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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2901-3000
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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 2901-3000
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JOHANSSON - Sonic Winter ★★ (2009-12-02 22:41:00)

イェンスとアンダースのヨハンソン兄弟がJOHANSSON名義で'95年に発表、様式美HMファンの間では、
イングヴェイ・マルムスティーン(G)がゲスト参戦を果たし、ヨハンソン兄弟と火花散る楽器バトルを
繰り広げる超ド級の名インスト・ナンバー、“ENIGMA SUITE"を収録している事で有名な作品。
SILVER MOUNTAIN時代、“VIKINGS"における劇的極まりないピアノ・ソロを以って世のHR/HMファンに計り知れぬ
衝撃を与え、RISING FORCE、DIO、STRATOVARIUSなど数々の様式美HMバンドを渡り歩いて、ドン・エイリーに
次ぐKeyヒーローの座を嘱望されながらも、ついぞSILVER MOUNTAIN時代を超えるインパクトを放つKeyプレイを
披露してくれる事のなかったイェンスが遂にやりやがった!と、本作を初めて聴いた時は思わず感涙に咽んだ。
まぁ、実際のところ本編のメインとなるのは、歪んだ音色のKeyがリード楽器の役割を果たす、ブルージーな味わいも
ある渋めのHRサウンドなんだけど、リーフ・スンディンのソウルフルなVoの説得力もあって退屈せずに聴く事が出来るし、
こうした楽曲におけるイェンスの指捌きもなかなかに味わい深く乙なモノ(⑤の軽快なピアノ・プレイとかね)。
とは言え、やはり本編のハイライトは冒頭で述べた名曲④であり、それと同系統のインスト・ナンバー⑥。
特に④は、かの“VIKINGS"を彷彿とさせる華麗且つ流麗なピアノ・ソロを手始めに、全編に渡ってイェンスの
ネオクラシカル・プレイが炸裂しまくった(イングヴェイも良い仕事をしてくれています)失禁モノの名曲。
フュージョン好きが高じて、なかなかこうした楽曲を手掛けてくれなかったイェンスに対する不満は、
この名曲の存在をもって完全に雲散霧消した・・・と言っても過言ではない、かも。


JOHANSSON - The Johansson Brothers ★★ (2014-06-10 23:56:34)

イェンス&アンダースのヨハンソン・ブラザーズによるプロジェクトが、'94年に発表したデビュー作。
この時期の兄弟はHR/HMとは距離を置いた活動を繰り広げており、本作に託されているのもシンプルでブルージーなHRサウンド。例えばBEACH BOYSのカヴァー⑪が象徴するように、ファンが彼らに期待するようなネオクラ風味は薄めです。
尤も、そのちょい前にイェンスの初ソロ作『飛べない創造物』を期待に胸膨らませて購入し、ロック色皆無のアバンギャルド方面に振り切れた内容に膝から崩れ落ちた身としては、取り敢えずHR/HMのフィールドに留まってくれていただけで、もう万々歳。
特に本作には、兄弟と、彼らの盟友マルセル・ヤコブ(B)がテクニック全開でぶつかり合い、スリリングに火花を散らすインスト曲③⑥⑨や、リーフ・スンディン(元GREAT KING RAT)のエモーショナルな歌声が堪能できる哀愁のバラード⑧、DEEP PURPLE型HRナンバー⑩といったグッと来る逸曲も収録されているので尚更です。
全体的にはブルージーな仕上がりながらも、土の匂い以上に透明感の方が強く印象に残るのは、やはり北欧ミュージシャンの血のなせる業でしょうかね。


JOHANSSON - The Last Viking ★★ (2009-12-06 19:51:00)

ブックレットのクレジットや写真から推察するに、前作『SONIC WINTER』の成功に気を良くした日本のレコード会社からの
「今度は全編ネオクラなヤツを作ってくださいよ~」とのリクエストに応えて、イェンスとアンダースが
日本市場向けにちゃちゃっとレコーディングした・・・かどうかは定かじゃないが、ともかく非常に
日本人好みの作風に仕上がっている、99年発表の2nd(兄弟コラボ物としては3作目か)アルバム。
特に“SAMURAI"の名を持つ疾走チューン⑦は、生真面目なメタル・ファンなら失笑を漏らしかねないタイトルに反して、
これが北欧ネオクラ・メタルの美味しい部分を凝縮したかのようなクサメロ満載の名曲で思わずガッツポーズ。
こうした楽曲のクオリティをガッチリと支えるのは、勿論、今回もネオクラシカル風味全開で贈るイェンス・ヨハンソンの
流麗なKeyプレイなわけだが、本作においてその彼と同レベルの存在感を発揮するのが、ゲストVo、ヨラン・エドマンその人。
「Mr.北欧ボイス」の異名を取り、元々歌の上手さには定評のある人だったが、ここで披露する歌声・・・取り分け、泣きの入った
④⑥のようなスロー/バラード・ナンバーにおける強烈にコブシの効いた熱唱は、息苦しい程にエモーショナルで感動的。
作品全体としては、イェンスのピアノの早弾きが聴けなかったり、せっかくGとして全面参加しているSYMPHONY Xの
マイケル・ロメオが、イマイチ本領を発揮し切れていなかったり(イングヴェイの時のような化学反応は起きなかったか)と
些細な不満点はあれど、OPナンバー①を皮切りに、絵に描いたような北欧ネオクラ・メタルが全編に渡って
繰り広げられる充実した内容を誇る1枚であり、様式美HMファンならこれを聴かずに済ます手は無い!・・・ような。


JOHANSSON - The Last Viking - Fading Away ★★★ (2009-12-06 19:59:10)

猛烈に泣きの入ったクサいメロディを
コブシを効かせてドラマティックに歌い上げる
ヨラン・エドマンの歌声が大いなる感動を呼ぶ
スロー・ナンバー。
個人的には『THE LAST VIKING』で一番好きな曲かも。


JOHANSSON - The Last Viking - Samurai ★★★ (2009-12-06 19:56:25)

日本市場を意識して制作された『THE LAST VIKING』の中でも
更に日本人向けに作られたスピード・ナンバー。
尤も、ここまで素晴しい楽曲なら文句はない。
クラシカルなイントロからぐっと引き込まれてしまいます。


JOHN ELEFANTE - The Amazing Grace ★★★ (2022-10-04 00:38:41)

クリスチャン・ミュージック・シーンの名プロデューサーにしてKANSASの二代目フロントマン、あと個人的にはMASTEDON名義でリリースした3枚のアルバムの素晴らしさも印象に残っているジョン・エレファンテ(Vo)が、’22年にESCAPE MUSICから10年ぶりに発表したソロとしては5作目となるアルバム。
KANSASやMASTEDONの諸作は愛聴していても、この人のソロ・ワークまではフォローしきれていませんでした。ので久々に日本盤の発売が実現したのを機にチェックしてみれば、これがファンの期待にきっちりと応える、衰え知らずの伸びやかな歌声、しっとりと心潤わす哀愁のメロディ、それにクリスチャン・ミュージックならではの美麗なボーカル・ハーモニーに心癒されるAOR/産業ロック・サウンドに仕上げられていて、思わず虎眼先生ばりに「できておる喃、ジョン・エレファンテは…」と呟いてしまった次第で。
80年代からコンビ芸を披露してきた兄ディノ・エレファンテは今回残念ながら不参加。曲作りは主に新加入のフランク・ボックスバーガーと共に行われているのですが、このギタリストが楽器の腕前のみならず作曲者としてもなかなかの逸材ぶりを発揮。本編の幕開けを劇的に飾る①、アルバム表題曲に相応しい哀メロの洪水に押し流される③、ヴァイオリンの存在のみならず、軽快さとドラマ性を併せ持った曲展開でもKANSASらしさを振りまく⑤、Gの泣きっぷりにグッとくるバラード⑤や重厚な⑧等々、KANSAS、MASTEDON時代に勝るとも劣らぬ収録楽曲は、ディノの不在をまるで意識させない充実っぷりを誇っていますよ。
名前聞いたことあるけど音は知らないという方は、本作を入門盤にいかがでしょうか。


JOHN ELEFANTE - The Amazing Grace - Won't Fade Away ★★★ (2022-10-05 00:53:19)

ドラマティックだけど大仰にはならない曲展開から、
軽快に踊るヴァイオリンにピアノ、
叙情的かつキャッチーな歌メロに至るまで
確信的にKANSASサウンドの再現が試みられているのですが、
なおかつそれを「名曲」レベルで成し遂げていることに
拍手喝采せずにはいられませんよ


JOHN LAWTON BAND - Sting In The Tale ★★★ (2023-07-25 00:32:16)

‘21年に急逝された稀代の名シンガー、ジョン・ロートンがJOHN LAWTON BAND名義で’03年に残したスタジオ・アルバムとしては唯一の作品。(ライブ盤はあるのかな)
90年代以降は、クリスマス・シングル用にWHAM!の有名曲“LAST CHRISMAS”をカヴァーしてみたり、ブルージーなアコースティック・アルバムを制作したり、ケン・ヘンズレーとコラボってみたりと、HR/HMとは若干距離のあるマイペースな活動に身を置いていたロートン先生ですが、若手メンバーをバックに従えてレコーディングされた本作では一転、骨太なブリティッシュHRサウンドをパワフルに披露(前年に実現した来日公演も良い刺激になったのかな?と)。エッジの効いたリフ&リズムがズンズン押し出してくるOPナンバー①のイントロが始まった途端、こちとら思わずニンマリ笑顔になってしまいましたよ。
晩年まで衰えとは一切無縁だった御大だけに、ここでも張り良し/艶良し/伸び良し、聴いてるだけで背筋がしゃんと伸びる抜群の歌声を響かせてくれています。無論、歌だけ良くても肝心の楽曲がお粗末だったら話にならないわけですが、前述の①を手始めに、愁いを湛えたメロディに熱唱が映える③、譜面に忠実なだけでは決して歌いこなせない⑤、温もりに満ちたバラード⑦、軽快に弾む⑨等、収録曲は粒揃い。特にダイナミックな曲展開の中にURIAH HEEP時代を思わす壮麗なコーラス・ワークが舞う⑩はまさしく本編のハイライト。終盤に炸裂するロートン渾身のハイトーン・シャウトには痺れずにはいられませんて。
そんなわけで、廃盤のままほったらかしは殺生な名盤。LUCIFER’S FRIEND Ⅱの国内盤発売が実現する昨今ですから、是非本作のリイシューもご一考頂きたいなぁと。


JOHN LAWTON BAND - Sting In The Tale - Angels They Cry ★★★ (2023-07-27 01:18:40)

愁いを帯びたメロディ、きびきびとした曲調、華麗に舞うハーモニー、
ジョン・ロートンの年齢をまるで感じさせない張りのある歌声が
楽曲をドラマティックに盛り上げる本編のハイライト・ナンバー。
テンポアップする終盤にかぶさるロートン先生入魂のシャウトには
メタル魂が燃え上がりますよ。


JOHN NORUM - Face It Live '97 ★★ (2013-08-27 23:40:52)

元GREAT KING RATのリーフ・スンディン(Vo)ら、スウェーデン人ミュージシャンを引き連れて'97年に行われた、ソロとしては初めてのジョン・ノーラム(G)の来日公演の模様を収めた実況録音盤。発売元は勿論「LIVE IN JAPAN商法」でお馴染みのZEROコーポレーションですよ。
“FACE THE TRUTH”で幕が上がり“SCREAM OF ANGER”にて幕が降りる本編は、CDの容量限界ギリギリまで使って、4枚のソロ作(1st~4th)及びEUROPE時代の楽曲から万遍なくチョイスされていた当日のライブのセットリストをほぼ忠実に再現。
選曲はこれがベストか?と問われれば「そうでもない」と即答できますし、何よりバンドと観衆の掛け合いの類が殆どない、ソリッド過ぎる作りも好みが分かれるところではありますが。
それでも、ギターを身体器官の一部のように自在に操るジョン・ノーラムのGプレイ、ヨラン・エドマンやケリー・キーリングは勿論のこと、グレン・ヒューズ時代の楽曲すら不安げなく歌いこなすリーフ・スンディンの熱唱等、白熱のパフォーマンスの前にはそうした不満もフェードアウトしていきます。リリース当時はあまり良い評判を耳にしなかった3rdや4thからの楽曲も、ここで聴く分には十二分にカッコイイ。
ジョン・ノーラムのソロ時代を手っ取り早く振り返りたいという向きにお薦めの1枚かと。


JOHN NORUM - Face the Truth ★★★ (2013-08-26 22:29:22)

