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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3401-3500

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 3401-3500
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LOUDNESS - SHADOWS OF WAR - Shadows of War ★★★ (2013-04-02 22:56:54)

儚くも美しいイントロだけでなく、Gソロにも
(ほんのり)「和」のテイストが盛り込まれた様式美HMナンバー。
重厚に起承転結が決まった、これ1曲でアルバム1枚聴き通した
ような満足感が得られる名曲なのですが、それだけに
OPに置かれているのは、ちと不可解な気がしなくもありません。
(EDもフェードアウトですし)


LOUDNESS - SOLDIER OF FORTUNE ★★★ (2013-04-06 20:02:49)

前作『HURRICANE EYES』がアメリカで不発に終わったことを受けて、テクニック志向を抑制し、LOUDNESS史上最もメロディアスな曲作りが試みられている、'89年発表の8thアルバム。
個人的に初めて購入したLOUDNESS作品ということで非常に思い入れのある1枚なのですが、こうした作風の変化や、個性の塊のようだったオリジナル・シンガー、二井原実の脱退を否定的に捉えて、雑誌では「アクが抜けてごく普通のHR/HMバンドになってしまった」と嘆くレビューも見られました。
勿論気持ちは分からなくもないのですが、しかし「ごく普通のHR/HMサウンド」のカッコ良さを舐めたらいかんぜよ、と。新Voマイク・ヴェセーラの熱唱、その彼のメタル声と化学反応を起こして、リフ/リード両面において更に切れ味の鋭さを増した高崎晃のG、そしてスピーディ且つタイトなリズム隊の存在が映える“SOLDIER OF FORTUNE”と“DEMON DESEASE”という、極上の名曲2つにサンドイッチされる形で並んだ中庸な魅力を備える楽曲群は、ほんのり和風テイストも取り入れたメロウな“25 DAYS FROM HOME”を筆頭に、ヘヴィ・メタリックなエッジは保ちつつ、胸を打つ哀愁とキャッチーなメロディに彩られた、いずれ劣らぬ逸品揃い。
つくづく、この編成が長続きしなかったことが惜しまれる名盤なのですが、90年代のLOUDNESSの混迷ぶり(と敢えて言いますが)を鑑みると、もし仮に同一編成であと何枚かアルバムを作ったとしても、これほど凄い作品が再び出来たかどうかは微妙なところではないでしょうか。短い出会いだったからこそ眩く輝いた、みたいな?


LOUDNESS - SOLDIER OF FORTUNE - Demon Disease ★★★ (2013-04-07 21:36:50)

樋口宗孝のドラムから始まる楽曲にハズレなし。
LOUDNESS史上最もメロディアスな作風の
『SOLDIER OF FORTUNE』ですが、
この曲の存在でケツがグッと引き締まっているので
聴後感に甘ったるい印象はまるでありません。


LOUDNESS - SOLDIER OF FORTUNE - Red Light Shooter ★★★ (2013-04-07 21:33:59)

熱く歪んだ声で1stヴァースを歌ったかと思えば、
2ndヴァースはクリーンなトーンで歌い上げ、
そしてポジティブな空気を含んだサビメロへ・・・
マイク・ヴェセーラのシンガーとしての
優れた才能が堪能できる秀曲ですね。


LOUDNESS - SOLDIER OF FORTUNE - Soldier of Fortune ★★★ (2013-04-07 21:30:41)

マイクのメタル声とシャープなGリフで
正統派ヘヴィ・メタリックなエッジを保ちつつ、
ビートとメロディはノリ易くキャッチーという
新たなLOUDNESSの魅力全開な名曲。
フラッシーな高崎晃のGソロも、これまで以上に
曲を生かす方向(構築感重視)で
組み立てられているような印象を受けます。


LOUDNESS - THE BIRTHDAY EVE 〜誕生前夜〜 ★★ (2013-03-21 23:41:49)

自分がLOUDNESSの名前を意識するようになった頃には、既に彼らは武道館でライブを行う大物バンドとしてHR/HMシーンに君臨していました。潤沢な予算と一流のスタッフを投入し制作された、その時期の作品に慣れ親しんでいた身としては、遡って本作を聴いた時は、楽曲的にも音質的にもパフォーマンス的にも、結構荒削りな(特に二井原実のVoが)、ずばり言って垢抜けないサウンドに「え?これがあのLOUDNESS?」とかなり戸惑った記憶があります。
例えば“STREET WOMAN”に強く表れているようなサタニック・メタル的なオドロオドロしさや、70年代HR、プログレッシブ・ロックからの影響を纏ったダークな作風も、そうした印象に拍車を掛けていたような。今となっては「そこが良いんじゃない!」ってなもんですが。
特に本編で頭一つ抜けたカッコ良さの“ROCK SHOCK”や、それに続く存在感を放つバンドのテーマ曲“LOUDNESS”と、ドラマティックなバラード“TO BE DEMON”は、個人的に初期LOUDNESSを語る上で欠かせない名曲だと思っております。
また、日本刀の如き切れ味の鋭さで迫る高崎晃のGプレイ、ラウドに暴れ回る樋口宗孝のドラミング、特異な声質の二井原実のVo、リード楽器ばりの存在感を誇る山下昌良のBと、メンバーから立ち昇るオーラも既に確認することができますよ。


LOUDNESS - THE BIRTHDAY EVE 〜誕生前夜〜 - Rock Shock (More And More) ★★★ (2013-03-21 23:44:19)

初期LOUDNESS屈指の名スピード・ナンバー。
回転の速いGリフがまさしくNWOBHM。
印象的なGソロも「これぞ高崎晃!」といった感じですね。


LOUDNESS - THE BIRTHDAY EVE 〜誕生前夜〜 - To Be Demon ★★★ (2013-03-21 23:45:55)

緩急を飲み込んだダイナミックな曲構成は
70年代HRやプログレッシブ・ロックからの影響も伺わせ、
この頃の彼らでしか聴くことの出来ないタイプの
魅力を備えたドラマティックな逸品に仕上がっています。


LOUDNESS - THE LAW OF DEVIL'S LAND 〜魔界典章〜 ★★★ (2013-03-24 22:08:53)

当時の国産HR/HMバンドは、1年にアルバム複数枚を発表する等、今の感覚からすると信じ難いほど性急な活動ペースを余儀なくされていた印象があって、当然、それに耐え切れず潰れてしまうバンドも数多く存在したわけですが、LOUDNESSが凄かったのはこれを逆に糧へと変えて、短期間の内に飛躍的な成長を成し遂げた点(しかもメンバー・チェンジもなしに)。その成長過程は発表されたアルバムにも、しかと刻印されています。
'83年発表の本3rdアルバムは、未だ“Mr. YSE MAN”のようなちょいプログレ風味の入った大作をこなしつつも、全体的にはサウンドをタイトにストレッチすることで、80年代型HM路線へとその軸足を移しつつあることが伝わってきます。(この試みは次作で結実)。
更にアグレッシブに、強靭に鍛え上げられた高崎晃のGプレイを前面に押し出し、切れ味鋭いGリフが楽曲を牽引する“IN THE MIRROR”“THE LAW OF DEVIL'S LAND”“SPEED”といったスピード・ナンバーの数々は、まさしくバンドの代表曲の名に相応しい存在感。
大仰な『魔界章典』なるタイトルが、決してコケ脅しには聴こえない力作と相成っております。


LOUDNESS - THE LAW OF DEVIL'S LAND 〜魔界典章〜 - In The Mirror ★★★ (2013-03-25 22:54:24)

凱歌のごとき序曲から繋がっていく
ドラマティックな展開が物語る通り、
マイナーなシケシケ感が失せ、
ある種貫禄すら漂って来る堂々たる
スピード・ナンバーの名曲に仕上がっていますね。


LOUDNESS - THE LAW OF DEVIL'S LAND 〜魔界典章〜 - Speed ★★★ (2013-03-25 23:01:47)

ライブで披露することを前提に組み立てたような
各楽器陣それぞれの見せ場が盛り込まれた、
火を噴くようにハイテンションなパワー・チューン。
もちろん二井原実のVoも負けてませんよ。
マミムメモォ~!


LOUDNESS - THE LAW OF DEVIL'S LAND 〜魔界典章〜 - The Law Of Devil's Land ★★★ (2013-03-25 22:56:59)

B面頭を飾る様式美HMナンバー。
サビメロにもう一工夫欲しい!と思ってしまいますが
それを高崎晃のGプレイがカヴァー。
二井原以上にGが魅力的に歌いまくっています。


LOUDNESS - THUNDER IN THE EAST ★★★ (2006-04-19 21:36:00)

これまでのマイナー調の暗さが抜けて、スッキリと垢抜けた印象を受ける、メジャー感漂う5thアルバム。(マックス・ノーマンが手掛けたドライな音像もその一因か)
とは言え、別にポップになったわけでも能天気になったわけでもなく、THERIONやHAMMERFALLもカバーした腰の据わったヘヴィ・チューン“CRAZY NIGHT"、キャッチーな疾走曲“LIKE HELL"、サビメロとドラマチックなGソロが秀逸な“CROCKWORK TOY"、哀愁のバラード“RUN FOR YOUR LIFE"等、優れたHMチューンがズラリ揃った名盤に仕上がっている。
丁度、ダークなヨーロピアンHRバンドから、普遍的な魅力を備えたHMバンドへと変貌を遂げたSCORPIONSの『BLACKOUT』と同じような立ち位置の作品・・・と言ったところでしょうか?
日章旗ジャケは今見ると苦笑を誘われるかもしれませんが、このアートワークで、このアルバム・タイトル、そしてシンプル(且つ魅力的)な楽曲が放つ「判り易さ」があったればこそ、本作はアメリカ・ビルボードに19週連続チャートイン(最高位74位)という快挙を成し遂げられたと思うわけで。
個人的に、LOUDNESSのアルバムでは一番好きな作品ですね。


LOUDNESS - THUNDER IN THE EAST - Clockwork Toy ★★★ (2013-03-30 10:19:48)

構築美高めのGソロのみならず、
スピーディな曲調の躍動感を増幅する
山下昌良のBプレイも良い仕事。
アップテンポでも勢いで誤魔化すことなく
ちゃんとフックの効いたサビメロからは
日本人らしいキメ細やかなセンスも感じられます。


LOUDNESS - THUNDER IN THE EAST - Like Hell ★★★ (2013-03-30 10:14:33)

ザックリと刻まれるGリフ、一緒に叫びたくなる
キャッチーなサビメロ、シンプルでノリ易い曲調と、
LAメタルからの影響を飲み込みつつも、
決して飲み込まれてしまってはいないのが凄いところ。
これは高崎晃のGプレイのみならず、何を歌っても
自身の個性を強烈に刻印する二井原実の歌の存在も
大きいように思われます。


LOVERBOY - Keep It Up ★★★ (2024-01-19 00:33:39)

