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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3001-3100

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3001-3100
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KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH - Sign of the Times ★★ (2008-12-20 11:42:00)

アメリカのMIでギターを学び、B、Ds、Keyまでこなすマルチ・プレイヤー、ケリー・サイモン(またの名を島津和博)による、
一人ネオ・クラシカルHMプロジェクトことKELLY SIMONZ'S BLIND FAITHが'98年にリリースした、自主制作の1stアルバム。
余りにイングヴェイそっくりな作風や、ところどころで顔を覗かせる借り物チックなフレーズには流石に苦笑を隠せないが、
テクニックのみならず、確かな表現力をも身につけたケリーの精度の高いGプレイと、美旋律に彩られた、クラシカル且つ
ドラマティックな収録曲の数々を聴いていると、段々「まぁどうでもいいか、んな事は」と思えてくるのも事実。
何よりアメリカで揉まれただけあって、邦楽的な匂いを殆ど感じさせない、この人のバタ臭い作曲センスは貴重だ。
取り分け、単なるイングヴェイ・フォロワーには決して真似できない、繊細に爪弾かれるアコギの情感豊かな音色に
涙する④、中間部のバロック音楽風味のアレンジにハッとさせられる⑤、ゲイリー・ムーアばりに泣きまくる⑦、
バッハルベルの“カノン"を引用した叙情バラード⑨といった、ケリー・サイモンというミュージシャンならではの
個性がしっかりと発揮されたミドル/スロー・ナンバーは魅力的だし(勿論、お約束の疾走曲①⑥⑨も○)、
また、ケリー本人が担当するVoが、ネオ・クラシカル系にありがちな「線の細い頼りないハイトーン」とは一線を画す、
中音域をメインにブルージーに歌い上げるタイプというのも、他のフォロワー達との差別化に一役買っているんじゃないかな、と。
斬新だが退屈な音楽よりも、質の高い二番煎じ(と書くとかなり失礼だが)を聴きたいというリスナーにお薦めの1枚。


KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH - Sign of the Times - Stay in My Heart ★★★ (2008-12-20 11:52:12)

バッハルベルの“カノン"の引用を不自然に感じさせない、
大陸的な雄大さを湛えたクラシカルな叙情バラード。
Gのみならず、エモーショナルな歌声の素晴しさも特筆モノで、
この人のVoはスロー・ナンバーの方が映えますね。


KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH - Silent Scream ★★ (2008-12-28 02:42:00)

現在は、日本のMIで講師の職にも就いているというケリー・サイモンが、ソロ名義で'99年に発表した2ndアルバム。
もろイングヴェイ路線だったデビュー作(だが力作)に比べると、楽曲の幅に広がりが見られ、またインスト曲がその数を減らす等、
ギタリストとしてよりも「ミュージシャン:ケリー・サイモン」がより前面に押し出された内容に仕上がっている本作。
ファンキー&グルーヴィな②のような一風変わったタイプの楽曲も収録されているが、全体としては
邦楽的な匂いの殆どしない、美旋律の散りばめられたネオ・クラシカルHMという音楽性にブレはない。
相変わらず、ケリーのGプレイは「静」の表現力に冴えまくっていて、取り分け、まるで韓流ドラマの主題歌のような③、全パートが猛烈に
泣きまくる本編のハイライト⑥、繊細に爪弾かれるアコギに涙がちょちょ切れる⑨、そして、彼の歌の上手さが際立つコンテンポラリー系
バラード⑪といったスロー/バラード・ナンバーにおける、心震わすヴィブラートの効かせられたエモーショナルなGソロは絶品。
また今回は、全編を流麗且つリリカルに彩る、ケリー本人の手によるKeyの素晴しさも特筆モノで、特に、劇的に泣く⑥や
冷ややかに疾走する⑩で披露されるKeyプレイは本職顔負けじゃないかと。
作品のクオリティが向上した分、ハード・ナンバーではバックの演奏に埋没しがちなVoの線の細さが気になるようになったものの
(ちょいマイク・ディメオっぽい?)、ここまで歌が上手ければ、それについてとやかく言う気にはならないというもの。
ネオクラ・マニアの皆様は、是非御一聴を。


KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH - Silent Scream - Aftermath ★★ (2008-12-28 10:37:24)

ピアノ信者としては、疾走する曲調に流麗且つリリカルに
絡みつくピアノの調べには感動せざるを得ないわけで。
こういう曲をもっと作って欲しいな。


KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH - Silent Scream - Paradise Lost ★★★ (2008-12-28 10:31:29)

2ndアルバムのハイライトを飾る、
重く、悲しく、ドラマティックな泣きのスロー・ナンバー。
ケリーが「全楽器が『歌う』ように心がけた」という
悲壮感に満ちた展開には、何度聴いても心揺さぶられずにはいられない。
Voが、エレキが、アコギが、Keyが壮絶に泣きまくる
インスト・パートは、息苦しくなるほどの劇的さ加減。


KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH - Silent Scream - Tears in Your Eyes ★★★ (2008-12-28 10:35:27)

インスト曲“LIES"から繋がっていく、
アコースティカルな叙情バラード。
ケリー・サイモンの「静」の表現力の豊かさが
如何なく発揮された内容で、ベタだが猛烈な泣きを伴った
Gソロに思わず悶絶。
2ndアルバムの、バラードやスロー・ナンバーの充実っぷりを表す名曲かと。


KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH - Silent Scream - Without You ★★★ (2008-12-28 10:41:56)

しっとりと哀メロを歌い上げるケリーのVoが胸に沁みる
コンテンポラリー系(?)バラード。
疾走曲ではハードな演奏に埋もれがちな線の細さが気になる
彼の歌唱は、やはりこうした落ち着いたタイプの楽曲の方が映えるなぁ。


KEN HENSLEY & LIVE FIRE - Faster ★★ (2012-01-31 22:54:41)

KEN HENSLEY & LIVE FIRE名義で'11年に発表された最新ソロ・アルバム。
ARTCHのフロントマンとして知られ、世のマニア諸氏からは「北欧のブルース・ディッキンソン」との異名を取ったエリック・ホークが、シンガーとして参加している点に興味をそそられて購入した作品でしたが、ここでケン・ヘンズレーが披露しているのは70年代HR・・・というよりもURIAH HEEPのエレメントがあちこちに散りばめられた、僅かに触れただけで英国風味が鼻腔一杯に広がるかのようなヴィンテージ・ワインばりのコクと深み、そして格調の高さを湛えたブリティッシュ・ロック・サウンド。
エリックもそれに併せてリラックスした歌唱スタイルに終始しており、ARTCH時代を思い起こさせる雄々しい歌い上げは残念ながら封印されているのだが、その歌唱力は相変わらずスペシャル。
重厚にしてマジカルな①や、ヒネリの効いたシャッフル・チューン②という、いやが上にもURIAH HEEPを思い起こさせるケン・ヘンズレーの真骨頂と言うべき名曲2連発も難なくこなして一気にリスナーを作品世界に引き込んで以降は、泣きのGが心地良いバラード③、スケール感と包容力を併せ持った⑧、ハード・ロッキンな曲調に哀愁を帯びたメロディとドラマティックな曲展開が絡む⑪、そして生オケを加えてより優雅に蘇ったURIAH HEEPの“CIRCLE OF HANDS”のカヴァー⑫にて幕が降りるエンディングまで、あれよあれよの60分。
繰り返しの傾聴に耐え得る味わい深い魅力に、どっぷりと浸り切ることが出来る1枚です。


KEN HENSLEY & LIVE FIRE - Faster - Beyond the Starz ★★★ (2012-02-02 21:50:04)

別項を読んでケン・ヘンズレーがクリスチャンになった事を
知りましたが、この曲にはそうした彼のピースフルな精神と
真摯な祈りが満ち溢れています。
淡々としながらも温もりも感じさせてくれる叙情HRナンバーで、
素朴に歌うGも◎です。


KEN HENSLEY & LIVE FIRE - Faster - Fill Your Head (with Rock) ★★★ (2012-02-02 21:51:38)

ライブ映えしそうなノリの良さも備えた
アップテンポのロック・ナンバーですが、
中間部のドラマティックなアレンジは
流石ケン・ヘンズレーといったところでしょうか。


KEN HENSLEY & LIVE FIRE - Faster - Set Me Free (From Yesterday) ★★ (2012-02-02 21:40:42)

ロ二ー時代のRAINBOWにも通じる
マジカルでミスティックな雰囲気を湛えた
重厚に盛り上がるOPナンバー。


KEN HENSLEY & LIVE FIRE - Faster - The Curse ★★★ (2012-02-02 21:46:50)

伊藤政則氏もお薦めのアルバムのハイライト・ソングの1つ。
“EASY LIVIN'”系の軽快な曲調の前半を経て、
後半は泣きのKeyとGが劇的な盛り上がりを演出してくれる
URAIH HEEPを思い出さずにはいられない名曲。
メタルKEISHOUさんクラスのHEEPマニアなら、
この曲目当てでアルバムを購入しても損はないですよ。
(・・・多分)


KERRY LIVGREN - Seeds of Change ★★★ (2014-04-27 10:27:49)

KANSASの中心メンバーだった、ケリー・リヴグレンが'80年に発表した初のソロ・アルバム。
BLACK SABBATH加入直前のロニー・J・ディオ(Vo)を筆頭に、多彩なゲストを迎えてレコーディングされた本作は、『暗黒の支配者』なる大仰な邦題が物語る通り、7~8分台の長尺曲も収録するなど、ドラマティックな大作主義が打ち出されていて、この時期にAOR/産業ロック路線への傾斜を深めていた、KANSASに対する(当人の思惑はどうあれ)カウンター的内容に仕上がっています。
そのKANSASのスティーヴ・ウォルシュ(Vo)が歌う流麗にしてポップな③や、アーシーで埃っぽい④のようなタイプの楽曲も収録されていますが、やはり本編の聴き所として機能しているのは、ロニーが歌うことを前提にアテ書きされたような、起伏と陰影に富む②や、タイトルからしてRAIBOW時代を彷彿とさせるバラード⑤、そしてフィル・イハート(Ds)やロビー・スタインハート(Vio)らも参加して、70年代KANSASの再現が試みられている(そして達成されている)8分越えの大作ナンバー⑦といったドラマティックな楽曲の数々。
アメリカン・プログレ・ハード時代のKANSASにおいてケリーが果たした役割の大きさを実感させられると共に、本作発表後間もなく、彼がKANSASから離脱することになるのも「さもありなん」と納得の1枚。


KHYMERA - Hold Your Ground ★★★ (2023-05-30 01:03:48)

‘03年のデビューから、今年で活動20周年を迎えたFRONTIERS RECORDS発のメロディアスHRプロジェクトKHYMERAが’23年に発表した6thアルバム。
当初プロジェクトの仕切り役はダニエル・フローレスが担っていた筈ですが、いつの間にかその座はPINK CREAM 69のデニス・ワード(Vo)に交代。FRONTIERS関連でいえば、SUNSTORMもレーベルの意向により主役シンガーがジョー・リン・ターナーからロニー・ロメロにぬるっとチェンジしていて、それについてジョーが憤慨しているという記事をどこかで目にした覚えがあるなぁと。果たして「軒を貸したら母屋を取られた」状態の現在のダニエルの心情はいかばかりか?
…などと抜かしつつ、作品の出来さえ良けりゃ誰が制作に関わってるかはさして気にしない無責任リスナーの我が身的には、今作も内容には文句なし。つか、こと完成度に関しては本作は過去イチと言ってしまっても良いじゃなのでしょうか。アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、トミー・デナンダー、クリスチャン・フィール、ソレン・クロンクヴィスト、マイケル・パレス等々、「また君らかーい」ってなお馴染みの楽曲提供陣の仕事ぶりも相変わらず冴えまくり。捨て曲が見当たらないのは最早当然のこととして、アップテンポの曲調に乗せて哀愁のメロディが躍動する②、ヒット・ポテンシャル十分のドラマティックなバラード⑤、哀メロとハードネスが絶妙なバランスで配合された名曲⑧といった、年間ベスト・チューン・クラスの楽曲を複数収録しているのにも唸らされますよ。マンネリに陥るどころか、ここにきてプロジェクトの限界値を更に押し広げることに成功した感のある力作です。


