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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2801-2900

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2801-2900
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INTRUDER(THRASH) - A Higher Form of Killing - The Martyr ★★★ (2017-03-20 22:37:06)

ヨーロピアンな湿り気を漂わせていた前作に比べると、
ニュースのナレーションをSEに付け加えるモダンなアレンジから、
湿度の下がった音作り、山あり谷ありの展開を盛り込みつつ
Gリフ主導で突っ走る曲調まで、より明快にベイエリア・スラッシュ路線への
傾倒が感じられるアルバムのOPナンバー。
いやでも十分カッコイイんですよ、これが。


INTRUDER(THRASH) - Escape from Pain ★★ (2007-02-24 22:57:00)

CD屋の輸入盤コーナーで見かけて、「お、INTRUDERの新作か?」と思って購入、後で確認したら
'90年発表の5曲入りEPの再発盤(リマスター仕様)だった。
しかし、これが結構優れた内容で、前年発表の2nd『HIGHER FROM OF KILLING』は大人しくまとまり過ぎていて、
正直、可もなく不可もなくといった感じのアルバムだったが、それが本作では一変。
上擦り気味だったVoの歌唱に太さが増し、更に『HIGHER~』のウィーク・ポイントだったDsの技量が格段に向上。
モタリが殆ど感じられなくなっていて、そのドラミングに引っ張られる形でリフや疾走感のキレ味も
大幅パワーアップ。結果、作品に宿るダイナミズムが前2作の比ではなくなっている。
CHICAGOの名曲“長い夜"のカヴァー①も、巧くスラッシュ・バージョンに変換しているし、
EDにエクソシストの“TUBULAR BELLS"(?)をくっ付けたEP表題曲の大作②、2本のアコギが絡み合う
美しいイントロを経て疾走を開始する④といった楽曲は聴き応え十分。
ツインGの煽情度がやや落ちたように感じられるが(とはいえ④のGソロは◎)、ともあれ、
こりゃあ、未聴の3rd『PSYCHO SAVANT』が是非とも聴いてみたくなった。


INTRUDER(THRASH) - Live to Die... Relived ★★★ (2007-03-26 21:26:00)

今から十数年ほど前に、BURRN!!誌のスラッシュ・メタル特集でこのアルバムが取り上げられていたのを読んで早速買いに走った記憶がある、テネシー州は、ナッシュビルならぬスラッシュビル(笑)出身の4人組、’87年発表の1stアルバム。
ツインG編成となった次作以降は、明快なベイエリア・スラッシュ路線へと徐々にシフトしていくこととなる彼らですが、シングルG編成のこの時期は、所属先がJAG PANZERやLIEDGE LORDを擁したB級メタルの登竜門(?)IRON WORKSだったこともあってか、NWOBHMからの影響も伺わすダークで湿気ったスピード・メタルを演っています。個人的には、初めてOPナンバー①を耳にした時は、HEATHENの『BREAKING SILENCE』のことを思い出しました…と書くと、どんな感じの音か伝わるでしょうか?
音質はイマサンなれど(メタル・バンドの中では最も早くフル・デジタルでレコーディングされた作品の一つらしいですが、その恩恵は全くと言っていいぐらい感じられない)、歌えるVoを活かした、静と動の対比が見事な③、メロウなBソロも印象的な④、そして本編のハイライトと呼ぶべき、東欧調の寂しげなメロディを爪弾くアコギに始まり、ドラマティックに疾走していく⑤といった強力な楽曲を擁した本編中盤の盛り上がりが圧巻。INTRUDERのカタログのベストな1枚としてファン人気が高いのも然もありなん。
惜しむらくは、CDの再発に際して最低で最高だったオリジナルの首吊りジャケットが、無難なデザインのモノに変更されてしまったことぐらいですよ。


INTRUDER(THRASH) - Live to Die... Relived - Kiss of Death ★★ (2007-03-26 21:34:49)

1stアルバムのハイライト・チューン。
何処となく東欧を思わせる、物悲しげなアコギのイントロに
始まり、スピーディ且つ劇的に盛り上がっていく曲展開が
素晴しい。


INTRUDER(THRASH) - Psycho Savant ★★ (2009-10-13 22:25:00)

バンドの代表作と名高い『LIVE TO DIE』('87年)の頃は、シュールで不気味なジャケット・アートワークが
ピタリとハマる、欧州風味の暗く湿った雰囲気漂うスラッシュ・メタルを演っていた彼らだが、作品を重ねる毎に
そういった要素は薄れていき、この3rdにしてラスト・アルバムでもある本作で聴く事ができるのは、
すっかり垢抜けたアメリカン・スラッシュ・メタル。・・・と言っても能天気さはまるでなく、
それよりもリズミックに疾走するキャッチーな縦ノリのリズムにそうした要素を強く感じてみたり。
フラッシーに弾きまくり、全編を華麗に彩るメロディックなツインG、起伏に富んだメロディを歌うVo、
そして技巧を凝らした(プログレッシブ・ロックからの影響も感じさせる)テクニカルな曲展開を兼ね備えた
①④⑥⑧といった楽曲は、特に本作の方向性と魅力を判り易く伝える名曲かと。
全8曲収録で、その殆どが6~7分台という大作主義には流石に胃もたれを感じざるを得ないものの、
練られたアレンジとスラッシーな疾走感が緊張感を維持してるお陰で冗長さはギリギリのところで回避。
前2作が気に入った人なら買って損はないハイクオリティな内容の1枚・・・なんだけど、既に再発された1stや2nd
に対し、こっちはいつまで経っても全くリイシューされる気配がないのであった。


IQ - Are You Sitting Comfortably? ★★★ (2022-11-17 00:27:40)

80年代初頭に英国で盛り上がりをみせたネオ・プログレッシブ・ロック・ムーブメントの渦中にて、ブームの旗手たるMARILLIONに続く存在と目されたロンドンの5人組が、'89年にSQUAWK RECORDSから発表した4thアルバム。
発売当時は「けっ、気取ったバンド名を名乗りやがってよぉ」と、いらぬ僻み根性を発動させ購入はスルーしてしまったアルバムですが、後追いでチェックしてみたところ、その内容の素晴らしさに感銘受けまくり。正直舐めててスマンかった、と。
メジャー・レーベルからのリリースということで、プログレ・メタル的な大仰さや緊張感の演出よりも、キャッチーなメロディをしっかりと聴かせることに重きを置いた、ポップ寄りの路線に仕上げられてはいるのですが、一見耳馴染みが良く分かり易いサウンドようでありつつ、実は曲間をシームレスに繋いで全編を流れるように構築し、変拍子や技ありの曲展開をさりげなく随所に差し込む等、聴くほどに新たな発見がある作り込みっぷりと、高いインテリジェンスを感じさせる作曲センスには、かつての己のバンド名に関する毒づきはサクッと棚上げして「流石、I.Q.なんて名乗るだけのことはありますなぁ」と華麗に手のひら返し。特に映画のサントラを思わせるスペーシーな③をイントロとしてスタートする④や、9分越えの山あり谷ありの大作⑦は、長尺をまるで苦に感じさせないバンドのポテンシャルがフルに発揮されたアルバムのハイライト・ナンバーではないかと。
今となってはあまり顧みられることのないバンドですが、MARILLIONや初期DREAM THEATERを愛する向きはこちらもチェックしておいて損はないよ!な1枚です。


IQ - Are You Sitting Comfortably? - Falling Apart at the Seams ★★★ (2022-11-18 00:02:44)

柔和な声質のVoによって歌われるメロディはポップな響きも湛えていますが
変化に富む曲展開に支えられた7分以上に及ぶ長尺といい
スペーシーなアレンジといい、プログレッシブ・ロックならではの
魅力もきっちり兼ね備えた名曲に仕上げられています。


IRON ANGEL - Hellbound ★★★ (2018-08-31 00:25:23)

ドイツの古参パワー・メタル軍団が復活を果たし、2nd『WINDS OF WAR』(’86年)以来、実に32年ぶりに3rdアルバムとなる本作を発表してくれました。
しかも音楽性は驚くぐらい変わっていないという。「30年間まんじりとも変化してない」と書くと悪口のようですが、嘗ての己の個性を的確に把握し、それを長年に亘って維持し、揺るぎなく提示してみせることだってそう簡単に出来ることじゃありませんよ。
スピード・ナンバーを中心に、野卑なVo、剛直に刻まれるリフ&リズム、要所で湿ったメロディをブッ込むツイン・リードGとが直線的に畳み込む、ACCEPTやJUDAS PRIEST、あるいはNWOBHMからの影響を下敷きにしたムサ苦しさ満点のサウンドは、まさに『WINDS~』に続く作風であり、80年代中頃の独産パワー・メタルならではの味わい。殊にHELOWEENブレイク以降のメロパワ勢に顕著だった「明朗快活」「懐っこさ」(キャッチーさとも言い換え可能)とは一切無縁の無愛想さ、昭和期からガード下で営業しているラーメン屋でドンブリに親指ブッ差して配膳してくる店主ばりにぶっきらぼうな佇まいのサウンドは、今だったら寧ろ新鮮に響く可能性だって…まぁ、それはないか。
ともあれ個人的には、ノリ良く畳み込む③、不穏な緊張感を湛えて突っ走る④、アグレッシブに牙を剥く⑥、ライブ向きのアルバム表題曲⑨、歌メロがMETALLICAの“BATTERY”を彷彿とさせる⑨といった硬派な楽曲の数々を心から楽しませて頂きましたよ。
前2作同様、万人にお勧めするのは躊躇を覚える内容ではありますが、逆に前2作を気に入った人なら購入に躊躇を覚える必要はない1枚かと。


IRON ANGEL - Hellish Crossfire ★★ (2014-11-24 18:40:22)

NWOBHMに触発されて'80年頃に活動を開始した、ジャーマン・パワー・メタル第一世代に属するバンド・・・と説明するよりも、「2ndにユルゲン・ブラックモアがゲスト参加してたバンド」と説明した方が「あー、いたね。そんな連中」と通りが良い(気がする)ハンブルグ出身の5人組、'85年発表の1stアルバム。
スピーディ且つ攻撃的サウンド(+陰気な歌詞)で、後続の独産スラッシュ勢にインスピレーションを授けたとされる彼ら。思いっきり頼りないVoと、取り立ててオチもヤマもない勢い任せな楽曲とが、B級メタルの香ばしさを濃厚に漂わす本作の裏ジャケに掲げられた、《この作品を全世界のスピード/へヴィ・メタル・ファンに捧ぐ》との文言に、処分に困る結婚式の引き出物を貰った時のような表情を浮かべてしまったHR/HMリスナーも多かったのではないかと。
でも、個人的には結構好きな作品なんですよね、これ。特にリフ作りのセンスには光るモノが感じられ、このカッコ良さだけでご飯が2、3杯はイケる勢い。“BURN”風GリフとMOTORHEADばりに荒くれた曲調がミックスされた⑤や、ドラマティックに盛り上げんとする心意気(だけ)は伝わる⑨、そして荒々しく突進するリフ&リズムの畳み掛けがプレ・スラッシュ的カッコ良さを放つ⑩等は、なかなか聴かせてくれます。
万人向けとは言い難くも、愛すべきサムシングに満ちた1枚ですよ。


IRON ANGEL - Hellish Crossfire - Heavy Metal Soldiers ★★ (2014-11-30 00:09:27)

ストレートど真ん中なタイトルに相応しく
ヒネリもへったくれもなく突っ走るスピード・ナンバー。
スラッシュにしては迫力不足で、パワー・メタル的にはへたくそ過ぎる
というVoの力量不足には如何ともし難いものがありますが
Gリフのカッコ良さとタイトな疾走感だけで十分楽しませくれます。


IRON ANGEL - Winds of War ★★ (2014-12-10 21:40:42)

一部マニアの間で、リッチー・ブラックモアの実子、ユルゲン・ブラックモア(G)がゲスト参加していることが話題となった'86年発表の2ndアルバム。ただリッチーの幻影を求めて本作を購入した虹紫ファンの多くは、ムサ苦しく炸裂する野卑なパワー・サウンドを耳にして、盤を速攻で売っ払うかブン投げたのではないかと推察されますが・・・。
スピード/スラッシュ・メタリックな②④⑨で要所を締めつつも、ACCEPTが演りそうな③、ライブじゃコール&レスポンスが盛り上ったに違いない⑤、初期HELLOWEENの名曲“HEAVY METAL”を彷彿とさせる⑦、そしてユルゲンがGソロを弾いている本編の目玉曲⑧を聴けば明らかな通り、今回はパワー・メタル・テイストが大増量。明快さと勇壮さ増し増しのコーラス・ワークや、ウルフ・ホフマンを手本に印象的に「歌う」2本のG(あとカレ・トラップの手掛けた整理された音作り)もそれを援護射撃。前作において豪快な音痴っぷりを披露していたVoも、ここではバラードの小曲⑩も無難に歌いこなす等、普通に「上手くない」レベルまで飛躍的(!)な成長を遂げていますよ。
雑誌のレビューじゃケチョンケチョンでしたが、溢れんばかりのメタル愛と、愚直なまでのヒネリのなさ/芸のなさに、思わず笑みを零さずにはいられませんて。デビュー作から経験値の上積みも確認できて(これで?!とか言わないように)、個人的には愛聴している1枚であります。