カナダ産HR/HM勢がアメリカへと攻勢を仕掛けた80年代、その先陣を切ったバンドの一つとして知られるLOVERBOYが、ブルース・フェアバーンを共同プロデューサーに迎えてレコーディングを行い、’83年に発表した3rdアルバム。
トリプル・プラチナムを獲得した2nd『GET LUCKY』(’81年)と同じく、全米チャート最高第7位に輝くという堂々たる成績を残した本作は、これまで同様マイク・レノ(Vo)の張りのある歌声と、シンセサイザーを大々的にフィーチュアした明るく健康的なポップ・メタル路線を踏襲。前作の成功を受けてよりコマーシャルな方向に軌道修正を図ったっておかしくないところを、乾いた音色で歯切れ良くリフを刻むGの存在が際立つ、ハードさを増しグッとタイトに引き締まったサウンドを披露してくれているのですから頼もしいじゃないですか。軽過ぎず、さりとて硬過ぎず。この硬軟のバランス感覚は後続のLAメタル勢のお手本にもなったんじゃないでしょうか?
溌剌と躍動するOPナンバー①、シンセを生かしたミドル・テンポの②、からのお約束パワー・バラード③という、80年代売れるアルバムの黄金パターンを抜かりなく押さえた冒頭の流れで聴き手を掴むと、後は爽やかなヒット・シングル⑤、LOVERBOYの楽曲の中でもトップクラスで愛して止まない哀愁の名曲⑧を含む後半戦までイケイケどんどん。個人的には本作の方が『GET~』より聴き直した回数は多いくらいですよ。
「え?LOVERBOYって“それいけ!ウィークエンド”だけの一発屋じゃないの?」ってな失礼なことを抜かしてた輩(俺ですが)にガツンと一撃をカマす快作です。


LOVERBOY - Keep It Up - One-Sided Love Affair ★★★ (2024-01-24 23:48:10)

溌剌としたロックンロール・バンドのイメージが強いLOVERBOYですが
哀愁系の楽曲を書かせてもなかなかのお点前。特にこの曲はマイク・レノが
歌い上げるメロディと、Keyの効果的な援護射撃とが相俟って
グッと胸に沁みる哀メロ・ナンバーに仕上がっています。


LUCIFER'S FRIEND - Banquet ★★★ (2016-01-25 22:37:19)

LUCIFER'S FRIENDの初来日公演における、ジョン・ロートン(Vo)の衰え知らずな歌いっぷりに感動し、再発盤を購入したものの封も切らずに積んだままになっていた、'74年発表の本4thアルバムを慌てて引っ張り出しました。
名盤として人気の高い1stや7thに比べると、本作は「30人以上の編成からなるオーケストラを大々的にフィーチュアし、ジャズ/ブラス・ロック方面に傾倒した実験作」と評されることが多く、これまであまり興味を持てずにいました。
しかし実際に聴いてみると――確かに曲によってはそういった要素が多々あるものの――これはこれで非常に美味であると。と言うか、ジョン・ロートンの張りのある歌声とバンド・セクションの踏ん張りのお陰で、サウンドにはHR然としたエッジと一定のテンションが最後まで保たれており、決して気持ちだけが先走った実験作等ではありませんでしたよ。
特にビッグ・バンド・ジャズ風にスタートを切り、後半へ向かってグングン緊張感を高めていく①や、思わずルパン三世の名場面を思い出しそうになる大野雄二タッチの④(こっちのが先ですが)といったプログレッシブ・ロック調の大作ナンバー、そして鋭利なG、流麗なピアノ、そして炸裂感溢れるブラス・セクションとが、スリリングに絡み合いながら疾走する様に唸らずにはいられない②はLUCIFER'S FRIEND史に残る名曲ではないかと。
《ルシファーの最高傑作》という帯の惹句を目にした時は「またまたぁ~」ってなもんでしたが、聴き終えてみると「その意見、分からなくもないな」と。


LUCIFER'S FRIEND - Banquet - Thus Spoke Oberon ★★★ (2016-01-27 23:26:41)

『BANQUET』のハイライト・ナンバーは間違いなくコレ。
3分近くからテンポ・チェンジして、ピアノ、ギター、バイオリン、
ブラス・セクションとが一体となってクライマックスへ向かって
スリリング且つドラマティック昇り詰めていく様は
筆舌尽くし難い素晴らしさ。聴けて良かった。


LUCIFER'S FRIEND - Black Moon ★★★ (2019-06-24 23:37:20)

ジャケットに、お馴染みの凸凹コンビが復活していて思わずニッコリさせられる、’19年発表のLUCIFER’S FRIEND再結成第2弾アルバム。(通算11作目)
ジョン・ロートン(Vo)、ペーター・ヘスライン(G)、ディーター・ホーンズ(B)ら中心メンバーの年齢は揃って70歳を越え、後期高齢者まであともう一息という陣容ゆえ、「体を壊してツアーに出られなかった」とか「体調が万全でなくレコーディング・スケジュールに支障が出た」とか、バンドの存続以前に心配すべきニュースが山盛りなLUCIFER’S FRIENDですが、出している音の方は、ショッピング・チャンネル観覧席のオバ様方が羨望の溜息を洩らしそうな張り艶を保ち続けるロートンの歌声といい、タイトに躍動する楽器陣のパフォーマンスといい、これがまぁ、相変わらず実に若々しい。
それもボトックス注射打ちまくった痛々しい若作りではなく、アダルトな円熟味と、経年劣化に抗う瑞々しさが自然体で共存するブリティッシュHRサウンドからは、一緒に来日公演を行った仲でもあるURIAH HEEPに通じる風格が醸し出されていますよ。
ロートンのダンディな熱唱に痺れる②、プログレ・タッチの重厚なドラマ性迸る④、からのタイトな疾走ナンバー⑤、ジャジーで小粋な哀愁のバラード⑥、ヴァイオリンをフィーチュアして、ヘヴィ且つ劇的に本編を引き締める⑧等、優れた楽曲が揃うアルバムを聴くと、当初は引退も視野に入れていたというメンバーが、本作の出来栄えに確かな手応えを感じ、「俺達ぁまだまだやれる!」とその考えを撤回する気になったのも当然だなと。
前作『TOO LATE TO HETE』に匹敵する力作。今度は単独来日公演をお待ちしております。


LUCIFER'S FRIEND - Black Moon - Call the Captain ★★★ (2019-06-26 00:09:32)

張りのあるジョン・ロートンの歌声にしろ、
タイトに疾走する楽器陣のパフォーマンスにしろ
溌剌として若々しく、全く年齢を意識させないHRナンバー。
それでいてインスト・パートでは老獪なアレンジが光っています。
ニクイねどうも。


LUCIFER'S FRIEND - Black Moon - Palace of Fools ★★★ (2019-06-26 00:04:42)

重量感溢れる前半から軽快に疾走する後半へと繋がる
メリハリの効いた曲展開を、ジョン・ロートンの表情豊かなVoと
仄かにプログレ・テイスト薫るドラマティックなアレンジとで彩った、
芳醇な英国臭が実に味わい深い逸品。


LUCIFER'S FRIEND - Good Time Warrior ★★★ (2019-06-18 01:02:02)

URIAH HEEPに帯同する形で実現した初来日公演に感激して以来、LUCIFER’S FRIENDについては「ジョン・ロートン在籍時代のアルバムだけ持ってりゃいいや」という態度は改め、元COLOSSEUMⅡのマイク・スターズが歌っていた時期のアルバムもチェックしようと努めているのですが、今更集めようとするとこれが結構大変でして。なるべく帯付国内盤が欲しいのだけど、下手すりゃ中古盤に5桁の値が付けられていて全然手が出せねぇ…。
という益体もない個人的愚痴はともかく。本作はマイク・スターズ加入一発目として'78年に発表された6thアルバム。一作毎に音楽性が大きく変化していた時期ゆえ、ここで聴けるのはサタニックなバンド名とは裏腹に、明るく軽快にハジけるロックンロール・サウンド。事前知識なしに聴いたらこのギャップに結構驚いたんじゃなかろうか、と。
尤も、そこは百戦錬磨のベテラン・バンド。キャッチーなメロディといい、凝ったアレンジに軽薄さを微塵も感じさせない説得力に溢れた演奏といい、作風は変われど曲作りの腕前に鈍りがないことは明らか。ウッキウキなポップ・チューン⑥なんてこれはこれで味わい深い。またジョン・ロートンと比較しても何ら遜色ないマイクのしなやかな熱唱をフィーチュアした、劇的なバラード③、そして最後に控えし10分超の大作⑩等、これぞLUCIFER’S FRIENDたる貫禄を放つドラマティックな名曲も、アルバムをきっちりと引き締めてくれています。
最初に聴くべきLUCIFER’S FRIENDの作品か?と問われれば答えに詰まりますが、無視して聴かずにおくのは勿体なさ過ぎる力作であることは保証しますよ。


LUCIFER'S FRIEND - Good Time Warrior - My Love ★★★ (2019-06-19 00:52:39)

LUCIFER'S FRIENDらしいドラマティックな曲展開を織り込みつつも
全体としては非常に聴き易く、何だったら映画やドラマの主題歌として
ヒット・チャートを賑わしてたって不思議ではないポテンシャルを
ビンビンに感じさせてくれる名バラード。


LUCIFER'S FRIEND - I'm Just a Rock 'n' Roll Singer ★★★ (2020-09-15 00:49:38)

稀代の名シンガー、ジョン・ロートンを擁して現在も活動中のベテラン・ハードロッカー、LUCIFER’S FRIENDが'74年にVERTIGO RECORDSから発表した3rdアルバム。
オカルティックなバンド名に相応しい、ハモンド・オルガンが重厚にうねるヘヴィ且つプログレッシブなHRを披露して名声を確立した初期2作から一転、「俺はただのロックンロール・シンガーさ」ってな格好いいタイトルとは裏腹に、ファッション・センスは微妙で頭頂部の毛髪も薄くなっているオッサンの後ろ姿を戴くアートワークのひねくれたユーモアが表す通り、本作で早くも路線転換。女性コーラスやブラス・セクションを加え、時にファンキー&ソウルフルに弾んだりもするサウンドに、初めて聴いた当初は「これじゃない」感が半端なかったですよ。但し、演奏はタイトで隙がないうえ、ロートンのパンチの効いた歌声が楽曲にビシッと一本筋を通してくれているので、本編に緩かったり能天気だったりする印象は皆無。聴けば聴くほど魅力マシマシな1枚で、特に憂いを帯びた歌メロを載せてキビキビと躍動する③は名曲。また終盤に置かれたスペーシー&ドラマティックにアルバムを締め括る大作⑨からは、前2作の残り香もしっかりと感じることが出来ます。
ジャズ、クラシック、ロックンロールにブラス・ロック、シンフォニックだったりプログレッシブだったり、更にはHMのエッセンスまで、発表するアルバム毎に指向される方向性はバラバラながらも、1枚1枚じっくり付き合ってみると、そのいずれもがLUCIFER’S FRIENDの流儀できっちりと料理され、唯一無二の質の高い内容に仕上げられているのだから、流石としか言いようがありませんて。


LUCIFER'S FRIEND - I'm Just a Rock 'n' Roll Singer - Born on the Run ★★★ (2020-09-16 01:14:24)

軽快なノリの中にも芯の太いグルーヴが通った演奏にアガりまくるHRナンバー。
つくづく「何でも演られる人たちだなぁ」と感心させられますよ。
楽器陣の熱演に一歩も引かないジョン・ロートンのVoも勿論最高です。


LUCIFER'S FRIEND - Mean Machine ★★ (2008-01-26 23:50:00)