KHYMERA - Khymera ★★★ (2019-02-08 00:27:06)

イタリアのプログレHMバンドEMPTY TREMORのKey奏者ダニエレ・リヴェラーニが、自身が主導したロック・オペラ・プロジェクトを通じて親交を深めたKANSASのスティーヴ・ウォルシュをシンガーに起用して、FRONTIERS RECORDSのバックアップの下、マイク・スラマーをプロデューサーに、ジョー・ヴァナ(MECCA)、トム・グリフィン(TRILLION)、ビリー・グリアー(STREETS)らをゲストに迎えて立ち上げたプロジェクトが、'03年に発表した1stアルバム。
ジョルジオ・モロダー、ジム・ピートリック、デヴィッド・フォスター、マーク・スピロ、ロビン&ジュディスのランドール母娘等、作曲陣も実力者が顔を揃えていますが、書下ろしの楽曲は殆どなく、本編は他アーティストに提供された既発メロディック・ロック・チューンの再録が中心。「カヴァー・アルバム」とも言える内容…と聞くと「ちぇっ、なんでぇ」と思われる方もいらっしゃるでしょうし、実際プロジェクトとしての真価は次作以降に譲りますが、それでもチョイスされているのがMR. BIGが映画『ネイビー・シールズ』のサントラに提供していたHRチューン②③、哀愁のヴァースからポップなサビへと盛り上がっていくメロディ展開が素晴らしい⑤、次々に表情を変えるメリハリの効いた曲展開が印象的な⑨、HARDLINEの名盤『DOBLE ECLIPSE』(’91年)収録の感動的な名曲として知られる⑪等々、いずれ劣らぬ逸品揃いな上、それをオリジナル・シンガー達にも負けないエモさでスティーヴ・ウォルシュが歌い上げてくれているわけですから、これで文句付けたらバチが当たるってぇもんですよ。
本作の好評を切っ掛けにKHYMERAが継続的プロジェクトとして始動することとなったのも得心する、ダニエレのセンスの良さが存分に発揮された1枚。


KHYMERA - The Greatest Wonder ★★★ (2021-09-01 23:57:41)

数多のバンドやプロジェクトにミュージシャン/ソングライター/プロデューサーとして関与するスウェーデン出身のマルチ・アーティスト、ダニエル・リヴェラーニ(Key)が中心となって立ち上げたメロハー・プロジェクト、'07年発表の3rdアルバム。
本作以外に自分の手元にあるKHYMERAのカタログは1stアルバムのみで、そちらはKANSASのスティーヴ・ウォルシュとビル・グリア、TRILLIONのトム・グリフィン、MECCAのジョー・バナといった有名(あるいは通好みの)ミュージシャンを起用して、メロハーの隠れた名曲――例えばMR.BIGが映画『ネイビーシールズ』のサントラに提供した“STRIKE LIKE LIGHTNING”とか――をカヴァーする、一夜限りのお祭りプロジェクト感が強く漂う作品でしたが、アルバム・リリースを重ねるうちにどんどんバンド感が強化されていったようで、今作では参加メンバーが固定され、シンガーはPINK CREAM 69のデニス・ワードのみ、収録曲も書下ろしの新曲ばかりとなっています。
クオリティに関してもVEGAのマーティン兄弟が楽曲提供を行っているだけに高値安定。ドラマティックな序曲①に続き清涼なメロディが美しく澄み切った青空へ溶けていくような②の時点で多くのメロハー・マニアが本作の完成度を確信できるのではないかと。ことにアルバム表題曲でもあるバラード⑧、爽やかな高揚感を呼び起こす⑨、デニスの伸びやかな歌声がメロディの美しさを引き立たせる⑫、憂いを帯びてラストを締め括る⑬といった本編ハイライト級の逸品が連続するアルバム後半戦の楽曲充実度は特筆モノです。
KHYMERAの旧譜は今となっては入手困難な物が多いのですが、もし見かけたら一聴をお薦めする1枚ですよ。


KHYMERA - The Greatest Wonder - Fight for Yesterday ★★★ (2021-09-03 01:14:41)

澄んだ青空へと向かって舞い上がり、そのまま溶け込んでいくような
飛翔感と高揚感を伴ったコーラス・ワークが絶品。
爽快なメロハーのお手本のような出来栄えで、
アルバムでも1、2を争う名曲ではないでしょうか。


KICK - SWEET LICK OF FIRE ★★★ (2019-07-22 01:06:04)

現VEGAのフロントマンであるニック・ワークマン(Vo)を擁し、IRON MAIDENのスティーヴ・ハリスが運営するBEAST RECORDSからデビューを飾ったイギリス出身の5人組、KICKが’01年に発表した2ndアルバム。
日本でもかなりレコード会社がプッシュしていたように記憶していますが(そのせいかジャケットに漢字があしらわれている)、残念ながらイマイチ人気は振るわなかったようで、今じゃ彼らのカタログは中古ショップの常連。自分もリリースから結構経ってから格安コーナーで売られていたのを250円で購入しましたよ。
しかし内容はこれが非常に素晴らしい!味気ないアートワークはオルタナティブ・ロックでも演っていそうな感じで、実際、重心を低めに構える音作りやアレンジ等からはそうした要素も感じられなくはないのですが、それにも増して、ブリティッシュHMバンドの面目躍如たる哀メロ・センスが全編に亘って冴えに冴えまくっています。ヘヴィに揺らめく前半から疾走へと転じる緩急の効いた曲展開を有する①⑪、哀愁を纏って駆け抜けていく②、既に確かな実力が備わっているニックの熱唱が哀愁を一層引き立てる⑥、猛烈な泣きを発散する⑨といった、英国の曇天模様を想起させる楽曲が胸を打つ一方、Keyを活かした爽やかな④や、ポップなバラード⑧のようなタイプの楽曲も収録することで、本編は豊かなグラデーションとメリハリを獲得。最後まで聴き手を飽きさせません。
どうにも過小評価されている(というか、バンドの音楽性が正しく伝わっていない)感のある隠れた秀盤。VEGAが楽しめる方ならこちらも是非どうぞ。


KICK - SWEET LICK OF FIRE - Time ★★★ (2019-07-22 23:57:09)

全体的に湿度高めのアルバムの中にあって、
曇天模様の雲間から差し込む陽光の如く爽やかさ。
本編中において良いアクセントになっている名曲です。


KIK TRACEE - No Rules ★★ (2018-12-30 09:00:49)

《ロックンロールの火を放て!女たちはヒステリックな悲鳴とともに下着を濡らし、男どもは興奮でつかみ合いと拳の応酬に身を焦がす》――ってな、飛ばしまくりの帯の惹句を読むと「80年代の作品かな?」と思わずにはいられませんが、実際はSLAUGHTERのディナ・ストラムのプロデュースを受け’91年に発表されているLAの5人組の1stアルバム。(というか唯一作?)
デビュー前からライブハウスで腕を磨き、名を上げ、レコード契約を勝ち取った連中だけに(バンド名も、ある時彼らの強力なライブ・パフォーマンスで狂乱状態に陥った女性ファンを他の客が蹴り出そうとしたことに因む)、逞しい演奏力と多彩な表現力に支えられたロックンロール・サウンドには、理屈抜きで乗せられてしまう(腰に響く)ワイルドなノリの良さが備わっています。ただ、「LIVING CLOURとTHE CULTとGUNS ’N’ ROSESを一つの煮えたぎる鍋にぶち込んでかき回してみるとKIK TRACEEになる」とのメンバーの言葉が明瞭に本作の音を説明してくれている通り、健康的な抜けの良さよりも、爬虫類系の声質でねっとり歌うVoやヘヴィな横ノリ・グルーヴが醸し出す妖しげなメロディ、ダークな雰囲気が勝る辺りは、やはり90年代の作品だなぁと。
正直、全15曲、64分オーバーの収録時間はハシャぎ過ぎたとしか思えませんし、アルバムで聴くよりもライブで体験した方が楽しめそうな作風ではあるのですが、それでも彼ら独特のメロディ・センスが活かされたOPナンバー①、サイモン&ガーファンクルのカヴァーを自己流に昇華してみせた②、土の香り漂うバラード⑥、ムーディな⑪等、優れた楽曲の数々がバンドの地力の高さをしっかりと伝えてくれる作品であることは確か。


KILLER - Fatal Attraction ★★★ (2021-02-02 00:09:48)

傑作『SHOCK WAVES』(’83年)を最後に、所属レーベルMAUSOLEUMの倒産に巻き込まれて解散状態に陥っていた「ベルギーのMOTORHEAD」ことKILLERが、新たにサイドGを加えた4人編成に生まれ変わり'90年に発表したカムバック作。
'90年といえば、HR/HMシーンはジャンルの拡散と細分化が進行し、ブルーズ・ブームが吹き荒れ、グランジ/オルタナ勢が台頭する等、新旧勢力図が大きく塗り替えられようとしていた時期。その激動の只中に投下された本作を一聴して思ったのは「こいつら全然変わってねぇな!」と。ガムシャラに突進するリズム、Gは喧しくリフを打ち出し、その上でショーティとスプーキーのツインVoが喚き倒す。バラードにゃ目もくれぬパワー・サウンドは、80年代前半から着の身着のままでタイムスリップしてきたような徒手空拳ぶり。ツインVoと聞くと、今だったらお耽美なソプラノVoとデス声による「天使と悪魔」「美醜の対比」をイメージするかもですが、KILLERのVoはどっちもオヤジ丸出しの塩辛声ですからね。
特に、疾走するリズムとスピード・メタリックなリフに乗って「ワチャー!」「ホワチャー!」と、ブルース・リーかはたまた『北斗の拳』のケンシロウかってな怪鳥音を轟かせながら突っ走るOPナンバー①、オヤジ声の二重唱を伴い埃っぽく突撃するMOTORHEAD愛ダダ漏れな③、ドラマティックな曲展開と熱い泣きのメロディが叩き込まれる⑤等は、ツインG+ツインVoという現行編成の強みを存分に活かした本作ならではのけたたましい名曲。
プロダクションが向上したら無闇矢鱈な迫力が薄れてしまったという物足りなさはありつつも、それを差し引いて余りある充実作ですよ。


KILLER - Fatal Attraction - Middle Ages ★★★ (2021-02-02 22:32:58)

スピード・メタリックなGリフに馬力溢れるリズム、
その上でオヤジVoがブルース・リーを憑依させたような
怪鳥音を響かせながら突進するアルバムOPナンバー。
開幕早々に勝負あったとなるカッコ良さですよ。


KILLER - Fatal Attraction - Steel Meets Steel ★★★ (2021-02-02 22:42:57)

力押しだけでない、KILLERの秀でたメロディ・センスが
堪能できる、男泣きのヘヴィ・チューン。
暑苦しいオヤジVoのデュエットと劇的に絡むツインGとが
むくつけき哀愁をより一層引き立ててくれていますよ。


KILLER - Shock Waves ★★★ (2012-07-03 22:59:30)