北欧メタルの持つ透明感と、ゲイリー・ムーア~THIN LIZZY的HRサウンドとが巧みに溶け合わされた、ソロ・アーティスト、ジョン・ノーラムの最高傑作の呼び声も高い'92年発表の2ndソロ・アルバム。
楽曲のクオリティのみならず、それを支える参加ミュージシャン達も結構豪華。囁かれていた不仲説を粉砕するEUROPEの盟友ジョーイ・テンペスト(Vo)、DON DOKKEN時代の仕事仲間ビリー・ホワイト(G)とピーター・バルテス(B)、そしてアルバムのメイン・シンガーを務めるのは歌神グレン・ヒューズ(Vo)・・・どうです、この布陣。まるでジョン・ノーラムというギタリストの過去/現在/未来を総括するかのようではありませんか。
特にグレンのソウルフルなVoは、アルバムの品質のみならず「格」の向上にも大きく貢献。とても絶賛ヤク中街道邁進中(当時)とは思えぬ、張りも伸びも艶もある歌声を終始響かせていて、流石THE GOD OF VOICE。中でもハード・ドライヴィンに本編OPを飾るアルバム表題曲①は名曲中の名曲ですよ。(ぶっちゃけ、この曲のインパクトが本編の印象を霞ませているきらいもあるのですが)
他にも哀愁のバラード③、ジョーイ・テンペストのエモーショナルな歌声が彩を添える⑥(浮いてないよねぇ)、HUGHES/THRALLコンビ作曲の⑩(PHENOMENAのカヴァー)等、優れた楽曲が目白押しなので、ジョン・ノーラムのソロ作に触れるのならば、まずはこのアルバムからどうぞ。


JOHN NORUM - Face the Truth - Face the Truth ★★★ (2013-08-27 23:35:20)

この名曲のインパクトが強烈過ぎて
2曲目以降の存在が霞みまくりですよ。
(良い曲が揃ってるにも関わらず)
北欧的な透明感と、往年のゲイリー・ムーアを
思わすハード・ロッキンなエッジとがスムーズな
融合をみた、ジョン・ノーラム流HRの完成型。
しかもその上に乗るのがグレンのVoですからね。
もう無敵ですよ。


JOHN NORUM - Total Control ★★ (2013-08-23 23:47:53)

コマーシャル路線に不満を感じてEUROPEから脱退したジョン・ノーラムの初のソロ・アルバムで、キャッチコピーは《俺のギターには金玉がついている》、しかも曲作りの相棒が敏腕ソングライターのマルセル・ヤコブ(B)とあっては、「きっと“SCREAM OF ANGER”風のハードな楽曲だらけの北欧メタル作品に違いない!」と期待に胸膨らませて本作に挑んだので、最初聴いた時は、その思いの外ポップというか歌モノ路線寄りの作風に「ぇえー・・・?」と首をかしげてしまいましたよ。
しかし、よくよく聴けば分かる(いや別によく聴かずとも伝わる)楽曲の出来の良さ。敬愛するゲイリー・ムーア風味のメロディアスHR路線を志向しつつ、②⑤⑥に参加するMr.北欧ボイスことヨラン・エドマンの透明感を湛えたハイトーンVoと、マルセル謹製の甘いメロディが彩りを添えるサウンドは、ジョン・ノーラムのソロ作の中では一際高い北欧メタル度を検出。特にシングル・カットされたヒット曲②は、ジョン・ノーラム版“THE FINAL COUNTDOWN”ライクな名曲です。(“果てしなき想い”という邦題も○)
欲を言えば1、2曲は“SCREAM~”ばりのハードな疾走ナンバーを収録して欲しかったところなんですが、例え曲調はポップであっても、ジョンが伸び伸びと気持ち良さげにGを弾きまくっているので、まぁこれはこれで。確かに金玉付いてるよ。


JOHN WEST - Long Time...No Sing ★★★ (2022-11-10 06:30:54)

ARTENSIONやROYAL HUNT等での活動で知られるシンガー、ジョン・ウェストが'11年に発表したソロ・アルバム。シンガーとしての実力は知っていてもソロ・キャリアまでは追いかけていなかったので、すでに3枚(本作が4枚目)もソロ・アルバムをリリース済みとは結構驚きました。
なので過去作と比較してどうこう語ることは出来ないのですが、ここで披露されているのは重厚なHMナンバーに、哀愁のメロハー、タメを効かせてじっくりと盛り上がるブルージーなバラード等々バラエティに富むサウンドであり、下手すれば取っ散らかった仕上がりになりそうなところを、広いレンジと確かな表現力を誇るジョンのVoがビシッと一本筋を通して引き締めるという塩梅。ガンの後遺症で歌唱力の衰えが指摘されていた時期もありましたけど、本作を聴けばそれが完全に杞憂に終わったことをご納得頂けるのではないかと。
HMナンバー②における「らしさ」全開のパワフルな歌いっぷり、逆にキャッチーな哀メロが踊る③や、ピアノを生かした⑨、ハートウォーミングな⑪といったバラード系の楽曲で披露する肩の力を抜いた歌唱も味わい深く、中でも個人的に強く一押ししておきたいのが“HIGHWAY TO ROPPONGI”なるタイトルが冠された⑤。珍曲好きとしては本作購入動機の大半がこの曲の存在にあったといっても過言ではなくらいなのですが、ブルージーな曲調にジョンのエモーショナルな熱唱が映える楽曲自体非常に胸に沁みる出来栄えで、決して単なる珍名のネタ曲には終わっていない点も評価ポイントです。
これ以前のソロ作もチェックしてみたくなる一作でありました。


JOHN WEST - Long Time...No Sing - Highway To Roppongi ★★★ (2022-11-11 01:27:34)

タメと情感を効かせてブルージーに盛り上がる
スロー・ナンバー。この手の楽曲を歌うジョン・ウェストの
Voもまた魅力的ですし、その感情移入ぶりに
「六本木で一体何が?」と思わずにはいられませんよ。


JOHN WEST - Long Time...No Sing - Set Me Free ★★★ (2022-11-11 01:23:19)

哀愁のメロディと抒情的なKeyを纏って
軽快に跳ねるハードポップ・ナンバー。
この手のタイプの楽曲を
押しつけがましくなることなく、
リラックスして伸びやかに歌い上げる
ジョン・ウェストのVoが非常に魅力的です。


JOHNNY LIMA - Shine On ★★★ (2018-03-11 23:52:41)

グランジ/オルタナ旋風が世界的に猛威を振るった90年代にあって、MTM RECORDSやESCAPE MUSICと並んでメロディ愛好家から心のオアシスとして篤い信頼を得ていたイギリスのNOW & THEN RECORDS。そのバックアップを受け、’97年に1st『JOHNNY LIMA』でデビューを飾った、VoとGのみならずKeyやDsもこなす西海岸出身のアメリカ人マルチ・ミュージシャン、ジョニー・リマが'99年に発表した2ndアルバム。(日本盤はNIPPON CROWNからリリース)
所属レーベルの伝手でTENのゲイリー・ヒューズが本作のミックスダウンを担当していますが、サウンドの方に英国的湿り気は薄め。ここで聴かれるのは80年代の空気を胸いっぱいに吸い込んだような大陸型ポップ・メタルであり、取り分け、カラッとした躍動感溢れる曲調に、煌めくKeyと、哀愁をひとつまみ振りかけたキャッチーなメロディが彩りを加える楽曲や、ラフなエッジを宿した声質がジョン・ボン・ジョヴィ風のジョニーの歌唱等からは、BON JOVIに対する絶大な憧れっぷりが伺えます。
特に哀愁を帯びたメロディが駆け抜けて行く②は初期BON JOVIテイスト溢れる本編屈指の名曲。その他にも、ドラマティックに盛り上がるバラード④、甘くポップな⑨、Voに負けじとGも実によく歌っている⑩等、本編には80年代の息吹を次の世紀へ伝えんとする楽曲が勢揃い。(ちなみにフックの効いたメロディが美味な③と、ライブ映えしそうな⑥でリードGを弾いているのはクレイグ・タケシタなる日系人?ギタリストという)
80年代ポップ・メタルに親しむ向きには、強力にお薦めする1枚であります。


JOHNNY LIMA - Shine On - My Country 'Tis of Thee ★★★ (2018-03-11 23:59:45)

キラキラなシンセと乾いた哀愁、それに分厚いハーモニーに
くるまれたサビメロのフックの効き具合が全く以てお見事な、
2ndアルバムのハイライト・ナンバー候補でもある
メロディアスHRなんばー。


JOHNNY LIMA - Shine On - Star ★★★ (2018-03-12 00:03:38)

イントロだけで出来栄えの良さが確信できる、
ドラマティックな盛り上がりっぷりに
胸打たれるロッカ・バラードの名曲。
一緒に歌わずにはいられないキャッチーなコーラスは、
80年代だったら会場中でライターの火が一斉に揺れていたはず。


JON LORD (2013-01-19 00:53:31)

いつの間にか『BEFORE I FORGET』の
国内盤が再発されていて驚いた。
しかも最新リマスター、ボーナストラック、歌詞、対訳、
ニール・マーレイによる解説付きで、
値段はたった¥1500ぽっきりですよ、お客さん。


JON LORD - Before I Forget ★★★ (2012-07-17 22:01:47)

WHITESNAKE在籍時代のジョン・ロードが多数のゲストを迎えて制作、'82年に発表した・・・確か3枚目ぐらい?のソロ・アルバム。(邦題は『時の過ぎゆくままに』)
嘗て、コージー・パウエル関連作品を片っ端から買い集めてた時に行き当たったアルバムなのですが、コージー参加曲は②のみに留まり、作品自体、HMはおろかHRとすらかなりの距離を感じさせる内容。
にも関わらず、これまで「買って損した」等とは一度として思った事がないのは、そのコージー参加の②が、余りに特徴的で破壊力抜群な彼のドラミングと、ジョン・ロードの華麗なKeyが激しく火花を散らすハード・ロッキンな名曲であること、それに何より、全編を豊潤に彩る叙情メロディの抗い難い魅力ゆえでしょうか。
特に、美しい女性コーラスが楽曲の持つ幻想性を一層増幅するアルバム表題曲⑤、泣きのG(ミック・ラルフスの名演!)と、ヴィッキー・ブラウンのソウルフルな歌声にどっぷりと酔いしれる⑥、エルマー・ガントリーの酒焼けした激渋の歌声と、ジョン・ロードの流麗にしてロマンティックな鍵盤捌きが例えようのない感動を呼ぶ名曲⑧といったバラード系ナンバー、そして本作のトドメたる(“BACH ONTO THIS"のタイトル通り)クラシカルでプログレッシブな曲展開に、攻撃的なジョン・ロードのKey、バーニー・マースデンのG、サイモン・フィリプッス&二ール・マーレイによるハードなリズム・セクションがスリリングに絡み合い、8分以上に及ぶ長尺を全くダレる事なく一気に聴かせ切る④といった楽曲の威力には凄まじいもの有り。
Key奏者としてのみならず、コンポーザーとしてのジョン・ロードの豊かな才能が全編に渡って発揮された名盤です。
ジョン・ロードの訃報に触れ、久し振りに引っ張り出してしみじみと聴き直すことにします。


JON LORD - Before I Forget - Bach Onto This ★★★ (2009-08-29 21:13:26)

バッハの“トッカータとフーガ"の旋律で幕を開ける、
8分に及ぶクラシカル&プログレッシブなインストの大作ナンバー。
全編を華麗に彩る、攻めの姿勢を持ったジョン・ロードの
Keyプレイがたまらなくカッコイイ。


JON LORD - Before I Forget - Before I Forget ★★★ (2009-08-29 21:01:00)

リッチー・ブラックモアがRAINBOWで演りそうな
美しく幻想的な雰囲気を漂わせたハーフ・インスト・ナンバー。
サビ部分を彩る、PINK FLOYD等との仕事で知られる
サム&ヴィッキー母娘の可憐なコーラス・ハーモニーが印象的。


JON LORD - Before I Forget - Say It's All Right ★★★ (2009-08-29 21:03:53)

ヴィッキー・ブラウンのエモーショナルな歌声に
どっぷりと酔いしれる、ソウルフルなバラード。
BAD COMPANYから客演している、ミック・ラルフス入魂の
泣きのGソロも涙腺を刺激してくれます。


JON LORD - Before I Forget - Tender Babes ★★★ (2009-08-29 21:17:54)

静謐なイントロを豪快にブチ破る、コージー・パウエルの
破壊的なドラミングに総毛立つ。(あと余りに特徴的過ぎてちょっと笑う)
イントロに限らず、終始ジョン・ロードのKeyとコージーのDsが
火花を散らしまくるスリリングなインストの名曲。


JON LORD - Before I Forget - Where Are You ★★★ (2009-08-29 21:10:52)

個人的にはアルバムで最も好きなナンバー。
アルコール焼けしたちょいしゃがれ気味の
エルマー・ガントリーの渋い歌声に絡む、
ジョン・ロードの流麗で包み込むような優しさに満ちた
Keyの調べを聴いてるだけでもう泣けてくる絶品のバラード。
星三つじゃ足りません。


JONO (2018-03-07 00:38:47)