IRON ANGEL - Winds of War - Creatures of Destruction ★★★ (2014-12-11 23:20:29)

1stのスピード/スラッシュ・メタル路線を受け継いで
アルバムのラストを激烈に締め括る疾走ナンバー。
鬼のように刻まれるGリフのカッコ良さはもとより
噛み付くような歌メロの迫力、
シャープに炸裂するツイン・リードGの練られ具合といい、
前作からのバンドの成長ぶりがしかと確認できる名曲です。


IRON ANGEL - Winds of War - Sea of Flames ★★ (2014-12-11 23:14:51)

明快なイントロや、合唱を誘うコーラスからして、
本作におけるバンドのパワー・メタル志向を物語っています。
ユルゲン・ブラックモアがGソロを弾いていることが話題になりましたが、
正直、それほど耳を引くような内容ではなく
むしろエンディング付近をドラマティックに盛り上げる
Gソロの方がよっぽどエキサイティングですよ。


IRON ANGEL - Winds of War - Son of a Bitch ★★ (2014-12-11 22:31:34)

タイトルといい、パワー・ロックンロールな曲調といい
ACCEPTへのなりきりっぷりが楽しい1曲。
この手の楽曲だとVoの粗も目立ちませんしね。
「空腹のウド・ダークシュナイダー」みたいな感じで。


IRON CROSS (2014-12-28 22:36:59)

バンド名で検索しても「同名バンドが多い」「アルバム1枚きりで消息不明」ぐらいのことしか分からない、アメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグ出身の4人組。
(でもこちらのサイトには、収録曲まで含めて一発登録することが出来て驚いた)
謎に包まれた・・・というより、単に大した活動をしなかった、要は80年代のHR/HMブームを盛り上げた泡沫バンドの一つってことなんでしょうが、でも彼らが'85年に発表した唯一作『WARHEAD』は、「その他大勢」とは切って捨て難いサムシングを放つ力作でした。


IRON CROSS - Warhead ★★ (2014-12-28 22:49:40)

IRON CROSSを名乗るバンドはあちこちにいますが、彼らはペンシルバニア州ピッツバーグ出身の4人組で、本作は'85年発表のデビュー作。というか唯一作か。
以前ワゴンセールで投売りされていたところを、バンド名とアートワークが気に入って「SHRAPNEL系かな?」と当たりを付けて購入したのですが、これがドンピシャと言わないまでも結構近い感じのパワー・メタルを演っていて、思わず「よっしゃ」と握り拳固めてしまいましたね。
オヤジ臭い声質のシンガーをフロントマンに据え、重心低くパワフルに押し出してくるサウンドはJUDAS PRIESTからの影響が濃厚ですが、さほどダークな雰囲気は漂って来ないあたりがアメリカ産。ザックリと刻まれるリフ&リズムの組み合わせは、曲によってはLAメタルっぽく感じられたりも。
音質は今ひとつ。手癖だけで組み立てられたようなGソロが存在感に乏しく、どうも楽曲が小さくまとまってしまっている感も否めませんが、シンガーが「ロブ・ハルフォードの物真似をするウド・ダークシュナイダー」と化す疾走ナンバー③⑤⑩等に明らかな通り、作曲センス(特にリフ作り)には確かな冴えが確認できます。中でもライブ会場で観客の頭が一斉に揺れる様が目に浮かぶようなヘドバン・ソング⑥は名曲。
他に作品をリリースしてれば聴いてみたい、と思わせてくれる1枚でした。


IRON CROSS - Warhead - Send for the Cross ★★★ (2014-12-29 23:39:09)

戦車の進撃を思わすパワフルなリフ&リズムと
その間隙を縫って閃くメロディとの組み合わせに
血中メタル成分が沸騰して、頭を振りたくて
仕方なくさせてくれるパワー・チューン。
ミドル・テンポの楽曲かくあるべし!な名曲ですよ。


IRON MAIDEN ★★★ (2016-03-15 00:11:43)

てかぷりおさん

実は先週、ちょうど愛知へ行く用事が入っていて、
「何たるタイミング!時間作って足を運ぼうかな」とか考えていたのですが、
最終的にはその用事自体がキャンセルになってしまい、結局行けず終いだったんですよね。
 
内容が気になっていたので、レポートありがとうございました。
羨ましい限りです。


IRON MAIDEN - Maiden Japan ★★★ (2018-04-04 23:43:19)

IRON MAIDENが’81年に行った来日公演の模様を収めた実況録音盤(収録会場は愛知厚生年金会館)。邦題は『ヘヴィ・メタル・アーミー メイデン・ジャパン・ライブ!』で、ジャケットに踊る「日本」「女」という怪しげな日本語が微笑ましい。
収録曲は全4曲と、ボリューム的には少々食い足りない感があるものの、ポール・ディアノ&クライヴ・バー在籍時代のIRON MAIDENの荒々しいライブの一端を垣間見ることが出来る作品としてファン人気は高い。また、切り取ったディアノの生首を掲げるエディがジャケットに描かれたベネズエラ盤が、コレクターズ・アイテム化しているのもよく知られた話。余談ですが、自分が持っているのは『MAIDEN JAPAN』に“PURGATORY”と“GENGIS KHAN”、ニコ・マクブレインが駄弁りまくる“LISTEN WITH NICKO! PARTⅢ”を追加収録した全7曲仕様のCD。古本屋の中古コーナーで本作を発見した時は「公式には『MAIDEN~』はCD化されてない筈だし、海賊盤か?」と疑いましたが、よくよく思い出してみれば、これって多分活動10周年記念企画でリリースされた10枚の内のシングルの一つだったという。(日本では最初からBOX SET『FIRST TEN YEARS』として発売)
ともあれ内容に関しては文句なし。本編のメインたる『MAIDEN JAPAN』は名曲揃いな上、バンドの若さ迸る演奏も非常に生々しく捉えられていますし、日本のファンの声援も熱い。既に女性客の声援も結構混じっていて、バンドも嬉しかったのでは?とか思ったり。
これを聴くと、巷に出回っている放送用音源をソースにしたブート盤(そっちは中野サンプラザでのライブを収録)を正式作品化して欲しくなってしまいますよ。


IRON MAIDEN - The Book of Souls ★★★ (2015-11-04 22:45:24)

『FEAR OF THE DARK』を区切りに、ずんどこ大作志向を鮮明にしていったIRON MAIDENのアルバムには今ひとつ入れ込めず、今回も新作は2枚組、しかも18分越えの超大作まで収録!とアナウンスされた時から「こりゃあ期待できそうにねえなぁ」と、どうにもテンションが上がらずにいたのですが聴いて吃驚。他の方のレビュー通り、とても良く出来た作品じゃありませんか。
まず2枚組と言っても、1枚の収録曲は5、6曲で、トータル・ランニング・タイムも90分(つまり1枚平均45分)と、聴き易いボリュームに抑えられている点が○。更に楽曲の質も高いレベルをキープ。エイドリアン・スミスらしいHMナンバー“SPEED OF LIGHT”や、エピカルな曲調とライブ映えしそうなコーラスにアガりまくる“THE RED AND THE BLACK”のカッコ良さはどうだ。目玉である18分越えの大作“EMPIRE OF THE CLOUD”も、情景描写に優れた劇的なメロディ/アレンジ/曲展開とが上質な映画観賞の如き感覚をもたらしてくれてダレ場ナッシング。
それらを援護するのがブルース・ディッキンソンの歌いっぷりの良さで、長尺をがっちりと下支えする彼の雄々しい歌唱を聴くにつけ、これが本当に体内をガン細胞に蝕まれていた男の声か?と。
まぁ、ものによっては中弛みを感じるというか、インスト・パートもっと短縮できるんじゃね?とか思ってしまう楽曲もなくはないのですが、派手さよりも、冗長さと紙一重の堅実性重視で楽曲を盛り上げていくのが今のIRON MAIDENスタイルですからね・・・。
ともあれ、ここまで楽しめた彼らのアルバムは久し振り。入門盤に打って付け・・・というよりも、最近IRON MAIDENにご無沙汰だった古参ファンにこそお薦めする1枚ではないかと。


IRON MAN - South of the Earth ★★★ (2015-01-04 14:53:46)

強烈な横ノリ感を生み出すGリフからインプロヴァイズされたGソロまで、トニー・アイオミばりのスモーキーなGワークで「黒いアイオミ」の異名を取る黒人ギタリスト、アルフレッド・モーリス三世率いるドゥーム・メタル・バンドが、'13年に発表した5th(4th?)アルバム。
BLACK SABBATHの名曲をバンド名に戴くだけあって(そもそもサバスのトリビュート・バンドとして活動をスタート)、志向する音楽性も、自分のようなこの手のジャンルに疎い人間でも「おぉ、ドゥームだ」と一聴瞭然なぐらい、コッテコテのドゥーム・メタルをプレイ。
低音から高音までシアトリカルに行き来する様が、さながら「邪教の司祭」といった趣きのVoと、ドライヴしまくるBに、振り下ろされるハンマーの如きDsとが、収録曲1つ1つのキャラ立ちを明確にすると共に、アップテンポの⑥や緩急を飲み込んだ⑧等を本編に織り交ぜることで、かったるいドゥームにありがちな冗長感を排除。サウンドを重厚且つダイナミックに引き締めます。
ピアノをアクセント的に用いて、アルバムをドラマティックに締め括る名曲⑨の荘厳な存在感が、本編のクオリティの高さを雄弁に物語る1枚でした。


IRON MAN - South of the Earth - The Ballad of Ray Garraty ★★★ (2015-01-05 23:16:58)

タイトルと歌詞から推察するに
スティーヴン・キングの『死のロング・ウォーク』に
着想を得ているのかな?
表題は“バラード”ですが、アルバムを締め括るに相応しい、
エピカルでドラマティックな大作曲で、朗々歌い上げるVoと
燻し銀のGがその表現力を如何なく発揮しています。


ISSA - Can't Stop ★★★ (2012-12-29 11:37:30)

イッサ、3枚目の作品は80~90年代に活動していたメロディアスHRバンドの楽曲を集めたカヴァー・アルバム。(アレンジは現EDEN'S CURSEのアレッサンドロ・デル・ベッキオが担当)
普通、この手の企画盤はマーケティング的な観点からも、ある程度名の知れたアーティストの楽曲をカヴァーするのが常道ですが、本作はそこを敢えて外し、大成せずに埋もれてしまったバンドの名曲群を掘り起こしている点がユニーク。マーケティングよりも趣味性を優先したかのようなこの企画、まるでFRONTIER RECORDS社長セラフィノ・ペルジーノ氏の「俺が聴きてぇんだから、細けぇことは良いんだよ!」との決意表明が聞こえてくるかのようです。
本編に登場するバンドは、AVIATORにREGATTAにBOULEVARD・・・と名前を挙げただけで「ああ、あれね」となる方は相当なマニアとお見受け致します。個人的に半数近くは、楽曲はおろか名前すら知らなかったバンドなのですが、知名度よりもクオリティ優先の選曲が為されているだけあって、いずれも一発でハート鷲掴みな珠玉の逸品揃い。しかもそれをイッサ嬢が溌剌と歌い上げるわけですからね。
AVIATORの①や21 GUNSの④、MYSTIC HEALERの⑤はやっぱり名曲ですし、その存在をまるで知らなかったREGATTAの③、BOULEVARDの⑦なんて、本編のハイライト・ナンバーとしてオリジナル盤を探さずにはいられませんよ。
メロハー名盤探しのカタログ代わりにもうってつけの1枚です。


ISSA - Crossfire ★★★ (2015-05-22 23:49:47)

AOR/産業ロックの隠れた名曲をカヴァーしてみせた秀逸な企画盤『CAN'T STOP』('12年)の高評価に後押しされたのか、完全にハードポップ路線に舵を切っている'15年発表の3rd。
発売後すぐに入手はしたものの、一緒に購入したREVOLUSION SAINTSのアルバムが余りに素晴らし過ぎたせいで何だか色褪せて聴こえてしまい、暫くCD棚の肥やしにしてしまっていました。んで、こうして久々に引っ張り出してじっくり聴いてみて、「うん。やっぱり良い出来だな」と。
これまでの作品同様、FRONTIER RECORDS勝利の方程式(=優秀なライター&ミュージシャンによる水も漏らさぬバックアップ体制)に則って制作されている以上、ハズレ掴まされる心配はまず有り得ず、しかも本作の「貌」たるイッサ嬢が、キラキラと眩い燐粉を振り撒くような溌剌とした歌唱で、同レーベルのその他のメロハー作品とは明確な差別化を図ってくれるわけですからね。
よりポップに洗練された、ヒット・ポテンシャル搭載型ハードポップ・ナンバーが軒を連ねる本編は、哀愁とキャッチーさが絶妙に溶け合うサビメロにメロハー愛好家の血が騒ぐ④⑧⑪、そして何より、FMのスティーヴ・オーヴァーランドとのデュエット・バラード③の哀愁っぷりがトドメの一撃を加えてくれるという按配。つか、この曲に関しては完全にゲストの筈のスティーブさんが貫録勝ちを収めてる感じですよ。
そんなわけで、ファンなら安心してお買い求め頂けるクオリティの1枚。