中期URIAH HEEPを支えた名シンガー、ジョン・ロートンが在籍していた事で知られ、70年代のドイツ・ロック・シーンを
SCORPIONSと共に牽引したハード/プログレッシブ・ロック・バンドLUCIFER'S FRIENDが、音楽的変遷とジョン・ロートンの
出戻りという紆余曲折を経て、'81年に発表した8thアルバムにして、ラスト・アルバム。
丁度、イギリスで盛り上がりを見せていたN.W.O.B.H.M.に影響を受け、サウンドが一気に若返っているのが本作の
大きな特徴で、その作風は、声域/声量/表現力と三拍子揃ったロートンのパワフルなVoといい、鋭く刻まれるエッジーな
Gリフといい、スピーディに疾走するリズムといい、とても過去に7枚もアルバムを発表してきたベテラン・バンドとは
思えぬ、エネルギッシュな仕上がり。最早ハード・ロックと言うよりも、ヘヴィ・メタルと表現した方がしっくりくる
感じだが、とは言え、流麗なKeyによる技ありのアレンジや、プログレッシブ・ロック時代の残り香が漂う
ドラマティックな曲展開といった要素には、ぽっと出の新人バンドにはとても真似できない、ベテランならでは技が光る。
それにしても素晴しいアルバムだ。哀メロを伴ってシャープに疾走する②、GとKeyが激しいバトルを繰り広げるヘヴィ・メタリックな
スピード・ナンバー⑤、“移民の歌"を思わせるイントロ・リフから、プログレ風味を効かせつつドラマティックに
展開していく⑧を始めとして、強力なフックとヨーロピアンな哀愁に彩られた収録曲の数々は、全10曲、一切捨て曲なし。
ハードロック史に残る名盤として名高い、1stや2ndと比較しても何ら遜色のない、圧倒的クオリティを誇る名作。必聴。


LUCIFER'S FRIEND - Mean Machine - Cool Hand Killer ★★★ (2008-01-27 00:06:12)

弾きまくりのギター・インスト曲“MEAN MACHINE"から
劇的に展開していく、へヴィ・メタリックなスピード・ナンバー。
NWOBHMの影響を受け、一気に若返ったLUCIFER'S FRIENDの
魅力が炸裂する名曲で、インスト・パートにおける
GとKeyのハイテンションなバトルは最大の聴き所。


LUCIFER'S FRIEND - Mean Machine - Hey Driver ★★★ (2008-01-27 00:11:23)

哀愁のメロディを纏ってキャッチーに駆け抜けて行く
アップテンポの名曲。
叙情味を増幅させるKeyが、非常に良い仕事をしてくれています。


LUCIFER'S FRIEND - Mean Machine - One Night Sensation ★★★ (2008-01-27 00:02:32)

イントロ・リフがZEPの“移民の歌"を思わせるが、
Keyを有効活用した、プログレシッブ・ロックの薫り漂う
ドラマティックな曲展開は、このバンドならではの味わい。
サビメロの強烈な「憂い」は、何度聴いても悶絶モノです。
ジョン・ロートンのパワフルな歌いっぷりも完璧。


LUCIFER'S FRIEND - Sumo Grip ★★ (2012-02-03 23:50:07)

「裸の2人が激しく乱れた息遣いで汗塗れに絡み合う写真、売ります」という通販にスケベ心から申し込んだら、相撲の写真が送られて来てガッカリ・・・という笑い話を思い出さずにいられないジャケットが著しく購買意欲を阻害してくれますが(『SUMOGRIP』なるタイトルは力士が四つに組んだ状態を言い表しているのでしょうか?)、聴いて吃驚、これが名作『MEAN MACHINE』の流れを汲んだメロディアスHRの好盤じゃありませんか。
勿論、エネルギーの迸りよりメンバーの年齢相応の落ち着きが強く出た作風ではあるのですが、それでもGがエッジを効かせ、リズム隊が踏ん張り、そしてジョン・ロートンのダイナミックな歌唱がメリハリを演出してくれているので、例えばバンドの代表曲“RIDE THE SKY”のリメイク⑭も浮いては聴こえない。(URAIH HEEP時代のヒット曲“FREE ME”のカヴァー⑮はファン・サービスみたいなもんでしょうが)
それにしても経年劣化とは無縁のロートン先生の歌声には惚れ惚れさせられますねぇ。張りのあるハイトーンを駆使して哀愁に満ちた歌メロを拾っていくその歌唱はまさしく本編の白眉。粘りの効いた納豆Voが映える③や、思わずコブシが回るバラード⑤辺りも堪んないモノがありますが、やはりトドメは和風序曲①に導かれて始まる②。勇壮だが物悲しいテーマ・メロディがずしりと胸に響く『MEAN MACHINE』に収められていてもおかしくない名曲ですよ。
前半の充実度に比べるとアルバム後半がやや物足りないのですが(例え“BANZAI”なる楽曲があろうとも!)、それを差し引いてもこのクオリティは実に立派。


LUCIFER'S FRIEND - Sumo Grip - Heartbreaker ★★★ (2012-02-03 23:56:39)

「土俵入り」を表す(?)短い
和風インスト“GET IN”を序曲代わりに
高らかにアルバム開巻を宣言する名曲。
ジョン・ロートンが張りのあるハイトーンを
駆使して歌い上げる、勇壮さと物悲しさが
同居したサビのメロディが実に胸に沁みます。
ちょっと“FINAL COUNTDOWN”に
通じるものを感じたりも。


LUCIFER'S FRIEND - Sumo Grip - You Touched Me... ★★★ (2012-02-04 00:11:33)

ブリッジ・パートのコブシとエモーション
効きまくりの熱唱は、何度聴いても
「うぉー」と悶絶させられますね。
たまらん。


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate ★★★ (2017-02-19 22:17:38)

LUCIFER’S FRIEND待望の復活作。昨年行われた彼らの初来日公演を観て、ジョン・ロートン(Vo)の歌唱力が全盛期の張り艶をしっかり保っていることは確認済みでも、新作となりゃ話は別。アルバム制作はとんとご無沙汰だったわけで、「でも仮に退屈な内容だったとしても、何とか良い所を見つけて褒めまくったるでぇ!」と、かなり過保護な気持ちで聴き始めた本作でしたが、結論から申せば、手心なんぞ全く無用な素晴らしい内容でしたよ。
印象的なリフと泣きのソロを弾き出すG、軽快に躍動するリズム隊、随所で流麗な指捌きを披露し楽曲の抒情性とドラマ性を補強するKeyの良い仕事に支えられた、しっとり潤う欧州HRの伝統と格調を伝えてくれるサウンドは、LUCIFER’S FRIENDの最終作でもあった名盤『MEAN MACHINE』(’84年)を良い感じに燻したような滋味溢れる仕上がり。
そんな本作の主役はやはり、包み込むような威厳と深みと温かみを感じさせるジョン・ロートンの唯一無二の歌声という。憂いに満ちた名曲③を皮切りに、グルーヴィ且つ冷ややかに揺れる④、ピアノが華やかに踊るキャッチーでノリの良い⑤、ダイナミックに燃え上がる⑥⑦、ブルージーな哀愁が溢れ出す⑧…と、次々繰り出される優れた楽曲を、耳にしてるだけで遠赤外線を浴びてるような感覚に駆られるこのVoがエモーショナルに歌い上げていく中盤戦は、間違いなくアルバムのハイライト。ボーナス・トラックとして来日公演時の音源⑫も収録されているのですが、これを単なるオマケ扱いせず、さりげなく本編のエピローグ(別れの挨拶的な)として組み込んでしまう構成の妙にも唸らされましたね。
こっちの予想を遥かに上回る完成度の高さに、侮ってたことをバンドに全力でお詫びしたくなる1枚。


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate - When Children Cry ★★★ (2017-02-19 22:24:05)

リリカルなピアノ、泣きのG、それに愁いを湛えた
ジョン・ロートンのVoとが、劇的なリズムに乗って
ドラマティックに熱を帯びていく様に引き込まれます。
復活作の完成度の高さを物語る名曲ではないかと。


LUCIFER'S FRIEND - Too Late To Hate - When You're Gone (Live) ★★★ (2017-02-19 22:35:09)

アルバムのボーナス・トラックでもある小粋なバラード。
敢えて初来日公演ラストに演奏されたライブ・バージョンを収録することで、
アルバム本編を(あたかもライブの如く)暖かく締め括る構成がニクイ。
残念ながら私が参加した1/16のライブ音源ではないのですが
耳をすませばメタルけいしょうさんの歓声が聞こえるかもしれません(?)


LUDICHRIST - Powertrip ★★ (2006-11-19 21:05:00)

前作に比べてググッとスラッシュ度をアップさせた、NYのクロスオーバー・スラッシャー、'88年発表の2ndアルバム。
饒舌なVoはラップから、弾けるグルーヴはファンクから、怒涛の突進力はハードコアから、
ハイ・テクニックに支えられた自由奔放な曲展開はジャズから、そして唐突にクラシカルな
インスト曲を披露したりと、様々なジャンルからの影響を巧みに消化して、ユニークな
スラッシュ・メタル・サウンドを創出するその洗練された手腕は、流石、都会派NY出身といった感じ。
アルバム全編に、陽性というかファニーな雰囲気が横溢していて、個人的にはもう少し「陰り」の感じられる音が
好みなのだけど(⑨のようなタイプの曲がもっとあれば・・・)、この個性と質の高さは確かに魅力的。
ただ、モッサリとしたドラム・サウンドには、もう少しキレが欲しかったかな。
折角の疾走感が、だいぶスポイルされてしまっているような気がするのだけど・・・。


Lance Powers - Lance Powers ★★★ (2022-10-27 00:53:39)

クリスチャン・ミュージック・シーンを主戦場に活動するアメリカ人シンガー、ランス・パワーズが90年代に発表した2枚のソロ・アルバムから、日本市場向けにベスト・テイクを選曲して収録する特別編集企画盤。(’99年リリース)
スイスのHMバンドSTORMBRINGERの元フロントマンというキャリアや、「パワーズ」なんて力強いお名前の響きといい、ジャケットにフィーチュアされたX JAPANのTOSHI似のグラサンで決めたご本人の勇姿(実際格闘技やパワー・リフティングを嗜むマッチョ系らしい)から、ゴリっとメタル寄りの音楽性を期待してしまうかもですが、いきなりピアノをバックに切々と歌い上げる抒情バラード①にて幕が上がる本作で披露されているのは、結構AOR寄りのメロハー・サウンド。GIANTやプロデューサー業での活躍で知られるダン・ハフ、売れっ子セッション・マンのマイケル・ランドゥといったゲスト・ミュージシャンの顔触れもそうした作風を裏付けているのではないかと。
但し、上記ギタリスト達は単なるBGMに留まらぬGプレイで楽曲にエッジを加えてくれていますし、欧州風味の憂いを湛えた②やクリスチャンらしい神聖な雰囲気を身に纏うバラード⑤等、ランスの繊細なハイトーンVo(ちょいロブ・モラッティっぽい)が歌い上げる哀愁のメロディの魅力は、控えめなハードネスを補って余りあるフックを有してくれていますので舐めたらアカン。特にガツンとロックする曲調に、ダン・ハフの泣きのGがエモーショナルな彩りを加える④ なんて何度聴いてもグッとくる名曲ですよ。
近年は日本までは活動状況が伝わってきませんが、お元気でお過ごしなのでしょうか?