スタジオ・ワークを中心にアレンジャー/マルチ・プレイヤーとして活動していた、スウェーデン人ミュージシャンのヨハン・ノービー(Vo)により立ち上げられたバンド。当初は自身の演りたい音楽を追求するソロ・アルバム制作(’06年にリリース)のためにメンバーを集めただけだったが、確かな手応えを得たことから正式にバンド化。'13年に1st『REQUIEM』を、'15年に2nd『SILENCE』を地元のインディー・レーベルから発表。
その2作が好評を博したことからイタリアのFRONTIER RECORDSと契約を交わし、’17年発表の3rd『LIFE』で晴れて日本デビューを飾った。


JONO - Life ★★★ (2018-03-07 00:41:03)

ヨハン・ノービー(Vo)率いるスウェーデンの6人組が、'17年に発表した3rdアルバムにして日本デビュー作。邦題は『ライフ~華麗なる生涯』(別にコンセプト作ではない模様)。
雑誌等での高評価に興味を引かれて「どれほどのもんか」と購入してみれば、なるほど、こいつは確かにエクセレントな出来栄えですよ。ツインGにKey奏者を擁する大所帯編成を活かして奏でられるのは、重厚にしてスケールの大きなメロディアスHRサウンド。初期QUEENからの多大なる影響を伺わせるオペラティックな曲展開に、芝居掛かった熱唱を披露するヨハンのVo、気品漂わすピアノの美旋律、そして北欧メタルならではの…もっと言うとミカエル・アーランドソンに通じる悲哀に満ちたメロディが冷ややかな彩りを添える楽曲は、こっちの泣きのツボを知り尽くし的確に押してくるかのような、《押せば命の泉湧く》浪越徳治郎ばりのゴッドハンドぶり。
全編これ捨て曲なしですが、特に舞踏のリズムに乗っかって哀メロが踊る①、ブリッジから終盤にかけての劇的な曲展開が辛抱堪らん②、タメと泣きを効かせて劇的に盛り上がる③という、聴き手を一気に作品世界に没入させてしまう頭3曲は、それだけでアルバムのクオリティを確信するに十分。更に荘厳にしてシアトリカルな⑤を経て、トドメの一撃を加えるべくラストで待ち構えているのがバラード⑩で、どこかVIPERの“MOONLIGHT”を彷彿とさせる、この余りに儚く、余りに哀しい名曲によって静かな余韻を残し本編の幕が下りた途端、思わず「ブラヴォー!」と立ち上がって拍手喝采を贈りたくなってしまったという。そう考えると、本作には別にボートラはいらなかったような…。


JONO - Life - Crown ★★★ (2018-03-07 23:43:52)

モダンなアレンジを取り入れつつ、導入部からサビへ向かって
徐々に視界が開けていくような絶妙なメロディ展開に胸がザワつきます。
その盛り上がりが頂点に達するブリッジ・パートなんて
「たまんねぇな、オイ!」と膝を打ってしまいましたよ。


JONO - Life - No Return ★★★ (2018-03-07 23:38:21)

ポロポロと奏でられるピアノが効果的に
フィーチュアされているのと、タメを効かせて
ドラマティックに盛り上がっていく曲展開せいか、
この曲に関しては「北欧メタル風味の泣きと哀愁が大増量されたSAVATAGE」
との趣きを感じたり。つまり最高ってことですかね。


JONO - Life - The March ★★★ (2018-03-07 23:32:55)

アルバムのラストを哀しく、儚い余韻を残して締め括る
泣きの名バラード。囁くように、感情を振り絞るように
歌うヨハン・ノービーの絶品のVoが楽曲が持つ悲哀を
より一層引き立ててくれています。ピアノの美旋律が
VIPERの名曲“MOONLIGHT”のことを思い出させたりも。


JORN - Starfire ★★★ (2021-12-09 01:07:57)

THE SNAKESに関わった90年代末ぐらいからか。日本のHR/HMファンの間でも「どうもノルウェー出身の凄いシンガーがいるらしい」と徐々に噂になりつつあったタイミングで、ヨルン・ランデ(Vo)がリリースした初めてのソロ・アルバム(’00年)。その門出を祝うべく、ロニー・ル・テクロ、トゥーレ・オストビー、ラルフ・サントーラ&シェーン・フレンチ等々、ヨルンがフロントマンを務めたVAGABOND、THE ARK、MILLENIUMといったバンドの面々がゲスト参戦して華を添えてくれています。
ソロ・アルバムといっても、書下ろしの新曲5曲、カヴァー5曲の全10曲からなる内容は若干変則的。ソロ・シンガーとしての表現欲求に突き動かされて作り上げたというよりは、「自分、こんな色々なタイプの楽曲が歌いこなせます!今後ともヨロシク!」ってな、HR/HMシーンに向けたプレゼン的な性格が強めに感じられる仕上がりです。
とはいえ、それが悪いなんてことは全然なく。譜面に正確なだけでは決して歌いこなせない、難易度高めの哀愁のOPナンバー①を情感豊かに歌い上げてみせる導入だけで早くもその実力派シンガーぶりを知らしめてくれる本作は、ソロ・アルバムとしてのクオリティも十分。またCITY BOYの“THE DAY THE EARTH CAUGHT FIRE”や、JOURNEYの“EDGE OF THE BLADE”、FOREIGNERの“BREAK IT UP”、JEFFEERSON STARSHIPの“JUST THE SAME”といった敢えて隠れた名曲を取り上げるセンスにもキラリと光るものがありますよ。
数あるヨルン・ランデのソロ作の中でも、上位に来る完成度を有す1枚ではないでしょうか。


JORN - Starfire - Starfire ★★★ (2021-12-10 00:53:49)

ミドル・テンポで、OPナンバーらしい派手さには欠けるのですが
だからこそ「ハイトーン出せます」程度では絶対に歌いこなせない、
シンガーに高い技量が求められる楽曲であり、これを冒頭に持ってくる辺り、
ヨルンの自らの歌声に対する自信の程が伺えますよ。


JOSHUA - Intense Defense ★★★ (2023-10-06 00:02:20)

名バラード“NOVEMBER IS GOING AWAY”でメロディ愛好家達から涙をカツアゲしたジョシュア・ペラヒア(G)率いるJOSHUAが、80年代半ばに知己を得たドン・ドッケン&ディーター・ダークスの勧めを受け、LAからドイツへと渡ってレコーディングを行い89年に発表した3rdアルバム。(本作のみ国内盤が「ヨシュア」表記に)
ドイツに拠点を移したからといって今更パワーメタル化する筈もなく。本作で披露されているのは前2作の流れを汲む、煌びやかなKeyと分厚いハーモニーに彩られたメロディアスHR。ジョシュアも得意のアーミングを有用した、キラキラと鱗粉をまき散らすようなGプレイをもってアルバム全編を生き生きと躍動。ロブ・ロック(Vo)という強力な相棒を得たことで、そのサウンドはより一層ブラッシュアップされた印象で、特に爽やか&キャッチーな②、歯切れ良く弾む曲調と哀愁のメロディのコントラストが秀逸な⑤、ドラマティックに繰り出されるバラード⑥、ロブの伸びやかなVoとジョシュアの歌うG、両者の個性が最良の結びつきを果たした⑧辺りは、曲調はポップながらメロディからは切なさが滲み出てくるという、JOSHUAの魅力がギュッと凝縮された名曲に仕上がっているんじゃないかと。個人的には本作を聴いていると、親しみ易い音楽性といい、ロブ・ロック+テクニカルなギタリストの組み合わせといい、LAのクリスチャン・メタル・バンドANGELICAのことを思い出しましたよ。(楽曲のクオリティではJOSHUAの方に軍配が上がりますかね)。
今となってはどれも入手困難なJOSHUAの国内盤カタログですが、本作はその中でも更に見かけない1枚なので、是非とも再発をばお願いしたいところであります。


JOSHUA - Intense Defense - I've Been Waiting ★★★ (2023-10-09 01:09:02)

ロブ・ロックの伸びやかな歌唱と、ジョシュア・ペラヒアの
テクニカルに煌めくGプレイを生かしたハードポップ・チューン。
特にキャッチーでありつつ、ふとした拍子に哀愁も薫る
メロディ展開の妙にジョシュアの非凡な才能が伺えます。


JOSHUA - Surrender ★★★ (2012-09-19 22:32:35)

ソロ・パートにおいて垣間見えるどこかエキゾチックなメロディ・センスと、強引な速弾きとを武器にするジョシュア・ペラヒアのGプレイ、そして泣きの名曲“NOVEMBER IS GOING AWAY”の存在で日本のHR/HMファンのハートを鷲掴みにしたJOSHUAが、メンバーを総とっかえして'85年に発表した2ndアルバム。
日本での高評価が耳に入ったのかどうか、よりギター・オリエンテッドで日本人好みの叙情HRサウンドへと軌道修正が図られている本作。それでも「速弾きギタリストを擁するバンドの作品」と聞いて想像される音楽性とは、かなり隔たりのある作風であることに変わりはないのですが、前作において目立ちまくっていたKey奏者やベーシストが脱退、新たに加わったメンバーが脇役に徹してジョシュア・ペラヒアの存在を盛り立てる演奏に終始しているため、内容(とバンドとして)のまとまりの良さに関しては前作を大きく上回る印象です。
前任者以上の歌唱能力を誇るニュー・シンガー(ソングライターとしても貢献)の加入効果も大きく、特に、パワフルにも伸びやかにも歌える彼のVoが映える頭3曲は出色の出来栄え。
散々指摘されている通り“NOVEMBER~”級の名曲は見当たりませんが、収録楽曲の充実っぷりは半端なく、「JOSHUAって“NOVEMBER~”のみの一発屋じゃねえの?」と思っておられる人には是非ご一聴をお薦めしたい捨て曲なしの名盤。


JOSHUA - The Hand Is Quicker Than the Eye ★★ (2008-07-27 18:14:00)

LA出身の速弾きギタリスト、ジョシュア・ペラヒア率いるJOSHUAが、'82年に発表した1stアルバム(邦題は『旋風』)。
速弾きギタリストの作品と言っても、イングヴェイのようなネオ・クラシカル路線とも、シュプネラル系のHM路線とも
異なり、その作風は、甘く爽やかなメロディを大々的にフィーチュアした、キャッチーなハード・ポップ路線。
切ないメロディを歌うVoと、心の琴線を揺さぶる繊細なGプレイが、猛烈な哀愁を発散する泣きの名バラード
“NOVEMBER IS GOING AWAY"を収録し、メロディ愛好派のリスナーを虜にした事で知られる本作なれど、
実は、そうしたノリの楽曲はどちらかと言えば少数派ゆえ、メロメロに泣きまくる作風を期待すると、肩透かしを
食う事になりかねないので注意が必要かも。“SHE'S GONE"という珠玉の名バラードを収録しつつも、作品自体は
アメリカン・ロックロール路線をとっていた、STEELHEARTの1stアルバム辺りを想像してもらうと分かり易いか?
とは言え、収録曲の質は間違いなく高く、特に、強力なフックを備えた、繊細なメロディの魅力はかなりのもの。
名バラード“NOVEMBER~"や、儚く物悲しげな⑥は元より、楽曲に、華やかさや、STYX、BOSTON的なプログレ・ハード風味を
付与するKeyの良い仕事っぷりが光る、仄かな叙情味を漂わせた①④⑤といったポップ・メタル・チューンの心地良さは格別。
ジャケット・デザインはかなり悲惨だが(苦笑)、優れたメロディと、良い曲が沢山詰まった秀作アルバム。


JOSHUA - The Hand Is Quicker Than the Eye - November Is Going Away ★★★ (2008-07-27 18:23:52)

少々頼りないが、甘い声質で感傷的なメロディを歌うVo、
繊細且つ表情豊かな演奏で聴く者の胸を締め付けるG、
楽曲の華やかさ/可憐さを増幅するKeyの素晴しい仕事っぷりが
キラリと輝く、JOSHUAが誇る泣きの名バラード。


JOURNEY - Arrival ★★★ (2010-12-12 02:32:42)

バンドを去ったペリー&スミスのWスティーヴの後任として、TYKETTO~TALL STORIESのスティーヴ・オウジェリーと、名手ディーン・カストロノヴォを加入させ体勢を立て直したJOURNEYが、'00年に発表した11thアルバム。
レコード会社が11曲収録を提案したのに対し、メンバーは13曲収録を主張。結局バンド側の意見が通り、日本盤はボーナストラックを含めて全14曲を収録、ランニング・タイムは70分弱とボリューミーな内容と相成った本作だが、実際に聴いてみるとこれが不思議と中弛みを余り感じない。ゆったりとしたテンポの楽曲を中心に固められた作風は前作同様ながら、にも関わらずダレた印象がそれほどでもないのは、若々しいオウジェリーの歌声が、本編に溌剌とした空気を運んでくれているからか?
開巻早々に勝負あった!となる①②③の強力な畳み掛け、アダルトでメランコリーなバラード⑤や、二ールのGがガッツリと咽び泣く⑥、いかにも大陸的な雄大な曲調が心地良い⑨、ディーンのタイト&キャッチーなドラミングが映えるラスト・ナンバー⑬といった楽曲における、若き日のスティーヴ・ペリーを彷彿とさせる(まぁ、あそこまで神懸かった声の伸びはないけどね)ソウルフルな歌いっぷりを聴けば、彼がペリーに匹敵する実力者であることが良く分かる。
その他にも、リードVoから、ガラス細工のように繊細で美しいKeyプレイまでジョナサン・ケインが主役を張る憂いを帯びた⑪等、JOURNEYらしい名曲を各所に配置。新生JOURNEYの21世紀への船出を飾るに相応しい、見事なクオリティを備えた作品に仕上がっている1枚かと。
・・・でもやっぱり、曲数はもうちょい絞った方が良かったよな。