ISSA - Crossfire - Raintown ★★★ (2015-05-24 22:48:03)

FMのスティーヴ・オーヴァーランドをゲストに迎えて
しっとりと聴かせる極上のデュエット・バラード。
哀愁に満ちたメロディといい、胸を打つ盛り上がりっぷりといい、
まさしくアルバムのハイライトを飾るに相応しい名曲です。


ISSA - Sign of Angels ★★★ (2012-12-27 21:10:56)

端麗な容姿と卓越した歌唱力を兼ね備えるノルウェーの歌姫、イッサことイサベル・ウーヴェスヴェンが'10年に発表した1stアルバム。
見目麗しいアートワークからも明らかなように、ソプラノ・ボイスか、はたまたオペラティックなスタイルで歌い出しそうなゴージャスな美貌の持ち主のイッサ嬢ですが、その声はどちらかと言えば「お転婆」系(死語)で、ハスキーな声質はロック・シンガー然としたパンチの効き具合。
10代の頃からプロキャリアを積んでいるだけ合ってその実力は確かな上に、FRONTIER RECORDSの全面バックアップを受け、参加ミュージシャンもソングライターも腕利きの職人揃いとあっては、これはもうレベルの低い作品が出来上がるわけがありません。
事実、エッジを失うことなく哀メロのフックに磨きのかけられた、華やかなハード・ポップ・サウンドは出色の出来栄え。キャッチーなサビメロからヒンヤリとした冷気を纏った哀感が滲み出す辺りが流石は北欧産で、個人的には①③④など感動的な名曲が並ぶ前半の充実っぷりに心震えましたよ。
眉と耳に唾つけて購入しましたが、確かに噂に違わぬ捨て曲なしの力作でありました。


ISSA - The Storm ★★ (2012-12-29 00:06:55)

ゴージャスな美貌のみならず、ハスキーな歌声の素晴しさ、そして何よりデビュー作『SIGN OF ANGELS』の飛び抜けたクオリティの高さで話題を呼んだイッサ嬢が、再びFRONTIER RECORDS人脈に連なるソングライター/ミュージシャン勢と共に制作、'11年に発表した2ndアルバム。
デビュー作のどういった要素がリスナーに受けたかを的確に把握し、楽曲のフック、キャッチーなサビメロ、壮麗なアレンジをより一層研磨することによって「哀愁のハードポップ・サウンド」の魅力を素直に伸ばしてみせた本作の質の高さは、カラータイマーみたいな(?)のKeyリフが印象的なOPナンバー①を聴いただけでハッキリと伝わってきます。
ただ、関わったソングライターの資質の差異なのか、今回は北欧的な冷ややかな哀感は少々減退した印象で、全体としてはより普遍的なメロハー・テイストが強まった感あって、別にこれはこれで十分魅力的ではあるものの、個人的には前作の作風がドンピシャだっただけに、やはり物足りなさを覚えてしまうかなぁ、と。贅沢な話ですが。
とは言え、そんなことを理由に⑥みたいな良い曲が収録されている本作をスルーするなんて勿体なさ過ぎる話ですけどね。


JACK RUSSELL - For You ★★★ (2024-03-12 00:25:32)

GREAT WHITEのフロントマンとして、現在もその看板を守り続けるジャック・ラッセル(Vo)が、故ボブ・キューリック&ビリー・シャーウッドをプロデューサー兼曲作りのパートナーに招いてレコーディングを行い、'02年に発表した2枚目のソロ・アルバム。
GREAT WHITE健在時に制作され、その息吹も感じられる仕上がりだった1stソロ『SHELTER ME』(’96年)に比べると、主要メンバーが櫛の歯が抜けるように欠けていき、バンドが実質的な解散状態に陥ってしまった時期にレコーディングが進められている本作は、今後ソロ・アーティストとして自身が進むべき方向性を模索するかの如く、ピアノやアコースティック・ギター、爽やかなハーモニーとに彩られたバラード~スロー・ナンバー系が大半を占め、よりジャックの「歌」に焦点を絞ったライトでメロウ、AOR寄りのサウンドが託されています(敬愛する実父の死もこうした作風に影響を与えた模様)
とはいえ、もともと歌唱能力の高さに関して定評のある御仁ゆえ、この仕上がりはむしろ個人的にはばっち来い。とりわけジャックのエモーショナルな歌いっぷりが映える、GYPSY KINGSの“INSPIRATION”を思わすイントロから哀愁をたっぷり帯びた曲調にグッと来る③や、もし80年代にシングル・カットされたならヒット・チャートを賑わせたって不思議じゃない⑤辺りは、ラッセル/キューリック/シャーウッドという座組でここまでやってくれるんかいと、正直ビックリでしたよ(と同時にみくびって申し訳ないとも)
今後またソロ・アルバムを制作することがあるなら、是非またこの路線でヨロシク…とお願いしたくなる、実に味わい深い1枚です。


JACK RUSSELL - For You - Always ★★★ (2024-03-13 00:30:15)

アコギが爪弾かれるイントロが鬼平犯科帳のエンディング曲みたいですが
楽曲自体も愁いをたっぷりと含んでいて聴き惚れますよ。
哀愁のメロディをエモーショナルに歌い上げるジャック・ラッセルの
歌ウマっぷりも際立つ名曲です。


JACK RUSSELL'S GREAT WHITE - He Saw It Comin' ★★★ (2024-10-07 23:46:39)

認知症と多系統萎縮症の悪化でツアーから身を引くというニュースを目にしたと思ったら、それから殆ど間を置かずに飛び込んできた「急死」の報には驚かざるを得なかったジャック・ラッセル(Vo)。浮き沈みの激しいミュージシャン稼業を送り、バンド名の使用権を巡ってかつての盟友マーク・ケンドールと訴訟にまで発展した時期もあったという彼氏が、JACK RUSSEL’S GREAT WHITE名義で'17年に発表したアルバムがこちら。
GREAT WHITEの看板掲げて制作されているので、本作から流れてくるのは当然過去作の延長線上にある、ブルージーなエッセンスを盛り込んだHRサウンド。マークのGの不在ゆえか、はたまた歌を中心に据え、全体的に落ち着いたトーンが支配的なこじんまりとした作風ゆえか、GREAT WHITEの新作というよりは「ジャック・ラッセルの3枚目のソロ・アルバム」を聴いているような気分になる仕上がりではあるものの、彼のソロ作…特に2nd『FOR YOU』(’04年)を愛聴している身には落胆に当たらず。むしろ望むところですよ。
流石に“ALWAYS”級の名曲は見当たらないまでも、独特のハスキー・ボイスは年を経ても全く衰えることなく健在。哀愁に満ちたOPナンバー①、後期GREAT WHITEに通じる②④、アーシーなバラード⑥といった佳曲は流石の歌いっぷりでエモーショナルに酔わせてくれますし、妖しげな雰囲気漂わすアルバム表題曲⑦、テクニカルなGの存在が映えるアップテンポのHRナンバー⑨のような新味を感じさせる楽曲も魅力的です。
JACK RUSSEL’S GREAT WHITEのポテンシャルが十二分に伝わってくる力作だっただけに、これが最初で最後のフル・アルバムになってしまったことが残念でなりませんね。


JACK RUSSELL'S GREAT WHITE - He Saw It Comin' - Spy Vs Spy ★★★ (2024-10-10 00:06:47)

リフにソロに目まぐるしく動き回るトリッキーな
Gがジャック・ラッセルと共に主役を務める
従来のGREAT WHITEとは一風異なる雰囲気漂わすHRナンバー。
いやでもメロディ含めて非常に魅力的な仕上がりです。


JACK STARRS BURNING STARR - No Turning Back! ★★★ (2016-02-01 23:54:47)

米マイナー・メタル界の一番星、ジャック・スター(G)率いるJACK STARR'S BURNING STARが'86年に発表した2ndアルバム。
東南アジアの市場で売られてるSHRAPNEL系速弾きギタリストの海賊盤みたいなジャケットのバッタ臭には思わず脱力感誘われますが、ここに託されたストロングな正統派HMサウンドの説得力は間違いなく本物です。
RIOT来日公演時の影の薄さを覆す、マイク・ティレリのリキの入ったシャウトをフィーチュアし、VIRGIN STEELEリズム隊の力も借りてパワフルに突き進む本編は、力技一辺倒かと思わせておいて実際は、ジャックの盟友、デヴィッド・ディフェイズ(Key)が奏でるクラシカルな小曲を要所に挟み込む等、欧州HM由来のドラマティックな構成/演出を巧みに敷設。
音色も演奏スタイルも紡ぎ出すメロディも、強引且つ高圧的なジャック・スターのGプレイが評価の分かれ目として、発表当時BURRN!!誌では確か40点台を叩き出していましたが、いやいやいや。SHRAPNEL系プレイヤーのようなスマートさ/華麗さとは一切無縁ながらも、変に気取ることなく、メタル・ハートにズドンと突き刺さるメロディを直球で投げ込む、この人の熱いGプレイを個人的には断固支持。②のGリフのカッコ良さ、④のGソロのグッと来る組み立てや、ラスト・ナンバー⑨のエンディング・パートの入魂振りは、いつ何時聴いても身の内に燃え盛るメタル魂に火をくべられる思いですよ。
アメリカン・パワー/ヘヴィ・メタル好きなら一度は聴いておいて損のない力作。


JACK STARRS BURNING STARR - No Turning Back! - Run for Your Life ★★★ (2016-02-04 21:41:38)

実質的なアルバム・ラスト・ナンバーだけあって
終盤の激しい盛り上がりっぷりにはメタル魂に火が点される思いですよ。
クライマックスで迸るジャック・スターのGソロが熱い!


JACK STARR - Out of the Darkness ★★★ (2016-02-06 00:28:45)

VIRGIN STEELEを去ったジャック・スター(G)が'84年に発表した、「ギターを抱いた渡り鳥」チックなアートワークも渋いソロ・アルバム。
ここで炸裂するのは、孤高の一匹狼ばりのアグレッションとハードボイルドな哀愁を併せ持った裏路地メタル。煌びやかなネオン瞬く大都会の裏側で、強かに生き抜くアウトローが如きデンジャラスな影を背負ったサウンドは、VS時代とは相当に趣きが異なります。が、レコーディングに協力したNYを根城とするミュージシャン――当時RIOTを脱退したばかりのレット・フォリスター(Vo)に、THE RODSのリズム隊(カール・カネディはプロデューサーも兼任)――といった連中が演るのに、これほど相応しい音もありますまい!と(ちなみに当初はニール・タービンがシンガー候補だったらしい)。特にOPを飾る“CONCRETE WARRIOR”は、硬派な曲調にタイトルといい、ササクレて挑発的なG、気安く触れてくる者を威嚇するかのようなVo、パンチの効いたリズム・ワークといい、アルバムの象徴的名曲ですよ。こちとら破滅的ライフスタイルを送ったレットのテーマ曲と勝手認定してるぐらいで。
攻撃的な演奏のみならず、バラード⑤やインスト曲⑧では濃厚にGを泣かせるジャック・スターが本作の主役であることは間違いありませんが、同時に「NYメタル」アルバムとしての個性確立にはレット・フォリスターというシンガーの存在も欠かせなかったのではないかと。あたら惜しい人を亡くしたものです・・・。


JACK STARR - Out of the Darkness - Concrete Warrior ★★★ (2016-02-06 10:24:24)

まず曲名が渋い。“コンクリート・ウォリアー”ですよ。
タイトルに相応しく挑みかかって来るかのようなGリフと
力強く打ち鳴らされるリズム、その上に刺々しくも
どこか哀愁を感じさせるレット・フォリスターのシャウトが
乗っかった楽曲自体、タイトル負けしないカッコ良さです。
弾きまくりつつ、歌心も忘れないジャック・スターのGソロも◎


JACKAL - Rise ★★ (2019-03-19 00:48:12)

JACKALやNARITA等での活動を通じ、マニア筋から実力派シンガーとして高く評価されたブライアン・リッチ(故人)を擁するスウェーデンの4人組が、'90年にEMI RECORDSから発表した1stアルバム。第2次北欧メタル・ブームを代表する名盤の一つ、’93年発表の2nd『VAGUE VISION』がここ日本でも評判を呼んだことから、当時の所属レーベル、ゼロ・コーポレーションを通じて本作国内盤も発売の運びとなりました。
メジャー・リリースにも関わらず、80年代に作り溜められたデモテープ音源が勝手に流用されてしまったとのことで、音質はイマイチ。サウンドの焦点も定まっているとは言えず、またブライアンの歌唱力もこの時点ではまだまだ青さが感じられる…と、ぶっちゃけ粗削りな作品であることは隠しようもありませんが、でもそこが本作の魅力でもあるという。
全編に亘ってガムシャラに歌いまくるVoと弾きまくるGをフィーチュアした本編は、代表曲として知られる①があったかと思えば、まるでLAメタルな明るいロックンロール⑦があったりと、村野武範ばりに「レッツ・ビギン!とにかく何かを始めよう!」と思い付いたことを端から全部ブッ込んだ感じの無暗矢鱈な勢いの良さに溢れています。何より、スリリングなインスト曲⑥やテクニカルなGプレイが炸裂する疾走ナンバー⑪、緩急を効かせてラストを締め括るドラマティックなアルバム表題曲⑫辺りからは、次作にて顕在化することとなるこのバンドの才能の輝きをハッキリと見て取ることが出来ますよ。
JACKAL入門盤には2nd『VAGUE VISION』をお薦めしますが、そちらが気に入った方なら本作も押さえておいて損はない筈。


