポイント数の少なさからも察しが付く通り、バンドの経験不足をもろに露呈してしまった垢抜けないパフォーマンスに対し、手厳しい意見が続出した初来日公演の模様が克明に捉えられていることから余り評判の芳しくない本作ですが、どっこい個人的には「仰る通り。ご尤も」とそれらの意見に全面同意しつつも、どうしても嫌いになれず、今でも機会があれば聴き返している作品であります。
まず第一に楽曲が良い。“LIVIN' IN HYSTERIA”“GATE OF HEAVEN”“IN CONTROL”といった代表曲を筆頭に、ベスト盤状態で次々に繰り出される楽曲はいずれもジャーマン・メタル好きなら一聴の価値がある名曲ばかり。そして第二に挙げられるのがファンの熱烈な盛り上がりっぷりで、コーラス部分を客に任せきりにするシンガーのパフォーマンスには苛々させられるものの、一方でそれに見事な反応を返す観衆の一体感溢れる大合唱には「お見事!」と素直に賛辞を贈りたくなります。
例え残念なクオリティでも、こうしたバンドとファンの熱いエネルギーの交歓がしっかりとフィーチュアされているライブ・アルバムには点数が甘くなるというもの。「良い曲と熱心なファンを沢山抱えているバンドは強いなぁ」と思わせてくれる1枚ですよ。


HEAVENS GATE - Livin' in Hysteria ★★★ (2014-06-10 00:04:05)

現在は売れっ子プロデューサーとして辣腕を振るうサシャ・ピート(G)も在籍していたドイツの5人組が、'91年に発表した2ndアルバム。
HELLOWEENの『守護神伝』シリーズと並んで、日本におけるジャーマン・メロパワ・メタル人気定着に一役買った記念碑的名盤として知られる本作ですが、一方で、そのサウンドにHELLOWEEN的な大仰な曲展開や、コミカルなノリは控えめ。
せっかくの緊張感をおちゃらけたサビメロで台無しにしてしまうフォロワー・バンド群とは一線を画す、JUDAS PRIESTを筆頭とするブリティッシュHM寄りのソリッドな疾走感と、ドイツのバンドらしい雄々しいメロディとがバランス良くブレンドされた必殺の名曲“LIVIN' IN HYSTERIA”と“GATE OF HEAVEN”の2曲は、HEAVENS GATEというバンドの魅力の結晶にして、ジャーマン・メタル史に燦然と輝く至高の逸品ですよ。
他にも、独産バンドの面目躍如たる重厚感で迫り来る③、スピーディに閃く⑦、ドラマティックなバラード⑪etc・・・と、捨て曲なしの本作が、HEAVENS GATEの最高傑作と評価を受けるのは、当然っちゃあ当然の話ですわな。
次作以降、音楽性を拡散の方向へと舵を切ってしまったことが返す返すも惜しまれますが、逆にこんな凄いアルバム作っちゃったら、後は音楽性を拡散させるぐらいしか次の一手が思い浮かばなかったたんだろうなぁ、とも。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army ★★★ (2014-01-07 00:04:57)

中島優貴(Key)を中心に結成されたバンドが、'81年に残した唯一作が待望の再発。しかもEARSTEN ORBITの『FUTURE FORCE』も同時再発ってんだから嬉しいったらないですよ。
歴戦の兵(解説の言葉を拝借するなら「一国一城の主たち」)が集ったスーパーバンドでしたが、ここで実践されているのは、インプロヴィゼーション重視の70年代型HRではなく――勿論そうした要素も本編には色濃く影を落としていますが――、疾走感溢れるリフ&リズムが楽曲を牽引する、ソリッド且つタイトに締まった80年代型HMサウンド。
特に、中島が刻む悲鳴のようなKeyリフ、荒ぶるシンキのGソロ、オカズ山盛りの宮永英一&チェピート竹内のリズム・ワーク、そしてJ.J.の男性ホルモンむんむんな歌唱が一体となって疾走するOPナンバー“HEAVY METAL ARMY”は、バンドのテーマ・ソングの名に恥じぬ名曲。
以降も、豪快なリフ捌きにガツンとやられる“YES OR NO”や、プログレ趣味が垣間見える“CHANGELING”から、(なぜか)大野雄二テイスト入ったラスト・バラード“生命の風”に至るまで、実にテンション高く駆け抜けていく1枚。
スーパーバンドの宿命に倣い、短命に終わってしまったことが惜しまれる名盤です。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army - Bird of Destiny ★★★ (2014-01-07 22:30:43)

何も知らずに「これ、角川映画のエンディング曲だよ」と
言われたら間違いなく信じたであろう、大野雄二テイスト
入ったスケールの大きな哀愁のバラード。
J.J.の熱唱、胸掻き毟りたくなる切ないソロを聴かせる
中島のシンセ、タメの効いたリズム、あと山本恭・・・
もといMr.XのGソロも大いに泣かせてくれます。


HEAVY METAL ARMY - Heavy Metal Army - Heavy Metal Army ★★★ (2014-01-07 22:20:11)

聴いてるだけで胸毛がもさもさになりそうなJ.J.の歌声、
攻撃的に切り込んでくるKeyとG、このテンポの楽曲にしては
異様に音数の多いドラムと、仰々しいタイトルに
決して負けていないパワフルさで迫り来るOPナンバー。
実は歌詞は結構軟弱なんですが(笑)、
思わず心にLOVE SUPER WEAPONを設置したくなる名曲に
間違いありません。


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose ★★★ (2016-05-27 23:16:22)

NWOBHMの波には少々乗り遅れても、名曲“ROLL THE DICE”のスマッシュ・ヒットと華のあるルックスの威力で(?)、堂々メジャー・レーベルとの契約を勝ち取ったスコットランド・グラスゴー出身の5人組が、’83年に発表した1stアルバム。
「DEF LEPPARDフォロワー」という評判、それにプロデュースをQUEENのブライアン・メイが手掛けていることが先入観となり、「どうせ好みの音じゃねぇだろう」と入手を後回しにしていた作品なのですが、実際に聴いてみたら、そのカッコ良さに膝ガクガク。
いや、確かにDEF LEPPARDっぽさは本編の端々から感じられます。OPナンバー“IN AND OUT OF LOVE”の爽快なコーラス・ワークとか、哀メロが胸打つ“BROKEN HEART”の洗練具合とか、“ROCK ME”が醸し出すアリーナ・ロック的スケール感とか、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる楽曲の数々は、それはそれでお気に入り。しかしそれ以上にグッと来るのが3曲目の“LOVE ON THE RUN”を皮切りとするにスリリングな疾走ナンバーの数々。特にハードネス、メロディの哀愁、ツインGのドラマ性、いずれの面においても本家DEF LEPPARDを凌駕せんとする気迫漲る“VICTIM OF THE NIGHT”と“HELL IS BEAUTIFUL”の2曲は、メタル者ガッツポーズ必至の逸品であると断言したい。逆にこういう荒々しさがあちらほど大衆受けしなかった要因なのかもしれませんが…。
個人的には、「DEF LEPPARDにあまりピンと来ない」という人に寧ろお薦めしたい1枚ですよ。


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose - Roll the Dice ★★★ (2018-05-08 00:12:51)

'81年にNEAT RECORDSからリリースした7インチ・シングルの
タイトル・トラックで、この曲の評判がHEAVY PETTINに
POLYDOR RECORDSとの契約をもたらしたという。
DEF LEPPARDとの類似点を指摘されがちな彼らですが、
この名曲で炸裂するシャープなGリフ、疾走感に満ちたリズム、
Voが歌う憂いを帯びたメロディがスピーディに畳み掛ける様は、
まさに「ザ・NWOBHM!」なカッコ良さ。
現在では1stの再発盤にボーナストラックとして収録されています。


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose - Victims of the Night ★★★ (2016-05-29 22:29:11)

「DEF LEPPARDのクローン」との先入観を粉砕する、
シャウト一発、切れ味鋭く走り出す必殺の疾走ナンバー。
スピーディでありつつも、コーラスにしろツインGにしろ、
ハーモニーの魅力が損なわれておらず、アグレッシブというより
「華麗」な印象を受けるのがこのバンドならでは。


HEAVY PETTIN' - Rock Ain't Dead ★★★ (2016-05-29 08:53:25)

デビュー作『LETTIN LOOSE』(’83年)が、NWOBHMの勢いに陰りの見え始めた英国で苦戦を強いられたことを受け、ソフト・フォーカス使いまくりのアートワークから音楽性に至るまで、一層「アメリカ志向」を鮮明に打ち出した'85年発表の2ndアルバム。
前作収録の“VICTIM OF THE NIGHT”や“HELL IS BEAUTIFUL”のようなへヴィ・メタリックな疾走ナンバーが姿を消し、よりポップに、よりコマーシャルに、テンポを抑え気味にした分、メロディのフックライン強化に全精力を注ぎ込んだかのような楽曲は、アンセミックな“ROCK AIN’T DEAD”、アルバムのハイライトの一つと言うべき乾いた哀愁漂わす“SOLE SURVIVOR”、「暗」なヴァースから「明」のサビメロへと曲調が鮮やかに変化する“CHINA BOY”…といった具合に、ますますDEF LEPPARD化が加速。特にボーカル・ハーモニーを分厚く敷き詰め、ライブ会場が一体となって盛り上がる様が目に浮かぶような収録各曲コーラス・パートの素晴らしさは本作の白眉ですよ。
鼓膜にピリピリ来るハイトーンが好悪分かれるVo等、洗練の度合いは本家に遠く及ばないまでも、代わりハードネスとメロディの欧州的薫りに関しちゃ相変わらずこっちのが上。哀愁のポップ・センスと英国産HMのエッジが同居するキャッチーな“HEART ATTACK”なんて、タイトル通り心臓にズドンと来る、本作ならではの名曲ではないかと。
個人的には、前作にも勝るとも劣らぬ力作のように思う1枚です。お蔵入りのはずがいつの間にかリリースされてた(全然知らんかった)3rdも気になりますね。