Lance Powers - Lance Powers - Heavens on Our Side ★★★ (2022-10-28 01:15:43)

一昔前ならロビー・ヴァレンタイン、
現在ならロブ・モラッティを思い起こさせるランス・パワーズの
ハイトーンVoによって歌われる哀愁のメロディも良いですが、
合間合間で泣きのメロディを差し込んでくるギターの
ナイス・アシストぶりも聞き逃せない名曲です。


Landmarq - The Vision Pit ★★★ (2019-04-14 09:18:06)

元QUASARのデイヴ・ワグスタッフ(Ds)とウヴェ・D・ローズ(G)を中心に'90年に活動を開始。結成30年を越えて未だ活動中の英国出身ベテラン・プログレッシブ・ロック・バンドが、’95年にSI MUSICから発表したこちらは3rdアルバムにあたる作品。
前作『SOLITARY WITNESS』(’94年)の国内盤は我らがゼロ・コーポレーションからの発売でしたが、今回はアポロンからのリリース。ちなみに1stから歌っていて、カール・グルーム率いるTHRESHOLDや、アンソニー・ルカッセンが立ち上げたロック・オペラ・プロジェクトAYREON等への参加で知られる実力派シンガー、ダミアン・ウィルソンはこれがLANDMARQのメンバーとしてはラスト・アルバムになりました。
SI MUSIC物は一定以上の質の高さは約束されている一方で、やや刺激に乏しく眠気を誘われてしまう作品も少なくないのですが、本作に関してはメロディがキャッチー、またTHRESHOLD程ではないにしろ、エッジの立ったGが明瞭に楽曲の輪郭を描き出し、曲展開にもメリハリが効いているので、メタル者にも十分アピールし得る仕上がり。何より、憂いに満ちたエモーショナルな歌声で、楽曲の魅力と作品全体のダイナミズムを底上げするダミアンのVoがやはり強力。逆に生粋のプログレ・マニアからは「これもうプログレじゃくてメロハーじゃね?」との指摘を受けているそうなのですが…。
個人的には、プログレッシブ・ロック然とした10分越えの大作ナンバーよりも、比較的コンパクト且つハードにまとめ上げられたOPナンバー①のような楽曲に心惹かれた次第。
ともあれ「ダミアン・ウィルソンの名前は憶えて帰ってね!」とお願いしたくなる1枚であることは間違いありません。


Lightspeed (2014-04-09 23:04:45)

YESやPINK FLOYDに触発されたメンバーらにより、'76年にカナダはオンタリオ州において結成。
'79年に一旦解散するも、'89年に再編。翌年にはカセットテープのみでセルフ・タイトルのデビュー作を発表。
更に'92年に2nd『SO EXACTLY WHERE ARE WE?』をリリースすると、これが日本の輸入盤市場で評判となり、'94年にはゼロ・コーポレーションから国内盤の発売も実現している。
'95年に3rd『ON SECOND THOUGHT』を発表して以降はすっかり名前を見聞きしなくなってしまったが、その後はどうしたのだろう?1stをCDで発表し直す、なんて話もあったようだが、果たして実現したのかどうか。


Lightspeed - On Second Thought ★★ (2014-06-29 17:18:22)

日本の関係者に向けて、ブックレットのTHANKS LISTにわざわざ日本語で「ありがとうございました」とメッセージを載せていることからも、メンバーの素朴な人柄の良さが伝わってくる、カナダの5人組が'95年に日本のゼロ・コーポレーションを通じて発表した2ndアルバム。
温もりを伝える「歌」を、豊富なキャリアで培われた楽器陣の確かなテクニックと表現力が盛り立てるメロディアスHR・・・という基本路線に変わりはありませんが、今回は前作に比べ、スペーシーなプログレッシブ・ロック風味は後退。よりシンプルに、メロディを聴かせることにフォーカスしたポップな内容に仕上がっています。
と言っても、楽器陣が自己主張を忘れない楽曲には、このバンドならではの個性が宿っており、特に躍動するポップ・ナンバー③、ムーディなBが味わい深い④、アルバムの中で最もプログレ・ハードの薫りが匂い立つ⑤・・・と続く本編中盤は聴きもの。
やや落ち着いてしまった感はありますが、しっかりとしたクオリティは備わっているので、本作を最後にバンドが消息不明になってしまったのは残念ですね。


Lightspeed - So Exactly Where Are We? ★★★ (2014-04-09 23:08:01)

結成は70年代まで遡り、元々はプログレ・バンドだったというカナダの5人組が、'93年に発表した2ndアルバム。
スペーシーなインスト序曲①から、適度にスリリングなプログレ・ハード調の②へと繋ぐ展開や、曲によってはVo⇔Dsがスウィッチするフレキシブルな編成等にその出自を伺わせつつも、本作において彼らが志向しているのは、温もりを湛えたVoと、叙情的なKeyがメインを張る、AOR/産業ロック寄りのメロハー・サウンド。欧州調の泣きや哀愁をスマートに聴かせるセンスは流石カナダ産であり、Voがマイケル・サドラー型なこともあってか、ポップでまろやかな⑤なんかは初期SAGAに通じる魅力を放ちます。
長いキャリアを通じて培った実力を「楽曲をキャッチーにまとめ」「胸を打つメロディを書く」ことに注力する彼らの基本姿勢は、とりわけ②③④といった本編序盤の楽曲に集約。特にバラード④は、少ない音数で多くを語るGソロの名演を筆頭に、テクニックのひけらかしよりも楽曲の完成度優先した、本作の作風を象徴するかのような名曲。
輸入盤市場での評判から、後に国内盤のリリースが実現したのも納得です。


Lightspeed - So Exactly Where Are We? - Miss You Now ★★★ (2014-04-10 22:07:01)

とめどなく哀愁が溢れ出すバラードですが、
温かみを伝えるVoと透明感に満ちたKeyが
クサ味を感じさせない辺りが流石カナダ産。
本編後半で繰り出される、少ない音数の中に
雄弁なエモーションの込められたGソロは
悶絶モノの素晴らしさですよ。


Lost Society - Braindead ★★ (2016-03-30 23:10:53)

前掛かりに走り抜けるスラッシュ・メタルの快作だった前2作に比べ、'15年発表の本3rdは、全く走らない①②で幕が上がる序盤の展開からして、これまでとは大きく趣きを異する内容であることを宣言してきます。例えるなら、内角を鋭く突くストレートで簡単に2ストライクを取った剛腕投手が、3球目はあえて外角に外してきた…みたいな?
ハジけるようなスピード感よりも、弾むようなグルーヴ/うねりを前面に押し出した作風は、なるほど。バンドが認める通りPANTERA辺りからの影響大。但し、へヴィネスやパワー・グルーヴといった要素の扱いの巧みさ、そうしたエッセンスを取り入れながらも「らしさ」を見失わない柔軟性は、さすが現代っ子バンドであると。オッサン達が無理して流行に乗っかろうとした挙句、目も当てられない惨状を呈した90年代に比べると、この世代にとっちゃ最早PANTERAすらIRON MAIDEN等と一緒くたで「オールドスクールなメタル」なんだなぁと、何やら隔世の感を覚えた次第。そんな彼らの感性が活かされた、重厚なへヴィネスと、サビで頑張って「歌う」Voに、劇的且つ勇ましいツインGのフィーチュアされたエピック・ナンバー⑦は、本作のハイライトというべき存在感を放つ名曲。
まぁでも、聴いてて最もテンション上がるのは、歯切れ良くアッパーに突っ走る⑤⑥みたいな高速スラッシュ・ナンバーですし、個人的には本作の内容以上に、これを踏まえて彼らが次にどんな一手を繰り出して来るのかが気になるわけですが。


Lost Society - Braindead - Only (my) Death is Certain ★★ (2016-04-16 22:28:11)

合唱を誘うかのようなエピック・メタル調の
コーラス・セクションを擁し、8分以上の長尺を
山あり谷ありでドラマティックに展開させていくという
3rdアルバムの中で最もチャレンジ精神が強く表れた楽曲。
しかしそれでいてスラッシーな疾走感も失っていませんし
個人的には「その意気、買った!」と。


Lost Society - Braindead - Rage Me up ★★★ (2016-04-16 22:18:16)

一気呵成に畳み掛けるアゲアゲなスラッシュ・ナンバー。
ライブ会場で聴いたらモッシュの渦にダイブしたくなること請け合い。
へヴィな方向に振れた新作の中では、
最もLOST SOCIETYらしさを感じさせてくれた1曲です。


Lost Society - Fast Loud Death ★★★ (2014-01-11 00:32:13)

フィンランドから彗星の如く現れた期待の新人スラッシャー、'12年発表の1stアルバム。(邦題は『すべての若きスラッシャーども』)
屈強に締まった音作りと演奏の下、キレっキレなGリフ&スーパーボールよろしくしなやかに跳ね回るリズムとが一気呵成に畳み掛けるスラッシュ・サウンドは、硬質且つキャッチーな疾走感を前面に押し立てつつも、スピード一辺倒に陥ることはなく、全体の緩急/ライブ映えを踏まえて要所に歯切れの良いグルーヴを仕込んでみせる隙のなさ。更には正統派へヴィ・メタリックなインスト・パートを擁する⑪のような楽曲も収録する等、とにかく一事が万事、アルバム作りにおいて抜かりがない。(ジャケットを手掛けているのもエド・レプカ画伯ですよ)。
それでいて優等生っぽく落ち着いてしまわず、適度にバカっぽさも散りばめられているのだから、なんつーか全編に「これを20代そこそこの若造が作ったの?本当に?」的な貫禄が漂ってますよ。
ここまで卒がないと「いやでも頭抜けた曲がないし」とか「もっと北欧っぽさが欲しいし」とか、無理くりにでも注文付けたくなりますが、まぁ悔し紛れの難癖だと思って頂いて構いません。そも頭抜けた曲がないのは、収録楽曲の平均レベルの高さの表れですしね。
老婆心ながら、この完成度の高さに、逆に次作以降のことが心配になってくる1枚。まぁ余計なお世話ですわな。


Lost Society - Terror Hungry ★★★ (2014-05-10 10:59:06)

新人とは思えぬ貫禄溢れるデビュー作を耳にした時にゃ「既にこんなに完成されていて、次作はどうなるんだろう?」と余計な心配をしたものですが、プシュッ!とビールの蓋を開ける音から気持ち良くスタートを切る'14年発表の本2ndアルバムは、その心配が杞憂であったことを確信するに十分なクオリティを有しています。
アルコールのお供には欠かせない乾き物(スナック菓子)的質感でバリバリ刻まれるGリフ、「あ、そ~れ、イッキ!イッキ!」と煽り立てるアッパーなリズム、そして絶妙なタイミングで合いの手を入れて、こっちの気分を昂ぶらせる野太いコーラスとが一体となって爆走するスラッシュ・サウンドを、新歓コンパの如きバカ高いテンションで開催。
高い演奏力と、北欧っぽさを殆ど意識させない、カラッと爽快な抜けの良さとに支えされて、快刀乱麻な勢いで繰り出されるリフ/リズムは、相変わらずすこぶる付きのキャッチーさですが、今回はスラッシーな尖がり具合よりも、パンキーなノリの良さを強調し、心持ち「聴かせる」姿勢を打ち出しているように感じられるのは、彼らなりの試行錯誤の現れでしょうかね。
居ても立ってもいられないぐらい運動中枢を刺激される②⑪を筆頭に、収録曲は何れ劣らぬ完成度の高さですが、今後の課題としては「LOST SOCIETYといえばこの名曲!」といった、キメの1曲がぼちぼち欲しいところではあります。


Lost Society - Terror Hungry - Brewtal Awakening ★★★ (2014-05-12 23:49:49)

酔っ払いのバカ騒ぎSEでアルバムの幕が上がり、
11曲目ともなれば、いい加減グダグダに
なりそうなものですが、どっこい益々キレと
スピード感を増し、本編中、最もへヴィ・メタリックな
ダイナミズムを感じさせてくれる仕上がりの逸曲。
酔えば酔うほど強くなるってか。


M.ILL.ION - Kingsize ★★ (2014-01-19 22:31:34)