JACKAL - Rise - Rise ★★★ (2019-03-20 01:01:59)

やや粗削りながらも、北欧産らしい冷ややかな憂いを湛えたメロディと
静と動を活かしたドラマティックな曲展開を同居させた、
イントロからして名曲の風格漂うこのアルバム表題曲の完成度は
本編の中でも頭一つ抜きん出ている印象です。


JACKAL - Vague Visions ★★★ (2013-09-11 22:31:16)

ブライアン・リッチ(Vo)の訃報を知り、久々に引っ張り出して聴き直している、デンマークのJACKALが'93年に発表した2ndアルバム。
レーベルメイトのMASQUERADEと共に'94年には来日公演を行っている彼ら。当時は「クリスマス・ライブ」という趣向に尻込みして足を運ばなかったのですが、後に雑誌でライブ内容が賞賛されているのを読んで「変な見栄張らずに見に行けば良かった」と後悔しまくったことを思い出します(閑話休題)。
そんなJACKALが得意としていたのは、QUEENSRYCHEからの影響を伺わせる、タイトなリズム・ワークに下支えされた展開多めのパワー/へヴィ・メタル。そこに(ありがちなジェフ・テイト型ハイトーンではなく)ブルース・ディッキンソンばりにパワフルなブライアンの歌声と、キンキンに冷えたメロディを奏でる北欧メタル然としたドラマティックな2本のGが乗っかることで、他にはないこのバンドならではのサウンドが形成されていました。特にキレのある歌と演奏で畳み掛けるアルバム表題曲①や、劇的な構築美を宿す③⑥⑧は名曲。
いま改めて聴き直すと、実はブライアンのVo以上にツインGの存在こそがこのバンドの生命線だったことに気付かされますが、ともあれ、本作が黎明期のゼロ・コーポレーションを代表する名盤の1つであり、これを「JACKALの最高傑作」とする評価には全く以って異論ありません。
中古盤が激安価格で入手可能ですので、未聴の方は一度是非。


JACKAL(HOLLAND) (2015-11-24 22:16:02)

'85年に結成。オランダはアムステルダムを拠点に活動し、3本のデモテープを発表した後、'89年に6曲入りEP『CRY OF THE JACKAL』を500枚限定で自主制作。バンドは90年代に入って間もなく解散するも、『CRY~』はマニアの間で入手困難なお宝として評判を呼び、中古盤がかなりの高額で取引されるようになっていた。
'07年にオリジナル・メンバーだったGとDsが音頭を取ってJACKALは再結成。それに併せて、'87年と'91年のデモ音源5曲をボーナストラックとして収録した『CRY~』のリマスター盤もオフィシャル再発された。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal ★★ (2015-11-24 22:18:14)

その昔、どこぞの慌て者がデンマークのJACKALの作品と勘違いして購入するぐらい(ちくしょうめ・・・)似た名前のバンドが多数存在していてややこしいのですが、本作はオランダのJACKALが'89年に500枚限定でリリースし、マニアの間で評判を呼んだ6曲入りEP。
メタルバブル爛熟期真っ只中に産み落とされたのに、飾り気に乏しいプロダクションから、イキのいいツインG、そして少々頼りないハイトーンVoまで、真っ向から正統派HM一本勝負を挑んでくる本作は「バブル?何それ美味しいの?」状態。洗練とかゴージャスといったお洒落キーワード0っぷりで、GRAVESTONE、TALON等の80年代前半の独産メタル・バンドを引き合いに出して語られることの多い、浮かれトンチキな世間に背を向けたソリッド過ぎるサウンドが男らしいったら(単にお金がなかっただけかもしれませんが)。
ついでにジャーマン勢に比べると、メロディのクサ味や大仰な曲展開に対する拘りはアッサリ気味で、むしろ溌剌と突っ走る元気の良さの方が強く印象に残る辺りが、流石スピード/スラッシュ・メタルをいち早く受け入れ評価したオランダのバンドであると。特に、尻上がりにテンションを高めていく4曲目の“NIGHTMARE”と、後に続く彼らのテーマ曲とも言えそうなインスト・ナンバー“CRY OF THE JACKAL”はスリリングな名曲。
今となっては「うっかり間違えて買ってみるもんだなぁ」と感慨深い1枚です。フル・アルバムが聴いてみたかったな。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal - Cry of the Jackal ★★★ (2015-11-26 21:50:25)

ツインGを先頭に押し立ててスリリングに疾走する
インスト曲で、その曲調はまるでサバンナで獲物を狩る
ジャッカルの如き(見たことありませんが)。
EPのタイトルを冠されるだけあって、メロディックに
歌う2本のGが、Voの不在をまるで気にさせません。


JACKAL(HOLLAND) - Cry of the Jackal - Nightmare ★★ (2015-11-26 21:45:17)

正確なタイトルは
“NIGHTMARE(THE DISTANCE BETWEEN DREAM AND REALITY)”。
聴き始めこそ平均的な正統派HMナンバー風ですが、
Gソロ直後にテンポアップして、
ツインGにリードされる形で山あり谷あり、
ドラマティックに展開していく中盤以降が
この曲の本番です。


JADED HEART - Inside Out ★★★ (2024-12-10 07:49:56)

いくつものバンド/プロジェクトを渡り歩き、現在はソロ・シンガーとしても成功を収める実力派マイケル・ボーマン(Vo)と、実兄のダーク・ボーマン(G)、元MAD MAXのアクセル・クルーズ(Ds)らにより結成されたドイツ出身のJADEAD HEARTが’94年に発表した1stアルバム。
日本盤はゼロ・コーポレーションからのリリースで、同じ時期にやはりゼロから発売となったFATES WARNINGの『INSIDE OUT』(’94年)とごっちゃになってしまい「プログレ作品だっけ?」ってな誤った印象を抱いていたのですが、(当然そんなことはなく)本作に託されているのはアメリカンな抜けの良さ&分厚いハーモニーと、ヨーロピアンな叙情性を併せ持ったメロディアスHRサウンド。要所で美しく煌めくアコースティックギターを有用したアレンジも冴えており、フック満載の楽曲作りから、この頃既にLETTER XやCASANOVA等での活動を通じて歌唱力の確かさをHR/HMシーンに知らしめていた熱い歌いっぷりに至るまで、マイケルが自身の才を存分に振るえる環境が整ったわけですから、そらクオリティの高い内容に仕上がることは自明の理であったと。
重厚なOPナンバー①に始まり、曲調とマイケルの声質が相俟って猛烈にBON JOVIっぺー②、ドラマティックな⑥、キャッチーなハードポップ⑧、哀愁爆発バラード⑨、欧と米のエッセンスをバランス良く取り込んだ⑩、“I WAS MADE IN LOVIN’ YOU”そっくりな(KISSトリビュート・ソング?)⑬…といった具合に、本編は捨て曲の見当たらない充実作だけに、ゼロ・コーポレーション閉鎖後、国内盤が廃盤のまま放置されているのは勿体ない気がしますね。


JADED HEART - Inside Out - Hard To Stay Alive ★★★ (2024-12-11 07:37:25)

重厚な曲調に哀愁のメロディ、分厚いハーモニーに包まれた
キャッチーなコーラス・ワーク、中間部に差し込まれる
アコースティックギターの美旋律と、欧と米の美味しいトコどりな
JADEAD HEARTの魅力が分かりやすい形で体現された名曲。


JAG PANZER - Ample Destruction ★★★ (2017-05-07 22:06:25)

後にSHRAPNEL RECORDSからソロ・デビューを飾るジョーイ・タフォーラ(G)が在籍していたコロラド州出身の5人組が、’84年に発表した1stアルバム。
当然ジョーイはここでも大変素晴らしい仕事ぶりを披露。もっと己の技術をひけらかして悪目立ちしているものと思いきや、エピカルな雰囲気を宿し高圧的に迫り来る正統派パワー・メタルを効果的に盛り立てるチームワーク重視のGプレイに徹しており、勿論その演奏は十分にテクニカル。ソロ作で発揮されるセンスの良さを既に垣間見せてくれるという。
しかしながら、個人的に本作の主役はバンドの中心人物たるハリー“THE TYRANT”コンクリンの存在ですよ(ちなみにTYRANTはJAG PANZER改名以前のバンド名)。TYTAN FORCEにSATAN’S HOSTにRIOT…と、一貫してUSメタル裏街道一筋に歩み続ける彼氏の必殺仕事人シンガーぶりはここでも健在です。つか「クセが強い歌声のシンガー」とのイメージがありましたけど、本作では「あ、普通に歌っても上手い人だったんだ」とこっちの認識を改めさせられる、大仰にして堂々たる歌唱を聴かせてくれていますよ。
マニア諸兄から隠れた名盤扱いされているだけあり、疾走するOPナンバー①から、7分越えのドラマティックなラス曲⑩まで捨て曲なし。中でも特筆すべきは、イントロの荒くれたGリフの刻みっぷりだけでメタル魂が燃え上がる③。ハリーのパワフルなVoと、劇的な曲展開を見事に構築する楽器陣という両者の最良の部分が抽出された名曲ではないかと。
JAG PANZER自体は離散集合を繰り返しながら現在も活動を継続している模様なれど、やはり彼らの作品で真っ先に聴くべきは本作、との意見に異議は全くございません。


JAG PANZER - Ample Destruction - Harder Than Steel ★★★ (2017-05-07 22:15:06)

「これこそUSパワー・メタルじゃい!」とばかりに
荒くれて刻まれるGリフと青筋シャウトを轟かせるVoとが、
バンカラちっくに突き進むパワー・チューン。
かと思えばジョーイ・タフォーラの流麗なGプレイを
フィーチュアしたインスト部では、2本のGが美しくハモってみせたりと、
曲展開における押しと引きの演出も巧み。
「どうせマイナーメタルでしょ」とかせせら笑っていると
US裏メタル界の番長ハリー・コンクリン先輩にドツかれる名曲です。


JAG WIRE - Made in Heaven ★★★ (2022-03-22 00:57:11)

W.A.S.P.やSTEELER、更にはWARLORD、HELLIONといったバンドを渡り歩いた、LAメタル・シーンの旅ガラス(?)リック・フォックスにより結成されたSINでしたが、バンド運営を巡る対立が火種となってクーデターが発生。リーダーのリックを放逐して主導権を奪取したその他のメンバーが、バンド名をJAG WIREと改めて'86年に発表した1stアルバムがこちらとなります。尤も、名実ともにバンドの支柱だったリックを欠いた活動は長続きせず、これが最初で最後の作品になってしまったわけですが…。
そうしたゴタゴタの末に生み落とされた本作なれど、内容はメチャ強力。歯切れ良く刻まれるGリフ、躍動感溢れるリズム、フラッシーなGプレイに、コーラスが厚く盛られたサビメロではVoが曲名をシャウトする等、サウンドは典型的な初期型LAメタル・スタイルを標榜しつつも、本編に「レッツ・パーティ!」的な能天気さは薄め。むしろKeyをアクセントに用い、程好く翳りを帯びたメロディが散りばめられた楽曲は欧州HM勢からの影響を伺わせる場面もしばしばで、その筆頭がSIN時代にもシングルとして発表されている、LAメタルの隠れた名曲と評判の疾走ナンバー“ON THE RUN”ではないかと。この必殺の名曲を皮切りに、泣きを湛えたドラマティックなバラード“MADE IN HEAVEN”、KeyとGが火花を散らしながらスリリングに駆け抜ける“TAKEIN’ THE CITY”といった逸品が次々に畳み掛けてくるアルバム後半のカッコ良さは只事じゃありませんよ。(ちなみにオリジナル盤と再発盤とでは曲順が異なっている)
「幻の名盤」扱いが決して過大評価ではなかったと心底納得できる1枚。再発に感謝です。


JAG WIRE - Made in Heaven - On the Run ★★★ (2022-03-23 00:05:44)

歯切れ良く刻まれるリフ&リズムに乗せて、憂いを帯びたメロディが
駆け抜ける様は、この曲が「LAメタルの隠れた名曲」扱いされているのも
納得のカッコ良さ。オルガンをフィーチュアしてより欧州HMからの
影響が色濃く薫るSINバージョンも乙な味わいなので、
聴き比べてみるのも一興かと。


JAG WIRE - Made in Heaven - Takin' the City ★★★ (2022-03-23 00:10:03)

鋭角的に刻まれるGリフ、単なる彩りの域を超えてGとバトルを
繰り広げるKey、Voがアグレッシブに歌う憂いを帯びたメロディといい
名曲と名高い“ON THE RUN”にも匹敵するカッコ良さを誇る疾走ナンバー。
むしろこっちの方が良いという人がいても不思議じゃないぐらいですよ。


JAGUAR - Power Games ★★ (2007-04-25 21:40:00)