HEAVY PETTIN' - Rock Ain't Dead - Heart Attack ★★★ (2016-05-30 23:25:50)

歯切れ良く跳ねるキャッチーな曲調に
爽やかなボーカル・ハーモニーと
アルペジオを織り交ぜた哀愁のメロディが映える
2ndアルバムのハイライト。
夏休みの小学生顔負けのハシャギっぷりで歌いまくる
ハミーのVoは確かに評価の分かれ目かもしれんですが、
このバンドの重要な個性であることは間違いありません。


HEAVY PETTIN' - Rock Ain't Dead - Sole Survivor ★★★ (2016-05-30 23:34:35)

へヴィ・メタリックな疾走感は後退したものの、
その分、メロディのフック強化に全力を傾けた
2ndアルバムの方向性を物語るかのような哀愁のミッド・チューン。
分厚いハーモニーに包まれた、高いヒット・ポテンシャルを感じさせる
サビメロのコーラス・ワークがとにかく素晴らしい。
DEF LEPPARDにだって負けてませんよ。


HELIX - Back for Another Taste ★★★ (2019-06-03 00:03:14)

オーセンティックなHR/HMへの逆風が一気に強まった’91年。アルバム・セールスの勢いが衰えメジャーのCAPITAL RECORDSとの契約を失ったカナダのHELIXが、オリジナル・メンバーの一人だったブレント・ドエナーの脱退に伴い、シングルG編成の4人組となって発表した7thアルバム。プロデュースはトニー・ボンジオヴィがバンドと共同で担当しています。(曲によってはニール・カーノンの名前もプロデューサーとしてクレジット)
HELIXについてよう知らんかった当時、「カナダのAC/DC」と呼ばれていたらしいとの薄らボンヤリとした情報と、日本盤のリリースがスラッシュ/パワー・メタル系のカタログを多数抱えるテイチクのMETAL MANIAだったことから、きっと刺々しくアグレッシブなサウンドが詰まってるに違いないと勝手に期待して聴き始めてみたらば、音作りはマイルドだしパフォーマンスも洗練されているしで、思ってたのとかなり違うなぁと。
ただ、じゃあ退屈な作品なのかと問われれば答えは断じて「ノー」。聴く者を踊らせるキャッチーなノリの良さ&フックに磨きの掛かったメロディで、世が世ならヒット・チャートを席巻していたであろうポップな⑨やコマーシャルな⑪、嘗てのカミソリ感に情熱的な表現力も加味されたブライアン・ヴォウワー(Vo)の歌声が映えるバラード④等、本編にはガムシャラな荒々しさ以上に、ベテラン・バンドの貫禄と懐の深さが光る秀曲が並んでいます。中でもヒンヤリとした感触を残して駆け抜ける哀メロ・ナンバー②と、HELIXがHRバンドとしての牙を失っていないことを証明する疾走ナンバー⑫は絶品ですよ。
作を重ねて味わいを増したHELIXの魅力が堪能できる1枚。


HELIX - Back for Another Taste - Running Wild in the 21st Century ★★★ (2019-06-03 23:47:08)

あえて打ち込み感を強調したリズムや、煌びやかなコーラス・ワーク等、
HELIX流に料理されたモダンなハードポップ・チューン。
しかしこれが大変素晴らしい出来栄えでして、特にVoの歌う
都会的というか、どこか冷ややかな哀感を湛えたメロディにグッときますね。


HELIX - Back for Another Taste - Wheels of Thunder ★★★ (2019-06-03 23:52:05)

音作りは洗練されていてメタルっぽくはないのですが、
SAXONばりの曲名が物語る通りのハード・ドライヴィンな曲調と、
ベテラン・バンドらしい木目細かい曲作りの技とが同居した、
HELIXのHRバンドとしての牙が折れていないことを誇示する名曲です。


HELIX - Walkin' the Razor's Edge ★★ (2018-04-01 23:51:14)

RUSHやTRIUMPHほどじゃないにしろ、「本国やアメリカではそれなりの知名度を誇っているのに、ここ日本では全く認知されていないバンド」のカナダ代表としてその名が度々挙げられるHELIX。斯くいう自分も(名前の語感と音楽性が似ているせいか)スイスのKROKUSと時々ごっちゃになる程度の認識でして。本作はそんな彼らが米メジャーのCAPITAL RECORDSから'84年に発表するや、世界的なHMブームを追い風に、米・加ビルボード・チャートの上位にランクイン。最終的にはプラチナム認定を受けるぐらい売れまくった4thアルバムにして代表作たる1枚であります。
「R!O!C!K!ROCK YOU!」というHM版“ヤングマン”みたいなコーラスが、本編開巻を威勢よく宣言するスマッシュ・ヒット曲①(最高第27位)が体現するように、HELIXが聴かせてくれるのは、カミソリ声のシンガーのシャウトも映えるAC/DCやKISSなんかに通じるタテノリ・ロックンロール。抜けるような青空の下、カーステから流れて来た日にゃ思わずアクセル踏み込みたくなる、スカッとハジけるノリの良さを全面展開させつつ、能天気一歩手前で踏み止まって、メロディに哀愁を小さじ一杯分程溶かし込んでいる辺りはやりカナダのバンドであり、自分が本作を楽しめる理由でもあるという。
特にヘヴィ・メタリックな②、ワイルドにぶちかまされる⑤、曲以上にオッパイ大盤振る舞いPV(未検閲バージョン)が目に楽しかった⑥、そこはかとなく重厚感漂う⑩といった楽曲には、日の出の勢いだったHELIXの充実ぶりが如実に反映されているのではないかと。
長らく廃盤だった国内盤がこの度再発されたので、未聴の方はこの機会にいかがでしょう。


HELIX - Walkin' the Razor's Edge - Young & Wreckless ★★★ (2018-04-02 23:04:17)

タテノリのロックンロールを得意とするHELIXですが
Gリフの鋭さ、その上に乗るシンガーのカミソリ声、
ノリ良く合唱を誘発するメロディと、
この曲は完全にメタル。いやカッコイイ。


HELL 'N' BACK - Demon Supremacy ★★ (2014-05-08 22:58:30)

ANTHEM脱退以降は表舞台から姿を消していた中間英明(G)が、渡米時代に作り溜めていたマテリアルが正式音源化。
インストゥルメンタル作品ではなく、全曲英詞による歌入り。但し、元がデモテープなので音質はお世辞にも良好とは言えず。またシンガーの歌唱も、力みまくりのハイトーンが引っ繰り返りそうになる危なっかしさ。加えて、HURRY SCUARYの『BREAK IT UP』や名盤『POINT OF NO RETURN』と比べてしまうと収録曲は今ひとつ面白みに欠ける・・・と、あまり「アメリカ・レコーディング作品」というありがたみを感じさせてくれません。
しかし、そうしたモノトーンな本編中にあっても総天然色の華を終始撒き散らすのが、技術的にも感性的にも冴え渡る中間のGプレイ。例え地味な楽曲であろうとも、ひとたび彼の演奏が走り始めれば、一気に曲調が輝き出すのですから、御見事!としか言いようがありません。
長き不在を囲う内に、半ば伝説的存在と化していた「不世出のギター・ヒーロー」との評価が伊達じゃないことを再確認させてくれる1枚。ファン向け作品ですけどね。


HELL - Human Remains ★★★ (2011-07-11 22:42:45)

数々の不運を被ってNWOBHM史の陰へと埋もれてしまったバンドが四半世紀の時を経て復活。かつてのデモ用マテリアルを現代技術を駆使して再構築し、'11年に発表するや関係各所で絶賛を浴びた初のフルレンス・アルバムがこれ。
MERCYFUL FATEやKING DIAMONDに通じる、ダークで大仰でオカルティックなHMサウンドは、在りし日のNWOBHMの密教的な空気が、さながらタイム・カプセルの如く濃密に封入されているが、それでいて貧乏臭さや時代錯誤感がないのは、元々の楽曲の完成度の高さに加えて、プロデューサー兼ギタリストとして全面参加している、名手アンディ・ス二ープの仕事の枠を越えた献身に依るところ大か。
全面に押し出された大作主義に、曲間をSEとインスト曲で繋ぎ合わせ、映画のサントラばりに綴られる本編の壮大な構成等、プログレッシブ・ロックからの影響も露わな作り込みが為されている一方、比較的ストレートな疾走ナンバー⑥⑩を聴けば判る通り、エッジの立ったGリフと躍動感溢れるリズムがHM然としたノリの良さも備えているため、思ったよりずっと聴き易い本作。
とは言え、やはりこのバンドならでは個性とアルバムの聴き所がしかと刻印されているのは、奇怪に蠢くGリフ、起伏の激しいメロディを(現役俳優というスキルを活かして)シアトリカルに歌い上げるVo、荘厳にしてシンフォニックに曲調を盛り立てるKeyとが怪しく絡み合う、②③⑤⑦⑪といったオドロオドロしくもドラマティックな楽曲の数々だとは思いますが。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser ★★★ (2020-10-01 01:32:09)