M.ILL.IONの作品を購入するのは1st『№1』以来で、メンバーの顔触れのみならず、音楽性の方もドラスティックな変貌を遂げていて結構驚かされました。
アメリカンなポップ・メタル/アリーナ・ロックに、北欧調の味付けを加えた感じのサウンドを聴かせてくれたデビュー作に対し、この5thアルバム('04年発表)では格段にヘヴィ・メタリックな硬度を高め、初期PRETTY MAIDSを思わすスピーディな①、GとKeyの真っ向勝負のせめぎ合いがBISCAYAを彷彿とさせるスリリング②・・・といった具合に、DEEP PURPLEの流れを汲む古典派の様式美HMを実践。
HAMMERFALLやSTRATOVARIUSのブレイク以降、北欧において一気に勢力を拡大したメロスピ/メロパワ路線とも、イングヴェイ影響下のネオクラ路線とも異なる、古き良き北欧様式美HMの伝統をストレートに受け継いだ本編は、懐かしくも実にカッコイイ。
相変わらず「これ」といった強力な名曲は見当たらないですし、微妙にピッチの甘い新Voの歌唱も前任者とどっこいレベルですが、それでもキャッチーなメロディの構築能力、並びに優れたアレンジ・センスを最大限に発揮して、収録楽曲のいずれもを平均点以上に仕上げる手腕は相変わらず冴えています。
北欧メタル・ファンならチェックしておいて損はない1枚。


M.ILL.ION - Kingsize - Backdoor Queen ★★★ (2014-01-20 23:18:37)

Gと共にスピーディな曲調を牽引するKeyの
リード楽器ぶりが、DEEP PURPLEの流れを汲む
古き良き北欧様式美メタルの魅力を伝えてくれる
BISCAYA辺りにも通じる逸品。


M.ILL.ION - Kingsize - Eye of a King ★★★ (2014-01-20 23:13:45)

シンフォニックで壮大なイントロを経て
疾走を開始するドラマティックな曲展開が
どことなくPRETTY MAIDSの“BACK TO BACK”を
思い出させなくもない、アルバムのOP役に相応しい名曲。


M.ILL.ION - No.1 ★★ (2014-01-18 22:45:31)

第二次北欧メタル・ブーム終息後もHR/HMシーンをサバイブした根性の持ち主、スウェーデン出身のM.ILL.ION、'92年発表のデビュー作。(国内盤はゼロ・コーポレーションから'93年にリリース)
ここで彼らが志向しているのは、溌剌たる演奏、ミッド・テンポの楽曲、合唱を誘うキャッチーなサビメロが健康的にハジける80年代風味満点のポップ・メタル/アリーナ・ロック。しかしながら、透明感を湛えた美旋律と哀愁が滲み出す明るくなりきれないメロディ、それに叙情味を増幅するKeyによる北欧メタル然とした味付けが、彼らの隠しようもない出自を証明しています。
音楽性に比してゴージャス感に乏しいプロダクションや、ワイルドになりきれないVoの生真面目な歌唱が運んでくる線の細ささえも、北欧メタルならではの侘びサビとして郷愁を大いにそそってくれます。
北欧メタル史に名を刻むようなパンチの効いた名曲が収録されているわけじゃありませんが、耳を捉えるメロディからアレンジ・センスまで、収録楽曲のいずれもを平均点以上に仕上げる腕前は実に堅実。(個人的には頭3曲や7曲目がお気に入り)
今でもふと思い出したように聴きたくなる1枚であります。


M.t. Fuji - Human Transport ★★★ (2022-01-17 23:09:38)

80年代ジャパメタ・シーンを彩った覆面バンド/ミュージシャンとして名前が思い浮かぶのは、BOW WOW+小室哲哉と言われた銀星団や、松川敏也(BLIZARD)のソロ・アルバムに参加したMr. CRAZY TIGERこと稲葉浩志、そしてこのM.T. FUJIのことでしょうか。
M.T. FUJIの唯一作である本作は'82年にリリースされており、クレジットにはアラン“ヘヴン”カンザキとかダリオ・デ・パルマとか、あからさまに偽名っぽい名前が並んでいます。その正体はLOUDNESSの高崎晃(G)、山下昌良(B)、MAKE-UPの山田信夫(Vo)、T-SQUAREの長谷部透(Ds)、現在はプロデューサー業で名を馳せる笹路正徳(Key)と伝え聞きますが、声でハッキリと識別できる山田以外のメンバーに関しては確証はなく、あるいは’12年の初CD化の際にネタ晴らしがあるかもと期待しましたが、そこに関しては相変わらず秘匿されたままだったという。まぁ今となっては別に強く知りたいとも思っちゃいないんですけどね。謎は謎のままの方がロマンが感じられますし。
肝心の内容に関しては、正体はともかく一流どころの面子が集結しているだけあって流石に文句なし。ゴリゴリのHM路線ではなく、Keyを前面に押し出した、ちょいポップなプログレ風味入りのメロディックHRサウンドは、LOUDNESSよりもMAKE-UPとの比較がしっくり来そうな仕上がり。特にツボを押さえたGプレイ、流麗なピアノ、既に冴えている山田…もといアランのエモーショナルな歌声、そしてグッとくる憂いを湛えたメロディという聴き所を盛りに盛った⑦は、今聴き直しても古臭さを感じさせない名曲です。
またやってくれませんかね?


M.t. Fuji - Human Transport - In the up Shot ★★★ (2022-01-19 00:55:55)

プログレ風味の入った流麗なタッチで奏でられ、
曲展開をリードするKey(ピアノ)の活躍ぶりが印象的。
キビキビとした演奏で曲調にHR然としたエッジを加える楽器陣や、
新人離れした歌声を聴かせるVoも良い仕事しまくりの
アルバム・ハイライト・ナンバー。


M.t. Fuji - Human Transport - Wonder Land ★★★ (2022-01-19 01:01:29)

ポップかつ華やかに本編の開幕を告げるOPナンバー。
バック・コーラスとしてワンポイントでの参加ながら、
リードVoを食いかねない存在感を発揮する二井原実…もとい、
ミック・ジョセフィン・ワンダーの圧の強い歌声に笑ってしまいます。


MACALPINE - Eyes of the World ★★★ (2022-04-29 01:31:29)

速弾きギタリストへのバッシングの強まりや、HR/HMシーン全体の潮流の変化等を受けて、ある者はブルーズ・ブームに乗っかり、またある者はバンド組閣に動き…といった具合に多くのソロ・ギタリスト達が路線変更を模索していた90年代初頭。「速弾き四天王」の一人として勇名を馳せたトニー・マカパインも例外ではなく、新たにパーマネントなメンバーを集めてバンド形態でレコーディングを行うと、名義もMACAPINEとよりバンドっぽく変更して、’90年に本作を発表しました。
それに合わせ音楽性の方も、テクニカルな楽器陣がバチバチ火花を散らすネオクラシカルHMから、伸びやかなVoを主役に据え、Keyがポップな彩りを加えるメロハー・サウンドへと大胆に刷新(恒例のピアノ・ソロ曲もなし)。端っこに位置取りするトニーが控えめに映り込むアー写のイメージそのままに、彼のGも歌の引き立て役に徹している印象です。
当サイトにおける獲得ポイント数が如実に物語る通り、お世辞にも高評価を得ているとは言い難い本作ですが、聴き込むほどに、いやこれが案外楽しめる出来栄えであることに気付かされるという。ポップ&キャッチーな曲調で今作における変身ぶりを聴き手に印象付けるOPナンバー①、シンガーの伸びやかな歌の上手さも光る哀愁のバラード⑥、夏の終わりをメロウに告げる⑨、ツボを押さえたギターが、(比較的)ハードな曲調の中でスパークする⑦⑪等、彼のメロディ・センスも作曲センスも、そして勿論ギター・テクニックも、くすむことなくしっかり健在であることが伝わってくる内容であることは間違いありません。
真っ先にチェックすべき代表作とは言えないまでも、顧みられることなく放置されたままになっているのは勿体なさ過ぎる1枚ですよ。


MACE - Process of Elimination ★★ (2007-05-14 21:58:00)

アメリカはワシントン出身の4人組スラッシュ・メタル・バンド、'85年発表の1stアルバム。
収録曲の大半が2~3分台、しかも「刻む」と言うよりは「掻き鳴らす」といった感じのノイジーなGリフ、
緩急もへったくれもない性急なリズム、メロディを一切無視して喚き倒すVoとが、一丸となって突撃を繰り返す様は、
スラッシュ・メタルと言うよりもハードコア/パンク風味が濃厚で、実際、OPチューンの①はもろそんなノリの1曲。
続く②も前半はそんな感じで、漫然と聴き流しながら「あー、こりゃ買って失敗したかなー」等と考えていたら、
この曲が中盤で突如転調。後半は湿り気を帯びたメロディとアグレッシブなGソロが疾走する
スラッシュ・チューンに早変わりしたもんだから驚いた。(前半と後半で殆ど別の曲のノリだ)
また、④もインスト・パートの前半と歌入りの後半に分かれた、そこはかとなくドラマ性を感じさせる仕上がりだし、
本編のハイライトと言うべき高速スラッシュ・チューンの名曲⑤、ノリはパンキッシュだが、
Gソロは非常にメロディックな⑥、ヘヴィ・メタリックなリフがハイテンションで疾走する⑦、
イントロにアコギを配したダイナミックな⑧、バンドのテーマ・ソングでもある本編最速の⑨・・・と、
聴き終えてみれば、本作は「パンクとメタル双方の良い所を上手く取り込んだスラッシュ・メタル・アルバムの力作」
との結論に落ち着く。少なくとも、ここのGが相当なメタル野郎なのは間違いない。
強烈に割れ歪んだノイズ混じりのサウンド・プロダクションはかなり劣悪だが、その一方で異様な迫力に満ち溢れていて、
少なくともこのバンドの音楽性には非常にマッチしているので、音質の悪さは然程気にならないかな。


MACE - The Evil in Good ★★ (2007-05-14 22:10:00)

相変わらずハードコア/パンクからの影響を色濃く残した作風ながらも、アグレッシブなGリフの刻み具合や、
ゴリゴリと良く動き回るB、歌い回しに歯切れの良さが増した喚き型Vo、演奏能力の向上に伴い、
より緩急が取り入れられた楽曲etc・・・と、デビュー作『PROCESS OF ELIMINATION』に比べ、
更にスラッシュ・メタル色が強まった印象を受ける、'88年発表の2ndアルバム。
その最大の成果が、後半のドラマチックな盛り上がりっぷりが堪らない(タイトルからしてIRON MAIDENぽい?)③や、
叙情的な導入部から一転して激烈な疾走を開始する⑧、そして何より、泣きまくりのイントロを経て
スリリングなGソロをフィーチュアしながら荒れ狂うMACE屈指の名曲⑦といった、スラッシュ・ソングの数々。
また、自分が持ってるのは板起こしの再発盤なので、当然、レコードのノイズもそのまま収録されてしまっているのだが、
その辺を差し引いても、しっかりとサウンド・プロダクションの向上が確認出来るのも○。
ただ、妙に大人しめの音作りのせいか、前作の強烈に割れ歪んでノイジーなサウンドの迫力が薄れてしまった点は痛し痒し。
とは言え、MACE入門編に相応しいのは1stアルバムより本作なのは間違いない。


MAD MAX - Night of Passion ★★ (2012-12-13 22:40:42)

