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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2701-2800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2701-2800
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HUGHES / THRALL - Hughes/Thrall ★★ (2009-08-16 00:05:00)

歌神グレン・ヒューズがギタリストのパット・スロールとタッグを組んで、HUGHES/THRALL名義で
'82年に発表した唯一のアルバムにして、現在でもグレンのライブで必ず演奏される名曲を
数多く収録した、彼を語る上で欠かす事の出来ない重要作品の一つ。
自分がこの作品を購入したのはかなり遅く、'94年に行われたグレンのソロ公演で聴いた名バラード“COAST TO COAST"の
余りの素晴しさに感動した事がその切っ掛けだったのだが、当初の予想ではグレンとパットの組み合わせという事で、
かなり通好みの渋い作風を想像していたのだけれど、実際に聴いてみると、そうした渋みや、如何にもグレン的な
ファンキーな要素を端々に漂わせつつも、全体としては、これが時に産業ロック的なキャッチネスも感じさせる、
非常に洗練されたハードポップ・サウンドが詰め込まれていて良い意味で驚かされた。しかもそれを、グレンが持ち前の
黒いソウルフルな歌唱を駆使して歌い上げるのだから、本作がどんだけ個性的なサウンドに仕上がっているかは想像が付くというもの。
特に、心浮き立つ爽快感に溢れたHRナンバー①、パットの魅力的なGプレイが映える叙情的でキャッチーな②、
ダイナミックな曲展開とフックの効いたメロディが上手く組み合わされた⑨といった楽曲は本編の白眉。
勿論、前述した名バラード⑧もやはり素晴しい名曲だ。(実はTRAPEZE時代の楽曲だったと、この時初めて知りました)
グレン・ヒューズ好きはもとより、「彼の作品は興味の範疇外」というメロディ愛好派リスナーにもお薦めしたい1枚。


HUGO - Fire in the Night ★★★ (2023-03-14 01:04:29)

スティーヴ・ペリーそっくりの美声と、TENメンバーのバックアップを受けて制作したソロ・アルバムのハイクオリティっぷりがメロディ愛好家の間で評判を呼んだ、VALENTINE~OPEN SKIEZのシンガー、ヒューゴ。ガンで母親を亡くし、ショックでミュージシャン稼業から半ば引退状態にあったという彼が、奥さんの励ましもあって立ち直り、STREET TALK作品へのリハビリ的なゲスト出演等を経て、'04年に発表したカムバック・アルバム(ソロとしては3作目)がこちら。
いきなりフラッシーなGのイントロで本編の幕が上がる構成や、飾り気を抑えてシンプルにまとめたプロダクションが物語る通り、前2作に比べるとグッとハードにロックしている仕上がりなのが今作の特色。透明感と繊細な表現力に冴えを発揮するヒューゴのVoと過度にアグレッシブなサウンドの相性は良好とは思えないので、聴き始めこそ一瞬嫌な予感が脳裏を過ったりもしましたが、彼の清涼感溢れる歌唱が映えるOPナンバー①の伸びやかなサビメロを耳にした途端、そうした不安は瞬く間に雲散霧消していきましたよ。
HR然としたエッジを強調しつつも、フックと美しいハーモニーをふんだんに盛り込んだハードポップ・サウンドは、変わることなくメロディ重視の姿勢が貫かれており、特にGによる小曲③をイントロ代わりにして爽快に駆け抜けていく表題曲④や、キャッチーなコーラスが耳を捉える⑧は、このアルバムならではの魅力を端的に提示してくれる名曲。
前2作に勝るとも劣らぬクオリティを有しているだけに、これ以降ソロ作のリリースが途切れてしまっているのが残念。そろそろ復活してくれませんかね?


HUGO - Fire in the Night - Fire in the Night ★★★ (2023-03-20 23:06:32)

インストの小曲“PRELUDE:4EVER ENDEAVOUR”をイントロ代わりに
爽やかに駆け抜けていくアルバム表題曲。美しく伸びやかなサビメロは
まさしくヒューゴが歌うに相応しい清涼感が漂います。


HUGO - Hugo ★★ (2010-07-25 00:25:00)

元VALENTINE~OPEN SKYZのフロントマン、ヒューゴ(Vo)が、所属レコード会社を通じて知り合った
ゲイリー・ヒューズ、ヴィニー・バーンズらTENのメンバーの協力を得て制作、'97年に発表した1stソロ・アルバム。
その音楽性は「業界屈指のスティーヴ・ペリーそっくりさんシンガー」と謳われる(?)ヒューゴの
ハスキー・ボイスと、歪みを抑えたロング・トーンが二ール・ショーンを思わせるヴィ二ー・バーンズの
メロウなGプレイを活かした、JOURNEY濃度高めのアメリカン・メロディアスHR路線。
彼はこの後も、同様の作風で2枚のソロ・アルバムを残しているが、100曲近いマテリアルの中から収録曲を
選りすぐったというだけあって、完成度の高さにおいてはこのデビュー作が頭一つ抜きん出た印象を残す。
美しい序曲から飛翔感を伴って展開していく②に始まり、ポップで穏やかな叙情バラード⑪に終わる本編に
捨て曲の類は見当たらないが、取り分け、ポジティブなエネルギーと爽快感に満ち溢れたアップテンポの
曲調に、「メントスを口に含んで歌っているのか?」っつーぐらい清涼なヒューゴの歌唱が乗っかった⑧は、
彼のシンガーとしての資質が120%引き出されたアルバムのハイライト的存在の名曲かと。
本作を聴いて気に入った人は、後の2枚のソロ作やジョッシュ・ラモス(G)と組んだメロハー・プロジェクト
RAMOS-HUGOのアルバムもどうぞ。


HUGO - Inception ★★★ (2024-01-08 22:11:48)

VALENTINE~OPEN SKYZにてプロ・キャリアをスタートし、日本では90年代後半から00年代前半にかけて残した3枚のソロ・アルバムのハイ・クオリティっぷりで認知度を高めたアメリカ人シンガー、ヒューゴ・ヴァレンティ。本作はここ数年音信が途絶えてしまっていた彼がHUGO’S VOYAGE名義で久々の発表してくれた新作アルバムとなります。
だいぶブランクが空いたので、その間に音楽性が変わっていたらどうしよう?との不安はなくもなかったですが、アルバムを飾る美麗なアートワークとバンド・ロゴのテカリ具合、何よりインストの小曲①を経て爽やかな②が軽やかに走り始めた途端、そうした不安は雲散霧消していきました。
「スティーヴ・ペリーのそっくりさん」と評された自身の美声を生かして立ち上げたJOURNEYトリビュート・バンドのメンバーと共にレコーディングが行われているだけあって、ここで披露されているのも80年代初頭のJOURNEYを彷彿とさせる、キャッチーで透明度高めの叙情メロディに彩られたメロハー・サウンド。軽快なロック・チューンから美しいなバラードまで伸びやかに歌い上げるヒューゴのVoも、往時と変わらぬ艶やかさを保ち続けており衰えの気配はゼロ。特に、イントロから早くもジャーニーってる③、澄んだ青空へ舞い上がっていくような爽快感に満ちた⑧、緩急を生かして本編クライマックスを雄大に盛り上げる⑪といった楽曲は、聴く者をYESリフレッシュ!させるヒューゴの清涼なメントスVoが殊のほか映える逸品ではないでしょうか。
欠点といったら日本盤が出ていないことぐらいしか思い浮かばない力作ですよ。


HUMAN TEMPLE - Halfway to Heartache ★★★ (2012-05-09 07:07:50)

6年待たされた前作とは打って変わって、さほど間を空けることなく'12年に発表された3rdアルバム。
例によってメンバー・チェンジが発生していますが、もはやリーダー兼フロントマンのヤンネ・フルメ(Vo)さえ健在ならば、それでHUMAN TEMPLEは問題なく回っていくことが分かってきたので心配の必要はなし。実際今回も、声質こそ少々野暮ったいものの、ソロ・キャリアを積んでいるだけあって実力は折紙つきなヤンネの歌声を中心に据えた、北欧のバンドらしい透明感と冷やかさに彩られた(前2作のスタイルを迷いなく受け継ぐ)メロディアスHRサウンドが徹底されていて心地良いったらないですよ。
Keyがソロを取り、背骨の通ったビートを刻むリズム隊がハードに疾走する様式美へヴィ・メタリックなOPナンバーで幕が開く事からも、本作がアグレッシブな色合いを強調した作風であることが伝わってきますが、勿論メロディのフックに手抜かりがある筈もなく、2本のGがドラマ性豊かな絡みを魅せてくれる②、雲間から差し込む陽光のように美しくポップな④、憂いを帯びた歌メロが出色の⑥、じっくりと泣かせにかかるバラード⑪・・・といった具合に、最初から最後まで優れた楽曲がすし詰め。
今回は国内盤リリースも実現したので、メロディ愛好家の方は是非に。


HUMAN TEMPLE - Halfway to Heartache - Bleeding Through ★★★ (2012-05-10 22:11:30)

憂いを帯びた歌メロも良いですが、
この曲の主役は何と言っても
悲哀に満ちた泣きメロを紡ぐG。
2本のGが交錯するインスト・パートの
哀愁には辛抱堪らんものがありますね。
(シングルG編成のバンドなんですが)


HUMAN TEMPLE - Halfway to Heartache - I Will Follow ★★★ (2012-05-09 22:55:37)

太い輪郭で刻まれるGリフ、力強く疾走するリズム、
ソロも取るKeyの存在など、北欧様式美HMばりに
駆け抜けていくOPナンバー。

「サイレン音が取り入れられた楽曲に名曲多し」
の持論を裏付ける事例がまた1つ。


HUMAN TEMPLE - Halfway to Heartache - Our World, Our Time ★★★ (2012-05-10 06:51:34)

頭3曲が緊迫感を湛えたハード・ナンバーで
固められているため、一転して美しくポップな
この名曲が始まった途端、曇り空の隙間から
陽の光が差し込んで来たような錯覚を感じますね。
楽曲自体の素晴しさは勿論のこと、
構成(曲順)の勝利でもあります。


HUMAN TEMPLE - Halfway to Heartache - Run Away ★★★ (2012-05-10 22:08:35)

じわじわと冷気と悲哀が滲み出すような
サビ手前の歌メロが抜群に良いのですよ。
これこそ北欧メタル!と思わず膝を打つ、
アルバムで一番ツボにハマった曲でしたね。


HUMAN TEMPLE - Halfway to Heartache - She Talks to Angels ★★★ (2012-05-11 23:00:15)

Gが咽び泣くイントロの時点で
ぐわしっと涙腺を鷲掴みにされました。
哀愁のみならずスケールの大きさも
感じさせてくれるバラードで、
この手の楽曲がエンディングに用意されていると
アルバムを聴き終えた後の満腹感も向上しますね。


HUMAN TEMPLE - Insomnia ★★★ (2011-07-15 22:29:01)

フィンランド出身で、'04年にデビューを飾るや「URBAN TALEに続くメロディアスHRバンドのニューカマー」と、マニアの間で注目を集めた5人組のデビュー作。
複数枚のアルバムを発表する等、ソロ・シンガーとしても確固たるキャリアを誇るVoの甘く伸びやかな歌声をメインに据え、涼しげな音色でキャッチーな旋律を奏でるKeyと、情感豊かに歌うGとによって優美に盛り立てられたメロハー・サウンドは、メンバーがプログレ方面からの影響を告白するドラマティックな⑨のような楽曲を収録する等、URBAN TALEに比べると幾分ハードな感触だが、北欧のバンドらしい透明度の高い哀メロに彩られた楽曲の数々は、聴いてるだけで今夏の蒸し暑さを緩和してくれるような清涼感に満ち溢れている。
後世に名を残すレベルの名曲が収録されているわけではないが、北欧ハードポップの様式美に則ったKeyのイントロからして心躍るOPナンバー①に始まり、Voの上手さが際立つ美麗なバラード⑪にて幕が下ろされる本編は、捨て曲の見当たらない充実っぷりで、寝苦しい熱帯夜のお供にはぴったりの(?)1枚じゃないかと。