看板シンガーの離脱でデビューEPのレコーディング作業やり直しを余儀なくされたかと思えば、記念すべきこの1stフル・アルバム(’20年)のリリース時期もコロナ禍の真っ只中と重なってしまったりと、タイミングに恵まれない印象がつきまとうHELL FREEZES OVER。しかし本作の内容はそうしたモヤモヤを吹っ飛ばすに十分な覇気が満ちています。
RAVENの名物ドラマー、ワッコ兄さんライクなキャラクターが描かれたヘタウマ・ジャケットやラフなエッジを残したプロダクションに加えて、耳をつんざくハイピッチVo、乾いた音色で荒々しく刻まれるGリフ、押せ押せで突き進む直線的なリズムが物語る通り、ここに託されているのは初期METALLICA、RAVEN、EXCITER等々、NWOBHMをやがてスラッシュ・メタルの領域へと押し進めた80年代初頭のスピード・メタル勢を彷彿とさせるサウンド。それでいて懐古的なニュアンスよりも、前のめりなイキの良さ、炸裂感の方が遥かに勝っている辺りが新人バンドならではじゃないでしょうか。
ついでに言うと、デモCDにも収録されていたシャウト一閃から走り始める名曲①、最速の爆走ナンバー⑤、刻んで刻みまくる代表曲⑧を筆頭に、全編をアッパー・テンションな疾走曲で固めつつ、ノリ良く跳ねる②、GリフがRIOTのアンセム“WARRIOR”を思わせる⑥、IRON MAIDENばりに組み上げられたインストの大作⑩といった楽曲をその合間に配して、全体の流れが単調にならぬようダイナミズムの演出にも気を払う等、1stにして既にアルバム作りに余裕さえ伺わせてくれる辺りも現代っ子バンドだなぁと。
期待していた連中が期待通りの作品を提示してくれた、まさに拍手喝采モノの1枚です。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser - The Last Frontier ★★★ (2020-10-01 23:42:44)

忙しなく刻まれるGリフがRIOTの名曲“WARRIOR”を思わせる疾走ナンバー。
アルバムにおいて印象に残る“HELLRASIER”“BURN YOUR LIFE”“OVERWHELM”
といった楽曲がEPやデモCDで既出だったのに対し、この曲はまっさらな新曲。
それでこのレベルのカッコ良さなのですから、バンドの地力の高さが伺えるってもんです。


HELL FREEZES OVER - Speed Metal Assault ★★★ (2018-09-14 00:07:33)

EVIL INVADERSの初来日公演で前座を務めていたHELL FREEZES OVERのライブを見て、楽曲とパフォーマンスのカッコ良さに感心し、会場で売られていたデモCDを速攻購入。正式デビューを心待ちにしていたのですが、その後音沙汰がなくなってしまい「もしかして解散した?」と訝しんでいたところ、’18年に漸くこの4曲入りEPが発表されたという。
驚いたのは、シンガーが交代しているじゃないですか。解説によればそのせいでリリースが遅れたのだとか(レコーディング作業をやり直した模様)。そりゃ、押し出しの強いルックスと歌唱力を併せ持っていた前任者に匹敵する逸材探しは難航して当然だわなと。ただ、苦労の甲斐あって新Voも全く遜色ない実力の持ち主。アクの強さは前任者ほどじゃない代わりに、よりストレートな声質は柔軟性に富む印象です。
そして何より楽曲が良い。作曲能力の高さはデモCDの時点で実証済みでしたが、鋭利なリフと小気味良く疾走するリズム、その上に歌えるVoとメロディックなツイン・リードが乗っかったサウンドは、スラッシュ・メタル…というよりも、その一歩手前のハードコアなHMといった趣き(METALLICAの1stとか、あの線)。①②のようなラフネスを纏って畳み掛ける疾走曲のみならず、ヘヴィな横ノリ・チューン③もこなしたりと、パラメーターをスピードに全振りしない姿勢からは、既に貫禄のようなものさえ感じられますよ。
バンドの代表曲でもある名曲④にて締め括られる本作は、適度な満足感と飢餓感を聴き手に与える挨拶代わりには打ってつけの1枚。一日も早いフル・アルバムの登場が待たれます。ついでに、いつの日かお蔵入りしてしまった前任者VerのEPも聴けると嬉しい。


HELL FREEZES OVER - Speed Metal Assault - Overwhelm ★★★ (2018-09-19 00:19:45)

デモCD『HELL’S GARAGE』にも収録されていることからも
バンドがこの曲に自信を持っていることが伺えます。
実際、オラオラ歌いまくるVo、鋭角的に刻まれるGリフ、
速過ぎず頭を振るのに持ってこいのテンポで疾走するリズム、
それにライブで演れば観客とのコール&レスポンスが盛り上がりそうなコーラスから、
各楽器の聴かせ所まで盛り込まれているという、まさに隙のない逸品です。


HELLEN - Talon of King ★★ (2008-05-08 23:38:00)

今越能人(Vo)、鈴木順一(Ds)、高梨康治(Key)らが中心となって、埼玉県で結成された5人組様式美HMバンドHELLEN。
MANDRAKE ROOT RECORDS所属の第1弾アーティストとして、彼らが'86年に発表したデビュー・ミニ・アルバムが、
ボーナス・トラックに、当時のソノシート音源⑦を追加収録して、待望の復刻。
バンド名と、「日本におけるネオ・クラシカル系様式美バンドの先駆け」との評判は知っていても、
今まで音の方を聴いた事はなかったのだが、実際に聴いてみると、これが思っていた以上に良い。
暗く湿った、歌謡曲テイストも感じさせるメロディ・ライン、ドラマティックな曲展開、そして、ハイテク・ギタリスト
清水保光のネオクラシカルな速弾きと、(現在では作曲家として大忙しの)高梨康司のKeyが、ガップリと四つに組んで
火花を散らす楽曲の数々は、「これぞジャパニーズ様式美HM!」と、思わずサムズアップしたくなる
カッコ良さに満ちていて、中でも、後にSHOW-YAもカヴァーした疾走チューン①や、憂い満ちた劇的なバラード④は、
様式美HMファンなら一聴が価値ある、本編のハイライト・ナンバー。
また、⑤のように結構キャッチーな味付けのなされたポップ・チューンも収録されていたりして、音の悪さを差し引いても
(何せマスター・テープの劣化が酷くて、今迄CD化できなかったぐらいなのだから、その音質は推して知るべし)、
十分、魅力的な内容を誇る1枚。初期 聖飢魔Ⅱとかが好きな人なら、結構楽しめるのではないだろうか?
尚、バンドは近年再結成、EPを1枚発表しているのだが、アナログ盤リリースのみというのは納得いかんぞ。


HELLEN - Talon of King - Liar ★★ (2008-05-10 01:05:16)

クサいぐらいに泣きまくるメロディといい、
コブシの効いたVoといい、
まさにジャパニーズ様式美HMのバラード、斯くあるべし!
な1曲。歌謡曲的なノリがダメな人は全くダメだろうが、
個人的にはまさにツボ。
流麗且つドラマティックなGソロも○。


HELLEN - Talon of King - Lonely Heart ★★ (2008-05-10 01:09:17)

ポップな曲調と、爽やかなサビメロが印象的な、
哀愁のハード・ポップ・ナンバー。
肩の力が良い感じに抜けていて、実はアルバムで
一番好きな曲だったりする。


HELLEN - Talon of King - Talon of King ★★ (2008-05-10 01:01:18)

GとKeyがそれぞれ見せ場を作り、
ドラマティックに疾走する、これぞ様式美HM!との
魅力に溢れた、アルバムのOPナンバー。


HELLION - Screams in the Night ★★ (2009-12-20 12:36:00)

ランディ・ローズに師事し、必殺のUPSIDE DOWN奏法(ギターを逆さに構えてタッピングするという死ぬほど無意味な奏法)が
一部で話題を呼んだ(?)ギタリスト、チェット・トンプソンを擁するLA出身の4人組が'87年に発表した1stフル・アルバム。
「女ロニー・ディオ」ことアン・ボレインの男勝りでパワフルなVoと、アメリカのバンドらしからぬ
硬派でダークなHMサウンドが、明るく華やかなLAメタル・シーンの中にあって一際異彩を放っていた彼らだが、
この頃はまだまだ、アンの歌唱といい楽曲といい、お世辞にも垢抜けてるとは言えず、全体的に荒削りな印象は否めない。
尤も、この時点で「正統派HM」という方向性は明確に定まっており、既にアンの歌声からは強力なサムシングが
感じられるし、チェット・トンプソンのGプレイも、エレクトリック・シタールを用いたインスト曲④を筆頭に、
流石「ランディ・ローズ門下生」の看板は伊達じゃねぇな、と唸らされるだけの構築美を湛えていて聴き応え十分。
特に、アルバムの幕開けに相応しい勇壮な①、様式美HM然とした起承転結を有する⑤、そしてアルバム後半の
ハイライトと言うべき、RAINBOWの名曲“STARGAZER"を彷彿とさせる神秘的且つドラマティックな
ラスト・ナンバー⑧といった楽曲は、両者の魅力が十二分に発揮された名曲に仕上がっている。
HELLION入門篇としては次作『THE BLACK BOOK』をお薦めするが、様式美HMファンなら本作もきっと気に入る筈。


HELLION - The Black Book ★★ (2008-08-31 22:37:00)