我が事ながら一体いつ購入したのかさっぱり思い出せない、イギリスはブリストル出身の
4人組HMバンドが'84年に発表した1stアルバム。
NEAT RECORDS、イマサンな音質、リフ主体で突っ走るシンプルな楽曲、如何にも英国的な
ドンヨリとした湿り気を帯びたメロディ、篭り気味の声質のVoが歌う煮え切らない歌メロetc・・・と、
アルバム全体から「これでもか!」というぐらいNWOBHM臭を発散している本作だが、
ここに収められている楽曲には、へヴィ・メタルがどんどん先鋭化していって、
やがてスラッシュ・メタル誕生へと行き着く過渡期的な荒々しさが満ち満ちている。
特に、冒頭から矢継ぎ早に繰り出されるスピード・チューン3連発は強力で、なるほど、本作が発表当時、
「MOTORHEADの“ACE OF SPADES"やEXCITERの“HEAVY METAL MANIAC"級のインパクトを与えた」という話も
あながちホラじゃないのかな、と納得するに十分なカッコ良さを誇る(知名度じゃ全然勝負にならないけどね)
また彼らの場合、スピードのみで押し切るのではなく、へヴィ・バラードの④や、ドラマチックな曲展開が
魅力の⑥、よく動き回るBラインがIRON MAIDENを思わせる⑧といった、メロディを前面に押し出した
「聴かせる」タイプの楽曲で足元をしっかりと固めている点もナイス。
ヘヴィ・メタルと呼ぶには荒々しく、スラッシュ・メタルと呼ぶにはメロディアス。これぞスピード・メタルの力作。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man ★★★ (2020-09-08 01:04:48)

1stソロ『RUDE AWAKENING』がゼロ・コーポレーションからリリースされた当時は、ジェイムズ・クリスチャンというアーティストに全く興味がなかったのでスルーしてしまったのですが、その後HOUSE OF LORDSで快作を連発する彼の実力に瞠目させられ、’06年発表のこの2ndソロを慌ててショップへ買いに走りましたよ。
優秀なシンガーであるだけでなく、ジェイムズ自身が素晴らしい楽曲を書けるソングライターであることに加えて、本作はファブリツィオ・V・グロッシーがプロデュースを手掛け、スタン・ブッシュや、マーク・フリーへの楽曲提供、VENUS & MARSでの活動で知られるジュディス&ロビンのランダル母娘といった百戦錬磨の作曲陣が参加しているのですから、「それもう絶対に大当たりの奴じゃん」と聴く前から期待値がガン上がり。そして実際聴いてみても、高まりきったこちらのテンションにきっちり応えてくれる出来栄えをアルバムは誇っており、完成度に関して言えば、同時期にリリースされたHOUSE OF LORDSの再結成作『THE POWER AND MYTH』をも上回っているんじゃないでしょうか。
特にランダル母娘との共作曲で、ヴァースからコーラスへ向かって哀愁度が上昇していく②や、哀愁のメロディをフラッシーに弾きまくるGの活躍も印象的な⑦、スタン・ブッシュが手掛け、ジェイムズの奥方であるロビン・ベックがバックVoとして参加するキャッチーで爽快な⑧は、この組み合わせにこちらが期待する要素をギュッと凝縮したようなメロハーの逸品です。(ちなみにXのPATAのペンによるバラード⑤も収録)
つくづく『RUDE~』購入をスルーしてしまった己の所業を悔やまずにはいられない1枚。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man - Know You in the Dark ★★★ (2020-09-09 00:49:59)

聴き進むに従って哀メロ濃度が高まっていき、
それが頂点に達するコーラスの素晴らしさは流石ランダル母娘のお仕事。
情感豊かなジェイムズ・クリスチャンの熱唱も相俟って
実にグッとくる楽曲に仕上がっています。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man - Strong Enough ★★★ (2020-09-09 00:53:48)

明るく爽やかな曲調の中にも仄かな哀愁と
強力なフックを忍ばせるツボを心得た作曲術は
流石スタン・ブッシュ先生。
ロビン・ベックのバックVoも楽曲の爽快感盛り上げに
貢献してくれています。


JAMES CHRISTIAN - Rude Awakening ★★★ (2021-03-16 00:16:00)

3rd『DEMONS DOWN』(’92年)を最後にHOUSE OF LORDSが事実上の解散状態に陥ったことを受けて、フロントマンだったジェイムズ・クリスチャンが’94年に発表した1stソロ・アルバム。当時はゼロ・コーポレーションからのリリースでしたが、後にNIPPON CROWNからボーナストラック6曲を追加収録する形でリイシューもされています。(今じゃどちらも入手困難なのが残念)
華を添えるブルース・ゴウディ、マイク・スラマー、ミッチ・ペリーといったギタリスト達のゲスト参加に加え、作曲面ではHOUSE OF LORDS時代からの付き合いであるソングライター、マーク・ベイカーの助力を得て制作されている本作で聴けるのは、まさしくそのHOUSE OF LORDS時代の作風を忠実に受け継いだ、ほんのりブルージーな味付けも施されたメロディアスHRサウンド。
ほぼバラード系の楽曲の固め打ち、全体的にHR/HM色は薄めな仕上がりながら、だからこそジェイムズのエモーショナルな歌声が映える。立ち上がり①こそ多少地味な印象でも、「ドラマかCMで主題歌に起用されてませんでした?」と思わず考え込んでしまうぐらいフック効きまくりの名曲②で早くもクライマックスを迎えて以降は、これまた高いヒット・ポテンシャルを感じさせる③、躍動感溢れるロック・チューン⑦、物悲しいイントロからドラマティックに盛り上がっていく⑧等、本編には秀逸な楽曲が目白押しです。
スタン・ブッシュやランダル母娘といった腕利き作曲家が関与した2ndソロ『MEET THE MAN』も大変な傑作でしたが、本作だって負けず劣らず、探し出してチェックする価値は十分にある1枚かと。


JAMES CHRISTIAN - Rude Awakening - Labour of Love ★★★ (2021-03-16 23:39:22)

アコギによる物悲し気なイントロから、全楽器が加わって劇的に盛り上がっていく
アルバム中盤のハイライトを飾る名曲。この手の哀愁に満ちたメロディを
熱唱させるとジェイムズの歌声は絶品なハマリ具合を聴かせてくれますね。


JAMES CHRISTIAN - Rude Awakening - Pleasure and Pain ★★★ (2021-03-16 23:36:32)

ジェイムズ・クリスチャンとマーク・ベイカー共作のバラード。
フックの効いたメロディが炸裂するサビメロが絶品で
80年代に発表されていたら間違いなくCMや映画主題歌に
引っ張りだこだったろうに…と思わされる名曲です。


JAVAN - SOMEWHERE IN THE NIGHT ★★★ (2018-02-21 22:45:29)

バンド名はジャバン?ギャバン?(宇宙刑事?)どう読む?と思ったら、どうもドイツ語で「ジャワ」と読む模様。メロディ愛好家から地味に寵愛を受ける名盤『SOMEWHERE IN THE NIGHT』1枚を残して解散してしまい、その後はメンバーの動向もよう分からんかった謎多きドイツの6人組が’92年に残した最初で最後のアルバム。リリース当時BURRN!!誌のレビューで高得点を叩き出していたので、「じゃあ日本盤も出るだろ」と高を括っていたのですが、いつまで経ってもその気配はなく、そうこうする内にバンドが解散してしまったとの噂を耳にして、仕方ないので輸入盤を買いに走りましたよ。
雑誌レビューではRISING FORCEが比較対象として挙げられていましたが、個人的にはそこまでバリバリの様式美HM路線な印象はなく、煌びやかなKeyをフィーチュアして、哀愁と透明感を湛えた音像は北欧ハードポップに近い感じ。かと思えば、ジェフ・スコット・ソート似のVoの声質が、サウンドの繊細さからするとやや太めな辺りがゲルマン風味も主張しているという。しかしハード・ナンバーからバラードまでエモーショナルに歌いこなす、このシンガーの歌唱能力の高さは保証できますし、彼が歌うクラシカルな風情を湛えた⑥、儚く爪弾かれるアコギをバックに切々と歌い上げる⑫といったバラード2曲は、メロディの泣きっぷりといいドラマティックな曲展開といい、まさに珠玉。そして当然、テクニカルなGをお供に涼し気に駆け抜けていく①のようなHRナンバーも魅力的です。
今となっては余り顧みられる機会のない1枚ですが、メロディ愛好家を自認する方なら一度ぐらい聴いておいて損はないかと。


JAVAN - SOMEWHERE IN THE NIGHT - DREAMS ★★★ (2018-02-22 22:36:09)

薄っすらと敷かれたKeyと、儚く爪弾かれるアコギをバックに
エモーショナルなVoが悲哀に満ちたメロディを切々と
歌い上げるという、「哀愁のバラード」のお手本のような逸品。
大仰さはなくとも、感情が溢れ出すような
終盤の盛り上がりっぷりに胸を突かれます。


JEFF PARIS - Lucky This Time ★★★ (2022-10-11 00:08:18)

ソロ・アーティストとしてアルバム・リリースやツアーを行う傍ら、リタ・フォード、VIXEN、MR. BIGといったバンドに楽曲提供を行う等、80年代からシンガー/ソングライターとしても活躍してきたジェフ・パリスが、'93年に乞われてイギリスのNOW AND THEN RECRODSから発表した3rdソロ・アルバム。
プロデュースからエンジニアリング、果ては全パートの楽器演奏まで一人でこなすマルチ・プレイヤーぶりを発揮してレコーディング作業を敢行。それに関してはご本人が「エナジーとアイデアがあればどんな状況でもアルバム制作は可能。大金は必要はない」との男前な発言を残してくれています。カッコイイじゃないのさ。
収録曲は、共作者としてMR. BIG、売れっ子セッション・マンのマイケル・トンプソン、KISSのポール・スタンレー、BAD ENGLISHのリッキー・フィリップスら豪華な面子がクレジットされていて、気の利いたアレンジから、痒い所に手の届くメロディ展開に至るまで、長年かけて培われたソングライターとしての腕前が存分に振るわれた仕上がり(歌の上手さに関しては言うまでもありません)。MR. BIGの1st『LIVE AND LEARN』にも収録されたゴージャスなOPナンバー①や、80年代ならヒット・チャートを賑わしていても不思議ではないバラード⑩辺りも素晴らしいのですが、個人的に特に一押ししたいのが⑧。知る人ぞ知る才人ブレット・ウォーカーとの共作で、胸打つ哀愁の名曲っぷりには「この顔合わせによるの楽曲がもっと聴いてみたかった…」と、つくづくブレットの早逝が惜しまれます。
もう長いこと日本盤リリースと縁がありませんが、ご健在でいらっしゃるのでしょうか?


JEFF PARIS - Lucky This Time - After the Tears Are Gone ★★★ (2022-10-12 00:48:56)

故ブレット・ウォーカーとジェフ・パリスの共作曲。
才人同士の組み合わせですから素晴らしい楽曲に
仕上がらない筈はなく。
フックの効いた哀愁のメロディ、情感豊かな歌と
潤いを増幅させるKeyの共演が胸を打つ逸品です。


JEFF SCOTT SOTO - Love Parade ★★ (2020-06-04 23:53:27)

ジェフ・スコット・ソート(Vo)がプロデュースのみならず、殆ど全てのパフォーマンスを自らプレイしてレコーディング作業を行い、’95年に発表した(文字通りの)ソロ・アルバム。意外なことにこれが初めてのソロ作品。日本盤はゼロ・コーポレーションからリリースされました。
今でこそ、メロハーからゴリゴリのメタルまで何でも歌いこなせるオール・ラウンダーとして重宝されているジェフなれど、この頃はイングヴェイのバンドやTALISMANにいたことぐらいしか情報がなく、なのでこっちも当然本作には様式美HM寄りの音楽性を期待していたわけですが、ここで聴かれるのはHR/HMとはぐっと距離を置き、彼のルーツであるファンク/ソウル方面に全力投球したファンキー・モンキー・ベイビーなサウンド。
これには流石に落胆した…かというと、別にそんなことはなく。何せ表題が『LOVE PRADE』とピースフルな感じだった上に、微笑ましいアートワークはジェフのご子息ジェイソン君(当時6歳)のイラストが叩き台になっているという親バカぶりが炸裂していますので、そもそもダークな音楽性じゃないことはアルバムを手に取った瞬間から大体感じ取っていましたですよ。
それに、例えストライク・ゾーンにハマる音楽性ではなくとも、哀愁を帯びたお洒落なバラード④におけるジェフの歌の上手さにはやはり聴き惚れますし、ホットなグルーヴが小気味良く躍動する⑧みたいな楽曲にも問答無用で体が反応してしまいます。
質は十分高いので、あとは聴き手の好みの問題じゃなかろうかと。


JEFF SCOTT SOTO - Prism ★★★ (2017-10-25 22:45:50)