KILLER(もしくはKILLERS)を名乗るバンドはヨーロッパ各国に存在していて非常にややこしいのですが、こちらはベルギー出身のパワー・トリオがMAUSOLEUM RECORDSに移籍後の'84年に発表した3rdアルバム。
“ACE OF SPADES”ばりの爆走ナンバー①でアルバムの幕が上がる事に象徴されるように、「ハーモニー?知るかボケ!」とばかりにポール“ショーティー”ヴァン・カンプ(G)とスプーキー(B)が好き勝手豪快に歌いまくるツインVoに、埃っぽく騒々しく刻まれるGリフ&リズムを武器に押し出してくる、MOTORHEADやTANKといったバンドを彷彿とさせる無頼派荒くれサウンドが本作最大の魅力。
更にそこにロニー・J・ディオ時代のRAIBOWからの影響を感じさせる大作主義や、ドラマティックな曲展開を持ち込んでいるのがこのバンドの個性で、特に“KILL THE KING”を想起させる③(楽曲自体はそれだけに留まらない味わいを備えているのですが)と、“STARGAZER”風のドラム・イントロからスタートする劇的な⑦は、どちらもアルバムのハイライト・ソングたる存在感を放つ名曲。またスピーディな⑥も、KILLERならではのパワー感と勇壮なメロディとが巧みな融合をみた強力な逸品ですね。
このバンドの最高傑作にして、入門篇にも最適の1枚ではないかと。


KILLER - Shock Waves - In the Eye of My Gun ★★★ (2012-07-03 23:33:36)

イントロのドラムを聴いていると
“STARGAZER”でも始まるのか思ってしまいますが
曲自体はさほど“STARGAZER”に似ているわけではありません。
ハッキリと勢いよりも「聴かせる姿勢」が打ち出されており、
ここではショーティーがシンガーとして「上手さ」を
感じさせる歌声を披露しています。


KILLER - Shock Waves - In the Name of the Law ★★★ (2012-07-03 23:23:33)

ショーティーとスプーキーのツインVoがフィーチュアされていますが
ハーモニーとかには一切興味を示さず、2人して只ひたすら
力一杯歌いまくっている姿がいっそ痛快です。
(ちなみに若干声に潤いが感じられる歌声がショーティで、
酒焼けしたような親父声の方がスプーキー)
シャープな曲調はKILLER版“KILL THE KING”といった趣きですが
終盤でいきなり70年代HR調に展開して意表を突かれる。
しかし、これがまたドラマティックで素晴しい。


KILLER - Shock Waves - Richter Scale 12 ★★★ (2012-07-03 23:28:00)

“SHOCK WAVES”と並ぶ3rdアルバム屈指の
疾走ナンバーですが、こちらはよりヘヴィ・メタリックで
シャープな切れ味が特徴。
KILLERならではのパワーと、本作で強化されたメロディ・センスとが
上手いこと組み合わされていて、勇ましいGソロもカッコイイ。


KILLER - Shock Waves - Shock Waves ★★★ (2012-07-03 23:14:04)

猛烈なドラムの連打と、豪快なGリフ、
何だか「SHOCK WAVE!」としか歌ってないような気がしてくる
スプーキーの濁声Voとが怒涛の如く押し寄せる
アルバム表題曲兼OPナンバー。
夏に聴くとビールが進みますよ。


KILLER - Thriller ★★ (2023-07-19 00:35:18)

「フランス、ベルギー、ブリティッシュ、KILLER(KILLERS)に色々あるけれど~♪」と、『ド根性ガエル』主題歌の節付けて歌いたくなるぐらい同名バンドが多いKILLER。こちらはスイス出身のKILLERが’82年に発表した2ndアルバムです。
ゴキゲンに炸裂するAC/DC直系ロックンロール・サウンドが託された本編と、スプラッター映画のゴア・シーンを抜き出したような凄惨なアートワークの乖離がとんでもなかった1stアルバムに対し、今回のジャケットにはコート&ソフト帽姿でキメたシワクチャ顔面なオッサン怪人のイラストがフィーチュア。思わず「売る気あんのかよ?」とツッコミを入れたくなりますが、内容の方は前作同様にAC/DC路線を迷いなく驀進してくれています。
タテノリの明るいロックンロール・ナンバーと、欧州のバンドらしい泣きに満ちたメロウな楽曲の2タイプを軸に構成された本編は、同郷の偉大なる先輩KROKUSに通じる要素も山盛りで、クセの強いシンガーのカミソリ声もマーク・ストレイスからの影響が感じられなくもない…ような。
デビュー作に比べるとテンポが抑え気味になった分はっちゃけたエネルギーの発露は控えめながら、勇ましく刻まれるリフ&リズムをVoの高血圧シャウトが援護射撃するヘヴィ・メタリックな②や、演歌でも始まったのかと聴き紛うイントロからして猛烈に泣きまくるドラマティックな④、ライブじゃさぞかし盛り上がったであろう喧しい⑦等、「らしい」楽曲が要所を引き締め聴き応えは十分。
個人的には1stアルバムよりも聴き直す頻度が高めだったりする1枚ですよ。


KILLER - Thriller - Prisoner of the Night ★★★ (2023-07-20 01:22:42)

タテノリのロックンロール・ナンバーと共に
KILLERサウンドのもう一つの柱となっている
泣きのメロディを存分に堪能できる劇的なバラード。
イントロから演歌かと思うぐらい哀愁がダダ洩れってますよ。


KILLER DWARFS - Method to the Madness ★★ (2017-10-19 22:58:12)

メンバー全員が「ドワーフ」姓を名乗っていたことでも注目を集めた、カナダはトロント出身の4人組が’92年に発表した5thアルバム。ちなみに彼らのカタログは数年前までは(例え帯付でも)中古盤が安値で入手可能でしたが、先日過去作もチェックしようと思い立って調べてみたら、いつの間にか価格が高騰していて「一体何があったんだよ?」と。
そんなわけで、KILLER DWARFSのアルバムはコレしか所持していないため、以前の作品と聴き比べてどうこう言うことは出来ないのですが、とりあえず本作に託されているのはギミックに頼らないストレートなHR。Voがシャウト主体のラフな歌唱スタイルなこともあり、ロックンロール寄りの感触が無きにしも非ずという。これといったキメ曲に乏しい本編を初めて耳にした時は、失礼ながら「地味だ」とか思ったものですが、正統派のHRとしては無駄な力みがなく自然体。ロックンロールとしては埃っぽさや能天気なノリが控えめで、メロディからは透明感すら感じられるという、実にカナダのバンドらしいサウンドは、聴けば聴くほどにその旨みが浸透してきます。特にピアノの旋律がノスタルジックな哀愁を増幅させる抒情ナンバー③や、逆にハードに駆け抜ける疾走ナンバー⑫等はなかなかの出来栄え。また前作収録のアコギ・バラード⑬が再び収録されているのは、ゴッドの解説によれば、ラジオを中心にヒットの兆しがあったにも関わらずレコード会社の無策が原因で折角の機会を潰されてしまったことに対する彼らなりのリベンジの模様。
バンドは本作発表後間もなく解散。しかし'01年には再結成を果たし、その際にはお蔵入りしていた6th『STAR@ONE』もリリースされています。


KILLER DWARFS - Method to the Madness - Driftin' Back ★★★ (2017-10-19 23:05:35)

哀愁に満ちた曲調と、ピアノの調べが
そこはとなくノスタルジックな感傷を刺激する抒情ナンバー。
Voは丁寧に歌い上げるタイプではありませんが、
全力投球な歌いっぷりが案外マッチしているのではないかと。


KILLER DWARFS - Method to the Madness - Hard Luck Town ★★ (2017-10-19 23:13:54)

OPナンバーらしい快活なノリの良さを漂わせつつ
聴き進めるとブリッジを過ぎた辺りから
哀愁が滲み出して来るという、
バンドの個性が分かり易く表れた1曲。


KILLERS(FRENCH) (2020-01-24 00:34:45)

フランス南部のバルバドス出身で、'82年に結成。
'85年に1st『...Fils de la haine』でレコード・デビューを飾って以来、強固なファン・ベースを築き一度も解散することなく現在まで活動を継続。リリースしたアルバムはライブ盤含め20枚以上に及ぶご長寿HMバンド。
ちなみに彼らのカタログは、90年代に6thアルバム(+ライブ盤)までは新星堂から、所謂「わら半紙帯」を付けた国内仕様盤がリリースされていて、当時はフレンチ・メタルにさほど興味がなかったので、「なんか安っぽいなぁ」と買い逃してしまったことを未だに悔いています。


KILLERS(FRENCH) - ...Fils de la haine ★★★ (2020-01-24 00:38:43)

ポール・ディアノが率いたイギリスのKILLERS、ベルギーのKILLER、スイスのKILLER等々、似た名前のバンドは世界中に数あれど、こちらはフランスはバルバドス出身のKILLERS。本国では確固たる人気バンドの地位を築き、現在までに20枚近いアルバムを発表して活動を継続する彼らの記念すべきデビュー作('85年発表)がこちら。ちなみに、後に国内盤仕様のCDが発売された時の邦題は『憎しみの果てに』でした。
当時「フランスのACCEPT」と評されたという彼らのゴリ押しパワー・メタル・サウンドの魅力は、禍々しいイントロを蹴破って、ウド・ダークシュナイダーばりの金属シャウトVo、鼓膜を切り裂く鋭利なGリフ、猪突猛進リズムとが土砂崩れ気味に畳み掛けて来る、まるで「VENOMが演奏する“FAST AS A SHARK”」的迫力を誇るOPナンバー①に集約。音質は酷いもんですが、改めて聴いてもこのカッコ良さにはテンションガン上がりですよ。
それでいて、力押し一辺倒の無骨さのみが武器のバンドかと言えばそんなことはなく。押せ押せの楽曲の中にも緩急や劇的な曲展開がしっかりと息衝いており、仏語詞による柔らかな語感と憂いを帯びたメロディが相俟って、時にサウンドがそこはかとない「優美さ」すら発散する辺りは流石フランス出身バンド。基本バラードながら激しくアップダウンを繰り広げる③、葬送行進曲をイントロに据えて前半は抑え気味に、後半で一気にはっちゃけるバンドのテーマ曲⑥、そして直線的に突っ走りながらも、Voが印象的なメロディを滑らかに歌い上げる名曲⑦等は、そうした彼らの真骨頂が刻まれた逸品ではないかと。
80年代フレンチ・メタル・シーンの充実ぶりを裏付けてくれる名盤の一つです。


KILLERS(FRENCH) - ...Fils de la haine - Le fils de la haine ★★★ (2020-01-26 22:02:19)

ブラック・メタルでも始まりそうな禍々しいイントロを蹴破って
ドタバタと怒涛の勢いで突進を開始するOPナンバー。
Voの声質がウド・ダークシュナイダー似なこともあって
「1.5倍速で聴く“FAST AS A SHARK”」的な趣きも有り。
華麗に舞うGソロも聴きどころです。


KILLERS(FRENCH) - ...Fils de la haine - Mercenaire ★★★ (2020-01-26 22:11:03)

3分弱のタイトなランニング・タイムをひたすら直線的に突っ走る
スピード・メタル・チューンながら、フランス語の歌詞が生み出す
柔らかな感触(声質はオッサン臭いのに)と、Voが歌う憂いを湛えた
メロディの魅力とが相俟って、いっそ優雅な印象さえ受ける
独特の味わいの名曲に仕上がっています。


KILLERS(FRENCH) - Cités interdites ★★★ (2021-02-03 23:14:02)

80年代初頭の結成以来、メンバー・チェンジを繰り返しながら現在も活動中という、ブルーノ・ドルギー(G)率いるフランスのKILLERSが’92年に発表した、嘗て新星堂から発売されていた帯付輸入盤には『閉ざされた都市』なる邦題が冠されていた5thアルバム。
声がウド・ダークシュナイダー激似だった前任シンガーがいつの間にか脱退しており、後任として加入したVoはも少し柔軟に歌えるタイプ。それに合わせてか音楽性の方にも若干の変化が見受けられ、「フランスのACCEPT」と評された初期の馬力にあかせて走りまくるスピード・メタル・スタイルは後退。代わって機動力に富む2本のGが切れ味鋭く動き回り、シンガーが時折フランス産ならではの優美なメロディを歌い上げる(語感の柔らかさもそれに貢献)、よりスマートでメジャー感溢れる正統派サウンドへとシフトしています。
とはいえメタル以外の何者でもないサウンドに違いはありませんし、シーンがダーク&ヘヴィ一色に塗り潰されようとしていた'92年という時代を鑑みれば、この愚直に貫かれたオールドスクールっぷりは頼もしいことこの上なし。特にイントロで焦らした後、痒い所に手の届く2本のGに先導されて疾走する②のカッコ良さは相当なもの。憂いに満ちたメロディを重厚に聴かせる③、山あり谷ありの曲展開からジャーマン・メタルっぽさも漂う④⑦、タイト&キャッチーな曲調とクラシカルなGソロが印象に残る⑧等もなかなかですよ。
バカバカしいまでの迫力を誇った1stの頃の作風を恋しく思わないわけではありませんが、音質が向上し、好き者以外にもアピールし得るより普遍的な魅力を獲得した本作の方が、入門盤としては薦めやすいのかなぁと。