JOURNEY - Departure ★★ (2010-11-28 18:26:52)

爽快/ポップ/キャッチーと三拍子揃った「これぞJOURNEY!」な超名曲①“お気に召すまま”で幕が開く、俗に言う「JOURNEY出世三部作」の最終章にして、その集大成的内容を誇る'80年発表の6thアルバム。
スティーヴ・スミスがノリ良く叩き出す軽快なリズムに、ヨーロピアンHR調の暗さや重さが払拭され一気に垢抜けたメロディ、そしてケヴィン・エルソンが手掛けた乾いた質感のサウンド・プロダクション等、ポップさ、キャッチーさ、それに都会的な洗練の度合いを大幅に増した本作は、例えば、本編後半に配置された3部構成からなる組曲⑨~⑪の流れにしても、大仰さやプログレ色は皆無で、さらりと聴き通すことが出来るというコマーシャル仕様。よく言われるように「大多数のHR/HMファンが、JOURNEYと聞いて想起する音楽スタイルは本作をもって確立された」・・・というのは正にその通りだと思う。
正直なところ、名曲①のインパクトが突出しているせいで、後続の楽曲の印象が思いっきり吹き飛ばされている感が無きにしも非ずなこのアルバムだが、じっくりと聴き直してみれば、ポップでスペーシーな③、これを最後にバンドを去るグレッグ・ローリーが、置き土産的に素晴しいブルースハープ・プレイを聴かせてくれる爽やかな⑤、咽び泣くGとKeyがグッと胸に迫るブルージーな⑦など、名曲/佳曲の存在は随所で確認することが出来る。
前作『EVOLUTION』の煮詰まり感を鮮やかに吹き飛ばし、80年代、引いてはJOURNEY黄金時代の幕開けを告げた名盤。


JOURNEY - Eclipse ★★★ (2011-07-02 10:38:30)

アーネル・ピネダ(Vo)参加2作目となる'11年発表の14thアルバム。
日本盤にはボーナス・トラックとして名曲“DON'T STOP BELIEVIN'”のライブ・バージョンが収められているのだが、これ聴いて観衆のあまりの熱狂っぶりビックリ。どうやら同曲がドラマ主題歌に採用されリバイバル・ヒットとなった事に起因しているらしいのですが、改めてJOURNEYがそこらの懐メロ・バンドとは一線を画す存在であることを実感した次第。
また、こうしたファン層の若返りはバンド側にも相当の自信をもたらしたようで、それがアルバムのクオリティにもしっかりと反映されるという好循環。ニール・ショーン(G)がインタビューで「前作よりハードな作品にしたかった」とか答えてるのを読んだ時は嫌な予感もしましたが、実際に聴いてみれば、清涼で爽快で壮大な哀メロの海に頭から爪先までどっぷりと浸れる、どこ切っても100%JOURNEY!なメロハー・サウンドが展開されており、そのクオリティは傑作だった前作『REVELATION』にも匹敵。
張り/艶/伸び、いずれを取っても申し分ないアーネルの極上の歌声と、激しくも繊細に歌うニールのエモーショナルなGプレイを心行くまで堪能できる本編前半(①~⑥)なんぞ、今年のベスト・チューン候補がゴロゴロ転がっていて、思わず忘我の境地へと誘われる程の心地良さ。
70分オーバーの長尺にも関わらず中弛みを全く感じさせないと言う、JOURNEY先輩、まじパねぇっス!な1枚。


JOURNEY - Eclipse - Chain Of Love ★★★ (2011-07-03 00:55:40)

零れ落ちるように奏でられるジョナサン・ケインの
Keyの上に、アーネル・ピネダの明度の高い歌唱が乗る、
澄んだ哀愁を湛えたイントロだけで掴みはOK。
重厚なディーン・カストロノヴォのドラミングをフィーチュアして
力強く、壮大に盛り上がっていく以降の展開も素晴しい。


JOURNEY - Eclipse - Edge Of The Moment ★★★ (2011-07-03 01:04:30)

ある意味、バンドの2ndボーカリストと言っても
過言ではない、印象的且つエモーショナルに歌う
ニール・ショーンのGが存在感を発揮した名曲。


JOURNEY - Eclipse - Resonate ★★★ (2011-07-03 01:01:21)

個人的にはアルバム『ECLIPSE』のハイライトを飾る
悲哀のドラマに満ちたHRナンバー。
アーネル・ピネダが情感豊かに歌い上げる、
あまりに物悲しいサビメロが涙腺に沁みて困ります。


JOURNEY - Escape ★★★ (2010-12-02 21:42:56)

'81年にリリースされ、JOURNEYに初めて全米チャート№1の栄冠をもたらした、ファンからも次作『FRONTIERS』と並び「バンドの最高傑作」と評価の高い7thアルバム。個人的に、AOR/産業ロックと聴くと本作のサウンドのことが真っ先に頭に思い浮かびますね。
Key奏者としてのみならず、ソングライターとしても類稀なる才能を誇るジョナサン・ケインが新メンバーとして加わった事で、前作『DEPATURE』にて確立されたJOURNEYならではの音楽性に一層の磨きが掛かり、よりポップに、よりキャッチーに、よりメロディアスに聴き易さを増した本作は、例えば軽快なロックンロール路線の楽曲にしても泥臭さは皆無で、徹底してお洒落で洗練された都会的な雰囲気が漂う。これはやはり、脇に回ってアレンジの一部としての機能を優先する(前任のグレッグ・ローリーとは資質の異なる)ジョナサンのKeyワークと、その彼が紡ぎ出す透明感を湛えた瑞々しいメロディの効果ゆえ。
日本では、TVや映画等で度々取り上げられるバラード⑩“OPEN ARMS”が有名だが、このアルバムの凄味は、ポジティブな躍動感溢れる①や、二ール・ショーンのGがエモーショナルに歌う③、泣きたくなる程切なくソウルフルな⑤、そして本編のハイライトを飾るプログレ・ハード・バンドとしての面影を残したドラマティック極まりない⑨等、“OPEN~”以上の魅力を放つ楽曲がごろごろと収録されている点。無論、捨て曲なんてない。
JOURNEYのみならず、AOR/産業ロック・シーンを代表する名盤中の名盤。極論が許されるならば、これ聴いて気に入らなかったら、JOURNEYはおろかAOR/産業ロック自体聴く必要はない・・・なんて。


JOURNEY - Freedom ★★★ (2023-01-13 01:08:33)

JOURNEYが11年ぶりに発表した待望のニュー・アルバム。…なんですけども、全16曲収録(日本盤のみのボートラ含む)、ランニング・タイム70分オーバーという、ウチの近所の国道を行きかってる土建屋トラックも顔負けの過積載っぷりにいきなりテンション・ダウン。こっちとしては8曲入り程度のボリュームで構わないので、5年に1枚ぐらいのペースでアルバムをリリースしてくれた方が嬉しいんだけどなぁと。
尤も、今回はコロナ禍に加えて、ロス・ヴァロリー&スティーヴ・スミスの解雇というバンド内部のゴタゴタが重なってしまった止む得ない事情があったことは重々承知しておりますし、何より、ニールの伸びやかなG、叙情性と透明感を増幅するジョナサン・ケインのKey、それに上手いVoとに彩られた優れた楽曲を揃えて、聴き手に「待った甲斐はあった」と思わせるクオリティの作品をちゃんと提供してくれる辺りは流石JOURNEYですよ。
収録曲数の多さに加えて、中盤に並ぶハード・ナンバーにフックが乏しい、その手の楽曲だとアーネル・ピネダのVoが馬力不足(プロダクションもリバーブ掛け過ぎじゃない?)等、通して聴くとどうにも印象がボヤけてしまう弱点は指摘しておきたいところではありますが、とはいえ、イントロが“SEPARATE WAYS”を彷彿とさせる②、躍動感溢れる③、JOURNEY印の感動的なバラード④、美しくメロウな⑧、新たなアンセムになり得る魅力を秘めたキャッチーな⑫、本編を壮大に締め括る⑮etc.と、こちらがJOURNEYに期待する水準をきっちりクリアしてくれていることも間違いない1枚。王者の帰還を祝して、また次作はもっと短いスパンでのリリースへの期待込みで★3つ進呈させて頂きます。


JOURNEY - Frontiers ★★★ (2010-12-03 22:59:06)

HR/HMに興味がなくとも一度は耳にした事があるであろう、印象的なイントロで幕が開く“SEPARATE WAYS”と、美しく温もりに満ちたバラード“FAITHFULLY”というJOURNEY史上屈指の名曲2篇を収録。マイケル・ジャクソンの『THRILLER』に阻まれ全米チャート№1の座こそ獲得ならなかったものの、全世界で1000万枚以上の高セールスを記録し、多くのファンから「バンドの代表作」と太鼓判を押される'83年発表の8thアルバム。
雄弁且つメロディアスに歌う表情豊かなG、ノーブルな美声を活かしてソウルフルに歌い上げるVo、透明感溢れる音色で楽曲をスペーシーに彩るKey、センスの良さを感じさせるフレーズを随所で閃かせるB、そしてタイト&キャッチーなDsとが一体となって生み出される、JOURNEYならではの都会的な洗練を施されたメロハー・サウンドは益々円熟味を増し、既に王者としての余裕と貫禄が漂う。
名作『ESCAPE』に比べると楽曲が玉石混合というか、曲によってはハードロッキンなリズム面が強調された分、メロディのフックが弱まってしまっているのが惜しまれるが、とは言え、切ない哀メロが五臓六腑に染み渡る②や、勇ましく弾む曲調が心地良い⑥、リズミカルなグルーヴが癖になる⑨辺りを筆頭に、「流石JOURNEYさんやでぇ」と唸らされる名曲・佳曲は引きを切らない。
別項で述べられているように、まさに「夜の首都高ドライブのお供にピッタリ」な、アーバンでロマンティックな魅力を湛えた1枚。『ESCAPE』と併せて持っていたいAOR/産業ロックの名盤ですね。


JOURNEY - Generations ★★ (2010-12-18 00:17:53)

バラードばかり要求される状況にうんざりしたJOURNEY――というか二ール・ショーン(G)――が、敢えてHRテイストを強調して作り上げたという(飽くまで「彼らにしては」だけど)、'05年発表の12thアルバム。
但し、些か力み過ぎたのかその手の楽曲はややメロディが弱く、また、力んで歌っても常に透明感を失わない非常にAOR/産業ロック向きの声質を備えている反面、ハードな楽曲を歌うには馬力不足なスティーヴ・オウジェリーというシンガーの資質もあり、本作に対するファースト・インプレッションは余り芳しいものではなかった。
バンド側もそれは承知で、アップテンポの楽曲は二ールやロス・ヴァロリー(B)、ディーン・カストロノヴォ(Ds)にリードVoパートを割り振っているのだが、今度はそれが本編の統一感を欠き、やや散漫さを感じさせる要因に繋がってしまっているのだから、ままならぬというか何と言うか・・・。
尤も、アルバムへの期待感を高めるというOPナンバーとしての役割を120%果たしている①や、戦場で戦うアメリカ兵たちに捧げられた⑧、躍動感溢れるラスト・ナンバー⑭のような上手くハマッた名曲もあるし、何より②④⑤⑦といった、従来の魅力を素直に披露するメロディアスな楽曲の数々は、やはりこのバンドにしか作り出し得ぬ逸曲揃い。
あーだこーだ言っても、結局は「凡百のバンドが逆立ちしたって敵わないハイクオリティな作品」との評価に落ち着くのであった。但し、今回も曲数は無駄に多いが。


JOURNEY - Infinity ★★★ (2010-11-26 23:20:40)

アメリカン・ロック・シーン指折りの実力派シンガー、スティーヴ・ペリーが遂に加入。これまでのインスト・パート重視のプログレ路線から、ペリーの類稀なる歌声をサウンドの中心に据えた、ポップでコマーシャルなメロディアスHR路線へと方向転換が図られた、'78年発表の4thアルバム。
所謂「JOURNEYサウンド」の基礎が形作られ、全米だけで300万枚以上の売り上げを記録、その後の大躍進の先駆けともなった本作は、実際、儚くも美しい感動的な名バラード⑤を筆頭に、「これぞJOURNEY!」と唸らされる楽曲の数々を収録しているわけだが、その一方で、ヨーロピアン風味の暗さと叙情性を湛えたメロディに、名手エインズレー・ダンバーの重厚なドラミングの存在もあって、作品全体としては、未だ産業ロック的な色合いはさほど感じられなかったりもする。
但し、重たいショットで楽曲の輪郭線を太く縁取るDsに乗って、フォーク/トラッド風味の哀愁のメロディが踊るヒット・ナンバー⑥はこのアルバムでしか聴く事の出来ないタイプの名曲だし、極めつけは、初期プログレ路線の残り香も感じられるアルバムのハイライト・ソング⑧。零れ落ちるように奏でられるKeyの物悲しい旋律、メロディアスに歌う二ール・ショーンのG、そしてスティーヴ・ペリーの伸びやかでソウルフルな歌声が堪らなく胸に沁みる、涙なくしては聴けない珠玉の逸品。(対照的な曲調の前曲⑦から、ブランクなしで繋がっていく展開もドラマティックで素晴しい)
過渡期のJOURNEYならではの魅力が詰まった1枚じゃなかろうかな、と。