HUMAN TEMPLE - Murder of Crows ★★★ (2011-07-18 20:58:40)

'04年リリースのデビュー作『INSOMNIA』が好評を博すも、その後は「ギタリスト脱退」というニュースが報じられたぐらいでフッツリと消息が途絶えてしまっていたHUMAN TEMPLEから、久し振りに届けられた2ndアルバム。
例え長期間のブランクがあろうとも、メタル大国フィンランド出身のバンドならば、音楽性を大幅に変えてこちらを失望させるような真似はしないだろうと思っていましたが、実際本作は、ヒンヤリとした哀感を湛えるOPナンバー①が始まった瞬間、彼らがその期待に見事に答えてくれたことを確信するクオリティ。
正式ギタリストの座は空席のまま、前作同様、URBAN TALEのエルカ・コーホネン(G)や元SONATA ARCTICAのヤニ・リマタイネン(G)らの協力を仰いでレコーディングされているが、伸びやかなVoと冷やかに楽曲を包み込むKeyを軸に、歌心に溢れたGが絡むメロディアスHRサウンドという、デビュー作で披露したスタイルは今回も健在。
全体的にややヘヴィさが増した印象が無きにしも非ずだが、泥臭い序盤に思わず不安になる④や、ノリノリで疾走するヘヴィ・メタリックな⑧といった、従来にはなかったタイプの楽曲すら心打つドラマティックな内容に仕上げてみせる曲作りの上手さは、相変わらず冴えまくっている。『FINAL COWNTDOWN』を発表した頃のEUROPEを彷彿とさせる⑤や、ダンサブルなビートに悲哀に満ちたメロディが乗る⑥辺りは、メロハー・マニアに猛烈にアピールし得る魅力を備えた逸品ですよ。
日本盤がリリースされていてもおかしくない(寧ろリリースされていない事が不思議で仕方がない)1枚。


HUMAN TEMPLE - Murder of Crows - Emily ★★★ (2011-07-18 21:05:26)

聴いてるだけで体が動き出す
ハードでノリノリなヘヴィ・メタル・ソングだが
メロディのフックの効かせ方は
間違いなくHUMAN TEMPLE印。
劇的に動き回るGのカッコ良さは
ガッツポーズ物ですよ。


HUMAN TEMPLE - Murder of Crows - Lie ★★★ (2011-07-18 21:01:10)

ジョーイ・テンペスト風のVoの歌唱と、
高揚感に満ち溢れた曲調が、
『THE FINAL COUNTDOWN』の頃の
EUROPEを彷彿とさせる逸品。


HUMAN TEMPLE - Murder of Crows - Yours Cold Blooded ★★ (2011-07-18 21:03:22)

淡々と刻まれるダンサブルなビートの上を
冷やかな哀メロが舞うハードポップ・チューン。
シンプルだが、それゆめ胸に沁みるメロディを
奏でるKeyが良い仕事してますね。


HUNTRESS (2012-07-26 06:57:22)

女性シンガーをフロントに据える優れたバンドが次々にデビューを飾る今日この頃ですが、このHUNTRESSもその1つに数えられて然るべき存在で、結成の音頭を取ったのはオペラ歌手としての実績も持つジル・ジェイナス嬢(Vo)。彼女が自身の理想とするHMサウンド――スラッシュ、デス/ブラック・メタルの要素を取り入れたオカルティックな正統派HM――を追及すべくロサンゼルスにおいてメンバー集めに奔走。体制が整うと数枚のシングルを自主制作でリリースした後、オーストリアのインディーズNAPALM RECORDSとディールを締結。
デビューに先駆けて撮影された“EIGHT OF SWORDS”のプロモ・ビデオが評判となる中、'12年に1stフル・アルバム『SPELL EATER』を発表。バンドは同作で日本デビューも飾っている。


HUNTRESS - Spell Eater ★★★ (2012-07-25 21:49:42)

ハイピッチのスクリームからデス声まで自在に操る妖艶なフロント・ウーマン、ジル・ジェイナス率いる5人組HMバンドが、'12年に発表した1stアルバム。
低音域と高音域をシアトリカルに行き来するキング・ダイアモンド唱法を駆使するジル嬢のVo、禍々しいリフを刻んだかと思えば、煽情的なフレーズ・センスに満ちたソロを紡ぐツインG、スラッシュ/ブラスト・ビートを織り交ぜてスピーディに疾走するリズム等々・・・を武器にこのバンドがクリエイトするのは、オカルティックな雰囲気が充満するダークでドラマティックな正統派HM。
体の芯から震えが来るような、KING DIAMONDの如き本格派オカルト・メタルの装いには今一歩届かず、映画に例えるなら「デカイ音と血糊の量とボディ・カウントで勝負!」なB級ホラー的いかがわしさ/コケ脅し感が漂う作品ではありますが、ブラック・メタリックなリフ&リズムの上に朗々たるVoが乗った邪悪な①、ダーク・ファンタジックな曲調と緩急の効いた曲展開が秀逸な④、ハードなツインGが曲展開を牽引する⑤、リフ&リズムにこれまたデス/ブラック・メタルの要素が織り交ぜられた⑧、80年代US産マイナー・メタルの息吹を今に伝える⑪といった疾走ナンバーの数々からは、バンドがこのジャンルに注ぐ前のめりな情熱と勢いが十二分に感じられ好感触。ジル嬢が纏うエロティックな魔女風の衣装も(お金がないので)自分で繕っているというDIYなエピソードにも好感度大ですよ。
未だ荒削りな部分は目立ちますが、ジル嬢の歌唱能力を筆頭に、彼女達が秘めたポテンシャルの高さはしっかりと伝わって来る1枚。


HUNTRESS - Spell Eater - Eight of Swords ★★★ (2012-07-26 22:30:55)

デビューに先駆けてPVも作られたリーダー・トラック。
「HUNTRESSってどんなバンド?」という方には
この曲のPVを見てもらうのが一番手っ取り早い。
端麗な容姿に、胸元パックリ/股間ザックリな
エロティックな衣装に身を包んだジル・ジェイナスの
艶姿に「おおっ」と身を乗り出した諸兄が、
彼女の発するヒステリックなスクリームに「おおっ?」と
思わず身を引く姿が目に浮かぶようです。
あ、楽曲そのものもオカルティックな風情漂う
スピーディな正統派HMナンバーで非常にカッコイイですよ。


HUNTRESS - Spell Eater - Snow Witch ★★★ (2012-07-26 22:25:14)

タメと疾走を繰り返す緩急の効いた曲展開に、
大仰なメロディを歌い上げるジル・ジェイナスのVoと、
煽情的なフレーズ・センスに冴えを感じさせる
2本のGが華を添えた名曲。
個人的にはアルバムで一番お気に入り。


HUNTRESS - Spell Eater - Spell Eater ★★★ (2012-07-26 22:20:56)

イントロからブラック・メタル風のGリフが刻まれ
ジル・ジェイナスのドスの効いたパワフルな歌唱が
炸裂するブルータルなOPナンバー。
楽曲自体のカッコ良さは勿論のこと、
多彩な表現力を駆使して曲調をドラマティック且つ
シアトリカルに彩るジル嬢のVoは本曲の白眉。


HUNTRESS - Starbound Beast ★★ (2014-02-22 00:34:11)

美貌のフロント・ウーマン、ジル・ジェイナス率いるオカルティックHMバンドが'13年に発表した2ndアルバム。
ツアーやメタル・フェス参戦で積み上げた経験値が、如実にクオリティに反映された本作は、迫力と説得力を増したメンバーのパフォーマンスにも支えられ、シアトリカルに練られた曲展開から、2本のGが奏でる煽情的なメロディ、それに逞しさを増したリズムに漲るへヴィネスまで、他の誰でもない、HUNTRESS流HMサウンド確立へと大きく前進。
・・・のわりにイマイチ筆が進まず、感想を書いては消して、消しては書いてを繰り返していたのは、スラッシュ/デス/ブラック・メタルばりの厄いリフ/リズム・ワークや、低音域と高音域を忙しなく行き来するジル嬢の「キング・ダイアモンド唱法」によって醸し出されていた「禍々しさ」や「オカルティックな雰囲気」が大幅減少した楽曲が妙に淡白に響くせいかな?と。
大仰な序曲①から繋がっていく②や、スピード・ナンバー⑥、ツインGを活かした劇的な⑤⑨⑩等、チープさを排して本格派HMバンドとしての貫禄と洗練を感じさせるようになった楽曲が並ぶ作品全体の完成度は、間違いなく前作を凌いでいるんですけどね・・・。尚、⑪は勿論JUDAS PRIESTのカヴァー。


HURRICANE - Liquifury ★★ (2019-09-06 00:36:19)

ルディ・サーゾの弟ロバート・サーゾ(G)、カルロス・カヴァーゾの弟トニー・カヴァーゾ(B)、後にASIA等に加入するジェイ・シェレン(Ds)、そして現FOREIGNERのケリー・ハンセン(Vo)という面子により結成され、文字通り台風の如く大暴れすることが期待されましたが、いつの間にか温帯低気圧化して解散してしまったLAのHURRICANEが復活。'01年にFRONTIERS RECORDSからこの3rdフル・アルバムを発表しました。
尤も、正式メンバーはケリーとジェイの2人のみ。残りのパートはセッション・ミュージシャンで賄うという、バンドっちゅうよりはプロジェクトというべき体制でレコーディングは行われています。ただダグ・アルドリッジが参加するも大味なアメリカンHM化が進行しやや拍子抜けだった2nd『SLAVE TO THE THRILL』(’90年)に比べると、本作はメロディのフックと湿り気がかなりの戻ってきていて、プログレ・ハード風味もあった1st『OVER THE EDGE』(’88年)と、よりギター・オリエンテッドな作風を提示した前作『SLAVE~』の中間ぐらいに位置する、バランスの取れたサウンドに仕上がっています。
特に、イントロ①の焦らしを蹴破って歯切れ良くロックする疾走ナンバー②、ジェイ・シェレンのシュアなドラミングが気持ちいい④、ブルージーな薫りも漂わせつつエモーショナルに盛り上がっていく⑥、都会的な愁いを帯びて駆け抜ける⑩辺りは、そうした本作の魅力を分かり易く体現している楽曲ではないかと。あと、これらの楽曲におけるケリー・ハンセンの情熱的な歌声の素晴らしさについてはいちいち言及しません。最高に決まっています。
復活作として上々の出来栄えでしたが、後が続かなかったのが残念ですね。


HURRICANE - Liquifury - Happy to Be Your Fool ★★★ (2019-09-08 00:48:40)

じっくりコトコト煮込むような感じで盛り上がっていくスロー・ナンバー。
仄かにブルージーな薫りも漂いますが、埃っぽさは全くない辺りがこのバンドらしい。
こういうノリの楽曲を歌わせたらケリー・ハンセンは絶品です。


HURRICANE - Over the Edge ★★★ (2016-07-28 23:28:42)

ルディ・サーゾの実弟ロバート・サーゾ(G)、カルロス・カヴァーゾの実兄トニー・カヴァーゾ(B)により結成され、後にダグ・アルドリッチ(G)がラインナップに加わったことでも知られるバンドが、デビューEP『TAKE WHAT YOU WANT』(’86年)に続いて'88年にENIGMA RECORDSから発表した1stフル・アルバム。
HURRICANEについては、「LIONのマーク・エドワーズ(Ds)ベネフィット・コンサートに絡むゴタゴタに巻き込まれてしまった不運なバンド」程度の認識で、結構最近まで作品自体はまともに聴いたことがありませんでした(申し訳ない)。「まぁLA出身だし、売れ線のロックンロールでも演ってんのかな~」とか思いつつ、暢気にCDを再生してみたらビックリですよ。120人を超えるオーディション参加者の中から選抜されたというケリー・ハンセン(Vo)の抜群にエモーショナルな歌声といい、安定感/表現力に富む楽器陣のパフォーマンスといい、本作に託されているのは「ノらせる」ことよりも「聴かせる」ことに主眼を置いた、プログレ・ハードばりのドラマ性と正統派アメリカンHRの大衆性を併せ持ったサウンド。少々、収録楽曲の出来・不出来にバラつきが見られる点にもどかしさを覚えながらも、本編の幕開け役を担うアルバム表題曲①と、中盤を劇的に引き締める⑦というドラマティックな2曲は間違いなく名曲ですし、“愛は嵐のように”なる邦題を冠されたバンドのテーマ曲(?)④、キャッチーな⑥⑨辺りも「おっ」となる逸品。
メンバーがキャリアを積んだ人達の集まりという点も含めて、こりゃ確かに解説でTOTOを引き合いに出して語られているのも納得だなぁと思わされる1枚。