かつてはWARLOCKのドロ・ペッシュ、CHASTAINのレザー・レオーネ、TERRA ROSAの赤尾和重らと共に、女ロニー・ディオ四天王と畏れられ(?)、
また、スラッシュ/パワー・メタル・ファンには、ポンコツZ級レーベルNEW RENAISSANCE RECORDSのオーナーとして
お馴染みのアン・ボレイン(Vo)率いるHMバンドHELLIONが'91年に発表した、彼らの最高傑作と名高い2ndアルバム。(邦題は『暗黒の書』)
近頃、再結成を果たしたと噂のLAのスラッシュ・メタル・バンドDETENTEに、アン・ボレインが加入したというニュースに
驚かされて以来、また頻繁に聴くようになった本作だが、これがアン姐さんの男勝りのパワフルVoと、
ランディ・ローズ門下生として知られるチェット・トンプソンを筆頭とした、4人のギタリスト達の構築美溢れるメロディアスなGプレイ、
そして、タイトでソリッドなリズム隊がガッチリとスクラムを組んだ、ドラマティックな様式美パワー/へヴィ・メタル・サウンドが
全編に渡って炸裂する好盤に仕上がっていて、改めて「良いバンドだったなぁ」と、認識を新たにした次第。
アン・ボレインが小説としての発表も考えていたという、怪奇と幻想が交錯する、ミステリアスなストーリーをフィーチュアした
コンセプト・アルバムということで、曲間に配された小曲やSEが、作品全体のドラマ性を効果的に高めている事も特筆すべき点なれど、
やはり本作の肝は、JUDAS PRIESTの名曲“THE HELLION"を彷彿とさせる劇的な導入部を持つアルバム表題曲②に始まり、
本編のラストを締め括る、LED ZEPPELINの代表曲“移民の歌"のパワフルなカヴァー⑭に至る、収録楽曲のクオリティの高さ。
特に、起承転結を備えたドラマティックな曲展開が、本編のハイライトを飾るに相応しい⑬なんかは、様式美HMファンなら必聴の名曲かと。
これを聴いていると、DETENTEの新作への期待も高まりますなぁ。(彼女が曲作りに参加してるといいのだけど・・・)


HELLION - Up from the Depths ★★ (2011-12-23 10:27:03)

THE RUNAWAYSのセッションKey奏者としてキャリアをスタートさせたアン・ボレイン(Vo)によりLAで結成されたHELLIONが、80年代にシングルやミニ・アルバムとして発表した音源を1枚に取りまとめた便利なコンピ盤。
①はパンク系レーベルMYSTC RECORDSから、かのBITCHとのスプリット仕様で'82年にリリースされたシングル曲で、②~④は過ぐる年に英国の輸入盤チャートを賑わせたという'83年リリースのセルフ・タイトルのデビューEP収録曲。そしてJUDAS PRIESTの名曲“EXCITER”のカヴァーを含む⑥~⑨は'89年発表のEP『POSTCARDS FROM THE ASYLUM』収録曲・・・ってな構成。
大仰さやドラマ性が然程でもない初期の楽曲は、チープな音質と相俟って荒削りなマイナー・メタル臭が濃厚に漂ってくるものの、今ほどコブシの回っていない蓮っ葉なアン姐さんのスケ番チックな歌声は逆に新鮮で、何よりLAメタルの華やかさとは決定的な断裂を感じさせる、ダークで鈍色の光沢を放つ正統派HMサウンドはやはりカッコイイ。
②は'85年当時、英KERRANG!!誌において月間ベスト・チューンにも選出された実績を持つHELLIONの代表曲だし、オドロオドロしくもドラマティックに盛り上がる⑦やスピーディなパワー・チューン⑨(この頃には既に女ロ二ー然とした貫禄が身についています)も、このバンドの何たるかがクッキリと焼き付けられた名曲。
見かけたら押さえておいて損はない作品ですよ。


HELLION - Up from the Depths - Exciter ★★ (2011-12-25 12:01:03)

言わず知れたJUDAS PRIESTの名曲のカヴァー。
アン・ボレインのロブ・ハルフォードに
迫らんとするパワフルな歌いっぷりは痛快だが、
グレン&KKの名演を台無しにする、
速弾ギタリストの自己満足Gソロが減点材料かな。


HELLOISE - A Time & A Place for Everything ★★ (2008-02-22 21:18:00)

『COSMOGONY』と『POLARITY』という、2枚の名盤を残して解散した、オランダはロッテルダム出身の5人組正統派HMバンドが、
バック・カタログのCD化を記念して行ったコンサートの、予想以上の好評に自信を持ち、オリジナル・メンバーでの
再結成を決意。解散から実に12年ぶりとなる'98年にリリースした3rdアルバムがこれ。
叙情的なイントロに期待が高まり、PRAYING MANTISばりの哀メロが炸裂する名曲①に代表されるように、そのサウンド・スタイルは
忠実に解散以前の作風を継承していて、明る過ぎず暗過ぎない、独特の透明感を湛えたメロディ・センスも健在。
ルックスはともかく(笑)、メンバーの技量にも衰えはなく、劇的なメロディを紡ぎ出すツインG、そしてスタン・フェルブラークの
ロビン・マッコーリーを彷彿とさせるメロウな歌声は、相変わらず心地良いったらありゃしない。
楽曲的には、前述の①を始め、アコギを効果的に用いて切なく駆け抜けていく③、憂いを帯びたメロディが魅力の④、
アコギ1本をバックに歌う、スタンの絶品の歌唱力が堪能できるバラード⑤といった名曲/佳曲が並ぶ、本編前半の
クオリティが際立っていて、強力なキメ曲に欠ける後半は、印象的にはやや弱い。張り切り過ぎてボーナス・トラックを含め14曲も
収録しちゃった事も、ダレを感じさせる一因かな、と。勿論、並みのバンドに比べりゃ遥かにハイクオリティなのは言うまでもないが。
とは言え、ファンの期待に見事に応えた入魂の1枚であることに違いはない。1stや2ndが気に入った人はマスト・バイ。


HELLOISE - A Time & A Place for Everything - Blame It on the Night ★★ (2008-02-22 21:28:38)

イントロの美しいGメロディにグングン期待が高まり、
PRAYING MANTISばりの哀メロ・ナンバーが始まった瞬間、
思わずガッツポーズ。往年のファンの期待に見事に応えた、
全盛期を彷彿とさせる名曲。


HELLOISE - A Time & A Place for Everything - Fallen Angel (Where Are You Now?) ★★ (2008-02-22 21:31:16)

スタン・フェルブラークの浮気体験アンビリーバボーに
ついて歌ったナンバー(?)。
切なく駆け抜けていく曲調に絡む、
効果的に用いられたアコギが非常に印象的。


HELLOISE - Cosmogony ★★ (2008-02-18 21:40:00)

元HIGHWAY CHILEのメンバー、エルンスト・ファン・イー(Ds)とベン・ブラアフ(G)が中心となって結成した、
オランダ出身のHRバンドで、スタン・フェルブラーク(Vo)とサイドG、Bが合流して最終的なラインナップ完成後、
デモテープを制作する傍ら、オランダ国内の有望な新人バンドを発掘するコンテストに参加して、準決勝まで進出。
そこでのパフォーマンスが認められ、WEA HOLLANDと契約し、'86年にリリースしたデビュー作がこれ。
「ウィ~ア~ウィ~ア~、セイラ~ズ・オブ・ザ・ユニバ~ス~♪」というコーラスが、1度聴いたら耳から離れない
名曲“COSMOGONY"で幕が開く本作は、スリリング且つドラマティックなツインGと、透明感溢れるハイトーンが魅力的なVoを
フィーチュアして繰り広げられる、正統派のHMサウンドがその最大の売り。NWOBHMからの影響もそこかしこから
感じられるものの、湿気っぽくなることなく、基本的にカラッと明るい雰囲気をまとっているが、イギリス辺りの
バンドとは異なる、このバンドならではの味わいかと(能天気という意味ではない)。
80年代のオランダ・ロック・シーンを代表する名盤の1つだけに、全8曲、捨て曲は皆無なれど、特に前述の
アルバム表題曲①、そして劇的に疾走する⑤は、ヘヴィ・メタル・ファンなら避けては通れぬ名曲と断言したい。
優れた内容を誇りながらも、熱意に欠けるレコード会社の方針転換やら人事異動やらのドタバタに巻き込まれ、
全く話題になる事なく時代に埋もれてしまった、不遇の名盤。


HELLOISE - Cosmogony - Cosmogony ★★★ (2008-02-18 21:44:34)

1stアルバムのタイトル・トラックにして、
ドラマティックに疾走するアルバムのハイライト・チューン。
キャッチー且つ壮大な「ウィ~ア~、ウィ~ア~、セイラ~ズ・オブ・ザ・ユニバ~ス」
のコーラスは、1度聴いたら確かに癖になります。


HELLOISE - Cosmogony - Ready for the Night ★★★ (2008-02-18 21:50:36)

ズッズッズッと刻まれる重厚なイントロで何かを期待させ、
軽快に疾走する曲調の上を、憂いを帯びた歌メロが
乗っかった瞬間、期待が確信へと変わる名曲。
特に、ブリッジ部分の劇的なツインGのアレンジと
哀メロのフックには強烈なものがある。


HELLOISE - Fata Morgana ★★ (2008-02-26 21:15:00)

サイドGとBが脱退し、その穴をスタン・フェルブラーク(Vo)、ベン・ブラアフ(G)、エルンスト・ファン・イー(Ds)ら
残ったメンバーで埋めつつレコーディング、'01年に発表された再結成第2弾(通算では4枚目の作品となる)アルバム。
北欧のバンドにも通じる透明感を湛えた、メロディックな正統派HRサウンドという基本路線に大きな変化はないものの、
今回はプロデューサーにサシャ・ピートを迎えたせいか、ミドル・チューンを主体に、じっくりとメロディを聴かせる
作風だった前作から一転、スピーディに疾走する②を筆頭に、劇的且つスリリングなツインGの絡みを前面に押し出した、
前3作を大きく上回るアップテンポなパワーが漲った、重厚でヘヴィ・メタリックな内容に仕上がっている。
また、収録曲の殆どが5~7分台と、大作主義が打ち出されているのも本作の特徴の1つで、特に、ラナ・レーン(Vo)が
ゲスト参加して、スタンとデュエットを聴かせる⑩は、凝ったアレンジといい、ドラマティックな曲展開といい、
プログレッシブ・ロック的な味わいさえ感じさせるナンバー。この辺は、アディショナル・プレイヤーとして本編に
全面参加している、ロビー・ヴァレンタイン(Key)からのインプットも、少なからずあったものと想像されるが、どうか?
(英国ポップ・シンガー、バリー・ライアンのカヴァー⑥なんて、もろQUEEN風の仕上がりだし)
前作の詰め込み過ぎを反省したのか、10曲まで絞り込まれた楽曲は、ロシア民謡調のメロディからダイナミックに
スタートする名曲①を皮切りに、ラストを締め括る前述の大作⑩まで捨て曲なし。再結成後の最高傑作といっても
過言ではない内容の1枚じゃないだろうか(といってもまだ2作目だけどね)。
それだけに、最近、バンドからさっぱり音沙汰がないのが残念至極。


HELLOISE - Fata Morgana - Eloise ★★★ (2008-02-26 21:29:43)

イギリスのポップ・シンガー、バリー・ライアンのソロ転向後、最初のヒット曲となったナンバーのカヴァー。
キュートでポップなメロディ、オーケストレーションを
取り入れたドラマティックな曲展開が、QUEENの
“BOHEMIAN RHAPSODY"に影響を与えた事でも知られる名曲。
ロビー・ヴァレンタインが参加したアルバムで
この曲をカヴァーしたのは意図的なこと?