JOURNEY - Raised on Radio ★★ (2010-12-08 23:23:10)

サクセスの代償としてメンバー間のパワー・バランスが崩れ自壊への道を転げ落ちていくのは、古今東西、有名バンドが一度は通る道なわけだが、無論JOURNEYもその例外ではなく、『ESCAPE』『FRONTIERS』のメガヒットと引き替えにラインナップが崩壊。ロス・ヴァロリー(B)とスティーヴ・スミス(Ds)が去り、あとに残った二ール・ショーン(G)、スティーヴ・ペリー(Vo)、ジョナサン・ケイン(Key)がセッション・ミュージシャンを雇って制作、'86年にリリースされた9thアルバム。(一部楽曲にはスティーヴ・スミスも参加しているのだとか)
JOURNEYの殆どの楽曲は、元々ショーン/ペリー/ケインの3人によって書かれているので、理屈からすればリズム隊が脱退したからと言って音楽性に大きな変化はない筈なのだが、いやにファンキーに跳ねるBといい、淡々とリズムをキープするこじんまりとしたDsといい、ポップさが強調されスケール感やドラマ性を減じた楽曲といい、実際に出来上がった作品は、これまでの作風とは明らかに趣きを異する。
JOURNEYの名の下に発表されているだけあって、躍動感を伴って快活に駆け抜けていく③、透明度の高い哀メロで泣かせに掛かる名バラード⑩etc・・・と、優れた楽曲を数多く収録するなど質の高さは保証書付きだし、メロディのフックも相変わらず強力無比。「好きか嫌いか客観的に評価せよ」と問われれば、胸張って「大好きだ!」と即答できる作品ではあるのだが、じゃあJOURNEYのアルバムとしてはどうなのよ?と聞かれると・・・正直、そのケミストリーの薄さゆえ、存在感に乏しい1枚である事は否定しきれないのであった。


JOURNEY - Revelation ★★★ (2010-12-19 01:12:51)

STYX、KANSAS、BOSTON・・・と、嘗ての同期バンドが軒並みセミ・リタイア状態に甘んじている中、唯一、定期的に新作をリリースし、尚且つそれらの作品が確かなクオリティと一定以上の商業的成功を収めているという、現役感バリバリの活動を続け気を吐くJOURNEY、'08年発表の13thアルバム。(本作も全米チャート初登場第5位にランクイン)
今回より、四代目フロントマンとしてフィリピン出身の新人アーネル・ピネダが加入。しかもこれが頭に「超」を付けたくなる程の逸材で、若き日のスティーヴ・ペリーを思わせる伸びやかなハイトーンと、スティーヴ・オウジェリーばりの張りと艶を併せ持った歌唱がメチャ強力。のみならず、その歌声は歴代シンガーの誰よりもHR向きの「熱さ」を宿しているという隙のなさ。
この若き逸材獲得に触発されたのか、アルバム自体もメロウな味わいの『TRYAL BY FIRE』『ARRIVAL』と、ハードさが強調された前作『GENERATIONS』の美点を併せ持った、再結成以後に発表された作品群の総決算的内容に仕上がっており、爽快なOPナンバー①に始まり、バンド名を冠した壮大なインスト・ナンバー⑪にて幕を下ろす本編に無駄な楽曲は一つも見当たらない。特にバラード⑥なんて「'08年度最高の1曲」に選出したいほど完膚なきまでに感動的な名曲ですよ。
あと個人的に評価したいのが、収録時間を50分台に収めてくれた点。前3作が中盤でダレを感じさせたのは、曲の問題っつーよりも明らかに詰め込み過ぎが原因だったからなー。
前作のセールス不振やメンバー・チェンジ等で漂っていた低迷感を見事に吹き飛ばした、再結成JOURNEYの最高傑作。入門編としてもどうぞ。


JOURNEY - Revelation - After All These Years ★★★ (2008-11-08 17:25:53)

個人的にも、この曲は今年のベスト・チューン候補。
どこまでも真っ直ぐに伸びていくVo、透明感と叙情性に満ち溢れたKey、
そしてエモーショナル極まりないGが紡ぎ出す哀メロの洪水に、
通勤中に初めて聴いた時は「ぎょえ~、これは堪らん!」と、
身悶えを抑えるのに一苦労でした。やはりJOURNEYは凄い。


JOURNEY - Trial by Fire ★★★ (2010-12-07 23:16:05)

『RAISED ON RADIO』('86年)を最後に活動休止状態にあったJOURNEYが全盛期のメンバーで再結集。'96年にリリースされるや、HR/HM冬の時代真っ只中にも関わらず全米チャート初登場第3位という好成績をマークし、世間に「JOURNEY健在!」を印象付けた復活アルバム。
一音入魂でGをエモーショナルに歌わせる二ール・ショーン、加齢により艶は薄れても、ソウルフルな表現力と節回しは健在のスティーヴ・ペリー、透明感と叙情性を湛えた音色で楽曲に絶品の彩りを加えるジョナサン・ケインのKey等、メンバーのすこぶる強力なパフォーマンスをフィーチュアした都会派メロハー・サウンドは、10年に及ぶブランクの長さを全く感じさせることなく、むしろ前作『RAISED~』以上に全盛期のJOURNEY節の美点を余すところなく継承。何より、ポップでロマンティック、アダルト且つ瀟洒な雰囲気漂わす楽曲のクオリティが相変わらず素晴しいったら。
全16曲で75分オーバーという音楽性に似合わぬ長大な収録時間と、バラード系の楽曲の多さがネックとなって中盤ダレるのが難点なれど、JOURNEYが誇る代表曲“SEPARATE WAYS”にオマージュを捧げ、バンドの再生を高らかに宣言する①に始まる「これで掴みはOK」な冒頭3曲の畳み掛けに、心地良く弾むリズムに絡む哀メロが秀逸な⑤、そしてKeyの透き通った音色が堪らなく美しく切ない⑧といった名曲の数々を聴けば、多少の粗には目を瞑ろうという気になるもの。
ファンの期待に見事に応えた復活作。・・・なのだが、それだけにこのラインナップが長続きしなかった事は惜しまれます。


JUGGERNAUT ★★ (2009-09-08 21:50:00)

'80年代初頭、テキサス州はサンアントニオにてハーラン・グレン(Vo)が中心となって結成される。
元々はKAMIKAZEというバンド名だったらしいが、ハーランのオカンのアイデアを採用してJUGGERNAUTと改名。
『METAL MASACRE Ⅶ』に楽曲を提供する等して知名度を高め、'86年にMETAL BLADE RECORDSより
1st『BAPTISM UNDER FIRE』を発表、レコード・デビューを飾っている。
現在では、凄腕ドラマーとして勇名を馳せるボビー・ジャーゾンベクが世に出る
切っ掛けになったバンドとして知られるが、ボビー以外にも、RIOT休止中のマーク・リアリと一緒に
NARITAをやっていたメンバーが在籍していたりと、何かとRIOTとは縁の深いバンドである。
活動後期にはSACRED REICH~MACHINE HEADの名ドラマー、デイヴ・マクレインも
ラインナップにその名を連ねていた筈。


JUGGERNAUT - Baptism Under Fire ★★ (2009-09-08 21:51:00)

日本のHR/HMファンからはRIOTのメンバーとして親しまれ、現在ではロブ・ハルフォードも一目置く凄腕として
世界的な知名度を誇る名ドラマー、ボビー・ジャーゾンベクのキャリアの出発点となった、テキサス州は
サンアントニオ出身の4人組スラッシュ・メタル・バンドが'86年に発表した最初で最後のフル・アルバム。
プログレッシブ・ロックからの影響を垣間見せる、複雑且つ緊張感に満ちた曲展開を備えたテクニカルな
スラッシュ・メタルを演っており、派手に動き回るB(かなり良い仕事してます)と共にボトムを支えるボビーのDsは、
この時点で既に一級品。力強さと手数の多さを併せ持った彼のドラミングが、その完成度を数段引き上げている
②のような楽曲を聴くと、「やはり巧い人は昔から巧いんだなぁ~」と、感心させられること請け合い。
尤も、いくらリズム隊がサウンドを引き締めようとも、魅力皆無のVoとフック不足の楽曲の冗長さは如何ともし難く、
通して聴くとかなりダレると言うのが正直なところで、ボビー・ファンならともかく、そうでない人にこの内容は
かなり厳しいんじゃないかなぁ、と。個人的には、HM版『ピンクパンサー』といった趣き(?)のOPナンバー①、
勢いで押し切る高速スラッシュ・ナンバー⑤⑪といった楽曲が聴けただけで満足できたけどね。
RIOTファン的には資料的価値は高いように思うが、まぁマニア向けの1枚か。


JUGGERNAUT - Baptism Under Fire - Cut Throat ★★ (2009-09-12 18:05:26)

複雑な事をやろうとすると、
冗長さが気になってしまうこのバンドだが、
こういう小細工なしの突撃スラッシュ・チューンは、
ボビーのDsの威力もあって単純にカッコイイ。


JUGGERNAUT - Baptism Under Fire - Impaler (2009-09-08 21:55:18)

エリザベート・バソリー伯爵夫人を題材に採ったナンバーらしいが、
何度聴いても「ピンクパンサー」のテーマ曲の
スラッシュ・メタル・バージョンにしか聴こえないんだよなぁ。
カッコイイし、好きな曲だけどね。


JUNKO - So Deep ★★★ (2024-03-27 22:58:33)

「人に歴史あり」ということで、個人的に杉田かおるとごっちゃになって時々混乱する三原順子が、《SINGER JUNKO DEBUT!》なる帯惹句を引っ提げてJUNKO名義で’85年に発表した10枚目のソロ・アルバム。
「顔はやばいよ、ボディやんな、ボディ」の名台詞で知られる『3年B組金八先生』のスケバン役で注目を集めた不良性感度ゆえか、はたまた歌謡アイドル路線に行き詰まりを感じたからか、ここではイメチェンを図って本格HR/HMサウンドに挑戦。リリース当時BURRN!!誌でもレビューされていて「曲は〇、歌が×」と40点食らっていましたが、この時既に2桁に達する作品を世に送り出して来た実績の持ち主だけあって歌唱力は安定。多少の生硬さはあれど、甘いアイドル声とは異なるドスの効いたハスキーVoもこのスタイルに合っています。
それに何より楽曲が良い!Gを弾いているのが無名時代の松本孝弘で、作曲陣はハワード・キリーこと河井拓実を中心に、筋肉少女帯の橘高文彦や、EARTHSHAKERの西田昌史&石原慎一郎、44 MAGNUMの広瀬さとしといった腕に覚えのある面子が参集。更にはLOUDNESSの名曲“ANGEL DUST”のカヴァーにまで無謀…もとい果敢にチャレンジしているので、最後まで意外なぐらい楽しめますよ。特に怒涛の如く突っ走る“WIRE ROCK”、ハスっぱな歌い回しが威勢の良い曲調にマッチした“WE WANT ROCK”、松本の泣きのGと劇的な曲展開で本編ラストを盛り上げる“I BELIEVE SO”辺りは素直にグッとくる仕上がり。
政治家なんぞよりこの路線で突っ走ってくれりゃ良かったのに…と思わずにはいられない1枚。先入観抜きでどうぞ。


JUNKO - So Deep - Hurry Over ★★★ (2024-03-28 23:41:09)

44 MAGNUMの広瀬さとし提供曲。
オラオラと肩で風切るような曲調に、
JUNKOのハスっぱなスケバンVoがマッチしています。


JUNKO - So Deep - I believe So ★★★ (2024-03-28 23:53:42)

作曲はハワード・キリー…って誰?(シンガー/ソングライター河井拓実の変名らしい)
ドラマティックなイントロだけで期待感を煽ってくれますが
実際、堂々たるJUNKOの歌唱、松本孝弘の泣きのGをフィーチュアして
パワフルに盛り上がっていく名曲に仕上がっています。


JUNKO - The Splendor ★★★ (2024-04-03 23:37:51)