HURRICANE - Over the Edge - Over the Edge ★★★ (2016-07-30 00:32:26)

一聴して度肝を抜かれるのが、ケリー・ハンセンのVoの素晴らしさ。
そりゃこんだけズバ抜けた歌唱力を持っていたら、
120人のオーディションを勝ち抜けますわなと。
そして勿論、LAのバンドらしからぬ(?)
力強くも愁いを帯びたドラマティックな曲展開も胸を打ちます。


HURRICANE - Over the Edge - Spark in My Heart ★★★ (2016-07-30 00:36:13)

アメリカのバンドというよりもヨーロピアンな湿った風情と
キメがビシバシ入る曲調がプログレ・ハード的な味わいも醸し出す
アルバム後半のハイライト・ナンバー。
劇的な雰囲気を盛り上げる、鐘の音(?)のアレンジが秀逸。


HURRICANE - Slave to the Thrill ★★ (2016-08-28 22:56:32)

初めて目にした時は「ギーガー謹製か?」と思ってしまった強烈なアートワーク(機械に犯されそうになっている全裸の女性)が物議を醸した'90年発表の2ndアルバム。シーンの潮目の変化を察知し、よりアグレッシブな方向へ進むために、ポップ志向の持ち主だったロバート・サーゾと袂を分かち――実際はマネージメント主導の解雇劇だったとのキャプテン和田情報あり――その後任ギタリストに、元LIONのダグ・アルドリッチを加えたラインナップでレコーディングされています。
いかにもアメリカンなノリの良さで攻めて来る豪快なロックンロールと、ドラマティック且つメロディアスなプログレ・ハードというの二路線構成が取られた好盤に仕上がっていた前作『OVER THE EDGE』(’88年)に比べると、吹けよ風、呼べよ嵐状態(まさしくハリケーン)なSEから幕が上がる今回は、明らかに前者に比重が偏っていて「あいやー、そっちへ進んじゃいましたか」と。
無論、ダグ・アルドリッチのフラッシーなGプレイ、ケリー・ハンセンのエモーショナルな歌唱(流石、現FOREINER)をフィーチュアした楽曲の質は低くありません。しかしながら、“失われた愛の夢”なる邦題を冠されたバラード⑤、哀愁のHRナンバー⑥、ブルージーな味わいを有する⑦といった、本編中盤に並ぶメロディアスな楽曲が魅力的なだけに、HURRICANEには是非ともこっち方面へ進んで欲しかったなぁ…と、今更詮無いことを考えてしまうわけです。


HURRICANE - Take What You Want ★★★ (2021-10-21 07:50:23)

FOREIGNERでルー・グラムの後任という大役を担うケリー・ハンセン(Vo)、カルロス・カヴァーゾ&ルディ・サーゾの実弟であるトニー・カヴァーゾ(Ds)&ロバート・サーゾ(G)、後にASIAに参加するジェイ・シェレン(B)らが在籍していたLAのプチ・スーパー・バンドHURRICANEが’85年に発表したデビュー・ミニ。ちなみにレコードは6曲入りで、CD化に際して更にもう1曲(アコギ独演のインスト・ナンバーで秀逸な出来栄え)が追加収録されています。また輸入盤と国内盤でジャケット・デザインが異なっていて、平凡なグループ・ショットが採用されている国内盤よりも、思わず目を凝らさずにはいられない輸入盤のアートワークの方がぐっとくる仕上がりなのは言うまでもありません。
ノリ良く重量感溢れるアメリカンなHRナンバーと、美麗なハーモニーとウェットなメロディに彩られた欧州風味の抒情性薫る楽曲の二本立てからなる本編は、メンバーが手練れ揃いだけあってこのバンドならではの美点が既に開花。タイトル通りHOT&HEAVYにぶちかまされる⑥のような前者路線の楽曲、一転してじっくりドラマティックに聴かせるプログレ・ハード調のバラード⑤のような後者路線の楽曲、それぞれどちらも大変魅力的ですが、取り分け合唱せずにはいられないライブ映えするキャッチネスと、哀愁を帯びたメロディを纏ってワイルドに跳ねる両路線のエッセンスを溶け合わせたバンドのテーマ曲④は、本作のハイライトたるインパクトを放つ名曲に仕上がっています。
「嵐が来る…!」とばかりに、1stフル『OVER THE EDGE』(’88年)に対する期待を煽る予告編としての役割を十二分に果たす逸品ですよ。


HURRICANE - Take What You Want - Hurricane ★★★ (2021-10-21 23:23:02)

PVも作られたバンドのテーマ曲。
重量感溢れる曲調に、分厚いハーモニーに彩られた
ライブ映えするキャッチーなコーラス、そして仄かに
哀愁を帯びたメロディと、HURRICANEの魅力全部入りな名曲です。


HURRY SCUARY - Break It up ★★★ (2011-10-20 22:01:35)

TERRA ROSAと並んで、関西圏を代表する様式美HMバンドとして勇名を馳せたHURRY SCUARYが'88年に発表した唯一のフル・アルバム。
映画のサントラとしての役割も背負わされた作品ゆえ、元MAKE UPの天才メロディ・メイカー、故松澤浩明&河野陽吾ら外部から招聘されたライター陣も楽曲を提供しているため本編にコテコテの様式美HM色は薄く(音楽的には間違いなくそっち路線なのだが)、Keyの使い方からコーラスの重ね具合に至るまで、スマートな洗練が施された作風はどちらかと言えば関東出身バンドに近しいノリ。
そういう意味ではバンドの真価が発揮されたアルバムとは言い難いのかもしれないが、とは言え、本作が美旋律と哀メロに満ち溢れた捨て曲皆無の名盤である事は疑う余地のない事実。取り分け、中間英明の華やかにしてドラマティックのGプレイは、劇的なリフ・ワークからフラッシーなGソロまで随所で眩い輝きを放っており、また一方で、バラード“NOTHIN' NEW”を筆頭に素晴しく伸びやかな歌声を披露する南 安秀(Vo)や、安定感抜群のリズム隊等、決して中間の存在のみが突出した一発芸バンドではないことも彼らの強みだ。
ただ余りにスマートな佇まいゆえ、TERRA ROSA程のインパクトの強さを持ち得ておらず、この辺がアルバム1枚で解散へと至った要因でもあるのかな・・・と思ったりも。


HURRY SCUARY - Break It up - Nothin' New ★★★ (2011-10-20 22:13:01)

バラードの小曲だけど、実はアルバムの中でも
1、2を争うぐらいお気に入りのナンバー。
この曲における南 安秀のマイルドな歌声は素晴しい!
英詞の発音に難があるようですが、
こちとら英語が大の苦手なので無問題。


HURRY SCUARY - Break It up - Reaching for the Sun ★★★ (2011-10-20 22:09:28)

松澤浩明流の“EYE OF THE TIGER”って感じでしょうか。
北欧的な透明感を湛えた哀メロが胸を打ちます。


HUSTLER - High Street ★★★ (2017-12-12 23:28:28)

その昔、行きつけの中古CDショップが閉店セールをやった際、遅ればせながら駆け付けてみれば既にめぼしい品は粗方買われてしまっていて、唯一目を引いたのが、イギリス出身のHUSTLERが'74年に発表した、この1stアルバムだったという。
今でこそ「Voは38 SPECIALに参加」とか「Dsは後にSFXを結成」とか、ネット上で彼らに関する情報を集めることが出来ますが、当時は手に取った中古盤に帯がついてなかった為どういった出自の連中なのか分からず、バンド名は輸入エロ雑誌みたいだし、ヒゲ面のメンバーがおどけるジャケットはイケてないし、解説担当のゴッドも初渡英時の思い出話に終始しているだけだしで(でもこれが読み応えあり)、事前のアルバムに対する期待値は高性能レーダーだって探知不可能なぐらいの低空飛行っぷり。
しかし家に持ち帰って聴いてみると、これが実に良かった!軽快に弾むメロディとリズムに、ねちっこく歌うVoが絡む①で「おっ」と思わされ、ハードなGとKeyがDEEP PURPLEばりにユニゾンしながら駆け抜ける②が始まった瞬間、こちとら姿勢を正座へと改めざるを得ませんでしたよ。一般的には方向性が定まり洗練もされた2nd『PLAY LOUD』が代表作とされているようですが、曲の良さでは本作だって引けを取らないのではないかと。
特に哀愁に満ちた前半からスリリングにテンポアップする⑧、熱い盛り上がりで本編を締め括るバンドのテーマ曲⑨というラスト2曲は、前述の②同様DEE PURPLEを大いに彷彿とさせる名曲。オルガンと泣きのG、熱唱型Voが互いに高め合ってクライマックスへ雪崩れ込む劇的な曲展開にゃアガらずにはいられませんて。70年代HRアルバムの秀盤です。


HUSTLER - High Street - Miranda ★★★ (2017-12-13 23:54:30)

とっぷりと哀愁を湛えたバラード調の前半からテンポ・アップ。
緩急を効かせた曲展開を引っ張る泣きのGと、
オッサン声でうら悲しいメロディを歌い上げるVoの熱演に
グイグイと引き込まれていってしまう名曲です。


HUSTLER - High Street - Piranahas ★★★ (2017-12-12 23:43:07)

「エロ本みてえなバンド名だなぁ」とか舐めてかかったら
攻撃的なGとKeyが緊張感を保って並走するこのハードな楽曲で
バシッと姿勢を正されてしまいましたよ。
DEEP PURPLEやURIAH HEEPにも通じるものを感じる名曲です。


HUSTLER - High Street - The Hustler ★★★ (2017-12-14 00:01:53)

身体を揺するグルーヴや、女性コーラス、熱を帯びたVoの熱唱といった、
70年代HR然としたダイナミズムと、プログレッシブ・ロック的な
スリリングな楽器陣の掛け合いを伴ってアルバムを締め括る
バンドのテーマ曲(なのか?)に相応しい劇的な逸品。


HYBRID ICE - Hybrid Ice ★★★ (2020-11-03 00:28:23)

結成は60年代まで遡るという「超」の付くベテラン・バンドが、苦節十数年、ようやく'82年に自主制作でリリースした1stアルバム。
長らくHR/HMシーンの片隅に埋もれてしまっていたところ、トム・ショルツのお眼鏡に適いBOSTONが4th『WALK ON』において、本作収録曲“MAGDELENE”をカヴァーした辺りからマニアの間で注目度が高まり、’00年に入ってESCAPE MUSIC(日本盤はプログレ系レーベルとして知られるマーキー/ベル・アンティーク)からCDとしてリイシューされる運びとなりました。
“移民の歌”っぽいGリフと緊張感を湛えたKeyリフが交錯するOPナンバー①こそプログレ・メタル的な感触ですが、CD化に際して追加収録されたこの曲は本編においてはどちらかと言えば例外的存在。次曲以降は、デニス・デ・ヤング似の張りのあるハイトーンVoや、メンバー全員が歌える強みを生かした分厚いボーカル・ハーモニーはSTYXから、ギターの重ね方はBOSTONから、構築美を感じさせる曲展開はKANSASから…といった具合に、同時期にヒット・チャートを賑わせたアメリカン・プログレ・ハード勢からの影響を伺わせるキャッチーで親しみ易いサウンドが全編に亘って繰り広げられています。
甘くポップなSTYX調バラード③、初期BOSTON風味が薫る④、大仰にならない程度の構築感を宿した⑦、哀愁を帯びて本編を締め括るバラード⑪等、聴き応え十分の楽曲が並び、マニアからお宝盤扱いされるのも納得の仕上がりです。
彼らがリリースしている他のアルバムも聴いてみたいが、もう廃盤なんですよね。