これまで数多のバンド/プロジェクトをマイク片手に渡り歩き、様式美HMからメロハーまで「何でもこざれ」で歌いこなしてきた実力派シンガー、ジェフ・スコット・ソートが'02年に発表した、ソロ名義では8年ぶりとなる2ndアルバム。
本作で聴けるのは、まさにアルバム・タイトルを地で行く「プリズム」の如き煌めきを放つ、美しく抒情的なメロディアスHRサウンド。JOURNEYの名曲“SEND HER MY ANGEL”のカヴァーも含め、まるで喉を傷めてバンドを脱退したスティーヴ・オウジェリーの後任として、数年後にジェフ自身がJOURNEYに参加することとなるのを予感させるような作風と言うべきか。そんなわけで、OPナンバーらしい躍動感溢れるエネルギッシュな曲調に、テクニカルなGプレイが華を添える①にて幕が上がる本編は、バラード~ミディアム・テンポのナンバーを中心にじっくりと「歌」を聴かせに掛かる構成で、RISING FORCE時代のような様式美HM路線を期待する向きにうっちゃりをカマしてきます。
しかしその一方、感動的な盛り上がりっぷりが胸を打つ②、黒っぽさ全開で、グレン・ヒューズにも匹敵するんじゃなかろうか?というファンキー且つソウルフルなフィールが痛快な⑤、打って変わって哀愁ダダ漏れのドラマティックな(イングヴェイ時代を思い起こさせる)⑥等々、収録楽曲の曲調は結構多彩。その上、それらを歌い上げるジェフの熱くエモーショナルな歌唱がサウンドに陰影とダイナミズムを付与してくれているため、右から左へまったりと流れて行ってしまうような緩さは皆無という。
ソングライターとしてもジェフ・スコット・ソートの才能が存分に発揮された1枚ですね。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - Heaven Knows ★★★ (2017-10-27 00:00:17)

「歌うめぇー」と聴き惚れているうちに
毎度楽曲がエンディングを迎えてしまっているという名バラード。
ジェフの歌の上手さは勿論のこと、コンポーザーとしても
その才能に脱帽です。↑の方が仰られる通り、Gソロも沁みます。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - Holding On ★★★ (2017-10-27 00:10:50)

初めて聴いた時はイングヴェイ時代を思い起こさせる
ドラマティックな泣きに満ち溢れたバラードだと思いましたが
言われてみると確かに初期TENっぽい叙情性も感じられますね。
ここでもGが実に良い仕事をしてくれています。


JEFF SCOTT SOTO - Prism - I Want to Take You Higher ★★★ (2017-10-27 00:08:12)

しっとりとした楽曲だけでなく、
こうした黒っぽさ全開でアゲアゲに攻めて来る
ロック・チューンも歌いこなせるのがジェフの強み。
ファンキーなリズム感が冴え渡ります。


JERUSALEM - Jerusalem ★★★ (2018-07-01 00:19:39)

結成時期やメンバーの動向等、バイオに未だ空欄が目立つ謎多き英国の5人組が'72年に残した唯一のフル・アルバムで、00年代に入ってCD化されるまで長らく入手困難な状態が続いたことから「幻の名盤」扱いされていた1枚。(現在は紙ジャケ国内盤が容易に入手可能)
ブルーズやプログレ臭の薄い、直線的且つスピーディに押して来る、同時代のHR作品と比較しても頭抜けてアグレッシブなサウンドから、NWOBHMを引き合いに出して語られる機会が多いという話も納得の本作。流石に現代の感覚からすると音作りは素朴で隙間も目立ちますが、楽曲が放つインパクトは今もって全く色褪せてはいません。
腕の立つ面子が余裕綽々で高度な演奏バトルを繰り広げるのではなく、20歳そこそこの無名の野郎共が、演奏は多少荒っぽくとも爪先立ちでHRの限界を押し広げようとするかの如く突っ走る様は、まさに元祖NWOBHM。1曲だけ飛び抜けてハードってのとは異なり、疾走感に溢れたGに耳奪われるOPナンバー①、“殺人者の悲歌”なる邦題に相応しいオカルト・ロック的オドロオドロしさと、Voが歌う軽快なメロディの捻じくれた組み合わせが印象的な④、“21世紀の精神異常者”を思わすへヴィネスを湛えた⑦、エキゾチックな風情も薫るミステリアスな⑧等、ほぼ全編に亘ってハードネスが維持されている点もNWOBHM的か?と。あとDEEP PURPLEの一員として、HRを新たなステージへと押し進める名盤『IN ROCK』誕生に貢献し、イケイケだった頃のイアン・ギランに見出され、彼のプロデュースを受けたことも本作の先鋭的な作風に少なからず影響があったのではないでしょうか。
バンドがこれ1枚で終わってしまったことが残念で仕方なくなる1枚ですよ。(…と思ったら何と再結成して'09年に2ndを発表していたと知ってびっくり)


JERUSALEM - Jerusalem - Beyond the Grave ★★★ (2018-07-01 00:42:31)

呪詛の詠唱を思わせる朗々響き渡るVo、
バンド名に相応しいエキゾチックな味わいのメロディを奏でるGとが
怪しげなムードを醸成するアルバム後半のハイライト・ナンバー。
ちょっぴり60年代サイケデリック・ロックの名残りも感じられたり。


JERUSALEM - Jerusalem - Frustration ★★★ (2018-07-01 00:24:25)

ブルーズやプログレとは一味違う、
疾走感溢れるGを前面に押し出して走り抜ける曲調が
メタリックなアグレッションを放つOPナンバー。
元祖NWOBHM的な扱いを受けているのも納得ですよ。


JERUSALEM - Jerusalem - Murderer's Lament ★★★ (2018-07-01 00:29:59)

“殺人者の悲歌”なる邦題に相応しい、オカルト・ロック的
不気味さとへヴィネスが横溢する曲調と、
Voの歌メロを始め、人を食ったような軽快さとが同居した
独特の味わい漂う逸品。


JESS HARNELL - The Sound of Your Voice ★★★ (2024-11-28 01:01:12)

ジェス・ハーネル(Vo)が'95年に制作したソロ・アルバム。「それって誰よ?」という人に説明させて頂くと、ジェス・ハーネルはHR/HM冬の時代にLAからデビューを飾り、2枚のアルバムを発表してメロディ愛好家からちょっぴり注目を集めたメロディアスHRバンド、LOUD & CLEARのフロントマン。本作はその彼氏の1stソロ・アルバムで、制作当時はアメリカの音楽シーンの状況悪化もあって自主制作の環境に留まったようですが、LOUD & CLEARが評判を呼んだことも手伝って、'98年にはマーキー/アヴァロン・レーベルを通じて日本盤発売が実現しています。(THE BEATLESの代表曲の一つ“IN MY LIFE”や、ジェフ・テイトになりきった歌いっぷりが微笑ましいQUEENSRYCHEの“WALK IN THE SHADOWSのカヴァー等も収録)
なので聴き手としてはついLOUD & CLEAR路線の溌剌としたポップ・メタルを期待してしまうところなれど、1曲目がいきなりピアノ・バラードという構成からもお察しの通り、ここで披露されているのは歌が主役のAOR/産業ロック・サウンド。メタル要素は殆ど見当たらないので要注意。とはいえ、ジェスのハイトーンVoを生かした楽曲のクオリティはいずれも高く、特にSIGNALの名曲“DOES IT FEEL LIKE LOVE?”のカヴァー⑤、物悲しいアコースティック・バラード⑥、本編中においては比較的ロック色強めのメロハー・チューン⑦といった逸曲が連続するアルバム中盤にはグッと惹きつけられましたよ。
近頃はとんと中古盤屋でも見かけることがなくなってしまいましたが、掘り出し物をお探しのメロディ愛好家諸氏にはお薦めの一作じゃないでしょうか。


JESS HARNELL - The Sound of Your Voice - Life in America ★★★ (2024-11-29 07:31:23)

AOR/産業ロック路線が志向されている本編中においては
ロック色強めの仕上がりで、軽快に疾走する曲調と
爽やかさ振りまくキャッチーなコーラス・ワークに心躍ります。


JESUS - Le Dernier Slow ★★★ (2020-06-22 23:27:07)

ギタリストの足立祐二が、TERRA ROSAやDEADEND参加以前の一時期、籍を置いていたことで知られるJESUS。本作はそのJESUSが’85年に発表し、会場等で販売していたカセットテープを正式商品化したもので、CD化に際しては、新たにリ・レコーディングされた未発表曲や貴重なライブ音源がボーナストラックとして追加収録されています。これまでバンドの名前だけは見聞きする機会がありましたけども、実際にその音に触れられる日が来ようとは…。ありがてぇ、ありがてぇ。
音楽性はTERRA ROSAに通じる様式美テイスト入ったHR。そもそも足立作曲の②はTERRA ROSAの名曲“THE ENDLESS BASIS”の元になった楽曲というのですから、さもありなん。テクニックとエモーションを両立させた劇的なインスト・ナンバー⑤を聴けば、これが本当に二十歳そこそこの若造のGプレイか?と驚かされますし、最新曲である①と比較しても、当時既に彼が独自の世界を築き上げていたことが分かるというもの。
かようにGプレイが傑出しているだけに、インスト・パートで高まったテンションを著しく下降させてしまうシンガーの力量不足には如何ともし難いものがありますが、今となってはこの少々頼りない歌唱も、昭和ジャパニーズ・メタルの「味」として許容できるのではないでしょうか。(無茶を言う)
本作の発掘や、ソロ・アルバムのリリース、更に復活を遂げたTERRA ROSA再結成ライブへの参加等々、近年再び活動を活発化させ、これからの足立祐二の動向に注目が集まっていた矢先だけに、今回の訃報には絶句せざるを得ませんでしたよ。


JESUS - Le Dernier Slow - Farewell ★★★ (2020-06-24 01:13:20)

イングヴェイ系統とは異なるクラシカルな味わいと、エモーションを喚起する
泣きを湛えたメロディ&テクニカルなGプレイに彩られた、
歌入りの他の楽曲よりも遥かに眩い輝きを放っているインストの名曲。
“FAREWELL”というタイトルが、今聴き直すと複雑な気分にさせられます。


JETBOY - Feel the Shake (2017-08-15 22:34:26)

デビュー直前にELEKTRA RECORDSとの契約を破棄されるという辛酸を舐めるも、《NO PAIN, NO GAIN》(苦労なくして得られるものなし)のポリシーの下、自棄を起こさず踏ん張って、再度メジャー・レーベルMCA RECORDSとディールを交わすことに成功したLAの4人組が、'88年に発表したデビュー作。(プロデュースはトム・アロムが担当)
シンガーのミッキー・フィン(Vo)がモヒカン頭だったり、メンバーの1人が元HANOI ROCKSのサム・ヤッファ(B)だったりと、センセーショナルなアピアランスが注目を集め、GUNS’N ROSESの対抗馬とも目された(当時)彼らゆえ、さぞかしエネルギッシュでデンジャラスなサウンドを聴かせてくれるものと思いきや、意外にも本作で聴かれるのは、ブルーズやグラム・ロックからの影響を散りばめつつシンプルにプレイされる、時に渋みすら漂わすロックンロール。帯に書かれた惹句《LAメタルのトリは俺達が務める!》の勇ましさからすると「もっと派手にハジけて、パンキッシュに攻めてくれてもいいんじゃない?」と。これではミドル~スロー・テンポの楽曲中心の本編に物足りなさを感じる方がいるのも無理からぬことのような。
泣きや哀愁とは無縁の作風であり、嘗てはガン無視を決め込んでおりましたが、HR/HM名盤ガイド本に本作が取り上げられていたことに興味を引かれ中古盤をゲット。決して主食にはなり得ない作品だとは思いつつも、例えば作中では浮いてるようにすら感じられる、キャッチーなハードポップ・ナンバー⑧の名曲ぶりは大したものだと感心させられたりも。
バンドの地力の高さは十分に伝わって来る出来ゆえ、あとは好みの問題でしょうか。


JETBOY - Feel the Shake - Hard Climb ★★ (2017-08-15 22:39:01)

派手な見た目に反して落ち着きすら感じさせる
ロックンロールを聴かせてくれたデビュー作において
この曲のみ売れ線ハードポップ・ナンバー風。
ハッキリ言って本編からは浮いているのですが
いやでも良い曲なんですよ、これが。
甘くキャッチーなサビメロに虫歯が疼きますよ。


JILL'S PROJECT - Crazy Me ★★★ (2017-11-29 23:16:55)

再結成TERRA ROSAのライブ盤を愛聴しているうちに、ふと「そういや買ったけど聴く暇がなかったなぁ」と思い出し、棚から引っ張り出してきた岡垣“JILL”正志率いるJILL’S PROJECTが'06年に発表した3曲入りマキシ・シングル。余談ですが、この文章を書くにあたって現在プロジェクトがどういう状態なのか調べてみたら、何やらゲーム・ミュージックに絡んだ大量の音源を発表しているようで驚きましたよ。そっち方面に活路を見出していたんですねぇ。(閑話休題)
音楽性は1st『LAST CONTRACT』同様、TERRA ROSAに通じる様式美HMを実践。華麗なる鍵盤捌きでバンマス役を担う岡垣(Key)、パワフルな喉を披露する祇上養一(Vo)、ボトムを引き締める関勝美(パチプロ…もといB)のメイン・メンバーに加え、①で和製マイケル・シェンカーこと足立祐二が、②にGITで学んだアメリカ帰りの井之上剛、そして③では元SNIPERの日下部正則という「腕に覚えあり」なゲスト・ギタリスト勢が、それぞれテクニカルなGプレイで楽曲に華を添えてくれます。
岡垣のKeyと足立のGが火花を散らす①や、祇上の歌いっぷりの良さも際立つ疾走ナンバー②も大変素晴らしい出来栄えですが、やはり本作のハイライトは③。各メンバーの聴かせどころを盛り込みつつ、10分以上に及ぶ長尺が重厚且つドラマティックに押し寄せる名曲で、欲を言えば疾走パートも欲しかったか?とも。(逆にそれだとありがちか)
僅か3曲のボリュームながらも、十分な満足感が味わえる1枚でありました。