HELLOISE - Polarity ★★ (2008-02-19 22:32:00)

VANDENBERG等と共に、80年代のダッチ・メタル・シーンを彩ったロッテルダム出身の5人組HRバンドが、
'86年に発表した2ndアルバムにして(とりあえずの)ラスト作。
若干、オーバー・プロデュース気味という点を除けば、前作『COSMOGONY』の作風を忠実に受け継いだ内容で、
スリリング且つ劇的に絡み合うツインG、ロビン・マッコーリー似のメロウな声質が魅力のVo、華麗なコーラス・ワークetc・・・
といった要素の素晴しさは相変わらずだし、NWOBHMからの影響が色濃く薫る楽曲を、垢抜けたアレンジで聴かせるセンスも、
暗くなり過ぎず、かと言って明るく弾ける事もない、このバンド独特の透明感を漂わせたメロディも健在。
↑の方々のレビューを読むと、結構厳しい評価を頂戴しているようですが、後追いファンの我が身には、
名曲“COSMOGONY"の印象的なコーラスがリフレインされる、スケールの大きなOPチューン①を手始めに、美しいアコギの
調べ④に導かれ、叙情的な前半からハードに盛り上がっていく⑤、バンド名を冠するに相応しい、ドラマティックな
疾走っぷりを聴かせてくれる⑥、泣きのバラード⑨といった名曲を収録した本作もまた、1stアルバムに匹敵する品質を
備えているように思う次第。特に⑥は「この1曲のためだけにアルバムを買っても後悔はない」レベルの名曲ですよ!
これほどの名盤を持ってしても状況は好転せず、結局、バンドは解散の道を選択するわけだが、現在では再結成を果たし、
元気に活動中なのは皆様ご存知の通り・・・って、最近音沙汰ないよなぁ。堅気の仕事が忙しいのか?


HELLOISE - Polarity - Helloise ★★★ (2008-02-19 22:45:05)

劇的に疾走する、まさにバンド名を冠するに相応しい、
2ndアルバムのハイライト・チューン。
ドラマティックな序盤を経て、曲が走り出すその裏メロで
アコギを鳴らすアレンジは、何度聴いても脱帽モノ。


HELLOISE - Polarity - Polarity ★★ (2008-02-19 22:36:03)

アルバムの出来の良さを確信させるに足る、
劇的且つ、スケールの大きさを感じさせる疾走チューン。


HELLOWEEN - Keepers Live ★★★ (2018-03-26 00:42:54)

恩讐を乗り越えて、現在は夢の《PUMPKINS UNITED》ツアーを敢行中のHELLOWEENが、マイケル・キスク(Vo)とカイ・ハンセン(G)在籍時代に唯一残した公式実況録音盤。
'88年~'89年にかけて行われた《PUMPKINS FLY FREE TOUR》より、エジンバラ/マンチェスター公演の模様を収録する本作は、まず何と言っても会場に詰め掛けた英国ファンの盛り上がりっぷりが凄いのなんの。のっけの「HAPPY HAPPY HELLOWEEN~♪」コールに始まり、キスクに代わってサビで大合唱を轟かす“Dr. STEIN”から、バンドと白熱したコール&レスポンスを繰り広げる“FUTURE WORLD”に至るまで、各曲において客席が放つ圧倒的熱量の高さからは、当時のHELLOWEENがいかにイギリスで強固なファン・ベースを築いていたかを伺い知ることができます。
そして、全速力で駆け抜ける“I WANT OUT”を中継して、クライマックスには満を持して“HOW MANY TEARS”が登場。カイのVoですら(失礼)素晴らしかったあの名曲が、豊かな声量を誇るキスクの堂々たる歌唱によって蘇る。その上、ライブならではの遊び心やドラマティックな仕掛け――コミカルな掛け合いを経てイントロのGリフが炸裂する瞬間や、殆ど演歌的とも言えるスローダウンを挟み、そこから劇的にスピードUPしていく曲展開の鳥肌モノのカッコ良さたるや!――を伴って猛然と突っ走られた日にゃ、「折角の黄金時代のライブ盤なのに選曲と曲数が物足りねー」ってな個人的不満は力尽くで捻じ伏せられてしまいましたよ。
尚、数年前にHELLOWEENの旧譜の再発ラッシュがあった際、本作も「もしや完全版がリリースされるのでは?!」と期待したものですが、勿論そんなことはなかったという。ちぇっ


HELLOWEEN - Keepers Live - How Many Tears ★★★ (2018-03-29 00:09:36)

高音域でも全くパワーが落ちないハイトーンVoや、
リフにソロに切れ味抜群のツイン・リードGの素晴らしさは
当然のこととして、改めてこのライブ・バージョンを
聴き直すと、マーカス・グロスコフのメロディアスなBプレイと、
何より楽曲の強力な推進剤役を担うインゴのドラミングの
ガムシャラな飛ばしっぷりに圧倒されてしまいますね。
一旦スローダウンして、パイロの爆発音を伴いながらドラムが再び
全力疾走を開始するパートは何度聴いてもゾクッとさせられます。


HELLOWEEN - Unarmed - Best of 25th Anniversary ★★★ (2011-10-11 22:03:12)

今更購入して聴いてみたのですが、こりゃ素晴しい作品ですね。
70人編成のオーケストラとオペラティックな男女混成コーラスを加えて、元々ドラマティックだった楽曲が一層壮麗且つシンフォニックに蘇った“ THE KEEPER'S TRILOGY(守護神伝3章を一つに編曲したアルバムのリーダー・トラック)や、バラード“FOREVER & ONE”“A TALE THAT WASN'T RIGHT”といった名曲のリアレンジ・バージョンを聴くためだけにでも購入する価値が大いにある本作だが、そうした大仰な仕上がりの楽曲はどちらかと言えば少数派で、本編の大半はアコースティカルだったりバラード調だったりと、肩の力を抜いた軽快なアレンジが施されたナンバーが占めている。
HELLOWEENのコミカルな側面が打ち出された作風には賛否が分かれるやもしれませんが、別にメロディまで能天気になってしまったわけではなし。サックスが景気良く吹き鳴らされる“DR.STEIN”、アコーティック化された事により叙情性がいや増した“IF I COULD FLY”、女性Voも取り入れて見事にお洒落なポップ・ソングへと変換された“EAGLE FLY FREE”辺りを聴くにつけ、こうした陽性なアレンジが施された事で逆に元曲のメロディの良さが浮き上がってきたように感じられる次第。


HELSTAR - A Distant Thunder ★★ (2009-08-14 23:03:00)

'81年にテキサス州はヒューストンにて結成され、紆余曲折を経た現在もしぶとく活動を続ける
5人組の正統派HMバンドが、METAL BLADE RECORDS移籍第1弾として'88年に発表した3rdアルバム。
スラッシュ/パワー・メタル風味の攻撃性を備えつつ、スピードよりも構築感を重視した曲展開で畳み掛けるスタイルや、
全盛期のロブ・ハルフォードを彷彿とさせるジェイムズ・リヴェラの突き抜けるようなハイトーンVoと、光沢を帯びた音色で
劇的なメロディを豊かに紡ぎ出すJUDAS PRIESTばりのツインGを前面に押し出した作風は、2nd『DIGITAL DICTATOR』を
発表した頃のVICIOUS RUMORSを彷彿とさせる。(後にジェイムズ・リヴェラは本当にVRに加入する事になるのだが)
歌唱能力の高さに比べ、歌メロにキャッチーさが欠ける(フックが弱い)ため、「あともう一息」のレベルで足踏みを
してしまう楽曲にもどかしさを覚えるのも事実なのだが、それをカバーするかのように、2本のGが雄弁に歌いまくっているゆえ
その完成度自体は押し並べて高く(ブリブリ動き回るBも非常に良い仕事をしています)、捨て曲は見当たらない。
中でも、リリカルなピアノの調べを纏ってバラード調に始まり、激しくスピーディに盛り上がっていく⑧は、本編のハイライト
のみならずHELSTAR史上屈指の名曲であり、この曲を聴くためだけに本作を購入しても損はない!・・・と思うのだがどうか。
個人的には、HELSTARの作品ではよりプログレ方面へと歩みを進めた次作『NOSFERATU』がイチオシなのだが、
↑上の方が仰られている通り、入門編としてはよりコンパクトに締まった作風の本作の方が適当かと。
で、これが気に入ったら『NOSFERATU』も是非どうぞ。


HELSTAR - A Distant Thunder - Winds of War ★★★ (2009-08-14 23:07:37)

叙情バラード風のイントロに始まり、
スピーディ且つアグレッシブに盛り上がりつつ
最後はまたバラード調に締め括られるという
起承転結がバッチリ決まった
様式美パワー・メタル・チューンの名曲。
リリカルなピアノ・サウンドの導入も効果的。