HYBRID ICE - Hybrid Ice - Magdelene ★★★ (2020-11-04 00:47:42)

BOSTONがカヴァーしたことで、HYBRID ICEの再評価の機運を高める
きっかけともなったSTYX+BOSTONといった趣きも感じられるバラード。
かなり異なるアレンジが施されたBOSTONバージョンと聴き比べてみるのも一興かと。


HYDRA(SWEDEN) - Point Break ★★★ (2022-09-27 00:28:02)

FRONTIERS RECORDS関連で名前を見聞きしない日はないんじゃなかろうか?なダニエル・フローレス(Key)と、その15年来の友人で、主にポップ・ミュージック・シーンを主戦場にソングライターとして活動していたというヘンリック・ヘッドストロム(G)、それにSEVENTH WONDERの1st『BECOME』で歌っていた初代フロントマンのアンディ・クラヴルヤカ(Vo)らによって立ち上げられたプロジェクトHYDRAが’22年にリリースした1stアルバム。
仕事帰りに立ち寄ったCDショップでディスプレイされている本作を一目見て、アートワークのイラストのタッチといい、バンドロゴの色味(テカり具合)といい、「これは拾い物の予感」とメタル・レーダーに感あり。久々に予備知識もなんもなしにジャケ買いを敢行した作品でしたが、透明感を湛えた哀愁のメロディがキャッチーな曲調に載るOPナンバー①が流れ始めた途端、「賭けに勝った!」と握り拳を突き上げずにはいられない、期待通りの北欧メロハー・サウンドが堪能できる好盤でありました。
ダニエル・フローレスの曲作りの腕前に関してはこれまで散々目の当たりにして来たことなので不安は皆無でしたし、SEVENTH WONDER時代から歌唱力には定評があったアンディ・クラヴルヤカも、潤いと張りのある歌声で楽曲のクオリティUPに貢献してくれています。美しいハーモニーを伴ってポップに弾む②や、北欧のバンドらしい哀感を纏い涼しげに駆け抜けていく⑦はアルバムの旨みを凝縮したような名曲ですよ。
これ1枚で終わらせず、是非とも今後も作品リリースをお願いしたくなる力作ではないかと。


HYDRA(SWEDEN) - Point Break - Never Be the Same ★★★ (2022-09-27 23:35:04)

アップテンポの曲調の上でヒンヤリとした哀感を
湛えたメロディと美しいハーモニーが舞う
このバンドとこのアルバムの魅力を
端的に伝えてくれる本編のハイライト・ナンバー。
こういうキメ曲があるとアルバムが引き締まりますね。


Harlequin (2013-11-26 07:30:15)

'75年、カナダはマニトバ州ウィニペグにて、ラルフ・ジェイムス(B)とジョージ・ベランガー(Vo)らによって結成。
デモテープを制作した後、ツアーで訪れたトロントのバーで演奏している姿が、偶然その店に来ていた売れっ子プロデューサーのジャック・ダグラスの目に留まり、彼の助力もあってCBS/EPIC RECORDSとのディールが成立。'79年に1st『VICTIM OF A SONG』でデビューを飾る。
同作はカナダ国内でゴールド・ディスクを獲得するヒット作となり、以降バンドは、最高傑作と名高い2nd『LOVE CRIMES』('80年)、日本デビュー作となった3rd『ONE FALSE MOVE』('82年)、最終作の4th『HARLEQUIN』('84年)を発表。
'86年にリリースされたベスト盤を最後に解散の道を選択しているが、多くのベテラン・バンド同様、00年代に入って再結成。'06年にはそれまでの功績が認められ、カナダにおいて音楽の殿堂入りも果たしている様子。


Harlequin - Love Crimes ★★★ (2013-11-26 22:19:39)

BOSTONの成功に端を発するアメリカン・プログレ・ハードのムーブメントの盛り上がりに、カナダより参入したHARLEQUINの最高傑作との評価を戴く、'80年発表の2ndアルバム。
AEROSMITHやCHEAP TRICKの成功にも貢献したジャック・ダグラスがプロデュースを担当してるだけあって、少々オヤジ臭い声質ながらも確かな歌唱力を備えたVo、ハードなGとポップなKeyが適切にバランスを取って展開するカラッと快活なメロハー・サウンドのクオリティは相当なもの。
甘さだけでなくHR的な骨太さをアピールする②、産業ロックの様式美というべき軽やかなKeyワークに胸躍らされる④、青空の下、オープンカー運転してる時にこんな曲がラジオから流れてきたらさぞかし気持ち良いだろうな~と思わせてくれる⑦⑨⑩等、ほんのり欧州風味の湿り気を帯びたメロディと、大陸的な爽やかさ/ノリの良さを併せ持つ楽曲の数々は、これぞまさしくカナディアン・メロディアスHRの王道!といった趣きで、耳に良く馴染みます。
再発ブーム華やかなりし90年代後半にはここ日本でCD化(世界初)もされた本作は、恐らくこのバンドのカタログの中では最も入手が容易な1枚。中古屋で見かけたら是非どうぞ。


Harlequin - Love Crimes - It's All Over Now ★★★ (2013-11-27 21:59:26)

カナディアン・メロディアス・ハードらしい
哀愁と躍動感が滲み出す、アルバムでも1、2を争う名曲。
バックに埋没せず、かといって出しゃばり過ぎもしない
ツボを心得たKeyの活躍ぶりが素晴らしい。


Harlequin - Love Crimes - Love on the Rocks ★★★ (2013-11-27 21:56:45)

「ポップ・バンドと舐めるなよ」との
バンドの気概が具現化したドライヴするロック・ナンバー。
それでいてメロディのフックや細かいアレンジにも
気配りが行き届いている辺り、感心させられます。


Harlequin - One False Move ★★★ (2013-11-28 23:37:31)

1st『VICTIM OF A SONG』がゴールドを、続く2nd『LOVE CRIMES』がプラチナムをそれぞれ獲得・・・と、本国カナダにおいては確固たる地位を確立するに至ったHARLEQUINが'82年に発表し、日本デビュー作ともなった3rdアルバム。
『愛は危険な夢遊歩行』なる、言葉の意味はよう分からんがインパクトは十分な邦題を付けられた本作は、再びタッグを組んだ売れっ子プロデューサー、ジャック・ダグラスとの共同作業も一層磐石なものとなり、もはや勝ち組バンドとしての風格さえ漂ってくるようです。キャッチーなメロディと心地良い疾走感とがブレンドされたOPナンバー①の素晴らしさなんて、余裕はあっても慢心のないバンドの充実っぷりを伝えてくれる名曲。
サビのリフレインが印象的な躍動感溢れる④⑦や、ハスキーなVoと哀愁振り撒くG、Keyが叙情性を増幅する⑩等、ハーモニーとメロディを増量することによりサウンドの洗練に磨きを掛ける一方で、インスト・パートが主役を張るプログレ/70年代HR的な構築美と重さを併せ持つ⑤のような楽曲も収録するなど、相変わらず、そのサウンドはポップでありながらしっかりとした背骨も通されています。硬軟のバランスが取れた曲作りの上手さには、「流石、カナディアン・メロディスHRの雄」と感心させられることしきり。
アメリカでの成功を果たせなかったことから、メンバー的にはイマイチ不満足な作品らしいですが、いえいえ。これの国内盤も是非再発して欲しかったなぁ。


Harlequin - One False Move - I Did It for Love ★★★ (2013-11-30 00:31:44)

アルバムの幕開けに相応しいアップテンポのナンバーですが、
HR的な感触よりも、お洒落でキャッチーなノリの良さが強調されていて、
アメリカでの成功を狙うバンドの野心が透けて見える仕上がり。
いやでも、これがメロディアスで実に良い曲。
この時期のバンドの「ノリにノってる感じ」が伝わってきますね。


Harlequin - One False Move - It's a Woman You Need ★★★ (2013-11-30 00:33:40)

アルバム収録曲中、最も濃厚な哀愁を背負って
本編を締め括る名曲。透明感を湛えたKeyが
アメリカン・プログレ・ハード的な雰囲気も演出します。


Heathen's Rage (2016-06-04 08:37:25)

'83年に、ニュージャージー州はヤードビルにおいて結成。NYまで遠征してANTHRAXやOVERKILL、S.O.D.といったバンドの前座をこなす傍ら、デモテープ制作にも邁進。この時期、『METAL MASSACRE』シリーズに収録して貰おうとMETAL BLADE RECORDSに音源を送ったりしたようだが残念ながら不採用に終わっている。
マネージャーの伝手で’86年に地元のインディ・レーベルROCK DREAM(実態は町のレコード屋さん)からセルフ・タイトルの3曲入りEPを発表。これをテコに本格的なレコード契約を得ようと画策するも(既に10曲入りデモ・アルバムも用意済みだったという)、ことはそう上手く運ばず、その後メンバー・チェンジも相次いだため、80年代末期に活動停止。
彼らが残した音源は、後にマニアの間でお宝化。現在ではEPやデモテープ収録楽曲をまとめたコンピレーション・アルバムが数種類リリースされている。


Heathen's Rage - Heathen's Rage ★★★ (2016-06-04 08:38:11)

MANOWARの名曲“BLOOD OF MY ENEMIES”の歌詞の一節からバンド名を頂戴し、HEATHEN’S RAGEを名乗ったニュージャージー州ヤードビル出身の5人組が、'86年に発表した3曲入りEP。
「疾走感とメロディはACCEPT、ヘヴィネスはBLACK SABBATH、ドラマティックな曲展開はIRON MAIDEN、大仰さはMANOWARがお手本」とのメンバーの自己分析が正鵠を射るパワー・メタル・サウンドが非常にイカす1枚。パクリ?いやいや。これは「美味しいトコ取り」と評したい。付け加えるなら、遊びを排して直線的に畳み込むリズム・ワークはスピード/スラッシュ・メタル譲りで、全体を覆う硬質な雰囲気も、彼らが前座を務めたNYの先輩バンド達(ANTHRAX、OVERKILL他)からの影響が伺えたり。
緩急を活かして勇壮に迫り出す①、スラッシーな突破力を有する②、DIO辺りに通じる正統派HMナンバー③と、いずれ劣らぬ逸品揃いの楽曲をしっかりと歌いこなす、高音域の大仰な歌い回しがエリック・アダムスを彷彿とさせるシンガーもなかなかの実力者。随所でハモる2本のGと、アクティブに動き回るBと共に、この歌えるシンガーの存在も本編の劇的さ向上に多大なる貢献を果たしています。
たった3曲収録にも拘らず、聴き終えて大いなる満足感を得られる力作なのですが、現在では大量のボーナストラックも追加収録された2枚組アンソロジー盤が入手可能。こっちにも同一路線の優れた楽曲がザックザクで、つくづく「何でフル・アルバムを作れなかったのか」と、地団駄踏みたくなりますね。


Heathen's Rage - Heathen's Rage - City of Hell ★★★ (2016-06-06 23:06:42)

3分弱のランニングタイム(実測は4分だけど1分以上がイントロ)を
脇目も降らず突っ走るリフとリズムの猪突猛進ぶり、
シンプルにシャウトが繰り返されるサビに、やたらハイテンションなGソロ等
ノリは完全にスラッシュ・メタル。
でも豊かにメロディを歌うVoの存在がきっちり個性を主張しています。


Heathen's Rage - Heathen's Rage - Knights of Steel ★★★ (2016-06-06 22:57:06)

抑えたイントロから挑みかかるようにテンポアップする
曲展開のカッコ良さは、これぞメタルの醍醐味!
高音域の大仰な歌い回しがエリック・アダムスを思わすVoに
ドラマティックにハモるツインG等、楽曲は十分メロディックですが、
直線的に畳み込むリズム・セクションは
スラッシュ/スピード・メタルからの影響もチラ見え。
両者の組み合わせが個性にもなっています。


Heavy Bones - Heavy Bones ★★★ (2024-10-31 23:35:01)