KILLERS(FRENCH) - Cités interdites - L'armée de la mort ★★★ (2021-02-05 01:03:11)

アコギによるイントロの焦らしを経てスタートするアルバムのOPナンバー。
馬力にあかせた猪突猛進ぶりが薄れ、リフにリードに切れ味鋭く
動き回るメロディックなツインGを活かして、よりシャープ且つスマートに
磨き上げられた正統派HMチューンとしての味わいが強く感じられる
KILLERSの新たな魅力が開花した名曲です。


KIM KYUNG HO - 00:00:1998 ★★ (2009-04-12 22:44:00)

HR/HM好きとして知られ、最近はSABER TIGERの木下昭仁(G)とコラボったEPも発売されている
韓国出身のソロ・シンガー、キム・ギョンホが'98年に発表した3rdアルバム。
全曲が韓国語で歌われ、歌詞カードを読んでもハングル文字が並んでいて、曲名すらチンプンカンプンな本作だが、
にも拘わらずしっかりと楽しめてしまうのは、声域/声量/表現力を兼ね備えたキム・ギョンホのエクセレントな
歌声によって紡がれる、胸を打つ哀愁に彩られた叙情メロディの魅力ゆえ。特に、美しいアコギとストリングスを
フィーチュアした③、本編のハイライト足るドラマティックな④、歌謡曲に通じる泣きメロに思わずコブシが回る⑥、
分厚いコーラスが印象的な⑧といった、ミディアム/スロー・テンポのバラード系ナンバーの出来栄えは絶品だ。
本国韓国では、ビジネス上の戦略からポップなサウンドを志向せざるを得ない状況らしいが、耳をつんざくハイトーン・シャウトで
幕が開く①や、イングヴェイばりのネオクラシカル・チューン⑥といった、ハードロッキンなナンバー(不似合いな⑪はどうかと思うが)
を収録して要所をグッと引き締める本作は、そんな彼のカタログの中では比較的ハードな作風を誇る1枚(らしい)。
キャリアの絶頂期を極めんとするキム・ギョンホの勢いが如実に反映された、HR/HMリスナー向きの充実作かと。


KIM KYUNG HO - Chepter Zero ★★ (2009-06-23 23:32:00)

韓国の実力派シンガー、キム・ギョンホがSABER TIGERの木下昭仁を曲作りのパートナーに迎えて制作した、
新曲(①④)、ソロ作のリメイク(②⑤)、そしてFIREHOUSEのカヴァー(③)で構成される5曲入りEP。
圧巻の歌唱力を誇るキム・ギョンホと、Gプレイ及び曲作りの上手さには定評のある木下の組み合わせゆえ、
クオリティが低い筈はなく、全5曲、何れも聴き応え十分の仕上がりながら、新曲に関して言うならば、フックの効いた
メロディの充実度は流石なのだが、全体的にヘヴィ過ぎるというか、やはりこの人にはバラード②のような
メロウな楽曲を情感たっぷりに歌い上げて欲しい、というのが正直な感想。慣れない英詞という事もあってか、
どうにも彼の歌唱が不完全燃焼に感じられ、ソロ作で聴けたような悶絶号泣モノの熱唱が炸裂する場面は少ない。
これなら無理に英語で歌わない方が良かったような・・・でも日本進出の為にはこうじゃなきゃ駄目なんだろうなぁ。
尤も本作は、全5曲というボリュームや、そのものズバリなタイトルからも明らかなように、日本のHR/HMリスナーへの
名刺代わりの作品でしかないわけで、フル・アルバムへの期待を高める意味ではキッチリと役割を果たしていると言える。
そんなわけで、早くフル・アルバムを作ってね。


KIMBALL JAMISON (2013-02-17 02:05:07)

ラッセル・アレンとヨルン・ランデによるALLEN/LANDEといい、マイケル・キスクとアマンダ・ソマーヴィルによるKISKE/SOMERVILLEといい、シンガー同士をコラボさせることにも熱心なFRONTIER RECORDSの後押しを受けて立ち上げられた、TOTOのボビー・キンボールと、SURVIVIORのジミ・ジェイミソンによるボーカル・プロジェクト。
ちなみにプロデューサーはマット・シナー(Bも兼任)で、バックを固めるのもアレックス・バイロット(G)にジミー・クレシック(Key)ら、彼の人脈に連なる面子で固められています。


KIMBALL JAMISON - KIMBALL JAMISON ★★★ (2013-02-17 02:06:16)

'12年に発表されたジミ・ジェイミソンのソロ作『NEVER TOO LATE』が非常に優れた出来栄えだったので、今更ながらこちらも落穂拾い。
名前からも分かる通り、TOTOのボビー・キンボールとSURVIVORのジミ・ジェイミソンという大御所2人によるメロハー・プロジェクトで、FRONTIER RECORDSのバックアップを受けて'11年に発表された本作は、そのデビュー作。
SINNER~PRIMAL FEARのマット・シナーがプロデュースを担当し、WORK OF ARTのロバート・サール、ECLIPSEのエリック・マーテンセンら辣腕ライター達が腕を振るう本作は、全編、ボビーの艶やかな歌声と、ジミの太く逞しい歌声が映えるスケールの大きなメロディアスHRサウンドが貫かれています。
どっちのソロ・アルバムとしても十分通用しそうな作風は、裏を返せば別にデュエットする必要性もあんま感じられなかったりもするのですが、まぁそんな野暮なことは言わず、素直にこのゴージャスな競演と、彼らが歌うに相応しいハイクオリティな楽曲の数々を堪能するのが吉というもの。
個人的には、①④⑪といったハード且つドラマティックな楽曲がお気に入りなのですが、中でもハイライト・ナンバー推したい名曲④を手掛けているのがジム・ピートリックってのも、SURVIVORファン的には嬉しいものがありますねぇ。
是非、今後とも継続して欲しいプロジェクトであります。


KIMBALL JAMISON - KIMBALL JAMISON - CHASING EUPHORIA ★★★ (2013-02-17 23:37:40)

ジム・ピートリック作曲の力強くシャープなHRナンバーで、
これが「アルバムのハイライト!」と太鼓判押したくなるカッコ良さ。
ボビー・キンボールとジミ・ジェイミソンの歌唱はどっちも個性が強過ぎて、
「ハーモニー」と評せるほど調和が取れているわけではないのですが
ご両人とも非常に気持ち良さげに熱唱しておられ、
これはこれで味が合って良いのではないか?と。
いや本当に。


KIMBALL JAMISON - KIMBALL JAMISON - KICKING AND SCREAMING ★★★ (2013-02-18 20:53:28)

W.E.T.等への楽曲提供もしているエリック・マーテンソンと
ミカエル・パーソンのペンによる楽曲で、
タイトルに相応しいハードネスを効かせつつ、
悲哀を帯びてドラマティックに盛り上がる曲調が
「流石!」と膝を打つ素晴しさ。


KIMBALL JAMISON - KIMBALL JAMISON - WORTH FIGHTING FOR ★★★ (2013-02-18 20:56:23)

WORK OF ARTのロバート・サール提供曲。
爽快にして壮大。
聴き手を一気にアルバムへと惹き込んでいく
求心力を備えた、まさしくOPナンバーに
相応しい貫禄を漂わす逸品です。


KING DIAMOND ★★★ (2013-10-15 23:28:07)

今年のラウド・パークは行くつもりがなかったので
ラインナップをろくに調べてもいなかったのですが、
中古盤屋に貼られていたポスターを見てびっくり。
2日目のトリを務めるのはKING DIAMONDなんですね。
攻めてるなぁ、主催者。
 
ちょっと行きたくなってきましたよ。


KING DIAMOND - Deadly Lullabyes “Live” ★★★ (2016-10-05 23:41:49)

LOUD PARKの予習用に購入した2枚組ライブ盤。尤も、ご存知の通り来日はドタキャンされ、HR/HMファンの間でキング株が大暴落したことは記憶に新しいところです。本作については当初売却も考えたものの、しかし聴けば聴くほど素晴らしい内容なんですよ、これが。今じゃすっかり愛聴盤と化してしまい、「手放すなんてとんでもない!」と。
個人的にKING DIAMONDの楽曲と言うと、プログレ・メタルばりに凝ったアレンジ&複雑怪奇な曲展開のイメージが強かったのですが、ライブで聴くと、(そうした要素を当然内包しつつも)ツインGの劇的なハモリが散りばめられた楽曲は、もっとストレートに疾走感とアグレッションが強調されていて、正統派HM然としたカッコ良さがダイレクトに伝わって来ます。無論、高音と低音を忙しなく行き来する「一人ノリツッコミ」みたいなキングの面妖な歌唱と、手練れ揃いの楽器陣により醸し出される、ホラー映画のサントラに通じる不穏且つ怪しげな空気も、例えライブと言えども微塵も損なわれてはいませんが。
いきなり名盤『ABIGAIL』収録曲の連打で会場のボルテージをMAXまで引き上げるDISC-1、初期の代表曲乱れ打ちのDisc-2、そのどちらも素晴らしく、特にメンバー紹介を挟んでスタートする“HALLOWEEN”前後の盛り上がりは圧巻。この曲に限らず、終始コーラスを歌いまくり、隙あらば「ダイアモンド!ダイアモンド!」コールを繰り返す観客の熱狂も相当なもので、そりゃキングさんだって「アンビリーバボ、メ~ン!」と感動しますわなと。
来日キャンセルの件を聞いた当時、実は大してガッカリしてなかったんですが(熱心なファンでもないので)、本作を聴いてしまった後では、やっぱりライブ見たかったなぁ!と思わざるを得ませんよ。


KING DIAMOND - Fatal Portrait - The Candle ★★★ (2010-09-08 22:18:51)

雰囲気たっぷりのイントロといい、
キングの薄気味悪い歌唱といい、
個人的に「KING DIAMOND」と聞くと
この曲の事が思い浮かびます。

学生時代、カセットテープにダビングして
コンビニの夜勤に行く途中でこの曲を聴いていたら、
夜道がとても恐ろしく感じられて仕方ありませんでした。


KING KOBRA - II ★★ (2019-03-12 00:08:28)

忘れた頃に新作を届けてくれる復活KING KOBRAが'13年に発表した5th。だのにタイトルが『Ⅱ』なのはカーマイン・アピスお爺ちゃんがボケちゃったから…ではなく、オリジナル・メンバーが再結集(シンガーを除く)して作った2枚目のアルバムという意味なのだとか。
シンガーは今回もポール・ショーティノ。実力はとうの昔に証明済みの本格派ながら、タイプ的にはブルージーでソウルフルな歌い回しを得意とする人。オリジナルVoのマーク・フリーとは声質から歌唱スタイルまで大きく異なるので、こちとら「ミスキャストだわー」とテンションだだ下がりで、発表当時は購入スルーを決め込んでしまいましたよ。
しかし本作、そうしたこっちの不見識を嘲笑うかの如く出来が良い。ショーティノの資質に合わせたのか、全体的に埃っぽさを増したHRサウンドは、メンバーのパフォーマンスの成熟具合と相俟って実に味わい深く、それでいて年齢相応に落ち着いてしまったわけじゃないことは、カーマイン総帥のパワフルなDsに引っ張られて疾走する“READY TO STRIKE”風OPナンバー①や、アップテンポの⑦といったエネルギッシュな楽曲のカッコ良さが証明してくれている通り。全体的に収録曲の出来・不出来にムラがあるものの、ダレそうになると、遊び心を感じさせる④、女性コーラスをフィーチュアしたソウルフルなバラード⑤、壮大な盛り上がりを呈する⑪といった佳曲で場を引き締めに掛かる卒のない手腕は、流石ベテラン・バンドといったところ。
ジャケットに漢字で「蛇」と書かれているせい…というわけでもないのでしょうが、時折WHITESNAKEっぽさも感じられる正統派HRの秀盤に仕上がっています。