JUNKO名義2作目であり、三原じゅん子の歌手活動の取りあえずの一区切りとなった’86年発表の11thアルバム。
《ぶっ飛んで下さい。ロック遊女。》という帯惹句と、ジャケットを飾る和服を着崩したJUNKOの艶姿を見ると早くも迷走の気配がビンビンですが、10th『SO DEEP』に引き続いてB’z結成前の松本孝弘(G)が全面参加。鳴瀬喜博(B)、そうる透(Ds)、大平勉(Key)らがバックを固め、作曲陣にもハワード・キリー(河井拓実の変名)やAROUGEの福田純&橘高文彦(マネージメントが同じだった関係でツアーにも帯同していた模様)が名を連ねる等、基本的には前作で披露されたHR/HM路線を踏襲した仕上がりとなっています。
但し“WIRE ROCK”のようなゴリゴリのHMナンバーが姿を消し、煌びやかなシンセのフィーチュア度が格段に高まったサウンドは、80年代らしくよりゴージャスなメロディアスHR化が進行。JUNKOも『SO~』に比べると肩の力を抜いて伸びやかな歌唱を披露していて、本当、政治家としてのこの人に感心したことはビタいちないのですが、シンガーとしての実力には感心させられますよ。特に哀愁のメロハー“CAN’T STOP MY JEALUSY”や“TOKIO BLUE”、洗練されたバラード“LAY ME DOWN”辺りは、「三原順子でしょ?」と半笑いで聴き始めたら、クオリティの高さに思わず真顔になってしまう出来栄え。松本孝弘のGが暴れ回る疾走ナンバー“DEAD OR ALIVE”も本編をグッと引き締めてくれています。このタイプの楽曲がもう1曲ぐらいあればなぁと思わなくもないですが。
HR/HM路線であと2、3枚聴いてみたかった…と惜しまずにはいられませんね。


JUNKO - The Splendor - Dead Or Alive ★★★ (2024-04-05 00:20:37)

橘高文彦提供の秀逸な疾走ナンバー。
とはいえゴリゴリにヘヴィ・メタリックということはなく
適度にKeyも効かせたゴージャスな仕上がりなのが時代を感じさせますね。
松本孝弘もフラッシーなGプレイで華を添えてくれています。


JUNKO - The Splendor - Lay Me Down ★★★ (2024-04-05 00:27:11)

胸を打つ哀愁のメロディとJUNKOのエモーショナルな歌唱が映えるバラード。
怖いもの見たさで聴き始めたら、普通に実力派シンガー然とした歌いっぷりで吃驚でしたよ。
松本孝弘の泣きのGも楽曲をドラマティックに盛り上げてくれています。


JURASSIC JADE - Gore ★★ (2007-06-30 01:46:00)

特異な個性を誇る日本のベテラン・スラッシャー、JURASSIC JADEが'89年に発表した1stフル・アルバム。
現在では幅広いラウド・ミュージックからの影響を取り入れた、深遠なサウンドを披露している彼らだが、
この頃はバリバリにファストでピュアなスラッシュ・メタル・バンド。
ガリガリと刻まれる殺傷力満点のリフの数々や、緩急をしっかりと織り込んで畳み掛けてくる曲展開なんかは
SLAYERからの影響を伺わせるものの、とても女性・・・いや、人類のモノとは思えぬHIZUMIの壮絶なVoや、
勢いだけでなくカッチリと構築されたNOBのGソロ、そして日本語詞による唯一無二の歌詞世界といった要素を聴けば、
JURASSIC JADEが単なるSLAYERのフォロワーなどではなく、独自のサウンド・スタイルを確立した
スラッシュ・メタル・バンドであることが良く判るはず。
特に、マシンガンの如き速射リフ、タイトなリズム、劇的且つメロディックなGソロ、憑かれたように
狂気を吐き出すHIZUMIのVoとが一丸となってシャープに疾走する②は、JJ屈指の名曲じゃないかと。
本作からバンドはシングルG編成へと移行しているが、音の薄さ等、それによるダメージは殆ど感じられない。
これが'90年のCD化に際して行われたというリミックス作業の賜物なのかどうかは、オリジナル盤を聴いた事がない
自分には定かじゃないが、ただ、ペシペシと薄っぺらいドラムの音だけは、もう少し何とかして欲しかったかな、と。


JURASSIC JADE - 黒い果実 the Early Years 1985-1988 ★★ (2009-02-08 18:59:00)

『LIVE AT EXPLOSION』('85年)、『A CRADLE SONG』('86年)、『WAR OF PROXY』('87年)という3枚のEPに、
蔵出しのライブ映像を加えてリイシューした、JURASSIC JADEのスラッシュ・メタル時代を総括する2枚組初期音源集。
EXPLOSION LABELから発売された作品は、現在ではその殆どが入手困難なモノばかりゆえ(3月には、SABBLABELLSやDOOMが
残した名盤の数々が一斉再発されるそうですが)、こうした企画盤は自分のような後追いファンには非常に有り難い。
で、肝心のサウンドの方は、一筋縄では行かないエクストリーム・ミュージックを演っている現在に比べると、
音質面等は多少(というか、かなり)チープな印象が否めないものの、ガリガリとシュレッドされる鋭利なGリフと、
ひたすら直線的に刻まれるリズム、ドリル状に突き刺さってくるGソロ、そして女性ブルータル・シンガーの先駆けたる
HIZUMIの吐き出す、パンキッシュな日本語詞の数々と、強烈なシャウトが一丸となって突っ走るSLAYER型スラッシュ・サウンドは、
1stフル『GORE』以上に初期衝動に忠実な仕上がりで、既に唯一無二。個人的には、HMらしい様式を備えたイントロから
スタートする⑧や、禍々しくも荘厳なスロー・チューン⑩を収録した『WAR BY PROXY』が本編のハイライトかな、と。
スラッシュ・メタル・ファンなら、とりあえず1stフル『GORE』と共に是非とも押さえておいて頂きたい1枚。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE ★★★ (2017-10-18 22:57:47)

LOVERBOYのシンガーで、HEARTのアン・ウィルソンとデュエットした名曲“パラダイス~愛のテーマ”が日本でも大ヒットしたマイク・レノ。その彼が結成したバンド(プロジェクト?)の’94年発表の唯一作。我らがゼロ・コーポレーションから日本盤もリリースされましたが、世はグランジ/オルタナ旋風吹き荒れる90年代真っ只中。歌心に溢れたG(JOURNEYのニール・ショーンも参加)や瀟洒なKeyをフィーチュアする、しっとり胸に沁み入るメロディック・ロック作品なんてのは全然お呼びじゃなく、ほぼ話題に上ることもないままフェードアウト。斯くいう自分も当時は発売されていたことにすら気付かず、後年、ROCK CANDYからのCD再発を機に漸く興味を持ったという後追いっぷりですよ。
1曲目からいきなりバラードがカマされる構成が物語る通り、スロー~ミディアム・テンポの楽曲を中心に取り揃えられたポップな本編は、多分にAOR/産業ロック寄り。しかし(カナダのバンドらしい)陰に籠らない哀愁と、フックが連続するメロディに彩られたサウンドを前にすりゃそんな些事はどーでもよくなるという。聴き進めれば、歯切れ良くロックする⑩のようなハード・ナンバーがきっちりアルバムにメリハリをつけてくれますしね。
何よりそれらを情感豊かに歌い上げるマイク・レノのVoが感動的。波間を夢心地でたゆたうような③、物悲しい曲調にエモーションを掻き立てられる⑤、10分以上の長尺をアドリブ全開で乗り切るグレン・ヒューズ級にソウルフルな⑪等、その歌唱力と来たら十万石まんじゅうばりに「うまい、うま過ぎる」と風が語り掛けるレベル(埼玉県民ローカルネタ)。
これ聴いたら、バンドがアルバム1枚で終わってしまったことが残念で仕方ないですよ。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - Carpe Diem ★★★ (2017-10-18 23:13:40)

亡き友人に捧げられた歌詞に相応しく、
ポロポロと物悲し気に零れ落ちるピアノの旋律、
悲哀を湛えて重厚に盛り上がっていく曲展開、
そして楽曲に込められたエモーションを余すところなく
表現しきるマイク・レノの歌唱が感動を呼ぶ名曲。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - For Those in Favour ★★ (2017-10-18 23:20:29)

気持ち良さげに吹き鳴らされるハーモニカと
軽快に踊るピアノ、歯切れ良く刻まれるGとリズムに
思わず体が動き出すロック・チューン。
ノリノリの曲調ながら、どこかさらっと都会的で
クールな雰囲気を湛えている辺りがこのバンドらしさか。


JUST*IF*I - ALL ONE PEOPLE - The Reprise ★★★ (2017-10-18 23:29:15)

アルバムの最後に置かれた13分以上に及ぶ大作ナンバー。
マイク・レノのソウル全開な歌いっぷりを筆頭に
長さをまるで感じさせないが、といってもプログレ・テイストや
様式美メタル的な起承転結は仕込まれていない。
リハーサルなしの一発勝負でレコーディングされていて、メンバー曰く
「自然に溢れ出た、直接的な、瞬間的な、感情の表現であり、
この曲は全くのライブであり、編集されていない」とのこと。
だとしたら、大したもんだなぁ!と。


Jagged Edge UK - Fuel for Your Soul ★★ (2021-02-15 23:24:41)

バンド名で検索を掛けるとアメリカのR&Bグループばかりが引っ掛かってきますが、こちらは英国の4人組。バーニー・トーメに師事し、10代の頃から次世代のギター・ヒーロー候補として注目を集めていたというマイク・グレイと、TOKYO BLADEの主要メンバーとして知られるアンディ・ロビンス(B)はイギリス出身、現在はソロ・バンドを率いて活動中のマッティ・アルフォンゼッティ(Vo)はスウェーデン出身、それにイタリア人のドラマーという国際色豊かな面子からなるJAGGED EDGEが、デビューEP『TROUBLE』(’89年)に続いて'90年に発表した1stフル・アルバム。
原点回帰ブームがHR/HMシーンを席巻していた時節柄、彼らが聴かせてくれるのもやはり、声質がカル・スワン似のマッティの歌唱と、出しゃばり過ぎず、さりとて後ろへ下がり過ぎもしないマイクのツボを押さえたGプレイが光る、ブルージーなテイスト薫るサウンド。但し本場アメリカのバンド程の泥臭さは然程感じらず、飽くまで軸足は80年代型メロディアスHRに置かれているので、その手の音を得意としない我が身でも楽しんで聴けるという。特に歌心に溢れたバンドのパフォーマンスが哀愁のメロディを引き立てる②はこのバンド屈指の名曲。キャッチーなコーラス・ワークがフックとなっている⑤、切ないセミ・バラード⑦辺りにもグッとくるものあり。
逆にそうした部分を物足りなく感じる向きもあるでしょうし、良くも悪くも卒なくまとまっている優等生的な仕上がりゆえ強烈なインパクトを残し得ず、転換期を迎えたシーンに埋もれてしまった不運な1枚。マイク・グレイは今何を?


Jagged Edge UK - Fuel for Your Soul - Out in the Cold ★★★ (2021-02-17 00:10:29)

フックに富むメロディに彩られた哀愁のメロハー。
ブルーズ色が殆ど感じられない、本編中においては
例外的ともいえる仕上がりですが、でもこれが良い曲なんですわ。
何だったらこのノリでアルバム1枚作って欲しかったと思うぐらいに。
マッティのソウルフルなVoと、マイクの歌心を感じさせる
Gプレイも耳を惹きます。


Janstate (2013-12-25 23:10:49)

'92年にイギリス、ノース・デヴォンはバーンスティブルにて、クライヴ・ジャン・バーネイジ(Vo、G)とデイヴ・ニール(B)を中心に結成。
最初に制作したデモテープがMETAL HAMMER誌でそれなりの評価を受けたことを切っ掛けにして、ラインナップを完成させると、同年暮れには早くもデビュー・アルバム『SHOT TO PIECES』を自主制作。
JETHRO TULLのマーティン・バレが所有するスタジオでレコーディング(マーティンもサックスでゲスト参加)が行われた同作は、'93年にはゼロ・コーポレーションとの契約を経て日本でもリリースされた。


Janstate - Shot to Pieces ★★ (2013-12-25 23:12:04)

'93年~'94年頃といえば、ホストにハマったOLの如くゼロ・コーポレーションに湯水のようにお金を貢ぎまくっていた時期なのですが、そうした流れの中で購入したのが、イギリスはノース・デヴォン出身の5人組が'93年に発表したこの1stアルバム。(というか唯一作)
日本のみでCD化された作品ゆえ、ゼロからリリースされた中古盤がそれなりのプレミア価格で取引されている本作ですが、内容に関して正直に申さば、詰めの甘いプロダクションといい、フックに乏しい楽曲といい、「地味」の一言に尽きます。煮え切らない作風こそ英国バンドの証!と好意的に評価することも可能とはいえ、まぁ退屈な①が始まった時は「イモ引いた・・・」と購入したことを後悔しそうになりましたよ。
しかし、テクニック的には決して上手くはないものの、泣きを含んだ声質が涙腺を刺激するシンガーの歌唱や、いかにもヨーロピアンな翳りを湛えたメロディを紡ぐツインG等、キラリと光るモノを確実に持っていたバンドで、楽曲に関して言えばビッグなコーラスが耳を惹く②以降は、例えば疾走ナンバー③⑦や哀愁が滲む⑥といった正調ブリティッシュHM然としたツインGに牽引される楽曲や、泣きのバラード④⑨、湾岸戦争を題材にした10分に迫る大作⑩等の佳曲も見受けられて・・・って、あれ?こうして書いてて思ったけど、案外悪い作品じゃないですね、これ。