90年代の黄昏時を迎えたHR/HMシーンでは「あのバンドとこのバンドのメンバーが新バンドを結成!」といった再編成の動きが活発化。元CATS IN BOOTSのジョエル・エリス(Vo)、ソロ・アーティストとして『ANIMAL INSTINCT』(’93年)をスマッシュ・ヒットさせたゲイリー・ホーイ(G)、そしてQUIET RIOTやW.A.S.P.の屋台骨を支えたフランキー・バネリ(Ds)らにより結成されたHEAVY BONESも、そうした流れの中で誕生したバンドの一つであり、本作は彼らが’93年に残した唯一のアルバムとなります。
味気ないバンド名とパンク・バンドみたいなジャケット・アートワークを初めて見た時はどうにもテンションが上がりませんでしたが、実際に聴いてみるとプロデュースをリッチー・ズィトーが手掛けていることもあり、90年代風味のモダン・ヘヴィネスには目もくれず、キャッチーなメロディと売れ線バラードを要所に散りばめ、安心感と安定感優先で奏でられるアメリカンHRサウンドはこれが意外にも(と言ったら失礼か)高品質。目新しさは皆無かもしれませんが、ジョエルの変わらぬクセ声、ゲイリーの華やかなGプレイ、'20年に膵臓癌により他界したフランキーの一発でそれと分かるダイナミックなドラミングが、ともすればありがちな方向に流れそうになるサウンドに覇気とHEAVY BONESならではの個性を刻み込んでくれています。特に叙情的に始まり、ゲイリーのフラメンコ・タッチのGをフィーチュアして劇的な盛り上がりを呈する⑥は必殺の名曲ですよ。
デビューが遅過ぎた…とはいえ、90年代だからこそ実現した顔合わせでもあるわけで、とりあえずこの面子であと数枚アルバムを作って欲しかったなぁと。


Heavy Bones - Heavy Bones - Where Eagles Fly ★★★ (2024-11-06 00:10:13)

フラメンコ・タッチのGを流麗かつエモーショナルに奏でるゲイリー、
「歌える」シンガーとしての実力を発揮するジョエル、メリハリの効いた曲展開を
力強く支えるフランキーのDs…、楽曲自体の素晴らしさと、メンバーの見事な
パフォーマンスがガッチリ噛み合った名曲です。


I AM GHOST - Those We Leave Behind (2010-10-11 01:07:07)

X-JAPANやMALICE MIZERといった日本のビジュアル系メタル・バンドからの影響も公言する、スティーヴ・ジュリアーノ(Vo)率いるアメリカはカリフォルニア州出身の5人組が、'08年に発表した2ndアルバム。
前作『LOVERS REQUIEM』は、MY CHEMICAL ROMANCE辺りに通じるスクリーモ・サウンドに乗せて、日本人好みの憂いを帯びたメロディが駆け抜けていく好盤だったが、今作では鍵盤奏者と、サイドVo兼ヴァイオリニストの女性メンバーの脱退に伴い、シアトリカルな雰囲気やゴス色が大きく後退。代わって、喉から血が出るようなスクリームや、ヘヴィ・メタリックなリフ&リズムの存在が強調され、前作に比べストレートさを増した作風は、随分とアグレッシブ。
尤も、全編を彩るお耽美なメロディの魅力に鈍りは全くないし、何より、スティーヴが作り出す哀しくもキャッチーな歌メロのフックと来たら相変わらず強力無比。メランコリックに疾走する名曲④をハイライトに、優れた楽曲が連打されるアルバム前半(①~⑥)の盛り上がりっぷりなんて辛抱堪らんものがありますよ。
ダーク&へヴィ化が進んだとの前評判に「大味になってたらどうしよう・・・」と一抹の不安を隠せなかった本作だが、実際には、単にHM指数が上がってただけの話で(泣きのGソロのフィーチュア度も高まっている)、例えばBULLET FOR MY VALENTINEの新作なんかが気に入った人にもお薦めできる1枚かと。但し、ジャケット・アートワークは最悪だが。


I-TEN (2013-02-07 22:28:02)

'81年、パット・べネターのアルバム『PRECIOUS TIME』制作に関わり知己を得たことを切っ掛けにコンビを結成。マドンナの“LIKE A VIRGIN”、シンディ・ローパーの“TRUE COLORS”、BANGLESの“ETERNAL FLAME”、ホイットニー・ヒューストンの“SO EMOTIONAL”etc・・・と、枚挙に暇がない程の大ヒット曲を次々に生み出していった80年代を代表するヒット・メイカー、トム・ケリーとビリー・スタインバーグが立ち上げたAOR/産業ロック・プロジェクト。
HR/HMファン的には、本作収録の“ALONE”を後にHEARTがカヴァーして、全米№1ヒットさせたことがトピックでしょうか?


I-TEN - Taking a Cold Look ★★★ (2013-02-07 22:16:25)

マドンナの“LIKE A VIRGIN”を筆頭に、数々の全米№1ヒット・ソングを手掛けた作曲家コンビ、トム・ケリー(Vo、G、Key)とビリー・スタインバーグ(Vo、G)の立ち上げたメロハー・プロジェクトが、'81年に発表した最初で最後のアルバム。
キース・オルセン、スティーヴ・ルカサー、ジェフ・ポーカロ、アラン・パスカetc・・・と、それまで彼らが培って来た人脈をフル活用して召集した一流どころのプロデューサー/ミュージシャンの力を借りて制作されているだけあって、質の高さは折紙付きの本作ですが、やはり何よりも注視すべきは、トム&ビリーが作り出すメロディの魅力。
OPナンバー①の憂いを帯びたサビメロの絶妙さを聴いただけでも本編にグッと惹き込まれてしまいますが、以降も、後にHEARTがカヴァーして大ヒットさせた③、REO SPEEDWAGONEが取り上げた⑥等、「流石、売れっ子ライター」と唸らされる、キャッチーにして心打つ哀メロてんこ盛りなメロハー・ソングが連続。
個人的には、HR/HMとはかなり距離を感じさせるダンサブルなアレンジが苦手なのですが、ともあれメロディの強力さはその点を補っても大いに余りあります。
現在ではCDの入手も容易ですので、メロディ愛好家で本作を未聴の方は是非一度お試しあれ。


I-TEN - Taking a Cold Look - Alone ★★★ (2013-02-09 22:10:00)

素晴しい曲なのは間違いないですが、
HEARTバージョンと比べると、
やや地味な印象は否めないかな?
このアルバムでは隠れた佳曲といった趣きですが
聞き比べてみるのも一興かと。


I-TEN - Taking a Cold Look - I Don't Want to Lose You ★★★ (2013-02-09 22:06:53)

REO SPEEDWAGONEが『THE HITS 1973-1988』で
この曲をカヴァーしていますが、さすが良い所に目をつける。
コーラス部分のツインVoアレンジと、メインのサビメロを歌う
ハイトーンVoが醸し出す哀愁に聴き惚れてしまいます。


I-TEN - Taking a Cold Look - Taking a Closer Look ★★★ (2013-02-09 22:00:54)

OPナンバーにしてアルバムのハイライト。
ポップでキャッチーでノリが良く、
且つ心を捉える憂いを帯びた歌メロからは
「大ヒット曲」並の貫禄と聴き応えが
感じられる名曲です。


I.N.C. - RAZORBACK ★★ (2007-11-08 21:35:00)

アメリカはコネチカット州出身で、BがVoも兼任するツインG編成の4人組スラッシュ・メタル・バンド、
I.N.C.ことINDESTRUCTION NOISE COMMANDが、'88年に発表した1stアルバム。
いきなり8分以上もある①(バンド名を冠したテーマ曲でもある)で幕を開けるという、デビュー作にしては
かなり大胆な構成を取ってる本作。①以降も5~8分台の楽曲が並び、全8曲でトータル・ランニング・タイムが50分を
超える大作主義に、このバンドの旺盛なチャレンジ精神が伺える・・・というよりも、単にMETALLICAの名作
『MASTER OF PUPPETS』に影響を受けただけなんだろうなぁ、多分。
とは言え、『MASTER~』に比べると、欧州風味の流麗なメロディや、様式的な構築美といった要素はそれ程でもなく、
むしろ、暗さや湿り気を排した音作りや、スピーディな疾走パートを基本としつつ、快活に刻まれるカリカリのGリフ、
ドラマ性よりも「ノリの良さ」や「勢い」が先立つカラッとした曲展開は、どこかベイエリア・スラッシュを思わせる。
Bが兼任するVoの音程がフラット気味なため、テンションが上がり切らない点がもどかしいが、そのVoが歌う歌メロは
結構キャッチーだし、メロディアス且つスリリングに切り込んで来るツインG、景気良く弾けるB、起伏に富んだ曲展開といった、
このバンドの持ち味が存分に活かされた①③⑤は聴き応え十分。(特にアルバム・タイトル・トラックの⑤は名曲)
また、技巧を凝らした長尺曲を揃える一方で、⑧のようなストレートに疾走する高速スラッシュ・ナンバーで
ラストを締める構成も○。これで曲の出来/不出来の差がもう少し少なければ文句なしの名盤だったのだけど・・・。


I.N.C. - RAZORBACK - RAZORBACK ★★★ (2007-11-08 21:52:55)

1stのアルバム・タイトル・トラック。
劇的なイントロで掴みはOK。乾いた音像のもと、
歯切れ良く刻まれるカリカリのGリフ、派手に動き回って曲に
アクセントを加えるB、ダイナミックな曲展開を支えるDs、
メロディアス且つスリリングなソロを聴かせるG、
ややフラット気味だがキャッチーなメロディを歌うVo・・・と、
バンドの持ち味が上手く活かされた、
7分以上の長尺を飽きさせる事なく聴かせきる名曲。


IAN GILLAN - Toolbox ★★★ (2019-04-10 00:14:08)

イアン・ギラン再評価の機運が高まっていた時期でさえ、DEEP PURPLEの迷作『紫の聖戦』の直前に発表されている本作にはなかなか手が伸びなかったというのが正直なところ。しかしギラン本人の自信に満ちたご尊顔が鎮座ましますジャケットには久々に「GILLAN」のロゴマークが復活していますし、参加メンバーは、日本では後にHEARTLANDでの活動で人気を博すスティーヴ・モリス(G)、元STARSHIPのブレット・ブルームフィールド(B)、そしてドラマーは何とY&Tのレオナード・ヘイズとな。これが決め手となり購入を決意してみれば、期待通り(参加面子の顔触れに見合った)大変素晴らしい内容だったという。
貢献度の高さでは群を抜くスティーヴがセンスフルなGプレイを滑らかに閃かせ、リズム隊がエッジと疾走感を注入する楽曲を得て、主役たるギランが気合の入ったシャウトを随所で炸裂させまくっているのですから、これ以上何を望むことがありましょうか。ノリノリの曲調に切れ味鋭いGが緊張感を加味する②、アルバムのハイライトにしてGILLAN屈指の名曲と言える疾走ナンバー④、重厚で劇的な⑤といった、ギランのハイトーンが映える楽曲の数々を聴けば聴くほど、つくづくこの後の『紫の聖戦』における出涸らしみたいな歌唱は一体何だったのか?と。やっぱりアレは加齢による衰えよりも本人のやる気に起因するものだったんだなぁと。(今じゃ一周回って大好きになってしまいましたけどね>紫の聖戦)
後半ややテンションが落ちるのが玉に瑕とはいえ、全盛期に発表された傑作群にだって引けを取らない充実作。「GILLAN作品にハズレなし」の法則を再確認させて頂きました。


IAN GILLAN - Toolbox - Candy Horizon ★★★ (2019-04-10 23:51:03)

スティーヴ・モリスの奏でるイカしたGリフと、疾走するリズムの上に、
ギランが目の覚めるようなシャウトを織り交ぜつつ、哀愁の絡みつく
歌メロの乗っけていく、新生GILLANの魅力の粋を結集したかの如き名曲。


IAN GILLAN - Toolbox - Don't Hold Me Back ★★★ (2019-04-10 23:58:02)