KING KOBRA - II - Hell On Wheels ★★★ (2019-03-12 00:20:25)

カーマイン・アピスの年齢を感じさせない
豪快なドラミングに先導される形で疾走するOPナンバー。
曲作りの際に念頭にあったのは間違いなく名曲“READY TO STRIKE”だと思いますが
ポール・ショーティノの熱唱、勇ましくもキャッチーなコーラス、
アグレッシブに切り込んでくるGと、安易な焼き直し感は皆無。
このレベルの楽曲が生み出せるのならKING KOBRAはまだまだイケル!
と思わせてくれるに十分なカッコ良さですよ。


KING KOBRA - Ready to Strike ★★★ (2015-09-14 23:20:31)

個人的に「昭和の三大コブラ」と言えば、アントニオ猪木のコブラツイスト、マリオン・コブレッティ刑事、そしてこのKING KOBRAで決まりですよ。(次点は『ベストキッド』のコブラ会)
LAメタルの盛り上がりを目の当たりにしたカーマイン・アピスが「乗るしかない、このビッグ・ウェーブに!」と結成したKING KOBRAは、集められた野心に燃える新人メンバー(後にそれぞれ確固たるキャリアを築く腕利き揃い)全員を金髪で固め、カーマインを含むグループショットが「金色毬藻に囲まれたウニ一匹」みたいな様相を呈するビジュアル戦略も話題を呼んだような呼ばなかったような。
しかし何より彼らを語る上で欠くことが出来ないのが、'85年発表のデビュー作たる本『READY TO STRIKE』と、その幕開けを劇的に飾るアルバム表題曲の存在。キャッチーなVoメロディ、印象的にハモるツインGを散りばめた、疾走感溢れる曲調にドラマティックな曲展開・・・これぞまさしくLAメタル史に燦然と輝く至高の逸品。HR/HMファンなら避けては通れぬ名曲ではないかと。
昔はこの曲ばかりヘヴィロテしていたものですが、それ以外の収録曲にしても、アリーナ・ロック然としたスケール感を有するサビメロが秀逸な②、ハード・ドライヴィンな⑥、哀愁溢れる⑨等、十分に魅力的。いずれも“READY~”とは方向性が異なりますし、同曲の衝撃の前に存在が霞みがちってのは確かなんですけどね。
90年代に一度CD化されたきりで、中古屋じゃ手の出し難いプレミア価格で売られている本作を見かけるにつけ、ぼちぼちこの名作の国内盤をリマスター再発するべき時期が来ているのではないでしょうか!?と。(カーマイン・アピス総裁考案「コブラのポーズ」を決めながら)


KING KOBRA - Ready to Strike - Ready to Strike ★★★ (2015-09-19 01:46:20)

KING KOBRAの代表曲なのですが
バンドやアルバムの音楽性の核心を表した楽曲なのかといえば
実はそうでもないという。
しかし、マーク・フリーが熱唱するキャッチーなメロディに、
カーマイン・アピスが叩き出す心地良く乗れるビートから、
印象的にハモるツインG、それらに導かれるドラマティックな
曲展開に至るまで、問答無用の名曲であることは疑うべくもありません。


KING KOBRA - Thrill of a Lifetime ★★★ (2018-04-03 23:48:09)

「人工甘味料チックなイケメン4人と成分無調整のオッサン1人」というビジュアル戦略や、楽曲のクオリティも万全だったのに、なぜかデビュー作『READY TO STRIKE』がコケてしまったカーマイン・アピス率いるKING KOBRA。万全過ぎたイメージ戦略が逆に「作られたバンド」感を強調してしまい足を引っ張ったのか…。ともかく、その失敗を踏まえた'85年発表の本2ndアルバム(邦題『街角のスリル』)では音楽性を転換。HR/HM色を薄めた代わりに、Key類やポップなメロディが大幅増量された、AOR/産業ロック方向へと大きく舵を切ったサウンドに仕上がっています。
映画『アイアン・イーグル』主題歌⑥はともかく、ラップ調の⑦まであったりする節操のなさは如何なものかと思いますが、聴き進めていくと実は本編後半では、哀愁を帯びて駆け抜ける隠れた名曲と言うべき⑧や、キャッチーなコーラスがライブ映えしそうな⑨、ノリノリで最後を締め括る⑩といったハードな疾走ナンバーが連続。これにはバンド側の「ポップに日和ったと侮んなよ?」との意地や矜持が垣間見えるようで好感度が上がります。勿論、アルバム前半で固め打ちされるハードポップ・チューンだって、爽やかに吹き抜けるOPナンバー①、Gが歌う②、明るく弾む③等いずれも質が高く、何よりマーク・フリー(Vo)の伸びやかでソウルフルな歌声は、この手の楽曲においても絶品の味わいを発揮してますよ。
LAメタルを代表する1stの表題曲級のインパクトを有する名曲は見当たらなくとも、総合的なクオリティでは前作に決して引けを取らない1枚。ただ残念ながら本作もさっぱり当たらず、一先ずバンド活動にはこれで幕が降ろされてしまうのですが…。(現在は再結成済)


KING KOBRA - Thrill of a Lifetime - Overnight Sensation ★★★ (2018-04-08 00:52:24)

この前の曲がラップ調の楽曲で「ちょっと勘弁してよ」と
挫けそうになったメタル魂を、一気に奮い立たせてくれる
ハード・ナンバーにして、本編後半の反転攻勢の口火を切る
2ndアルバムのハイライト的名曲。


KINGDOM COME - Twilight Cruiser ★★★ (2019-04-26 00:32:30)

なまじ売れたばかりに「LED CLONES」としてLED ZEPPELIN信奉者から袋叩きの目に遭ったKINGDOM COME(「ZEPなんか聴いたことない」発言がそれに拍車を掛けたようですが、あれはインタビューの一部のみを恣意的に切り取られてしまったのだとか)。吹き荒れる逆風とセールスの伸び悩みが相俟って、その後まもなくバンドは崩壊。失意のうちにドイツへと戻ったリーダーのレニー・ウルフ(Vo)のソロ・プロジェクトとして新たに再編されたKINGDOM COMEが、'98年に発表した5thアルバムがこちら。
本作で披露されているのは、ブルーズ色(LED ZEPPELIN風味)はぐっと薄まった都会派HR。グランジ/オルタナ・ロックがHR/HMシーンを席巻していた時節柄、作品全体を仄暗く内省的な雰囲気が覆い、ところどころでモダン(当時基準)なアレンジも顔を覗かせますが、シャウトしてもどこか物悲しいレニーの憂いを孕んだハスキー・ボイスと、冷ややかな哀メロに彩られた楽曲には意外なぐらいそうした作風がマッチしているという。特に、じっくりコトコト煮込むかの如く盛り上がっていく6分越えのドラマティックな大作曲③と、VoとGが欧州バンドらしい猛烈な泣きを発散するバラード④は胸に沁みる名曲。そこからHR然とした疾走ナンバー⑤や、爽やかな⑥へと繋いでいく流れも巧妙ですよ。
KINGDOM COME以上にSTONE FURYを愛する身としては、「90年代エキスの注入された『BURNS LIKE A STAR』的な楽しみ方だって出来なくもない本作は、意外なぐらいツボにハマった1枚でした。哀メロ派の方なら、これをKINGDOM COME入門盤にするのだって全然有りなんじゃないでしょうか?


KINGS-EVIL - Deletion of Humanoise ★★ (2006-12-29 15:49:00)

全く予備知識なしに購入した、日本の逆輸入スラッシュ・メタル・バンド、'01年発表の1stアルバム。
メロディ無視の高音わめき型Voやチリチリと歪んだGリフは、なるほど、KREATORやDESTRUCTIONといった
80年代のジャーマン・スラッシュ・メタル勢を彷彿とさせる(それを現代的にアップデートした感じ?)が、
あそこまでの毒々しさはなく、寧ろ良い意味で非常に聴き易いサウンドに仕上がっている。
小気味良く疾走するリズムに乗って刻まれる、ヨーロピアンな湿り気を含んだリフはかなりキャッチーだし、
何より、2人のギタリスト(兄弟?)によって紡がれる、劇的且つメロディックなGソロが最高に素晴しい。
痒い所に手の届く、ツボを突いたメロディ展開が魅力のこのツイン・リードは、始まった途端に
曲のテンションを大きく跳ね上げる、アルバム最大の聴き所にして、このバンドの強力な武器。
あとは、本編に「ここ!」という山場が乏しいためか、クオリティの高さの割りに一聴しての
インパクトがそれほど強くない・・・という弱点さえ改善されれば、次はとんでもない傑作を作ってくれそうな予感。


KINGS-EVIL - Sacrosanct ★★★ (2012-04-14 14:56:14)

ツインGコンビとして、バンドの中核を担って来た聖迪(G)と渉(VO,G)の山田兄弟が袂を分かつ等の紆余曲折を経て、'11年に発表された2ndアルバム。(でもブックレットには兄弟の写真が載っている・・・どういうこと?)
それにしても、VADERやHOLY MOSESの日本公演のオープニング・アクトを務めたりとコンスタントにライブは行われていたので活動を継続していることは分かっていましたが、まさかデビュー作との間が10年も空くことになろうとは一体誰に予想できたでしょうか?
ノイジーで破壊的なサウンド・プロダクションの下、耳を劈くカミソリ・シャウトVo、ジリジリとした音色で刻まれるササクレたGリフ、激烈に荒れ狂うリズム・セクションとが、全てを薙ぎ倒さんばかりの勢いで猪突猛進するバタ臭いスラッシュ・メタルという基本スタイルそのままに、ますます研ぎ澄まされた疾走感、格段に逞しさを増した音の太さと突進力からは、10年間のブランクをきっちりとクオリティに反映させたバンドの成長振りがしかと伝わってきます。
往年のKREATORばりに狂い咲く③、EXODUSに通じるタテノリのグルーヴが痛快な④、練られたGソロをフィーチュアして突っ走る⑨等、我が家のおんぼろスピーカーを粉砕せんばかりの勢いで炸裂するスラッシュ・ソングが次々に畳み掛けて来る凶暴極まりない1枚。
体力勝負を強いられるので、万全の体調の時にお聴き下さい。


KINGS-EVIL - Sacrosanct - Bind Toture Kill ★★★ (2012-04-16 21:34:58)

タイトルからしてKREATORっぽいですが、
実際曲の方も、禍々しさを撒き散らすVoに
息吐く暇なく吹き荒れる暴風の如くリフ&リズム、
突き刺さってくるかのようなGソロ・・・と
80年代のKEREATORを更に先鋭化させたかのような
高速スラッシュ・ナンバー。


KINGS-EVIL - Sacrosanct - Hollow the Pledge ★★★ (2012-04-16 21:41:27)

LIMITED EDITIONのみに収録された
ストレートな高速スラッシュ・ナンバーですが、
これが限定収録なのが勿体ないほど強力な出来栄え。
攻撃的でありながら、しっかりと組み立てられた
Gソロも良いアクセントとなっていますね。


KINGS-EVIL - Sacrosanct - Retaliation for the Wretch ★★ (2012-04-16 21:38:52)

ヨーロピアン・スラッシュ風味の前曲“BIND TOTURE KILL”から
一気に大西洋を飛び越えて、この曲はベイエリア・スラッシュ風味。
弾むように疾走するタテノリのリフ&リズムを聴いていると
自然と体が動き出します。