MAD MAXなんて言われると、素肌に皮のベスト着込んだモヒカン頭のメンバーが、改造車にハコ乗りして「ヒャッハー!」と奇声を上げているような世紀末サウンドが思い浮かびますが(どんなサウンドだ)、本作でメイン・ソングライターを務めているのは、CASANOVAやDEMON DRIVE等の活動で名を馳せるあのマイケル・ヴォス(Vo)。ゆえに、全編に亘って重視されるのはアグレッションよりもメロディとハーモニー。
このバンドが前3作をかけて培ってきた、ドイツのバンドらしい質実剛健な正統派HMサウンドと、マイケルが新たに持ち込んだポップでメロディアスなアメリカンHRサウンドが、全く溶け合うことなく、A面とB面でそれぞれ別個に存在を主張している点がちょっと可笑しい本作。
単純に質で言えば、少々野暮ったい前者よりも、哀愁漂う⑤、爽やかで抜けの良いメロハー⑥、ゲスト参加のジョシュア・ペラヒアが特徴的な速弾きで華を添える⑦、美しいコーラスがキャッチーな⑧といった佳曲が連続する後者の方に軍配が上がりますが、ジャーマン・パワー・メタル然としたスピーディでパワフルな曲調に、マイケルのソフトで透明感を湛えた歌声が乗るというミスマッチ感がユニークな②④のような楽曲を擁する前半もまた十分味わい深い。
あ、つまり全編が聴き応え十分の力作ってことですわな。


MADAM REY - ブラッディ・ローゼズ ★★★ (2018-12-27 23:44:07)

突如HR/HMシーンに現れた仮面のメタル熟女マダム・レイ。野球解説者/東北楽天イーグルス初代監督、田尾安志の奥方がその正体であることでも各種メディアを賑わしましたが、こちとら「マダム」というからには絶対その正体は、新宿レコード店主のマダム藤原(『パワー・ロック・トゥデイ』リスナーには「皆さん、お待ちしてまぁす」のフレーズでお馴染み)だと睨んでいたのですが。んなわけはねぇか。
って、与太話はともかく。本作は彼女が'09年に発表した2ndアルバムで、脇を固めるのは横関敦(G)、SEX MACHINEGUNSの村井健二郎(B)とHIMAWARI(Ds)、そしてフィンランドの名手ミカ・ユッシラがマスタリング・エンジニアを担当するという布陣。当初はそこはかとなく漂ってくる色物臭にあまり興味を引かれなかったのですが、実際に聴いてみると、NIGHT HAWKSのリーダーである青木秀一、作曲家の川本盛文らが手掛けた収録楽曲の数々は、ハード・ナンバーからJ-POP風バラードまで、各曲ともフックと哀愁の効いたサビメロを有し、グッと引き込まれてしまう完成度を提示してくれていまして。
マダムの歌声は、見た目の盛り具合に比べると少々パンチに欠ける印象は否めないものの、シンガーとしての実力は十分ですし、ジェット・フィンガーぶりを遺憾なく発揮する横関のGプレイを始め、バックの演奏もそれを効果的に援護射撃。特にドラマティック且つエモーショナルに盛り上がるアルバム表題曲⑤から、横関のペンによるアップテンポの⑥へと繋がっていく流れは本編のハイライトですよ。(後に続くしっとり聴かせるバラード⑦も〇)
彼女がリリースしている他のカタログもチェックしたくなる1枚でありました。


MADISON - Best in Show ★★ (2009-07-28 00:28:00)

北欧メタル史に燦然と輝く名曲“RAY DOWN YOUR ARMS"を収録したデビュー作『DIAMOND MISTRESSで、
多くの北欧メタル・マニアのハートを鷲掴みにしたMADISONが、'86年に発表した2ndアルバム。
ポップ化が進んだ作風に賛否両論あったため、購入にはかなり躊躇した覚えもあるのだが、実際に聴いてみれば
これが、以前よりもグッと技量を高めたヨラン・エドマンのクリスタルなハイトーンVoが心地良い
哀メロ・チューン①を筆頭に、透明感と美旋律満載の「これぞ北欧メタル!」な内容に仕上がっており、ホッと一安心。
僅か12日間で突貫レコーディングされ、NWOBHM的な野暮ったさも漂っていたデビュー作に比べると、今回は予算と
制作期間に余裕があったせいか、サウンド・プロダクションが格段に向上。それゆえ、ヘヴィ・メタリックな
ハードネスは若干減退した印象は否めないが、ヨランの歌唱を楽曲の中心に据え、煌びやかなKeyをフィーチュアして
格段に洗練の度合いを高めたサウンドのクオリティは、名盤と謳われる前作と比較したって決して聴き劣りはしない。
中でも前述のOPナンバー①や、強烈なクサメロに思わず悶絶する②、そしてアルバムのハイライト足る、
序曲⑤に始まり、悲哀と感動に満ちた名バラード⑥を経て、GとKeyが激しいバトルを繰り広げる
様式美ナンバー⑦へと繋がっていく流れは、何度聴いても心震わされる素晴しさ。
後半、楽曲のクオリティが尻すぼみになってしまう事など問題点も多々あれど、とりあえず
北欧メタル・ファンなら当然のように「買い」の1枚かと。


MADISON - Diamond Mistress ★★ (2008-11-08 16:42:00)

EUROPEの“SEVEN DOORS HOTEL"やPRETTY MAIDSの“BACK TO BACK"等と共に、第1次北欧メタル・ブームを代表する
名曲として今に語り継がれる“LAY DOWN YOUR ARMS"を収録した、スウェーデン出身の5人組HMバンドMADISON、
'85年リリースの1stアルバム。(邦題は『神嵐の序曲』)
Voは、後にイングヴェイ・マルムスティーンのバンドに参加した事で一躍有名になるヨラン・エドマンで、
「Mr.北欧ボイス」とまで呼ばれる現在の彼に比べると、流石にその歌声にはまだまだ青さが目立つが、
既に、その透明感溢れるハイトーンは健在。また、ドラマティックに絡み合い、豊かに美旋律を紡ぎ出すツインGの
カッコ良さもこのバンドの大きな武器であり、取り分け、北欧様式美メタルならではの起承転結がビシッと決まった①、
ヨランの歌の上手さが際立つしっとりとした泣きのバラード⑤、そして本編ラストを劇的且つスピーディに締め括る、
⑩といった楽曲のクオリティのバカ高さは、リリース当時、本作が輸入盤市場でベストセラーを記録したという逸話が、
伊達じゃないことをしっかりと裏付ける。
北欧HM然とした透明感や繊細さよりも、NWOBHM的な疾走感や攻撃性が前面に押し出された作風は、音質が冴えないせいもあり、
いま改めて聴き直すと少々野暮ったい印象は否めないものの、様式美HMファンなら①⑤⑩を聴くだけに本作を購入しても、
十分お釣りがくるというもの。最近、格安の値段で再発されたので、未聴の方はこの機会に是非どうぞ。


MADISON - Diamond Mistress - Lay Down Your Arms ★★★ (2008-11-08 17:03:32)

MADISONといえばこの曲。
スリリング且つドラマティックに絡み合い、
豊かに美旋律を紡ぎ出すツインGがカッコイイったらありゃしない。
様式美HMファンは聴かずに死ぬ事なかれ。


MADISON - Diamond Mistress - Pictures Return ★★★ (2008-11-08 17:06:46)

ピアノの旋律に導かれてスタートする、泣きの名バラード。
本編の方では少々不安定さが耳につくヨラン・エドマンのVoだが、
この曲における歌いっぷりは「見事」の一言。
聴く者の胸を締め付ける、美しくも儚く物悲しいメロディを
切々と情感豊かに歌い上げてくれています。
勿論、ツインGの泣きっぷりも美味しい。


MADISON - Diamond Mistress - Turn Me Loose ★★★ (2008-11-08 17:11:19)

“LAY DOWN YOUR ARMS"に勝るとも劣らぬ光りを放つ、
スピーディ且つドラマティックな本編ラスト・ナンバー。
1度スローダウンして、そこから再度疾走へと転じる場面で
炸裂Gプレイのカッコイイこと!(ちょっぴり“THUNDERSTEEL"風?)
初めて聴いた時は、思わずガッツポーズ取っちゃいましたよ。


MAESTRO ALEX GREGORY (2013-02-25 22:23:07)

自らマエストロを名乗るも、CDをスタートすると聴こえて来るのは、調子っ外れでたどたどしいGプレイ・・・という完全に出落ち系なイギリス人ギタリスト。
当然、'92年発表のデビュー作『PAGANINI'S LAST STAND』1枚きりで消えたものとばかり思っていましたが、その後も7弦ギターを開発したり、LA MUSIC AWARDを受賞したりと、活発に活躍していたようで意外。
'09年には2nd『13 JOKES FOR HEAVY METAL MANDOLIN』も発表していますが、聴いてみたいような、そうでもないような・・・。


MAESTRO ALEX GREGORY - Paganini's Last Stand (2013-02-25 22:07:01)

自称「マエストロ」のアレックス・グレゴリーなるギタリスト(単なるジョーク野郎かと思いきや、後に芸術一家出身で7弦ギターの開発者だったりと、結構出自のしっかりした人物であることが判明して吃驚)が'92年に発表した準インスト・アルバム。
そのマエストロが、イングヴェイやスティーヴ・ヴァイの墓に立ち小便しているというアートワークがインパクトを放つ本作ですが、内容の方はかなりポンコツ。有名クラシック曲のフレーズを随所に散りばめた、ネオクラ路線の楽曲はそれほど悪くはないのですが、肝心のマエストロの腕前が全く頂けない。リードはメロメロ、リズムはグダグダとそのGプレイは猛烈にたどたどしく、これで「ニコロ・パガニーニを主人公にしたコンセプト・アルバム」と胸を張られても「10年早いんじゃボケ」としか言いようがないよなぁ、と。
そんな本作を救っているのが、ゲスト参加して③⑦⑪で神憑り的な歌唱を披露しているマーク・ボールズの存在。特にBURRN!!誌の藤木記者を「鳥肌&号泣&失禁」せしめたバラード③における、コブシの効いた劇的な熱唱は圧巻。
イングヴェイやRING OF FIREのアルバムでマーク・ボールズのVoに痺れた方は、是非、この曲を聴くためだけにでも本作の購入をご一考下さい。


MAESTRO ALEX GREGORY - Paganini's Last Stand - Fairytales Won't Die ★★★ (2013-02-25 22:30:38)

マーク・ボールズ、90年代のベスト・ワークに挙げられる
凄まじい歌唱が炸裂するクラシカルなバラード。
8年後には“誰も寝てはならぬ”をカヴァーする彼氏ですが、
この曲の終盤におけるオペラティックなハイトーンで
その才能の片鱗を伺わせてくれます。


MAGIC DANCE - New Eyes ★★★ (2023-06-10 00:02:34)

