メリーランド州ボルチモア出身の5人が、ATLANTIC RECORDSから'81年に発表した1stアルバム(邦題は『反逆の館』)。KIXと言えば、バラード“DON’T CLOSE YOUR EYES”のヒットで遅咲きの栄光を掴んだ4th『BLOW MY FUSE』(’88年)が代表作ということになりましょうが(別に異論もない)、でも「最も贔屓にしているKIXのアルバムは?」となると、そりゃあやっぱりこのデビュー作かなと。 AC/DCやKISSがお手本のダイナマイト・ロックロールは、聴いてるだけで勝手に体が動き出すシンプルなノリの良さに加えて、「泣きと哀愁が足んねぇよ」とブーブー文句たれな輩(俺です)をも問答無用で巻き込んでノせてしまうようなイキの良さが充満。流石アメリカ中をツアーして回り、一晩で5ステージをこなす生粋のライブ・バンドとして鍛え上げられただけのことはありますぜ。 サイレン音に導かれて威勢よくスタートするOPナンバー①を手始めに、80年代仕様にアップデートされたサウンドは、ロックンロールと言えどもルーズに流れ過ぎることなく、へヴィ・メタリックなエッジやタイトさも備わっていて、同時期にイギリスで大きな盛り上がりをみせていたNWOBHMとのシンクロニシティを感じたりも。中でも、汗が飛び散る金切りVoとリフ&リズムのタテノリ波状攻撃にケツを蹴り上げられる⑥は、新宿ツバキハウスのメタル・キッズをヘッド・バンギングさせまくったというのも納得のアンセムっぷり。 こんな力作が中古屋じゃ三桁のお値段で転がってる今が買い時ではないかと。
チェコスロバキア出身という物珍しさと、美麗なアートワーク――チェコのお城じゃなくてフランスのシャンボール城だけど――に釣られ購入した、ラン・クレイソン(Vo)率いる5人組が'91年に発表した1stアルバム。(正確には、'90年にチェコ語で制作されたした1stのリレコ作品だとか) RUNNING WILDの名作『DEATH OR GLORY』に彼が参加した縁で、ロックン・ロルフが共同プロデュースを(あとコーラスとGソロとアルバム解説も)担当していることでちょっぴり話題になった本作は、そのサウンド自体に東欧っぽさは薄め。むしろ、OPにバンドのテーマ曲“KREYSON”を配置するコテコテな構成や、歌い易いコーラス・ワーク等からは、独産バンドの影響がちらつく正統派HMを演っています。あえて東欧テイストを探すならば、作品全体を包み込むどこか透明な空気感と、前述のOPナンバーにて醸し出される、クラシカル且つ荘厳なドラマがそれっぽいかな?と。 ポップ・センスが冴えてる“DEEP IN THE NIGHT”のようなタイプの楽曲も収録する等、全体的に卒なくまとまっていてイモ臭さはない代わりに、これといって突き抜けた個性も感じられない点は痛し痒し・・・。というわけで、数年前にもう売ろうと決意して中古屋に持ち込んだのですが、「30円」と鑑定されてしまい、じゃあいいやと持ち帰ってきました。そんな消費税の足しにもならない安値で手放すにゃ、ラストに収められたJUDAS PRIEST型疾走ナンバー“FADE OUT”はカッコ良過ぎるってもんですよ。
メイン・リフはACCEPTの“FAST AS A SHARK”っぽいですが、 あの曲のあのリフは世界中のメタル・バンドにインスピレーションを授けた「発明」ですからね。 そこにJUDAS PRIESTの“FREEWHEEL BURNING”までブッ込んでいるのですから、 (オリジナリティはさておき)カッコイイ曲に仕上がらないわけがないという。