JILL'S PROJECT - Last Contract ★★ (2008-10-11 09:59:00)

ANTHEMの柴田直人がゲームのサントラを手掛けたり、VOW WOWの人見元基が教育テレビで歌ったりと、油断してると贔屓の
ミュージシャンが、意外なところで仕事をしていたりして驚かされるが、元TERRA ROSA~現SLAZY WIZARDの岡垣正志と、
元WOLF~現パチプロ(笑)の関勝美がタッグを組み、突如、パチスロ界から出現したこのJILL'S PROJECTも、そんな中の1つ。
本作は彼らが'04年にリリースした1stフル・アルバムで、ゲストとして、藤本泰司、日下部正則、足立裕二ら、錚々たる
ミュージシャン達が客演。ジャパメタ・ファンならもうこの面子だけで即買いものだが、本作品が素晴しいのは、
岡垣正志の手による楽曲の数々が、そうした豪華なゲストが演奏するに相応しいクオリティを、しっかりと備えている点。
ネオ・クラシカル路線とも、メロスピ/メロパワ路線とも異なる、RAINBOW直系の華麗な様式美HMサウンドはまさに彼の真骨頂で、
特に、BURNYの粘っこいGプレイに痺れる劇的なOPナンバー①、足立のGが咽び泣く(TERRA ROSA時代の名曲のリメイク)②、
若手ギタリスト井之上剛が、岡垣のKeyと堂々渡り合う⑥、藤本のGプレイをフィーチュアしてパワフルに疾走する⑧、
そしてアルバム表題曲にして、10分に及ぼうかと言う“STARGAZER"型の重厚な大作ナンバー⑩・・・といった楽曲は、
これぞまさしく「21世紀版TERRA ROSA」といった感じの仕上がりで、今時ここまでコテコテの様式美HMを聴かせてくれるのって、
AXEL RUDI PELLとこのバンドぐらいのものじゃないの?と、思わず頬が緩みます。(コブシの効いたメロディを
パワフルに歌い上げる実力派の新人Vo.祇上養一の歌声が、赤尾和重タイプなのもそう思わせる要因かな、と)
ちなみに、本作の好評を受けJILL'S PROJECTはその活動を恒常化。現在では、ゲームやアニメとコラボした作品を、
かなりの枚数リリースしているので、気に入った人はチェックしてみるのも一興かと。(個人的には聴いた事ないんだけど)


JILL'S PROJECT - Last Contract - Last Contract ★★★ (2008-10-11 10:13:39)

RAINBOWの名曲“STARGAZER"を彷彿とさせる、
10分近くに及ぶドラマティックな大作ナンバー。
楽曲のカラーを決定付ける岡垣正志のKey、
エモーショナルでスリリングな足立裕二のG、
壮大にうねるリズムをダイナミックに叩き出す関勝美&出原卓の
リズム隊の素晴しさも然る事ながら、この曲一番の聴きモノは
やはり新人Vo、祇上養一のパワフルな歌声でしょうか。


JIM JIDHED - Full Circle ★★★ (2019-11-05 00:20:49)

ALIENのフロントマンとして、そしてソロ・アーティストとして活動するジム・ジッドヘッド(Vo)が'03年に発表した、ソロの方では3枚目となるアルバム。以前に聴いた最新作『PUSH ON THROUGH』(’16年)の出来栄えにいたく感動し、遅ればせながら本作も落穂拾いしてみましたらば、こちらも『PUSH~』に負けず劣らず大変に素晴らしい内容で、思わずホクホク顔ですよ。
今回はRADIOACTIVEで縁を結んだトミー・デナンダーがプロデューサー兼ギタリスト、曲作りの相棒としてレコーディング作業を全面サポート。北欧ハードポップならではのキャッチネスと透明感を湛えた哀メロの充実のみならず、爽快な疾走ナンバーが要所を引き締めるHR然としたエッジも効いたこの作風には、彼の起用がばっちりとハマっています。
本編への期待感をのっけから最高潮に引き上げてくれるOPナンバー①に始まり、ジムの伸びやかな歌声が映える抒情バラード⑤を経てスピーディな⑥へと繋ぐ流れ、80年代だったらドラマや映画の主題歌に起用されて大ヒット間違いなしのポテンシャルを感じさせる⑦⑨、ポップな高揚感を湛えた⑩etc…といった逸品が揃うハイクオリティな本編は、作曲家としても確かな腕前を誇るジムと、マルチ・アーティストとして鳴らすトミー・デナンダーの組み合わせによる最適解の産物と言えるのではないでしょうか。(ちなみに⑧はスティーヴ・ペリーがソロ・アルバム用にクリフ・マグネスと書き下ろした未発表曲のカヴァー)
こうなると、長らく廃盤状態のまま放置されている1stソロ『飛翔』(’91年)の国内盤再発を願掛けしたくなるのが人情というものなのですが…。


JIM JIDHED - Full Circle - I Will Never Leave You Now ★★★ (2019-11-06 00:20:41)

ロック然とした躍動感溢れる曲調と、爽やかな哀愁を湛えたメロディ、
声を張っても透明感が失われないジムの伸びやかな歌声とがベストマッチ。
OPナンバーとして良い仕事しまくりの名曲です。


JIM JIDHED - Full Circle - Now We Cry ★★★ (2019-11-06 00:25:00)

キャッチーなサビメロが素晴らしい。
世が世ならドラマや映画の主題歌に起用されて大ヒット飛ばしていても全くおかしくな
抜群のヒット・ポテンシャルを感じさせてくれるハードポップ。


JIM JIDHED - Push On Through ★★★ (2018-04-26 00:46:22)

名盤『ETERNITY』(’14年)で復活を遂げたALIENから、その後音沙汰が全然ないと思っていたら、フロントマンのジム・ジッドヘッドが12年ぶりにソロ作を発表。「仕方ねぇからアンタで我慢しといてやっか」ぐらいの何様目線で聴き始めてみれば、これがまぁメロハーの傑作。のっけから、去年の内に耳にしてたら年間ベスト・チューン候補入りは確実だったであろう強力なメロディック・ロックの名曲①が始まってしまい、速攻「舐めた態度取ったりしてスイマセンッした!」とスライディング土下座でひれ伏したくなったという。
声質自体に透明感と哀感が滲む伸びやかな歌声で、本編の主役を堂々務め切るジムのパフォーマンスが経年劣化と無縁なのは当然のこととして(ALIENで確認済みでしたし)、何より今作において特筆すべきは、楽曲のハイクオリティっぷりですよ。FIND MEのダニエル・フローレスやPALACEのマイケル・パレスといった、ソロ・アーティストとしても活動中の面々を始めとする敏腕ソング・ライター勢の集結に加えて、ジム自身が優れた作曲家であった点も本作の勝因の一つかと。何せ、爽やかに疾走する曲調にフック満載のメロディが乗った名曲も名曲の①、躍動感溢れるミッド・チューン②、物悲しくもドラマティックに染み渡るバラード④といった、アルバムの目玉たるいずれの楽曲にもジムの名前がクレジットされているのですから大したもの。(正確には、上記3曲は全てSAHARAのユンリク・レンクヴィストと、SWEDISH EROTICAのモーガン・ジャンセンとの共作名義)
こうなると、ジム・ジッドヘッドの過去のソロ・アルバムに俄然興味が湧いて来るわけですが、調べると国内盤はどれも中古価格が高騰していて、畜生、遅きに失したなぁと。


JIM JIDHED - Push On Through - Glorious ★★★ (2018-04-26 23:44:33)

アルバムのOPナンバー。躍動感溢れる曲調に続いて
ジム・ジッドヘッドが美声を駆使して歌い上げる
爽快感と透明感と哀愁が絶妙なバランスで配合された
「フックの効いたメロディ」の見本のような
コーラス~ブリッジ・パートが涙モノの素晴らしさ。
北欧ハードポップの一つの理想形を体現した名曲ですよ。


JIM STEINMAN - Bad for Good ★★★ (2017-09-02 23:32:27)

俳優兼シンガーのミートローフとタッグを組んで、『地獄のロック・ライダー』を世界中で大ヒットさせたプロデューサーのジム・スタインマンが、相方ミートローフの急病で思うように活動できなかった時期にレコーディング作業を行い、’80年に発表したソロ・アルバム。
同シリーズの創作面を一手に担う人物だけに、本作に託されている、トッド・ラングレンが奏でるハードなGの調べ、ピアノ、オーケストラ、更には女性Voやコーラスまで導入して、大仰/壮大/ドラマティックに綴られるスケールの大きなロック・サウンドは、まさに『地獄のロックライダー1.5』の趣き。大作主義を志向しつつも、様式美やプログレ・テイストよりも華麗な「ミュージカル風味」が色濃い音楽絵巻っぷりも本家同様です。
ミートローフと比べると、ジムのVoはやや線の細い印象があれど(下手ではない。寧ろ巧い)、とにかく収録楽曲の素晴らしさがそれらを補って余りあるという。特に口角泡を飛ばしまくりのイントロの大演説から繋がっていく、ボニー・タイラーが歌った『フットルース』挿入歌…というよりも、『スクールウォーズ』主題歌“ヒーロー”(By麻倉美稀)の原曲である④は名曲中の名曲。前述の2バージョンに比べると70年代HR感が強めでキャッチーさには乏しいのですが、それはそれで良し!他にもOPナンバーに相応しい劇的さでグイグイ盛り上がっていく表題曲①、高揚感に満ちた(『スクールウォーズ2』の主題歌としても思い出深い)⑤等、名曲揃い。収録曲の内何曲かは後に『地獄のロックライダーⅡ』でリメイクされているので、聴き比べてみるのも一興かと。
本家シリーズに肉薄する圧倒的完成度を誇る傑作。リマスター盤再発を切に希望します。


JIM STEINMAN - Bad for Good - Out of the Frying Pan (And Into the Fire) ★★★ (2017-09-03 23:20:56)

『スクールウォーズ2』主題歌として
丸山みゆきが“FIRE”のタイトルでカヴァー、
スポーツドラマのテーマ曲に相応しい高揚感と躍動感に満ち溢れた名曲です。
ドラマの方は1作目ほどは入れ込めませんでしたが
主題歌の良さは印象に残っていて
あとでこれを聴いた時に「あ、これが元曲だったのか!」と。
『地獄のロック・ライダーⅡ』では
ミートローフ・バージョンも聴けますので
是非聴き比べて頂きたいところ。


JIM STEINMAN - Bad for Good - Stark Raving Love ★★★ (2017-09-02 23:43:36)

イントロ聴いただけで「この物語は…」と芥川也寸志の
名調子が脳内で再生されてしまいますが、
楽曲自体は7分以上(イントロも含めると10分近く)に達する
大作ナンバーで、ボニー・タイラー/麻倉美稀バージョンとは
一味異なる、70年代HRテイストが強く打ち出されています。
まぁどっちにしたって名曲には違いありませんが。
あとこの印象的なメイン・リフは、今聴くとちょっと
『太陽にほえろ!』のテーマ曲っぽくもあるような?