重厚でメロディアスなミッド・チューン。
こういう曲ではレオナード・ヘイズ起用がバッチリはまります。
(音作りのせいかあまり目立った感じはありませんが)
終盤でハイトーンを連打するギランのVoも絶好調。


IAN GILLAN - Toolbox - Pictures of Hell ★★★ (2019-04-11 00:09:56)

“CANDY HORIZON”から“DON'T HOLD ME BACK”ときて、
このヘヴィ・メタリックなハード・ナンバーに繋がっていく
一連の流れは、間違いなくアルバム『TOOLBOX』のハイライト。
突き抜けるハイトーンVoにメロディアスなG、
「ワン・バスでツー・バスの音を出す男」と評された
ヘイズのキレキレなドラムまで堪能できてしまう全部入りな逸品。


ICED EARTH - Burnt Offerings ★★★ (2007-12-15 00:36:00)

2nd『NIGHT OF THE STORM RIDER』が日本で大ヒットしたにも関わらず、レコード会社とのビジネス上のトラブルから3年もの沈黙を余儀なくされたジョン・シェイファー(G)率いるフロリダのパワー・メタル軍団が、復活を懸けて'95年に発表した3rdアルバム。
後にジョンが「ストレスの溜まる状況が曲作りに影響を与えた」と語った通り、前作で聴かれたような壮大なオーケストレーションが脇へと下がり、生々しい音像で迫り来る楽曲群は、ICED EARTHの作品の中でも、一際ダークでヘヴィ、且つ怒りに満ちた仕上がり。(また、スラッシュ・メタル色が残る最後の作品でもある)
とは言え、別に本作発表当時、ロック・シーンを席巻していた「モダン・へヴィネス」からの影響があるわけでもなし、作品自体は、相変わらずパワフルでメランコリックでドラマティック。いや寧ろ、ICED EARTHの曲を歌うのに打って付けの歌唱力を備えた強力新Voマシュー・バーロウの加入と、大仰な装飾が取り払われた事で、よりGリフやメロディの魅力がハッキリと浮かび上がっているんじゃないかな、と。
特に、映画『エクソシスト』の“チューブラーベル”を彷彿とさせるイントロからスタートする、激しさと美しさ、繊細さと豪快さを飲み込んでダイナミックに展開していく①を筆頭に、「これぞICED EARTH節!」な②③④、そしてポロポロと零れ落ちるような、美しいアコギとピアノの調べが印象的な小曲⑦を序曲代わりに、ダンテの“神曲”をモチーフに作り上げられ、16分に及ぶ長丁場の地獄巡りを、一瞬たりともテンションを緩めることなく聴かせきる、ジョン・シェイファー渾身の組曲⑧の圧倒的迫力の前には「グゥ」の音も出ません。
個人的に、ジョンが作り出した大作曲の中でも、この“DANTE’S INFERNO”が一番のお気に入り。


ICED EARTH - Burnt Offerings - Burnt Offerings ★★★ (2007-12-15 00:41:55)

“TUBULAR BELLS"ばりのイントロに始まり、
繊細さと豪快さ、激しさと美しさを兼ね備えた
ドラマティック極まりない曲展開が堪能できる、
ICED EARTHの美味しい部分が余す所なく詰め込まれた
3rdアルバムのOPチューンにして、アルバム・タイトル・トラック。


ICED EARTH - Burnt Offerings - Dante's Inferno ★★★ (2007-02-05 22:51:23)

ICED EARTHの楽曲は、長ければ長いほど
(もしくは短ければ短いほど)クオリティが上がっていく
傾向が見られるのだが、この深遠かつドラマチック、
十数分という長さを全く気にさせない大作は、その代表格。
序曲的に配置された小曲“THE PIERRED SPIRIT"(これまた名曲)
とセットでお楽しみください。


ICED EARTH - Dystopia ★★★ (2013-02-08 23:36:58)

看板シンガーのマシュー・バーロウが脱退。その後任に元INTO ETERNITYのステュウ・ブロックを迎え入れて'11年に発表された10thアルバム。
マシューのような攻撃的なシャウトから、リッパーの如きハイピッチ・スクリームに至るまで自由自在に歌いこなし、それでいて小器用さよりも、ぶっ太い芯の通ったパワフルさが強烈に印象に残るステュウの見事な歌唱を得たお陰で、マシュー不在の痛手を全く感じることなく本編に没頭できる今作ですが、やはりアルバム最大の求心力たり得ているのは、首魁ジョン・シェイファーが手掛け、唯一無二のICED EARTH印が刻印されている収録楽曲の数々。
ストーリー・アルバムを作ると、コンセプトの構築に熱心になり過ぎて肝心の楽曲がお留守になるパターンの多い彼らですが、今回はノンコンセプトなHMアルバムということもあり(映画が元ネタになっているものが多いようですが)、個々の楽曲がきっちりと練り込まれて高い完成度を提示。ここまで手応えを感じさせてくれたのは7th『THE GLORIUS BARDEN』以来じゃないかなぁ?と。
イントロだけでメタル魂が燃え上がる①、重厚な悲壮感が溢れ出す②、ブルドーザーの如き迫力で畳み掛ける③⑧、武骨さの中から滲み出す叙情性に胸を打たれる④、JUDAS PRIEST、IRON MAIDENの系譜に連なる正統派のツインGが大活躍な⑥⑦⑫・・・と、こう書いているだけで全身の血が沸き立ってくる、勇猛果敢にしてドラマティックな逸品が隙間なく陳列された本作は、なるほど「バンドの最高傑作」との議論が持ち上がるのも納得のカッコ良さです。


ICED EARTH - Dystopia - Anguish of Youth ★★★ (2013-02-10 22:58:14)

自殺を試みた女性についての歌なので
ダークでメランコリックな雰囲気が漂いますが、
アコギによって醸し出される叙情性が
このバンドらしい武骨な優しさを伝えてくれるバラード。
マシュー・バーロウでも、ティム・オーウェンズでもなく、
Voがステュウ・ブロックだからこそ演れた楽曲ではないかと。


ICED EARTH - Dystopia - Anthem ★★★ (2013-02-10 23:04:12)

オフィシャル・ビデオも作られた
アルバムのリーダー・トラック(なのかな)。
コートの襟を立てて、逆風を突いて
一歩一歩前進していくような気分にさせられる
厳粛且つ重厚な、まさしく「アンセム」な1曲。


ICED EARTH - Dystopia - Dark City ★★★ (2013-02-10 23:00:40)

個人的に大好きなSF映画『ダークシティ』を
題材に取っているだけでも星三つを進呈したいぐらいですが
楽曲自体も相当なカッコ良さ。
ことに疾走するツインGのドラマティックさ加減は
思わずコブシを突き上げたくなる程です。


ICED EARTH - Dystopia - Dystopia ★★★ (2013-02-10 22:55:12)

このイントロ聴いて昂ぶらない奴は偽メタル・ファンだな!
と、思わず物騒なことを口走りたくなるぐらい
劇的な導入部を擁する、まさに掴みにもってこいの名曲。


ICED EARTH - Horror Show ★★★ (2011-02-14 23:17:05)

2nd『NIGHT OF THE STORMRIDER』と共に、マシュー・バーロウが歌うICED EARTHの最高傑作として愛して止まない、'01年発表の6thアルバム。
重厚壮大なコンセプトを前面に押し出したアルバムを手掛けると、ストーリーは非常にドラマティックなのに、肝心の収録曲が地味で決め手に欠くという、後期SAVATAGEに通じる弱点を毎度感じずにはいられないICED EARTH。
ところがどっこい、ホラー/オカルト映画、怪奇小説の世界観をコンセプトに掲げる本作では、狼男や吸血鬼など、同ジャンルのアイコン的モンスターが曲毎にテーマとして設定されており、これが個々の楽曲のキャラ立ちを明確化。しかもそのいずれもが、野太くも憂いに満ちたマシューのVo、ジョン・シェイファーが刻み込む重厚なGリフ、そしてドラマティックな曲展開を兼ね備えたICED EARTH印の名曲揃いと来たもんだ。
映画『オーメン』のサントラを彷彿とさせる禍々しさ・大仰さで迫り来る、悪魔の子ダミアンについて歌った②、ジギル博士の危うい内面を描写するかのように緊迫感を伴ってスリリングに疾走する⑥、吸血鬼の運命を悲壮感たっぷりに描き出す⑩、そして女性Voをゲストに招き、アルバムのフィナーレをオペラティックに飾る⑪といった、モンスター達の威容や彼らが背負った宿命を、アメコミ的なぶっ太い輪郭線で具現化する名曲の素晴しさは、まさしく本編の白眉。IRON MAIDENのカヴァー⑧も、そのハマりっぷりのみならず、テーマを補強する役割も果たしておりナイス選曲だ。
2ndアルバムと併せて、ICED EARTH入門編にお薦めの1枚。ちなみにBを弾いてるのは名手スティーヴ・ディジョルジオですよ。


ICED EARTH - Iced Earth ★★ (2006-10-30 21:52:00)

2nd以降はよく見かけるのに、どういうわけか本作だけは入手困難な状態が続いている、'91年発表の1stアルバム。
デビュー作という事で、まだ現在のようなスケールのデカイ大仰さは然程感じられず、どちらかと言えばオーソドックスなパワー/スラッシュ・メタルの要素が濃厚。楽曲は比較的コンパクトにまとめられ、クセの強いVoの存在と相俟って、彼らの全カタログ中、最もストレートな作風に感じられる。
だがしかし。ザクザクと刻まれるゴン太リフ、重々しく疾走するリズム、扇情的なツインG、繊細なアコギ、Keyを効果的に導入したドラマ性に満ちた曲展開etc・・・と、既にICED EARTHならではの個性はガッチリ確立済み。
特に、クライマックスへと向かって力強く盛り上がっていく②、組曲形式でアルバムの締めを飾る⑥⑦⑧は、その辺りが強く発揮された、繊細さと攻撃性の同居するドラマチックな名曲で必聴。
せっかくバンド名まで冠したのに、OPチューン①が大した曲じゃなかったりと、新人バンドならではの詰めの甘さを感じる場面は多々あれど、後の大成を予感させるのに十分な完成度を誇る1枚。


ICED EARTH - Incorruptible ★★★ (2017-09-12 23:47:11)

まず雑誌に載ったICED EARTHのインタビューで、新作(’17年発表)がコンセプト・アルバムではないことを確認して「よし、今回は期待できそうだぞ!」と(超失礼)。これまで再三述べて来たことですが、首領ジョン・シェイファーはコンセプトに囚われず、個々に起承転結を有する楽曲をクリエイトしている時の方が、作曲者としての切れ味がより鋭さを増す印象で(個人の感想です)、本作もその説を裏付けてくれる強力な出来栄えを誇る。…って、ICED EARTHのカタログに駄作は1枚もありませんけどね。
勿論コンセプト・アルバムじゃないからといって、ドラマ性や劇的さが薄まってしまうようなことはなく。厳めしいコーラスがヴァイキング軍団の行軍を思わせる①、海賊の戦場たる大海の如く力強くうねる②、ネイティヴ・アメリカンのスピリチュアルな雰囲気を纏ったインスト曲⑦、ジョンの南北戦争マニア魂が燃え盛る、フレデリックスバーグの戦いにおけるアイルランド旅団の悲劇について綴られた大作ナンバー⑩…。ステュ・ブロック(Vo)のパワフル且つ表現力豊かな歌唱、劇画チックな陰影と愁いを湛えたメロディ、強靭に刻まれるGリフ、ヘヴィネス漲るリズム・ワークを得て、聴いているだけで歌詞世界の情景が眼前に広がっていくような、シネマティックな楽曲の数々を描き出すジョンの筆致はここでも冴え渡っています。また今回は初期スラッシュ・メタル時代に立ち返ったかの如き、アグレッション全開のスピード・ナンバー⑤も収録。本編中盤をグッと引き締めてくれているという。
ICED EARTHはもう過去のバンド?いやいや。現役バンドですら稀な、これほど強力なアルバムを提示してくれるバンドをロートル扱いは畏れ多過ぎるってもんですよ。