KINGSTON WALL - II ★★★ (2016-01-14 23:51:50)

生前、たまたま本作の「出て来いシャザーン!」「パパラパー!」みたいなジャケットを目にした田舎の婆ちゃんが「アラビヤン・ナイトの世界のようだ」との感想を述べた(“ヤ”の発音がいかにも明治生まれ)、フィンランドのプログレッシブ・ロック・トリオが'93年に発表した2ndアルバム。
同時期に目覚しい躍進を遂げたDREAM THEATERが、プログレとHMの融合を図りモダンさを打ち出していたのに対し、こっちは超絶テクニックや精緻な構築感よりも、Voの素朴な歌唱や、空間を活かした感覚重視の楽曲設計、あと曲によってはヴァイオリン、鳴り物もフィーチュアする等、往年のプログレッシブ・ロック・サウンドをより忠実に継承しているとの印象です。
但し、アートワークの世界観を反映させ大量導入されたエスニックなメロディ並びにリズム・ワークが、本作の個性を際立たせると共に、楽曲の輪郭を明瞭に保ち、サイケ色や大作主義を打ち出した本編に散漫さ/冗長感が発生することを防止。また、カラッと抜けの良い曲調と弦楽器の調べがKANSASを思わす②を演ったかと思えば、⑧ではムーディに泣いてみせたり、スパニッシュ・タッチの⑨があったり・・・と、確か演奏技術と表現力を有するメンバーのバックアップも実に的確です。(ディスコの女王の名曲⑦も、見事自分達色に染め上げてカヴァーしてます)
ゼロ・コーポレーションからリリースされたプログレ系の作品の中でも、トップクラスの品質を誇る1枚ではなかったでしょうか。


KIP WINGER - From the Moon to the Sun ★★★ (2018-03-12 23:38:46)

WINGERは初期作しか知らず、熱心なファンとは言い難い身ゆえ、その中心メンバーたるキップ・ウィンガー(Vo)の2枚目のソロ・アルバム(’08年発表)と言われても「ふーん…」と然程ありがたみを感じなかったのが実際のところ。しかし本作を聴いてクオリティの高さにビックリさせられるや否や、速攻で「キップ、ありがとう!」と手のひらをくるり。
とは言え、合唱を誘われるキャッチネスやライブ映えするノリの良さといった、華やかな80年代ポップ・メタル要素を期待すると、肩透かしを食いかねないサウンドなので注意は必要かと。スケールの大きなドラマティックな楽曲から、BEATLES風、エスニック風、中には映画音楽風インスト曲まであったりと本編は非常にバラエティに富む反面、ここで披露されているのはG以上にシンセやピアノ、オーケストレーションといった要素が印象的な、モダンでムーディでシリアスなポップ・ロック。収録曲はいずれもHR/HMとは距離を感じさせつつも、重層的なコーラスの重ね方から残響音の一つに至るまで、微に入り細を穿つキップのアーティスティックな拘りに貫かれた本編はそれでも聴き応え十分。
マカロニ・ウェスタン風のテーマ・メロディを持つ①、メランコリーなピアノが効果的な④、美しく重厚なハーモニーに聴き惚れる⑥、プログレ・エッセンスも感じられる劇的な⑩、静謐にアルバムを締め括る⑬等々…。アートワークの世界がそのまま音へと転化されたような、深遠に響き渡る抒情メロディと、何よりそれを歌い上げるキップのVoが非常にエモーショナルで感動的。この人こんなに歌が上手かったんだ?と、失礼な感想を抱いてしまうぐらいでしたよ。
キップの他のソロ作や、再結成以降のWINGERのアルバムもチェックしたくなる1枚。


KIP WINGER - From the Moon to the Sun - One Big Game ★★★ (2018-03-12 23:50:13)

物憂げにたゆたう抒情メロディと気だるげに鳴らされるサックス、
聴き進めるに従って徐々に熱を帯びて曲展開等
何となくKING CRIMSON的なプログレ・テイストも感じられる名曲。


KIP WINGER - From the Moon to the Sun - Pages and Pages ★★★ (2018-03-12 23:44:30)

ピアノが奏でるメロディだけ拾っていくと
何やら久石譲テイストっぽさも感じられるバラード。
静謐に染み渡る哀切なメロディを、
エモーショナルに歌い上げるキップ・ウィンガーの
深みを湛えた歌声にうっとりですよ。


KISS - Creatures of the Night ★★★ (2021-12-30 00:57:59)

アルバム・セールスの不振、メンバーの相次ぐ離脱、長年連れ添ったビル・オーコインと袂を別ち、次作以降メイクをやめ素顔で活動していくことになる等、転換期を迎え苦境に喘いでいたKISSが’82年に発表した10thアルバム。邦題は『暗黒の神話』。
アメリカにおけるHMブームの胎動を敏感に察知したのか、KISSのカタログの中でも一際メタリックに磨き上げられたサウンドが託されている本作。ジャケには載ってるけどレコーディングには不参加のエース・フレーリーの後任として、新たにバンドに加わったヴィニー・ヴィンセントの新世代ギタリストらしいテクニカルで華やかなGプレイ(但し本編には彼以外にも複数のセッション・ギタリストが参加)と、エリック・カーの打撃の重いドラミングもこの新たな方向性に合致しています。
ポール・スタンレーの攻撃的なシャウトを伴って力強く開幕を告げるアルバム表題曲①、個人的に本作のハイライトの推したい重厚にしてキャッチーな④、全日の殺人魚雷コンビ(スティーヴ・ウィリアムス&テリー・ゴディ)の入場テーマとして知られた⑤、エリックのドラミングが劇的な曲調を一層盛り上げる名バラード⑧、現在もライブにおけるジーン・シモンズの火吹きソングとしてお馴染みの⑩等、本編にはエッジの効いたGリフとダイナミックに駆動するリズムによって、これまで以上に輪郭がソリッドに研ぎ澄まされた印象的な楽曲がズラリ揃っています。
低迷期の作品ということであまりスポットライトの当たる機会に恵まれていない印象なれど、KISSが80年代をサバイヴする上で絶対に作る必要があった1枚であり、個人的にも彼らのアルバムの中で聴き直す頻度の高い愛聴盤であります。


KISS - Creatures of the Night - Danger ★★★ (2021-12-31 02:03:20)

エリック・カーのアタッキーなドラミングが
勇ましい曲調をより一層盛り上げる名曲。
デイーンジャ!デイーンジャ!と思わず一緒に
歌わずにはいられないキャッチーなコーラスも素晴らしい。


KISS - Creatures of the Night - I Still Love You ★★★ (2021-12-31 02:11:10)

ポールの熱唱に、泣きのギター、そしてエリック・カーの
曲調を劇的に盛り上げるドラミングといい、それまでKISSに
対して抱いていたイメージを一変させられ「ちゃんとKISS聴いてみよう」
と決意する切っ掛けともなった個人的に想い出の名バラード。


KISSIN' DYNAMITE (2011-05-29 20:10:47)

昨今デビューが相次ぐ、所謂「NWOTHM」系バンドの中にあって、個人的に最も強いインパクトを受けたのが、ドイツはシュツットガルト出身のこの5人組。
デビュー作『STEEL OF SWABIA』('08年)の国内盤も出してくれないものか。


KISSIN' DYNAMITE - Addicted to Metal ★★★ (2011-05-29 20:12:52)

日本デビュー作ともなった'10年発表の2ndアルバム。
メンバーの派手なビジュアルが目に付くが、演ってる音楽は、粒子の粗い灼熱声が聴く者のメタル魂を鼓舞するVo、JUDAS PRIEST~ACCEPT直系の劇的なリフの刻みからユニゾン・プレイまでこなすツインG、そして重厚なビートを叩き出すリズム隊とが一丸となってパワフルに躍動する、非常にオーセンティックな正統派HM。
溌剌としたノリの良さと、欧州のバンドならではの哀メロ&ドラマ性を併せ持った楽曲はすこぶる強力なフックを有し、特に、一度聴いただけで口ずさむ事が出来るサビメロのキャッチーさは出色。
例えば、ウド・ダークシュナイダーがゲスト参加しているアルバム表題曲①なんて、下手なバンドが演った日にゃ大味感もろ出しになりかねないアンセム調のへヴィ・ナンバーなのだが、この手の楽曲にもメロディにグッとくる「憂い」を忍ばせてフックを構築するセンスには、本当に新人バンド?と思わず問いかけたくなるほど老練な手腕が光る。
DAMN YANKEESの名曲④(しっかりと自己流に昇華している好カヴァー)を含む本編前半の素晴しさも然る事ながら、圧巻は、緩急の効いたドラマティックな⑥、MANOWARばりの大仰さを誇る⑦・・・といった具合に劇的な楽曲が連続する本編後半の怒涛の盛り上がりっぷり。
是非ともライブが見てみたくなる逸品ですね。


KISSIN' DYNAMITE - Addicted to Metal - Addicted to Metal (feat. Udo Dirkschneider) ★★★ (2011-06-02 21:37:30)

ウド・ダークシュナイダーがゲストVoとして
参加している2ndアルバムのリーダー・トラック。
まさにACCEPTタイプの重厚なミドル・テンポの楽曲で、
思わずコブシを振り上げながら一緒に歌いたくなる
覚え易いサビメロが秀逸。
それでいて単純過ぎることなく、メロディにフックを
効かせているあたり、このバンドが只者じゃねえ!
と思わされます。


KISSIN' DYNAMITE - Addicted to Metal - All Against All ★★★ (2011-06-03 22:36:06)

JUDAS PRIEST、ACCEPT、MANOWARといった
漢メタルのエッセンスを濃厚に受け継いだ、
思わず力瘤る劇的なメタル・ナンバー。


KISSIN' DYNAMITE - Addicted to Metal - Hysteria ★★★ (2011-06-03 22:33:04)

EDGUYあたりが演りそうな重厚でダイナミックなHMナンバー。
メタル魂を燃焼させるような、胸焦がすVoの歌いっぷりが見事。


KISSIN' DYNAMITE - Money, Sex & Power ★★ (2012-04-18 07:21:58)

80年代メタルからの多大なる影響を基本に据えつつ、そこに独産メタルならでは重厚感を加え、更に新人バンドらしいフレッシュな感性で仕上げられた2nd『ADDICTED TO METAL』('10年)がここ日本でも評判となった、ドイツはシュヴァーベン出身の5人組が'12年に発表した3rdアルバム。
Voの熱い歌声、リフにリード、ユニゾンからソロまで劇的にこなす2本のG、堅牢にボトムを支えるリズム隊といった、前作でこちらの耳を捉えたエレメントはしっかりと保持しながらも、今回はACCEPTやMANOWARっぽさを減少させ、その分溌剌としたアメリカン・メタリックなノリの良さを強化。これをどう受け止めるかで本作に対する評価は分かれるかな?
個人的な好みを正直に申さば、ドラマ性の薄れた作風にはやや物足りなさを覚えた口なのですが、それでも強力なフックを有するメロディ作りのセンスは相変わらず冴えており、分けても各楽曲を彩るキャッチーなサビメロはここでも健在。
表題曲にしてアルバムのリーダー・トラックたる①はKISSIN' DYNAMITEというバンドの個性を如実に伝えるナンバーですし、思わずシンガロングを誘われる②、HELLOWEENの“I WANT OUT”を彷彿とさせる④、パワフルに炸裂する⑤といった秀曲が並ぶ本編前半には、聴き手を惹き込むだけの力強さが宿る。
ただ彼らの実力を勘案すると、アルバム後半に核となる楽曲があと1つくらいあって欲しかったかな・・・と、つい注文を付けたくもなるのですが。


KISSIN' DYNAMITE - Money, Sex & Power - Dinosaurs Are Still Alive ★★★ (2012-04-21 00:25:10)

タイトル通り、恐竜風の嘶きを上げるGが
印象的なミッド・チューン。
全体的にロックンロール風味が増量された印象のある
3rdアルバムの中にあって、この曲の
力強く重厚な存在感は耳を捉えるものあり。
胸の内のメタル魂に火を点されるVoの熱唱が熱い!