JIMI JAMISON - Crossroads Moment ★★★ (2012-11-13 22:14:14)

ジミ・ジェイミソンが、盟友ジム・ピートリックの全面的な協力を仰いで制作、'08年に発表した2ndソロ・アルバム。
この2人の組み合わせにはSURVIVORマジックを期待せずにはいられないわけですが、実際本作には、鮮やかにアルバムの幕開けを飾る名曲①を手始めに、心憎いまでにフックの効いたメロディ、胸のすく爽快感、それに心踊らせられるポップ・フィーリングまで、天才メロディ・メイカー、ジム・ピートリックの匠の業が冴えまくるメロディアスHRサウンドがスシ詰め。
フランキー・サリヴァンを中心に再編されたSURVIVORの復活作『REACH』を聴いて物足りなく思った要素が、ここには漏れなく網羅されています。
ジミ・ジェイミソンも自身のソロ・アルバムということで全身全霊を込めた歌唱を全編に亘って披露。特にバラード⑩における声域/声量/表現力、いずれもパーフェクトな情熱迸る歌声には心震わされずにはいられません。そして本編のハイライト・ナンバー、両者の才能が余すところなく引き出された(ジムに対するジミのリスペクトが感じられる歌詞も秀逸な)⑥は、もう名曲中の名曲ですよ。
全15曲、70分オーバーの収録時間はいくらなんでもトゥーマッチですが、「じゃあお前、どの曲を外せばいいんだよ?」と聞かれたら「うーん・・・」と考え込まざるを得ないぐらい、優れた楽曲がズラリ揃った力作。ある意味、本家SURVIVOR以上にSURVIVORらしい1枚です。


JIMI JAMISON - Crossroads Moment - As Is ★★★ (2012-11-13 23:09:20)

こんな素晴しくエモーショナルな歌を目の前で
聴いたら、そりゃミッキー・トーマス(STARSHIP)
でなくとも泣くわ、と思わせられる
感動的な名バラード。
泣きのGも良い感じに雰囲気を盛り上げてくれています。


JIMI JAMISON - Crossroads Moment - Battersea ★★★ (2012-11-13 23:12:00)

エキゾチックなイントロから一転、
軽やかに、爽快に疾走を開始する
OPナンバーに相応しいパワフルなロック・ソング。
涼やかなKeyの音色も良いアクセントとなっていますね。


JIMI JAMISON - Crossroads Moment - Behind the Music ★★★ (2012-11-13 22:26:10)

ジミ・ジェイミソンとジム・ピートリックの
組み合わせにはやっぱりマジックが働くのだなぁ、と
しみじみと納得する名曲。
心躍る爽快な曲調と、滲み出す哀愁に
胸締め付けられるサビメロ、
それにジミのジムに対するリスペクトが
綴られた歌詞にもグッと来ますね。


JIMI JAMISON - Never Too Late ★★★ (2012-11-14 22:09:14)

VOICE OF ROCK、ジミ・ジェイミソンが'12年に発表した3rdソロ・アルバム。
今回、彼の相棒を務めているのはエリック・マーテンソン。W.E.T.やECLIPSE、それにトビー・ヒッチコックとの仕事等で既にメロディアスHRファンから篤い信頼を獲得している彼氏ですが、ここでもメロハー職人として期待に違わぬ仕事振りを披露してくれています。
経年劣化とは無縁の、パワフル且つ雄弁なジミ・ジェイミソンの歌声を、透明感と叙情味を湛えた北欧ミュージシャン勢の的確な演奏がバックアップするサウンドは、もろSURVIVORを思わせる爽快さとポップな高揚感が溢れ出す①②③の畳み掛けを挨拶代わりに、ジミが歌うに相応しい洗練されたアメリカン・メロディアスHRのシルエットを、アルバム全編に亘って美しく描き出しています。
SURVIVOR時代の盟友ジム・ピートリックがブレイン役を務めた前作『CROSSROAD MOMENT』(これまた捨て曲なしの傑作)に比べると、幾分ハードな味わいも堪能させてくれる本作ですが、取り分け、タイトルからしてニヤリとさせられるアップテンポ⑤と、ポロポロと奏でられるピアノのイントロから劇的に盛り上がっていくメリハリの効いたHRナンバー⑧⑨は、そうしたアルバムの方向性が理想的な形で表現された名曲と言えるのではないでしょうか。


JIMI JAMISON - Never Too Late - Bullet in the Gun ★★★ (2012-11-17 23:10:42)

エリック・マーテンソンの趣味なのか、
アルバム『NEVER TOO LATE』はピアノのイントロから
始まる楽曲が結構収録されているのですが、
その何れも「名曲」と評価するに十分なくクオリティを
備えているのだから、ピアノ好きとしては嬉しい限りです。
特にこの曲は、一際ハードでメリハリの効いた曲展開が
印象に残る逸品。


JIMI JAMISON - Never Too Late - Street Survivor ★★★ (2012-11-17 06:01:10)

タイトルからして良いですね。
シャープなハードロック・ナンバーで
SURVIVORと北欧メタルの幸せな結婚
とでも言うべき名曲に仕上がっております。


JIMI JAMISON'S SURVIVOR - Empires ★★★ (2010-03-07 21:41:00)

JIM PETERIK'S SURVIVORや、FRANKIE SULLIVAN'S SURVIVORなら分からなくもないが、流石に
JIMI JAMISON'S SURVIVORはねぇだろう。だってオリジナル・メンバーでもメイン・ソングライターでもなかったわけだし・・・とか思いながら聴き始めたら、意外やこれが、劇的な曲展開を備えたスケールの大きな楽曲の数々といい、心打つメロディを伸びやかに、そしてエモーショナルに歌い上げるジミ・ジェイミソンのVoといい、SURVIVORのオリジナル・アルバムにも匹敵する、高いクオリティを備えた内容で思わず唸らされてしまった。
特に、ジミと女性Voとのデュエットが心揺さぶる④、そしてジミ自身が「本編のハイライト・ナンバー」に位置付けるドラマティックな⑦といった、バラード系の楽曲が生み出す感動の深さは半端じゃあない。
オリジナルSURVIVORに比べると、太めのGサウンドや重厚なリズム等、全体的にややヘヴィな味付けがなされており、特に頭2曲ではその傾向が強く感じられるが、TVドラマ『ベイウォッチ』のテーマ曲として知られる軽やかな③(流麗なピアノの調べが◎)以降は、このバンド名の下に発表されるに相応しい、洗練されたポップな楽曲が目白押しだし、頭2曲にしても、メロディやGソロ、曲展開はフックに富み、決して無駄にダーク&グルーヴィな仕上がりというわけではないので、ファンは安心されたし。
自身の名を冠したプロジェクトにも関わらず、良い曲なら他人が書いた曲でも積極的に採用・収録したと言う、ジミ・ジェイミソンの度量の広さが見事にその完成度に結実した、捨て曲なしのメロディアスHRの名盤。
個人的には、再結成SURVIVORの新作『REACH』よりも愛聴させて頂いております。


JOE LYNN TURNER - Rescue You ★★ (2010-02-06 19:54:00)

これまで数々の優れたソロ・アルバムを残して来たジョー・リン・ターナーだが、個人的に、それらの作品の中でも
最も愛して止まないのは、RAINBOW解散後の'85年に発表された、この1stソロ・アルバム。
ジョーと共に、元FOREIGNERのアラン・グリーンウッド(Key)が制作の中核を担った本作で聴く事が出来るのは、
G以上にVoとKeyが前面に押し出され、曲によってはダンサブルなアレンジが施されてたハードポップ・サウンド。
発表当時、HR/HMとはかけ離れたコマーシャルな作風が批判に晒され、セールス的にも惨敗を喫したらしいが、
フックを備えたキャッチーなメロディの組み立ての上手さは流石だし、「産業ロック寄りになった後期RAINBOW」か、
はたまた「洗練されたFANDANGO」かといった趣きの収録曲は、どれも非常にハイクオリティ。
何より、楽曲にポップスやAORとは一線を画するエネルギーやダイナミズムを付与する、本編の主役たる
ジョーのパッション漲るソウルフルな歌声が素晴しいったら!
歌唱力とヘアスタイルは今も全く変わらぬ彼氏だが、この頃の「売れたるでー!」というギラギラした野心と
若々しいパワーに満ちたVoはまた格別な味わいで、特に、高いヒット・ポテンシャルを備えた楽曲がズラリ揃った
本編前半(①~⑤)の完成度の高さは、このアルバム最大の聴き所。短いアカペラ曲をイントロ代わりに
スタートする、切ない哀愁漂うメロディアス・ハード④なんて、聴く度に感動が味わえる本編屈指の名曲よ?
DEEP PURPLEやRAINBOWもいいけど、個人的には、またこの路線のソロ・アルバムを作って欲しいなぁ。


JOE LYNN TURNER - Second Hand Life ★★ (2010-02-07 17:37:00)

俺も見に行きました、ジョー・リン・ターナー&再結成ALCATRAZZのカップリング・ツアー。正直、ライブに冠しては
真剣なのかジョークなのか図りかねる(多分天然)、グラハム・ボネットの爆笑パフォーマンスに全部持って行かれて
ジョー組の印象は殆ど残っていないのだけれど、その後購入した本作の完成度の高さには、大いに感心させられた次第。
DEEP PURPLE風のハード・ロックンロール有り、RAINBOW風の劇的なナンバー有り、『RESCUE YOU』を思い起こさせる
ポップ・チューン有り・・・と、自身のこれまでのキャリアを総括するかのように、バラエティ豊かに取り揃えられた
収録曲の数々は、何れもがキャッチーなメロディに彩られ、しかもそれを、ジョーが持ち前のソウルフルなVoを
駆使して歌い上げているのだから、素晴しい仕上がりにならないわけがない。
実際、伸びやかで爽快な①、ブルージーな泣きとポップ・センスがガッチリ噛み合った本編屈指の名曲②、
元々はDEEP PURPLE用に書かれた、SURVIVORのジム・ピートリックとの共作曲③、ジョーの歌の上手さを
再確認させられるエモーショナルなバラード④、コブシの効いたメロディがどうしたってRAINBOWを思わせる
ミステリアスな⑤・・・と、優れた楽曲が連続する本編は、シンガー及びソング・ライターとしての
ジョー・リン・ターナーの才能を立派に証明するクオリティ。
円熟味を増したミュージシャンの余裕と貫禄が感じられる、充実した内容を誇る1枚かと。


JOE-ERK - Living Alone ★★ (2017-09-01 00:10:28)

竹内光雄というと、元XのTAIJIが結成したD.T.R.のフロントマンとして知られていますが、個人的にはこの人の名前を聞いて真っ先に思い出すのは『メタルフォーク』なんですよね。一世を風靡したANIMETALブームにいっちょ噛みすべく現れた無数の便乗作品の中にあって頭抜けたクオリティを誇った1枚で、こちとら未だにシングル盤を持ってますよ。
…って前置きが長くなりましたが、あのプロジェクトで堂々たる歌唱を披露していた彼氏が、現在は作曲/編曲家として活動する清水武仁(G)と組んでいたバンドが’93年に残したEPが本作。後に未発表曲を追加したフル・アルバムの体でTOY’S FACTORYからお色直し盤がリリースされています(それでも全7曲、30分強のボリュームですが)。《原石…ゴロリ…ピカリ!》という妙に脱力を誘われる帯の惹句が、逆に記憶に残っているという。
サウンドの方は、スラッシーに刻まれるササクレGリフの上で硬質なシャウトが轟く名曲①に代表されるような、モダンな都会派メタル。EZOに90年代的エッジを加味した感じの音…と言うと、どんな作風か伝わるでしょうか?インディーズ制作ゆえ音質のハンデは如何ともし難く、また②以降の楽曲も少々華に欠ける印象ではありますが、それでも「6種類の声を持つ男」と評されたアクセル・ローズよろしく、噛み付くようなシャウトから、男臭い朗々とした歌い回し、更にはバラードを切々と歌い上げたりと、多彩な歌声を駆使して本編の主役を張る、竹内の歌いっぷりを堪能するには十分な品質が備わっているのではないかと。隠し味のKeyに、嘶く清水のGを活かした⑤みたいな秀曲も収録されていますしね。
本作を購入した中古盤屋の店長さんが、その才能を惜しんでいたのも納得の1枚ですよ。


JOE-ERK - Living Alone - Living Alone ★★★ (2017-09-01 00:25:46)

いかにも90年代的な装飾を排した音作りの下、
ササクレて刻まれるGリフとへヴィなリズムに乗って
ドスを効かせたシャウトから、メロディアスな歌い上げまで
独特の声質を駆使して歌いまくる竹内光雄のVoの魅力が堪能できる名曲。
しっかりと脇を固める清水武仁のGプレイも印象的です。


JOEY TAFOLLA - Out of the Sun ★★★ (2015-11-20 22:48:51)

JAG PANZERの一員として世に出た後、ギタリスト発掘人マイク・ヴァーニーの眼鏡に適いSHRAPNEL RECORDSからソロ・デビューを飾った、速弾きムーブメント第二世代に属するギタリスト、ジョーイ・タフォーラが'88年に発表した1stアルバム。
ぼちぼち粗製濫造の気配も漂い始めていた同ブーム渦中にあって、本作が(特にここ日本で)頭抜けて話題を呼んだのは、何も師匠にあたるトニー・マカパインやポール・ギルバートのゲスト参加が衆目を集めたせいだけはなく、ギターを巧みに歌わせる本人の演奏能力の高さ、それでいてテク至上主義に溺れない作曲能力&メロディ・センスの確かさがあったればこそ。
例えば、個人的に本作の購入動機の一つであった⑧なんて、これ見よがしに和音階を用いたりせずとも、きっちりサムライの硬派な生き様を聴き手に伝えてくれるのですから大したもの。また自己アピールに汲々とすることなく、楽曲内にKeyやBの聴かせ所を配置するバランス感覚の良さも買いです。トニー・マカパインが奏でる煌びやかなKeyなんて本作のもう一人の主役扱いですよ。(欲言やピアノを演奏して欲しかったけど)
起承転結が劇的に決まった6分越えのOPナンバー①、アルバムのハイライトを飾る壮大な④、スピーディなネオクラシカル曲⑤等、日本人好みのメロディ・ラインとフックが連続するインスト物の好盤。


JOEY TAFOLLA - Out of the Sun - Samurai ★★★ (2015-11-23 00:02:56)

空を裂く白刃の如きGプレイに
硬派な哀愁漂わすメロディと、
これみよがしに和風テイストを用いなくても
ちゃんとサムライの生き様を聴き手に伝える、
ギタリストとしてだけでなくジョーイ・タフォーラの
コンポーザーとしての実力がきらり光る逸品。