MAGIC DANCEは、ニューヨーク州ロングアイランド出身のマルチ・アーティスト、ジョン・シーカによって立ち上げられたメロハー・プロジェクト。作詞/作曲/プロデュースは勿論、全ての楽器もこなす地道な自主制作体制の活動が実を結びFRONTIERS RECORDSとの契約をゲット、2018年発表の本3rdアルバムで目出度く日本デビューを飾っています。
当時予備知識も何もなく、店頭で見かけてバンド名の響きと美麗なジャケットに惹かれて購入した作品でしたが、いや当たりでした。FRONTIERS RECORDSと気心の知れたミュージシャンのバックアップを得てバンドとしての態勢を整えたジョン・シーカが奏でるのは、リヴァーブを深めにかけた音作りと、クセのない伸びやかな歌声、それに透明感を湛えたキャッチーなメロディが映える、ドリーミンなAOR/ハードポップ・サウンド。その素晴らしさにゃ「ジャケ買いしとくもんだなぁ」としみじみと思わされましたよ。
初期作はもっとエレポップ寄りの作風だったそうですが、本作では軽快に踊るGが心地よいエッジを楽曲に与えてくれていて、OPナンバーに相応しい爽快感と高揚感を運んでくる①から、ドラマティックかつ抒情的に本編の幕を下ろす表題曲⑩に至るまで、駄曲の類は一切見当たらないハイクオリティっぷり。中でも北欧メロディアス・ハードに通じる冷ややかな美旋律が哀しげに駆け抜けていく⑥は、バンドがアルバムのリーダー・トラックに選出したのも納得の名曲に仕上がっています。
梅雨を迎えてこれから蒸し暑さを増していく寝苦しい夜のお供に最適な、バンド名に相応しく忘我の境地へと誘われる1枚。


MAGIC DANCE - New Eyes - When Nothing's Real ★★★ (2023-06-13 00:55:36)

伸びやかなVoが歌う上げる北欧メロハーに通じる愁いと透明感を
湛えたメロディにうっとり聞き惚れるアルバムのハイライト・ナンバー。
ロックのエッジもしっかりと効かされていて、ジョン・シーカの
卓越した作曲センスが冴え渡っています。


MAGNUM - Brand New Morning ★★★ (2008-04-05 23:18:00)

結局、ミッキー・バーカー(Ds)の復帰が叶わなかった為、前作『BREATH OF LIFE』発表に伴う復活ツアーに引き続いて、
THUNDER(当時は解散状態にあった)のハリー・ジェイムズのヘルプを仰いで制作、'02年にリリースされた再結成第2弾アルバム。
個人的にも↑のお二方の意見に完全同意で、HR的なエッジをグッと強調した音作りといい、曇天模様のイギリスを
彷彿とさせる湿ったメロディや、漂う重厚感といい、より日本人好みの作風に仕上がっていると言える本作。
尤も、初期MAGNUMのスタイルに立ち返っているわけではないし、ソフティケイトされた叙情HR路線は
相変わらずなわけなのだけど、そも、ここまで徹底されれば、今更彼らに初期の音楽性を求めるファンもおらんでしょう。
ややメロディに弱さの目立った(特に序盤の楽曲)前作に比べると、今回は、OPナンバーに相応しい重々しさと
劇的さを備えた①からして、掴みはOK。それ以降も、マーク・スタンウェイによる、華やかなピアノ・プレイに
心踊らされる②、欧州民俗音楽的な風情を漂わせた、寂しげなメロディ・ラインが胸に沁みる③、味わい深い
ボブ・カトレイのVoが映えるブルージーなバラード④、サビメロで発散される「憂い」が強烈な⑤、ドラマティック且つ
メランコリックなアルバムのハイライト・チューン⑥・・・と、次々に繰り出されるハイクオリティな楽曲の数々に
圧倒されまくり。もちろん後半も、ラストをムーディに締める泣きのバラード⑩(国内盤のみ収録)まで、一切捨て曲なし。
まぁ、その割りに強力なキメ曲に欠ける辺りは前作と同様だが、これだけ完成度の高い作品なら、それも弱点となってはいない。


MAGNUM - Brand New Morning - I'd Breathe for You ★★ (2008-04-05 23:34:14)

オーソドックスなヘヴィ・チューンと思わせておいて、
ピアノの音色と共に、猛烈な勢いで哀メロ度を高める
サビの展開には、思わず眉毛が八の字に歪んでしまうというもの。


MAGNUM - Brand New Morning - It's Time to Come Together ★★★ (2008-04-05 23:22:47)

マーク・スタンウェイの華やかなKeyプレイ
(特にピアノの音色が素晴しい)に心が浮き立つ、
爽やかでポジティブなエネルギーに満ち溢れた名曲。


MAGNUM - Brand New Morning - The Blue and the Grey ★★★ (2008-04-05 23:30:43)

MAGNUMには珍しく、ブルージーなフィーリング漂う
渋めの名バラード。じんわりと泣くトニー・クラーキンのG、
この手のエモーショナルな楽曲を歌わせたら右に出る者なし!
なボブ・カトレイの、円やかで深みを感じさせる歌声が
素晴しいったらありゃしない。


MAGNUM - Brand New Morning - The Last Goodbye ★★★ (2008-04-05 23:39:32)

マーク・スタンウェイ(Key)によるピアノのイントロに
導かれてスタートする、メランコリック且つ劇的なミドル・チューン。
ボブ・カトレイが力強く歌う、強力なフックと哀愁を備えた
サビメロは、何度聴いても涙腺を刺激するものがあります。
個人的には、12thアルバムのハイライト・チューンの1つ。


MAGNUM - Breath of Life ★★ (2008-04-03 22:48:00)

周囲の期待に背中を押される形で、6年振りに再結成を果たしたMAGNUM。一部メンバーは既にミュージシャン稼業から
足を洗ってしまっていたため、オリジナル・メンバーや、黄金時代の編成での復活こそ叶わなかったものの、
バンドの三本柱であるトニー・クラーキン(G)、ボブ・カトレイ(Vo)、マーク・スタンウェイ(Key)は
しっかりと顔を揃えているのだから、それについてとやかく言うファンもいまいて。
本作は、再結成第1弾作品として'02年に発表された、通算12枚目となるオリジナル・アルバムで、その作風は
後期MAGNUMやHARD RAINに近い、産業ロック・テイストを漂わせた親しみ易い叙情HR路線。まぁ、日本ではともかく
イギリスを始めとする欧州圏でMAGNUMの人気が爆発したのは、よりポップでコマーシャルな方向へと舵を切った
6th『VIGILANTE』以降なのだから、彼らがそうした内容の再結成アルバムを作るのも、当然の成り行きと言える。
ただ、その点を考慮したとしても、Keyによる劇的なイントロに反して、味気ないグルーヴィなノリに肩透かしを食う
OPナンバー①を筆頭に、アルバム序盤に並ぶ楽曲のフックの弱さが気になるところ。尤も、高揚感を生み出すリズムと、
キャッチーなメロディの組み合わせが秀逸な④以降は、情感豊かなボブ・カトレイの歌声がハートを揺さぶるバラード⑤⑨、
マーク・スタンウェイの華麗なるピアノ・プレイに胸躍る⑦、トニー・クラーキンのGが泣きまくるラスト・ナンバー⑪・・・
と、楽曲の完成度が一気に上向き、聴き終えてみれば「やっぱMAGNUMは最高!」となっているのだから流石だ。
(序盤の楽曲にしても、掴みは弱くとも聴き進めれば、必ず何処かでハッと心を捉えるメロディが用意されている)
総合的には、復活作として十分合格点が付けられている内容に仕上がっているんじゃないかな、と。


MAGNUM - Breath of Life - After the Rain ★★★ (2008-04-03 23:04:13)

トニー・クラーキンの歌うGプレイ(勿論、曲作りの上手さも)や、
情感豊かなボブ・カトレイの歌声の素晴しさも然る事ながら、
この曲の肝は、ポップでキャッチーな曲調の楽曲に、
潤いと気品を与えているマーク・スタンウェイのKeyプレイ。
特に、インスト・パートのピアノ・ソロには胸躍ります。


MAGNUM - Breath of Life - Still ★★★ (2008-04-03 22:58:55)

高揚感を演出する力強いリズムと、
華麗に舞うキャッチーなメロディの組み合わせが秀逸な名曲。
間違いなく、再結成第1弾アルバムのハイライト・ナンバー。


MAGNUM - Chase the Dragon ★★★ (2008-03-23 17:18:00)

Keyがリチャード・ベイリーからマーク・スタンウェイにチェンジ。プロデューサーにKANSASとの仕事で知られる
ジェフ・グリックスマンを迎えて制作され、全英チャート17位にランクインする等、前作『MAGNUM Ⅱ』の
セールス的な不振を吹き飛ばすヒット作となった、'82年発表の3rdアルバム。
名匠ロドニー・マシューズの手による、美しく幻想的なジャケット・アートワーク、叙情的でファンタジック、且つ劇的な
楽曲の数々と、このバンドの何たるかがギュッと凝縮された作風を誇る本作は、MAGNUM初期の代表作としても
知られ、そのクオリティは、最高傑作と名高い5th『ON A STORYTELLOR'S NIGHT』と比べても、何ら遜色ないレベル。
NWOBHMムーブメントの勃発により、意気上がる英国HMシーンの影響を受け、これまで以上にトニー・クラーキンの
Gプレイが前面に押し出され、プログレ的な複雑さよりも、HM的なドラマティックな曲展開を重視した楽曲は、
マーク・スタンウェイの気高く気品漂うKeyプレイと、ここに来て、更に声の深みと表現力に磨きを掛けた
ボブ・カトレイの極上のVoに彩られ、ハードな楽曲は一層ハードに、ドラマティックな楽曲は一層ドラマティックにと、
よりメリハリの効いた内容に仕上がっている。特に、疲弊していく前線の兵士達の姿を借りて、
戦争の虚しさを悲しくも激しく歌い上げたOPナンバー①、ソリッドなGリフと叙情メロディが同居したキャッチーな②、
ラストを感動的に締め括る神々しいまでにドラマティックなバラード⑧といった楽曲の完成度の高さ、
そして何より、MAGNUMを語る上で欠かす事の出来ない、クラシカル且つドラマティックな名曲中の名曲③と④は、
「HMファンならこれを聴かずには死ねない!」と、思わず断言したくなる程の素晴しさ。
収録曲の平均クオリティ面では、5thアルバムに一歩譲るものの、突出した名曲を収めた本作が、個人的にはMAGNUMの
アルバムの中では一番好きだったりする。勿論、MAGNUM未体験者にも、入門編として強力にお薦めできる1枚。


MAGNUM - Chase the Dragon - Sacred Hour ★★★ (2008-03-23 17:25:08)

↑まさにこの方の仰る通り。
雄弁に歌うトニー・クラーキンのG、
深みと表現力を兼ね備えたボブ・カトレイの極上のVoの
素晴しさも然る事ながら、個人的にこの曲で一番痺れたのは、
ドラマティックでクラシカル、且つ気品を漂わせ泣きまくる
マーク・スタンウェイのKeyプレイだったりする。
特にポロポロと零れ落ちていくようなピアノの音色は絶品!