KISSIN' DYNAMITE - Money, Sex & Power - I Will Be King ★★ (2012-04-21 00:27:57)

パワフルなロックンロール・ソング。
思わず合唱を誘われるサビメロに
このバンドの曲作りの上手さが
よく現れています。
ライブで演ったらさぞかし盛り上がるんだろうなぁ。


KISSIN' DYNAMITE - Money, Sex & Power - Money, Sex & Power ★★★ (2012-04-21 00:13:58)

前イタリア首相の乱痴気パーティ
「ブンガブンガ」に着想を得たと思われるOPナンバー。
こんなタイトルですが、独産パワー・メタリックな
重厚感と、アリーナ・ロック調のスケール感、
そして強く耳を捉えるキャッチーなサビメロとを兼ね備えた
このバンドの魅力を判り易く伝える名曲です。


KISSIN' DYNAMITE - Money, Sex & Power - Sex Is War ★★ (2012-04-21 00:20:24)

パーティロックっぽいタイトルですが、
ストレートに押してくる引き締まったHRナンバー。
曲調はHELLOWEENの“I WANT OUT”風で、
彼らもそれを意識して、インスト・パートでは
確信的にそれ風のフレーズを取り入れています。


KIX - Kix ★★ (2016-06-01 00:20:52)

メリーランド州ボルチモア出身の5人が、ATLANTIC RECORDSから'81年に発表した1stアルバム(邦題は『反逆の館』)。KIXと言えば、バラード“DON’T CLOSE YOUR EYES”のヒットで遅咲きの栄光を掴んだ4th『BLOW MY FUSE』(’88年)が代表作ということになりましょうが(別に異論もない)、でも「最も贔屓にしているKIXのアルバムは?」となると、そりゃあやっぱりこのデビュー作かなと。
AC/DCやKISSがお手本のダイナマイト・ロックロールは、聴いてるだけで勝手に体が動き出すシンプルなノリの良さに加えて、「泣きと哀愁が足んねぇよ」とブーブー文句たれな輩(俺です)をも問答無用で巻き込んでノせてしまうようなイキの良さが充満。流石アメリカ中をツアーして回り、一晩で5ステージをこなす生粋のライブ・バンドとして鍛え上げられただけのことはありますぜ。
サイレン音に導かれて威勢よくスタートするOPナンバー①を手始めに、80年代仕様にアップデートされたサウンドは、ロックンロールと言えどもルーズに流れ過ぎることなく、へヴィ・メタリックなエッジやタイトさも備わっていて、同時期にイギリスで大きな盛り上がりをみせていたNWOBHMとのシンクロニシティを感じたりも。中でも、汗が飛び散る金切りVoとリフ&リズムのタテノリ波状攻撃にケツを蹴り上げられる⑥は、新宿ツバキハウスのメタル・キッズをヘッド・バンギングさせまくったというのも納得のアンセムっぷり。
こんな力作が中古屋じゃ三桁のお値段で転がってる今が買い時ではないかと。


KIX - Kix - Kix Are for Kids ★★★ (2016-06-02 23:55:43)

聴く者の体を問答無用で揺り動かすタテノリの躍動感と
メタリックな切れ味、タイトさを同居させて
ワイルドにドライヴしまくるKIX屈指の名曲。


KREATOR - Coma of Souls ★★ (2006-08-08 21:53:00)

「おおぅ、こりゃ本当にパワー・メタル・アルバムだ」と、思わず感心してしまった、'90年発表の5thアルバム。
とは言っても、メロスピ/メロパワ・バンド宜しく、ミレ・ペトロッツァが朗々とハイトーンVoで歌い上げたり、
楽曲自体がメロディアスになったりする筈はなく、触れれば切れそうな疾走感も、高い殺傷力の誇るシャープなリフも、
ミレのヒステリックなシャウトも健在。それより寧ろ、とにかく勢い重視で、無軌道に暴走しまくっていた(そこが大きな魅力だった)
初期作品に比べ、楽曲の枠組みがキッチリ定まり、その枠内で「タメ」と「疾走」を繰り返しながら、
ダイナミックに盛り上がっていく曲展開、そして、これまで以上に流麗に、欧州へヴィ・メタリックな
ドラマ性に満ちたメロディを紡ぎ出すGの存在が、非常にパワー・メタル的なカッコ良さを感じさせる。
これを「大人しくなった」と不満に思う硬派スラッシャーも多かろうが、個人的には、前作「EXTREAM AGGRESSION」辺りから
明確になってきた、敢えてスピードよりも完成度の高さを追求する姿勢を支持したい。
特に(その甲斐あってか)アルバム前半の楽曲の充実度は半端でなく、中でも、JUDAS PRIESTの“THE HELLION"を
思わせるイントロを持つ⑤“TERROR ZONE"は、様式美的な「起承転結」がドラマチックな盛り上がりを演出する、
本作のハイライト・チューンとでも呼ぶべき逸品。
次作「RENEWAL」が、かなり実験色の濃い作品だったことを考えると、本作は、初期KREATORの集大成とも言えるのではなかろうか。
(ここから、1stアルバムへ向かって遡って聴いていくのが、KREATORの本質に迫る近道じゃないかな、と)


KREATOR - Enemy of God ★★ (2006-11-30 21:28:00)

前作『VIOLENT REVOLUTION』において、初期のカミソリの如き疾走感と、中期ゴシック路線で培った
激しくも悲しいメロディを融合させることで、新たな激烈スラッシュ・メタルの創出に成功した
KREATORが、そのスタイルを更に発展させて'05年に発表した傑作11thアルバム。
とにかく楽曲が粒揃い。前作に比べ、ササクレ立った突進力は若干後退したように感じられるものの、
それ以上に魅力的なのが、リフにしろサビメロにしろ、1度聴いただけで簡単に覚えてしまえそうな「キャッチー」さ。
特に頭3曲は、アグレッシブで尚且つキャッチーという、今回の作風を象徴したかのような名曲。
そして何より本作の白眉は、アルバム全編で激情のメロディを展開する、ミレ・ペトロッツァ(意欲的に表現力の幅を広げたVoも◎)
&サミ・ウリ・シルニヨによるツイン・ギター・プレイ!
マイケル・アモットまでもがゲスト参戦を果たし、期待通りのトリプル・ギター・バトルを繰り広げる⑦に至っては、
シャープ且つ勇壮に疾走する楽曲そのものの完成度の高さと相俟って、間違いなく本作のハイライト・チューン。
ラストを劇的に締める⑪~⑫の流れも素晴しい。
11枚もアルバムを発表したベテランでありながら、全く守りに入らないKREATOR。いやはや、恐れ入った。


KREATOR - Gods of Violence ★★★ (2017-03-19 23:37:22)

’17年発表の新作アルバム。鼓膜に突き立つ鋭利なGリフとミレのシャウトが、ヨーロピアンな暗黒美迸るメロディを纏いササクレて疾走するという、今世紀に入って再度確立されたKREATOR流スラッシュ・サウンドは本作においても揺るぎなく屹立しています。荘厳な序曲を前触れに炸裂する、禍々しさとエピカルなドラマ性を併せ持つ突撃スラッシュ・ナンバー②を聴いただけで、こちとら「よし。勝った!」と確信しましたよ。
そして今回、KREATORは更なるメロディの増強にも着手。聴き手をただ暴れさせるのではなく、ライブにおいてシンガロングを誘発するような、アンセミックなコーラスや曲構成も仕込まれた収録曲の数々からは、バンドのルーツたる「独産パワー・メタル」の色合いが一層強く感じられるようになりました。無論、明朗快活なメロパワ/メロスピ系とは趣きを異するものの、旋律や音程の流れがそこはかとなくでも聴き取れるミレの激情Voが、時折ウド・ダークシュナイダーっぽく響くこともあり、ライブ会場で観客の大合唱や無数の腕が突き上げられる光景が目に浮かぶ③⑤⑦⑨辺りを聴いていると、謹んで「フォースの暗黒面に堕ちたACCEPT」との形容詞を進呈する次第。(褒め言葉として)
スラッシャーの期待にきっちり応えるアグレッシブ&キャッチーな④、切れ味鋭い⑥、ツインG主導で速度を上げていく⑧といったカミソリの如きスピード・ナンバーから、緩と急、美と醜を飲み込んでドラマティックに本編を締め括る大作曲⑪に至るまで、彼らのスタジオ・アルバムの連勝記録がまた一つ積み上がったことを確信する逸曲が揃った充実作。「KREATORっておっかなそうで聴いたことない」という方にもお薦めですよ。


KREATOR - Gods of Violence - Gods of Violence ★★★ (2017-03-20 00:08:24)

KREATORらしいダークネスと疾走感は保ちつつ、
コーラスは今後ライブで披露されれば間違いなく
会場が大合唱で包まれるであろうACCEPT的な
アンセム感を有していて、そう思って聴くと
ミレのVoがウドっぽく響いて来るというね。


KREATOR - Gods of Violence - Totalitarian Terror ★★★ (2017-03-19 23:51:37)

ミレは勿論のこと、ヴェンダーさんが
もう笑ってしまうぐらい元気溌剌。
その猛烈なマシンガン・ドラムに支えられ
激烈でありつつキャッチー、更にツインGのハーモニーは劇的という
アルバムのハイライト的名曲に仕上がっております。


KREATOR - Gods of Violence - World War Now ★★★ (2017-03-19 23:56:24)

荘厳な序曲を前振りにして激烈な疾走を開始。
中間部にはACCEPTばりに会場を揺らしそうな
アンセミックなパートを組み込んで…と、
作りとしては前作収録のOPナンバー
“PHANTOM ANTICHRIST”とほぼ同じなのですが
これほど上手く演られては文句の付けようがないという。


KREATOR - Hordes of Chaos ★★ (2009-02-23 22:47:00)

10th『VIOLENT REVOLUTION』で王道ジャーマン・スラッシュ・メタル路線に復帰を遂げて以来、KREATORの作り出す
アルバムの完成度の高さには、毎度瞠目させられっ放しなのだが、この12thアルバムもそれは変わらず。
と言うか購入してから結構経つというのに、毎回「いや~カッコイイなぁ」と聴き惚れてる間に
アレヨアレヨと本編が終わってしまうので、感想が書き難いったらありゃしない。>本作。
ミレ・ペトロッツァの「歌心」を感じさせる激情Voに、欧州風味の劇的なメロディを紡ぎ出すツインGを乗せて
切り裂くように突っ走るカミソリの如きアグレッションと、強力なフックを兼ね備えたスラッシュ・サウンドは、
前作『ENEMY OF GOD』の作風を継承しつつ、一層タイト&キャッチーに磨き上げられており、無駄なく30分台に
絞り込まれた収録時間の中、ズラリ揃ったスピード・チューンのカッコ良さといい、まるで実際のライブのように
澱みなく展開していく本編の流麗な構成といい、そのクオリティは傑作だった『ENEMY~』にも匹敵。(というか凌駕?)
印象的なテーマ・メロディに導かれてスタートするアルバム表題曲①、それ以上のスピードで畳み掛けて来る②⑥⑦、
キャッチーな③⑤、緩急の効いた曲展開が光る④⑧、そして本編のハイライトたる、叙情的なインスト曲⑨から繋がり、
IRON MAIENばりの勇壮さと、スラッシュ・メタル然とした攻撃力が見事に融合を果たした名曲⑩といった、
捨て曲なしの収録楽曲の数々を聴けば、「KREATORの最高傑作」という評価もあながち冗談には聞こえません。
「本作と『ENEMY OF GOD』、どちらを選ぶか?」と問われたならば、微妙な判定ながら個人的には本作を選ぶ・・・かなぁ。


KREATOR - Phantom Antichrist ★★★ (2012-06-11 23:22:43)