Janstate - Shot to Pieces - C.u. in Heaven ★★★ (2013-12-26 23:49:13)

ドラマティックな泣きのバラード。
Voは決して上手くないのですが、声質自体が
泣いているので、この手のエモーショナルな
楽曲を歌わせると効果的にメロディの哀愁を
増幅してくれています。


Janstate - Shot to Pieces - Rising up ★★ (2013-12-26 23:46:10)

ヘヴィ・メタリックなGリフと疾走するリズムの上で
湿気ったメロディを熱唱するヘタウマVoと
それなりにドラマティックに絡み合うツインGとが
乗っかる様が、まさしく「ザ・ブリティッシュ」な1曲。


Jerome Mazza - Outlaw Son ★★★ (2022-12-27 00:08:32)

ジェローム・マッツァをご存知でしょうか?名前を聞いて「デニス・キャメロン率いるクリスチャン・メタル・バンドANGELICAの2ndで歌ってた人でしょ」とスラスラ出て来た貴方はかなり年季の入ったHR/HMリスナーとお見受け致します。本作はその彼がESCAPE MUSICから'18年に発表した2枚目のソロ・アルバムに当たる作品。ロック色皆無の1stソロは日本盤リリースなしでしたが、今回はキャッチーなメロディから躍動感溢れる曲調まで、ANGELICA時代にも通じるハイクオリティなメロディアスHRサウンドが詰まっており、めでたくRUBICON MUSICから国内盤の発売も実現しています。
本作においてブレーン役を担うのは、ジェロームとはスティーヴ・ウォルシュ(KANSAS)のソロ・アルバム『BLACK BUTTERFLY』(’17年)制作時に縁を結んだ「北欧のメロハー請負人」ことトミー・デナンダーで、流石にこの手のスタイルを手掛けさせたら天下一品の腕前を発揮(作詞ではFMのスティーヴ・オーヴァーランドも全面関与)。溌剌と本編開巻を告げるOPナンバー①、哀愁を帯びたメロディが胸に沁みる⑤、解放感溢れるサビメロが絶品の⑧、エネルギッシュなHRナンバー⑪…と、80年代から全く衰えを感じさせないジェロームの伸びやかな歌声が映える、ポップで爽快なメロディアスHRチューンを次々に繰り出してきます。まぁ「この1曲!」という決定打に乏しい点はちょっと惜しいのですが、そういえばANGELICAもそんなバンドだったなぁと思い出して逆に微笑ましくもなるってもんですよ(ならない?)。
今後の継続的なソロ活動に期待せざるを得ない1枚です。


Jerome Mazza - Outlaw Son - Neverland ★★★ (2022-12-28 00:08:51)

アップテンポの曲調に、ジェロームの伸びやかなVoによって
謳われる爽快感溢れるメロディと、アルバムの
オープニング・ナンバーとして100点満点の働きぶりを
聴かせてくれる逸品です。


Jester (2019-06-08 00:19:14)

アメリカと国境を接する街、カナダはオンタリオ州ウィンザーにて結成。
JOURNEY、BOSTON、RUSH、SAGAといった先輩バンドからの影響を糧に音楽性を磨き上げ、
4曲入りデモテープ『LAST LAUGH』を制作した後、’94年にMEGAROCK RECORDSから
1st『ITS TIME』を発表してデビュー。同作はゼロ・コーポレーションから日本盤も発売されている。
情報が少ないバンドゆえその後の消息は判然としないものの、
恐らく本作1枚きりで消滅してしまったものと思われる。


Jester - Its Time ★★★ (2019-06-08 00:20:54)

カナダはオンタリオ州ウィンザー出身の4人組が、'94年に発表した1stアルバム。(恐らく唯一作)
国内盤はゼロ・コーポレーションからの発売。かつてゼロのカタログをコンプリートすべくレーベル買いを実行していた時期もあった身としては、本作の存在を全く関知していなかったことに少なからずショックを受けたのですが、インターネットが発達した現在ですら、調べてみても素性に関しては情報が少ないバンドゆえ、「どうせ大したことない内容なんだろ?あん?」と上から目線のオラついた態度で本作に挑んだところ、いやこれが非常に歯応えの感じられる作品で、逆に「舐めてて申し訳ありませんでした」とこっちがシメられる羽目になってしまったという。
音の方はほんのりプログレ風味も漂うメロディアスHR。明る過ぎず暗過ぎないサウンドはまさにカナディアン・メロハーの面目躍如といったところで、楽器陣は安定したテクニックを有し、中でもGと兼任でVo としてもその実力を遺憾なく発揮するフロントマンのT.J.ナイトは、同郷の先輩バンドTRIUMPHのリック・エメット師匠のことを思い出す逸材です。彼の憂いを帯びた声質が映える④⑧のような抒情バラードの素晴らしさも然ることながら、本編のハイライトは⑦。ハードに切り込むG、躍動するBに、オカズ満載で踊るDsとが、キャッチーな歌メロを伴い適度な緊迫感を湛えて駆け抜けていくこの名曲を聴けただけで、本作購入代金の元は回収した気分になりましたよ。
「中古盤が3桁で買えてしまう名盤」リストに名前を追加したくなる1枚でした。


Jordan Jordanov - Angel's Touch ★★★ (2022-02-02 23:38:35)

最近自分の中でヨラン・エドマン再評価の波が来ていまして、リアル・タイムでは買い逃していたアルバムを色々とチェックし直したりしているのですが、その流れの中で入手したのが、ブルガリア出身のギタリスト、ヨルダン・ヨルダノフなる御仁が'21年に発表したこのソロ・アルバム。邦題は『天使のてざわり』。
CDショップの推薦コメントに書かれていた「アコースティック・ギター」「ピアノ」「東欧出身」というポイントに惹かれ、何の予備知識もなしにジャケ買いを敢行してしまったのですが、いやこれが買って大正解。ピアノとアコギを主楽器とする、しっとりサウンドにヘヴィ・メタリックなアグレッションや疾走感は皆無なれど、その分東欧のアーティストならではのどこか物悲しさを帯びたメロディ・センスと、そしてゲストVoとして本編に全面参加しているヨラン・エドマンのソウルフルな歌声がじっくりと堪能できるという塩梅。様式美ナンバーを歌わせても最高ですが、やはりこの人の真価はバラード系の楽曲を歌っている時にこそ発揮されるのだなぁと改めて実感させられました。
特に美麗なハーモニーと優雅なストリングスを配し抒情的に綴られるアルバム表題曲②は珠玉の逸品。この間の大雪の日、帰る道すがら流していたら、夜の雪景色と雰囲気がばっちりマッチしてえらく感動してしまいましたよ。
かつてゼロ・コーポレーションから日本デビューを飾ったミシャ・カルヴィン(覚えてます?)のアルバム等にグッと来た方なら間違いなく楽しめる1枚ではないでしょうか。是非今後もコラボを続けて行って欲しいなぁと。


Jordan Jordanov - Angel's Touch - Angel's Touch ★★★ (2022-02-04 00:15:04)

儚げに奏でられるピアノ、哀切なストリングスの調べ、
ひんやりと憂いを湛えたメロディを切々と歌い上げる
ヨラン・エドマンの美声がお互いを引き立て合う逸品です。


J・A・シーザー - 国境巡礼歌 ★★★ (2022-08-25 23:27:10)

故・寺山修司が率いた、演劇実験室こと天井桟敷の音楽担当として世に出たJ.A.シーザーが’73年に発表したオリジナル・アルバムであり、彼のバンド「悪魔の家」や天井桟敷所属の俳優たちの協力(演出・構成は寺山修司が担当)を得て、日本青年館で行われたソロ・リサイタルの模様を収録したライブ・アルバムでもある一作。
前衛!アングラ!アバンギャルド!なイメージから尻込みしてしまい、長いことスルーし続けてきたのですが、実はアニメ作品のスコアを手掛けていたり、海外で高く評価されているとの記事を目にして(CATHEDRALのリー・ドリアンも絶賛してましたね)徐々に興味が高まり本作を手に取ってみれば、その唯一無二な音世界――無理くり例えるなら人間椅子と芸能山城組が悪魔合体したような感じとでも申しましょうか――に圧倒されまくったという。
暗く情念に満ちたメロディ、呪術的に繰り返されるドゥーム・メタリックなリズム、その上で妖しく交錯する男女コーラスとが、荒々しい演奏や音質すらも迫力に変えて叩きつけられるサウンドは、一口に「和風」といっても雅さとか格式高い伝統といった華やかさよりも、土俗的な因習や民間伝承の方に親しむドロリとどす黒いエッセンスが横溢。特に琵琶の音に導かれる陰鬱なイントロから疾走へと転じる①、ヘヴィでサイケデリックな曲調とわらべ歌のメロディが融合した⑥、延々続く寺山のアジ演説に絡みつくGが徐々に泣きの湿度を上げていく⑦辺りを初めて聴いた時の衝撃は相当なものがありましたよ。
70年代ロックでもプログレッシブ・ロックでも括りきれない異端の名盤。相当に聴き手を選ぶ作品であることは間違いないですが、ハマれば底なしかと。


KANE ROBERTS - Kane Roberts ★★★ (2022-03-03 01:31:42)

嘘か誠か、出演したライブハウスで客と乱闘を繰り広げていたら、偶然その場に居合わせたアリス・クーパーに気に入られ、そのまま彼のバンドの一員としてデビューを飾ることとなったという80年代感溢れるシンデレラ(にしてはゴツ過ぎますが)エピソードの持ち主、ROCK’N ROLL RAMBOことケイン・ロバーツが'86年に発表した1stソロ・アルバム。
「アサルト・ライフル魔改造ギターをドヤ顔で掲げる筋骨隆々な長髪マッチョ(ケイン本人)」というバカ負けするインパクト抜群のジャケットだけ見ると、「俺の武器はギター」とか言いながら物理的にギターで相手をブン殴っていそうな感じですが、実際にここで聴けるのは繊細な手つきでカッチリ組み立てられたメロディックHRサウンド。キャッチーなメロディに美しいボーカル・ハーモニー、そして構築感すら漂わすGプレイといい、見た目と託された音のギャップのデカさに二度ビックリですよ。
背中に鬼の顔を浮かび上がらせながらGを弾きまくる光景が思い浮かぶようなインスト・ナンバー④、ドスの効いたコーラスをフィーチュアして突撃する⑦といった、イメージ通りのパワーメタル・ナンバーを配しつつも、しかし本編のハイライトを飾るのは、ロビー・デュプリーとの共作曲②や、キメキメなコーラス・ワークがライブ映えする③、キャッチーな哀愁のメロハー⑨、クレジットにはキップ・ウィンガーの名前も見えるバラード⑩といった、ゴテゴテとした筋肉の鎧よりも、洗練されたスマートさの方が印象に残る楽曲の数々という。
長らく廃盤で入手困難な状態が続いていましたが、2nd『SAINTS AND SINNERS』(こちらも◎)と一緒に再発されましたので、是非とも一度はお手に取って頂きたい名盤です。


KANE ROBERTS - Kane Roberts - Too Much (For Anyone to Touch) ★★★ (2022-03-03 23:45:28)

ゴリゴリにマッチョな外見とは裏腹に
哀愁を帯びたメロディから、キャッチーなコーラス、
美麗なボーカル・ハーモニー、練られたGソロに至るまで
各パーツが実に繊細に組み上げられている名曲。


KANE ROBERTS - Kane Roberts - Women on the Edge of Love ★★★ (2022-03-03 23:55:32)

共作者としてロビー・デュプリーの名前もクレジット。
キャッチーなコーラスが耳を捉える
洗練された哀愁のハードポップ・ナンバー。
肉体はオイルでテッカテカですが、手掛ける楽曲は
脂っこさとは無縁。耳にスッと沁み込んでくる
消化の良い名曲に仕上がっています。


KANE ROBERTS - Saints and Sinners ★★★ (2016-12-26 23:40:06)