ICED EARTH - Incorruptible - Great Heathen Army ★★★ (2017-09-13 23:50:57)

重厚且つ物々しいイントロを経て
ヴァイキングについて歌った歌詞に相応しく
厳めしく進撃を開始するOPナンバー。
聴いてるだけで力瘤ってしまう
パワフルな曲調にはICED EARTHの個性が
しっかりと刻み込まれています。


ICED EARTH - Incorruptible - Seven Headed Whore ★★★ (2017-09-13 23:55:04)

ICED EARTHがここまでストレートに突っ走る
楽曲を演ったのは一体いつ以来でしょうか。
スラッシュ・メタルのルーツを伺わせる疾走ナンバーで、
噛み付くようなシャウトから突き抜けるハイトーンまで
振れ幅の大きなVoの歌唱と、テクニカルに駆け巡るGとが
効果的に楽曲のテンションを高めてくれています。


ICED EARTH - Night of the Stormrider ★★★ (2006-12-07 22:51:00)

「ドラマティック・スラッシュ・メタル」と聞くと、DESPAIRの3rd『BEYOND THE REASON』と共に真っ先に頭に思い浮かぶのが、このICED EARTH'92年発表の2ndアルバム。
既に確固たる個性を築いていたとは言え、まだオーソドックスなパワー/スラッシュ・メタル風味が強く、収録曲のクオリティにもバラつきが見られたデビュー作に比べ、今回はメンバー・チェンジでVoの
歌唱力がUP(特にメロウな歌い上げが魅力)。よりツインGの煽情度も高まり、各楽曲の平均クオリティとドラマ性が飛躍的に向上・・・と、捨て曲皆無の高い完成度を誇る作品に仕上がっている。
そして何より、コンセプト・アルバムという舞台装置を用意し、アコギ、生ピアノ、オーケストレーションの大胆且つ効果的な導入、アコースティックな小曲で曲間を繋ぎ、ドラマを流麗に物語っていく
その演出手腕には、いよいよ「ICED EARTH本領発揮!」といった感が強く漂う。
その最高峰が、世のメタラー諸氏の度肝を抜いた事で知られる、劇的極まりない名曲①。カール・オルフの“FORTUNA"ばりにドカンと炸裂するイントロには、個人的にも失禁しそうになるぐらい痺れさせて頂きました。
②を筆頭に、エッジーなリフの刻みを聴けば、この頃の彼らが未だスラッシュ・メタルのフィールドに留まっている事が分かるが(そしてまたそこが良い)、本作の成功で自信を深めたジョン・シェイファー(G)は、これ以降、ドラマティシズムの追求に血道を上げていくことになる。


ICED EARTH - Night of the Stormrider - Angels Holocaust ★★★ (2007-02-05 22:44:28)

やはりICED EARTHと言えばこの曲。
その他の2ndアルバム収録曲も何れも高いクオリティを誇るが、
この超名曲(特にイントロ)のインパクトの前には
霞んでしまう・・・というのが実際のところ。


ICED EARTH - Plagues of Babylon ★★ (2014-03-05 23:51:44)

それなりの歳月ICED EARTHの活動をフォローして来た身として、ジョン・シェイファー(G)の才能を疑ったことは一度としてありませんが、なればこそ不思議なんが、どうしてこの人はコンセプト・アルバムを作らせると収録楽曲が華に欠ける仕上がりになるんかなぁ?と。
テーマ練るのに時間を取られてしまうのか、はたまた、1曲毎ではなくアルバム全体の流れの中でドラマを構築しようとするからなのか・・・理由は色々考えられますが、本作に関して言えば、新加入のステュウ・ブロック(Vo)が、自己紹介代わりにロブ・ハルフォードばりのハイトーンからダンディな低音まで多彩な歌声を披露していた前作に対し、今回はケレンを排して、(ほぼ)中音域一本に絞った歌唱に徹していることも、この落ち着いた作風に少なからず影響を及ぼしている印象あり。
尤も、それでも彼の歌唱の雄々しさに疑問を挟む余地はなく、また頼れる相棒を得て益々意気盛んなジョンのクリエイトする楽曲も、1曲ずつ取り上げればそのクオリティは相変わらず無類(地味=退屈というわけではない)。荘厳な響きを湛えて闘魂迸る③⑥⑧や、男泣きの哀愁を背負った⑦⑪といった、ICED EARTH流パワー・メタルの真骨頂たる楽曲の数々には賛辞を惜しみませんよ。
共通したテーマを持つ前半6曲と、独立したメタル・ソングの後半6曲からなる構成ですが、通して聴くよりは上記した楽曲を摘み食い的に楽しみたい作品ですかね。


ICED EARTH - Plagues of Babylon - Cthulhu ★★★ (2014-03-06 23:22:07)

クトゥルー神話を題材に取り上げ、
メランコリックな導入部からテンポアップして
荒々しく盛り上がっていくという
ICED EARTHの必勝パターンが炸裂する名曲。
数千、数万のむくつけき野郎共が拳振り上げながら
合唱してる姿が目に浮かぶような、
荘厳にして勇壮なサビメロもいい具合に
メタル魂を鼓舞してくれます。


ICED EARTH - The Glorious Burden ★★★ (2007-05-26 23:30:00)

マイナー臭の発生源だった(そしてそれこそが最大の魅力だった)マシュー・バーロウ(Vo)が抜け、後任に元JUDAS PRIESTの肩書きを持つティム“リッパー”オーウェンズを迎えた事で、全体的にグッと垢抜けて、メジャー・アクトとしての貫禄が感じられるようになった'04年発表の7thアルバム。
「戦争」をテーマに掲げたコンセプト作、更に南北戦争の天王山、所謂「ゲティスバーグの戦い」を20分間に亘って壮絶に、ドラマティックに、エモーショナルに綴ったジョン・シェイファー渾身の大作組曲⑨~⑪を含む、パワー/メロディ/ドラマ性の三拍子揃った(傑作6th『HORROR SHOW』に勝るとも劣らない)ハイクオリティな内容を誇る本作については、既に多くの方が意見を述べていので、自分なんぞが今更付け加えることはもうなにもありません。
ただ1つ、本作にまつわる事で非常に残念だったのは、チケットを購入して楽しみに待っていた来日公演が直前で中止になってしまったこと。もし来日してくれれば、ジョン・シェイファーにティム・オーウェンズ、ラルフ・サントーラにボビー・ジャーゾンベクという、(個人的には)失禁モノの強力ラインナップでのライブが見られた筈だったのに・・・無念。


ICON - Icon ★★★ (2015-04-29 00:01:58)

軽薄さを微塵も感じさぬ重厚な正統派HMサウンドが託された、LAメタル異端の名盤として、ARMORED SAINTやMALICEの諸作と共に雑誌等で取り上げられる機会の多い、ICONが'84年に発表したデビュー作。(そういやプロデューサーはマイク・ヴァーニーでしたっけね)
メタリックな光沢を放ちながら、ツインGとリズムとが分厚く押し出してくるOPナンバー①を聴けば、彼らのお手本がJUDAS PRIESTであることは疑いようがありませんが、その一方で、アイラインばっちり/カットTシャツざっくりなメンバーの派手派手なルックス、ギタリストのドヤ顔が目に浮かぶようなテクニカルなプレイ満載のリードG、あと「歌う」よりも「叫ぶ」といった感じの勢い重視なVo等は、バンドの出自が間違いなくLAメタルにあることも物語っていています。
正直、音程に無頓着に喚くVoには聴き疲れを覚えなくもないのですが、楽曲はそれを補って余りあるカッコ良さ。中でもフラッシーなツインGを活かした疾走ナンバー⑥から、“美しき聖像破壊者たち”なる邦題の付けられた神秘的なインスト曲⑦を経て、本編屈指の出来栄えを誇る劇的且つ重厚な⑧へと雪崩れ込んでいく中盤以降の流れは、欧州風味の正統派HMにLAメタル流のメイクを施したICONサウンドの真骨頂。
本作に冠せられた大仰な邦題『聖なる咆哮』は伊達じゃねぇ!と思わせてくれる名盤です。


ICON - Icon - Rock 'n' Roll Maniac ★★★ (2015-04-29 00:12:28)

個人的には1stアルバムで一番好きな楽曲なのですが
まさかの得票数0。
アメリカンな威勢の良さと、ヨーロピアンな
湿り気と重厚感の良いトコ取りな名曲ですよ!


ICON - Night of the Crime ★★★ (2017-05-29 00:35:16)

見た目も出す音も華やかなバンドが揃っていたLAメタル・シーンにおいて、ウェット且つ重厚な欧州風味の正統派HMサウンドが異彩を放ったICON、’85年発表の2ndアルバム。
クオリティは高かったものの、デビュー作がセールス的には伸び悩んだ結果を踏まえ、バンドはここで大きく音楽性を転換。曲作りにおいては外部ライターのボブ・ハリガンJr(JUDAS PRIESTとの仕事で知られる)の助力を仰ぎ、シンセサイザーやボーカル・ハーモニーを大幅増量。ポップ&メロディアス化が推進された本編は、プロデュースをエディ・クレイマー、ミックスをロン・ネヴィソンという大物が手掛けたことで一気に抜けが良くなった音作りと併せて、グッと大人びて洗練された風格を身に纏うようになりました。
“聖なる咆哮”とか“美しき聖像破壊者達”とか、大仰な邦題が似合うメタリックな雰囲気は大きく後退するも、派手さを抑えてミディアム・テンポ主体で攻めて来るリズム、テクニカルなだけでなく仕事ぶりも的確なツインG、そして前作最大の弱点とも言えた「雑さ」が解消され、丁寧且つ伸びやかに哀愁のメロディを歌い上げる飛躍的成長っぷりが頼もしいVoがフィーチュアされた収録曲は、ロマンティックな哀メロがキュンと胸を締め付ける⑨を始め、キャッチーな秀曲が揃っていてクオリティ面において盤石。特にスペーシーなシンセのイントロからスタートする重厚な⑤は、物悲しいメロディと、HMバンドとしてのエッジの鋭さを併せ持つICON屈指の名曲ではないかと。
ことほど左様に、これをバンドの最高傑作に推す声が多いのも確かに納得がいく1枚。にも関わらず本作がセールス的には惨敗だったという現実の方が納得いかんのですよ。


ICON - Night of the Crime - Hungry for Love ★★★ (2017-05-29 23:29:29)

HRバンドとしてのエッジや重量感は十全に保ちつつ、
ICONというバンドのメロディ・センスの良さが
如何なく発揮された哀愁のメロハー。
特にコーラスの美しさに蕩けますね。
このサビメロをぶち壊すことなくパワフルに歌い上げる
シンガーの確かな成長ぶりに拍手。


ICON - Night of the Crime - Out for Blood ★★★ (2017-05-29 23:26:50)

スペーシーなシンセとテクニカルなGが映える
抒情的なインスト・パートと、テンポアップして
ハードに盛り上がる歌入りパートの二部構成からなる、
ドラマティックなアルバムのハイライト・ナンバー。
前作に収録されていてもおかしくない曲調ですが
Voの歌唱力やアレンジ力の向上もあって
より安定感が増しています。


IMPELLITTERI - Wicked Maiden ★★ (2009-03-12 23:21:00)

ベテラン・バンドの原点回帰が相次ぐ昨今、約10年ぶりにロブ・ロック(Vo)との復縁を果たした
IMPELLITTERIの最新作も、そうした姿勢がハッキリと打ち出された内容に仕上がっていて嬉しい限り。
賛否両論を呼んだ実験作『PEDAL TO THE METAL』は結構好きな作品だったのだが、やはり、華麗且つストロングな
正統派HMナンバーが全編に渡って敷き詰められた本作を聴いてしまうと、「これこそがIMPELLITTERI!」との
思いを新たにするのも確かで、何より、掴みはOKな名曲①や、流麗なKeyが良いアクセントとなっている③で炸裂する、
ロブの熱いシャウトが素晴しいったら。やはりこの人の歌声を聴くと、心のメタル魂にポッと火を点されますなー。
フックの効いた哀メロが心地良い④⑥といった、適度に力の抜けた(ポップな)楽曲も◎。
アルバムとしては、ロックンロール風味の⑦以降、メロディの魅力が下降線を描いてしまうのが残念だが、それでも
パワフルなエネルギーが漲る本編前半を聴くためだけでも、本作は購入する価値が大いにあるというもの。
ギター・ヒーローの存在の見直しが進む昨今、良いタイミングで、優れた内容の作品を発表してくれたと思うので、
これを機会にIMPELLITTERIがデッカク飛躍してくれるとファンとしては嬉しい。頑張れ。