MAGNUM - Chase the Dragon - Soldier of the Line ★★★ (2008-03-23 17:32:34)

ドラマティックなイントロを経てスタートする、
2ndアルバムのOPナンバー。
ボブ・カトレイが表現力豊かに、戦争の虚しさを
時に悲しく、時に激しく歌い上げる名曲で、
テンポアップする後半の劇的な盛り上がりっぷりは、
まさに本編の幕開けを飾るに相応しい。


MAGNUM - Chase the Dragon - The Lights Burned Out ★★★ (2008-03-23 17:35:45)

2ndアルバムのラストを締め括る、感動的なバラード。
ボブ・カトレイの歌声の素晴しさについては言うに及ばず、
神々しいまでの美しさと、MAGNUMならではの包み込むような
スケールの大きさを感じさせる曲調も絶品。


MAGNUM - Chase the Dragon - The Spirit ★★★ (2008-03-23 17:28:57)

ライブでは大合唱を誘発するという、
MAGNUM屈指の代表曲にして名曲中の名曲。
繊細なアコギに始まり、チェンバロをフィーチュアした
クラシカル・テイスト溢れる序盤から、
クライマックスに向けてドラマティックに盛り上がっていく
曲展開が素晴しすぎる。「深み」を感じさせる歌詞も◎。


MAGNUM - Escape From the Shadow Garden ★★★ (2014-06-22 23:04:03)

『THE ELEVENTH HOUR』を思い起こさせる、ロドニー・マシューズ画伯の手によるジャケット・イラストをフィーチュアして、前作『ON THE THIRTEENTH DAY』から僅か1年のブランクで発表された14thアルバム。
大英帝国の重鎮HRバンドとは思えぬフットワークの軽快さですが、それもこれも現在の彼らが好調の波に乗っているからこそ。訥々と語り掛け、身体の芯までじっくりと浸透して来るような深み/暖かみに溢れた、MAGNUM独特のHRサウンドをもって、英国チャート初登場で第17位にランクインを果たしたという本作の充実度もそれを裏付けています。
方々で指摘されている通り、ボブ・カトレイの声に衰えの兆候が現れ始めているのは隠しようのない事実ですが、この人の声の武器が艶だけでないこともまた周知の事実。例えば沸々と気分を高揚させる力強さに溢れた②なんて、矢折れ力尽き果てても歌い続けようとするかの如き気迫に満ちた、カトレイの熱唱があったればこその名曲っぷりですよ。
マーク・スタンウェイのKeyに導かれてスタートする壮大な①に始まり、トニー・クラーキンの燻し銀の泣きのGをフィーチュアしたバラード⑫にて幕が下りる本編の抜群のクオリティのみならず、日本盤は再結成後の楽曲中心に編纂されたベスト盤付の特別仕様。なんでMAGNUM入門編としてもお勧めできる充実作です。


MAGNUM - Escape From the Shadow Garden - The Valley of Tears ★★★ (2014-06-23 23:22:10)

まさに絶唱と表すべきボブ・カトレイのVo、
曲調を叙情的に色付かせるするマーク・スタンウェイのKey、
そして激シブの泣きのGソロを奏でるトニー・クラーキンと、
MAGNUM三本柱が揃って素晴らしい仕事振りを披露して
本編ラストを壮大に締めくくる名バラードです。


MAGNUM - Escape From the Shadow Garden - Unwritten Sacrifice ★★★ (2014-06-23 23:19:09)

序盤のボブ・カトレイのしわがれ声に不安を覚えるも、
楽曲が熱を帯びて力強く盛り上がる中盤以降は
それすらも凄みへと摩り替わって行きます。
大きな会場で聴いたら、泣きながらコブシ振り上げそうな
ライブ映えする勇壮さを兼ね備えている点も素晴らしい。


MAGNUM - Goodnight L.A. ★★★ (2011-05-12 22:41:14)

全英チャート第4位に食い込むヒット作となった7th『WINGS OF HEAVEN』の成功を受け、より「売れること」を意識して制作された'90年発表の8thアルバム。
プロデューサーに名手キース・オルセンを起用し、彼が所有するLAのスタジオでレコーディング。共作者としてジム・バランスやラス・バラード、スー・シフリンといった売れっ子ライター陣が名を連ね、おまけに出来上がったアルバムのタイトルは『GOODNIGHT L.A』・・・これで不安を感じないファンはおらんだろ?っつーぐらいMAGNUMらしからぬ要素てんこ盛りの本作だが、意外にもクオリティの方は高い。
ざっくりと歯切れの良いHM成分の増量と引き替えに、ブリティッシュ然としたウェット感は薄れてしまったものの、ボブ・カトレイの極上の歌声と、ト二ー・クラーキンが生み出すメロディのフックに鈍りはない。大味なノリの①②はともかく、マーク・スタンウェイが奏でるKeyを活かして物悲しくもドラマティックに盛り上がる③以降は、キャッチーなHMナンバー④、都会の夜景が目に浮かぶアーバンなバラード⑤、MAGNUM版“BORN IN THE USA”(?)といった趣きの⑦、力強く高揚感に満ちた⑧、鳴り物を取り入れ快活に弾む⑨、まろやかでソウルフルなボブ・カトレイの歌声が引き立つ⑩等、従来のMAGNUM節と、このアルバムならではの新味が巧みに溶け合わされた魅力的な楽曲が並ぶ。何より、へヴィ・メタリックな疾走感とMAGNUMらしい高いドラマ性を兼ね備えた大トリ曲⑪のカッコ良さはガッツポーズ級。
流石に真っ先に聴くべきMAGNUMの代表作とは思わないが、このクオリティは実に立派。


MAGNUM - Into the Valley of the Moonking ★★ (2010-06-08 22:32:00)

再結成以降の作品は、細々とながらもちゃんと国内盤が出ていたので今回も期待していたのだが、
結局リリースが見送られてしまった'09年発表の14thアルバム。イマジネーションをかき立てられる
アルバム・タイトルに、名匠ロドニー・マシューズが手掛けた美麗なアートワーク、それに何より、
英国のバンドならではの湿り気と、淡くファンタジックな色合いに包み込まれた重厚な叙情HRサウンドは
相変わらずハイクオリティな内容を誇っているだけに、何とも勿体ないの話じゃありませんか。
初期ドラマティック路線への回帰の姿勢も感じられた前作『PRINCESS ALICE AND THE BROKEN ARROW』に比べると、
本作は幾分シンプルでポップな作風ながら、暖かみに溢れた音色でよく歌うトニー・クラーキンのGと、
華やか且つ上品なマーク・スタンウェイのKey、そして英国屈指の実力派シンガー、ボブ・カトレイの
包容力豊かな歌声に彩られた、気品と風格に満ちた本編の素晴しさはやはり唯一無二。
取り分け、高揚感を煽られるポップ・ソング③や、ブルージーな味わいの導入部を経て、力強く劇的に
盛り上がっていく⑤、エモーショナルな歌声と、爪弾かれるアコギの旋律が胸に染み入る
バラード⑧といった楽曲は、MAGNUMというバンドにしか生み出し得ない絶品の名曲かと。


MAGNUM - Into the Valley of the Moonking - All My Bridges ★★ (2010-06-09 22:55:28)

高揚感に満ち溢れたポップ・チューン。
マーク・スタンウェイの手による
優雅で華やかなイントロを耳にしただけで
心が浮き立つのを感じますね。


MAGNUM - Into the Valley of the Moonking - Cry to Yourself ★★ (2010-06-09 22:48:57)

ファンタジックなイントロと共に優雅に本編の幕開けを飾る
アルバムのOPナンバー。後半でじっくりと聴かせてくれる
トニー・クラーキンのGが渋い。


MAGNUM - Into the Valley of the Moonking - No One Knows His Name ★★ (2010-06-09 23:03:41)

前曲“MOONKING"の勢いを引き継ぎ、
これまた劇的且つ力強く展開していくナンバー。
サビを彩るファンファーレ調のKeyメロディが印象的。


MAGNUM - Into the Valley of the Moonking - The Moon King ★★★ (2010-06-09 23:01:04)

ブルージーに始まり、じっくり劇的に盛り上がっていく
アルバム表題曲にして本編のハイライト的名曲。
憂いに満ちたメロディを熱唱するボブ・カトレイのVo、
燻し銀の魅力を放つトニー・クラーキンの泣きのG、
スペーシー且つ壮大なマーク・スタンウェイのKeyと
MAGNUMの三本柱が揃って良い仕事しまくり。
またTHUNDER解散後、復帰を果たしたハリー・ジェイムズの
堅実なドラミングも楽曲のドラマ性向上に
大きく貢献しているように感じられます。


MAGNUM - Into the Valley of the Moonking - Time to Cross That River ★★★ (2010-06-09 23:13:58)

なぜか知らねどライブ風の歓声が付け加えられた、
淡く美しい叙情バラードの名曲。
こうした楽曲を歌うボブ・カトレイの歌声は本当に素晴しい。
忘我の境地で聞き惚れてしまいます。
エモーショナルに爪弾かれるクラキンさんの
アコギと、楽曲のおセンチさを高める
マーク・スタンウェイのKeyも素晴しいったら。


MAGNUM - Kingdom of Madness ★★ (2008-03-15 02:15:00)

'72年の結成以来、紆余曲折を経ながら現在も活動を続けるベテランHRバンド、大英帝国の至宝ことMAGNUMが、E.L.O.との仕事で知られる
ジェイク・コマンダーをプロデューサーに迎えて制作、'78年にJET RECORDSからリリースした1stアルバム。(邦題は『狂気同盟』)
起伏に富み、場面転換の激しい曲展開、美しく華麗なコーラス・ハーモニーやテープの逆回転など、初期QUEENを
彷彿とさせる凝ったアレンジの数々、曲間を排し、アルバム本編をまるで1つのストーリーのように流麗に物語っていく
構成etc・・・と、MAGNUMのカタログ史上、最もプログレッシブ・ロック・テイストが色濃く感じられる本作。
優雅にしてファンタジック、それでいてハード・ロック的なエッジもピリリと効いた、彼らならではのドラマティックな
HRサウンドは既に完璧に確立済みで、その筆頭とも言えるのが、絹のような滑らかさと温もりを備えたボブ・カトレイの
極上のVo、じんわりと胸に染み入るトニー・クラーキンのメロディアスなGプレイ、そしてプログレ・マインド溢れる
リチャード・ベイリーのKeyという、このバンドの魅力の粋が、5分弱という短い時間の中に結集された永遠の名曲④。
それ以外にも、7分以上に及ぶ大作OPナンバー①、穏やかな前半から、スリリング且つハードに盛り上がっていく⑤、
劇的な疾走チューン⑦、最初と最後を壮麗なピアノの音色で締める⑨などを収録、全編これ捨て曲なしのクオリティを誇る。
パンクの嵐が吹き荒れるイギリスでひっそりとリリースされながらも、全英チャート58位と健闘したのも納得の名盤。
因みに、最近、紙ジャケ盤を買い直したのだが、これが鼻水吹くくらいに音質が向上していて
驚いたのなんの。これで対訳が付いてれば完璧だったのになぁ。


MAGNUM - Kingdom of Madness - All That Is Real ★★ (2008-03-15 02:27:30)

穏やかな叙情味に包まれた前半から、
スリリング且つハードなインスト・パートへと雪崩れ込んでいく、
ダイナミックな曲展開が魅力の名曲。


MAGNUM - Kingdom of Madness - In the Beginning ★★ (2008-03-15 02:20:52)

場面展開の激しいオペラティックな曲展開といい、
叙情的で、どこか郷愁を誘うメロディといい、
テープの逆回転を用いたアレンジといい、
初期QUEENを思わせるプログレッシブ・ロック・マインド溢れる名曲。


MAGNUM - Kingdom of Madness - Invasion ★★★ (2008-03-15 02:31:19)

邦題は“侵略"で、個人的には“KINGDOM OF MADNESS"と並ぶ
1stアルバムのハイライト・チューン。
劇的なGリフと、ビシバシと打ち込まれる「キメ」が
最高にカッコイイ疾走曲。


MAGNUM - Kingdom of Madness - Kingdom of Madness ★★★ (2008-03-15 02:24:33)

MAGNUMが屈指の代表曲にして、永遠の名曲。
繊細なアコギと、幻想的なフルートの音色を経て、
劇的なGリフが勇ましく刻まれ始めた瞬間にノックアウト。
中間部のメロウ・パートから、再度、激しく曲が
盛り上がっていく場面は、何度聴いても鳥肌モノのカッコ良さ。