HELSTAR - Nosferatu ★★ (2009-08-06 21:02:00)

吸血鬼のイラストが描かれたジャケット・アートワーク、インスト曲やKeyの導入、曲間にSEやダイアログを配置して
本編に芝居懸った流れを演出するなど、「ドラキュラ(ヴラド・ツェペシュ)伯爵をテーマに取り上げた
半コンセプト・アルバム」という内容に相応しい盛り上げが為された、'89年発表の4thアルバム。
音楽性の方は、ジェイムズ・リヴェラの強力なハイトーンVoと、テクニカル且つメロディックに弾きまくるツインGを
活かした、アメリカのバンドらしからぬダークでドラマティカルなパワー・メタル。荒々しいリフの刻みっぷりからは
スラッシュ・メタル的な勢いも感じられるが(プロデューサーはビル・メトイヤーだし)、起伏に富んだ
曲展開重視で畳み掛けてくるスタイルゆえ、疾走感はそれほどでもない。個人的には初期QUEENSRYCHEを
思い出したりしたが、調べてみるとANGEL WITCHと比較している人が結構居て、なるほど言われてみれば確かになぁ、と。
それにしても素晴しきは、ハードな曲のみならず⑥のようなヘヴィ・バラードすら説得力たっぷりに歌いこなす
ジェイムズ・リヴェラのVo。近年は、VICIOUS RUMORSの来日公演で彼の強力無比な歌声に生で接する機会に恵まれたが、
その歌唱スタイルは、本作の時点で既に完成されていることが良く分かる。特にOPナンバーの①は、
朗々と歌い上げるパワフルなVo、流麗且つ劇的なメロディを紡ぎ出すツインG、ドラマティック極まりない
曲展開とパワー/スラッシュ・メタル然としたアグレッションが組み合わさった本編の白眉。
作品全体にもう少しキャッチーな部分が欲しかった気もするが、まぁ贅沢な無い物ねだりということで。


HELSTAR - Nosferatu - Baptized in Black ★★★ (2009-08-06 23:11:11)

美しく爪弾かれるアコギをフィーチュアした序曲を、
スラッシーに刻まれるGリフが打ち破ってスタートする
スリリングでドラマティックな4thアルバムOPチューン。
ダークで怪しげな雰囲気漂うメロディを朗々と歌い上げ
楽曲に説得力とドラマ性を付与するジェイムズ・リヴェラのVoと、
テクニカル且つ劇的に弾きまくるツインGが素晴しいったら。


HELSTAR - Nosferatu - Perseverence and Desperation ★★★ (2009-08-06 23:28:22)

ジェイムズ・リヴェラの代わりに、2本のギターが
これでもか!と歌いまくるドラマティックでクラシカルな
インスト・ナンバーの名曲。
テクニカルなだけでなく、胸にグッとくる哀愁を帯びた
メロディを紡ぎ出すツインGの名演に酔える1曲。
そのまま名バラード“THE CURSE HAS PASSED AWAY"に
繋がっていく展開も上手い。


HELSTAR - Nosferatu - The Curse Has Passed Away ★★★ (2009-08-06 23:23:24)

アコギを効果的に取り入れた
HELSTAR流パワー・バラードの名曲。
パワフルな楽曲のみならず、こうした
スロー・ナンバーも説得力十分に
歌いこなせるジェイムズ・リヴェラは
やはり素晴しいシンガーだ。


HERETIC ★★ (2008-01-12 02:05:00)

ブライアン・コーバン(G)、デニス・オハラ(B)らがLAにて結成。
'86年に、EP『TORTURE KNOWS NO BOUNDARY』でデビューを飾る。
(この時のVoは後にABATTOIRに参加するマイク・トレスだった)
その後、Voをマイク・ハウに代え、プロデューサーにMETAL CHURCHのカート・ヴァンダフーフを迎えて
名盤と名高い1stフル『BREAKING POINT』を発表するも、
ハウをMETAL CHURCHに引き抜かれてしまい、バンド活動は停滞。
残されたメンバーは、METAL CHURCHの初代Voデヴィッド・ウェインと、
よりスラッシュ・メタル色を強めたバンドREVERENDを結成。
2枚のEP(うち1枚はライブ)と2枚のアルバムを発表する。


HERETIC ★★ (2013-02-17 01:59:09)

cri0841様のご指摘の通り、
デビューEPで歌っているのはジュリアン・メンデスですね。
マイク・トレスは『METAL MASSACRE Ⅶ』に楽曲提供した後、
『TORTURE KNOWS NO BOUNDARY』リリース前に脱退していたことを
実は結構最近まで知りませんでした。(あー、恥ずかしい)
 
この機会に謹んで訂正させて頂きます。


HERETIC - Breaking Point ★★ (2008-01-12 01:54:00)

METAL CHURCHの二代目フロントマンとして知られるマイク・ハウが、それ以前に在籍していた
LA出身の5人組パワー・メタル・バンドHERETIC、'88年発表の1stフル・アルバム。
METAL CHURCHの司令塔カート・ヴァンダフーフがプロデュースを手掛けた本作は、どうにも垢抜けない印象の漂っていた
デビューEP『TORTURE KNOWS NO BOUNDARY』から一足飛びの成長を感じさせる内容で、前任Voとの格の違いを見せ付ける
マイクの光沢を帯びた歌唱と、叙情的なインスト曲を要所に配した劇的な本編の構成に加えて、アコギ/Keyを巧みに
織り込んだアレンジや、2本のGから紡ぎ出される、ヨーロピアンな湿り気をタップリと含んだメロディにグッと深みが
増したことで、楽曲に宿るドラマ性が急上昇を遂げていて、本格派パワー・メタル・バンドとしての
貫禄に満ちた作風に仕上がっている。また、カートがかなり深く曲作りに関与したのか、Gリフの刻み具合が
強烈な②⑦を始め、METAL CHURCH的な要素を備えた楽曲が収録されているのも、本作の特徴と言えるかも。
尤も、METAL CHURCHに比べるとずっと正統派HM寄り(メロディック)なサウンドが彼らの持ち味であり、
特に、叙情的なイントロを打ち破って、ソリッドに疾走するバンドのテーマ・ソング①は、全メタル・ファン必聴の名曲。
エレアコを効果的に用いた勇壮な③、2本のGがじっくりとドラマを練り上げていく緩急の効いた⑤、
本編ラストをドラマティックに飾るパワー・バラード⑩といった楽曲も、このバンドならではの個性が光る仕上がり。
日本盤が発売されていないのが不思議なくらい、ハイクオリティな内容を誇る名盤です。


HERETIC - Breaking Point - And Kingdoms Fall ★★ (2008-01-12 02:09:38)

デビューEPから、バンドが格段を成長を遂げた事を物語る、
勇壮且つドラマティックなナンバー。
エレアコを巧みに取り入れたアレンジ・センスが光っています。


HERETIC - Breaking Point - Heretic ★★★ (2008-01-12 02:07:31)

叙情的なイントロをソリッドなリフが切り裂き、
疾走を開始するバンドのテーマ・ソングにして
アルバムのOPチューン。
パワー・メタル好きならガッツポーズものの
カッコ良さを誇る名曲。


HERETIC - Breaking Point - The Search ★★★ (2008-01-12 02:12:25)

本編のラストをドラマティックに締め括るパワー・バラード。
アメリカのバンドとは思えぬ、ヨーロピアンな湿り気を帯びた
ダークなメロディの素晴しさも然ることながら、
やはりこの曲の肝はマイク・ハウの歌声。
既にこの時点で、彼の歌唱スタイルは確立されています。


HERETIC - Torture Knows No Boundary ★★ (2008-01-13 22:11:00)

LAにて結成された正統派パワー・メタル・バンドHERETICが、'86年に発表した5曲入りデビューEP。
METAL CHURCHで強力な歌唱を披露していたマイク・ハウが、嘗て在籍していた事でも知られるバンドだが、このEPで歌っているのは、後にABATTOIRに参加するマイク・トレス(※訂正:本作で歌っているのは2代目フロントマンのジュリアン・メンデス)。音程無視の喚き型Voと、ヒステリックなシャウトは好き嫌いが分かれるところだし、ハウと比べると聴き劣り感は否めないものの、如何にもメタル・シンガー然とした歌唱は、これはこれで十分魅力的だし、何より、楽曲のカッコ良さはこの頃から既に半端ない。
サウンド・プロダクションがイマイチなため、どうにも垢抜けないB級チックな雰囲気が漂うが、アメリカ(それもLA)出身のバンドとは思えぬ、ヨーロッパ的のダークネスと叙情性を備えたメロディを奏でるツインGを中心に据え、パワフル且つアグレッシブに押し出して来る楽曲は、流石に強力な出来栄え。特に、「これぞヘヴィ・メタル!」なミドル・チューン③は、本格派パワー・メタル・バンドとして一皮剥けた1stフル『BREAKING POINT』とはまた一味違った、荒々しく突き刺さってくるかのようなマイナー調の味わいが印象に残る名曲。
現在は『BREAKING~』とのカップリング仕様のMETAL BLADE盤が出回っているようだが、適当なジャケットといい、
歌詞カードも何もついていない不親切な作りといい、板起こしの音源といい、どうもリプロ盤臭いんだよなぁ。


HERETIC - Torture Knows No Boundary - Portrait of Faith ★★ (2008-01-13 22:17:41)

うーん、へヴィ・メタル!と思わず握り拳を作ってしまう
荒々しく勇壮なミドル・チューン。ヨーロッパ的なダークネスを
たっぷりと含んだメロディを紡ぎ出すツインGが良い味。


HERICANE ALICE - Tear the House Down ★★★ (2018-08-09 00:39:18)