INCUBUS(UK) (2015-04-12 23:01:03)

同名バンドが多数存在するため、別項「INCUBUS」のコメント欄でなくとも混乱しますが(笑)、こっちはイギリスのダラム出身で、デイヴ(Vo、G)、ケン(G)、スティーヴ(Ds)のクロフォード3兄弟と、その友人コリン・エヴァンス(B)によって結成された4人組。
マニアから愛されるGUARDIAN RECORDSと契約を結んだ後、まずはレーベル・メイトのMILLENIUM、SPARTAN WARRIORと共にオムニバス盤『PURE OVERKILL』に楽曲提供をした後、'84年に1st『TO THE DEVIL DAUGHTER』でアルバム・デビューを果たす。
大成出来ぬままNWOBHM史の片隅へフェードアウトしていったバンドですが、ハモリまくるツインGを生かしたサウンドは、(少々垢抜けないながらも)今尚郷愁を掻き立てる輝きが感じられます。


INCUBUS(UK) - To the Devil a Daughter ★★★ (2015-04-12 23:06:28)

スティーヴ、デイヴ、ケン・クロフォードの3兄弟を擁してNWOBHM最末期に活動していた英国のバンドが、'84年にGUARDIAN RECORDSに残した唯一のフル・アルバム。
ヘタウマなジャケット、チープな音質、いなたいVoと、後発ながらもNWOBHMの伝統をきっちりと受け継いでいる頼もしき(?)本作ですが、音の方にまでNWOBHMらしい荒々しさや疾走感を期待すると、3兄弟による息の合ったボーカル・ハーモニーに彩られた、時にポップにさえ感じられるウェットでメロディアスな作風に、間違いなくスカされることになりますのでご注意を。
味のある楽曲の連なりが醸成する「雰囲気」によって聴き手を「酔わす」タイプの作品ゆえ、強烈なインパクトを焼き付けられる名曲は見当たりませんが、このバンド最大の武器たる、シケシケな哀愁のメロディをのべつまくなし紡ぎ出すツインGは、印象的にハモリまくるOPナンバー①から、早くも英国メタルの旨み全開。悶絶モノの泣きと劇的さで迫り来る③と、哀メロと三連ビートの組み合わせがUFO“DOCTOR, DOCTOR”を思わす⑥なんて、PRAYING MANTISやHERITAGE辺りを好むマニアならば無視できない存在感を発揮してますよ。線の細いVoさえも、ここではその頼りなさが逆に楽曲の叙情性を引き立てているように聴こえてしまうのだから不思議。
「NWOBHMのメロウ・サイドに属する隠れた逸品」との評価に偽りなし。な1枚。


INDIGO DYING - Indigo Dying ★★★ (2024-02-15 23:23:55)

FRONTIERS RECORDSが、南米はチリ出身の女性シンガー、ギサ・ヴァッキー(松任谷由実のアルバムにもバック・ボーカルとして参加したことがあるのだとか)を売り出すべく立ち上げたプロジェクトINDIGO DYINGの1stアルバム。’07年発表。
目論み通りの大ヒットとはいかなかったようで、残念ながらプロジェクトが残したのは本作1枚きりながら、プロデュースをファブリツィオ・V・グロッシが担当、ゲストVoにマイケル・キスク&マーク・ボールズを招き、トミー・デナンダーやジョン・マカルーソといった面々が背後を固める等、手厚いバックアップ体制が敷かれているだけあって完成度は上々。披露されているのは当然80年代風味満点のメロハー…かと思いきや、意外にも仄かにゴシック・メタルのエッセンスもまぶされたモダンなメロディック・ロック・サウンドで、そもそも収録曲は書下ろしの新曲ではなく、オルタナからポップ系まで、気鋭のアーティスト達の既発曲のカヴァーが主体という若干変則的な構成となっています。
とはいえそこはFRONTIERS RECORDS作品。ハードめのアレンジと、フックに富む哀愁のメロディに彩られた楽曲はジャンルの垣根を越えて胸に迫ってくる仕上がりですし、⑥⑩におけるマイケルやマークに対しても一歩も引かないギサ嬢のパワフルな歌いっぷりからは、豊富なキャリアに裏打ちされたヒロインたる輝きも十分。特に物悲しいピアノとヘヴィな演奏に、愁いに満ちた歌唱が乗っかった④はこのプロジェクトの魅力が凝縮された名曲ですよ。(露骨にEVANESCENCEしてる点はご愛敬)
今からでも遅くないので第2弾アルバム作りません?その時はオリジナル曲で勝負ヨロシク。


INDIGO DYING - Indigo Dying - Better ★★★ (2024-02-19 23:24:47)

誰がどう聞いてもEVANESCENCEからの影響は明らかですが
良い曲なのもまた事実。ヘヴィな曲調に愁いを加える
ピアノの美旋律が効果的で、勿論ギサ・ヴァッキー嬢の
Voも楽曲を力強く盛り上げてくれています。


INTRUDER - Believer ★★ (2015-06-07 23:58:30)

スラッシュ・メタル・バンドの方ではなく、ジョン・カラク(G)率いるニュージャージーのメロハー・バンドが、'00年に発表した2ndアルバム。
前作『DANGEROUS NIGHTS』は、「まるで収録全曲が(BON JOVIの)“RUNAWAY”状態」と評された哀愁のアメリカン・メロディアスHRの好盤でしたが、今回は本当にその“RUNAWAY”をセルフ・カバー(カラク氏は“RUNAWAY”共作者)。しかもオリジナルの完コピではなく、バラード調に始まってハードに盛り上がっていくという中々にドラマティックなアレンジが施されていて、この曲目当てで購入した身としては、一本釣りされた甲斐があった!と思わせてくれる好カヴァー。
ただアルバム全体としては、長年に亘って作り溜められたアイデアの大盤振る舞いだった前作と比べてしまうと、やや弱く感じられてしまう点は致し方ないところか。いやそれにしたって、いきなりメロハー・マニアのハート・キャッチなOPナンバー①に代表されるような、煌く哀メロとキャッチーな曲調とが絶妙な融合をみた楽曲の冴えっぷり(お薦めは①⑤⑨)は、やはり只事じゃありませんけどもね。
あと個人的には、トレイシー・ホワイト(SHOTGUN SYMPHONY)のバッチグーな歌唱力も加点ポイント。取り分け、泣きのGの熱演も胸に迫るバラード⑥⑪における熱唱ぶりからも明らかな通り、太い芯を感じさせつつも円やかで潤いに満ちた彼の歌声が、本作を数割増しで魅力的に輝かせてくれていることは疑う余地なしですよ。
これ以降、確かバンドは消息を絶ってしまったと記憶していますが、ジョン・カラク氏は今頃どこで何をしておられるのでしょうか?


INTRUDER - DANGEROUS NIGHTS ★★★ (2013-12-28 00:53:41)

ジョン・ボン・ジョヴィと名曲“RUNAWAY”を共作したことで知られるソングライター、ジョン・カラク(G)が、これまで書き溜めてきたマテリアルを世に出すべく、ARCARAやSHOTGUN SYMPHONYの主要メンバーの力を借りて立ち上げたバンドが'97年に放ったデビュー作。
先頃購入した『メロディアスHRディスクガイド』(まさしく新世紀版『メロディック・ロックへの誘い』といった趣きの好著)において「全曲が“RUNAWAY”状態」とレビューされていたのを読んで興味を持ち、折りよく安価で売りに出されていた中古盤を入手して聴いてみたのですが、これがもう(恐らく意図的に)“RUNAWAY”感バリバリなOPナンバー①を手始めに、Keyが印象的なフックを作り出す哀愁のメロディック・ロック・サウンドはまさしく初期BON JOVI路線。「BON JOVIったらやっぱ1stでしょ」な我が身にはジャストフィットな1枚でありました。
尤も、こうした作風を歌うにはトレイシー・ホワイト(Vo)のウェットな声質が少々重くも感じられますが、それでも歌唱力は確かな上に、次から次に繰り出される楽曲がとにかく高品質なので、聴き進めるうちに全く気にならなくなります。特にピンと張り詰めた緊迫感を漂わす④、素晴らしいシンガーがいてこそ映えるバラード⑤、Keyが“EMERGENCY”な雰囲気を醸し出す⑥は、前述の①と並ぶアルバムのハイライト・ナンバー。
こんな傑作が、中古屋で3桁の値段で買えてしまうのだから日本は良い国(?)だなぁ、と。


INTRUDER - DANGEROUS NIGHTS - HEARTS ON THE LOOSE ★★★ (2013-12-29 10:23:01)

「俺だって“孤独のランナウェイ”の作曲者だぜ!」
というジョン・カラクの主張が漲るイントロに
顔が綻ぶアルバムのOPナンバー。
尤も、楽曲自体は“孤独~”と似ているわけではない
魅力的なメロディックHRの名曲。


INTRUDER - DANGEROUS NIGHTS - Surprise Attack ★★★ (2013-12-29 10:26:03)

奇襲攻撃のタイトルに相応しく、
Keyがメロウネスのみならず、ぴりっとした
緊迫感も演出する逸品。
ギタリストとしてもジョン・カラクが
良い仕事を披露しています。


INTRUDER(THRASH) - A Higher Form of Killing ★★★ (2017-03-20 22:22:22)

ドラマーのジョン・ピエローニを中心に、テネシー州にて結成されたパワー/スラッシュ・メタル・バンドが’89年に発表した2ndアルバム。1st『LIVE TO DIE』の好評を受けてこちらは日本盤のリリースも実現しています。(でももう廃盤という)
本作からサイドGを加えて5人編成に移行。また新たにMETAL BLADEと契約を結ぶ等、バンドに訪れた環境の変化は音楽性の方にも伝播。具体的に言うと、まずレコーディング・パジェットが増えたことで音質が改善。更に全編を貫く畳み掛ける疾走感はそのままに、よりテクニカルなアプローチが試みられた楽曲は、Gリフ重視、ギャング・コーラスの増量等、一層スラッシュ・メタル色を強めた仕上がりに。近未来の毒ガス戦争に警鐘を鳴らすアートワークや、ノーベル賞受賞科学者フリッツ・ヘイバーの言葉をインナースリーブに引用したりする社会派カラーの鮮明さも、この時期のスラッシャーらしいところです。
パワー、スピード、それに次々重ねられていくGリフのアイデアと、いずれの要素も及第点を軽くクリア。その一方で、嘗てはデビュー作に比べると卒なくまとまり過ぎて、パンチに欠けるように感じられたものですが、殆ど十年ぶりぐらいで聴き直したら、みるみる印象が急上昇しましてね。しっかりとメロディを追うVoを活かした劇的な④⑩、テンション高く弾きまくるツインGを擁しスピーディに突き進む②③、アグレッシブ且つキャッチーな⑧等、終始緊張感を高いラインで保ったまま走り抜ける力作じゃねえか!と。
敢えて気になる点を挙げさせて貰えるならば、複雑精緻化した楽曲にドラマーの腕前が追っ付かなくなってる場面が散見され、MONKEESのカヴァー⑤で嬉々としてリードVoを取ってる場合じゃないだろうと、君は。(カヴァーの出来はユニークで◎なのですが)


INTRUDER(THRASH) - A Higher Form of Killing - Mr. Death ★★★ (2017-03-20 22:28:19)

メロディアスに歌えるVoと、ギャング・コーラスの
抜群にテンポの良い掛け合いにアガらずにはいられない
アルバムのラスト・ナンバー。
猛然と弾きまくるGも鮮烈な印象を残します。