『VIOLENT REVOLUTION』以降は、ストレートなスラッシュ・アルバムを連発してきたKREATORですが、この13thアルバムでは攻撃性や疾走感を若干抑え気味にして、その代わりにサミ・ユリ・シルニヨの煽情的なGプレイと、全編で狂い咲くミレ・ペトロツァ&サミの劇的なツインGハーモニーの存在を強調した、幾分メロディアスで聴き易い作風に仕上がっているのは、他の方々が指摘されている通り。
カッチリとまとめられた楽曲はパワー・メタリックな感触を孕んでおり、勇壮にしてエピカルな雰囲気漂う④、起承転結が決まったドラマティックな⑥⑩辺りを聴いていると、個人的には5th『COMA OF SOUL』のことを思い出したりも。
尤も、決してメロディアスに歌っているわけじゃないのにエモーションをかきたてられる歌心に溢れたミレのVoや、ヨーロッパ的ダークネスを湛えたメロディのクオリティは、あの頃とは比べ物にならないぐらいの向上を遂げているんですけどね。
一方で、切っ先鋭いシャウト、殺傷力を宿すリフと尖がったリズムのコンビネーションから生み出される、このバンド独特の切り裂くような疾走感が失われてしまうなんてことはある筈もなく、劇的な序曲に導かれてスタートする激烈なアルバム表題曲②なんて、ライブで披露された日にゃ会場が上下に揺れ、サビ部分では大合唱が起こることを容易に想像できる必殺の名曲っぷり。緩急の効いた③⑤、正統派HMテイストも感じられる⑨の秀逸さも必聴です。
らしさを失わず、丸くもならず、それでいて一見さんにも取っ付き易いキャッチーさを兼ね備えた曲作りの上手さは、既にSLAYERと同じレベルで語られるべき境地にあることを改めて納得した1枚。傑作。


KREATOR - Phantom Antichrist - Death to the World ★★★ (2012-06-12 22:17:56)

『ENEMY OF GODS』や『HORDES OF CHAOS』に
収録されていてもおかしくない、攻撃性とキャッチネスが
巧みな融合をみた、緩急の効いたスラッシュ・ソング。
2本のGがドラマティックに絡み合うインスト・パートは
「美しい」とさえ表現できるほどです。


KREATOR - Phantom Antichrist - From Flood Into Fire ★★★ (2012-06-12 22:22:42)

1曲目のインスト・ナンバーから、4曲目にあたる
この曲までの流れは「完璧」とさえ言いたくなる隙のなさ。
本作の個性を象徴するような力強くエピカルな曲調が
思わずコブシを振り上げたくなるカッコ良さを放っていて、
(歌っているわけではないのだが)メロディアスに響く
ミレのVoも胸に響きます。
個人的にはアルバムで一番気に入っている曲だったり。


KREATOR - Phantom Antichrist - Phantom Antichrist ★★★ (2012-06-12 22:13:28)

挑発的な曲名に、切り裂くような
攻撃性や疾走感、それでいて思わず唱和を
誘われるキャッチーなサビメロをも備えた
現行KREATORの魅力の粋が集められた名曲。
まさしく新たなアンセムですね。
ドラマティックなインスト序曲
“MARS MANTRA”と併せてお楽しみ下さい。


KREATOR - Phantom Antichrist - Until Our Paths Cross Again ★★★ (2012-06-13 22:22:57)

起承転結の決まったドラマティックな曲調が
アルバムのラスト・ナンバーに相応しい盛り上がりを
演出してくれます。(日本盤はこの後にボートラがありますが)
サミ・ユリ・シルニヨの攻撃性と激情が迸るGソロに
ハート鷲掴みですよ。


KREATOR - Phantom Antichrist - Victory Will Come ★★★ (2012-06-13 22:17:06)

タイトルといい、思わず荒ぶる勇ましい曲調といい、
KREATOR流「勝利の凱歌」といった趣きの疾走ナンバー。
インスト・パートで炸裂するツインGの半端じゃない
カッコ良さに胸踊らぬHR/HMファンがいるでしょうか。


KREATOR - Renewal ★★ (2007-10-04 23:48:00)

90年代のKREATOR迷走期のファースト・ステップとなってしまった、'92年発表の6thアルバム。(でもこの後に初来日)
リリース当時、トム・モリスの手による生々しさが強調されたサウンド・プロダクションや、激情の昂ぶりを
薄れさせ、フラット気味な歌唱に終始するミレ・ペトロッツァのVo、ダイナミックな展開を排し
シンプルにまとめられた楽曲、そして作品全体を圧し包む、流行を意識したかのような陰鬱な雰囲気が
「らしくない」と賛否両論を巻き起こした本作。個人的にも初めて耳にした時は、これまでのような
爆発的なテンションの高さがダウンした事と、ヨーロッパのバンドならではのドラマティシズムが大幅に
失われてしまった事に落胆を覚えたクチなのだが、ところが、現在の感覚で改めて本作を聴き直してみると、
これが案外悪くない。というか、実に真っ当なスラッシュ・メタル・アルバムに聴こえてしまうのだから、
時の流れってヤツは恐ろしいというか、偉大というか・・・。
特に、スパスパと切り裂くように、カミソリの如く疾走する高速スラッシュ・チューン①④⑦⑧の有無を言わせぬ
カッコ良さは流石だし、90年代型へヴィネス重視の楽曲にしても、サビで奏でられる勇壮なテーマ・メロディが
印象的な③や、ラストを締める⑨なんかは、十分に魅力的な仕上がり。
但し、全体的にテンションが抑え気味なのと、メロディのフックの弱さとが相俟って、大きな山場が作れないまま、
淡々と最後まで流れて行ってしまう感があるのも事実。ぶっちゃけ、地味なのだ。
別に何を置いてもゲットしなければならない程ではないが、「問題作」というレッテルを気にして
スルーするには、惜しいクオリティを備えた(ように思う)1枚かなと。


KREATOR - Terrible Certainty - Blind Faith ★★★ (2007-04-14 21:30:43)

初めて聴いた時はあまりの速さにブっ飛んだ。
後半の「えぇ、まだ速くなるの?!」という加速感が圧巻。


KREATOR - Violent Revolution ★★ (2006-07-11 22:14:00)

'01年発表。リーダーのミレ・ペトロッツァが「初心に立ち返った」と認める通り、スピーディでアグレッシブな作風が
復活を果たした、記念すべき10thアルバム。「ENDORAMA」や「OUTCAST」を聴きながら、「これはこれで悪くないんだけどね・・・」と
遠い目をして呟いていたファン(俺だ)も大満足の内容に仕上がっている。
しかも、工夫なく過去と同じ事を繰り返すのではなく、「RENEWAL」以降のメロディ重視路線で培った叙情性を
巧みに攻撃的な楽曲へ融合。結果、スピーディでアグレッシブ、且つ怒りと悲しみの激情のメロディに彩られた、
新しいKREATOR流スラッシュ・メタルの創造に見事成功している。
特に、殺気立った高速スラッシュ・チューン①④⑥、インスト曲のイントロに導かれて始まるメロディアスな③、
重々しく劇的な⑤といったメリハリの効いた楽曲と曲順によって、ギリギリ高められたドラマ性が、
全てを兼ね備えた名曲⑧“REPLICAS OF LIFE"で頂点に達するアルバム前半の構成は、殆ど完璧と言っていい程の隙のなさ。
後半も、ラストを締めるスピード・チューン⑫まで捨て曲は見当たらないし、これぞまさに名盤と呼ぶに相応しい。
しかも彼らが凄いのは、この後('05年)に本作を更にビルドアップしたかのような強力作「ENEMY OF GOD」まで作ってしまった点。
全く、ミレ・ペトロッツァの底なしの才能には恐れ入る。


KREYSON - Anděl na útěku(Angel on the Run) ★★ (2015-03-31 21:21:13)

チェコスロバキア出身という物珍しさと、美麗なアートワーク――チェコのお城じゃなくてフランスのシャンボール城だけど――に釣られ購入した、ラン・クレイソン(Vo)率いる5人組が'91年に発表した1stアルバム。(正確には、'90年にチェコ語で制作されたした1stのリレコ作品だとか)
RUNNING WILDの名作『DEATH OR GLORY』に彼が参加した縁で、ロックン・ロルフが共同プロデュースを(あとコーラスとGソロとアルバム解説も)担当していることでちょっぴり話題になった本作は、そのサウンド自体に東欧っぽさは薄め。むしろ、OPにバンドのテーマ曲“KREYSON”を配置するコテコテな構成や、歌い易いコーラス・ワーク等からは、独産バンドの影響がちらつく正統派HMを演っています。あえて東欧テイストを探すならば、作品全体を包み込むどこか透明な空気感と、前述のOPナンバーにて醸し出される、クラシカル且つ荘厳なドラマがそれっぽいかな?と。
ポップ・センスが冴えてる“DEEP IN THE NIGHT”のようなタイプの楽曲も収録する等、全体的に卒なくまとまっていてイモ臭さはない代わりに、これといって突き抜けた個性も感じられない点は痛し痒し・・・。というわけで、数年前にもう売ろうと決意して中古屋に持ち込んだのですが、「30円」と鑑定されてしまい、じゃあいいやと持ち帰ってきました。そんな消費税の足しにもならない安値で手放すにゃ、ラストに収められたJUDAS PRIEST型疾走ナンバー“FADE OUT”はカッコ良過ぎるってもんですよ。


KREYSON - Anděl na útěku(Angel on the Run) - Fade Out ★★★ (2015-04-01 22:37:45)

JUDAS PRIESTばりの劇的なイントロの時点で
顔がにやけますが、こういうスピードナンバーを
アルバムのケツに持って来るセンスにも
「よし、合格!」と
駆け寄って肩叩いてやりたくなりますね。


KREYSON - Anděl na útěku(Angel on the Run) - Kreyson ★★ (2015-04-01 22:51:06)

当時、和田誠氏がDJをしていたラジオ番組で
流されていた記憶がありますが、
確かにキャプテンが好きそうな
ジャーマン・メタル風味のパワー・チューンであります。
ちなみにバンド名のコールから始まるイントロは
ロックン・ロルフのアイデアなのだとか。


KREYSON - Návrat Krále ★★★ (2019-04-18 00:37:20)

RUNNING WILDのロックン・ロルフのバックアップを受け90年代前半に日本デビュー。マニアの間では(今は無き)チェコスロバキア共和国という出身地の珍しさでも注目を集めた、ラン・クレイソンことラディスラフ・クリチェク(Vo)率いる正統派HMバンドKREYSONが、アンディ・ラ・ロックをプロデューサーに起用してレコーディングを行い'13年に発表した、恐らく5枚目ぐらい?のフル・アルバム。ちなみに歌詞は全てチェコ語。
時間潰しで立ち寄った古本屋の500円CDコーナーで見覚えのあるバンドロゴが掲げられた本作を発見。「まだ活動していたのか」と懐かしさに駆られて購入してみれば、いやこれが嘗ての「イモ臭い部分含めて愛すべきB級バンド」的なイメージを根底から覆される力作っぷりに驚かされてしまいましてね。
以前は線が細く頼りなさのあったクレイソンのVoは、ダンディな低音からハイトーンまで力強くスムーズにグローイングアップ。そうした彼の歌声と、これまた別バンドと聴き紛うような逞しさで刻まれるリフ&リズムを伴いパワフルに突き進むサウンドからは、堂々たる貫禄すら漂います。と同時に、西欧のこの手のバンドと趣きを異する(デビュー当時から一貫してKREYSONの魅力の一つだった)東欧ならではのどこか寒々しい感触を宿した抒情メロディも勿論健在。特にドラマティックな序曲①とセットで、スラッシーとさえ言える鋭利なGリフをフィーチュアしてアグレッシブに疾走する②はアルバムの掴みに相応しい名曲。クレイソンのバリトンVoが映えるバラード⑨にも思わずうっとりですよ。
チェコ語の堅い語感がドラマティックな音楽性に非常にマッチしている1枚ではないかと。