台風襲来の時期になると思い出す(雑な嘘)LAから現れた4人組、その名もHERICANE ALICE(ハリケーン・アリス)が'90年にATLANTIC RECORDSから発表した最初で最後のフル・アルバムをご紹介。
景気の良いバンド名に相応しく、彼らが聴かせてくれるのは正にアメリカンな、溌剌とハジけるポップ・メタル。嵐のSEに続いてシャウト一発、少々クセの強い声質で歌いまくるVoと、冴えたソロを連発するテクニカルなG、そして厚めに敷かれたハーモニーをフィーチュアして躍動するサウンドは、遅れてきたLAメタル・バンド的な雰囲気が濃厚に漂います。
PVも制作されたパワフルにぶちかまされるOPナンバー①、ライブ映え間違いなしのキャッチーさを宿して駆け抜けるアルバム表題曲④、タイトルを地で行く屈託のなさで跳ねる⑧等、収録曲の多くはバンドが自認する「ヘヴィ・メタル・パーティ・バンド」らしいカラッとした爽快感が溢れ出すゴキゲンな出来栄え。リリース当時は「趣味じゃねえ」とスルーしてしまったのですが、改めて聴き直すと、仄かな哀感を含んで展開するサビが秀逸な⑤、Gソロの組み立ての見事さが耳を惹く⑥、Voの熱唱が楽曲の盛り上がりを際立たせる⑦等、要所に抒情メロディを配して、本編の流れに陰影を演出する手腕に感心させられた次第。特に聴く者の胸をドラマティック且つエモーショナルに締め上げる③は、このバンドの地力の高さを証明する名曲ですよ。
発表時期がHR/HMシーンの転換点と重なってしまい、期待された程の成功を収められなかった本作ですが、高品質な内容が放つ眩い輝きは今もって全くくすんではいません。力作。


HERICANE ALICE - Tear the House Down - Dream Girl ★★★ (2018-08-10 01:04:26)

みてくれで侮ることなかれ。
情熱的に歌い込むVoとエモーション迸るGの共演が
息苦しいほどの盛り上がりを演出する名バラード。
こいつらの才能は本物ですよ。


HERITAGE - Remorse Code ★★★ (2015-09-12 23:58:34)

後にSTATETROOPER立ち上げに関わるスティーヴと、SAXONに籍を置いたポール“FASKER”のジョンソン兄弟を中心に、NWOBHM期に活動していたバンドが'82年に発表した1stフル・アルバム。
NWOBHMのメロウ・サイドに属する、メロディとハーモニー重視の叙情HRサウンドがマニア筋でそこそこ評価された本作。個人的にも(かつて入手に苦労させられた思い入れ込みで)三ツ星評価を付けることに躊躇いはないのですが、ただ、じゃあこれがナウなヤングにウケる音かと言えば、正直かなり微妙なとこかと。
プロダクションのしょぼさはこの手のバンドの常と諦めるにしても、前へ出てくる割に終始不安定感が付き纏うVo(専任シンガーが見つけられなかったため弦楽器隊がシェアしている)や、センスは十分なのに主張の弱いツインG、そしてキメ曲不在によるフラットな本編構成etc・・・と、全体的に押し出しの弱い薄味な仕上がり具合に、彼らがシーンで確固たる地位を確立出来なかった理由が垣間見えるような。
それでも、少々頼りないハーモニーが却って楽曲の哀感を増幅してくれる①や、アップテンポの曲調にツインGが映える②、初期PRAYING MANTISを思わすポップな③、じめじめと貧乏臭く陰気な(褒め言葉)バラード④等、アルバム前半に居並ぶ楽曲は、本作がマニアに愛でられる理由をそこはかとなく伝えてくれる秀曲揃い。
「初期PRAYING MANTISを更にいなたく野暮ったくしたようなサウンド」と聴いて、食指がピクリと反応した貴方へ(いるのか?)お薦めする1枚。


HERITAGE - Remorse Code - Attack - Attack ★★★ (2015-09-13 23:32:08)

NWOBHM史に残る名曲!と持ち上げるつもりはありませんが
アルバムのハイライト・ナンバーであることは間違いないのではないかと。
曲名に相応しく攻撃的に牙を剥くアップテンポの曲調ゆえ、
ミドル~スロー・ナンバーだと音程の甘さが気になるVoの粗も
(さほど)目立ちませんし、ツインGも劇的にハモってくれて
楽曲の印象向上に大きく貢献してくれています。


HEXENHAUS - Awakening ★★ (2007-07-26 22:26:00)

スラッシーな疾走感が後退した代わりに、プログレッシブ・メタル分が増強された、'91年発表の3rdアルバム。
テクニカルでメロディアスなツインG、構築美に溢れた曲展開、如何にも北欧のバンドらしい寒々としたメロディ等、
前作『THE EDGE OF ETERNITY』で感じられた美点は、本作にもきっちりと受け継がれているが、
今回から新たに加わったVoが、よりメロディアスに歌えるタイプのせいか、はたまた、楽曲の複雑化に
一層の拍車が掛かっているせいか、最早ここまで来ると、プログレ風味の漂うスラッシュ・メタルと言うよりも、
スラッシーな要素もあるプログレ・メタルだよなーと、思わせられる作風に仕上がっている。
正直、ダーティながらもカッコイイ歌メロを披露してくれていた前任Voに比べると、新Voは歌唱力は十分なんだけど
歌メロに今ひとつフックが欠ける印象で、楽曲に「ダレ」を感じる原因の1つになってしまっているような・・・。
そのせいか、よりストレートな疾走感が強く押し出されている②や⑦、そして1st収録曲のリメイク⑩の方が
複雑さが売りの楽曲よりも魅力的に聴こえるのが皮肉だが、とは言え、アルバムのハイライト・チューン的存在の④や、
“THE ETERNAL NIGHTMARE PARTⅠ"の続編に当たる⑨等、聴き応え十分のドラマチックな大作も
ちゃんと収録されているので、聴き終えた後の満足感は決して前作に劣るモノではない。良く出来てます。


HEXENHAUS - Awakening - Awakening ★★ (2007-11-25 13:17:07)

歌えるVoの加入で、よりメロディを重視した仕上がりとなった
3rdアルバムだけど、ちゃんとこうした疾走感タップリの楽曲も
収録されているので侮れない。
とは言え、やはり以前よりはずっとメロディアスで聴き易い印象。


HEXENHAUS - Awakening - Necronomicon Ex Mortis ★★ (2007-11-25 13:27:37)

3rdアルバムのハイライト・チューン。
歌えるVoの存在と、隠し味として使用されているKey、
そしてインスト・パートにおけるアコギ・ソロが
非常に効果を上げているドラマティカルな名曲。
こういう曲は、このアルバムじゃないと出来ないわな。


HEXENHAUS - Awakening - The Eternal Nightmare-act Ⅱ ★★ (2007-11-25 13:33:06)

前作に収められた“THE ETERNAL NIGHTMARE-ACT ONE"の続編に当たる楽曲。
アコギやKeyを積極的に導入し、プログレッシブ・ロック的な味わいを醸し出す。
歌メロがイマイチな点のみ惜しまれる。


HEXENHAUS - The Edge of Eternity ★★ (2007-06-02 01:17:00)

KING DIAMONDやMERCYFUL FATEでの活動で知られるマイク・ウェッド(G)がリーダーを務めていた
スウェーデン出身の5人組技巧派スラッシャーが、'90年に発表した2ndアルバム。
技巧派といっても、スリリングな楽器同士のバトルや、そこから生まれるテンションの高さを売りにしたタイプではなく、
その確かな演奏技術でもって楽曲をカッチリとまとめ上げ、より「聴かせる」ことを重視するタイプ。
まぁ、Voはメロディ無視の吐き捨て型なんだけど、現在ではどうって事ないレベルのダーティさなので無問題。
何より、このバンドはメロディが非常に良い。技巧派バンドにありがちな独り善がりな難解さは皆無で、
2人のGが紡ぎ出す、北欧の凍てついた大地を想起させる寒々としたメロディや、無愛想で硬質なリフ・ワークを聴いていると、
何となくフィンランドのスラッシュ・メタル・バンドSTONEを思い出したり。(あれをもっとプログレ寄りにした感じか)
ベートーベンの“月光"をモチーフにした序曲①から小気味良く疾走を開始する②、緩急のコントラストも鮮やかな③、
劇的なインスト・パート(特にツインGのハモリ具合が堪らん)を備えた⑤、ドラマチックな序曲を経て、
そこはかとなくエキゾチックなメロディを纏って疾走する⑦、ちとダレるけどドラマ性の高さにかけては
本編随一の大作⑧といった楽曲は、スラッシャーなら一聴の価値ありかと。
全体的にはまだまだ垢抜けないし、イモっぽい雰囲気も無きにしも非ずだが、
この如何にも「北欧のスラッシュ」的なヒンヤリとした質感はかなりクセになる。


HEXENHAUS - The Edge of Eternity - The Eternal Nightmare - Act One ★★ (2007-11-25 13:12:13)

エキゾチックなインスト曲“A TEMPLE FOR THE SOUL"を経て、
爆発的に疾走を開始するスラッシュ・チューン。
寒々とした疾走感を基本としつつも、異国情緒を漂わせた
サビメロとGソロの組み込まれたドラマティックな曲展開が
非常に印象に残る名曲。ちなみ“ACT TWO"は次作に収録。


HEXENHAUS - The Edge of Eternity - Toxic Threat ★★ (2007-11-25 13:00:42)

ベートーベンの“月光"をモチーフにしたプレリュードから、
タイトに疾走を開始するOPナンバー。
インスト・パートで、如何にも北欧のバンド的な
寒々としたメロディを紡ぎ出すツインGが
良い仕事をしています。


HEXX - Morbid Reality ★★ (2016-07-15 23:54:17)