驚異の秘密兵器「実銃改造マシンガン・ギター」と、「筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ」(by映画『コマンドー』)風味にパンプアップされた肉体美を誇示したジャケットで、HR/HMリスナーをドン引き…じゃなくて度肝を抜いた元アリス・クーパー・バンドのギタリスト、ケイン・ロバーツが'90年に発表した2ndアルバム。
大向こうから「切れてる切れてる!」「ナイスバルク!」と掛け声がかかりそうなボディビルの写真集状態だった前作のアートワークが色物扱いされたことで我に返ったのか、今回はジャケ写がまともになっちゃっていて、ホッとしたような物足りないような…。まぁ少なくとも音楽性に関しちゃこっちのデザインの方が相応しいとは思いますけども。
ともあれ、ヒット・ポテンシャルに富むポップでキャッチーなメロディック・ロックという、セルフ・タイトルのデビュー作で聴かせてくれた基本路線は本作でも堅持されていますし、ダイアン・ウォーレンを始め、名うてのヒット・メイカー達が楽曲提供を担い、その上(1曲目からも明らかなように)ケイン自身のテクニカルなGプレイが、ポップ路線に流され過ぎぬようサウンドにハード・ロッキンなエッジと緊張感を加えてくれているのですから、これで素晴らしい作品にならないがわけがない!と。
特に、BON JOVI&デズモンド・チャイルド作曲のパワー・バラード③、格段に向上したケイン自身のVoが楽曲を感動的に盛り上げる⑤、スポ根映画の主題歌にハマりそうな⑦という、「フックの備わった楽曲」のお手本の如き高揚感に満ちた3曲は、今後とも末永くお付き合いしていきたいメロハーの名曲。
インパクトでは1stに及ばないものの、この2ndも是非押さえておいて頂きたい1枚です。


KANE ROBERTS - Saints and Sinners - Fighter ★★★ (2016-12-27 23:11:49)

勉強、残業、筋トレ等々…「あともうひと踏ん張り!」が必要な時に流すと
沸々と力を湧き上がらせる曲調&歌詞とが相俟って効果覿面。
80年代のスポ根ドラマ/映画の主題歌に採用されていても
おかしくない爽やかさが魅力の名曲です。


KANE ROBERTS - Saints and Sinners - Rebel Heart ★★★ (2016-12-27 23:05:18)

「ギターを抱いたランボー」的イメージからはかけ離れた
痒い所に手が届くメロディック・ロック・チューンの名曲。
分厚いコーラスと高揚感に包まれたサビメロのフックの効き具合、
何よりそれを熱唱するケイン・ロバーツのVoと、
終盤の彼自身によるGソロが楽曲を劇的に盛り上げてくれます。


KANSAS - Audio-Visions ★★ (2008-12-21 21:07:00)

スティーヴ・ウォルシュ在籍時代最後の作品となった、'80年発表の8thアルバム。
80年代に入り、JOURNEYやSTIX、BOSTONといった同期バンドの成功に触発されたのか、ファンタジー色が失せた
即物的なジャケット・アートワーク(正直、かなりのダメジャケ)といい、曲展開がシンプルに整理され、
キャッチーなコーラス・ワークが強化された楽曲の数々といい、モダンな産業ロック方向へと大きく舵を切った本作は、
前作との間にケリー・リヴグレンとスティーヴ・ウォルシュのソロ・アルバムを挟んでいるせいか、ケリー作のプログレ路線と、
スティーヴ作のロックンロール路線とに、収録曲のタイプがハッキリと分かれてしまっているのが特徴と言えるかも。
個人的には、キャッチネスと重量感を兼ね備えたOPナンバー①、泣きの名バラード③、劇的な⑤、流麗且つ軽やかな⑧といった
ケリー作曲のプログレ・タイプの楽曲がより好みなれど、歯切れ良く疾走する④のような、スティーヴの手による
楽曲の素晴しさも捨て難い。そして、何と言っても本作は⑦の存在に尽きる。ハードロッキンな激しさと、
プログレ・ハード然したドラマティックな曲展開に絡む、ロビィ・スタインハートの攻撃的なヴァイオリン・プレイ・・・
と、まさにKANSASの魅力の粋が詰め込まれたこの名曲を聴くためだけにでも、本作は聞く価値があるというもの。
後のスティーヴ脱退を予期させる内容とは言え、相変わらず完成度の高さに揺るぎはない、KANSASならではの名盤。


KANSAS - Audio-Visions - Don't Open Your Eyes ★★★ (2008-12-21 21:16:52)

スティーヴ・ウォルシュに由来するタイトなロックンロール・テイストと、
ケリー・リヴグレンのプログレ志向が見事に融合を果たした、
劇的且つ疾走感に溢れた8thアルバムのハイライト・ナンバー。
前作以降、影が薄くなる一方だったロビィ・スタインハートが
久々に披露する、攻めの姿勢のヴァイオリン・ワークも聴きモノかと。


KANSAS - Audio-Visions - Hold On ★★★ (2008-12-21 21:13:12)

“THE WALL"と双璧を為す、KANSAS屈指の泣きの名バラード。
哀愁が滲み出す絶品のVoによって歌われる
余りに切ないサビメロと、渋く泣くG、
そして艶やかなヴァイオリンの音色に思わず胸キュン。


KANSAS - Audio-Visions - No One Together ★★★ (2008-12-21 21:22:00)

「あ~、KANSASだなぁ」とシミジミと聴き惚れる、
ポップでキャッチーな叙情メロディが華麗に舞う名曲。
『暗黒への曳航』辺りに収録されていてもおかしくない
溌剌と展開される、綿密に構築された曲展開の妙は
まさにこれぞKANSAS!といった感じ。


KANSAS - Drastic Measures ★★ (2024-04-11 00:28:27)

バンドの看板でもあったバイオリン奏者ロビー・スタインハートの去ったKANSASが、'83年に発表したジョン・エレファンテ加入2作目となる9thアルバム。
前作収録の名曲“PLAY THE GAME TONIGHT”のスマッシュ・ヒットに気を良くしたレコード会社の「もっとコマーシャルなアルバム作らんかい」との圧力により、曲作りの主導権がケリー・リヴグレン(G)から、フロントマンたるジョンと、彼の兄でプロデューサー/コンポーザーとして鳴らすディノ・エレファンテに移行。それに伴い、ニール・カーノンが手掛けた乾いた音作りといい、シンセを大々的にフィーチュアしてメロディから湿り気が、曲展開からはプログレ色が減じられた楽曲といい、今作は(まさしくアルバム・タイトルが示す通り)大胆な作風の刷新が図られた仕上がりとなっています。
正直、スティーヴ・ウォルシュ在籍時代のKANSASサウンドを期待すると肩透かしを食う可能性大ですが、「ディノ&ジョンのエレファンテ兄弟が取り仕切ったメロハー作品」と気持ちを切り替えて本作に接すると、GリフがSURVIVORの“EYE OF THE TIGER”みたいな①とか、後に続くカラッと明るくポップな②とかも「これはこれでありだね!」と思えてくるから不思議ですよ。またアルバム後半には、山あり谷ありの曲展開をアップテンポで駆け抜けていく⑦、ケリーのペンによる、タメを効かせつつ重厚に盛り上がっていく⑧&リズミカルな曲調に哀愁のメロディが乗せられた⑨といった、かつてのプログレ・ハード風味がさりげなく薫る逸品もちゃんと収められていることを付け加えておきます。
KANSAS入門盤にゃお薦めしかねますが、スルーは勿体なさ過ぎる。自分なりの曲順を考えてみると、より評価が高まる1枚かもしれませんね。


KANSAS - Drastic Measures - Don't Take Your Love Away ★★★ (2024-04-15 23:33:04)

明るくポップな仕上がりの『DRASTIC MEASURES』の中にあって
哀愁を帯びたメロディ、メリハリの効いた曲展開等々
プログレ・ハード路線の面影を残した名曲です。
これをディノ&ジョン・エレファンテが手掛けているのですから
やはりこの兄弟の作曲センスは傑出していますよ。


KANSAS - Kansas ★★ (2008-11-23 23:35:00)

JOURNEY、STIX、BOSTONと並ぶ「アメリカン・プログレ・ハード四天王」の一角にして、ヴァイオリンをフィーチュアした
ハードロック・バンドの代名詞とでも言うべきKANSASが、'74年に発表した記念すべき1stアルバム。
代表作&出世作の4th『LEFTOVERTURE』辺りと比較すると、この頃はまだプログレ風味はそれ程でもなく、ハードでソリッドな①や、
身体がスウィングする②、初期URIAH HEEPを思わせる④といった楽曲に代表されるように、どちらかと言えばそのサウンドは
ブリティッシュHRからの影響が色濃く感じられる、ストレートな仕上がり。(しかもコレがカッコいいんだ)
とは言え、ロビィ・スタインハートが奏でる、「攻め」の姿勢を持ったヴァイオリンを前面に押し出したサウンドは
既に十分過ぎるほど個性的で、何より、後の作品よりも明らかにヴァイオリン中心の音作りが為されているのは、
彼らの「他のバンドとの違いを明確にしたい」という矜持の表れか。
また、本編のハイライトにして、現在に至るもライブの定番曲として君臨する⑤や、10分近くに及ぶ大作曲がブランクなしで
畳み掛けてくる⑦~⑧の展開の仕方など、後の作品へと繋がるプログレッシブ・ロック的な要素はあちこちで確認する事ができ、
特に⑤は、個人的にKANSASの数多ある名曲の中でも、トップレベルの完成度を誇る1曲として愛して止まない存在であり、
この劇的極まりない名曲を聴けば、DREAM THEATERが如何にKANSASから多大な影響を受けているか、よく判るというもの。
プログレハード的な音を期待して聴くと肩透かしを食らいかねないが、これはこれで非常に高品質な1枚。初期3作の中では一番好きかも。


KANSAS - Kansas - Journey From Mariabronn ★★★ (2008-11-24 01:05:26)

初期KANSAS屈指の名曲。とても30年以上昔の楽曲とは思えぬ、
この劇的さは一体どうしたことか。
DREAM THEATER辺りのファンで、この曲を聴いたことのない人は
人生損してますよ!と断言したくなるぐらいお気に入りの1曲。


KANSAS - Leftoverture ★★ (2008-11-30 00:34:00)

プログレッシブ・ロックならではのインテリジェンスと、大衆性(ポップさ)が高いレベルで融合を果たした、
KANSASの最高傑作にして、アメリカン・プログレ・ハード史上に燦然と輝く名盤として名高い
(『永遠の序曲』という邦題も美しい)、'76年発表の4thアルバム。
前作まで根強く残っていたロックンロール色(ノリで押すタイプの楽曲)が一掃され、起承転結がバッチリと決まった
劇的な楽曲群で全編が固められた本作は、しみじみと泣く珠玉の名バラード②、ヴァイオリン大活躍のドラマティックな④、
卓越したアレンジ能力の高さが堪能できる⑦、そしてラストに鎮座まします、KANSASの全てが注ぎ込まれた
彼らのプログレ・サイドを代表する“超大作"⑧といった、バンド屈指の名曲中の名曲たちがズラリ並ぶ。
全米チャート11位にランクインを果たした大ヒット曲①が、この中に並ぶと大した曲に聴こえないのだから、
その内容の充実っぷりの半端なさが分かろうと言うものだ。
ハイテクニックに裏打ちされた、綿密なアレンジの腕前にも益々磨きがかかり、それでいて、親しみ易いキャッチーな
哀メロを大切に聴かせる姿勢が終始徹底されているため、凡百のプログレ・バンドにありがちな、独り善がりな難解さも皆無。
張り/艶/伸びと三拍子揃った絶品のVo、よく歌うG、美しく流麗なKey、構築美に富むリズム隊、そして優雅で
マイルドな叙情性を演出するヴァイオリンとが、一体となって生み出す楽曲群は劇的極まりなく、
当然のように捨て曲は一切なし。DREAM THEATERを筆頭とするプログレッシブHMバンドのファンで、
まだKANSASを聴いた事がないという人は、確実に人生大損こいてますよ!


KANSAS - Leftoverture - Cheyenne Anthem ★★★ (2008-11-30 22:45:16)

“黙示録"との邦題の付けられた、KANSASの卓越した
アレンジ能力の高さが堪能できる名曲。
多彩な表情を見せる、プログレッシブでドラマティックな曲展開は
7分近くに及ぶ長尺を、全くそう感じさせる事なく聴かせきる。
中盤の賛美歌風のアレンジや、オペラティックな女性Voが
良いアクセントとなっています。


KANSAS - Leftoverture - Magnum Opus: a. Father Padilla Meets the Perfect Gnat; b. Howling at the Moon; c. Man Overboard; d. Industry On Parade; e. Release the Beavers; f. Gnat Attack ★★★ (2008-11-30 22:49:33)

スケールの大きなイントロを聴いただけで「名曲!」と
太鼓判が押せる、KANSASのプログレ・サイドを代表する“超大作"。
ハイテクニックの応酬が生むスリル、卓越したアレンジ能力、
劇的極まりない曲展開、そして何よりプログレ的な難解さを
全く感じさせない、キャッチーで取っ付き易い叙情メロディ・・・
まさにKANSASというバンドの魅力の全部入りの1曲。


KANSAS - Leftoverture - Miracles out of Nowhere ★★★ (2008-11-30 22:36:19)

くにゃっとしたKeyのイントロからスタートする、
4thアルバムのハイライト・チューンの1つ。
プログレッシブ・ロック然とした、緩急自在のドラマティックな
曲展開が聴き所なれど、楽曲の中心に据えられているのは
スティーヴ・ウォルシュのVo(叙情メロディ)なため、難解さは皆無。