’91年発表の3rdアルバム。既に朧げな記憶を辿ると、確かBURRN!!誌の輸入盤レビューで意外にも酒井編集長が好意的なレビューを寄せていて、この手の音は絶対酷評しそうな人なのに珍しいこともあるもんだと興味をそそられ購入した…んだっけかなぁ?
ハイトーン・シンガー、テクニカルなギター、パワー・メタリックな楽曲etc…と、もろSHRAPNELメタル路線を志向していた前2作のフル・アルバムから一転、レコード会社からのサポートのなさ、一向に軌道に乗らないバンド活動に対するフラストレーションを大爆発させた本作は、「だったらもう好き勝手やってやらぁ!」とファスト&ブルータルな方向に全力スイング。その結果、デス声に片足突っ込んだVo(またしてもシンガーに逃げられたので開き直ってギターのクリント・バウワーが兼任)、猛烈なシュレッド・リフ、ヤケクソ気味に荒れ狂うリズムとが雪崩を打って押し寄せるサウンドは、知らずに聴いたら同一バンドとは気が付かないんじゃないか?っつーぐらい音楽性が激変しとります。中期DEATH(あっこまでの病的な狂性は感じられませんが)、SADUSなんかがお気に入りのスラッシャーにお薦めする1枚。…という説明で、どんな音なのか伝わるでしょうか。
勿論、アップダウンの激しい曲展開、鮮烈且つメロディックなツインG等、HEXXのトレードマークも健在。中でも意表を突いてピアノ・イントロから始まるOPナンバー①は「らしさ」の詰まった逸品ですし、アニメ『スパイダーマン』の名テーマ曲⑧をカヴァーする遊び心も、怒気に満ちた本編の良いアクセントとして機能しているのではないかと。
「これが最後」と定めて、演りたいことを演りたいように演り倒したのが奏功した力作。


HEXX - Morbid Reality - Morbid Reality ★★★ (2016-07-17 01:26:23)

物憂げなピアノのイントロをぶち破って
機銃弾よろしく連射されるリフ&リズム、
その上でデス声に片足突っ込んだ咆哮をあげるVoとが
嵐の如く吹き荒れるファスト&ブルータルなOPナンバー。
開き直ったバンドの新たな音楽性を「食らえや!」と
ばかりに突きつけて来きますが、一方でツインGは
相変わらずメロディアス。立派な個性として存在感を主張しています。


HEXX - Morbid Reality - Spider Jam ★★★ (2016-07-17 01:34:00)

「スパイダーマン、スパイダーマン🎵」
「ルックアウト!ヒア・カムズ・ザ・スパイダーマ~ン🎵」
と今でも鼻歌で歌ってしまうアニメ版「スパイダーマン」の
テーマ曲のスラッシュ・メタル・カヴァー。
子供の頃、早朝に放送していたのを楽しみに見ていたことを
思い出してしまいましたよ。
思い出込みで星3つを進呈致します。


HEXX - No Escape ★★ (2016-07-10 22:46:22)

活動開始当初はPARADOXと名乗るも、レコード契約ゲットを期にバンド名をHEXXと改めたカリフォルニア州出身の4人組が、'84年に発表したデビュー作。
個人的にHEXXの音に触れたのは3rd『MORBID REALITY』(’91年)が最初だったので、彼らのことは結構長く「スラッシュ・メタル・バンド」と認識していたのですが、後追いで本作や2nd『UNDER THE SPELL』(’86年)を聴いてビックリ。クドさ全開のハイトーンVoといい、金属質に打ち鳴らされるリフ&リズムから力ずくな曲展開まで、JUDAS PRIESTやIRON MAIDENを肉食系にビルドアップした感じのサウンドといい、スティーヴ・フォンタノ謹製の迫力はあるけど分離の悪いプロダクションといい、まるでSHRAPNELメタル路線じゃありませんか。というか、そもそも彼らはSHRAPNEL RECORDS所属アーティストだったんですね。バンドに歴史あり…。
時期的に、次作に比べるとまだまだオーセンティックなHM風味を色濃く残しているとは言え、粘っこいイントロを振り切ってアグレッシブに炸裂する①、タガの外れたVoの歌いっぷりが微笑ましくも熱い③、NWOBHMの匂い漂わすストレートなHMソング⑥といった楽曲のカッコ良さは、成程、マイク・ヴァーニーのお眼鏡に適っただけのことはあるなと。
レコーディング作業のドタバタが響いたのか、全体的にまとめ方が荒っぽいというか、少々キャッチーさに欠ける仕上がり故、油断してると引っ掛かりなく通り過ぎてしまう楽曲も散見されるのですが、そこがまたSHRAPNELメタルらしくて良いんじゃない!と、ポジティブに受け止められる方にお薦めする1枚。


HEXX - No Escape - Night Of Pain ★★ (2016-07-12 00:22:25)

アクの強いハイトーンをフィーチュアして
3分ちょいのランニング・タイムを
ストレートに押して押して押しまくる曲調は、
SHRAPNELメタルとNWOBHMの中間に位置する感じ
・・・といったところでしょうか。


HEXX - No Escape - The Other Side ★★ (2016-07-12 00:17:11)

朗々歌い上げるハイトーン・シンガーを活かした
勇壮なるHMナンバー。といってもその歌唱は絶賛できるほど
上手かないのですが、とにかく歌いっぷりが自信満々で
妙にクセになる魅力が備わっていることは間違いありません。


HEXX - Under the Spell ★★★ (2016-07-12 22:52:26)

デビュー作『NO ESCAPE』発表から暫くの後、ボスのマイク・ヴァーニーに呼び出されたので「印税の小切手でも貰えるのかな?」と胸ワクで訪ねてみれば、待っていたのは箱一杯に詰められた返品レコードの山。「あんなに頑張って作ったのに…」と激しくショックを受けたバンドは、仕方なくその売れ残りを自分達で買い取ることにしたという。…ってなエピソードに落涙を禁じえなかったHEXX。意気消沈したメンバーの離脱が相次ぐも、何とか踏ん張って新VoとDs、更にはサイドGを加えた5人編成で体制を整えると、再びSHRAPNEL RECORDSから'86年に発表した2ndアルバムがこれ。
前任者以上の暑苦しさで迫り来るハイトーンVo、IRON MAIDEN、JUDAS PRIST由来の劇的且つテクニカルに炸裂するツインGをフィーチュアして、王道SHRAPNELメタル路線を今回も突っ走っていますが、本作制作当時、バンドの根拠地たるサンフランシスコはスラッシュ・ブーム花盛り。その熱気をもろに浴びた彼らも、ササクレて刻まれる金属質なGリフや、ドスを効かせて押し出すリズム・セクション等、スラッシュ・メタルのエレメントを作品に闘魂注入。VICIOUS RUMORSの“DON’T WAIT FOR ME”を思わすパワフルな①、好戦的に畳み掛ける②、アップダウンの激しい③etc…と、スラッシーなアグレッションが大幅増量された収録楽曲からは、前作を大きく上回るエネルギーが迸っています。パワーUPしたのはアートワークだけじゃないですぞ、と。
レーベルからは何のサポートも得られず、鳴かず飛ばずで撃沈してしまったアルバムなれど、クオリティは(バンドが自負する通り)十二分に高い。再評価が待たれる1枚です。


HEXX - Under the Spell - Edge of Death ★★★ (2016-07-14 00:58:29)

スラッシーなGリフ、アップダウンの激しい曲展開、
パワフル且つテクニカルな楽器陣のパフォーマンスと、
それに負けないクドさで歌いまくるハイトーンVo…
2ndアルバムの旨みが凝縮された楽曲と言えるのではないでしょうか。


HEXX - Under the Spell - Hell Riders ★★★ (2016-07-14 00:54:17)

重心低く押し出して来るドスの効いた曲調が
VICIOUS RUMORSを彷彿とさせるOPナンバー。
前任者を遥かに上回るアクの強いハイトーンVoが
楽曲のパワフルさに拍車を掛けてくれています。
 
後にこのシンガーが中間英明と仕事していたなんて
全く気が付きもしませんでしたよ。


HIBRIA - Hibria ★★ (2015-09-03 00:05:49)

セルフ・タイトルを冠した'15年発表の5thアルバム。最初に書いておくと、今回も初期路線ではありませんので。曲によっては管楽器が吹き鳴らされたり、スティーヴィー・ワンダーの“愛するデューク”のカヴァーに挑戦してみたりと、それはもう拡散の方向へ意気揚々と突き進んでいて、山本リンダばりに「もうどうにも止まらない」と。
しかしながら、それでも本作がストロングなHMアルバムであることに違いはありません。ユーリ・サンソン(Vo)のメタル魂を燃焼させるかの如き熱唱も、テクニカルな楽器陣が火花散らすインスト・パートのテンションの高さも健在。中でもパワフルにして劇的な⑧は、本作購入を悩む人に「この曲目当てで買いなよ」と声掛けて回りたくなるカッコ良さですよ。
先に触れたホーン・セクションについても、別に鳴り物が導入されたからといって能天気になってしまったわけはなく、その使用法は主にサウンドの「威勢の良さ」を補強する方向で活用。例えるならRIOTの『THE PRIVILEDGE OF POWER』の導入法に近い感じゆえ、個人的には然程気にせず受け止めることができました。『THE PRIVILEDGE~』すら受け入れ難かったという人には、慰めの言葉のかけようもありませんが・・・。
既にバンド初期の中心メンバーは脱退済みで、今回で路線変更以降の作品数が正統派HM時代のそれを上回ったこと等を鑑みるに、最早「HIBRIAはこういう音楽性のバンドなのだ」と割り切ってしまった方が、作品がリリースされる度に落胆するよりも精神衛生上よろしいんかなぁと。
少なくとも本作が、そう思わせるだけの質を備えていることは間違いないので。